技術士分科会(第38回) 議事録

1.日時

平成30年2月21日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省(合同庁舎第7号館東館)15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 平成29年度技術士試験の結果について(一部非公開)
  2. 平成30年度技術士試験の実施等について
  3. 技術士法に関する省令、告示の改正について
  4. 制度検討特別委員会等の検討状況について
  5. その他

4.出席者

委員

小縣分科会長、岸本分科会長代理、鈴木委員、伊丹委員、岩熊委員、奥野委員、川上委員、塩原委員、高木委員、高橋委員、西田委員、前田委員(名簿順)

文部科学省

松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、塩崎人材政策課長、渡邉専門官ほか

5.議事録

(個別利害に直結する事項に係る案件を含むため、技術士分科会運営規則に基づき冒頭の一部は非公開)

【小縣分科会長】  それでは議題1、平成29年度技術士第一次試験の結果について、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【渡邉専門官】  御説明いたします。資料1、「平成29年度技術士第一次試験の結果について」を御覧ください。第一次試験につきましては、昨年の10月8日に北海道から沖縄までの12都道府県で実施されまして、その結果は昨年の12月14日に文部科学省のホームページ等で公表されております。試験結果につきましては表のとおりでございますけれども、合格率は昨年とほぼ同じですが、受験者数は若干増加しておりまして、それに伴い合格者数も若干増えているという状況にございます。細かい内訳等につきましては、後ほど御覧いただければと存じます。
 以上でございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明に対しまして、何か御質問等があれば、伺いたいと思います。よろしくお願いします。
 どうぞ。
【伊丹委員】  一次試験の結果について、女性の数を書いていただくとよいと思いますので、今後、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 以上です。
【小縣分科会長】  ありがとうございました。 いかがですか。
【渡邉専門官】  次回から、留意して改善するようにいたします。ありがとうございました。
【小縣分科会長】  前回も同様の御意見が出ております。伊丹先生のおっしゃるとおりですので、よろしくお願いしたいと思います。
 その他、ございますでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、引き続きまして、議題2、平成30年度技術士試験実施等についてでございます。平成30年度技術士第一次試験及び第二次試験を実施するに当たり、試験の基本的方針を定める実施大綱等につきまして、当分科会の下に置かれている試験部会において、昨年11月に決定しております。
 事務局から、御説明をお願いいたします。
【渡邉専門官】  資料2から、資料8まででございます。これは今御説明ありましたように、昨年11月28日の試験部会で決定されたものでございます。
 まず、資料2の平成30年度技術士第一次試験実施大綱、資料3の平成30年度技術士第二次試験実施大綱でございますが、試験制度につきましては、平成25年度以降、大きな変更はありませんので、基本的には昨年度のものと同じでございます。
 資料4、平成30年度技術士第一次試験の実施について、資料5、平成30年度技術士第二次試験の実施につきましてですが、こちらは具体的な試験日時や申込期間等を決めたものですが、こちらも基本的には例年どおりの内容となっております。
 次に、資料6、7、8でございますが、こちらは、平成30年度技術士試験委員の推薦方針、一次試験委員及び二次試験委員の推薦時期及び推薦数を決めたもので、例年どおりの内容となっております。また、作問委員につきましては、今年の1月30日付けで文部科学大臣の認可を受けておりまして、既に作問等の活動を開始されております。
 以上でございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございました。資料2から資料8までの説明ということでよろしいですね。
【渡邉専門官】  はい。
【小縣分科会長】  以上、説明を頂きましたけれども、これに対しまして、御質問ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、続きまして議題3、技術士法に関する省令、告示の改正についてでございます。前期末の「今後の技術士制度の在り方について」に基づいた技術士試験制度の変更につきまして、事務局より御報告いただきたいと思います。
 では、お願いします。
【渡邉専門官】  御説明いたします。こちらにつきましては、資料9及び、参考資料7、8を御覧いただければと思います。
 文部科学省では、平成28年12月22日にこちらの技術士分科会から御提言いただきました「今後の技術士制度の在り方について」に基づきまして、昨年12月28日に省令と告示の改正を行いました。改正の主な内容は、20部門96科目に細分化されておりました第二次試験の選択科目を、20部門69科目に大くくり化すること、及び、中小企業診断士第二次試験合格者等に技術士試験の経営工学部門第一次試験の専門科目を免除すること、情報処理技術者試験の高度試験又は情報処理安全確保支援士試験の合格者に対し、技術士試験の情報工学部門第一次試験の専門科目を免除することということでございまして、他の国家資格との相互活用の推進を図ったものでございます。
 以上の二つを大きな柱といたしまして、昨年末に改正したところでございます。なお、施行につきましては、1年以上の周知期間を経まして、平成31年4月を予定しております。
 以上でございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 今御説明いただきましたように、省令及び施行規則の規定に基づく告示の改正ということでございます。我々みんなで議論をしてきたわけではありますが、御質問があれば、伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。また追加でございましたら、後ほど御質問いただければと思います。今日は、フリーの議論に時間をとっていきたいと思います。
 次に、議題4、制度検討特別委員会等の検討状況についてでございます。前回の分科会で設置いたしました制度検討特別委員会において、昨年12月に取りまとめた「今後の技術士制度の在り方について」を踏まえた検討が進められております。これまでの特別委員会等における途中経過報告を受けまして、これらについて意見交換をしていきたいと思います。是非、有意義な意見交換にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局及び制度検討特別委員会の主査である岸本分科会長代理より、御報告をお願いします。まず、事務局からお願いします。
【渡邉専門官】  では、事務局の方から、簡単に資料の説明をさせていただきます。資料10、制度検討特別委員会等での検討状況についてでございますが、こちらは、前期から継続して検討すべき課題があるということでしたけれども、それにつきまして、今期の議論をまとめたものでございます。
 また、参考資料3は制度検討特別委員会の名簿、参考資料4は制度検討特別委員会の下に設置されました、国際的通用性検討作業部会の委員名簿でございます。
 続きまして、参考資料5でございますが、こちらは、平成23年2月から平成29年2月までの議論を第一次試験の適正化、技術士補の適正化、更新制、CPD、総合技術監理部門等々、課題別にまとめたものでございます。 その次の参考資料6でございますが、これは、第9期、今期の制度検討特別委員会等での主な発言のまとめでございまして、これも制度検討特別委員会と国際的通用性検討作業部会での議論を取りまとめたものでございます。こちらは、先ほどの資料10を更に細かくした詳細版に当たるものでございます。
 参考資料の7、8は先ほど少し取り上げましたが、前期の本分科会で報告されました、「今後の技術士制度の在り方について」の提言でございます。
 資料の説明は、簡単でございますが、以上でございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、先ほど申し上げましたように、大変御苦労いただいております岸本先生から御説明を頂ければと思います。
【岸本分科会長代理】  それでは、説明させていただきますが、資料10を御覧いただきたいと思います。
 制度検討特別委員会等での検討状況ということでございますけれども、この制度検討特別委員会は、6月6日に第1回目では、先ほど紹介がありました参考資料7、8、「今後の技術士制度の在り方について」という答申がありますけれども、この中で二次試験については具体的な作業がなされているということを踏まえ、どのような課題が残っているかというのを再確認いたしました。そこに列記してあるように、技術士資格の国際的通用性、技術士資格の普及拡大・活用促進、継続研さん(CPD)の在り方、更新制の導入、技術士補の在り方、第一次試験の適正化、総合技術監理部門の在り方についてということのように、前期から大分、課題が残っている状況であります。本来ならば全てを課題として解決するということも必要だとは思いますけれども、その中で、特に今期については、国際的通用性の観点から技術士制度をきちんと見ていこうということと、もう一つは、2番目にあります普及拡大・活用促進、ここのところが近々の課題になるだろうということで、注力して検討を進めていくこととなりました。その中で、7月、10月と検討を進めてきたわけですけれども、国際通用性については、ここのメンバーもさることながら、国際的な経験あるいは見識のある方々に専門チームを組んでいただいて、国際的通用性検討作業部会というのを作ってはどうかということになりました。そのチームについては先ほど紹介がありましたようなメンバーになるわけですけれども、30年1月12日に第1回目の会議をしたところであります。ここでは、今、どのような議論になっているかというのを御紹介させていただいて、委員の皆様から御意見を頂きたいと考えているところです。
