地震火山部会(第34回) 議事録

1.日時

令和元年10月8日(火曜日) 13時00分~14時41分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成30年度年次報告【成果の概要】について
  2. 地震調査研究の推進について(第3期)について
  3. 令和元年度年次報告【機関別】のとりまとめについて
  4. その他

4.出席者

委員

(委員)鈴木、平田
(臨時委員)井口、石川、大湊、加藤、高橋、中川、仲西、原田、山元
(専門委員)大倉、篠原、橋本、日野、三宅、森岡

文部科学省

工藤地震・防災研究課長、齋藤防災科学技術推進室長、林地震・防災研究課地震調査管理官、上山地震・防災研究課地震火山専門官、 丹下地震調査官、望月学術調査官

5.議事録

[委員の出欠状況など]

・委員の出欠状況:市原臨時委員、矢来臨時委員、阪本専門委員、寺川専門委員、松島専門委員、三浦科学官が欠席。
・事務局の異動:佐伯浩治研究開発局長に代わり生川浩史研究開発局長が着任。村山綾介防災科学技術推進室長に代わり齋藤憲一郎防災科学技術推進室長が着任。大河原斉揚地震・防災研究課地震火山専門官に代わり上山哲幸地震・防災研究課地震火山専門官が着任。
・配布資料確認

[議事1.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成30年度年次報告【成果の概要】について]

