資料4
第二次試験科目の改正に伴う日豪協定の対象となる技術士部門・選択科目の見直しについて
APEC域内で実務経験等が一定のレベル以上と認められる技術者に共通の称号を与え、国際的な活躍を支援することを目的として、1995 年のAPEC閣僚会議の決議に伴い、2000 年に合意された認定登録制度。政府間ベースの枠組みで、各国・エコノミーはそれぞれ「モニタリング委員会」を設立し、審査・選定、登録等を行っている。現在15 エコノミー(オーストラリア、カナダ、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、タイ、台湾、アメリカ)が参加している。APECエンジニアモニタリング委員会の審査を受け登録を受けるとAPECエンジニアとして名乗ることができる。
登録部門は11部門に分かれている(日本の場合)。また、日本の技術士は全ての技術部門(選択科目)が申請を行うことができる。(11部門とは、「Civil」「Structural」「Geotechnical」「Environmental」「Mechanical」「Electrical」「Industrial」「Mining」「Chemical」「Information」「Bio」※うち、「Structural」には技術士のみでなく一級建築士が含まれる。)
我が国でも、APECエンジニアに係る審査等の業務を行うため、APEC技術者資格相互承認プロジェクト関係省連絡会(以下、連絡会と呼ぶ)が「APECエンジニアモニタリング委員会」を設置した。連絡会を構成するのは9省(総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省(申し合わせ記載順))だが、その庶務は関係省の協力を得て文部科学省が処理するものとされている。
また、モニタリング委員会の設置要綱に定められている業務の内容は以下の4つで、委員会の庶務は公益社団法人日本技術士会が行っている。
・APECエンジニアの審査・選定基準、登録手続きの策定に関すること。
・APECエンジニアの審査・選定に関すること。
・APECエンジニアの登録に関すること。
・その他上記の業務に関する事項。
APECエンジニア相互認証プロジェクトにおける初の相互免除協定としてオーストラリアと協議を実施し、2003年10月1日に技術士資格の相互認証を行う枠組み文書が両国間によって署名された。(この枠組み文書は法的拘束力を有さない。) 日本が唯一締結している技術者相互認証の二国間協定である。
【枠組み文書の概要】
【参考】APECエンジニアの登録分野と技術部門及び選択科目との対応関係(令和元年5月現在)
APECエンジニアの登録分野 |
対応する技術部門 |
対応する技術部門 |
Mechanical Engineering |
船舶・海洋 |
船舶 |
航空・宇宙 |
機体システム |
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繊維 |
繊維二次製品の製造及び評価 |
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金属 |
鉄鋼生産システム |
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Electrical Engineering |
情報工学 |
コンピュータ工学 |
Chemical Engineering |
化学 |
セラミックス及び無機化学製品 |
繊維 |
紡糸、加工糸の方法及び設備 |
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金属 |
鉄鋼生産システム |
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農業 |
農芸化学 |
令和元年度試験から適用される技術士第二次試験の選択科目に係る改正に伴い、現在モニタリング委員会では、それぞれの技術部門・選択科目(21部門69科目)から申請できるAPECエンジニアの分野の見直しが行われている(2020年6月に開催されるAPECエンジニア協定の総会に提出し、承認を得る必要がある)。
それに伴い、日豪協定で相互認証を行うAPECエンジニアの技術分野(Mechanical、Electrical、Chemical)に対応する技術部門・選択科目についても同時期までに見直しを行い、国内の調整を終えるため、まず、技術士分科会において、モニタリング委員会が行った見直しの結果に基づく日豪協定のAPECエンジニアの登録分野と技術部門及び選択科目との対応表の改正案を作成する必要がある。
なお、日豪協定が結ばれた2003年10月時点では、技術士はAPECエンジニアのうち5分野(Mechanical,Electrical,Chemical,Civil,Structural)にのみ登録申請が可能であり、そこから2分野を除いた3分野のみを日豪協定の対象とし、現在まで当時の状態が継続されている。一方、技術士はその2年後、2005年の8月にAPECエンジニアの全部門に登録が可能となり、すべての技術部門・選択科目からいずれかのAPECエンジニアに登録申請ができる状態になっている。この点については、日豪協定に反映可能かこれまで検討が行われていない。今回の改正案の作成と併せて、関係省・業界やオーストラリア側の意向を踏まえつつ、対象となっていない分野を対応表に追加することが可能かどうかについて検討を行うことも考えられる。
2020年の6月のAPECエンジニア協定の総会に提出するためには、早急に技術士分科会での検討を終え、各省との調整を進める必要があること、また、本件は前期の論点整理で制度検討特別委員会において検討すべきとされていた各国との相互承認の検討とも結びつくことから、今後はより機動性の高い制度検討特別委員会で検討を進めることが適当といえる。
また、日豪協定の内容の変更には連絡会の承認が必要となるため、技術士分科会(制度検討特別委員会)で作成した対応表については、文部科学省事務局が関係省と調整を行う見込みである。
科学技術・学術政策局人材政策課