火山研究推進委員会(第2回)議事録

1.日時

令和2年6月29日(月曜日) 16時00分~18時04分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 火山研究における機動観測のあり方について
  2. その他

4.出席者

委員

西村主査、藤田主査代理、鈴木(桂)委員、市原委員、大湊委員、相澤委員、宇平委員、大倉委員、大園委員、鈴木(由)委員、角野委員、田中委員、中道委員、橋本委員

文部科学省

生川研究開発局長、工藤地震・防災研究課長、中出地震・防災研究課長補佐、上山地震火山専門官、加藤(尚)科学官、矢部学術調査官

オブザーバー

京都大学防災研究所 井口教授、東京大学地震研究所 森田教授

5.議事録

【西村主査】では、ただ今より第2回火山研究推進委員会を開催します。
会議は測地学分科会運営規則第5条により公開となります。
それでは、まず委員の追加及び出欠状況について事務局から報告してください。

-事務局から出欠状況等について説明-

[議題1.火山研究における機動観測のあり方について]

 

【西村主査】ありがとうございます。
それでは、議題1「火山研究における機動観測のあり方について」に入ります。議論に入る前に、学識経験者としてお越しいただいた先生方から話題提供いただきたいと思います。
まず、東京大学の森田先生から、我が国における火山観測研究の今後のあり方についてお話しいただきます。森田先生、よろしくお願いいたします。

