用語解説

◎CSEP(地震活動予測可能性共同実験)

Collaboratory for the Study of Earthquake Predictability の略。客観的かつ透明性のある地震予測検証実験を実行できる研究基盤環境を作り,その過程において地震の予測可能性を探るための国際研究計画。

◎DOI

Digital Object Identifierの略。Web上の電子データに付与される国際的な識別子。URLと異なりリンク切れなどの問題が無い。科学論文などで広く用いられているが,データなどに付与することもできる。

◎GEONET

GNSS 連続観測システム(GNSS Earth Observation Network System)の略称で,国土地理院が運用している。日本全国約1300点の観測点(電子基準点等)とデータ管理・解析処理を行うGEONET中央局からなり,地殻変動監視と測量の基準点の役割を持つ。

◎GIS

地理情報システム(Geographic Information System)の略。地理的位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し,視覚的に表示し,時間や空間の面から分析できる技術である。地理空間情報を活用する上で不可欠の技術。

◎GNSS

全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)の略。位置や時刻同期を目的とした電波を発射する人工衛星群,地上の支援システム及び電波の受信装置の総称。利用者は,受信機で電波を受信することで自分の3次元的な地球上の位置や正確な時刻を計測することができる(衛星測位データ)。米国が構築したGPSは現在最も実用的なGNSSであるが,他にもロシアのGLONASSや,欧州連合(EU)のGalileoなどのシステムがある。
移動する物体の位置をデータサンプリング毎に2~3cmの精度で決定していく手法をキネマティック(移動体)測位解析と言い,さらにそれを実時間(リアルタイム)で求める場合をリアルタイムキネマティック(RTK)測位解析と言う。

◎GNSS-音響測距結合方式

→ 海底地殻変動観測 の項を参照。

◎GNSS データクリアリングハウス

大量の情報やデータの中から必要な情報やデータを検索するシステム,あるいはそれを運用する機関のことをクリアリングハウスという。国土地理院では電子基準点やGNSS観測点に関する情報を閲覧できるGNSSデータクリアリングハウスを運用している。
http://datahouse1.gsi.go.jp/  (※GNSS データクリアリングハウスのホームページが別ウィンドウで開きます)

◎ILRS(国際レーザー測距事業)

International Laser Ranging Serviceの略。各国が協力して人工衛星レーザー測距(SLR)の観測成果を測地学や地球物理学の研究に有効に活用するため,国際レーザー測距事業が組織されている。ILRSにより世界中の衛星レーザー測距データが収集されて共通に解析が行なわれる。これにより,地球回転パラメータ,地球基準座標系などを決める基本的なデータとして利用される。

◎ITRF 座標系(国際地球基準座標系)

International Terrestrial Reference Frameの略。GNSS,VLBI,SLRなどの宇宙測地観測データに基づき国際協定によって決定・維持されている三次元直交座標系であり,地球の重心を座標の原点としている。これに準拠して位置を定義すれば,プレート運動による2地点間の相対的な位置の時間変化を容易に表すことができる。

◎MT 法

物理探査の手法の一つで,電気伝導度など地下の電気的性質を調査する手法。地表で電場と磁場を測定し,地表に入射する電磁場とそれによって地中で誘導される電磁場との関係を用いて,地中の比抵抗構造を算出する。地磁気地電流法(Magnetotelluric method)とも呼ばれる。

◎SAR(合成開口レーダー)

Synthetic Aperture Radar の略。人工衛星や航空機などに搭載されたアンテナが高速で移動することにより大型アンテナと同等の高い分解能を実現したレーダーシステム。SAR干渉解析は,同じ場所を撮影した時期の異なる2枚のSAR画像の差をとる(干渉させる)ことにより地表面の変動を詳細にとらえる手法である。

◎SLR(人工衛星レーザー測距)

Satellite Laser Rangingの略。軌道が正確に推定されている人工衛星に搭載したプリズムに対して,地上基地局からレーザー光線をパルス状に発射し,そのパルスの往復時間から衛星までの距離を高精度に計測する。それを繰り返すことによって,地上基地局の座標を高精度に推定する技術。1cm程度もしくはそれより良い精度で地上局の座標が求められる。

◎VEI

→ 爆発指数(VEI) の項を参照。

◎VLBI(超長基線電波干渉法)

Very Long Baseline Interferometryの略。はるか遠くにある天体から放射される電波を利用して,アンテナ間の正確な距離を測定する手法。数千キロメートル離れたアンテナの距離も,わずか数ミリメートルの精度で測ることができる。

◎アウターライズ域

海溝で陸域下に沈み込もうとする海洋プレートがたわむことによって,海溝軸より海側(外側)近傍に海底の高まりが形成される。この領域をアウターライズ域という。

◎一元化処理

気象庁・防災科学技術研究所・大学等の各機関で管理・運営している地震観測データをリアルタイムで収集し,それらを利用して震源の決定等の処理を一元的に行うこと。気象庁において実施している。
移流拡散モデル
物質や温度などの物理量が流れによって移動する現象と拡散する現象を同時に考慮したモデル。噴火によって噴出された火山灰や噴石の挙動のシミュレーションでも用いられる。

