地震火山観測研究計画部会(第58回) 議事録

1.日時

令和6年9月30日(月曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の 令和5年度年次報告【成果の概要】の取りまとめについて
  2. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の 令和6年度年次報告の作成方針について
  3. その他

4.出席者

委員

日野部会長、青木委員、伊藤(弘)委員、大倉委員、大湊委員、川村委員、関口委員、寺川委員、宮原委員、森岡委員、大園委員、阪本委員、中道委員、松島委員

文部科学省

(事務局)梅田地震火山防災研究課長、久利測地学専門官、杉岡科学官、橋本科学官、五十嵐学術調査官

オブザーバー

防災科学技術研究所地震津波火山ネットワークセンター松澤主任研究員

5.議事録

[委員の出欠状況など]

・委員の出欠状況:田中委員、伊藤(亜)委員、高橋委員が欠席
・議題及び配布資料確認
・事務局の異動:郷家地震火山防災研究課長の代わりに梅田地震火山防災研究課長が着任
・梅田地震火山防災研究課長より冒頭挨拶

【梅田課長】  8月1日付けで地震火山防災研究課長を拝命しました梅田です。本日は御多用の中、御出席誠にありがとうございます。また、平素より科学技術学術政策に御理解と御協力を賜り、改めて御礼申し上げます。本日の議事にありますが、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画第3次が本年度より開始されております。本年は4月に火山調査研究推進本部が設置されまして、また、先日南海トラフ臨時情報が初めて発表されましたが、社会全体で地震や火山噴火現象に対する関心が高まってきていると認識しております。
 本観測研究計画は、地震学、火山学、災害科学等の進展を通して、国民の安全・安心に深く関わるものであり、地震、火山噴火の災害軽減を目指している本計画への期待も、そして重要性もますます高まってきていると承知してございます。事務局といたしましても、我が国の災害の軽減に資する地震火山研究の一層の進展に向けて尽力してまいりますので、委員の先生方におかれましては引き続き精力的な御審議を賜りますようお願い申し上げます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 
【日野部会長】  梅田課長、どうもありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。それでは、続きまして本日の議事及び配布資料について、事務局より確認をお願いします。
 
【久利測地学専門官】  事務局より本日の議事、資料について確認差し上げます。本日の議事は、1「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和5年度年次報告【成果の概要】の取りまとめについて。2「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次報告の作成方針について。3「その他」となっております。
 本日の配付資料は、議事次第に記載しているとおりです。また、会議資料は、科学技術・学術審議会測地学分科会運営規則第5条及び第9条により原則公開となりますことを申し添えます。
 

[議題1.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の 令和5年度年次報告【成果の概要】の取りまとめについて]
 
【日野部会長】  それでは、早速議事1「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和5年度年次報告【成果の概要】の取りまとめについて、審議を始めていきたいと思います。それでは、事務局からまず説明をお願いいたします。
 
【久利測地学専門官】  事務局より説明差し上げます。資料1-1「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」令和5年度年次報告【成果の概要】(案)、それから、資料1-2「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」令和5年度年次報告【成果の概要】参考資料(案)の二つをご覧ください。また、成果の概要については、昨年度決定した参考資料1、令和5年度年次報告の作成方針に基づき作業を進めていただいております。取りまとめ委員の大園委員、中道委員、地震火山噴火予知研究協議会の皆様には、多大な御協力を頂きました。改めて御礼申し上げます。スケジュールにつきましては、参考資料、昨年度方針の日程4。昨年度9月25日、地震火山観測計画作成部会の第55回にて方針を決めていただいております。本年度に入りまして、その方針に従い作成を頂いておりました。本日9月の段階で成果の概要を取りまとめていただき、10月中には修正と最終決定をした上で、事務局にてホームページ掲載及び印刷・配布というスケジュールに入りますので、その旨ご了承いただきますようお願いいたします。
 本文についての詳細は取りまとめ委員からご説明いただくこととなっておりますので、概要のみ紹介いたします。令和5年度は、第2次計画の最終年度の取りまとめとなるため、冒頭に5年間の研究成果を掲載いたしております。また、成果の概要では、例年、当該年度に発生した顕著な地震、火山噴火現象と、本研究計画の活動について掲載しており、令和5年度は能登半島の地殻変動と地震活動について掲載いたしております。
 引き続いて、例年と同様に令和5年度の成果の概要として、計画の項目ごとに主な成果を掲載、最後にまとめ、用語解説と実施機関及び研究課題の一覧表を掲載しております。本文は、初稿については部会委員にメールにて意見照会を行っております。資料1-1は、御意見を踏まえた上で修正されたものです。本日は、この修正稿について御議論をお願いいたします。また、御意見については、先ほど事前の対応状況については見消しファイルを委員の皆様には席上配布という形でお渡ししております。用語解説については、五十嵐学術調査官に作成いただいております。本文と併せて御確認、御議論いただきますようお願いいたします。なお、本日この内容についてはご議論いただきますが、体裁等の軽微な修正、意見については、10月11日金曜日までに事務局までお知らせいただければ、取りまとめ委員や部会長とも相談しながら適宜修正を行います。以上スケジュールの御案内となりました。
 
【日野部会長】  どうもありがとうございます。議事1ですが、この後取りまとめ委員をやっていただいております大園委員、それから中道委員から内容の説明を頂きますが、今年度に関しましては最終年度であったということで、先ほど事務局から御案内があったとおり、5年分の成果報告と、それから最終年度の報告と、そういう意味では例年の2倍のボリュームとなっております。取りまとめ委員の皆様、それから、一緒に作業していただきました協議会の皆様には本当に御苦労を頂いたと思っております。その中身について、非常によい取りまとめになっていると思いますが、御説明を頂いて、その最終文案について本日御意見を頂戴したいと思います。それでは、早速ですが中道委員、大園委員から解説を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
【大園委員】  参考資料2をご覧いただきながら説明をさせていただきます。取りまとめ委員を仰せつかっています大園です。京都大学の中道委員とやっております。よろしくお願いいたします。まずは、内容の御説明を差し上げる前に、資料1の原稿の方、先ほどご説明ありましたが、初稿以降皆様からコメント等を頂きましたので、初稿からの主な変更点について簡単に口頭でご説明いたします。コメント、御指摘等を頂きました。どうもありがとうございました。
 大きな修正として、第2章、5年間の研究成果について大項目ごとにまとめておりましたが、もう少し細かい項目に分けて説明した方が建議の内容との対応が分かりやすいという御指摘がありましたため、中項目でもう少し細かく分けてまとめるようにいたしました。それに伴い一部内容の配置場所が変わったり、若干文章の増減が生じていますので、ご承知おきいただければと思います。内容としては大きな変更はございませんが、見た目はこの部分が一番大きく変わったように見えるかと思いますので、また後で原稿等をご覧いただいて、御指摘等があればお知らせください。
 それでは、成果の概要について、図を使ってご説明いたします。今表示されている頁になりますが、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)の内容を項目としてまとめたものになります。これは毎年の成果の概要に書かれているものですが、御承知のとおり本計画は、丸1、地震・火山現象の解明のための研究、丸2、地震・火山噴火の予測のための研究、丸3、地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究があり、第2次のこの計画から新たに加わっている丸4、地震・火山噴火に対する防災リテラシー向上のための研究。この4つが大きな柱としてあります。このうち、丸2の部分については、印もついていますが、重点的な研究として3つ取組も行われています。また、右側にありますが、丸5、研究を推進するための体制の整備の中では、分野横断で取り組む5つの総合研究を含め、研究の推進が図られています。次の頁をお願いします。
 こちらの図は概念図になるのですが、令和5年度は本研究計画の最終年度に当たるため、令和5年度の成果とともにこれまで5年間のまとめについても掲載しています。主な成果についてこれから図を使ってご説明いたしますが、それぞれの図がどの地域に当てはまるのかというものを一覧としてご覧いただいているのがこちらの図になります。図のタイトルの後ろの方に図の2の何とか図の3の何というようなことが書かれているのですが、これは章番号に対応しています。次の頁をお願いします。
 章の構成についてです。第1章のはじめにから始まり、第2章で5年間の成果、第3章で令和5年度に発生した顕著な地震に関して得られた重要な成果 「能登半島の地殻変動と地震活動 」。また、第4章では例年と同様に令和5年度一年の成果の概要を記載しております。最後に第5章でまとめといった構成になっております。それでは、個別に図を使った説明をいたします。次のスライドをお願いします。
 ここから第2章になります。5年間の成果をまとめた章になります。2-1、地震・火山現象の解明のための研究の中の、低頻度大規模地震、火山噴火現象の解明からの成果になります。太平洋側のプレート境界周辺を中心に本研究計画中に継続的な海底地殻変動の観測が各地で実施され、プレート境界の固着状況が明らかになってきました。ここでは二つの地域を例としてお示しします。左側は南海トラフ、右側は千島南部の観測結果で、いずれも陸側のプレート、日本列島がある方のプレートに対する各観測点の年間移動量を矢印で示しています。左図、南海トラフの北西側では、フィリピン海プレートの移動速度の6割程度の移動が見られました。また、右側の図、千島海溝の北西側でも、太平洋プレートの移動速度とほぼ同じような移動が見られました。ということはつまり上盤側、陸側のプレートがどちらも海側のプレートとある程度固着しているということが推察されるというような結果が得られています。このように海底地殻変動観測の実施により、海溝周辺から陸域までのプレート境界の固着状況の把握が可能となり、将来発生が懸念される海溝型地震の震源域の状況を知る上で重要な成果が得られたといえます。では、次のスライドから中道さんお願いします。
 
