課題番号:3017
防災科学技術研究所
SAR干渉解析による地殻変動把握技術の高度化およびその活用に関する研究
3(2)ア.宇宙測地技術
1(1)ア.日本列島域
1(1)イ.地震発生・火山噴火の可能性の高い地域
合成開口レーダ(SAR)干渉法は大気等に起因する擾乱を受け,時には5cmを超えるノイズが重畳する.特に,火山においては,地殻変動も大気ノイズも地形に相関する分布パターンを有する場合があり,これらの分離が困難であるという問題があった.そこで,このような誤差を軽減する手法についての研究を行った.実施した内容は1.複数の観測モードによる干渉画像を同時に解析する手法,2.時系列解析手法,3.数値気象モデルから大気誤差をシミュレートする手法についてである.その結果,それぞれの手法において地殻変動検出精度の向上につながる結果を得た.また,小笠原硫黄島,三宅島,伊豆大島に関するSAR干渉解析を実施し,火山活動に伴う地殻変動を明らかにした.さらに,その他の火山においてもSAR干渉解析を実施し,有意な地殻変動が生じていないことを示した.能登半島地震,新潟県中越沖地震,岩手・宮城内陸地震においては,SAR干渉解析を実施し,地震時の地殻変動を明らかにした.さらに,得られた地殻変動を用いて,断層すべり分布を推定した.
陸域観測技術衛星「だいち」の活躍による火山・地震に関する地殻変動検出例がつぎつぎと報告されており,SAR干渉法は火山・地震研究において欠かすことの出来ないツールになりつつある.しかし,いまだ大気等によるノイズの補正方法は十分に確立されておらず,現時点においても地殻変動モデルの推定に大きな影響を及ぼすほどのノイズが重畳する場合があるという問題が残されている.そこで,これまでの誤差軽減手法を効率よく併用したSAR干渉解析手法を確立させ,地殻変動検出精度を向上させることが本課題の目標である.また,長期的な地殻変動をより精度良く検出する高精度SAR干渉解析手法(PS‐InSAR法やSBAS法など)の活用について着手する.さらに,火山活動の活発化や地震が発生した場合には,SAR干渉解析を実施し,マグマの動きや断層モデルの推定を行う.
平成21および22年度においては,これまでに開発した誤差軽減手法を併用したSAR干渉解析手法を実施し,検出された地殻変動の精度評価を行う.平成23から25年度においては,長期的地殻変動の検出のための高精度SAR干渉解析手法(PS‐InSAR法やSBAS法など)について着手する.また,火山活動の活発化や地震が発生した場合には,適宜SAR干渉解析を実施し,マグマの動きや断層モデルの推定を行う.
独立行政法人防災科学技術研究所 観測・予測研究領域地震・火山防災研究ユニット
他機関との共同研究の有無:
無
部署等名:防災科学技術研究所 アウトリーチ・国際研究推進センター
電話:029‐851‐1611
e‐mail:toiawase@bosai.go.jp
URL:http://www.bosai.go.jp/index.html
研究開発局地震・防災研究課
-- 登録:平成22年02月 --