◎衛星SAR

→ SAR の項を参照。

◎衛星画像

人工衛星で取得される画像。衛星画像の一つである赤外画像は,地球の地表面の温度によって変化し,火山の状況把握に有効である。

◎衛星重力データ

→ 重力観測 の項を参照。

◎衛星測位データ

→ GNSS の項を参照。

◎応力(応力場)

岩盤等の物体内部に考えた仮想的な面を通して及ぼされる単位面積当たりの力を応力という。震源域の応力が岩盤の破壊強度より高くなったときに地震が発生すると考えられている。
物体内部の応力の向きや大きさの空間的な分布の状態を応力場といい,その広域的な特徴のことを広域応力場という。

◎海溝型巨大地震

→ プレート の項を参照。

◎(地震活動の)階層性

地震発生場には様々な長さスケールの不均質構造が含まれており,断層の滑りは複雑となるが,統計的にはフラクタル的性質を持つ。断層滑りが極小スケールから始まり,次第に大きなスケールの構造へと広がり,どこかで停止して最終的地震サイズが決まる。このような地震発生領域の構造を階層的構造といい,地震活動が階層性を示す要因と考えられている。

◎階段ダイアグラム

噴火履歴調査で得られた噴火の規模と発生年代に基づいて,火山ごとの噴火の時代と噴出物積算量の関係を示した図。長期的な噴出率,噴出率変化の規則性,将来の噴火の規模や時期を議論する際に用いられる。

◎海底圧力観測

→ 海底地殻変動観測 の項を参照。

◎海底間音響測距

→ 海底地殻変動観測 の項を参照。

◎海底地殻変動観測

海底の地殻変動を観測すること。稠密なGNSS観測網が敷かれている陸上と比較して,海底における地殻変動観測は技術的に困難だったためこれまでほとんど実施されていなかったが,技術の向上により近年本格的に実施されるようになった。海底地殻変動観測には以下のような手法がある。
・GNSS-音響測距結合方式:海上の船舶やブイの位置をGNSSによって精密に決定し,それらと海底に設置された音響トランスポンダー(観測点)との距離を,音波を用いて測定することにより,海底の基準点の位置を推定する手法。
・海底間音響測距:海底の2点間において,音波を用いて距離を測定することにより地殻変動(相対変位)を連続的に観測する手法。
・海底圧力観測:海底の圧力変化を観測し,上下方向の変位を算出する手法。
・孔内観測:掘削された孔(ボアホール)の内部において,長期間にわたって地震動や地殻変動などを観測する手法。海洋研究開発機構では,地震計,傾斜計,体積ひずみ計等のセンサーによって構成された長期孔内観測システムを,南海トラフ沿いの海底で運用している。

◎海洋プレート

→ プレート の項を参照。

◎科学掘削

掘削により科学的に重要な岩石サンプルやデータを取得すること。掘削で得られる円筒状の地質資料を掘削コアという。深海底の掘削が国際深海科学掘削計画(IODP)のもと,世界各地で行われている。また,雲仙普賢岳で行われた科学掘削では火道のサンプルを得ることに成功した。

◎火砕流

高温の火山噴出物が,高温の火山ガスや取り込んだ空気とともに高速で火山体斜面を流下する現象。噴火によって火口から噴出した噴煙柱の崩壊や,溶岩ドームの崩落により発生し,火口から長距離にわたって流下して大きな被害を及ぼす。

◎火山ガス

地下のマグマに溶けている揮発性成分が,圧力低下などにより発泡して地表に放出されたもの。火山ガスの主成分は水蒸気であり,その他に,二酸化炭素,二酸化硫黄,硫化水素,塩化水素,フッ化水素,水素などの成分が含まれる。

◎火山性地震

マグマの動きや熱水の活動等に関連して,火山直下やその周辺で発生する地震。火山が噴火する際だけでなく,噴火していないときも発生する。

◎火山性流体

マグマに起源をもつ熱水や火山ガスの総称。マグマそのものや,マグマ起源の熱で加熱された天水も含まれる。

◎火山泥流

噴火に伴う火山噴出物が水分と一体となって流下する現象を火山泥流という。単に泥流とも呼ぶ。砂防の分野では,岩塊が卓越し水とともに流下する現象を土石流と呼ぶ。火口から泥状物質が噴出され流れ下るもの,火山噴出物が堆積し多量の降雨により流れ下るもの,積
雪地域で噴火が起こり多量の氷雪が溶けるために生じるものなど,成因は複数考えられる。

◎火山灰

→ 火山噴出物 の項を参照。

◎火山噴出物

火山噴火により噴出した物質の総称。火山噴出物は気体,液体,固体と様々な形態をとり,それぞれの例として火山ガス,溶岩,火山砕屑物が挙げられる。火山砕屑物のうち直径64mm以上を火山岩塊(噴石),直径2mm~64mmを火山礫,直径2mm未満の細かい破片を火山灰という。
(上記は,気象庁の説明文書に基づく。「噴石」に火山礫を含む定義もある。)

