アクロス(ACROSS)は,Accurately Controlled, Routinely Operated Signal Systemの略。日本語では「精密制御定常信号システム」と呼ばれる。アクロスには,地震波(弾性波)を用いたものと電磁波を用いたものがある。前者の弾性波アクロスは偏心した錘(おもり)を精密に回転させることで,数ヘルツから数十ヘルツの周波数の振動を発生させる。観測点では,長時間のデータを足し合わせることにより,微弱な信号を検出する。この信号の伝わり方の時間変化を調べることにより,プレート境界の状態や断層の状態を監視しようというもの。
プレート境界や断層面の固着が特に大きい領域のこと。この領域が地震時に滑ると,滑り量が周りよりも大きくなり,大振幅の地震波を放出する。アスペリティがどのように連動して滑るかによって地震の大きさが変化する。いろいろな大きさのアスペリティが混在する場合には,それらの相互作用が地震サイクルに大きく影響すると考えられている。
シミュレーションモデルの変数やパラメータの確率分布の時間変化を観測データから近似的に推定する手法。逐次型データ同化手法の一つであり,非線形のシミュレーションモデルに対しても線形化を行うことなく適用できる。
震度が地震の規模や震源直上からの距離(震央距離)に比して著しく高くなる地域。震源の深さが深い地震(深発地震)の際に出現することが多い。原因は主に海洋プレート内を伝わってくる地震波の減衰が小さいためと考えられている。
地殻内部にかかる力の状態は複雑で,その状況によって様々な型の断層運動が生じる。 断層面が傾いている場合,断層面を挟んで浅い側を「上盤」,深い側を「下盤」と呼ぶ。断層面を境として両側の岩盤が上下方向に動くときを「縦ずれ断層」と呼び,このうち,上盤側がずり下がる場合を「正断層」,のし上がる場合は「逆断層」と呼ぶ。
地下水を含む地盤が地震動で揺すられることにより急激に流動化すること。
岩盤等の物体内部に考えた仮想的な面を通して及ぼされる単位面積当たりの力。震源域の応力が岩盤の破壊強度より高くなったときに地震が発生すると考えられている。3次元の物質中の応力状態は互いに直交する3つの軸方向の圧縮と引っ張りで表すことができるが,この3つの軸を応力の主軸と呼ぶ。
色々な方向を持つ複数の面上で滑りが発生すると考えたとき,実際に観測される複数の発震機構解をもっともよく説明できる広域応力を求める手法。
海洋性プレート上の地殻。海底面からモホ面までの厚さは約6~10kmで,大陸地殻に比べて薄い。
断層運動にともなう破砕によって生じた細粒・未固結の物質からなる層。
ある物質を構成する元素や化合物などの化学成分が,それぞれどのくらいの比率で含まれているかを示したもの。
噴火によって火口から噴出した高温の火山噴出物が,高温の火山ガスや取り込んだ空気とともに高速で火山体斜面を流下する現象。規模や状況によって,熱雲,軽石流(浮石流),スコリア流,火山灰流などとも呼ばれる。
地下のマグマに溶けている揮発性成分が,圧力低下などにより発泡して地表に放出されたもの。火山ガスの主成分は水蒸気であり,その他に,二酸化炭素,二酸化硫黄,硫化水素,塩化水素,フッ化水素,水素などの成分が含まれる。
マグマの動きや熱水の活動等に関連して,火山体の中やその周辺で発生する地震。火山が噴火する際だけでなく,噴火していないときも発生する。
マグマや熱水の移動等に関連して発生する地面の連続した震動。火山性地震とは異なり震動が数十秒から数分,時には何時間も継続する。マグマ溜りや火道内でのマグマや火山ガスの振動,マグマが亀裂の中を移動する際に起こす振動等が原因と考えられている。
火山の噴出物の一種で直径2mm以下の細かい破片のこと。
火山は,沈み込んだプレートの深さが100~150kmに達したところの直上の地表に,海溝軸にほぼ平行に分布する。この帯状の火山分布の,海溝に近い側の境界を結ぶライン。
第四紀後期(数十万年前~現在)に入ってからも活動を続けている褶曲のこと。おもに活断層の活動に伴う。
