第7期 技術士分科会 制度検討特別委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成26年9月30日(火曜日)10時00分~12時03分

2.場所

文部科学省15階 局1会議室

3.議題

  1. 今後の技術士制度の在り方について~第二次試験~
  2. その他

4.出席者

委員

池田主査、福山主査代理、岩熊委員、奥野委員、岸本委員、中谷委員、根本委員、吉田委員

文部科学省

片岡人材政策課長、杉浦専門官ほか

オブザーバー

国土交通省、経済産業省、農林水産省、公益社団法人日本技術士会、一般社団法人日本技術者教育認定機構

5.議事録

午前10時00分開会

【池田主査】 皆さん、おはようございます。ただ今から科学技術・学術審議会技術士分科会第10回制度検討特別委員会を開催いたします。御多用中、御出席いただきましてありがとうございます。
 初めに、このたび委員が変更になっておりますので、御紹介いたします。
 一般社団法人日本経済団体連合会常務理事の根本勝則委員です。
【根本委員】 根本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【池田主査】 よろしくお願いします。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
【小林係長】 議事次第に沿いまして御説明いたします。
 まず、配付資料が資料1から6までございます。その下に、参考資料が参考1から5までございます。御確認いただければと思います。左上に、今年度の第二次試験の受験申込案内と、封筒に入っておりますが、機械の技術部門の問題、必須科目、選択科目1、選択科目2がございます。あと、いつもながら、法令集と紙ファイルの論点整理等があります。
 左手前に置かせていただいたんですけれども、右上に「メインのみ」と書かれた資料がございます。後で説明させていただきますけれども、この資料は、終わりましたらこの場に置いていただきたいと思います。
 その下に、本日の議論に関係するかもしれませんが、いわゆる青本という総合技術監理部門の技術体系も置かせていただいています。確認をお願いいたします。
【池田主査】 よろしいでしょうか。ただ今資料の御説明がございましたが、お手元にありますか。
 まず、それでは議題の1、今後の技術士制度の在り方についてに入りたいと思います。
 先日の技術士分科会では、特別委員会における審議内容を報告し、分科会委員より御発言を頂きました。私の方から分科会において御説明申し上げましたが、概ね御了解いただいたのではないかと思います。
 それでは、分科会における主な発言内容について、事務局から説明をお願いいたします。
【小林係長】 資料2でございます。9月11日に開催いたしました第30回技術士分科会におきまして、これまで本特別委員会で御審議いただきました内容につきまして、池田主査より御説明いただきました。資料としましては、当日の分科会で途中経過報告(案)をお示しして、分科会の委員より御意見を頂いたところでございます。
 資料2につきましては、頂いた御意見を観点ごとに分けて掲載しております。
 まず、基本的な考え方のところです。在り方の基本的な考え方のところでは、国際的通用性と科学技術イノベーションと個々の技術者の方のキャリア形成の観点から、技術士制度を見直ししていくことが必要であるとか重要であるというような考え方でまとめていただいております。
 国際的通用性の観点から在り方をデザインすることが必要になってくる、これからの日本の産業は、国内だけではなく世界、特にアジアのマーケットで通用していかないといけないので、アジアのエンジニアと技術者資格がバイで互換性を持ったものにしていくことが必要という御意見を頂いています。
 また、論旨の流れの中で、技術者に求められる資質能力はますます高度化、多様化しているという社会的な要求、背景があり、これに応えるために、技術士制度の活用促進が必要になってくる等、こういった流れではないかということで、ここは御指摘いただいたとおり、今後文章を修正していくということになっております。
 また、技術者キャリア形成における位置付けにつきましては、資料の中で、御指摘いただいております。ものづくりの製品に対する品質、コスト及び生産性に関する姿勢については、メーカーのお立場からすると理解できるということでありますけれども、技術士は、こういった企業内技術士だけでなく、コンサルタントの方や官公庁に勤めていらっしゃる方もいるので、こういった観点から、活躍するイメージをキャリアスキームの中に盛り込んでいってはどうかというような御指摘を頂きましたので、ここは現在、事務局の中で調査いたしまして、いずれ、これらを記入したものを分科会長に御相談していくという流れになっております。
 分科会でお諮りしたテーマのメインテーマで、第一次試験の在り方を特別委員会でも御議論いただいておりましたけれども、第一次試験の位置付けにつきましては、IEAのGAを踏まえることが重要になってくる。また、第一次試験合格者や技術士補資格を保有している方については、ある一定程度の認定された力を持っている者であることを企業側が認識すると、両者、つまり学生を輩出する側と受け入れる側の関係が実りあるものになるのではないかというような御指摘を頂いています。
 裏を御覧いただきますと、二つ目の丸のところですが、第一次試験でできるだけ多くの方々が合格して第二次試験に挑戦してほしいという考えがある。ただ、一定程度の知識や認識を問う必要があるという考えもあるので、ここはバランスを取りながら決めていく必要があるだろうという御意見を頂いています。
 また、技術士試験は難しいという世評を払拭するような活動も重要になってくるのではないか。第一次試験がそれぞれの技術者みずからのキャリアを生かす入口だと捉えて、大勢の方々が受験できるような環境ができるとよいというような御意見を頂いています。
 試験科目や問題の種類・内容のところにつきましては、IEAのGAに書かれておりました「環境と持続性」というキーワードにつきましては重要なアイテムであり、今後、第一次試験において特出しで記述してほしいというような御意見を頂いています。
 また、IEAのGAのポイントになっております技術者倫理等につきましては、知識を与えることで習得できるのではないか。例えば、合格者にサブ読本、パンフレットを配布して、実務を重ねる中で、こういったものも読んで習得していただく、その上で第二次試験に挑戦していただくという考えもあるのではないかという御意見も頂いています。
 また、2ページ目の下の方でございますけれども、適性科目で問いたいところは、生涯継続学習の心構えがあるかどうか、このようなことを認識していることが重要になってくるのではないかというような御意見を頂いております。
 3ページ目でございます。第一次試験と第二次試験とのレベルの違いをどうしていくのかということで、ここは第一次試験の合格レベルの話を御指摘いただいた委員もございます。それによって第一次試験がどんどん難しくなってしまうのではないかということを心配されていると。
 また、第一次、第二次については何が違うのか、レベルだけでなく試験の質が違うのではないかという御意見、本日の議論にもつながりますけれども、第一次試験では知識の確認ということでありますが、第二次試験は実践能力を問わなければいけない。単に知識があるだけでなく、実践能力があるかどうか、非常に重要になってくるというような御指摘でございます。
 次に参ります。技術士補や実務経験のところにつきましては、技術士補の資格が就職時に有利に働くのであれば学生のモチベーションが上がると思う、企業等の受け入れ側がこの資格をどう評価するかも重要になってくるという御指摘でございます。
 また、学部在学中に第一次試験を受ける方が増加しているという御指摘も頂きまして、学部の中で合格されている方がいれば、周りの方も技術士になりたいと思う方がいることも事実だと。技術士補の活用の場を作るべきではないかという御意見を頂いております。
 4ページ目でございます。CPDのところにつきましては、技術士であればCPD、第一次試験合格者であればIPDという研さんの積み重ねをどう評価していくか、非常に大事になってくる。試験とは別に、研さんの仕方、研さんをどのように積んでいるかと確認することが大事になってくるのではないかというような御指摘でございます。
 また、普及拡大のところにつきましては、大企業だけでなく、中堅企業や中小企業までを対象に、技術士制度の普及を図っていった方がよいのではないか。中小企業の中では、あるレベルに達したエンジニアに対する期待や要求がとても大きいという御指摘を頂いております。
 4ページ目の一番下でございます。第二次試験のところは本日の議論から進めていただくんですけれども、試験の内容のところで、ペーパーテストによる方法もさることながら、実務経験、インタビュー、面接を重視した試験内容にしていく方がよいのではないかというような御意見を頂いております。
 また、第二次試験は、技術者としての経験を踏まえて、非常に困難な倫理的問題についてどう対応するかという問い方をしないといけない。先ほど申した、第一次試験と差を設けていく必要があるのではないかという御意見を頂いております。
 以上でございます。
【池田主査】  どうもありがとうございます。
 ただ今、分科会において発言された内容について御説明がございましたが、今日はこれを踏まえて、第二次試験の在り方について自由な討議をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、本日の特別委員会におきましては、技術士制度の中核である技術士の第二次試験の在り方について議論を行いたいと思います。
 まず、事務局から説明をお願いします。
【小林係長】  資料3から6までと参考2、3を説明申し上げます。
 資料3につきましては、今後の議論の流れとしまして、第二次試験の在り方、本日を含めまして4回セットさせていただいております。本日の議論は自由議論としまして多岐にわたる御議論を頂き、事務局において、頂いた御意見をまとめていきたいと思っております。次回は10月29日とございますけれども、ここでは第二次試験の在り方のたたき台の案をお示しした上で、さらに御議論を深めていただきたいというふうに思っていまして、その際に、今並行して進んでおります二つの作業部会の進捗状況についても御報告申し上げて、御議論を頂きたいと思っております。
 加えて、第12回、第13回については、第二次試験の在り方、たたき台を踏まえてさらに修正したものを今期の最後の技術士分科会で御報告頂く案としてまとめていただくという位置付けでおります。
 資料4につきましては、本日御意見を頂きたい事項を案として書かせていただいております。第二次試験の在り方の前に、そもそもこの制度の在り方につきましては、基本的な考え方のところで3点お示しいただいておりますので、その観点から、第二次試験はどのような内容であるべきか、基本的な在り方、概念、考え方や方向性についてまとめていただければと思っておりまして、そのような観点から御指摘・御意見を頂ければと思います。
 一つ目は、国際的通用性の観点から、IEAのPC、プロフェッショナルコンピテンシーが定められており、かつ、分科会では今年3月7日に、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」を定めていただいたところでございます。
 それに基づきまして、これから資料5について御説明いたしますけれども、ポイントとなる点は何なのかというのを絞り出していく必要があろうと思います。それを基に、試験というフィルターでどのように図っていくのかという議論になっていこうかと思っております。
 二つ目の科学技術イノベーション推進に当たってというところでございますけれども、技術者に求められている資質能力が高度化、多様化している中で、国民の信頼に応えた高い専門性と倫理観を有する技術者を育成・確保するという観点から、第二次試験はどのような内容、位置付け等であるべきかという点についても御意見を頂戴したいと思っております。
 さらに、三つ目、個々の技術者のキャリア形成につきましては、これは技術者キャリア形成スキーム(例示)にございましたけれども、35歳程度、実務経験が10年程度を超える技術者の方が、複合的な問題を解決できる技術者であるために、またそのようになっていただくために、これらの資質向上を図る手段として、第二次試験はどのような内容、在り方であるべきかという点について、御意見を頂戴したいと思っております。
 資料5につきましては、左側のIEAのPCと、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」につきましては既に固まっているものですけれども、本日の議論にあたって重要な点を赤字で付けております。
 一番右の、「ポイント(キーワード)(事務局作成)」というところが今回初めてお示ししたものでございまして、1から8まで分けられるのではないか、さらに、不十分なところは御指摘いただきながら、重要なポイントは何なのかというのを固めていきたいと思っております。
 この資料5と資料6は連動しておりますけれども、資料6の技術士PCのポイントという左側の枠の中にございますが、これは資料5にあります1から8を少し並べ替えたものでございます。「知識関係」や問題解決能力を問うものとか、適性関係又は倫理関係というふうに、大きく三つに分けられるのではないか、さらに別の概念もあろうかと思いますので、そこは御指摘を頂きたいと思っております。
 まず、知識関係のところにつきましては、専門の技術部門、技術分野の業務に必要となる専門知識の理解があるのかという点を問うことが必要になってくるのではないか。さらに、資料5の2ポツ、また5ポツにありますように、業務に対する考え方や進め方という観点から重要なキーワードとなっています、複合的な問題に対する調査・分析・評価を通した、確かな判断に基づく解決策の提案、これはよくエンジニアリングデザイン能力という言い方もございますけれども、こういった観点を問うこと、また、業務上必要とする人員・設備等のマネジメントをどのようにできるかということを問うていく必要があるのかと思っております。
 また、適性関係というふうに一つにくくりましたけれども、法令等の遵守、使命、地位、職責を自覚した倫理的な行動がとれるかということと、コミュニケーションですとかCPDに対する理解等は、こういったくくりになれるのかというふうに事務局は考えたところでございます。この点についても本日御意見を頂きたいと思っております。
 参考資料につきましては、現状の試験制度がどのようになっているのかということを説明させていただこうと思っております。参考の2と3でございますけれども、試験実施大綱につきましては、分科会において毎年お決めいただいているものでございます。
 今年度第二次試験につきましては、参考2のように書かせていただいておりますけれども、第二次試験は、当該技術部門の技術士となるのに必要な専門的学識及び高等の専門的応用能力を有するか否かを判定するもの。必須科目につきましては、技術部門全般にわたる専門知識、選択科目につきましては、選択科目に関する専門知識及び応用能力並びに課題解決能力について問うということになっております。
 試験の程度につきましては、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計等の業務に従事した期間が4年等であることを踏まえたものというものが現状になっております。
 第二次試験は筆記試験と口頭試験に分けられますけれども、筆記試験につきましては、参考2の1ページ目の下の枠の中にございますように、必須科目、選択科目がございます。必須科目は択一、選択科目は記述式になっているということでございます。
 関連しまして、今皆様方の左側に試験問題、受験申込案内をお配りしておりますけれども、受験申込案内を1枚お開きいただきますと、受験者の方が書くもの、試験を受ける前ということで、受験申込書はこのようになっている。受験申込書の裏に業務経歴票というのを書いていただくことになっています。業務経歴票は、業務経歴を上段に書いていただいて、その中の一つを取り出して、業務内容の詳細を、業務での立場、役割、成果などを書いていただくという流れになっております。
 さらに、今御覧いただいています受験案内の冊子の中で、重要な点は7ページでございます。その中で補足と書いておりますけれども、今年度第二次試験の内容につきまして、概念や内容が書いておりまして、今申し上げた必須科目、技術部門全般にわたる専門知識については、技術部門について不可欠な技術、業務遂行に際して必要な社会制度等に関する専門的な知識というふうになっております。
 選択科目のところにつきましては、選択科目に関する専門知識及び応用能力としまして、専門知識のところは技術分野全般にわたる専門的な知識、応用能力のところは、これまでに習得した専門知識、経験に基づいて、与えられた条件に合わせて正しく問題点を認識し、必要な分析を行い、適切な業務プロセス、留意すべき内容を説明できる能力というふうにございます。
 さらに、平成25年度から新設されました選択科目3のところですが、課題解決能力のところは、概念としまして、社会的なニーズ、技術の進歩に伴い、最近注目されている変化、新たに直面する可能性のある課題に対する認識を持っており、多様な視点から検討を行い、論理的かつ合理的に解決策を策定できる能力を問うということでございまして、本日の御議論いただきたい点について、まず現状どうなっているのかということを説明申し上げました。
 ちょっと長くなって申し訳ございません、最後に「メインのみ」と書いてある資料を御紹介させていただきます。