◎火山噴火予知連絡会

火山噴火予知計画(文部省測地学審議会(現文部科学省科学技術・学術審議会)の建議)により,関係機関の研究及び業務に関する成果及び情報の交換,火山現象についての総合的判断を行うこと等を目的として,昭和49年に設置された機関(事務局は気象庁)。年に3回開催する定例会では全国の火山活動について総合的に検討を行う。火山噴火などの異常時には,臨時に開催し,火山活動について検討を行う。

◎火山防災協議会

活動火山対策特別措置法に基づき,火山地域の都道府県及び市町村が設置する協議会。関係機関及び火山専門家等によって構成され,「噴火シナリオ」や「火山ハザードマップ」,「噴火警戒レベル」,「避難計画」等の一連の警戒避難体制について協議する。また,火山活動時には,関係者間の情報共有や避難勧告・指示,警戒区域の設定等に関する検討を行い,災害対策実施主体への助言を行う。

◎活断層

地質時代でいう第四紀後期(数十万年前~現在)に繰り返し地震を発生させ,地表近傍まで食い違い変位を生じさせてきた断層。今後も同様の地震を発生させると考えられる。

◎火道

地下のマグマ溜まりから地表へ至るまでのマグマの上昇経路のこと。火道でのマグマの脱ガスや上昇の仕方が噴火の様式を左右する。マグマの運動方程式やエネルギー保存則などに基づいて火道内のマグマ上昇過程を記述するモデルを火道モデルという。

◎カルデラ噴火

火山灰やマグマなどを大量に放出して,輪郭が円形またはそれに近い大きな陥没地であるカルデラを形成する巨大な噴火。カルデラ形成噴火とも呼ばれる。

◎間隙流体

土や岩石中の粒子間のすきま(間隙)に入り込んだ水などの流体。

◎含水鉱物の脱水

水を結晶構造中に含む鉱物が温度・圧力の上昇により分解して鉱物内の水を解放する現象のこと。

◎貫入(マグマ貫入)

地下のマグマが岩盤に割れ目をつくりながら入り込み移動する現象のこと。

◎機械学習

→ データ駆動科学 の項を参照。

◎キネマティック解析

→ GNSS の項を参照。

◎基盤的火山観測網

→ 陸海統合地震津波火山観測網 の項を参照。

◎基盤的調査観測

地震調査研究推進本部の「地震に関する総合的な調査観測計画~東日本大震災を踏まえて~」(平成26年8月)に基づく,全国的に偏りなく実施すべき観測や一定の基準で全国的に実施すべき調査。陸域における地震及び地震動(強震)観測,GNSS連続観測による地殻変動観測,地域評価に資する活断層調査,ケーブル式海底地震・津波計による地震・津波観測,浅海域及び沿岸陸域の地形調査が位置づけられている。

◎規模別頻度分布

大きい地震ほど発生数が少ない。地震の発生度数はマグニチュードが増えるにつれて指数関数的に減ることが知られており,その関係はグーテンベルク・リヒター則(GR則)として知られる。横軸にマグニチュード,縦軸に地震発生数の対数を取ると,GR則は直線で表され,その傾きをb値という。

◎強震動

被害を及ぼすような強い地震動(揺れ)のこと。

◎共同利用・共同研究拠点

個々の大学の枠を超えて,大型の研究設備や大量の資料・データ等を全国の研究者が利用したり,研究を行うための施設として認定された拠点。互いの得意分野を生かして関連分野の研究を遂行するため,拠点間連携共同研究を進めている。

◎拠点間連携共同研究

→ 共同利用・共同研究拠点 の項を参照。

◎掘削コア

→ 科学掘削 の項を参照。

◎繰り返し地震

発生場所(震源),メカニズム,マグニチュードがほぼ同じで,概ね一定の時間間隔で繰り返し発生している地震のこと。

◎航空機SAR

→ SAR の項を参照。

◎航空重力測量

→ 重力観測 の項を参照。

◎航空路火山灰情報センター

火山灰による航空機の安全を確保する目的で,民間航空会社,航空関係機関,気象監視局などに火山灰の分布や拡散予測を含む航空路火山灰情報の提供を行う機関のこと。世界に9か所設置されており,日本においては気象庁が東京航空路火山灰情報センターとして情報を提供している。

◎構造境界

→ 構造探査 の項を参照。

◎構造共通モデル

地震や火山噴火を含む多様な地殻活動を定量的に理解することを目的として,これまで蓄積された日本列島の沈み込み構造に関する知見を統一的に集約し,統合的に構築した共通モデル。

◎構造探査

火薬などを震源として人工的に地震波を発生させ,地下で屈折や反射してきた波を多点で観測することにより,地震波の伝播速度や減衰,反射面の分布などの地下の構造を明らかにする調査手法。特に構造内で異なる物質が接する場所は構造境界と呼ばれ,構造調査によって,地震波伝播速度や物質の密度が不連続に変化する場所として把握される。

