測地学分科会(第53回)・地震火山観測研究計画部会(第60回)合同会議 議事録

1.日時

令和7年6月24日(火曜日)15時00分~18時00分(※測地学分科会(第53回)と合同開催)

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 地震火山観測研究計画部会長及び部会長代理の選任について(非公開)
  2. 議事運営等について(非公開)
  3. 今後の調査審議等について
  4. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の課題別計画の修正について
  5. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和7年度年次計画について
  6. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次報告【機関別】について
  7. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次報告【成果の概要】の作成方針について
  8. 地震及び火山観測研究における令和5年度年次基礎データ調査結果について
  9. その他

4.出席者

委員

宮澤委員、田中(明)委員、日野委員、伊藤委員、今西委員、大倉委員、大湊委員、川村委員、清本委員、小平委員、汐見委員、竹内委員、田中(聡)委員、寺川委員、藤田委員、山際委員、山田委員、相澤委員、鈴木委員、西村委員、松島委員

文部科学省

(事務局)梅田地震火山防災研究課長、久利測地学専門官、齊藤地震火山防災研究課専門職、杉岡科学官、橋本科学官、五十嵐学術調査官

オブザーバー

北海道立総合研究機構 高橋主査、山梨県富士山科学研究所 本多主任研究員

5.議事録

[委員の出欠状況等]
・委員の出欠状況:加藤委員、安井委員、角野委員、並木委員が欠席。
・委員、臨時委員及び専門委員の紹介。
・梅田地震火山防災研究課長から挨拶。
 
[議事1.地震火山観測研究計画部会長及び部会長代理の選任について(非公開)]
議事1において、地震火山観測研究計画部会長として宮澤委員が選任され、部会長代理として日野委員が指名された。
 
[議事2.議事運営等について(非公開)]
議事2において、「科学技術・学術審議会測地学分科会運営規則」及び「科学技術・学術審議会測地学分科会の公開の手続きについて」が説明された。
 
〔以降、会議を公開。オブザーバー機関、傍聴者等 入室〕
 
[議事3.今後の調査審議等について]
宮澤分科会長:それでは、議事3「今後の調査審議等について」入ります。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
 
久利測地学専門官:はい。事務局より、資料3-1について説明差し上げます。こちらは、第13期科学技術・学術審議会測地学分科会の構成となっております。このうち、地震火山観測研究計画部会では、地震および火山に関わる観測研究計画に関する事項について調査審議いただくこととなります。続きまして、資料3-2です。こちらは、第13期科学技術・学術審議会の主な調査審議事項となりますが、第52回測地学分科会で決定されたものとなります。毎年実施している地震火山観測研究計画の進捗把握、成果の取りまとめ等に加え、第13期特有の調査審議事項として、第3次地震火山観測研究計画のレビュー報告書の作成がございます。こちらは、第3次計画3年目である令和8年度において、課題ごとに実施状況、成果、今後の展望等を取りまとめていただくものとなり、第14期で行う外部評価や次期建議の検討を行うにあたって重要なものとなります。続きまして、資料3-3をご覧ください。こちらは、運営規則第2条第4項に基づき、測地学分科会長が地震火山観測研究計画部会に付託する事項となります。付託事項については、第12期からは変更はございません。引き続き、地震火山観測研究計画の年次計画や成果の取りまとめ、年次基礎データ調査の取りまとめを付託させていただくこととなります。最後に、資料3-4をご覧ください。こちらは、先ほどご説明させていただいた実施状況等レビューの進め方になっております。本レビュー報告書は前回のレビュー報告書の作成と同様、地震火山観測研究計画部会で検討し、測地学分科会にお諮りすることとさせていただきます。また、その作成に当たっては、同部会委員から地震学および火山学を専門とする委員を1名ずつ取りまとめ委員として選定し、検討を進めていただく予定となっております。参考資料です。具体的なスケジュールにつきましては、参考資料1をご覧ください。本資料は、次期建議の検討に焦点を絞ったスケジュールとなります。一連のサイクルとしては、まず、令和8年度に現行建議の実施状況等レビューを実施いたします。その後、令和9年度に外部評価委員会を開催し、報告書の取りまとめを行い、その評価結果を踏まえながら、令和9年から令和10年にかけて次期建議案を検討することとなります。建議案が作成されましたら、パブリックコメント等の手続きを踏まえ、令和9年1月頃に科学技術・学術審議会から文部科学大臣に対して建議することを予定しております。事務局からは以上となります。
 
宮澤分科会長:ありがとうございます。ただ今の説明に対するご質問、ご意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。特に、今期から新しく加われた委員の皆さま方、もし、ご質問等がありましたら今伺っておくとよろしいかと思いますが。
 
久利測地学専門官:新規委員の方に、事務局から少し補足差し上げます。年度の前半では機関別に報告書を取りまとめていただき、年度の後半では、テーマごとに機関別の報告を再構成していただくということをやっております。それらの年次報告を基にレビュー報告書を作成し、外部評価委員の方に審議いただき、パブリックコメントを得て次の建議という流れになっているということが、ここまでの大きな概要となっております。以上、事務局からの補足です。
 
宮澤分科会長:補足の説明ありがとうございます。今の補足の説明も含めて、もし、先ほどの資料3-1~4、あるいは参考資料1について、ご質問がありましたらお願いいたします。もし、特段ございませんようでしたら、次に進みたいと思います。これで議事3については終了したいと思います。
 
 
[議事4.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の課題別計画の修正について]
 
宮澤分科会長:それでは、議事4「「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の課題別計画の修正について」に入ります。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
 
久利測地学専門官:はい。事務局よりご説明いたします。資料4をご覧ください。個別課題について、今年1月21日に開催した、第51回測地学分科会・第59回地震火山観測研究部会合同会議で行った報告以降に、変更の申し出があったものをまとめております。変更箇所は黄色塗りしております。修正があったのは44課題であり、その全てが、異動等による担当者の変更や体裁修正など、事務的な修正です。なお、変更となった連絡先については、資料上、省略させていただいております。人事異動に伴う連絡先や担当者等の変更があれば、随時、事務局および地震火山観測研究推進協議会までお知らせいただければ幸いです。事務局からは以上となります。
 
宮澤分科会長:基本的に、事務的な修正のため、特段問題はないものと考えておりますが、こちら、ただ今の資料4について、部会として承認してよろしいでしょうか。もし、ご異議のある方がいらっしゃいましたらご発言をお願いいたします。ご意見なしということで、それでは、部会としてそのように承認したいと思います。
 
 
[議事5.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和7年度年次計画について]
 
宮澤分科会長:それでは、議事の5番「「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和7年度年次計画について」に入ります。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
久利測地学専門官:はい。事務局よりご説明いたします。資料5をご覧ください。本資料は地震火山観測研究計画に基づき実施する、各研究課題がどの建議項目に該当するかについて星取表で整理した資料となっております。黒丸が最も関連の深い建議項目であり、白丸が関連する建議項目となります。また、先ほどの議題4において、課題別計画の修正についてご承認いただきましたが、その修正内容の部分は赤字で反映しております。令和7年度においては、この資料のとおり各研究を進めていただくこととなります。事務局からは以上となります。
 
宮澤分科会長:こちらも、先ほどの課題別計画の修正に基づき事務的な修正を行ったものとなっておりますので、特段問題はないものと考えておりますが、こちらを部会として承認してもよろしいでしょうか。ご意見のある方、ミュートを外してご発言をお願いいたします。こちらについてもご意見なしということで、部会としてそのように承認したいと思います。
 
 
[議事6.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次報告【機関別】について]
 
宮澤分科会長:それでは、議事の6番「「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度【機関別】年次報告について」に入ります。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
 
久利測地学専門官:はい。事務局より説明いたします。資料6をご覧ください。各実施機関の担当者に報告資料を作成いただき、これを取りまとめたものを資料6としております。本日は、各機関から報告資料の内容についてご報告いただき、それを基に、令和6年度の成果についてご審議いただきたいと考えております。発表順序は、資料6の目次の順のとおりお願いいたします。発表時間は、質疑応答込みで、大学は15分程度、その他の機関は5分程度でお願いいたします。本日はタイマーが付いておりますが、1分前になりましたら事務局より呼びかけをさせていただきます。事務局からは以上となります。
 
宮澤分科会長:それでは、各機関にご報告をお願いしたいと思います。発表時間は事務局からのご説明のとおりです。また、各機関の発表が全て終わった後に、全体に関する質疑コメントの時間も取りたいと考えております。それでは、大学の報告からよろしくお願いいたします。
 
