令和6年5月21日(火曜日) 15時00分~16時45分
オンライン会議
日野部会長、田中部会長代理、青木委員、伊藤(亜)委員、伊藤(弘)委員、大倉委員、大湊委員、川村委員、関口委員、高橋委員、寺川委員、宮原委員、森岡委員、大園委員、中道委員、松島委員
(事務局)永井大臣官房審議官、郷家地震火山防災研究課長、久利測地学専門官、杉岡科学官、橋本科学官、五十嵐学術調査官
北海道立総合研究機構 高橋主査、山梨県富士山科学研究所 本多主任研究員
[委員の出欠状況など]
・委員の出欠状況:阪本委員が欠席
・委員の交代:海上保安庁石川臨時委員に代わり海上保安庁伊藤臨時委員が就任。気象庁下山臨時委員に代わり気象庁青木臨時委員が就任。国土地理院宗包臨時委員に代わり国土地理院 宮原臨時委員が就任。
・科学官・学術調査官の交代:加藤科学官に代わり杉岡科学官、橋本科学官、八木原学術調査官に代わり五十嵐学術調査官が就任。
・北海道立総合研究機構の高橋主査と山梨県富士山科学研究所の本多主任研究員がオブザーバー参加。
・事務局の異動:井上地震火山専門官に代わり久利測地学専門官が着任。
・議題及び配布資料確認
[議題1.地震及び火山観測研究における令和3年度及び4年度年次基礎データ調査結果について]
【日野部会長】 それでは、議題に入りたいと思います。議事1「地震及び火山観測研究における令和3年度及び4年度年次基礎データ調査結果について」になります。それではまず、事務局から説明をお願いします。
【久利測地学専門官】 資料1について説明します。令和3年度及び4年度より、予算等の分類の再整理を行い、過年度分についても変更がありました。変更箇所等について、第56回部会で審議いただきました。審議時の指摘に基づき、予算および研究者数に関する注釈を追記し、また、項目2、地震及び火山研究者数ついて数値の精査を行い、修正を反映しております。なお、修正に伴い、本来であれば18頁の3、火山研究人材の火山研究者総数も変更が必要なところでしたが、現在お手元にある最終案は修正前の数値となっておりました。この場を借りてお詫び申し上げます。項目2、地震及び火山研究者数に準じて18頁の図も差し替えたく、追加修正をお認めいただきたいと存じます。
また、第2次計画最終年度の令和5年度分は、これまでと同様の様式で取りまとめる予定としておりますが、第2次計画より実施機関が増え、関連分野が多様化したことから、記入・照合作業が煩雑化しております。第3次計画の初年度となる令和6年度からは入力様式の見直し等も検討したいと考えております。具体については次回の9月の部会にてご審議いただきたいと考えております。以上が資料1の説明となります。
【日野部会長】 どうもありがとうございます。確かにこの資料は、今の説明にありましたように、前回の第56回の部会で一度お示しいただいていたのですが、それが席上配布でございますけれども、そこでいくつか意見がついて、確認等の作業をやっていただいておりました。なので、本来としては前回のところで確定させるところだったのですが、確認等の作業で少し遅れて今回最終確認ということになります。その時のコメント等についての対応については、席上配付の資料の対応案のところにございます。基本的にはこれをもって委員の皆様に承認を頂いて公開ということに移らせていただきたいと思っております。ということで、委員の皆さんからコメント、質問等はございますでしょうか? これは私から事務局に質問ですが、公開はどういうスケジュールでしょうか。
【久利測地学専門官】 最終案が既にホームページ上に上がっておりますが、数値の精査による修正をお認めいただければ、先ほどの資料18頁の数値修正とあわせて、差し替えたものを速やかに公開します。
【日野部会長】 分かりました。数字は具体的にどのように変わるかというのは今言えますか?
【久利測地学専門官】 はい。皆様のお手元の資料では令和3年度の地震・火山両方に関する研究者数が283となっているかと思います。最終案で配られておりますが、ここが令和3年度は288。それから令和4年度は282となっているところが287という数字に変わります。画面表示の通りとなります。
【日野部会長】 分かりました。これは単純に積算のところでということですね。
【久利測地学専門官】 はい。
【日野部会長】 ということですが、いかがでしょうか? 特にございませんようでしたら、これで最終案を認めていただいたということで、先ほど事務局から御案内のありました通り、公開という手続に移りたいと思います。よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。それでは、議事1を終わらせて、次に移らせていただきたいと思います。
[議題2.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和5年度年次報告【機関別】について]
【日野部会長】 続きまして、議事2「『災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)』の令和5年度年次報告【機関別】について」に移りたいと思います。まず、事務局から説明をお願いします。
【久利測地学専門官】 事務局より説明差し上げます。資料2「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和5年度年次報告【機関別】についてです。各実施機関の担当者に報告資料を作成いただき、これを取りまとめたものを資料2としております。本日は、各機関から報告資料の内容についてご報告いただき、それを基に令和5年度の成果について審議いただきたいと考えております。発表順序は、資料2の目次の順の通りお願いいたします。発表時間は、質疑応答込みで大学は15分程度、その他の機関は5分程度でお願いいたします。
【日野部会長】 それでは、今のような段取りで進めるということで、各機関から御報告を順次お願いしたいと思います。発表時間は先ほど説明があった通りです。また、各機関の発表が終わった後に、全体に関する質疑、コメントの時間を取りたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。それでは早速、大学の方の報告から始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【大湊委員】 大学の方は課題数が多いので、その中からいくつか代表的なものを選んで、それについて説明させていただきます。実際の成果の報告の方には今回図で説明するもの以外にも多数の成果が含まれていることは皆さん御存じだと思いますので、その中でいくつか選んで説明させていただきます。
それでは、まず今画面に映っているものは、現象解明という大きな項目の中で、広帯域海底地震計の開発をしているということを説明する資料でして、これはどういうものかというと、海底でいくと広帯域地震計はいろいろな活用があるのですが、水平成分に少しノイズが出がちだということで、そのノイズを軽減するために様々なことを試しているという段階です。これは下の方にはセンサー部分と、あと上の方にオレンジ色の玉になっているレコーダーの部分がありまして、これを切り離してノイズ低減を図ったのですが、まだ少しノイズが残っているということで、今回はこの真ん中の図で緑色の線がセンサー部分とレコーダー部分をつなぐ線なのですが、これの取り回しに問題があったのではないかということで、この線をセンサーから少し離して海底にうまく沈めるような設置ができるような工夫をして、今はその効果を見ているという内容になります。
こちらは東北沖でGNSS-A、音響を使った海底地殻変動を測っているというものでして、東北地震の後、2012年の9月から現在まで続けていますが、ウェーブグライダー等を使って年2回程度の開始ができるようになっているというのが最近の現状です。このように図が三つありますが、左上は最初の5年間、それから真ん中が次の5年間の平均的な変位速度、そして右端が10年分の平均速度ということで、海底地殻変動が非常に良い精度で求まるようになってきたということを表している点になっております。