【平田部会長】  お手元に資料のない方は事務局に御連絡ください。
 それでは議事に入ります。議題1は、『平成30年度年次報告【成果の概要】』についてでございます。資料1-1が成果の概要の本文の案、資料1-2が参考資料です。
 まず事務局から概要の御説明をお願いいたします。その後、取りまとめ委員をお願いしております橋本委員、日野委員から御説明をお願いいたします。
【上山地震火山専門官】  それでは、まず事務局より説明いたします。参考資料1「平成30年度年次報告【成果の概要】の作成方針」をご覧ください。
 こちらは、前回の地震火山部会で決定されたものになります。この方針に基づき、橋本委員と日野委員に取りまとめ委員をお願いしました。また、原稿の作成に当たっては、地震・火山噴火予知研究協議会企画部の皆様に多大な御協力を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。
 さて、【成果の概要】の内容についてですが、後ほど橋本委員、日野委員より詳しく御説明頂きますので、ここでは概要について述べたいと思います。
 まず、平成30年度は5か年計画の最終年度ですので、5年間の成果の総まとめとして、「5年間の成果の概要」を最初に掲載しております。次に、毎年顕著な地震や火山噴火事象に関する研究成果を「重要な成果」として掲載しています。今年度は、大阪府北部の地震、北海道胆振東部地震に関する成果について掲載しています。その次に、例年と同様に、平成30年度の成果の概要を掲載し、最後にまとめ、用語集、実施機関、及び研究課題の一覧表を掲載しています。
 本日、この内容について皆様に御議論いただきますが、議論に乗せるまでもない細かい訂正等につきましては、10月16日水曜日頃までに個別に事務局までお知らせいただければ、取りまとめ委員の先生方とも相談しながら、こちらの方で修正させていただきます。
 それでは、具体的な内容について橋本委員と日野委員から御説明をお願いいたします。
【日野専門委員】  取りまとめを仰せつかりました、日野です。橋本委員と二人で取りまとめてまいりました【成果の概要】について御説明したいと思います。
 先ほど事務局から御説明のありました通り、平成30年度は前計画の最終年度であったということから、5年間の成果の取りまとめが最初にあり、その後に平成30年度の成果を特に集中して記述するというような体裁で記載をしております。
 最初に、例年書いておりますが、「はじめに」の部分になります。こちらには、計画の項目について大まかな記載があります。これまでどのような枠組みで研究を進めてきたかということのフローになりますけれども、まず、「地震・火山の解明のための研究」、「地震・火山噴火予測のための研究」、の2つが自然現象に関する部分になります。その自然現象から実際に災害へとつながってくる、「災害誘因の予測」というところが一歩、本研究計画から改めて力を入れてきた部分になります。これら3つを中心に研究を進めながら、4つ目にある、「研究を推進するための体制の整備」を進めてまいりました。
 それで、私が主として地震関係の成果について御説明を申し上げ、橋本委員の方が火山研究に関する成果を御説明するというような分担で、二人で交代交代に説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
【橋本専門委員】  最初のスライドです。お手元の資料ですと6ページの図1に対応しております。こちらは、昨期建議における「地震・火山現象の解明のための研究」のうち、「地震・火山現象に関する史料、考古データ、地質データ等の収集と整理」に該当する記述になります。この項目は建議での重要項目の一つになっておりました。当計画以前の建議研究では、東北地方太平洋沖地震の教訓として、低頻度大規模な地震・噴火もケアをする必要があるだろう、といった反省がありました。そこで昨期の研究計画では、史料、考古、地質データの活用が不可欠であるという認識に立ちまして、歴史学、考古学分野の研究者が計画に参入したという点で、新しくなっております。
 実施内容としては、地震史料のデジタル化と校訂、データベース構築、全国の遺跡調査報告書から災害痕跡の記事を抽出してデータベース化するという作業、それから市民参加型翻刻プラットフォームの構築等、こういったことに取り組んできました。
 こちらの図はその一部であり、史料をデータベース化したものの一部です。西南日本の各地で日記の史料が見つかっており、そういうものを調べて、月ごとの有感地震の記録が記事にどういうふうに現れていたか、という個数の推移を示したものになります。こちらを例にすると、安政元年に発生した南海地震の翌年9月頃から再び有感地震が増加した、というような状況が分かり、こういったことが歴史学の方から出てきた成果になっています。
 こちらは地質データのコンパイルに関する成果ですが、5か年で史料、考古、津波堆積物などのデータベースの枠組みがこの建議の中で構築できました。こうした作業は作業量が膨大になりますので、引き続き継続的な取組が必要ではあります。けれども、こういったデータベースが重要な研究基盤になりつつあるということは、確実に言えると思います。
 今後、過去の被害分布と近年の観測データとの比較結果の再評価や、個々のイベントの発生理由の再確認など、予測精度の向上に向けて、具体的な成果がどんどん出てくるようになることを期待しています。
 こちらの図は7ページの図2になります。こちらは津波堆積物の含まれる地層の調査から1454年の享徳地震を復元し、当時の海岸線の地形や浸水のシミュレーションも組み合わせることで、享徳地震がモーメントマグニチュード8.4以上であったということを推測しました。こういったことも津波堆積物の調査を丹念に行うことによって得られる情報となり、最近の研究を進展させる一助になっています。
【日野専門委員】  それでは、地震現象の解明に関する研究ということで、4つほど続けて話題を提供させていただきたいと思います。
 最初に申し遅れましたが、今日ここでスライドとして投影させていただいている図は【成果の概要】で図として示されているものになります。もしご覧になりにくい場合はお手元の資料で参照いただければと思います。
 まず、昨期の5か年で大きな成果が上がった研究の一つは、境界型地震の震源であるプレート境界における、断層の固着あるいは滑りの実態の把握に関するものであったと思います。
 1つ目として、南海トラフ沿いで近い将来大きな地震が起こることが懸念されているわけでして、プレート間固着の状況というのは、今まで陸上の測地観測によってモニターされてきたわけです。けれども、特に海上保安庁の御尽力によって海域の広域ネットワークが形成されて、固着の強さが空間的に大きく変化したというようなことが明らかになってきました。
 また、長期的な平均像として見たときに、図の赤い所は固着が強く、黄色っぽくなっている所は固着が弱いわけですけれども、固着が弱いことを平均的な描像が示している所は、実は繰り返しスロー滑りということが起こっているらしいということが、海底孔内計測によるひずみのモニタリングによって明らかになってきております。
 ここで示されている、観測で分かるような固着滑りの状況というのはあくまでも現時点でのスナップショットであるわけです。けれども、地震サイクルにわたってある種の仮定を置いて、そのスナップショットを外挿してあげることにより、滑り欠損の量を見積もって、現在の滑り欠損の量に基づいて、今ここで破壊を起こすとどういう巨大地震が起こるのかというようなことをシミュレーションでつかむ。こうした、単純なモニタリングから、将来発生するであろう地震の描像を予測するところにまで、研究に応用の可能性があります。
 次は、先ほども申し上げましたスロースリップ、スロー地震についてです。スロー地震現象というのは主として日本近海では南海トラフにおいて非常に詳しく研究されてきたわけですけれども、日本海溝沿いについては、その理解というのは余り進んでいません。あるいはそういう現象が本当にあるのかというところについては、なかなか確証が得られなかったわけですが、今期の研究でかなり日本海溝沿いのスロー地震の活動というのが分かってきたと思います。
 これはその中でも一つシンボリックな例ということで、小繰り返し地震の解析によってプレート境界での滑り速度を推定し、長期間にわたって分析したところ、実はリズミカルに加減速を繰り返しているということが分かってきました。そして、その加速期に大きな地震が起こる傾向があるということも見えてきました。その関係ですが、決して余効滑りで滑り速度が速くなっているのではなく、滑り速度の方が速くなって、それに付随して後からM7級、それ以上の地震が起こっている、というようなことが分かってきました。これもやはり、プレート境界型の地震においてスロー地震の活動が果たす役割を示し、それを使って地震の発生予測につなげることができるだろうという示唆を与えるものです。