(以下、日本技術士会国際委員会IEA-WGで議論された内容について事務局より説明)


 以上でございます。
【池田主査】 どうもありがとうございます。
 根本委員は今回が第1回目で、なかなかこれまでの議論を十分にすぐにはフォローできないと思いますが、何か御質問がございましたらどうぞ。
【根本委員】 幾つか、非常に示唆に富むお話を今説明いただきました。質問等は、この後の御議論を伺ってからまた…。
【池田主査】 分かりました。それではよろしくお願いします。
 それでは、ただ今事務局が説明しました、今後の第二次試験の在り方について、資料4の項目ごとに議論したいと思います。
 1、2、3と三つございましたが、まず、国際的通用性の観点から、IEAのPCを踏まえた技術士コンピテンシーを確認するために、第二次試験はどのような内容であるべきか、基本的な概念、考え方、方向性等について御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、皮切りに私から。
 分科会でも御指摘があったように、第二次試験のペーパーテスト一発ではなくて、それまでの業務の経歴とか面接等も含めてコンピテンシーを把握する、評価するというのはよろしいのではないかという御意見がございました。私もそのとおりだと思います。
 例えば、APECエンジニアもこれから技術士のコンピテンシーを中心に評価するということになりつつありますので、その点を踏まえて第二次試験の在り方を議論しないといけないと思います。
 例えば、今、受験申込書について小林係長から御説明がありましたが、やはりこれまでの業務というのがすごく重要な観点になってくるんじゃないかと思います。この申込書の2枚目のところに業務経歴票というのがありますが、ここをもう少し重視するようなやり方もあるのではないかと。
 ここでは、勤務先と所在地、地位・職名、業務内容、従事期間と書いてあるんですが、例えば、こういう業務を通じて定めていただいたPC、プロフェッショナルコンピテンシーのどの部分が開発されたかが分かるような書き方にして、そういうものをベースに面接を行うということが考えられるんじゃないかと思います。
 そういう一発の試験だけではなくて、その人が必要とされる能力をどうやって開発してきたか、あるいは持っているかというのを問えるような、一つの在り方としてそういうこともあり得るかと思います。
 いろんな観点があると思いますので、ペーパーテストでも確かめていかないといけないんですが、そういうやり方も一つ考えておいた方がいいのではないかという気がします。
 ほかの委員はいかがでしょうか。
【岸本委員】 よろしいでしょうか。
【池田主査】 どうぞ。岸本委員は特に国際的なことをなさっていますので。
【岸本委員】 このプロフェッショナルコンピテンシーについて資料5でまとめていただいたんですけれども、技術士に求められる能力をこの形で考えようということについては、もうコンセンサスがあると思ってよろしいかどうかということなんですけれども、それだとしたときに、その上でこれをどうやって測るかということが第二次試験になってくるわけですね。
【池田主査】 そうです。
【岸本委員】 それで、従来の試験でこれを全部測っているかというと、なかなか測ることができない面もあるということですね。
 そういったところで、今主査がおっしゃられたように、第二次試験の中で行われているペーパーテストやインタビューだけではなくて、業務経歴などを分析して総合的に判断するという方向性が出てきたんですけれども、それをどうやって実施していくかというのが課題になるのかと思うんですが、例えば、誰が審査するかということなんですね。
 そういった中で、ちょっと話がそれちゃうかもしれませんけれども、9月半ばにイギリスに行く機会があって、IMechCE、すなわち英国機械学会工学を訪問した際にチャータード・エンジニアをどういう形で認定しているかという話を聞くことができました。彼らは学部教育について、エンジニアリング教育としてふさわしいか認証をしているんですが、さらに、会社のトレーニングに対しても同じように認証をしているようなんですね。そういうような体制が整っている会社の技術者については、非常に簡単な提出物でチャータード・エンジニアを授与している。
 ということは、そうやって技術者の人たちが日々トレーニングしている教育システム、それをきちんと評価して、その評価をするためにはかなりお金を掛けているみたいなんですけれども、その上で技術士の資格を与えている。
 一方で、全体の技術者を考えたときに、それだけでは中に入ってこない人がいるわけですけれども、そういった技術者に対しては,きめ細かなテストを別途やっているということで、それと組み合わせると、かなり一人一人を細かく見ることができるんじゃないかというふうに話を聞いてきたんですね。
 それで、会社の中も含めてレーニングをやると、平均的には29歳ぐらいでチャータード・エンジニアになっているとのことです。
 では、それを日本に移し替えたときに、国際的通用性といったときに、会社の中でそういうシステムを持っていられたとしても、それを評価するシステムがないんですよね。それを作り上げるまで相当時間がかかるように思われます。理想的にはそのようなことを進めるということも一つありますけれども、そうだとすると、池田主査がおっしゃったように、かなりドキュメントを作ってもらって、それをみんなで技術士の人がチェックするということが必要になるのかなと思いますね。そうしないと測れないんじゃないかなと。
 例えば、社内にいる技術士の方が事前にチェックして、そういった推薦状みたいなものを添えた形で提出させるというのも、一つのやり方かなというふうにも考えられます。
【池田主査】 どうもありがとうございます。基本的には、日々の業務経歴みたいなもので、どういうふうにその能力を開発してきたか、あるいは身に付けてきたかという観点が、もう少し第二次試験にも入れるべきではないかという御指摘ですよね。
【岸本委員】 そういう書類は出せる人は出していただくけれども、出せない人についてはやはりきめ細かく試験をしなきゃいけないということで、全て同じ試験のやり方でじゃなくて、二本立てみたいなものにしていくことを考えてもいいんじゃないかなと思うんですね。
【池田主査】 ほかにはいかがでしょうか。
【奥野委員】 経歴を十分に審査の対象とするというのは非常に大事なことだと思うんですけれども、国際的通用性ということが今の時点では大変問題になっていて、先日の分科会でも、バイでもいいから相互に認証するということが大事ではないかという御指摘もあったんですけれども、今イギリスのお話も伺いましたが、どういう格好にすれば、例えば日本の技術士が十分、イギリスのチャータード・プロフェッショナル・エンジニアだとかそういうものにしっかり相当するような資格なんだということを、お互いに認めるという仕組みというのはどんな形で構築できるのかなというのが非常に大事なのかなと思うんですけれども、その辺はどういうのがあり得るんでしょうか。
【池田主査】 何回も申し上げましたように、今回PCを決めていただきましたよね。これはかなり国際的に共通のPC―我が国独自のものも少しありますけれども、それはそれで大事で、包含していると思うんですね、国際的なPCについて。それを様々な手段を使って確かめるということだと思うんですね。
 今までの第二次試験だと、岸本委員がおっしゃったように、必ずしも全て外に説明できるように、確かにこれは技術士の試験あるいは認定においてしっかり確かめていますよと言えることが大事だと思うんですね。多分そこが今のところ不十分じゃないかなと。
【奥野委員】 そうしますと、例えば今お話のあったイギリスのそういう機関に対して、日本の技術士の、我々がこういうコンピテンシーを求められていると。これについてはこういう仕組みでチェックし、審査し、合格証を与えているということをちゃんと説明して、それが納得されることが大事だと、そういうことなんですね。
【岸本委員】 そうですね。
【池田主査】 で、私、今APECの方の審査にも関わっているんですけれども、これはもう少し業務経歴が詳しく書いてあって、それで、その業務によってどういう能力が開発されたかということを説明してありましたね。多分、そういう方向がこれからいろんな国で出てくるんじゃないかと思います。日本の場合はまだなかなかそこまでいっていないので、試験以外には―試験の在り方も考えないといけないんですけれども、試験以外にはそういう観点が求められるかなと。それを面接でしっかり確かめるということが大事ではないかなと思います。
 それからもう1点、これはIEAのPCにも出てくるんですけれども、評価ですよね。評価というのがこれまで多分、試験の中で意識していなかったんじゃないかという気がします。
 先ほど、日本技術士会の「メインのみ」という資料がありましたが、この中で、後ろの方に随分評価について詳しく書いてくださっているので、多分これは、これまで余り議論したことがないのでしっかり議論していただいたんだと思うんですけれども、こういうものをどうやって測っていくかということが、これから第二次試験の中で求められるような気がします。この観点は、今までの第二次試験の中には恐らく入っていなかったですよね。
 自分が行った仕事を評価して、それを改善していくというのが技術士には求められるんだろうと思うんですね。そういう観点が今度入ってきたので、それでは、それをどうやって試験の中に落とし込んでいくかというのが、まだ我々はそういうのになれていないので、どうすればいいかというのは十分に分からないんですけれども、そういうものを含めて、御意見があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【岩熊委員】 以前、私が技術士の試験を受けたときは、経験論文がありました。評価の話ですけれども、その中で、自分の業務に対して、どういう業務だったか、自分の役割は何だったか、どういう解決ができたか、それを振り返ってどういうふうに評価したか、あるいは提案できるかというような観点で、自分の業務経歴論文を書く試験だったと思います。
 今のお話を伺って試験がだんだん変わってきたことによって、自分の業務に対して、振り返って書くことがなくなってきていて、これは昔の試験では聞かれていたように思います。
 ですから、今の試験制度がいいとか悪いとかいう意味ではなくて、いろいろな状況から変わってきているので、そういう観点で経歴を書いてもらうか、試験で問うかするのかなと思います。