こちらは比抵抗構造を各地で調べるということを行っていまして、低比抵抗部分、高比抵抗部分の分布と、それから地震の震源の分布です。活断層がどこまで動くかということがどうも関係しているらしいということがいろんなところで分かってきていまして、これを中部地方でやったということで、こちらの右の方がいくつかの測線での断面図が書いてありますが、右の方の縦に四つ並んでいるところの一番右側の図は、右の上の方にあるA、B、Cでは縦の測線に沿った断面図なのですが、浅い部分には高比抵抗、それから深い部分には赤い色の低比抵抗が分布していて、その高比抵抗部分に震源分布が集まっているということで、震源分布と比抵抗構造の関係が徐々に明らかになっているということの事例になっております。
こちらは毎年のように更新されてきている図なのですが、マグニチュード6以上の地殻内地震の30年発生確率を求めるための新しい長期評価の手法を開発中ということで、まずひずみ速度を基にした計算式があるのですが、それから計算した30年確率と、それに加えて背景で起こっている地震の活動に基づく発生確率の評価方法もあるのですが、その両方を合わせた図というのが今回示した図になっていて、地殻変動だけではなくて地震活動の両方を加味した発生確率計算方法が少しずつ開発されているということを示しています。
こちらは歴史災害痕跡データベースという、いろいろ考古学的な調査をやって、その中に地震の痕跡等が見つかるのですが、それが空間的にどういう分布をしているかとか、現れた痕跡がどういうものだったかということのデータベースです。これを公開しましたということを示していて、この絵はそのデータベースで見られる絵の一例になっています。これは緑色の点とオレンジ色で見える点があるのですが、例えば緑色の点は発掘調査をしたが地震の痕跡が出てこなかったという点、オレンジ色の点は痕跡が見つかった点ということで、このオレンジ色の点の分布を見ると、断層に沿った部分に多い、あるいは堆積構造で地盤が緩いとかそういうところにこういう災害の痕跡が残りやすい、強震動による液状化とかですが、そういうものの分布がよく分かるということで、災害痕跡のデータを強震動評価等について活用しやすくなるというのが重要な成果だと考えています。
こちらも資料を用いた過去の地震に関する知見を増やすというプロジェクトの一環で、史料翻刻の成果ですが、まず、みんなで翻刻という、古文書を研究者だけではなくて一般の人の協力も借りて、どんどんデータベース化して皆さんで使えるようにしましょうというプロジェクトの中に、能登半島史料の取り込みも始めたということが左で、それで実際に能登半島関係の史料を見てみると、例えば1729年に起こった地震、マグニチュードでいうと6~7弱ぐらいと推定されているのですが、そういう地震の地震数であるとか、それから被害の空間分布であるというものが図示できるようになっています。これも長期的な地震の評価の上で非常に重要なデータベースができつつあるということになります。
これは火山に関する成果をご説明する図ですが、いろんな成果があるのですけれども、その中でも構造に関する知見が蓄積されてきたということを表す図でして、左の図は草津白根山で行われてきた主に比抵抗探査による構造を基にして今草津白根山の下がどうなっているかということを示したものです。この図は、どうも草津白根山の下は3階建ての構造になっているようだということを表している図で、例えば一番下はマグマの部分に溶融があるような高温のところがあって、その上に水を通さない層があって、その上にまたその下のマグマ溜まりとかいった流体が溜まる層がある。これが2階で、そのまた更に上に地下水と下から来る熱水がインタラクションする層があると。草津で起こるいろんなunrest、地震活動の活発化とか地殻変動というのはどうもこの浅いところで起こっているらしいということが分かってきたということで、非常に水蒸気噴火活動に関する知見が増えてきたということを表す図です。それから、草津白根だけではなくていろんな火山で比抵抗あるいは地震学的な方法を使って、浅い部分の構造が非常に精密に分かってきているという事例で、例えば右上は阿蘇山での比抵抗構造の絵、それから右下は御嶽山でのレシーバ関数法を使ってこういう構造、どういうところに発生場があるかというものが分かってきて、浅い部分に関する知見が非常に進んできたという図になっています。
これも火山関係の成果の一つで、物質科学的に火山噴火をするということで何ができるかということの基礎的な研究になっています。左の図はマグマに含まれる水の量を横軸で、縦軸にマグマの温度を取ったときに、その二つのパラメータによって噴火の様式がどう変わるかということを示した図でして、右の方に行ってテフラと書いてあるのは火山灰が出ているということで、これは爆発的な噴火をしたということを示すのですが、マグマの含水量が多いマグマで温度が比較的低いマグマの場合には爆発的な噴火をするし、逆に左上に行くようなマグマの含水量が比較的低い、そして温度が高いようなマグマの場合には溶岩流出、爆発的でない噴火をする傾向があるということが分かったということで、マグマの物性と噴火様式が対応しているということがよく分かってきたということが左の図は示しています。
それからもう一つは右側の図が何を示しているかというと、噴火を予測する上で、ある状態のマグマがあって、それが時間的にどう進化するかということをシミュレーションしていくと、ある条件が整ったときに噴火に至るということが計算できるのですが、それが成り立つためにはマグマ溜まりの中のマグマが、不連続といいますか早く変化しないである程度連続的にゆっくり変化するということが仮定されていないとそういう考え方が成り立たないのですが、これを富士山でやってみると、これは縦軸が時間で横軸が出てくる鉱物の物性だと思ってほしいのですが、時々構造が大きく変化する、例えば山体崩壊の発生というところが途中にあるのですが、そういうマグマ溜まりの圧力等が変化して物性が大きく変化するようなイベントは時々起こるけれども、そういうところを除くと比較的連続的に物性というのは変化しているようだと。それから今のマグマ溜まりでのマグマの進化のモデルを使って予測ができそうだということを表す。そういうことができそうだということが分かったという結果になっております。
これは神戸大学の方で、九州の南にある鬼界カルデラで、こちらに関して様々な調査を行って、鬼界カルデラに関する非常に重要な知見が得られたということを表しています。鬼界カルデラ周辺では様々な海底探査として、反射法であるとか地震探査、電磁気探査をして、発生源から数kmまでの速度構造・電磁気構造等も調べていますし、それからコアサンプル等あるいは地上サンプルを使って、噴火の際にどんな物質が出たかということも調べています。まず上の方は、左が7,300年前の鬼界カルデラ噴火が起こってからだんだんマグマ溜まりの状態がどう変わって、現在どうなっているかというのが右端で示していて、右端がどうなっているかというと、これは地震波とか電磁気とか地球物理学的な方向で得られた構造をそれちゃんと合うようにしてあると。この途中経過に関しては、この物質科学的な分析で得られた知見を総合したものになっています。
それから、下の図は、鬼界カルデラ周辺の海底に溜まった堆積物に関して、あと反射法で精密にやると、どれくらい火山から出た物質があって、どれくらいの厚さで溜まっているかということが精密に調べられるのですが、それを鬼界カルデラ周辺でやった結果、噴火に伴う噴出物の分布が正確に分かって、それから体積も今までよりもかなり多いということが分かったということを示していて、これによって鬼界カルデラ噴火というのは、これまで分かっている中で最大規模の噴火だったということがありましたということで、これも重要な結果となっております。少し早いかもしれませんが、大学の方からは以上になります。
【日野部会長】 どうもありがとうございます。何か話し残したこととかないですか?
