1.地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進 (4)地震時及び地震直後の震源過程と強震動

機関名略称: 国土地理院→地理院 防災科学研究所→防災科研 産業技術総合研究所→産総研 海上保安庁水路部→水路部 通信総合研究所→通総研

(4.1)具体的目標

(ア)断層面の不均質性に関する研究

(イ)震源域における強震動の予測に関する研究

(4.2)実施状況

(ア)断層面の不均質性に関する研究

  • 歴史地震記象の解析により大地震のアスペリティー分布を求めた。特に三陸沖の地震については、「個々のアスペリティーが単独で動けばM7クラス、複数が連動するとM8クラスの地震」という特徴が得られた。またアスペリティーでの地震モーメント解放量はプレートの相対運動から推定されるモーメント蓄積量とほぼ同程度だということがわかった。一方、1944年の東南海地震では熊野灘を中心に長さ百数十kmに渡る「べた一面のアスペリティー」が得られるなど、地域ごとの最大地震や発生パターンはアスペリティーの分布パターンと密接に関連していることが見えてきた。(大学)
  • 1994年東南海地震と1946年南海地震の本震について、周辺地域の検潮記録から津波を発生させた震源断層でのすべり量分布を明らかにし、また地震観測波形の解析から1946年南海地震は、最初の潮岬沖での破壊の後、主要な断層すべりが高知沖でも起こり、そのため大きな震動をこの付近にもたらしたことを明らかにした。関東地震以前に発生した、1894年東京地震、1921年竜ケ崎地震の発生位置と規模を明らかにし、関東地方のテクトニクスの理解に貢献した。(気象庁)
  • 日向灘から豊後水道にかけての地域では、大地震時のアスペリティーと非地震性すべりの領域が互いに相補的な関係にあることが明らかになった。(大学、地理院)
  • 2000年鳥取県西部地震の震源域では、先行した活動域の下端から初期破壊が始まり、大きな断層すべりは浅いところで生じた。破壊開始点の直下30km付近に発生していた低周波地震も幾つか検出された。低周波地震発生域と地震発生層との間には約10kmのギャップがあること、また本震破壊域の直下は低比抵抗域であることも明らかにされた。(大学)
  • 山崎断層に沿った小地震についてメカニズムを求めた結果、断層の中央部に比べ断層が枝分かれしている末端部で主応力軸が回転していくことがわかった。(大学)

(イ)震源域における強震動の予測に関する研究

  • 全国6大都市圏の拠点大学に強震動総合観測ネットワークシステムが整備され、これにより自治体等の強震計・震度計観測網の波形データを大学に収集するシステムが構築された。(大学)
  • 三宅島雄山の大陥没や傾斜変動に伴う地動を島内で観測し、単力源や膨張成分を含む非断層震源の定量的パラメータが決定された。また、その実体として、「地下水の突沸による間欠泉モデル」や「マグマ溜まりへの岩塊ピストン落下モデル」が提唱され、ほかの観測データとの整合性について検討が行われている。また、群発地震の記録を使って、減衰(Q)トモグラフィーを求めた結果、マグマの貫入を示唆する減衰帯の存在が得られた。(大学)
  • 3次元不均一構造中の波動を効率よく計算する手法として、大学はPseudo-Spectral Methodと Finite-Difference-Methodのハイブリッド型並列計算法(PSM/FDM法)を開発し、集集(台湾中部)地震の波動場計算に適用してその有効性を確かめた。防災科研は有限差分法及びボクセル有限要素法による3次元動弾性解析のためのプログラムを開発した。(大学、防災科研)

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研究開発局地震調査研究課