1(3)火山

「火山」計画推進部会長  大倉敬宏(京都大学大学院理学研究科)
副部会長 野上健治(東京工業大学火山流体研究センター)


火山噴火による災害を軽減するためには、火山噴火の発生の場所・規模・時期を予測することおよび火山噴火現象の発展段階に応じた災害の推移を予測することが重要である。しかしその前段階として、火山噴火現象自体を解明することも非常に重要である。
「火山」計画推進部会では、発災の原因である火山噴火を科学的理解に基づき予測する手法の開発をすすめるとともに、火山噴火予測の基礎となる火山噴火の仕組みを自然科学的に解明する研究を推進している。そして、これらの研究を支える観測手法の開発および体制の整備も主たる推進内容の一つである。

1.地震・火山現象の解明のための研究

(1)地震・火山現象に関する史料、考古データ、地質データ等の収集と整理

ウ.地質データ等の収集と整理

 火山現象とそれに伴う災害を長い時間スケールにわたって正確に把握するためには、岩石資料や地質調査データなどの分析をおこなうことが重要である。そこで、本年度は主として伊豆大島の最近数百年間の噴火噴出物についてそのマグマの含水量と温度が決定され、マグマの含水量については1986年噴火(2 wt%程度)より9世紀のN2や12世紀のY6 噴火(2.6-2.8 wt%程度)のほうがやや多いことなどが明らかになった。また、諏訪之瀬島と西之島の噴出物の分析も実施され、西之島火山については2013-15年噴火の噴出物の分析により、マグマがもともと高温であったこと、浅所に一時的に滞留し脱ガスが行われてから噴火に至ったために斜長石の微結晶の成長が抑制されたことが明らかになり、これらが2013-2015年噴火が1973-74年とは様式が異なり、流動性にとむ溶岩流主体の活動となった要因であると推察された(東京大学地震研究所[課題番号:1502])。

(2)低頻度大規模地震・火山現象の解明

ア.史料、考古データ、地質データ及び近代的観測データ等に基づく低頻度大規模地震・火山現象の解明 

 低頻度で大規模な火山現象の発生過程や噴火現象を理解するためには、現在の火山学の知見と対比しながら、近代的観測データの解析や岩石・地質データの分析を行なうことが必要である。火山部会では、低頻度大規模火山現象としてカルデラ噴火と大規模山体崩壊とをターゲットとした研究が実施されている。
 薩摩硫黄島でのボーリングコアの解析により、特に7.3ka鬼界アカホヤ噴火によるカルデラ形成後の火山活動についての検討および鬼界アカホヤ噴火と12万年前の屈斜路カルデラIV噴火のマグマ供給系の構造とそのプロセスについての物質科学的な検討が行なわれた(北海道大学[課題番号:1001])。その結果、1)両噴火ともそのマグマ供給系は、大きく珪長質マグマ系とマフィックマグマ系に大別される。2)このうち珪長質マグマ系では、起源の異なる流紋岩質マグマとデイサイト質マグマが混合し、噴火前には珪長質成層マグマ溜りを形成していた。3)マフィックマグマはアカホヤ噴火では2種、屈斜路噴火では3種が存在し、カルデラ形成噴火の間に、それらが順次珪長質成層マグマ溜りに貫入していた。4)このマフィックマグマの不連続的な貫入が、カルデラ噴火の引き金となるだけでなく、噴火様式の変化や噴火休止期に対応している可能性があること、などが明らかになった。また、カルデラ形成噴火では噴火の数百年前から大規模珪長質マグマの集積過程が進行しているなどの準備過程も明らかになった。
また、1888年磐梯山噴火の後の「お雇い外国人」技術者・教師が行った磐梯山調査について史料を精査した結果、彼らが磐梯山の崩壊地形測量と噴火写真撮影について多大な貢献をしたこと、その成果がSekiya and Kikuchi (1890)の論文に反映されていることが明らかになった(京都大学防災研究所[課題番号:1902])。