【中道委員】  中道です。よろしくお願いします。私からですが、この図2-2は、水蒸気噴火の準備過程を捉えるための火山の熱水系構造モデルでして、この図の左側の図というのは、草津白根山の湯釜の北側の噴気について、ヘリウム・アルゴン比に基づいてマグマ発泡度の変化が検出された例です。発泡度のタイミングというのは真ん中辺り、図の右側ですが、浅部熱水だまりの多く膨張・収縮とよく一致していまして、この草津白根山の活動活発化を駆動するマグマから浅部の活動の物質科学的なつながりを確認することができました。希ガスのヘリウム・アルゴン比という、こういったこれまで使われていなかった指標が火山活動の活発化に関係していることと、マグマの発泡で説明できることを示したところに意義があります。草津白根山のような熱水が卓越している火山における活発化の、熱水より深部の寄与を示唆したという意義もありまして、この希ガスということですので、複雑な反応を考える必要がなく、今後の火山活動のモデリング指標として活用が今後とも期待できます。次のスライドをお願いします。
 これは図の2-3でして、これはスロー地震の総合解析によって南海地震の固着域に向かうスロースリップの長距離移動を示したもので、一番左側の図ですが、スロー地震の発生場所といいますとそれぞれの過去の巨大地震の震源域、それと今の繰り返し日向灘沖や超低周波地震や低周波微動等といったイベントのすみ分けがきれいに見えているのが、四国から種子島沖まで見えております。
 真ん中の図が、それぞれのA~Kの左の図の領域について、深部低周波微動、GNSS観測から得られた変位、繰り返し地震のすべり量、浅部超低周波地震の回数を示したものでして、これを見ますと、南から北に向かってその変化が移動しているように見えます。これは大体1カ月間掛かって移動していることが見えています。これらをまとめたイメージ図というのが右側の図になりまして、このようにすみ分けているとスローイベント、スロースリップ、スロー地震というのが伝わって移動するということが明らかになりました。ということで、スロー地震の発生様式について理解が大きく前進しました。次のスライドをお願いします。
 こちらは図2-4です。これは火山活発化指数(Volcanic Unrest Index; VUI)による火山評価の試みになります。研究の背景としましては、噴火に至らないけれども今の火山活動というのはどうであるかということを伝えるということと、社会の要望として聞きたいということもありますので、そういった要望が高いんですが、課題としてはこの左側に示されるとおり、地域経済のダメージや、あと平時の火山活動と「異常」の線引きの難しさとか、様々な現象をどうやって総合評価できるかというところが課題となっております。例えばこのように地盤変動、火山性地震、火口温度とかそういった数値で表すこともできますが、これに対して複数の多項目データを単一指標で表現する表法としてVUIを日本の火山に試験的に適用しました。これは異常現象の頻度や規模がうまく整理されていればその深刻性をイメージしやすいことと、あと観測項目ごとに0~4で数値化して離散的な数字にして、それを平均して単一の指標にするということで、例えば左のこういった量を当てはめるとそれぞれのスコアとして与えることができて、それで平均化して今の状態としてはインデックスとしていくつということは出すことができます。主な成果としましては、5つの火山でVUIの基準を作成しまして、こういった基準を作ってくるのと数値を出していくところのノウハウが蓄積された一方、今後の検討課題も表れております。次のスライドをお願いします。
 これは図2-5です。これは南海トラフにおける後発地震の発生確率の評価です。先日の8月8日の日向灘の地震にありましたように南海トラフの地震臨時情報というのは出されましたが、これが例えばM8.0以上の地震が起こった場合、これは半割れケースというものですが、これはすなわち南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)というのが発表されます。これについてですが、実際どれくらい確率が高くなるかということを初めて算出したのがこの研究でして、この地震発生後、6時間、12時間、1日とか、1週間、1カ月、3カ月以内につきまして、それぞれの確率と確率利得、つまり普段からどれくらい上がったかというところを計算します。例えば、後発地震についての発生確率を定量的に算出。例えば1週間以内にM8以上の後発地震が発生する確率としましては、普段の100倍~3600倍といった値を出したということで、災害誘因予測につながる災害情報を定量的な数字で提供したところに意義があります。次のスライドをお願いします。
 これは図2-6です。これは防災リテラシー向上のための研究の部分の成果です。これはGIS等の情報技術を活用した実践的な防災リテラシー向上に取り組んだ例ですが、これは津波が発生した場合に避難所にどれくらいで逃げられるかという、実際に訓練をしてそれの時間を計ったものでして、左側のが津波のみの場合で、この場合ですと津波到達から十分余裕を持って避難所に逃げれば7分ちょっとか8分以内で逃げることができますが、例えばこの津波の警報が出た後に土砂災害警戒情報が出たりして、この使える避難所が急に変わった場合、避難のルートを変更しなければいけないので、それも考慮した避難行動をしますと、違う避難所まで行くまで14分も掛かってしまって、これはすなわち津波が到達しているかもしれないといった、こういった課題が浮き彫りになりまして、複合災害による新たな課題を確認して結果の可視化を参加した人たちにフィードバックすることで意識の変化が見られています。次のスライドをお願いします。大園委員に替わります。よろしくお願いします。
 