大湊委員:大湊です。大学分について御報告します。まず、建議計画の成果ですが、非常に多岐にわたっておりますので、全て網羅的に紹介するという形ではなく、例年どおり、各分野から重要なものを幾つか拾い上げて、それをご紹介させていただくという形を取りたいと思います。まず1枚目ですが、これは、現象解明という項目の中から出た成果の一つでして、課題番号で言うと、東北大の04になります。これは、日本海溝北部で実施した観測データを精密に調べたところによる、微動の震源分布と、それから、常時微動表面波トモグラフィー手法を適用したS波速度構造です。これについて、良い対応関係があることが見られたという成果になっております。例えば上の図で、オレンジや赤の部分は微動の発生領域で、例えば、目盛りは北から南に向かっての距離ですけど、例えば、300とか100、200の辺り。この辺りで微動がまとまって起こっているという状況ですけれども、その下を見ますと、これが速度構造で、ちょうどそこの場所に対応して、大体十数キロぐらいのところを見ていただくと、S波速度が低い領域が広がっています。これは、恐らく沈み込みに伴ってなんですが、水が取り込まれてこういう低速度域をつくっているのだろうということで、沈み込むプレートに関する詳細な情報が得られたという成果になっております。次のスライドをお願いします。こちらはなかなか説明が難しい、理論的な成果ですけれども、これは断層面の滑りの状態ですが、これが滑る時の速度であるとか、あるいは滑って止まった後、その止まった後に摩擦挙動も変えつつ、いろいろな性質があるのですけれども、例えば、左側は滑っている速度に対する摩擦挙動の変化、やはり動摩擦の変化を表していまして、右が逆に、滑ったものを止めて、その時に摩擦挙動がどういうふうに回復するかということで、静摩擦の変化を表しているのですけれども、これまで、この2つが別々な式で表現されていました。これを、今回の地震研02番の課題の中での成果としては、統一的に表現する定式化に成功したということで、数字的な、理論的な研究ですので、直感的な理解は難しいのですけれども、今まで別々だった理論的な枠組みを1つに統一したということで、理論的には優れた成果となっております。次のスライドをお願いします。こちらは熊野灘で、過去に捉えました海底の比抵抗データです。これの解析を実施しまして、詳細な比抵抗構造を得たというものになっております。その比抵抗の詳細分布を調べたところ、それぞれ普通の地震が発生する場所、あるいはスロー地震が発生する場所、あるいは定常的に滑っている場所、それぞれ違う現象が起こっているのですけれども、その場所に応じて比抵抗の値も違うということがあったということで、やはり、起こる現象に対応して構造も変化しているということが分かったという成果になっております。次のスライドをお願いします。こちら、能登半島で発生しました地震です。2024年、能登半島地震。その震源域について海底地震計を展開しまして、余震分布を精密に調べたという成果になっております。左の図のほうでNT2、3、4、5、6という、これが今まで知られていた断層モデルですけれども、その位置と、余震の分布がほぼ一致しているということで、得られている震源、あるいは断層モデルが正しいということを示していますが、一つ注目すべきは、この右上のNT2と書かれた断層面、こちらの北側半分では地震がどうも、余震活動が少ないということで、これも注目すべき成果ではないかなと考えているところです。次のスライドをお願いします。こちらは火山に関係する成果でして、Seismic Background Levelという、最近出てきた、火山をモニターするための資料がありまして、これはどういうものかといいますと、普通、火山や地震を観測した時には、振幅の大きな目立つ信号に着目しがちなのですけれども、このSBA、Seismic Background Levelっていうのは、むしろ静かな時、一番静かな時の中央のレベルを取り出すというもので、どんな静かな時でもこれぐらいのレベルで地面が動いていますよということを表せるようになっています。これを見ると、いろいろな火山、霧島等ほかの火山で調べたところ、噴火へ先行して、このSBL、Background Levelがじわじわと上がるということが、いろんな火山で見いだされていまして、これを草津白根山でも適用してみたという成果になっております。その結果、詳細は説明しませんが、真ん中に文章で書いてあるとおり、2014年のunrestが起こった時には確かにSBLが上昇しましたし、この2018年のunrestの際にも火山性地震が起こるその前からSBLというものが上昇しました。あともう一つ、このSBLというのは、どうも地殻変動とも対応しているというふうな考えもありますので、火山の先行指標、火山活動の先行指標として非常に有効なものではないかということで研究が進んでいると、その事例となっております。それでは、次をお願いします。こちら、防災リテラシー分野の成果でして、関東学院大からのものなのですけれども、これは、災害に対する住民の方々がどういうふうに考えているかということと、それから、防災に対するどういう実際の行動を取っているかということに関する調査を行ったという結果です。左の棒グラフのほう、これは何を示しているかというと、一番上に地震災害ってありますけれども、やっぱりこの地震災害が近々起こりそうだと思うか、あるいは起こらないと思うかというふうなことを聞いてみたということで、この表を見ますと、例えば、数年以内に起きそうだというところから、30年ぐらいまでに起きそうだという、ある意味、30年以内に起きそうだと思う人が70%を超えるという結果になっております。これは、ほかの災害に比べても非常に高い数字になっていて、地震災害っていうのは、自分の住んでいるとこを襲うのだっていうことを、皆さん実はちゃんと認識しているということを示しているのですが、一方、右の方というのは、例えば、防災行動というものがあります。災害に備えていろんな行動を取りますが、例えば、火災に備えて消火器を準備するとか、いろんな項目があるのですけれども、そういう実際に防災に備えた行動というものを実際どれぐらい取っていますかというアンケートを採ってみると、右のグラフというのは、33個ある項目のうち、実は5個以下、4.77という数字が見えると思うのですけれども、非常に、実際の行動を取っている事例は少ないということで、これから地震に襲われそうですよということは多くの人が認識しているにもかかわらず、実際はそれに対応する行動を取っていないっていうことが示されています。ですから、地震災害に襲われそうだという意識を実際の行動に結び付けるにはどうしたらいいかという、この部分を少しきちっとやらないと、実際の防災にはつながらないということを示す結果になっています。次のスライドをお願いします。これは史料・考古部会のところの成果でして、資料・考古部会のほうでは過去の史料を調べまして、例えば、どの場所で地震による被害が出た、ここの建物が半壊した、そういう地震の研究データと、そういう情報を集めることで、過去の地震で、どこでどういう被害が出たかという情報を集める。そういうことを史料・考古部会ではやっているのですけれども、ただ、史料・考古の元の史料では、当然、過去の地名で表示されています。ですから、そのままですと、例えば、今の現在の場所で言うと実際どこで起こったのかということに焼き直そうとするとひと手間かかると。それを迅速に行うために、史料の地名に位置情報を与えるということを今、進めています。これを行うことで、史料に表れる、例えば、ある場所で建物が倒れました、被害が出ましたという情報が、直ちに現在、今の例えば、この図ですと東京周辺を示しているわけですけれども、今で言う、どこの場所で起こったことかっていうのが直ちに分かるということで、史料情報、これの視認性あるいは利便性が非常に向上したという、そういう成果になっております。それでは、次のスライドをお願いします。こちらは火山関係ですけれども、その中で総合研究である、高リスク小規模噴火、こちらのほうで行っている研究の成果の一つです。これはどういうものかといいますと、火山の活動度を見るには、地形物理的な観測だけでなくて、火山から出てくる火山ガス、これを分析することで、例えば、マグマがどこまで上がってきているか、そういう情報につながるわけですけれども、火山ガスの測定に関しては、まだいろいろと不十分な点があると。例えば、SO2というガスに関しては、紫外線の散乱を使って遠方から測定することができるのですけれども、ほかのガス、例えばここの図で言うと、H2Sとあるのですけれども、このガスに関しては実際に散布してみないと濃度の測定できないということで、活動中の火山に近付いてガスを散布できるのだろうかという、そういう実際的な問題があったわけですけれども、最近活用が進んできたドローン、こちらにガスセンサーをぶら下げて、その噴気の中を通過させると、その時、それによって実際にガスを噴気中で散布してガス濃度を測る。それから実際のガスの噴出量に焼き直すという、そういうことができないかということで行っている実験です。実際にこれ、霧島の硫黄山ですけれども、そこでやったところ非常にいいデータが取れて、実際の噴火の時に、このような方法でガスの濃度を、測定者が危ない目に遭わなきゃ、安全な状態で測定する、そういう表ができつつあるというふうな成果になっております。それでは、次をお願いいたします。次も火山に関するもので、これも総合部会の高リスク小規模噴火の成果ですけれども、これはドローンを使って火山を観測するというものなのですけれども、この図で示す重要な点は、実際に採られたデータを自治体の防災担当者にどのように伝えるのが効果的かということの試みを行ったっていうことです。これ、実際に草津白根山でドローンを飛ばしまして、それのドローンから入れられた画像情報を、草津の町役場、この町役場の町長室で、実際の草津町長であるとか、あるいは草津町の防災担当者と、それから現地の研究者、東京科学大学の先生方が一堂に会して、ドローンから出る実際の画像を見ながら火山活動がどういう状態であるか、それに応じてどういう防災判断をすべきかということを、その場で実データを見ながら議論できると。それがどれぐらい実際にできるのかというのを試した試みということで、やはりこれ、こういう一緒の場所にいないと、例えば、情報の伝達が遅れるとか、情報の間違いが、伝達間違いとかいろんなことが起こりますけれども、では、このように同じデータを見ながらその場で判断する。分からないことがあれば専門家にその場で聞くということによって、自治体も迅速に防災に災害対応が取れるということで、こういう仕組みがいろいろな自治体で実際できれば非常に有益だと思いますので、そのための試みを行なったということになります。次をお願いします。これも総合研究の成果の一つで、首都直下地震に関するもので、これは首都圏に展開されているMeSO-netという地震観測のデータを、Phase-Netという機械学習の仕組みを使って、非常に精密に大量に震源決定を行ったという成果でして、東京湾の下にある地震の巣というのが、実はそのサイズ、大きさであるとか形からでも、昔の海山の沈み込みに対応しているのではないかということが分かってきて、かつ、その中でも、地震の起こり方が場所によって違うと。例えば、北東斜面では細かい地震がたくさん起こって、南東斜面側では大粒の地震が起こりやすいとか、このように、非常に小さな領域での地震の起こり方が非常に精密に分かったということで、緻密な観測網と機械学習ということを使うことで、将来の首都圏で起こる地震に関する詳細なデータが得られたという、これも重要な成果ということで紹介させていただきました。以上になります。
 
久利測地学専門官:大湊先生、ありがとうございました。質問等は最後にまとめてということで予定しておりますので、どうぞ後ほどよろしくお願いいたします。続きまして、情報通信研究機構、川村委員、よろしくお願いいたします。
 
川村委員:はい。NICTの川村です。よろしくお願いします。次のスライドをお願いします。まず、我々は今、航空機搭載SAR、合成開口レーダーを運用しまして、それを用いて地震火山等の災害発生時に迅速に災害状況を把握するための技術(観測手法・データ解析手法等)の高度化を進めています。今、第3世代の合成開口レーダーを運用していまして、それについて表1に書いていますけれども、通常では15センチ分解能でデータを取得しています。発災時に比較できるベースマップとしての平時のデータを取得することを目的にして、航空機SARのデータを取得するとともに、データ利活用の推進を図っていきたいというふうに考えています。我々は研究機関なので、必ず取りますと約束できるわけではないのですが、発災時には条件の許す範囲でPi-SAR X3によるデータ取得を行いたいと考えているところです。次のスライドお願いします。こちらは昨年度、R6年度の成果概要ですけれども、その前の年に引き続いて、6年度もX3によって火山の観測を行いました。今、気象庁の常時監視火山51のうち、50は取得できています。昨年観測した分の火山リスト(14つぐらい)を下に載せています。このような形で、平時のベースマップとして、有事の比較対象となるようなものを今、整理しているところになります。さらに、それに加えて、新しい観測手法として、CircularSAR、CSARと呼んでいますけれども、その信号処理等の高度化に向けて取り組みもしています。通常は15センチ分解能で観測できるのですけれども、円形に軌道を描いて中心部を観測することで、中心部に限って言えばもっともっと分解能を上げられるというような技術であり、その開発をしているところになります。次のスライドをお願いします。こちらも、昨年度観測した火山のサンプルとして幾つか、桜島、吾妻山、安達太良山を載せているところです。次のスライドをお願いします。R7年度ですけれども、引き続き地形観測を行いつつ、CircularSARの解析、信号処理等の高度化にも取り組みたいと思っています。実際にCircularSARのデータ取得をしてみようと思っているところですし、さらには、X3のデータそのものの、データ利活用の検討っていうことも進めていきたいというふうに考えています。以上になります。
 