【池田主査】 確かに、複合的な問題を解決するとか課題を解決するとかというところまでは前回の改正でいったんですが、それを振り返ってというところが少し弱い。
【岩熊委員】 そうですね。
【池田主査】 ですね、今の試験制度は。それは多分PCで求められているので、そこはやはり考えていかないといけないと思います。第一次試験は多分そこまでは求められていないんではないかと思うんですね。第二次試験は、やはり業務をやる資格ですので、一つのPDCAのサイクルといいますか、そういうものを構築するような能力を持っているということが必要かと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
【福山主査代理】 今の、業務経歴に自分が今までやってきたことをきちんと記述していただいて、ペーパーテスト以外の評価をそこに加えるというのは大賛成であります。
 ちなみに、今回頂いている業務経歴票を見ますと、業務経歴票の書き方みたいなのもそういう意味において一工夫要るんじゃないかなと思うんですね。例えば、何ページがいいのかな、業務経歴票の書き方…。
【岩熊委員】 25ページ。
【福山主査代理】 そうですね、25ページ、今、業務内容の詳細というのがありまして、業務経歴の中で、詳細には丸を付けてください 、丸が付いたものについては、業務内容の詳細を720文字以内に簡潔に分かりやすく整理して記入することとなっています。 僕は、これは出題側の意向と、 それを書く人の意向がきちんと合っている必要があるんではないかと思います 。だから、じゃ、なぜ詳細を書いていただくかということについては、 7年間の実務の中で、技術士候補の方がPCを強化するためにこういうことをやってきたんだよという代表例として詳細を書いていただかないと、技術者がやってきた自分の得意分野の詳細を書かれても、出題側と提出する側とにミスマッチが生じると思います。 そういう構成の仕方も重要なんじゃないかなという気がしますけれども、いかがでしょうか。
【池田主査】 そうですね。
【福山主査代理】 意識して書く人はきちんとした評価がきっと得られると思うんですけれども、自分の中の、5つ書いた中の4番目が一番自分としては報告しやすいみたいなものは、書くときに観点がずれる可能性がありますよね。
【池田主査】 そうですね。
【岸本委員】 そういう意味で、プロフェッショナルコンピテンシーが身に付いているかどうかを証明するための文章になるような業務経歴でないといけないわけですよね。
【福山主査代理】 そうです。
【岸本委員】 そうすると、一つのものを取り出して、それで実際にこういうのを解決しましたというのだと、証明になかなかできないですよね。具体的に示さないといけないということで。実際にどう書くかは難しいかもしれませんけれども、プロフェッショナルコンピテンシーが身に付いたことを示す活動報告書みたいなものに変えていくというのが一つあるんでしょうかね。
【池田主査】 例えば、資料5の右側に事務局が書いていただいたようなものについて、1とか2はこれまでの試験である程度やれますよね、課題解決能力とか、あるいは専門知識を問うていますので。特に3とか――3、4はコンプライアンスということで大丈夫だけれども、特に、業務上の責任の保持だとかあるいは評価、それをどういうふうに改善に結び付けていったかとか、そういう面は少しキーワードを入れて書いていただくということがあると、今先生がおっしゃったようなことをある程度評価できるかなと思います。このあたりは書き方の工夫が必要かもしれませんね。
 例えば、どういう仕事をやったかということをこれまで中心に詳細に書いていただいているので、そうじゃなくて、もう少し踏み込んで。
【奥野委員】 そうですね。本当ですと、その先、いろんな選択肢の中からこういうものを選んでこういうふうなことをやったけれども、実はこういう点に反省の余地があったとか改善の余地があったとか、そこまで書き込んでもらえれば、またそれで面接のときにもう少しそれをお伺いして、その方が業務を通じてどういう成長をされてきたかというのがある程度分かるのかなと思いますけれども、なかなか人間はこういう反省点があったというのは書きにくいですから、その辺が難しいところかもしれませんけれども。
【池田主査】 そうですよね。例えば、専門的な知識と技術的な問題は多分かい離がそんなにたくさんはなくて、ペーパーテストになじむと思うんですが、こういう問題というのは様々な物の考え方があって、その中で自分がどういうふうに選択していくかということですので、今日議論になっているようなやり方で能力を測っていくということが必要なんでしょうね。その二本立てでやらざるを得ないという気がします。
【奥野委員】 もう一つ、課題解決能力を問う応用能力の部分の問題があるんですけれども、そちらでも少し工夫をすればできるかもしれませんが、やっぱり面接でいろいろお話しできる種を受験申込書に書いておいていただくのが本当はいいのかもしれませんね。
【池田主査】 もともとはその趣旨でここに書いていただくことにしたんですけれども、まだちょっと書き込み方が足りないかという気がします。
 ほかにはいかがでしょうか。特に、ペーパーテストについては余り議論していないんですが、もしペーパーテストの方で、こういうものについて第二次試験を実施すべきというような御意見がありましたら伺っておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【中谷委員】 こちらにPCの内容が書かれていますけれども、この中で、ペーパーテストで評価すべき内容と面接で評価する内容は切り分けることをやった方がよいのではないかと思います。
 以前から議論がありますけれども、例えば資料5「ポイント(キーワード)」欄の3番の倫理の話であるとか、あるいは技術士になられた方に対しては継続研さんを求めるということを言うわけですけれども、では、受験をしてきた人たちが実際に第一次試験に合格するなりJABEEの認定校を卒業するなりした後に、第二次試験を受けるに当たって自分たちがどういう研さんを積んできたかということは、これは業務の経歴とはちょっと違う観点の情報が、面接者としては必要だと思うんですね。
 というように、どこを何で評価するのかという合格基準ということも関係すると思いますが、そこをまず切り分けていって、その後に、業務内容の詳細では何を書いてもらうかということが決まってくるのではないかと。
【池田主査】 おっしゃるとおりですね。
 例えば、今倫理の話があったんですが、法令とか…法令は知識ベースのものですよね。
【中谷委員】 そうですね。
【池田主査】 それから、倫理も知識ベースのものと実践の部分とが両方あって、知識ベースのものは試験で問えるだろうと思うんですね。ところが、実践については業務とかと関係しますので、業務の中でいろんな問題が起こるんだけれども、それをどうやって解決していったか、あるいは自分がどのように判断して行動していったかというのがすごく大事で、それは業務経歴の中に書いていただける可能性はあると思うんですね。それについて面接でお伺いするというやり方はあると思いますね。そういうふうに切り分けていく必要があるだろうと思います。
【福山主査代理】 もう少しさかのぼった議論をさせていただきたいんですけれども、この技術士のPCというのはこんなものだよというのは、受験者はどうやって知るんですか。勝手に勉強しなさいと、こういうことなんですか。
【小林係長】 それは、受験申込み案内であるとか、今後、ホームページにも掲載しますけれども、受験者に対して知らしめる。今年度の調査研究の中でもう少し具体化したコンピテンシーもお示ししていくということですね。
【福山主査代理】 例えば、日本国が求める技術士というのは、こういう要件があり、それに加えて、技術士とはこういうPCを持っている人を指すんだとか、そういう文言はどこかに出てくるんですか。
【池田主査】 前の改革のときには、技術士というのはどういう能力を持っている人かというのは簡単に書いていたような気がしますけれども、今回PCが変わったので、それはそのように書き換えていく必要があるんじゃないかと思います。たしか、前ありましたよね、技術士とはどういう人だったというようなことで…。
【吉田委員】 技術士というのは技術士法で定められているわけですから、それを読みますと、概括的にIEAが言っているプロフェッショナルコンピテンシーは包括されていると私は認識しています。
 それでもって、実はこの議論をやる前に、「メインのみ」という、「『技術士に求められる資質能力』の解説(案)」というのを日本技術士会国際委員会IEAのワーキンググループが検討した資料があるんですが、実は私の手元には、さらに突っ込んで、現在行われている技術士第二次試験の検証をIEAのPCの基準に従って評価したらどうなるのかというレポートがあります。
【池田主査】 そうなんですか。
【吉田委員】 これを、各委員に渡したら、とてもすばらしいことが書いてあるんですけれども、これを次回出していただければと思っています。
【池田主査】 それは改善のポイントになりそうですね。
【吉田委員】 現状、どの項目…これはこの前、技術士分科会で3月7日に決められたプロフェッショナルコンピテンシーとは若干違う、実際にIEAのステートメントの中でプロフェッショナルコンピテンシーというのはこれだと13項目出されているものが、現行の第二次試験の中で適合されているものはどれなんだ、やられていないものはどれなんだ、これらは本当に試験で問うことができるんだろうかと、その結果を検証したものがあるんですね。それが何科目かでやっているんですね。正直言って、大半は適合していると私はこれを読んで思ってはいるんですが、検証できない項目もある。これは何か別建ての手だてを踏む必要があるんじゃないかということも記されている、非常に意味のある検討結果なので、提案ですが、次回、私はこれを各委員に出していただきたいと思っております。
【池田主査】 これは卓上配付ということなんですが、それは皆さんに配付してもよろしいんですか。
【吉田委員】 私はいいと思いますけれども。
【池田主査】 この続きになっているんでしょうか。
【小林係長】 吉田委員のおっしゃることの補足ですけれども、今週このワーキンググループの次回会合があり、そこではワーキングの委員の方々が、機械とか農業とか電気電子とかいらっしゃるんですけれども、全て網羅されていないんですね。
【吉田委員】 全てじゃないんですね。