【大園委員】  次のところからは、研究を推進するための体制の整備の項目から2枚ご紹介いたします。研究基盤の開発整備の成果になります。こちらは国土地理院のGNSS連続観測網のデータをリアルタイムで解析して、地震が発生したときに断層の推定まで行う一連のシステム(REGARD)が、この5年間で開発、高度化されました。示している図は、2021年3月に宮城沖で発生した地震の時の地殻変動場で、右の矢印で示していますが、それと推定された断層の位置や各パラメータを右図に示しています。推計した断層の各パラメータについても、それぞれがどれくらい不確実性を持って推定されているのかということについても評価ができるようになり、左側にそれぞれのその分布を示しています。簡単な見方としては、各パラメータの分布が山のようになっているのですが、その山がシャープだとそのパラメータがある程度しっかり決まっているというような判断ができるようにもなっています。REGARD自体は既に実用化されていて、この5年間で改良と高度化が進められたということで、5年間の大きな成果、進展であるというふうにいうことができます。次のスライドをお願いします。
 こちらも同じ項目から地震観測網の整備で得られた成果をご紹介いたします。この5年間で海域の地震観測網も整備され、2020年9月からはそれらの地震観測データが気象庁の一元化震源処理のルーチン業務に含まれるようになりました。日本海溝から千島海溝にかけての東日本太平洋沖に展開されたS-netのデータが加わることにより震源分布がどのように変わるかというのを示したのが表示されている図になります。左側がマップ上に投影しているもの、右側の方が各地域を断面にしているものになります。右側で見ますと北から順に各領域の断面となっているのですが、薄い青の点というのがS-net導入前で、黒い点というのがS-net導入後の震源分布を示していて、黒の点の分布で示すとおり引き締まった分布になっている。海域での震源決定精度が向上して、明瞭な分布というのが見えるようになりましたという成果になります。次の頁をお願いします。
 次からの2枚は、第3章の令和5年度に発生した顕著な地震に関して得られた重要な成果として、能登半島の地殻変動と地震活動からご紹介いたします。まずは地震活動についてです。元旦の大地震も印象に残っているかとは思うのですが、その前に発生した中で一番大きかった2022年5月5日のマグニチュード6.5の地震について、地震時のすべり分布やその前後の地震活動の詳細というのが調べられました。図に示しているのがマグニチュード6.5の地震の断層面をどちらの図にも赤の線で囲っている矩形で示していますが、これは北西側が浅く南東側が深くなっているような傾斜を持ったものになっています。その上にすべり分布がカラーコンターで示してあり、赤いところほど大きく滑ったことを意味します。地震波の解析により、この時の破壊は南側から北側へ、つまり深い側から浅い側へ進んだことが分かりました。また、この地震の前は、左図にある青や緑の丸の分布になるのですが、深さ10 kmから14 kmぐらいの比較的深いところでの地震活動が多かったのですが、右側の図、マグニチュード6.5の地震発生後から約7時間後に発生したマグニチュード5.9の地震の間には、震源分布は図でご覧いただきますとおり浅い部分に広く分布するということが分かり、こういった浅い領域に震源分布が移動して地震が発生する場所が変化したということで、マグニチュード6.5の地震前後の一連の地震活動の詳細というのが明らかになりました。次の頁をお願いします。
 こちらの図は、今年元旦に発生した地震による地殻変動の分布を、干渉SARと呼ばれる衛星画像解析から得られた結果をお示しします。衛星の軌道の関係から、この解析では左側に示す準上下方向、右側に示す準東西方向の変位場というのが得られるのですが、能登半島の北側の沿岸部に色が付いていることがご覧いただけるかと思います。こういった沿岸部で大きな変動が広域にわたって捉えられました。沿岸では現地調査も行われており、その結果ともよく対応しています。ということで、マグニチュード7.6の大地震による詳細な地震時の変位分布というのが明らかになりましたという成果です。次をお願いします。
 ここからは第4章になります。令和5年度の成果の概要についてご説明いたします。こちらの図は4-1、地震・火山現象の解明のための研究の中から、地震・火山現象に関する史料、考古データ、地質データ等の収集と解析の成果として、関東地震に関する歴史史料からの解析結果の事例をご紹介いたします。相模トラフ周辺で発生する大地震について、左の図で6つありますが、図で示すように過去6つの地震について情報を整理して、これらの関東地震といわれるものの候補をいくつか組み合わせを行い、それによって地震発生確率がどのように変化するか、時間の経過とともにどのように推移するかといったことを調べた成果になります。例えばこの6つ全ての地震が関東地震として繰り返し発生しているというように仮定して考えると、30年以内の地震発生確率というのが右下のグラフに示されているのですが、それの黄色い線で示すように推移して、前回の関東地震から100年経過した現在、横軸で100年のところが現在になるのですが、そのところでは19%となるというふうに予想されました。他にも組み合わせを変えることによってその推移というのが変化します。地震の計測データがない時代については、過去の史料の確度の高い情報があれば長期間をカバーすることが可能となるので、地震発生確率のこういった推定にも拘束を与えられる可能性を示した結果だというふうにいうことができます。次の頁をお願いします。
 同じ項目からもう一つご紹介いたします。こちらは全国の考古発掘調査から得られた災害痕跡の情報をまとめてデータベース化しWebで公開したというものになります。図で示しているのは例として奈良市周辺の地図と各項目の情報の分類がプロットされています。図の上の方に示されているURLだったり2次元バーコードからこのサイトにアクセスすることができ、これで災害状況の地図上での可視化というのが進むとともに、また、令和5年度については特に資料データの表示機能等も追加され利便性が高まりました。このような形で仕上げられましたという成果になります。では、次のスライドからまた中道委員、お願いします。
 
【中道委員】  これは鬼界カルデラの噴出量推定とマグマ供給系の進化を示している図で、図の4-3になります。左側の下の図は、過去の大規模の火砕流噴火の堆積物の層厚を示しております。これと、この周辺で行われました反射法地震探査や、後はコアサンプリングの分析等によりまして、2回の大規模火砕流噴火に相当する堆積物が海底に厚く堆積しておりまして、噴出物は71 km3以上であると推定されました。これは真ん中の図から右側の図に表しています。これは噴出物の分析から明らかになりましたマグマ供給系の進化を示していまして、aが7300年前の鬼界アカホヤ噴火期。bが鬼界アカホヤ噴火で噴出しきれなかった残りのマグマが噴出してきた前期硫黄岳の活動の時期。cが新しい苦鉄質マグマと珪長質マグマによる火山活動期。最後はdの現在の活動期に分けまして、マグマの起源物質の変化が起きたこと、鬼界アカホヤ噴火直後には残りのマグマが活動して、その後新たな珪長質マグマと、より深部からの苦鉄質マグマによる供給源が形成され、海底の巨大溶岩ドームや薩摩硫黄島の活動を引き起こしていること、海底溶岩ドームではマグマ混合がほとんど起こっていないことなどが明らかになったということで、カルデラ噴火後のマグマ供給系の変遷過程が明らかになりました。次のスライドをお願いします。
 これは図4-4ですが、地球内部の物質構造のイメージング手法として新しい方法が開発されました。左上ですと、これは地球物理観測から得られる物理量として地下水・マグマ組成、熱流量、地震波速度、電気伝導度がありますし、右側の方は、室内実験などにより、温度・圧力条件に応じた物性から推定される地震の速度、電気伝導度、密度等が別途求められるのですが、これを組み合わせることによって最適化手法によるパラメータ推定によりまして、例えば下のように岩質や液体というところに焼き直すということで、こういった地球内部の物質構造のイメージングをすることで、地殻とマントル最上部の構造のイメージングが大きく前進しまして、今後の災害要因としての地震・火山活動の仕組みの理解に資すると期待されます。次のスライドをお願いします。また大園委員、お願いします。
 
