測地学分科会(第44回) 議事録

1.日時

令和3年5月18日(火曜日) 15時00分~16時55分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 科学技術・学術審議会測地学分科会長及び分科会長代理の選任について(非公開)
  2. 議事運営等について(非公開)
  3. 今後の調査審議等について

4.出席者

委員

小原分科会長、田中分科会長代理、榎原委員、大倉委員、小平委員、関口委員、寺川委員、藤田委員、森委員、森岡委員、森田委員

文部科学省

(事務局)長野審議官、鎌田地震・防災研究課長、上山地震火山専門官、加藤科学官、矢部学術調査官

5.議事録

今回の議事は、分科会長の選任、分科会長代理の指名等があったため、科学技術・学術審議会測地学分科会運営規則(平成13年3月15日決定)第6条の規定に基づき、開会から議題2までは非公開。

[委員の出欠状況など]

・分科会長選任までは、上山地震火山専門官が議事を進行
・委員の紹介
・委員の出欠状況:矢来委員が欠席
・議題及び配布資料確認
・長野審議官より冒頭挨拶

【長野審議官挨拶】平素より委員の先生方におかれましては、科学技術・学術政策に御理解、御協力いただき、誠にありがとうございます。また、このたびは第11期の測地学分科会の委員をお引受けいただき、改めて御礼を申し上げます。  
測地学分科会で御審議いただく事項は、地震学、火山学、災害科学などの進展を通して国民の安全・安心に深く関わるものであると、このように承知してございます。令和元年1月に5か年の新たな地震火山観測研究計画が建議され、今年度は同計画の3年目を迎えております。したがいまして、今期の測地学分科会では、本計画の進捗を評価し、次期計画の検討につなげるためのレビューを行っていく非常に重要なフェーズに入ってまいっているというふうに認識してございます。  
他方、科学技術イノベーション基本計画が本年3月26日に閣議決定されました。本計画では、レジリエントで安全・安心な社会の構築、また、社会課題を解決するための総合知の活用などが大きな方向性として示されております。地震火山観測研究計画の実施や、また、レビューにおいても、このような方向性を踏まえつつ行われることが非常に重要だというふうに考えてございます。  
委員の皆様方におかれましては、我が国の科学技術・学術の進展につながる活発な御議論をいただきますことをお願いさせていただきまして、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

[議事1.科学技術・学術審議会測地学分科会長及び分科会長代理の選任について]

分科会長は、科学技術・学術審議会令第五条第3項の規定に基づき、委員の互選により小原委員が選任された。
分科会長代理は、科学技術・学術審議会令第五条第5項の規定に基づき、田中委員が指名された。
選任された小原分科会長より挨拶があった。

【小原分科会長挨拶】では、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
このたび第11期の測地学分科会長を務めることになりました小原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
この分科会に先立って、既に親委員会である科学技術・学術審議会の総会が3月にありまして、そちらに出席させていただきましたが、そちらでは同じ3月に閣議決定された第6期の科学技術イノベーション基本計画を踏まえて、今後の科学技術イノベーション政策の在り方について議論がなされています。  
この基本計画の目標の一つは、先ほど審議官の御挨拶にもありましたように、国民の安心・安全を確保する持続可能な強靭な社会を構築するということでありまして、これはまさに、地震火山現象及びこれらによる災害の科学的な解明を通じて安心・安全な社会の構築に貢献しようとしているこの測地学分科会の目標と合致するところであります。  
したがって、この分科会の議論というのは、基本計画の根幹に関わってくるということでもありますので、そのような意識を持ちつつ、この分科会の活動を進めていきたいと存じておりますので、活発な御議論をよろしくお願いいたします。

[議事2.議事運営等について]

「科学技術・学術審議会測地学分科会運営規則」及び「科学技術・学術審議会測地学分科会の公開の手続きについて」の改正が承認された。
地震火山観測研究計画部会に調査審議を付託する事項について承認された。
火山研究推進委員会の設置について承認された。


〔以降、会議を公開。傍聴者入室〕
 

[議事3.今後の調査審議等について]

