令和6年6月26日(水曜日)13時00分~15時00分
オンラインにて開催
【佐藤分科会長】 それでは、皆様、お集まりのようですので、ただいまから第47回技術士分科会を開催いたします。
本日、御多忙の中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
まずは、事務局より、委員の出席及び配付資料の確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【橋本補佐】 事務局でございます。
出欠につきまして、本日は、斉藤委員、松井委員から御欠席の御連絡を頂戴しているところでございます。また、小野田委員におかれましては、14時頃から御出席予定と伺っております。また、村田委員が、もうしばらくされると入室になるかと思われますのでという状況でございます。出席委員の合計数は定足数を満たしておりますことを御報告させていただきます。
村田委員も今、到着されたと伺いましたので、本日の出席の予定の委員の皆様の状況を確認が取れたところでございます。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、資料1から資料11まで、参考資料につきましては、参考1から参考9まで、それぞれPDFファイルで合本した形で皆様のお手元に配付をさせていただきました。資料5と文部科学省ホームページへのアップは、一両日中に作業を完了する予定でございますことを併せて申し述べさせていただきます。配付資料に欠落等ありましたら事務局までお知らせいただければと思います。
委員の御出欠と配付資料の確認につきましては以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
本日の委員会は、試験に直接関わらない内容のため、公開といたします。御承知おきいただきたいと思います。
それでは、議題1に移らせていただきたいと思います。令和5年度技術士試験の結果について、事務局より報告をお願いいたします。
【橋本補佐】 それでは、令和5年度の技術士試験の結果につきまして、資料1及び資料2に基づき御報告させていただきます。
まず、資料1といたしまして、令和5年度技術士第一次試験の結果でございます。令和5年度技術士第一次試験につきましては、昨年、令和5年11月26日に試験を実施し、6,601名を合格者として決定いたしました。試験の結果は次の表のとおりであり、合格者につきましては、令和6年2月26日付官報公告等により公表をさせていただいております。受験申込書数2万2,717名に対して、受験者数1万6,631名、合格者数が6,601名となっております。部門ごとの結果及び年度毎の状況につきましては、資料の表のとおりでございます。
続きまして、資料2に基づきまして、令和5年度技術士第二次試験の結果について御報告させていただきます。令和5年度技術士第二次試験につきましては、令和5年7月16日及び17日に筆記試験を実施し、2,867名を筆記試験合格者として決定いたしました。
さらに、筆記試験合格者に対し、令和5年12月2日から令和6年1月14日までの期間に口頭試験を実施し、総合技術監理部門を除く技術部門については、受験申込者数2万6,261名のうち、2,147名を合格者として決定いたしました。
また、総合技術監理部門につきましては、受験申込者数3,247名のうち、543名を合格者として決定いたしました。最終合格者につきましては、令和6年3月8日付の官報公告等により公表しております。
それぞれの技術部門に対する区分、受験者数、合格率、あるいは部門ごとの受験申込者数などにつきましては、次ページ以降の表のとおりとなっておりますので、説明につきましては割愛をさせていただきます。
令和5年度技術士試験の結果につきましては以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
それでは、今の御説明に対しまして、皆様から御意見などございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
特によろしいでしょうか。
では、まず塩原委員から御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【塩原委員】 塩原です。
技術士二次試験の合格者の年齢構成が四十数歳という、ちょっとこの資料には載っておりませんが、過去の例でそういうふうに聞いております。それで、我が国の合格年齢が四十何歳に対して、例えばプロフェッショナルエンジニアとかチャータードエンジニアは三十何歳だということから考えますと、もっと若返り化というのを、どうやったら若返り化ができるか、長期的な課題として考えていただきたい。
その中では、ちょっと例えが悪いんですが、昔の試験を受けるときにヤマを張るとかいう言葉がありましたが、今は山脈がすごい広い範囲から出題される。場合によっては、その山脈、例えば、私が電気電子で受けたときなどは、電気電子以外の山脈から問題が出たりもすると。こういうような問題もございまして、やはり電気電子で受けるとしたら、しっかり出題は電気電子の領域で出していただきたい。
あと、先ほどの統合によって、かなり広い範囲の出題がされるような形になっているんで、そこのところは、例えば選択か何かで、受験の問題の中で自分の専門に近いところを選択できるような形をやっていただくような、今のは例でございますが、そういうようなことを少し出題される方々によく検討いただいて、将来的に合格者の若返り化というのを図っていただきたいという要望でございます。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。合格者の若返りに関しての御意見をいただきました。
それでは、もう一方、石田委員、御意見をお願いいたします。
【石田委員】 今、合格者の若返りという御意見が出ましたけれども、女性比率に関しまして、第二次試験が8.5%と記載がございます。第一次試験のほうは、たしか17.1%だったと思います。今、日本技術士会の男女共同参画のホームページでは、部門別の女性比率ですとか合格率という情報を全てお出ししておりますので、せっかくですので、文科省の資料にも、第一次試験の女性比率を記載いただきたいなと思っております。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。女性比率についても共有したらどうかという御意見でございました。
【橋本補佐】 次年度以降、記載するようにいたしたいと思います。ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 ということでございます。
ほか、特によろしいでしょうか。
よろしければ、議題の1番はこれにて終了ということで、次に進みたいと思います。
それでは、次でございますが、今度は議題2の令和6年度技術士試験の実施等についてということで、まず、事務局から御説明お願いいたします。
【橋本補佐】 それでは、令和6年度の技術士試験の実施について、資料3から7を用いて御説明させていただきます。
まず、資料3でございます。こちらは昨年11月から12月にかけて試験部会でメール審議いただいた内容と同義のものでございます。令和6年度技術士第一次試験の実施についてでございます。例年から大きな変更はございませんので、要点のみの御説明とさせていただきます。
まず、2ポツ目、試験の方法でございますが、試験は筆記試験により行います。
3ポツ、試験の科目についての変更はございません。
4ポツ、試験の日時、試験地及び試験会場でございます。試験日につきましては、令和6年11月24日でございます。時間及び試験会場につきましては、大きな変更はございません。
5番目でございます。受験申込期間、こちらは令和6年6月12日から令和6年6月26日までとなっております。
受験手数料につきましては、技術士法施行令の定めのとおり、1万1,000円とさせていただいております。
合格発表につきましては、年が変わりまして、令和7年2月に公告するとともに、御本人様宛て合格書を送付することとしてございます。
続きまして、資料4でございます。令和6年度技術士第二次試験の実施についてでございます。こちらも試験部会でメール審議いただいたものでございまして、例年から大きな変更はございませんので、同様に要点をのみの御説明とさせていただきます。
受験資格につきましては、大きな変更ございません。
また、試験の方法につきましても変更なく、筆記試験及び口頭試験により行います。口頭試験は、筆記試験に合格した方について行うこととしてございます。
おめくりいただきまして、受験申込期間でございますが、令和6年度の試験につきましては、通例と異なりまして、なお書きで記載をしている箇所がございます。申込受付期間につきましては、令和6年4月1日から4月15日までと設定させていただいておりましたが、このほか、令和元年度技術士試験の第一次試験のうち、再試験で合格された方につきましては、実務経験年数の算定の都合がございますので、締切りにつきまして、令和6年4月28日をもって受験資格を満たす方については、受験申込期間を令和6年5月8日とさせていただきました。
受験手数料につきましては、技術士法施行令の定めのとおり、1万4,000円としてございます。
合格発表につきまして、筆記試験は、令和6年10月に合否を通知いたします。また、口頭試験につきましては、令和7年3月に試験に合格者した方の氏名を第二次試験合格者として公告するとともに、御本人様宛て合格書を送付する予定でございます。
資料4につきましては以上でございます。
また、技術士試験の試験に関しまして、技術士試験委員の推薦方針につきましては、資料5に記載させていただいております従前のとおりの方針とさせていただいてございます。
こちらに基づきまして、資料6で、令和6年技術士試験(第一次試験)の試験委員の推薦時期及び推薦数について、メール審議いただいた結果を掲載してございます。
また、資料7につきまして、令和6年度技術士試験委員(第二次試験)の推薦時期及び推薦数について掲載をしております。
令和6年度の技術士試験の実施につきましての御説明は以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