◎古地震学

近代的な計測器を用いた地震観測が開始される以前に発生した地震について,史料や考古データ,遺跡に残された証拠などを用いて調査する学問。
(プレート間の)固着
プレート境界面が密着し,ずれ運動がない状態のこと。

◎災害素因

災害誘因を受けた際に生じる被害・損失の規模,様態を左右する,地形・地盤などの自然環境の脆弱性(自然素因)や,構造物・人間社会の脆弱性(社会素因)のこと。

◎災害誘因

災害をもたらす原因(加害力,外力)のこと。地震や火山噴火による災害は災害誘因である地震動,津波,火山灰や溶岩の噴出などの外力(ハザード)が災害素因に作用することで引き起こされる。

◎雑微動

地震計によって常時観測される地面のわずかな揺れのこと。常時微動ともいう。雑微動を測定することにより,建物や地盤の揺れやすさの特徴を調べることができる。

◎山体崩壊

山体が地震や火山噴火などによって大きな崩壊を起こす現象。

◎事象分岐

→ 噴火事象系統樹 の項を参照。

◎地震・火山噴火予知研究協議会(予知研究協議会)

科学技術・学術審議会(測地学分科会)による建議に基づく地震及び火山噴火の観測研究に関して,関係機関の連携を緊密にして観測研究計画を協議し,研究の有効な推進を図ることを目的として東京大学地震研究所に設置されている組織。観測研究計画の各実施機関の代表が委員として参加する。

◎地震活動事象系統樹

過去の多様な地震活動や地殻変動等の履歴を整理することで,地震現象の時間的推移を分岐させて作成した系統樹(イベントツリー)。

◎地震調査研究推進本部(地震本部)

平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の経験を活かし,地震に関する調査研究の成果を社会に伝え,政府として一元的に推進するため,地震防災対策特別措置法に基づき平成7年7月に総理府(現在の所管は文部科学省)に設置された政府の特別の機関。
https://www.jishin.go.jp/ (※地震調査研究推進本部(地震本部)のホームページが別ウィンドウで開きます)

◎地震モーメント

地震の規模を表す最も基本的な量。地震断層の面積と滑り量及び剛性率(岩盤の変形のしにくさを表す物性値)の積で計算される。

◎地震予知連絡会

政府として地震予知の実用化を促進する旨の閣議了解(昭和43年5月)及び測地学審議会建議(昭和43年7月)を踏まえて,地震予知に関する調査・観測・研究結果等の情報の交換とそれらに基づく学術的な検討を行うことを目的に,昭和44年4月に発足した会議(事務局は国土地理院)。地震に関する観測研究を実施している関係機関や大学の委員で構成される。

◎沈み込み帯

→ プレート の項を参照。

◎次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト

平成26年の御嶽山の噴火等を踏まえ,火山災害の軽減に資する火山研究の推進,広く社会で活躍する火山研究人材の裾野を拡大するとともに,火山に関する広範な知識と高度な技能を有する火山研究者となる素養のある人材を育成することを目的として,文部科学省が平成28年度から実施している10か年(予定)のプロジェクト。
http://www.kazan-pj.jp/ (※次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトのホームページが別ウィンドウで開きます)

◎社会素因

→ 災害素因 の項を参照。

◎社会的脆弱性

→ 災害素因 の項を参照。

◎重力観測

重力(重力加速度)を測定することによって,地球内部及び大気を含む地球全体の質量の分布や移動等を推定することができる。地表付近の重力値は約980Gal(Galは重力加速度の単位でcm/s2)であるが,測定点の緯度や標高によって異なる。また,地下の密度不均質による重力異常は数ミリGalの程度である。また,月や太陽の引力に伴う潮汐変化は数百マイクロGal,地殻変動や地下水移動,火山活動に伴う変化は数~数十マイクロGal程度である。重力測定には,重力値が既知の基準点からの相対値のみを測定する相対重力測定と,自由落下する落体の運動を原子時計とレーザー干渉計を用いて観測することにより10桁以上の精度が得られる絶対重力測定がある。重力によるバネの伸縮を利用したスプリング式相対重力計は手提げ鞄程度の大きさであるため,航空機や船舶にも搭載され航空重力測定や船上重力測定が行われる。一方,低高度(400~500km)の同一軌道に2つの人工衛星を数100kmの間隔で配置し,互いの距離の時間変化から全球的な重力場を求める衛星重力ミッションも行われている(これにより得られたデータを衛星重力データという)。

◎(噴火の)準備過程

火山噴火は,火口から溶岩や火山ガスが地表に放出される現象である。噴火に至るまでには,地下深部で発生したマグマが,長い時間をかけてマントルや地殻内を上昇し,地殻浅部にマグマ溜まりとして蓄積される。さらに,内部の圧力が高まる等の理由で,マグマが地表へ移動できる条件が整い噴火に至る。このような噴火に至る前の一連のプロセスを準備過程と呼ぶ。