【小原分科会長】ありがとうございました。
では、議事3ですね。今後の調査審議等についてという議事に入りたいと思います。
では、まず、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】事務局、上山でございます。
それでは、資料の説明を差し上げます。
まず、議事3の説明に入ります前に、こちらの資料3-1を御覧いただければと思います。こちらは、第11期科学技術・学術審議会測地学分科会の構成案としておりますけれども、先ほどお認めいただきましたので、この後、「案」を取ったものをホームページには掲載したいと思います。
構成につきましては、御案内のとおり、前期と同様の構成で考えてございます。総会の下に測地学分科会がございまして、その下に今期も地震火山観測研究計画部会と火山研究推進委員会を設置するという体制で進めたいと思います。御案内かと思いますが、こちらの部会のほうでは主に建議に係る事項を、推進委員会のほうでは火山の研究の推進に係る事項を御議論いただくということを考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、順に資料の説明をさせていただきます。
まず、長野審議官からの御挨拶の中でも触れさせていただきましたけれども、また、小原先生からも御案内いただきましたが、今期の調査審議事項について御議論をいただく前に科学技術・イノベーション基本計画の第6期の計画について御説明申し上げます。
資料3-2につきましては、こちらの基本計画の中から測地学分科会の調査審議事項に関連すると思われるものを事務局のほうで抜き出したものになります。その中でも特に関係すると思われるところに下線を引いておりますので、適宜御参照いただければと思います。
また、基本計画等の中から測地学分科会で議論いただくのが望ましいのではないかと事務局のほうで考えた議論のポイント例につきまして、資料3-3に上げておりますので、こちらも適宜御覧いただければと思います。
なお、参考資料の2-1と2-2のほうでも基本計画の概要と科学技術基本法改正の概要について参考として載せております。こちらも適宜参照いただければと思います。
では、まず基本計画のほうの改正でございますけれども、かなり重要な論点がいろいろ挙がってございます。測地学分科会でこれまで議論していたような内容についてもこちらには盛り込まれておりまして、社会的課題の解決でありますとか、こちらですと分野間連携、総合知の活用による社会実装ということで、研究した成果を社会に実装していくことが重要であると明記されてございます。また、当然、測地学分科会では、建議に基づいて安全・安心を目指すものと理解してございますが、そちらについても安全・安心というキーワードを基にデータプラットフォームを活用していくといったような内容が盛り込まれています。まさに、この自然災害への対応ということも重要なテーマになっております。このような形で、測地学分科会でこれまで議論していただいたような内容が、エッセンスとしてこの基本計画の中に盛り込まれていますので、まずはそこについて御承知おきいただいた上で、今期の審議事項について御議論いただければと思います。
また、これまで分科会のほうであまり議論されてこなかったような先端ICTを活用したレジリエンスの強化といった文脈についても、基本計画には盛り込まれておりますので、こちらについても事務局としては重要な論点かなと考えているところではございますので、どうぞ幅広は観点から本日は御議論いただければと考えているところでございます。
それでは、基本計画等に関しての説明は以上になります。
なお、参考資料に載せておりますとおり、今回の第6期の基本計画の策定に当たりまして、前期の分科会の委員の皆様からこのような意見を取りまとめていただいております。こちらの内容につきましても、課題の社会実装の重要性でありますとか、生命財産を守り安全・安心な社会の実現が重要でありますとか、基本計画に盛り込まれているような内容になっておりますので、こちらも適宜御参考にしていただければと思います。
それでは、続いて第10期の審議状況について御説明申し上げます。
こちらは第10期の審議経過でございます。これまでの経過を御説明いたしますので、第11期の審議事項の御議論の参考にしていただければと思います。
まず、測地学分科会でございますけれども、最初の分科会では、本日と同様に調査審議等について議論いただきました。
書面審議事項が1件ございます。こちらは先ほど御説明申し上げました基本計画の策定に向けた意見出しということで、書面上で議論いただきました。
次の部会・分科会の合同会議では、火山研究推進委員会の設置についてお認めをいただきましたので、御紹介申し上げます。
最後の書面審議は、この後もう一度説明いたしますけれども、火山研究推進委員会で検討いただいた提言について、分科会で改めて審議いただいて議決したものになってございます。
前期の最後の分科会では、第10期の議論の取りまとめということで御議論をいただきました。重要な論点としましては、建議と地震本部の連携ということで、地震・火山噴火予知研究協議会のほうで地震長期予測ワークショップを開催いただきましたので、その成果について御報告いただいております。
このような内容が分科会の主な審議事項になります。
続いて、部会での審議事項ですが、前期は建議の5か年の1年目、2年目ということで定例の議題のみとなっております。毎年、年次基礎データ及び年次報告の議論をさせていただいております。
最後に、火山研究推進委員会の調査事項でございます。基本的に火山研究推進委員会に関しては、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト終了後にどのように成果を継承するかということについて議論いただくために設置したものでございますが、前期におきましては、まず、現行の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトと並行して何か取り組むべき事項はないかということで、早期に取り組むべき課題について提言を取りまとめていただきました。こちらの資料はその提言の内容を簡単にまとめたものでございます。
前期は、3回の検討を経まして、こちらの提言を取りまとめて、最終的に分科会で議決いただいたということになります。以上が前期の主な調査審議の経過になります。
なお、審議の内容に特に関連する事項として、文部科学省の施策の中で審議に関連する施策について簡単に御紹介させていただきます。こちらは参考資料の4-1になります。
まず、地震・防災研究課の施策でございます。こちらは、地震・防災研究課の施策を全てまとめたものでございます。このうち、測地学分科会の審議事項に関連するものとしましては、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトと、その下にございます火山機動観測実証研究事業、こちらの二つになります。
まず次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトでございますが、こちらの内容については皆さん御案内のことかと思いますので、詳細については割愛させていただきます。直近の進捗といたしまして、本年1月に定例の外部の評価会を開催いたしまして、こちらでいずれの課題につきましても想定どおりあるいは想定以上の進捗をしているとの評価をいただいております。また、特に課題間の連携について徐々に改善が見られているけれども、引き続き連携の推進をしてほしいといった御意見もいただいておりますので、いただいた御意見を踏まえまして引き続き課題の事業の進捗に努めてまいりたいと思います。
続きまして、火山機動観測実証研究事業でございます。こちらにつきましては、先ほど御案内申し上げた火山研究推進委員会の提言を受けまして、今年度から5か年の事業として取り組むものでございます。事業のスキームは、この左下にございますとおり、防災科学技術研究所への補助事業という形で進めるものでございます。
事業の内容ですけれども、こちらに概要がございますが、噴火発生や前兆現象発現などの緊急時等に機動観測を実現するため、火山の総合理解のための機動観測に必要な体制の構築を行うことを目的としたものでございます。具体の内容としては、平時及び緊急時等に研究者の方を火山に派遣する、あるいは一元的に機材を調達して維持管理を行うといったことで、そういった事務局機能を防災科学技術研究所のほうに構築しまして、火山研究の司令塔として運営を行うといったことを目指すものでございます。
また、国内の火山だけですと、なかなか噴火の事例数及び噴火様式の多様性が確保できないということも現状ではございますので、海外の研究機関と連携することで、海外で噴火した際にも国内の研究者が送り込めるような窓口を整備するといったことを目的としてございます。
また、こちらの事業を推進するに当たりましては、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトで開発された観測技術なり解析技術を積極的に取り込んで実装していくということも考えてございます。こちらの事業は、ポスト次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトへ向けた事業でもございますので、そういった位置づけにしているということでございます。
続きまして、共同利用・共同研究拠点関係の施策について御案内いたします。こちらは参考資料4-2になります。
こちらも御案内のとおり、建議のほうに係る施策でございます。令和3年度の予算に関しては403億円となっていますけれども、そのうち69億円、こちらの囲みの内数が建議の予算となっております。
次のページにその詳細な内訳が書いてございますけれども、共同利用・共同研究拠点の強化等という部分の共同利用・共同研究拠点の機能強化(プロジェクト経費)ということの一部が本年度の建議の予算となってございます。
なお、本年度の建議の予算に関しましては、こちらも御案内かとは思いますが、3.7億円がプロジェクト経費の内数として配分されておりますので、念のために御案内いたします。
では最後に、今期の調査審議事項の案について御説明を申し上げます。
本日はこちらの資料3-5と、あと、レビューの進め方ということで3-6を中心に御議論いただきたいと考えております。
まず、資料3-5について御説明申し上げます。
今期の主な調査審議事項でございますが、まず、一つ目が地震火山観測研究計画についてというものでございます。1ポツについては、第10期の調査審議事項と同じ内容になっておりまして、建議の進捗管理ということになります。2ポツ目、こちらは小原先生からも御案内いただきましたとおり、レビューの報告書を取りまとめること。そして、3ポツが次期の建議案を検討することということで、2ポツ、3ポツが非常に重要な議題となろうかと考えております。
こちらも御参考ですけれども、検討スケジュールについて線表にしましたので、適宜参照いただければと思います。こちらは、ほぼ前回と同じ内容になっておりますが、委員委嘱のタイミングが少しずれますので、それに合わせた形で修正してございます。適宜参照いただければと思います。
続いて、火山に関する研究開発に係る事項ということで、こちらは火山研究推進委員会で主に検討いただいて、分科会で審議いただく内容になります。
一つ目が、火山の観測研究体制の高度化と最適化を図るための検討を行うこと。
そして、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトに対するフォローアップを実施すること。こちらは、前期の測地学分科会で、もともとは部会の調査審議事項でしたけれども、委員会のほうに移したものでございます。
併せまして、火山機動観測実証研究事業、先ほど御紹介させていただきました事業についてもこちらの委員会でフォローアップを行うことを事務局から提案させていただきます。
こちらが、今期の調査審議事項の案になります。
資料3-6のほうでございますけれども、こちらは、この後、すぐに始めることになります建議のレビューの進め方になります。
最初の1ポツのレビューの検討体制ですが、こちらは、今回のレビューに関しましては地震火山観測研究計画部会で検討し、測地学分科会に諮るということにさせていただいております。前回との一番大きな違いとしては、御案内の方もいらっしゃるかと思いますが、前回に関しては、地震火山部会の下にレビューのための委員会を設置して、その検討結果を部会・分科会の合同会に上げて審議していただくという形を取りました。
今回につきましては、こちらも運営事務の効率化の観点から、部会でレビューを実施するという形で検討してございます。
続いて、2ポツ目の提案は取りまとめ委員の選定ということでございます。前回の建議レビューでは、委員会を設置して、委員会の主査を中心に取りまとめていただいたのですけれども、部会の座長は規定上正委員からしか選出できないということがございますので、より柔軟な検討体制での検討をいただくために、正委員ではなく臨時委員や専門委員からも取りまとめ委員を選出いただけるように、このような役職を設けたいと考えております。
具体でございますけれども、地震火山観測研究計画部会において、同部会委員のうち2名、地震学及び火山学を専門とする委員各1名ずつをレビュー取りまとめ委員に選定するということを検討しております。レビュー取りまとめ委員におかれましては、地震火山観測研究計画部会におけるレビューに係る議論の取りまとめにおいて中心的な役割を果たしていただくことを想定しております。成果の概要を毎年取りまとめる際にも、成果の概要の取りまとめ委員というものを選出させていただいておりますけれども、同様の役割を果たしていただくことを事務局としては想定しております。また、今回は部会を中心に議論いただくということになりますので、レビュー報告書の草案等については、地震火山噴火予知研究協議会に御協力をいただくということも考えております。
取りまとめていただいた草案について、こちらの取りまとめ委員を中心に部会で議論していただき、最終案については分科会に上げて確定するといった流れで考えておりますので、御承知おきいただければと思います。
長くなりましたが、資料の説明は以上でございます。どうぞ御審議のほうよろしくお願いいたします。
 