【大湊委員】 後で質問があればお受けします。
【日野部会長】 分かりました。ありがとうございます。それでは、次に進ませていただきたいと思います。次は情報通信研究機構で、説明の御担当を川村委員にお願いしています。
【川村委員】 情報通信研究機構(NICT)の川村です。15 cm分解能を有する航空機搭載の合成開口レーダ、我々はPi-SAR X3と呼んでいますが、この開発を行っておりまして、様々な実証実験を行っているところです。この図はPi-SAR X3でどんな観測をしているかとか、どういうことに使えるかというところを示した絵になっています。震災、火山等のモニタリングとか土砂崩れ等のモニタリングを含めて、様々なインフラ等のモニタリングもできると考えているところです。
R5年度の実施内容ですが、まずはPi-SAR、Pi-SAR2と今Pi-SAR X3と我々は3代にわたって開発してきましたけれども、その前の世代までのPi-SAR2のデータの検索・配信システムの運用を継続していまして、取得済みのデータの公開を続けています。R5年度については2,130件の利用がありました。
それから、SARの観測データから重要領域を抽出する手法として、機械学習を用いた浸水領域の抽出モデルを構築しました。東日本大震災直後の観測データを教師データとしてアルゴリズムを開発して、面積比で86%を超える精度を達成したというのが一つの成果になっています。
また、これは能登半島の地震を受けて、我々はすぐに観測できなかったのですが2月の頭に観測ができました。能登半島全域の観測を実施して、要望のあった機関等にデータを提供しているところです。
まずは先ほど言いました浸水領域の抽出のところを簡単にご紹介したいと思います。これは9個のパネルがありますが、左側は実際に撮ったSARの画像です。真ん中がアノテーションしてある真値として浸水領域と非浸水領域ということで色分けしていて、あるモデルを使うとこのようにほぼほぼ良い感じで分類ができるというところまでモデルを構築したというのがこの一つの成果になっています。
これが能登半島の地震ですが、2月の頭に2日間掛けて観測をしました。一部観測データは機上処理しており、その速報データをお見せしていますが、輪島市の海岸線のところで隆起した部分とか、あと右側の方は火災で焼失したところがこうやって比較的白っぽく写ったりしているというところを観測で見ています。まだデータが十分に見れていませんが、こんなところが今の速報となっています。以上になります。
【日野部会長】 どうもありがとうございます。それでは、次に移らせていただきます。次は防災科研の高橋委員、お願いします。
【高橋 成実委員】 防災科研の高橋です。防災科研は全部で5件ありまして、そのうちの1件目です。多角的火山活動評価に関する研究です。ここでは4つの事例を出しております。左側、火山灰粒子画像の自動分類ソフトウェアを開発ということで、基本的に火山灰の粒子の大きさと色を自動で分別するような形のソフトウェアになります。これまで火山が噴火してから最初は白っぽい色だったのがだんだん黒くなってくるというような変遷を経てきたことがあったようで、そういうものの変化を捉えることができるものと聞いています。左下、JVDNシステムによるデータ統合、これは火山を研究される様々な組織の方とデータを一元化して皆さんで使えるようにしましょうということで、防災科研から提供しているということです。右側、硫黄島での調査観測を実施ということで、V-netの観測点が3点あるということで、今硫黄島に行って噴出物の調査とか火山ガスの調査を行ってきているということです。右下、降灰の把握と予測技術ということで、JVDNシステム、これも降灰に関するところですが、降灰の実際の状況と、それからそれを使った避難訓練をするということです。右側のディスドロメータというのは、基本的にこれは同志社のグループが雨粒の大きさを見るものですが、これを火山灰に応用しようというものです。
2番目が、地震・津波予測技術の戦略的高度化研究ということで、左側に高精度な断層モデルの構築ということがあります。観測網に基づいて、ここでは津波計を用いた地震断層モデルの高分解能推定技術の開発ということを行ってきています。実際に陸上の津波の波形記録から得られる震源域直上の水圧計のデータを組み合わせることで、断層モデルの推定精度を向上させたということです。右側、モニタリング技術と現況評価技術の開発ということで、南海トラフ浅部微動検知エネルギー下限の評価ということで、これはDONETのデータに基づいて、そのノイズレベルとサイト特性を考慮した上で、輻射エネルギーを計算してどれくらいを下限としたらよいか、閾値の検討ということをやってきております。
3つ目、巨大地震による潜在的ハザードの把握に関する研究ということで、地震発生場に関する研究と、それから摩擦とか破壊の基本法則に関する室内実験を通してシミュレーションを行った上でアウトプットをもたらすということですが、左半分がプレート境界の固着域というのを作ってみましたというもので、これは相模トラフ沿いの固着域について、GNSSの記録解析と過去の大地震の震源域というところから三つの力学的固着域及びその応力蓄積量を推定してきましたということです。ここで書いたようなシナリオが作れたと。右側は、岩石サンプルを使って実際に岩石摩擦実験を行ったということの基礎実験の実施ということで紹介させていただいております。
次は、自然災害ハザードリスク評価と情報の利活用に関する研究ということで、基本的に津波ハザードの情報を提供する津波ハザードステーション(J-THIS)を防災科研では準備しております。その中で様々な情報をホームページから引き出せるようにJ-THIS Labsというものを新設して情報展開しています。ここでは30年超過確率分布と、確率論的な最大水位上昇量を出しているということです。
最後に、基盤的観測網の運用ということで、左上にあるような海陸の観測網を維持していくという中でN-netの開発を進めてきました。それから、2023年10月9日の鳥島近海の地震の観測波形ですとか能登半島地震の例を出させていただいております。一通り説明は終わりました。
【日野部会長】 ありがとうございます。それでは、続いて海洋研究開発機構からの説明を、伊藤委員からお願いいたします。
【伊藤 亜妃委員】 よろしくお願いします。JAMSTECでは、ここに示している三つの課題に取り組んでおります。スライドには8個の成果を載せておりますが、そのうち今日は4つ紹介いたします。
1つ目は、推移予測に用いる地震発生サイクルモデルの妥当性の検証です。この研究では、東北地方太平洋沖地震の前後の固着あるいはすべりの状態について、実際のデータとシミュレーションとを比較しました。一番左のグラフが小繰り返し地震の観測データから得られたすべりの状態で、六つの線があると思いますが、それはその隣の地図の四角の場所に相当します。グラフを見てみますと、マグニチュード9が起きるまではゆっくりとずるずる滑っていたのが、マグニチュード9の起きた後は深い場所では横すべりをしていて、比較的浅い場所では固着をしていることが分かります。シミュレーションの結果の中でも同じようなパターンを示していて、定性的に整合しています。特に注目したいのは、浅い場所でM9後に固着している様子で、これは他の摩擦パラメータを仮定した既往の研究では再現できておりませんでしたが、この研究のモデルで再現が可能になりました。
次は、AIを利用した津波予測の新しい手法についてご紹介します。津波の予測では主にこれまでデータ同化が使われることがあると思いますが、それはある程度データが蓄積してこないとその後の推移予測の精度が出ません。この研究では、AIを活用することで地震発生後の15分後という従来よりも短い時間で精度の高い予測ができそうだということが確認できました。左側の図がテストの結果になるのですが、真ん中の地図にある日本海溝S-netと、黄色三角で示している沿岸4点での計算津波波形を学習させて、その後で学習していない計算波形を使って沿岸での津波をどこまで再現するのかを検証しました。その結果、波形を見ていただくと分かるのですが、かなり良い精度で黒の計算値と緑の予測値が合っていることが分かります。一番右の図は、実際のイベントに適用したものになります。黒い色で示している観測値と、青ハッチで示している予測値の波形というのは、波形そのものはぴったり合っているわけではないのですが、最大振幅についてはおおむね説明可能であるということが分かりました。