◎震源過程

地震は震源域において断層面が滑ることで生じるが,このとき断層面上で滑りが伝播する過程のことを震源過程という。断層面上の滑りの速度や方向の時空間変化を運動学的に表したものを指し,破壊や摩擦の物理法則と連続体力学を用いて断層の滑り伝播過程を動力学的に記述する「動的破壊過程」とは区別されることが多い。観測された地震波や地殻変動等のデータを説明できるような震源過程のモデルを震源断層モデルという。(震源断層モデルという言葉は,想定される地震の断層面の形状や滑り量,滑り方向を表す意味としても使われる。)

◎震源断層モデル

→ 震源過程 の項を参照。

◎水準測量

東京湾の平均海面を基準(標高0m)として,日本の土地の高さ(標高)を測る測量のこと。数十m離れた2地点に立てた標尺の目盛を水平に置いた望遠鏡(水準儀)で読み取り,高さの差(比高)を求める。こうした測定をあらかじめ決まった測線に沿って実施し,目的の地点の標高を算出する。全国の主要な道路沿いには日本水準原点(東京都千代田区永田町,標高24.3900m)に基づいて水準測量により標高が求められた水準点が設置されており,その地域において行われる水準測量の基準となる。水準測量をある時間間隔で繰り返すことで,地殻上下変動を検出することができる。

◎水蒸気噴火

マグマなどの熱によって火山体内部または地表付近の水が気化され,水蒸気となって急激に噴出する現象のこと。噴火口付近の岩石が砕け,火山岩塊や細粒火山灰が飛散する。水蒸気噴火の場合,噴出物には新鮮なマグマは含まれない。

◎滑り遅れ

地殻変動観測データなどから推定されるプレート境界の滑り量が,プレートの沈み込み量よりも少ない状況。滑り遅れによって,プレート間のひずみエネルギーが蓄積されている可能性が示唆される。

◎スラブ

→ プレート の項を参照。

◎スロー地震

通常の地震のように断層が急激にすべること無く,ゆっくりとすべることによって蓄積されたひずみエネルギーを解消させる現象。

◎脆弱性

→ 災害素因 の項を参照。

◎脆性-塑性遷移領域

岩石の破壊や断層面での摩擦によって地震が発生する脆性的性質を持つ領域から,地下より深部への温度の上昇によって岩石が連続的に変形する領域へと遷移していく領域。


◎(断層)セグメント

断層で地震が起こる場合には,断層全体が一度に動くとは限らず,幾つかの区分に分かれた振る舞いをすることがある。このように,まとまった振る舞いをする区分をセグメント(断層セグメント)という。

◎先行現象

地震や火山噴火の発生前に震源域や火山の周辺で発生するさまざまな異常現象。土地の隆起・沈降,地震活動の変化,電磁気異常,地下水の変化などがある。前兆現象と呼ばれることもある。

◎全磁力

ある場所における地球磁場の大きさ。磁場の観測量として,その長期的安定性が最も高い。磁気を帯びた鉱物の磁化(磁性の強さ)は,温度や応力によって変化するので,全磁力の変化は地下の温度,応力状態の変動を示唆する。

◎前震

本震の近傍で本震発生前に起きる地震活動のこと。

◎浅部熱水系

→ 熱水系 の項を参照。

◎相転移

物質が,温度や圧力などの外的条件の変化に伴ってその様相が変化すること。温度・圧力の変化により岩石の結晶構造・密度が変化するのも相転移の一種である。

◎素過程

地震や火山噴火における複雑な現象を支配する基本的な物理・化学過程。例えば,「断層面上の摩擦」,「地殻流体の振る舞い」,「マグマの発泡」などがある。室内実験・理論・シミュレーションなどによる研究を通して地震や火山噴火に関する理解を深める上で大切な要素である。

◎即時予測

地震や火山噴火が発生した直後に観測されたデータを利用して,地震波・津波・火山灰などの災害誘因が特定の地域に到達する前に,該当地域の地震動・津波高・火山灰到達状況等を予め推測すること。

◎脱ガス

→ マグマ の項を参照。

◎断層破砕帯

断層の運動で破砕された岩石によって構成される,一定の幅を持った帯状の領域のこと。

◎地殻

地球の固体部分を構成する大きな成層構造のうち,一番外側の層。地殻の内側はマントルと呼ばれている。地殻は海洋地殻と大陸地殻に分類され,海洋地殻は約6kmのほぼ均一な厚さであるのに対し,大陸地殻は平均的には30km程度の厚さであるが,場所によっては70kmにも及ぶ場所がある。

◎地殻活動

→ 地殻変動 の項を参照。

◎地殻変動

地殻内で発生する現象全般のことを総称して地殻活動といい,中でも地震発生に伴う断層運動や火山活動によって地表に生じた変位やひずみ,傾斜の変化のことを地殻変動という。

