地震火山観測研究計画部会(第41回) 議事録

1.日時

令和3年9月10日(金曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【成果の概要】の取りまとめについて
  2. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和3年度年次報告の作成方針について

4.出席者

委員

小原部会長、田中部会長代理、伊藤委員、石川委員、大倉委員、大湊委員、川村委員、関口委員、高橋委員、寺川委員、日野委員、宮岡委員、宗包委員、森岡委員、大園委員、中道委員、橋本委員

文部科学省

(事務局)鎌田地震・防災研究課長、上山地震火山専門官、加藤科学官、矢部学術調査官

5.議事録

[委員の出欠状況など]

・委員の出欠状況:阪本委員、松島委員が欠席
・議題及び配布資料確認

[議題1.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【成果の概要】の取りまとめについて]

【小原部会長】それでは、早速、議題に入っていきたいと思います。  
最初は、議題1「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和2年度年次報告【成果の概要】の取りまとめについてとなります。
事務局から説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】 事務局、上山でございます。
成果の概要の取りまとめにつきましては、前回の部会で承認いただきましたこちらの参考資料1-1「令和2年度年次報告【成果の概要】の作成方針」に基づいて作成を進めています。
議論に先立ちまして、取りまとめ委員と地震・火山噴火予知研究協議会企画部の皆様には、成果の概要の取りまとめについて多大な御協力をいただきましたこと、この場をお借りして御礼申し上げます。
この後、この成果の概要の詳細については取りまとめ委員の両先生から御説明いただきますので、ここでは概要のみ紹介させていただきます。
まず、毎年、顕著な地震・火山噴火事象に関する研究成果について掲載しておりますが、令和2年度は2月13日に発生した福島県沖の地震と3月20日に発生した宮城県沖の地震に関する成果について掲載してございます。
また、例年と同様に令和2年度の成果の概要を掲載し、最後にまとめ、用語解説及び実施機関・研究課題の一覧表を掲載しています。
なお、本日はこの掲載内容について議論いただきますけれども、議論に乗せるまでもない細かい修正等については、9月17日の金曜日までに個別に事務局までお知らせ願います。お知らせいただいた修正箇所につきましては、取りまとめ委員の先生及び部会長とも相談しながら適宜修正したいと考えています。
事務局からの説明は以上です。
なお、本日説明いただく資料は、資料1-1と参考資料1-2になりますので、そちらのほうをお手元に御用意ください。
資料1-1は成果の概要の本文で、参考資料1-2が説明資料になります。参考資料1-2は成果の概要の挿絵を基に取りまとめ委員の先生方に用意いただいたプレゼンテーション資料となりますので、こちらを中心に議論をしていただければと思います。
事務局からは以上でございます。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
では、具体的な内容につきましては、取りまとめいただきました大倉委員と寺川委員から御説明をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
 
【大倉委員】 よろしくお願いします。取りまとめ委員の京都大学の大倉です。
まず、今御覧いただいているのは、成果の概要の「1.はじめに」に記載されていることをまとめた本研究計画の全体像でございます。
本研究計画は御存知のとおり1から5までの5つの大項目で構成されております。
1が地震・火山災害の根本原因である地震・火山現象そのものの理解を深めるための研究、2が科学的理解に基づく地震・火山噴火の予測手法及び活動の推移予測手法の開発を目指した研究、3が地震動や津波、火山噴出物、斜面崩壊などの災害誘因を事前及び発生後時に高精度に予測する手法を開発するための研究及び災害誘因予測を災害情報につなげる研究、4が災害発生の仕組みや要因を解明するとともに、防災リテラシーの向上に資する実践的な開発・研究を行うもの、そして5が計画全体を組織的に推進する体制の整備や基礎的な観測体制を強化するものになってございます。
本研究計画においては、成果の社会実装を将来的に目指すために、大項目2においては、研究成果の出口が意識されておりまして、「地震発生の新たな長期予測」、「地殻活動モニタリングに基づく地震発生予測」、「火山活動推移モデルの構築による火山噴火予測」の3つが重点的に取り組む研究として位置づけられてございます。
また、本研究計画においては、災害科学的な観点も重視しておりまして、理学、工学、人文・社会科学などの様々な分野の研究者の協力を深化させるために、大項目の5の中に、分野横断で取り組む統合研究を推進する体制を中項目として位置づけ、その中に五つの総合研究グループを組織しております。
ということが初めに書いてあります。次のスライドをお願いします。
これが五つの項目の中で、我々が研究対象としている場の全体像と令和2年度の主な成果がその中でどこに位置するかを表したイラストになっています。
本文では、まず令和2年度に発生した重要な地震と本研究計画の活動、その後、令和2年度の成果の概要というのが述べられてまいりますが、その中で、主な成果について全部で11の図がございまして、それをこれから順番に説明していきます。この図にはその成果の図が何ページに明記されているかということが書かれております。
それでは、これから順番に説明していきます。
 
【寺川委員】 寺川です。次をお願いします。
ここから令和2年度の具体的な成果について御説明いたします。
まず、最初の成果につきましては、報告書の資料、7ページの図1に当たるものです。
こちらは令和2年度に発生した重要な地震に関する成果です。
スライドの見方ですが、全てのスライドで黄色のハッチがけをしたところが、重要な成果の部分です。そして、黒い四角の枠で囲まれている短い文章は、建議の中での成果の位置づけをまとめてあります。そのようなポイントで見ていただければ幸いです。
まず、こちらの絵は、令和2年度に発生した重要な地震で、昨年度は東北沖地震の発生からちょうど10年の年でした。そして、年度末にこの東北沖地震の影響を反映したM7クラスの地震が二つ発生しました。左の絵は、東北沖地震後の東北地方の地震活動度の変化を簡単に示したものです。こちらの図に、昨年度末に発生した二つのM7地震、2月の福島県沖の地震と3月の宮城県沖の地震の位置を赤い星で示しています。これらの地震は、2016年のM7地震の発生から4年ぶりのM7クラスの地震の発生になります。ピンクの星が東北沖地震の震央、黒い星が2016年の地震の位置になります。
右の図は、沈み込みを横切る断面で、これらの地震の位置関係を示したものになっています。御存じのように、東北沖地震は、東西圧縮の逆断層型の地震で、震源域を含む広い範囲で、東西圧縮の逆断層型の応力が解放されました。しかしながら、昨年度末に発生した二つのM7クラスの地震は、東北沖地震のすべりの深部延長に位置しておりまして、この領域には応力集中がもたらされたと考えられています。このため、東西圧縮の逆断層型の地震の発生が起こったと考えられています。また、東西圧縮の逆断層の応力の解放は東西伸長の正断層型の応力の蓄積と理解することができます。
右の図のアウターライズという場所では、もともと応力場が東西伸長の正断層型で特徴づけられておりまして、こういった場所では、東北沖地震の後にかえって応力が増加して、地震活動が活発化しています。
一方、陸のプレートの地震につきましては、基本的には減少しておりますが、2016年の地震が発生した福島県の南部から茨城県の北部の沿岸から沖合にかけては、例外的に地震活動が活発化しています。これは恐らくこの地域の応力と関係していて、この地域の応力が例外的に東西伸長の正断層型に特徴づけられていたと考えるとよく理解することができ、このようなことは、東北沖地震後に明らかになりつつあることです。
こういった長い時間スケールで観測を続けると、低頻度大規模地震の解明に貢献するような知見が蓄積されるものと考えられます。
続きましては、報告書の図2に当たるものです。こちらは、本研究計画の重要課題に相当するもので、測地・地震観測データに基づく内陸地震長期評価手法の開発という研究です。
この研究は令和元年度から継続して進められておりまして、令和元年度は西南日本の内陸地震の長期評価が行われていました。令和2年度はその対象領域を東日本にまで広げて、日本列島の広い範囲で、内陸地震の長期評価が行われました。
こちらの図は、今後30年以内にM6以上の内陸地震が発生する確率を示したものになっています。手法については、右側に簡単にまとめてあります。
まず、GNSSのデータから地表でのひずみ速度を推定しまして、この量から地殻内に蓄積される応力のレートに当たるモーメント率を求めます。このうちの一部が地震で解放されるわけですが、その割合につきましては、歴史地震に基づく経験則から推定しまして、ここからM6以上の地震の発生率を求めて、そこにポアソン過程を仮定することで、30年間のM6以上の地震の発生確率を算出する流れになっています。
この研究の新しいところは測地・地震学的観測データを地震の発生予測に取り入れたという点です。従来は、主に活断層等の地質学的な調査に基づいて、活断層の活動履歴に基づく予測というのが行われてきましたが、この研究によってそこから一歩進んだ新しい予測法の開発が進んでいるということが大変重要かと思います。
 