 日本海溝沿いでは、現在、東北地方太平洋沖地震後の余効変動が続いています。その余効変動を広域にわたってモニターすることにより、その変動の原因が何であるかというメカニズムがだいぶ分かってまいりました。その中でも特に注目されたいのは、その日本海溝中部、宮城県沖、本震時に大きな滑りを伴った領域においてのみ、地震時と反対方向である西側に向かっての余効変動が継続しているという点です。それを説明するためには粘弾性の影響を強く考慮する必要があることになります。この粘弾性を考慮することの必要性というのが、こういうことからかなりはっきり示されたわけです。これを契機にして、日本列島全体での変動現象に粘弾性の効果を入れて理解するという研究の流れが示されたと思います。それによる新しい成果については30年度の成果のところで少し御紹介したいと思います。
 今度は内陸の地震に関する部分です。内陸の地震に関しては今期の計画中にも幾つかメジャーな地震がありました。そのたびに非常に精密な地震観測が行われたわけですが、地震観測あるいはその観測した地震のデータを丹念に解析する手法が大幅に向上し、一つ一つのその大きな地震を起こした断層のストラクチャーがどういうものであるかというのが非常にはっきり見えるようになってきました。あるいはその断層周辺の応力場を、今まではかなり大きなスケールでしか見ることはできなかったのですけれども、小さな空間スケールでの不均質があるというようなことが見えてきました。そしてその、断層の複雑性と応力場の空間的な不均質性の間に、複雑な関係があるということが次第に分かってきました。複雑であるということが分かってきた、というのは一見、予測とかそういうことの理解には少し遠回りになってしまっている可能性はあるのですが、こうやって事例を積み重ねることこそが、恐らくその内陸の地震の発生過程の本質をつかまえる上で重要なことなのです。こうした観測結果を精緻に解析する技術が非常に大きく発展したというのが、この5年間の大事なトピックスであったと理解します。
【橋本専門委員】  交代します。
 このスライドは、火山現象のモデル化という建議項目に対応しています。こちらのモデル化においては、特に火山の方では幾つかトピックはありましたが、噴出物の分析とフィールド観測の両面で進展があったというふうに考えております。特に両者の連携による現象理解に展望が開けてきたと考えています。
 具体的に言いますと、噴火中に飛んできた噴出物を順次解析していくことによって、マグマの上昇速度との対応関係だけでなく、観測でどういったデータが出るかということとの対応付けの、具体的なイメージが描けるようになってきております。そういうところは新たに発展したところであります。
 また、こちらの図は阿蘇山の活動に関するものです。2014年から一連の噴火活動があったのですが、それに関連して複数の観測項目を同じように一つのグラフに載せ、いろいろな観測量を比較するという取組がなされ、同じ時系列で表示してあげると、噴火の時期がある程度予測できるようになりました。これとこれが上昇してくると噴火が近いとか、あるいは噴火様式がどうであるというようなことが、あるパターンで予測できるというケースもありそうだということが分かってきたということです。そういう事例が積み重なって、蓄積されてきたといった例になります。
 この図には出ていないのですけれども、今期の研究計画で特に重要であったものとして、干渉SARの解析手法の高度化が一つあります。時系列順に次々と噴火の前兆期、進展期に伴ってスナップショットが得られていき、どういうふうに地殻変動が進展しているかというようなことが見えるようになってきました。
他には、火山ガス中のSO2のフラックスを簡便に測る装置の開発が進んできました。火山ガスの研究に関していえば、そういうものを使うことで、これまで得られなかったような高頻度の観測ができてきています。阿蘇に関してもSO2のフラックスの観測結果というのは非常に重要な役割を果たしております。例えば、ちょっとここには出ていないイベントだと思いますが、比較的小さな噴火であっても適切に噴火の前に噴火警戒レベルが上がった事例もあったと記憶しています。こういったことは多項目の観測を組み合わせてやることで実現するのですが、このように、10年前にはできなかったことが徐々にできるようになってきています。
 こちらは桜島の研究に関連しておりますけれども、事象系統樹の高度化による予測につながる研究となっています。こちらの方は、豊富な噴火の中でも観測事例が桜島ではありますが、事象の分岐というのを考えるときに、マグマの貫入速度というものを指標にして、それを分岐条件と考えて噴火様式や規模をある意味で予測し、これを整理したという、そういう成果になります。
 観測データから分岐条件に基づいて現象やハザードの予測もする。更には一部避難であるとか全島避難であるとか、こういった災害対応までも考慮し取り入れた、一連の研究として観測から対応まで一体として取り組んだ例になっています。こちらの方は今期の研究課題の中で新たな枠組みとして作った、総合研究グループでも盛り込まれたものになっています。
 それからこちらは、建議項目でいいますと災害誘因予測のための研究の中の災害事例の研究、それから災害軽減のため情報の高度化というところに係る成果になっています。こちらは東日本大震災の被災地域の過去100年間の土地利用の変化を示したもので、その中で2か所、陸前高田と石巻を取り上げて、それぞれこの100年ぐらいの間にどういった土地利用の変化があったか、また、東日本大震災で結果的にどういう被害が及んだかということを比較した研究になっています。
 陸前高田の方は繰り返し歴史的に甚大な津波被害が発生してきたという背景がありますので、海に近い所はなかなか開発されず、人は住まないことになっていました。それに対して石巻の方は、それほど過去に甚大な津波被害がなかったので、都市化というのが徐々に進行していっています。こういう違いがありましたが、実は高度成長期になりますと、こういった違いというのは余り明瞭ではなくなってきて、全国的に都市化が進んできますと、やはり陸前高田でもある程度土地利用が都市的な感じになりました。結果として東日本大震災のときにはどちらの町もかなりの被害を受けてしまった。こういう側面が分かってきました。
【日野専門委員】  今度は、災害誘因の予測のための研究の中で即時予測のトピックです。こちらの方は字で説明しておりますけれども、全体としては、海陸にまたがって非常に稠密で高性能の観測網が整備されつつあります。それらのデータを使って予測をしようということなのですけれども、即時予測ですから、イベントが発生してから実際に災害誘因が社会に影響を及ぼすまでの短い間に予測を出すということが必要です。そういう意味で、高速の数値計算との組み合わせが非常に重要な課題です。
 ここで挙げておりますのは、長周期地震動、長周期強震動の予測の部分です。この研究では、実際に観測網で捉えられた強震動のデータを使って、それよりもより遠くの所で起こるであろう振動を、いわゆる外挿ですけれども、データ同化という形で予測していきました。そういったデータ同化によって強震動の予測をするわけですけれども、高い精度で計算をすること、および早い時刻に、短い時間のうちに計算を完了させることというのは、高い次元で両立させる必要があるわけです。実際に強震動が伝わっていくよりも速く、つまり実際に強震動が観測されるよりも先に特定の観測点で強震動予測波形を得られるという見通しが立ったことが、この図の方で説明したいポイントになります。
 それから図の方では掲げておりませんけれど、津波に関しては昨期の計画の方で既に津波の高さを利用した即時予測の研究が進んできているわけですけれども、さらにその計算を高速化させるということで、津波の遡上に立ち入って、そうして浸水分布を即時予測するという方向で、新しい研究展開が進みつつあります。
 次は研究を推進するための体制整備の部分ですけれども、これは、東京大学地震研究所と京都大学防災研究所、それと防災研の拠点間連携で進められてきた取組の成果を例として挙げています。この研究の目的そのものはやっぱり、誘因予測を超えてリスクの予測にまで踏み込むということで、南海トラフで発生する地震を事例に取って、それぞれの専門家がリスク評価について総合的な研究を進めてきました。
 そのリスク評価ですけれども、筋としては、まず震源モデルがあって、震源で地震を起こして、それがどのように地震動として伝わっていって、どのように地面を揺すって、その地面を揺すったことによって、これはいわゆるフラジリティカーブというものですけども、経験則で分かっている、どの程度の強震動があればこの程度の被害が起こるというような関数を当てて、それを使って最終的な被害の分布などを予測する。それぞれに対してその予測の不確実性があり、その不確実性が積み重なった結果として、最後の予測に影響を及ぼすわけです。えてしてこういうハザードマップというのは、一つのシナリオに基づいた一つの結果だという認識が独り歩きしがちなんですけれども、恐らく今後は、言ってみれば、一つの平均値で書いているハザードマップになるでしょう。平均値に対するばらつきというものを併せて示しているという、新たな方向性をこの研究の中で示していただけていると思います。こうした研究の流れというのが今後も各方面で活用されていくのだろうと期待がされます。
