第12期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第2回)議事録

1.日時

令和6年9月13日(金曜日)

2.場所

オンライン及び対面にて開催

3.議題

  1. 技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめについて
  2. IEAM2024(International Engineering Alliance Meetings2024)概要報告について(日本技術士会)
  3. 日本技術士会の社会貢献活動について(日本技術士会)
  4. その他

4.配付資料

  • 資料1-1:技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめ(概要)
  • 資料1-2:技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめ(本文)
  • 資料2:IEAM2024(International Engineering Alliance Meetings2024)概要報告(日本技術士会作成)
  • 資料3:日本技術士会の社会貢献活動(日本技術士会作成)
  • 参考1:第12期技術士分科会制度検討特別委員会委員名簿
  • 参考2:制度検討特別委員会設置要領
  • 参考3:技術士分科会運営規則
  • 参考4:第12期技術士分科会の組織構成について
  • 参考5:技術士制度をめぐる現状と課題(令和6年6月26日科学技術・学術審議会技術士分科会(第47回)資料9)
  • 参考6:第11期技術士分科会における技術士制度改革の検討報告

5.議事録

【佐藤主査】  それでは、皆様お集まりのようですので、ただいまから第12期技術士分科会制度検討特別委員会(第2回)を開催いたします。本日は御多忙の中、また大変暑い中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 まず、事務局より委員の出席と配付資料の確認をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【橋本課長補佐】  事務局でございます。本日はオンラインと対面のハイブリッド開催としておりまして、委員全員が御出席の状態でございます。出席委員の合計は定足数を満たしておる状態でございます。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、資料1-1、資料1-2、資料2、資料3、参考1から参考6までをPDFファイルにて一式合本したものを事前に委員の皆様方と傍聴の皆様方に配付をさせていただいております。過不足、欠落等がありましたらお声がけをいただければありがたく存じます。よろしくお願いいたします。
 委員会に先立ちまして、前回より事務局に人事異動がございましたので、お知らせさせていただきます。人材政策課長に奥が着任しておりますので、御挨拶を課長からお願いします。

【奥課長】  7月に人材政策課長に着任しました奥と申します。先生方、大変お忙しいところ大変恐縮です。本日も活発な議論をぜひよろしくお願いします。

【佐藤主査】  それでは始めましょうか。本日の委員会は議題3までは公開といたしまして、議案4以降につきましては非公開ということになっておりますので、よろしくお願いいたします。議題3が終了次第、傍聴の方には御退席いただきますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 それでは、まず議題1に移らせていただきたいと思います。技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめについて、事務局よりまず報告をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【橋本課長補佐】  事務局でございます。資料1-1及び資料1-2といたしまして、技術士制度におけるIPDに関する懇談会の議論のまとめということで提示をさせていただいております。こちらにつきましては、3月に開催されました第1回制度検討特別委員会で進捗状況を御報告させていただくとともに、6月に開催された技術士分科会でも進捗を御報告させていただいたものでございます。こちらにつきまして、制度検討特別委員会前回と技術士分科会での御指摘を踏まえ、さらに7月にIPDに関する懇談会を開催させていただきまして、その後、所要の字句の修正を行った上で、主査御了解となったものでございます。
 変更点についてのみの御説明を中心とさせていただきますが、主に資料1-1を用いて御説明させていただきます。
 まず、「はじめに」でございますが、これまでの議論の経過といたしまして、第9期から検討いただいていたものに関して、引き続き議論を重ねてまいりましたところ、一定の結論、一定のロードマップの論点の方向性等が示されたということでまとまったところでございます。
 続きまして、2ページ目でございます。技術士をめぐる状況といたしまして、国内外の情勢変化、技術者に期待される役割の変化、優秀な若手技術者の育成・確保という点については変わりませんが、(1)の点でございますが、国内外の情勢の変化につきまして、ポツの3つ目でございますが、現行の技術士制度と比較して新たにGA、PCに盛り込まれた項目のところで、具体的な記載として「多様性と包摂性等」といった文言を追記させていただいたものでございます。
 続きましてのページでございますが、目的(利用者の明確化)、またIPDシステムの運営主体という点につきましては、前回から特に大きな変更なく、技術士を目指す技術者をIPDシステム立ち上げ時においてはターゲットとすること、あるいはIPDシステムの運営主体といたしましてはターゲットを利用する者に対して効果的にアプローチできる組織であることが望ましいといった記載をさせていただいております。
 次のページでございますが、こちらにつきまして、IPDシステムの構築に向けて、IPDシステムの在り方や関係機関との連携について述べさせていただいたものでございます。
 また、次のページにおきましては、中長期的な検討事項といたしまして、IPDシステムのさらなる発展に向けて、あるいは技術士制度改革において継続的に検討が必要な事項について記載をさせていただきました。
 また、最終ページといたしましては、参考で、このIPDシステム立ち上げ時ではございますが、受講者の範囲はこれぐらいであろうということ、あるいはシステムのイメージといたしまして、現時点まで検討が進んでいる状況について、修習技術者を中心といたしまして、自主的に資質能力を高める活動等を記載させていただいているところでございます。
 現時点で懇談会のまとめについて以上でございます。

