火山研究推進委員会(第1回)議事録

1.日時

令和2年5月21日(木曜日) 10時00分~11時45分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 今後の検討事項について
  3. その他

4.出席者

委員

西村主査、藤田主査代理、鈴木(桂)委員、市原委員、相澤委員、大倉委員、大園委員、鈴木(由)委員、田中委員、中道委員、橋本委員

文部科学省

生川研究開発局長、岡村審議官、工藤地震・防災研究課長、齋藤防災科学技術推進室長、中出課長補佐、青木地震調査管理官、上山地震火山専門官、加藤科学官、矢部学術調査官

オブザーバー

次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト 西垣総括担当プロジェクトアドバイザー(総括PA)、東京大学大学院総合文化研究科 角野准教授

5.議事録


今回の議事は、主査の選任、主査代理の指名等があったため科学技術・学術審議会測地学分科会運営規則(平成13年3月15日決定)第6条の規定に基づき、開会から議事1までは非公開。

[議事1.議事運営等について]

・運営規則第3条第3項の規定に基づき、測地学分科会長の指名により、西村臨時委員が主査に選任され、また同第3条第7項の規定に基づき、藤田臨時委員が主査代理に指名された。
・「火山研究推進委員会の議事運営について(案)」(資料1)について事務局から説明があり、承認された。

〔以降、運営規則第6条の規定に基づき議事録を公開〕

【西村主査】それでは、科学技術・学術審議会測地学分科会運営規則第5条に基づき、これより会議を公開にしたいと思います。
会議が公開になりましたところで、第10期科学技術・学術審議会測地学分科会火山研究推進委員会の発足に当たり、私から一言あいさつさせて頂きます。
この火山研究推進委員会は、火山観測研究体制の高度化と最適化を図ること、それから、火山研究を推進していく良い方策を考えることが目的と考えております。
現在の火山観測研究の礎は、1974年に噴火予知計画が発足したことにあると思いますが、その計画から、既にほぼ50年経過しております。また、約20年前には大学法人化が行われ、火山活動を研究する体制、あるいは実施する環境も既に大きく変わってきています。
皆さまには、ぜひ新しい時代の火山研究を推進するための研究計画や実施体制のより良いやり方をご提案頂きたいと思います。私も、皆さんのご意見をよく取り入れてまとめられるように頑張りますので、どうぞご協力をよろしくお願いします。

[議事2.今後の検討事項について]

【西村主査】それでは、議事2の「今後の検討事項について」に入ります。
まず、火山研究の現状について、事務局から説明をお願い致します。

【上山地震火山専門官】事務局でございます。
それでは、火山研究の現状について説明をさせて頂きます。
まず、わが国の火山研究関連の経緯について、でございます。
長々と経緯が書いてございますけれども、ポイントとしては、当初は大学における火山研究が非常に盛んでございまして、気象庁と比較で書いてございますけれども、気象庁をはるかに上回るようなレベルでございました。これが噴火予知計画(第1次)の頃の状況でございます。
その後、国立大学の法人化の後、大学における火山研究者の減少、予算の減少や現地観測所の縮小・無人化等、火山研究の体制はなかなか厳しい状況になってきているということについて、こちらの年表で示してございます。
続いて、わが国の地震および火山の研究観測体制についての資料でございます。
まず、法律に関しては、火山の方は活動火山対策特別措置法で規定されております。施策立案等に関しましては、内閣府の火山防災対策会議で行っております。研究基盤に関しては、防災科学技術研究所による基盤的観測網(V-net)の他、大学等が運用する火山観測網などが非常に重要な存在となっておりますが、地震観測においてHi-netやGEONET等が比較的充実しているような観測体制と比べると、火山の方は対象火山数も限られているような状況がございます。
活動の評価に関しては、地震の方が地震調査研究推進本部の調査委員会で活動評価を行っているのに対して、火山の方は気象庁に事務局がございます火山噴火予知連絡会で活動の評価を行っております。
研究計画の推進としては、地震と火山を併せた形で、建議に基づく観測研究計画を推進しているところでございます。
続いてプレゼンスの変化ですが、こちらは先ほどの年表の方を絵にしたものになっております。最初は大学の存在感が非常に大きかったのですが、大学法人化等々を経て、今では気象庁と比べて大学の存在感が小さくなってきております。火山研究と火山監視で言いますと、今では防災のための火山監視の割合が相対的に大きくなってきているということです。
こちらが大学の火山研究予算の推移になっております。赤で囲っている部分が火山に特化した学内と外部の資金ですけれども、なかなか額が増えずに厳しい状況となっています。
人員についても、パーマネントの人員、任期付きの人員、共になかなか増えていないというような状況になっています。
こちらは地震と火山を合わせたグラフになりますけれども、やはり年を追うごとに若手の研究者の数が減ってきて、相対的に、より高齢の研究者の方が増えているというような状況になっております。
こちらは地震観測網と火山観測網の比較でございます。先ほど説明した観測網の話を図にしたものです。こちらもやはりV-netは16火山に限定されているということで、観測網の充実をどうするかということが課題になってきていると考えられます。
こちらの最後の図は各国の火山の研究と監視・観測の体制を比較したものです。日本の特徴としては、いろんな機関がそれぞれ細かく役割分担をしているということで、他の国と比べると統一的に火山研究を推進する体制にはなっていないものと考えられます。
こちらから、説明は以上になります。