【小原分科会長】上山さん、どうもありがとうございました。
では、これから大体1時間ぐらいありますので、時間をかけてじっくり議論をしていきたいと思いますけれども、特に、第11期のこの測地学分科会において行う調査審議事項、これについて議論を行うということになります。それで、ただいま事務局のほうから、大きく3種類の資料の説明をしていただきました。
今日は、この分科会の初回ということもございますので、これら3種類の説明の内容に対する意見、あるいは質問等がありましたら、各委員の自己紹介も含めて皆さんに御発言をお願いしたいというふうに思います。
その三つの資料説明についてちょっと振り返っていきたいと思うのですけれども、まず、最初に、第6期の科学技術・イノベーション基本計画の概要の御説明がありまして、それを踏まえて、地震火山観測研究計画をどのように進めるべきか、その在り方をどうするかということでございまして、その資料の3-3にあるように、議論のポイント、これはあくまでも例示ということでございますが、そちらに記載されています。ほかに加えるべき議論のポイントがあれば、それもぜひ御提案いただいて、また、これらのポイントの中でさらにその議論を深めるべき視点等があれば、それについても御発言いただければありがたいというふうに思います。
それから、2番目は、第10期の分科会、地震火山部会で審議した経緯、経過について御説明いただいて、あとは、それに関連する文部科学省地震・防災課の施策について御紹介をいただきました。こちらについても、今年度の予算は進められて、実行に移されていると思いますが、今後どうあるべきか、ということについても、意見、あるいは、もちろんこれまでのことについて質問でも構いませんので、もし何かあれば御発言いただければと思います。
それから、3番目が、今日決めたい事項ということで、第11期の測地学分科会において審議するべき具体的な事項ですね。こちらに書かれています。それで、参考資料5をちょっと見せていただけますかね。
基本的にこの建議に基づく地震火山観測研究計画の5か年の計画に沿って、その検討サイクルがあるわけですけれども、まさに今年度は令和3年度、地震火山観測研究計画の3年目ということで、これまで同様にレビューを行って、それで、来年は外部評価、さらに、そのレビュー外部評価を含めて次期建議の検討をするというところが、恐らくこの第11期でやらなければいけない事項ということで、こちらにそのスケジュール案として書かれているわけですが、このあたりについても、具体的な内容等も含めて何か御質問、御意見等があれば御発言いただければというふうに思っています。
以上、かなり大儀な資料の説明をいただいたので、どれでも構いませんので、自由に御発言いただければと思っていますけれども、それで、いきなり皆さんに指名するというのも大変だと思いますので、基本的に最初のほうで紹介いただいた名簿の順番に従って発言をしていただければと思います。
それで、まず私のほうから簡単な発言をさせていただいて、その間に、皆さん、発言の内容を考えていただいて、その名簿の順で進めるという形にしたいと思います。それで、随時質問等に対して、事務局のほうで簡単に答えられる部分があればその都度答えていただければと思っています。
私のほうから、科学技術・イノベーション基本計画との関係というか、それを踏まえた地震火山観測研究計画の在り方について、ちょっと発言をしたいと思いますけれども、この基本計画、それから、科学技術基本法の改正がこの3月にあったわけですが、今回初めて人文社会科学が加わって、それで、自然科学と人文社会科学を融合した総合知、そこにも出てきていますが、その総合知を創出、活用して人類社会の課題を解決するという方向性が、その基本計画のほうで打ち出されていると。
その自然科学と人文社会科学の融合という観点については、この測地学分科会では、その建議ですね、特に東日本大震災以降に建議された計画の中では、災害軽減というのを一番の目標に掲げて、人文社会科学の研究者や研究課題を加えて総合的・学際的な研究として進めているということもあって、ある意味、総合知の活用の取組については先行して進めているのではないかというふうに考えることもできると思うのです。
そういう観点から、今度、そのレビューを行う際に、総合知、つまり自然科学と人文社会科学の融合がどこまで進んできて、それから、どんな成果が創出されてきているのか、社会実装がどこまで進んできているのかという観点でまとめることが重要かなと考えています。
それはもちろん、次期計画の策定にも大きく関わってきますので、次期計画についてもそういった視点で進めることが必要なのかなと感じています。
私のほうからは取りあえず以上ですけれども、そうしたら、順次発言をお願いしたいと思います。田中委員。
 