 参考資料6を御覧いただきたいと思いますが、こちらはまだ答申という形でまとまっているという状況ではありませんで、様々な意見が出た中で、主な意見ということでまとめたものであります。制度検討特別委員会の中では、国際的通用性といったところでは、現実的にはAPECのエンジニアだとかIPEAの国際エンジニア等の登録数が現在減ってきているというようなこともあって、国際的通用性を視野に入れた技術士制度の再検討を行っていく必要がある等々、議論がなされてきておりました。そんな中で、先ほども申しましたが、一番下のところにありますように、国際的通用性確保のための問題点を抽出し、今後の制度について具体的な議論を特別委員会で行うということで、作業部会を作ったところであります。
 2番目の普及拡大・活用促進については、これまで様々な形で力を入れてきているわけですけれども、目に見えた形での普及の広がりにはまだ遠いということから、そもそも企業が技術士にどんなことを求めているのかというような、ニーズを明確にするというようなところだとか、技術士のことをもっとよく知ってもらって活用を促すような必要があるのではないかだとか、あるいは、技術士制度を企業の中における人材育成のプロセスとして捉えていただいて、そんな中で生かしてもらうという観点も必要ではないか、というようなことがありまして、産業界での技術士の活用という面と人材育成という面を並行して考えていく必要があるのではないかというようなことが、普及拡大・活用促進の中で言われてきております。
 今申し上げました国際的通用性と普及拡大・活用促進については、重点項目としてこれからも議論をしていきたいというところであります。
 そのほかも重要なところでありますが、更新制、CPDについてということですけれども、現在、御承知のように、技術士については更新制度をとっておりません。科学技術が進歩する中で、そういう状況でいいのかどうか、更新制をとったときにどういうことが考えられるのか、どういう更新制をしたらいいのかということが議論になるということで、この辺についても、制度特別委員会としては、時間の許す範囲で議論をしていきたいというところでございます。
 次のページを見ていただきますと、技術士補、IPDの在り方についてということでありますが、一次試験を受かった方が技術士補に登録できるという状況でありますが、多くの方々が登録されていないということから、技術士補の在り方を見直す必要があるんじゃないかということ。また、IPDというのは、Initial Professional Developmentと言って、海外だと認定されたプログラムを卒業した人がプロフェッショナル・エンジニアになるための教育として位置づけられていますけれども、そういったところを我が国として充実させる必要があるのではないかということで、IPDの在り方についても重要なポイントになっているということであります。
 次は、第一次試験ですけれども、これについては前期でも大分検討はしてきたところですが、まだ、どういう形でという結論に至っておりませんで、特にIEAの中では、グラデュエート・アトリビュートを身に付けた、あるいは身に付けるというのが高等教育を卒業する要件であり、そこから技術士になるための道を歩んでいくということからすると、一次試験についてはグラデュエート・アトリビュートを確認するということが必要になるわけですけれども、そういった観点から、試験の在り方についても、特にこれは国際通用性の中でも重要になってくると思われますけれども、重要なポイントだということであります。
 もう一つは、総合技術監理部門の在り方についてで、二次試験の改正について、前期は、20部門については先ほどあったような変更がなされましたが、総合技術監理部門については結論が出ておりませんで、これについての在り方についてどう考えるかということと、国際的エンジニア資格との関連性。総合技術監理部門で求めている能力というのは国際的エンジニア資格全般にわたるのではないかというような議論もありまして、そういったところからこの部門をどう捉えていくかということが、整理が必要になるということであります。
 次に、技術士の位置付けについてということですが、そもそも技術士はどのような位置付けにしていったらいいのか、資格を今後どのように取り扱っていくかを考えたいということでありますけれども、これについては普及・活用促進とも関係してきますので、そことの中で、技術士の位置付けについて、より明確化していくというのが必要になるのではないかということであります。
 それで、今後の検討方針についてということですけれども、先ほど申し上げましたように、国際的通用性を軸に置きながら制度設計や課題整理をしていくのはどうかということであります。
 国際的通用性検討作業部会ではどんなことが議論されたかというと、次のページを御覧になっていただきますと、そもそも国際的通用性というのはどういうことを意味するのかというような議論からスタートいたしまして、国際的通用性を持つ資格にするための目標を議論いたしました。
 まず、技術士そのものの資格が海外の対応する資格と同等になるということは基本的なポイントですけれども、さらに、資格を獲得された方が、インターナショナル・エンジニアリング・アライアンスでうたわれているプロフェッショナル・コンピテンシーだとかグラデュエート・アトリビュートに示されている技術者としての能力を持っているということを日本の技術士制度の中でもきちんと客観的に証明できるような資格制度であることが必要であろうということです。
 3番目は、実際に海外で活躍されている日本の技術者の方々が、海外で活躍できるという担保としての技術士資格を普通に持っているような状態になるということが、国際的に通用する場面であろうということです。
 さらに、加えてということになりますけれども、IEAの中でもプロフェッショナル・コンピテンシーというのが言われているわけですが、国際的に活躍するといったときに、そもそも技術者としてはどういう能力を持っているかということについても議論が必要で、そうであれば、日本の技術者の中で国際的に活躍されている方々はどういう能力を持っているのかということも分析し、必要に応じて、技術士の資格の在り方でもそうですし、海外に対しても相互承認の形から訴えていく必要があるんじゃないかというのが、最後のポイントであります。
 次に、国際的通用性の課題に対する意見ということですけれども、最初の意見は、二次試験の改定中ではありますが、APECエンジニアの登録あるいはIEAのプロフェッショナル・エンジニアの登録の中で、プロフェッショナル・コンピテンシーだけではなくて、いろいろな要件があります。そういったところが技術士の資格を取っただけでは満足されていないという認識で、そういったところから、国際的に資格として通用するには課題があるというような御指摘であります。
 2番目は、海外で、あるいは技術士として活躍するには、早い時期に、例えば20代から30代頃などで取得し、その上で活躍するというような仕組みが必要ではないかということであります。
 その次の項目は、他の国と相互認証をしていくということに関わるわけですけれども、日本は部門とか専門分野が細かく分かれているわけですが、例えば、対応する国だと、土木は土木、機械は機械ということで部門が大くくりになっていまして、そのあたり、相互認証していく上での部門のマッチングだとかといったところで課題があるのではないかということです。
 次は、技術士資格の相互認証というのは、例えばAPECの中ではお互いにやろうということになっていますけれども、日本の技術士の方が相手国の対応するプロフェッショナル・エンジニアの資格を取るには国同士の相互の承認が要るわけですけれども、それについて、我が国は今、オーストラリアとしかできてないというような状況なんですけれども、そういったところから、もっと広げていく必要もあるんじゃないかというような意見であります。
 それと、海外の技術者ということですけれども、日本に留学して、英語で学んでいる学生さんたちもいます。そういった人たちもプロフェッショナル・エンジニアを目指せる、技術士試験を考えなきゃいけないのではないかというような意見もあるということです。
 次は、各企業で行っている技術者育成プログラムに対して認定を行うなど、技術者の育成を技術士制度や試験にうまく整合させるということも必要ではないかということで、先ほど出てきましたIPDの在り方に関わるところであります。
 次は、海外で活躍している日本の技術者が持っている資質能力を明らかにすることで、国際的に通用する技術者の仕方がどのようなものかを示していくことも必要ではないかということの意見であります。