話は変わりまして、次はシステム開発の成果になります。この度、紀伊水道沖で新たな海底孔内観測を開始して、DONET-2への接続を完了しました。場所は真ん中の図の黄色三角で示した場所で、その観測システムは左の図になっています。観測システムの中で、赤字で示している孔内ファイバーセンサを今回開発して導入しています。光ファイバーセンサを使うことで、高い感度と高ダイナミックレンジを両立させて、ゆっくりすべりから微小地震や、さらには巨大地震までを捉えられると期待されています。この取られたデータの例を右の方に示していますが、このデータは、掘削孔にセメントを入れてそれほど経っていない時期なので、セメント効果に伴って斜めの線で分かるようなレートでドリフトを書いていますが、それ以外に海洋潮汐、地殻歪応答をしていることが分かると思います。このように良い結果が得られていますので、気象庁南海トラフ評価検討会や地震調査委員会への観測結果の報告をこの3月に始めたところになります。
最後になりますが、ここで日向灘の地下構造とスロー地震分布の関係についての成果を紹介します。左の図は地磁気異常の図になりまして、赤色の部分が九州パラオ海嶺が沈み込んでいる場所になりますが、この図の黒い測線に沿って構造探査を実施しました。図中の小さい丸というのは低周波微動の分布で、注目したいのは黄色で示しているOBSを置いている範囲に関しては東側のみでスロー地震活動が活発で、西側ではほとんど見られていないという点です。右の方の図が結果になりまして、下の図がスロー地震の頻度を表しています。地震波速度構造を見ると分かりますが、暖色系の色で示した鉛直方向の低速度が確認できます。このように九州パラオ海嶺が沈み込んでいる場所は流体に富んでいて、このような場所でスロー地震が多く発生しているのではないかと考えております。以上になります。
【日野部会長】 どうもありがとうございました。それでは、次は5番目の御報告になります。産総研の田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 産総研では、33頁にございますように11課題ありますので、本日は簡単にかいつまんでご紹介させていただきます。右下に33と書いてある頁がインデックスでございます。11課題ございます。まず3頁進めていただいて36頁、課題番号AIST03なのですが、これは地質調査に基づく火山活動履歴の解明と年代測定手法の高度化でございます。左下の図にありますように、昨年度は約9万年前に発生した阿蘇4火砕流の詳細な分布図を初めて公開いたしました。この阿蘇4というのは我が国最大の巨大噴火なのですが、その全体像が明らかになって、地域の防災対策や国土利用への活用が期待されます。続けて阿蘇3、これは約13万年前ですが、それの詳細な分布図も公開されています。これらは産総研のホームページよりダウンロードしていただくことができます。
次の頁、37頁をお願いします。課題番号AIST04、津波浸水履歴情報の整備です。2024年2月に津波浸水履歴図をWeb公開いたしました。URLは左上に書いてございます。これは学術論文の内容だけではなくて現地野外調査とか室内分析の様子あるいはシミュレーションについても分かりやすく説明しております。今後、千島海溝南部あるいは日本海溝中部等についても準備を進めており、順次公開する予定でございます。
次に1頁飛ばしていただき39頁、課題番号AIST06、火山性流体観測に基づく噴火発生過程及び火山活動推移の解明についてです。右下の図なのですが、伊豆大島において長年電磁気・熱的観測を実施しております。特に自然電位と地中温度の連続観測に関してはリアルタイムでWeb公開するべく準備中でございます。
次の頁40頁、課題番号AIST07、高分解能地殻応力場の解明と造構造場の研究についてです。これは毎年のようにバージョンアップしているのですが、将来発生する地震の最大規模や発生様式の評価を行うために、可能な限り小さな地震まで解析し、高い空間分解能を有する日本列島の地殻応力マップの整備を目的としております。左側の図にありますように、東北地方沿岸海域における応力マップを試作しています。また、右側の図にありますように、下部地殻地震のモーメントテンソル解を推定し、様々な断層タイプあるいは非ダブルカップル成分等、流体関与を示唆するようなデータも得ております。
次の頁、課題番号AIST08、海溝型巨大地震の履歴とメカニズム解明ですが、右上の図にありますように、東伊豆地域の隆起痕跡から過去のマグマ活動履歴を解明いたしました。この地域は、地下のマグマ活動等によって3,000年前頃から隆起しており、特に過去1,500年間で400から800年おきに約1 mずつ3回隆起しております。相模湾から伊豆半島東部一帯で地震や火山の活動が相関して活発化している可能性を指摘いたしました。これは、伊豆、首都圏南西部の防災に向けた地震・火山活動の理解につながるものだと思っております。
次の頁42頁、課題番号AIST09ですが、右上の図にありますように九州で初めての地下水総合観測施設を完成させました。また、新規に完成した香川県の綾川千疋のデータの蓄積も開始しております。左側の図は、防災科研、気象庁、産総研の3機関のひずみ・地下水・傾斜データをリアルタイムで共有し、SSEの解析を地震予知連の会報にて掲載しているものです。
時間がありますので1頁飛ばしていただきまして44頁、AIST11ですが、地質DXについても推進を行っています。以上です。
【日野部会長】 ありがとうございます。それでは、続きまして国土地理院、宮原委員から御報告をお願いいたします。
【宮原委員】 宗包から替わりまして委員を担当させていただきます宮原です。よろしくお願いいたします。国土地理院は、御存じの通り地殻変動を中心に基盤に近い部分での観測をやらせていただいております。
1つ目の課題ですが、内陸の地殻活動の発生・準備過程の解明ということで、昨年度元旦に発生しました令和6年能登半島地震の震源断層モデル及び余効変動の推定ということで、3枚の矩形断層モデルで推定したところ、余震分布や既知の断層というのはともに一致する結果が得られております。この矩形断層モデルを参考としましてすべり分布を構築しまして、輪島西岸で10 m弱、能登半島北西沖で10 m程度のすべりを推定しております。地震後約1カ月で水平2 cm、上下3 cmの余効変動が見られておりますが、粘性緩和モデルで説明を試みた結果、おおむね説明できるモデルが作れております。
内陸の地殻活動ですが、2016年熊本地震の余効変動のモデル化ということでして、阿蘇カルデラ内で顕著に見られていた沈降の原因として粘弾性変形、余効すべり、マグマ溜まりの体積変化の3つで検討しましたところ、カルデラ内の断層の正断層性の余効すべりで説明できると。マグマ溜まりの長期的な収縮は見られないということが分かっております。次の頁をお願いいたします。
2番目、プレート境界面の滑りと固着の時空間変化の広域的な把握ということで、南海、東南海の長期的SSEの検出を行っておりまして、こちらにお示ししました通りモーメント時間変化が見られております。
3番目、火山地域のマグマ供給系のモデリングですが、時間依存インバージョンを用いまして火山地殻の変動力源の推定を行っております。伊豆大島、霧島、阿蘇山を見ましたところ、伊豆大島では2016年ごろから現在まで膨張傾向が停滞。霧島では2022年初頭より続いていた膨張が2023年の夏以降は停滞というところが見られております。
こちらは他の火山、草津白根、浅間山、口永良部島、こちらについても時間依存のインバージョンを適用してマグマ溜まりの体積変化を推定しております。
4番目の課題で、GNSS連続観測(GEONET)を1,300点運用しまして、観測データを公開して、更には座標時系列も公開しております。昨年度から開始した新しいものとしまして、この座標時系列観測データに加えましてGNSS衛星の軌道暦情報につきましても生成して公開しております。JAXAと連携しまして国際GNSS事業の認定を受けた形で国際的な解析センターに参画し、他のセンター等の整合性もかなり良いところまで来ております。まだ課題もありますので続けておりますが、現在煮詰めております。
こちらはジオイドです。航空重力が終わりまして、ジオイドの試行版を現在公開しております。今年度末に正式版の公開を予定しております。
干渉SARは、全国で時系列解析を行っておりますが、能登半島地震ではピクセルオフセット法を使いまして、8観測得られたうちの5観測は2.5次元解析を実施して、こちらにお示ししたような東西方向、上下方向の変動を捉えております。