【西村主査】ありがとうございました。
非常に盛りだくさんの資料でしたけれども、皆さん、ご質問はございますでしょうか。
非常に量が多いので、すぐに理解ができるか分かりませんけれども、先ほどお見せ頂いた火山分野におけるプレゼンスの変化で、80年代は大学が大きくて、それが小さくなってというようには見えますけれども、そういう意味では、いろいろな研究開発が進んで、防災関係、気象庁の方に、その観測網がより展開されていったというふうに見えなくはないと私自身は思いますけれども、いかがでしょうか。何かご質問、お願い致します。
よろしいですか。
では、なかなかインターネット経由で質問しづらいのかもしれませんけれども、また何かありましたら、研究の現状というのはこれからの議論に関係してきますので、その際に質問をしてください。
それでは、続いて、事務局から、この研究推進委員会の説明がありますけれども、それに先立ちまして、火山に関する研究開発の在り方について検討頂く際の参考としまして、文部科学省の委託事業である次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトについて、プロジェクトの総括担当プロジェクトアドバイザー(PA)を務めておられる西垣先生から話題提供頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【西垣総括PA】ありがとうございます。西垣です。
機会を頂きまして、次世代火山プロジェクトにおけるこれまでの取り組みと現状についてお話をさせて頂きます。
平成26年9月に発生した御嶽山の噴火等を踏まえて立ち上げられました本プロジェクト、その当初事業構想が公募要領に事業目的として、2枚目、3枚目、そしてこの4枚目のスライドに示されています。ここに示しましたのは、一部手直ししてお配りさせて頂いております。その要点を次のスライドに示させて頂きます。
まず、ここに挙げております次世代火山研究推進事業の事業目的になります。上からですが、水蒸気噴火の先行現象の解明、マグマや熱水の状態を把握する手法開発を行って、短期的な火山噴火予測精度の向上を目指す。噴火履歴や噴出物の分析を踏まえ、中長期的な噴火の可能性を評価する手法開発を目指す。先端的技術の開発、要素技術の統合などにより観測技術の革新を目指す。機動観測研究体制の構築。機関の枠を超えた火山観測データのオンラインでの一元的流通促進。これらの実施により、火山災害の軽減に資する観測・予測・対策の一体的火山研究を推進しようとするものであり、A、B、C、Dの4課題、その下に13のサブテーマ構成にて、これら研究事業が実施されています。
次に、火山研究人材育成コンソーシアム構築事業の事業目的になりますが、多岐の分野にまたがる火山学を一つの大学で体系的に学ぶことができる場の提供を目指しております。火山研究者には、社会防災的な知識を身に付けることが望まれますが、現在、16の大学と4研究機関から成る人材育成コンソーシアムを構築して、火山研究者並びに火山技術者の育成を行っております。
この図は事業全体のスキームを示しています。本次世代事業、10年間の事業期間中、4年の期間、実質3年半弱の第1期ともいえます実施期間を経て、昨年、中間評価が行われた運びです。
これは参考資料2にありますスライドを引用しておりますが、次世代火山研究推進事業の各課題の実施内容、概要を図示したスライドです。
課題Aが担当しています各種観測データの一元化では、昨年度末に火山観測データ一元化共有システム(JVDNシステム)の基本形、初版の運用を開始しております。そのデータ提示方法の改良など、さらなるシステム開発に向けて、分野横断的なメンバーによるデータ利活用推進タスクフォースを結成して開発を推進しております。
課題Bは先端的火山観測技術の開発を担当しておりますが、可搬型レーダー干渉計の開発、可搬型を目指す質量分析計の開発を含むガス観測技術開発が着実に進むとともに、地殻構造探査などの機動観測を実施して、水蒸気噴火の機構の理解や噴火切迫性評価のための手法を開発するなどの成果を上げています。
課題Cは火山噴火の予測技術の開発を担当しておりますが、重点26火山を対象にボーリングやトレンチ調査を集中的に実施することを目指して展開しております。噴火履歴に関する新たな知見を数多く得ており、こうしたボーリング、トレンチ調査の有効性が示されている状況です。
課題Dは火山災害対策技術の開発を担当しておりまして、火口や噴出物の状況のリアルタイム測定手法の開発、気象観測と連携した桜島でのリアルタイムな火山灰ハザードの評価手法開発、情報ツールの開発を目指し、掲載するポータルサイトの試作版公開などを実施して着実な成果を上げています。
火山研究人材育成コンソーシアム構築事業の実施状況をお示しする図です。修士課程学習者を対象とする基礎・応用コースが着実に立ち上がり、その運用体制、運営体制が確立、さらに博士課程学生を主対象とする発展コースを増設する等の成果を得ています。
これら各課題の進捗状況と成果について、昨年実施された中間評価では、いずれの課題、サブテーマも、当初予定された進捗を達成、あるいは予定を上回る進捗と評価されました。各課題、サブテーマ、着実な進捗、そして成果獲得状況と言えます。なお、このスライドについては、後ほど詳しく説明される予定です。
このスライドは、これまでのプロジェクト推進の観点についてまとめたものです。本プロジェクトは、サブテーマごとに設定された業務目的に基づいて実施されており、それぞれ着実に成果を上げつつありますが、加えて、観測・予測・対策の一体的な火山研究の推進、また火山研究と人材育成を両輪とする総合プロジェクト推進の観点から、サブテーマ間、課題間、研究と人材育成の相互連携が一つのポイントと捉えられます。そのための情報共有、意見交換や討議の場所として、ここに挙げています総合協議会、運営委員会、研究会議、勉強会、フォーラム等の機会が挙げられるわけですが、さらに共同活動の機会が得られれば、それは連携の有効な機会、また手段となります。
次世代火山研究推進事業では、この図に示しますように、真ん中に書いております課題Aにデータを集約して相互連携を図ることとなっており、課題Aが構築していますデータネットワークの構築開発を当プロジェクト全体で支援する観点から、課題A以外のメンバーを含めた、先ほどお話ししましたデータ流通促進タスクフォースを結成して、開発推進を図りつつある状況です。
また、ここには示しておりませんが、次世代火山研究推進事業と火山研究人材育成コンソーシアム構築事業との連携は、両方にまたがるメンバー、また履修生を介して埋められつつある状況です。
加えて、本プロジェクトの当初構想にはなかったのですが、事業発足後に立ち上げたシステムとして緊急観測、あるいは集中機動観測と呼びますが、そうした観測を可能とする制度があります。噴火予兆が確認された場合、切迫感が高まった場合や噴火が見られた場合において、プロジェクト全体として緊急観測、あるいは集中機動観測の実施を可能とする制度です。あらかじめ設定された業務目的の達成を目指すミッションオリエンティドなプロジェクトの仕組みの中で、緊急な、あるいは臨機応変な対応を可能にする制度であり、観測・予測・対策をプロジェクト全体で一体的に実践し得る場として効果的な仕組みと考えられます。草津白根山の噴火に際して最初に立ち上げられ、その後、霧島山や伊豆大島などで試行しつつある状況です。
次のスライドをお願いします。
この仕組みの概要図を示したスライドがこれになります。噴火予兆が把握された場合または噴火発生時に、火山噴火緊急観測部会での検討に基づいて、プロジェクトリーダーの決定の下に立ち上げられる仕組みになります。
以上、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの当初の構想と、それに対する取り組みの状況について、かいつまんでお話ししましたが、総括担当PAとして感じております僕の知見について、少し付け加えさせて頂きます。
まず、次世代火山研究推進事業ですが、多分野研究から成り、テーマごとの課題設定となっています。それぞれの実施計画の下に研究開発が実施されて、着実に進捗し、各課題の中でサブテーマ間の連携が見られ始めた状況です。しかし、異なる分野間の連携はなかなか難しい状況と言えます。
多分野から成る総合研究としての火山研究ですので、事業全体として一体化した火山研究が望まれますが、この推進には、全体でまとまっての活動を具体化する仕組みや体制が要ると思います。しかし、そうした配慮は、残念ながら現プロジェクトには含まれていない状況と言えます。研究者数が限られる中、個々の研究者は忙しく、選定課題の遂行に追われる中において総合的な活動を実施するためには、全体でまとまって活動を具体化する仕組みや体制が望まれるということです。もちろん研究者の皆さんにはサブテーマごとに参加頂いているわけですけれども、例えばプロジェクト全体として取り組む緊急観測実施に際しても現状では、各研究者はある意味ではボランティア的な参加であり、自分たちの担当する各課題をベースにしながら、できる範囲で寄り集まってというような体制での連携になっています。総合的な活動を実施するためには、相応の実施体制、支援体制が必要と言えます。具体例として、緊急観測、あるいは集中機動観測を実施する制度。この制度自体は策定し得た状況と言えますが、リーダーを含め全体をコントロールする体制、事務局体制、その緊急観測の成果を活用した研究を実施する予算などの整理というところは、残念ながら現プロジェクトの中では難しいという印象です。
こうしたところから、効果的な運用には残念ながらまだ至っていないという状況と言えます。全体が連携して一つのことを進めていく、そうした体制にとって、その連携を具体的に推進して可能にするシステム、仕組みの配慮・検討が望まれます。
人材育成に関しましては、長期的な運用が不可欠です。そのための仕組み、制度設計について、この委員会で、プロジェクトの実施期間を超えた運用の仕組み作りへの検討が望まれます。
以上、これまでの4年間の実施期間において、総括担当PAとして感じておりました事項について、少し付け加えつつお話させて頂きました。
以上です。