地質時代でいう第四紀後期(数十万年前~現在)に繰り返し地震を発生させ,地表近傍まで食い違い変位を生じさせてきた断層。今後も同様の地震を発生させると考えられる。
地下のマグマ溜まりから地表へ至るまでのマグマの上昇経路のこと。
輪郭が円形またはそれに近い大きな陥没地を形成する噴火様式。
土や岩石中の粒子間のすきま(間隙)に入り込んだ水などの流体の圧力。間隙流体圧ともいう。
SARはSynthetic Aperture Radar(合成開口レーダー)の略。人工衛星や航空機などに搭載されたアンテナを移動させることにより,大型アンテナと同等の高い分解能を実現したレーダーシステム。干渉SAR(Interferometric SAR,InSAR)は,同じ場所を撮影した時期の異なる2回の画像の差をとる(干渉させる)ことにより地表面の変動を詳細に捉える手法である。
水を結晶構造中に含む鉱物が温度・圧力の上昇により分解して鉱物内の水を解放する現象のこと。
岩石の構成鉱物の大きさ,形,かみ合わさりかた,配列のこと。
GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)は,GPS等の衛星を用いた測位システムの総称で,GNSS観測から観測点の時々刻々の位置を高精度に求める解析手法。
地震動が地盤の影響を大きく受けない深さの層のこと。一般的に,これより上の堆積層では地震動が増幅される。
被害を及ぼすような強い地震動(揺れ)のこと。
地震の揺れの強さと断層面からの距離との関係を式に表したもの。過去に発生した数多くの地震の観測データを統計的に処理して作成された経験的な式である。地震動予測式とも呼ばれる。
一般には集団や群れのことであるが,ここでは地震がある特定の場所に数多く集まっている状態,またはそのような地震の集合体のことを意味する。
岩石中の裂け目,ひび割れのこと。
本震や余震という区別がなく,ある期間に比較的狭い地域で集中的に発生する地震。
地表面の勾配の変化を測定する計器。
マグマが地表および地下の浅いところで冷却・固結して生じた,二酸化ケイ素の含有率が45〜52重量%である火山岩。
物体内部の応力の向きや大きさの空間的な分布の状態を応力場といい,その広域的な特徴のこと。
地球内部構造を構成する物質のP波,S波速度や密度,減衰などの様々な物性値のこと。
波動や粒子線が物体や微粒子と衝突して色々な方向に広がっていく現象。地震学では,地震波が不均質な地下構造を伝わる際に,均質な構造の場合とは異なり,エネルギーの一部が色々な方向に広がっていく現象のことを指す。
自己浮上式海底地震計と同様の機構により,一定期間の観測終了後に浮上させ,回収可能な水圧計のこと。オンラインではないが,沖合において津波や地殻変動の高精度な観測が可能である。
火山ごとに,可能性のある複数の噴火現象の時間的推移を網羅的に示した,噴火の推移を示す系統樹。
地震及び火山噴火予知研究を行っている全国の大学,研究機関,行政機関等が,本計画で立案された研究を,連携と協力関係を強化して推進するために設置された組織。
地震波を出すような現象の性質。また,そのような現象を伴う滑りの事を「地震性滑り」という。
火薬やバイブロサイスなどの人工震源を用いて地震波を発生させ,これをいろいろな地点で観測して,地震波の伝播速度や減衰などを調べることにより地下の構造を明らかにする手法。構造探査の手法のひとつ。
地震の発生直後に,地震の揺れを感知した地震計のデータを用いて,まだ揺れの到達していない場所での地震動を可能な限り素早く予測する技術のこと。
2つの観測点で記録された地動の波形を処理することで,それらの間を伝わる波を抽出する手法。地震探査と違い,人工震源を使わずに地下構造を探査することができる。
地震発生後,断層面の強度が回復するとともに,プレート運動などによる広域応力により再びひずみエネルギーが蓄積され,次の地震が発生するまでの一連の過程。
主要な活断層で繰り返し発生する地震や海溝型地震を対象に,地震の規模や一定期間内に地震が発生する確率を予測したもの。