火山につきましても時系列解析を行っておりまして、こちらは口永良部島(古岳)で、山頂付近での変動を検出しております。アトサヌプリの火山活動につきましても同じように2.5次元解析を実施しまして、2011年5月までは1 cm沈降、2021年7月以降は4 cmの隆起を検出しております。
こちらは電子基準点リアルタイム解析を行って津波早期警報支援のための断層メカニズムの即時の推定をモーメントマグニチュードについてやっておりまして、こちらもMCMC法を用いた矩形断層モデルとかPPPとかを追加して精度改善を継続しております。
全国の活断層帯情報整備は、例年通り計画に沿って整備・公開を繰り返しております。
火山基本図・火山土地条件図につきましても、同じように計画的に整備を進めております。
最後に地震予知連絡会ですが、こちらも例年通り4回開催しておりまして、昨年度は重点検討課題として群発地震、関東地震100周年、予測実験の試行、能登半島地震について重点検討を行っております。以上となります。
【日野部会長】 ご報告ありがとうございました。続きまして気象庁、青木委員からお願いいたします。
【青木委員】 青木です。それでは、気象庁分をご説明いたします。気象庁では、ここに掲示している17課題を進めております。大変多くございますので、かいつまんで御説明の方をさせていただきたいと思います。
左上に課題番号を書いておりますが、その課題番号01です。地震活動・地殻変動監視の高度化に関する研究でございます。気象研究所です。まず左側、ETASモデルとひずみ速度の調査を行いまして、最大せん断ひずみ速度がETASモデルの高精度化に有効である可能性というものを示唆する結果を得ております。また、右側に行っていただいて、能登半島における群発地震活動と潮汐との関係を調べました。その場合、12月以前の活動ですが、南東部の深さ14 kmより深い領域の活動のみで潮汐相関が示唆されるという結果を得ております。
課題番号02、気象研究所でやっている火山活動評価の高度化に関する研究でございます。右側を見ていただいて、監視観測データの活用の高度化の部分の御説明をさせていただきます。火山内部の状態監視や活動の異常検出を目指して、伊豆大島で地震波干渉法を適用して、地下の速度構造の時間変化というもの(上の方の図)を検出することができました。それと地殻変動との相関というものも見られまして、その空間パターンを調べることによって、下の方の図ですが変化のパターンというのが地下構造との関係を示唆するという結果を得ております。
それでは、課題番号03でございます。これは本庁の火山活動に伴う地殻変動の把握及び評価の課題でございます。本庁では多くの活火山を対象に、火山活動を把握する目的で地殻変動等の観測をやっておりますが、左側の口永良部島のSARの結果であるとか、浅間山でのGNSSの結果等で、火山活動に伴う地殻変動の把握をしたという結果でございます。
それでは、課題番号04、地磁気による火山活動の評価の高度化で、地磁気観測所の課題でございます。全磁力のノイズリダクションとして、DI効果の即時補正のアルゴリズムの開発等の技術開発を進めております。
それでは、課題番号05になります。これも気象研究所の科学的手法による火山活動監視の研究でございますが、右側を見ていただいて、火山ガスの関係ですが、火山ガスのモニタリングでSO2の放出率連続観測手法の開発研究を行っておりまして、阿蘇山での試験観測では年間を通したスケジュール運用に成功したということでございます。
課題06、気象研究所の地震動・津波即時予測の高度化に関する研究でございます。左下ですが、地震動予測の部分で機械学習を用いて単独観測点で地震動の伝播方向を推定するという試みに成功しております。これを用いて距離減衰を導入したPLUM法をより高度化していこうというところで地震動即時予測の迅速化や精度向上に貢献したいと考えております。また、右の津波予測の高度化でございますが、右下を見ていただくと、能登半島地震の津波の研究というものも行っておりまして、その波源域であるとか、あと富山の検潮所で非常に速い津波が観測されたのですが、その波源が検潮所付近であるというようなことも示唆する結果を得ております。
それでは、課題番号07、気象研究所の火山噴出物の監視技術とデータ同化に基づく輸送予測に関する研究でございます。右側を見ていただいて、ひまわりの観測データを用いた火山灰の解析値を移流拡散モデルを用いることによって、火山灰雲の定量的な予測が可能であることを示しております。
それでは、73頁の課題番号14番まで飛ばしていただいて、これは本庁の全国地震カタログの作成という部分でございますが、今年の1月1日に能登半島で発生したM7.6の地震以降、約3万個の地震について震源を決めるとかというようなこともしておりますし、カタログを淡々と作るというようなことをやっております。
それでは、76頁に行っていただいて、もう時間もなくなりましたので、その他にいろいろ緊急地震速報であるとか普及啓発の取組もしております。気象庁からは以上です。
【日野部会長】 どうもありがとうございます。それでは、続いて海上保安庁さんからの御説明を伊藤委員にお願いいたします。
【伊藤 弘志委員】 海上保安庁です。海上保安庁では四つの課題、海洋測地の促進、験潮、海底地殻変動観測、海域火山観測を定常的な観測業務として行っております。
海洋測地の推進では、下里水路観測所にあるレーザ測距システムによりまして人工衛星との距離を測り、プレート運動や地殻変動の検出、基準座標系の構築に貢献しております。
それから、全国20カ所に常設検潮所を設置しておりまして、そこでの潮汐観測を行うことにより、最低水面を管理し、地殻の変動等の検出を行っております。
日本海溝沿いと南海トラフ沿いに海底基準局を設置しておりまして、これらの海底の動きを観測しております。昨年度の令和5年度には日本海溝では平均2.3回、南海トラフでは3.1回の観測を行うことができました。
最後に、海域火山観測ということで、航空機を使いまして南方諸島、それから南西諸島におきまして年に数回の定期観測を行っております。それから、西之島ですとか硫黄島のような活発に火山活動を続けている火山におきましては、臨時観測としまして毎月約1回程度の監視観測を行ってまいりました。それから、右側に並んでいる写真の上から2番目ですが、これは孀婦海山といわれる鳥島近海にある海底火山なのですが、ここの辺りで発生源がよく分からない津波が起きたということで、測量船を用いた海底地形の調査を行いまして、この孀婦海山のところで海底火山の噴火が起きたのが発見されております。海上保安庁からは以上です。
【日野部会長】 どうもありがとうございました。それでは、続いて道総研、高橋様から御説明を頂きます。よろしくお願いいたします。
【高橋 良主査(道総研)】 北海道立総合研究機構の高橋です。私たちの方では火山のモニタリングと津波の防災対策に関する2課題を行っています。
まず、火山のモニタリングについてですが、道内の六つの火山、雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、倶多楽、有珠山、駒ヶ岳で、長期にわたって主に温泉とか噴気の地球化学的なモニタリングを行っています。今のところ火山活動の活発化を示すような変化が検出された火山はない状況が続いています。例として樽前山と雌阿寒岳の例を示していますが、左側の樽前山では山頂の火口域と山麓の温泉湧出域で観測を90年代から続けています。噴気観測では2012年ごろに噴気成分に変化が出て、最近それとは逆の変化が見られるようになっているという傾向がありまして、気象台とかで観測している物理観測も同じような時期に変化が出ているということもあるので、今後も注意深く観測を続けていく予定にしています。
右側の雌阿寒岳の例ですが、右側の上の方は80年代から続けている温泉の地球化学的観測の結果ですが、このような温泉の観測だったり、噴気の観測を基に雌阿寒岳における熱水系の構造についてモデルを構築しました。このモデルに基づいて今後も詳細な観測を続けていきたいと考えています。観測結果に関しては、気象庁等と情報共有したり地元自治体に情報提供したりということを続けています。
2つ目は、津波の防災対策に関する課題で、この研究では北海道の日本海沿岸、オホーツク海沿岸の地震津波被害想定について行うとともに、もう一つ、都市部における津波避難手段の多様化による対策効果の評価に関して研究しています。まず上の方ですが、一つ目の項目では、日本海沿岸の想定を一昨年行ったのですが、昨年はオホーツク海沿岸の地震津波被害想定のための条件の設定と被害推計を行いました。積雪寒冷地の特性を考慮した想定を行っています。成果としては、日本海沿岸の被害想定が令和6年度中に北海道から公表されて、北海道の減災目標の設定に利用される予定となっています。