【田中委員】 御指名ですので、最初に簡単に御説明というか、雑駁な意見ですけれども御容赦ください。
私も3月に小原委員と一緒に一つ上の委員会に出させていただいたのですが、そのときに随分いろんな視点を勉強させていただきました。今さらなのですが。
今上がっている資料3-3に書いてある議論のポイントというのが、確かに満遍なくポイントになるタームがちりばめてあると思います。実際問題、これは現建議でもかなり意識して入っている言葉が多いと思うのですね。今、皆さんおっしゃるのですが、総合知というのだって随分意識されていると思いますし、それから、ICTとかDXとかいう略語もかなり入っていると思うのです。これを、ただそのまま言葉に踊らされるだけではなくて、本当にちゃんと身についた、実際問題それに即したような評価というか、レビューができればいいのかなというふうに思っています。
実際問題、ICTだって、技術を使ってコミュニケーションが重要なわけだから、それは我々が目指している社会に向けた何とやらというのに非常に強力なツールになっていると思うし、デジタルトランスフォーメーションにしても、デジタル化するのは当たり前ですけれども、それをいかに使えるような形というか、きちんとその付加価値をつけて出していくかというのは、常に地震とか火山とか社会に直結する学問をしている者にとっては非常に重要な視点だと思いますので、そんな言葉に踊らされることなく、今までやったことを改めてきちんと評価すればいいのではないかというふうに思っています。
すみません、雑駁で申し訳ないですけれども以上です。
 
【小原分科会長】ありがとうございました。確かにおっしゃるとおりですね。言葉が先行するのではなくて、実際にどういうことをやっているかという部分をきちんと説明して、それが実は基本計画のかなりの部分を既に実行しているのだということを、それも改めて説明できればいいのかなと思いました。
では、次は、榎原先生はいらっしゃっていますか…。では、お願いいたします。
 
【榎原委員】榎原でございます。私は、専門は人文科学、特に日本史ということでございます。
前期から人文科学の人間もこの計画に入れていただいているというところで、この議論のポイントというこの3-3の資料を見まして、この中では総合知の活用というところと、それから、分野横断的な研究というところ、そのあたりが我々の研究分野にとっては直接関係するところかなと思っています。
今までやってきていることをということなのですが、過去、もう六、七年やってまいりまして、人文のほうでの歴史学のほうでの資料を使った地震の研究ということで、データをかなり集めてきているのですけれども、ただ、それを社会実装というところにどれぐらい展開できているかというところになりますと、これからちょっと急ピッチで進めていかなければならないところがあるかなと思っております。
それと、総合知ということですが、我々は、地震学の方とはかなり交流することがありまして、どういうことが必要なのかということをいろいろ議論してきているところもあるのですけれども、案外社会科学と人文科学の総合というところがなかなか難しいところがありまして、現状ではなかなかそこをうまく総合していく場というのもあまりございませんので、結構そこが意外と我々の側からすると課題になっているかなというふうに思います。このレビューを進める中で、そのあたりを、具体的にピッチを上げて考えていかないといけないところかなと思っております。
自分たちの分野のことだけでございますけれども、以上です。
 
【小原分科会長】どうもありがとうございました。ただいま先生のほうでおっしゃっていたその人文と社会科学との総合が実は難しいというのは、具体的にはどういうことでしょうか。
 
【榎原委員】歴史は、資料はいろいろ集めることができるのですが、かなり近代以前の古いところ集めております。それを社会科学、今後の防災のリテラシーというふうなところで社会科学の方々が進めていらっしゃいますけれども、過去のことを即今後の防災のために役立てることができるかというと、それは社会の構造とか建物の在り方とかが相当違うわけですので、そこをどういうふうに現代の問題として総合していくことができるかというところは、やはり課題だと思います。
 
【小原分科会長】どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、大倉委員。よろしくお願いいたします。
 
【大倉委員】京都大学理学研究科火山研究センターの大倉でございます。
この火山研究センターというのは、熊本県の阿蘇にございます。私は5年前の熊本地震をこの火山研究センターで体感いたしました。強震動に体を吹き飛ばされて、火山研究センターの立地する丘の麓では地滑りが発生して死者も出ているということで、その地滑りに端を発した地表変異で建物が破損して、この3月にようやく復旧できて、今、元の地に戻って研究教育活動を再開させていただいております。皆様のこれまでの御支援に感謝いたします。
そのときに経験したことは、私はもともと火山が専門で、阿蘇山は小規模な噴火ながら高リスクであること、その研究対象の一つとなっておりますが、こうした火山の麓で強震動を発端とする地滑りで災害が起こったということで分野横断的な研究が今後も必要になってくることを実感しております。我々の観測網も地震によってかなりの被害を受けたのですが、災害時にも強い観測体制の強化というような視点も大事かと思っております。
熊本地震は内陸型の地震で千年に一回とかしか起こらないということで、なかなかそれに対する備えが人々に伝わっていなかったという反省から災害リテラシーの向上についても貢献したいと思っております。
熊本では昨年暴雨災害もございまして、非常に激しい災害が起こっているということで、それは大規模な地震の災害の頻度や火山噴火の頻度に匹敵するような、身近に起こっていますので、こうしたことの対応も参考にしながらできるようなことを考えていきたいと思います。
以上です
 
【小原分科会長】ありがとうございました。
続きまして、関口委員お願いいたします。
 
【関口委員】はい、京都大学防災研究所の関口です。私は資料3-2の科学技術イノベーション基本計画の抜粋を見せて頂いて、これに関する質問とちょっと考えたことをお話したいと思います。ここにデータプラットフォームのことについてデータと様々なIT機器ですとかAIとかの技術をこれまで以上に組み合わせたものを作るという計画があると今分かったのですけれども、現在でも色々な国の機関ですとか、データベースが非常にどんどん整備されていて私もありがたく使わせて頂いているのですけれども、それでも例えば他のところに結構重要なデータが紙ベースでもコピーされたりとか、集められていないものがあったりとか、してここに出ている計画はそういうものも含めて、より高度なものを作っていく計画なのかと思ってちょっと興味が湧いたとことですけれども、ここに(1)の b のとこですかね、官民が一体となってとか、官民が一体となって活用でき民間サービス創出の促進に資する、みたいなことがでてくるのでが、こういうデータベースは民間サービスの創出の促進だけじゃなくて、我々のような学問的な面からも新しいアイデアを見つけるのに非常に役立つと思って期待しております。
あと、そういう大きなところから、もうちょっと小さなところにも目を移しますと、例えば我々の大学の研究室みたいなところでも、個々の研究の場面でもこれまでのような研究にたくさんのAI技術とか、データの扱いの技術とか、本当は専門家にお願いしたいようなことも自分でやらなければいけないようなことが増えてきていて、もうちょっと研究のところにもそういう情報の関係の専門家が入ってくれるとありがたいなと。もしかしたらそういうのは研究所とか大学ベースでそれぞれに構築していくべきものなのかもしれませんけれども、文部科学省とかそういうところでもそういう方向に促進していただけたらなというふうに思いました。
それから、長くなって申し訳ないのですけれども、このデータプラットフォームというのは、2025年までに構築し、と書いてあるので、結構具体的な計画があるのではないのかなと思ったのですが、具体的にはどういうところがやろうとしていて、どういう計画が今のところ具体的にあるのかというところも教えていただければと思います。
以上です。
 