(3) 地震・火山噴火の発生場の解明 

ウ.内陸地震と火山噴火

 マグマ溜まりや火道などの構造や物質科学的特性、火山周辺の応力・ひずみの時空間分布を明らかにし、火山噴火現象のモデル化の研究を進めるためには、地震・地殻変動観測や電磁気探査などを実施することが重要である。
 この目的のため、近年活動が活発化している蔵王山周辺では地震・地殻変動観測、重力観測や地磁気観測の総合観測が実施されている。全磁力繰り返し観測とそのデータ解析から、御釜から北東へ約700m、深さ約350mの位置(御釜直下ではなく、現在噴気を上げている振子沢、丸山沢の直下)に消磁域が推定された。ただし、低周波地震・長周期地震の解析からは浅部の熱水系での顕著な温度変化や物性的変化は検出されておらず、丸山沢噴気地熱地帯の現地調査からも目立った変化は見いだされていない(東北大学[課題番号:1202])。同火山の噴火ポテンシャルを評価するため、今後もこうした総合観測を継続して行くことが重要である。
 一方、阿蘇カルデラの地殻~上部マントルのS波速度構造が遠地地震波形のレシーバー関数解析により求められた結果、中央火口丘の下、8~15kmの深さにS波低速度領域(最低で2.2km/s)が存在することが明らかになった。この低速度領域の存在は、熊本地震合同地震観測班がダブル・ディファレンストモグラフィ法によって決定した速度構造とも調和的である。この領域が深部低周波地震発生域や地殻変動発生源に近接していることから、深部地殻あるいは上部マントルからの高温物質の移動により、低速度層内にマグマが蓄積している可能性がある(九州大学[課題番号:2201])。

(5) 火山現象のモデル化

 大規模な災害を引き起こす可能性があるマグマ噴火を主体とする火山、および噴火規模は小さいものの災害を引き起こす可能性が高い水蒸気噴火を主体とする火山それぞれに対し、火口近傍や火山周辺における多項目の観測や火山噴出物の解析から、先行現象とそれに続く噴火現象を把握し、それら諸現象のモデル化を行なうことを目的とした研究が実施されている。