【西村主査】ありがとうございました。
それでは、火山研究推進委員会の当面の検討事項について、事務局から説明をお願い致します。

【工藤地震・防災研究課長】地震・防災研究課長の工藤でございます。
今回、お集まり頂きましてありがとうございます。
この火山研究推進委員会は、開催に至るに当たり、火山研究者に対して、事務局の方で昨年度にインタビュー等を行いました。それの結果について取りまとめたものを、この後、資料2-3としてご紹介したいと思うのですけれども、この委員会の主要なるタスクとして今回考えられておりますことは、大別すると2種類あります。
1つは、先ほど資料2-1で現状の方をご紹介させて頂いたのですけれども、この現状を踏まえた今後の火山研究をどういうふうに作っていったらいいのか。研究全体の世界といいましょうか、そういった体制みたいなものも考えながらご議論頂く部分というのが長期的なテーマとしてございます。
他方、短期的なテーマですけれども、これも先ほど西垣先生から火山プロジェクトの現況の方をご紹介頂きましたが、火山プロジェクト自体は、現状、4年目が終了して、今5年目に入っています。全体として10年の計画なので、あと5年ある、まだ5年あるという考え方もあるのですけれども、5年たったときに、火山プロジェクトと同じことがもう一回やれるかどうかというのは、よく分からないわけです。しかしながら、これまでやってきたことをよりスムーズに、かつ加速してやるためには、今から火山プロジェクトと並行して取り組んでいくような、先ほど長期的な課題と申しましたけれども、それに対して短期的な課題、こういったものをご議論頂くことが必要ではないかというふうに考えております。
それでは、ちょっと資料2-3をご紹介したいと思います。
先ほど西垣先生のスライドの中にもございましたけれども、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト、これは開始時の構想として、基本的には技術開発を行うということで、左側にデータの流通として国際データベース規格による多項目観測データの一元化、それから、観測については火山体内部構造観測技術の開発、遠隔からの観測技術の開発、多項目観測データのリアルタイムの処理技術の開発というものがございました。
さらに予測については、物質科学に基づく予測手法の高度化、シミュレーションによる予測手法の開発、火山噴火の発生確率の算出というのがございます。
さらに対策もやるということで、災害、被害のリアルタイム把握と評価技術の開発ということと、それから、災害対策の情報ツールの開発ということをやろうとしていました。
人材につきましては、先ほどご案内があったと思うのですけれども、火山観測研究の根幹をなす3分野、地球物理、地質、それから地球化学に関する研究者の育成と、火山防災協議会等において科学的な知見の助言、これは実際に、もう先生方は既に様々な場面でご苦労されていると思うのですけれども、この役割を担うに当たり、社会科学等の広範な知識を身に付けて、高度な技能等を有するような火山研究人材を育成していくと、こういう思想を持って開始時の構想を立てております。
これに対して、昨年、3年半たった段階で中間評価を行ったところ、おおむねというか、ほぼ全ての項目につきまして、当初考えられた構想よりも非常に充実した形でできてきている。技術開発の一部については、かなり進んでしまって、ある程度、完成に近いのではないかというような状況になっているものもございます。
これが次世代火山研究・人材総合プロジェクトの今の置かれている状況なのですけれども、これと、先ほど2-1でご説明致しました研究開発の在り方、これ、2つ箱を用意しているのですが、上段の箱には火山研究の現状、これはもう見て頂ければ分かるように、予算のうち、外部資金は入ってきているのですけれども、それは、裏返すと学内資金が減ってきている。それから、パーマネントの研究者については、基本的には横ばいか、もしくは少し減ってきているのですけれども、年齢構成というのが明らかに、これは特段火山の研究者に顕著なというふうなことではないとは思うのですけれども、やはりそこは心配なのが、年齢構成について、30代が減少して、50代が増加してきている。こういう状況を少し考えたときに、今後、先ほどこれまでの火山研究の歴史の方を振り返らせて頂くのが2-1、それから西垣先生のスライドにもございましたけれども、現状、各大学において観測点を保持してやってきているところを、どのように、それを各大学においてやれている体制というのが引き続いていけるのかというのは考えていかなければいけないのではないかというふうに考えます。
同じように、火山プロジェクトにつきましても、成果がこういう形で上がってきているのですが、今後、過去からのデータの蓄積は、課題Aでかなり集積しております。これを今後どういう形で、どこかで保持していかなければいけないのではないかというふうに思います。
それから、作られた技術を活用していくという面において、今後のメンテナンス、そして、さらに発展させていく、いわゆるこれらの技術開発成果の継承を考えなければならない。さらに育成した人材の受け皿というものも考えなければいけません。最後、先ほどとちょっとかぶりますけれども、定常観測の継続とか、活動度の高い火山をフィールドラボラトリとして活用した観測研究体制みたいなものも、それぞれの山ごとの観測というよりも、活動をネットワーク化するなり、何か集約してできるようなことを考えていかなければいけないのではないかということを中長期的課題ということで挙げさせて頂いております。
他方、先ほど、現行の火山プロジェクトはあと5年あるけれども、その火山プロジェクトとして、終わったときに全てが終わってしまうというわけでは当然ないのですが、そのときに新しいことを引き継ぐ体制がないと、なかなかそうやってうまくいかないのではないかということを考えまして、現行プロジェクトでは手当てがし切れていないようなところについて、今から何か手を打った方が良いのではないかということを挙げさせて頂いております。
それが、先ほど西垣先生からもご説明があったのですけれども、いわゆる緊急時において機動観測というのは非常に重要な取り組みで、これは火山プロジェクトの中でも精力的にやって頂いてはいるのですけれども、事務局機能であるなり体制みたいなものが、このプロジェクトの中だけでやっていくというのが非常に難しいのではないかというようなご議論もございました。こういうことを踏まえまして、現行プロジェクトの中でやって頂いていることの課題と経験を踏まえて、この機動観測を充実してできるような体制みたいなものも考えていかなくてはいけないのではないか。また、機動観測については火山プロジェクトでは国内火山のみを扱っておりますけれども、これも各研究者のご意見で、国内火山の噴火では噴火事例数がない。昨年も世界に目を向ければ、フィリピンなどに噴火はあったけれども、こういった海外の事例による噴火様式の多様性というものを確保するために、機動観測の枠組みの中に、むしろ外国にもっと行けないかというご議論も聞いております。このときに重要になってくるのは、やはり海外の機関ですから、ある種、長期的な関係を継続するというのをやっていかないと、ある日突然「噴火したので行かせてくれ」と言ったところで、受け入れる余地というのはなかなかないというふうに考えますので、恐らくそういうところを手当てするような、これも上の結び付いた充実した体制というのは何か考えなくてはいけないのではないかというふうに思っております。
また、最後になりますけれども、現状の火山観測体制が、もうご案内のとおり、火山活動がいわゆる低調なところにつきましては、現状、気象庁、それから防災科学技術研究所を中心として遠隔観測のみを行っています。ただ、こういった火山につきましても、科学的知見が得られると考えられるところにつきましては、火山内部の構造や状態について、この火山プロジェクトで培った技術、体制といったものを生かして調査研究というのをやってはどうか、こういうふうにやれれば良いのではないかということもご議論があるかと思いますので、たたき台としてご提示させて頂いていますけれども、これは全てでは当然ないのですが、長期的に考えていくことと、今から手当てしていけば、5年後の火山プロジェクト終了時にも、速やかにこの活動を継続・発展していける、こういったものについて二本立てで考えてみてはどうかということを今回ご提示させて頂いております。
私からは以上です。

【西村主査】ありがとうございました。
それでは、議事2の、この件について少し質問がありましたら、挙手をお願いします。
よろしいでしょうか。
角野委員が手を挙げています。

【角野准教授】角野ですけれども、ちょっと質問なのですが、今、火山プロジェクトのこれまでの現状等をご説明頂いたのですけれども、火山研究予算の推移とか人員の推移について、火山プロジェクトによる影響は入っているのでしょうか。

【工藤地震・防災研究課長】すみません。資料2-1で推計させて頂いている数字の中には、火山プロジェクトによって増加分というのは現状まだ含まれてはいません。

【角野准教授】分かりました。では、火山プロジェクトも加えたらどうなるかというのは分からないわけですね、これは。

【工藤地震・防災研究課長】火山プロジェクトでどのぐらいの人数になってきているかというデータの部分もわれわれの方で持っておりますので、お示しすることも後で可能になります。

【角野准教授】多分それが、この後考える上で、今どれだけ火山プロジェクトが寄与しているかというのを客観的に見る上で重要なデータだと思いますので、あるといいかなと思った次第です。