◎地殻流体

地殻の内部に含まれる水やマグマ等の流体。地殻内で水は,岩盤の亀裂や岩石鉱物の粒界などに存在していると考えられている。特に,マグマの関連するものは火山性流体とも呼ばれる(→ 火山性流体 の項を参照)。

◎地磁気4 成分連続観測

地殻活動・火山活動を評価するため,磁場データ(偏角D,鉛直分力Z,水平分力H,全磁力F)の変化量を連続的に測定すること。

◎地表地震断層

地震時に連続的に現れる地表のずれのこと。

◎中央防災会議

内閣の重要政策に関する会議の一つ。防災基本計画の作成や,防災に関する重要事項の審議等を行う。内閣総理大臣をはじめとする全閣僚,指定公共機関の代表者及び学識経験者により構成されている。

◎長期孔内観測システム

→ 海底地殻変動観測 の項を参照。

◎(地震発生)長期評価

主要な活断層で繰り返し発生する地震や海溝型地震を対象に,地震の規模や一定期間内に地震が発生する確率を予測したもの。

◎長周期地震動

規模の大きな地震が発生した場合に生じる,ゆっくりとした揺れのこと。高層ビルは固有周期が長く長周期地震動により影響を受けやすい。

◎地理空間情報

空間上の特定の位置を示す情報(当該情報に係る時刻に関する情報を含む)と,これに関連付けられた情報のこと。

◎津波堆積物

津波によって運ばれた砂や礫などが堆積したもの。これらの調査により,過去の津波の発生年代や浸水規模を推定することができる。

◎津波波源

津波が発生した領域,すなわち,津波の原因となる海底の隆起や沈降を起こした領域のこと。

◎定常的地震活動度

元々存在する定常的な地震の活動度で,定常ポアソン過程に相当する。

◎データ駆動科学

観測や実験によって取得された大量のデータを解析処理することによって知見を得る科学的分野。特に,多くの事例から,人間の手を必要とせずにコンピューター自らが学習して認識・判断する技術を機械学習と呼ぶ。

◎データ同化

複雑な現象の高精度予測のために,数値シミュレーションの結果として得られる物理量が観測データをなるべく再現できるように,適切な初期値や境界値,各種パラメータを推定する手法。

◎電子基準点

→ GEONET の項を参照。

◎統計モデル

過去の多数の観測データに基づき,ある現象の発生確率等を記述したモデルのこと。

◎島弧会合部

プレートの沈み込み帯に形成される弧状に連なった列島のことを島弧と言い,隣接する島弧同士が会合する場所を島弧会合部と呼ぶ。東北日本弧と千島弧が衝突する北海道日高地方がその一例。

◎動的破壊過程

→ 震源過程 の項を参照。

◎土石流

→ 火山泥流 の項を参照。

◎トレンチ調査

地質調査法の一つで,地表から溝状に掘り込み,地表では観測できない地層を新たに露出させ,断面を観察する手法。地震分野では過去の断層運動の年代や周囲の環境の調査,火山分野では過去の噴火史を調査するために有力な方法である。

◎熱水系

マグマから分離上昇したり,マグマや高温の火山ガスが地下水と接触して生じる高温の水熱水といい,熱水及び熱水が分布する亀裂や移動経路などを総称して熱水系という。火山の地下浅い部分に位置する熱水系(浅部熱水系)は,水蒸気噴火の発生と深い関わりがあると考えられている。

◎粘弾性

加えられた力に応じて変形し力を除くと原形に戻る弾性的性質と,加えられている力に応じた速度で時間とともに変形が進行する粘性的性質を併せもつ性質。地下深部の高温下の岩石は粘弾性的性質を持つと考えられている。

◎爆発指数(VEI)

Volcanic Explosivity Index の略。火山噴出物の量や噴煙高度,噴火挙動の特徴から決められる,火山噴火の規模と爆発性を表す指標で,最小は0で最大は8である。国内ではVEI
が5 以上の噴火は1739年以降発生しておらず,4以上の噴火は1929年が最後である。近年では,2011年の新燃岳噴火のVEIが3である。

◎(火山噴火の)爆発性

→ 爆発的・非爆発的噴火 の項を参照。

◎爆発的・非爆発的噴火

急激な体積膨張を伴い,岩石や火山灰,ガス等を一気に放出する噴火を爆発的噴火と呼ぶ。噴火が爆発的になるか否か(爆発性)は以下の条件に左右される。一般にマグマの粘性が高い場合やマグマ中に多量の揮発性物質が含まれる場合に,爆発的な噴火になりやすい。また,マグマの熱で地下水が急膨張する水蒸気噴火も爆発的噴火である。マグマの粘性が低い場合やマグマ中の揮発性成分が噴火前に抜けてしまった場合は,爆発を伴わずにマグマが火口から噴出・流出する非爆発的な噴火になりやすい。