ア.マグマ噴火を主体とする火山

 2006年に58年ぶりに噴火が発生した桜島昭和火口では、2009年後半から2015年前半までブルカノ式噴火が頻発した。同火山では地震、地盤変動観測、重力測定、火山ガス放出量、噴出物の分析が継続され、火山体構造の変化抽出のための人工地震探査が実施された。また、2015年8月15日に発生したマグマ貫入イベントの再解析を行うことにより、その特性が詳細に調べられた(京都大学防災研究所[課題番号:1908])。
 桜島の地盤は、約1年周期で膨張と収縮を繰り返しているが、2009年10月~2010年5月、2011年11月~2012年2月、2015年1月~6月の地盤の膨張は、それまでの年周変化的な変動をはるかに超える。この地盤変動はマグマの貫入量が数十万m3/月のレベルまで増加したことに対応する。また、これらの時期には噴火活動が活発化し、火山灰放出量も増加した。そして、この時期に観測された地盤変動は、姶良カルデラ下約10km及び北岳下4kmにおける球状圧力源の増圧と南岳下約1kmの減圧により説明できる(京都大学防災研究所[課題番号:1908])。このうち姶良カルデラ下のマグマ溜まりの継続的な膨張はGEONETでもとらえられている(国土地理院[課題番号:6002])。また、噴火発生前の高時間分解能のSO2 放出率変動観測の結果と地殻変動観測の結果を解析した結果、噴火前の膨張量と火山ガスの蓄積量に相関があることが明らかになった(産業技術総合研究所[課題番号:5006])。
 一方、2015年8月15日に発生したマグマ貫入イベントは、通常のブルカノ式噴火に先行する地盤変動の300倍の膨張速度と活発なA型地震の発生を伴う顕著なイベントであり、上述のマグマ移動とは異なり、明瞭な割れ目の開口によりモデル化できるものであった。このマグマ貫入イベントの再解析のため、ASL(Amplitude Source Location)法で震源決定を試みた。その結果、深さの決定精度が悪いため震源(震央)分布の時間変化を議論するには至らなかったが、8月15日に発生した地震はダイクの付近に走向(北東-南西方向)に沿って分布することが明らかになった。
 火山現象・噴火のモデル化を行なう際には、マグマの挙動についての実験的研究の成果を取り入れることも重要である。東北大学ではこれまでに霧島火山新燃岳2011年の噴火様式の分岐に対応した噴火噴出物のナノライトの鉱物組み合わせの相違を発見している。本年度においてさらに高倍率観察を進めたところ、マグマが火口内で固結して形成されたと考える本質石質岩片・溶岩ブロックの中に、直径1ナノメートル程度のFeTi酸化物を晶出しているものと、そうでないものの二種類があることがわかった。これは、火口まで気泡流として上昇してきたマグマが固結したものと、一度破砕したマグマが火口内で再溶結したものとに対応すると考えられる。これらの結晶化条件(圧力・含水量、温度、酸素分圧)を実験によって明らかにして行くことにより、噴火様式の各分岐点を制約することができると考えられる(東北大学、[課題番号:1205])。
 マグマ噴火のモデル化のためには、地球物理学、地球化学および岩石学的手法を用いた多項目の観測を桜島以外でも推進し、噴火にともなう諸現象の一般性を抽出することが非常に重要となる。東京大学地震研究所では、伊豆大島と浅間山においても地震観測、ガス観測、電磁気観測等の多項目・高精度観測を継続している([課題番号:1508])。また、北海道立総合研究機構地質研究所は、北海道の5火山(雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳)において、地球物理学的・地球化学的モニタリングを実施している。そのうち十勝岳では2006年以降火口域の膨張を示す変動が継続していることがGPS観測により捉えてられており、同火山における火山体内部構造や熱水流動系解明のための電磁気(MT)探査や重力観測、熱水変質調査が実施された。その結果、火山活動の中心である山頂の火口域の地下では熱水系が上下に厚くなっていると考えられ、その領域は浅部での山体膨張を引き起こしている膨張源や、ごく浅部の火山性地震の発生領域に一致することが明らかになった([課題番号:9102])
 雌阿寒岳では、気象庁も全磁力連続観測を実施しており、2015年3月から2016年4月にかけて熱消磁とみられる全磁力変化が観測された。繰り返し観測のデータも用いて解析を行なった結果、その消磁源はポンマチネシリ96-1火口南斜面の地下約500m、半径107mと求められた(気象庁、[課題番号:7005])。
 観測と並行して、データ解析による比較研究も実施されている。東京大学地震研究所では、地震波干渉法解析を国内14火山に適用し、その結果伊豆大島・桜島等においては、速度変化がGNSSによる面積歪と相関することが明らかになった。山体変形の大きい伊豆大島について、面積歪に対する地震波速度変化の感度係数を推定することができた。また、桜島においては2015年8月のマグマ貫入に伴う相互相関関数の変化を検出し、散乱特性の変化した場所が貫入位置に調和的であることが明らかになった([課題番号:1508])。