【工藤地震・防災研究課長】ありがとうございます。
1つ、後で多分ご議論になるかと思うのですけれども、火山プロジェクトを始めるに当たり、火山研究者というものの枠組みの考え方を、これまではやはり基本的には「観測を中心に研究を行う方」という枠組みに収めてきたのですけれども、火山プロジェクトの一つの思想として、観測を中心にやる方だけではなくて、他にも主に工学研究をされている方が火山に興味を持って頂く、それから民間の企業にも興味を持って頂く。つまり、火山研究の枠組みを広げるというプロジェクトになっておりますので、先ほど資料に加えることは可能だというふうに申し上げたのですけれども、そのときに、これまでの数え方とは若干見え方が変わってくるのではないかなというふうにはあるので、その辺はご承知おき頂ければと思います。

【角野准教授】分かりました。ありがとうございます。

【西村主査】その他、今の事務局からの説明についてご質問はありますでしょうか。
橋本委員、お願い致します。

【橋本委員】橋本です。
資料2-1について質問なのですけれども。先ほどもちょっとこれ、出ましたけれども、平成31年度を見ますとパーマネントの人数が随分増えているように見えるのですけれども、これ、どこが増えているのかなと見ると、切分不能というところが増えているようにも見えるのですけれども、これはどうしてこのように増えたのかというのは、何か分かっていることがありますでしょうか。

【上山地震火山専門官】事務局、上山でございます。
こちらの人数のカウントについては、測地学分科会の方で所管している建議に参加している火山研究者および地震研究者の人数をカウントしているものでございます。
前年度から新しい建議が始まりまして、参加機関が何機関か増えましたので、その関係で地震、火山および切り分け不能の研究者、いずれも微増しているというような形になっているということでございます。

【橋本委員】そうしますと、これはたまたま一時的なものではないということでしょうか。

【上山地震火山専門官】そういうことになります。

【橋本委員】そうしますと、先ほど工藤課長からもコメントがありましたけれども、現状としては、認識としては横ばい、もしくは減少というのが若干解消されてきているということにもなるのでしょうか。

【工藤地震・防災研究課長】そこは、若干ご議論はあるかと思うのですけれども、火山研究のうち、先ほど申し上げたように、ここの切分不能の建議参加機関が増えたということなので、それをもって増えているというふうに考えられるか、それとも、むしろ火山観測研究に中心的にやられてきたこれまでの枠組み、よく議論の中で出てくる火山研究者40人学級であるなり、火山プロジェクトにおける人数計算の基数である80人といった議論、こことの関係がどうなっているかということにもつながってきますが大体横ばいというのはあまり変わっていないのではないかというように考えられます。火山プロジェクトの思想をきちんと反映している形の人数計算ができれば、広がる部分というのはきちんとあるというふうには思っております。

【橋本委員】分かりました。ありがとうございます。

【西村主査】その他、ご質問はございますでしょうか。資料についての基本的なことなど、重要だと思いますので、質問をお願いします。
よろしいですか。
では、これから、今回のこの議事2の全体を通して、火山研究推進委員会の今後の検討事項について自由に意見交換をお願いしたいと思います。予定では40分ぐらいということでしたけれども、進行が結構早く進んでいますので、かなり皆さんにご意見を言って頂けるのではないかと思います。今日、委員の方は、私のカウントでは10人いますので、40分としても1人4~5分はしゃべって頂けますので、いろんな意見を長く自由に言って頂けると思います。
先ほど文部科学省の説明から、基本的には2つのテーマがあるという説明だったと思います。1つは、火山研究を推進する上で中長期に研究体制、あるいは研究計画を考えるということと、もう一つは、現在のプロジェクトを補完して、それから次につなげられるような研究課題がないかというような2本立てと私は理解しましたけれども、いろいろな、また、それらが複合的に絡むと思います。今回の自由意見の交換では、第1回ということもありますので、特にテーマを絞って皆さんからご意見を頂くというわけではなくて、いろんな課題があると思います。火山観測研究に対して、あるいは一般的な火山研究との関係や、それから火山防災に関することもあると思っています。ぜひ自由なご発言をお願いします。これから会議は続きますけれども、次の検討事項を絞る上でもいろんな意見を出して頂ければと思います。
では、すみませんけれども、ご意見をお願い致します。最初、しばらく自由に発言頂いて、その後、ご発言頂いていない方がもしいらっしゃいましたら、こちらから指名させて頂きたいと思います。よろしくお願いします。
では、どなたかから何かご意見を頂けませんでしょうか。手を挙げて頂ければ結構です。
なかなか難しいですかね。顔が見えないので、皆さん、どう悩んでいるかちょっと分かりませんけれども、先ほど、緊急地震観測のテーマが現在のプロジェクトに入っていないというお話もありました。例えば緊急火山観測について、こう補填するべきだとか、あるいはもっと変えた形でやるべきだとか、いろんなことがあると思います。例えばそういう切り口で、少しどなたか口火を切って頂ければ助かりますが。
では、藤田委員、お願いします。

【藤田主査代理】緊急時の機動観測のテーマが不足しているというのはご指摘のとおりで、その枠をぜひ進めて頂ければ、長期的に入れて頂いた方が発展する方向に行くと思っています。内閣府の火山防災対策会議の方では、火山灰の収集についていろんな機関が連携してスタンダードな手順にしようと検討されていますけれども、これから火山灰以外の研究観測、地震とか地熱観測なども含めて、サーバーとかでそのデータを共有して使えるような仕組みに持っていくと、研究のつながりが強化されるということ、それから若手の人材育成についても、バックアップができると思いますので、ちょっとそういう方向で検討させて頂けたらなというふうに思っています。
以上です。

【工藤地震・防災研究課長】すみません、よろしいですか。機動観測について、ちょっと補足しておきたいのは、今の火山プロジェクトの中でも、課題B-4で東京大学地震研究所の森田先生を中心にやって頂いている部分はございます。そういう意味で、完全にないというわけではないのですけれども、やはりそこは、この火山プロジェクトの枠組みの中だけでそういう機動観測チームを結成してやっていくということは、なかなかご苦労があるんじゃないかなということがございまして、この部分を今後補足して、かつ国際とか、そういったものにも広げていく枠組みを考えるには、恐らく体制構築みたいなものを準備しながら進めていく必要があるのではないかというご提案なので、すみません。全く今の、できていないというわけではないことを、ちょっと補足させて頂きます。

【藤田主査代理】藤田です。
私も同じ認識でおりますので、課長のご指摘のとおりだというふうに思っています。

【工藤地震・防災研究課長】すみません。はい、ありがとうございます。

【西村主査】緊急観測について、少し藤田さんからお話し頂きましたけれども、これに何か関連したご意見、ご提案、感想をお持ちの方、ございましたらお願いします。
角野委員。

【角野准教授】角野ですけれども、ちょっと今、名前がぽろっと挙がったので。
確かに火山プロジェクトの枠組みの中での緊急観測に、私たちも一応今年の方へは参加しているのですけれども、実際は、先ほど説明がありましたように、課題B-4の森田さんから、「課題B-4でこういうことをやるから、できれば参加してね」と言われて参加している状態です。なので、何か、先ほどちょっと言われましたけれども、ボランティアベースでやっているということがあって、やっぱりこういうことに対して、合意の上で、どこでこういうことをやりますというのを、何かやっぱりイニシアチブをとるところが必要だなというのは、やっぱり参加している側からも感じます。
あともう一つは、例えばこれを国際的に広げていこうと思ったときに、最初の資料の2-1で、外国で、他の国でどういう枠組みで観測しているかという絵があったと思うのですけれども、こういうところが割と代表機関みたいなところがあるわけですね。これは、こういうところを相手に国際的にやろうと思ったときに、例えば日本からは誰が話をしていいのかということと、あと、海外から見たときに誰に話せばいいのかというのが全然見えていない。なので、ちょっとどこかの大学がやるとか、そういうことは難しいと思うのですけれども、何らかの形でそういう代表機関的なものはやっぱりあるといいのだろうというふうに感じます。
以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
確かに現在は、そういう意味では、緊急火山観測とはいっても、特に大きな噴火が起きてあるいは突発的な噴火が起きて対応をしているというよりは、常時の訓練みたいな形で進んでいます。森田先生からの打診でいろんなところが動いていますけれども、実際、本当に何か兆候があったときというのは、イニシアチブを取る体制がないといけないですし、それに皆さんが迅速に反応してくれないと、結局訓練していた甲斐もないですので、そういう体制を作ることは確かに重要ですね。
国際的にも窓口が必要だということですが、日本ですと、今、気象庁がある程度対応はしていますけれども、研究というよりも火山防災という対応で取っていると思いますので、その辺のつながりは多分考えなければいけないのではないかと思います。
田中さん、お願いします。