【佐藤主査】  御説明ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきましたIPDに関する懇談会の議論のまとめにつきまして、何か御意見などがございましたら御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

【高木委員】  日本工学会の高木でございます。御説明をありがとうございました。
 まず、この資料1-1で多様性・包摂性を追記されましたことは大変よろしいかと思います。国連が進めておりますSGDs、また我が国においては官民のコンセンサスが得られているSociety5.0 for SDGsの基本的な考え方は、この多様性・包摂性ということだろうと理解しております。
 質問になりますが、いろいろIPD懇談会で御議論いただいて、非常によくまとまった資料になっていると思います。後ほどお話があるのかもしれませんが、この次のステップとして、この制度、システムの具体的な取組等について、もし今決まっている内容があれば御紹介をいただければと思います。
 以上でございます。

【橋本課長補佐】  事務局でございます。ありがとうございます。現時点におきましては、IPD懇談会のまとめを踏まえるとともに、今年度、文部科学省で委託調査等を進めながら、海外の事例も詳細を検討している状況でございますので、こちらについての調査結果がまとまり次第、また、技術士会さんのほうでも検討いただいている内容もありますので、こちらについて平仄を取る形で適切に前に進めていけたらということを考えてございます。

【高木委員】  どうもありがとうございました。

【佐藤主査】  ほかに何かございますか。どうぞ。

【小林委員】  小林でございます。御説明ありがとうございます。前にもお伺いしたことがあると思うんですけども、IPDの運営主体のイメージがいま一つつかめないものですから。例えば人の場づくりということであれば、現在の技術士会が担っていることもあると思いますし、ある意味で運営主体が技術士会なのかなというようなイメージも持つんですけども、ただ新たな運営主体というようなことも記載されておりますので、もう少しイメージが明確になるような御説明をいただけるものであればありがたいと思うのが1点。
 それと、このIPDシステム自体の、最終的にいつぐらいまでに創設しようかという、その工程といいますか、目標といいますか、その辺がもしあればお教えいただければと思います。

【橋本課長補佐】  ありがとうございます。事務局より回答させていただきます。
 まず、IPDシステムにおいては、IPDの受講者に対して効果的にアプローチいただける機関が望ましいということはまずもって当然ということでありますので、まずこのIPDシステムを立ち上げるときにおいては、まずは日本技術士会が既に立ち上げておりますCPDシステムもございますので、こちらを参考にしながら主体的に運営をまず担っていただくことが合理的であろうということは記載させていただいているとおりであります。
 システムの広がりですとか、そういったものも踏まえて、拡大していくに当たって順次必要になるものについては、所要の検討を経て進めていきたいというところがまずもって今決まっている段階でございます。
 具体的にいつ頃かということでございますが、立ち上げについては、できれば令和7年度中には何らかの形でスタートを切れるような、スモールスタートを切れるような形で進めていきたいということは目指しているところでございます。