 
久利測地学専門官:ありがとうございます。続きまして、防災科学技術研究所、汐見委員、よろしくお願いいたします。
 
汐見委員:防災科研、汐見です。次のページお願いします。まず、NIED01課題についてです。こちら、火山災害の予測力・予防力・対応力向上に関する研究開発ということで、研究分野、組織を越えた連携を進めて、噴火災害の迅速な把握、火山活動の推移の予測を行うとともに、それぞれの技術の実現を通じて、各主体の火山災害に対するレジリエンス能力を向上させるということを目的としております。昨年度の主な成果ですけれども、火山活動情報の把握、火山活動に伴うハザード情報の迅速な共有ということで、JVDNシステムの高度化、あと、SIP4Dシステムとの連携というものを進めております。また、活動が活発化している硫黄島についてですけれども、地殻変動や重力の測定を行いました。さらに、2022年から2024年噴火の表面現象、噴出物特性の時系列的な整理を行って、噴火の規模や推移の把握を行っています。これらの結果については、火山調査委員会で行われた硫黄島の重点評価に貢献するという結果となっております。次のページお願いします。NIED02課題について、こちらは、地震の逐次的評価ということで、防災科研が運用する陸海統合地震津波火山観測網、いわゆるMOWLASなどの観測データ、数値シミュレーション技術等を使って、地震の震源情報や地震動に関する情報を逐次的に評価、提供するための技術開発ということを目的としているものです。スライドには主な成果として2つ示しております。左側、こちらは先ほどもありましたけれども、令和6年能登半島地震の活発な余震活動の特徴を調査するということで、特に、臨時観測をやられる前を対象に、3次元地震波速度構造を考慮して、F-netのデータを使ったCMT解析を行ったということで、断層面の形状や応力場が複雑に変化している様子を捉えることができました。右側ですけれども、こちらは大地震発生後、いわゆる余震による地震動の強さを予測する手法について、新たに構築したMwと最大振幅の関係式を用いることで結果が改良される、改善されるということを確認したという結果になります。次のページお願いします。NIED 03課題について、こちらは、大地震の発生機構の理解と予測に関する研究ということで、巨大地震の発生、連鎖の物理プロセス解明を目指して、衛星測位データ、地震波形、津波記録等のデータ解析と、巨大岩石摩擦実験から得られる知見を、物理モデルに基づいて統合する研究ということで、こちらも2つ、主な成果を示しております。左側は津波観測データの利用例で、2023年10月に観測された、顕著な地震動を伴わない津波について、津波計と地震計の記録を解析することで、震源過程および津波波源を推定することに成功したという例になります。右側は、防災科研が運用する世界最大級の巨大岩石摩擦試験機の写真になります。6メートル×0.5メートルの疑似的な断層面を滑らすということで、震源核形成を経て一気に断層全体が滑る従来のパターンに加え、応力状態によっては本震前にプレスリップが繰り返し発生するということが初めて確認ことができております。次のページお願いします。NIED 04課題について、自然災害ハザード・リスク評価と情報の利活用に関する研究ということで、南海トラフ沿いに発生する地震のうち、過去に事例があるM8クラスの「半割れケース」をモデルとして、防災対応ガイドライン等を踏まえた人口分布の変動を考慮しつつ、地震および津波による人的被害リスクを試算した結果を示しております。地震動による死者数が多くを占めること、事前避難による死者数の低減率が最大20%であるということを示すことができました。また、半割れ、西側のほうが先行する場合のほうが人的被害を抑えられるなどの傾向を示すことができております。次のページをお願いいたします。最後、NIED 05課題ですが、基盤的観測網の運用となります。この課題は、防災科研の有する7つの基本的観測網、Hi・F・K・KiK・S・DONET・V-netからなるMOWLASおよびMeSO-netの安定運用を実現するということで行っているものです。通常の地震やスロー地震に関する解析、地震調査委員会・地震予知連絡会等への情報提供を行っております。その情報提供の一例という形で、右側に豊後水道と日向灘の地震の解析例、ざっくりですけれども示しております。一つ大きなものといたしましては、南海トラフの海底地震津波観測網N-netの開発整備を進めておりまして、沖合システムについては昨年10月15日よりデータ公開を開始しております。また、沿岸システムについては、昨年度中に海底への敷設を終了しております。整備自体も本年度6月6日をもって完了しておりまして、既に試験運用フェーズに入っているところです。以上です。
 
 
久利測地学専門官:ありがとうございました。続きまして、海洋研究開発機構、田中委員、お願いいたします。
 
田中(聡)委員:はい。田中がご説明いたします。課題番号JAMS01は、海底火山研究の成果でございます。1つ目は、ちきゅう掘削によります、100メートルの試料を用いまして、鬼界カルデラのカルデラ噴火間の、9.5万年前から7300年前までの複数の噴火の噴出物の成分分析を行いました。マル2のほうにSiO2の実験の変化は示しておりますが、この結果、7,000年前のアカホヤカルデラ噴火は、流紋岩質マグマですけれども、その流紋岩室マグマの蓄積にかかった期間は9万年ではなくて9,000年ということが分かりました。次のスライドお願いします。海底火山の現状をモニターするために、われわれはCTBTOのIMSアレイの常時観測を行っております。その結果、方位とかで検出するのですけども、方位検出だけじゃなくて、周波数成分、マル4で示していますFI値という周波数成分、高周波成分、低周波成分の比を使うことによって、爆発的活動、震度、普通の地震によるT-Phaseというものを区別ができるってことを示しました。次のスライドお願いします。課題番号JAMS02は、構造探査によるものをまずはご紹介しますけども、波形インバージョン、フルウェーブインバージョン、FWI解析によって、構造の詳細化と反射法のデータの再解析によって、特にここに示しておりますのは、室戸沖の海底の構造でございますけれども、まずはマル1の、海洋地殻直上の低速度帯の検出。さらには、初動走時によってぼんやり見えていました、付加体中の低速度柱の改善、イメージの改善。さらには、反射法解析によって示されております、反射面深さの改善というのが見られました。次のスライドお願いします。次のスライドは、構造と低周波地震の発生の状態というのを詳細に調べることができました。これもフルウェーブインバージョン、FWI解析による成果でございますけども、P波速度の変化、さらには地殻厚の変化、スラブのほうの地殻の厚さの変化、これと、スロー地震の発生期とか固着域の関係を比較しまして、解釈としては、厚くてでこぼこしたスラブ地殻が沈み込むことによって上盤プレートの破砕帯が形成して、ロー・ベロシティーゾーンが形成されると。さらには、それによってプレート間結合が弱まり、スロー地震が発生する状況というふうな解釈に至りました。次のスライドお願いします。これもJAMS02の成果ございますが、これは、スロー・スリップ・イベントと黒潮の関係を見いだした成果でございます。海面高度の変化というのも、焼き直しますと、従来、2012年の2月のイベントが、規模と比較しまして、スロー・スリップ・イベントの継続時間が長いイベントがございましたが、これは、黒潮の蛇行によります海面高度の低下が原因、一部影響を受けているということを今回、解明いたしました。次のスライドお願いします。次は、光ファイバーセンシングによりまして、津波を直接捉えた成功例でございます。これは赤字のマル1で書いています、広帯域DASの観測装置の成果でございます。これは、JAMSTECが開発しました安定化レーザーによって、ノイズを減らすだけでなくて、観測できる周期帯を170秒まで伸ばすことによって、右側のグラフに示しております、津波の分散性を直接検出することに成功いたしました。次のスライドお願いいたします。次は、JAM03の成果でございますけども、これは、滑り欠損率のインバージョンの高度化でございます。3次元不均質構造およびGreen関数のデータベース、ベイズ推定を導入することによって、より詳細な滑り分布と固着域の、ごめんなさい、固着域と低周波地震、滑り分布の関係を満たすことができました。今後、海底地殻変動の導入でさらに詳細な解像度の向上が期待されます。以上です。
 
 
久利測地学専門官:ありがとうございました。続きまして、産業技術研究所、今西委員、よろしくお願いいたします。
 
今西委員:産総研の今西です。AIST01では、沿岸海域において地形・地質調査を行い、海溝型巨大地震の履歴とメカニズムの解明に取り組む課題となっております。令和6年度は、左図の黄色の四角に示した領域におきまして、津波堆積物などの調査を行いました。特に、能登半島地震に関しましては、真ん中の図になりますけれども、珠洲市において津波堆積物の調査を行いまして、珪藻化石の分析や堆積構造の観察から、複数の土砂の供給源があるということを明らかにしております。また、右側、能登半島地震を象徴する海岸隆起に関しましては、現地での高精度な測定を行ったのに加えまして、過去の隆起を記録する海成段丘の形成年代を明らかにするために、年代測定用試料の採取も行いました。これについては来年度報告できると思います。次のページお願いします。こちらは陸域の活断層に関する研究課題で、特に、連動型巨大地震の発生様式を古地震学的に明らかにしようとする課題になります。これは、主に文科省の委託経費で進めている研究ではございますが、産総研でも重要な研究課題ということで交付金を投入して、重点的に進めているものになります。令和6年度は、左図に示しております、四国陸域の中央構造線のセグメント境界付近におきまして、トレンチ調査、ドローンLiDAR計測、ボーリング調査を行いまして、過去4回の地震時上下変位量、平均活動間隔等の古地震学的なパラメーターを推定することができました。右側にはトルコの地震の例も出しておりますが、現地の調査機関と協力しましてトレンチ調査を行いました。暫定ではございますが、先行する活動時期を抑えることができております。次のページお願いします。こちらは火山の研究になります。火山地質図の作成や、火山関連データベースの整備に関する課題になっております。令和6年度は、左図に示しておりますが、火山地質図としてはシリーズ24番目になります、御嶽火山地質図を刊行いたしました。今後、ハザードマップの作成や避難計画の策定、土地利用の立案などに活用していただけるものと期待しております。また、火山に関する各種データベースにつきましても、コンテンツの充実を図りました。右図は火山灰データベースの更新状況を示したものですが、令和6年度では、新たに約40火山の火山灰データを追加いたしております。次のページお願いします。AIST04は、断層岩の調査分析、さらに、室内実験を通じまして、断層の変形機構の解明に取り組むという課題で、いわゆる地震の素過程を調べる課題になっております。左側ですけども、産総研では、断層の最深部が地表に露出している三重県の中央構造線におきまして、継続的な地質調査を行っております。令和6年度は、延性変形により形成された微小空洞、スライドではキャビテーションと書いておりますけれども、これを伴うウルトラマイロナイトが、約1.2キロメートルにわたって連続的に分布しているということを明らかにしております。詳細は割愛しますが、強い延性変形によって岩石中に形成、成長拡大する微小空洞が断層破壊の始まりへ発展することを見出した成果となります。次のページお願いします。こちらは再び火山の研究になります。噴出物の物質科学的解析に基づく研究課題になります。左側ですが、伊豆大島の1986年火山噴出物の表面微細組織解析を行いまして、虹色の光彩を持つスコリアは、特殊な噴火条件で生成されるということを明らかにした研究になります。今後、虹色スコリア分析によって火山噴火のダイナミクスの理解につながる可能性があるのではないかと期待しております。真ん中はマルチガスセンサーの研究です。これは、ちょっとした工夫によりまして、水素濃度の高精度化が可能になったというものです。今後、火山ガスのモニタリングにおいても有効に活用できるものと考えております。次のページお願いします。こちらは地殻応力場推定に関する課題になります。令和6年度は、右図に示しますように、地殻応力の推定域を海域に広げることを目的に、防災科研のS-netの速度計のデータを活用した研究を行いました。振幅情報を利用するためにはかなり大きな振幅補正が必要になりますが、これを適切に行うことで、少なくともM2クラスの地震のメカニズム解を高精度に推定できるということを確認しております。次のページお願いします。AIST07は、南海トラフ地震の中・短期予測精度の向上を目指す研究になります。右上に観測点の分布を示しておりますが、昨年度は大分県の佐伯市蒲江おきまして、新規観測点を設置しております。良好なデータが取れていることを確認しております。また、今年の3月に延岡北方におきまして新規観測点も整備しておりまして、こちらのデータも順調に取れていることを確認しております。最後のページお願いします。これは、活断層データベースに関する課題になります。従来のデータベースでは20万分の1地形図上で編集しておりましたが、現在それを5万分の1地形図上で表示できるような作業を進めております。令和6年度は、右図に示しておりますが、大阪府およびその周辺域における活断層のデータの見直しを行いまして、それをデータベースで公開しております。ぜひご活用いただければと思います。以上です。
 