【森田教授】森田でございます。きょうは事務局のほうから火山観測研究の今後のあり方についてというお題を頂きましたので、それについて特に火山観測研究5.0を目指してという題名で、私は話題提供させていただきたいと思います。
私は文科省の科学官という役職を4年間しておりました。そのとき、文科省がいろいろな学術分野を応援するということを非常にシステマティックにやっているという印象を受けました。これは学術の総合分野を分類したものですけれども、根本原理を追求するもの、そうでないもの、用途を考慮するもの、用途を考慮しないものというふうな分け方にして、それぞれ代表的な研究、量子力学のボーアは根本原理の追求。用途を余り考えない、だけれども、非常に重要な学術であるもの。
一方、細菌学の祖であるパスツールは、病気を治すという、人類の役に立つということを求めながら根本原理を追求するもの。
一方、エジソンに象徴されるようなこういう応用研究というものがあって、社会に役に立つという研究があります。
こういった分類の中で、やっぱり火山に関する研究、災害軽減に資する研究は、この中の用途を考慮するという研究になります。そして、こういった研究を応援するといったとき、いろいろな方向の学術研究があるわけですけれども、それぞれ担当分野があって、どこの課がどう応援するかということが決まっております。
そのように考えたとき、ここは地震・防災研究課が取り仕切っている会議ですから、地震・防災研究課にもできることとできないことがあると、できることを考えて議論するということが非常に有意義な議論になるだろうと思いまして、最初にこういった話をさせていただきました。
まず、やはり研究の歴史から現状を分析するということが大事だろうと思います。今の火山観測研究の歴史がどのように始まり、どうなっているのかを振り返ることが私は大事だと思っております。この図は測地学分科会で推進してきた火山観測研究の歴史です。45年前に始まり、国民の支持を受けてこれまで続けることができました。
最初に火山噴火予知連がこの建議の中で設置を答申してそれができました。それから、いろいろな大学の観測網が徐々にでき、大学の観測基盤がどんどん充実してきました。そして、それと同時に研究者や技術職員の定員も増えてきました。ところが、潮目が変わったのは2003年の国立大学の法人化ということです。これによって特に大学では観測基盤の維持が非常に困難になったということは、皆さんも日常感じられていると思います。
この歴史の中でもう一つ重要なエポックは、地震と火山の観測研究が2009年に一緒になったということと、それとほぼ時を同じくして、気象庁が噴火警報の導入を始めたということです。この2つのエポックがどう関わっているかということを述べたいと思います。
最初のエポック、大学の法人化の影響ですが、ここの上に書いてある観測設備の老朽化云々という話は、皆さん日々感じておられると思います。具体的にどうなっているかということを示すために、こういう図を持ってきました。下の左側の図は、噴火予知研究関係の予算です。これは第7次噴火予知計画のレビュー報告書より取ってきました。第7次、2004年から2008年は大学が法人化されていますから、こういった統計をとることがなかなかできなくなったということで、その後どうなったかということを見るために、一例として比較的大きな大学の研究所であるT大学のZ研究所、と言うと皆さんピンとくると思うのですけれども、そこの火山関係予算というものを示しました。例えば運営費交付金、2009年を1とすると、最近ではその6割程度になっています。
建議による研究計画の経費、これは右側の下の部分ですね、これはほぼ横ばいということで、全体として非常に研究経費が少なくなっているという状況が起こっています。同様のことが防災科学技術研究所のような元国立研究所にも起こっていると想像できるわけです。
具体的に火山観測網は今どういう状態であるかということを、私が最も知っている伊豆大島火山を実例に示しております。伊豆大島では、一番最近の噴火が1986年10月です。この噴火と書いてある大きな赤い三角のところです。その約1年前に観測所が開設されました。極めて幸運な観測所であったと言えます。幸運は続いて、噴火の6カ月前に観測点が4から7に増えました。
一番下のこれが観測点数のLOGスケールで描いた図です。それで1986年10月に噴火があったわけですけれども、その直後に皆さんの応援があって観測点がちょっと増えると。その後は研究者が自発的な努力で臨時観測をどんどん増やしてきたということです。
そうこうしているうちに、大深度観測井をはじめ非常に大きな規模の観測拠点ができたのですけれども、大深度観測井は最近では雷で機能停止しました。
結局、こうやって見てみますと、噴火直後に当時最新鋭の機器を整備しても、次の噴火のときには老朽化して十分に機能しないというのが火山観測網のひとつのさがではないかというふうに思うわけです。
それと同時に、技術職員も削減されて、なかなか観測網を維持するということが非常に難しいというのが観測の実情だろうと思います。他の火山でもほぼ同じようなことが言えるのではないかと思います。つまり、火山の噴火の周期というのは非常に長いので、観測能力のピークと現象のピークとが必ずしも一致しない。それは特に組織として確たるものがない現在の大学では、非常にそこが問題だろうというふうに私は思っております。
もう1つのエポックである地震予知計画と噴火予知計画の統合の話です。これは統合前であった第7次噴火予知計画のレビュー報告書の目次、それから統合後の地震及び火山噴火予知観測研究のレビュー報告書の目次を火山研究関係のところだけ示したものです。
ここで言えることは、統合前の噴火予知計画は火山体構造探査のような非常に基礎的な研究もありましたが、多くの成果はその時期に噴火や活発化した火山についての研究で、実は今の火山噴火予知連絡会の活動と非常によく似ています。逆にいえば、
第7次までの35年間、火山噴火予知計画を進めてきたので、その知見に基づいて気象庁が火山警報を出せるまでになったということが言えるのではないかと思います。
統合後は地震予知研究に倣って、個別の火山の研究よりも火山現象を包括的に解明する方向に舵を切ったのですが、なかなか昔からの路線の変更ができなかったというのが現状ではなかったかなと私は思っております。
それで45年前に火山噴火予知連絡会ができたわけですけれども、設置の経緯はここに書いてあるとおりです。火山噴火予知連は任務を3つ持っています。1、関係諸機関の火山研究、業務に関する情報交換、2、火山活動についての総合的判断、3、火山研究、観測体制整備のための施策の総合的な討論を行うということです。
設置時はこういうようなふうに考えて、これまでやってきたわけですけれども、近年の火山噴火予知連絡会は、このうちの任務2、火山活動評価に大きな重心が置かれていて、本来ここで今議論しているような火山研究体制の整備とか施策についての検討、すなわち任務3というのはなかなかできなくなっていると思っております。そんなわけで皆さんがこの場で議論しているということになっているというふうに思っております。
それで地震予知と統合してから10年経過して、建議による研究なのですけれども、一番最近の「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究(第2次)」の火山部会について、中道部会長がこの前の拡大計画推進部会で発表したスライドを借りてきました。こうしてみると、比較研究のウエイトが非常に大きくなっている。桜島火山、高リスク小規模噴火という火山ごとの研究もあるのですけれども、現象の解明を目指した研究の体系化への志向というのが非常に目立ってきたということになります。
ただし、下のほうに書いてありますけれども、これはボトムアップです。過去の噴火予知計画から脱皮が進んだのですけれども、ボトムアップでやるということで本当にこれを具体的に進めるにはどうしたらいいかということを考えなければいけないだろうと思います。そのために、やはり私は委託研究と建議によるボトムアップの研究をうまく組み合わせることが非常に重要だろうと思っております。
これまで火山観測研究の体制についての問題点を述べてきましたが、御嶽山で非常に多くの方が犠牲になり、国も火山防災体制を整備する必要があるということで、その直後に補助金を頂き、機動観測機器の整備を行いました。その後に次世代火山研究推進事業、いわゆる火山プロジェクトを開始することになったわけです。
火山プロジェクトを開始する前、火山研究の推進には何が必要かということを科学官の立場から私なりに考えてみました。火山観測研究のように長期に継続することが大事な研究分野では、長期的視点での研究戦略、これはボトムアップの研究でやってきたわけです。それと同時に、研究の継続を可能にする人材の育成、それから研究基盤が大事です。
そのようなことを考え、トップダウンとボトムアップ、これを両方の利点を活かしながら戦略というものを練っていく。そして人材育成コンソーシアムで人材育成も図っていくということを考えたわけです。
ただし、このときになかなか予算の性質上、研究基盤の充実ということはできませんでした。だからこれから我々が考えるべきことは、こういうふうに定常的な観測も整理統合して、機器の共有とかデータの共有を推進し、効率化を図るということを積極的にしなければいけないだろうということです。
そのためにはやはり研究戦略を考え、一元的に研究戦略を構築する組織が必要だろうということ。それから、噴火発生時には全国の火山研究者が総力を挙げて効率的に研究を推進する、そういう体制のポテンシャルを築く必要があるだろうというふうに思います。
これまで火山観測研究体制の問題点を述べてきました。ここに書いたとおりです。こんな現状を考えながら、私は随分ここのところ落ち込んでいたのですけれども、火山観測研究をどうすればいいのかというのを、私なりにコロナウイルスの蔓延によって在宅勤務する期間に考えてみたということを今日ご紹介したいと思います。
思いついた解決の方向性、2つ言います。1つのヒントは、コロナ禍の東京大学総長のメッセージにあったSociety5.0ということです。もう1つは内閣府の火山研究連携機構(仮称)についての構想です。
これは東京大学の総長がコロナウイルスの感染拡大によって、全教職員、学生に送ったメッセージです。長いのですけれども、私の気を引いたところを吹き出しにしました。1つは、コロナ禍をチャンスと捉え、新たな世界をつくりましょう、社会をつくりましょうということ。また、コロナ禍により社会が目指すSociety5.0への転換を知らず知らずのうちに私たちは今やっているのですよということ。最後に、コロナ禍が終われば新しい明るい未来が待っているという非常に前向きのメッセージです。
では、Society5.0って何なのかというのは、私は知りませんので、ネットで調べたということなのですけれども、要するに何かというと、今、日本がいろいろな分野で抱えている停滞や社会的課題を大容量通信、ビッグデータ、人工知能を活用して、リアルとバーチャルの世界の融合で解決しましょうというようなことのようです。
非常に興味を持ったのは、人間社会をSociety1.0、2.0、3.0、4.0、5.0といって、それぞれ1つずつ上に進むのに何が必要かということを分析しているという点です。これを火山観測に当てはめたということです。
そういうことで、「目指せ火山観測研究5.0」ということを考えました。まずSociety1.0というのは、多分「観象」、つまり火山を見るところから始まったのだろうと。次は火山観測所を造る。これは農業で畑を作るに対応するだろうと思います。そしてSociety3.0。これが、今我々が持っている火山観測網というものであろうと。そしてSociety4.0は、データの流通ということで、JVDNがようやくこの火山プロジェクトで整備されてきました。
これから何が目標になるかというと、そういった多量のデータを同化し、防災への応用ということが非常に重要だろうということになうと思います。今の我々の時代というのは、気象庁の観測網が充実したというのが大きな特徴だと思うのです。それによってデータが非常に多くなったので、JVDN、このデータベースへのサプライチェーンをどんどん強化する時代だろうということ。それから、大学の研究・観測というのは、付加価値の高い観測にシフトすべきだろうと思います。それで大規模なデータ流通ができれば、それが大きなデータになって、新たな社会へつながるということに行くだろうというふうに考えたわけです。我々の観測網については、工場の統合に象徴されるような観測網を全体としてうまくバランス良く動かすという仕組みが必要だろうというふうに私は思っております。
もう1つの方向というのは、火山防災研究連携機構(連携体)というものです。これは御嶽山以降、活火山法が改正され、各火山に設置されることになった火山防災協議会に火山専門家が参画するということが法律で決められました。そこでそういう状況を考えて、責任官庁である内閣府で、あるべき火山防災体制について議論しました。
左上にある3つのポイントを指摘します。「火山監視に最新の成果を取り入れやすい体制」それから、「火山専門家の持続的な確保、育成」、それから「充実した観測体制の下、先端的な基礎研究の推進」というもので、これをするにはどうしたらいいかというため、いろいろな議論をした結果、そこで出てきた結論は、5年程度で既存の研究機関が連携を強めて、火山防災研究連携体を形成して、火山防災に関わる研究者の分野間バランス、年齢構成のバランスの問題の解決を目指す、それから新たな研究分野の創生を目指すべきであるというようなことを報告しております。
さらに、ここの火山防災研究連携体というものは、将来的にいえば国立、今では国立という言葉を使わないかもしれませんけれども、国立火山防災研究所というような大きな組織、大きな関連分野をカバーするような、大きな研究機関に発展することが必要であるというふうに提言しております。こういうものを実現するにはどうしたらいいかということを考えるべきだろうというふうに私は思っております。
諸外国では既にそのような体制ができていて、その中で火山防災研究に取り組んでいます。これは2018年にハワイで大規模な噴火が発生して、USGSが非常に防災対策上も学術上も目覚ましい成果を上げました。それを紹介したアメリカの科学雑誌「サイエンス」に載った記事をコピーしてきました。USGSという組織は、イタリアのINGVと同様、極めて学術水準あるいは専門性の高い行政機関です。行政機関としてのメリット、それから研究者が多く在籍するという研究機関としての側面、この2つの長所をうまく利用して、すばらしい成果を上げたということです。
それに比べ日本は、火山防災に対してはいろいろな研究機関が並立したままです。ですから、先に述べたような火山防災研究連携体のようなものの構築を早急にすべきであるという議論が出てくるわけでございます。
もう一例、外国の例を挙げます。これはEU諸国がEUの予算を使って実施したハザードリサーチプログラムであるFUTUREVOLCについて示した「サイエンス」の記事です。この研究は、ここで書いてあるように26の研究機関が参加して、アイスランドの主な右側の太い字で書いてあります、バルダラブンガ、グリムスボトン、アスキャ、ヘキア、カトラ、エイヤフィヤトラヨークトルの5つの火山でハザードを研究しようということで、3.5年の計画で実施されました。非常に機会に恵まれて、最後の年にバルダラブンガ火山が噴火して、非常に大きな現象が起こりました。そこでは火口陥入が起こり、大規模なダイクの貫入、マグマの噴出が起こりということで、非常におもしろい結果がどんどん出てきました。これは今後も火山研究の論文としていっぱい成果が出てくると思います。このような大きな火山研究ができる体制をつくるということが極めて重要だろうというふうに示しております。
これまで示してきたように、噴火時には非常に大きな観測研究をする必要があります。そういった仕組みをつくる必要があるのですけれども、そのためには普段からの組織的な研究が必須で、普段から何をすべきか、ということを書いたものがここです。この白い丸で掲げた3つのようなものが多分考えられるだろうということを例として挙げました。
これらは(火山観測5.0に当てはめると)観測システムの高度化、つまり高度工業化に相当し、つまり工場の統合のような仕組みが重要で、やはり私は個人商店から企業体、企業体というのは永続できる組織体、つまり、特定の個人に依存し過ぎない、誰かがいなくなったらそれが継続できないというようなものではやっぱりだめだろうというふうに思っております。
それでここに書いたように、噴火のとき研究成果を狙うといっても、噴火というのは頻度が少ないですから、普段からの活動が大事です。じゃ、普段何をすればいいかということですけれども、これは皆さんが独自に考えてほしいことですが、私の視点から例を述べたいと思います。これはあくまでも個人的な構想ですので、これを認めろという話ではございません。どんどん批判してもらってもいいですし、皆様自身が自分はこんな考えを持っているということでもいいと思います。
先ほど中道部会長が、比較研究が大事だということを言われました。確かに私もそう思いますから、比較研究ということをもっと系統的にするということだと思います。比較研究って何かというと、類似点と相違点に注目する。つまり、類似点と相違点から標準モデルをつくることだろうというふうに私は思います。
火山プロジェクトの課題B、サブテーマ4の中間評価では、私はこれまでの成果として、水蒸気噴火準備過程の標準モデルの提案ということがこのプロジェクトでできたのではないかということを報告いたしました。これは、ここの赤い枠で書かれてあるように、まず構造としての共通性が見えた。これは主に霧島山硫黄山の下で非常に低比抵抗の粘土層と思われるキャップロックが非常に発達しているという特徴が見えたということ。こういったものというのは、箱根火山でも弥陀ヶ原でも共通に見られるじゃないかということ。
それから、活動の直前には徐々に深部でマグマの供給、つまり、広域の地殻変動があり、浅部の地震活動の活発化、噴気・火山ガスの発生、それから浅部での増圧、局所的な地盤変動、こういうプロセスを経て、基本的には水蒸気噴火に至っているのだろうという標準モデルというものを提唱しているわけです。
でも、一方で研究していくと、なかなか低比抵抗層というのが粘土層だけとは限らないよという話になってきて、私はこれを一歩進めるには、同程度の分解能で別のパラメーターである地震波速度分布の推定というものを行い、比抵抗と比較するということが大事だと思います。
それはこうすればできるという話として、稠密に置いた地震計を用いてAmbient Noiseの解析によってある程度分かるのではないかということを示したのですけれども、これは2009年に伊豆大島で構造探査をしたとき、たまたま3日間程とったデータでノイズを解析したら、非常に浅いところではありますが構造が見えたと。これを深い領域に延ばすためには何かというと、低い周波数帯域までちゃんと記録をとらなければいけない。最近はそういったことができる地震計も相当安くできるようになって、非常に多数の地震計をこういった配置で使えるようになってきたということから、私はこういったことでこの問題というのは解決できるのではないかというふうに期待しております。
最後のスライドです。今ここで示したのが、今日のお話をまとめたものがここに書いてあるとおりです。私が言いたかったことは、これまで観測網の構築、下半分ですね、学術を我々大学及び研究機関はリードしてきたのですけれども、気象庁の観測網の整備が進んだので、将来の火山観測研究の高度化に資するような新たな学術を創出する方向に転換すべき時期に来ていると。そのときには単独機関で実施困難な点も多いので、やっぱり緩やかな組織の連携ということを考えなければいけないだろうというふうに思っております。そのためにはそれを支える体制とか、組織的な仕組み、体制というものが必要だろうということだろうと思います。
以上で私の話を終わります。