イ.熱水系の卓越する火山 

 熱水系の卓越した火山で発生する水蒸気噴火や小規模なマグマ水蒸気噴火の準備過程に関連する先行現象の事例を多数集め、それらの現象の理解を深めるため、十勝岳・吾妻山・草津白根山・阿蘇山・口永良部島を対象とした全国連携の比較研究が継続された(北海道大学[課題番号:1003])。このうち、阿蘇山と口永良部島については、H26年度中に噴火が発生しマグマ性の活動に移行したため、H27年度からは別課題でも観測研究が実施されている(京都大学理学研究科[課題番号:1802])。
 十勝岳、吾妻山、草津白根山では、火口周辺域での地盤変動、地震、磁場のモニタリング観測とそのデータ解析が継続された。その結果、十勝岳では継続的な山体の消磁による、草津白根山では2016年春頃からの山体の帯磁による磁場変化がそれぞれ観測されている(北海道大学[課題番号:1003])。一方、草津白根山では、火口湖の塩化物イオンおよび水安定同位体比に注目して、その時間変動を計算する数値モデルが開発され、湯釜火口湖に注入している流体は、高温火山ガスと天水の単純な混合で説明可能なことが初めて明らかになった。2014年以降の活動活発化とその後の経過は、熱水系での気液分離の進行で説明可能である。また、同火山では火山ガス、湖水・温泉水の化学組成の繰り返し観測が実施された。2014年3月の火山の活発化以降、フッ化物イオン、塩化物イオンの濃度が増加すること、ポリチオン酸イオン濃度が増大することが見出され、このことはマグマ性の火山ガスが湯釜火口湖に注入している結果であると解釈されている(東京工業大学[課題番号:1601])。
 地質学的な調査により、御嶽山や秋田焼山などの火山体浅部へのマグマ貫入頻度が低く、熱的にも化学的にも長期的に安定な熱水系が発達する火山では、変質分帯を形成する熱水系内の多様な場所から火山灰が由来していることが明らかにされている。一方、十勝岳のように地下に熱水系の存在が示唆されていながらも頻繁にマグマが浅所に貫入しマグマ噴火やマグマ水蒸気噴火が生じる火山では、変質分帯と噴出物の対比において様相が異なることが明らかになった。このように、変質物分析から熱水系の特徴が分類され、マグマ貫入の頻度と熱水系の卓越度と関連を示唆する結果が得られている(北海道大学[課題番号:1003])。
 阿蘇火山では、2016年熊本地震直後には火山活動の活発化が見られなかったが、2016年10月8日に爆発的噴火が発生した。噴火に先行して、2016年7月ころからマグマ溜まりの膨張を示すGPS基線長変化、10月に火山性地震の活発化とガス放出量の増大がそれぞれ観測された(京都大学理学研究科[課題番号:1802])。御嶽山では、2016年9月に水準測量が実施された。2015年4月からの約1年半の期間で、上松(BM34)の不動点に対して、御岳ロープウエイ・中の湯路線のBM505で約6mmの隆起、屋敷野路線のBM214で約3㎜の沈降の上下変動が検出された。2016年1月~12月に御嶽山頂直下で発生した地震のメカニズム解から推定される局所応力場の変化は、この時期においても増圧・減圧過程が繰り返し発生していることを示しており、この圧力変化が上下変動に現れている可能性もある(京都大学理学研究科[課題番号:1802])。一方、口永良部島での水準測量では、火口側地盤の沈降が初めて確認でき、圧力源の収縮が地下深部に及び始めていることが推定された。地震活動と火山ガス放出量から見ると2015年噴火直後に比べて、低下しているとはいえ、静穏化には至っていないと判断される(京都大学理学研究科[課題番号:1802])。
 他の熱水系卓越火山でも観測研究が進められている。京都大学防災研究所は、焼岳火山の観測網強化のため焼岳山頂観測点に短周期地震計、気泡型傾斜計、プロトン磁力計、高精度地中温度計を設置した([課題番号:1909])。また、富山大学は、弥陀ケ原火山・地獄谷において水準測量、レーザースキャナによる高精度地形測量および地中温度測定を実施した。硫黄ドームの形成と崩落が繰り返されており、ガスの噴出も活発な領域で、2015年9月から1年間で1cmを超える隆起が観測された。これは地下浅部のガスの過剰圧変化により引き起こされたと考えられている([課題番号:2941])。東海大学は2016年4月から2017年1月まで箱根山の大涌谷と上湯場の二か所で噴気の採取・分析を繰り返し実施した。火山ガスの化学組成や安定同位体比の変化が乏しかったが、2016年10月7日に大涌谷で採取した噴気では、マグマから発散する揮発性物質が減少していた。このことは、地殻中の通路の目詰まり(シーリング)により、浅部熱水系に供給される流量が減少したことを意味する。その後、2016年11月4日にCO2/H2Oが急増した。シーリングに対応する噴気の組成変動の後にCO2/H2Oが上昇したのは、2015年4月前後の群発地震活動以来であったが、2016年11月に群発地震は発生していない。今後は組成変化の大きさと群発地震発生の関係を調べて行く必要がある(東海大学[課題番号:2922])。この箱根火山においては東京大学大気海洋研究所も2ヶ所における継続的に噴気ガスを採取を実施している(東京大学大気海洋研究所[課題番号:2802])。 
 海底火山の活動は、その周囲が大量の海水に囲まれていることから、大規模な熱水活動を伴うことが特徴であり、陸上の火山活動とは全く異なった様相を呈する。2015年11月17日の噴火を最後に、弱い噴気活動だけを残して活動を休止していた西之島の周囲で2016年に海水試料を採取し、海水の組成分析を行った。その結果、すべての海水試料でpHは通常の海水とほぼ等しく、塩化物イオンや硫酸イオンの濃度もほぼ通常の海水と等しくなっていた。これらの観測結果は、火山活動が縮退する過程で徐々に火山体から放出される熱水の量が減っていることを示しており、変色域の縮小と整合的である(東京工業大学[課題番号:1602]、海上保安庁[課題番号:8003])。

