課題番号1512
東京大学地震研究所
地震活動パラメターと地震発生場の応力の間に成り立つ定量的関係式
2.(2)ウ.地震活動評価に基づく地震発生予測・検証実験
2.(3)先行現象に基づく地震活動予測
2.(1)地震発生長期評価手法の高度化
2.(2)イ.地殻ひずみ・応力の変動
新規研究
地震活動パラメター群の時空変化を地震発生場の物理量の変化と結びつける定量的な関係式を、室内実験・数値シミュレーションによって確立する。とくに、応力の絶対値およびその時空ダイナミクスと、地震活動の特性を数理的に結びつける。
地震発生場の物理量の直接測定はごく浅部を除き不可能であるため、実際の地震活動を地震発生場の物理過程から理解すること容易ではない。したがって本課題においては、地震活動と極めて類似した振る舞いを示すいくつかの物理モデルを用いて、地震活動を動力学の観点から理解することを目指す。室内実験で確立・解明された関係式は、実際の地震活動データを用いてその妥当性を検証する。
扱う物理モデルは主に以下の3つである:1. 粉体の準静的変形実験、2. 粘弾性体シートやアクリル樹脂を使った摩擦実験、3. バネブロックモデルの数値実験。これらの実験に加えて、理論物理的研究も並行して進める。
H26年度
実験システムの準備と構築を行う。粉体中の音波放出(AE)検出システムおよびデータ処理システム構築、およびアクリル樹脂を使った摩擦面可視化システムを準備する。
バネブロックモデル数値実験においては、離散化の度合いが破壊核形成過程のダイナミクスに及ぼす影響を調べる。
H27ー28年度
粉体変形実験におけるAEデータ収録。
アクリル樹脂摩擦実験において垂直応力の不均一性を導入し、すべりの停止ダイナミクスを観察する。
バネブロックモデル数値実験において離散化の度合いが系の固有地震に及ぼす影響を調べる。
H29年度
粉体実験におけるAEの統計性について整理し、応力絶対値とAE統計パラメターの関係性を解明する。
アクリル樹脂摩擦実験において垂直応力の不均一性が地震サイクルに及ぼす影響を調べる。
バネブロックモデル数値実験において、摩擦法則を低速でより正しいと思われるものに変更し、統計パラメターや破壊核形成過程への影響を調べる。
H30年度
前年度までに得られた定量的成果を、実際の地震活動データなどと比較し、室内実験の妥当性やスケーリングを解明する。
なお、本課題は主として科学研究補助金の事業に基づいた計画である。
波多野恭弘、光藤哲也
他機関との共同研究の有無:有
桂木洋光(名古屋大環境学研究科)、川村光(大阪大理学研究科)、山口哲生(九州大学工学研究院)
部署等名:東京大学地震研究所
電話:03-5841-5712
e-mail:yotikikaku@eri.u-tokyo.ac.jp
URL:
氏名: 波多野恭弘
所属: 東京大学地震研究所
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成26年07月 --