【小林委員】  ありがとうございました。

【佐藤主査】  ほかに何かございますか。どうぞ。

【江黒委員】  弁護士の江黒でございます。先ほど高木先生からコメントがございましたけれども、資料1-1に多様性と包摂性という単語を追加していただきまして、誠にありがとうございます。この点に関連してですけれども、特にジェンダーダイバーシティーの点は、技術士数の観点からいくと、もっと改善されてもいいのかと思っておりまして、数のマイノリティーではなくてパワーの面でのマイノリティーの観点でお話ししておりますが、ジェンダーバランスを是正していくために、こういった国家資格とか資格制度は、うまく働く武器になるというか、ツールになると、装置になると考えておりますので、ぜひ技術分野でのダイバーシティーのバランスを改善するための、この技術士という制度、IPDという制度自体がいい装置になって、世の中の技術分野でのジェンダーダイバーシティーが改善されていくといいなと願っております。よろしくお願いいたします。

【佐藤主査】  ほかに何かコメント、御意見、御質問はよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 そうしましたら、次の議題に移りたいと思いますが、議題2のIEAM2024(International Engineering Alliance Meeting)が2024年に行われましたが、この概要報告につきまして、日本技術士会から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【日本技術士会(神田)】  日本技術士会国際委員長を務めております神田です。報告します。
 次のページをお願いします。6月に、IEAの総会、2024年のものですから、IEAM2024が開催されました。6月9日から14日ということで、ほぼ1週間、インドのグルグラムという町でのホテルで行われたんですけれども、場所は右上にあるようにニューデリーのすぐ隣の町でインドの北部になります。
 参加国はIEAの事務局からの報告で、最終的には36か国・地域から44の機関、それから164名が参加しております。日本からも、文科省及び日本技術士会から、佐藤先生にAPECエンジニアモニタリング委員長として御参加いただき、あとIPEJからは神田、それから事務局から武見さんが出席されております。
 その下に写真がありますように、これはホテルの中のメイン会場を、一つの会場の前側と後ろ側でそれぞれ写真を撮ったものですけれども、このような形で開催されておりまして、実際には会合の会場のほかに幾つか小さい会場があって、並行して会議が行われているという形で1週間会議が進んでおります。
 次のページをお願いします。タイムテーブルはここでは細かく述べませんので、御関心があれば後でお読み取りいただければと思います。
 次のページをお願いします。もう一ページ進めてください。この総会の中での議題についてですけれども、まず、全体会合が開催されて、この中で総括的な話がなされております。まず、IEAのマーケティング戦略についての状況報告が事務局からなされまして、IEAの今のウェブサイトが非常に古くなっておりまして、しかも分かりづらいということもあって、ここをリニューアルしたいということで、今年の11月を目標に既にリニューアルの作業を始めているという報告がありました。
 また、次が審議事項になりますけれども、会費の増額について審議が行われました。事務局からの説明では、消費者物価指数が世界的に増加しているということ、それから先ほどお話ししたことに代表されるマーケティング戦略等で費用がかさむこと、また活動拡大を目指すために、会費を昨年比で13%ほど増やしたいということで審議がありました。
 全体的に見渡すと、ほぼ賛成に回ったんですが、技術士会としては、内訳があまり細かいところが示されていなくて、この増額分が適切なのかが判断できないということで棄権に回っておりますが、賛成多数ということで採択されておりますので、今年の会費分から値上げされる可能性が高いのかと考えております。
 またもう一つ、こちらは報告事項ですけれども、協定文書の整理ということで、IEAの各規定、それからアグリーメントのルールの文章があるんですけれども、こちらが今見返してみると、言葉が冗長であったりとか項目も冗長であったり、また、英語を母国語としない国においても理解しやすいものにしたいということで、この全体を整理したものを提案して、新たに改定した協定文書として発出したいということで報告がありました。
 こちらに書いていないですが、つい先日その第1弾が実はもう案が、一部ではあるんですが、届いておりまして、中を今、見始めているというところになります。
 次をお願いします。それから、今度、各アグリーメント等に分かれてのワークショップが行われまして、その中でGAPCバージョン4へのGAP分析現状報告がなされました。これはGAP分析のワーキンググループの委員長から報告があったんですけれども、今年の3月までに、各国各機関に対して、GAPCのバージョン4に対するGAP分析を行いなさいと、各国で使っているGAPCの項目に対して、このバージョン4になったことでどういったギャップがあるのかという分析を求めておりました。その提出状況の報告がありまして、GAPCの分析の報告がきちんとあったというところは4エリアということで、ここに日本も含まれております。