【小林係長】 なので、御自身の技術部門と類似するものについては検証できるということで、これまで作業されていた結果が次回ワーキングで議論されると思います。その資料の性格が、どこまでできるのかというのは、会長とワーキング等と相談させていただきたいと思います。
【池田主査】 なるほど。ポイントは二つあると思うんですね。PCを今測れるようなことになっているかどうか、測れていないものは何かということと、それから、測定の仕方があると思うんですね。測定のインプルーブメントというのは必要で、その二つが第二次試験の今回の議論のポイントになるんじゃないかと私は思うんです。
【福山主査代理】 吉田委員、今の資料はどういう位置付けの資料になるんですか。
【吉田委員】 私は分かりません。ただ、私は会長ですから報告を受けただけです。ペーパーとして。
 このタイトルは、IEA-PC基準による技術士第二次試験の検証というタイトルなんです。
【池田主査】 大変きっちり議論していただいていると私は認識しましたけれども。
【吉田委員】 ワーキンググループではしっかりやっていると思うんですが、今小林係長がおっしゃったように、全20技術部門について検証しているわけじゃないんです。わずか三つか4つの部門について検証していますから、それが20部門に展開したときにどうなるかという議論はここではしていないんですね。この部門においてはこうですということ。
【池田主査】 しかし、それは役には立ちますね、参考になりますね。
【吉田委員】 ええ、参考になると思います。
 共通部分としては、例えばIEAの中では、CPDなどは身に付けるべき13の項目の中にあるわけなんですが、これは第二次試験で問えないではないかと。だから、別建てで何か制度を作るべしという提言をしているんですね。
 ただ、主査がおっしゃったような評価とか何かについては、一部の技術部門では、どう評価するかという問い方をしている、だから、それは適合していると言えるんではないかと。ただ、全ての技術部門においてそうしているかというと疑問であるということは言っているんですけれども。
【池田主査】 それは多分、その分野では重要だというふうに認識されて、されているものですけれども、それを制度としてこれを取ってくださいというと、皆さん、されるようになる…。
【吉田委員】 だと思いますね。
【池田主査】 そこがここの仕事ではないかと思います。
 ほかにはいかが…。
【岩熊委員】 今のそれは、主査がおっしゃったように、経歴とペーパーテストと面接という三つで評価するという意味では、ペーパーテストだけですか。
【吉田委員】 いや、口頭試問も含めて。
【岩熊委員】 含めて?
【吉田委員】 ええ。
【岩熊委員】 経歴から全部?
【吉田委員】 だから、口頭試問のベースになる資料ですから、業務経歴というのは重要なファクターでありますので、それを併せて検証しているということですね。
【岩熊委員】 併せてですね。口頭試問を併せるというのは、それぞれに面接者がいます。
【吉田委員】 しかし、口頭試問は大くくりに、この試験実施大綱にもあるように、こういうものを聞きなさいと書いてありますね。
【岩熊委員】 あります。
【吉田委員】 だから、それを聞いたかどうかは、密室の中ですから分かりませんけれども。
【岩熊委員】 では、そうすると、口頭試験で聞く内容という意味で、中身の問題ではないということですね。
【吉田委員】 ええ、そうです。
【岩熊委員】 分かりました。
【吉田委員】 確かに、受験者と試験委員の密室の中での話ですから、これを全部聞いてくださったかどうかなんというのは一つずつ検証することはできませんよね。でも、試験実施大綱の中ではこういう問題を聞けと書いてありますから。
【池田主査】 日本技術士会の専務理事から何か御発言があるようですので。
【日本技術士会】 今、吉田会長からIEA対応WGでやっている作業についてリファーされたので補足しますと、マンデートとして与えられた仕事ではなくて、このWGの方で、実際コンピテンシーの要件を技術士試験でやっている内容と照らし合わせて客観的にやってみたら、本当に満足している、していないのかというのが分かってくる、見えてくるんじゃないかということで、幾つかの部門に絞ってやってみたというのが事実だと認識しています。
 ただし、役所的に言えば、これがこういうふうにやられている、いや、実際これは要件を欠いているという話には普通、国としてはしないで、これはこういうふうに読むんだといって、全部逆算で満足しているというふうに落ち着けるのが普通かと思っていたものですから。
【池田主査】 それは議論の一つの参考にさせていただければと思います。
【吉田委員】 これは、まして一つの意見として、実際に現行のものをこの人たちがどこでオーソライズされたかと言われると困るんですが、技術士の方々が見て、意見として述べたという点では非常に重要だろうと。
【池田主査】 そうですね。一番そこで直接的にお仕事されている方たちですから。
【吉田委員】 で、みんなメンバーが技術士を持っている方ですから。
【岸本委員】 今の吉田委員の発言から類推するところは、今の出題の、こういう観点で出してくださいと言ったときに、出題者側が必ずしもPCを測るというつもりで作っていないので、問題の作り込みが部門ごとに必ず当てはまるような出題になっていないんですね。だから、それだとすると、それをこれに合うような試験にしようといったときに、もっと細かく決めていないと出題もできにくいかと。また一方で、細かく決めたらそれに合うような出題になるのかどうか。その辺りを考えていかないと、これからの課題としてそこが大事じゃないかと思うんですね。
【池田主査】 面接者の方にも、こういうポイントを確かめたいんだというのは、少し必須の条件をまとめておく必要があるかもしれませんね。それは今されているんですか。
【小林係長】 これからの作業になります。PCはもっと具体的に今どういった確認作業なのかというのと、試験を作る方々の御認識に入れ込むような説明というのがこれから必要になってくる。
【池田主査】 前、全く民間の資格についてやったんですけれども、どういうものを確認したいかというのが一応書いてあって、チェックするようになっていましたね。それは多分、PCを確かめる一つのやり方になるような気がしますけれども。
【吉田委員】 多分、これが決まれば、固まっていけば―これは試験部会というのはまた別にあるんですよね。
【小林係長】 はい。
【吉田委員】 そこで試験実施大綱がそれに従って定められるんではないでしょうか。そうすると、各試験委員が作問するに当たり、あるいは口頭試問で質問する項目がおのずと決まってくると理解しています。
 ですから、まずは第二次試験の中で技術士に求められる資質能力をどうやって問うか、どこのレベルで問うんだということを決めればいいんじゃないかと思うんです。
【池田主査】 どうもありがとうございます。30分ぐらい議論していただきましたので、次の観点に移りたいと思います。
 2番目の観点は、科学技術イノベーション推進の観点から、高い専門性と倫理観を有する技術者を育成・確保するということから、第二次試験はどのような内容であるべきかにつきまして、御意見を頂戴したいと思います。
 科学技術イノベーションから高い専門性と倫理観というのはちょっと飛躍があるところもあるんですが、そういうものを念頭に置いて、どのような技術者を育成・確保するかという観点から御議論をお願いしたいと思います。
 イノベーションというのは新しいものを生み出していく、物事を革新していくという意味だと思うんですけれども、これまでの技術士試験は、与えられた課題をどうやって解決していくか、複合的な問題、あるいは課題解決能力を問うというのが中心だったと思うんですけれども、これは日本の技術士の評価でも言われているんですが、デザイン能力がやや欠けているのではないかと。それはイノベーションにつながっていく能力ではないかと思うんですね。いろんなものを考えて、課題を発見するとか、あるいはデザインしていく、そういう能力を第二次試験で確かめていく必要があるだろうと思います。
 そういうことからすると、ただ単に与えられた課題だけを問うような問題から少し脱皮していく――それも大事なのですけれども、一歩踏み出す必要があるんじゃないかという気がするんですが、そういう観点から、少し委員の皆様方の御意見を頂戴できればと思います。
 「(メインのみ)」の資料で議論されている8ページの問題解決のところには、少しそういうことが議論されているような気がします。デザイン能力というのは、つまり、技術士PCは提案し又は改善するというような意味で、提案する能力ということだろうと思うんですね。そういうふうに定義されていますので、それをどうやって第二次試験の中に落とし込んでいくか、あるいは実施すべきかということを、もしお考えがあれば、今日お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【根本委員】 過去のことはよく分からないままに申し上げるので、もしかしたらポイントが外れていたら申し訳ないのですが、先ほど出ましたPCのお話は、この13分野で一応決定されているという形でございました。その上で、どの程度の人数で技術士を生み出そうとしているかというところで、恐らくレベル感のところは決まってくるのだろうと思っております。
 それを超えて、科学技術イノベーション推進ということになってまいりますと、今、主査から御指摘がございましたデザイン力といいますか、その前段の部分の、実は課題抽出力のところが最も重要になります。抽出された課題の解決力等々は、いわゆるお勉強の類いで相当程度改善できる部分があるのですけれども、抽出力のところは学ぶところがなかなかありません。例えば文化系でやられているのは、一般的なケーススタディー、課題を出しまして、何が課題であるのか、それを見極めさせた上でその解決策も全て提示させる。こうしたことをやるケースもビジネススクール等ではございます。
 したがって、もしもう一段高いレベルの技術士試験、そういう能力を問うということであれば、抽出力を問うような形のものもお出しいただいたらよろしいのではないかと思います。
【池田主査】 いわゆる課題発見能力といいますか、そういう言い方で、大学教育でもそれは最近重要になっていますよね。だけれども、今までの第二次試験ではそういうことは余り、与えられた課題はどうやって解決すればいいかという観点での試験は導入されていると思うんですが、課題発見あるいは抽出能力というものをこれから、技術士はイノベーションの…何ですかね、中核と書いてある、中核といいますか、果たすべき役割はすごく大きいと思いますので、そういう面での能力も測れるような試験制度が望ましいですね。