【大倉委員】 ここからは、「3.令和2年度の成果の概要」の中の主な成果について説明していきます。
まずは、ページ11の図3です。これは伊豆大島山頂噴火時のマグマの斜長石量と噴出量の関係を調べたものです。伊豆大島の20世紀の山頂噴火に関する三つの文献のデータを再整理することによって、マグマに含まれる斜長石の量と噴出量の関係の時間変化を表したものになります。上の図が斜長石量の図で、下側が噴出量で、これはログスケールになっておりますが、それを表したもので、この二つが逆相関にあるということで、数か月から数十年の時間スケールで見ると噴出量と斜長石量は逆相関であることが明らかになりました。このことは、活動初期の斜長石量から噴出量を予測できる可能性も含んでおりますので、次の噴火予測にも有効なパラメータとして、斜長石量が使える可能性が示された結果になります。これは「3-1.地震・火山現象の解明のための研究」の中の成果でございます。
次も「地震・火山現象の解明のための研究」の成果で、沿岸の巨礫の分布を用いた古津波の評価でございます。
沖縄県の久高島、これは沖縄本島の南側の東沖にある島ですが、そこに分布している巨礫を使って、その分布の仕方を制約条件として、それが津波で動く場合がありますが、それを動かすことのできる津波の規模を見積もります。その際には、マグニチュードやすべり量などをいろいろ変えて津波を計算して、その津波によってこの巨礫が動くかどうかというのを確かめていくということです。事実として3,500年前にこの岩礁が形成されたとき以降、津波ではこの巨礫は動いていないということははっきりしておりますので、それを動かす津波は発生していないということは分かってはいます。この石を動かすことができる津波は、Mw8.3、すべり量は1.9メートル以上であるということが分かりましたので、逆に言いますとこの岩礁が形成された時代以降、それは3500年前ですが、Mw8.3及びすべり量1.9メートル以上の地震による津波は発生していないということが明らかになったという研究です。これは南西諸島や琉球海溝における大地震の長期予測やサブダクションゾーンの地震の連動性評価に資する成果であると位置づけられると考えております。
この研究も「3-1.地震・火山現象の解明のための研究」の成果で、歴史史料から明らかになった明応の東海地震前の地震活動に関するもので、同時代の京都及び奈良の日記の史料と東海地方の年代記を比較検討したものになります。
歴史史料が二つ記されておりますが、右側が大倉精神文化研究所附属図書館所蔵のもの、左側が愛知学院大のものでございますが、両方に共通する地震の記述があることが分かってきております。このように史料を収集して解析することによって、過去の地震活動についての調査が進展いたしまして、1498年の明応の東海地震の5年前に京都及び奈良から静岡県の浜松地域にかけて大きな地震が頻発していたことが判明しております。
これは、同時代の史料です。いろんな地域にまたがる同時代の史料を比較検討することによって、地震活動の調査が進展したことを表す成果でございまして、東海地震の前の地震活動を理解する上でも重要な情報を提供するものであります。
次も「3-1.地震・火山現象の解明のための研究」の成果でありまして、これは、光ファイバーケーブルと分散型音響センシング(以下「DAS」という。)による火山性地震の震源決定で、東北地方の吾妻山に通信用として敷設された光ファイバーケーブルを震動センサーとして利用する新手法を火山観測に応用したものであります。
左の上側に地形図が描かれております。
ピンク色で光ファイバーケーブルの路線図を示しておりまして、通常の地震観測網ですね、地震観測点があって、そこでのP波、S波の到着時間差などを使って求められた震源を赤丸で示しております。
下側には、通常の地震観測網で、DASによる観測と同期間に求められた震源が黒い星印です。同じ地震をDASによって決定した震源が黄色い星印で示されております。それ以外に白丸の地震もDASによって、今決定されております。新しい手法で決めた震源と従来の普通の地震観測の結果によって決定された震源の位置がほぼ等しいということで、この手法の有効性が確認されております。この手法は埋設されたケーブルを利用いたしますので、噴火時も火山灰や火山弾による損傷のリスクが小さく、噴火の際にも遠隔操作が可能でありますので、噴火後の活動推移をモニタリングするためにも有効な手段です。
新たな観測手法の火山活動モニタリングへの応用が進展した1例でございます。

【寺川委員】 こちらも「3-1.地震・火山現象の解明のための研究」の成果で、報告書17ページの図7に当たるものです。
内容は、2016年熊本地震前後の地震活動度の変化と応力・間隙流体圧との関係に関するものです。大地震が発生するとその直後から地震活動度が急激に変化します。地震活動度を増加させる要因としては、右のほうにまとめていますように、断層面のせん断応力の増加と断層面の強度の低下があります。強度の低下は法線応力そのものが低下する場合と間隙流体圧が上昇する場合の二つが考えられます。従来は地震時の応力の変化に基づいてクーロン応力の変化(ΔCFS)を計算して、地震活動度の変化を理解する取組が広くなされてきました。この研究ではそれに加えて、間隙流体圧の上昇の影響を調べたものになります。
間隙流体圧の変化を精密に測定、評価するのは難しいのですが、地震前の間隙流体圧レベルが高いところで間隙流体圧の上昇が起こりやすいという立場から、この図では地震前の間隙流体圧場と地震活動度の変化についてまとめてございます。
左の絵は間隙流体圧レベルを示す間隙流体圧係数の上に地震活動度が10倍以上増えた領域を丸とプラスの印で示しています。間隙流体圧係数はゼロが静水圧、1が静岩圧となるように規格化して示しています。
右の絵は、横軸にΔCFSを取り、縦軸に間隙流体圧係数を取り、地震活動度の変化をこれら二つの変数の関数として見た図になっています。それぞれの丸は評価点でのΔCFS、間隙流体圧係数の値を考慮した位置にプロットされていまして、カラーは地震活動度の変化を示します。背景のカラーは、これらの結果を補間した絵になっています。ΔCFSが増えたところは応力の点から地震活動が増えることが予想されますが、おおむねそのような結果が見られています。また、ΔCFSが負のところでは応力から見れば、地震活動は減るところですが、地震前の間隙流体圧レベルが高いところでは、その影響を打ち消すような間隙流体圧の上昇があったと考えられる地震活動の増加が見えています。
このように、大地震後の地震活動の変化というのは、ΔCFSの上昇だけでなく、大地震の後の間隙流体圧の上昇にも影響を受けることが分かりました。これは地震発生過程の解明に貢献する成果ではないかと思います。
こちらは「3-3.地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究」の成果となります。
内容は、1952年と2003年の十勝沖地震の震源過程の違いです。
これは震源過程のインバージョン解析を行ったという研究ですが、二つの地震で最新のプレート形状モデル、地下構造モデルを共通に用いて、また、使用する観測点も二つの解析でそろえて、そして古いほうの地震のデータにつきましては、改めて精査したものを使って二つの震源過程解析を行いました。
その結果、大きな違いがあることが分かりまして、1952年のイベントは、十勝沖でのdown-dip方向への破壊のほかに、厚岸沖への破壊の進展があったことが明らかになりました。
一方、2003年度のイベントは、十勝沖のdown-dip方向への破壊のみであることが分かりました。
このような結果は震源モデルの高精度化に貢献するもので、こういったモデルを用いて地震動や津波の予測が進み、災害軽減につながっていくものであると考えられます。
 