【西村主査】はい、ありがとうございました。只今の森田先生の話題提供についてご質問はございますでしょうか。挙手をしていただければ助かります。非常に盛りだくさんな内容をコンパクトにまとめていただきましたけれども。
私から1つお伺いしたいのですけれども、Society5.0の話で、4.0までが火山で進んでいるというところで、火山に関してデータベースがかなりできてきたということでまとめられていたと思います。Society5.0はキーワードを見るとデータ同化、防災への応用とあるのですけれども、この辺りの見通しというのですかね、難しさや面白さとかどういうふうにお考えなのでしょうか。

【森田教授】これは私が言うべきことなのか、皆さんが考えていくことなのか、正直な話よく分からないと思うのです。5.0に行くところ、その絵を出していただけるとありがたいのですけれども、基本的にやはり予測ということを考えるといったときには、精緻なモデルをつくらなければいけないだろうと思います。そのため、定量的モデルをつくらなければいけないだろうと。定量的モデルという前に、まずやっぱり定性的なモデルをつくらなければいけない。
そういう意味で、今、中道部会長がおっしゃられているように、比較研究で共通する項目と違う項目を見つけるというところから、少しずつ定性的なモデルが解明されていくと、それが定量的モデルに発展するではないかというふうに私はぼんやりと考えていますけれども、それは皆さんの双肩にかかっていると私は思っております。以上です。

【西村主査】分かりました。ありがとうございます。
その他どなたか。角野委員、お願いいたします。

【角野委員】東京大学の角野です。森田先生、今の話のかなり最初のほうですけれども、整備したと思ったら、その後しばらくたって、10年か20年たって老朽化するというお話がありましたけれども、そのときに見ているものは変わっていないのですかね。つまり、装置が老朽化するのは分かるのですけれども、見ているパラメーターというか、観測している項目は変わっていないわけですか。

【森田教授】変わっていないものが非常に多いのは事実です。変わっていないものもあれば、新たに取り組んでいるものもあるというのが実際です。

【角野委員】質問の意図としては、要するにこれは惑星探査とよく似ていて、惑星探査って探査機を飛ばしてから10年、20年後でようやくデータが出るのですよ。そうしたら、10年か20年前につくったものを今使おうとしているわけですね。だから、何か整備するときに項目は10年後、20年後でも大事になるものはちゃんと決めておいて、それで飛ばして、そのときに飛ばした当初はすごく性能のとにかくstate-of-the-artのものを飛ばして、20年後に使っても地上で行うこととそんなに遜色がないデータが採れるようにつくっているのですね。
だから結局、どういう項目をどれだけ測り続ければいいのかということをすごくきっちり決めるということと、測るデータの精度がもしかしたら変わったりとか、装置が更新して安くなったりとか、そういうことはあるかもしれないけれども、結局データの質もできればそれほど変わらないでやっていかないと、連続観測のデータは比較できないですよね。
お聞きしたかったのは、項目がどのくらいその当時のものが生きているのかという話だったので、今お聞きした限りだと新しく変わったものもあれば変わっていないものもあるということなので、変わらないものをどれだけちゃんときっちり議論して見据えていくかというのが多分大事なのかなと思いました。

【森田教授】ありがとうございます。例えば地震観測なんていうものはずっと変わらずにやっておりまして、ただA/Dコンバーターの性能が良くなるとか、品質は良くなっているけれども、結局は観測点が徐々に壊れて減ってくるだとかそういうことがあります。
それ以外、例えば土壌ガスの連続観測をつい2年ぐらい前に始めたりとか、アクティブな電気伝導度を測ったりというようなことをこの86年の噴火時にはしていなかったことを今はしておるというようなこととか、新しいことも加えつつも、古いことも続けているというのが実態です。
地盤変動にしても、基本的には昔は光波測距儀で測っていたものが、今はGPSになり、GPSも維持が大変だから、最近は衛星によるSAR観測になるだろうということで、測っている項目は余り変わらないけれども、測っている方法は徐々に進化しているというのも多分あると思います。これで説明になっていますでしょうか。

【角野委員】はい、分かりました。ありがとうございました。

【西村主査】はい、ありがとうございました。その他ご質問ございますでしょうか。橋本委員、お願いいたします。

【橋本委員】橋本です。今の話に関連してなのですけれども、同じ項目を長期間測り続けているというのは、特に気象庁なんかもそうですし、大学でもそういったところが結構あるとは思うのですけれども、恐らく森田先生の指摘された問題の本質というのは、機器の老朽化そのものというよりも、むしろ老朽化したときにそれを更新するための予算が付かなくなっているということであるとか、あるいはそのためのマンパワーが非常に限られているということであって、きちんとそういうところがもしできるのであれば、老朽化しても随時更新していけばいいだけの話なので、そこは余り問題では恐らくなくて、持続していくことが非常に難しいというところのほうが問題だろうと私は思っています。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。よろしいでしょうか。森田先生がいろいろな話題を提供していただきましたので、この後井口先生のお話の後に、総合的に討論しますけれども、森田先生のこういうお話を下に、また問題点を指摘して、今後の観測体制、あるいは研究体制を考えていただければと思います。
では、時間も経過していますので、井口先生から海外火山研究機関との協力体制の構築についてお話しいただきます。井口先生、よろしくお願いいたします。