 それから、昨年度中に既にもう分析を提出済みだったECUK、イギリスがここに1か国ありまして、それから毎年各機関がIEAに対して出しているAnnual Reportに添付した形で詳細な分析があったところが1エリアあったということです。あと、このAnnual Reportで、Gap分析らしきものが入っていたというところが16エリアで、作業中が6エリアということで、基本的には丸1、丸2、丸3の6か国が詳細な分析を提出したという認識を事務局のほうで持っているようです。
 全体を通じて見ると、非常に芳しくない進捗なので、事務局のほうでも、実は今後についてのところに書いてあるんですが、このバージョン4に基づいたアグリーメント、各国継続加入のレビューというのを行うに当たって、このバージョン4に基づいたものを2026年からレビューを開始しようと考えていたらしいですけれども、開始するという宣言ではなくて可能性があるという話にとどまっているという状況です。
 次をお願いします。それから、今度、今のレビューに関連して、昨年レビューが行われて、今年の審議に回ったものについて審議及び結果報告がありました。基本的には、レビューのレポートが出されて、レビュワーがこのIEAの会議の中、Agreement Meetingの中で説明をして、挙手で継続加入を認めるかどうかというような流れになっておりますけれども、御覧いただいているように、韓国、台湾、米国は6年間の継続が承認されておりまして、ロシアは暫定継続ということになりました。アセスメントステートメントの最新版が未提出というところで、これが提出されれば継続につながるのかと思っておりますが、暫定ということです。
 あとシンガポール、インドネシアは2年間の継続、それからタイは条件付メンバーの継続、あと変わったところでカナダがレビュー年を間違えたという、1年早めてレビューを受けたということで、次のレビューは2026年ということになったようです。それから、IPEAのAgreementにおけるレビューは、4か国・地域が6年の継続を承認されております。
 あと、そのほかのトピックスとして、中国科学技術協会、CASTというらしいですが、が来場されて、IEAに参加していきたいということで意思表明がありました。IEAの規則として、まずはProvisional Memberとしての参加資格を与えるかどうかというところになりますので、こちらを要望されておりまして、15分ほどのプレゼンでCASTの中の制度の紹介等がありまして、それを受けてIEAとして検討、そして今後審議、レビューが行われていくと思われます。
 それから、2024年のレビューの予定はオーストラリア、日本、ニュージーランドということで確認がなされました。
 次お願いします。こちらはIEAの総会そのものではないですが、関係する事項として、今のIEAの日本に対するレビューの進捗状況をお話しいたします。
 まずスケジュールとしては、8月末にレビュー用の事前提出資料をすることになっていますが、8月30日に提出しました。9月から年内にかけてレビューチームが選定されまして、今のところ事前の予定では、韓国、香港、台湾などを予定されていましたが、これは最終的にどうなるかまだ分かっていないですけれども、三、四か国からレビューチームが出されて、それぞれ1名ずつということで三、四名がレビュワーとしてアサインされて、事前提出資料をレビューするということで、これまでの例からいくと、書面審査のみになるのではないかと勝手に想定しています。
 その後、レビューを行った後、レビュー報告案というのがまず出されます。4月末までに何かアクションを起こさなければいけないようなものがあれば、この4月末までに日本として、日本技術士会として文科省として対応していかなければいけないということになって、レビューの報告案の最終ができて、来年の6月、メキシコでIEAM2025が開催されるんですが、そこで継続の審議が行われます。
 8月30日に既に文書を提出しておりますけれども、ここに書いてある丸1から丸6の6種類の文書が要求されておりましたので、これをそろえて提出しております。
 最後になりますけれども、備考のところで、今回のレビューはIEA GAPCのバージョン3に沿ったものということで、基本的には前回の監査とあまり変わるところがないのかというところで、事前提出資料についても、時間が6年たっているということでアップデート部分はあるんですが、全体的には大きく変わらない内容で提出しております。
 先ほど申し上げたことの繰返しですけれども、IEAでは2026年からバージョン4への対応を計画ということで、今回のレビューはこれには合致しない、対象にはならないんですが、次回、6年後、もし今回6年の継続審査が決まった場合は、6年後のレビューでは、GAPCバージョン4への対応が必要になってくるかと考えております。
 以上になります。