【橋本専門委員】  この研究もある意味でリスク評価、さらにはその先の避難行動、そういったことに関わってくる成果になっています。こちらは建議でいうと、優先して観測・研究を推進する対象の地震・火山噴火ということのテーマの一つとして桜島の火山噴火がありましたが、そちらで取り組まれた課題になっています。
 優先した課題というのが本建議では4つありまして、1つは東北地方太平洋沖地震、それから首都直下地震、南海トラフ巨大地震、桜島火山噴火とこの4つがあるのですが、そのうちの火山のテーマになります。
 例えばこちらは避難シミュレーションをやったということなんですが、事前の分析ですと、桜島が噴火した場合に、この範囲に降灰があると予想して、これを全部何も考えずに全員避難させるということを考えますと、50時間必要だという結果が得られました。ここで例えば風向きが東であったというような状況を設定して、この範囲の人たちだけが逃げればいいというようなシチュエーションでシミュレーションをやり直してみます。
 すると結果として、こういった降灰の予想を立ててシミュレーションした場合は、どういった情報の発令の仕方をするかということにもよるんですが、大幅に時間が短縮しています。4.3時間とか2.5時間とか4.9時間とか、ちょっとバリエーションこそありますが、どういった状況を設定するかが、こういった避難のシミュレーションにおいては極めて重要だということを示した成果になっています。
【日野専門委員】  ここまでが5年間の成果のまとめで、ここからが昨年度の話になります。
 昨年度は2つメジャーな地震がありました。まず1つ目が大阪府北部の地震で、もう一つが平成30年北海道胆振東部地震になります。それぞれの地震に関する研究成果について簡単に御説明したいと思います。
 図に示してありますのは、震源モデルの予震分布を正確に決めることによって、この地震は、さっき熊本地震のところでも少し御説明しましたけれども、単一の地震ではあるけれども複数の断層の複合破壊が生じていたという実態が見えてきたことを示しています。この地震の場合、比較的隣接しているのですけれど、逆断層と横ずれ断層が同時に動いたという複雑な破壊であったということが分かってきました。
 また一方で、これは地震の起こる仕組みに関する研究の部分ですけれども、こうした複雑な破壊によって生起された強震動についても、詳細な研究が進められ、複雑な後続波を伴ったことが観測されています。それを実際に計算の上で再現することができており、計算機を使ってその強震動の予測をするという技術がかなり実用に近いレベルに来て、かつかなり詳細なことを予測、シミュレーションによって再現することができるということを示した貴重な事例になったと考えています。
 それから、実際の被害と地震の関係ですが、この地震に関していうと、励起されたその強震動の卓越周波数が木造の建物に大きな被害を及ぼすものより少し高い周波数であったために、建物そのものの損壊は小さかったものの、屋根瓦が落ちるなど、屋根は今でもまだ完全に復旧に至っていませんけれども、そういう被害があったということになります。
 被害をもたらす地震と言えば、多くの場合はマグニチュード8クラスの地震というようなものを想定するわけですけれども、都市においてはマグニチュード7程度の、あるいはもっと小さいマグニチュード6であっても、重大な影響を及ぼし得る。こういった教訓を災害軽減のための研究として課題を示した事例になったと思います。
 続いて今度は胆振東部地震の例です。胆振東部地震の例も、これもまた、やはり詳細な解析をやりますと、やはり複数の断層の複合破壊であったというようなことが分かります。これについては、深部の方と浅部の方で少し滑り方向が違っていることが分かりました。
 それからこの地震で注目されるのは、震源が非常に深いところにあったことです。どういう構造の中で起こった断層破壊なのかというところについては、まだ十分な解明には至っていません。一方でこの地震の際に分かったのは、直接被害だけではなくて、例えば大規模な斜面崩壊があったこと、あるいは土地の液状化によって大きな被害が発生したこと、さらには火力発電所がストップすることに起因して、非常に広範囲にわたって電力のブラックアウトが起こったことなど、複合災害という面での地震ハザードの予測の難しさ、そういうものを浮き彫りにしたものであったというふうに考えられます。
 続いて今度は、特定の地震から離れて、昨年度の研究成果です。5年間の成果のところでも少し触れさせていただきましたけれども、粘弾性効果を考慮することの重要性というものが分かってきたことが、この5年間の重要な研究の進展であったと思います。
 その中でも非常に重要な知見が得られたと考えられるのは、東北地方での上下変動のパターンの理解です。地震発生前からずっと沈降が続き、地震が発生した後で更に沈降して、その後今度は隆起に転じているというパターンになっています。そういう上下変動のバジェットはどのようにして長期間にわたって取られているのかということがあまりよく分かってなかったわけですけれども、粘弾性効果を入れて長期間の、東北地方太平洋沖地震の場合でいうと600年程度の繰り返し間隔があると言われているわけですが、地震サイクルのシミュレーションをやってあげると、地震発直後には隆起にあるものが、あるとき、200年から300年したところから隆起が沈降に転じて、地震サイクルの後半になると沈降が進行していくというようなパターンがシミュレーションの上で得ることができます。このように地震サイクルの中での変動を理解する上で、実は粘弾性緩和を考慮することの重要性というのが、このように改めて、今現在ではなくて非常に長い周期で見たときに、確かにそうなのですけれども、そういう視点の重要性を示したと考えられます。
 また、こうしたシミュレーションをやっていく上で、統一的、広域的な構造モデルの構築というのは非常に重要であって、非常にファンダメンタルではあるのですけれども、プレート境界、あるいは地殻の厚さの分布というようなもののモデルを整備して、それでこの研究、コミュニティーの間で共有するというような取組が今期始められたのも、計画の中で特筆するべき重要な成果であると思います。
【橋本専門委員】  こちらまた、火山の話になりますが、火山の今期の研究の集約的な目標は、事象系統樹の高度化による火山噴火予測であったわけです。それに関係する部分になりますが、従来から事象系統樹というのを作成してきたわけです。
 この事象系統樹というのは、地質情報をベースとしていまして、過去の噴火について詳しく調べていくことで、個々の火山について網羅的にどういった噴火イベントが起こっていて、どういう様式であって、それはどういう順番で起こっていくかということを系統樹、樹形図のような形にまとめたものになります。こういうものを使って今期取り組んだことは、まずその分岐のあるところに対してどういう判断基準を持ってくるかということです。分岐条件といったりしていますが、それに注目した研究が先ほど桜島での総合研究として紹介した、マグマの供給率に関するものですね。こちらの方はさらに、地質情報がベースになっているんですけれども、今期は新しく、物理観測と地質情報をうまく融合させようという取組をして、この分岐のところに確率を付与していくという作業に取り組んだということが成果として挙げられると思います。
 特徴的なのは、最初の分岐の部分において、火山に異常があったときに噴火に至る確率や、ここに非噴火と書いてあり、噴火未遂と言ったりもしますが、これは地質の痕跡として残らないわけなんですけれども、この現象に対して確率を与えたことが特徴の一つになっています。
 どういった方法をとったかというと、例えば、観測点があるのはここ50年ぐらいの間であり、最近のデータではありますけれども、群発地震がときどき火山によっては起こります。あるいは、浅間山の場合ですとGPSの基線長が間欠的にこう伸びるというようなイベントが起こったりしますけれども、そういうものをアンレストイベントと捉えて、結果、その後に噴火したか噴火しなかったかというようなことでもって噴火と非噴火の確率を評価して、それを更に過去に地質情報というのを観測データがない場合でも何千年、何万年という噴火の履歴が分かっていますので、そこに外挿してあげます。こういった後ろの方のイベントに確率を付与していく手順を導入することで、一連の事象系統樹の作成手順というのをある程度一般化でき、ほかの火山に対してこういったことをやっていく上でも非常に有用な取組となりました。