【大園委員】  こちらは4-2、地震・火山噴火の予測のための研究の大項目の中にある海溝型巨大地震の長期予測の項目の中で得られた成果になります。相模トラフで発生する大地震について、左図で示すようにGNSS観測から得られた定常的な地殻変動場から応力蓄積速度、つまり力学的な固着しているところというのを推定し、過去の大地震やスロースリップの発生等を考慮して、真ん中の図で示すような2023年時点での応力蓄積分布というものを求めました。この蓄積された応力が地震によって解放された場合のシナリオを考えて、その場合にどういった断層面のすべり分布が発生するのかというのを予測したのが右側の結果となります。こうして見ていただきますと、房総半島の南部、安房パッチと呼ばれるところで応力が蓄積されるということが指摘され、現在でもモーメントマグニチュードで7.8の規模の大地震が発生し得ることが分かりましたという結果になります。次の頁をお願いします。
 こちらは同じ項目なのですが、内陸地震の長期予測に向けた研究の成果になります。例年、これまでも各地域のこの結果というのをご覧いただいているかと思うのですが、今年度は全国版としてまとめたものがこのように提案されました。どういうことをやっているかといいますと、GNSSの地殻変動と背景地震活動の記録・データを用いて、日本列島でマグニチュード6以上の地殻内地震、内陸地震が発生する確率を計算するという手法を確立して、それをマップ化して、その結果を表示したものになります。暖色系の赤色に近いところでは、地震発生確率が相対的に高いと思われるところになるのですが、こういった分布というのがひずみ集中帯と呼ばれるような地域等に対応しているということが分かります。この課題については、本計画の重点研究の一つ、地震発生の新たな長期予測の成果でもあり、政府の地震調査研究推進本部でも今後この成果を何らかの形で活用してもらえるよう、この5年間でも連携強化を図ってきたということを申し添えておきます。次の頁をお願いします。
 続きまして、地殻活動モニタリングに基づく地震発生予測の項目の成果になります。南海トラフの海溝軸周辺でタービタイト(深海堆積物)の調査を実施したところ、プレート間固着している分布だったり、スロー地震の発生領域と空間的な関係があるということが明らかになりました。図の赤色で示す地域はすべり欠損速度が大きい地域、つまりプレート境界が固着しているところになるのですが、そういったところと、また、水色の丸の部分というのがスロー地震の発生領域になるのですが、タービダイトの分布というのは蛍光の3色で示している地域で見つかっており、その地域ではスロー地震が発生しておらず、こういった分布にすみ分けがなされているというふうに考えられます。その原因として、タービダイトは透水性に優れており、この地域の間隙水圧の低下を招き、断層面のせん断強度を大きくしているため、このようなすみ分けが発生しているのではないかというふうに考えられています。次の頁をお願いします。
 続きまして、地震・火山噴火の災害誘因の予測のための研究の中の、事前評価手法の高度化の項目についての成果になります。仙台平野南部に伏在活断層というのが存在しているということは知られているのですが、その詳細な広がり等を知るために重力測定を実施して、潜在断層に起因する重力変化というものを求めました。これにより、断層がどこまで続いているのか、連続性というのが分かり、連続性を明らかにしたというものをお示ししています。この断層の長さというのが分かったことから、この断層が活動した場合、どのような地震が起こって震度分布になるかというところまで計算して求めています。それを右側の図に色で示しているのですが、各地の震度予測を行った結果、断層に近いところで震度7となる可能性がある地域が明らかとなりました。伏在断層というのは地下に埋もれていて地表に出てこないため、その広がりを把握することが難しいのですが、このような調査で分布を明らかにすることで、起こり得る地震の規模や地震動を予測することは可能となった成果の一例であるといえます。では、次のスライドから中道委員、お願いします。
 
【中道委員】  これは図4-9でして、これは南海トラフ沿いの巨大地震を想定して、高知県と大阪府の構造種別ごとの建物損失率の期待値を計算したものです。上段が高知県、下段が大阪府でして、左から木造、S造、RC造となっていまして、例えば最大値では高知県で木造で60%、RC造とS造で30%、大阪府では木造で35%、RC造とS造で20%といわれていた、建物の構造の違いによる建物損失率の定量的な推定から差異の比較が可能となりました。次のスライドをお願いします。
 これは図4-10でして、これは防災リテラシー向上のための研究です。日本における学校・地域での防災教育実践の特徴に基づく、防災基礎力を向上させるための教育実践の在り方として研究されたものとして、防災基礎力を構成する8つの能力別に見た防災教育実践の現状として、この「知る」として、科学的に地震・火山・津波を理解する。気象災害を過去の被害を踏まえて理解する。「備える」ということで、災害時に発生する課題を知る。4つ目として、災害教訓を知って対策に生かす。5として、災害時の身の安全を確保する方法を知る。6、平時に被害を出さない対策を知る。7、被害を小さくする共助・公助の在り方を知る。8、地図等を用いて地域に起こる災害を知る、ということについて、現在の学校や地域で実践されている防災教育がどの能力を向上させるものであるかを調査しました。
 その結果、左下の図に対応するのですが、地震・津波・火山を科学的に理解する。気象災害を過去の災害を踏まえて理解する。平時に災害を出さない方法を知る。及び、地図等を用いて地域で起こる災害を知る。を向上させるための教育が相対的に少ししか実践されていないことが明らかになりました。このような実情を踏まえまして、知る、備える、行動するというそれぞれに対しまして体系的に整理することで、防災基礎力を向上させるための教育実践の在り方として右側の図のように提案しまして、この成果は文部科学省が発行した実践的防災教育の手引き(小学生編)に活用されまして、社会実装や社会普及を実現することができました。次のスライドをお願いします。
 これは図4-11でして、これは桜島大規模噴火総合研究に対応するものです。これは降灰予測シミュレーションにおいて風速場、噴出量の重要性を合わせた図でして、左上、左下というのは、左上になりますと噴火想定時刻に対して24時間前で予測されると風速場を入れた場合の市街地への降灰危険度予測を示しております。これは2018年7月15日の夏の風速場を事例に、発生場所としては南岳山頂火口で、大正噴火クラスの噴出が起こったということを想定しております。噴火の開始時刻に近付けば近付くほど想定期というのはよりシャープになって、場所によってはこの危険度というのは高まるのですが、精度が上がるということが分かりましたし、それと、今度は火山灰の厚さに対応するのですが、噴火要因によって倍・半分の場合においてどれくらいの範囲で堆積するかが変わるかということが定量的に示すことができました。ここまでが令和5年度の成果の概要の説明になります。次のスライドをお願いします。
 ここからはまとめが3枚続きます。災害の軽減に貢献するための地震・火山観測計画(第2次)の最終年度です。5年間につきましては、これまでの研究の進展によって多くの成果が得られましたし、新たな取組の成果もありまして、例えば実践的な防災リテラシー向上のための仕組み作りや整備、社会の共通理解醸成と防災リテラシー向上のための様々なデータとか手法の活用方策の確立が行われました。
 3つの重点研究につきましては、地震発生の新たな長期予測につきましては即時データによる地殻ひずみ場や背景地震活動度を用いた内陸地震発生確率モデルを新たに提案されました。全国の地震活動に関する評価の担い手である地震本部との連携が深まりました。地殻活動モニタリングによる地震発生予測につきましては、陸海の地震・測地観測によりましてスロー地震の検出手法の高度化や新たな現象の把握がなされましたし、数値シミュレーションや構造探査等を通じて、様々な地震の発生様式について理解が大きく前進しました。火山活動推移モデルの構築による火山噴火予測につきましては、多項目観測データに基づく火山活発化指数によりまして、火山活動の評価が複数の火山で進みました。物質科学的データの分析・解析結果も取り入れた火山活動の推移のモデル化もなされましたし、噴火事象系統樹の分岐判断指標の作成・理解が深まりました。次のスライドをお願いします。
 人文学・社会科学研究との連携の強化と分野間の融合研究が進みました。現象解明の研究につきましては、史料・考古・地質データの整理・分析によりまして、過去の事象を裏付ける情報が充実しましたし、確度が向上しました。防災リテラシー向上のための研究では、史料から地震・火山噴火災害の復元や、近年の災害事例に基づく社会的課題の整理や、自治体等の連携による今後の災害に備えるための情報共有等が進みました。5つの総合研究につきましては、それぞれにおいて現象の理解、それに基づく災害誘因予測やリスク評価、災害軽減を意識した防災対策の提案や実践的な取組等、各分野の英知を持ち寄った研究が遂行されました。
 本研究計画期間中の顕著な地震活動としましては、2021年2月と2022年3月の福島県沖のM7.3、M7.4の地震がありまして、これは東北沖地震から10年以上経過した現在においても潜在的な影響が及ぶことを認識するものです。2020年12月から今に至る能登半島の一連の地震活動で、特に令和6年能登半島地震がありましたが、これについては多項目の観測によって地震活動と流体移動の関係が明らかになりましたし、M7.6の地震の詳細な現象の把握もなされましたし、文化財保護に本計画の研究を役立てる活動も迅速に遂行されました。次のスライドをお願いします。
 本研究計画中の顕著な火山活動としましては、2021年8月の小笠原諸島の海底火山である福徳岡ノ場で起こったVEI4級の大噴火がありました。2022年1月ではトンガの海底火山噴火がありまして、これはVEI5を超えるより大きな大規模噴火でした。海域等、遠隔地の火山噴火活動における衛星モニタリングの重要性などがこの事例で示されました。2021年10月につきましては、阿蘇山の中岳第一火口で小規模噴火がありまして、これについても多項目の観測によって噴火前後の火山活動の詳細が把握されました。2020年6月には桜島で噴火がありましたが、その特徴としましては、火山岩塊が居住地近傍に落下したことが確認されましたし、その2年後になりますと、噴火警戒レベル5になるような火山岩塊の飛散がありました。これによって火山の噴火警戒レベルの理解度に関する意識調査が実施されましたし、噴火警戒レベルについての住民の理解の現状が調査されました。
 その他ですが、基盤観測網の整備と増強につきましては、海域観測網の地震データの活用による海域の震源分布の精度向上、GEONETのリアルタイム解析システムによる震源断層即時推定手法による高度化と実用化が進みまして、現計画で明らかになった課題に対応しつつ、新しい技術の導入や分野横断で実施する総合的研究に積極的に取り組むことで、今後災害の軽減に貢献するような研究成果が多く得られることが期待されます。以上です。ありがとうございます。
 
