自然災害等不可抗力により試験の実施が困難となった場合の対応についての意見

資料5

自然災害等不可抗力により試験の実施が困難となった場合の対応についての意見
 

1.令和元年度技術士第一次試験のように、自然災害等不可抗力により、一部試験地で試験を中止せざる得ない状況を想定した場合、中止(再試験実施)の範囲並びに実施予備日設定及び予備問題作成の可否について、次のような案があると考えられる。

案1:予め予備日を定めて会場も確保しておく。「受験申込み」の際、予備日を明確に提示し、受験生全員にも事前に周知しておく。
自然災害等不可抗力により、試験を一か所でも中止せざる得ない状況になった場合は、全試験地における試験会場を中止し、予め決めた予備日で一斉に実施する。
なお、この場合、全試験地で試験を中止するため、予備日実施の試験のための問題(予備問題)を作問する必要はない。

案2:自然災害等不可抗力により、試験を中止せざる得ない試験会場がある場合、当該試験会場のみ再試験を実施する。そのために予備問題を作問する。
この場合、予め予備日は設定しない。

2.案1、2について、事前に委員に意見を伺ったところ、以下のとおり回答があった。

(1)案1を支持する意見

  • 難易度調整など公平性確保の観点からすべての受験生に対して、同一の試験問題を使って実施されるべき。

  • 受験時期に差ができ、一般的に繁忙期である年度末に受験せざるを得なくなった者と、当初の予定通りに受験で来た者との差が生じることから、一部地域の再試験方式は好ましくない。

  • 試験を中止せざるを得ないような非常事態は、それほど頻繁に起きることではなく、そのために予備問を毎年作成、あるいは再検討する手間が発生するのは見合わない。

  • 予備問題作問試験委員を別途選任することは難しい。また、仮に同じメンバーが作問するとなると、予備問題等の作成は委員の負担が大きく、問題作成を年間2 回行うのは厳しい。

  • 予備問題を徐々にためてプールしておく手はあるが、作問者が交代した段階で責任もって扱える担当がいなくなるため現実的ではない。

  • 仮に予備問題が準備できたとしても、2 種類の異なる試験問題の受験者から統一的に合否判断を行うことが難しいため、本問題受験者数と予備問題受験者数に大きな開きがある場合、受験者数の少ない方の問題の得点を偏差値化するなどの統計処理にも問題がでる。

  • 会場確保や費用での問題はあるが、予備問題を作成する費用が不要などのメリットもある。本試験が実施できれば予備日はキャンセルすればよいので、多少のキャンセル料が発生したとしても、会場確保の費用の方が予備問題作成に対する謝金を支払うより安くなるのでは。

  • 降雨等による甚大な気象災害については、数日の時間的な猶予があることを前提に、一部地域での被災リスクの予測を元に、事前に試験実施の可否をインターネット等で掲示することをルールとすることで、全国的な対応がより早期に可能となると考えられる。案2 の場合には事象が発生してからの対応となることが予想され、受験者の混乱を招くこととなることが予想される。また、地震などのような事前の予測が困難な事象が生じた際の対応方についても、これを機に整理することが必要。

  • 予備日・予備会場については予め本決めとせず、自然災害等止むを得ない場合の試験延期方針、その場合の概略日程を示すに止め、本試験延期の時点で、具体化する。

  • 予備日での実施できなかった場合はその年の試験そのものを中止とする選択肢もあるのではないか。再試験会場の確保等の経費を支出する必要がないというメリットがあり、受験料も試験問題も翌年に回すことが可能。

  • 中止・再試験実施の判断が難しく、不公平になる可能性がある。また、追加の試験では、期間も短く、特に管理が行き届きにくいため、問題の質上問題が発生する可能性がある。

(2)案2を支持する意見

  • 災害頻度の実績や将来見通しとも多くなっていること、風水害では地域分布があることから、当該会場のみの試験中止と再試験が合理的。状況に応じて柔軟に対応でき,対応策として実効性が期待できる。

  • 実施可否の判断基準はあらかじめ公表する必要がある。予備日に自然災害等が発生し、全ての受験者が受験機会を失う場合、継続的な技術士育成の視点から大変残念な結果となる。受験者の立場から考えると、技術士の資格を就職や仕事で活用することが動機であるため、できるかぎり試験は実施し、中止会場のみ再試験を実施する方がよい。

  • 全試験会場の予備日を設定する案1 には無理がある。会場リソースの有効利用、キャンセル料等費用の面でも現実的ではない。

  • 一律予備日を設けるのは反対。他の試験でもそういう話は聞いていない。追加試験を行うかどうかについて、かなり限定的に判断し、時間的余裕も見て実施日を決めて、その時点で問題を作成することとしてはどうか。

  • 中止の要因によっては、あらかじめ設定した予備日に試験の実施が困難となり、結果的に全会場で試験を実施しないことになりかねない。

  • 受験者の何割以上が影響を受ける場合に中止するといった基準をあらかじめ設定し、それ以下の場合は再試験を実施しないということについても、受験者に事前に公表しておくべき。

(3)案1&案2を混合した案を支持する意見

  • 自然災害は発生地域が限定的であり影響範囲も限られることから、案2 が現実的。新型コロナウイルスを考えると、全国的な対応が必要となり、この場合案1が適当。基本的に案2 とし、規模、影響度により柔軟に決める。

  • 試験の性質に合わせ限られたリソースで行える方策の選択をすべき。不測の事態には再試験は行わず中止にするという選択枝もあり得る。

  • 現在の新型コロナウイルス感染症のようなものが全国的に拡大した場合は案1でもよい。しかし、台風や地震などは局地的なもの。そのため全国いる受験者に影響を及ぼすようなことは避けるべき。

  • 再試験は実施すべきだが、一斉中止か予備問題対応にするかの判断はコストも重視すべき。試験実施の可否についてのタイムスケジュールを明記し、受験生に案内する。

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