 そのようなところから、今後の進め方としては、調査が必要ではないかということで、まず、例えば、他の国で現在どのような整備が行われているのかということも視野に入れる必要があるのではないかと。特にワシントンアコードの加盟国がアジアを中心に増えてきているところから、そういった流れもきちんと把握した上で自分たちの制度を改訂していくということが必要ではないかということであります。そんな中で、既に制度ができて何年もたっている国もそうですし、これからプロフェッショナル・エンジニアの制度を作りながら進めていこうという、そういった国々がありまして、そういった国々の両方を調査して、日本でどういうふうにしたらいいかを考えた方がいいのではないかということであります。こういった調査を進めようということです。特に、試験をやってプロフェッショナル・エンジニアの認定をする国と、試験ではなくて、人材育成過程の中で、IEAのプロフェッショナル・コンピテンシーを身に付けたということをもってプロフェッショナル・エンジニアにしていく国とありまして、そういった国の中での対応について調査したらいいのではないかということであります。
 最後のページになりますが、これまでは海外に対しての調査なんですが、今度は国の中での調査ということで、企業の方々にヒアリングをしていこうということで、グローバル化した企業における技術者資格を持った人たちの取扱い、博士号も関係するかもしれませんけれども、そういった調査をしていくということとか、あるいは、国際的な資格を持っている方々等々にヒアリングをしていこうということで、課題を明らかにするために、企業の方々あるいは技術士の方々に御協力いただいてヒアリングを進めていこうというのが、ここでのポイントになっております。
 これと関連しまして、先ほどの資料に戻りますけど、制度検討特別委員会の方でも、普及拡大・活用促進という観点から、企業の中でどういう形で技術者あるいは技術士の人たちを受け入れているのかということで、こちらについても併せて調査をし、しかるべき形で普及拡大・活用促進ができる方向に持っていきたいというようなことを議論してまいりました。
 ということで、何をするというのは、まだ検討中のことも多くありますが、具体的なアクションに行くのはその後ですので、委員の方々から、こういった進め方についてもコメントを頂ければということでございます。
 少し長くなりましたけど、以上であります。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。岸本先生には大変御苦労いただいております。本当にお礼を申し上げます。そもそも、こういう作業部会を作ること自体、大変すばらしいことだと思いますし、特に国際的通用性について具体的に課題を浮き彫りにして議論をするというのは、大変すばらしいというふうに思います。
 大変御丁寧な説明を頂いたわけでありますが、これまでの説明に対しまして、御質問、御意見等を伺いたいと思います。岸本先生の御説明にもありましたように、今期は、技術士資格の国際的通用性、また資格の利活用の促進を中心に議論を重ねているところでございます。この2点、それから当然ほかの課題についての御意見も含めまして、今回は特定のテーマを決めずに様々な課題について幅広い議論をさせていただきたいなというふうに思っているところでございます。したがいまして、委員の皆様の御意見も幅広く頂ければ幸いでございます。特に、繰り返して言いますと、先ほどの資料10で第1回の平成29年6月6日のところに今期に残された各課題というのが出ています。1番目の技術士資格の国際的通用性、そして技術士資格の普及拡大・利用促進、これが大変大きな課題であるというふうには認識しているのですが、その下にございますCPDとか技術士補、第一次試験、総合技術監理部門、今、岸本先生の方からも御説明ありましたけど、こういったことも含めて、今日は幅広く御議論いただければという意味でございます。
 それでは、よろしくお願いいたします。
【塩原委員】  塩原と申しますが、国際的通用性の相互認証に関して、コメントをさせていただきます。例えば、アメリカで発電設備などを建設しようとしますと、技術図書に関して、プロフェッショナル・エンジニアが図書をしっかり審査して、それにサインがないとその設備の建設に入れないというようなことがございます。これはある意味、貿易障壁にもなる形でございますので、相互認証に関しては、各国の違いを事細かく洗い出して、ここが違う、あれが違うとかいっていたずらに時間を延ばすよりは、各国ともそれなりの事情を考慮して今の技術士相当の仕組みがありますので、例えば、早い段階で参加国が相互に認証して、各国の技術士相当の資格を持っている方はほかの国でも同じように扱っていただくというようにできることが非常に有効ではないかと。今、オーストラリアでそういう相互認証がされているという話があるのですが、1国1国、ずっとあの交渉をしていったら、多分、何十年かかっても全部の国と締結することはほとんどできないのではないのかなという気がいたします。そういうことを考えると、現状の段階で早く相互認証がされるような取組を進めていった方がいいんじゃないかというふうに感じております。
 以上です。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。1国1国協議していくということではなくて、私どものこういう検討も含めて、早い段階で必要な要件を整理していって、どんどん相互認証を増やしていくということですね。
【塩原委員】  はい。
【小縣分科会長】  これに対しまして、何かございますか。
【岸本分科会長代理】  私の理解では、APECの中の国同士の取決めで、同等な資格ということでお互いに認め合うことはできるけれども、相手の資格になるためには今のところバイラテラル(二国間協定)でそれを結んでいかなきゃいけないというところなのですが、国によって積極性が違うので、例えば、オーストラリアがどういうふうな考えで進めているとか、カナダがどうしているかというのを踏まえた上で、海外はこういう状況だから我が国はどうするかという議論に進めていくのかなあということで、まずは、ほかの国々が、バイラテラルを含めて、どういうふうにしているのかということを調査しようかというところです。実際にやろうとしますと、この分科会の議論を超えてしまいますので、それをどうやって進めるかについては、文科省の方とも相談しながらになるかなということでございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
【塩原委員】  はい。
【小縣分科会長】  確かに、時間との関係もございますから、おっしゃるとおりスピーディーにやらなきゃいけないという部分だと思います。
 岸本先生がおっしゃったように、確かにそれぞれ国で独自性があるのでしょうし、世界の200か国ぐらいを全部調べるのは大変かもしれません。ただ、例えばヨーロッパの鉄道は、国の数が多いだけ、また狭い地域に集まっているという歴史があって、その中でいち早く共通規格と認証化を整備してきています。技術士のこういった調査でも、効率性を考えたとき、ヨーロッパ2,30か国で見ていくと何か有益な知見が得られるということはあるのでしょうか。
【岸本分科会長代理】  IEAのグループは、ワシントンアコードの加盟国を中心にしているということで、それは高等教育の相互認証ですけれども、ヨーロッパはボローニャ・プロセスから3年と4年の違いがあって、多くの国がまだ参加されてないのですね。なので、そういう意味からすると、ヨーロッパのユーロ・エンジニアというのは別の立場にあるのです。その中で、今回、オランダが加入してきたので、そこからまた流れが変わるかもしれないので、今回の調査ではオランダをヨーロッパの一つの例として見たらどうかなという話は、今しているところです。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
では、先ほど事務局からございましたように、ただいま松尾審議官がいらっしゃいました。御挨拶を頂ければと思います。
【松尾審議官】  遅れて参りまして、申し訳ございません。この1月16日付けで科学技術・学術政策局の審議官を拝命いたしました、松尾でございます。4年前まで人材政策課長をしておりまして、ここにいらっしゃる先生方には技術士分科会等々で本当にお世話になりまして、ありがとうございます。また、国際通用性の問題であるとか、あるいは、他の資格との乗り入れなどで資格を利活用していくということ等について、またこれから御議論いただくということで、引き続き、よろしくお願いいたします。
【小縣分科会長】  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、御意見等、幅広く伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。高木委員、どうぞ。
【高木委員】  日本技術士会の会長を務めております、高木でございます。今、技術士会でいろいろ検討を進めておりますけれども、どんなスタンスでやっているかについて少し紹介させていただければと思います。
 技術士会では、制度検討委員会を設けまして、先ほどの平成28年の答申、「今後の技術士制度の在り方について」に示されている幾つかの課題について、特に重点的に検討を進めております。大きくは三つございまして、一つは、継続研さんに関連して、更新制度の導入について、もう一つは技術士補の在り方とIPDについて、三つ目は技術士資格の活用促進ということで、この中には国際的通用性あるいは相互活用ということがございます。先ほどの議論の中で国際的通用性と活用促進が大きな柱だというのは同じ認識なのですが、それを進めるためにも、今の継続研さんに関連した更新制度の導入というところも大きな課題だと認識をしているところでございます。