 例えば、複合的な問題と課題解決能力、応用能力と課題解決能力を問うているんですけれども、それに一つ何か、場合によっては、複合的な問題と課題解決能力とを統一して、もう一つ―もう一つがいいのかどうかは分からないけれども、それにそういう課題発見能力、それからそれをどうやって解決していくかというような観点の試験をやった方がいいのかと思います。なかなかどうやってやればいいかというのはすぐ思い付かないんですけれども。
【岸本委員】 ちょっと逆の面でいうと、今の第二次試験の中で、必須科目というのは知識を問うている問題なんですね。かなりこれは暗記的な要素も多いんですけれども、むしろそういう問題は第二次試験ではやらない方がいいんじゃないかと。知識というのはいろんなところから得ることができるわけで、覚えていなくてもいいわけですよね。これは試験に行く前に覚えておかなきゃいけないんですけれども、そういう能力を第二次試験で問うているから別の方の資質が伸びてこないというか、そちらの方をやめていくというのもあるのかと。
【池田主査】 全てなくしていいかどうかは分からないですけれども、簡素化するということは場合によっては考えられますね。
【岸本委員】 第一次試験でそれをやっている上で、第二次試験でもう一度高度な知識といっても、余り意味がないようなことをしているんじゃないかと。むしろ知識の応用能力ということであれば、別に本を持ってきてもいいし、何を持ってきてもいいところで試験をさせるとか何かしていかないと、資質能力は高度化、多様化しているという意味からすると、ここのところは変えた方がいいと思います。
【岩熊委員】 第二次試験に選択が復活したのは3年ぐらい前でしたか。
【岸本委員】 はい。
【岩熊委員】 そのときに、第一次試験と同じようなことをまた第二次試験で聞くのではないか、そういう話があったと思います。
【岸本委員】 ありましたね。
【岩熊委員】 かえって第一次試験の方が難しいという話もありました。
 先生の今の御指摘のとおり、最近は単純な知識であればどこからでも手に入るし、知らなくてもここのところに書いてあるということが頭の中に入っていれば、いろんなことに対応もできるので、第二次試験に復活したときのことを考えると、同じことを2度やっているかという気はしています。
【池田主査】 そうですね。例えば面接を中心に行っている国ですと、多分そういうことは余り、基本的な知識の試験はやらないですよね。ですから、面接を1時間やっている国―我が国は20分になっているわけですが―全て面接というわけにはいかないと思いますけれども、試験を援用して面接するというようなやり方になると思うんですが、1時間面接しているところでは、そういう基本的な知識みたいなものは多分そうは問うていないだろうと思いますね。
 技術者としてどういうふうに問題を見つけて解決して、それをどうやって改善していくかというような能力を確かめるというのが多分面接中心の試験ではないかと思います。
【岸本委員】 あと、面接だけではなくて、申込書ですか、業務経歴票を作り替えたところで、そこで自分の知識がどのくらいあるかというのを説明してもらえれば、特に面接でもう一度そこは細かく確認する必要はないような気もするんですね。
【池田主査】 PCで求められている能力は、第一次試験でかなり把握できるところはあるわけですね。例えば数学的な能力とか、そういうのは第一次試験でしっかり確かめておけばいいのでしょうね。
 それぞれの専門のところはどうなんですかね。それは一つはあった方がいいんじゃないかという気もするんですけれども、どうでしょう。
【奥野委員】 今、別途、第一次試験の大くくり化の議論がなされていますから、そこで、第一次試験でどういうものを問いて、第二次試験でどういう専門的知識を問うかというのを整理する必要があるのかもしれないという気がいたします。
【岸本委員】 イノベーション推進に当たってといったときに、狭い専門能力のところをずっと突き詰めているというよりは、いろんな分野の人たちと一緒に働けるということになると、個々の知識をどこまで頭の中に置いておくかというのがどのぐらい必要なのかというのも気になるところなんですね。
【奥野委員】 そこはやっぱり専門知識に根差したイノベーションという感じになるんじゃないかと思いますけれども。
【池田主査】 私もそういう意識を持っているんですけれども、やっぱり何かベースを…。
【岸本委員】 今、専門分野が多過ぎるんじゃないかという気もしているわけです。
【奥野委員】 そこが今はあるかもしれませんけれども。
【岸本委員】 試験で問うのは多くの知識の中のほんの一部だけで、受ける方からすると当たり外れが多すぎるような気もするんですよね。こういう数が少ないところで聞いていますから。
【池田主査】 本来の筋は、私はやはり、基本的なことを理解した上で、それを技術者としてどうやって使って課題を見つけたり解決したり、それをどうやって改善していくか、そのときの判断になるのは法令とか倫理だということですよね。そこを確かめたい。もう少し、それでもうおしまいということではなくて、その能力を開発していかないといけないわけですから、それはキャリアの中で、CPDとか業務によって能力を開発していくというのが本来の技術者としての姿じゃないかと思うんです。
 そういう能力、今申し上げたような、プロセスをきっちり身に付けているかどうかというのがすごく大事な気がするんですね。
【福山主査代理】 本論ではないんですけれども、よろしいですか。
【池田主査】 はい、どうぞ。
【福山主査代理】 資料4「御意見いただく項目(案)」の2の、「科学技術イノベーション推進」とその次に出てくる「高い専門性と倫理観を有する技術者」というのが少しぴったり来ないんですけれども、例えば高い専門性と倫理観を有する技術者というところは、求められる資質能力を備えた技術者というふうにしてしまえば、一番目で問うた、PCはどうあるべきか、そのPCを備えた技術者は科学技術イノベーションを推進するに当たってどういうふうに育成・確保するか、その試験をどうするか、それにつながってくるんじゃないですか。ここで「高い専門性と倫理観を有する」と抜き出しになるのは何ですか。
【小林係長】 全てにおいて関連はするとは思うんですけれども、違った角度から見たときという意味で、このイノベーション推進というところについては、科学技術基本計画とかこれまでの政府が決めた考え方に基づいて、技術者の立場というか、高度化、多様化している今の状況からして、技術士制度はどういうふうに活用していくかということを書いたつもりでおります。
【池田主査】 私、最初に見たとき、うーん、どうかなと思ったんですけれども、何か分からないでもないんですね。多分、今の技術士は、イノベーション、あるいはどんどん変わっていく世の中でいろんな問題が起きていて、それを解決していかないといけないし、取り組んでいかないといけないわけですが、そういう観点で試験をやっていないんじゃないかと思うんですね。技術的な課題については割と、どうやって解決していきましたかというような問い方をしているんですけれども、多分この業務経歴票もそういう書き方になっていて、もう一歩踏み込んで、いろんな問題がある、それをどうやって見つけて解決していくかというところまで踏み込んでいかないといけないと思うんですね。それを目指すのが大事じゃないかと思うんです。
【福山主査代理】 私は個人的には、例えばイノベーションというのは何かというと、矛盾マトリックスを解くことにあると思っているんですね。矛盾マトリックスが解けるためにはAかBかのチョイスをしていく中で、例えば選択の基本に社会観とか倫理観がなくちゃいけない、そういうふうに定義すると、この頭の科学技術イノベーションと高い専門性と倫理観というのがつながってくると思うんですけれども、そういう理解でいいんですか。
【池田主査】 多分、イノベーションというのは、新しいものを作っていこう、単にそういうことのイノベーションではないんだろうと思うんですね。多分、このイノベーションというのは、いろんな社会が抱えている問題があって、それを見つけてそれを変えていく、あるいは技術的な、技術者の観点から、それにどうやって取り組んでいくかということが求められるんじゃないでしょうか。
 これは大事な観点で、例えば戦後、私の分野でいうと、インフラが圧倒的に足りなかったからそんなことを考える必要がなくて、とにかく要請があったものに対してどうやって作っていくかと。だけれども、これからは、どういうふうに我々が取り組んでいかないといけないかということを考える必要があるだろうと思うんですね。そういう能力が必要とされてきつつあるんじゃないかと思うんです。
【福山主査代理】 そうすると、この2番目の設問というのは、高い専門性と倫理観を問う第二次試験はどういう内容であるべきかというふうに置き換えればいいんですかね。
【小林係長】 はい。
【福山主査代理】 そういうことですよね。
【岩熊委員】 資料6の絵と資料5の表を見ながら、高い専門性というのは、資料5でいうと、1、3、4、5、9、12、13…13が入るぐらいで、倫理観を有する技術者というと、資料6でいうと【適性関係】と書いてあるあたりが、資料5の2、6、7、8、10、11ぐらいで、後に言ったのはベースとしてあって、この表は二次元でイメージして私は捉えています。上の二つはそれに乗っかるものである。
 そうすると、先ほどの質問の話も、高い専門性と倫理観を有するという適性関係はベースで、ファンダメンタルなイメージで表を捉えてみて、見ていました。PCの表を二次元的に分けてみて試験でどう問うかと考えたらどうかと思いました。
【岸本委員】 ちょっとよく分からないところもあるんですけれども、イノベーションといったときに、何か新しいものができるだけじゃないと先生がおっしゃられたのはそうですし、それが普及しないとイノベーションにならないですよね。
 だから、新しく出てきたことをみんなが使えるようにしなきゃいけないということは、他の分野で新しいことが起きたときに、それを理解して使わなきゃいけないとなると、そういう意味からすると、高い専門性といったときに、自分の分野だけ知っているだけじゃないということが恐らく含まれていて、他の分野への理解力だとかそういったところだとすると、10番目の「コミュニケーション」というのが単なる文書のやりとりだけになっているんですけれども、専門家としてのコミュニケーション能力、要するに、他の分野の人たちに自分が適切に説明できるし、他の分野の人たちの言っていることが分かるような能力というのをこのコミュニケーション能力の中に求めていく必要があるのかというのが少し思ったところです。