【佐藤主査】  ありがとうございました。それでは、ただいまのIEAM2024の報告につきまして、何か御意見などがございましたら御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先ほどもお話がありましたように、GAPC等での対応等が今後求められているという報告がございましたけども、そういったことをこれから取り組んでいく必要があるかと思います。今の点につきまして、情報共有したということで、次に進みたいと思います。
 それでは議題3でございますけど、日本技術士会の社会貢献活動につきまして、日本技術士会より資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【日本技術士会(眞先)】  日本技術士会の専務理事の眞先でございます。私から日本技術士会の社会貢献活動について御説明をさせていただきます。
 技術士の資格はもう御案内のとおり、個人の資格でございますから、この個人の資格を生かして社会に対しても様々な貢献ができるような活動をしてございます。技術士会が活動することで、要は個人の資格である技術士資格が層状に重なり合って、組織として、面として社会に貢献できるということで、そういったことで技術士会としてこんな社会貢献活動をやっておりますという話を本日は御紹介をさせていただきたいと思います。
 次のページをお願いします。これは飛ばしていただいて、その次のページをお願いします。本日御紹介しますのは、御紹介しておりますこの1から4、次のページの5、6、7と全部で7項目について御紹介をさせていただきます。基本的に括弧の中に各活動について担当している委員会名が記載されております。日本技術士会においては社会委員会というところが基本的に社会貢献活動の中核を担っておるところでございますけれども、防災支援委員会というのは社会委員会の下にある実行委員会ということなので、基本的に社会委員会系ということですが、それ以外の委員会も様々な形で社会貢献活動に関わっている部分もございますので、併せまして本日は御紹介をしたいということでございます。
 それでは、5ページです。ここから順次説明をさせていただきます。
 最初に御紹介いたしますのは司法支援活動でございます。技術士会におきましては、最高裁判所との協議を通しまして、技術士が司法支援を行うための体制をつくっておるということでございます。御案内のとおり、裁判所で扱う様々な事案につきましては、技術に関わる訴訟関係も多々扱われているという中にありまして、技術の専門家としての技術士に対して、いろんな形での支援を司法のサイドから求められているということでございます。
 技術士会におきましては、これに対応するために、もちろん会員の皆様の個々のボランティア的な取組を重ねられてこれに対応するわけでございますが、あらかじめ司法支援活動を希望する正会員の方を事前登録しておきまして、各裁判所からの鑑定人でありますとか専門委員などの推薦依頼に対応して適任者を選定し推薦するということでございます。もちろん技術士の方はそれぞれお得意の専門技術分野をお持ちでございます。それに対しまして、裁判所からの依頼はどういう技術部門に関する争いが来るかは非常に不明でございますので、そういった意味で技術士会が組織としてこれに対応するということで、様々な御依頼に対応できる体制を取っているということでございます。
 基本、このような対応が実は今後、技術士会の取り得る社会貢献活動の一番オーソドックスなスタイルとして考えられるかと思っておりまして、今後、より一層の社会貢献活動を広げていく際には、このような視点を持って取り組んでいくというのが一つのパターンとして考えるところと思ってございます。
 次のページをお願いいたします。次のページは、具体的な社会貢献活動ということではなくて、行っております社会貢献活動の事例発表会というのを私どもが企画してやっているということでございます。これは毎年、大体5月とありますが、このぐらいの時期に、年に1回ですか、会員の皆様の取り組まれておられる各種の社会貢献活動について事例発表会を企画しております。もちろんこれは会員のみならず非会員の方もオンラインで御参加も可能だということでございまして、なかなか、大いに皆さんに知られているというわけでございませんが、このような形を通じて私どもの取組を世の中に対しても情報発信をさせていただいているということでございます。
 これは、この6ページのところに書いてございます、第13回の事例発表会のテーマが10ページに至るまで全部で8つございます。これは一つこんな活動をやっているんだということで参考として御覧いただければと思うんですが、結構バリエーションに富んでいると思っております。
 1つ目は「士(さむらい)おおいた」といいまして、これは士のさむらいという漢字が使われておりますが、技術士に限らず、国家資格を有しておられる、特に若手の方々の大分を舞台にした交流の場を設けておられると。意見交換、交流の場を設けておられる。そこで一定の組織で大分の発展のために活躍されているという事例でございます。その活動の発足とその活動状況を御報告されたというのが1点目です。
 それから、小中学校への出前授業、また子供の理科教育を考える、こういうような形で、学生さんとか児童さんとか、そういった方々に対するいわゆる普及活動、こういった活動を様々な形で展開をしている。また、住民参加型の山地強靱化の取組でありますとか、林業を学ぶ学生へ、地質学の野外巡検の講師、こういった技術士の専門性を生かした講師派遣的な取組、各種いろんな形で執り行っているということでございます。
 次のページをお願いいたします。6、7、8でございますが、先ほど江黒委員からもコメントがございましたように、実は技術士会の会員における女性の会員の比率は非常に実は低い。最近ようやく増えてきていると言いつつもまだ3%に至っていないという、そういう状況もあることを踏まえまして、今後、より一層これを発展させていくということで、この取組は今後ますます強化をしていかなければいけないということでございます。