地震の規模を表す最も基本的な量。地震断層の面積と滑り量及び剛性率(岩盤の変形のしにくさを表す物性値)の積で計算される。
斜面の一部あるいは全部が地下水等の影響と重力によって移動する現象。
火山噴火は,火口から溶岩や火山ガスが急激に地表に放出される現象である。噴火に至るまでには,地下深部で発生したマグマが,長い時間をかけてマントルや地殻内を上昇し,地殻浅部にマグマ溜まりとして蓄積される。さらに,内部の圧力が高まる等の理由で,マグマが地表へ移動できる条件が整い噴火に至る。このような噴火に至る前の一連のプロセスを準備過程と呼ぶ。
磁鉄鉱などの磁性鉱物を含む岩石の磁化(磁性の強さ)が低下,または失われること。特に,高温化による消磁のことを熱消磁という。マグマが地表へ近づくなどの原因により火山体内の温度が上昇することで,熱消磁が起こることがある。消磁領域の周辺では磁場(磁界)が変化する。
地震は震源域において断層面が滑ることで生じるが,この滑り過程のことを震源過程という。
断層面上における滑り量の分布や滑り方向を表すモデルのこと。
地下深いところで発生する地震で,明確な定義はないが,およそ200km以深で発生する地震のことをいう。
深さ30 km程度の沈み込む海洋プレート周辺で発生する低周波(数Hz)成分に富んだ波を放射する現象。
マグマなどの熱によって火山体内部または地表付近の水が気化されて体積が膨張することで,水蒸気が急激に噴出する現象のこと。噴火口付近の岩石が砕け,火山岩塊や細粒火山灰が飛散する。
大きさを表す量の一つを与えれば,それ以外の大きさを表すパラメータも決めることができる関係性をもっていること。
プレート境界の変位を考えた時,プレートの収束運動から期待される量から,実際に生じているずれの大きさを減じた量。欠損が大きいとはプレート間が固着していることを意味する。
膨潤性(水を含むことにより膨張しやすい性質)をもつ粘土鉱物の総称。
海洋プレートがマントル中に沈み込んだ部分。
断層で地震が起こる場合には,断層全体が一度に動くとは限らず,幾つかの区分に分かれた振る舞いをすることがある。このように,まとまった振る舞いをする区分をセグメントと呼び,それらの境界のことをセグメント境界という。
地震や火山噴火の発生前に震源域や火山の周辺で発生するさまざまな異常現象。土地の隆起・沈降,地震活動の変化,電磁気異常,地下水の変化などがある。前兆現象と呼ばれることもある。
国内で発生した地震の発生時刻,場所および規模(マグニチュード)を記したリスト。
ある場所における地球磁場の大きさ。磁場の観測量として,その長期的安定性が最も高い。磁気を帯びた鉱物の磁化(磁性の強さ)は,温度や応力によって変化するので,全磁力の変化は地下の温度,応力状態の変動を示唆する。
本震の近傍で本震発生前に起きる地震のこと。
地震波形が良く似ている地震群のこと。ほぼ同じ断層面で同じような滑りが起きた場合に発生すると考えられる。
人々の協調行動を活発にすることによって社会的信頼,規範,ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念のこと。
地表面の揺れによって,高層建造物等がどのように応じるかを揺れの速度で表したもの。
地震などの断層運動や火山活動などの地下の活動によって地表に生じた変位やひずみ,傾斜の変化。
地震波(P波,S波)速度や密度,減衰など構造パラメータの空間分布を記述したモデルのこと
地震時に連続的に現れる地表のずれのこと。
チャート層
規模の大きな地震が発生した場合に生じる,ゆっくりとした揺れのこと。高層ビルは固有周期が長く長周期地震動により影響を受けやすい。
周期成分がほとんど含まれず長周期成分が卓越する地震波を放射する地震のこと。ゆっくり滑りや火山活動にともなって生じる。
津波があった場合に想定される浸水の区域及び水深。
津波により海水が大きく動き,電磁誘導によって海水中に電流が流れ,さらにその電流によって,二次的に生成される磁場のこと。