【池田主査】 少し、上の方は口頭とか文書の方法を通じてと書いてあるんですけれども、仲間だけではなくて…。
【岸本委員】 これ、上司、同僚、クライアントとか…。
【池田主査】 クライアント、ユーザー、これは特に社会基盤なんかだと一般の方とのコミュニケーションというのがすごく大事で、一種のユーザーというのは多分それに相当するところかと私は思いつつ、これでもいいかなと思っていたんですけれども。
【岸本委員】 やっぱり、専門の違う人たちの技術者が集まって仕事をしなきゃいけないということについてがここに入っていない。
【奥野委員】 そういう意味でいいますと、私はこのマネジメントのところに入ってくる部分もあるんではないかと思うんですね。
【岸本委員】 ああ、そうです。
【奥野委員】 最初に課題抽出能力が大事だという御指摘もありましたけれども、そうした課題を抽出してこれを解決するには、どういう専門知識を持った人の集団がこれに当たらなければいけないということはある程度分かっていないと、もちろんその人はリーダー的になる場合もあれば、その一員としてやられる場合もあるでしょうけれども、しかしながら、この問題解決のためには、こういう分野の技術力が必要なんだということぐらいは理解していなきゃいけないという趣旨だと思うんですよね。自分が全部それを分かる必要はないわけですから。
 ただ、そうすると、コミュニケーションとマネジメントを両方合わせたような、そういうようなイメージになるのかなという気がしますけれども。
【池田主査】 確かに、3・11の後は技術者にそういう能力を求められましたよね。自分がリーダーシップを取って、周りとコミュニケーションを取って、それをどうやって新しい提案をして解決をしていくか、これは一種のマネジメントでもありますし、そのときに必要なのはコミュニケーション能力ですよね、相手を説得しないといけないし。単に物を生み出すだけではなくて、そういう能力がこれから大事かと思うんですけれども。海外で仕事をするときにも、そういう観点がないと、単なる専門知識を持っている技術者だけでは多分相手と仕事ができないんじゃないかという気がしますね。だから、それは恐らく国際的な観点からも必要なんですよね。
【奥野委員】 そうだと思いますね。
【池田主査】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今日は自由に御議論していただいていますので、いろんなことをおっしゃっていただいて結構だと思います。
 3番目の観点から、キャリア形成ということで、これまでの御議論で、35歳程度、つまり実務経験が10年程度を超える技術者が資質向上を図るといいますか、その質を測定する手段として、第二次試験はどのような内容であるべきかという問題設定がありまして、これについても御意見を頂戴したいと思います。
【岸本委員】 自由な議論ということですと、今の第二次試験は一発勝負になっていますよね。むしろ、試験を受けてあるレベルまでいっているということが明確になって、次はここだけやればいいですよとか、技術者として積み重ねていったら最終的に第二次試験を通るみたいなやり方があれば、資質向上を図る手段になるのかなと思うんですね。
 ちょっと今は皮切りにということで申しましたけれども。
【池田主査】 ありがとうございます。多分、今、第一次試験を受けるのは35歳ぐらいでしょう。
【日本技術士会】 第一次試験の合格平均年齢が、この直近の5年で35.9歳です。
【池田主査】 多分、そのあたりで恐らく技術士の必要性を感じて慌ててやっているんじゃないかと思うんですよ。それで第一次試験を受けて合格した、それで第二次試験を41、2歳で合格するというのがこれまでの一種のキャリアみたいなものなんですね。多分そういうことを十分に教えられていないというか認識していないので、必要になってから慌ててやっているというのが実態ではないかと思うんですね。
 ですから、ここはやっぱり、特に教育機関の役割というのはすごく大きいと思うんですけれども、技術者を送り出しているんだという意識が必要で、その中ではどういうキャリアを形成していけばいいかというようなことを大学等の教育機関のところで教えてあげるというのが大事で、多分そこが十分にできていないんじゃないかという気がするんですね。
 そのあたりはJABEEはどうなんですか。
【岸本委員】 大分意識するようにはなってきていると思いますけれども、特に工学部は職業との関係がほかの学部以上に強いと思いますので、そういう意味ですると、どっちかというと就職するところが目標になっていて、その先、自分は成長してどんなエンジニアになるかというのが見えにくい。それとこの技術士第二次試験というのが結び付いていないんですね。
【池田主査】 そうでしょうね。
【岸本委員】 だから、勉強して技術士になってみようというようなのが見えていない。なので、今回、技術士というのは何ができる人たちを技術者と呼ぶかというのがだんだんこれで定着してくると、もっと目標がはっきりしてくるのかと。そういう目標で第二次試験があるべきだろうと思うんですね。
【池田主査】 そうですよね。それを一応、完成型ではないけれども、一種の技術者とかなり言っていい、そういうレベルの人を認定してあげるという考え方もありますよね。今までは相当完成型の人を、技術士はもともとの出発は多分そうだったと思うんですよ。
【岸本委員】 完成型といっても、かなりレベルが高いというか…。
【池田主査】 ものすごくレベルが…。
【岸本委員】 レベルが高い人たちを言っていて、普通のエンジニアとして普通に働ける人たちをプロフェッショナルエンジニアとするんじゃないかなと。アマチュアじゃなくてプロのエンジニアになりましたといったときに、どこのレベルをもってプロだというのかと。
【池田主査】 そのレベルをどの程度に置けばいいんでしょうかね。そこが今後の第二次試験を…。
【岸本委員】 でも、国際的な通用性というと、ほかの国がみんな30前でなっているとすると、その水準と同等までいけばいいわけですよね。日本だけ5年遅らせるとしても、何か理由があればいいんですけれども。
【池田主査】 せめて、今42歳は35歳ぐらいには持っていきたいと。
【岸本委員】 35にするというのが目標ですけれどもね。
【池田主査】 まずは。それが42歳だったのが29歳といったときに、あっと驚くので。少なくとも、22歳とか24、5歳ぐらいで始めると思うんですけれども、そうすると、10年間キャリアを積んで、そこで、確かに一人前で仕事をやっていけますねと、そういう能力を見るのが第二次試験というふうに位置付けるべきではないかという気がします。
【奥野委員】 この設問が、35歳程度で技術士になられる方を審査するにはどういう試験であるべきかということではどうもないような感じで、35で技術士になられても、その人の技術者としてのキャリアはもっと先が長いわけですよね。そういうことを含んだ設問だとすると、これは第二次試験の内容の設問ではなくて、技術士の制度そのものの質問じゃないか、そういう感じがします。
 今までの議論の中で、総合技術監理の位置付けの議論がありまして、これは21部門というような議論が今まで整理されてきていますけれども、その中で、技術士資格を取ってCPDを積み、研さんを積んだ人には、何か少し、よく頑張りましたねというような、そういう名誉のあるような褒章を制度の外で出してもいいんではないかというような議論がありましたけれども、そういうのと併せて議論しなければいけないんじゃないかと思いました。
【池田主査】 そこは技術士分科会で議論すべきことかどうかは―頭の中に置いておかないといけないと思うんですけれども、なかなか難しいところがありまして、技術士になるレベルの人はどういうレベルの人かなと。その中でのこういう試験制度、第二次試験だけではないですけれども、そういうものをどのレベルで認定するかということをまずここで議論しておかないと、やたら易しくなったり、これまでのように、本当に完成した人だけ―これまではそうでもないかもしれませんが、かつてのように、非常にレベルの高い人だけを認定するというのでいいのかという問題は起きてきます。
 大学では基本的に博士がかつてそうだったんですね。教授になる前に、かつての帝国大学では博士を出すという制度だったんですが、今は明らかに違っていて、いわゆる博士が持つべきコンピテンシーみたいなものがある程度頭の中にあって、こういうものを身に付けていればこれから研究者としてやっていけるでしょう、そういう者を今博士として出しているような気がするんですね。
 だから、今の技術士はそこのところが、第二次試験あるいは試験の中で十分に認識して制度設計しているとまだ思えないんですけれども、岩熊さん、そのあたり何かお考えはありますか。今まで3万人から7万、8万人は増えてきたわけですね、14、5年ぐらいの間で。
【岩熊委員】 そうですね。35歳ぐらいの人たちの話では、技術士のことに対して、難しいとは思っていないみたいです。ただ、仕事上余り必要性を感じないということはあります。もう少し年齢が上の方だと、「いや、あれは難しくて」というところがあり、本当に技術者になろうとするのだったら、30代、35歳ぐらいまでに目指す資格であるというのをもっとはっきり出していきたいと思います。大学の先生や学生に、技術士とはこういうものであるということを、はっきりイメージしてみせていくということだと思います。
【池田主査】 大学は、入ってくる学生に対しては導入教育を結構やりますよね。東工大も導入教育をやっておられて、私も1年生に教えに行きましたけれども、出ていく人たちのそういうものはやっていないような気がしますね。どうでしょう。
 それから、出ていって10年間ぐらいの若い人たちをもう一回大学で、一種のリカレント教育みたいなものも意識した方がいいんじゃないかと。それは大学みたいな高等教育機関の、入ってくる人だけじゃなくて出ていく人たちのキャリアについても考えてあげるというのはすごく大事な気がするんですけれどもね。特に工学部では。そのあたりはどうなんでしょうか。