【大倉委員】 これは、27ページの図9のスライドになります。「3-3.地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究」の成果でございます。地震シナリオの不確実性を考慮した津波波高の確率論的評価についての研究で、この研究の背景には、災害被害予測における不確実性の定量化への期待が高まっているということがございます。
やられたことは、高性能の津波計算コード(JAGURS)というものがあって、25か所の津波波高を計算します。それは非常に時間も計算資源もかかる方法ですが、そうして得られた数値解析結果を精度よく近似して代理表現するサロゲートモデル、あるいは代理モデルとも呼ばれるものですが、そういったものを構築します。その両者を組み合わせて断層パラメータにばらつきがある場合に津波波高分布を高効率で計算する手法を開発したものになります。
具体的には、地形のデータの精度になります。津波の波高を計算する領域に近づくにつれて高分解能に与えていくというネスティングを行い、津波を引き起こす地震は内閣府の南海トラフ巨大地震モデル検討会による「断層パラメータ_ケース03」というものを基本モデルとして使い、その中で定義されているすべり角とすべり量にプラスマイナス25%以内のばらつきを与えた25例で25か所の波高を計算いたします。
そして、この計算結果を基に、カーネルリッジ回帰という手法を導入して、サロゲートモデル、代理モデルというのを構築します。簡単に言いますと、すべり角とすべり量を変数とするある観測点の波高の値というのを曲面で近似するということになります。そうすることによって、全ての組合せ、すべり量とすべり角のいろんな組合せ全てで高性能津波計算をすることなく、あるすべり角、すべり量、ある観測点というのが与えられたときの最大波高を求めることができます。そして、すべり角とすべり量を正規分布とした場合の四国から淡路島にかけての5か所における津波の波高分布が計算されております。それが図の右側の上に示されておりまして、兵庫県の淡路島から高知県の室戸までの5か所の最大波高の確率分布が示されております。すべり量とすべり角にばらつきがある場合に、いろんなパターンの分布を示すことが明らかになっております。この手法はカーネルリッジ回帰というのを導入していますが、近似の精度が上がっているというのが右下の図に示されておりまして、モード数というのは、主成分分析のモード数と考えていただいていいかと思いますが、そのモードが大きくなっていっても、RMSEの頭打ちが起こらず、どんどんその値が小さくなっていくことが示されております。この成果は高性能計算とデータ科学ですね、スパースモデリングやサロゲートモデルなどのデータ科学を融合した津波のリスク評価を行ったものとして位置づけられます。
次は、「3-4.地震・火山噴火に対する防災リテラシー向上のための研究」の成果で、34ページの図10の説明でございます。
ここでは、複合災害を想定した避難行動実験の結果がまとめられております。複合災害と言いますのは、地震による津波と土砂災害が同時に発生した場合に当たります。場所は北海道の稚内を舞台とされております。その稚内において津波が発生した場合と津波と土砂災害の発生した場合、それぞれの避難行動実験を実施しました。左に(1)、(2)というのがありまして、津波のみの場合と、右側に津波と土砂崩れ(複合災害の場合)というのがあります。実験内容としては、黒い四角で示されている道の駅稚内で地震発生を受けて、ここには津波がやってくるということで、緑の丸印の指定緊急避難場所に向けて避難を開始していくということです。左の場合は津波のみの場合で、避難する人が7分強ですか、8分以内に赤い線に沿って全員移動していったということが示されております。このほかに、この絵では津波の浸水想定区域が黄色やピンクの色で示されておりまして、その深度が示されております。全員この津波がやって来る前に黒い四角から緑の丸まで移動されていることが示されております。
一方(2)の場合は、緑丸の指定緊急避難場所が土砂災害警戒区域に位置しておりますので、ここが土砂災害で使えなくなることを想定して、途中まで緑丸に向かって進んでいくのですが、そこまでたどり着けないということが分かって、引き返して、緑の四角の指定避難所に移動するという実験を実際に行われております。
下のグラフは、このときに遅い人で14分以上かかり、ようやく緑四角までたどり着いたということが示されておりまして、その場合、津波は十数分でここにやって来ることが想定されておりますので、避難途中に津波に遭ってしまうことが明らかになりました。こういった複合災害が予想される場合は、迅速な避難行動の開始が必須であることが明らかになりました。
こういう実験の結果を参加者に、事後の防災学習で、ここであなたは津波に遭いますよということを示して学習してもらったところ、その学習を受ける前と受けた後の参加者の意識が変化したということもアンケートの調査で明らかになってきております。
この実験で分かったことは、複合災害を考慮することで、避難行動についていろいろな新しい課題があるということが確認されました。
もう一つは、その実験結果を可視化して参加者に示すことで、その参加者へ効果的な意識づけというのが可能であることが分かりました。
この研究の成果は、GISを活用した避難行動実験によって、複合災害対応への課題が明らかになったということでまとめられました。
 
【寺川委員】 こちらが本日御紹介する最後の成果になります。
「3-5.研究を推進するための体制の整備」に関するもので、日本海溝海底地震津波観測網(以下「S-net」という。)の導入効果を示す研究成果になります。
気象庁は2020年9月からS-netの地震観測データを取り入れた震源決定処理を開始しました。こちらの示している図で、黒い丸はS-netのデータを取り入れた震源決定の結果、水色の丸はS-netを取り入れる以前の結果になります。
右の図は、AからGの各地域の断面図になっていまして、この図を見ますと、S-netのデータを用いると、震源の深さが系統的に浅くなるということが分かります。この傾向は海域で特に顕著でして、これらのことから海域の観測点が増えたことで、従来よりも精度よく震源決定ができるようになったということが分かりました。
このような体制を整備することは大変重要で、今後様々な成果につながっていくものと考えられます。
成果はここまでです。以上をまとめますと、次のスライドお願いします。
まず、令和2年度は東北沖地震の発生から10年目の年でした。今でもなおこの地震の応力変化の影響を受けた、大きい地震、M7クラスの地震活動が発生いたしまして、長い時間、地殻の応答を観測して、その仕組みを理解することが大変重要であるということを確認しました。
2点目は、重点課題に関するもので、本研究計画では3つの重点課題があります。その中でも、特に新しい地震発生予測モデルの開発が進んでおります。また、火山推移モデルのほうも成果が得られています。
3点目は、文理融合・分野横断の総合研究についてで、デジタルの記録を基にした現代的な観測・実験・数値計算とデジタル記録のない史料・考古・地質データを組み合わせた研究が多く報告されてきています。
4点目は、海域の観測網の整備で、こういったことが沈み込み帯で発生する多様な地震活動や構造の解明、それから、地震・津波発生モデルの構築に大きく貢献し、それが災害軽減へつながりつつあるのではないかと思います。
5点目は、内陸や火山での多項目観測で、複数のアプローチで物事を見るという成果が多く地震も火山も報告されています。
最後6点目の防災リテラシーに関しては、東北沖地震や御嶽山の噴火など最近の災害の事例を基に、災害発生メカニズム解明や災害に対する社会の対応に関する分析、また問題点などが明らかになりつつあります。防災リテラシーの実態調査なども行われておりまして、リテラシーを向上させるためのプログラムなどがいろいろな形で行われている点も御報告いたします。
以上になります。ありがとうございました。
 
【小原部会長】 大倉委員、寺川委員、大変丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
では、ただいま御説明いただきました内容につきまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。全体を通じてでもいいですし、細かい部分についてでも構いませんので、どなたからでも何か質問、御意見等ございましたら挙手をお願いします。
私から細かい質問ですけど、S-netの効果のところで、S-netのデータを用いたときに震源の深さが海域で浅くなるのは、海域でより震源決定精度が高くなってプレート形状と整合的に浅くなる結果になるということで、非常に理解できますが、ここで書かれる「海域で顕著」というのは陸域でも浅くなるということでしょうか。
 
【寺川委員】 少し誤解があったかもしれませんが、陸域のほうはよりシャープにはなっているように見えますけれども、浅くなるのは海域です。そこが見えると思います。
 
【小原部会長】 陸域でシャープになっているのは、S-netの効果でしょうか。多分S-netを取り入れた際に、初めて気象庁の震源決定システムが観測点の標高を考慮するようになったはずなので、多分その効果かなと思います。
S-netの効果をここでは示したいということだと思いますので、海域で顕著というのは言葉としてなくてもいいかなと思いました。
 