【井口教授】井口です。私のほうから簡単にご説明します。国際的な共同研究をどのようにして行っていくかという話です。内容的には、先ほど森田先生が言われたこととかぶるところも非常にたくさんあります。
私がやってきたのはほとんどインドネシアなので、インドネシアの話をします。それで、火山活動については、やはりインドネシアのほうがはるかに活発なので、待っていても噴火しなければ噴くところに行けばいいだけの話なので。例えば2010年来、最近10年だけでもやっぱりインドネシアだと、そこに書いてあるメラピ、ケルート、シナブン、クラカタウですね、こういうふうに日本でいえばVEI4級の噴火が10年のうちに4つも5つも起きている。だから、非常に適したフィールドであるということです。
今日は主に今までの経験の話をしてくれと言われたので、ほとんど昔話をします。それで、私がここ30年の間にどういうふうにインドネシアと国際共同研究をやってきたかということですね。過去の時代、60年から80年代では、日本の研究者もインドネシアに行ってなかったわけではなくて、例えば水上先生であるとか、下鶴先生、横山先生、みんな偉い先生ばかりですけれども、インドネシアに行っています。ただし、これはプロジェクトのときに短期間で行っているだけで、プロジェクトが終わればこれで終わりになっているわけですね。そこでインドネシア側から言われたのは、長期的な学術交流、そして人材育成も目指してやってくれということで、それを続けてきたわけであります。
ここに書いているのは、私がここ30年ぐらいの間にやってきたことなのですけれども、これを3期ぐらいに分けて話をしていきます。
まず第1期は、一番きっかけになったのは、中曽根内閣の頃だと思うのですけれども、国連が国際防災10年というのを提唱しまして、世界中で災害のない10年にしようということで、世界中でプロジェクトが動きました。日本でも文部省が中心となって、国際防災10年(IDNDR)特別事業を京都大学防災研に付けてくれまして、アジアを中心とした共同研究を始めたわけであります。こういうものがありますと、非常に観測網の整備であるとか、交流というのは一挙に進むので、これは基盤をつくるのに非常に役に立ったわけであります。
それから、2番目、JICAの技術協力プロジェクト、これはバンドン盆地の地震観測システムを構築してくれという話がありまして、そしてやりました。これは数年にわたってやったのですけれども、やはり国際共同研究を続けるに当たっては、JICAの技術協力プロジェクトというのは非常に役に立つ。やはりお金のバックグラウンドが全然違うので、こういうものも役に立つということですね。
それから3番目です。最近はほとんど競争的外部資金の獲得によるプロジェクトの実施でありまして、代表的なものはSATREPSです。2008年から2012年は、東京大学の佐竹先生が代表者で、地震火山の防災策ということでやりました。そして2013年から2018年にかけては、火山噴出物の放出による災害の軽減に関する研究ということで、私が代表者でSATREPSをやりました。
それで、これは18年で終わったのですけれども、そこから後はJ-RAPIDのインドネシア・スンダ海峡のやつとか、それから持続可能開発目標達成支援事業、これは今年度ですけれども、これをやっているのですけれども、いずれにしても最近は外部資金をとにかく取ってこないと、プロジェクトも立てられないということで、いかに外部資金を取ってくるかということがポイントになってきています。
こういうような幾つかのプロジェクトが走っている間に、やっぱり人材育成というのはそれなりに進んできて、1つはやっぱり国費留学生の問題、それからJICAの集団研修というのが10年以上にわたって続いたのですけれども、これが相手方と関係を構築するのに非常に役に立ったというふうに思います。もちろんSATREPSが走っていますと、短期研修とか長期研修がありますので、人材育成には非常に資することができます。
こういうようなプロジェクトの特徴として、私がやってきたのははっきり言って理学研究というよりも、むしろ最近は防災研究、災害予測までいかにパッケージ化して、それを見える格好にするかというところで、プロジェクトをつくってきました。
それで、国際共同研究の最大の目標というのは、日本の研究を要するに海外に拡張することによって、最終的には日本の火山災害軽減の研究にフィードバックするというのが一番のポイントになってきますので、それをやってきたということです。
しかし、そうはいいながら、国際共同研究は非常に面倒くさいことがたくさんあります。ここで代表的なものは幾つか書いてありますけれども、通関の問題で、1つは安全保障の問題です。
それから、関税の問題です。関税の問題については、インドネシアの大蔵省を改正して、京都大学は関税を免除してもらうようにしました。
それから、安全保障は最近、大学は非常にうるさいので、これを必ずやらないといけない。
それから、最近うるさくなったのは、インドネシアにおいてはリサーチパーミットを取らないと、要するに研究を進めることができないということですね。SATREPSのときはJICAが要するにリサーチではなくて技プロであると頑なに固持してくれたので、我々はリサーチパーミットを取る必要はなかったのですが、一般的に研究ということでいけば、リサーチパーミットをちゃんと取らないと、下手に野外調査でもやると、罰則規定で罰金とか禁錮刑に処せられるということであります。
それから学術交流協定ですけれども、実際に30年以上続けてきてはいるのですけれども、やはり協定そのものも定期的にアップデートしていって、延長する必要があります。これも非常に労力がかかるわけですね。
それから、もちろん観測網の設置が大変なのではなくて、むしろ要するにそれをいかに維持していくかということですね。日本ですら結構大変なのに、海外の場合はさらに大変になってくるということです。ですから、メンテナンスの部分をいかにやっていくかというのが最大のポイントになってくると思っています。
SATREPSなのですけれども、SATREPSの場合、これはいわゆる理学的な研究、例えば噴火シナリオを構築するに当たって噴火事象系統樹をつくって、それを火山観測データとコンバインすることによって噴出率を求め、そしてそれをシミュレーターに入れることによってハザードを予測するという仕組みで、特にSATREPSにおいては防災分野でやっていますので、防災ということを意識して、要するに理学のところで止まっていたら、SATREPSなんて取れるわけがないので、これをいかに防災につなげていくかという仕組みが大事だということです。
その中でやはり今までの経験ということでいうと、私が一番印象に残っているのは、やっぱり2010年のメラピ火山の噴火のときに、国際緊急援助隊として派遣されたときのことです。これが非常に参考になると思っていて、2010年のメラピ火山の噴火というのは、VEI4で140年ぶりの大規模な噴火であったわけですね。従来は溶岩ドームが崩落することによって、崩落型の火砕流が起きていたのですけれども、崩れるだけではなくて、噴火過程も非常に複雑でありましたし、それから最大で火砕流が17キロ、警戒区域については20キロで、避難民41万人という非常に大きな災害になったので、当時のインドネシアのユドヨノ大統領が日米の研究者を派遣しろというふうに言い出しまして、それで実際に東京のインドネシア大使から派遣要請が来たわけでありますけれども、こういうふうな経緯で、インドネシアからの直接的な要請だったのですけれども、日本政府はこれを国際緊急援助隊としてくれたわけであります。
それで、1つこういうことで思ったのは、やっぱりインドネシア政府から直接の要請があるということは、長年の信頼関係が構築されていることの証しでありまして、やはり長期にわたる信頼関係をつくっていくのが非常に大事であるということを痛感しました。
それもう1つは、こういうクライシスの現場においても、火山学的な知見がやっぱりいまだに必要とされているということですね。これは要するにインドネシアだけではなくて、日本でも全く同じなのですけれども、やはり火山学の知見というのは、クライシスになればなるほど必要とされているということですね。
それから、20年以上の共同研究がこういう火山活動の評価を可能とした。つまり、突発的に飛び出していっても、今までの積み上げがないと火山活動の評価なんてできるはずがないので、やはり長期に付けるということは非常に意味があるわけですね。
ここのところで問題点は、1つはそういう要請があったのですけれども、緊急的に持ち出す機材がほとんどなかったということですね。それから長期的に滞在することの困難さであったと。つまり私は1週間しか行けなかったので、とてもじゃないが、長期に行くことができなかったわけですね。
これは何に対してそう言っているかというと、アメリカです。アメリカは当然、VDAPを使ってインドネシアに乗り込んでくるので、彼らは組織として来ることができます。当然緊急的に持ち出す機材もありますし、要するに緊急的にそういうところに行くのがVDAPの仕事なので、彼らは通常の業務としてこれをやることができるわけであります。我々大学の研究者のように、片手間にこういうことをやっているのとは全く訳が違うわけですね。これが非常に大きな違いです。
一方、このとき佐竹先生のSATREPSが走っていたので、やはりSATREPSが走っていたということは、プロジェクトが走っているということは非常に重要で、その後の機材調達が非常に迅速に行えて、12月にはメラピにGNSSの連続観測網をつくることができたというわけですね。つまり、予算的なバックグラウンドをちゃんと持っておれば、そのときには機材がなくても、その後、すぐに新たな展開をすることが可能であったということですね。これは重要な点です。
それからもう1つお話ししておきたいのは、関係の構築の意味からいうと、アジア火山学コンソーシアムです。これは2013年にIAVCEIを鹿児島でやったのですけれども、やはりそのときにアジアから多くの火山研究者が日本に来ました。これは地理的に近かったということが最大のメリットだったと思うのですけれども、この機会を使いまして、アジア火山学コンソーシアムというものを2015年に設立しました。アジア火山学コンソーシアムに実際に入っているのは、コアグループとして日本、フィリピン、インドネシア、シンガポールです。それ以外に中国、韓国、台湾、パプアニューギニアも入れたいとは思っているのですが、まだ実現していないですけれども、こういう7カ国が連携してコンソーシアムをつくったわけであります。
ここのところでやりたいことは、先ほど森田先生も言っておられましたけれども、比較研究です。海外と連携してやれば、比較研究の幅が一挙に広がるわけですね。
それからもう1つは、若手の育成です。やはり私の経験からすると、やっぱり若い頃から海外と一緒にやってくると、先々非常に長いこと連携関係をつくることができるので、これが後々役に立つということですね。
それから、最後の共同研究のプロジェクトの立案というやつはぜひやりたいのですが、実際にはまだできていません。けれども、いずれにしても共同研究のプロジェクトの立案というのを今後やっていって、アジア地域全体で火山科学の継続的発展を目指すべきだろうというふうに思っております。
これは実際アジア火山学コンソーシアムでやって、ほとんどできているのはフィールドキャンプだけです。これは藤田さんが非常に熱心にやってくれて、ここまで4回にわたってできています。これはそれなりの数の参加者が来ているので、この間の連携というのはそれなりにちゃんと進められてきているというふうに思っています。フィールドキャンプというのは、ACVにおける非常に重要な事業でして、これがあれば連携関係を長期にわたってつくっていくことができるだろうということです。
これが最後ですけれども、簡単にまとめさせていただきますけれども、やっぱり当面の課題として海外競争の激化ですね。特にインドネシアにおいては、例えばEUであるとか、アメリカはVDAPを持っていますので、当然入ってくるということですね。そういうところのある意味競争関係が非常に激しくなっているのですけれども、これをむしろ協力関係の構築として、例えばEUのDoMerapiプロジェクトについては、データ交換をSATREPSの間でやっていますので、こういうふうにしてうまくやっていくというのは可能だろうというふうに思います。
それから一番問題は、やっぱり派遣するスタッフがいないということですね。海外の人材を使っていくというのが1つの方策だろうと思いますし、当然日本の若手研究者のモチベーションをいかに上げていって、長期派遣ができるような仕組みをちゃんとつくっていく必要があるというふうに思います。
それから、特にアジア地域をターゲットとして考えるのであれば、やっぱりACVをもっとうまく活用して、お互いにある意味Win-Winの関係がつくれるようなことを考えていかないといけないということだと思います。
それで、やっぱり私が思うには、長期に継続するというのが一番大事で、長期の継続、これは日本においても結局同じことなのですけれども、やはりいざというときには役に立たないし、そのためには相手方と信頼関係をいかに構築していくかというのがポイントだろうということだと思っています。信頼関係のバックグラウンドとしては、ACVというのは非常に大事だというふうに思っております。
こういうことを実際にやろうと思うと、先ほど問題点として挙げさせていただいた非常に煩雑な事務手続、通関の問題であるとか、共同研究の問題とか、リサーチパーミットなど、非常に書類は多いです。そういうようなことをやりながら全部やろうと思うと、組織化せざるを得ない。つまり、国際対応を専門とする組織がないと、今後長期にやっていくというのはほとんど不可能ではないかなというふうに思います。
私は2010年のメラピ火山の噴火のときに、インドネシアの大使が明日来てくれと言ったので行きましたけれども、アメリカはそれから2日ぐらい遅れて来たわけですね。私がやったということは、昔の太平洋戦争の時代の日本軍と一緒で、動きは速いのだけれども、やっぱり物がないということだというふうに私は思いました。以上でございます。

【西村主査】井口先生、ありがとうございました。今の井口先生の話題提供についてご質問ございましたらお願いします。角野委員、お願いします。

【角野委員】東京大学の角野です。ありがとうございます。先ほどメラピの件で、アメリカも来ていたという話を伺いましたけれども、このときは、アメリカは遅く来たという話でしたけれども、お互いに何と何を測って、何と何をすみ分けるというか、そういうような構想というのはできていたのですか。観測項目のすり合わせというのですかね。

【井口教授】観測項目のすり合わせはできていないですね。それぞれのところでとにかくすぐ緊急的に来てくれというふうに言われているので、それは事前の打ち合わせというのは全然できていないです。結果的にはうまくすみ分けはできていますけれども、その点については特に問題はなかったですね。

【角野委員】なるほど、分かりました。
先ほど最後のほうで競争が起こっているというお話でしたけれども、そこもかぶってしまっているということってあるのですか。

【井口教授】実は、この辺はインドネシアが非常にうまくやっています。というのは、インドネシアというのはスマトラからジャワ、それからヌサ・テンガラ、あるいはスラウェシとか、大体4つぐらいの地域に分けられるのですね。相手方自体がどの地域は日本にやらせる、どの地域はアメリカにやらせるとか、そういうふうに分けているのですよ。相手方自体がそこのところでうまくやっているので、多くの場合、そこのところでコンフリクトしてくることはなくて、むしろ共同的にやっている場合が多いです。