【田中委員】産業技術総合研究所の田中と申します。よろしくお願いします。
基本的に、今、角野先生がおっしゃったことにはほとんど同意です。良くも悪くも人数が限られているので、お互いに顔が分かっていてツーカーというか、ボランティアというか、何とか先生から言われたという感じでつながっている部分があります。今後、この会議において、システム、あるいは体制まで踏み込んでどこまで決められるかなどについては、いまひとつ私は分かっていません。そういうものを含めて討議するのであれば、きちんとした体制を考え、やはりどこかがきちんと責任を持って実施するみたいなこともきちんと考えていかないと、今後体力がもう持たないと思います。何かあったときにフットワーク軽く観測に行くのは、それはもちろん今のところ皆さん興味もあるし、ある部分はそれでやってはいけるのだとは思います。ですが、「いつまでもその体制でいいのか」と言われたとき、あるいは国際的にプレゼンスを高めていくといったときの、その体制作りということをきちんと考えていくのに良い機会だと思います。総論として賛成ですと言って、実際にはどうしたらいいのというのが出せないのはなかなかもどかしいのですが、それがきちんと討議できれば良いと思っています。
また、やはりどこの組織も今、世知辛くなっていて予算も減っている、人も減っているとなったときに、こういう日本全体の火山観測において、こういう位置付けですということがきちんと言えるというのはなかなか大変なところだと思っています.地震の体制が必ずしも良いとは思いませんが、地震と火山を並べてみると、地震の方がそこのあたりのところがきちんと今のところ進んでいるのかなと思います。良いところは取り入れながら、きちんとした体制を作っていくような討議ができればいいなと思っています。
以上です。雑駁で申し訳ありません。

【西村主査】この緊急観測というのは、多分体制にも関係するということが、皆さんいろいろ意識を持っていると思います。その他、緊急観測の在り方について、あるいはそれを含めて火山観測研究について、ご意見いかがでしょうか。続いてお願い致します。
中道さんは、国際的にもインドネシアで観測研究をされていますけれども、例えば先ほど出ていました国際的な研究をする上で、あるいは、例えば行くだけではなくて、引き受けたりとかする上で何か考えていらっしゃることはございますでしょうか。

【中道委員】中道です。
確かに海外から日本に対して誰だという、そういう決まった組織なり、この人がメインとか、そういう役職で、いわゆるそういうパーソンが見えにくいのは事実であるということもあるのですけれども、幸い桜島火山観測所というと、世界的にいいますと、やっぱり便利のいいところで、鹿児島市に近いのでロジがいいところで、岩石や噴火を多数観測研究できるということで、幸い本当にたくさんの諸外国の研究者、特に2013年の国際火山学及び地球内部化学協会(IAVCEI)以降は、欧米から来て共同研究をしています。
一方、京都大学防災研究所でいきますと、もう30年近くインドネシアの高等研究機関と協定を結んで、何回も更新ですけれども、長く研究交流を続けてきたのと、あと学位を出したりとかして人材育成にも貢献しております。
最近、現地のインドネシアに行って、欧米の研究者とかアメリカの研究者とやっていると、向こうの、例えばアメリカのところですとUSGSがVolcano Disaster Assistance Programといって、そういう組織自体をUSGS内に持って、それがカスケード火山観測所内の1セクションとして、PRなのですけれども、そこに人がいて、この人に言えばこういう海外のことをやるとかというのも、ある意味ソリッドで作っているわけです。
日本の場合は、個人的にとか、ある国で観測研究をしている研究者はこの人だというぐらいで、いわゆる個人商店が強過ぎるようになって、バーチャルでもいいので、多分このコミュニティーで、ずっと長くやるか、それとも定期的に交代するかは考え方次第ですけれども、それの人をアサインして、例えば国内の臨時的な観測をやっていく中心、あるいは海外を出るグループというのを作っておいて、そこに予算を付けておく。使わなかったらうまく繰り越すなりして、そういう仕組みを持っていいですけれども、そういった仕組みを作っておいて、まずはどこか顔が見えて、何か起こったらここは動くのだなというのが分かるような形にして頂けるといいなと思っています。
以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
個人的なつながりというのも大事ですけれども、ある程度広く受け入れるためには、中道委員がおっしゃるようにバーチャルな組織というのは非常に重要じゃないかなと私も思います。
その他、ございますでしょうか。緊急観測だけではなくて、工藤課長が最初お話ししたようにテーマは2種類あります。中長期的に観測研究をどうするか、あるいは火山研究をどう進展させるかということもございますので、そちらについてのご意見もぜひお願いします。
市原委員、お願いします。

【市原委員】先ほどから、緊急観測というと、どうしても現場に飛んでいく人材の体制というか、そういうところだけが議論されていると思うのですけれども、実際に噴火の際に現場に行く人がいたら、その後方支援といいますか、例えば物質科学でしたら、現場から送られてくる資料をすぐに分析して結果を出すとか、データ解析をしたり、その情報を集約する、そういった人も必要で、どうしてもいろんなタイプの研究者がいて、現場は必ずしも行かないけれども、体力的な問題とか、そういう中で非常に貢献できる人材というのがいると思いますので、そういう人も併せて増やしていかないと、現場に行く人はいても、それがうまく活用できないということになるのではないかと思います。
あと、常時訓練というのもありますけれども、新しい手法開発、より簡便にデータが取れる観測機器、そういったものも含めて研究観測のグループとして活用できるといいなと思っております。

【西村主査】ありがとうございます。
1974年から始まった観測計画ですけれども、今、数値計算でいろんなシミュレーションをして、それを災害予測に使っていますし、それからデータの量も膨大に出てくるようになりましたので、確かに後方支援対策も考えた上での緊急観測体制というのを考えなければいけないということですね。ありがとうございました。
角野委員、お願い致します。

【角野准教授】今の市原先生の意見にすごく賛同するところがあって、例えば私の仕事って、実は本職は分析なので、実は緊急観測といっても、ただ単にサンプルを採りに行くだけです。それは、実はどなたか行って採ってきて頂ければよくて、あとは、どうやったら取れるかというのを皆さんと一緒に行ったときに皆さんに見て頂いて、こんなものだと分かって頂ければ、それでいいわけですね。
あともう一つは、その後の話なのですけれども、データの解析なんかを、実は全然緊急観測をやったけれども生かせていないところがあって、精度を解釈するところも含めて緊急観測の枠組みの中に入れて、やったらやったで、ちゃんと最後までみんなでまとめて、いろんな人の知見を持ち寄って議論するところまで行けたらいいのだろうなと思って、そこに後方支援の人たちもみんな入ってくるような形になっていれば理想的なんじゃないかと思います。
以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
その他、ご意見ございますでしょうか。
相澤委員。挙手なさっていますので、お願いします。