【寺川委員】 分かりました。ありがとうございます。
 
【小原部会長】 もし気象庁の方で今私が発言した内容が正しいのか間違っているのか、コメントがありましたらお願いいたします。
 
【宮岡委員】 気象庁の宮岡です。
今、小原部会長がおっしゃったように観測点の標高補正を入れました。それから、海域での観測点用の速度構造なども入れました。そういったいろいろな効果がこのような結果に出ているのだと思います。ただそれのどちらかがどういうふうに寄与したかというのは、評価はできておりません。ただ、全体的に、今、おっしゃっていただいたように、震源の深さの精度などは大分向上したと考えております。
以上です。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
では、ほかの委員の方で何か御質問、御意見等ございますか。
今日は特にこちらの図の説明をしていただきましたけれども、資料の草稿については事前にお配りし、コメント等をいただきましたので、既に資料に反映されているかと思います。その辺りで、本文で何か質問、御意見等ございましたらお願いいたします。図のほうでももちろん構いません。
どうぞ。
 
【関口委員】 2点ほど気がついたことがありますので、質問等させていただきます。
一つは先ほどの図の中の図7になるので、今、このパワーポイントですと9ページ目になります。その右側の図について、一つはこの右側の図の横軸の正のほうのスケールの目盛りが違うのではないでしょうか。
 
【寺川委員】 そうですね。それは修正が必要です。ありがとうございます。
 
【関口委員】 それからこの赤と青の背景ですけど、これは丸の点がいろいろな場所で評価された値をプロットしたもので、それを基にこの2次元で内挿、外挿していると思うのですが、外挿部分が、例えばこの領域の右下の辺りの赤いところなどは少し外挿がやり過ぎだなと思われる場所があります。あとは左の上のほうも、値がないほうに外挿していった値が大きくなっているのではないかと思えるようなところがあります。
 
【寺川委員】 横軸についても今は非常に狭い範囲だけを出していまして、もう少し広い範囲まで取ると上のほうにも出てきます。ここだけ見せると確かに、ΔCFSの負の領域の上の部分にあまりデータがないですけれど、もう少し横軸を広げると上のほうも出てきます。ただ、おっしゃるようになかなか難しいところがあります。地震があるところでしか、基本的にはその間隙流体圧が求まらないので、その部分のところはやり過ぎというのはおっしゃるとおりかと思います。ここには載せていないですけれども、熊本地震の前後で共にデータがあるところでの精査もしております。それでもΔCFSが負のところでは地震活動が活発化するという傾向は一応見えてはいます。
 
【関口委員】 傾向はいいと思いますけど、データのY軸の縦軸の一番下のほうの外挿の値などは、何を内挿したらこの値になるのかが少し分からないような値があります。
 
【寺川委員】 ありがとうございます。
 
【関口委員】 それとついでに文章のほうで一つあります。文章の6ページ、原稿に書いてあるページ番号で言うと6ページです。
この真ん中より少し下の辺りの「2011年東北沖地震時の」と始まる段落の4行目のところです。「また、沈み込んだ太平洋プレート内の海岸近くでも」と書いてあるのですが、私の感じ方だとプレート内というと深いところなので、その海岸近くと言われると、少し違和感があります。マップ上で近いことは分かるのですが。これは皆さんの感覚でそれがよろしいのであればいいですが……。
 
【寺川委員】 今日説明したように、今回の2月、3月の地震というのが、東北沖地震のすべりの深部延長の辺りで発生していて、そこのところを今、東北の状況に応じてこのように表現してはいるのですが、確かにもう少し適切な表現でもよいのかなと私も思いますので、これに関しては検討ということでどうでしょうか。
 
【関口委員】 よろしくお願いします。
 
【寺川委員】 ありがとうございます。
 
【小原部会長】 多分、海岸線直下付近とか何かそういう言い方であれば誤解がないかと思いますね。
 
【関口委員】 はい。以上です。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
ほかに、質問、御意見等ございますか。
どうぞ。
 
【大湊委員】 絵や資料を用意するのは、今ここでお願いするのははばかられるのですが、説明があった8番の、火山のDASを使ったもので、黒い星と黄色い星があって、下のDASの結果を書いたものについては、多分この黒いのが普通のDASでない観測網で決めた震源で、黄色い星がDASで決めた震源という意味だと思いますけれども、上の黄色い星が分からないです。上の黄色い星はDASで決めた震源をプロットしたということですか。それだと下の黄色と場所が違いますが……。上の等高線が入っているほうの黄色い星が下のカラーのコンタ図の黒い星の場所と合っているような気もするけれども、これはどうなのですか。
下の図は多分黄色い星がDASで決めて、黒いのが通常の方法で決めて、的確だよということを言っていると思います。
 
【大倉委員】 大倉です。そうですね、元図を……。
大園委員の方で確認できますでしょうか。
 
【小原部会長】 多分上の黄色い星が本当は黒い星であるべきではないですか。
 
【大園委員】 その可能性はありますので、原本の論文と照らし合わせて確認をさせてください。
 
【小原部会長】 お願いいたします。
ほかに御意見、御質問ございますか。
どうぞ。
 
【日野委員】 本文のほうの図の番号で言わせていただきますけど、図8、十勝沖地震についてです。
この図の中で、すべり分布のほうで白の枠とグレーの枠がありますけど、これの説明が多分ないと思います。
 
【寺川委員】 そうですね、そこを意識してなかったですけども、この白い位置が十勝沖での同じ位置に貼ってあります。
 
【日野委員】 それでキャプションのほうを見ると二つの地震で同様のすべり域というのが多分白枠で、厚岸沖の1952年に固有のほうがグレー枠ですよね。特に厚岸沖と言われてもどこかよく分からないなと一瞬思いましたので、ここで(白枠)、(灰色枠)などと書いていただけるといいかなと思いました。
 
【寺川委員】 分かりました。ありがとうございます。
 
【日野委員】 それと本文のキャプションの2行目についでですけど、「1952年十勝地震」になっているのは「十勝沖地震」ではないかな。
 
【寺川委員】 ありがとうございます。その点も修正します。
 
【日野委員】 それと、今度は今の図の右側の震源時間関数です。せっかく出していただいているのですが、これは本文の中できちんと説明されていないような気がします。
 
【寺川委員】 元報告書のほうにもう一回戻りまして、何かしら反映するようにするということでいかがでしょうか。
 
【日野委員】 多分、わざわざ出していただいているので、白枠の中が最初のピークで、グレー枠が後ろのピークではないかなと思いますけど、そんな感じのことを少し付け加えていただけるといいかなと思いました。それから震源時間関数とも関係するのかなと思ったのですけど、本文の中であるいは先ほどの説明でも初期破壊の話をいただいたのですが、図の中から読み取りにくいかなと。
 
【寺川委員】 down-dip方向への破壊ですか。
 
【日野委員】 そうです。単純に破壊の開始点からというのではなくて、本文では規模が書いてあったので、多分このすべり量分布の中のどこかがその初期破壊に相当するものだと思っているのだろうと思いましたけれど、そこが読み取りにくいのと、あまりディテールに入ってはここでわざわざ書く必要がないかもしれないので、そこら辺は表現で丸めていただいてもいいかもしれません。
 
【寺川委員】 はい。では、元報告書のほうに戻って、もう少し特徴の部分を生かすように修正するということで。
 
【日野委員】 はい、よろしくお願いします。
続けてあと三つほどありますけれども、よろしいでしょうか。
 
【小原部会長】 どうぞ。
 
【日野委員】 今度は本文の図の番号で失礼します。図9、地震シナリオの不確定性を考慮した津波波高の確率論的評価の右下の図が先ほど口頭で説明いただいたのですが、本文にある情報からではこの図の意味は多分読み取れないと思います。
この図で何を言いたいのかというのが少しよく分かりにくいです。提案法というのがオレンジ色のカーブで、そのカーブが一番下のほうに行けばいいのだというのが言いたいことだろうと思うのですが、縦軸、横軸の意味が分からないので、本当にこの報告書で重要な情報なのだろうかと思いました。非常に苦労して説明しても伝わるかどうか分からない情報だと思うので、そこも少し考えて検討が要るかなと思います。
本文であまり詳しく説明していないということは、それほどこの図に重みはないのかなと思いました。
 
【大倉委員】 ありがとうございます。
担当の方、大園委員に情報をいただいて、いただけばいただくほど深みにはまっていくという感じで、一番苦慮したところです。右下をばっさり切るというのも一つの手かと私は思ったのですが。
 