久利測地学専門官:ありがとうございました。それでは続きまして、国土地理院、山際委員、お願いいたします。
 
山際委員:はい。それでは、国土地理院から5件ご報告させていただきます。まず44ページ、1個目でございます。衛星測位を使った地殻変動の把握に関するものでして、こちら、ご覧いただいているのは、プレート境界における基底小変動を検出した事例でございます。まず、南海トラフにおきましては、東海地方、それから紀伊半島南部、四国中部において、揺れを伴わないスロー地震の検出がありまして、これを把握しているところでございます。また、そのほかの地域におきましても、房総半島で同様のスロー地震が発生しているということ、それからあと、去年の8月にありました日向灘の地震で、地震後に横滑りが発生しているということを把握しておるところでございます。次のページお願いします。今ご紹介しました、衛星測位を使った地殻変動の把握は、これ、地震前後の動きももちろん見ることができまして、今この図でご覧いただいているのは、先ほどご紹介しました日向灘の地震の、地震前後の変動の様子をベクトル図でお示しをしている。あと、時系列を示しているものでございます。このような観測の背景といたしまして、このGNSS連続観測システムの高度化というものも並行して進めておりまして、今、3つほど課題をお示ししておりますけども、このような高度化の課題に取り組んできたというところでございます。次のページお願いします。今度は、GNSS以外のツールを使って地殻変動の把握を行っているという事例でございます。SARにつきましては、先ほど合成開口レーダー、NICTさんから先ほど、ツールとしては紹介があったかと思いますが、こちらを使って、国土地理院のほうでは2時期の干渉画像を使って地殻変動を把握するということを行っておりまして、これを今、かなりデータたまってきておりますので、時系列の解析を実施しております。これを国内の火山、それから全国を対象とした解析を実施しておるところでございます。こちらの変動の把握につきましては、もちろん地震と、それから火山の活動に伴う変動についても、その都度緊急観測などを行って、それで解析結果などを公表しておるところでございます。それから2つ目でございますけれど、VLBI、超長基線電波干渉計というものがございますけれども、こちらは国際協働観測によって、非常に長い基線の距離を正確に求めるということができます。これらにつきましては、例えば、プレート運動の状況などを把握するのに使われまして、こちらのほうの国際協働観測を引き続き実施しておるところでございます。また、古い手法でございますけれども、水準測量についても、これも長らく実施をしておりまして、主に上下変動の観測で活用しているというところでございます。次、お願いします。航空機SARにつきましては、先ほどNICTさんからもお話ございましたとおり、火山の地形の変状などを把握するのに使われるわけでございますけれども、国土地理院のほうでも、測量用に航空機持っておりますので、この航空機にSARを搭載して、必要に応じて地形を観測するといった体制は整えておるというところでございます。次のスライドお願いします。火山・地震に関する情報整備といたしまして、これは主に地図に関する整備の状況でございます。火山に関しましては火山基本図、それから火山土地条件図というものの整備を進めておりまして、令和6年度に関しましては、基本図については4火山を公開完了。それから、3火山について整備を行いました。それから、土地条件については焼岳を公開。それから、2つの火山について整理を、それから、活断層図についても国土地理院のほうで整備を行っておりまして、令和6年度につきましては8面公開を完了いたしましたところでございます。また、土地条件図、今、下の真ん中のところにあるような、どんな地形であるとかいった情報をまとめた土地条件図についても整理を進めておりまして、令和6年度につきましては43地区公開しておりまして、データの面積といたしましては3,400キロ平米という形で整理を行っておるところでございます。次のスライドお願いします。これらの結果につきましては、必要に応じて国の委員会とかで報告を行っているところでございますけれども、国土地理院においても地震予知連絡会を運用しておりまして、こちらのほうでも情報提供して議論を行ってもらっておるところでございます。例えば、重点検討課題といたしましては、ここの表にあるとおり、これまで4つの重点検討課題につきまして、国土地理院からも情報提供し、また、他機関からも情報を頂きましてご議論を進めていただいたところでございます。簡単でございますが、国土地理院からは以上です。
 
久利測地学専門官:国土地理院 山際委員、ありがとうございました。続きまして、気象庁、清本委員、お願いいたします。
 
清本委員:はい。気象庁、清本です。JMA01から説明いたします。JMA01ですが、地球物理学的手法ですとか、衛星解析、地球化学的手法と、さまざまな手法を用いまして火山活動の把握や予測技術の開発を行っております。次のページ、お願いいたします。次のページは全磁力の毎日値から自動ノイズ補正を行う技術ですとか、偏角伏角を測定する機器開発および熱消磁源のモデリングの時間分解能高度化等に取り組んでいるところです。次のページ、お願いいたします。次のページは、緊急地震速報と津波の技術開発となります。緊急地震速報につきましては、警報発表の迅速化ということで、P波部分を利用した、S波相当の振動をオンサイト予測する、P波PLUM法の開発を行っています。津波につきましては、ライブカメラを用いた現地調査の活用や、それを用いて逆伝播解析を行って、例えば、能登半島地震における富山付近の津波到達が早かった件についての研究等を行っているところです。次のページをお願いいたします。次のページは、地震活動・地殻活動監視の高度化というところで、地震活動変化指標である、β値が高まった観測点の分布と、動的誘発地震観測された、これを機械学習で求めていますが、その観測点分布とがよく似ていることから、優位な地震の活性化が繰り返し見られる観測点の抽出を行っています。また、豊後水道付近の深部低周波微動と潮汐の関係についても研究を行っているところです。次のページをお願いいたします。JMA05ですが、日々の地震活動および地殻活動の監視を行っておりまして、一元化震源や検測値を関係機関に活用していただくのはもちろん、自ら南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会や、地震調査委員会のほうに資料提出等を行っております。次のページをお願いいたします。JMA07ですが、こちらは、日々の地磁気精密観測を実施しておりまして、また、過去のデータについてもデジタルデータ化を図っているところです。次のページをお願いいたします。次のページはJMA08ですが、火山観測の強化とデータ収集・蓄積・共有というところで、火山観測は全国4つの火山監視・警報センターで実施しておりまして、地元気象台も含めて、現地調査および機動観測等も適宜行っているところです。また、観測成果につきましては、火山調査研究推進本部および火山調査委員会のほうに資料提供を行っているところです。次のページ、お願いいたします。JMA09ですが、こちらは全国地震カタログとなっております。その中でも、深部低周波地震につきましては、Matched filter法のテンプレートの追加及び閾値の調整も行いまして、これまで若干イベント数の検知が少なかったところにつきましてはイベント数が増えておりますし、また、そのほか震源過程解析につきましても、ホームページに情報を掲載しているところであります。次のページ、お願いいたします。JMA10ですが、こちら、噴火警報に資する火山活動の評価というところで、例として、三宅島の火山活動評価の高度化、右のほうは、火山噴火予知連絡会に代わりまして火山情報アドバイザリー会議を開催しておりまして、そのことについて紹介しております。次、続きまして、JMA11とJMA12は一度に説明いたしますが、こちら、地震・津波・火山の防災情報および防災・減災の知識に関する普及啓発となっております。自ら普及啓発やアンケート調査等も行っておりますが、そのほかさまざまな機関と連携協力して取り組みを行っているところです。気象庁からの説明は以上となります。
 
 
久利測地学専門官:ありがとうございます。続きまして、海上保安庁 伊藤委員、よろしくお願いいたします。
 
伊藤委員:はい。海上保安庁です。よろしくお願いします。海上保安庁では4つの課題について報告いたします。まず1つ目が海洋測地の推進ということで、和歌山県にあります下里の水路観測所において、SLR観測をしております。これは、人工衛星までの距離を測ることによって自分の位置を正確に決めて、プレートの相対運動の決定に資するデータを取得しようというものです。一番右に取得数のグラフがありますが、昨年度は1年間で3,000以上のパスを取得しまして、歴代最大の取得数となりました。次、お願いします。次は験潮です。海上保安庁の全国20カ所の験潮所において潮汐観測を実施しております。昨年度は8月8日および1月13日の日向灘の地震で津波が発生しましたが、鹿児島県にある2カ所の験潮所のデータが津波の捕捉に使用されました。次、お願いします。次は、海底地殻変動観測です。これは、巨大地震の発生が予測される海域に基準局を置きまして、プレートなどの動きの観測をしております。昨年度は1年当たりの平均観測回数として、日本海溝海域では2.3回、南海トラフでは4.2回の観測を行うことができました。日本海溝におきましては、東北地方太平洋沖地震の後の余効変動は、大局的には小さくなっているものの、まだまだ地震前には戻っていないということが明らかになりました。それから、南海トラフにおきましては、プレートの移動による変動が見られているということが分かっております。次、お願いします。最後は海域火山の観測になります。航空機や測量船を用いた海域火山の観測を南方諸島、それから南西諸島において行っております。昨年は、航空機による観測を15回、ほか、無人の航空機による観測も4回試みております。それから、測量船を用いた海底地形の調査は、日光海山において行われました。それから、ちょっとここには書いてありませんが、最近よく使われるドローンを用いて変色水や火山灰を採取しようという、そういう実証実験も行っております。海上保安庁からは以上です。
 
久利測地学専門官:ありがとうございました。続きまして、北海道立総合研究機構の高橋主査です。委員ではございませんけれども、今回報告をお願いいたしております。よろしいでしょうか。
 
高橋主査:北海道立総合研究機構です。よろしくお願いします。私たちは2つの課題を行っていまして、1つ目は、継続的に行っている北海道内の活動的な火山の観測です。私たちは、北海道内の特に活動的な、雌阿寒・十勝・樽前・倶多楽・有珠・駒ヶ岳について、主に温泉とか噴気を対象とした地球化学的なモニタリングを継続的に行っています。昨年度に関しましては、特に活動が活発化するような顕著な変化というのは認められませんでした。得られたデータについては、気象庁だったり、大学や地元の自治体と情報共有して、各火山の監視だったり防災対策に活用されています。毎回同じような図となりますが、一つの例として、今回、十勝岳の温泉と噴気の観測の例を示していますが、前回の1988年の噴火の前にも、噴火の前兆現象と考えられる大きな変化があったのですが、最近は特に変化なく経過しています。噴気のほうも、化学成分や温度、同位体比含め、どちらかといえば活動が低下しているようなデータとなっている状況です。次をお願いします。もう一つは、地震・津波災害に関する課題で、地域産業への影響評価や、対策手法の開発という課題になっています。北海道の日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震による、北海道の基幹産業である農業被害額の概算を行うとともに、特に深刻な被害が想定される畜産・酪農に関して、関連産業も含めた経済的被害の詳細な推計を実施するという目的で行っています。成果の概要としましては、千島海溝モデルで、被害額が3,683億、日本海溝モデルで2,612億と推計されたということや、あとは、非農業分野への波及効果が数百億円規模になるということ、あとは、酪農の被害に関しては、生産物や動物等の被害について、大部分はインフラの停止によることが大きいということが分かりました。なので、そのようなインフラの停止が起こらないような停電・断水対策を事前に行うことが有効であるというような成果となっています。以上となります。
 
 
久利測地学専門官:ありがとうございました。最後、山梨県富士山科学研究所の本多研究員に説明をお願いいたしております。こちらの委員ではございませんが、外部専門家として説明いただきます。よろしくお願いいたします。
 