【小原分科会長】ありがとうございました。最後の部分で2025年までに構築しというふうに書いてありますけれども、これの具体的な構想というのは、誰か事務局のほうで何か回答できますでしょうか。
 
【鎌田課長】はい、ありがとうございます。事務局、地震・防災研究課長、鎌田でございます。御質問ありがとうございます。
科学技術基本計画で書かれているこのデータプラットフォームについてですけれども、これは(C)の②のほうで、教育、医療、防災というように、特に例示としてこの三つの分野が挙げられておりますとおり、政府全体でこの秋からデジタル庁ができるというような、デジタル化の流れの中で、特に、教育、医療、防災は、デジタルを活用しDX化していくべきではないか、という文脈の中で科学技術・イノベーション基本計画の中でも触れられているということでございます。
したがいまして、まず、教育とか医療とか防災に限らず、広くあらゆる基本的な情報からデータ化を推進していくという大きな流れの中で、特にその防災部分についてもどのようなデータを集めて、どのようなデータをインプットしながら実際の防災対応予測とかも含めて活用できるかというのを、国を挙げて進めていこうということでございます。
こちらに書かれてございます2025年までに構築、運用を開始することを目指すというふうに書かれておるところでございますけれども、デジタル庁ですとか、現在ですと内閣官房のIT室、それから、内閣府の防災とか内閣府の科学技術というところもございますが、そのような政府の中でも司令塔的な役割になっているところが中心となりつつ、文部科学省でありますとか、国土交通省でありますとか、ほかの厚生労働省でありますとか、関係の省庁も連携しながら、今後どういうふうにやったらそれがうまく機能していく形になるかというのを、検討を開始し始めたというところでございます。
その過程では、やはりかなり技術的な中身もございますので、民間の方も参画いただきながら一緒に考えていくのではないかと思いますが、具体的な中身ですとかアーキテクチャーも含めてまだこれからでございますけれども、そのような形で始めようとなっているというものでございます。
 
【関口委員】ありがとうございます。
 
【小原分科会長】関口さん、よろしいでしょうか。
 
【関口委員】はい、ありがとうございます。
 
【小原分科会長】課長に追加で質問ですけれども、ということは、これは単に大きなデータプラットフォームをつくるわけではなくて、この文脈というのはサイバー空間とフィジカル空間の融合と、それによって価値を創造していくという部分で書かれていますので、AIとか、それから、情報科学を組み合わせて、それで様々なデータに基づいた予測を進めていくというところも、その構想としては含まれているというふうに理解してよろしいのですか。
 
【鎌田課長】御質問ありがとうございます。
まさに防災という切り口でどこまでどういう範囲でこのシステムの中に取り込んでいくというのは、先程、申し上げましたようにこれからではございますけれども、もちろんその範囲の中にはデータ元となるデータをどういうふうに集約して、それをどうやって予測などにつなげて、それを具体的な対応のほうにどう活用していくのか、そこをきちんとうまく機能するような形でやるというところが視野に入っているところでございますので、御指摘のとおりでございます。
 
【小原分科会長】どうもありがとうございました。
それでは、次の方に移りたいと思います。次に、寺川委員、お願いいたします。
 
【小平委員】小原委員長、すみません、小平ですけれども、順番的に私……。
 
【小原分科会長】すみません、飛ばしましたね。小平委員、お願いします。申し訳ございませんでした。
 
【小平委員】すみません、ありがとうございます。
何からしゃべっていいか分かりませんが、基本的に災害の軽減に貢献するための地震火山観測計画ということなので、やっぱり地震火山観測研究計画なので、基本的には科学技術の議論だというふうに理解しています。
一方で、何のためにというところが災害の軽減なので、それは防災に関する議論になるかなというふうに理解していますが、防災に関する議論や文書というものは、国レベルで多分いろんなところでされていて、先ほど課長のほうから内閣府、国土交通省とかでの議論の話も出ましたが、そういう議論もあるので、そんな中で文部科学省の中の観測研究計画として何をやるかというスタンスはきちんと理解した上で、これまでの研究のレビューとか今後の議論をしていくべきではないかと思っています。
そういう観点から見ると、科学としてこんなことができます、こういうデータがあります、ではどういうふうに役立ちますかという議論ではなくて、やっぱり内閣府なり国土交通省なり国レベルでいろんな防災の議論がされている中でどういう問題があって、その問題を科学技術や観測研究でどう解決できるのかという観点から、これまでの研究を見直したり、これからのことを議論したりしていくべきだと思っています。
そんな中で、先ほども議論、タームとして出てきましたが、この資料3-2でも出ているように、いろんなところで最近、Society 5.0の中でサイバー空間、フィジカル空間融合ということを言われていますけれども、地震火山研究、あるいは地球科学という目で見たときに、もちろんその二つの空間の融合は新しい世界や、これまでの問題を解決できると思うのですが、地球科学の観点で見ると、やっぱりほかの学問に比べてフィジカル空間の記述というのが非常に難しい、もしくは十分できていない。そこができていない中で、サイバーとフィジカルの空間の融合というのはなかなか難しいのではないかな。だから、このサイバー空間、フィジカル空間の融合を考えるときに、地球科学の観点で見ると、フィジカル空間のところもしっかり記述した上で、現実に基づいたサイバー空間の議論をしていかないと机上の空論になってしまうのではないかなと思っていますので、そういう観点で見直したり、計画を見たりする必要があるかなと思います。
その観点からもう少し具体論にブレークダウンしていくと、3-3の中で幾つかポイントがあって、私はJAMSTECにいて海で観測していますが、観測体制の強化、研究施設の整備というのがありますが、これはフィジカル空間を記述していく上でこの項目は非常に大事な項目になってきますが、一方で、今、日本の地震観測網、世界に誇るぐらいの地殻変動観測網というのは、20年、下手すると30年ぐらいたってきて、それを淡々と維持するのがいいのか、全く新しい技術や社会で動いている様々な既存のファシリティーを地震火山観測に使っていく方向に進んで有効活用していくのかということも視野に入れて、観測体制の強化、設備整備というのを考えていかないと、無限に大きくしたり永遠に維持したりすることは難しいので、そういう観点で体制の強化を考えてフィジカル空間をしっかり記述して、サイバー、フィジカルを融合して、防災に関する問題を科学的にどう解決できるのかという議論が進められるといいかなと思います。ちょっと精神論で申し訳ありませんが、以上です。
 
【小原分科会長】小平委員、大変失礼いたしました。
先ほどあった地球科学においては、ほかの学問に比べるとフィジカル空間に関する記述があまり十分ではないというのは、先ほどおっしゃっていた観測体制の維持であるとか、今度どうするべきかという部分についての計画があまり十分に練られていないというふうに理解してよろしいのでしょうか。
 
【小平委員】現状では様々な成果が出ていると思いますけれども、それから次を考えたときに、今の体制をそのまま維持できるのか、全く新しい技術を、あるいは既存のシステムを別の用途で地球科学に使うことを考えるのかとか、そういうこともしていかないと、将来、なかなか厳しいかなと。何度もあるかと思います。
 