◎暴露人口

地震や火山噴火が発生した時に,各震度に晒される地域や噴火活動に対応した要警戒地域において,潜在的に影響を受ける可能性がある人口。想定震度分布や噴火災害の要警戒地域と人口分布を重ね合わせることで,人的被災ならびに社会的な影響範囲を想定する際の指標となる数値として活用される。都市部や観光地においては,一般的に昼間人口と夜間人口の差が大きいことが知られており,地域や季節・時間によっての暴露人口を知ることは「地震や火山災害の脅威にさらされるいのちの数を見積もる」ことであり,対応のための重要な指標となる。

◎発震機構(解)

地震時の断層運動を断層面の向き(走向,傾斜角)と相対すべりの向き(すべり角)によって表現したもののことをいう。地震波の放射パターンなどから求められ,震源域の応力場を知る手がかりとなる観測データである。

◎(マグマの)発達過程

→ マグマ の項を参照。

◎ひずみ

岩盤(プレート)などが変形する際の,変形の大きさをひずみといい,単位長さ当たりの変位量で定義される。ひずみの空間的な分布の状態をひずみ場という。測地観測や地形から推定される地殻のひずみが大きい領域をひずみ集中帯といい,大地震発生との関連に着目して研究が進められている。

◎ひずみ集中帯

→ ひずみ の項を参照。

◎比抵抗(構造)

比抵抗とは,単位断面積・単位長さ当たりの電気抵抗値のことであり,電気伝導度の逆数である。マグマの周辺では高温や流体の存在によって低い比抵抗値を示すことが多いため,地中の比抵抗の分布(比抵抗構造)を調べることで火山噴火の発生ポテンシャルや地下のマグマの状態を把握する研究が進められている。

◎(地下における)不均質構造

地下の特定の範囲において,地震波速度や密度などの物性定数が空間的に均質でない状態(構造)。例えば,組成の違いや空隙率の分布状態,流体の含有などによって,物性定数が変化する。応力場も不均一になり,特定の場所に応力集中が生じる可能性がある。

◎物質科学的(分析/解析)

物質の組成,構成鉱物種,同位体比等を,組成分析や同位体分析などの科学的な手法に基づいて明らかにすること(分析/解析)。

◎物理探査

物理現象を活用して地下の構造を明らかにすること。人工的な地震波を用いた屈折法や反射法,電磁波を利用したMT法などの手法がある。

◎プレート

地球表面は,地殻と十分に冷却して固くなっている最上部マントルとを合わせた,厚さ100km程度の複数の固い岩石の層(プレート)で覆われている。隣り合う2つのプレートの境界をプレート境界という。特に,冷たくて重い海洋プレートが,大陸プレートなどのより軽いプレートの下へ沈み込む地帯を沈み込み帯といい,沈み込み始める境界線を海溝軸という。海洋プレートがマントル中に沈み込んだ部分をスラブという。
プレート境界で発生する地震はプレート境界地震,プレート内部で発生する地震はプレート内地震と呼ばれる。海溝型巨大地震はプレート境界地震の一種。

◎プレート境界

→ プレート の項を参照。

◎プレート境界地震,プレート内地震

→ プレート の項を参照。

◎(マグマの)分化

→ マグマ の項を参照。

◎噴火警戒レベル

火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲(生命に危険を及ぼす範囲)」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分した指標。噴火警戒レベルに応じた「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」が地方自治体の地域防災計画に定められた火山において,噴火警報・予報に付して発表される。

◎噴火警報

火山噴火に伴い,生命に危険を及ぼす火山現象の発生や危険が及ぶ範囲の拡大が予想される場合に,「警戒が必要な範囲(生命に危険を及ぼす範囲)」を明示して気象庁が発表する警報。噴火警戒レベルが運用されている火山においては,噴火警戒レベルを付して発表する。

◎噴火事象系統樹

火山ごとに,可能性のある複数の噴火現象の時間的推移を網羅的に示したもの。示された複数の噴火推移のうち,どの道筋をたどるかの分かれ目を事象分岐という。

◎噴火様式

噴火時にマグマが地表に噴出する場合,噴火の様子はマグマの性質や破砕の程度などによって異なり,いくつかのタイプに識別される。その異なる噴火の様子を噴火様式という。
マグマの関与の度合いによる識別(マグマ噴火/マグマ水蒸気噴火/水蒸気噴火),マグマの粘性及び噴火の激しさによる識別(ハワイ式噴火/ストロンボリ式噴火/ブルカノ式噴火/プリニー式噴火)などがある。水蒸気噴火やブルカノ式噴火,プリニー式噴火は爆発的であり,ハワイ式噴火は穏やかな非爆発的噴火であることが多い。

◎噴石

→ 火山噴出物 の項を参照。

◎変形場

地殻やマントルなどの地下構造が周囲からの応力を受けて,連続的に変形している領域。

◎防災リテラシー

災害発生時に,自らの生命を守るための行動について,正しい判断を下し,適切に実行するための能力。

◎放射非平衡

放射性元素が崩壊する過程で生じる中間壊変生成核種の存在比が,堆積・浸食・火山活動等の地学的な過程により,崩壊定数から想定される平衡状態の存在比からずれることがある。これを放射非平衡といい,平衡状態に戻るまでの存在比の変化が時間の関数となる。岩石に含まれる放射非平衡状態の元素の存在比を測定することで,ずれが生じてからの時間を知ることができる。