本多主任研究員:山梨県富士山科学研究所です。我々は3つの課題を担当しておりまして、一つは火山防災教育、それから物質科学、そして、地物観測ということで報告をいたします。次のスライドをお願いします。防災教育ですが、クロスロードというのを用いて、状況付与された時に、子供たちがどう判断してどう行動するかといったことをやっております。これによって、深く考えて判断するということを通して、火山防災の対応、それから防災体制の仕組みといったところを学んでいただいています。もう一つ、Jr防災士という称号をつくって、そういった方に防災の講演をしたりして学んでもらうということもやっています。次のスライドをお願いします。物質科学のほうでは、これは新しいトピックスとして、岩屑なだれの流れが止まった末端部で、写真にあるように、木材が流れに乗って、止まる時にどう配向して止まったかというのを調べたということをやりました。これは、バイパスを造成した時に出た法面にたくさん木が埋まった後、木が朽ちてしまって空洞になっているのですが、この穴を270個ぐらい調べて向きを調べてやると、太い木材の跡っていうのは、大体大きな流れの向きに背向して止まる。細い木材については、末端部のいろんな局所的な流れに流されて背向しているように見えるというようなことが分かりました。次のスライドをお願いします。もう一点は、山頂部の調査というところを、力をようやく入れ始めることができまして、昨年は剣ヶ峰での噴出物について記載をして、それから、薄片を作ったりしましたが、今後は全岩の化学組成ですとかそういったところを調べつつ、麓で見られるテフラとかそういったものと比較を、対比をしていくということを検討しています。次のスライドをお願いします。地物観測のほうは大きく3つ紹介しますが、重力観測は継続をして続けていまして、昨年は蔵王にあった超伝導重力計が今、浅間にあるのですが、それが途中でちょっと富士山に寄ったということで、絶対重力計FG-5と並行観測ができました。絶対重力計を置き始めたところでは、超伝導重力計のヘリウムの影響か、データが乱れているのですが、降雨のイベントを2つの重力計で同じようなデータを採ることができたということがありました。次のスライドをお願いします。もう一つは、富士山のどこかで起こっている低周波地震の波形分類ということに取り組んでおりまして、波形相関に基づいて階層クラスタリングということをやって、大体そんなにきれいに分かれたりもしなかったりはするのですが、5つの波形グループに分類ということができました。右上のマップを見ていただくと、場所としても大体、水平方向に主にうまく分かれて見えたりはしているようです。波形を見ていただくと、大きく言うと、東と西で大きく傾向が違うようにも見えるということが分かってきました。次、お願いします。最後に、空振観測の話題ですが、空振の観測は富士山の非常に広い河口が、想定できる範囲の中のどこで河口が開いたかと、避難に直接関わってくるような重要な情報を得るために有効な観測だと思って実施しておりますが、昨年はいろんな場所で小アレイの観測をしながら、どの場所でどういうノイズがあるのかといったことを調査しまして、実際に噴火を考えた時にどういう観測点配置をデザインすればいいのかという研究をしてきました。もう一つは、DASの機材をお借りすることができるということで、花火大会をターゲットにして、いろんな設置状況を、ある土地で、小さな範囲ですが、設置環境を変えていろいろ観測をしてみたということをやりました。地震や空振計自体も並行観測をしながらデータを採ることができまして、これについては徐々に解析を進めているところです。以上になります。
 
久利測地学専門官:ありがとうございました。ちょうど時間になりましたので、この後は全体の質疑対応にお願いできればと思います。
 
宮澤分科会長:ご報告ありがとうございました。予定しておりました10機関全てからの報告いただきましたので、全体についてご議論いただきたいと思います。当初、自由にご発言いただこうと思っていたのですが、時間もありますし、より多くの委員の皆さまからご発言をいただきたいと思いますので、こちらのほうから委員の方を指名いたします。せっかく委員会にご参加いただいておりますので、一言ずつ質問、あるいはコメントを頂きたいと思います。まずは、私から短く発言いたします。私自身、地震を専門としております。能登半島地震については幾つかの機関、大学、防災科研、産総研、気象庁、ほかにもあったかもしれませんが、多くの機関から能登半島地震に関する報告等がございました。特に、研究者によるボトムアップの研究ということで、能登半島の地震活動自体は徐々に低下しつつありますけども、今後についてどうなっていくか、あるいは、能登半島自体でどんなことが起きていたのか、そういったものの研究が続くことを期待しております。以上、私からのコメントです。それでは、先ほど申し上げたとおり、委員の皆さま方から、特に今、ご説明いただかなかった委員の皆さま方から1人ずつご講評、あるいは質問いただきたいと思います。名簿の順番でまいりますが。まず、産総研の田中委員、お願いいたします。
 
田中(明)委員:産総研の田中です。いろいろ盛りだくさんなので、1つに絞っていったほうがいいのかなと思って、私はNICTの方の、SAR話をお伺いしたいと思います。気象庁の常時観測のうち、51火山のうち50が終わったというふうにご発表いただいたと思うのですが、これでベースマップが整備されたということなので、来年以降のご方針をお聞かせいただければいいかなというふうに思います。1年ごとの計画、1年とか3年ぐらいかけて多分、ベースマップを取られたと思うのですが、それに比べて、十分火山活動のタイムスケールが違う中で、どういうふうな戦略を持って今後進めていかれるかについてお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 
川村委員:ありがとうございます。NICT(情報通信研究機構)川村です。これから火山についてどういうふうに取り組むかというのは、ぜひ、このような議論の中でもお知恵を拝借したいところでもあります。我々としましては、技術開発の部分をメインで行っており、火山・地震等の観測はその隙間で実施しているというのが実態です。衛星SARの場合は干渉計観測でかなり精度の高い地殻変動などが出るのですが、航空機SARの場合同じ軌道を採ることがなかなか難しいので、長期にわたる高精度な地殻変動などの解析は難しいところもあります。我々としては、Pi-SAR X3で平時のデータを一通り取得したところなので、今度、これをどのぐらいの間隔で採るのが良いのか、どういう形で火山を採っていくのが良いのかというところはまた検討したいと思っています。ぜひ議論させていただきたいと思います。
 
 
田中(明)委員:はい。ただ、分解能がすごくいいということと、地形の変化とか、あるいは噴出物、あるいは地滑りが起こったとか、そういう微細構造の変化をモニタリングするのは非常に有効なものだと思いますし、CSARというのもかなり有効だと思いますのでよろしくお願いいたします。
 
川村委員:ありがとうございます。
 
宮澤分科会長:ありがとうございました。では、続きまして、大倉委員、お願いいたします。
 
大倉委員:全般的なことに対するコメントです。昨年度から、地震火山防災研究課の下で火山調査研究推進本部が立ち上がりまして、また、気象庁さんのほうではアドバイザリーボードという組織が立ち上がりました。火山活動評価等に関しての枠組みが新たにできてきたところであるということで、スペーストレイン手法と並行して、いろんな観測、技術の発展化、いろんな観測技術が発展してきているというところで、今後、この研究の計画も非常に重要なものになってくる。特に火山については、各調査研究推進本部で今後、重点的に取り組むべき、研究課題に対するアクシーズを見つけていくっていうことで、この研究は非常に重要になってくるというふうに考えております。
 
宮澤分科会長:ご意見ありがとうございました。続きまして、小平委員、お願いいたします。
 
小平委員:質問ではなくてコメントとなりますが、まずは、非常に多岐にわたる発表をありがとうございます。非常に勉強になります。ただ、発表は多岐にわたり過ぎていて、これをどうまとめて理解していけばいいかというところがなかなか分からず、今回の発表ではずっと機関別に発表いただいているのですけれども、少しご検討いただきたいのは、今後、成果をお話しされる時に、機関別というよりも、むしろ課題といいますか、資料5では幾つかのトピックでまとめられていますけれど、その課題ごとでまとめてご説明いただけるといいかなと、お話を聞いていて思いました。取りまとめは非常に難しいかもしれませんので、今後ご検討いただければ助かります。以上です。
 
宮澤分科会長:貴重なご意見ありがとうございます。続きまして、竹内委員、お願いいたします。
 
竹内委員:先ほどの小平委員と似た感想というか、お願いとなりますが、たくさんの情報でとても勉強になるのですが、やはり、トピックごとにまとめていただけると非常にありがたいなっていうのが、まずお願いとしてありました。それからもう一つは、各機関でもさまざまな研究成果を公表しているような、データベースなど含めてたくさんあると思いますが、それらが全体として、どこか一元化をしていくような考えや、総合的な共有をしていくような考えがあるのか、そういうところも、今後の利用というところを考えた時には検討していただきたいなというふうなお願いになります。以上になります。
 
宮澤分科会長:はい。ありがとうございます。ご提案も頂いたというふうに思っております。どうもありがとうございました。続きまして、寺川委員、お願いいたします。
 
寺川委員:はい。ありがとうございました。まず、感想ですけれども、もう既にご指摘いただいていることとも似ているのですが、たくさんの広い範囲の分野の研究成果が挙がっているのは素晴らしいことと思うのですけれども、全体としてどういう方向に行くのかというのが、ぱっと聞いただけで分かりにくい部分があるなというのが感想です。来年度はレビューもする必要がありますので、全体としてどういう方向に向かっていくのかっていうところも少し意識したらいいのではないかというふうに感じました。それから、質問に関しては面白いなと思うのがありまして、まず一つはJAMSTECだったと思うのですが、黒潮の海面の低下とスロー地震の関係に関して、これは、海面が下がるってことは、風圧が下がって、強度の、その分の強度が下がってスロー地震が起きやすくなったという理解で正しいでしょうか。
 
田中(聡)委員:私からお答えしてよろしいでしょうか。田中でございます。
 
寺川委員:はい。よろしくお願いします。
 
田中(聡)委員:ご質問ありがとうございます。専門ではないので正しい答えになっているかどうか分からないのですけれども、黒潮の影響で弱化が起こったというよりは、黒潮による海面上昇が海底圧力というふうに変換されまして、それを海底圧力計、それが一緒になって測っているもので、黒潮の影響とスロー・スリップ・イベントによる海底の圧力変化、これを一緒になって解析している可能性があるということを示したものでございます。よろしいでしょうか。
 
寺川委員:ありがとうございました。あともう一点、これ、大学だったと思うのですけれども、草津のSBLに関して、これ、まず定義が私よく、不勉強で分かっていないので、簡単に教えていただければありがたいです。
 