【小原分科会長】多分、使えるものをどんどん有効活用していくという中で、そのデータの量、それから、質を増やすとか、それをもって十分なフィジカル空間という形でサイバー空間との融合を進めていくというところが重要なのかなというふうに思います。ありがとうございます。このあたりは、また今後、議論を進めていきたいなと考えています。
取りあえず今日は、一通り御意見を伺いたいというふうに思いますので、すいません、今度は寺川委員、よろしくお願いいたします。
 
【寺川委員】名古屋大学の寺川です。よろしくお願いいたします。
今回の科学技術・イノベーション基本計画と科学技術基本法の改定に関する資料をいただいて拝見すると、実用的な成果を目指すことの大切さに関しては、非常に具体的によく見えるのですけれども、その一方で、基礎研究の大切さというのは、私はあまり読み取れなかったというのがちょっと気になるところです。
今日のように急速に社会が変動している中で、想定していなかったような課題が次々に起こるときに、やはり軸となってくるのが基礎研究だと思います。基礎研究は、すぐに実用に結びつかないことも多いですし、社会にとって分かりにくいという部分もあるのですが、また、地震火山観測研究計画においても直感的に分かりやすい成果が重要成果ということで取り上げられる機会が多いように、私は感じてきました。
しかし、専門的でちょっと分かりにくいけれども、実はすごく大切な研究というのもたくさんあり、そういうものがいろいろな地震発生の災害軽減を実現するためには、大変重要なものになってくると思うので、基礎研究に関しても伸び伸びと発展できるような環境をつくっていくということが非常に大事ではないかと思います。
以上です。
 
【小原分科会長】どうもありがとうございました。その基礎研究の重要性が、基本計画の中ではあまり読み取れなかったということでございますが、これについては、事務局のほうで何かコメント等がありますでしょうか。
 
【鎌田課長】ありがとうございます。科学技術基本計画も科学技術・イノベーション基本計画となって、より出口ですとか、社会に役に立つという色彩が強くなってきているということは御指摘のとおりでございます。
他方、学術も含めた基礎研究、それから、研究の大切さというのは、文脈の中には常に入っており、その精神はなくなっていないというふうに、私としては理解してございます。
イノベーションの部分は、見出しも含めやっぱり前面に出てきておりますが基礎研究も含めた大切さというのは入り込んでいるものと理解しております。
以上でございます。
 
【寺川委員】よろしくお願いいたします。
 
【小原分科会長】コメント、どうもありがとうございました。
 
【上山地震火山専門官】すみません、上山のほうから1点補足してもよろしいでしょうか。
 
【小原分科会長】はい、どうぞ。
 
【上山地震火山専門官】今回、資料3-2のほうはこちらで抜粋したものでございますけれども、その抜粋から漏れたものの中に基礎研究についての言及もございました。委員の先生方には会議の後に御参考までに共有はしたいと思いますが、一応言及が全くないというわけではございませんので、その点だけは御承知おきいただければと思います。
以上、補足でございます。
 
【小原分科会長】そうですね。多分、基本計画の全文を委員の皆様に配付していただければ、そこには多分書かれていると思います。ただ、何分、大部なので、読むのが大変ですけれども、よろしくお願いいたします。
では、続きまして、藤田委員、御発言をお願いいたします。
 
【藤田委員】防災科学技術研究所、藤田でございます。よろしくお願いいたします。
今の寺川委員と鎌田課長のお話とも関連するのですけれども、第6次の科学技術・イノベーション基本計画の視点からまず考えると、資料3-2の3ページ、ちょうど真ん中のところの(b)のあるべき姿というところに示されているように、要するにレジリエントで安全・安心な社会をつくる、一人一人の命を守るとか、生活を守るためにイノベーションを活用していくという、どっちかというと応用研究的なところが強調された計画になっているという印象は持っています。なので、そちらのほうの側面をちょっと意識しつつ考えていくべきかというふうに思っています。ここにも先ほどからおっしゃられている総合知というものを含めて、そういうのをレジリエントで安全・安心な社会の実現ということを目指すということが書かれているので、そういうことを考えていかなければいけないかなと思っていますが、資料3-3でまとめていただいた項目が幾つかありますね。今、基礎研究というお話がありましたけれども、例えば安全・安心で信頼できるデータプラットフォームの活用とか、観測体制の強化と研究施設の整備、それから、情報共有システムによる研究基盤の構築といったことは、災害の軽減に関する地震火山観測計画、要するに観測データというものがやっぱり基礎的なところだし、そこが重要であるというようなことはやっぱりここから読み取れるし、そこはやっぱり最重要なものとして進めていくべきだというふうに思うので、その第6次と整合的に進めていくし、レビューも行うし、次に向けても考えていくことができるかなと思っています。
あと、火山について、すいません、ちょっと余談ですが、御紹介いただきました次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトとか火山機動観測実証研究事業のほうで、この3-3で示されている観測データのプラットフォームというところは大体スタート地点に、今、立ったというような認識でいます。こういったものをベースにして、先ほどの第6次計画に示されているようなレジリエントな社会、安全・安心な社会の実現に向けて各イノベーションを使って総合的な防災力の向上というところにまた、そっちのフェーズも併せて長期的にポスト次世代火山というのも考えなければいけないのですけれども、そちらのほうに向けて検討していくということを考えていきたいなと、個人的には思っているところです。
ちょっと長くなりました。以上でございます。
 
【小原分科会長】どうもありがとうございました。
その基本計画については、応用研究がかなり記述されているというところではありますが、それを支えるのは観測データであって、その重要性については十分認識されているという理解でよろしいですかね。
 
