課題番号:1601
東京工業大学理工学研究科,火山流体研究センター
地殻比抵抗構造調査
なし
日本列島の主要活断層地域において広帯域MT(マグネトテルリック)・長周期MT(マグネトテルリック)観測を行うことにより、地震発生域及びその深部延長部における比抵抗構造を明らかにし、活断層域のアスペリティーの実態及び地震発生に関与する地殻流体の実態を解明することが主たる目標である。平成18年度はその3年次目として調査観測をさらに推進した。
糸魚川―静岡構造線中央部諏訪湖周辺において、活断層を横断する10キロメートルの測線を設定し、精密な広帯域MT(マグネトテルリック)観測を実施した。
糸魚川―静岡構造線断層帯中部において、断層を横断する10キロメートルの測線において20点の広帯域MT観測および12点のAMT観測を実施した。深度10キロメートルにいたる比抵抗構造を解明することができた。ここでは牛伏寺セグメントの南端と茅野セグメントの北端がそれぞれ諏訪盆地の南西と北東にある。北45度西を走向としてテンソル分解を行い、2次元インバージョンによって求められた結果を図1に示す。双方の断層に対応する位置にほぼ鉛直上の比抵抗構造の不連続が見出された。牛伏寺セグメントでは、その西方から東向きに低比抵抗層が厚くなるが、断層の位置でこの構造が断層で断ち切られている。この構造は牛伏寺セグメントの北端の牛伏断層と同様の構造である。茅野セグメントについては、深部で低比抵抗層が西傾斜の傾向をしめし、このセグメントの南端である富士見町で行った結果と調和的である。
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図1 諏訪湖南方を南西−北東方向に横断する比抵抗断面。比抵抗スケールは対数値。 |
本蔵義守,小川康雄
全国電磁気共同研究グループとの共同研究(約10名)