 お手元にある技術士の関連法案において「技術士とは」というところにどう書いてあるかというと、技術士とは技術士の名称を用いて科学技術に関連する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての業務を行う者となっておりまして、これは、ただ単にそういった能力があるという人だけではなくて、そういう人たちがちゃんと国内・海外においてそれを活用して社会に貢献していくということを前提にしたものが技術士だと我々は認識しております。ですから、国内外で活躍していくためには資質向上の責務の確認というのは必要で、これは先ほどの法律で言いますと第四十七条の二というところにございます。このように私どもとしては、資質向上の責務の確認が不可欠だと思っております。
 現在、国内においても、公共事業、公共工事に関する技術者の登録申請においても、資格の更新というところが一定の条件になりつつあります。また、海外の資格においても、更新制度というものが常識化されています。それは、更新制度という形でなくても、資質の向上をちゃんと確認するという行為がなされているということから言いますと、ここを抜きにして、国際的通用性、あるいは、資格の活用促進、相互活用というところは実現できないだろうとの認識です。技術士会としても、更新制度をそのようにしたらできるかということについて、今、具体的に検討を進めているところでございます。それについても今後御説明させていただく機会ができればと思います。
 私からは、先ほどの二つの大きなテーマを進めるためにも、資格の更新、あるいは、継続研さん、資質向上の責務の確認が重要で、そのことの検討を現在進めていることの御紹介でございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 今の御意見に対して、補足などございますか。
【岸本分科会長代理】  調査の中で、各国の制度がどうなっているかということで、国際通用性の中で考えていくというのが大事なポイントだというふうに、国際通用性の方でも考えているところであります。
【小縣分科会長】  やっぱり、国際通用性を検討する場合は、継続研さん、更新制度のもきちんと調べて、そういった部分の通用性も必要ということになりますね。
【岸本分科会長代理】  はい。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  沿岸技術研究センターの高橋と申します。国際的通用性は非常に重要だと思うのですけど、先ほど分科会長もおっしゃったように、国際標準も重要ですね。我々、技術基準なんかをつくる場合は、ISOなど、国際基準が非常に重要になっています。技術士の制度全体は、国際的にどこが一番進んでいて、どこが標準になるのかということを調べていくのが、一番重要と思います。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。この通用性を検討して様々な調査をしている中、恐らく背景には国際標準という話が当然出てくると思います。調査量が余り膨大になってもいけないのですけど、各国それぞれ標準化を背景にして技術士制度がある部分もあるのかなと思うのですが。
【岸本分科会長代理】  お互いに同等な資格と、IEAのメンバー国で認めるには、プロフェッショナル・コンピテンシーをきちんと身に付けた人が資格者であるということが共通の理解になっていますので、そういう意味ではプロフェッショナル・コンピテンシーの定義そのものが標準化みたいなことで、プロフェッショナルの技術者というのはこういう位置付けにあるということは、IEAの中で合意して進めているところです。だから、その加盟国と加盟してない国との間でどうするかとか、我が国が継続して加盟していくには、レビューがありますので、ほかの国からも私たちの技術士制度をチェックされるので、そういったところでのある種の標準化ということになっています。そこで、今回、どこがきちんと合っているのか、それとも合わない部分がどこにあるのかというのも、明らかにしていく必要があるのかなということでございます。
【小縣分科会長】  高橋委員、貴重な意見をありがとうございます。
 その他、ございますでしょうか。西田委員、どうぞ。
【西田委員】  座席の順番通りということではありませんが、私からは、CDPについて、コメントをさせていただきます。
 先ほど岸本先生がおっしゃったように、技術というのは常に進歩しているのですけれども、特にここ数年は、IoTとかAIの技術が既存の技術領域に積極的に適用されるようになってきているということがあります。こういうAIやIoTを適用することで、今まで考慮されていなかったような様々な現象がデータ化されて活用されるようになったり、また、関連性が少ないと思われていたデータの組合せで新たな知見がAIによって得られたりなど、これまでの技術領域の進化のスピードがますます速くなってくることが予想されます。こういう状況を考えますと、技術士のCPDはこれまで以上に重要な位置付けになると考えます。最新の技術動向を知るためには、その分野の学協会を活用することが一番有効だと思います。しかしながら、先ほどの御説明の参考資料6の中にも書かれているように、現在の技術士CPDの単位が各学協会で統一されていないということが課題として挙げられています。是非、この課題を早期に解決することで技術士の方々のCPDへの意欲を高めていただいて、常に最先端の技術知識を持って活躍する技術士の方が増えることを期待しています。
 一方、ちょっと別の視点からなんですが、私は、数年前に電気学会の役員をやっていたことがございました。そのときに、学会の大きな課題として、年々減少する学会員の数というのがありました。技術士のCPDを学会の活動とリンクさせるようなことがもしできれば、学会側の活動も活性化されて、お互いにウィン・ウィンの関係にできるのではないかと思います。このようなことも考慮に入れて、是非、CPDの活性化を進めていただきたいと思います。
 以上です。
【小縣分科会長】  ありがとうございました。
 これに対して、御意見ございますでしょうか。高木さん。
【高木委員】  技術士会の方でも、今、各学協会との連携については進めておりまして、CPDをどうやっていくかということも今後の課題になると思います。そういう中で、各学協会で活躍されているエンジニアの方と技術士がどう一緒にやっていくのかということについては、今後、もっと交流を深めながら検討していきたいと考えているところでございます。
【小縣分科会長】  どうぞ。
【岸本分科会長代理】  日本工学会の中にCPD協議会というのがございまして、そこには関連する学協会の方々が参加されているのですけれども、私も関係はしていますが、なかなか継続研さんのところにきちんとつながっていないので、そこのところの組織ともうまく連携しながら、改めてCPDだとか継続研さんをどう考えるかというのをやっておくといいのかなと、個人的には思っています。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。今回の検討の中では、特に国際的通用性ですけれど、おっしゃるとおり海外の方もAIとかIoTとか最先端のところを重視していますので、そのことも視野に入れながらということだと思います。調査の過程で明らかになることもあるかもしれません。
【岸本分科会長代理】  はい。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 御意見ございますでしょうか。伊丹委員、どうぞ。
【伊丹委員】  伊丹でございます。この前は4月に最初の分科会の顔合わせがありまして、今回は久しぶりの分科会ですけど、この間、制度検討特別委員会では非常に精力的に御議論されているようでして、そういう意味では岸本先生に敬意を表したいというふうに思います。
 資料10で、制度検討特別委員会で今期の課題といいますか、前回から残された課題ということで6項目整理していただいていますね。この中で、おっしゃるとおり国際的通用性の話と活用促進という話が非常に重要だというところは私も同じ認識ですけれども、事務局から事前に資料も送っていただいておりますので、せっかくの機会ですのでこの6項目についてちょっと簡単に考えるところをお話しさせていただきたいと思います。
 最初の国際的通用性の議論ですが、ワーキンググループも作られて御検討されるということで是非進めていただきたいと思うのですけれども、観念的な通用性の議論あるいは形式的な各国の試験制度を比較して、どう整合性をとるかと、そういった議論に落ちるんじゃなくて、2番目の普及拡大・活用促進というところに資するための国際的通用性という、言ってみれば目的意識を持って御議論していただければ有り難いなあというふうに思うんですね。具体的に言ってしまえば、各国との技術者資格との相互認証というものが一つの出口ではないのかなと。先ほど高木会長も言われましたけれども、技術士という単なる資格じゃなくて、実社会で使われることに意味があると思いますので、やはり各国との相互認証というのが最後の大きな目標といいますか、出口になるということをにらんで御議論をしていただければというふうに思います。
 資料を読ませていただいて、現状では各国によって技術士資格の資格審査の考え方が若干異なると思うのですね。どこかの資料にありましたが、ヨーロッパなんかはどちらかというと経験とかインタビュー、面接を重視している傾向がありますし、アメリカなんかは試験に合格することによって資格を与えるという方向だということが書いてありましたけれども、制度設計を考えるに当たって、我が国の場合どういうやり方でいくのが適切なのかということをしっかり議論していくことが必要なのかなあというふうに考えております。個人的には、私はやはりヨーロッパ型の経験とかインタビューを重視するというのがいいのかなと思っていますけれども、それは別としてどういう形が我が国に一番合っているのかということを御議論していただくのが必要かなあというふうに思っております。