 そしてこちらは、研究を推進するための体制の整備という項目に係ってくるところであり、小項目としては、社会との共通理解の醸成と災害教育という建議項目に関わる部分になります。こちらの方は、今期の研究計画で新たに取り組んだ部分の一つになりますが、従来地震や噴火の発生予測といった理学的な研究というのは着実に進展はしてきたものの、これだけでは予測精度を短期間に大きく向上させることは簡単ではないという認識に立っております。地震動とか津波とか降灰というような災害誘因の予測研究を強化して、実際今、分かっている知見でもって災害の軽減を目指すということが必要であろうということから、そういう認識に立ちました。そのために本期の計画では、法学、災害科学、人文社会科学といった研究者に本研究計画へ参入してもらったわけです。
 これは、理学的な予測を災害軽減につなげるための、1つの方向性となる研究成果がこの5年間で少しずつ得られてきていることを示しております。こちらの図は18になりますが、その一つの例として、GISというのを総合的に利用して、この社会の脆弱性をどういうふうに克服していけるかということに関する研究になります。
 具体的にいいますと、この津波の浸水シミュレーションと、実際の避難訓練のときに携帯のアプリを皆さんに持っていただいて、それぞれの人がどういう場所にいつ行ったかということが記録されるシステムとを組み合わせて、こういうふうに避難行動を取ったけれども、津波がどう来るかというシミュレーションと後で突き合わせてみると、これでは津波から逃れることができなかったというようなことがフィードバックとして後で分かります。こういうことを通して、じゃあどういうふうに避難行動を変えればいいのかといった、意識を変えていただくための非常に重要な研究成果になっております。
【日野専門委員】  これが最後のスライドになります。図じゃなくてかつ字が小さくて、多分お読みになれないと思います。
 最終年度を含めてこの5年の間、特に重要であったポイントの一つは、今まで自然科学的な観測に基づいて現代の地震現象、火山現象を理解するというのがメインで進んできたわけですけれども、そこに歴史学、考古学、それから地質学というような知見を入れることによって、時間軸方向に少し対象を広げるということで、その地震・火山の現象の理解という研究の、また新しいステップが始められた点であると考えられます。
 もう一つは今、橋本さんの方から最後のスライドで説明いただきましたように、自然現象の理解、あるいは自然現象のシミュレーションを人間行動にフィードバックすることによって、その災害軽減にどうやって地震・火山に関する研究、特に理学、観測に基づく研究をフィードバックさせていくかというようなことが考えられ始めた。この辺は人文科学、社会科学の皆さんとともにこういう研究を進めていくことで新しくできたアスペクトであって、これはやっぱり今後も継続していくべき重要な成果であり、今後研究を進めていく上での大事な指針を与えてくれたものだと理解しています。
 これで説明は終わります。
【平田部会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの発表について、今のところは概要案になってございますけれども質疑をいたしまして、必要があればこれをお認めする、あるいは微修正をするというように進めていきたいと思います。
 まず、質問をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。これまでの概要と比較して、非常に分かりやすいと思います。
 非常に多岐にわたっていますが、それぞれの御専門の観点から御意見があれば是非お願いします。たしか、これまでと違ってこの概要は本文と図を入れ子にしたんですよね。今まではグラビアと称して最初に絵だけのところがあって、そのあとに文章がある、といった形式でした。今回は普通の論文とか報告書のように取りまとめていただいたので、読みやすくなったと思います。図も大変きれいになっていました。
 最初に、歴史の書物に書かれた揺れの回数と地震についてお聞きします。これは余震をたくさん観測したという話なのでしょうか、それとも余震以外に内陸の地震が増えたということなのでしょうか。
【日野専門委員】  余震であるのか、それとも全体的に広域的に地震活動が上がっているのかというところまで踏み込んで理解するのは難しいと思います。けれども、ただ、その日記の記載されている地域で揺れがあったというようなことを使って、どの辺りで地震活動が多くなってきたかを把握でき、この絵というよりはそのデータベースを作って、その揺れの分布を地理データに落とすようなことが可能になったという一つの事例になっています。
 ですから、そういう意味でこの地震活動そのものが、一個一個どういう理由でそのときに地震活動が活発化したか、そこまではよく分かっていません。これはどちらかというと、こういうデータのまとめ方をしていただいたものを見て、今度は地震理学をやっている人間がどういうふうに理解するかというように、今度はキャッチボールのボールが理学側に来たという理解だと思います。
【平田部会長】  ありがとうございます。
 次は津波の話ですね。これはこれまであまり注目されてなかったが、貞観と東北の地震の間に似たような大きな地震があったと、そう理解していいのですか。
【日野専門委員】  そうですね。貞観と平成の間にもう一つ地震があっただろうということはいろいろ考えられてきていたわけですが、それが慶長、1611年だったかというようなところで、かなり複雑であったわけです。けれども、この解析では1454年であったらしく、共通性が高いということを示したという点で、非常に重要です。そして、もし享徳の地震が1つ前であったとすると、貞観、享徳、平成というのはほぼ等間隔になりますので、これは結構重要なコンストレインになる可能性があります。
【平田部会長】  600年間隔で、かなりぴったりですね。
 それぞれの御専門の方で御意見ございますか。火山について、どうぞ。
【鈴木部会長代理】  図17の確率予報、系統樹のところですが、立派なものができたと思います。少し分からないところがあって、左の方は確率が書いてありますが、分岐点の右の事象に移ったところでその右側に1、1、1と書いておられますね。この数字はどういう意味なのでしょうか。
【橋本専門委員】  ここですね。私も詳細な部分は理解していないところがあるのですけれども、1というのは、小噴火が起こると必ずこの現象が起こるということを意味していると思います。
【鈴木部会長代理】  分かりました。では、例えば連続噴火といいながら、噴石、降下火砕物、火砕流と3つ並んでいますけれど、そのうちの噴石と降下火砕物が必ず起きるというような解釈でよろしいでしょうか。
【橋本専門委員】  そういう意味だと思います。
【鈴木部会長代理】  分かりました。
【橋本専門委員】  大湊さん、何か補足することはありますか。
【大湊臨時委員】  いや、そのとおりです。
【鈴木部会長代理】  ありがとうございます。
【大倉専門委員】  図ではないんですが、まとめの文章、46ページになります。
【橋本専門委員】  45ページですか。
【大倉専門委員】  46ページの最後のパラグラフに少し間違いがあって、2015年の桜島のマグマ貫入イベントは全島避難ではなかったと思うのですが、井口先生、そうですよね。
【井口臨時委員】  全島避難ではないです、一部です。
【橋本専門委員】  失礼しました。では修正します。
【平田部会長】  ほかによろしいですか。今期のまとめについてですけれども、次の第二次計画では、調査委員会や地震本部の活動との連携を強化するということが結構言われているんですけれども、それについて今日のまとめではどこか触れられているところはありますか。体制の整備などについて、記載はありますか。
【日野専門委員】 地震本部で実際に研究されていることに対して、今現在、直接的にすぐ、強くフィードバックを掛けられるところがあるとすれば、長期評価の部分ですね。特に地殻変動の理解であったり、スロー地震の活動のモニタリング、あるいはそういうものを外挿することによる、次に起こる地震の発生像のシミュレーションを通した理解であったり、こういう技術を長期評価にどうやって生かしていくかというような提言ができればよかったのかもしれません。ちょっとそこまでうまくまとめられていないです。
【平田部会長】  次期のというか来年度、もう始まっている第二次のまとめのところでは是非、実際に長期評価をするためには新しい知見が必要ということでそこに橋渡しのできるような成果があれば、強調していただきたいと思います。
【日野専門委員】  分かりました。
【平田部会長】  それでは特に御意見がなければ、今大倉さんから御指摘のあった点は直していただくということで、皆さんもう一回読んでいただいて、事実誤認であるとか、字句が間違っているところがあれば事務局まで御意見をお寄せください。
 そして、本日この原稿については部会長預かりということで、微修正があれば今既に御指摘いただいたものを修正、プラス微調整をして、部会の案としたいと思いますが、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【平田部会長】  それでは、御異議ないようですので、議題1についてはこれで終わります。ありがとうございました。