【藤田委員】はい。ありがとうございます。
 
【小原分科会長】ありがとうございます。
では、続きまして、森委員、御発言をお願いいたします。
 
【森委員】気象庁地震火山部長の森でございます。測地学分科会の関係者の皆様には、事務局の方々を含めて日頃よりお世話になっており、ありがとうございます。
それで、基本法、基本計画を踏まえてというところですが、先ほど田中委員のほうからお話があったところ、つまり資料3-3のところに絡めてお話をしたいなと思います。
資料3というのは、まさに基本計画からキーワードなのか、もうちょっと長い言葉などを抽出いただいたというところだと思いますけれども、大きく見ると三つの視点があるのかなと思っています。
一つ目は、総合力を重視しようということでして、それが総合知であるとか、分野横断的、産学官連携というものに当たっているのかなと思います。
二つ目は、そのためにはツールを整備しましょうということがあって、それがデータプラットフォーム、先端ICT、観測体制・研究施設、それから、DX化といったものに当たるのかなと考えます。
三つ目は、これらを活用して社会実装、還元していきましょうと。それにより自然災害への対応やレジリエンスの強化を図ろうというところが、ここに盛り込まれているのかなと思います。
ただ、これも田中委員がおっしゃっていましたけれども、言葉が躍るのではなくて、中身をどうしていくかというところが大事だと思います。そういう意味では、ツールを整備して、総合力を発揮して、社会実装をするというためには、関係する皆様、関係機関であるとか研究者の方も含めて、どのような役割分担をしていくかということであろうかなと思います。
例えば気象庁では、自ら観測や調査研究を行いながら様々な防災気象情報の提供を担っているというところですけれども、地震や火山活動の評価というところにおいては、本日御参加いただいている委員にもお世話になっている先生の方が何人かいらっしゃるところですが、南海トラフの評価検討会、あるいは火山噴火予知連絡会を通じて専門家としての御助言をいただいているところでございます。それに当たって、さらには関係機関、研究者の皆様からデータを共有等いただいたりして運用しています。
活動評価については、そもそも気象庁自身のスキルを一層上げていくということが大事だということは認識していますので、そこに努めていくというところです。
あと、データ共有等については、先ほど事務局さんからJVDNシステムのお話がありましたけれども、防災科学技術研究所さんなどと連携して、気象庁もいろいろなデータを活用させていただいている立場でありますので、そこは気象庁も頑張らないといけないというふうに考えているところです。
ということで、基本計画全体に話を戻しますと、総合力を発揮して掲げられた目標を達成していくという上では、関係機関を取り巻く情勢というのはいろいろありますので、そういうものを踏まえた時代に応じた役割分担、あと、場合によってはその司令塔をどうするかといった点がポイントになるというふうに考えております。
以上でございます。
 
【小原分科会長】大変貴重な御意見をありがとうございました。時代に応じた役割分担ということで、特にその司令塔が重要であるという御発言があったと思いますけれども、そういう意味では、火山のほうはちょっと難しいかと思いますが、地震については、この地震本部がその司令塔の役割を果たすというふうに個人的には理解しているのですが、そういう考え方でよろしいでしょうか。事務局、特に鎌田課長に伺いたいです。
 
【鎌田課長】ありがとうございます。ご指摘のとおり、地震については地震本部が司令塔となっている。政府の位置づけとしてもそうなっておりますのでそのとおりでございます。
他方、火山につきましては、いろいろ議論があるところでございますけれども、地震本部に相当する政府の機関は、現在のところはございませんので、気象庁、文部科学省も含めて、いろいろな在り方も含めて検討しているところでございます。
 
【小原分科会長】どうもありがとうございます。やはり火山について、地震本部に相当する司令塔が今現在ないというところについては、私もどうしてなのかな、というふうに思いますので、やはり国を挙げて、そこは今後、整理していく必要があるのではないかなと考えていますので、特に文部科学省におかれましては努力して進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
森委員、どうもありがとうございました。
では、続きまして、森岡委員。いらっしゃいますか。
 
【森岡委員】はい、おります。
 
【小原分科会長】すみません、お願いします。
 
【森岡委員】すみません、遅れて参加させていただきました松山大学の森岡と申します。メディアと社会心理学を専門としております。私は、どちらかというとこの社会実装の話のほうに関係しているのかなと思いますので、雑駁な意見ですが申し上げさせていただきます。
DX化等についてなんですけれども、既に経産省の支援を受けながら民間と大学の連携で避難所混雑情報などというものが配られる時代になってきております。コロナ禍の中、混雑しているところには行きたくない、こういうニーズがあるわけです。そうすると、避難行動は変わってきますよね。地域で決まったところに行くのではなくて、リアルタイムのこういう情報を受けて行きたい。こういう感じにどんどん変わっていっているところがあるわけです。要するに、ここで研究した成果を民間に分かりやすく伝える、こういうことでは役割を果たし切れないというのが私の考え方です。
そうではなくて、実際に人が避難行動を起こすときに何をニーズとして持っているか、あるいは何を調べてそれに従って動きたいのかということを把握しなければいけないと思います。今までは、災害になったらスマホは使えないから、そんなものは事前に決めておいてそのとおり動けというふうに命令しておけばいいという考え方でしたが、そうはいかないようです。情報を得て、最大限の利得が得られる、あるいは最大限の効果が得られるところに逃げたい。あるいは、自分の体力等に合わせて一番問題ない逃げ方ができるという考え方の方が結構増えています。そういう時代になっています。
ということは、そのいざというときの避難情報の役に立つ、こういう情報を出すための根拠としてこれがあるのだということで情報プラットフォームというものをつくっていくべきだと思っています。少なくとも、研究者等は別として、一般の人に公開する場合は、皆さんに避難情報を送るためにこういうものがありますということをやっていくことが大事だと思います。人々は、そのままでは関心を持ってくれません。でも、いざというときの科学的判断根拠としてこれが使われるという形であれば、事前からそれに興味を持つでしょうし、情報提供もしてくれると思います。そして、実際に事が起きたとき、例えば津波ならばドローンの画像でどこまで波が来ているかも、実際海上から全部その映像が送られているのが、小さな小窓で開いて、そして、この道はもう危ないから車を捨てて逃げたほうがいいということが、カーナビにがんがん出てくれば、東日本大震災のように車でたくさんの人が避難中に死ぬということはなくなってくるわけです。つまり、位置情報を利用しつつ、あなたはこう行動すべきですよ、外れる可能性はありますがというのは、科学者としては皆さん、お言いになりたいところだと思いますが、一刻を争うときにはそういう断定的な情報を出さなければいけないと思います。まさに命の危機にさらされる人たちに正しい行動を起こさせるために、どんな情報が直接送れるのか、そのためにどんな情報プラットフォームが必要なのかということも多分御検討いただけると思います。
もう一つ、地震火山について、特に火山ですが、今後どうなるかということについては、専門家のスポークスマンが必要です。AIでこう出ました、過去の事例はこうです、これだけでは人はなかなか納得してくれません。やっぱり専門家の方がしゃべること。専門家が御自身の学識を基に話すこと。尾身会長もそういうことをやっていますが、そういうスポークスマンが必要だと思っています。その際に、私たちの科学的根拠としてこういうものが使われているということを出していくことが必要だと思います。つまり、データは大事です。でも、非常時にデータから一々判断するような素人はいません。非常時には、このデータを使って、この先生がこう言っているということが大事になります。そういう人材育成のためのプロジェクトが火山のほうでも進んでいたのかなと思いますので、その成果のほうを見ていきたいと思っています。
最後に、これだけ情報を頼りに人々が行動を決める時代です。携帯電話、スマホの基地局の安全をどう図るか、そして、どこに被害が出てどうしたら復旧できるか、この情報インフラの強靭化、これが人々に情報を送り続けること、そして、適切な避難行動、災害時の対応行動を取らせるために必要だと思います。情報インフラの強靱化を併せてこの研究のところで提言していければいいと思います。災害時に強い情報インフラとは何か。これに取り組んでいくことが大事かなと私は思います。
以上、雑駁な意見ですが申し上げさせていただきました。
 