資料3から7の御説明をいただきましたが、例年どおりと大きな変更なしということでございますが、委員の皆様から何か御意見等ございますでしょうか。
特によろしいでしょうか。
では、2番目の議題はこれで終わりということで、次に進みたいと思います。
次は、議第3の日本技術士会からの報告について、日本技術士会より資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【日本技術士会】 日本技術士会専務の眞先でございます。本日は、貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
私どものほうから4点ほど御報告をさせていただきます。1点目は、新・技術士CPD活動に関する報告ということで、制度検討委員会の中川委員長から報告をいたします。
2つ目は、IEA GA&PC改訂に係る対応ということで、GAP分析をしておりましたものですから、その結果について御報告をさせていただきます。これにつきましては、国際委員会の神田委員長から御報告をさせていただきます。
3番目、令和6年能登半島地震における取組ということで、技術士会、また、技術士の活動について皆様にお知りおきいただきたいということで、今回このような報告をさせていただくということで、これは私のほうから説明します。
4番目、令和4年度第一次試験の正答ミスにおける対応ということで、令和4年度の技術士第一次試験につきましては、出題ミスが複数あったということもあり、必要な対策を取っているということでございます。その対策の状況につきましても報告をさせていただきたいと思います。
それでは、まず1番目のCPDのほうから、中川から説明をさせていただきます。
【日本技術士会】 それでは、次のページをお願いします。
新・技術士CPDに関しては、令和3年の大臣通知、それから施行規則の一部改正ということをもってスタートしたということで、技術士会の実施体制は真ん中の中段の表に書いてあるとおり、こういう組織を設置いたしました。
下段のほうですけれども、これに基づいて技術士会では、丸1のシステム整理、それから2、3、4、5とありまして、キャンペーン実施、こういった活動をしてまいりました。
このシートは、ビデオを作ったこと、それからリーフレットを作ったこと、こういったことをツールにして発表しております。
新・技術士CPDに対しては、基本事項を定めたガイドライン、運用細則を定めたマニュアル、2つを作成しておりますけれども、ガイドラインについては、この制度検討特別委員会に、あるいは技術士分科会に報告することが必須となっておりますけれども、マニュアルも併せて、いつも報告をさせていただいております。
ガイドラインにつきましては、その表の下段にも書いてありますけれども、令和5年の技術士分科会で、継続研さん、CPDそのものがコンピテンシーに含まれるということになったもので、これに伴う改訂をしております。次のページをお願いします。
マニュアルに関しましては、これはCPDの算定基準の表なんですけれども、細かい点になりますが、何点か改訂をしております。次のページをお願いします。
同じくマニュアルの中ですけれども、幾つか登録料に関する規定をつくっておりますが、これの料金を一部変更したということをここに記載をしています。
それから、マニュアルの改訂の中で、これを見ていただくと、通常はCPD認定というのにつきましては5年、250時間というのが必須になるわけですけれども、移行措置ということで、2年、100時間ということでCPD認定を認めようという措置を行ってまいりました。これを見ていただきますと、現時点で通常の認定をした方が400名弱に対して、移行措置で認定を受けた方がその倍以上いるということで、まだまだこの制度、仕組みが広く認知されたとは言い難いということで、2023年度末で終了という予定でありましたけれども、この移行措置を2024年度末まで延長しようというふうにいたしました。次、お願いします。
現在、この新CPDの登録を行われた方が、今年の4月の時点で3,500名弱ということになっております。括弧の中がCPD認定です。次、お願いします。
これは少しトピックになりますけれども、関係学協会の証明書を利用してCPDに登録された方というのが上の3分の1のところにありますが、農業農村工学会、この証明を利用して申請登録された方が非常に多いというのが特徴であります。次のシートをお願いします。
これは(1)にありますけれども、農水省さんのコンサル業務の技術提案書の評価基準に、CPD認定を持っていることで1点加算されるということになります。これは農業部門の方の御尽力によるものですけれども、その結果、農業部門のCPD認定者数が急増しておるということです。建設部門は、農業部門の10倍ぐらい資格取得者がいるんですけれども、これを見ていただくと、建設部門以上に農業部門の認定者が多いということです。次、お願いします。
このことを踏まえて、新・技術士CPDの推進と定着に向けてということで、さらなるCPD活動の充実と広報活動を継続ということと、それから先ほどの例にもありましたように、資格活用との連携が非常に重要であるということで、技術士の資格を持っている方、あるいはCPD認定を持っている方、こういう方の資格活用の促進ということにも努めてまいりたいと思います。
私からの説明は以上です。
【日本技術士会】 神田さん、お願いできますか。続けて。
【日本技術士会】 日本技術士会国際委員長を務めております神田です。よろしくお願いします。次のページをお願いします。
現在、IEAから世界各国の各エコノミーに対して、IEAのGA&PCと各エコノミーの資質の6基準や審査基準とのGAP分析、そしてGAP分析のロードマップを行うよう求められておりました。今年の1月末までに提出要求がもともとあったのですが、後に3月末にIEA側の都合でなっております。日本としては3月に提出しましたけれども、提出までの経緯として、日本技術士会でワーキンググループを設置しまして、ワーキンググループの中でGAP分析、それからロードマップの検討を終えまして、下のほうに記載していますが、APECエンジニアモニタリング委員会において審議・承認を得て、準備は整えていた。ただ先ほど申し上げたように3月末に締切りが変更になったこともあり、3月末までにIEAに、日本技術士会としてはGAP分析の資料を提出したということになります。最後の項目は、先日、IEAの2024年の総会がありまして、そこで事務局から報告があったのですが、結果として、この総会の時点でGAP分析の報告がなされていたのは、27か国中6か国のみであったと。この6か国の中に日本も含まれているという状況でした。次、お願いします。
時間もあまりないので細かいことは省きます。次、お願いします。
GAP分析の基になる、このIEA GA&PCのVer.4というものが2021年6月に改訂されておりまして、世界も、我々も、このVer.4と我々の技術士のプロフェッショナルコンピテンシー、それからAPECエンジニア、IPEA国際エンジニアの審査とのGAPを分析してきておりました。IEA GA&PC Ver.4は、基本的にはSDGsの考え方を取り込んだり、新たな技術、新たな分野に関するところを取り込んだりといったところが大きな改訂内容になっておりました。次、お願いします。
IEA GA&PC Ver.4の構成は、ここに書いてあるようになっておりまして、特にプロフェッショナルコンピテンシーである、PCのプロフィールというところが重要になってきております。言葉の定義として、この共通レンジという上の2項目、問題の識別と解決のレンジ、エンジニアリング活動のレンジ、こういった言葉の定義がこちらになされておりまして、我々のGAP分析の対象というのは、この共通レンジの2つ、大きく分けて2項目と、それからPCのプロフィールの1項目、項目の中でさらに細かく項目が分かれておりますけれども、ここがGAP分析の主な対象となっておりました。次、お願いします。
このGA&PCのVer.4と、まず、文部科学省様のほうで出されております技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)の令和5年1月25日付版、これとの比較分析をまず行いました。次、お願いします。
こちらに、GAP分析のあくまでイメージです。ここにある枠の大きさとかが何かの量に比例しているというわけではないのですけれども、IEA GA&PCのVer.3がありまして、プロフェッショナルコンピテンシー的には少し拡張されてVer.4というものができております。ここに、日本でのプロフェッショナルコンピテンシーの定義として、技術士PC2014、ここで初版を2014と仮に呼んでおりますけれども、これが令和5年になりまして、技術士PC、ここで仮に技術士PC2023と呼びますと、技術士PC2023でコンピテンシー的には広がっているのですが、こことVer.4とのGAP、それからAPECエンジニア、IPEA国際エンジニアの審査とのGAP、主に2つのGAPを分析してきております。次、願いします。
分析の結果に移ります。先ほど、定義が2つほどありますと申し上げましたけれども、レンジと呼ばれる定義の部分につきましては、技術士のプロフェッショナルコンピテンシー2023、令和5年度版につきましては、提言に対してキーワードのイメージが少し不足している項目はありました。もともとこの定義を技術士PC2023で全て掲載しているわけではありませんでしたので、言葉を細かく見ていくと、キーワードはちょっと足りていない、不足している部分はあるかなという分析になりましたが、定義を全て満たしている必要はもともとなくて、必要条件というのがありまして、ここは十分満足しているという結果になっております。
それから、APECエンジニア等の審査につきましても同様の状況でした。1番メインのPCプロフェッショナルコンピテンシーのプロフィールにつきましては、技術士PC2023についてはGAPがないという分析結果になりましたが、APECエンジニア等の審査、IPEA国際エンジニアもそうですけれども、これが技術士PCの以前のバージョンに準じているということで、こちら、技術士PCの2023年、令和5年度版にはまだ対応してないということで、こちら、プロフェッショナルコンピテンシーのプロフィールについてはGAPが少しあるという結果になっております。次、お願いします。