2.地震・火山噴火の予測のための研究

(4)事象系統樹の高度化による火山噴火予測

 火山活動の推移を俯瞰的に理解してその予測を目指すためには、史料、考古データ、地質調査、火山噴出物の解析、地球物理観測の研究成果を多角的に取り入れ、可能性のある火山活動や噴火現象を網羅してその時系列を整理した噴火事象系統樹を作成することが重要である。また、作成された噴火事象系統樹も、最新の研究成果により更新されていく必要がある。
 一昨年度に緊急的に作成された蔵王山の噴火事象系統樹は、御釜からのテフラ層の噴火推移に関する最新研究成果(山形大学、[課題番号:2932])などを加えて改定された。また浅間山を対象火山とした系統樹作成が進められ、豊富な噴火履歴に基づき、分岐確率を付与した噴火事象系統樹を作成した。また、次年度の作成に向け、阿蘇火山に関する研究集会を開催した(北海道大学[課題番号:1004])。
 また富士山では文献調査と既存資料のデータベース化を継続するとともに、富士山北麓市街地に最も近い雁ノ穴火口のトレンチ調査を実施し、割れ目火口の南端と北端を推定するとともに、噴出年代の測定をおこなった。作業を実施した。また、富士山における溶岩の古地磁気方位と既存の古地磁気永年変化を比較した。その結果、AD1707年の宝永噴火やAD1000から1100年にかけては層序とも整合性が認められるが、富士火山地質図とは異なる場合もあり、今後テフラ層序や岩石学的特徴を加えた検討が必要である(山梨県富士山科学研究所、[課題番号:9202])。その他、草津白根火山でのテフラ層序調査と白根火砕丘群噴出物の層序調査と岩石学的解析(富山大学、[課題番号:2942])、過去4万年にわたる摩周火山の詳細な噴火史調査と約7500年前の摩周カルデラ形成における初期の噴火推移(北海道教育大学、[課題番号:2940])に関する研究の成果も、今後両火山における噴火事象系統樹作成に活用されるであろう。
 一方、火山活動の活発化や噴火の発生、噴火発生後の噴火規模や様式の急激な変化の予測を行うためには、これまでの火山学的知見や本計画の成果をもとに、観測データの特徴、火山噴出物の解析などから、事象分岐の条件や論理を導き出すことも不可欠である。
 気象庁・気象研究所は噴火警戒レベルの判定基準の根拠を明示して公表するため、過去のデータを改めて精査し、注目すべき現象の整理、判定基準のできるだけの具体化、および必要な見直しを進めた。平成27年度に公表した浅間山、御嶽山、桜島に引き続き、伊豆大島、三宅島、箱根山、阿蘇山等で作業を進めた。阿蘇山については、過去データの再精査を行うとともに、2014年からの噴火活動、特に2016年10月の爆発的噴火の先駆現象を整理して基準に具体的に反映させ、12月に公表した(気象庁[課題番号:7003])。東北大学は分岐の確率を例示できる例として、大地震の発生と火山噴火の発生の関連性を全世界のデータをもとに調べた。データが漏れなく記録されていると考えられるマグニチュード7.8の地震の発生後、距離200km以内にある火山の噴火数が5年間にわたり20%ほど増加すること、それ以遠の火山の活動は大地震の発生に影響を受けていないことが明らかとなった。また、桜島火山歴史時代のプリニー式噴火(文明・安永・大正)の噴出物に含まれる斑晶メルト包有物の揮発性成分含有量から最終定置深度を求めたところ、大部分が約0.5~3kmとなることがわかった。軽石噴火の噴出量は、火道の直径と深さ方向の分布範囲で規定される体積でほぼ賄える。このことから、プリニー式噴火の噴火直前には、浅部の火道にマグマが貫入した状態であったと推定される(東北大学[課題番号:1208])。これは、火山の噴火様式の予測のためには、マグマ貫入レートを正確に決めることが重要であることを示唆する結果である。また、岩石学的な手法により火道内での滞留時間を推定することも重要である。