【小原分科会長】大変貴重な御意見をありがとうございました。特に避難情報ですね。それこそ一人一人に寄り添った形でその情報を出していくことが重要であると。そのためのデータプラットフォームであり、また、スマホの局の強靭化であるとか、そういうところも非常に重要であるということかなと思いました。どうもありがとうございます。
では今日は、矢来委員は欠席なので、森田委員が最後ということでお願い致します。
 
【森田委員】森田でございます。東京大学地震研究所を3月で定年になりまして、定年と同時に委員をお役御免になるかと思ったら、残念ながらそうではなくて、現在は防災科学技術研究所でこの委員を務めることになりました。この2年間、よろしくお願いいたします。
私は、今日のこの議論で防災対応というものを考え、地震火山というものが基本的には災害に結びつくということで防災対応というものを考えたときには、基本的には今の世の中の仕組みとしてこれは行政機関がやるということになっているというのは、やっぱり事実としてそういうシステムができているのだろうと。そのときに、我々この分野の学術というのは一体何をすればいいのかということを考えると、今、よく言われているEBPMというやつですか、Evidence-based Policy Makingですね。結局、エビデンスに基づいた政策決定しないといけない。例えば火山に関しては、基本的に火山噴火の時期だとか場所だとか様式だとか、規模、推移というものを予測することが大事であるということは、20年ぐらい前からずっと言ってきた。それを目指してずっとこの研究計画で進めてきて、その成果がある程度実を結んだというのが、気象庁が出されている噴火警報であろうと。
ただし、その五つの要素のうち、やっぱりその進め方というのは結構違っていて、噴火の時期と場所というのは、ある程度異常検知から推定ができ、それを地元住民に情報を返せるというところまで来たが、基本的には推移予測、規模の予測、噴火様式の予測というのはまだまだ、基本的なデータがない。これは、前にもありましたように、やはり自然現象というのは非常に多様でバラエティーに富んでいますから、小平委員がおっしゃっているように、基本的にはフィジカル空間での情報の収集というものが大事だというところだろうと思います。
ただし、フィジカル空間での情報が大切だと言っても、今の世の中、やはり有限の資金の中で最大限の効果を出さなければいけないといったとき、今までどおりのやり方ではなかなか難しいであろうということで、この科学技術・イノベーション基本計画の中で、今回、一部、キーワードとして取り上げられているのでしょうけれども、新たな研究システムの構築ということでオープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進という項目がありますが、そこでは、基本的には観測設備機器の整備をするのですが、それを共用してコミュニティー全体で研究を進めていきましょうということが書いてあります。それから、データの共有ということもどんどん進めましょうということが書いてあります。そういったことを積極的に進めながら、先ほど言いましたように、Evidence-based Policy Makingに役に立つような研究というものを目指していくということが大事だろうと。その点から言いまして、先ほど分科会長、あるいは課長が言われたように、火山には地震本部に相当することがないというようなところを、ぜひこういう場で議論していただくのと同時に、具体的な話というのは、今回つくっていただいた火山研究推進委員会でも深い議論をしていただければというふうに私は思います。
以上です。
 
【小原分科会長】どうもありがとうございました。防災対応は行政が行う。その機関間の連携ですね。この地震火山観測研究計画の中ではどういう形でそれを進めていくべきか、というところについても、他省庁との関係も含めながらきちんと役割分担を進めていくということも必要であると。
それから、火山に関してもその責任を持つ機関が必要であるということについては、先ほどの森岡委員の話にもありましたけれども、その火山としてのスポークスマンというものをきちんと配置するということにも関係してくるのかなと思いました。どうもありがとうございました。
今日は初回ということで、特に科学技術・イノベーション基本計画を踏まえたこの地震火山観測研究の在り方についてという点については、いろいろな意見をいただきましたので、それを基に今後どのよう進めるべきか、ということについて、また検討して、この分科会でも、また、取り上げていきたいと考えております。
今日は時間も大分なくなってきましたので、今日決めてしまいたいことが実はございまして、資料の3-5と3-6の部分になりますけれども、今日の議論はもちろんそのバックグラウンドには当然含まれるとしても、表現上、ここに記載する内容として、今期何をやらなければいけないかという部分については、第10期の最後の分科会で示された内容をそのまま記載しているところではございますが、これまでの建議のサイクルに従って、今期については、そこに書かれているような内容ですね。地震本部の施策との連携に留意しつつ、地震火山観測研究計画の立案、それから、その推進を進めるということ。これは、基本的には多分それぞれの期で書かれていると思いますけれども、今期については、特に第2次の地震火山観測研究計画のレビューを3年目ということで行うというところ。それから、それを、外部評価を行って、それらに基づいて次期建議案を検討するというところが重要な項目になってございます。
それとあと、火山については、火山研究推進委員会を設置して、火山に関する研究開発を進めるというところで、そこに記載しているような内容で、特に、次世代火山研究人材育成総合プロジェクトに対するフォローアップを行うというのと、それから、今年度から開始しました火山機動観測実証研究事業に対するフォローアップも行うという部分でございますけれども、こちらについてもし異議がなければ、これを決定という形で第11期の調査審議事項としたいと考えてございますが、これに関して何か御意見等はございますか。
 
(「なし」の声あり)
 
【小原分科会長】その後の3-6のほうも併せて審議決定したいと思いますけれども、そのレビューの進め方につきましては、そこに書いてございますように、従来は地震火山観測研究計画部会の中にレビュー委員会を設置して、そこでレビューを作成して、部会で審議し、さらにこの分科会で決議するという形を取っておりましたが、今回についてはレビューの取りまとめ委員をその部会の中に2名選定して、その2名が中心となって、さらに地震・火山噴火予知研究協議会のほうにレビューの原稿の作成を依頼して、そのレビュー取りまとめ委員がそれらをまとめて、部会でそのレビューを最終的に議論するという形で進めたいということでございますが、今期の第11期の審議内容、それから、このレビューの進め方についてこれでよろしいでしょうか。特に、異議のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原分科会長】では、なければ、この資料3-5、それから、3-6に書かれているとおりに今期は進めるということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
では、修正なしでこのとおりに進めるということにさせていただきたいと思います。
それでは、これで本日予定していた議論は以上となりますけれども、今日の分科会の議事録については、この分科会運営規則によって、分科会長等の人事に関わる部分については非公開とさせていただきたいと思いますので、それでよろしいでしょうか。異議のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原分科会長】では、異議なしということで、そのように議事録のほうもまとめさせていただきたいと思います。
では、最後に、今後の日程等について事務局から御説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】事務局の上山でございます。
本日は、皆様、貴重な御意見をいただきまして誠にありがとうございます。
次回の分科会につきましては、改めて日程調整をさせていただき、御連絡させていただきますので御承知おき願います。
事務局からは以上でございます。
 
【小原分科会長】ありがとうございました。
それでは、以上で全ての議事が終了したということで、これをもって本日の科学技術・学術審議会第44回測地学分科会を閉会したいと思います。
本日はお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
―― 了 ――

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