 今年度のこの社会事例発表会でも、3点のテーマ発表があったということで、また何らかの機会でこういった取組もまとめて御説明できる機会もあろうかと思いますので、より一層この取組は力を入れて続けていく必要があると思っているところでございます。
 次のページをお願いいたします。工事監査支援活動、これは多くの方が技術士に対して持っておられるイメージを結構そのままあらわしている取組かと思いますが、公共事業に係る工事監査において、専門的な技術を要する技術調査を適正に行うために、技術士の専門技術を活用して地方自治体への行政支援活動を行っているということでございます。下のほうに実績がございますが、令和5年度実績ということで、15自治体・16案件の技術調査を対応させていただいていると、こういう実績を積んでいるところでございます。
 次のページをお願いいたします。次は防災支援活動の概要ということで、防災支援の取組につきましては、先般より本委員会におきましても、能登半島地震対応についてこれまで御説明をさせていただいたところでございますが、この取組も含めまして、防災支援活動については力を入れて取り組んでいるというところでございます。
 災害まちづくり支援機構との連携を通じまして、各種防災関係のイベントにブース出展などをして、技術士としての取組をいろいろアピールしているという、右のほうに少し写真とかが載っておりますが、こういった取組もさせていただいているということであります。また、震災対策技術展への出展とか、そういった格好でございます。
 それから、大規模災害時においては各省庁と連携を取り、専門の技術士を現地に派遣している、こういう取組をしているということで、能登半島地震対応でも御説明しましたが、実際には企業に属しておられる技術士さんが企業の震災対策ということで、その中で力を発揮しておられる場面が多々あるわけでございますが、これに併せまして、様々な、特に現地における技術者不足とか、そういったものの実態に対応しながら、個別具体的に、例えば自治体における技術者職員の不足に関して、何か支援ができないかというような依頼にもいろいろ対応させていただいているというところがございます。
 次のページをお願いいたします。科学技術振興支援委員会の取組として、これはもう名前のとおりですが、科学技術イノベーションへの貢献ということで、技術士会としてできることということでございます。具体的には理科教育支援という、特に小中学生を対象としたような理科実験教室みたいなことを、会員さん自らおやりになることに関して、そういう活動に関して私どもも補助をしたりとか、そういうことをしたりしております。
 令和5年度は、延べ54人の会員の技師士の方々が1,500名強の小中学生の方々へ理科の楽しさを伝えている、こういう実態がある。この数字は、ここは本部だけの数字でございまして、全国の地方支部におきましても同種の取組はしております。総数はなかなか把握できないほど実態的には相当数をお手伝いさせていただいている、こういう現状がございます。
 次のページをお願いいたします。技術士活性化支援活動の概要ということでございますが、これは業務支援基礎講座、省庁、いろんなお役所さんとか専門機関と連携を取りまして、その時代に沿ったテーマの講座を一般向けに開催をしているということでございます。例えば最近ですとカーボンニュートラルでございますとか、あるいはプロジェクトマネジメントといった、そういった取組についても一定の講座を設けて皆様に御参加いただいている、こういう取組を続けております。
 それから技術士開業の支援、技術士事務所を開業するというのは、結構特殊な業態でございますので、こういったことを仮に施行されたい方がいた場合にサポートできるような、基礎講座みたいなことを行っているということでございます。
 それから技術士業務に関する外部からの依頼への対応、様々な形の業務依頼があった場合の技術士さんとのマッチングを行っている取組をしております。
 最後のページをお願いいたします。国交省さんにおいて新技術活用評価会議への支援活動というのをここに設けさせていただいております。これは令和の時代になってから始めた新しい取組ですが、国交省さんにおかれましては、公共工事に関して様々な技術課題に対する問題解決の手段として、民間からいろんな形の技術提案を受け付け、これを評価し、評価されたものについてはリスト化して公表するという取組をされております。その評価の一員として技術士会も加えていただいているというのが最近事例として出てきました。
 具体的には、令和元年から近畿地方整備局で、まず最初の委員を送り込んだということでございます。委員としては、お一人だけですけれども、この委員を支えるべく技術士会の様々な専門技術を持った技術士がそのバックアップをして、技術士会としての意見を取りまとめて評価として提出すると、こういう仕組みを取ることで、個別の専門技術のみならず、様々な専門技術に対するコメントが提出できるような体制を整えているということでございます。
 公共事業なので、よく建設土木の関係の技術と思われがちですが、実は様々な形で設備とか、あるいは素材、材料とか、いろんな意味の新技術提案というのが多々ございます。また工法とか新工法とか、そういうことについての提案もある世界の中で、非常に専門技術としては多岐の専門分野を必要とするような提案が多いということなので、技術士会としては最も力を発揮できる場面かということで。下にも書いてございますが、近畿で始め、最近では関東地方整備局も取組を始めてきているという実態がございます。
 いずれにいたしましても、これらの取組で技術士会としては様々な形で社会貢献活動を行っているところでございますが、個々の会員の皆様はどうしても本業を抱えつつ、ボランティアとしてこの取組をされているということでございますから、おのずからボリューム的には限界があるところでございますけれども、一つでも二つでもこういう活動を可能な限り効率的に増やしていき、より多くの貢献ができるよう今後とも取り組んでまいる所存でございます。
 私からの説明は以上でございます。