津波によって運ばれた砂や礫などが堆積したもの。これを調べることにより,過去の津波の発生年代や浸水規模を推定することができる。
地震の発生直後に,沿岸部に到達する津波の高さを可能な限り素早く予測する技術。
→マグマ(珪長質マグマ)
複雑な現象の高精度予測のために,数値シミュレーションの結果として得られる物理量が観測データをなるべく再現できるように,適切な初期値や境界値,各種パラメータを推定する手法。
物質の電気の伝わりやすさを表す物性値。電気伝導率,導電率ともいう。
電気伝導度など地下の電気的性質を調査すること。その一つにMT法などがある。地下構造探査の手法のひとつ。
電離層(圏)の電子密度の総数を表す量のこと。単位面積を持つ鉛直の仮想的な柱状領域内の電子の総数を表す。TEC(Total Electron Content)とも呼ばれる。
過去の多数の観測データに基づき,ある現象の発生確率等を記述したモデルのこと。
多数の観測点の地震波形記録等から地下の2次元または3次元構造を推定する手法。地震波速度や減衰構造の推定によく用いられる。医学の分野において,X線や超音波で体の2次元断面を求めるための手法が,地球物理学に応用されたもの。。
地質調査法の一つで,地表から溝状に掘り込み,地表では観測できない地層を新たに露出させる手法。過去の断層運動の跡を調査する活断層や火山の噴火史を調査するために有力な方法。
陸側プレート内の地殻で発生する地震。
岩石試料を二つ重ね合わせることで,その境界に模擬断層を作り,模擬断層上で地震現象の一つである固着滑りを発生させる試験。試料の境界面に対して垂直な力と平行な力を制御することから「二軸」と呼ばれる。
地震計と津波計が一体となった観測装置を光海底ケーブルで接続した観測網で,防災科学技術研究所が東日本の太平洋沖合や日本海溝沿いの海底に設置したもの。24時間連続で観測データをリアルタイムに取得できる。観測装置は150カ所,ケーブル総全長は約5700kmである。
マグマから分離上昇した高温の火山ガスが地下で凝縮したり,地下水と接触したりして生じる熱水が分布する領域,移動経路などを指す。
大陸が伸張し,海洋底拡大が進行する領域のこと。日本海などがある。
地震波の放射パターンなどから求められる共役な二つの断層面の走向,傾斜,滑り角を指す。断層に働いていた力の方向を知る手がかりとなる。地震の発震機構解が断層型で表せるとき,その震源は大きさが等しくたがいに直交する圧縮力と伸張力の組み合わせによって表わせる。このうち圧縮力の方向を主圧力軸,伸張力の方向を主張力軸という。
岩盤(プレート)などが変形する際の,変形の大きさをひずみという。単位長さ当たりの変位で定義される。
物体に外力が作用すると変形するが,外力を除去した場合に可逆的に原形に復帰する変形は弾性変形であるが,可逆的でない場合をいう。
単位断面積,単位長さ当たりの電気抵抗値。電気伝導度の逆数。
プレート境界面での固着によって陸側プレートが引きずりこまれることによる定常的な地殻変動とは異なる地殻変動のこと。
地表面近くに堆積した地層のこと。
基盤層以浅の物性定数が,空間的に均質でない状態(構造)。例えば,組成の違いや空隙率の分布状態,流体の含有などによって,物性定数が変化する。応力場も不均一になり,特定の場所に応力集中が生じる可能性がある。
→噴火様式
→噴火様式
地球表面は,地殻と十分に冷却して固くなっている最上部マントルとを合わせた,厚さ100km程度の複数の固い岩石の層で覆われている。この岩石層がプレートとよばれ,それらの境界がプレート境界である。プレート境界においてはしばしば大きな地震が発生する。
プレート境界面が密着し,ずれ運動がない状態のこと。
モデルが不完全であったとしても,観測データをよりよく説明するように付け加える乱数のことをいう。
火口から噴出した火砕物と火山ガスの混合物が,大気を取り込み浮力を得て,大気中を上昇するものを噴煙柱という。
噴火時にマグマが地表に噴出する場合,噴火の様子はマグマの性質や破砕の程度などによって異なり,いくつかのタイプに識別される。その異なる噴火の様子を噴火様式という。