二つ目、下の方ですが、津波避難の際に多様な手段を取り入れた場合の効果を評価する研究を行いました。自動車避難を選択したときの効果をシミュレーションするためのパラメータを整理しました。パラメータについては、避難行動で自動車を使う人、同乗する人、途中でピックアップする人の割合と、避難時に歩行者を追い越す場合の車の速度等の条件で、それによって発生する渋滞を考慮して避難時間を計算しています。これによって今後検討すべき必要な設定条件を得ることができています。以上です。
【日野部会長】 ご報告どうもありがとうございました。それでは、最後に富士山研、本多様から御報告を頂戴します。よろしくお願いいたします。
【本多主任研究員(富士山研)】 我々は、噴火履歴の方の研究と、それから観測の方で2つの課題で進めております。
まず噴火履歴の課題ですが、我々の取組としては主に対比のしやすい宝永とか砂沢といったメジャーなレイヤーでうまく対比して、北東麓の層序をつないでしっかりと明らかにしてやるということを取り組んできましたが、特に詳しく調べてやった結果、北東麓にNE1~6という新しいレイヤーが見つかりまして、その中でNE4というのが最後の山頂噴火といわれています湯船の2というものに相当するということが全岩の組成だとかいろんな情報を基に分かりました。そうすると、それよりも新しい時期にNE1~3というレイヤーが北東麓に非常に厚く堆積していまして、特にNE2というのは大変厚くて、もしかすると山頂の最後の噴火は湯船の2ではないかもないというようなところまで分かってきました。
もう1つは、湖底の堆積物を使った層序の高精度化ということを取り組んでおりまして、湖底のコアというのは条件が良いと1年ごとのレイヤーなどが見えたりするというところまで細かい目盛りが付けられる可能性がありまして、ただ一方で、中央のグラフを見ていただくとリザーバー年代というふうに書いてありますが、周囲からの土壌の流入等によって相当古めに年代が出るというような傾向があります。これをうまく補正してやることで、地上の露頭と目盛りを合わせて、右側のグラフの青いハッチが掛かっているところを見ていただくと、一番右側の地上の露頭で確認できなかったところに湖底のコアを使うと、新たにいくつかのイベントがあったことが発見されたというようなことが分かってまいりました。
観測の方は主にこの課題では重力の方を取り組んでいますが、研究所を起点として5合目まで往復観測ができるような観測網を作りましたということなのですが、昨年度は特にこの地図の一番右上にあるTSURUという点、都留文科大学内に新たな基準点を設けました。メリットとしては、さすがにここまで火山活動に伴って重力変化はないということで、確固たる参照点を確保したというところと、もう一つは、この観測網を利用して、非常に標高差があって重力差が大きいですので、重力計のスケール検定ですとか、いろんな高精度化に向けた取組というのを国内の重力研究者で取り組んでいるところなのですが、この標高差・重力差が更に大きくなったということで、高精度化に向けていろんな取組が続けて取り組んでいけるというところになっております。
この中で重力の差分観測をしようということで、多点連続重力観測というタイトルにもありますように、研究所の基準点と、それから4合目、真ん中の色がついた図の中で、赤いほどマグマ貫入時に重力変化が大きいだろうという簡単な試算をして、噴火の可能性がある場所で観測するのと、それから基準点で観測するのと差分を取って観測してみるという取組を始めました。そうすると、単純な引き算をしただけなのですが、かなり細かい変化が見えてくるということが分かった一方で、若干右下のグラフでいうと右肩上がりのようなトレンドも載っていまして、この理由の一つとしては、いろんな成分が同じように働くかというと、標高差がある分少し違った見え方がしている分こういった差が出てくるかというところがありますので、今後こういったところを見えてくるものを一つひとつ潰していくというところに作業として移っていくということになります。富士山研からは以上です。
【日野部会長】 ご報告どうもありがとうございました。それでは、これで予定しておりました10機関全てからの報告を頂きました。非常に盛りだくさんの成果が挙がっていたことを短い時間で手短にご報告いただきました。本当にどうもありがとうございました。それでは、全体について委員の皆さんから質疑等を頂きたいと思います。気が付いたことがある方から随時御発言を頂きたいと思います。参加メンバーが多いので挙手を頂いても分からないかもしれないので、いきなり名乗って発言を始めていただいて結構ですが、どなたかいらっしゃいますか。
誰か手を挙げている人がいないか探しているうちに私の方から一件、情報通信研究機構のPi-SARの件で質問させていただきたいのですがよろしいでしょうか。今年の1月1日の地震についてもPi-SARでデータを取られたということで、しかも既に結果も出はじめているということで、これまでの研究の蓄積が利いている素晴らしい成果だと思いました。2月に観測ということだったのですが、いつ頃からデータを取りはじめられたのかというのと、それから、要望のあった期間にデータを配ったというところなのですが、差し支えなければどういうところにどういうタイミングでデータを発信されているかということを教えていただけると有り難いのですが。
【川村委員】 ありがとうございます。まずは観測ですが、2月の6日7日の2日間を掛けてデータを取りました。それで、能登半島の地震の関係で科研費を取られているチームがあると思うのですが、その大学等のチームの方々から要望を頂いていまして、その方々にまずはデータ提供をしたというのが一つ。それから、後は国総研と防災科研さんの方にデータ提供して、防災科研さんの方は防災クロスビューのサイトにもデータを上げていただいているというところになります。
【日野部会長】 どうもありがとうございます。それで実際のデータですが、今日の資料でいうと17頁目、輪島市の周りで隆起しているところ、これはまあよく分かるのですが、もう一つの輪島市内の方で、消失したエリアが白っぽく見えているというのは、何を感じて白っぽく見えていることになるのでしょうか。
【川村委員】 これは我々も今まだ議論しているところではあるのです。これは偏波を使って色を付けているのですが、例えば人工の構造物とかがあると、水平で打った偏波が比較的そのまま水平で返ってきたり、垂直の偏波がそのまま垂直で返ってきたりするというので、赤っぽくなったりするような色を付けているのですが、この消失したところはかなり雑然とランダムな状況になっているのだと思うのですね。なので、例えば水平で打ってもその回転成分がとかいう形で、比較的ランダムな形で強い反射がいろんな形で返ってくるのでトータルで白っぽくなっているのかというふうに思っています。偏波の観測としてこのように見えているという状況です。
【日野部会長】 ありがとうございます。委員の皆様、他の事案についてでも構いませんが、ございますでしょうか。なかなかたくさんあってどこから突っ込んだらよいか分からないかもしれないけれども。事務局に質問なのですが、この資料はこのままどこかに上がるのでしょうか。
【久利測地学専門官】 これもホームページに上がります。
【日野部会長】 そうすると、全部をちゃんと確認できたわけではないのですが、所々字が文字化けしているとかそういうのがあった気がしたので、各担当の機関で再確認をしていただいた方がよいかもしれないと思いました。例えば気象庁さんのところの66頁目で、機械学習によりうんぬんというところで小寺さんの研究成果を引用されているのだけれども、学会の名前のところが今日の配付資料では文字化けしてしまっているのです。例えばこんなのがあるので、お手数ですが少し確認を頂けるとよいかと思います。
【久利測地学専門官】 確認いたします。
【日野部会長】 後は、そういう資料の見え方という観点でいうと例えば、これは私自身の興味もあって伺うのですが、最後の富士山研の重力の連続観測のところなのですけれども、これは横軸が時間のはずなのですが、横軸のスケールがよく分からないのですけれども、教えていただけますか。
【本多主任研究員(富士山研)】 最後の頁は、これは横軸が毎日の0時が入ってしまっている状態で、雑な軸を付けてすみませんでした。なので、これは全部で5日間分ぐらいの幅の中で3日間分ぐらいにデータが載っていると見てください。
【日野部会長】 分かりました。なので、この00と00の間がちょうど1日ですね?