今、申し上げたものを星取り表のように記載したものが、こちらの図になります。技術士PC2023は、PCのプロフィールに対して全て満足しているという状況で、定義のほうで一部三角になっていますけれども、必要条件は満足しているということで、全体的にVer.4とのGAPというのはないという結果になっております。次、お願いします。
とはいうものの、APECエンジニアの審査におきましてはGAPがあるという結果になっておりますので、この表で言うと2026年の緑の部分、改訂アセスメントステートメントに基づいた申請の受付というのは2026年の夏から始まりますけれども、ここにGA&PCのVer.4に対応、GAPをなくした審査がここから行えるよう準備を進めたいと考えております。次、お願いします。
最後に、これはGAP分析とは少し離れるのですけれども、補足として資料をつけました。今年度、IEAから、日本技術士会、そしてJABEEはレビューを受ける年になっておりまして、これは6年を超えない期間のうちにレビューを受けないといけないというIEAの規定に従っ行われておりますが、それが今年、行われるということで、こちらも準備を進めております。7月末ぐらいまでにレビュー用の文章を提出することになっておりますが、実際には8月末が締切りなのですが、IEAの事務局から、向こうの都合もあって少し早めに出してもらえると助かるということで、7月に出そうかなと考えております。
出した後、9月から12月頃にレビューチームが結成されまして、恐らくですけれども、今、レビューチームは韓国、香港、台湾などが挙げられております。まだ確定ではないんですけれども、ここから三、四名が選定されまして、レビューをしていくということです。基本的には提出した書面の審査のみと、今、想定はしております。
来年の4月末までにレビュー報告案が出てきますので、これに対して、もし何か日本として提出文章の修正等が必要であれば対応していくことになります。
来年のIEAの総会2025はメキシコで開かれますが、ここで継続の審査が行われるということになります。現在、提出文書については、ほぼ出来上がっている状態で、一部この赤字の部分、アセスメントステートメントで、少し最新のものに修正する必要があるということで、ここの修正だけ完了しておりません。ほかはほぼそろっている状況です。
重要なのは、今回のレビューは、GA&PCのVer.4に沿ったものではないということは明確になっておりまして、基本的には前回のレビューと同様に対応していけばいいのかなと考えております。
また、先日のIEAの総会において、IEAの事務局側では2026年のレビュー、何か国かあると思うのですが、ここからGA&PC Ver.4に対応したレビューにしていきたいということを想定しているようです。まだ、これも確定ではないんですが、IEA事務局の希望としてはそうなっているということになります。
以上です。
【日本技術士会】 続きまして、私、眞先から、令和6年能登半島地震における技術士会の取組ということについて説明をさせていただきたいと思います。この資料の内容は、今年の1月1日に発災いたしました能登半島地震に対しまして、日本技術士会はどういう対応を取ったかという話と、実際に技術者がどういう活動を現地でしているかということを両方一緒に含んでいる資料となっております。次のページをお願いいたします。
まず、技術士会の取組1番ということですが、1月1日に能登半島地震が発災いたしました。技術士会では、これは大規模自然災害が発災いたしましたときには、防災支援委員会のほうで防災対応ということでプラットフォームを立ち上げるということになっております。発災直後の1月2日から、防災支援委員会においてプラットフォームを立ち上げ、活動を開始いたしております。次のページをお願いいたします。
2番ということですが、まず、どういう取組を技術士会としてしていくかということを、基本的な柱を確認し、このような活動をしていくということで、全体で10項目、柱が立っております。基本的には、助けを求める方に対して支援をしていく、基本的にそういうスタンスでございますけれども、特に2つ目の喫緊の課題への項目別では2番目、東日本大震災のときもそうだったんでございますが、ほかの士業団体、例えば弁護士さんとかそういった団体とも連携しながら、最初は相談対応、特にその中に技術的な要件が入っている場合、技術士が重宝されるということでございます。次のページをお願いいたします。
実際に、取組丸3ということでございますが、基本的に技術士会としてのというよりも、技術士さん、それぞれ所属されている企業さんとか団体さんにおきまして、防災支援や災害復興支援の活動を行っておられるわけでございますが、さらに個別に作成した資料の公開でありますとか、あるいは、一番下にありますが、ほかの団体さんからの御依頼によって現地調査を行うなど、そういったようなことで知見の提供を行っているということでございます。次のページをお願いいたします。
技術士の活動ということに少し注目しまして、資料を整理しておりますが、実際に、先ほど申し上げましたように技術士さんの多くは、個人として活動するという以上に所属する企業の一員として、災害に関していろいろな立場で活動しているということでございます。基本的に災害支援、災害に対する取組ということで言いますと、例えば北陸地方整備局でございますが、北陸農政局、あるいは地方自治体との協定という関係で、各協会のほうが災害協定を結んでおって、そこに所属している企業が災害対応に当たっているという図式になっております。実際に災害対応業務というところでは、様々な、例えば公共施設復旧とか土砂災害に対する調査設計が主であったりとか、いろいろな活動をするわけでございますが、業務を遂行する上で、技術士は管理技術者、主任技術者としての必須の資格だということもあり、様々な業務を通じて活躍をされているということでございます。次のページをお願いできますか。
ちなみに、能登半島地震対応の取組につきましては、制度検討特別委員会のほうに3月に一度報告しておりますが、3月の状況ですと、どちらかといえば応急復旧のための調査設計がいろいろ行われている段階、復旧工事が始まったような段階だったというようなんですが、それから3か月たちまして、現状では、応急復旧工事は一応ほぼ完了して、一部機能が使用できる状況まで復旧したということでございます。現在、本格復旧に向けての地質調査とか復旧設計が行われている段階ということで、まだまだそのような取組をしないといけない状況になっているということでございます。
基本的に、能登半島地震対応でございますので、どうしても北陸の技術士さんに目が行くわけなんですが、先ほどのページに少し書いてありましたが、全国に対して応援が求められて、それに対応して全国から人々が集まって、実際の対策に携わっておられるという状況でございます。
具体的には、また次のページをお願いできますか。主な災害対応業務ということで、道路被災箇所の調査・普及でありますとか土砂災害の対応、また、港湾施設の被災状況調査・復旧設計、実際の復旧工事。次のページをお願いできますか。
また、農業施設の被災箇所の調査・復旧、上下水道、それから被災箇所の地質調査・地質解析、様々な業務があるわけなんですが、技術士の様々な技術部門の専門の技術士が、そういったそれぞれの業務に携わっているということでございます。
参考ということで、次のページをお願いします。北陸地域の部門別登録技術士数ということでございます。これは必ずしも会員ではなくて、技術士として登録されている方の北陸にお住まいの方の登録者数でございますが、北陸地域の技術士の数、合計で3,654という数字がございます。円グラフにございますように、半分以上は建設部門ということでございます。続くは農業でございますとか上下水道、こういう分布になっております。次のページをお願いできますでしょうか。
今回の能登半島地震に対応して、様々な資料も提供しているということを冒頭に申し上げましたが、御覧いただいておりますのは、これは技術士会北陸本部のホームページで公開をしておる資料一覧でございます。3月の段階では、一部まだ工事中だったりしている部分があったんですが、今では全ての項目について積極的な情報公開を実施しているということでございます。
次のページ、これは公開している情報の一部、例ということでございます。ハザードマップ、このような情報をホームページに掲載しておりまして、主として災害対策に当たる自治体さんなどに活用いただいたと承知しております。
次のページは参考に、これは割愛をさせていただきます。
続きましては、次の話題でございますけれども、令和4年度技術士第一次試験の正答ミスにおける日本技術士会の対応についてということで御報告をさせていただきます。令和4年度技術士第一次試験、先ほど冒頭に令和6年度の話がございましたけれども、一昨年ございます令和4年度の技術士第一次試験におきまして、実は試験実施後、外部からの指摘により、合格発表前に出題ミスが2件ほどあったという指摘がございました。さらに、合格者を発表した後に1件の出題ミスが判明をしたということで、合格者発表後に正答ミスが判明したことにより、改めて追加の合格者13名を発表するという事態になりました。このときは大変な御迷惑を受験者の皆様にもおかけしたということもございました。文科省からも厳重注意を受けまして、技術士会としては原因究明と再発防止対策を講ずることにいたしました。昨年の10月に原因究明、それから再発防止策について取りまとめ、文科省さんにも報告をさせていただいています。
正答ミスの原因、ここではポイントだけ示しておりますが、以下の2つが主な原因ということで、1つは、作問・審査段階における確認・チェックに漏れがあったということ。もう一つは、実はこの令和4年度の段階では、新型コロナ感染症対策として審査プロセス、こちらのほうで新型コロナ対策としての特例的な取扱いを行ったということで、委員の間の意思疎通が円滑に取れなかったということを原因としています。従前ですと緊密に連携を取って、意思疎通をきっちり取って作問の妥当性を確認していくというプロセスでございましたが、ここは十分に取れなかったということが原因として挙げております。