【相澤委員】先ほど、大学のパーマネントの人員は増えていないという記述がありましたけれども、それに対して気象庁のパーマネントというか、火山監視に携わる人員というのは、恐らく非常に増えているのではないかと思います。
というのも、例えば九大の例ですと、毎年1人程度、気象庁に就職されます。それはパーマネント、大学が不安定で気象庁が安定しているからということで非常に人気があって、この大学の火山プロジェクトを経験した中から、どんどん気象庁に人材が行くという流れは、もうこの流れは止まらないと思います。そうすると気象庁に、若くてエネルギーがあって、しかも研究者的な視点を持つ職員がどんどん増えていくことになると思います。
緊急観測をやる上で、大学とか、問題なのはマンパワーが足りないということがありますので、もうこれから、そういう流れでいくと、気象庁と、そういう全ての火山研究に、緊急観測だけに関わらないで、全ての観測研究において連携していくことが必要であるのではないかなというふうに思います。
以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
気象庁は、御岳山噴火の後に火山関係の部署を増やしてニーズも増えたと聞いています。私も、火山研究人材育成コンソーシアムを担当していますけれども、3年ぐらいしか修了生はいませんけれども、年に2~3人、平均2人ぐらい気象庁に就職する修了生がいます。火山関係は多項目観測が主体なのでいろいろな専門知識が必要で、それをさらに総合的に判断しなければいけないので、なかなか自動化しづらい部分があると思いますから、やはり相澤委員のおっしゃるように、気象庁も火山研究をする人材が、火山を担当できる人材が必要なのではないかなと私自身も思います。ありがとうございます。
では、その他ございますでしょうか。まだご発言頂いていない方、結構いらっしゃいますけれども。
橋本委員、いろいろ観測研究で苦労されていると思いますし、それから、火山研究人材育成コンソーシアムの方でも臨時観測を行って構造探査をするのを、大学の資源だけでなくて、今うまく役務でやったり、いろいろ工夫されていますけれども、いかがでしょうか。今後の観測体制、あるいは観測研究体制についてご意見ございましたらお願いします。

【橋本委員】はい。橋本です。
ちょっと緊急観測の話題にずれるかもしれないのですけれども、長期的な火山研究の体制といいますか、人員の問題ということ、特に大学について発言したいのですけれども、年々一般財源、大学の研究費、減ってきているわけですけれども、大学全体として年々何%かずつ減っていくという傾向がずっと続いているわけですが、この傾向というのは、文部科学省の見通しとしてはどれぐらい続いていって、最終的に外部資金と一般財源との比率というのが、どれぐらいが適正で、そこになったら一応止まるよというようなものがあるのかどうかということを、ちょっとお聞きしたいのですけれども、そういうのというのはあるのでしょうか。

【工藤地震・防災研究課長】工藤です。
先生からご質問頂いた、相対的にどこまで交付金が減っていったらどこで下げ止まるのかとか、ちょっとその辺の見通しまで、われわれとして現状でそれを持っているわけではないのですけれども、これは国の財源一般でやっぱり考えていかなくてはいけない部分があります。これはもう一般論ですけれども、高齢化社会であって、やはり国の財源のほとんどがいわゆる社会保障費の方に、という状況にあります。科学技術はかなり健闘してはいますが、将来的に今と同じ規模で科学技術関係の予算が本当に維持できていけるかどうかというのは、予測し辛い状況にあるわけでございまして、そういう総合的な観点からすると、なかなかどこかで止まる、財源について何かある契機で止まるということまでは考えられるかどうかというのは、現状なかなか見積もるのが難しいのですけれども、やはりその辺は、国全体の財政の中で科学技術なり高等教育なりの予算というのが確保される余地がきちんとできてくれば、一定のものの見通しが立つのではないかなというふうには考えています。

【橋本委員】ありがとうございます。
そうですね。なかなか見通しが立たないというのも、長期的なことを考えていく上では非常に難しいところかと思うのですけれども、例えば一つの大学でかなり人数がもともと、火山に関わっている研究者の人数がいるところは、減ったとしても何とか維持していけると思うのですけれども、もともとが少ないところですと、そこで一律に人が減っていくということになると、もう全く拠点として維持できないようなことが起こり得ると思います。他の時点で。それがもう少しずつ始まりつつあるというか、部分的にそういうことが起こっていると思うのですけれども、そういったことが起こったとしても、何とか全国がうまく連携することによって、この火山の研究の体制というのが日本では維持できるという体制を作っていくということが多分必要だと思うので、何かそういった視点で、これはかなり長期的な話になるかと思うのですけれども、以前から時々出ているバーチャルなクロスアポイントメントの組織とか、そういったものがどれぐらい実現できるのかというようなことも考えていく必要があるのではないかなというふうに思います。ちょっと今後の長期的な議論の一つの題として、そういうことも議論に乗せていくべきではないかというふうに思っています。
あと、もう少し短期的なことについては、今、コロナの問題というのが非常に世界的に大きな問題になっていますけれども、これ、かなり研究にもいろんな面で影響が出ていると思うのですけれども、これ、長期的に、お金の問題とか、国の経済もかなり悪化してきていますので、この辺、コロナ対策とか、そういったことの関連で研究の予算というのはどうなっていくのかというところも非常に懸念しているところなのですけれども、これ、課長に聞いても多分お答えできることじゃないかもしれませんけれども、何となくその辺の見通しというか、政府の中でどういう感じかというのがもしあれば、ちょっとお聞かせ頂けませんか。

【工藤地震・防災研究課長】そうですね。すみません、非常に難しいご質問を頂いて、ちょっと私としてもなかなかそこについてお答えするものがないのですけれども、ご案内のとおり、火山の現場ではフィールドワークとか、そういうものが欠かせないわけで、そのときに現状のそういう旅行を伴うものについては一旦キャンセルさせて頂いたり延期して頂いたりしているという状況はあります。これもこの後、感染対策という形でまとまってくるものがあれば、その辺の対策というのを、研究を含めてカバーする議論というのはあるかというふうに思っているのですけれども、現状、まだこの病気のいわゆる仕組みがよく分からない現状で、どこまで「もうこれで大丈夫だ」というような形で何か出せるかどうかという、ちょっと私も、すみません、まだそこは過分に聞いていないところがありますので、またそういうような状況を踏まえまして、特に火山プロジェクトにご参加頂いている先生方、この中の先生方にも多いかと思うのですけれども、まずその辺の方にフィードバックすることで、火山研究全般について、そこの対策についてはお答えできればと思います。
財政的な面につきましては、すみません、ちょっと現状、今何も見通しはありませんので、そこはちょっとご容赦頂ければというふうに思います。

【橋本委員】ありがとうございました。

【西村主査】ありがとうございます。
長期体制を考えるときに、新しい人材を獲得する、あるいは研究をするということは非常に重要ですけれども、大学では、魅力のある研究をしているところに人材が集まるということが多いので、そういう意味でも、こういう研究推進委員会に魅力的な研究体制を作ったり、あるいは研究課題を設定したりすることが重要なのかなと私自身は思っています。
その他、ございませんか。まだご発言されていない方。大倉さんがまだですね。大倉さん、何かございますでしょうか。

【大倉委員】大倉です。中長期的な研究体制としては、本学だと、例えば国立天文台とうちの天文台が共同研究をやっているとかという取り組みがありますので、そういうようなことを倣って、例えばちょっと防災科学技術研究所の人員増強をして頂いて、そこと大学の観測所が共同研究するというような形なんかを取ってもいいのではないかというふうに思っています。要は、お金を流して頂くルートを作れないかというところは考えたりしています。
あと、ちょっと別の話なのですが、今般のコロナの影響で、私、今ちょっとかなり危機感を抱いていて、それはなぜかというと、われわれ、京都から離れたところに観測所を持って観測、研究とか協力もやっているわけですが、教育の場としての活用がなかなか難しい状況に今追い込まれていて、夏は複数の学生実習を引き受けて学内で実践していたのですが、それが2~3年できない可能性があるというようなことで、教育活動を通しての大学の貢献、そういう戦略、戦術をちょっと考え直さないといけない状況に今追い込まれているというようなのが現状です。遠隔地の観測所として。雑駁な話というか、以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
そうですね。ちょっとコロナの問題が大きくて、フィールドをやろうと思ったときに人が動けないということが続いていますので、そのあたりは何とかなってほしいものだと思います。
それから、鈴木桂子委員、それから鈴木由希委員は岩石・地質系ですけれども、観測研究、あるいは地質学分野の方から見た火山研究について、何か今後どうしたらいいかというようなご意見を頂ければ助かりますが、鈴木桂子委員。