[議事2.地震調査研究の推進について(第3期)について]

【平田部会長】  それでは引き続いて議題2に入ります。今年の5月31日、政府の今後10年の地震調査研究の計画である「地震調査研究の推進について-地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(第3期)-」、いわゆる第3期総合基本施策が決定されました。第3期総合基本施策では、これまで本部会などで議論しております建議との連携強化についてもこれまで以上に詳しく書かれております。
 まずこの第3期総合基本施策について文科省より御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
【丹下地震調査官】  地震本部事務局の丹下と申します。
 これまでの地震調査研究の成果、地震調査研究を取り巻く環境の変化等を踏まえつつ、将来を展望した新たな地震調査研究の方針である、第3期総合基本施策が本年5月に策定されましたので、内容を簡単に御説明いたします。お手元の資料2-1をごらんください。
 まず、資料上段の背景というところについてです。我が国の地震調査研究は平成11年4月に策定された総合基本施策、及び平成21年4月に策定され、東日本大震災における課題、教訓等を踏まえて平成24年9月に改訂された新総合基本施策に従い、国や関係研究機関、国立大学法人等が連携協力した体制の下で進められてきました。
 これまでの主な地震調査研究の成果として主に3つ示してございます。一つ目が、世界にも類を見ない稠密かつ均質な基盤観測網の整備。二つ目に、海溝型地震及び活断層の長期評価、全国地震動予測地図の公表。三つ目に、緊急地震速報の実装及び高度化などを挙げております。
 また、地震調査研究を取り巻く環境の変化等として、四つ挙げております。平成23年東北地方太平沖地震のような低頻度の超巨大海溝型地震の発生。二つ目に、平成28年熊本地震のような本震-余震型の発生様式に基づかない地震の発生。三つ目が、科学技術の著しい進展。四つ目に、社会での地震調査研究成果の活用ということを挙げております。
 これらを踏まえて、その下の役割というところに赤字で書いております、新たな科学技術を積極的に活用した調査研究を推進させ、社会の期待とニーズを適切に踏まえた成果の創出というのをこれからの地震本部の役割として掲げております。
 次に、その下の第3期総合基本施策の概要についてですが、当面10年間に取り組むべき地震調査研究として大きく4項目を設定しております。一つ目が海域を中心とした地震調査研究です。我が国の将来を見通したときに、国難となり得る南海トラフや千島海溝沿いといった海溝型地震の発生予測、推移予測の研究や技術の更なる進展が求められております。このため、海溝型地震の発生予測手法の高度化、津波即時予測技術及び地震発生前に提供する津波予測の技術の高度化などを基本目標として挙げております。
 二つ目は、陸域を中心とした地震調査研究です。これにつきましては、内陸で発生する地震の長期予測手法の高度化や、大地震後の地震活動に関する予測手法の高度化などを基本目標としております。
 三つ目は、地震動即時予測及び地震動予測の高度化です。同時多点で発生した地震に対する地震動即時予測の精度向上を推進することや、長周期地震等に関する地震動即時予測技術の高度化などを掲げております。
 四つ目として、社会の期待を踏まえた成果の創出です。我が国全体の地震の被害軽減に貢献するため、多様な関係者と緊密に連携し、新たな科学技術を積極的に活用することで、社会の期待とニーズを適切に踏まえた地震調査研究を推進することなどを掲げております。
 その下に記載しておりますのが、横断的に取り組むべき事項です。五つありまして、一つ目が基盤観測網等の維持・整備になります。これまで整備されてきた稠密な観測網は世界的にも類を見ないものですが、地震調査研究を推進する上で基盤的かつ重要な観測設備ですので、引き続き維持・運用しつつ更新に向けた準備を進めていく必要があります。また、現在純基盤的調査観測に位置付けられている、海底地殻変動観測など全国的に展開することは困難であるものの実施することが非常に有効であると考えられる調査観測についても、充実及び強化を図る必要があります。このため、基盤観測網等の長期にわたる安定的な維持整備を基本目標としております。
 二つ目が人材の育成・確保です。地震大国である我が国における地震調査研究の重要性を踏まえ、地震調査研究を志す若手研究者の数を増やすことは重要な課題です。また、地震調査研究の成果は社会的にも大きな影響を与え得ることから、理学的な理解のみならず工学、社会科学など複数の研究分野を理解している人材を育成することが望ましいため、地震本部のみならず関係機関、研究者による地震調査研究の成果や魅力の発信を推進することなどを掲げております。
 三つ目として、地震調査研究の成果の広報活動の推進です。これまでの広報活動は、情報の受け手が主に一般の国民と想定されており、一定の成果を上げてきた一方、地方公共団体の防災担当の職員や民間企業の技術者など、ある程度の専門性があり地域ごとに状況が異なる防災の実務に携わる人々への発信が十分でない面がありました。そのため今後は、地震調査研究の成果が防災対応の担い手のニーズを踏まえた形で、また、現段階において科学面から分かる部分を明確にした上で情報提供がなされ、適切に活用されることが重要となります。このため、一般国民から専門家まで幅広い層について、対象に応じた情報提供方策の検討を推進することなどを掲げております。
 四つ目が、国際的な連携の強化になります。我が国はこれまでに地震災害に関する様々な知見を蓄積しており、これらの知見を海外に積極的に提供し、国際貢献に努め、国際的な連携を強化することは極めて重要です。このため、国際的な学会などでの発信や国際共同研究、海外調査を推進することなどを掲げております。
 最後が、予算の確保及び評価の実施になります。国や関係研究機関、また国立大学法人等は、第3期総合基本施策に基づく地震調査研究の推進に必要な予算の確保に向けて、最大限努力することなどを掲げております。
 なお、建議との連携強化について、この資料2-1には出てきておりませんが、資料2-2、計画本体の8ページの2ポツ目に記載しておりますところを読み上げさせていただきます。建議の適切な独立性は保ちつつ、地震本部と建議を担当するコミュニティーとの間で組織的な連携体制を構築するということが重要であり、具体的に、地震本部と建議を担当するコミュニティーの間で対話の場を設定し、建議の最新の研究成果について情報を共有するとともに、建議を担当するコミュニティーにおいても地震本部における課題が共有されることで、建議の基礎的研究の成果を地震本部で適切に活用していく体制を整えることを推進していくとしております。
 事務局からの説明は以上になります。
【平田部会長】  ありがとうございました。今、全体像を概要の方で御説明いただきましたが、本文が全部ありますので、是非これは皆さんにきちんと読んでいただいて、特に御自分の関連しているところについて、地震本部は何を今後10年間でやっていこうとしているかを御理解いただきたいと思います。
 もう既に公表されており、既に読んでいただいている部分もあると思うので、何かこの際事務局に質問、あるいは御意見があれば御発言ください。
 資料2-1において、10年間でやるべき四つのことと、当面10年間に取り組むべき地震調査研究とが、これまでも幾つか柱立てをして、こういう書き方で示されていました。第1期と第2期、今まで2回出ていますけれども、海域を中心とした地震調査研究と、陸域を中心とした地震調査研究というように書きぶりが変わっています。
 前は海溝型の地震の調査と、活断層の調査というように書かれていました。それをわざわざ書き直しております。平たく書き直しただけといった考え方がありますけれども、兵庫県南部地震が野島、六甲・淡路の活断層系で起きたということがあって、活断層ということを非常に強調して、それについての調査研究が進んで、大きな成果が得られたということも事実ですが、実は活断層以外で内陸の大きな地震というのはたくさんあって、被害も出ています。
 そういうこともあって、広く内陸で起きる地震の調査をするというように方向転換をしたと私は理解しています。もちろん活断層が重要でないということはありませんので、活断層の調査は引き続き必要です。けれども、活断層が地表で観察できない所で大きな地震が起きることも含めて研究を進めることが重要ですので、この建議のコミュニティーにこれまで蓄積されたいろいろな知識が、多くここで活用されるということが期待されています。
 そして、内陸で発生する地震の長期予測手法の高度化というところですが、これまではざっくり言うと活断層の活動履歴で長期評価をしていたのですけれども、現在の起きている地震、地震計で測っている地震と、先ほど御説明があった歴史史料のデータ、考古史料のデータ、それから地質のデータとしての活断層のデータというような、切れ目のないやり方である方向に、これまでもそういう考えではある程度やっていましたけれど、明確にしたというところがあります。なので、ここの長期評価手法の項などは是非このコミュニティーの研究成果を使えるような形に持っていっていただきたいと思っております。
 さらに、この海域の方も、これは本文を読むともっとたくさん文章が書いてありますけれども、海溝型地震の発生予測手法の高度化として、従来調査委員会が長期評価をやっていた手法は、基本的には過去の地震の活動履歴に基づいた統計モデルを作って予測をしていました。そして、BPTと、ポアソンと、一部タイムプレディクタブルモデルを使うというようなことをやっていましたけれども、ここにデータを同化して、観測データに基づく物理モデルと統計モデルを混ぜたようなモデルを作って予測をしていくという方向を進めることがここで示されました。
 ですが、それはそういうモデルがどこかにあって、それをただやればいいというわけではなく、実際に基礎研究からやらなければいけないので、これもこの建議のグループが今までやってきた研究が基盤にあります。そして、よりそれを加速させて、長期評価に資する手法を開発するところが求められていますので、今日、平成30年度の概要の説明のところで御提案されているような手法というのは、非常に有力な候補になります。さらにさっき本文から読み上げていただいたような、地震本部と建議のグループとの組織的な連携は、もうちょっと分かりやすく言うとこのグループが組織的に地震本部の次期の調査研究に関わっていくという方向だと私は理解しております。違ったら事務局で訂正していただきたいと思いますけれど、このグループの研究の成果は非常にそういう意味で期待されていることであります。
 皆さん何か意見があったら、あるいは質問があれば是非御発言ください。
【井口臨時委員】  よろしいですか。本文の方の17ページの後の方から18ページの頭のところにかけて、火山に関する研究にも留意する、というようなことが書いてあるのですが、ここに書かれている火山に関する研究というのは、今日議論しているような、火山に関する成果ある研究について留意するということであって、火山観測網について、要するに配慮するというような意味ではないということですね。
【平田部会長】  これは事務局から答えられますか。
【井口臨時委員】  文章の、17ページから18ページの初めです。
【平田部会長】  「地震と火山現象は共通する地球科学的背景を持っており、巨大地震によって火山噴火が誘発される現象や火山活動が地震活動や断層の動的破壊過程に及ぼす」というところですね。
