課題番号:1102
弘前大学理工学部
十和田における地殻流体の分布と挙動の解明
低周波地震が流体の移動で発生しているならば、高周波地震震源域と低周波地震震源域での地震波速度・異方性・地震波散乱強度に差があり、地震活動の変化に対応する地震波散乱構造の時間変化が見られることが期待される。そこで、十和田地域を対象に高密度地震観測とアレイ地震観測を実施して、低周波地震・高周波地震発生域の地殻構造と地震発生様式を詳細に解明し、地殻流体の分布と挙動、及び浅発地震発生への寄与に関する知見を得ることが5ヶ年の到達目標である。
18年度には、十和田周辺で発生している低周波地震の震源を高精度に決め直すこと、低周波地震のpolarization解析から低周波地震の波動の特徴を把握すること、及び低周波地震の震源メカニズム解の推定を行う。また、新潟県中越地震の余震観測データの連続記録を調査し、低周波イベントの存在の有無を検討する。イベントが見つかった場合はpolarization解析から波動の特徴を明らかにし、発生場所における地下構造やメカニズム解の分布との関係を検討し、これを十和田での解析結果と比較する。18年度の研究は、5ヶ年の到達目標の中で、低周波地震発生域の速度構造や応力場の特徴を抽出することに位置づけられる。
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図1 低周波での振幅比が大きい地震波形の例。IST観測点の3成分波形。 |
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図2 やや低周波の地震の震央分布。 |
小菅正裕・渡辺和俊・佐藤魂夫・佐藤勝人
無