【日野委員】 あるいは適切な絵を描いて、直感的に分かるようにできればそれでもいいのかもしれません。
 
【大倉委員】 これは結構カーネルリッジというのを入れるかどうかで、あとは主成分分析や非線形とか、その辺がどんどん雪だるま式に増えていくというところでございました。専門でない方からすると縦軸はモデルの正確さ、予測の正確性みたいなもので、横軸は何と表現すればいいか分からないですが、何かそういうクローズアップをするか、先ほども言いましたように、厳しいのであればもう止めてもいいのかなという感想を持ちました。ありがとうございます。
 
【日野委員】 続いて、今度は図10です。これは非常に情報量がリッチな図ですけど、本文でもフィギュアキャプションでも多分表現し切れていないと思います。例えば重要な地図の中に避難行動を起こした人たちのトラックがオレンジ色のバツで書いてあるのだろうと思うのですけれども、それが分からないです。それはフィギュアキャプションでしょうね。
それからあとは、その下の図です。平均歩行距離及び分断発生時のグループ間距離というところです。これもグラフの読み方が非常に難しいです。
 
【大倉委員】 そうですね。右だと例えば3分で二つのグループに分かれて、その後、差はあまり変わりませんが、黄色のバーで現れています。
 
【日野委員】 これも図が、そういう意味では、さっき言ったようにリッチ過ぎて結局何が要点なのかが分からないと思うので、避難行動が大きく変わってしまうことを示す意味でこれは非常に大事な絵だと思うし、想像していて大体何が言いたいかは見当がついたのですが、やはり工夫が要ると思います。あるいはこの図が報告書にあったものそのままではないかと思うのですが、ほかの図は結構イラストレーターに頼んで分かりやすくする工夫をしていただいていると思うのですけど、ほかの図と比べてという意味では消化不良かなという気がします。
 
【大倉委員】 赤バツについては確かに結構不足している情報ですので、それはコメントして、グラフについてどうするかですね。非常に難しい図になっています。
 
【日野委員】 黄色のバーは少なくとも、今、重要かどうかは分からないですね。その代わり黒と赤が乖離しているところが大事なのかもしれないですけれども、大きなグループができていて、その人たちが15分近くかけても、会っていないということなのでしょうか。
これは同じルートで二つに分かれているのですかね。だから、そういう意味では、このトラックにどこで分かれたというのがあると、いろんな意味でもっと分かりやすいですよね。
 
【小原部会長】 そうすると、上のトラックは赤いバツと黒いバツがあるべきなのですか。
 
【大倉委員】 同じところを通っていますので、それをやってしまうと少し分からなくなるかと思います。
 
【日野委員】 だからその中に時間情報が要るのですね。
 
【大倉委員】 はい。
 
【日野委員】 だから、同じトラックを遅れて歩く人たちが出てくるということですね。
 
【大倉委員】 それが赤の実線になります。
 
【小原部会長】 そういうように解説をいただくとだんだん分かってきますけれども。
 
【大倉委員】 これはただでさえキャプションが長いですが、ある程度キャプションで吸収するとして……。
 
【日野委員】 情報の取捨選択が要るかもしれません。
一方で参加者の意識に変化が現れたというところは、どう変化が現れたかというのが実は結構重要なのではないかと思っています。もしどこかからかその情報が出せるのであれば出していただけるといいかなと思います。
 
【大倉委員】 元の年次報告のほうには詳細に記載されておりますので、それを参考にしたいと思います。
 
【日野委員】 ありがとうございます。
最後です。少し戻ります。本文の図5で、歴史史料です。図そのものは非常に分かりやすくて、説明も大変分かりやすくてありがとうございました。
追加というか、もし分かったら教えていただきたいと思っていますけれども、文献資料などのデータベースを作るというのがこの計画の中で進められていますが、こうやって複数の史料を並べて読むことはそういうデータベースを整えたことでできたことなのだとすると、それそのものが非常に立派な成果だと思うのですが、それはいかがなのでしょうか。
 
【大倉委員】 私はそのように理解しておりますが、どなたか補足できる方は出席されていますか。
 
【大園委員】 地震・火山噴火予知研究協議会企画部にも所属しているので私から少し発言させていただこうと思います。データベースのほうの整理はおっしゃるとおり進んでいて、それによって年代として並べてみたら分かってきたものがあるというのは事実で、そういったところからこういった結果も出たというのは事実でございます。
ただ、データベースのほうは今集めて、整理をするというところで、まだ力を注いているところではあります。今すぐこんな感じで全てが調べられるかというと、まだいろいろと工夫をしている段階だとこちらでは認識しております。
 
【日野委員】 ありがとうございます。具体のデータベースの成果というわけではないけれども、データベースを構築していくとこういうすばらしい成果が上がるという意味で、何を目指しているかということが報告書の中できちんと出るべきだと思うし、建議の中でこういうことをやりたいということもあったので、そこは報告書の中で、成果そのものではなくて、こういうことができるようになったということも含めて重要性を少し書き足していただけるといいかなと思います。
それと、これに関連してですが、これは書きぶりからいくと、近代的な観測データと史料・考古・地質データ等を統合しというところになっています。これはここの時点では史料データを総合的に解釈することで地震活動について新しい情報が得られたというところですけれども、一歩進んで、こういう震度分布になるような地震はどんな地震なのかというのを近現在の地震の記録と比較するという展開は今後あり得そうでしょうか。
 
【大倉委員】 必要なペーパーには上げられてないですけど、別の課題、公募課題だったと思いますが、このような研究をされた例はございまして、これは前回の大学の成果のほうのプレゼンにありませんでしたか……、石辺さんのデータですよね。
 
【大園委員】 おっしゃる通りです。公募研究で出された成果もございます。
 
【大倉委員】 「有感地震記述ならびに震度の距離減衰式に基づく地震活動解析」がおっしゃるのに当たるのだと思います。
 
【日野委員】 はい、ありがとうございます。ですから、今、図5に書いてある個別にこの地震がというのと、この石辺さんの御研究と多分対応はしていないと思うのですが……。
 
【大倉委員】 そうですね。
 
【日野委員】 こういうものにつながってくるということも、成果に対して盛り過ぎになるのかもしれませんけれども、そういう展開も期待できるという意味のところも少し書き足してもらったほうがいいかなと思いました。
この研究で目指しているところはまさにそういうことなので、その中のどういう位置づけの研究かというのが少しメンションできるとよいと思いました。よろしくお願いします。
私からは以上でございます。
 
【大倉委員】 ありがとうございます。
 
【小原部会長】 大変有益な御指摘ありがとうございます。
どうぞ。
 
【大湊委員】 今、日野委員のおっしゃられたことは、成果にも書いてあってほしいですけれども、私はレビューがメインですので、それにもそのような内容を含めるのがいいのかなと今聞いていて感じました。
皆さんが書いてくださった原稿で将来の展望などが書いてあるのですけど、将来的にはこういうデータベースを蓄積して、それで過去はこうだったということだけではなくて、それから今のデータを混ぜたらどうなるかとか、将来の予測にどうつなげるかみたいなことをやりたいということは書いてあるので、今の日野委員の提案してくださったことなどもレビューのほうで反映させることも考えていきたいなと思いました。
ありがとうございます。
 
【小原部会長】 ぜひそのようにレビューにも反映してください。
ほかに御意見、御質問ございますか。
はい、どうぞ高橋委員。
 
【高橋委員】 分かりやすい説明ありがとうございます。
2点ほど少し説明をお聞きしていて気がついたところをコメントします。
測地データのところで、本文の図2でしょうか、測地データと地震活動データを使ってというところがあったのですが、この入力に使ったデータがどういうものかというところをもう少しこのプレゼンの中に盛り込んでいただけるといいなと思いました。日本はいろいろな観測網が発達しているところがあるので、それがあるからこそできたのか、あるいは海域も含めて今後もう少し広くそういう予測ができるようになるのか、この研究は非常に重要だと感じましたので、その辺りの観測データの部分を少し書き込んでいただけるとなおよくなるかなと感じました。
それが1点目です。
 
【寺川委員】 ありがとうございます。
観測データは一番上のGNSSのデータになります。
 
【高橋委員】 それは先ほど御説明でもいただいて、GNSSだなとそれはもちろん理解できるのですが、これだけの分解能のものを出すというのがどれだけの観測データがサポートしているかということを図か何かで表現されるといいかなと。
 