【日野部会長】  ありがとうございました。今、一通り中身について図表を特に重点的に解説を頂きました。ただ今の御説明、ここだけではなくて全体を通して、もし御意見等ございましたら頂きたいと思います。特に初稿に対してコメント等を頂いた委員の皆さんについては、そのコメントが正しく反映されているかというようなところを重点的にご覧いただいて、ひょっとしたら行き違いがあるかもしれませんので、そういうことではなかったというようなことがあればぜひ御発言を頂きたいと思います。寺川委員、お願いします。
 
【寺川委員】  取りまとめありがとうございました。図の4-6、内陸の地震活動の評価についてお聞きしたいのですが、これはまず期間のデータが報告書の方にもなかったと思うのですが、その期間はいつなのか教えていただけますか。
 
【大園委員】  すみません。私も今すぐパッと出てこないのですが。
 
【寺川委員】  分かりました。それでは御確認は後ほどで結構なのですが、これを見ると例えば九州がかなり赤くなっているのですが、これ熊本地震の後なのか前なのかというのが非常に気になるのですよね。なので、そういうところを確認していただいた方がよいのではないかと思います。
 
【大園委員】  ありがとうございます。これはNishimura 2022という論文に基づいてのデータになると思いますので、そこを確認して期間は大事ですので入れるようにします。
 
【寺川委員】  入れていただいた方がよいと思います。それから、もう一つはやはりこの手法は応力蓄積のうち非地震性のすべりも含めて、地震以外のもので解消する部分に仮定が入っていると思うのですが、その辺りも報告書には出てこないので、それを変えることでこの予測は大きく変わるので、そこのところは本文で省略してしまうと、一般の方が読んだときに誤解が生じるのではないかという心配をちょっとしました。その辺もご検討いただけるとよいかと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
 
【大園委員】  ありがとうございます。この部分には少し詳細にどういう過程で推定したのかという部分を入れるように検討したいと思います。
 
【寺川委員】  もう一点よろしいでしょうか。13頁の図3-1、能登の地震に関するところなのですが、これは2023年の5月に起きたM6.5の地震の図だと思うのですが、その後、今年の元旦により大きな地震が起きたということで、そちらに関してはものすごく一般の方々の関心も高いものなのかなと思うのですが、1月の地震の成果の方は載せられるものはなかったのでしょうか?
 
【大園委員】  ないことはないのですが、これの成果を各課題から取りまとめる時期というのが1月半ばから2月半ばにかけてだったので、まだ速報的なものしか得られない状況になると思います。なので、今年度まとまったものが得られるのではないかというふうに思っております。
 
【寺川委員】  分かりました。1月1日の地震のメカニズム解ぐらいは載せておいてもよいかなという気がしたので、もしご検討いただければよいかなと思います。ありがとうございます。よろしくお願いします。あともう一つ、これは丸のスケールが載っていないようなので、ついでにそちらもお願いします。
 
【大園委員】  ありがとうございます。承知しました。失礼しました。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。貴重な御意見を頂いたと思います。今ちょうど図が映っているのですが、上のM6.5発生前の1年からM6.5発生後のって書いてあるところの下の年号が2022年になっているのだけれども、1年間なのでこれで大丈夫ですね。次は、地震発生後だからこれは2023年でなければいけないのではないか。M6.5の地震が起こったのは2023年5月5日ですよね。左は1年前で1年間なので2022年5月5日~2023年5月5日でよいのだけれども、右の絵の年は間違いですよね。
 
【大園委員】  すみません。右側は2023年の間違いですね。その日に起こったマグニチュード6.5の地震の後の約7時間の分布になるので、2023の間違いです。申し訳ありません。ありがとうございます。
 
【日野部会長】  すみません。もっと早く気が付けばよかったです。他にももしあれば。いかがでしょうか。ささいなのですが、原稿の方で、今日はPowerPointの方で概要の方で説明いただいたのだけれども、本文の方の45頁の図が化けてしまっているので、本文についてはご確認ください。お願いします。紙で配布いただいているのは合っているようです。だからプリンターの問題だったのかもしれません。
 
【久利測地学専門官】  分かりました。45頁目、PDFの方を確認します。
 
【日野部会長】  今日になって事務局から追加で資料を頂いていたと思うのですが、委員の皆さんに他のコメントを検討いただいているうちに少しここを。
 
【久利測地学専門官】  取りまとめ以降追加で来ていたものです。
 
【日野部会長】  これは初稿に対して? それとも改訂稿に対して?
 
【久利測地学専門官】  改訂稿についてです。田中委員からの方で、用語解説で、航空機SARのPi-SARのところで指摘を頂いていますので、それは反映させたいと思っております。
 それから2番、これも用語解説の方で、DEMは数値標高モデルの略なのですが、斜面崩壊に関しては1ミリメートルの記述に関して原稿担当者と田中委員の指摘とで擦り合わせて調整が必要かと思っております。
 それから、これは気象庁の青木委員からです。IPF法の方で少し指摘を頂いております。これは気象庁の方からの指摘でもありますので、こちらの文意に差し替えたいと思っております。
 それから、4の用語解説、津波勧告の使用回避というところで、こちらもご指摘いただいておりますので反映させたいと思います。
 それから、全体的な平仄の統一というところで少し追加コメントを頂いていましたので、これを再度確認して修正したいと思います。以上、修正稿に対してのコメントが届いておりましたので、追加での対応についてご報告差し上げます。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。いずれも基本的には深く中身に踏み込んだところではなくて表現上の問題であったと思いますが、指摘いただいた委員と事務局と、それから実際の執筆担当者、これは用語集の方をやっていただいている五十嵐学術調査官とで相談して整えていただければと思います。今日ご出席いただいている青木委員、橋本科学官、もし補足があればお願いします。なければ、今言ったような方針でよろしいですか。
 
(「特にありません。よろしくお願いいたします」の声あり)
 
【日野部会長】  承知しました。それでは、本文の方に戻りたいと思いますが、大部に及んでいるので、どこからでもというと大変かもしれないので、先に後ろから行きたいと思います。最終年度の方で令和5年度の成果の方ですね。本文の頁でいうと30頁からです。最終年度ではあるのですが、特に地震の発生予測に関係する重要な成果で、長期評価についても、それから海溝型の地震の長期評価と、内陸地震の長期評価と、いずれにおいても非常に顕著な成果が上がっていて、それがこの年度で取り上げていただいているというのは結構大きなポイントかというふうに思っております。先ほどの内陸の方については少し解説が必要な部分があるというのを寺川委員からご指摘いただいたので、少しそこを検討させていただくということになりましたが、他に何かありますか? 大園委員。
 
【大園委員】  先ほどの寺川委員から頂いた御質問に対して、観測データの期間を今調べたら分かったので、それをご報告いたします。2005年~2009年のGNSSのデータを利用しているということなので、熊本地震よりも前の時期の定常的と思われる期間を対象としているということでした。
 