大湊委員:図のこれですけども、SBLっていうのは、ある長さのウィンドウを作って、その中での一番エネルギー的に低いところを拾っていくというものです。例えば、1日で言うと、大体夜中のデータが拾われますし、イベントとかがあったとしても、その中での、例えば夜とか、活動が低下している、そういう低い時期の地震動レベルを拾っていくという、大ざっぱに言うとそういう考えなのですけれども。が、普段何も地震がないようなところでも、ずっと火山周辺では火山性微動が起こっており、しかも、それが火山活動に連動して、どうも増減するとか上下するということが見えています。霧島の例ですと、霧島、例えば2011年の噴火です。で、平成2年前から西のほうにマグマの蓄積があって、それで、あの周辺が、あそこのマグマだまりが膨張したっていうことがありまして、それから、その後2018年も、噴火の半年からちょっと前からマグマだまりへの膨張があったと。その地殻変動とこのSBLの変化は非常に相関がいいです。ですから、どうしてSBLに変化するかというモデルはまだないのですけれども、マグマだまりに蓄積が進むと周辺の応力場が変わります。その応力場の変化によって、火山周辺の振動の原因は熱水活動なのか、それともマグマから分離して出しているのか、その辺は分からないのですけれども、応力場の変化に敏感に反応して、火山周辺の振動レベルが上がると、そういうものらしいというのが分かっていて、ただ、それはまだ事例が少ないので、霧島で得られたものが多分、この草津市内でも見えるかどうかということを始めたのがこの研究です。見てみると、やはりSBLの増加というものと、アンデスといったものは対応しているということなので、何らかの火山活動の指標になるであろうということは分かっています。ただ、メカニズムが分からないということと、あと、どうも地殻変動と対応がいいと。でも逆に言うと、同じ動きをするなら地殻変動で十分じゃないかという考え方もあるわけなのですけれども。例えば、霧島のほうで言うと、どうもSBLの変化っていうのは、火山体からの距離と、その後の活動によって違います。例えば、大きな噴火の時には、火山帯から結構離れたところでもSBLが全体的に増加しているのですけれども、大きな噴火に至らないような、山頂付近だけで終わるような火山活動、その時には、このSBLの変化も火山帯周辺の狭い範囲だけでどうも変化するということが霧島では見えています。ですから、それはやはり応力変化を反映した浅い部分の熱水系の活動レベルが、このSBLの正体ではないかというふうな想像はあるのですけれども、まだ分からないです。今はいろんな火山で少しデータを集めてみようという段階です。以上です。
 
寺川委員:ありがとうございます。とても分かりやすかったです。ありがとうございました。
 
宮澤分科会長:ご議論ありがとうございました。続きまして、藤田委員、いらっしゃいますか。お願いいたします。
 
藤田委員:藤田です。皆さんおっしゃったところで、非常にそれぞれいろんな研究テーマがされていてご発表あって、それぞれ成果上げられているのは非常に重々よく分かりました。ただ、建議のつくり上、それを一つの方向にまとめるっていうのが、やっぱりちょっと建議ではそこは難しいのかなというような印象を持っているので、このような年度発表に関してはこういった方向性にならざるを得ないのかなというところで、それはコメントというか、感想です。それがある意味、建議のいいところかなというふうに思っています。それから、あと2つ質問ですけど、富士山研について、少しサイエンスな話となりますが、低周波地震の分類で5つのクラスターとなっていますけど、それに対して何か物理的な解釈がありますか、というのと、もう一つはDASです。DASについては、多分、今後は火山本部とかでも、結構重要なテクニカルな観測事項となってくるものであり、多分これから進むと思うので、このMFRI03において、ちょっと将来的に、今後どういうふうにされる構想があるのかっていうことを、もしお教えいただければ参考になろうかと思います。以上です。
 
本多主任研究員:ありがとうございます。まずは、最後から2ページ目ですかね。波形分類の例をちょっと。これはだから、それぞれどういったことが起こっているかっていうイメージの話ですかね。まだそこまで話は詰められてない状態で、どちらかというと、これがソースで起こっていることの違いなのかどうかというところも含めて検討をちゃんとしていこうという段階です。具体的にこれやっているのは池谷さんで、蔵王でいろいろ検討されているので、そういった知見を生かしながら、実際にどういう現象が起きているのかというところには迫っていきたいと思っています。次に、DASの話ですが、DASは我々も少し手を出してみたというか、ただで使わせていただけるということで思わず手を出してしまった感じがあるのですけれども、やってみると結構面白くて、今回、花火を使って空振を捉えるということをやってみましたが、当然、埋めても弱いし、空中をぶらぶらしていてもあまりうまく取れないということで、転がせておくのが一番取れた感じはありました。実は、田舎の光ファイバーケーブルは、大体は架空と言って、電柱を結んで通してある形がほとんどなので、イベントから近いところでどう取れるのかっていうところも興味あったりして、引き続き、例えば、自衛隊の演習ですとか、花火がたくさん上がったりっていうことがあるので、機会があればいろんなシチュエーションで計測をしてみたいなというのはあります。そんな将来的にどうしたいっていうのは、なかなかその予算が確保できるかどうかっていう問題もありまして、そこまで深く考えてはいませんでしたが、専門的にやってらっしゃる方々とちょっと意見交換しながら検討したいです。
 
藤田委員:ありがとうございます。非常に参考になりました。どうもありがとうございました。以上です。
 
宮澤分科会長:どうもありがとうございました。続きまして、山田委員、お願いいたします。
 
山田委員:山田です。これまであんまり観測計画に関わってこなくて、今回初めて参加させていただいたので、こういういろんなことをやっているのだなと、大変勉強になりました。何か私のほうから言えるような立場ではありませんが、幾つか自分も関わっているというか、見たことある研究成果もあって、大変勉強になりました。これからもいろいろ学ばせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
 
宮澤分科会長:では、引き続きよろしくお願いいたします。続いては、相澤委員、お願いいたします。
 
相澤委員:どなたかに質問とかいうことではないのですが、DASという新技術が出てきて、それで、そのDASは今、幾つか発表あったかと思いますが、大抵、早く変動するほうの成分に注目されているのですけれども、最近、DASにローパスフィルターをかけて、それを積分して、地殻変動データひずみ計として使うっていう論文がアイスランドでサイエンスか何かに出て、その研究に私はすごい感銘を受けたのですが、もし詳しい方がいらっしゃったら、今後、日本でもそういう研究に進んでいく可能性みたいなことで、何かご意見お持ちの方がいらっしゃったら聞いてみたいと思いました。
 
宮澤分科会長:すいません。私も、先ほど富士山研のお話とただ今のご発言に関して、DASに関しては非常に今後の日本の、例えば地震のみならず、測地学的な観測網について、いろいろ今までできなかったような観測ができるようになっていくというふうには期待しております。特に、相澤委員には専門委員の立場として、そういったものがこれから有効になってくということに関する、ぜひサポートの意見を強く頂ければというふうに思っております。
 
宮澤分科会長:はい。もし、この件に関して追加の情報お持ちの方、あるいはご発言いただける方いらっしゃれば今、聞いておきますが、いかがでしょうか。そうしましたら、まだ委員の方々でご発言いただいてない方々いらっしゃいますので、最後にまた、ご発表いただいた委員の方々も含めてもう一度聞きたいと思いますので、次に進ませていただきます。鈴木委員、お願いいたします。
 
鈴木委員:JAMSTECさんの発表で、鬼界カルデラの掘削のお話があったと思いますが、ページとしては27ページですかね。これ、なかなか興味深いお話だと思いました。流紋岩質マグマの蓄積におよそ9,000年かかったというのは、どういった根拠で言われているのでしょうか。なぜかというと、出てきたものの全岩組成だと思うのですけれども、2つマグマがあったら、その間のものがいろいろ出ると思うので、流紋岩質マグマがもう少し前、7,300年前のカルデラ噴火の9,000年前ではなく、もっと前からあってもいいのかなと思いましたが、何かその辺の根拠があったら教えていただきたく思います。
 
田中(聡)委員:改めまして、田中でございます。ご質問ありがとうございます。
マル2で書いています、SiO2の経年変化、時代、年代変化によりますと、太い矢印で書いていますが、1.8万年前から1.6万年前において、SiO2の含有量がやや多めになって、底を打つというか、多めになっているところがあります。そこから若干また低く下がっていくというところが根拠になっておりまして、1.6万年前から7,300年前にかけて、7,300年前に出た流紋岩質の成分が蓄積されたのではないかという類推になっております。
 
鈴木委員:承知しました。羽生さんの論文も拝読させていただきます。ありがとうございます。
 
田中(聡)委員:よろしくお願いします。
 
宮澤分科会長:ありがとうございました。それでは続きまして、西村委員、お願いいたします。
 
西村委員:はい。全体的な感想を先に申し上げますと、まず、小平委員等、多数のご指摘ありましたけれども、個別にいろいろ研究成果が上がっていますが、なかなかいろんな多岐にわたっていて、まとめ方が難しいというか、特に今年は、この第3期の計画になって1年目の成果がご報告されたと思うのですけれども、第3次として何か新しく打ち出したような基軸があったのかというところなどもご説明いただけるとありがたかったかなというふうに思います。あと、個別の研究に対しては、私も1つだけ質問させていただきますけれども、産総研の課題、AIST07の41番の資料で、こちら、地下水・地殻変動観測による地震予測精度の向上ということで、短期的SSEの断層モデルが左のほうに示されていると思いますが、これ、いつも地震調査委員会とか、あるいは南海トラフ評価検討会などで発表されている内容かとは思うのですけれども、この時の、このイベントの今出ている例ですと、割と矩形断層がかなり細長くなっていて、あんまり、それぞれの時期のモデルがかなりずれているように、ずれているというか、あんまり重ならないように、要は、一個一個が離れているように見えるのですけれども、これは、いつもこういうことが起こるのでしょうかというのが質問で、実際はもうちょっと連続的に変化しているものが、たまたまこういう矩形断層っていう限定を置いているためにこういうように見えるのかっていうところをお聞きしたいです。
 
今西委員:今西です。ご質問ありがとうございます。一つは、これ、ひずみ計をメインに使っていることもありまして、観測条件、例えば、その時期に雨が降ったりするとデータが悪くなって、あんまりいいデータにない観測点が出てきたりした場合に、この断層の形状がうまく押さえられないっていうケースがありまして、少し確認しなければなりませんが、この図で示した例はそういった事例であった可能性があるかなというふうに思います。
 
西村委員:分かりました。ありがとうございます。私のほうからは以上です。
 
宮澤分科会長:ご議論ありがとうございました。
 
大湊委員:大湊からよろしいでしょうか。
 
宮澤分科会長:はい。お願いします。
 
大湊委員:西村さんのほうから、第3次計画の目玉は何かというご質問がありましたので、地震火山観測研究推進協議会企画部としての説明をさせてください。大学のほうの発表資料で幾つか紹介したとおり、今期は総合研究というものを、総合研究グループというものをつくって、そこでの研究を、総合研究という形で進めるというのが一つの大きな目玉です。第1次とか第2次ではそういう仕組みがなかったわけですから、第3次はそれに力を入れたいというふうに考えています。やっぱりここの課題を見ると、成果を見ると、関係者にとっては非常に面白い事業だと分かったとしても、ほかの方々には重要性が分かりにくいというものが多いのですけれども。例えば、今日紹介した中の、高リスク小規模噴火で、草津白根の事例です。多分、12枚目ですかね。だから例えば、こういうふうに、研究の成果が社会にどういう方向で役に立つかっていう方向性を示すような、こういうことができるというのが総合研究の一つの利点かなと思っていますので、例えば、ここの研究の成果、その面白さ、重要さもありますが、建議全体として、こういう実際に世の中に役に立つにはどういう方向の研究を進めなければいけないかとか、何が欠けているかということを考えるような、そういうことを意図したものも行われているということで、こういうものを見ていただいて、計画全体で何か進展しているのだなということを理解していただければと思っているところです。以上です。
 