 それから、2番目の普及拡大・活用促進、これは非常に重要なことですのでしっかり御議論いただきたいと思うのですが、二つの側面があると思うのですね。民間企業ではどうやって技術士を活用していただくかということが一つと、もう一つはほかの省庁の持っておられる公的な資格との相互乗り入れというのですか、既に幾つかやられていますけど、そういった形での技術士資格の活用ということと、二つあると思うのですね。民間企業でどう使っていくかというのは、これまでも御努力はされていると思うのですが、例えば弊社の場合、一つ御紹介させていただくと、当然のことながら大学あるいは大学院を卒業して入ってきた社員には社内で企業内研修をし、あるいは外のいろんな学協会を含めて研修の機会がありますので、いろんな研修を受けさせます。そして、そういった研修の成果や達成度、それを客観的に測る物差しとして技術士補を受けろと、あるいは技術士を受けろということを奨励しております。ですから、言ってみれば企業内技術者の人材育成ツールとして、あるいはまた研修等をやってきたことの達成度を測る客観的な物差しとして試験を使わせていただいているというような状況がございますし、そういったような使い方が広がっていければ非常にいいんじゃないかと。これは一つの実例紹介でございますけれども。
 それから、公的資格との相互活用ということが進んでいくと技術士資格が非常に世の中で使われていくのかなあというふうに思っておりますが、そのとき当然各省庁がいろんな資格を持っておられますので、そういったことが進むためには、やはり文部科学省さんの積極的な御努力というものが非常に鍵を握っているんじゃないかなと思います。そういう意味で技術士制度は今、文科省さんの所管の制度ですけれども、文科省さんの制度というふうに思わないで全省庁共通の知的財産だというスタンスに立って、各省庁と一緒になって、技術士資格を活用していくという働き掛けを是非積極的にしていただければと思っております。
 それから、続いて申し訳ないですが、CPDと更新制の話も3番目に出てきますので、これについても発言させていただきたいのですけれども、先ほど西田先生が御発言されましたが、基本的には私も技術士制度の信頼性といいますか、透明性も含めてそれを確保するためには、やはり更新制というのは必要ではないのかなと思っています。先ほどお話あったように技術も日進月歩で進んできておりますし、一定の年限がたったらしっかり継続研さんをしているということを担保する意味で更新制というのは必要ではないのかなと個人的には思っております。当然、更新制ということを導入すると今持っておられる方との関係をどうするかと、いろんな難しい課題は出てくると思いますが、そこは更新が必要だというところをスタートにして、言葉は悪いですけど、どう救済していくかといったことを考えていけばいいのかなあと。また、具体の更新要件をどうするかというところは、できるだけ幅広い選択肢を設けて地方に住んでおられる、いろんな意味でアクセス条件の悪い方もおられますので、例えば単なる講習会だけじゃなくて、通信教育とか先ほどの継続教育の実績とか、いろんな幅広い選択肢を与えて、もちろんエビデンスの確認は必要ですが、幅広い選択肢を与えて更新制の要件にしていくということを考えていったらそんなに抵抗なく行けるんじゃないかなあと思っております。
 それから、その下の技術士補の在り方ですけど、これはどっちかというとその下の一次試験の適正化と大きく絡んでくるのかなあと思っておりますから、そちらの話を先に発言させていただきたいと思います。前期の分科会で二次試験については幾つか改正がなされまして、残っている課題として、第一次試験を大くくり化するという方向は出されましたけれども、実際に現実、どういうふうにくくっていくのかというところは議論としてまだ若干残っているかなあと思うのです。五つの系にくくるという案も出されておりますけれども、実際、一次試験を受ける方のかなりの程度は二次試験を受ける、つまり技術士になるために一次試験を受けるという意識の方が大部分ではなかろうかなと。正直言って技術士補という資格が欲しいから受けるというよりも、技術士を目指すために一次試験を受けるという方がほとんどだと思うのですね。そう考えると、一次試験といえども二次試験の部門との関係を無視しては制度設計ができないんじゃないかなあと思っておりますので、是非、二次試験の20部門との関係をどう整理するのか、その上で関係の産業界の意見等も十分お聞きしていただいて大くくり化の整理をしていただければと思います。
 これは前回の分科会でお話が出たかもしれませんが、私はちょっと認識不足なので一つだけ質問をさせていただきたいのですが、一次試験を五つの系に大くくり化するとした場合に、その前の技術士補の在り方、技術士補という資格をどうするかというところもまだ議論としては残っていると思うのですけれども、仮に技術士補という資格を残すとした場合に、一方で一次試験を五つにくくったときには、技術士補の資格はどういう名称というか、どういう資格になるのか。つまり、技術士補(〇〇系)という形になるのか、どうなのかというところは、これはちょっと外れた質問かもしれませんけど、もしどなたか御存じであれば教えていただきたいなあと思って、御質問させていただきます。
 それと、更にもうちょっと外れたお願いになるのかもしれませんが、前回の分科会で一次試験については大くくり化の議論は残った形になっていますけど、今度、31年度から二次試験が変わるとしたときに、そういった問題というのはどんなような問題が出てくるのだろうというのは、私の周りでもいろんな人に聞かれるのですけれども、それはまだ分からないとしか言いようがなくて、そういう意味でできるだけ早い時期に新しい二次試験のひな形というのですか、モデル的な作問事例というのですか、これはもしかしたら日本技術士会の作業かもしれませんけど、そんなようなものを示していただけたら有り難いなあというふうに思っています。問題のイメージが湧かないと勉強のしようがないので、そうすると31年度の試験は様子見で受験生ががたっと減るという可能性は大いにあるんじゃないかなあと思うのですね。あるいは、31、32ぐらいはちょっと様子見をして、どんな問題が出るかを見てから受けようというような話になりかねないという気がするものですから、できるだけこんなようなイメージの問題が新しく出るんだよというのを世の中に示していただけるといいんじゃないかなあと思っております。
 あと、最後の総監の問題ですけど、これは特に私は意見というものはないのですが、いずれにしても前期の分科会でプロフェッショナル・コンピテンシーを決めましたよね。その中で例えば複合的な問題解決能力とか、あるいはプロジェクトマネジメント能力とか、そういったものは全ての技術士が備えるべきコンピテンシー(能力)なんだと、資質能力なんだということが決められましたので、そういう意味では総監という部門では、独自の総監の技術分野は何なのかをもう一度根っこから議論し直さないと少なくとも昔の青本のイメージでは、あれはどっちかというと全ての技術士が備えなきゃいけないような技術じゃないかなと私なんかは思っておりますので、総合監理技術というのを残すのであればもう一度きちっと整理し直して、それをできれば昔の青本のような形で技術体系として整理をするということを一からやり直すことが必要じゃないのかなあと思っております。
 雑ぱくな意見ですけど、以上です。よろしくお願いします。
【小縣分科会長】  ありがとうございました。伊丹委員から、大変幅広い御意見を頂きました。そもそも、この時間の目的はそういったことでございます。ありがとうございます。
 かなり広範に御意見を頂いていますけれども、それに対しまして回答なり御意見がありましたら、お願いしたいと思います。特に、2番目等に言われていた公的資格との相互活用については、確かに省庁間の壁みたいなものがあるというのがこれまでの議論です。当然、省庁間の壁ということではなくて、日本全体で取り組むべきことだと思いますが、ここに対して事務局よりお答えはございますでしょうか。公的な資格との相互活用についてですね。
【塩崎課長】  塩崎でございます。御質問ありがとうございました。公的活用につきましては省庁の壁というのは特段意識をしておりません。ただ、実際に部門で見ますと、建設とか土木関係の部門は非常に活用されているけれど、その他の部門の活用先が限られてしまっています。また、土木の関係で見ても多くは調達のところに寄っているというところがあります。ですから、いかに活用できる場面を見付けて入れるかというところについては各省も非常に悩んでいる状況だと認識をしております。
 この分科会とは話が違いますが、昨年6月に議連が立ち上がりまして、是非技術士資格の活用については各省の垣根なく検討していきましょうという流れはでてきておりますので、そこは我々としてもしっかり協力をしていきたいと考えております。
【小縣分科会長】  この場でも何度かそういう議論があったのですけど、今日本の置かれている状況を考えると、おっしゃるとおり国家全体で考えるべきことです。特にこれからの未来を担う人材とか日本の技術の在り方なんかも含めて、そういう意味では是非頑張っていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 あと、伊丹委員から、CPDあるいは更新制の問題とか、二次試験の問題が提起されておりますが、何かございますか。
【塩崎課長】  二次試験の改訂につきましては、今技術士会の方で議論をしていただいておりますので、なるべく早い時期にどのような方向性なのかというのは御提示を頂けるのではないかと思っております。
【小縣分科会長】  先ほどのイメージという形で?