【鈴木桂子委員】よろしいでしょうか。
私は、人材育成のプログラムは非常によく動いていると思うのですけれども、受け皿が少ないというのは非常に問題だと思っております。先ほど気象庁さんの方で、最近は少し採用があるというようなお話がありましたけれども、日本を見ると、気象庁以外に産業技術総合研究所や防災科学技術研究所、海上保安庁、国土地理院、大学というふうなところがあるのですが、そういうところがみんな一緒になって人を採るという、人を増やす、若手を採るということを少し考えないと、将来先細りになると思います。地質もやはり外に出て観測、調査することが多いですけれども、人を育てる、大学でも結構育てるのは大変で、なかなか大学院まで、ドクターコースまで行ってくれる人というのは多くありません。やはりそれは将来の見通しがない、大学院まで行ってもドクターを取っても仕事がないかもしれないという危機感を持っている学生がすごく多くて進学してくれないというのが、私が今までに体験してきた学生さんの経験です。そういう意味では、ある程度先が保証されるのだということを若い人に見せるということも重要だと思いますので、今だと、ドクターを取っても、すぐにパーマネントはほとんど不可能で、気象庁に入って、そこで火山の観測ができればラッキーだけれども、気象庁に入っても、火山をやりたいと言ってもやらせてもらえないという学生も、やはり卒業生でいますし、そこのところはこちらの思うようにはならないのはよく分かりますが、やはり皆さん、少し前向きに受け皿ということを検討する時期に来ているのではないかなと思います。
観測とはちょっと、将来の観測が先細るのではないかという意味で受け皿が必要だと思うということです。
以上です。

【西村主査】ありがとうございました。
確かに若い人を引きつけるには、先ほど私、研究の魅力と言いましたけれども、もちろん学生は卒業後のことを考えていますので、受け皿を何とかして設けるということが本当に重要だと思います。受け皿はなかなか大学の方では何かできるわけではないのですけれども、実用化がある程度目処が付くと、そういう研究機関、あるいは監視機関なんかも人を雇ってくれるような気もします。しかし、ちょっとなかなかこれはすぐにはできるものではないかもしれませんが、中長期的にはそういうことも視野に入れたこともしていかなければいけないのではないかなというふうに思います。
鈴木由希委員、お願い致します。

【鈴木由希委員】同じく、人材ではなくて火山地質・岩石学の観点から、幾つか意見を述べさせて頂きます。
次世代火山プロジェクトがあったおかげで、火山地質・岩石だとかの分野の研究はいろいろ促進したと思います。なぜかというと、今回の参加者の方で地球物理の方が多いのですけれども、もともと火山地質・岩石の研究をしている研究者がいる大学というのは、たった1人で研究を行っている研究室がもともと多いです。そういった状況だと、なかなか研究が推進しなかったところを、この次世代火山プロジェクトが始まったおかげで、拠点の大学にいろいろな分析装置とか、あるいはいろいろな投資がされて、そこを拠点としていろいろな全国の研究者が分析などを行うことによって、全国的なつながりが生まれたという良い効果があったと考えています。
そこまではいいのですけれども、今後、火山地質とか岩石学の研究で何を進めていく必要があるかというと、先ほど西垣先生からもご発言がありましたけれども、どうも火山地質とか岩石学の研究と観測的研究の連携がまだまだ弱いという、そういう意識が私自身の中でもあります。そういった地球物理の人にも必要なデータを出していくために、基礎的な地質・岩石の研究だけではなくて、もう少し一歩進んだデータを出していく必要があると考えています。過去5年間の研究でそういったデータがちゃんと出せたかというと、まだまだそこまで行っていないような研究者も多い状況です。
具体的には、例えば噴火の単位のスケールで起きているような現象の時間スケールを噴出物の方から調べたり、火山ごとにそういう現象がどういう時間で起きているのかということを、過去の噴火までさかのぼってデータベースを作っていったりするような研究が今後必要かと思っています。ただ、今後進めようと思っているところで、このコロナ問題が発生している状況で、どのようにこの状況を打開していくかということを皆さんと一緒に考えいければと思っています。よろしくお願いします。
以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
確かに地質・岩石の方というのは、火山学の中でも非常に実は人口が多いのですけれども、地方大学に散らばっているというのはよく私も知っていましたが、確かにプロジェクトによって、そういった人たちがいろんなところで連携しているのを見て、活発にやっていることを印象深く思っていました。ありがとうございました。
まだ時間がありますけれども、先にまず発言されていない方からお願いしたいと思いますので、大園委員、地震あるいは地殻変動の研究分野からみた、火山研究に対するご意見など頂ければと思います。

【大園委員】私、地殻変動の専門家では一応あるのですけれども、そういった観点からいうと、地震にしろ、火山にしろ、あまり地震だから、火山だからで分けてというよりは、地殻変動をやっている人たちで集まって毎年集中観測をやったりとか、そういったことをやっているので、そこの根底の部分に火山プロジェクトのつながりがあったりもするのかなというふうにも考えることもできるかなとは思います。
あとは、ちょっと別な話になりますけれども、さっき臨時観測についての体制をもうちょっと強化した方がいいのではないかというお話があったのですけれども、今、実際、私、建議の方ともちょっと絡んでいまして、そういった仕事から見ると、臨時観測については建議の方、地震・火山噴火予知研究協議会の方からも、何かあったら観測をやりますかとかという情報収集なんかをやっているので、長期的に、この後、建議がどういうふうに続いていくのか分からないのですけれども、そういったところとのつながりとか、結局参加している人たちは同じ共通だったりするところもあるので、そこを効率良くできたらいいのではないかなというふうには思いました。
あとは、長期的に見ていくという意味では、先ほど人材の話もありましたけれども、やっぱり大学と、火山ですと気象庁とか防災科学技術研究所とか、そこのつながりというのを強化して、何をやっていくのかというのをはっきりさせた上で活動していくのがいいのではないかなというふうに思いました。
以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
臨時観測については、最初のところで話題になりましたけれども、建議の方も動いていたり、いろいろ、この火山だけで動ける部分と、多分地震や地殻変動を専門にしている方と連携しておいた方がいいという分野も、そういう事象は多分非常に多いと思います。今、長野県の焼岳の近くで起きている群発地震は、地震なのか火山なのかよく分からないというような状況が続いていますけれども、そういったようなところでの臨時観測体制を作るようなことも視野に入れてもいいのかもしれないと思いました。
私のメモでは、皆さん、委員の方はお話し頂いたと思うのですが、まだの方いますか。
では、一通りご意見頂きましたけれども、まだ特定のことしか話していらっしゃらない方が多いと思いますので、まだ時間は余裕がありますから、ぜひご発言をお願いします。まだあまり大胆な意見が出ていないような印象を持ちましたが、50年、噴火予知計画から経過していますし、大きく変えるチャンスだと思って、いろんな視点でご意見を頂ければと思います。どなたかございませんでしょうか。
角野委員、お願いします。