こういうのを踏まえまして再発防止策、昨年10月に報告しておりますが、以下のような再発防止策を講じました。まず、令和5年度、御報告した段階では、令和5年度の一次試験の実施前ということだったわけですから、令和5年度の一次試験対応しての作問段階、入念な点検・再確認ということをお願いしたということ。審査段階におきましては、先ほど言いました特例的な取扱いをやめ、しっかりとした手順を遵守した審査を徹底した。それから、試験実施後、これは従前やっていなかった新たな取組でございますが、試験の実施後に試験結果を分析し、疑義が発生した問題については再確認を行うというプロセスも取ったということでございます。
また、令和6年度以降に講ずる再発防止策としておりますが、作問段階におけるマニュアルの改訂と、それの徹底ということを行わせていただきたいということです。また、審査段階におきましても、試験審査要領等の改訂を行って、その要領の遵守の徹底ということを行った。また、事務局のほうでも体制の増強を行うということ。また、審査プロセスに一定のゆとりを持たせるというようなことも行いました。また、今後の予定でございますが、試験実施後には試験結果を踏まえてしっかりした分析をし、必要に応じて再確認ということもしております。
技術士会、すみません、少し時間を超過しましたが、以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
今、かなり多岐にわたる説明をしていただきましたけれども、何か今の御説明に対しまして、委員の皆様から御意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
黒﨑委員、手を挙げておられますが、どうぞ。
【黒﨑委員】 日本技術士会の黒﨑でございます。
今、眞先のほうから、特に最後に試験のミスについて報告させていただきましたけれども、改めまして、この場をお借りしまして、こういったミスが生じたことをおわび申し上げるとともに、申し上げましたような再発防止策を講じて、引き続き試験の信頼性の確保に努めてまいりたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
ほかに何か御意見等ございますでしょうか。
特になければ、この議題はこれぐらいにしたいと思います。
そうしましたら、その次でございますが、議題の4、技術士制度をめぐる現状と課題についてということで、事務局から資料の説明をお願いいたします。
【橋本補佐】 事務局でございます。
それでは、資料9に基づきまして、技術士制度をめぐる現状と課題ということで御説明させていただきます。
まず、1ページ目でございます。これまで技術士法の改正の経緯といたしまして、昭和32年の制定から昭和58年の全面改正、平成12年の大幅改正を経て現在に至っている状況でございます。
おめくりいただきまして、2ページ目でございます。これまでの技術士分科会での審議状況でございます。第10期の技術士分科会では、技術士制度改革に関する論点整理に基づき、初期専門能力開発(IPD)及び資格活用に至るまで、生涯にわたり一貫した整合性のあるシステム構築・改善を行うための検討を進めていただきまして、これを踏まえ、第11期の技術士分科会では、国際的な実質的同等性の確保の観点も十分に加味した上で、以下、黄色い四角の中、(1)から(6)までの項目について検討を進めていただいているところでございます。
おめくりいただきまして、3ページ目でございます。第12期以降の技術士制度改革における継続的検討事項といたしまして、第11期技術士分科会での審議に続き、特に精力的に審議を重ねてきていただいておりますIPD制度について、技術士をめぐる国内外の情勢変化も踏まえつつ、制度の具体化について一定の結論を出すことに注力しながら、ほか、以下8つほどございますが、こちらの項目について検討を継続的に実施していきたいという考えでございます。
1つ目、IPD制度の整備・充実でございます。我が国の科学技術の発展に向け、活躍が期待される若手技術者が、技術士として求められる資質能力を早期に修得し、技術士として活躍いただくことを社会全体で支援するためのコミュニティーの形成、あるいはこのIPDシステムが社会に取り入れられ、応用・展開され、社会実装されるといった方向に向けた具体的な方策について、海外事例の調査も行いつつ検討してまいりたいと考えてございます。
また、産業界における実態把握、IPDの認知度向上等のために、企業様に対してIPDヒアリングを実施しているところでございます。
2つ目、技術士補制度の見直しでございます。技術士補制度につきましては、第12期において、IPD制度の整備・充実に向けた検討と併せて、この技術士補制度の見直しについて継続的に審議したいと考えてございます。
4ページ目、3番目でございます。技術士第一次試験の適正化でございます。第8期においては、専門科目を系に分類するなどの大くくり化する考えが示されているところでございます。こちらにつきましても、IPD制度の整備・充実に向けた検討と併せて、指導技術士の部門制限の撤廃、あるいは、それに連動する形で専門科目の大くくり化の是非について継続して審議を進めたいと考えてございます。
4番目、継続研さんの充実・強化でございます。令和3年度技術士法施行規則の改正に基づき導入した公的な枠組みがございますが、こちらのほか12期では、CPD活動を技術士として活動いただく範囲の拡大、技術士の資質能力のさらなる向上に資するべく、APECエンジニア資格あるいは総合技術監理部門(総監)へのステップと位置づけることなどについて審議をしたいと考えてございます。
また、この継続研さんの充実・強化につきましては、さらに制度の定着に向けた広報活動、あるいは継続研さんを積んだ技術士の方々の積極的な活用を目指した働きかけといった内容も含まれますところ、活用促進・普及拡大と絡めて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
また、更新制の導入につきましては、このCPD活動の実績管理・活用を可能とする公的な枠組みのモニタリングを行いながら継続的に検討を予定してございます。
6番目、総合技術監理部門の位置づけの明確化でございます。総合技術監理部門(総監)につきましては、日本独自の技術士部門でありますことから、海外の資格との関係性、国内外における位置づけの明確化が必要と言われております。こちらにつきましては、国際的同等性の観点も十分に考慮しながら、総監に係る現状把握と課題の分析を進め、継続して審議を進めてまいりたいと考えております。
7番目、技術士資格の国際的な実質的同等性の確保でございます。先ほど技術士会さんのほうからIEAの対応についても御報告いただきましたが、こちらにつきましても、国際的な要請というものがございますところを確実に対応を進めていきたいと考えてございます。
8番目、活用促進・普及拡大でございます。こちらにつきましては、文部科学省と技術士会が連携して、技術士資格の社会における認知度の向上、あるいは他省庁や産業界に対して資格の活用を周知する活動を進めてまいりたいと考えてございます。
これらの8つの継続的な検討事項についての今後の検討の方向性でございますが、技術士の人材育成に当たっては、IPDから資格取得、さらには資格取得後のCPD及び活用に至るまで一貫した整合性のあるシステムが必要と考えてございます。
また、社会情勢や科学技術・イノベーション政策の動向も留意しながら、それぞれ8つ挙げさせていただきました検討事項間の関連性も踏まえて、俯瞰的な視野で不断に制度改革に向けて検討を追求したいと考えてございます。
また、資格を受験する方やIPD/CPDを受講される方の利便性の向上、あるいは政府全体といたしましてデジタル化の推進といった観点もございますので、デジタル技術や新システムの導入といったものを進めるべく、受験手数料及び登録手数料の見直しを検討していきたいと考えてございます。
6ページ目以降につきましては、参考資料となっておりますので、資料のほうは割愛させていただければと思います。
事務局からは以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、今、御説明いただきました内容について、委員の皆様から御意見などございましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、江黒委員、お願いいたします。
【江黒委員】 弁護士の江黒でございます。お世話になっております。
他省庁や産業界へのPRというところに関連してなんですけれども、前回のこの会議かIPD懇談会でだったか、ちょっと失念してしまったんですが、そしてどちらの委員の方の御発言だったか、それも失念してしまったんですけれども、標準化活動にもIPDとか若手の技術者の方、勉強してもらうといいのではないかというような御発言がどなたかの委員の先生からあったかなという記憶がございます。それがずっと記憶にございまして、先週、経済産業省の産業標準調査会という、ISOとかJIS規格の審議会があって、そちらの委員をしていまして、審議会に参加をしていたんですけれども、そちらでは経産省さんが標準化人材ダイレクトリというのを立ち上げて、そちら、標準化人材というのは、国家資格とかは、技術士と違ってないんですが、標準化人材を育成していくというのは非常に今、課題になっていて、標準化人材ダイレクトリというデータベースをつくられたということがございました。ルールメイキングの話なので、弁理士や、場合によっては弁護士もお手伝いできることがあればという、弁理士の先生も委員になっていて、そういう話も出たんですけれども、ただ、現状は、技術者の方が標準化活動、認証規格をつくる作業はそれぞれの業種、それも本当に多岐にわたる分野の標準規格ですとか、規格をつくっていらっしゃるのは主に技術者の方であるということで、審議会の席でも私のほうから、技術士さんというエンジニアリングの分野の方も標準化人材として活躍される方がいるのではないかという、現状は弁理士とか弁護士よりも、エンジニアのほうが人材のベースになっているだろうという話をさせていただいた次第です。なので、ルールメイキングの世界ではあるんですけれども、今ちょっと認証不正とかの話もあって、弁理士や弁護士も御相談を受けることが多い、後ろ向きの話では非常に多いんですが、規格をつくる段階というのは、イノベーションにおいてオープンクローズ戦略の中で、どうやって標準近くをグローバルでつくっていくかというのは、やはりエンジニアリングの世界なのかなと思いますので、そちらのほうも少し、前回どなたかから御意見も出ていたかなと思いますので、少し若手の方にそういった方面の関心も持っていただければなと思った次第です。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】 ありがとうございます。農業分野の技術士をしております小林と申します。