宮澤分科会長:大湊委員ありがとうございました。そうしましたら、次、松島委員、お願いいたします。
 
松島委員:はい。全体を通して、今もご指摘あったものに関係すると思うのですけど、この計画は皆さんご承知のとおり、災害の軽減に貢献するための地震・火山観測研究計画ですが、それをほとんど意識されてない発表が多くあるように感じました。あくまでも、この計画の中でやっているということであれば、いかにその成果が災害の経験に貢献するかということを意識した発表であるべきじゃないかなというふうに思います。そうすると、おのずとどこに向かっていこうとしているのかっていうのがつながってくるのではないかと思います。ばらばらに見えるのは、やはりみんなばらばらに思い思いに。やりたいことをやるのがこの契約のいいところということもあるかもしれませんが、つながってないように見えるというのは、皆さんの意識がやはり同じ方向に向いてないからじゃないかなというふうに思います。それが全体に対するコメントです。質問は1つありまして、JAMSTECさんの03課題で、固着の状態についての非常に面白いというか、成果だと思いますが、ここで成果として、滑り欠損率と過去の大地震破壊域、それからスロー地震の関係というのがすごく明確に分かれているということかなと思ったのですけれども、ちょっと分かんないというか、例えば、このマル1の図の中で、南海トラフ、南海地震側は結構固着しているにもかかわらず、東海地震側がそれほどでもないということが、それをどういうふうに解釈したらいいのかということと、もう一つは、東側の一番北側の深い沈み込んだ側で固着が強いというふうになっているのは、これは滑り欠損が大きいというふうに言ったほうがいいですかね。これはどういうふうに、これもどういうふうに解釈したらいいのかっていう。もう端っこなのでここは見るなっていうことであればそういうことなのかもしれませんが、それがすごく成果として面白いと思いましたので、質問させていただきます。
 
田中(聡)委員:改めて、田中でございます。ご質問ありがとうございます。すいません、ちゃんとお答えできません。多分、今おっしゃった、ヒント頂いたように、やはり海側であることと、領域の端っこだってことが一番効いているのではないかとは個人的には思っておりますが、これ、お時間頂いて確認させて、関係者といいますか、担当者に確認させていただいてよろしいでしょうか。
 
松島委員:もちろん。ありがとうございます。あと、東海地震側の色が薄いというのはやはり、これも、もしよろしければ確認をお願いできればと思います。南海地震側と同じように固着が強いのではないかと思っていましたが、意外とここが抜けているというのが少し不思議だなと思いました。右側の微小地震の分布と見ると、そこが、この緑色の浅いところのが効いていて、そこが開放されているというか、滑り欠損が強くなっている理由なのかもしれませんが。
 
田中(聡)委員:伊豆半島の西伊豆、駿河湾辺りのことをおっしゃっていますよね。私からは少し説明が難しいのです。
 
松島委員:すいません。ありがとうございます。
 
宮澤分科会長:よろしいでしょうか。
 
松島委員:はい。
 
西村委員:京大、西村ですけど、もしこれ、私、この論文の共著になっているので、もし私から答えてよければいいですかね。
 
宮澤分科会長:はい。よろしくお願いいたします。
 
西村委員:最初のほうの松島委員ご質問は、まず、この東海地方の陸側のものは、これはモデル化する時にやっぱり海のプレートの影響をしっかり入れていなくて、東海地方の北のほうになると、陸域の中にも、いわゆる新潟神戸歪集中帯という変形ゾーンが出てきてしまいますので、それがどうしてもプレート境界に押し付けているような影響があるのだというふうに思います。ですので、これは少し解析的に、技術的に本来は出てきてはいけないようなものが現れてしまっている可能性があります。それから2点目の東海側が割と弱いというところは、特に、左側の滑り欠損率で見ますと、南海トラフといっても、プレートの収束速度は一様ではなくて、やはり東海側のほうが遅くて、四国というか、西にいくほど早くなるというような、フィリピン海プレートの運動があります。特に、東側のほうは伊豆半島の衝突の影響などもあって、プレートの収束自体がかなり遅くなっているというような影響で、特に滑り欠損率で見ると小さくなるというところがあります。右側は多分、その滑り欠損率を割り算して0から1で固着を表しているので、そういう意味では東海側にもかなり赤いとこはあるのですけれども、多分、一部の水色っぽいところは、例えば、スロー地震などが発生していて、あまり滑り欠損率が高くないというのを主張したいというところだと理解しております。以上です。
 
松島委員:分かりました。ありがとうございます。
 
宮澤分科会長:ご議論ありがとうございました。また、松島委員からの1つ目に重要なご指摘をいただいたと思っております。これで全員ご発言いただいたと思いますが、もう一度、ご発表された委員を含めて、いま一度何かご発言等がございましたら、挙手、あるいはミュートを外してご発言ください。特にございませんかね。詳細につきまして、個々にまたご対応いただくような質問等が出てくるかもしれませんし、そうしましたら、この場では本報告については終了させていただきたいと思います。そうしましたら、この報告自体も承認事項となっておりますね。本報告についても承認させていただきたいと思います。長時間にわたりご議論いただき、どうもありがとうございました。また、説明いただきました各機関の代表者の皆さまも、どうもありがとうございました。それでは、ここで休憩に入りたいと思います。再開時間ですが、17時10分再開を予定しております。
 
久利測地学専門官:17時10分になりましたら、再度お集まりいただき、ご議論等よろしくお願いいたします。それでは休憩に入ります。
 
<再開>
 
 
[議事7.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次報告【成果の概要】の作成方針について]
 
宮澤分科会長:それでは、議事を再開します。議事の7番「「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次報告【成果の概要】の作成方針について」に入ります。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
久利測地学専門官:はい。事務局よりご説明差し上げます。資料7をご覧ください。今後の令和6年度成果の概要の作成方針についてですが、昨年9月の第58回地震火山観測研究計画部会でご議論いただき、資料の7のとおり進めることとなっております。要点としましては、やはり先ほどからも議論になりましたけれども、どこがポイントになるか分かりやすくするというところで、テーマの6つの項目および重点的に取り組む研究の目的の達成にどのように貢献するかが分かりやすくまとめていこうというところです。そこを強調するということで方針を決めていただいております。取りまとめに関しては、第13期の取りまとめ委員を、西村委員と鈴木委員にお願いしたいと考えております。成果の概要は、資料の7に基づき、委員のお2人を中心に、地震火山観測研究推進協議会および関係機関の協力を得て作成ということになっております。ご協力お願いいたします。それから、昨年9月の議論の中で、分量の圧縮、文章の分かりやすさ、図の活用などを留意しながら成果の概要を取りまとめるように、日野先生、大湊先生などからご意見いただきました。その上で、地震火山観測研究推進協議会と文科省の間でもこの方針ということで調整させていただく部分もあります。効率的な作業ということを念頭に置いておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。具体的には、網羅的に成果をご報告する従来の形式はやめて、成果の概要の本体では、代表的なもののみ取り上げることとし、図や絵を多用しながら取りまとめを行う方向性です。事務的な話については、今後、取りまとめ委員、協議会、文部科学省の間で調整しながら、皆さんにもスケジュール等お知らせしていきます。昨年の流れについてご紹介すると、6月~8月にかけて草稿を作成いただき、9月末から10月ごろに取りまとめについて審議をするという流れが、今のところの昨年に準じた流れとはなります。事務局からは以上となります。
 
宮澤分科会長:先ほどの議論とも少し関連するようなところかなというふうにも思っております。作成方針自体は、既に前期、第12期の時の部会で承認いただいておりますので、この方針で進めさせていただければと思います。ポイントとしては、事務局からも説明がありましたが、効率化を図りながら取りまとめを行うところかと思います。取りまとめ委員の西村委員と鈴木委員、よろしくお願いいたします。それから、この取りまとめに当たっての構成について、主に地震火山観測研究推進協議会が検討を進めておられると思いますけども、大湊委員から何か補足等があればお願いいたします。
 
大湊委員:はい。今、久利さんのほうから説明があったとおりですけれども、これまでの成果の概要はやはり、極力皆さんの成果を広く拾い上げるという方針というか、そういう傾向が強いために、やはり計画全体としてどういう方向に向かっているか、何が重点なのかというのが若干分かりにくかったというようなことがありましたので、今回からもう少し分かりやすくということ、分かりやすさに力を入れようということで、先ほどの説明のとおり、まず、図を多用するということと、あと、メリハリですね。何でも取り上げるというよりも、例えば、各項目から1つ2つずつ、代表的なものを取り上げることにして、それから、重点計画というものも、重点課題というものがあるのですけれども、そういう、計画全体として力を入れるっていうものに関しては必ず取り上げるとか、そういう方針を基に素材を今、選んでいるところです。そして、表現の方向にしても、文章よりも図を中心ということで、まず、図があって、それを分かりやすく説明することを考えています。以前ですと、図の説明はキャプション程度の短い説明で、図があっても、それでお分かりいいかと言われるとなかなか難しいところがあったのですけれども、やはり、今回は図に加えて、その図がきちっと中身が分かるようなしっかりとした説明も付け加えることを考えています。それから、代表的な成果の図と、それに対する詳しい説明、それを一つのトピック当たり大体1ページをめどにまとめて、それを、各大きな項目から1つ2つ取り出したものを集めることで成果の概要としようというふうな方針で今、進めているところでして、トピックの選択、あるいは文書の作成等進めつつ、それから、取りまとめ委員であれば西村さん、鈴木さんとも相談しながら進めている段階です。以上になります。
 
宮澤分科会長:ありがとうございました。それでは、今回、西村委員と鈴木委員に成果の概要の取りまとめをお願いさせていただくことになりましたけども、もし西村委員、鈴木委員のほうから、特に、毎年トピックスっていうのを取り上げておりますけども、そういったものについて何かお話いただけることがあればご発言をお願いいたします。
 
西村委員:西村ですけど、その点についてはまだ、完全に今の段階でお話できるものはありませんけれども、今日、特にご紹介いただいたような、各機関の中での資料の成果も踏まえまして、これから相談して検討したいと思っております。よろしくお願いします。
 
宮澤分科会長:承知いたしました。もし、鈴木委員からもご発言ありましたらお願いいたします。
 
鈴木委員:はい。西村先生と同様になりますけれども、今後検討させていただきたいと思います。また、そのために、本日貴重な情報をいろいろ頂きましてありがとうございます。
 
宮澤分科会長:はい。どうぞよろしくお願いいたします。
 
大湊委員:大湊から追加ですけれども、今日、機関別の報告の後に、宮澤さんのほうから能登地震が重要だという話がありましたけど、やはり能登関係の成果というのは重要ですので、トピックのほうではそれを取り上げる方向で検討しているところであります。以上です。
 
宮澤分科会長:ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明、あるいは各委員からのご発言等を踏まえて、何か委員の皆さま方からご質問やご意見がございましたらお願いいたします。
 
竹内委員:熊本大学の竹内ですが、1つよろしいでしょうか。
 
宮澤分科会長:お願いいたします。
 
竹内委員:今のスケジュールのほうで、12月ごろにオンライン入力システムの準備があるというふうなことが書いてあるのですけれども、こちらのほうは、入力項目などについてはどこかで議論する機会というのがあるのか教えてください。
 