・ストロンボリ式噴火
比較的粘性の低いマグマによる間欠的な小噴火。火口からは数分~数十分間隔でマグマのしぶき,半ば固結した溶岩片,火山弾などが吹き上げられる。
・ブルカノ式噴火
やや粘性の高いマグマによる爆発的な噴火で継続時間は短い。噴煙高度が10km近くに達することもある。爆発によって1m径の岩塊が数kmも飛ばされることがある。火山弾はパン皮状のものが多く,火口底にあった古い岩塊も放出される。火砕流も同時に発生することがある。桜島や浅間山などでしばしば発生する。
・プリニー式噴火
比較的粘性の高いマグマによる爆発的な噴火。一般的にブルカノ式噴火よりも規模が大きく,継続時間が長い。大量の軽石や火山灰が火口から空高く噴出され,噴煙柱を形成する。噴煙高度は20kmから30kmにまで達することがある。しばしば規模の大きい火砕流が発生する。やや規模の小さい噴火を準プリニー式噴火と呼ぶ。
層序とは,地層の重なっている順序のこと。この場合は火山噴火による噴出物が地表に堆積し重なっている順序のことを指す。それを解析することにより,噴火の様式や規模の変化を明らかにすることができる。
ボーリング掘削により柱状試料を採取する手法で,トレンチ調査に比べ深い深度まで地質試料を入手することができ,より長い期間の地質現象を探ることが出来る。ボーリングにより採取されたサンプルのこと。
比較的大きな地震が発生すると,その近くで最初の地震より小さな地震が直後から続発する。この最初の大きな地震のことを本震,その後に続発する地震を余震という。
地震の規模の指標。
岩石物質の高温溶融体。噴火によってマグマが地表に出たものを溶岩という。マグマが地殻内で結晶化したり,地殻物質を溶かしこんだりして,多様な組成のマグマができることを,マグマの分化という。それにより,二酸化ケイ素含有量の少ない組成のマグマから,より二酸化ケイ素含有量に富む組成のマグマが生成されていく。マグマの分化によって,一般に粘性が大きくなる。
地下のマグマが岩盤に割れ目をつくりながら移動する現象を貫入と呼び,これによって群発地震や地殻変動が引き起こされる活動をマグマ貫入イベントと呼ぶ。
水蒸気噴火とマグマ噴火の中間的な噴火で,噴出物中にマグマ物質が含まれるものをいう。
火山活動の源であるマグマが蓄積されているところ。その存在位置,形状,内部構造,内容物の特性などの情報は,噴火現象の理解に欠かせないが,それらが明らかになっていない火山も多い。
噴出物のほとんどがマグマ物質からなる噴火のことで,ストロンブリ式噴火,プリニー式噴火,溶岩流の噴火などがこれにあたる。
岩石の破壊強度や断層面上の摩擦を滑り変位や滑り速度などの関数として記述したもの。
速度依存性やすべり量依存性などの摩擦の性質。とくに,地震性滑りになりやすい摩擦の性質と非地震性滑りになりやすい摩擦の性質は重要。
岩石などにずれ変形を与えて行う実験のこと。室内における地震の模擬的な実験として考えられている。
マントルを構成する物質(岩石)は固体であるが,温度が高いために流動する。マントル内に温度差があるため,マントルは長い時間をかけて,ゆっくりと対流運動を起こしていると考えられている。
モホロビチッチ不連続面の略称。地球の地殻とマントルとの境界であり,そこでは地震波速度が不連続となっている。
地震モーメントの大きさから一意に算出されるマグニチュード。比較的短い周期の地震波から簡便に決定できるマグニチュードは,大規模な地震でその値が飽和してしまうという問題があった。この問題を解消するために導入された。
解析的に解くことが難しい微分方程式の近似解を数値的に得る方法のひとつ。構造力学分野で発達し,他の分野でも広く使われている手法。
大地震の震源域から離れていても,大地震によって誘発されて発生する地震。
地震波を放射しない,断層面やプレート境界面でのゆっくりとした滑り。ここでは,継続時間が数か月以上のものを長期的ゆっくりすべり,それ以下のものを短期的ゆっくりすべりと呼ぶ。スロースリップ,スロースリップイベント(SSE)ともいう。
余効滑り