【寺川委員】  ありがとうございました。
 
【大園委員】  文章の方にも記載しようと思います。ありがとうございました。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。後は同様に長期評価に関係するようなものとして、今度は図の4-1で、古地震のデータを使って長期評価の改善に貢献できるのではないかという、これも非常に本研究が目指してきたことを示す重要な成果だったかというふうに考えております。
 逆に、最終年度に関していうと、地震の発生予測、長期評価に関係する成果が多くて、火山はむしろ5年全体の成果の方に多く書いていたかというふうに思っております。後は、4-3とか、火山だがこれはどちらかというと、仕組みの理解に関係することですかね。後はいかがでしょうか。
 もう一つは、図4-10ですかね。防災リテラシーの方に研究成果を生かしていくための研究ということで、ここで示していただいたのも、現状を知って相手を知って、何が足らなくていというようなところを整理するということで、重要な研究成果を拾い上げてアピールいただいているかというふうに思っております。
 特になければ、少し戻って、令和5年度に発生した顕著な活動ということで、今年度令和5年度については能登半島の地震を26頁に取り上げていただいております。実際は、先ほど寺川委員にもご指摘いただいておりますが、多くの皆さんが注目いただくところは1月1日に発生した地震ではあるのですが、ただ、取りまとめ時期あるいはこの5年度の中での研究成果を見せるという点では、それ以前の、つまり1月1日の地震の発生に至るプロセスを丹念に調べて理解できたというところにフォーカスが当たっているということで、先ほど大園委員から御紹介がありましたが、多分今年度の成果の中で重要なポイントの一つとして紹介されることになるだろうと思います。だけれども、その前駆的な活動という観点で見ても非常に重要なことはたくさん分かっているということをちゃんとまとめていただいているかと思います。
 何かこういうのが足らないとか、もう一通りご覧いただいているので大きなポイントはないと思いますが。では、少し戻って、今度は5年間を通しての成果。やはり最終年度の成果報告という意味ではここが一番重みがあるところだと思いますので、どこからでも結構ですが、ここのところで拾い上げていただいているものが、重要なんだけれどもう少しアピールした方がよいとか、そういうような意見でも構いませんが、もしあればお願いします。寺川委員、どうぞ。
 
【寺川委員】  図の2-3のスロースリップに関するところで、この真ん中のグラフの見方がいまいち分かりにくいのですが、これはGNSSとかは分かりますが、真ん中の例えばfとかgとか、この辺は回数をカウントしているのでしょうか?
 
【中道委員】  これは回数というよりも、それを積算したすべり量に変換しています。元々地震から推定されるのですが。
 
【寺川委員】  すべり量なのですね。それはこの上の小さく3 cmとか書いてあるdのスケールが書いてあるというイメージですね。分かりました。ありがとうございます。凡例がやや見にくいかなと。左側の図の低周波微動と超低周波微動がほとんど色が同じで少し分かりにくいなと思ったので、細かい点ですがもし修正できるのであればもう少し。
 
【中道委員】  ご指摘ありがとうございます。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。寺川委員の質問を聞いていて私もはっと思ったのだけれども、これは繰り返し地震のすべり量にピンク色と赤があるのは何か意味があるのでしたか?
 
【中道委員】  すみません。そこまで確認が及んでいないので、申し訳ないです。
 
【日野部会長】  意味があるのであればよいのですが、スケールは3 cmが赤なので、特に意味がないのなら全部同じ色にした方が分かりやすいかなと思います。
 
【中道委員】  そうですね。パッと見分かるのは赤のものの方がこの移動に対応しているような線に沿っているのですが、ピンクの方はそうではない。ただ、求め方は多分一緒だと思います。領域が違うだけなので。指摘のとおり同じ色にする方が正しいと思います。
 
【日野部会長】  見方の問題ではあるのだけれども、見栄えをよくするために間違ってはいけないのでご確認ください。
 
【大園委員】  これは追加なのですが、ピンクで示されているところというのは領域がd、e、gということで深い側で起こっている地震で、そこではすべりというのはなくて、f、hの赤の色が付いている少し浅くなったところで移動と同じ形ですべり量が増えているということになっているので、細かくいえばちゃんと色分けをして説明をしているところにはなるので、その説明をどう書くかというところになるかとは思うのですが。
 
【日野部会長】  そうか、深部と浅部、別々の時間スケールでというのはこれに対応しているのですね。Figure Captionの。
 
【大園委員】  はい。なので浅部は反応しているけれども深部は反応していないという意味も含んでいるかと思いますので、キャプションか何かで解説を加えてあげるとか、凡例をここにも加えてあげることでこの色使いでもよいのかなとも思うところです。
 
【日野部会長】  どちらかというと色をそろえて、今ピンクになっているものを点線か破線かにして、深部と浅部というのを図の中に入れてしまったらどうですか。
 
【大園委員】  そうですね。分かりました。では中道委員と相談して検討しようと思います。
 
【中道委員】  分かりました。
 
【日野部会長】  他にいかがでしょうか。手が挙がらないようですが、先ほど事務局から連絡ありましたように10月11日までにできるだけ締めてしまいたいと思っていますので、それまでにお気付きの点を、結構長いので、丁寧にもう一回読んでいただければ幸いです。それでは、取りあえず今日この場での議論ということについてはこれで締めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。本日頂いた意見の他に、細かい修正、もちろん細かくなくてもお気付きになった重要なポイントがございましたら、10月11日、来週の金曜日までに事務局までご連絡をください。それで、もしよろしければ、この原稿は部会長預かりということにさせていただいて、ですので基本的には原案で本委員会としてはお認めいただき、今後頂く修正意見についての対応は事務局と部会長あるいはその執筆担当者に一任いただくということで、最終的には部会長の方で確定の判断をさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 
【久利測地学専門官】  挙手、発言なしのようですので大丈夫のようです。
 
【日野部会長】  それでは、今の提案について御異議を頂かなかったということで、私の方に一任させていただいて預からせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
 
[議題2.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の 令和6年度年次報告の作成方針について]
 
【日野部会長】  それでは、次の議題。議事の2「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次報告の作成方針について」に移りたいと思います。資料2に基づいて事務局から説明をお願いいたします。
 
【久利測地学専門官】  令和6年度の年次報告の作成方針について事務局よりご説明差し上げます。基本的には大きく方針としては変更はしておりません。令和5年度は5年分の取りまとめがありましたが、それの部分はないということで取りまとめていきます。基本的な考え方については、災害軽減に貢献するための地震・火山観測計画(第3次)に沿って創出された具体的な成果について、6つの項目及び重点的に取り組む研究の目的の達成にどのように貢献するか、分かりやすいように簡潔にまとめていただきたいと思います。本日、大園委員、中道委員の説明でも何が成果であったかというところを丁寧に説明いただきました。そういう形式でまとめていただくことを意識していただければと思います。
 それから、成果の概要は一般の方でも読みやすいように簡潔に今対応させてというところで取りまとめていきたいと思いますので、そのようにさせていただければと思います。具体的にどのように伝えるかとか、作業の段階でもう少し工夫できるところがないかというところは、予知協の皆様とも相談しながら、工夫できるところについては方針というより運用というところで、この後も少し検討してまいりたいと思います。その都度委員の皆様には情報共有を差し上げたいと存じます。
 それから、年次計画の機関別の作成方針について、これも課題別成果の報告様式というところでまとめさせていただきます。これも例年と同様の様式を用いる方針です。内容は令和6年度のものになります。
 それから、オンラインにて取りまとめを予知協を通じて行わせていただきます。取りまとめ方法につきましては、第13期の委員を中心にまとめていただきます。まだ13期の委員は決まっておりませんが、時期になりましたらお知らせ差し上げます。
 日程についても本年と同様となります。令和6年度本日に作業部会を行った後、予知協を通じてオンラインシステム入力の準備、それから、年度が明けて作成の取りまとめ依頼を行い、それから3月にはシンポジウムということで、それから作成依頼、そして次年度の作業部会にて取りまとめを行うというところで進んでまいります。以上、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【日野部会長】  どうもありがとうございました。基本的には今年度進めてきたのと同じような方針で、特に後ろの方をスケジュールの方で説明いただきましたが、このように取りまとめてきているというのは他にも外的な事情がいろいろあります。本研究の全体の成果を報告するタイミングあったりそういうのがございますので、そういう意味では、もう日程は決まっております3月にあるシンポジウムまでに各課題の成果の報告が上がっており、次にあるように3月、4月に機関別の作成依頼があって、取りまとめが明けて5月、6月。そして全体が見通せたタイミングで成果の概要の取りまとめということになるので、ここの流れはどうしても確定していますので、どちらかというとこのタイミングに間に合うように、それぞれ委員の皆さんといいますかどちらかというと企画部の皆さんにうまく取り回しを頂く必要があるかと思っております。
 一方で、今回は非常に大変で、5カ年分の成果の取りまとめもありましたので、それがなくてもう一回新しい計画の初年度分の成果報告ということになります。ただ、研究成果が順調に増えているということは誠に喜ばしいことなのですが、それに伴って結果的にボリュームがだんだん上がってきている。一般の方に分かりやすいようにというのは、読みやすいようにというのは中身が分かりやすい、文章の表現が平易であるということだけではなく、やはり余り長過ぎないという、読む気になれる程度のボリュームであるということが非常に重要だと思いますので、改めてこのタイミングで短くする努力をしないと、また5年後には更に大きいものになってしまいかねませんので、そこはぜひ意識して進めていただきたいというのは部会長の思いでございます。ということで、企画部の大湊さんに御意見を、やはり無理だよとかいろいろおっしゃりたいことはあるかもしれないのだけれども。
 