【寺川委員】 各観測点で三角形を作っていて、それぞれの三角形の中のひずみを2次元のテンソルの形で表すものだと思います。三角形の大きさというのが直接的な解像度になってくると思います。これに関しては、元データのほうでありましたか、観測点分布に関する絵は載せられるかどうかは難しいとは思いますが。
 
【大園委員】 観測点をどういった点を使ったかという情報は確かにこちらにはなかったので、難しいとは思うのですけれども、GEONETを使っているので、20から25キロぐらいの間隔の観測密度でされているという御理解でいいかと思います。
 
【寺川委員】 その解像度などを書き込むことで少し分かりやすくなるでしょうか。
 
【高橋委員】 そうですね、足りないところというよりもこの研究を支える背景というか、バックグラウンドというか、そういうところを少し、それは測地データだけではなくて、ここに「地震学的観測データ」と書いてありますけど。
 
【寺川委員】 それは、その場合も直接的には歴史地震になります。歴史地震の過去2000年ぐらいの歴史地震、規模の大きいものをカウントすればそれはモーメントなので、まず十分だと思いますが、その昔、どこでどのぐらいの地震が起こったというのを積み上げて、大体地震で観測される応力のレートみたいなものを出していますので、それにつきましては、どこかに図がありますか。何年間の地震という情報を付け加えるということでいかがでしょうか。
 
【高橋委員】 例えばそういう方法もありだと思います。
 
【寺川委員】 それ以上の直接的に地震観測のデータをこの評価に直接は用いてはいないのですが。
 
【高橋委員】 少なくとも過去2000年にわたってというお話で、それなりに非常にたくさんの情報を今は使っているわけですよね。
 
【寺川委員】 それは資料があったと思いますので、的確なものを書きたいと思います。
 
【高橋委員】 その辺の、この結果を満たすのに必要な情報を少し分かりやすく加えていただけるとよりよくなるかなと思いました。
 
【寺川委員】 もう一つ付け加えますと、海の沈み込み帯の地震のほうは、今日は御報告していないのですけども、こちらのほうでも進展があります。GNSSのデータからプレートの固着状況を把握して、プレート境界面での固着によるせん断応力蓄積を計算して、そこは地震で壊れるという過程で、そういったGNSSのデータを取り入れた現実的な地震シナリオを作るという提案もなされています。
 
【高橋委員】 あと図10の先ほど日野委員もコメントされた情報リテラシーのところです。この図は避難をするときの前提が少し見えにくいかなと思いました。どういう情報に基づいて避難行動を始めたかという情報が……。
 
【大倉委員】 報告書には書いてございました。すみません。
全員場所を知っているということです。普通の人だとこれより遅いだろうという。
 
【高橋委員】 この絵は結構いろんな情報を含んでいると感じました。避難行動が津波の浸水域を通って逃げているように見えるのですが。
 
【大倉委員】 そうですね。
 
【高橋委員】 それは稚内市の避難経路がこういうふうに設定されているのか、あるいはもう少し陸側の道は、例えばいろんな道路が狭いとか、崩れやすいものが多いという観点で、そこを避けているのか、あるいはそういう情報が全くなく、それぞれの避難行動の人に依存しているわけではないですよね、みんな同じように流れていくということは。
グループで同じように逃げていったのでしょうか。
 
【大倉委員】 はい。
 
【高橋委員】 場所は知っていても避難経路は設定としてどうなっているのですかね。
 
【大倉委員】 避難経路の情報は、書いてなかったと記憶しております。
 
【高橋委員】 特に右の図ですけど、道の駅から稚内……。
 
【大倉委員】 総合文化センター、緑丸ですね。
 
【高橋委員】 津波の避難域に逃げていて、その後、土砂災害が発生したという想定で北に逃げたというシナリオですか。
 
【大倉委員】 次は指定避難所しかないというか、そこを教えられているので、行ったということです。本当は丸を目指しているのですが、途中で土砂崩れしてこれ以上進めないということで、そこで引き返しなさいという指示を受けて緑四角に行っているということです。
 
【高橋委員】 分かりました。その辺のシナリオがそのスライドに分かりやすく書かれているといいかなと思っていて、つまりどういう情報がどのタイミングで入ってきたからこういう避難行動になったということが分かると今後の改善の余地というか、何をこれから考えないといけないのかというところが少し議論できるかなと感じました。
 
【大倉委員】 今回はこのスライドではなくて、文章として残したほうがいいということですよね。
 
【高橋委員】 そうです。私からは以上です。
 
【大倉委員】 成果の概要のフィギュアキャプションになるのかな…。
前提を記述したいと思います。ありがとうございます。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
では、田中委員が手を挙げています。
 
【田中委員】 産業技術総合研究所の田中です。
皆さん御指摘のように細かいところの不備はあるにせよ、それぞれの成果が立派ですばらしいものと感じております。
先ほどの歴史史料のときにも話が出ましたけれども、現在だとここまでできるけれども、全員が100%、大きな目標に向かって全てできているわけでは必ずしもないと思います。そうした場合に、その先の大きな展望みたいなものも併せて書いたほうが計画全体としてバランスがいいのかなと思いました。よくできましたばかりだが、ここをこうしたら、もっとこうなるとか、こうなれば良いなみたいなものが入っていたほうが良い気がします。特にこういうデータベース系に関しては、完成することはもしかしてないのかもしれませんが、必ずしも100%満足いっているのではないというのは重々承知しているので、そういうところも併せて今後の展望みたいなものを書いていただければいいのかしらと思いました。
以上です。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
それは、5年計画のまだ途中段階で、その5年後にはどうなるかということなのか、それともまたさらにその先を目指して、それに対してどういう位置にあるのかという、どちらのほうですか。
 
【田中委員】 もちろんその5年のほうでもいいのでしょうけど、本当はもう少し長期的な展望を考えて書かれたほうが、私は読んでいて何かストンと落ちるというか分かりやすいのかなと感じました。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。そういう観点も必要であるということですね。
ほかに御意見、御質問ございますか。
森岡委員どうぞ。
 
【森岡委員】 先ほどから話に出ております避難行動の報告のほうですけれども、非常に基本的なことで申し訳ないですが、どういう属性の人が、何人やったのか、何年何月何日かという基本的な情報が入っていないと、やはりこういうものは評価しづらいのかなと思います。これが、稚内市民1,000人が歩いた結果だというのだったら、すごい概念図があるな、一般化できるな、と思うのですが、一方で30人相当でやったような実験だったら、まあそういう結果だなと見ざるを得ないし、参加した人がいろんな年代の地元の方なのか、それとも学生だったのか、こういうこともとても大事だと思います。社会学的な実験の場合、参加者はどういう属性だったのかということは必ず書かないといけないと思いますし、論文には必ず明記されていると思いますので、それを報告書のほうに入っているかもしれませんが、入れてほしいと思いました。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。そういった詳細な情報については、報告書のほうでは書かれていますでしょうかね。
 
【大倉委員】 年次報告には書かれておりまして、授業の一環としてやっておられるので、北大の大学院生、学生が、アプリがインストールされたスマホを持って歩いたということです。一般の方向けではないです。
 
【森岡委員】 やはりそうですよね。これは学生でやっていますよね。だから新しく土砂災害が起きたという情報もスマホでぱっと受けてそのような対応をしているということですね。
一般住民に適応するには相当違う、限定された状態で行われた実験であるということも注釈などが要るのかなと思います。もし、評価を書くところがないとおっしゃるのだったらそうだと思うのですが、私はこの実験はとても限定的な状態で行われていると思います。情報が来るかもということも知ってやっていると思います。少し実験室的な状態でやったものだというこが悟れるような書き方をしたほうがいいのかなと思いながら見ていました。
 
【大倉委員】 ありがとうございました。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
では、そのような限定的な実験であることが分かるような何かうまい書き方を少し工夫してください。
ほかに御質問、御意見等ございますか。
 
【関口委員】 先ほどのこの図で下に書いてあるところが分かりにくいというのがあって思ったのですが、下の細い図は縦軸が走行速度になっていますが、これを歩いた道のり、積算量にして書いたら、もう少し直感的に分かりやすいのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。図は大きくなってしまいますが、右で赤のグループが遅れているというのが分かりやすくなるかなと思います。
 