地震の後に震源域あるいはその周囲の断層面で発生するゆっくり滑り。
地震の後に震源域あるいはその周囲で生じる長期間に及ぶ地殻変動の総称。代表的な例としては,断層面上で発生する余効滑りや,マントルの粘弾性緩和による変形などが挙げられる。
→本震,余震
LIDAR (Light Detection and Rangingの略)。遠方の大気や物体にレーザー光を照射してその物理的な特性を計測する装置や技術。
遠隔観測手法の総称。様々な波長の電波や光を用いて,対象物の形状,温度,物質などを測定する。人工衛星や航空機から測定することによって広い範囲を迅速に測定できる。
一つの観測点において異なる成分で記録された地震波形を処理した関数。「レシーバ関数解析」とは,直達P波とPs変換波(境界面でP波からS波に変わる波)等の到達時刻差を用いて,波の変換が起こるような面(例えばプレート境界面)の深さを推定する手法。
通常深さによってP波・S波速度等が変化する1次元構造モデルが用いられるが,水平方向にも3次元的にP波・S波速度等が変化するモデルのこと。
Collaboratory for the Study of Earthquake Predictabilityの略。客観的かつ透明性のある地震予測検証実験を実行できる研究基盤環境を作り,その過程において地震の予測可能性を探るための国際研究計画。
Epidemic Type Aftershock Sequenceの略。すべての地震が余震を持つと考え,地震活動を数個のパラメータで定量化する統計的地震活動モデル。
GNSS連続観測システム(GNSS Earth Observation Network System)の略称で,国土地理院が運用している。日本全国約1300点の観測点(電子基準点等)とデータ管理・解析処理を行うGEONET中央局からなり,地殻変動監視と測量の基準点の役割を持つ。
地理情報システム(Geographic Information System)の略語。地理的位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し,視覚的に表示し,時間や空間の面から分析できる技術である。
全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)の略称。位置や時刻同期を目的とした電波を発射する人工衛星群,地上の支援システム及び電波の受信装置の総称。利用者は,受信機で電波を受信することで自分の3次元的な地球上の位置や正確な時刻を計測することができる。アメリカ合衆国が構築したGPSは現在最も実用的なGNSSであるが,他にもロシアのGLONASSや,ヨーロッパ連合(EU)のGalileoなどのシステムがある。
海底における地殻変動を観測するための手法の一つ。海上の船舶やブイの位置をGNSSによって精密に決定し,それらと海底に設置された基準点(観測点)との距離を,海中音波を用いて測定することにより,海底の基準点の位置を推定する。
International Seismological Centre。 国際地震センター。所在地はイギリス。世界中の地震データ等を収集し,管理している組織。
Primary wave(第一波)またはPressure wave(圧力波)の略。進行方向に平行に振動する弾性波。固体・液体・気体を伝わることができる。
Secondary wave(第二波)またはShear wave(ねじれ波,たわみ波もしくはせん断波)の略。進行方向と直交に振動する弾性波。固体のみを伝わることができる。
30〜300 MHzまでの周波数の電磁波のこと。VHFは,Very High Frequencyの略。
従来よりも短波長のXバンド(波長約3㎝)を用いた高分解能なレーダー。さらに,水平偏波と垂直偏波の2種類の電波を同時に送信・受信するマルチパラメータ(MP)方式によって精度のよい観測が実現される。
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成29年07月 --