【塩崎課長】  技術士会を中心に検討をしていただいているのですけれども、受験生以前にまず作問する委員の方に共通のイメージを持っていただかないと作問ができませんので、そこは技術士会の方できちんと準備をしていただけているというふうに認識しております。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
【岸本分科会長代理】  私の方から伊丹委員に御質問をさせていただきたいのですけれども、国際的通用性について相互認証をもっと進めるべしということでしたが、今まで日本に海外の技術者が入ってきて技術士になられると、いろんな意味で日本のエンジニアの人たちの働き場所がなくなるからということで、どちらかというとこれまでは止めていたように思うわけですけれども、相互認証をやるということは日本の技術者が外へ出ていくのと同じように海外から入ってくるわけですね。それについてはどんなふうに捉えていけばいいのかということを少し議論していただけると、方向性も出せるのかなと思いますけれども。
【伊丹委員】  岸本先生がおっしゃるとおり、率直に言って抵抗感は消えているわけではないと思います。依然としてそういう意見は当然あると思います。ですから、そういう意味では飽くまで私個人の意見になってしまうのかもしれませんけれども、これだけ何も科学技術だけではなく知的財産も含めていろんな物事が国際的に相互に乗り入れする時代になってきている時代に、エンジニアだけが自国主義というのが一体いつまでもつのか。日本の国民全体のスタンスにたったときに本当にそれがいいのかということ。現実の仕事をしているとそんな議論だけじゃないんですけれども、やはりもう少し大きな目。あるいは、先ほど分科会長が言われたとおり次世代の若者のことを考えたときにはやはりもっと開いていくべきじゃないのか。商売を考えても当然こちらも打っていきたいという気持ちもあります。ですけれど、一方でこちらも開いていって、そこで入ってくる外国勢と切磋琢磨(せっさたくま)していくというスタンスが必要なのではないのかなと。これは、総体の意見じゃなくて、どちらかというと私個人の意見かもしれませんけど、私はそんなふうに考えています。
【岸本分科会長代理】  ありがとうございました。
【小縣分科会長】  伊丹委員、ありがとうございます。様々な問題提起ですから、引き続き課題として残っているということは先ほども御説明したとおりなので、今後ともまた検討をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
【伊丹委員】  はい。
【小縣分科会長】  今日は幅広く御意見を頂きたいと思うので、まだ御発言されてない方にお願いしてもよろしいですか。 どうぞ、鈴木委員。
【鈴木委員】  鈴木でございます。お話を伺っていて、ある意味専門家ではないのですが、国際的な競争力というか、評価を付けていくことは非常に重要なことだと思います。と同時に、そういうふうなもののステータスを求める以上、技術と研鑽(けんさん)を積んでいって、ある意味の再認定というようなことも非常に重要なことだと思います。非常に理想を追い掛けていらっしゃるというのはよく分かるのですが、ただ少し気になりましたのは、技術士の技術部門というのが全部で20ありますが、受験生だけで1万を超えるところもあれば二桁のところもあって、コミュニティーがそれぞれ大分違うのではないかという印象を素人目で強く感じました。そういう違うコミュニティーを一律に扱って国際性を持たせていくというふうなことをやることってできるのですかという、素人質問なのですけれども、ちょっと大変なことではないかなという印象を持ったのですがいかがなのでしょうか。以上です。
【岸本分科会長代理】  すごく大事なポイントで、この活用促進の中でいわゆる技術士の受験や合格の数が少ないところは本当にエンジニアの数が少ないかというと、そういう状況でもないので、本来ならば技術士になれる人たちが多いのでその辺を含めて全体的な数を上げていって部門間の均衡を図るとか、そういうことが必要じゃないかなというふうに思います。
【鈴木委員】  そうですか。分かりました。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 では、大変恐縮ですけど、川上委員、何かございますか。
【川上委員】  川上です。国際的通用性は、私が最初にこの審議会の委員になったときから切望している内容でして、それを取り組んでいただいて本当に有り難いと思います。ちょっと気になりましたのは、APECエンジニアとIPEA国際エンジニア、これが既に国際的通用性を持たせた先駆けだと思うのですが、今、その登録数が減少しているというところです。何で減少するのだろうと。こういう登録をしても余り役に立っていないからなのか。もし何か理由が分かっていたら、お聞きしたいということ。
 国際通用性というのは何なんだろうと考えたときに、私は技術士資格を持っていますが、技術士ですと名刺の英文側にProfessional Engineerと入れられるのでそれを入れております。Professional Engineerという言葉を知っている国の方は、それなりの研さんを積んで資格を持った人だということで、ある意味リスペクトされるという、そういう目に見えない効果が一つあるのかなと思います。そのほかの効果というと、それは今なされていないことなんですけれども、例えばある国でProfessional Engineerのサインが要る場合に、日本のプロフェッショナル・エンジニアの資格でそれができるなど、多分そういうことが国際的通用性で必要になってきて、相互認証という話になるのではないかと思います。
 日本の技術士資格を持って実際に仕事で技術士じゃないとできない仕事が何かあったかというと、私の場合、電気電子ですので恐らく実際にはないのですね。名刺を渡したときに相手のお客様からリスペクトされるという、そういう目に見えない効果なのかなと。そういった効果を目に見える形にしていくと、技術士を取らないといけないという形になって、増えていくであろうと思います。ただそれは、いろんな意味で開かれたものと逆行するような方向にもなってしまう気もするのですね。技術士の人が何かしないと、何かができない、国の仕事ができないという方向がいいのか、悪いのかというのは、技術士の活用とは別の議論という気はちょっとしております。
 あと、技術士が名称独占資格でステータスを維持するためにCPDというのは非常に重要だと思うのですが、CPDを取ることがすごく負担になるような制度であってはならないと思います。本当に活躍している人というのは忙しいので、講習会を受けないと駄目とか、そういったことではなくて、今自分がやっている仕事がそのままエビデンスになるような形をとっていただきたいというのが現場の人間としての切なる願いです。これから議論をしていくことだと思いますので、その中で具体的なところはそういう観点からも考えていただきたいと思います。
 以上です。
【小縣分科会長】  ありがとうございました。御意見として承るということでよろしいですか。
【川上委員】  はい。
【岸本分科会長代理】  一つよろしいですか。
【小縣分科会長】  どうぞ。
【岸本分科会長代理】  APECエンジニア、IPEAのエンジニアの日本での登録が減っていく、そこに少し関係している仕事をしていますけれども、要因の一つとしてあると思われるのが更新制で、CPDをきちんとしながらレポートを書いていくという作業が相当大変で、なおかつ持っていても相互認証という形ではないからという理由で諦めてしまうので、もともとの技術士制度の方にきちんと更新制があればみんなが更新しているのであれば自然に減ることはないだろうなあということとも絡んできているのではないかと思います。また、余り難しいCPDのやり方をすると更新制そのものが成り立たなくなるということで、その辺全体の設計を検討しないといけないのかなというふうに思いますけれども。
【川上委員】  APECエンジニアとか、IPEAエンジニアというのは更新制になっているわけでしょうか?
