今後の技術士制度の在り方について(抜粋)

参考資料3

今後の技術士制度の在り方について(抜粋)

平成28年12月22日
科学技術・学術審議会
技術士分科会

3.具体的な改善方策

(1)技術者のキャリア形成過程における技術士資格の位置付け
産業界のあらゆる業種に対して、年齢や実務経験等に伴って、民間企業等の技術者に求められる技術者像、業務の性格・内容、業務上の立場、責任や権限、能力等に加え、関連業種にかかる技術士の活用状況等についてヒアリングした。
この結果を踏まえて、技術者の生涯を通じたキャリア形成の観点から、各段階に応じた技術者像等を以下の通り例示した。

【ステージ1】
技術者を目指す者は、高等教育機関を卒業した時点で、専門の技術分野に関して一定の基礎的学識を有し、技術者としてのキャリアをスタートする。このステージは、IEAの「卒業生として身に付けるべき知識・能力」(GA:Graduate Attributes)を満たす段階であり、日本技術者教育認定機構(JABEE)認定課程の修了又は技術士第一次試験の合格がこれに当たる。
このことから、第一次試験を受験する者は、高等教育機関等の卒業と近い時期に合格した上でこれ以降のステージに進んでいくことが望ましいといえる。

【ステージ2】
ステージ2を経て、技術士(プロフェッショナルエンジニア)となるための初期の能力開発(IPD:Initial Professional Development)を行う期間である。基礎的学識に加え、実務経験、自己研さんを通じて専門職としての資質能力を備えるための段階である。期間としては、4~7年程度の経験を積んだ上で技術士資格の取得を目指すことが望ましい。

【ステージ3】
専門の技術分野に関して専門的学識及び高等の専門的応用能力を有し、かつ、豊かな創造性を持って複合的な問題を発見して解決できる技術者として、この段階で、技術士第二次試験を受験し、技術士資格を取得することが望ましい。

【ステージ4、ステージ5】
技術士資格の取得後、継続研さん(CPD:Continuing Professional Development)
や実務経験を通じて技術士としての資質能力を向上させ、自己の判断で業務を遂行することができる段階である。更に国内のみならず国際的にも通用する技術者となる段階である。

(2)技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)
技術士は「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者」(技術士法)と定義されているが、これらの業務を行うために、技術士に求められる資質能力が明確に定められていない。
技術士制度の活用促進を図るためには、全ての技術士に求められる資質能力に加え、技術部門ごとの技術士に求められる資質能力(技術部門別コンピテンシー)を定めることも必要である。その際に、技術士資格が国際的通用性を確保するという観点から、IEAの「専門職として身に付けるべき知識・能力」(PC:Professional Competencies)を踏まえることが重要である。
技術士分科会では、このような認識に基づき、「専門的学識」「問題解決」「マネジメント」「評価」「コミュニケーション」「リーダーシップ」「技術者倫理」の項目を定め、各々の項目において、技術士であれば最低限備えるべき資質能力を定めた。
今後、文部科学省においては、この内容を民間企業、公的機関等の各方面へ提供し、技術士制度の活用を働きかけることが必要である。

(8)継続研さん(CPD)
技術が高度化・統合化し、急速に進化する中、資格取得後も継続研さん(CPD)を行うことで知識及び技術の水準を向上させ、その資質向上を図るように努めることは大変重要である。
CPDは技術者個人の能力向上、キャリアアップのために重要であるだけでなく、我が国の技術者全体の質的向上及び優秀な人材の育成・確保につながるものであり、名称独占資格である技術士資格の信頼性の確保及び国際的通用性の観点からも、全ての技術士がCPDに取り組むことが求められている。
また、APECエンジニア、IPEA国際エンジニアに代表される国際的な技術者資格認定制度においては、一定年数ごとにCPDの取組を確認して再登録を行う仕組みとなっている。このような国際資格との同等性を確保し、また技術士資格の信頼性及び実用性を向上させる観点からも、技術士資格においても一定の年数ごとに更新を行う制度を導入することを検討することが望ましい。なお、検討の際には、更新の方法やその条件、実施体制の在り方等の課題を考慮して行う必要がある。

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