4ページの3番のところで技術士第一次試験の適正化という中で、特に一次試験の大ぐくり化について継続審議のお話を今いただきましたけれども、13ページに参考資料5がありまして、この中で、これは第8期の考え方についてまとめたものですが、農業土木、森林土木、水産土木というものが建設系の中に大ぐくり化されております。また、農業の一般といいますか栽培とかそういった分野については環境生物系というところに位置付けられております。農業と農業土木、森林土木、水産関係が別々のところに大ぐくり化されているということで8期にまとめられています。これに対して御意見を申し上げたいと思います。農業土木、森林土木、水産土木は建設系の内容と重なる部分も多いのですが、背景といいますか、目的が、農業土木、森林土木、水産土木は、農業、林業、水産業、それを振興するということが大きな目的、バックボーンになっておる分野です。したがいまして、大ぐくり化の検討をする上で、ぜひ、農業とか林業、水産業と農業土木、森林土木、水産土木を別にするのではなく、一体の系の中で扱っていただくように、今後の検討の中で一体のものとしての扱いをしていただくようにお願いをしたいということでございます。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、村田委員、お願いいたします。
【村田委員】 水産の村田と申します。
先ほど江黒委員からルールメイキング戦略ということで、標準化について学んでほしいという話がありまして、実は私、まさに今、ISOの水産物の鮮度に関するISO提案を業務を行っておりまして、私、研究開発職なんですけれども、今までやったことないような標準化について、いろいろなフォームをつくったり、海外のエキスパートを集めたり、あと、いろいろな意見が出て調整をしたりと初めてだらけですが、そこで気づいたことは、日本はいかにルールメイキング戦略が弱いということです。水産の分野でも、ISOにはいろいろな項目がありまして、例えば水産の中の漁業という項目は、一番メインである幹事国がノルウェーで、日本はOメンバーというオブザーバーメンバーなので意見が言えない。私たちは鮮度測定法を食品全般に関する項目に提案したかったのですが、国は、食品のうち、卵とか魚とかに関するSC6という項目の幹事国でありまして、日本の提案先に対して中国側の非常に強い反対があって、中国が幹事国であるSC6に提案してほしいと言われ、提案先を変えることになりました。しかし、日本はSC6のPメンバーじゃないということで、今、急いで農水省にお願いして、Pメンバーになるようにしていただくということを行っています。
そのようなことで、今までは日本の技術が世界一であったんですけれども、最近はそういったルールメイキング戦略から見ても、日本の技術がそういった戦略に負けてしまうことが非常に多いということで、いろいろな産業にとっても不利益が多いんじゃないかと思っています。なので、私もこの業務を担当する前は人ごとのように思っていたのですけれども、これからは技術者、特に技術士としては、こういった標準化に関する知識というのは持っておくべきだなというのを思った次第でございます。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。先ほどの御意見もそうでしたけれども、標準化なども、技術士に関わっているような方が実際にはされているようなことも多いと思いますので、こういったところにどのように位置づけていくのかということについては、あまり議論がこれまでされてきませんでしたが、そういったことも少し視野に入れるようなことが必要なのではないかという御指摘かと思っております。
江黒委員、手を挙げておられますが、何か付け加えることがございますか。
【江黒委員】 ありました。短く。
村田先生、ありがとうございました。まさに私も同じような問題意識を持っておりまして、認証不正の事案などをいろいろ拝見しておりますと、やはりルールメイキングのところ、あるいは既存のルールの改訂に積極的に技術分野の方が介入していただかないと、なかなか根本的な問題は解決しないのかなと思いますので、ぜひお願いしたいと思っております。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それから、先ほど大ぐくり化についても、かなり前の議論の結果なので、今にしてみるといろいろな意見が出てくる可能性もあると思いますので、そういったことを具体化していく中では、恐らくそういった議論もせざるを得ないのかなとは感じました。
ほかに何か御意見ございますでしょうか。
三村委員、手を挙げておられますが、よろしいですか。
【三村委員】 三村です。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【三村委員】 お願いします。
現在出ているページの一番下のところに書いてある今後の検討の方向性の中で、試験受験者の利便性向上のためのデジタル技術の導入というところなんですが、多分、今の若い世代の方たちというのは手書きで文章を書くということをほとんどしなくなっています。ですので、恐らくこの技術士の試験のために、手書きで文章を書くということを改めてされる方が多いのではないかと思うんです。特に、仕事の報告書等もほとんどワープロで出ております。なので、ぜひ、試験にワードプロセッサーを導入することを早く検討を進めてしていただきたいと思います。そうすると、先ほど御指摘のありました技術士の合格者の若返りにもつながるのではないかと思います。ぜひ進めていただければと思います。
以上です。
【佐藤分科会長】 分かりました。こういう一連の手続のデジタル化というようなことですね。こういったことも、若い方を取り込む1つの材料にもなり得るという御指摘でございました。
ほか、よろしいでしょうか。
非常に有益な御意見をたくさんいただきましたので、今後に反映していきたいと思います。どうもありがとうございました。
そうしましたら、次、5番目の議題に進みたいと思います。次は、技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめ(案)について、これは事務局から御説明をまずお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【橋本補佐】 よろしくお願いいたします。
事務局より技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめ(案)で御説明させていただきます。資料といたしましては、10-1でスライド、10-2で本文資料を用意してございますが、説明のため、資料10-1のスライドのほうをメインに御説明をさせていただきます。
まず初めに、これまでの議論の経過でございますけれども、第9期の技術士分科会が取りまとめた技術士制度改革に関する論点整理の中で、6つ挙げていただいた論点の1つとしてIPDについては整理されてございます。
その後、継続的に審議を重ね、第10期の技術士分科会の下で設置された作業部会では、IPDシステムの定義など、基本的な事項を取りまとめいただいたところでございます。
第11期から第12期にかけまして、民間企業にヒアリングを実施するとともに、関連ある学協会さん等の協力の下、IPD方策を立案するためのコミュニティーの構築、あるいは社会の理解を深める活動を実施してまいりました。
また、関連ステークホルダーとの意識共有、協働意識の醸成という観点から、技術士会の下にIPD懇談会を設置いただき、文部科学省も共に議論を進め、一定のロードマップや論点の方向性が整理された段階で懇談会の場を文部科学省に移し、検討を継続して実施してきたところでございます。
こちらは、これまでの議論の中間的な経過報告として取りまとめたものでございます。
続きまして、技術士をめぐる状況でございます。3つ書かせていただきましたが、まず、1つ目といたしまして、国内外の情勢の変化ということで、複合的な問題を総合知により解決し、社会変革を牽引するポテンシャルを持つ技術者の役割は一段と拡大している状況でございます。
それとともに、国際水準に達した専門知識、応用能力を持つ高度な技術者集団の底上げは急務となっております。
また、現行の技術士制度との比較を実施し、GAPを埋めるためのロードマップを作成するなど国際的な要請への対応も喫緊の課題として挙げているところでございます。
また、技術者の皆様方に期待される役割といたしましても、従来のものづくりへの貢献にとどまらず、未知を求め、新しい時代を切り開くような役割も追加的に求められているところでございます。
それに伴い、御自身の専門知識はもとより、常に最先端の技術革新に適用できるよう研さんをお積みいただき、コンピテンシーを能動的かつ体系的に習得し続け、グローバルな社会課題に挑戦いただく姿勢が求められております。
また、企業活動の担い手である技術者の育成・確保につきましては、科学技術・イノベーション政策上、位置づけがより明確化されているところでございます。
このような状況に鑑みまして、若年層の技術者として高度なスキルを持つ人材、こういった皆様方の育成と確保を確実に図っていくことは極めて重要な課題でございます。
また、いち早く国際的に適用できる高度な技術者に成長いただくべく、スキルの獲得を行われる仕組みというものは社会全体で構築するといったことが肝要でございます。
こういった状況を踏まえまして、IPDシステムを構築するに当たり、まず、目的(利用者の明確化)を進めてまいりました。まず、IPDシステムの立ち上げ時においては、技術士を目指す技術者をターゲットとする。
しかしながら、将来的には国際水準の資質能力を備えた技術者全体の育成と日本の技術力の向上に寄与することを念頭に制度設計を精緻化していくのがよかろうという議論を進めていただいております。
このIPDシステムを運営する主体についても議論をしていただいております。まずは、このIPDシステムの運営主体といたしましては、ターゲットとなる利用者に対して効果的なアプローチを図ることができる組織であることが望ましい。