【岸本分科会長代理】  そうです。5年ごとにきちんとレポートを出していただいてチェックするので、そのレポートというのもなかなか負担になっているんじゃないかなというふうに思いますけれども。
【川上委員】  そうかもしれないですね。分かりました。
【小縣分科会長】  奥野委員、よろしいでしょうか。
【奥野委員】  私も制度検討委員会に参加しておりますので、今日お伺いしたいろんな御意見を、主査もいらっしゃいますから十分反映していただけると思います。お話の中で国際的通用性ということとCPD、いろいろ御意見があったのですが、今日は資料としては出てないのですけれど、前回のこの場で技術者の成長のステップとしてステージ1から5まで、大学なり高等教育機関を卒業してからこんなようなステップでこういうような能力を身に付けていかれるのがある種の技術者像ではないかというのがありました。その中で技術士の資格取得というのは、ちょうど真ん中、ステップ3に位置付けてあります。そういうふうに考えますと、技術者というのは成長していくものですから、その成長に応じていろんな能力なり、場合によっては資格を身に付けていかれるのだろうということですので、技術士の資格を取ればそれでいいということではもちろんないと思います。なので、そういう成長の確認の仕方の一つとして、一つは自分が所属している組織でどんな仕事をしてきたかとか、そういう経験をある程度評価をするとか、さらには、話題になっているCPDをどういう格好で取得されたかというのが非常に重要なポイントになってくると思います。その技術士の方が実際に仕事をされる場合でも、資格を持っているということだけではなくて、そういう成長のあかしが見られるかどうかというふうなところが仕事の中身にも関係してくると思います。試験についてもその辺の経験をどのように積んでおられるかということとか、あるいはCPDをどういうふうにしてこられてそれが更新制にどう結び付くかというのはこれからの課題ですけれど、そういうような評価ができるような体系というのを作らなきゃいけない。ただ、簡単にはいかないので、難しいと思うのですけど、そんな気がしております。
【小縣分科会長】  奥野委員、ありがとうございます。奥野委員には、制度検討特別委員会の主査代理をしていただいています。今日の資料でいくと参考資料8の8ページ目ぐらいですか、これが今、奥野委員からお話があった技術者キャリア形成スキーム(コアスキーム)、これが一つの大きなベースになるかと思います。ありがとうございます。
 今の御意見に対して、何か補足的にございますか。
 特になければ、岩熊委員、よろしいでしょうか。
【岩熊委員】  私も制度検討特別委員会の委員をやっています。また、前期からもやっています。技術士の国際通用性というか、このままで通用するのかの大きな議論が出てきてよかったと思っているところですが、技術士会のメンバーでもありますので、少し個人的なことも含めてお話しさせていただきます。
 更新制に対して、技術士は、資格としては歴史のある資格ですから、後からこういった法律を入れていくことで技術士の方が受け入れてくれるかどうか、そういった不安があります。他にもある古い資格が現実に今、更新とか資質についてどういうふうに考えられているか、技術士だけでなく日本の技術力、資質全体の向上のためにはほかの資格にもそういった議論が出てきているんだろうかとの点は少し気になるところです。
 それからもう1点、IPDの話は私は長く初期能力開発の勉強をしていて、私の中ではIEAのコンピテンシーと技術士の資質能力、資質を踏まえたらこういうことが必要ではないかというのは整理されているのですが、普及させていくためには学協会等とも連携して技術士に向かうキャリアステージの中で技術者全体を応援していくという視点で、体制をもっと全体に作っていくべきではないか、そういうことができたらいいと思っています。
 以上です。
【小縣分科会長】  ありがとうございました。岩熊委員は長く委員をされているのでこういうことも議論はしてきたのですが、残された課題の中で当然、積極的に議論をしなきゃいけないと思います。補足はございますか。よろしいですか。
【岩熊委員】  はい、結構です。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【前田委員】  前田と申します。私の方は、皆様のように大局的なところから言うことはできないのですけど、自分の経験の中から感じたことで、技術士資格の国際的通用性のことと総合技術監理、この2点について、申し上げたいことがございます。
 1点目の国際的通用性の方なんですけれども、先ほどからいろいろ議論はありますが、私自身は技術士会の青年委員会というところでオーストラリアのキャンベラの技術士会に行ったことがあって、そのときにちょっと感じたのはAPECエンジニアとか、いろいろ、通用性という意味で先ほどからあるようなリスペクトされる資格ではあると思いますけれども、ちょっと不思議に思っていたのは、APECエンジニアって英語の試験とかはないので、英語ができなくてもなれてしまうというようなところがあって、もちろん英語よりも専門性とか、そちらの方が全然大事だと思いますし、自分もPhDは海外で取ったのですけれども、そのときは英語ができなくても少し研究が進んでくると下手な英語でも相手は聞いてくれるようになるのですが、そこに行くまでにちょっと時間がかかって、オーストラリアの技術士会に行ったときは、イギリス人とかアメリカ人とかが沢山いたのですけれども、こっちの方が専門能力というか、そういうところで勝っているのになあと思うところで、英語力でたたきのめされちゃったところがありました。だから、英語が大切だというんじゃないのですけれども、最低限ここまでのというようなところを議論していただいて、英語も要件に入れたら、ますます登録する人はいなくなっちゃうかもしれませんが、時間を掛ければ、多分リスペクトされる方々ばかりだと思うのですけれども、そこら辺の取っ掛かりというのですか、ちょっと悲しいことですけど、最低限の英語力みたいなところは本来議論されてもいいのかなあと思っていたのが、1点目です。
 次は、総合技術監理の方なんですけれども、これも私の経験からなのですが、先ほど出ていた青本を勉強していたときに、私は化学部門なんですけど、総合技術監理は後から取ったのですが、部門の試験に受かったときよりも、総合技術監理の勉強をしているときに初めて技術士になったなあというような気持ちになりました。というのは、今は大学におりますが、企業にいたときにちょうど管理職になる頃、たしか総合技術監理は経済性とか、人的資源とか、情報管理だとか、安全管理と社会環境ですか、そんな五つの切り口で要領よくまとめられていて、勉強していて非常に楽しかった思いがありました。先ほど高木会長からもありましたように、技術士って何かというと「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価、又はこれらに関する指導の業務」ということなので、まさに総合技術部門の資質を持ってなきゃいけないのかなあという気がします。試験制度に関わるようなことで大胆なことは言えないのですが、本来は総合技術監理が先に試験としてあって、それから各分野の専門に行くというような、そういうアプローチもあるのかなというふうには思います。これはどなたかが前におっしゃったのですけど、医者になるには、全体を学んでから各専門に行くような。だから、もしかしたら、総合技術監理部門の在り方というのを考えるときに、すごく難しいことだと思うのですけれども、そんな視点もあるのかなというふうに思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 今前田委員から視点を変えた御指摘がございましたけれども、これに対して、何か御意見ありますか。今までの議論経過などもあると思いますが。
【塩原委員】  塩原ですが、1点目のAPECエンジニアで取得の際に英語の能力のハードルを付けるというような御意見に関しては、私もAPECエンジニアとIPEA国際エンジニアを持っているのですが、取ることだけでも大変なハードルなんですね。CPD50時間が最低3年間は必要ですし、提案のためには50ページぐらいの書類を書いて出さなくちゃならない。それで、取ることによるメリットというのは、まだ余り国際的認証はされておりませんので、それほどメリットがないと。そういう段階でハードルだけを高くしても、ますます取る人が少なくなるのではないかなと、ちょっと懸念しております。
 あと、先ほど川上委員が言っておられたのですが、CPDを1年当たり50時間とるというのは、若いエンジニアだと、かなり難しいんじゃないかと。今のCPDの時間のカウントの方法を、例えば社内研修でも、エビデンスが余り明確じゃなくてもカウントできるみたいにしないと、50時間やれというのはかなり難しくて、それが更新制度に適用されますと、既に技術士を取られた方々がその更新制度のために技術士を更新できなくなるというような形も懸念されます。そういうことで、50時間を全員に課すというのは、ちょっと考えなくちゃならないのではないかと思います。
 以上です。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
【岸本分科会長代理】  CPDのやり方は、他の国がどうしているか。特にチャータード・エンジニアなんていうと、ほとんど国の中にいなくて、海外で活躍している人たちが更新されているわけでして、そこと同等な制度だと私たちが言う、向こうはちゃんとやっているというときに、一体中身はどうなのかというところまで精査して、50時間の中身を日本の場合は非常に、私の個人的な意見かもしれませんけれども精緻に作り過ぎたんじゃないかと。だから、そこのところが現実と合わなくなっているのかなというので、50時間ということよりもその中身は何なのかというのも含めて議論できたらいいかなというふうに思っています。
【小縣分科会長】  どうぞ、高木委員。
【高木委員】  今のお話ですが、技術士会の中で検討している中でも更新制におけるCPDというものと、ある特定の業務を実施するために必要とされているCPDが50時間だとか、いろいろありますので、そういうところは分けて考えなきゃいけないと思っていまして、更新に関しては50という数字には全然こだわってはいないです。今、APECエンジニアだとかの50時間も、海外に勤務されている方が50時間をやるというのは非常に大変で、そういうこともありますのでそこをどう考えていくかというのは、今岸本先生がおっしゃったようなことも含めて検討したいと思っています。
 英語力については当然海外で活躍するという意味では必要だとは思いますが、エンジニアの資格としてその要件を入れるかどうかというところは、私はちょっと別かなあというふうに思っていますので、そういう御意見があったということについては認識しておきたいと思っております。ありがとうございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。どうぞ。
【川上委員】  先ほどの発言と重なりますが、技術士、特に日本では企業内技術士というのが結構な比率でいると思うのですね。そうすると塩原委員がおっしゃったように、企業の中でやっている教育とか技術士的な仕事、例えばエンジニアリングして、お客さんのところに行って何かプレゼンをしたりとか、そういったこともカウントしてもらわないと、本当のところ企業にいるエンジニアには自分の仕事とは別に年間CPDを50時間というのはほとんど不可能じゃないかと思いますので、今後考える上で御考慮いただければと思います。
【小縣分科会長】  御意見、ありがとうございます。
 高木委員がおっしゃったように、今日出されたような御意見も踏まえて、これから技術士会の中で検討していただくということになろうかと思います。
【岸本分科会長代理】  先ほどから御意見を頂いた総合技術監理部門については、前期でも答えが出せなくて継続検討事項になっているのですけれども、こういうふうだったらこうなります程度のモデルを作って議論をする時期になっているのでしょうかね、課題先送りじゃなく。例えばこういう位置付けになるとか、幾つかの案を作るべきですかね。そのまま行くということではなくても、今期中にモデルA、B、Cみたいなのを作っておかないと、ずっと先送りになっちゃいますよね。
【高木委員】  総合技術監理部門については21番目の部門だという位置付けで整理されているところです。ただ、これまでの経緯等からもいろいろ課題はあるというのは承知しておりますけれども、今そこは優先順位としては高くは考えておりませんで、どっちかというと先送り的な考え方をしているところではあります。
【小縣分科会長】  岩熊委員、どうぞ。
【岩熊委員】  横とか上とかいう議論があったのですが、結局横と思う方と上と思う方が混在してしまってそのままになって、それはよくないんじゃないかと思います。総合監理部門ができたときの経緯からもう一度洗い直して、岸本委員がおっしゃるように、ある程度何か見える形のものがあった方がいいと思います。
【岸本分科会長代理】  難しいと思いますけれども。
【小縣分科会私からシンプルなクエスチョンなんですけど、総合技術監理部門は四千名程度が受験されて1割ぐらいが合格されていますけど、ほかの部門の資格を持った中で更にという方が多いということでしょうか?