ただし、コンフリクトしてくる可能性があるのは、やはりメラピです。アクセスが良くて、それで活動度が高いところには世界中で誰でも行きたがるので、そこのところではうまく調整していかないと、利害関係が生じるというわけですね。
それが生じる可能性があったのは、EUのDoMerapiプロジェクトで、向こうもGNSSを後から持ってきているので、コンフリクトしているわけです。そこのところは仕方がないから、要するにデータ交換でお互いにそれぞれ4点、5点で合わせても、両方合わせてデータ交換すれば9点のGNSSの観測網ができるので、そうするとそういうふうにしてうまくやりましょうということで話をつけています。
他のところもクラカタウも1つ問題になっていて、シンガポールのEOSがインフラサウンドの観測網をつくりたいといって、実はこっちのほうが先に言っていたんですが、それもデータ交換をするということで話をまとめました。ですから、国際もほとんどデータ交換をやりながら行わざるを得ない、そういう時代かなとは思っています。

【角野委員】分かりました。ありがとうございます。

【西村主査】その他ございますでしょうか。
私から1つよろしいでしょうか。共同研究を進める上で、相手方との協力関係が事前になければいけないというのはそれなりに理解しているのですが、京都大学は非常に古くから実施されていて、資料によると60年から80年代から少し研究者が入って、京都大学が締結をきちんとしてから非常に活発になったというのは分かります。
USGSとかEUなどは、どういうコネクションで向こうと共同研究というか臨時観測に入ってきているのでしょうか。

【井口教授】その辺の事情は完全に理解しているわけではないのですけれども、やはりUSGSについては完全に国と国の問題だと思いますね。それは向こうの政府と、それから省庁関係で協定を結んでいますので、国策としてそこのところで入れるということですね。
例えば大学の研究者だと、今ほとんど日本の国策としてそこに入っていくということが非常に難しいですよね。大学の研究者同士でやる分にはいいのでしょうけれども、それが非常に難しくなっているというふうに私は思っています。
それからフランスについては、非常に長い歴史を持っていて、多分1980年代からインドネシアの留学生をフランスで学位を取らせて、それを返しているというのが、非常にメリットがあると思っています。
私も実はそれを大分長いことやってきて、インドネシアからの留学生を呼んで、それでそれを返せばだんだん偉くなっていきますので、向こうと話が非常に進めやすくなってくるということですね。
今留学生が余り来なくなっているのですけれども、来なくなっているというのは、要するに日本への留学生の壁が非常に厚いのですね。もしこれをうまくやるとしたら、我々自体が相手国の留学生、要するに人質をとるようなものですけれども、いかに日本で教育していくか。教育する資金を含めてそれをやっていけば、うまく行くのだろうと思います。
昔は国費留学生も割と通っていたのですけれども、最近は、国費留学生は非常に難しいです。SATREPSはSATREPSのプロジェクトの中で長期研修として相手国の研究者を自分達の経費で呼ぶことができるので、そういうプロジェクトの中で研修生として長期にわたって呼べるような経費があれば、これをうまく使えるのではないかというふうに思います。

【西村主査】ありがとうございます。人と国策としてある程度大きな国の枠が必要ということでしょうかね。私もすごく昔ですけれども、アフリカのザイールで始まったのはJICAがきっかけだと聞いていましたので、そういうところでしょうか。3つぐらいでしょうか。

【井口教授】JICAを使えば国と国の約束みたいなものなので、そういうものはやっぱり安定していますよね。大学と大学でやると結構不安定になってしまうので、それこそある先生が辞めたらそれは終わりですみたいな感じになってしまうので、やはり国のある機関が代表機関みたいなものになって、国策として乗り込んでいくのがいいのではないかなというふうに思います。

【西村主査】ありがとうございました。他にございますでしょうか。宇平委員、お願いいたします。

【宇平委員】今の井口先生のお話に関連して、2002年に国際緊急援助隊の話があって、吉本さん(現山梨県富士山科学研究所)と高木さん(現気象庁)と一緒に行ったということがありまして、これは全くJICAベースの話だったのですね。これはパゴ火山が噴火したときに、パプアニューギニア政府から派遣要請があったということなのですけれども、ご存じの方はご存じだと思いますけれども、非常に治安が悪いところなので、なかなか陸路でアクセスできないのですよ。JICAのプロジェクトになったので、ヘリを使うことができて、地震計1セットと赤外カメラを持っていっただけなのですけれども、それでもそれなりの評価ができたという、極めて運のいい例だったのですけれども。
結局、JICAとの関係をいつも持っているような仕組みが必要かなと思いますし、これはたまたま話があったというだけじゃなくて、もともとはJames Moriさんがパプアニューギニアに入ってやっていたという素地があります。結局、リサーチサイドだけ頑張るのではなくて、マネジメントレベルでもJICAとの交流を推進すべきではないか、というふうに思います。

【井口教授】それはそのとおりで、メラピが噴火したときはSATREPSが動いていたので、SATREPSはJSTとJICAが同時に動いているので、要するにそういうのがバックグラウンドにあったということですね。
実際にはJICAが要請してきたわけではなくて、相手国が直接要請してきたので、さらにスムーズに行ったということです。

【西村主査】よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、時間も大分過ぎましたので、次に議題1の全体を通じまして、火山研究推進委員会の今後の検討事項について、自由に意見交換をお願いしたいと思いますが、まず事務局の工藤課長からご説明をお願いしたいと思います。

【工藤地震・防災研究課長】工藤でございます。今お示ししている資料は、前回のこの委員会、第1回で事務局のほうからご提案させていただいている火山研究推進委員会、この委員会の検討事項のたたき台のスライドでございます。
これをリマインドさせていただいている趣旨といたしましては、本日、森田先生、井口先生にお越しいただいて、それぞれ研究の課題になっていること、国際研究の課題になっていることについてご紹介いただいたのですけれども、我々の今の認識としましては、その中にも長期的な課題、すなわち今火山プロジェクトでおのおの取り組んでいる課題というのがございまして、これが終わるまでに5年間あります。5年間かけて火山研究をどうしていくのかということをお考えいただきたいというのが上段の四角に入っているものです。
他方、この5年間を待つというわけではなくて、今から行うことによって現行プロジェクトをより良くしていく、なるべく早期にプロジェクトを補完する取り組みというのを下の段のほうにご紹介させていただいております。
今回、この委員会の先生方にお願いしたいのは、特に下段について、この中には先ほど来ご議論いただいている定時観測や臨時観測、特に国際共同研究も入っているのですけれども、次回ぐらいには事務局にて先生方からご意見いただいたものを早期に取り組むべき提言案という形で取りまとめをさせていただきたいと考えております。
従いまして、この後ご議論いただくときに、ぜひ早期にプロジェクトを補完する取り組みという点を中心に、こんなことをやっていったらいいのではないか。特に機動観測に関してご提案を先生方からお考えが頂ければと存じております。
私の方からは以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。前回は抽象的な取り組みとか、それから今お話があった短期的な話ということを自由に討議していただきましたけれども、今回は短期に具体的に機動観測とか国際性といった言葉でしょうか。そういうものを火山研究として推進するべき、していったらいいというようなアイデアを頂きたいということと理解しました。
皆さんから今日ここでいろいろな意見を頂いて、次回、7月21日に会議があると思いますけれども、そこに事務局として案が出てくると思いますので、それに有効なご意見を出していただければと思います。
では、あと40分程度あると思いますけれども、ご発言お願いしたいと思います。挙手をお願いします。
考える時間が必要でしょうから、例えばここに出ているキーワードでいくと、機動観測と国際性という話をしましたが、一番下の欄には火山内部の構造や状態についての科学的知見を得るための調査研究というキーワードもあります。私が察するに、機動観測って噴火のときに起きて観測するということはもちろんなのですけれども、機動観測のようなものだけで1年間実施できるわけではございませんし、噴火だけのときに機動観測が動くわけではなくて、普段からなにがしかの観測をしていないと、いざとなったときに機動観測ができないわけです。噴火を捉えるときだけではなくて、これからより良い噴火時の対応ができるような観測研究とか、そういうような提案も頂ければと思います。
田中委員、お願いします。

【田中委員】産業技術総合研究所の田中と申します。短期的ということで、具体性がある話でないといけないと言われると、なかなか皆さん発言できないのかなと思って、荒唐無稽とまでは言いませんけれども、余り現実味がないかもしれない話をさせていただきたいと思います。
井口先生にしても、森田先生にしても、おっしゃることは非常にごもっともで、皆さん常々感じられていることが多いのだと思います。でも、基本的にこれらってやっぱり財源がなんといっても重要で、先立つものがないとなかなか続けられない。人を構築する、井口先生特におっしゃっていましたけれども、相手の信頼関係というのは1日、2日でできるものではなくて、やっぱり長年の積み重ねというのがすごくきいてくると思うのですよね。それをするにはもちろん長期的にするということもあるのだけれども、やはり先立つものが重要になってくるというふうに思っています。
そういうことを考えたときに、やっぱりオールジャパンでそういうバーチャルでもいいから組織を考える、あるいは予算のバックグラウンドを考えるということも、この委員会で考えるのでしょうか。意見というよりも質問に近いのですけれども、そういうのがあります。
産業技術総合研究所は昔、地質調査所に行ったときに、海洋関係は人を何年にもわたって信頼関係を築くことができていたようです。私が入ったときは終わっていたのですが、そういうときは主に東南アジアなのですが、そういうところの主立った若い人を連れてきて、1年ぐらい日本でトレーニングするわけです。海外なので観測が主なのですが、日本の観測船に何カ月も一緒に乗ってということをやって、もちろん産業技術総合研究所とか地調内で座学をやってということはしていたようです。そういう人たちがお帰りになって、今すごく偉くなってしまったのですが、残念ながら数年はやったのですが、財源が事切れてしまったものですから、次の世代が育っていない。
今、インドネシアでは長期間の体制ができているのかもしれないのだけれども、そういうことはある程度先立つもののバックグラウンドがないと、特に最近の時勢ではできないというふうに思っています。そういう財源まで突っ込んだ話をここでするのでしょうかというのが私の質問です。以上です。