また、技術士会におかれましては、既にCPDシステムを立ち上げてございます。こちらのCPDシステムを参考にしつつ、技術士会が主体的に運営を担うことが合理的といったお話をいただいております。
IPDシステムの運営主体は、多様な研修プログラムと提供いただく機関と強固に連携をした下、まずは小さくスタートさせつつ、順次拡大し、社会実装を図るといった方向性を模索するのが現実的であろうというお話もいただいております。
また、この運営主体におきましては、若手の技術者の方々に、運営に積極的に参画されることを期待してございます。
また、このIPDシステム全体の運営につきましては、透明性があり、公正に機能しているということが第三者的に立証されるよう、第三者組織による認証・評価の仕組みというものを将来的に導入することが望ましいといただいております。
ページをおめくりいただきまして、IPDシステムの在り方でございますが、このIPDシステムで応えることが期待されるニーズというものをより明確化し、IPDのプログラムを提供いただく機関、あるいはシステムを利用する方々双方にとってメリットや魅力のあるコンテンツを提供することが重要であるということが御指摘いただいてございます。
また、このIPDシステムでは技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)の獲得に寄与するコンテンツが重要でございます。
さらには、迅速な対応が求められる新たな課題を捉えるコンテンツ、例えば知的財産、サステナビリティー、DX、経済安全保障等、様々ございますが、こういった内容に対していち早くアプローチできるコンテンツを提供することが期待されます。
また、IPDシステムを通じて、どのようなことを学び習得されたかにつきましては、客観的に評価・記録される仕組みが標準化され、こういった結果について企業の人事考課等で活用されるなど、社会全体で共有されることが理想的というお話をいただいてございます。
また、IPDシステムで活動された技術者の方々が技術士資格を取られる場合は、資格取得後のCPD活動に連続することが理想的であり、こういった一連の流れでリカレント教育的な役割を担うといった側面も期待されます。
(4)といたしまして、関係機関との連携ということでございます。産業界や教育機関、学協会等と連携を図り、IPDシステムが人的交流の場を形成するような期待が寄せられてございます。
既存の教育プログラムを相互に共有し合える場といったものが、運営主体から提供されるような仕組みもより効果的であるという御指摘。
IPDシステムを通じて最前線の知見の獲得のみならず、異業種人材との交流が促進されるといった点も期待いただいております。
3といたしまして、中長期的な検討事項でございます。この立ち上げるIPDシステムが、さらなる発展に向けて必要な事項といたしましては、技術士を目指す技術者のみならず、我が国技術者の全体の育成を担うという段階においては、IPDシステムの運営主体の在り方、あるいは持続可能な収益構造の観点といった点も含めて、制度設計の精緻化に向けた検討が必要である。
あるいは、先行している欧米の事例等を参考にすることが必要という点でございます。
また、IPDシステムが実質化するに伴い、特に技術士に必要とされる専門項目の補完が可能となることを前提とすれば、IPDシステムを活用する利用者の方々に対するインセンティブも視野に入れて、技術士制度の見直しに向けた検討ということも必要であるという中長期的な検討事項をいただいております。
また、IPDと直接な関係というところではございませんが、継続的な検討事項ということで、総合知という概念を新たに提唱している状況に鑑みますと、多様な分野を総合的に管理いたします総合技術監理部門(総監)の重要性というものは、今後もますます高まると考えられます。
この国際的な同等性も十分に考慮する必要がございますが、総監の位置づけについての明確化については検討を継続する必要があるということをいただいてございます。
IPDに関する懇談会の議論のまとめといたしましては以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
そうしましたら、今、御説明いただきました内容に関しまして、委員の皆様から御意見などございましたら御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
【寺井分科会長代理】 よろしいですか。
【佐藤分科会長】 はい、どうぞ。
【寺井分科会長代理】 寺井でございます。
しっかりとした取りまとめ、まだIPD懇談会、5回ですか、ここまでまとめていただきましてありがとうございます。
まずは、技術士の世界でIPDシステムを動かすということを考えた場合、やはり現行の試験制度とどうリンクさせていくかというところになると思うんです。だからIPDシステムで、あるポイントなりある教科を修得した人が、PCを獲得できているのかどうかということを第三者的に証明できるような仕組み、ここにも書かれていましたけれども、そういったものが必要だと思うんです。そうすると、PC獲得をどのように証明するのかとなりますと、よく大学等であるルーブリックみたいなやつですか、そういったものをつくっていかないといけないのかなと思っています。
それからもう1点は、IPDとCPD、学ぶものは似通っていますので、これは統合運用の方向にゆくゆくは持っていくべきだろうと思っております。そして、今、技術士を活用していただいている他省庁の技術者データベースとの連携、リンクということによってデータの互換性も図りながら、このIPDシステムの値打ちを上げていくという方向が望ましいのかなと思っております。
以上です。
【佐藤分科会長】 どうもありがとうございました。
それでは、オンラインで石田委員、お願いいたします。
【石田委員】 石田でございます。
従来からのIPDシステムの構築スタートということを理解しながら、私もいろいろ学ばせていただいております。技術士会の、今、制度検討、それから編集委員会に所属しておりまして、たまたまIPDに関する事項の主査を拝命しております。そのところから申しますと、今の資料10のうちのIPDシステム全体を運営主体が管理、この図は大変分かりやすい図にはなっております。この中で、メンターという、IPD支援者という言葉が出てまいっております。このメンターという位置づけが非常に、まだ揺らいでおりまして、あとは、活動者、修習技術者は、必ずしもメンターを必要とするかどうかというところも今、議論中でございます。といいますのは、メンターといいますのはPCの部分を支援するということになりますので、修習技術者がメンターに依頼する、要はメンターになっていただきたいという依頼をして初めてメンターになるものですから、このメンターというところが組織の中に組み込まれてしまうと、全ての修習技術者にメンターが必要になるというような解釈になってしまうと、ちょっと疑問が生じている次第でございます。説明といいますか、この図を見た場合です。ほかの部分は本当に大変分かりやすくて十分理解できます。
以上です。
【佐藤分科会長】 分かりました。今のメンターについて一律に必要というふうな読み方ができるけれども、もう少しいろいろな対応の仕方があるかもしれないという御意見ですね。ありがとうございました。
それでは、次は、高木委員、お願いいたします。高木委員、御発言をお願いいたします。
【高木委員】 よろしいでしょうか。
【佐藤分科会長】 はい、どうぞ。
【高木委員】 日本工学会の高木でございます。
寺井分科会長代理からの御意見にも関連しますが、IPDシステム全体が透明性、公平に機能していることを立証するために第三者組織による認証・評価の仕組みが重要だということが指摘されております。資料10-2の3ページの33行目から35行目に、第三者組織ということで運営主体とは別に、例えば公益社団法人日本工学会ということを挙げていただいております。日本工学会でCPD協議会の副会長を拝命しておりますが、これは日本工学会定款に規定されております活動目的である、工学及び工業の進歩に発展することに寄与すること、そしてその中に含まれます人材育成の活動にも関わります。このような活動については、予算的措置を御配慮いただければ積極的に協力させていただきたいと思います。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】 ありがとうございます。
先ほどお話に出ましたIPDシステム全体を運営主体が管理するというところでの意見を申し上げます。御説明いただいたIPDについて、かなりイメージが湧いてきてはいるのですが、IPD懇談会等で、企業の技術者育成制度の状況というのでしょうか、そういった情報についていろいろ聞き取りをされてこられていると伺っていまして、そういう中で、小さく産んでといいますか、スタートさせて拡大するという方針という中で、企業から修習技術者あるいはメンターを派遣するというような形で、先ほど、御説明いただいた最後のまとめの図が位置づけられています。私のイメージでは、企業が現在持っている研修システムがありまして、その補完とか、あるいは、その不足している部分で、こうしたIPDシステムを活用していくということから始めていくことが現実的ではないのかなとイメージしていたのですけれども、逆に企業から修習技術者やメンターを派遣するという位置づけになっているところ、どのような方針でこういうことになるのかというところをお聞かせいただければありがたいなと思っておりますのが1点。
それから、その図の左側のところに研修素材とか修習ポイントガイダンスをつくる、それを提供すると。これは、システム運営主体に対して提供するというものですけれども、この組織といいますか、提供する組織はどこを想定されているのか。
それから、IPDポイントの付与と書いてありますが、IPDポイントとはどのようなものをイメージされているのか、お聞かせいただければありがたいと思います。
以上3点です。よろしくお願いします。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。この辺りの細かい話については、まだ議論中の内容もあるかと思うんですけれども、今、御指摘いただいたようなことをこれからの議論でさらに明確化するということでよろしいでしょうか。