【高木委員】  ほとんどそうです。
【岸本分科会長代理】  単独で取られる方は、ごくわずかですね。
【小縣分科会長】  その名のとおり一つ何かの部門を取って、総合監理という形ですね。
【高橋委員】  教えていただきたいのですけど、総合監理部門というのは海外では普通にあるのですか。
【岸本分科会長代理】  APECで例えばオーストラリアなんかとしたときは、相手方にはなかったですね。そういう位置付けにはなってないですね。
【高橋委員】  それに似たようなシステムというのはどこにもないのですか。
【岸本分科会長代理】  詳しくチェックしてみなきゃいけないのですけれども、ないだろうなと思われることと、総合監理部門で持たれているいろんな考え方は、技術士というかプロフェッショナル・エンジニア全部が持たなきゃいけないような形になっているので、技術部門プラス総合監理を持っていて一つのプロフェッショナル・エンジニアみたいなイメージでもあるのですね。
【高橋委員】  日本だけの特殊なものを作るというのがいいかどうかは、国際基準という観点からもよく考えてみないといけないと思います。
【岸本分科会長代理】  そうだと思います。
【小縣分科会長】  この辺も国際的通用性の検討をする中で、当然それぞれ各国の位置付けというのも大いに参考になるのではないかと思います。いずれにしても、今後残されている課題の一つの大きな要素でございます。よろしくお願いいたします。
 高木委員、どうぞ。
【高木委員】  先ほど鈴木委員の方から各部門によって非常に偏りがあるというお話がありましたが、そこは技術士会の中でもすごく認識をしているところです。今調べているところですが、各部門に関連する学協会の会員の方と技術士を持っておられる方がどういう関係になっているか。要は、そういう業界の中でどれだけ技術士の資格を持っている方がおられるかという調査をしているところです。そういう数字を見ると、技術士という資格がなかなか使われていない業界が多いということも分かっておりまして、先ほどの各省庁へのアピールだとか、各産業界、企業へのアピール等、技術士会の方でも始めようということで活動しようとしているところです。そういう中で思っているのは、プロフェッショナル・コンピテンシーで示されているようなエンジニアとしての基本的な能力を持っているということをアピールすることが一つと、その基本的な能力を持っていることで、その業界で必要となる資格の一次試験の免除になるのではないかだとか、今後、PR活動をしていきたいと思っております。各部門によって会員数の偏りが大きいことを是正していかないと、日本のエンジニアの資格としての位置付けとしては弱いと思いますので、活動してまいりたいと思っております。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 そのほか、御意見ございますでしょうか。どうぞ、伊丹先生。
【伊丹委員】  まだ若干時間があると思いますので、繰り返しの意見になるのかもしれませんけど、先ほどからAPECエンジニアだとCPD50時間とか、それは大変だとか、そういう議論も出ていますので、少し補足意見を述べさせていただきます。
 先ほど高木委員から、現在検討されている更新制を導入するとすれば、その要件として継続教育をどう考えるかといったときにはそういったAPECのCPD50時間とか、そういうこととは切り離した形で御検討されているというお話でしたので非常に安心をしたのですけれども、是非、川上委員や塩原委員から御発言があったように、私も若い人が今みたいなCPDで研修を何時間受けたとか、そういった形でCPDのポイントを稼ぐというのは非常に大変だと思います。技術士になって何年かは実務が一番忙しい仕事を担っていただかなきゃいけない世代ですからね。そういった人がそういった形でCPDを稼がなきゃいけないということになると、これは非常に大変だと思うので、仕事をしたことがCPDになるようなそういう仕組み。要するに、技術というのは仕事の中で何か困難にぶつかって、いろいろ悩んでそれを克服していくことによって本当の技術力が付くのだと思うんです。一種のOJTかもしれませんけれども。そういう実績、仕事をしてその中で技術士のプロフェッショナル・コンピテンシーの言葉で言えば、仕事を通じて複合的な課題をどういうふうに解決したのかという、そういう実績をCPDとして評価するような、じゃあ具体的にどうやるんだというのは難しいですけど、そんなような形を考えていただければばりばり働いている技術士の方が更新のときにそんなに苦労しなくても済むし、なおかつ、その方の技術力というのがそれでしっかりと保証されるのではないかなあと、こんなふうに思っておりますので、なかなか具体論が言えないのですけど、その辺御検討いただければというふうに思います。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 どうぞ、奥野先生。
【奥野委員】  さっきの発言ちょっと言葉足らずの面があったのですが、技術士のプロフェッショナル・コンピテンシーが何年か前に明確にされたので、全ての20部門の技術士の方もこれを持ってなきゃいけないということは当然ですけど、技術者というのは成長するということになりますと、技術士という同じ言葉で言っても、その人の持っている能力というのはレベルが違うというふうな局面があるのではないかと思うのですね。そういったことも含めて今後議論をしていかなきゃいけない。それは総合技術監理をどう位置付けかというようなことにもつながるのかなという感じはしております。ちょっと補足でございます。
【小縣分科会長】  ありがとうございます。
 そのほか、御意見ございますでしょうか。
 冒頭、岸本先生から制度検討特別委員会等での検討状況ということで資料10が示されて、課題として6項目残された中で本日、かなり広範にいろいろ御議論いただきました。ありがとうございます。資料10の中の平成29年10月5日の第3回のときに係れている「制度全体としての最終的な目標となるものを1つの軸とし、現在の課題整理で技術士の全体像が見えるかを検討」という中で国際的通用性を軸にという形で御説明がありましたけれども、本日の議論をお聞きしていましても様々な課題があるのですけれども、全部連関性があって、今回岸本先生からもございましたように、調査とかインタビューもありますけれども、そういう中から国際的通用性というのを検討していく中で、恐らくいろんな関連する課題も検討されてくることになると思います。そのような内容で作業部会はよろしいでしょうか。
【岸本分科会長代理】  貴重な御意見をたくさん頂きましたので、整理いたしまして、制度検討特別委員会の方の議論に反映させて、委員の皆さんと一緒に具体的なことが一歩でも前に進むようにしていきたいなと思っております。
【小縣分科会長】  そうですね。ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。今日は、今後、制度検討特別委員会ないしは国際的通用性検討作業部会を進める上で、非常に有益な御意見と情報等を頂けたかと思います。心から御礼申し上げます。また、岸本先生はじめ、制度検討特別委員会、作業部会に関わっていらっしゃる委員の出席もございましたけど、大変御苦労をおかけいたしますが、是非、検討を有意義かつ具体的に進めていただけたらと思います。本当にその面で御苦労をかけますけど、よろしくお願いしたいと思います。
 大分時間が経過してまいりました。ありがとうございました。改めて、大変貴重な御意見等に対して、御礼申し上げます。
 最後に、事務局から何かございますでしょうか。
【渡邉専門官】  1点、本日の会議の公開に係る議事録につきましては、後日、事務局より委員の皆様にお送りさせていただきまして、御了解を頂いた上で文科省のホームページで公開させていただきます。
 また、次回の技術士分科会につきましては、制度検討特別委員会等の検討状況に合わせて、時期になりましたら、事務局から改めて御相談させていただきます。
 以上でございます。
【小縣分科会長】】  よろしくお願いいたします。
 最後になりますが、何が言い残したということはございませんでしょうか。
では、議題の方は、全て終了したということでございます。ありがとうございました。
 それでは、本日の第38回技術士分科会を閉会したいと思います。ありがとうございました。


―― 了 ――

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