宮澤分科会長:大湊委員、情報をお持ちでしょうか。
 
大湊委員:これは、年次報告機関別の作成方針のところの(2)オンライン入力システムとあるのですけれども、例年どおりの形で、どういう内容を入力するかというものはもう既に設定されていて、それに入力してもらうという形になります。ここで言うオンライン入力システムの準備という意味は、例えば、課題の中で変更があった場合に、今あるシステムに修正を加えるとかそういうことを考えている記載でありまして、オンライン入力システムとしては、既に今あるものをこれまでどおりに入力していくという形になります。具体的な入力項目というのは、事務連絡にも書いてあるとおり、各年度の成果と、それから、それに対応するような成果物です。論文や報告書等のリスト等々、こういうものを入力する。それぞれの欄を用意しておりまして、それで入力してもらいます。それから、次年度以降の計画であるとかいうものを入力してもらうような形式になっております。
 
竹内委員:どうもありがとうございます。今のところの成果の概要のところですけれども、アスタリスクのほうで書かれているような、例えば、災害の低減に貢献するというようなことや、今後の課題のようなものというのは、どの機関も必ず入力がされるような、そういう項目立てに既になっているということでよろしいですか。
 
大湊委員:入力欄のほうにここの米印のような説明がありますので、基本、どの課題に関しても、それぞれの課題がこの建議全体の中でどういう位置付けになるかというものを考えた説明を記入してもらうということを期待しております。実際、入力されたものを見ると、必ずしも全体の中の位置付けをきちっと説明するとは限らない場合もありますが、それは、それぞれの課題の性質にもよる部分がありますので、位置付けを説明しやすい課題もあれば、非常に専門的な内容が、そういうものはやはり説明しにくいってものもあると思いますが、こういう説明書きはありますけれども、ここの過程で必ずというよりも、計画全体として、方針であるとか、災害の軽減に貢献するという方針に、そういったことを貢献して、それで、どれを拾えば計画全体として大きなタイトル、災害の軽減に貢献するということがより説明しやすいかということを、報告書にまとめる時の材料にすると、そういうものを期待した記述になっています。実際、多くの入力内容を見るときちっと書いてくださっているので、これは反映されていると思います。
 
竹内委員:ありがとうございます。
 
宮澤分科会長:ほかにご質問等ございますか。もし、ほかにご質問、ご意見等がなければ、この資料のとおり進めさせていただければと思います。ありがとうございます。
 
 
[議事8.地震及び火山観測研究における令和5年度年次基礎データ調査結果について]
 
宮澤分科会長:それでは、次の議事ですが、議事8「地震及び火山観測研究における令和5年度年次基礎データ調査結果について」に入ります。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
久利測地学専門官:はい。事務局よりご説明いたします。資料8をご覧ください。測地学分科会では、年次基礎データを集めております。基本的には、構成される機関の予算と、あと、人員について基礎データを集めております。今年度ですけれども、まず、昨年度からの変更点、今、ハイライトを付けている部分です。本調査、平成7年より開始しておりまして、昨年度、令和4年分までデータが公表されております。昨年までの様式ですと、平成7年から全てを図に表していたのですけれども、表の文字が見にくくなり、実は、少し報道等でも数値の見誤りで訂正記事が出たりということがありまして、せっかく注目していただいているのに、見にくいがためになかなか理解していただけない部分とか誤ってしまう部分があるということで、視認性を高める必要があるのではないかと事務局としましては考えております。その一つの対策として、過去の分はホームページ等に既に資料として挙がっておりますので、直近20年間を表示するということで、レイアウト変更をさせていただきました。それについてご議論などいただければと思っております。もう一点、令和5年度分までをまとめておりますけれども、建議計画第2次になって関連する機関も増えて、少し書き方等なかなか分かりにくかったところもあり、過年度修正等を行っておりますので、昨年までと少し数値が変わっている部分もありますが、それはこれまでも何度か行ってきており、過年度修正を行った部分については注釈対応でということで、例年どおりさせていただいております。変更部分については以上となります。以上を踏まえまして、まず、地震火山予算関連についてですけれども、令和5年度は約266億円の予算が計上されており、前年度から39億円増加しているということで、経年での傾向としては緩やかな増加傾向となっております。2項目以降につきましては、総額の内訳について、政府機関、国立研究開発法人、国立大学法人に分類して内訳等をまとめておりますのでご参照ください。続きまして、9項目となります。先に進んでいただいて、地震および火山研究者数についてのご説明となります。調査の取りまとめの過程で、先ほども言ったように幾つかの機関から過年度実績について修正等ご連絡いただいておりましたので、それを反映した数値となっております。それから、令和5年度の地震火山研究者数の総数は791人。前年度から6人増加しており、経年では緩やかな増加傾向というふうになっております。11ページ目以降につきましては、総数の内訳について、同じく政府機関、国立研究開発法人、国立大学法人に分類してそれぞれ人数をまとめております。ご参照ください。最後に18ページ目です。火山関係研究人材についてですけれども、令和5年度の地震火山観測計画の実施機関に所属する火山研究者の総数は458人。前年度から4人減少しておりますけれども、全体としては緩やかに増加している中での変化となっております。簡単にはなりますが、事務局からの説明は以上となります。
 
宮澤分科会長:はい。ただ今の説明に対するご質問、ご意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。田中委員、お願いします。
 
田中(明)委員:ほかにないようでしたら、1ページ目のところにハイライトしていただいた昨年度からの変更点ですけれども、確かに平成7年からだと見にくく、これでもかなり、20年分でも結構細かいグラフなのかなというふうに思いますので、これで問題はないかと思います。ただ、あえて言えば、せっかくホームページで公開されているということでしたら、これ以上詳しいことを知りたい方はURL見るようにということを注釈としてURLも含めてお書きいただければと思います。今、検索しようと思ったらすぐには出てこなかったので、なお一層よろしいかと思います。詳しく見たい方はそれを見ていただくということで、そのほうが丁寧かと思いました。以上です。
 
宮澤分科会長:ご意見ありがとうございました。ほかに委員の皆さま方からご意見、あるいはご質問等がありましたらお願いいたします。私のほうから小さなコメントというか、意見ですけれども、例えば、9ページからの研究者数の推移とかを見ますと、突然令和元年度から研究者が増えているふうに見えますが、これ、研究計画のちょうど次の5か年に入る、そういった研究計画間のまたぎの部分で増えているように見えているだけのような気がします。ですので、このグラフだけを見ると、純粋な研究者の数が令和元年度で一気に増えたのではなくて、単に研究計画自体が大きくなったがために参加する研究者が増えたと、何かそういったことが分かるように、例えば、これまでつなげてきた5か年計画はどこからどこまでかと分かるような、何か上のほうに年表のようなものや、あるいは、後ろの背景に何かハッチ等をかけていただいて、上に、どの5か年の計画かって分かるように書いていただくと、初めてこのグラフをご覧になっていただいた方にも誤解なく伝わるかなというふうに思って聞いておりました。これは私からコメントですが、ほかにご意見等お持ちの方、あるいは質問お持ちの方いらっしゃいますか。
 
今西委員:今西ですが、よろしいいでしょうか。8ページに誤字があります。「地震火山」というところが「地火山」となっています。
 
久利測地学専門官:はい。修正します。
 
今西委員:その下も同様ですので、修正よろしくお願いします。
 
宮澤分科会長:ご指摘ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 
田中(聡)委員:私もささいな誤字を見つけました。
 
宮澤分科会長:お願いいたします。
 
田中(聡)委員:1ページと9ページの黄色いところがおかしいですね。特に、令和の「令」が、令和3年度の「令」がないです。
 
宮澤分科会長:ご指摘ありがとうございます。まだほかにありますかね。
 
宮澤分科会長:もしほかにご指摘するような、何か誤字や脱字等がありましたら、また会議終了後、事務局のほうにお伝えいただければと思います。もし、それ以外のご質問等ないようでしたら、議事の8についても終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 
久利測地学専門官:それでは、その提案は修正する方向で事務局にて準備いたします。
 
宮澤分科会長:はい。よろしくお願いいたします。
 
 
[議事9.その他]
 
宮澤分科会長:それでは、議事9「その他」に入ります。事務局から何かございますでしょうか。
 
久利測地学専門官:はい。事務局から3点ございます。1点目となります。今年度地震火山防災研究科における各プロジェクト等の予算額について、簡単ですがご紹介の機会を持ちたいと思います。参考資料2をご覧ください。こちらは、文部科学省の火山分野と地震分野に関する予算の概要、防災に関する予算の概要を1枚にまとめましたポンチ絵です。全体としては、120億円を令和7年度の予算として計上しております。前年度と比較すると4億円の増額となって、今年度研究いただいております。活火山法に基づき、令和6年4月に設置された火山研究推進本部を着実に運営し、一元的な火山調査研究、火山専門家の育成などを推進するための経費、海底地震・津波観測網の運用、南海トラフ地震等を対象とした調査研究等がここに計上されているというところでご紹介差し上げます。続きまして、2点目となりますが、参考資料3をご覧ください。現在、火山本部では総合基本施策の検討を進めており、令和7年3月28日に中間取りまとめが行われております。本資料は、その概要についてのポンチ絵となります。測地学分科会の調査審議は、地震本部や火山本部、それに関連する国のプロジェクトなどの施策との連携に留意しつつ検討を進めていただきたいということで、話題提供として、簡単ですがご説明させていただきました。続きまして、3点目となります。先ほどの年次基礎データについてです。本日、令和5年度分の調査結果を取りまとめさせていただきました。各機関の皆さまにおかれましては、協力ありがとうございました。また、ご依頼させていただくに当たり、調査様式に記載させされている事項の意図がなかなか読みづらいということがご指摘いただいております。項目については変更しませんけれども、そこにどういう意図で入力いただきたいかという注釈を、これまで電話等のやりとり、メール等でやりとりしたものを注釈の中にしっかり書き込むということで、今年度の調査は進めたいと思っております。ご協力のほどお願いいたします。事務局からは以上となります。
 
宮澤分科会長:ただ今の説明に対する質問等がございましたらお願いいたします。委員の皆さま方、いかがでしょうか。ご意見や質問等がないようですので、どうもありがとうございました。それでは、議事9「その他」についてはこれで終了いたします。
 
 
[閉会]
 
宮澤分科会長:これで全ての議事が終了しましたので、ただ今より閉会に移りたいと思います。事務局からの連絡事項などお願いいたします。
 
久利測地学専門官:はい。次回の会議は9月か10月頃の開催を予定しておりまして、先ほど議論いただきました、令和6年度の年次報告、成果の概要等についてご審議いただきたいと思っております。どういうところがトピックなのかというところも、説明を加えながら見ていただくということが今日の議論でも大事かと思いましたので、そのような形で次第を準備したいと思っております。
 
宮澤分科会長:それでは、本日の合同会議をこれにて閉会いたします。本日はお忙しい中ご出席くださり、ありがとうございました。進行を事務局に返したいと思います。
 
久利測地学専門官:はい。ありがとうございます。これにて会議を終了いたします。webex会議、終了といたしますので切断といたします。ご参加いただいた委員の皆さま、ありがとうございました。また、聴講いただいた皆さま、ありがとうございました。失礼いたします。
 
―― 了(終了時刻17時38分)――

お問合せ先

研究開発局地震火山防災研究課

(研究開発局地震火山防災研究課)