【小林委員】 分かりました。まだ中間取りまとめですから、これからのイメージということでしょうか。
【佐藤分科会長】 はい。この図も説明のために作って、まだ十分議が論尽くされてない部分もございますので、今、御指摘いただいたところも含めて分かりやすいものに少しブラッシュアップしていきたいと思いますので、御意見を承りましたので、今後の議論にぜひ反映させていきたいと思います。どうもありがとうございます。
【小林委員】 分かりました。ありがとうございます。
【佐藤分科会長】 ほかにございますでしょうか。
よろしければ、議題の5についてはこのぐらいにいたしまして、今後のIPD懇談会の議論に反映するということで、また追って御報告をする機会をつくりたいと思います。どうもありがとうございました。
そうしましたら、次、議題の6、第7期科学技術基本計画に向けた議論についてということで、事務局より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【滝沢補佐】 よろしくお願いします。すみません。お待たせいたしました。
2050年を見据えた「シン・ニッポンイノベーション人材戦略」というところで、これは今年の2月ぐらいから科学技術・学術審議会の人材委員会のほうで議論をしておりまして、「シン」とつけたのは、新しい要素として、イノベーション人材の活躍促進ということで、大きな方針を議論したというものになっております。
このイノベーション人材の定義につきまして、1ページ目に軽く書いてありますけれども、黄色のところです。今回は、「研究者、技術者、研究マネジメント人材、リーダー人材等、社会の中で新しいアイデアや価値を創り出す人材や、そうした人材を創り出す教員・サイエンスコミュニケータ等の総称」というところで、このイノベーション人材を定義した上での大きな方針を書いているという状況でございます。
ちょうどおととい、議論を人材委員会でしまして、まだちょうど最終的な調整中の段階になっております。この黄色くなっているところは重要ポイントよりも、人材委員会の委員の意見を踏まえ修正したポイントというところなので、そういう観点は途中のものとして見ていただければと思っております。
次のページ見ていただきまして、89のところです。これは背景を書いているところでして、当然人口が減っていくというところ、大学進学者数も大きく減っていくというところとか地位の低下とか、これは、GDPもだんだん下がっていく、総体的に下がっていくんじゃないかとか、AI等の導入等の社会の変化の加速とか、いわゆる成長だけじゃなくてQOLとウェルビーイングとか、あとは研究力、技術力、企業力としても、なかなか我が国のほうが相対的に高いとも言い切れないという背景があるというところでございます。
次のページ、2ページ目のところですけれども、そうはいってもいろいろ状況と改善の兆しというところで、今回大きく分けて4つの部分です。次世代人材、高校生以下の次世代人材、例えば理系を目指すような女性がまだなかなか増えてないとか、科学技術、理数リテラシーは皆さん高いですけれども、進路としての関心が低いとかそういう問題があって、イノベーション人材としても博士とか、だんだん少しずつ、直近は少し増えていますけれども、そもそも博士号を持っているという価値がアカデミア以外で正当に評価されているのかというところだったりとかも問題点として挙げています。また、幾つか社会的環境の、今回、国民性がどちらかというと慎重な国民性とか新卒の一括採用、なかなかイノベーティブな人材が受け入れにくいような風土があるんじゃないかというところとか、社会的なコミュニケーションの部分としても、SNSがいろいろ、今は大分活用されておりますが、いろいろな情報があふれている時代だったりとか、科学というものがどんどん高度化して複雑化していることによって、より社会にとっては、近いけれども、何となく遠いみたいなところになって、やや自分から少し離れているんじゃないかみたいなところの議論もあったりとかしているというところで、幾つか状況とか、そうはいっても改善の部分とかも書いているところでございます。
次のページ、3ページを見ていただきまして、ここで大方針として、先ほどの、今回、我々の、我が国が目指す国家像としては、まずは持続可能な社会として、未来社会のデザインからのバックキャストを通じて複雑化・多様化する課題の解決がどんどん進むような社会国家とか、人口減とか、国際競争もどんどん激しくなっていく中でのイノベーションの変革で成長し続ける国家、あとはQOLと文化、いわゆるウェルビーイングというもの両方が達成された国家、これが大きくはイノベーション人材政策で目指すべき国家像かなとして。
これを実現するためには、3つの力、つなぐ、深める、実現するということで今回改めて整理したんですけれども、この3つの力が何よりも大事なのではないか。1人が3つの力を持つわけではなく、それぞれの力を持つ多様な人材のチーム力が大事なんじゃないかというところで書いている。01のところ、つなぐであれば、いわゆる俯瞰して統合する視点を持ってデザインをしていく力とか、コミュニケーション力が高くて、いろいろな人的ネットワークを使いながらグローバルに活躍する。02は、専門がしっかり持っている。03は、その後、最後、チャレンジしてやり遂げる、実現する力も大事だというところで整理したというところ。これも概念として整理しましたというところでございます。
4ページ目を見ていただきまして、今回、その上で4つの大きく柱を書いております。本日は技術士分科会ですので、その部分を重点的に説明したいと思う。
0番目が、まずはイノベーション人材と「ともにある」社会の実現というところで、思い込みとか偏見の打破とか、多様性に対する社会受容性というところとか、相手が自分と似ているかどうかという点ではなくて、相手の違うところをちゃんと尊重し合うような社会になるといいんではないかというところ。あと、科学コミュニケーションを通じた共創社会の形成、いわゆるイノベーション人材って自分と関係ないんだという話じゃなくて、みんな、それで社会全体としてイノベーションを起こしやすいような環境をつくっていく社会が大事じゃないかというところ。
1番の次世代の育成のところは、高校生以下の育成も大事ではないかというところ。
次のページ、5ページで、今回、技術者に近いところの抜本的強化というところで、1個目、イノベーション活動の中核を担う博士課程学生や若手助成金・女性研究者、技術者、マネジメント人材などのサイエンスとエンジニアリング力の強化が総体として必要なのではないか。例えば研究環境整備、処遇向上、多軸の指標による評価等も必要なのではないかというところを、まず、ここで大きく打ち出しているというところでございます。
3番目は、流動性確保・好循環というのを書いているところでございます。そこの左側で、高度専門人材が、自身の組織を超えて自分の能力を活性化できて、キャリアステップアップできるような雇用の流動性と安定性の両立も大事なんではないかというところとか、先ほどのチームの部分で、国籍、性別、組織、分野の壁を超えたチームが大事ではないか。あと、国際頭脳循環のところも書いているところでございます。
その次のページの6ページ、イノベーション人材の目指すべき理想像というところで、これまで我々どちらかといえば研究者にフォーカスしたような議論や施策というものをどんどん打ってきておりました。それは、これからも我々、しっかりと打ち出していきたいと思っていますけれども、今回、全体としてのイノベ人材、多様なリーダー人材だったりとか技術者、高度研究マネジメント、教員、サイエンスコミュニケータ等という、この全体としての底上げを必要ではないかというところで、青の吹き出しのところで大きな方向性、技術者というのは技術者倫理を有する高度専門職でありますので、その辺の資質向上であったりとか、中でも技術士、代表的な資格の技術士がありますが、この認知の向上とか、活躍促進というものを抜本的に何か取り組む必要があるんではないかというところとかを打ち出しております。
今回はこういう形でまとめておりまして、まだこの下に、これから具体の施策がぶら下がってくるものになるのかなと思っております。
本日の議論でも少しありましたけれども、こういう大きな方向性の中で、具体の施策についても引き続き我々の中でも議論をさせていただきたいと思っておりますし、また委員の皆様方にも御相談を必要に応じてさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
ひとまず事務局からは以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、委員の皆様から何か御意見はございますでしょうか。
【寺井分科会長代理】 いいですか。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【寺井分科会長代理】 寺井でございます。
人材戦略について、検討途中かと思いますけれども、大変勉強させていただきました。まず、イノベーションを生み出す3つの力ということで人材力の重要性をあげていただいています。これはまさに我々が議論しているプロフェッショナルコンピテンシーに非常に似通っているなと、これは感想でございます。
それから、イノベーション人材と「ともにある」社会というフレーズがありました。これはまさに社会の構成員そのものの科学技術リテラシーを上げていかないと伝わらないし、なかなか難しいというか。日本工学教育協会でよく議論されているのが工学とリベラルアーツの関係でございまして、2つの視点があって、工学系の人は、もっと幅広い知識を身につけなさいということと、工学そのものがもしかしたらリベラルアーツじゃないのという議論も、されているようです。「ともにある」社会というフレーズも非常に大事な観点かなと思うんです。
それから、目指すべき理想像のところで、ちゃんと技術者を位置づけていただいて本当にありがたいところでございますけれども、技術は、一般的に科学の応用的な見方をされるんですが、決してそうではなくて、社会実装を通じて研究者と技術者というのは相互補完的に発展していくと思うんです。それがまさにイノベーションかなと思っておりますので。そういう研究者と技術者の相互補完関係みたいなものをこの絵に入れていただければいいなというか、ほかの委員会の話ですので恐縮ですけれども、ちょっと感想としてお聞きいただければと思います。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、江黒委員、お願いいたします。