【本多主任研究員(富士山研)】 はい。そうなります。
【日野部会長】 分かりました。これは特に何かイベントがあったというわけではないけれども、特定の年月日がいるわけではなくて、こういう変化が見られるということをこの図では説明したいということですね?
【本多主任研究員(富士山研)】 そうです。たまたま観測機材の移設をした時で、動きが見えるところを選んだだけです。
【日野部会長】 分かりました。ありがとうございます。
【青木委員】 気象庁の青木です。日野先生の方から今ご指摘いただいた66頁についてですが、我々からの提出の原稿ですと、地震学会と書いているところが文字化けしているようです。地震という字でした。
【日野部会長】 ありがとうございます。そういう意味では齟齬(そご)があるかもしれないので。
【久利測地学専門官】 ファイル変換時の文字化けについても、確認いたします。
【日野部会長】 お願いします。他にございませんでしょうか。結構皆さん頑張って早口で話していただいたので、ここで質疑応答する時間はややゆとりがございますので、どうぞ遠慮なくお気付きのことをおっしゃってください。せっかくこれだけプロが集まっていますので、有効な質疑の時間にできればと思っております。では、引き続き私ですが、今度は大学の6頁目、鳥取の比抵抗構造の図ですけれども、これも図の見方の話でもあるのですが、比抵抗のカラースケールが読めなくて。
【大湊委員】 これは元の図にはいろいろ説明があったのを省略しているのですが、いろんなシンボルの説明等はやはり公開される場合があった方がよいと思うのだけれども、例えば左の図は、星はそれぞれどの年代で取ったデータかということを示していて、あと右の方の比抵抗値のカラースケールであるとかですが全部小さくて見えない。それから、断面のA、B、C、Dとあるのですが、この下の図のどれに対応するかというのも、元の図では有ったのですが、この辺りは修正したいと思っております。
【日野部会長】 よろしくお願いします。それで、地震活動のうちの下限と比抵抗の値の関係が面白いと思ったのですが、これは色合いでいえば青ぐらいのところが境目になるということなのですけれども、具体的にいくらぐらいということをいってよいのかとか、あるいはその絶対値を議論することにはどれくらい意味があるのかということは分かりますか?
【大湊委員】 値というのは比抵抗値のことですか?
【日野部会長】 ええ。そうです。
【大湊委員】 図からは値は読めるのですが、ただおそらくこのカラースケールというのは、この地震の発生領域の下限辺りに色合いが青から赤に変わるようなスケールを選んでいるようなところがあるので、絶対値がこの値であればどこでも地震の発生期と対応するとかそういう議論はなかなかできないのではないかと思っています。
【日野部会長】 ありがとうございます。大小関係でいえばまあそうだなと思うのだけれども、カットオフになる低比抵抗がいつも同じなのかとか、あるいは地域によって違うのかというような比較等は結構大事な研究かと思うので。具体的に値を示すかどうか分からないけれども、少なくとも絶対値が見えるようにはこういう資料はぜひしておきたいなと思いました。
【大湊委員】 元の文章には一応数値が書いてありますので、それを参照したいと思います。ただ、九大とかはいろんな地域でこのような観測をやって、それで震源分布との対応を議論しているのですが、それが全国共通なのか地域差があるのかというのは多分今後の議論だと思います。できるだけ数値を入れるように工夫します。
【日野部会長】 ありがとうございます。森岡委員、どうぞ。
【森岡委員】 松山大の森岡と申します。85頁の②、都市部における津波避難手段の多様化における対策効果の評価に関する研究についてご質問したいのですが、よろしいでしょうか。85頁の下の方にシミュレーションの条件としてピックアップ等、条件がいくつか書かれているのですが、おそらくこれはエージェントを動かすマップによって結果がかなり変わってくる話なのかなと思うのですよね。このシミュレーションで成果として出されているのが移動手段の25%が徒歩で、同乗する人が10%で、自動車で自己運転で動く人が65%でと、こう赤字で成果として出されているのですが、これはどんなマップで検証した成果としてこれがベストという結果になったかというのが少し見えなかったのでご質問させていただきます。すみません、追加の説明が欲しいという形です。
【高橋 良主査(道総研)】 すみません、詳しいことは把握できていないので、申し訳ないのですけれども、追加の説明は難しいのですが。
【森岡委員】 分かりました。この研究を他の地域でも応用できるかどうかというふうなことを考えた場合に、おそらく道路状況とかマップをどうふうに設置しているか、海岸との距離、避難所の場所とかそういうものが全部影響してくると思うのですよね。そこら辺の条件が余り書かれていなかったので、できればもう少し書いてほしかったなというところの感想です。どうもありがとうございました。担当の方にお伝えいただいて、もし回答があれば何らかの形で展開できるとよいかもしれません。
【久利測地学専門官】 事務局を通じて森岡委員にお送りするということも可能ですし、直接やりとりいただいても結構です。
【日野部会長】 ありがとうございます。重要な観点だったと思います。重要な研究だと思いますので、ご質問ありがとうございました。他にございますでしょうか。私が火山の専門ではないので、火山の専門の皆様の方から、火山も非常に多岐にわたる成果が出ておりますので、何かディスカッションがあればよろしいかと思うのですが。例えば橋本科学官とかはいかがですか。
【橋本科学官】 そうですね。火山の成果はいろいろ挙がっていると思うのですが、国土地理院の方でやられている時間依存インバージョンでソースの推定をされているところなんかも前から興味深く拝見しています。
【日野部会長】 49頁辺りですかね。
【橋本科学官】 そうですね。この辺りというのがかなり長期間のデータを扱っておられるので、前にも伺ったことがあるかもしれないのですが、粘弾性の効果とかそういったものが火山の場合マグマ溜まりの周辺域なんかだと高温になっている可能性があるので、粘性的な動きとかを考えなければいけないのではないかと思うのですが、その辺りの評価とかを、このインバージョンにはおそらく入っていないと思うのですが、その辺りどのように考えておられるかとか、何か聞いておられますでしょうか。
【宮原委員】 コメントありがとうございます。実際に計算した担当に細かいところを確認しないとお答えできないところもあるのですが、基本的には御指摘の通りです。粘弾性までは考慮していないという認識ではあります。一方で、当然考えておけるのであれば考えていった方がよいというところではあると思いますので、担当とまた議論する時間を作ってみたいと思いますので、ご回答できる機会があればそちらで何かもう少しコメントをと考えております。そんな感じでよろしいでしょうか。
【橋本科学官】 はい。ありがとうございます。特に桜島なんかですと非常に長期間の地殻変動のデータが蓄積されていると思うのですが、そういったものが本当にマグマ溜まりの増圧だけで説明すべきなのかどうかとかというところは非常に重要なポイントになってくると思いますので、今後もいろんな可能性を考えていく必要があるのではないかというふうに思っています。
【宮原委員】 ありがとうございます。また現状を確認しつつ、また今後のストラテジーについても議論を続けさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【日野部会長】 橋本科学官、どうもありがとうございました。他にございますでしょうか。大体予定していた時間が参りましたので、それではこれで質疑応答の時間も終わらせていただいて、ここで全報告とそれに対する質疑も終わったということですので、令和5年度の成果について、この部会において承認ということにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。もし御異議のある方がいらっしゃいましたら、この場で挙手あるいは御発言を頂きたいと思います。よろしいでしょうか? なければこれで本報告は承認ということでこの後進めさせていただきたいと思います。それでは、長い時間にわたってどうもありがとうございます。また、説明いただきました各機関の代表の皆さん、どうもありがとうございました。
[議題3.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和5年度年次報告【成果の概要】の作成方針について]
【日野部会長】 それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。議題3「『災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)』の令和5年度年次報告【成果の概要】の作成方針について」です。資料3に基づいて事務局より説明をお願いいたします。