【岸本委員】 一つは、いろんな大学でやり始めているのが、キャリア教育をしっかりやろう、自分たちのキャリアパスを考えようというのはやっていますね。それともう一つは、卒業時点でどういう力を身に付けたかというのを意識して教育をしていこうと。問題解決能力だとか課題設定能力については各大学が意識して、卒業研究だとか修士論文の研究の中でもお互い同士認識してやろうというふうになっているので、そういう意味では、以前よりは卒業した後のことを考えながら教育しているようになっているんじゃないかなと思います。
 そういったことから、今度は、実務経験が10年というときに、10年間の実務の間で、技術者の方たちが、自分たちが複合的な問題を解決できるような力を身に付けているように、日々自分が研さんしているかどうかというのがここで問い掛けられているのかと。
 だから、業務に慣れるだけではないと多分思うんですね。10年の間で技術者は伸びているわけで、それを例えば会社がどうフォローアップしているとか、自分自身がどう考えているかということは、大学だけではなく企業だとかを含めて、若い技術者にメッセージとして伝えていかなきゃいけないように思うんですけれども。
【池田主査】 もちろん大学だけじゃないですよね。
 でも、大学もそういう役割を果たしていただきたいと私は思っているんですけれども。
【岸本委員】 だから、卒業までは一生懸命そこまではやりますし、今度は技術者の人たちにどう民間企業が接するかという問題にもなっていくんじゃないかなと。
【池田主査】 今、例えば世の中どういうものが求められるかというのは、これは多分イノベーションみたいなことになると思うんですけれども、そういうものだって教えられますよね。そういう役割を果たしていっていただけるといいかなと。これまでの知識だけでいろんな物事に対応していくというのは多分無理で、どういうことが課題になっていてどういうことを考えないといけないかというようなことも、卒業していった人たちに、単に教えるだけじゃなくて、議論みたいなこともしていただくようなシステムになるといいかなと思う。
 そういうことを10年ぐらい積んだ上で、そこで第二次試験をするというようなやり方ができないかなと思うんですけれどもね。だから、一発だけじゃなくて、そういうプロセスが大事だと思うんです。
【岸本委員】 だから、そういう意味からすると、社内での技術者の育成システムがどうなっているか。冒頭で申しました英国でのやり方は、そのシステムを認めた会社の技術者については特に試験をせずに技術士の資格を与えているということになると、企業との技術者育成との連携も必要になるのかなとは思うんですけれども。
【池田主査】 なるほど。日立では随分そのあたりを熱心にされていると思うんですけれども、いかがですか。
【福山主査代理】 最初にこの技術士分科会に入りましたときに申し上げたんですけれども、私どもの、特にものづくりの企業においては、技術士制度と企業の技術者の育成プログラムがきちんと整合性が取れているようになっていないものですから、その議論はなかなか難しい、これからの問題になってくると思うんです。それが、例えばキャリア形成していくということについては企業も非常に求めていることであるし、技術士制度に挑戦していくことがより効果的にキャリア形成ができて企業が欲するエンジニアになっていくのかどうかというのは、企業の中でももう少し議論をしなくちゃいけないテーマじゃないかなと思います。答えになっていなくて申し訳ないですけれども。
【池田主査】 最近は、お役所の方も結構技術士を受ける方が増えてきているような気がするんだけれども、そのあたりはどうでしょう。多分キャリアは考えているんじゃないかと思うんですけれども。
【吉田委員】 それについてはじかに生の意見を聞いていますので私から答えると、実は、技術職の行政官として一生懸命国のために働いてきて、特に国土交通省の技官という方は、多くの民間のコンサルタント、技術士を使いながら、その仕事、行政を行っているわけなので、技術士の資格を持った方を使うためには自分も技術士の資格があった方がいいのではないかと思う点はあるということなんですが、最近、平成12年以降ですか、法が改正になりまして、第一次試験が必須になったために、大学教育を終えて任官をして、行政に携わってきてある程度年数がたつと、第一次試験を受けるのがしんどいと。
 したがって、今国土交通省は、ドクターのディグリーを取る方向に皆さん行って、だからかなりドクターは増えていると思います。
【池田主査】 そうですか。これからJABEEの認定課程を修了した方がお役所に行かれるようになると、その点は第一次試験を受けなくてよくなりますよね。
【吉田委員】 免除になりますね。
【池田主査】 それが、まだそのレベルまで、年までいっていないということかもしれませんね。
【奥野委員】 ちょっとJABEEも、聞くところによりますと、まだ定着したとは言い難い状況のようですから、そこの問題もありますね。
【池田主査】 若干トランジションの段階でしょうか。
【吉田委員】 JABEE認定課程を修了した方が、すべからく、かなりの数、公務員試験を合格する力量を持って卒業していればいいですけれどもね。
【日本技術士会】 国交省の様子、ちょっといいですか。
 吉田委員と一緒に国交省に行って、技術審議官とか技監とかに御意見をいろいろ伺ったんですけれども、彼らが期せずしておっしゃった話は、自分は脂の乗り切ったときに試験委員をやらされて、試験を受ける機会を逸してしまったというお話でした。
【吉田委員】 それはありましたね。
【日本技術士会】 それで、今さら第一次試験を受けるのはしんどいので、例えば、試験委員経験者は第一次試験免除というような措置は考えられないのかと何人かから聞かれました。
【池田主査】 そうですか。なかなか難しいな。
【奥野委員】 正直言って、今、吉田委員がおっしゃったように、かなりの人が受けてもだめだろうと思っていますよね。それは、大学を卒業して10年ちょっとたったところで昔の数学の問題を解けと言われても、これはなかなか難しいというのが実態で、そういう思い込みはありますね。
【池田主査】 なかなか難しいな。
【吉田委員】 ただ、別の観点から見ると、キャリア形成、10年程度ということで、約35歳という、技術士の資格を取ってほしいと期待する年齢のことを指しているんだろうと思いますが、技術士法ができて、しばらくして定着をして、技術士の数が徐々に増えてきた時代と、昭和58年に法改正があり、さらに平成12年に法改正がある、そういう過去の長いレンジで見ても、多分私の記憶が正しければ、技術士の全国の合格者の平均年齢というのはそれほど今と差がない。
【池田主査】 そうなんですよ。
【吉田委員】 41、2歳だと思います。
 なぜ法を出したかというと、平成12年以前ですかね、昭和58年以前ですかね、工学系の大学を卒業すれば第一次試験免除なんですよね。実務経験7年で受けられるんですよ。ですから現実には、22、3歳で卒業すると、29か30ではその時代は受験要件を満たして受けられるんですが、ほとんど受けていないんですね。それはこの技術士試験の難易度の問題もあるんだろうけれども、一生懸命実務を積み上げて自己研さんをして、やっと合格レベルに達するのが、その時代も40を過ぎたところぐらいなんですよね。
 あるいは、そういうことを思っていない技術者が多くおられるわけでありますが、そういう方々は、大きなメーカーさんだとか組織にいる技術者は、そこを卒業する間際、つまり50代後半、60ちょっと前ですか、定年になって卒業する、自分は産業界で技術者として生きてきたけれども、自分の技術者としての力量って世間一般でどのぐらいあるんだろうかとふと思って調べてみると、技術士という国家資格がある。受けてみようというので、その昔は40ちょっと超えたところと50後半、60前後ぐらいが合格者のダブルピークなんですね。
 つまり後者は、ゴールの、自分の力量を測る資格として受験をする。今はそういうのは少ないのかな。60前は、ピークはない?
【日本技術士会】 大分「ゴール」の試験というイメージはなくなってきましたが、省庁関係はやはりまだ多いですね。
【池田主査】 「あがり」のね。「あがり」の方はもう自分の心の問題なので、それは受けていただいて、科学技術政策という観点からすると、これから働いていただく方が取りやすくなるような制度を中心に…。
【吉田委員】 ですから、35にターゲットを合わせると、難易度という議論を避けて通れないと思うんですね。
【池田主査】 そうなんですよね。
【吉田委員】 難易度と、実務経験を積み上げた中で問うべき設問、これも難易度だと思いますが、ある程度限定的にしないと、合格者の平均年齢が35にするには、とても今の難易度では無理だろうと。
【岸本委員】 その難易度で無理だというのが、逆に言うと、35くらいの技術者のかなりの集団の人たちはエンジニアとして仕事がきちんとできているんですよね。できているんだけれども受からないというのは、何か試験の方法を変えないと、難易度というか質を変えないとだめだということを言っているんじゃないかなという気がするんですよね。
【吉田委員】 いや、ただ、一般の民間で、分かりませんけれども、35だとまだグループリーダーにならないんじゃないですかね。38を超えないと、どこの企業でもいわゆる一般でいう課長さんクラスにはならない。
【岸本委員】 課長さんクラスの試験なのか、もうちょっと前の試験なのか……。
【吉田委員】 実務経験からいくと、応用能力が高い、専門的応用能力を問うていますので、どうも今の35ぐらいだとまだ、今の現在ですよ、将来は分かりませんよ、今現在、私の身近にいる35ぐらいだと、それほど高度な問題を、応用問題をできるかどうかというのは難しい…。
【岸本委員】 そういう感じなのか。
【奥野委員】 一番受験者の多い建設部門は、従前から技術士資格が随分活用されている部門で、受験者も多いわけですけれども、要は、この技術士の資格を持っていないとコンサルタントとして仕事ができないという、今はもう少し資格の幅が広がりましたが、そういう時期があったわけですね。コンサルタントの方は必死になって技術士を取った。
 だから、技術士の資格を持っていればどういう仕事になるかといいますと、建設部門のコンサルタントの方は、公共事業にタッチされる割合が高いんですよね。そうすると、その技術士の方は監理技術者という立場に立って仕事をしていたわけです。そうすると、いろんな能力を持った人を何人か束ねてその業務をやっていた。その業務も、比較的専門分野が多岐にわたらない、構造物の設計のようなケースもありますし、もっといろんな環境とか考えなきゃいけない、そういった業務もあって、その辺の複雑さというか、そういう差はあるんですけれども、いずれにしても、リーダーとして、会社では課長さんぐらいの立場でやっていくというような仕事になっているわけです。