【西村主査】私の推測ですけれども、アイデアに応じて財源が決まるという考えでもいいのかもしれませんけれども、まずは事務局から。

【工藤地震・防災研究課長】事務局でございます。今のご質問につきましては、先ほどご提言を頂くというふうにお話しいたしましたが、こういうことをやってはどうかというのは、当然それに伴う形で一定の支出を伴うものであるという認識ではあります。

【西村主査】はい、ありがとうございます。田中委員、よろしいでしょうか。

【田中委員】丁寧な回答、ありがとうございます。私なりに理解したつもりです。

【西村主査】では、ご意見をお願いいたします。
ご意見がまだ出ないようなので、私が余りしゃべってはいけないかもしれませんが、1つの事例として例えばこんなことを私だったら答えるというのを挙げてよろしいでしょうか。
今、私の研究室のほうで光ファイバーを使ったDASをやっているので、例えばこういうものは今後すぐには定常観測に使えるとは思いませんけれども、機動観測で使うことによって、いろいろな経験を積むと。光ファイバーとDASというのは、光ファイバーが敷設してあるところに計算機の大きいものをつなぐと、光ファイバー沿いの地震動が数十キロにわたって連続でとれるというようなものなのですけれども、そういうものをテストで置いていくということで、例えば森田先生がおっしゃっていた構造探査にもある程度利用できるでしょうし、それから噴火が起きたときにはそれを使って震源決定なんかもできると考えていますので、いろいろなところに応用がきくので、例えばそういうものをテスト的にやっていくというようなことが1つあるのかなと今思いました。
ビッグデータを使うということもあるので、すぐにはいきませんけれども、将来の定常観測につながるものとしてアイデアとして出してみました。皆さんいろいろお考えあると思いますので、1つ事例として挙げてみました。いかがでしょうか。角野委員、お願いいたします。

【角野委員】東京大学の角野です。今おっしゃられたのは、こういう項目を入れればいいのではないかということだと思うのですけれども、それに関しては先ほどから森田先生、井口先生のお話の中で比較をしなければいけないという話がありましたよね。いろいろな火山で比較して、ある観測項目について比較していくという。どの観測項目を比較するべきなのかということをある程度絞っていかなければいけないですよね。それを絞るために、多分火山プロジェクトはいろいろなところでいろいろな基礎研究みたいなことをやって、ある程度実際に持ち出せるところまで検討することになると思うのですけれども、そういうものをある程度成果などを見た上で、それぞれのいろいろな情報の整合性とか、そういったものをどこかでちゃんと議論して、評価して、こういうものは観測項目にしましょうといったところで、いろいろな箇所で比較できるように機動観測の項目に入れていく。
さらにその上で、例えば国際的に考えても、それだったら海外でどこがやっているのだろうといって、やっている人たちを招いて一緒にやるとか、逆に足りないものがあれば、もしかしたら教えてもらうこともあるかもしれませんけれども、いろいろな部分を比較していくという上で、どういうパラメーターを見ていくか、観測項目を見ていくかということを、今までのものも、もちろんあると思うのですけれども、今までのものプラスこれから使えそうなものというのをしっかり議論して詰めていって、方向性を定めて、どこにどういう予算を使うかというのを決めていく必要があるのではないかと思います。以上です。

【西村主査】まさしくそういうことなのですけれども、1つそこで機動観測とか国際的にというような意味のところで、早急に取り組むと成果があるというような具体的な観測項目があるといいと思うのですね。もちろん比較研究なので、多項目になったりとか、それからいろいろなところで実施しなければいけなかったりするのは確かなのですが、実際、比較研究を行うような場合には、ある程度噴火が起きている機会を捉えなきゃいけないとか、いろいろな制約が出てきますので、まずは機動観測、あるいは国際的にやるべきものというもので、具体例を挙げていただけないかと思っていますが、いかがでしょうか。角野先生、お願いします。

【角野委員】そういう意味で言うのであれば、例えばこの間、コロナのせいでできなくなってしまいましたけれども、例えばガスワークショップみたいなもので、みんなで寄ってたかってガスを測ろうという話がありましたよね。だから、そのときって例えばニュージーランドだったと思うのですけれども、ホワイトアイランドで連続観測していて、結局吹っ飛ばされてしまったのですけれども、そこで観測していた話を聞こうという話もあったと思いますので、私に近いところだとそこが一番手っ取り早いと思うのですね。
あともう1つ、ガスに関していうと、日本国内だと人が少な過ぎて、もともと海外の人と一緒にやらないと、多分技術の発展や知見の継承とかいったものは立ち行かなくなっている状態ですので、そういう意味で本当に早急にでも国際的な連携を進めていって、実質的な人手を増やしていかないと多分どうにもならないという状況だと思っています。

【西村主査】はい、ありがとうございます。ガスのいろいろな項目での、詳細は、私はついていけませんけれども、多項目のガスの観測を行ったり、それから海外からも研究者を招聘したりして、共同で観測してみるというアイデアがありました。
そのほかございますでしょうか。各分野いろいろなアイデアがあると思いますが、相澤委員、お願いいたします。

【相澤委員】今日の森田先生と井口先生のお話ですと、国内でも海外でもまず組織化することが非常に重要であるということで、組織化するにしても個人に依存し過ぎない組織化をする必要があると。
そういうふうに考えると、やはりマンパワーというか、単純なマンパワーだけではなくて、火山研究ができる人のマンパワーが重要だと思って、やはりこの前の会議でも言いましたけれども、今、研究ができる人のマンパワーがどんどん増えているのは気象庁なわけで、組織の中に気象庁にどういうふうに入ってもらうかというのが1つ重要だなというふうに思いました。
それで、具体的に機動観測についての提案ということなのですけれども、私、海外のことは全然分からないのですけれども、国内で機動観測をする上で一番大変というか、面倒くさいのは許認可申請なのですね。例えば温度計1つ置くにしても、本当に真面目に許可を取ろうとすると、非常に大変だというのは皆さんご経験があるかと思うのですけれども。それで先ほどの気象庁の話とリンクするのですけれども、例えば組織化したところの中に気象庁が入っていただいて、気象庁から一括に許認可申請を行うといったような、そういった気象庁の中で許認可申請を担っていただくようなブランチにつくって予算化することができないかなということを考えました。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。組織化は重要ですね。おっしゃるとおり、許認可など、あるいは先ほどある程度機材をきちんとそろえなければいけないとか、いろいろなところで集めておかないと、機動観測自体もできないというご意見だと理解しましたけれども、気象庁かどうか分かりませんが、何かある程度基本的な組織がないと動かないというのは、私もよく理解します。
鈴木桂子委員、お願いいたします。

【鈴木(桂)委員】神戸大学の鈴木です。組織のことは非常に重要だと思います。今日の森田先生のお話の中で、火山防災研究連携体というものをつくったらいいのではないかというお話であったと思います。従来、ずっと縦割りで気象庁さんと大学、個々に独立にやるというのが今までの流れだったと思うのですけれども、やはりそういうマンパワーもそれほど多くないという段階で、確かに気象研究所は増えていると思いますけれども、やはり連携するというのはすごく重要で、どうすれば連携できるかということを今考えなければいけない時期にきているのではないかと思います。
例えば大学の中でも以前は、多分大学が最初に連携して観測を始めたのは、1991年の雲仙普賢岳の噴火だったと思うのですけれども、あのときに初めて地質関係の大学合同研究班というのができて、いろいろな大学が一緒になって仕事ができたと思うのです。非常にうまく働いた例だと思うのですが、それ以降、長期化した噴火が少なかったからかもしれないですが、それは消えてしまっていて、要するに連携を図るというのが今非常に弱いように強く見受けられます。
そういうものをどうやったらできるかというアイデアが私は余りよく分からないのですけれども、省庁間の縦の壁というのをどうやったら崩せるのかというふうなことを考えていかなければいけないのではないかなと強く思っています。以上です。

【西村主査】ありがとうございます。相澤委員と同じように連携が重要だというご指摘だと思います。宇平委員、お願いいたします。

【宇平委員】おっしゃるとおりだとは思うのですけれども、さっきの森田先生のスライドの53/143と10/277という数字が如実に表しているのですけれども、結局これはプロ集団かどうかということで、気象庁のやっている仕事の質と量が多分課題になってくると思うのですね。
結局、自分の拙い経験で言うと、若い頃から研究者と同じ現象を見て議論して考えるという習慣がないと、なかなかプロ的な仕事にはならないのですね。今の次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトのB4でもかなりお願いしてきたところなのですけれども、結局現場レベルで巻き込んでいただきたいと思うのですよね。でも、火口近傍に観測点を増やしたので、機動観測をやっている人たちはそのメンテナンスがすごく大変。なかなか新しい仕事、機動観測の新種目にチャレンジできないということはありますが、それでもやっぱり研究者サイドから気象庁はやるべきことはやっていないよねというメッセージ、井口先生とか森田先生のような大御所は遠慮せずに言っているのだけれども、それよりも若い世代の皆さんは余りそういうことをおっしゃりたくもないかもしれないですね。だけれども、本当に気象庁がプロ集団としてやるべきことをやっているか、こういうふうに考えるべきではないかという助言はどんどん発信していただきたいし、そうすることによって彼らの実力も上がっていくのだろうと思います。