4.研究を推進するための体制の整備 

(1)推進体制の整備

 観測研究の成果が防災・減災に効果的に役立てられるためには、行政機関等の関連機関との連携の下に、適切な計画推進体制を整備する必要がある。3回の火山噴火予知連絡会定例会を開催し、全国の火山活動の状況についての検討を行った。検討結果は定例会終了後に報道発表し、気象庁の「火山の状況に関する解説情報」で発表するとともに、気象庁のホームページでも公表されている(気象庁[課題番号:7013])。

(2)研究基盤の開発・整備 

ア.観測基盤の整備

イ.地震・火山現象のデータベースとデータ流通

ウ.観測・解析技術の開発

長い時間スケールをもつ火山現象の理解とその予測には、その基盤となる観測網の維持・拡充を進めるとともに、データの継続的取得と膨大なデータの効率的利用が重要である。また、海域における観測体制の強化、各種観測を火口近傍で安全に実施する技術の開発、人工衛星を利用したリアルタイム火山観測システムの高度化、航空機搭載型センサーを用いた観測技術の開発も必要である。
 山梨県富士山科学研究所では、火山活動の予兆現象として地下水の変動状態を監視することを目的に、富士北麓の4箇所に観測点を設けて地下水変動の連続観測を継続している[課題番号:9201])。防災科学技術研究所([課題番号:3003])は、熊本地震発生後の火山現象・災害過程の把握のため、阿蘇山周辺に19臨時観測点を整備した。海上保安庁は、海域火山の定期巡回監視と、海域火山基礎情報図調査を「海徳海山」で実施した。また、西之島の上陸調査及び海洋調査を実施した([課題番号:8003])。
 東京大学大学院理学研究科([課題番号:1403])は、二酸化硫黄簡易型トラバース測定装置の測定プログラムの修正を行ったほか、装置全体のメンテナンスなどを行い、観測を継続してきた。この装置を用いた口永良部島での測定結果は気象庁の火山活動解説資料に採用されており、同島での火山活動の監視に役立てられている。
 また、北海道大学([課題番号:1008])は、Lバンド航空機SARを用いた火山性地殻変動の検出にむけた解析ソフトの改良を重ねた。その結果、H27年度時には干渉が得られなかった画像ペアについて、新たに干渉が得られるようになった。また、軌道間距離が目標値(10m)のおよそ5倍程度に劣化したペアでも、干渉性が獲得できるようになった。防災科学技術研究所([課題番号:3005])は、 地上設置型レーダー干渉計を浅間山に設置し、その初期性能評価を実施し、植生がほとんどない火口周辺においては、30日間のデータペアにおいても地殻変動検出が可能なほどの干渉性が得られることを確認した。また、小型単発機に搭載可能なセンサー:ARTS-SEのカメラ型センサデータの処理手法の開発を実施した。
 人工衛星を利用した研究では、東京大学地震研究所が、ひまわり8号のAHI画像およびGCOM-C SGLI画像処理システムの正式運用のためのシステム開発を実施した。また、複数衛星データによるインドネシア・ラウン火山2015年噴火推移を、特に高分解能画像を活用することにより明らかにした([課題番号:1520])。また、小型絶対重力計網によるマグマ活動等の火山観測手法を確立をめざし、絶対重力計の系統誤差の評価と小型通信帯波長光源(1.5μm)による観測を実施した([課題番号:1506])。また、火山噴火事象の分岐条件や論理の構築のために分岐前に現れる物理量の変化を検出するための機器開発のみならず、宇宙線(ミューオン)を利用した火山浅部透視技術においては桜島におけるミュオグラフィ長期観測点へのカロリメータ方式の導入・観測開始が行われている([課題番号:1523])。