◎マイクロジオデータ

携帯電話の基地局情報,スマートフォンなどによる歩行者1人単位のGPS位置情報,WEB上のSNSなどから収集できる情報など,従来の各種統計よりも時空間分解能がはるかに高いデータ。その有効活用方法が模索されている。

◎マグマ(マグマの結晶化,上昇,発達,流動,破砕,脱ガス)

岩石物質が高温で溶融したもの。日本列島下では,主として沈み込むプレートが持ち込む水によりマントルが部分溶融することで生成する。
上昇途中では周囲の岩石と密度が釣り合う場所に滞留してマグマ溜まりを作る。マグマ溜まりに滞留する間に結晶化が進むことで組成が変化したり(結晶分化),地殻内を上昇する途中で地殻物質を取り込むことで多様な組成のマグマができる(マグマの発達)。
マグマ溜まりの圧力が高まるとマグマは上昇を始める。上昇中はメルト中に溶け込んでいた揮発性成分が気泡となり(脱ガス)密度を下げるため,マグマの上昇が加速される。マグマ中のケイ素の量により粘性が大きく異なり,ケイ素が少ない玄武岩質マグマは粘性が低いために流動性が高く,穏やかな噴火をしやすい。ケイ素が多い流紋岩質マグマは粘性が高く,爆発的噴火になりやすい。
火道内のマグマ中にあるガス成分が周辺岩体や噴気として系外へ排出されることを系外脱ガスという。系外脱ガスの量は噴火の爆発性を左右する。マグマ中の気泡の割合が増えると液体部分が細かくちぎれ,大小さまざまな破片になる。これをマグマの破砕という。最も細かく砕けたマグマが火山灰になる。

◎マグマ供給系

地下深部から火口までマグマが供給されるマグマ溜まりや火道を含むシステム全体のことを指す。

◎マグマ溜まり

火山活動の源であるマグマが蓄積されているところ。その存在位置,形状,内部構造,内容物の特性などの情報は,噴火現象の理解に欠かせないが,現状では,よく研究されている少数の火山に限り,それらのごく一部が明らかにされているのみである。

◎マグマ噴火

噴出物のほとんどがマグマ物質からなる噴火のこと。水蒸気噴火との対比で用いられる。

◎摩擦特性

速度依存性やすべり量依存性などの摩擦の性質。摩擦特性は断層で生じる多様な滑り現象の解明において重要である。

◎マントル

地殻の下にある深さ約2,900kmまでの固体層。その上部(上部マントル)は,かんらん岩を主成分とする岩石で構成されている。

◎モデル(化)

物理現象の時間変化を数式等で記述したり,諸要素の相互関係や因果関係を模式的に表現したもの。地震や火山の分野においても,様々な現象について,実際の物理現象を再現するモデルの構築(モデル化)が試みられている。構築したモデルを用いて未来時刻までシミュレーションを行うことで,将来発生する現象の予測が行われる。

◎誘発地震

大地震の震源域から離れた場所で,大地震によって誘発されて発生する地震。

◎ゆっくり滑り

断層面やプレート境界面で発生する非地震性すべりの一種で,非定常なゆっくりとした滑り。長いものでは継続時間が数年に及ぶものもある。スロースリップ,スロースリップイベント(SSE)ともいう。

◎溶岩流

火山の噴火活動によって地下のマグマが溶けた状態のままで火口から噴出し(溶岩),地表に沿って流れる現象。

◎余効変動

地震の後に震源域あるいはその周囲で発生する地殻変動。

◎リアルタイムGNSS

→ GNSS の項を参照。

◎陸海統合地震津波火山観測網

防災科学技術研究所が運用する,全国の陸域から海域までを網羅する地震・津波・火山の観測網の総称。略称はMOWLAS。陸域においては高感度地震観測網(Hi-net),全国強震観測網(K-NET),基盤強震観測網(KiK-net),広帯域地震観測網(F-net),基盤的火山観測網(Vnet),海域においては日本海溝海底地震津波観測網(S-net),地震・津波観測監視システム(DONET)が運用されている。

◎リモートセンシング

遠隔観測手法の総称。様々な波長の電波や光を用いて,対象物の形状,温度,物質などを測定する。人工衛星や航空機から測定することによって広い範囲を迅速に測定できる。

◎レオロジー

物質の流動と変形に関する科学をレオロジーという。地震や火山の分野では地下深部での高温高圧下での流動や変形に関する岩石の振る舞いを指し,岩石にかかる応力と変形の大きさや変形速度との関係をモデル化したものをレオロジー構造モデルという。

◎レオロジー構造モデル

→ レオロジーの項を参照。

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)