大島 弘光 臨時委員

次期計画の構成等について

 委員として地震分科会の考え方の策定にかかわっており,外部評価委員の意見を踏まえた部会の基本的な考え方および測地分科会の方針を基本的に支持します。

 いずれも外部評価委員の意見「実用科学としての地震・噴火予知」意識していますが,より応用科学としての地震・噴火予知研究を打ち出した計画の構成が望ましいと考えます。

 この観点から,国際共同研究等は,今まで以上に,事例研究,比較研究の色彩を鮮明することを意識する必要があると思います。

 また,防災・減災の原点である予知技術は未熟であり,その未熟さはアウトリーチ活動で補うほかなく,アウトリーチ活動とリンクした中長期的な展望に立った計画でなければならないと思います。外部委員の意見にあった「社会科学,工学との連携」も,この観点にたって実現する計画である必要があると考えます。

 最後に,観測に基づく予知を目指すためには観測体制・監視体制については研究,監視観測を支える観測網の充実とその維持はもちろん,各種機動観測,さらに実験的な研究観測を実施するための予算措置が行えるような計画でなければならないと考えます。

 

地震・火山噴火予知研究協議会WGによるたたき台(案)について

 まず,短い時間の間に取りまとめを行ったWG委員の労をねぎらいたい。また案を基本的に支持します。
 僅かな経験ですが,3.11の前日に開いた公開講座の際に投げかけられた「もし仮に地震が予知されたら,我々は何をすればよいのか」という質問は忘れられない言葉です。この問いに予知研究に携わる研究者が答えなければならず,研究者のアウトリーチ活動のみでは解決できない現状におかれていることを意識した計画であることを望みます。
 また,噴火対応にあたる市町村の防災担当者の発した「占い情報でもいい。難しい理屈よりも,判断材料となる情報が欲しい。役に立たない科学はいらない」という言葉もわすれられません。誤った理解に基づく意見になることを恐れますが,「今後,30年以内に地震が発生する確立が70%」が「・・・・68.7%」となったところで,起こるか否かを求める防災担当者には占い以下の情報でしかないのではないでしょうか?正確・丁寧な説明により理解したとしても担当者には役に立たない学問としか映らないように思えます。

 研究推進体制,研究基盤については直下型地震の発生が危惧されている今,機能の二重化や分散化がより必要だと思います。一部で進められているデータの多重化・分散化の強化は大学を利用することで今でも可能であり,その検討と実現をはかることを望みます。

 予知研究を推進するためにも,また未熟な予知研究を補う上でも,人材の育成は必要であり,このことを明示するほか,具体的な検討を進めてほしいと思います。

 最後に社会対応です。当面,防災・減災のためには,未完成な予知技術を補うためにアウトリーチ活動,社会科学や工学との連携は必要ですが,中長期的には初等教育課程からの防災教育が,時間はかかりますが,その普及や人材育成に果たす役割もあり,最も有効です。この計画で取り上げる事項ではないのかもしれませんが,防災教育の充実・実践を提言するほか,その実現を模索する必要もあると思います。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)