【江黒委員】 ありがとうございます。大変すばらしい人材戦略だなと思って拝見しておりました。やっぱり女性の話が、ダイバーシティーの話が出ておりますので、今日、冒頭にあった女性の技術士の合格者数のときにも、他の委員からもコメントございましたけれども、やっぱり21世紀も4分の1を終わりそうなところで、この1割行かないというのは一体どういうことなのかと。人口は半分は女性なわけですので、もう21世紀もこのまま半分終わるところで、あんまりまた同じような感じだとちょっとまずいかなと思いますので、やはりこういう事態は日本だけと、先進国では多分、日本だけなんだと思いますので、ぜひ女性の技術士の先生方のロールモデルなどを、せっかく文科省でやっていらっしゃる政策なわけですので、小学校とか中学校とかに、ようこそ先輩みたいな形で派遣していただいて、ロールモデルとして、こういうすてきな国家資格があるんですよということでPRしていただきたいなと思っております。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
それでは、村田委員、お願いいたします。
【村田委員】 今、技術者、研究者、理想像というところでお話しいただいたんですけれども、つくづく思うのは、今、ジョブ型雇用ということで、ずっと研究なら研究を続けるとか、技術者が現場技術を続けるというのがありますけれども、どうも日本のシステムというのは、ある一定の年齢になると現場から離れて、管理者になって、いわゆる管理職ですね。管理職になると給与もよくなってというようなところで、そこで一旦、技術から離れるというパターンは多々あるわけです。ある一定の年齢になると管理職になってしまうと、そこまで積み上げた技術が、場合によっては後に続く者がいなくなって廃れつつあるとか。地方の水産試験とかそういうところを見ていますと、次から次へといい技術を開発してきている第一人者の方が、短いところだと3年周期ぐらいで県庁のほうに異動になるということで、そこで積み上げた現場との関係や、そういった技術が、後に続く者がいなくなって続かなくなるような、場合によっては、現場から離れるのであれば退職したり、大学に行ったりしています。これは本当に、文科省さん、政府のほうで何とか対策をしないと、技術の継承がだんだんなくなること、技術や研究を目指す人がだんだん少なくなってきているといったことなど、危惧するようなことがございます。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。
それでは、黒﨑委員、手を挙げておられますが。
【黒﨑委員】 ありがとうございます。
今まさに出ているこの図の中に、修士、ドクター、その後は研究者という一般的な想像をされるところだけではなくて、技術者、技術士というものを入れていただいたということについて、大変ありがたく思っております。
その延長といたしまして、このスライドの次の3ページぐらいのところに目標とか指標、これは恐らくこれから検討されていくことだと思いますけれども、こういった中で、今、掲載されているのはやはりアカデミアの世界のお話が主体なのかなと私はちょっと拝見して思いまして、こういったところにもエンジニアリングの部分も入れていただくと、アカデミアだけではない様々な形でのイノベーション人材のコースというものが見えてくるかなと思います。こういったものを御記入いただければとお願いする次第でございます。
以上です。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
そうしましたら、高木委員、手挙げておられますが、よろしくお願いいたします。
【高木委員】 ありがとうございます。高木でございます。
資料11の6ページの図、上半分には5種類の職種が示されていますが、このような俯瞰的な捉え方は非常に重要だと思います。この報告書の全体を見ましても、今後の日本のイノベーションを推進していくための人材に関する重要な点を指摘いただいていると思います。
6ページの図の下の部分に学部・博士前期課程学生が記載されており、それから博士後期課程学生が記載され、矢印で5種類の職種に向かっています。確認ですが、この議論は博士後期課程学生のキャリアについての議論でしょうか。それとももっと広く、例えば学部・博士前期課程学生からでも5種類の職種につながることもあるということでしょうか。どこにポイントを置いた、あるいはどのような範囲での議論かということをお聞きできればと思います。よろしくお願いします。
【佐藤分科会長】 ということですが。
【生田課長】 失礼いたします。文科省の生田でございます。
もともと文部科学省のほうでは博士人材活躍プランというものを別途、文科省のホームページに掲載されていて、本日、御紹介ができてなくて、参考資料のほうで少し入れているんですけれども、博士人材というと、ともするとアカデミアだけで御活躍している人材というのが想像されるんですが、そうではなくて、国際社会においては、ある意味リーダー人材だったり国際機関で活躍されている方は皆さん、PhDを持たれているというような、大きな結構政策的な動きがあった背景もありまして、この絵上は、確かにこの博士、みんなが博士を取って、その上で何か研究者とか技術者になってくるというふうに見えてしまっているんですけれども、多分、特にエンジニア世界、場合によっては例えば高専とか、別の道も大いにあるということは認識しておりますので、ちょっとそこはケアをさせていただきたいなと思っております。
それと、枠組みというか、研究者とか、多様なリーダー人材、技術者、それぞれ書いてあるんですけれども、これも便宜的にこういう枠として書いてしまっているものでございまして、右上に、黄色のマーカーになっているので見にくいんですが、要はこの矢印でグリッと書いた意味合いとしては、1回この研究者の枠に入ったらずっと研究者でい続けるというものではなくて、当然、例えばリサーチエンジニアみたいな方は、先ほど研究者と技術者、もっと相互補完の関係という御意見もあったと思うんですけれども、そこも行ったり来たりというのが大いにあるのではないかとか、あと、リーダー人材も同様だと思いますし、そこら辺が、日本の特徴なんですかね、きちっと整理をしてしまいがちな部分も、逆に我々としては、そういうのを崩していかなきゃいけない。ある意味、柔軟性をもっと持った上で、いろいろなルートでいろいろな人材一人一人が活躍していく社会、それを目指していく必要があるんじゃないか。だからこそこのイノベーション人材の定義ももう広く捉まえていて、こちらの人材委員会のほうで議論があったときには、イノベーション人材と言ってしまうと、特に文科省がそういう言い方をしてしまうと、基礎研究をしている研究者を軽視しているように思われるんじゃないかというような結構厳しい御指摘もあったんですけれども、必ずしもそういう意図ではなくて、基礎研究者だけではなく、当然、技術者も含め、もっと言えばマネジメントする側の人材、そういう人もいないと、最後、イノベーション、要するに日本の研究力、活力にはつながっていかないという意図で、広い意味で今回、イノベーション人材というような形の戦略をつくらせていただいた次第でございます。
すみません。ちょっと補足になっているか分からないですけれども、以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございました。こういう絵はなかなか意図を尽くすのが難しいですね。ということで、この絵をきっかけに、いろいろな議論が巻き起こるのは非常にいいことだと思いますけれども。ありがとうございます。
【高木委員】 ありがとうございました。柔軟に解釈すればいいということですね。いろいろ多様なキャリアがあるということで、よく分かりました。ありがとうございました。
【佐藤分科会長】 ほかに何かございますか。
【滝沢補佐】 1個補足で。
【佐藤分科会長】 どうぞ。
【滝沢補佐】 先ほどの7ページ目以降の目標のところの御指摘をちょっといただきましたけれども、これ、実は第6期の基本計画、現行の基本計画のときの目標となっております。この6ページ、7ページ、8ページです。なので、今、御指摘いただいたのは、おっしゃるとおり、アカデミア系が正直多いというのはそのとおりでして、今後、技術者とか技術士の関係を何かKPIとしても検討していきたいなとも考えております。ちょっとまた御相談させていただきたいと思います。
以上でございます。
【佐藤分科会長】 ありがとうございます。
ほかに御意見はよろしいでしょうか。
こういったところに技術者がちゃんと明確に位置づけられるということは、我々にとっては大変うれしいことだと思いますので、ぜひこういった議論が盛り上がっていくと期待しております。ありがとうございました。
そうしましたら、大体予定の時間も過ぎておりますので、次に進みたいと思います。6番目の議題はこのぐらいにいたしまして、大体予定の時間にはなっておりますけれども、全体通して、もし御意見あれば御発言していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
よろしければ、今日の議論は以上にしたいと思います。
それでは、事務局から何か連絡事項あればお願いいたします。
【橋本補佐】 事務局でございます。
議事録につきましては、後日、送付させていただきますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。御確認いただきました後、取りまとめたものを文部科学省ホームページにて公開予定でございます。
本委員会、技術士分科会の次回の会合につきましては、改めて日程を調整させていただきたいと思いますので、御協力方よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【佐藤分科会長】 どうもありがとうございます。
それでは、本日の会議は以上で終了いたします。活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。それでは、これにて失礼いたします。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局人材政策課