【井口臨時委員】  研究にも留意するというように書いているので、建議の研究計画の中の火山の部分についても留意するというような意味、額面どおりに取るとそうなのかなと思うのですけれども。
 ただ、「観測網の維持・整備に当たっては」というのがその前に係っているので、そうすると何となく、「火山の」観測網維持・整備にも何となく係るのかなというようにも取れなくないのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。
【平田部会長】  ぎりぎりのところが微妙に玉虫色に見えます。
【工藤地震・防災研究課長】  すみません。書き方としてMOWLASとか、気象庁、陸海の基盤観測網を着実かつ安定的に運用するというのがありますので、その観点からすれば当然、V-netとか基盤観測網が含まれていると考えても不思議ではないのかなとは思います。
【平田部会長】  MOWLASというのは防災科研の観測網で、その中にはV-netも含まれていて、V-netは火山の観測網であるということですね。
【工藤地震・防災研究課長】  あと、気象庁等ともあります。「等」という表現もありますので、どこまでかというのはちょっとつまびらかではないところがありますけれども、各観測点についての充実というのを安定的に運用するという点について、ここで述べられているのではないかなとは思います。
【平田部会長】  これは私の解釈ですけれども、法律に基づいて地震本部があって、その法律には地震現象しか書いてなくて、そこに火山を含めるというのはなかなか読めないと法律の専門家が言っておりますので、現時点ではこれが精いっぱいでしょう。
 ただし、例えば熊本の地震のときも阿蘇山と関連があるとか、大きな火山が噴火したときには地震が誘発する、例えば岩手のときには地震が発生したとか、そういう関連がある部分については当然、地震本部や地震調査委員会はある程度評価せざるを得ず、火山の専門家の御意見も聞くということはあると思います。
 ただし、火山の観測網そのものをどうしていくかということについて、現状の地震本部では言及はできないでしょう。
【工藤地震・防災研究課長】  まさにここに書いてある、維持・整備に当たって留意するということです。
【平田部会長】  留意するということですか。
【工藤地震・防災研究課長】  留意するというのが文字にすると字面がどういうようになるかと。
【平田部会長】  ただ、地震本部はそうですけれども、この測地学分科会地震火山部会を所掌している地震・防災研究課はまさに地震と火山を両方やっていますので、是非ここではいろいろな御意見を頂いて、場合によっては地震本部に評価、調査委員会の評価などにも知見を使っていただきたいと思っております。
 最初の方にちょっとお話があったように、今後少なくとも地震の新しい調査観測計画を作っていく段階で、建議の研究成果は是非組織的に進めていく必要があると思います。選定されている委員はかなり同じですので、属人的には連携は何の問題もないとは思いますが、組織としてやっていくというところがありますので、例えば予知研究協議会の部会などにも御協力いただくということが今後あるかなと思っております。
 ほかに御意見はございますか。日野委員。
【日野専門委員】  先ほどの説明により、概要の一枚紙について、ほとんどの部分は誰が推進するのか、あるいはどのようにして推進するのかと何となく見えるのですけれども、横断的事項の中の丸3の広報活動の推進、それから丸4の国際的連携の強化というところは、とても大事なことなのですけれども、どのように具体的に進めていくのかというのはなかなか難しいところだなと思いました。この基本的施策を検討する中でどのような議論があったのかというようなことがもし分かれば、ちょっと御紹介いただきたいと思うのですけれども。
【平田部会長】  事務局は答えられますか。
【丹下地震調査官】  すみません、施策を策定する段階の議論に私は参加しておらず、どういう議論だったかというのを余り承知しておりません。けれども、(3)については、どのように進めるかというところを正に8月の政策委員会、7月の総合部会等で議論をしました。事務局からはその一環として、自治体の防災担当者を対象にしたものであることだとか、内容としては説明や研修といったことを進めていくということを提案しておりました。まだ具体についてはこれから詰めていく段階ですけれども、そういう形で動いている部分はあります。
【平田部会長】  ありがとうございます。今日、報告の最後の方で少しお話ししましたけれど、やはりその研究成果をどういうふうに生かしていくかというところは、その成果の発信というところと関係していて、建議計画の方で、社会科学とか人文科学の人たちが参加することによって進んできたところもある。逆に言うと、そういうところで施策の方にフィードバックできるものがあるのだとすれば、地震本部の方でこういう格好で出していこうという、出口みたいなもののイメージを共有できれば、建議計画の中で特にどういう方向性を持って進めていくかというところを再度フィードバックできると思うので、これについてもやはり連携強化していただけるのがよろしいかと思います。
 ありがとうございます。加藤委員。
【加藤臨時委員】  関連しまして、今年度始まった建議の「防災リテラシーの向上のための研究」というのが新しく大きな柱として入ってきていますので、地震本部側にもそれは受け入れる側というか、そういった研究の成果を取り入れて、社会に防災・減災に役に立てていくという体制や、受け側の組織も必要じゃないかなと思いました。
 あと、先ほど日野委員の方から分野横断型のリスクを評価することによって、ばらつきというものを見せていくとありました。これまで被害予測というのは、ある一つのシナリオに基づいたものしか出てきていませんでしたので、被害がどれぐらいばらつきがあるかをちゃんと見せていくというのはすごく重要ですので、そういった機能を地震本部の方でも持ち合わせていくことは今後重要ではないかと思いました。
【平田部会長】  ありがとうございました。広報については、この本文にはすこし書いてあるのですけれども、これまではウェブページや紙媒体で、一般の人向けというような広報を主としていました。けれども、もう少し使う人のターゲットを絞って、例えば地方公共団体の防災担当者とか、それから設計をする建築の人たち、例えば工学会とか土木学会などとの連携をするとか、それともちろん一般の人向けの情報を公開するということも必要ですけれども、ユーザーをある程度イメージした形での広報活動をしていく必要があるということはかなり議論されました。
 ですから、この主語は地震本部で、地震本部の広報活動をちゃんとやれということで、その中にデータベースみたいなものについても議論はあったのですけれど、これもなかなか、やり始めるとお金の掛かることなので、明示的には書けませんでした。けれどもそういったものが必要であるという議論はたくさんあって、大きなデータベースを作るというよりは、分散処理されている、管理されているいろいろなデータベースを有機的につなぐということを、今地震本部はやっています。ポータルサイトを作るというようなことです。
 それと国際的なことも毎回書かれてはいるのですけれど、極めて脆弱であります。この地震本部ができたのは阪神・淡路大震災の後、都道府県ごとに違うハザードの絵があると都道府県の切れめで不連続になるというある種ドメスティックな要望に基づき、これは不便であるために、日本中全体で実施すべきという認識があったので、やっぱり日本ということで始まったことなのです。
 しかし、今はもう明らかなように、地震災害は日本だけではありません。例えばアジアの諸国や、欧米でも地震があるということで、研究所が世界グローバルに連携しているのは当たり前なのですけれども、ハザードの評価であるとかリスクの評価というときに、もっと積極的にグローバルな展開が必要であるということも議論がたくさんありましたので、柱の一つにはなっています。ですが、これをどうやって進めていくかということは必ずしも明確でありませんけれども、せめて国際会議で地震本部の事務局がちゃんと文科省として発表するぐらいはあってもいいかなと私は思います。
 また、日本で開催する国際会議というのは結構ありますから、そこでちゃんと国際発信をするということも必要で、学界では今、地震本部とか調査委員会のブースが出て、日本語で発信しています。JpGUでは英語で発信したかもしれませんけれども、そういう機会も使って、是非国際発信していただきたいと思います。そして、そういったグローバルなコミュニティーは実際にあり、政府系の研究所もたくさんありますから、連携していくのが必要かなと思っております。
 ほかに御意見はありますか。
【森岡専門委員】  人文社会系の人間として発言させていただきたいのですけれども、情報提供をしたところで、やはり関心のない企業主、関心のない層には届かないということがずっと問題としてあります。南海トラフ地震臨時情報が、3種類のパターンがあって出てくるということも知らない企業はとても多いです。先ほどの研究成果で確かにシミュレーションをして、参加者の人たちがどう逃げたか、どう逃げたらよかったかを学習するシステムというのがとても多いんですが、それに参加すらしない人たちをどう救うのかというところがとても社会的な大きな問題だと思います。むしろ今、自助、自分でリテラシーを上げて守ろうという動きをしているのと同時に、それだけでは限界がある、むしろ社会制度でそれを決めなければいけないというところを是非、ここの研究成果として出していただければと思います。
 自助の範囲で逃げられる災害ではなくて、もうこの災害が起きたと分かったら、事業主は金庫を守るとか郵便物を守るとかいうことは全部退けて、必ず避難させなきゃいけない、全従業員を救うために動かなきゃいけないといった義務を課すとか、ある意味半ば強制的に避難しないといけないフェーズというのを、科学的に立証して、それを制度化していく手伝いができればいいのかなと思います。もちろん、それは総務省の所掌だったりするんだと思うのですけれども、限界もあると思うんですよね。それを一人一人、関心のある人を育てていって避難させるということでは、やはり逃げられる層を逃げさせることしかできないということが分かっています。関心のない層、そして全体を動かすためには大きな社会制度的な仕組みが要るのかなと思います。
 研究成果を社会制度化する、あるいは新たな避難の在り方を作り出すといったように、こちらの資料2の15ページの末尾、連携して、こちらは調査研究を進めることというように両方とも調査研究を推進することになっているのですけれども、ニーズに合わせて新たな制度を検討するとか、避難の在り方を検討するということも加えていくのが一つの在り方かと思います。
【平田部会長】  ありがとうございました。もうこれは完成して公表されているので、今更これを変えることはできないのですけれど、運用のところでまたそういった精神を生かしていく方法はあるかなと思います。御意見ありがとうございます。では原田委員お願いします。
【原田臨時委員】  気象庁の原田です。新たな総合基本施策ができたところで、地震に関する総合的な調査・観測計画の方もそれに合わせたような、少なくとも形式的な改訂等は最低限必要だと思いますが、こちらの具体的なスケジュールについて、分かりましたらお願いいたします。
【工藤地震・防災研究課長】  大変申し訳ありませんが、まだ具体的なスケジュールはできていないです。
【平田部会長】  今、検討を始めたというぐらいではないでしょうか。
 大分議論しましたので、ほかになければ次の議題に移りたいと思います。よろしいでしょうか。