【西村主査】ありがとうございます。中道委員、手が挙がっていますのでお願いします。

【中道委員】森田先生のスライドの16番目ですかね、FUTUREVOLCの紹介があったので、これにかぶせてお話ししたいのですけれども、EUが要は連携して1つの大きなビッグプロジェクトを立てて進めようというきっかけになったのは、2012年10月から始まったプロジェクトで、その前の2010年4月に大きなイベントがあって、それはアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火で火山灰が拡散して、シミュレーションしたのだけれども、そのシミュレーションは結果的に課題であるということが分かったのだけれども、たくさんの飛行機を止めてしまったということがあったのです。そのときの反省を受けてちゃんと研究しなければいけないということで機運が高まって始まったのですが、そのプロジェクトというのは当然既存の普通の我々がやっている観測、地震や地殻変動観測、地球環境や空振もありますけれども、このプロジェクトの場合は、FUTUREVOLCの場合はそれ以外でも、例えば火山灰の衛星から見た画像の解析とか、気象学や広域拡散予測のためのシミュレーションとか、それを測るための例えば鉛直に打ち上げるライダーとか、そういったいろいろなものを火山の狭い分野だけではなくて、もっと広い気象学を入れたものを取り入れたプロジェクトをつくったわけです。
その中に防災をやっている市民防衛とかそういったセクションが入ってきているのですけれども、そういうプロジェクトを4年間やって、今現在FUTUREVOLCの次のHorizon2020という大きなフレームがあるのですけれども、その中のEUROVOLCというので引き継がれてやって、さらに結構発展しているのですけれども、そういったビッグプロジェクトをトリガーとして、例えば構想である火山防災研究連携体になっていくためのシードマネーというのができて進めていくといいなと私は思いますし、そのためには既存の当然やらなければいけない観測がベースですので、噴火するときのソースですけれども、それを押さえるのが必要ですけれども、むしろ周りを巻き込んで、しかも巨大噴火の場合は風向きによってはアジア全体で影響を及ぼすことがありますから、アジアにもどんどん参加してもらえるような仕掛けというのを考えていく方向がおもしろいかなと思っております。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。その他ご意見ございますでしょうか。今出たのは、連携体というか、どこか中心になって機動観測をマネジメントしたらいいというご意見や、そういうところのマンパワーをきちんとしなければいけない、あるいは1つ大きな仕掛けをつくるというのは連携をして、そこで何か目指すものを明確にするということだと思うのですけれども、そういったところは、共通認識として皆さんあると思います。
具体的にそういうものをつくったときに何を目指すかとか、どういう具体的な仕掛けがいいとかというようなところにご意見があるといいのではないかと思うのですが、いろいろな意見を出していただければと思います。はい、角野委員。

【角野委員】多分連携でつくるときって、実際に今アクティブにやられているいろいろな研究所、附置研とか観測所とかが多分ベースになっていくと思うのですけれども、私自身がそういうところの外にいるものですからよく感じるのですが、むしろ連携体には外にいる人が何らかの形で関与しやすいような環境をつくっていただけるとありがたいなと思っていて、結局かっちりした組織に入っているところというのは、ちゃんと今までの実績があって、内容をよく分かっていらっしゃって、ある意味阿吽の呼吸でできるところもあって、今までの延長である程度できるわけですね。
ところが、それをずっとやっていくと多分だんだんジリ貧になると思うのですよ。組織もだんだんしぼんでいきますし、場所によってはそういう人たちがいなくなってしまうこともあり得ると思うので。そうなったときに分散している研究者をうまく抱き込まなければいけないと思っていて、そういう人たちのよりどころとして連携体というのをつくってもらって、連携体のほうでも例えば学会なんかでいろいろな個人ベースで使えそうな発表とかしている人がいるわけですよね。そういうところをうまく引き込める努力というのをある意味スカウティングのような感じで、人のスカウトのようなことを連携体の執行部みたいなところで積極的にやっていただけるとありがたいなと思っています。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。森田先生の手が挙がっていますので、お願いします。

【森田教授】連携体の話がいろいろ出てきました。連携体の発想って一体何なのかというと、放置しておいても既存のいろいろな研究機関が一緒に動くなんていうことはあり得ません。何かメリットがないと、一緒に何かをやろうということがありません。
そのメリットというのは、具体的に何かというとき、これは内閣府で議論したのですけれども、例えば今SIPというプロジェクトがあります。SIPは省庁の壁を越えて大きな社会的な課題解決を目指す。今もSIPに火山でも若干入っていますが、次のSIPのときにもっと火山が前面に出て、連携体が中核になって大きな研究予算を取るというようになればいいなというのが、私が連携体を考えたときの1つのイメージでございます。
確かに予算がないと何もできないという話もありますけれども、逆にいうとそういうものにアプライするような組織がないと全くそういうチャンスもないというふうに考えていただくのがいいのではないか。誰かが用意するのではなくて、そういうことを挑戦するような組織を皆さん若い世代の人が考えるということが大事だというふうに私は思います。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。連携体が重要だというのは、森田先生がおっしゃるとおり、いろいろな工夫が必要だということがあるのですけれども、事務局からの説明があったとおり、ある程度短期的に動けること、短期的な課題としても挙げてほしいということですので、連携体自体はある程度1つの組織に頼るようなことであれば短期的に動けると思うのですが、森田先生が出された火山防災研究連携体までいくと、短期的というレベルではなくて、多分内閣府のマターだと思いますので、その点は考慮して少し発言していただければと思います。ご発言、ご意見ございませんでしょうか。
私、地球物理のほうで地震観測や測地観測をやっているのですけれども、昔は臨時観測が主体でしたが、いろいろな観測の発展でかなり定常観測になってきたと感じています。ただ一方で、物質科学、例えば噴火したときの観測技術というのは、人海戦術が機動観測とはいいながらも、まだかなり機動的に皆さんが統一して動いているような感じがしないところも感じます。
物質科学のほうで、例えば臨時観測、機動観測というようなイメージは何かないでしょうか。物質科学の委員は鈴木由希委員と鈴木桂子委員ですかね。鈴木由希委員、いかがでしょう。

【鈴木(由)委員】機動観測という言葉を聞いていて、物質科学的にはそういうことを全くしない分野なので、どうしたらいいかということを考えたのですけれども、噴火したときに動く機動観測はできないとしても、火山をよりよく理解するために1つ考えていることとしては、やはりいろいろな火山で行われてから出てくるデータを統一的な決まった視点で眺めて、それぞれの火山の特徴とか違いということを明確にしていく必要があると思うのです。
ただ、そういうことをしようとした場合に、森田先生の話にあったような個人商店から企業の一員であるような変化を地質とか岩石の人間が行っていく必要があるのですけれども、地質、岩石のデータって誰もがとって、同じようなデータとそうではないデータがあって、例えば火山岩の中にある結晶を測りましょうというときも、すごく個人の思想に依存されたデータが出てしまうわけです。そういったデータというのは、それぞれの研究者の研究のポリシーによるものだから、それを尊重しつつ、全く同じようにデータをとっていくためのそれぞれの研究者のこだわりを捨てていくような考え方のシフトを今後行っていく必要があるのかなということを今日強く感じました。
例えば今までとったデータと違うとり方をしてしまうと、過去10年とか20年ためてきたデータが全部比較できなくなってしまうわけですね。だから、個人個人の研究者には非常に負担になるのだけれども、その辺を乗り越えていくための方策を、地質とか岩石の中でも少しみんなで集まって議論していく必要があるのかなと今日感じました。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。私は分野外ですけれども、物質科学の臨時観測というと、例えば地球物理的な観測と関係があるのは、噴出量とか。どういうタイミングで噴出パターンが変わるのかと思ったときに、今桜島の中で展開されているディストロメーターを噴火したときにすぐ持っていくような体制とかがあればよいかと思います。あとは噴出物サンプルのとり方については、プロのいろいろな考え方があるのでしょうけれども、取りあえずサンプルをその場でとった分析装置というのを幾つかの機関で開発されているので、そういうものをすぐ展開するようなイメージを持っていたのですけれども、そういうものは例えば物質科学の専門から見たときに、機動観測として使えるということはないのでしょうか。

【鈴木(由)委員】今おっしゃられたことはもちろん、物質科学の機動観測なのですけれども、それって多分地質、岩石の人がやっているいろいろな研究のごく一部なので、その辺の考えが普段余り深く持っていないので、すみません。言及できませんでした。

【西村主査】はい、分かりました。鈴木桂子委員、お願いします。

【鈴木(桂)委員】今、西村先生がおっしゃったように、岩石、地質関係の中で例えば火山灰の噴出量を見積もるというのは非常に重要な作業だと思いますし、実際問題、どこかの火山が噴火した場合には、そういう研究が今も行われていると思います。ただ、そのときに例えば産業技術総合研究所が頑張って行って測るとか、連携が取れていないのは事実なので、そういうところが少しずつでも打開できないかなというのは強く希望します。
あと、基本的なデータとしてどこまでどうとるか、要するに例えば火山灰を測るにしても、測り方のガイドラインというのはある程度あるわけで、そういうものが確かに端的な量でいうと、デッキの大きさを測るときに1ロート当たり3個測るか10個測るかというのは、学問の流れからしても2パターンあるのです。日本人は最大10個測って平均をとるのだけれども、外国の研究者は3個でいいとか、そういうのが事実あるので、そういうところのガイドラインは今後、統一的なものをつくっていかないと、それこそ蓄積の意味が全くなくなりますから、重要だと思います。それはやるとなったときにおのずと出てくる結果ではないかと思うのですけれども。
それともう1つ、噴火しているときにおいて、機動観測というわけではないですが、噴火の経緯を見るということは、やはり特に地質、岩石の分野では今まで重要視してきたことで、過去の噴火というのは調査すればある程度分かりますけれども、それに基づいて今後、この火山がどういう経緯をとるであろうかということは、やはり地質、岩石の分野が言えることではないかと思うので、そういう意味の重要性は、私は高く評価しています。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。単に測るだけではなくて、並行観測も多分必要なのでしょうね。同時に専門家も行って測ることが多分重要なのだなと感じました。
その他ご意見ございますでしょうか。宇平委員、お願いします。