【大湊委員】  これはかなり以前から分かりやすく短くということはあって、グループは5つあるのですが、やはり結果的に余り分量的に減らないというのは結果として残っているのですが、それはいま日野委員の言われたとおり、成果が蓄積されてきてそれが今までと同じペースで書くと自然に増えるセンスにある、それをこのページに抑えているというのは、努力がある程度反映されているかというふうに見ていただければ有り難いところです。やはり実際にこれ以上縮めようとしたときにはおそらく取捨選択する。必ず毎年載せるというよりも、ある程度はそういう部分はもう絞って、5年間のうちのどこかで拾うけれども毎年必ず全体をさらうようなことはしないみたいなことをすると減る可能性があります。
 もう一つは、もっと大胆な変更ですね。やはり書くのが専門家ですので、専門家が見て納得する報告書にどうしてもなってしまう。それはよいことなのですが、これと一般の方が分かりやすいというのを共存させるのは、長年関わってきてやはり難しいなと思っているところですので、例えばこの今の成果の概要の作りというのは、本文があって、その後には参考資料という部分があるのですが、参考資料の方は各部会あるいはグループの方々がまとめて、ある意味専門家の人が読むような、余り無理に縮めていないような内容になっているのですが、例えば専門家の方々がそちらで満足してもらって、本文の部分は本当に大胆にもう一般の方向けなのだというふうに割り切った内容にするというのは一つの方法かと思うのですが、それで今回の第3次計画が始まったのですけれども、そういうふうに切り替えるチャンスでもあるかとは思うのですが、なかなかそれをやろうとすると相当程度の議論が必要なので、次に間に合うかといわれるとなかなか難しいところではあるのですが、今のこの方針ですと基本的に今までどおりになってしまいそうな形になっていますが、例えば次の期の委員が決まった段階で取りまとめ委員がめどが立った段階で少し方針をもう一度議論することはありなのかなというふうに思っているところです。これでよろしいでしょうか。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。やはり変えようと努力を始めないと何事も変わらなくて、そういう意味では企画部の方で変えなければいけないということを理解していただいているというのは非常に重要だと思います。まずは議論を始めていただく。特に結果的にやはり一番無理をお願いしているのは企画部の皆さんなので、企画部の皆さんの方で、ただ、一方で縮めるというプレッシャーを感じつつ、どこまで譲れるかという観点で考えていただければと思います。結局、今ここに来ていただいている委員、取りまとめ委員、皆さん専門家なのですが、これだけの専門家の皆さんも、この長い文章を確認するという上でやはり非常に多くの労力を払っていただいています。そういう意味でいうと、やはり多少プロジェクトマネジメントの効率性という観点でいえば、やはりどこかでうんと短くするということを考えないと、言い方は悪いですが付き合いきれないということになりかねないので、本当に積極的に、ただ、クオリティを落とさないという大湊さんの先ほどの御意見はとてもよく分かったので、なかなか難しいことを申し上げていると思いますが、事務局等とよく相談するきっかけにさせていただければと思っております。
 
【大湊委員】  よろしいでしょうか。この成果の概要が一番どこで使われるかというと、やはりこれを毎年作ってそれをある程度まとめてレビューを作ったものを外部評価に使われる。その辺が一つ大きな使われ方かと思うのですが、その外部評価のレビューをまとめる上ではやはり専門的な内容がちゃんと書かれたドキュメントが残らないと、そのレビューをまとめる方が非常に苦労するので、やはり今と同等の内容のものは我々の研究あるいはコミュニティとしての手持ちとして欲しいのですが、一方で、かつての外部評価に携わった印象ですと、外部評価委員の方はそういう資料を、例えばレビュー報告書は大分圧縮したのですが、それでも余り読んでくださらないということが印象として残っていますので、今日のこの委員会でも例えば大園委員それから中道委員というのは文章を説明するというよりもやはり図を示してその図を説明することで全体としてこういう科学的な成果が得られたのだということを非常に短い時間に分かりやすく説明できていると思いましたので、やはり一般向けあるいは外部評価委員に向けるようなものに関しては、もっと図とかを中心にしたものにして、一方で研究者向けにやはり参考資料とかそれに相当するようなものは手元に残すと。参考資料の方は内輪向けのものだと思えば余り非常に手間隙掛けて細かい文章の推敲までしなくても、必要なことが書いてあればそれで研究者側、実施する側からすると十分なのですが、読む側を考えるとやはりもう少し文よりも絵に重きを置いたような報告書にシフトしていくというのはあり得るのではないかなと今考えているところです。
 
【日野部会長】  具体的な提案ありがとうございます。私も大賛成です。あるいは、今の進め方の中で結構文章を作ってからこの委員会に掛けて作り込んでいく格好になっているのですが、今日説明いただいたような図を選んで、それから今日のPowerPointの一番後ろにまとめという数枚がありましたが、そのレベルで一回委員会、メール審議で構わないので、本当に何を今年度の成果として残すべきなのかというのを一回議論できるとよいのかなというふうに思います。後はもうそれに見て分かるような説明を付けていけば、おのずと成果の報告書が出来上がるというような格好にできればよいかと思いますので、大湊さんが今提案いただいたような方向性は私としては大賛成です。
 
【大湊委員】  今私がこうなっていればよいなと思ったようなことがこの今議論しているこの6年度分の作成方針の枠の中で読めれば、企画部と関係者で議論しますし、やはり図中心というのはこれでは読めないというのであれば、策定方針自体もやはり少し今の広く読めるような形にしていただいた方がよいかと思うところはあります。例年と同様の書式と書いてしまうと、やはり余り変えてはいけないのではないかという形になるのかもしれませんので、それはもう少し自由度があるような書きぶりをしておいて、それで具体的な中身、書き方に関してはもう少し議論をさせてもらえばというのがあればよいかなと思います。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。最初に事務局からあったように、作成方針というところはかなりざっくりとあって、その概観して報告するというところが多分そのできるだけ短くしてねというメッセージだと思うのですが、その実装の仕方というところですね、どこまで踏み込むかというのは、逆にいうと、実際に作業してくださる皆さんと結構議論しないと詰めていけないところもあるかと思うので、今日決めたいと思っている作成方針というところに関しては、この程度の書き方で勘弁していただくところかというふうにも思っております。
 ただ、一方で今ここに御出席の部会の委員のメンバーで、それでよいと、このままじゃよくなくてやはりもっと頑張って短くしなければいけないよねというところは、できれば皆さんの総意としてご賛成いただきたいなと思っております。そうしないと逆に大湊さんが改革しようと思っても後押しにならないかと思うので。もしそうではなくて、やはりこういう今ぐらいのボリュームで続けるべきなのだという御意見がもしあれば伺っておきたいと思います。
 