【佐藤主査】  ありがとうございます。それでは、ただいまの日本技術士会の社会貢献活動に関しての御説明に対しまして、何か御意見ですとか御質問等があれば。どうぞ。

【江黒委員】  ありがとうございます。本当にすばらしい御活動をたくさんされていて感銘を受けました。1の司法支援活動、裁判所の鑑定人とか専門委員のお仕事を受けていただいているというのは本当に私どもも感謝しているところです。
 これに関連してですけれども、裁判所の専門員や鑑定人のお仕事ももちろん最も紛争解決に資する仕事ですけれども、紛争が裁判所に行く前段階のところで、裁判所に行く前の紛争というのが大量にございまして、こちらの池田先生に前お話を伺ったところでは、弁護士からの御相談も数々受けておられるということで、そういった弁護士が裁判所に行く一歩手前で何とか紛争を和解に持っていきたいとお互いの弁護士が思っているときに、技術的な相談をできる方が必要ですが、どこに相談していいか分からないというケースが多々ございます。
 なので、もう裁判所に行く一歩手前の時点で、紛争についても技術的に相談ができる技術士の先生が探しやすいということがもしあれば、非常に社会全体の紛争予防、紛争解決に資することになるのではないかと思っておりまして、潜在的なニーズはものすごくあるのではないかと思っております。
 私自身も、いろんな会社さんが紛争を、御自身の会社の専門分野ではない技術のところでもめていらっしゃるときに、弁護士は当然その人脈があるわけではないので、会社の方が必死でその分野の専門家を探したり、大学の先生を探したりしているんですけども、大学の先生は中立的なお立場もあるので、どこまで御迷惑をおかけしていいか分からないということもあり、こういうときに技術士の先生に御相談できればすごくいいだろう、技術の専門家の肩書をお持ちの先生に御相談できればすごくいいのかなと思ったことが多々あるのですけれども。
 例えば医療事故だったら、もう紛争のかなり初期の時点で、医師、ドクターに御相談するというのが、医療事故の紛争で、裁判に行く前からもうそういうことが通例になって、慣例になっておりますけれども、その他の技術面の紛争解決については、初期から技術の専門家に相談するということには、今のところ日本の社会の紛争解決のスタイルとしてはなっていないので。
 例えば、企業の中で勤務していらっしゃる技術士の先生の副業としても、その自社とのコンフリクトさえなければ、副業として個人の立場でお受けいただけることもあり得るんじゃないかと思っておりまして。弁護士業界に広く技術士の先生に御相談するということも知ってもらえるといいのかと個人的に思いました。
 以上でございます。