【角野准教授】角野です。
ちょっといろいろ先ほど、例えば大学の理学系の研究者さんが割と独りでやっているというお話があって、あと、一方で、大学なのですけれども、人材が減っているという話があるのですけれども、私もそういうところにいるとひしひしと感じるのですけれども、結局、大学が独法化して、大学の裁量でいろいろ任せられるようになると、また人事が大学の中のパワーゲームになって、それで負けていくわけですね。あと、大学も予算が割ときらきらした分野にどうしても注力するので、そっち側に重点的に人が配分されて、それでもうどんどん減っていくわけです。それは理学系とかだとどこでも一緒なのですけれども、ただ、その中でうまくやっているところというと、割と寄附講座というのをちゃんと活かしているわけです。寄附講座という研究室を作って、そこでちゃんと外部資金をうまく人件費に入れながら、まず教員を雇って、その教員がいれば、その研究室を持てるから学生も入ってきて、そして学生の教育もできる。というので、だから、先ほどちょっとクロスアポイントメントという話もありましたけれども、そういう形でお金を入れて頂いて、あと気象庁との連携もありましたけれども、何かそういうところから寄附講座みたいなものを作って頂いて、兼任みたいな形で、もしかしたら、そういう省庁からの人に入ってもらって、省庁はちょっと難しいですが、研究所とかですね。国研みたいなところから入れて頂いて、そういう寄附講座を作って、それをある程度の、ちょっと長めに10年とか維持できれば、若い人にとっては、その次にステップアップする重要な時間ですから、そういう形でいろんな大学に火山関係の寄附講座を作って、もちろんそういう寄附講座はお金が出ていくこともあるから、連携もしなきゃいけないわけです。そういう形で、何かうまく地方にちゃんとあった研究室をつぶさない方向で残していく枠組ができてくるとうれしいので、例えば研究費が配分となっても、やっぱり人件費って大体ポスドク止まり。あと、3年の特任助教とか止まりで、なかなか学生までちゃんと面倒を見られるような形になってこないので、そういう意味で、そんな形も将来的にはあり得るのかなというふうに思っています。
ちょっと、ポッと出のアイデアですけれども、以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
中道委員も先ほど挙手を見ましたけれども、お願いします。

【中道委員】中道です。
角野委員の寄附講座についてと、もう一つ、大学の火山研究予算の推移についての質問がありますけれども、寄附講座につきましては、京大防災研の場合は、例えば日本気象協会や、あとは、その前は政府の研究所系の寄附講座があって、要は人事交流的に回してた部分が、今もやっている部分もあるし、5年の時限とかありますけれども、そういう工夫もありますし、京大防災研の桜島の場合ですと、ほとんど原子力規制庁のお金で別の研究領域を立ち上げて、そこに外部資金の教員を2人やったりとか、工夫の仕方はいろいろあると思いますので、それは引き続きそれぞれの機関ができるところからやっていくというのが重要だと思います。
もう一つは、これはちょっと質問ですけれども、資料2-1の大学の火山研究予算の推移ってありますね。その中で、平成26年度、平成27年度に火山だけで、これは地震にはないのですけれども、火山だけで補正というのがとてもありがたいことに付いているのですけれども、その補正で各大学がどのような整備をしたのかというのは何とか調べられないものですかね。
私のイメージとしては、そういう設備自体を、この学内資金としてやってくる整備の補助金で作った上で、それでプロジェクトを運営したり、その設備を維持したりするときに、委託資金とか、我々は受託ですけれども、そういった火山研究推進事業を回していく。そういう風に思っていますので、今回、26年、27年度で補正がどう、こういう火山プロジェクトに活かされたというところを、ちょっと見られるようになるといいなと思います。
以上です。

【上山地震火山専門官】事務局でございます。
ご質問頂いた点に関しては、グラフの元データの方を確認しないと正確な回答は難しいかと思いますので、宿題にさせて頂いて、後日委員の皆さまにお答えするという形にさせて頂ければと思います。よろしくお願い致します。

【西村主査】よろしいでしょうか、中道委員。

【中道委員】はい、よろしいです。ありがとうございます。
(後日、平成26・27年度の補正予算により、御嶽山の地震活動監視システム(名古屋大学)や桜島の観測システム・観測坑道(京都大学)等が整備された旨回答)

【西村主査】そうですね。予算は非常に重要ですけれども。
その他、ございませんか。
私は、先ほどたしか鈴木由希委員がおっしゃっていたバーチャルな組織のようなものは、この火山観測研究、あるいは火山研究を推進する上で非常に重要じゃないかと感じています。火山防災という側面だけではなくて、いろいろな研究をする上で、現在、いろんな分野が連携をしています。東北大学も、岩石と地球物理に教室がありますけれども、やはり数が限られていますし、学生から見た場合に、1研究室、あるいは2つ、3つの研究室よりも、そこから日本国内に広がっているとか、それから世界に広がっている、あるいは気象庁とか、いろんな就職先へつながっているという様子が見えると魅力的です。それから、最初に出ていた緊急観測の対応をする際にも、大学が、やはりこのまま火山研究を担う部門が1つ、2つの研究室であるということを考えると、こういった組織がないとうまく動かないのではないかと思います。そういう意味では、そういったバーチャルな組織をうまく全体で、共同で作って、魅力あるものにしていけたらいいのではないかなというのが、私自身が少し考えるところであります。
その他、何かございますでしょうか。せっかくですので、なかなかこれだけの方が集まって意見を言う機会ってありませんので、ぜひお願いします。
相澤委員、お願いします。

【相澤委員】今後の何か研究の種を考えるのが一つの課題だということですけれども、例えば、今までは諦めていた、例えば深さ5キロぐらいまでの掘削みたいなことを実際に行ったとすると、今、この火山プロジェクトで得られた知見を総合して、どういったことが掘削すると分かるか、どういったことが予想されて、どういったことが実際に掘ってみると分かるかというような、こういうことをまとめると、きれいに整理ができるのではないかなと思っています。
例えば今、経済産業省とかですと、超臨界の地熱発電のために、実際本当に4キロ、5キロ掘ることを前提として、いろいろ成果をまとめているわけですけれども、そこは地熱発電のプロジェクトなので地熱という視点しか入っていないのですけれども、それを実際に今度活火山でやってみるとどういったことか、また、いろんな研究をしている人から、どういうことを知りたいのかということを整理してまとめたらどうでしょうかという、一つ思っていたことです。
以上です。

【西村主査】ありがとうございます。
確かに、何か組織を作るとか体制を作るときには、どういう研究をするかということが前提でないと、単なる骨組みを作っただけになってしまいますので、多分皆さん、研究をいろんなところで進めていますので、何か自分のやりたい、あるいはこれからの火山研究として何が重要かということを念頭に置きながら体制を考えて頂くというのが非常に重要だと思いました。ありがとうございました。
その他、ございますでしょうか。あと5分ぐらいは時間がありますので、遠慮なさらず。
よろしいですか。
では、今回頂いた意見を踏まえて、次回以降の議論の検討する事項を多分まとめて、そちらを深掘りしていくことになると思います。ありがとうございました。
よろしいですね。皆さん、ご意見よろしいですね。

[議事3.その他]

【西村主査】では、少し時間は早いのですけれども、議事3のその他に入ります。
事務局より、今後の予定についてご説明をお願い致します。

【上山地震火山専門官】事務局の上山でございます。
当面の委員会開催についてご説明申し上げます。
第2回は6月中、第3回は7月中に会議を開催する予定です。日程が決まりましたら、皆さまにご案内差し上げます。
なお、次回の第2回会議では、本日現行プロジェクトと並行して早期に行う取組みとしてご説明させて頂いた、機動観測のあり方に関して専門家のお話を伺うことを予定しておりますので、ご承知おき願います。
こちらからは以上になります。

【西村主査】よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、本日の議論はこれまでと致したいと思います。
本日の会議の議事録については、科学技術・学術審議会測地学分科会運営規則第6条第2項により、開会から議題1の議事運営等についてまでの部分を非公開としたいと思います。よろしいでしょうか。賛成の方は挙手をお願い致します。

(全員挙手)

ありがとうございます。
では、認めて頂いたということで了解致しました。
これで閉会しますが、事務局の方、これでよろしいでしょうか。

【上山地震火山専門官】はい。閉会して頂いて大丈夫です。本日はありがとうございました。

【西村主査】では、本日はお忙しい中、ご出席ありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)