【久利測地学専門官】  何かございましたら。取りまとめ委員の中道先生、大園先生もいかがでしょうか。
 
【中道委員】  ありがとうございます。これは第2次に比べて第3次というのは、大本の課題数もやはり増えてきて、参画機関も承認いただいたように増えていますので、どうしても参画機関が増える、参加する課題も増えるとなると増えるセンスですので、同じ分量でするぐらいの努力以上にこういった今御提案のあった方法等を使ってよりコンパクトにする。一方ではちゃんとドキュメントとしてはしっかり書いてあるものというのは、例えば部会、総合研究グループが出ると思いますが、そういうのをちゃんと残していくという両方の努力が必要かと思っています。以上です。
 
【大園委員】  取りまとめをさせていただいた中で感じたことですが、やはり文章を作成するというのは作業時間としてなかなか大変だったりいろいろチェックしたりすることもあったりするというのと、実際長くなればなるほど先ほど部会長もおっしゃっていましたが読みづらくなってしまうといいますか遠ざかってしまう人たちも多いのではないかと思うので、先ほど大湊委員が言われたような図を中心にというのも非常によいのではないかと思いました。
 ただし、建議の中の上げている項目が5年間の中でちゃんと各項目が5年間のどこかの中で対応して成果がちゃんと得られていますよというところは示さないといけないので、それが分かるようなチェック体制みたいなのがあれば、今年の売りはこれですというような図なりそれの解説文なりを付けたもので、概要としては概要でまとめて、後は後ろの方でより詳細を得る。また、オンラインで取りまとめる課題ごとの成果報告も、皆さん本当にしっかり書かれていて、かなり分量があるので、もっと詳しく知りたいならばそちらも参照できる形にもう今はなっていますので、そちらに見ていただくように促すというような方法でよいのではないかと思いました。以上です。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。大湊委員、お願いします。
 
【大湊委員】  今、大園委員が言われたとおり、やはり出てきたものを見て選ぶということだとおそらく偏りが出てくる場合もあり得ると。ある分野は非常に毎年何度も出てくるけれども、なかなか黙っていると取り上げられにくい分野も出てくるということはあり得るので、それはやはり絵を中心とかそういうふうにした場合には、5年間の中でまんべんなく取り上げるために、ある程度5年間のスケジュールに備われているというようにやる必要があるのだろうなと思いますし、黙っていると皆さん成果は4年目、5年目にだんだんまとまって出てくるものが多いので、そうすると1年目、2年目は薄いけれどもだんだん量が増えていくということもあり得るので、どこかそういうものを中心にした場合でも非常に5年間の全体像としてどういうふうにするかというのはちゃんと計画的にやらないと、私が言ったようなことは多分うまくいかないので、そこを含めて皆さんとご相談しながら検討させていただければと思っているところです。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。皆さん5カ年計画でやっているところなので、どこか特定の人に1年目で成果をよこせというのはそれはさすがに無理があると思いますから。ただ、その中でもスタートダッシュが効いている課題とか、あるいは成果までたどり着いていないけど見通しがクリアなものがあったりすれば、そういうものを初年度の方でうまく取り上げていただくようなことで、ある程度バランスが取れるようにできるのかもしれないと思います。いずれにしろ御苦労を掛けることになると思いますが、逆に毎年全部打ち返すってやっているとこの状況は変わらないと思うので、工夫をぜひお願いしたいなと思います。
 
【大湊委員】  そうですね。あと追加のコメントとしては、こういう研究をして何が分かったか、どういうことが進展したかということだけを取り上げるようにすると、1年度、2年度というのは観測の準備をしました、観測を始めましたというものがやはり実際やられていることとしては多いので、そういうある目的に向かってこういう準備を進めている、あるいは観測点の配置ができたとか、そういうことも取り上げる。サイエンスとして何が分かったというだけではなくて、そのための準備がきちんと進んでいますよということもこの報告で取り上げるというのは、それでよいとなれば5年間バランスよくやるということが少し楽になるかなと思っているところです。
 
【日野部会長】  ありがとうございます。それでよいのかなと思います。やはり今5カ年計画というのは、出していただいてある程度評価をして、それでゴーを出して今始めているわけですので、そういう意味ではもうこの計画でやりましょうというところは皆さんで合意できているところですので、それの下ごしらえをやっているというのはもう十分サイエンスとして大事なところだろうと思います。あるいは、どういう成果を見込んでいるのかということを逆に早い段階でそれをいうのは大変なのかもしれませんが、そういうことも踏まえながら、読んでいる人が全体を通して毎年順調に進んでいるなというふうに見てもらえるような工夫ができればよいかと思います。他の委員の皆さんはいかがでしょうか。
 ですので、本当にうまくいけば毎年図中心の、本当に小冊子にもならないような資料があって、5年後にはそれを全部束にすると5年の成果ですというぐらいにできるとかなり理想的かなと思います。もちろん、5年の中で想定しなかった大きな成果があったり、あるいは想定しなかった大きな地震・火山現象があるかもしれないので、必ずしもこのとおりにはいかないかもしれませんが、そういうことで、今ここにいるのは全部研究者のプロばかりですので、どちらかというとマネジメントではなくて研究そのものにもう少し時間が割けるようにしなければいけないなというふうに考えています。
 よろしいでしょうか。結果的にだから企画部であるとか次の取りまとめの委員の方々に結構丸投げという形になって大変恐縮なのですが、地震・火山部会としてはより短くコンパクトに分かりやすいものを志向するということで進めていきたいということを、これは部会ですので事務局に強くお願いするということになるのでしょうか。
 
【久利測地学専門官】  大湊先生からかなり具体的な提案がありましたので、それを基軸ということで、どういう作業ができるかということを予知協と相談しながらまとめていきたいと思います。方針案を出しておりますが、少し継続的に意見を聞きながらというところで、修正があれば対応しますし、方針としてはこのままでよいが作業としてもう少し具体を追加するというのであればそういう形でもというところで進めていきたいと思います。結論にはなっておりませんが、前向きに進めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【日野部会長】  よろしくお願いします。この資料に今は(案)が付いているけれども、この案を取るのはどのタイミングでやる必要があるのですか。
 
【久利測地学専門官】  10月中です。
 
【日野部会長】  では、これについても微調整の部分がまだもう少しありますか?
 
【久利測地学専門官】  案を取るのは今日の部会においてですが、これも微調整があります。
 
【日野部会長】  これも部会長預かりですね。分かりました。では、作成方針、今審議したような中身を読み取れるように。ただ、具体的にぎりぎりやって後で身動きが取れなくならないような工夫を頂きながら、基本的な考え方のところでよいですよね、少しそこだけ微調整が入るという前提で、では今日はこの作成方針について皆様に御承認を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか? ありがとうございました。では、令和6年の成果に関する年次報告について、資料にある方法で取りまとめるということで進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
 
[議題3.その他]

【日野部会長】  それでは、議事の3「その他」です。今後の日程等について事務局から説明をお願いします。
 
【久利測地学専門官】  事務局です。次回は年明けに予定しております。本作業部会と共に測地学分科会との合同開催を予定しております。また、火山研究推進委員会についても合同となる可能性がございますし、委員会についての審議も含めたいと思っています。以上、予定をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【日野部会長】  ありがとうございました。ただ今の説明について、御質問がある方がいらっしゃいましたら、挙手あるいはいきなりご発声いただいても構いませんが、いかがでしょうか。全体を通して改めてもし何か発言があればここでお願いしたいと思います。よろしいでしょうか? 議事1と議事2、二つドキュメントを審議に掛けましたが、いずれも原案を原則ここでご承認いただいて、微調整については部会長預かりということで進めさせていただきたいと思います。それでは、長時間にわたっての御審議、どうもありがとうございました。今日はこれをもって閉会とさせていただきたいと思います。お忙しい中、ご出席、ご審議いただきまして、ありがとうございました。
 
―― 了 (終了時刻14:50)――
 

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