【佐藤主査】  司法の前段階でもニーズがあるんじゃないかというお話でしたけど、何か特にありますか。

【日本技術士会(眞先)】  多分御指摘のような案件というのは非常に全国でも多いんじゃないかと想定されますね。技術士会によっても一定のやり方を考えていくのも一つ手だろうと思いますし、もう一つは、技術士の例えば技術士事務所に御相談いただくような道とか、そういったのももしかしたらあるのかと思いつつ、今後どういう形でこれを、もう少しいい形にしていくのかというのは、多分いろいろ御相談しながらつくり上げていくことが必要なのかとは思っておりますので。また、今日の会議の場に終わらず、引き続き何らかの形でどういった形で進めていけばいいのかというのは、また一緒に考えていければと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

【江黒委員】  ありがとうございます。現状は、技術の専門家の方が裁判の前で見つからずに、どうしようもない場合にはもう裁判に突入して、専門委員の先生に見てもらって白黒つけるという感じになっております。

【日本技術士会(眞先)】  なるほど。

【佐藤主査】  よろしいでしょうか。小林委員。

【小林委員】  小林でございます。大変有用な事例を御発表いただいたと思います。その中で1点、工事の監査の支援の話と防災支援の話で、これは本当に地方の技術者が、職員の方々が大変今不足していて、こういったことを本来であれば、県であったり国が市町村の人材不足、技術人員がいないところを補完できればいいんだろうと思っていたんですけど、技術士会がこのような活動をされているというのは、すごくこれから重要な役割だろうと思うんですけど。
 1点、こうしたときにずっと継続的にしていくとなると、経費等が必要というか、かかる、ボランティアでやるということには限界があるのではないかという思いがするんですけども、特にこういった工事の監査というのは継続的にございますし、また防災は最近かなり増えてきているという状況からすると、ある程度経費をどこかでカバーしないと、技術士会でもしボランティアでやっていらっしゃるんだとすれば、なかなか大変かという思いもするんですけども。
 それともう一つは、特に災害の現場は、何かあったとき、事故があったとき等のために、保険とかそういったことを手当てしていかなければならないのではないかと思うんですけども、そういった点は現在何か手当てをされていらっしゃるのか、あるいはもう、先ほどボランティアということであれば、各企業さんの制度の中で取り扱っておられるのか、お伺いできればと思うんですが、いかがでしょうか。

【日本技術士会(眞先)】  私自身が必ずしも詳細を承知しているわけでは実はないのですが、自治体との関係で言うと、技術士会のスタンスはあくまでボランティアですけれども、自治体からしますと、一定の当然ながら謝金も含めて、一定の貢献した分の対価といいますか、そういったものは一応出るという理解ではおります。ただ、恒久的な対策として、それをどういうふうに定着させていくのかというのはまた違う問題があろうかと思っております。
 本来ですと、それは自治体のほうの体制の整備の話でございますから、そちらにどういう形で私どもが加われるかというのは、もうちょっといろいろ工夫しないといけないかと。技術士会はあくまでも公益社団法人でございますし、こういった立場を踏まえつつ、なおかつ人材あっせんをしているわけではないということを前提としつつ、一定の協力という意味での貢献はいたします。それをしっかり支える体制にするには、しかるべき技術者としての体制整備が必要であろうかとは思ったりはいたします。

【小林委員】  ありがとうございます。

【佐藤主査】  ほか何かございますか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
        そうしましたら議題3までが終わりました。事務局のほうで。

【橋本課長補佐】  事務局でございます。公開の議題が終了いたしましたので、これからの会議の議題4以降は非公開とさせていただきます。ただいま事務局でシステムの変更を行いますので、今しばらくお待ちいただければと思います。また、傍聴の皆様におかれましては、退席をどうぞよろしくお願いいたします。それでは、少々お待ちくださいませ。

【佐藤主査】  よろしいですか。

【橋本課長補佐】  事務局でございます。ただいま傍聴の皆様方に御退席いただきましたので、以降の議題につきましては非公開ということで開催をさせていただきます。

―― 了 ――

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(科学技術・学術政策局 人材政策課)