【大倉委員】 ありがとうございます。
距離にすると分かりやすいというのはありますが、縦軸のスケール問題になって少し見にくいかなという弊害もありそうな気がします。右肩上がりになってきましてね。
 
【日野委員】 距離にしても速度にしても、積分しても積分しなくても、地図の上でどこなのかが分からないので、難しさは同じだと思います。どう見るべきかなど大事なポイントはきちんと文章で書くことのほうが大事ではないでしょうか。今、黒と赤が分かれているのは、赤が、しばらく速度がゼロになっているからじっとしていた時間があって、じっとしていた時間の分だけ最終的には遅れているということですよね。そのじっとしていたのは、どこでなぜじっとしていたのかということが避難行動を考える上では一番大事なことだと思います。生データというよりは、そういうところを工夫して書いていただくことのほうが大事だろうと私は思います。
以上です。
 
【小原部会長】 いろいろ御指摘いただきまして、ありがとうございます。これは成果の概要ということで、なるべく一般の方にも分かりやすいように図を選んで、それを分かりやすい言葉で表現するのが基本ですが、ただ、その図を選ぶときには、報告書は基本的にはもう論文の図として上がってきたものを採用するということなので、なかなか分かりやすい図に書き直すのは難しいのかなとは思いますけれども、少なくとも今回については、時間の関係で図の修正はかなり難しいかと思います。来年度、成果の概要を作成する際に、図を選ばれる際には、もっと分かりやすく伝わるような視点で書き直しを執筆者に求めるというのはいかがでしょうか。大変ですが、少しそういうところも考えたほうがよりよいかもしれませんね。
ほかに質問、御意見等はありますでしょうか。
あと、本文のほうでも構いませんけれども、もし何かありましたら。
特にないようでしたら、今日いろいろ御意見、コメントいただきましたので、それを何とか100%反映するには難しいところもあるかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたようになるべく一般の方にも分かりやすい形で表現するということが重要ですので、そういう観点で必要なところの修正を加えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、ほかにも細かい修正、意見等があるかと思いますので、そちらについては、事務局のほうに伝えていただきまして、それで、この原稿自体は部会長預かりという形にさせていただいて、取りまとめ委員も含めて修正を行って、確定させていただきたいということでよろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】 もし細かい修正意見等がございましたら、事務局のほうからも御説明ありましたけれども、9月17日の金曜日までに事務局までに伝えていただければ、それをどのように反映するかということについて、部会長、それから取りまとめ委員のほうで相談して、原稿の修正を行って、確定することとさせていただきたいと思います。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】 では、そのようにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

[議題2.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の令和3年度年次報告の作成方針について]

【小原部会長】それでは、次の議題に進みたいと思いますけれども、議題2「災害の軽減に貢献するための地震・火山観測研究計画(第2次)」の令和3年度年次報告の作成についてということで、まず事務局から御説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】 事務局上山でございます。それでは、資料2を御覧ください。
こちらの作成方針に関しては、毎年この成果の概要を取りまとめるのと同じタイミングで次の成果の概要の作成方針を議論いただくことにしておりますが、今回は昨年度までと大きく内容を変えてございます。一番大きな変更点ですけれども、昨年度までは、このタイミングでは、「年次報告【機関別】の作成方針」のみ審議いただいておりましたが、こちらの「3.年次報告【成果の概要】作成方針」についてもこれまで次年度の最初の部会等で議論いただいたものをこのタイミングでまとめて審議いただくという方針に変えています。これら2件の作成方針は毎年ほぼ同じ内容で御了承いただいていますので、議事運営の効率化の観点からこのタイミングでまとめて審議いただくという内容に変えてございます。
それでは、最初から説明させていただきます。
まず、「1.基本的な考え方」でございます。こちらの1点目に関しては、例年同様の書きぶりで、先ほどからも議論がございますように、一般の方でも読みやすく分かりやすいように取りまとめるという考え方で作成いただきたいと考えております。
こちらの2ポツ目ですが、こちらが今回新たに追加した項目でございます。これまでは、成果の概要取りまとめの前段階として各課題の先生方から報告を上げていただく際に、その研究課題の成果を列挙いただく形で報告いただいておりました。しかしながら、本日の議論にもございましたように、5か年の計画において特に重視している「五つの項目」及び「重点的に取り組む研究」について、その目的達成に各課題がどのように貢献することになったのかが分かりやすいように報告いただき、その内容を成果の概要として取りまとめるということを基本的な考え方に追記してございます。
先ほど田中委員からは5か年の目標だけではなく、さらにその先についても書けるのであれば書いたほうがいいという御意見がございましたので、その点についてももしほかの委員の方から御意見があればこの場で御発言いただければと思います。
「2.年次報告【機関別】の作成方針」です。こちらの内容自体は基本的にはこれまでと同様のものを踏襲してございます。まず、課題別の成果の報告様式ということで、こちらは例年と同様の様式を用いることにしています。報告を求める内容も基本的には例年と同様で、令和3年度の成果の概要、令和3年度の成果に関連の深いもので令和3年度に公表された主な成果物、及び令和4年度の実施計画の概要としております。「1.基本的な考え方」で追加した内容を踏まえまして、令和3年度の成果の概要では、これまでも報告いただいている課題ごとの「関連の深い建議の項目」の達成に当該年度の成果がどのように貢献するのか、という点についても併せて記載いただくことを付記しております。
以降は例年どおりです。「(2)課題別成果の報告方法」に関しては、オンライン入力システムを用いて入力いただきます。「(3)取りまとめ方法」については、各機関が作成した機関別の報告案を地震火山観測研究計画部会において取りまとめることとしておりますが、この期間別の報告については年度当初の部会で毎年審議いただいているものです。
続いて、「年次報告【成果の概要】の作成方針」です。こちらも前年度の成果の概要の作成方針と同様の内容であり、今回の会議資料の参考資料1-1をほぼ踏襲したものになっています。
まず、構成ですけれども、こちらも今回議論いただいたものと変えておりません。はじめにと成果の概要、そして、まとめ、用語解説、実施機関、研究課題一覧という構成です。
参考資料のほうも同様で、建議の概要と項目別の概要について同様に添付する形で考えております。
取りまとめ方法も例年と同じです。第11期の成果の概要取りまとめ委員である大倉委員及び寺川委員を中心に、地震・火山噴火予知研究協議会及び関係機関の協力を得て草稿を作成して、この部会で取りまとめるという方法で進めたいと考えてございます。
最後に日程でございますが、成果の概要の取りまとめまで、つまり来年の今頃までのスケジュールを大まかに示しています。本日9月10日の第41回部会で令和3年度年次報告の作成方針について審議いただくところから始まりまして、12月下旬頃までにはオンライン入力システムを地震・火山噴火予知研究協議会に依頼して準備いただきます。例年同様に1月上旬頃には各機関に課題別の成果報告の作成依頼をさせていただきます。2月の中旬頃にその報告の締切りを設定いたしまして、3月にはその内容を踏まえて成果報告シンポジウムを開催する予定でございます。
それと前後しまして、事務局のほうから機関別の作成依頼をさせていただきます。提出いただいた機関別の報告を5月か6月頃の部会で審議していただいたうえで事務局のホームページで掲載という流れで考えております。
また、8月から9月に本日と同様の議題で部会を開催いたしまして、令和3年度の成果の概要を取りまとめます。部会で承認いただきましたら事務局のホームページで掲載して、印刷・配布までするという流れで考えています。
事務局からの説明は以上です。
 
【小原部会長】 ありがとうございました。
令和3年度の成果取りまとめに関する年次報告、それは資料2にあるとおり取りまとめるという方向で進めていくということですけれども、何か御質問、御意見等ございますか。
特に、今日は令和2年度の成果の概要について議論をした中で、まとめ方や報告書の出し方についても、こうあるべきだというところが幾つかございましたので、それを令和3年度の報告書の作成方針に少し反映させるということもあろうかと思います。田中委員のほうで、例えばその将来展望的なところをここに加えたほうがよいとかという御意見ありますでしょうか。
 
【田中委員】 私も特に強い意見があるわけではないのですが、大きな目標に向かって今こんな感じというのが分かったほうが良いと思った程度なので、特にそんなものは必要ないとおっしゃる方がおられるのであれば強く主張するものではありません。
 