(4) 研究者、技術者、防災業務・防災対応に携わる人材の育成

 気象庁は火山活動監視・評価の高度化に資するため、傾斜データ等のノイズ軽減、GNSSデータ解析の高品位化、だいち2号(ALOS-2)の観測要望SARデータの解析環境の再構築を実施した([課題番号:7004])。

これまでの課題と今後の展望

 噴火履歴をもとにした噴火事象系統樹作成は前計画から継続して推進している研究課題である。この従来型の噴火事象系統樹は、地域住民や自治体が火山活動や噴火現象の推移の全体像を把握し適切な判断ができるようにするために必要不可欠であり、今後も噴火履歴データ等の蓄積に応じて,新たな火山での系統樹の作成や既存の系統樹の改訂を進めていくべきである。
 一方で、火山噴火の予測のためには、本計画の比較研究などを通して得られた火山学的知見を活用して、事象分岐の条件や論理を明らかにすることも重要である。「火山」計画推進部会では、火山噴火の事象分岐の条件・論理を明らかにし、噴火事象系統樹を高度化することで、発災の原因である火山噴火を予測する(東北大学[課題番号:1208])ことを上位目標にすえ、低頻度で大規模な現象を含む火山噴火現象および発生場の解明、噴火のモデル化、観測手法の開発および体制の整備に関する研究等を推進している。
 しかしながら、現時点で噴火事象系統樹の一般化や高度化に結びつくような観測結果はまだ少なく、噴火のモデル化にもいたっていないのが実情であろう。今後、事象分岐の条件や論理を明らかにするための研究を推進していくためには、海外を含めた観測事例の豊富な複数の火山で、観測データの特徴や噴出物の解析などを進め、事象分岐基準について議論をさらに進めることが重要である。これには、気象庁が噴火警戒レベルの判定基準の根拠としている観測データの精査が端緒となると思われる。また桜島におけるマグマ貫入速度と噴火規模・様式の関係が他の火山でも成立するか、どの程度の一般性があるかなどを比較研究を通して検討することも今後の課題であろう。その一方で、火道流モデルなどを用い、理論的あるいはシミュレーションによって噴火の予測を行うことも今後は重要となるであろう。

成果リスト

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Aizawa, K., H. Asaue, K. Koike, S. Takakura, M. Utsugi, H. Inoue, R. Yoshimura, K. Yamazaki, S. Komatsu, M. Uyeshima, T. Koyama, W. Kanda, T. Shiotani, N. Matsushima, M. Hata, T. Yoshinaga, J. Uchida, Y. Tsukashima, A. Shito, S. Fujita, A. Wakabayashi, K. Tsukamoto, T. Matsushima, M. Miyazaki, K. Kondo, K. Takashima, T. Hashimoto, M. Tamura, S. Matsumoto, Y. Yamashita, M. Nakamoto, and H. Shimizu, 2017, Seismicity controlled by resistivity structure: the 2016 Kumamoto earthquakes, Kyushu Island, Japan. Earth, Planets and Space, 69:4, DOI: 10.1186/s40623-016-0590-2.
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新谷昌人, 2016, 光ファイバーネットワークを用いた地震・津波・地殻変動の計測技術に関する研究, 東北大学電気通信研究所研究活動報告, 22, 241-243.
Coussens, M., D. Wall-Palmer, P.J. Talling, S.F.L. Watt, M. Cassidy, M. Jutzeler, T. Gernon, M. Clare, M.R. Palmer, S. Hatter, G. Boudon, D. Endo, A. Fujinawa, R. Hatfield, M. Hornbach, O. Ishizuka, K. Kataoka, A. Le Friant, F. Maeno, M. Manga, M. McCanta, and A. Stinton, 2016, The relationship between eruptive activity, flank collapse, and sea level at volcanic islands: A long-term (>1 Ma) record offshore Montserrat, Lesser Antilles. Geochemistry Geophysics Geosystems, 17, doi:10.1002/2015GC006053.
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