 ですから、35ではちょっとまだ早いという方がいらっしゃるのかもしれませんね。
【岸本委員】 本当はなる前に取っておかなきゃいけないですよね。
【奥野委員】 そういうことですね。
【小林係長】 「技術者キャリア形成スキーム(コアスキーム)(例)」を作成した経緯では、民間企業の実態を聞いたところ、それをなるべく反映させた形でやると、感覚的には37、38歳ぐらいの方が、課長なのか何とかリーダーなのか、呼び方はいろいろあるんですが、部下を持って責任ある立場になってくるというところなので、そこに焦点を合わせるのか、もう少し前の段階なのかという議論があったかと思います。それで、35というふうにしましたけれども。
【吉田委員】 そうだと思います。だから、本来はスタートの資格ですよということで、35ということになると、スタートでやって、あと研さんをして力量を磨いていくわけですから、やはり試験のレベルも議論しないといかんということです。
【岸本委員】 そういうことです。
【池田主査】 女性が35歳で大体平均を取ると、少しモデルになるような気がする。多分、女性の方がキャリアを意識しているんじゃないかと思うんです。
【岩熊委員】 そうです。
【池田主査】 自分が技術者として生きていく、で、男の方がのほほんとしていて、そういう立場になったら慌てて取る。もう少し、35、6歳にレベルを合わせるということも一つ大事だし、それから、そういう意識を持たせるという努力も我々はしていかないといけないでしょうね。中谷委員。
【中谷委員】 今のお話とちょっと共通してくると思うんですけれども、例えば技術者の資質向上を図る手段として企業も頑張らなければいけない、これは全く賛成なんですけれども、岩熊委員に誘われて、女性技術士になりたいという方たちのワークショップに参加させていただきましたけれども、そのときに感じたのは、女性技術者は企業からの支援を受けるというところからちょっと外れているような感じを受けました。それが一つあるんですね。
 だとすると、技術者としてこれから生きていきたいという、余り組織からの支援を受けられない人たちにとっては、第二次試験がどういう技術者を求めているのかという合格ラインを明確に示すというのは、非常に大きな、仕事をやっていく上でのモチベーションにもなりますし、仕事をやることによって、自分は何を学ばなければいけないのかというまさに資質向上の手段とすることができると思うんですね。
 そうすると、第二次試験の何が肝か、核かというと、やはり複合的な問題ということだと思うんですよ。第二次試験の中で、例えばある問題に対してあることをやろうとしましたと。これに対して想定できる問題点を三つ挙げなさい、それに対してどういう解決手段がありますか、どうしてそれが解決手段になるのか説明しなさいというような、例えばそういう問題があったとします。ところが、現実世界に例えば新しい技術を導入しますといったときの問題点というのは、簡単に解ける問題からちょっと解けない問題と、様々な問題があるわけなんですね。だから、試験で評価しようとしたときに、簡単に解ける問題を三つ挙げられてしまうと、それは当然解かなきゃいけない問題なんですが、果たしてこの人は複合的な問題というものの本質を理解しているのかどうかということが評価できないわけですよ。
 ということはどういうことかというと、この第二次試験、あるいは技術士のコンピテンシーとして、複合問題というのは、どういうものを解けたときに複合問題を解けたというのか、あるいは現実世界の問題として、どういうものが解かなければいけない複合的な難しい問題の一つであるのかといったことを目標値として何か明示する必要があるんじゃないかと思うんですね。
 そうすると、小さな仕事でも、経験することによって、これは簡単な問題だけれども、この仕事のこういう点は解かなければいけない複合問題の一つになるんだということで、それを解決していくと、まさに資質向上といいますか、技術力の向上になっていくのではないかと思います。
 先ほど岸本委員から、35、37、38の技術者であればちゃんと仕事をやっているだろうというお話があったんですけれども、ところが、非常に優秀な技術者とそこそこ仕事をこなせる技術者、現実にはさまざまいて、問題が解けるか解けないかというと、技術を持っていれば解けるんですね。ところが、複合問題になってきたときに、やはり壁にぶつかってしまうということになるんですけれども、37、38で、第二次試験で求めている、あるいは技術士に求めている複合問題を解けるか解けないかといったところで、実はかなりその先のキャリアは分かれていくのではないかと思うんですね。
 ですから、結論ですけれども、第二次試験の三つ目の議論の内容で、資質向上を図る手段として第二次試験をどのように位置付けるかということであれば、やはり複合問題というもの、どういうものを複合問題としてどういう問題を解くことを期待しているのかということをどこかに明示できればいいと思います。
【福山主査代理】 先生、私もそれを考えていたんですけれども、頂いた「メインのみ」という資料の6ページに、複合的な問題と複合的な業務は何だという記述がございまして…。
【中谷委員】 これはなかなかいい資料ですね。
【福山主査代理】 これかなと思ったりしているんですね。ただし、私も理解が十分ではないんですけれども、(1)Complexという鍵括弧の次に、「IEA PCにおいて、『Complex(複合的な)』は、テクノロジストの『Broadly-defined(大まかに示された)』及びテクニシャンの『Well-defined(明確に示された)』に対し、最上級技術者たるエンジニアが担うべき問題や業務の難度を示す用語」となっている。ただ、日本においては、テクノロジストだかテクニシャンだかエンジニアだかという区別が余りないじゃないですか。だから、これをダイレクトにComplexという表現をしていいのかどうかも含めて、何かもう少し議論をする必要があるのかなと思いながらこの資料を見ていました。今中谷委員がちょうどおっしゃったので、私も共通の意識は持っています。
【池田主査】 今までの日本の技術者というのは、Broadly-definedとか、あるいはWell-definedの問題をどうやって取り組んで解決するかと。
【福山主査代理】 今までは。
【池田主査】 ええ。だからそこをもう少し概念として広げていく。第二次試験はそこを確かめるということなんでしょうね。それがエンジニアだと私は思いますけれども。
【奥野委員】 私なんかも経験上よく言われたのは、特に行政の分野ですから、答えは一つじゃない、で、これはこうしましょうということを、なぜそうするんだというのはよく言われるわけです。そうすると、今おっしゃったように、この問題はこういう選択肢があります、それぞれの選択肢はこういうメリット、デメリットがあって、波及はこのぐらいの影響が考えられます、そういう中で、現時点ではこれが最善と判断しましたというようなことが言える人が大事だろうと思うんですけれども、それは、先ほどより話題に出ています試験の中身的に言えば、今までどういう経験をしてどういう判断をしてやってきたかという経歴の書き方と、それに関する面接ですか、そういうもので判断していくというのが大事じゃないかなという気がしました。
【岸本委員】 そういう意味でいうと、複合的な問題解決能力というのは今JABEEでも求めているので、大学卒業時点でそういうことに対してある水準まで行ってくださいというふうに教育の方にお願いしているんですね。その上で、今度は10年のキャリアを積んだときの複合的な問題に対しての解決能力というのは、どこの水準まで行ったらいいかというもののコンセンサスがなかなかないかと思うんですよね。大切は大切なんですけれども。それを、ある水準ということで作っていかないと、片や非常に難しく考えたり―難しくというか、非常に高度な形での問題解決能力を求めている水準からそこそこまで、いろいろあると思うんですよね。それを水準という意味で明確化しないと、試験を作ったときにものすごくばらついてしまうんですね。
【池田主査】 それはおっしゃるとおりで。
【岸本委員】 その研究は多分やっていかなきゃいけないんだろうと思うんですね。
【池田主査】 それを議論していただきたいということだと私は思うんですけれどもね。
【岸本委員】 はい。それをどこでやるかですね。
【池田主査】 そうですね。
 さて、もうお昼になってしまいました。
 今日は自由討議ということで、結論を出す場ではありませんでしたので、いろんなお話をしていただきましたが、頂きました御意見を基に、事務局で集約していただきまして、次回の委員会で議論を継続していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から報告が1点あるそうです。よろしくお願いします。
【小林係長】 今年度の予算で調査研究をするんですけれども、正確には、明日10月1日から来年3月20日までを契約期間としまして、まだ企業名は言えないんですけれども、先日落札したところと一緒にやっていくと。最終的な目的はコンピテンシーの具体化ということで、機械、電気電子、総合技術監理も含めて、7つの技術部門、15の選択科目でコンピテンシーをもっと具体化したものを抽出していくということでおります。
 段階的には、その前に企業内技術士交流会の御協力を頂いて、10社以上の企業にヒアリングさせていただくこと、また、諸外国の技術者制度、CPDも含めた制度を調査した上で、そういうコンピテンシーを出していくという作業を進めさせていただきます。また適宜状況報告させていただきます。
【池田主査】 分野、部門をセレクションしてということですね。分かりました、どうもありがとうございます。
 本日の会議の議事録につきましては、後日事務局から皆様にお送りさせていただきまして、御了解を頂いた上でホームページに公開することとさせていただきます。
 また、次回の制度検討特別委員会につきましては、10月29日水曜日午前10時から開催いたします。場所は、事務局より後日お知らせいたします。
 それでは、ほかに何か特に委員の皆様方から御発言がありますか。もしなければ、これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午後0時03分閉会

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