【宇平委員】ご意見を伺っていると、結局今走っているプロジェクト研究をこれから確実に進めて、さらに予算の話もあったけれども、必要に応じて次の世代の研究、次のサイクルに向かって変えていってもいいかなと思いますね。
この図(森田先生のスライド13)でいうと、JVDNがいかにデータを網羅できて使い勝手が良くなるかというところは極めて重要で、これが成立しないと森田先生のSociety5.0に行けないわけです。そういったデータとか防災に資する成果も同時に発信していますけれども、結局今走っているプロジェクトが頑張らないと、次の姿をなかなか見ることができないということを、今皆さんのお話を伺って認識したところです。

【西村主査】はい、ありがとうございます。

【藤田主査代理】防災科学技術研究所の藤田です。

【西村主査】はい、お願いします。

【藤田主査代理】宇平委員がおっしゃられましたように、ここで皆さんと議論させていただくことは、1つは長期的にどうするかということと、今、森田先生がおっしゃられたようなSociety5.0に向かうとか、長期的に何を我々が目指すのかというところを1つは議論していると思います。その1つで、連携体みたいなものをつくるとか、そういったところで最初のほうで角野委員がおっしゃったように、何を測るのかとか、項目を出すとかそういった議論をするべきで、そのために手前みそになりますけれども、JVDNというのは特に次世代でとったデータを集約して、そこで今後何を測っていくべきかという議論ができると思うので、それを活用していくのがまず1つかなというふうに思っています。
機動観測という特に短期的なことの何をやるかというのは、なかなかすぐには出てきにくいですけれども、森田先生がおっしゃったような稠密の大気観測ですと、森田先生もおっしゃられているようにAmbient Noiseで定常観測と機動観測を組み合わせるということが多分大事で、それをデータベース化して、長期的な方向性を決めるということが1つあるかなと思っています。
国際の方は長期的な視点でまずは考えて、その上で短期的に共同研究のネタからまずそれぞれ入っていくかというようなことが現実的なのかなというふうに思いますけれども、いずれにしても長期的ビジョンに立った上、何が必要かという短期的なところを決めていければいいのかなというふうに思います。具体性がなくて申し訳ないですけれども、取りあえずそんなところです。

【西村主査】はい、ありがとうございます。まとめていただいた感じですね。ご意見、他にございますでしょうか。

【大湊委員】森田先生の言う研究連携機構というのは、多分将来のある意味で理想というものなのだろうと思うけれども、すぐにそこに行けるとも思えないと皆さん分かっているわけなのですが、それに至る手前の段階を進めるのがいいかと思うのですよ。さっき鈴木委員が物質科学は余り機動観測とは関係ないみたいなことを言いましたけれども、むしろ噴火したときに灰をとるときにみんなで手分けしてとっている姿を見ると、あれこそが連携して機動的に研究をしているという1つの具体例かなと思ったりするのですよね。
橋本委員たちがやっている比抵抗関係の、電磁気コードを出すといったもの、あれはうまく全国連携ができていて、皆さんが機材を持ち寄ってやるということができていると。そういった、うまくいっているものを他のいろいろな分野に広げるということを少しやるというのが要るのかなと思います。
今、大学が法人化してしまったせいで、それぞれの大学ごとに成果を出さなければということで、自分たちで全部やらなければいけないというふうなことが出かけているような気はするけれども、それは今の世の中では無理で、データをとる人たちと、データを整理する人、それを解析して論文にする人たちと手分けせざるを得ないと思うのですよね。そのときに分野ごとに得意な組織というのがあると思うので、例えば地殻変動、GPSデータの解析は地理院に任せようとか、あるいはそういうのに長けた人がいる大学にお願いしようとか、地震のこの種の解析はこの大学にお願いしようというふうに、やりたいテーマごとに専門的な役割分担をするというのを、組織的にやるということをぼちぼちやっていくと、それが将来的に連携機構みたいのができるときの種になるかなという気がするのですね。
あとは機材をもう少し皆さんで共同管理して、共同で使うような仕組みを整理するのがいいのではないかと思うのですけれども、データについては防災科学技術研究所でデータベースができて、それでみんなでやりましょうというのができたのと同じように、全国に散らばっている観測装置というのは、うまく使えば相当なことができるものを持っているけれども、それぞれの機関ごとの財産だから、余り連携して使われているとは思えないので、その辺をもう少し連携して使うにはどうしたらいいか、それぞれの機関の垣根を越えて融通し合うにはどうしたらいいかという仕組みを少し考えていったらいいかなと思うのです。
例えば機材に関する全国連携、解析に関する全国連携、その他の全国連携というのができてきたら、それをくくってしまえば連携機構そのものだよというふうになっているかもしれないので、全体を一気にというのは無理だけれども、どこかの部分をまずやって、うまくいった事例があったら、それをまねて広めてみるということをやり始めたらいいかなという気がしています。具体性が全然ない話で申し訳ないのですけれども、今日聞いた話の感想でした。以上です。

【西村主査】ありがとうございます。機材共有と、あと前回の議論でも出ていた機動観測をしている現場だけではなくて、機動観測をバックアップする体制もつくらなければいけないという話がありましたね。多方面のいろいろな機能を持った機動観測体制をつくる必要があるということ、ご指摘ありがとうございます。
あと時間が限られていますけれども、橋本委員、お願いします。

【橋本委員】橋本です。今の大湊委員のお話、ご本人は具体性がないとおっしゃったけれども、非常に具体的だと私は思っていて、賛成です。具体的にどのように機材を融通し合うのかとか、そういったことの検討を始めるというのは、取っ掛かりとして非常に重要だと思います。
今でもそういう取り組み、もちろん地震研の共同利用というシステムがあるので、使わせていただいているのですけれども、そういったときに例えばですけれども、借りている間に故障してしまったときにどのようにするのかとか、その他似たような事例というのは各大学で持っている機材を融通し合うようなときに常にあるわけですね。発送料をどちらが持つのかとか。そういったことの取り決めとか、こうやるとスムーズに行くとか、そういったことが出てくると、連携体の一歩手前のところを具体的に進めていく上でとても有用ではないかと思って話を聞いていました。以上です。ありがとうございます。

【西村主査】はい、ありがとうございます。時間が超過して申し訳ないのですけれども、発言されていない方でぜひという方がいらっしゃいましたら、挙手をお願いします。よろしいですか。
最後に加藤科学官と森田先生、井口先生に少し簡単に今日の議論を聞いた上でコメントなり、何かご提案などありましたらお願いしたいのですが、最初は加藤科学官、いかがでしょうか。

【加藤科学官】急なので余り考えていなかったのですけれども、最後のほうの議論ですけれども、森田先生が話されたような組織をつくるのは時間がかかるかもしれないというのも確かにそうだと思うので、やはり地震研のような共同利用・共同研究拠点みたいなものでいろいろな仕組みがありますから、そういうものを活用しながら、少しずつ進めていくのが現実的なのではないかと私も思います。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。突然過ぎてすみませんでした。森田先生、いかがでしょうか。

【森田教授】連携機構で随分盛り上がってしまいまして、私もすぐにできるとは思っておりません。ただ、やはりそういう長期ビジョンがないと、なかなか物事は動かないだろうと。大湊委員がおっしゃったように、できるところからやっていくと、そしてそういった方向に向けていくというところが私も適当なところだろうというふうに思います。以上です。

【西村主査】はい、ありがとうございます。井口先生、お願いします。

【井口教授】井口です。できるところからやればいいのですけれども、私は組織論に踏み込まないとどうしようもないと思っているのですね。連携なんていうのは要するに無駄な議論を山ほどやらざるを得ないので、そんなことであればできる組織をさっさとつくるというのが私は一番いいと思っています。

【西村主査】はい、ありがとうございます。最後に言い残したことがある方、ございましたら。

【大湊委員】やっぱり物を融通し合うとなると、その人がどこの機関に属するかというのが縛りになるので、例えばクロスアポイントメントのような複数機関に属することが可能という仕組みが今できつつあるので、それをうまく活用していけば、機材を融通し合うということのハードルを下げることにつながるのかなと思いました。以上です。

【西村主査】ありがとうございます。よろしいでしょうか。時間が限られていて、少しオーバーしてしまいましたけれども、ご意見無いようでしたら次に移りたいと思います。
 

[議題2.その他]

 

【西村主査】それでは、議題2「その他」に入ります。事務局より今後の予定についてご説明をお願いします。

【上山地震火山専門官】事務局の上山でございます。今後の予定としましては、7月21日に第3回の会議を開催予定にしております。次回の会議では、先ほど工藤からも申し上げましたように、本日頂いたご意見を踏まえまして測地学分科会に上げる提言案を取りまとめる予定でございますので、よろしくお願いいたします。こちらからは以上です。

【西村主査】ありがとうございました。よろしいですかね。
それでは、本日の議論はこれまでといたします。本日はお忙しい中ご出席いただき、ありがとうございました。

【上山地震火山専門官】ありがとうございました。これで会議を終了したいと思います。

―― 了 ――
 

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)