【小原部会長】 もちろんそれはマストで書かなければいけないというわけではなくて、もし何かそういうことも含めて書いてもらってもよいという程度であれば……。
 
【田中委員】 テーマによって、いろいろあるかと思いますが、例えばデータベースは、先程も述べたように、作るのも大変ですが維持やアップデートしていくことは大変だと思います。必ずしも常に満足できるという感じではなく、トピック的に大きなことが出る場合もあると思いますので、必ずしも全てに関して当てはまらないにしろ、テーマによってはそういうことが書いてあったほうがいいのかなという程度です。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
そうすると、この作成方針のこの文書自体は、もうこのままでよろしいですか。
何かほかに御意見をお持ちの方はいらっしゃいますか。どうぞ。
 
【大湊委員】 今回の取りまとめをしてくださった大倉委員や寺川委員の意見も聞きたのですけれども、取りまとめをやる側になると元の原稿がいろいろな書きぶりだとなかなかまとめにくいと思います。ある程度、皆さんこんな形に書いて下さい、というサンプルのようなものを作って、それに合わせて皆さんが書いてくれるとまとめるほうも楽なのではないかというのを、今回レビューを担当者して思いました。もし大倉委員や寺川委員がそういう印象をお持ちであれば仕事が増えるかもしれませんが、そういうサンプル的なものがあれば良いと感じました。今後、新しく変わった考え方にしても、具体的にどう書くのかという質問が多分出てくると思いますが、何か今までの報告書の中で、うまく書けているようなものを探してこんな感じで書いてくださいねとかやると書くほうも楽になるのかなと思いました。
 
【小原部会長】 大倉委員、寺川委員、今のご発言について何かご意見ございますか。
 
【寺川委員】 私も今回この取りまとめをして、感じたこととしては、研究者が報告してくる成果というのは、何々ができました、何々を明らかにしました、というのが中心になっていまして、それがこの建議の研究の中の目的達成にどのぐらい近づいているのかというところを読み取るのが大変難しかったというのが率直な意見です。少なくとも地震・火山噴火予知研究協議会計画推進部会の報告書の時点で、その点見えてないと取りまとめる人はかなり難しい作業になるのではないかなと感じました。おそらくこれはレビューに関しても同じだと思うのですが、そういう意味で今回新しく五つの項目及び重点的に取り組む研究の目的達成にどのように貢献するかが分かりやすいにようにと追加していただいたのは、非常にいいことだと思います。
私はこういったことを書くことは賛成です。
 
【小原部会長】 「基本的な考え方」に、寺川委員の御発案のとおり、重点的に取り組む研究等に関する貢献を書いていただいて、併せて、大湊委員がおっしゃったように例などのテンプレートを用意していただければ、多くの人がそれに沿った形で報告書を上げてくるかと思いますので、取りまとめもしやすくなるのではないでしょうか。何かそういったテンプレートを用意されるとよろしいかと思いますけれども、いかがですか。例といっても報告書を書くわけではないのですが、難しいでしょうか。
 
【大湊委員】 段階はあると思いますけれども、各課題の報告書があって、それを少しまとめる部会長とかがいて、それを部会長がまとめたのを、今度取りまとめをやる段階の方と、どの段階のもので運用するかというのでまた違ってくると思っています。既に毎年書いたものからあまり変えたくないだろうと思いますが、どうでしょうか。
 
【寺川委員】 各研究者が、最後に我々が伝えるべき相手が一般の国民であるというところを意識して、できるだけ分かりやすい報告書を作るということは、最初のスタートだと思います。そこにプラス、まずは部会の資料が分かりやすいものになっていることが重要かなと思います。
 
【日野委員】 要するに全体に対してどういう貢献があるかというのをまとめるのは大変重要なことだと思います。今取りまとめ委員のお二人が大変苦労されたと思いますが、部会長に頑張れと言うと部会長がまた同様に非常に苦労するかと思います。ですので、今は課題別の報告書は、フォーマットが決まっていて、そのフォーマットに合わせて項目を書き込んで送るようになっていますよね。そういう意味では項目をどういうふうに誘導するかというのは別ですけれども、項目の文章をきちんと埋めてもらうというのをお願いすると、結果として部会長もその中から大事だと思うものをまとめてくれれば良いですし、それを取りまとめ委員の方がもう一度見るときも楽になるとかと思います。やはり最初の各課題の成果報告の中でそれほど長くなくていいので、何か一言書く欄を新しく作るのがいいのかなと思いました。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
 
【日野委員】 ついでですけれども、今これは5か年計画ですが、先ほど田中委員がおっしゃっていたようにもう少し長いスパンでというのも、そろそろ次の建議のことを考えないといけないとか、そういうスケジュールもありますので、1行程度書いてもらえると、中には光るものを書いてくれる人がいるかもしれません。いろんな人に声がけをして、知恵を集めるのもこういう大きいプロジェクトのメリットだと思うので、そういうことも検討いただくといいかなと思いました。
以上です。
 
【小原部会長】 御提案ありがとうございます。
それはオンライン入力システムにも関わってくるということですね。
 
【日野委員】 そういうことです。そこに書けと指示すれば皆さん頑張って何か考えて書いてくれると思います。
 
【小原部会長】 大園委員から手が挙がっているので、お願いします。
 
【大園委員】 実際に成果管理システムを管理している側なので、御発言させていただきます。
まさにおっしゃるとおりだと私も思っておりまして、今年度の成果管理システムについては少し改修をしようと思っております。その中に先ほど御意見いただいたような建議の研究のどこに絡んでいるのかを明記させることを項目として設けることは可能ですので、それを設定するようにしたいと思います。
先ほど田中委員からも、データベースのお話がありましたけれども、データベースの情報についても、このシステムの中で少し集めて整理するという話も出ております。あとは、レビューのいろいろな資料を集めていたのですけど、システムの中に書いていただいたことをまた改めて集めないといけないという作業などもあったりしましたので、その辺も含めてシステムの効率化と、書くべきことの欄を設けるようなどの工夫を検討したいと思います。
以上です。
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
では、オンライン入力システムの詳細については、地震・火山噴火予知研究協議会企画部のほうで御検討いただくということでよろしいですか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】 よろしくお願いいたします。
事務局、どうぞ。
 
【上山地震火山専門官】 今の御議論ですと課題別成果の報告様式に項目を追加するという整理になるのでしょうか。事務局案の書きぶりだと成果の概要の中に目標の達成にどのように貢献するのかを明記すると読めてしまいますが、別項目に分けたほうがよろしいでしょうか。
 
【大園委員】 その成果の概要の中に幾つか項目を小さく欄を作るという形で問題ないかと思いますので、この書き方については問題ないかとは思います。いかがでしょうか。
 
【小原部会長】 もう少し詳細な内容になってくるので、私もこの資料自体はこのままでいいかと思います。
 
【上山地震火山専門官】 承知いたしました。
では、もう1点確認させていただきます。先ほど日野委員から、5年目に向けた展望だけではなくて、先の長期的な展望を1行でもいいから書いたほうがいいという御意見がありましたが、それについては作成方針に書く必要はありますでしょうか。御意見をいただければと思います。
 
【小原部会長】 そのアスタリスクの中に書いていただいたほうがいいですかね。
 
【上山地震火山専門官】 承知いたしました。
 
【小原部会長】 書きぶりについては、部会長預かりということにさせていただいて、そのような表現を加えるということで、皆様御異議なければそのようにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】 それでは、そろそろお時間になりましたので、ほかに御意見がなければ、これで議題2は終了とさせていただきたいと思います。皆様よろしいでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【小原部会長】 ありがとうございます。
では、今日の日程、議論については終了とさせていただきたいと思います。
最後に今後の日程等について事務局から御説明をお願いいたします。
 
【上山地震火山専門官】 事務局上山でございます。本日は活発な御議論どうもありがとうございました。
次回の予定ですけれども、既に御案内のとおり第42回地震火山観測研究計画部会は9月24日金曜日に開催し、レビュー報告書の初稿及び参考資料について意見交換を行っていただく予定でございます。当日の御予定を確保いただきますようお願い申し上げます。
事務局からは以上です。
 
【小原部会長】 ではこれをもちまして、閉会とさせていただきます。本日はお忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。

―― 了 (終了時刻 15時00分)――

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