【久利測地学専門官】 資料3についてです。今後の作成方針についてですが、昨年9月の第55回地震火山観測研究計画部会で議論いただいております。全体の分量の圧縮や文章の分かりやすさなどをご留意いただくということで、共通の認識としていただいたところです。部会の皆様におかれましては、この作成の方針についてご留意いただきますようお願い申し上げます。
第12期の取りまとめ委員は、大園委員と中道委員にお願いしております。成果の概要は資料3に基づき、委員のお二人を中心に予知研究協議会及び関係機関の協力を得て作成を行うということとしております。機関別の各課題から取りまとめ直しをするところとなりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
今後の日程についてですが、昨年と同様の流れで進めることを予定しております。6月から8月にかけて草稿を作成いただき、次回の部会で審議する予定となっております。以上、どうぞよろしくお願いいたします。
【日野部会長】 事務局、どうもありがとうございました。作成方針自体は既にこの部会で承認を頂いておりますので、この方針に沿って進めていただきたいと思っております。ポイントとしては、前の部会の時にも少し時間を取って議論になったと思いますが、どんどんインフレして成果の概要が大部になってきているというのがありますので、特に今回は5か年のまとめも入ってくるということになりますので、どうしてもそこをコンパクトにまとめるという点で取りまとめのお二人には大変御苦労をお掛けすることになると思います。逆に周りの協議会の皆さんもそうですし、あるいは場合によっては部会の我々も協力してそこら辺を進めていければと思っております。委員の皆様の方で何か、この件でもいいですし、それ以外の件でも構いません、一部メンバーが替わっていることもございますので、もしお気付きのこと、気になること等ございましたらご発言いただければと思います。いかがでしょうか。大湊さん、どうぞ。
【大湊委員】 協議会の大湊です。いま日野委員方から分量のインフレが問題だということを指摘されておりまして、それで現在、各課題担当者に伺って成果の概要、そのデータをまた集めて、部会長ごとにまとめると。その部会長がまとめた原稿をさらに取りまとめ委員の大園さん、中道さんに渡せるように、下書きとなるような原稿今依頼しつつあるのですが、その依頼の段階で少なくとも前回並みに分量を抑えるようにというふうな指示を付けて原稿依頼をしていますので、大幅の超過はしないだろうと期待はしているのですが、実際は元の原稿あるいは成果の概要を見ると、やはり5年分の成果を書く段階で皆さんいろいろな成果が出て書きたいことが多くて元の報告書はかなりの分量になっているので、それをまとめるのはかなり苦労があるだろうと思いますので、できるだけ増やさないようにという努力は皆さんには依頼しているのですが、若干の増加で済めば御の字かみたいな印象を持っているところです。以上です。
【日野部会長】 どうもありがとうございます。ボリュームを減らさなければいけないということを協議会を通じて関係の皆様にそうやって伝えていただいているというのは大変有り難いことだと思っております。あえて言うなら、ここだけは残してねというすごくピンポイントしたものを付けておいてくれると取りまとめ委員が楽かもしれません。
【大湊委員】 そうですね。では、その旨も依頼する時に各担当者にもそういうことが伝わるように言いたいと思います。どうもコメントありがとうございます。
【日野部会長】 ありがとうございます。大変たくさんの重要な成果があることは全く否定しませんが、やはりその中でも優先順位を付けないと、なかなか分かりやすい成果の概要というところにつながっていかないと思うので、御苦労は承知ですが、その辺も関係の皆様にお伝えいただければと思います。取りまとめ委員の大園委員、中道委員、それぞれ何かコメントはございますでしょうか。
【大園委員】 大園です。今年も担当させていただきます。よろしくお願いします。今回作るのは5年分の取りまとめというのも入ってきて、5年間を振り返ってやらないといけないことなどもあって、皆さんにご相談させていただくことも増えるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。以上です。
【日野部会長】 よろしくお願いいたします。
【中道委員】 同じく中道です。5年分という、ボリュームがどうしても増える部分もありますが、最終年度である昨年の部分と重複する部分も出てくると思いますけれども、やはり重要な成果は重要だということで、それが分かりやすいように伝わるように工夫して、昨年度の部分と5か年という成果を作っていきたいので、皆さんの御協力をよろしくお願いします。
【日野部会長】 ありがとうございます。他に委員の皆様で何かございますでしょうか。特にやはり大園委員と中道委員にかなりの御尽力を頂かざるを得ないわけですが、何とか成果の概要、取りまとめということで進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
[議題4.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の令和6年度年次計画について]
【日野部会長】 それでは、次の議題に進ませていただきます。議事4「『災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)』の令和6年度年次計画について」です。資料4について事務局より説明をお願いいたします。
【久利測地学専門官】 事務局より説明差し上げます。本年度から新しい研究計画第3次が始まります。資料4は、第3次計画の研究課題を実施期間順及び部会別に並べております。関連の深いものには黒丸、それから関連するものについては白丸という形で取りまとめておりますのでご参考ください。
【日野部会長】 どうもありがとうございます。特に大学のメンバーについては、もう協議会等でも計画の具体的な点が審議されていたりしてある程度伝わっているとは思いますが、改めて部会としてこうやって資料を皆さんにご覧いただいているという状況です。この新しい計画は、今ちょうど前の5年が終わってその成果の取りまとめの話をしたところですが、今度新しい計画ということで、このようなものが始まるということになります。委員の皆様の方から何か御発言はございますでしょうか。これはこの場では皆さんで情報を共有したということでOKですか?
特にコメントがないようでしたら、ここで皆さんで共通認識を得たということで、この計画、実際にはもう始まっているわけですが、立ち上がったということで進めていきたいと思います。委員の皆さんも実際プレーヤーの部分もあったりしますので、どうぞ研究の進捗に御活躍を頂ければと思います。
[議題5.その他]
【日野部会長】 それでは、最後になりますが、議事5「その他」です。事務局から説明を頂きます。
【久利測地学専門官】 最後の議事5となります。次回の会議では、令和5年度年次報告【成果の概要】についてご審議いただく予定となっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
【日野部会長】 ありがとうございました。成果の概要は先ほど取りまとめ委員二人にお願いしたところですが、次回の部会で固めるということですので、6月から作業が始まっていくということで、短い時間になってしまいますが、よろしくお願いいたします。スケジュールについてですが、よろしいでしょうか。質問等、確認したいこと等ございましたら頂きたいと思います。よろしいでしょうか? もし全体を通して改めてお気付きのこととかございましたらご発言いただければと思いますが、特になければこれで今日の会は閉会にしたいと思います。
【久利測地学専門官】 最後に事務局よりお詫び申し上げます。進行の不手際がありましたこと、接続等うまくいかなかったところがありましたことをお詫びいたします。それから、ファイルについては、まず年次基礎データは事務局にて修正いたします。また、報告いただいた資料を確認いただき、修正事項などご指摘いただければ幸いです。凡例等、追加の作業が発生するところにつきましては、ご連絡いただければ差替えの対応をさせていただきます。以上、どうぞよろしくお願いいたします。
【日野部会長】 よろしくお願いいたします。それでは、特にないようでしたら、これをもって閉会とさせていただきたいと思います。本日はお忙しい中ご出席いただきまして、どうもありがとうございました。
―― 了(終了時刻16:45 ) ――
研究開発局地震火山防災研究課