[議事3.令和元年度年次報告【機関別】のとりまとめについて]

【平田部会長】  それでは議題3ということで、新しい建議に基づく観測研究計画が今年度から実施されておりますが、今年度の実施内容に関する年次報告の方法について御確認をお願いしたいと思います。まず事務局から御説明をお願いします。
【上山地震火山専門官】  それでは資料3の方をごらんください。「令和元年度年次報告【機関別】のとりまとめ」という資料になりますが、地震火山部会では「災害の軽減のための地震火山観測研究計画(第2次)」の進捗状況の把握のため、第1次と同様に機関別年次報告を作成することとしております。つきましてはこの場をお借りしまして、本年度の機関別の年次報告の手順について御説明させていただきます。
 まず、報告の様式ですけれども、前年と同等の様式を用いることとさせていただきます。報告を求める内容につきましては、令和元年度の成果の概要、そして令和元年度の成果に関連の深いもので、令和元年度に公表された主な成果物、こちらは論文や報告書等とあります。最後に令和2年度の実施計画の概要、これらについて報告をしていただければと思います。
 報告の方法につきましては、これも従前同様、オンライン入力システムを用いたものとさせていただきます。
 最後に今後の日程ですけれども、この地震火山部会終わりました後、1月の中旬頃、オンライン入力システムの方の準備をさせていただきます。こちら、地震・火山噴火予知研究協議会の方に協力をお願いしたいと思います。
 そして年が明けまして、令和2年の1月下旬頃、各機関に年次報告作成の依頼をさせていただきます。締め切りは2月中旬から下旬を予定しております。4月から5月頃にかけまして地震火山部会を開催いたしまして、令和元年度年次報告、機関別の取りまとめということで議論させていただければと思います。そして7月から8月頃に、こちらも地震火山部会の方で成果の概要の取りまとめをすることとさせていただきます。
 こちらからは以上です。こちらの進め方について何か御質問、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
【平田部会長】  今の事務局の御説明で、令和元年度成果報告シンポジウムというのを、成果シンポジウム実行委員会というのを作って実施していたのですけれども、それを今年度から地震・火山噴火予知研究協議会がこの成果報告シンポジウムをするということになったと思います。
 少し経緯を申し上げると、この建儀の原案を作って建議するのは、地震部会とか測地学分科会とか正式には科学技術学術審議会が建議するんですけれども、あくまでこの分科会の部会は審議をするところだから、そこがシンポジウムをしたりすることはできないというふうに前々から言われてきていました。ただし、このオープンな形で研究発表会、成果報告会をやるのは成果をまとめるために非常に重要ということでこのコミュニティーで続けていたので、毎年こういうことをやっています。その実施主体を実態的には地震火山部会や測地学分科会の委員の方にやっていただくのですけれども、アドホックに委員会を作って、実行委員会を作ってやっていました。
 ただし、現在の地震・火山研究協議会というのは、大学の協議会、大学の委員だけではなくて、官庁、省庁や国土地理院や、防災科研やJAMSTECや産総研なども、全てこの建議に参画している機関が組織の会員として協議会のメンバーになっております。そのため、そこが取りまとめの原案を作ったりもしていますので、そのシンポジウムもそこがスタートしてやるというのが自然であるという考えがありました。そして、昨年度に今年度の報告会から協議会がやるということになったと思うので、その辺ちょっと事務的に御確認ください。特に問題がなければ主体は実行委員会ではなくなる可能性があります。
 あとは例年どおりやっていただければいいと思うのですけれども、これは今年度の成果をまとめるのですから、長々と後までやってもしようがないので、さくっと今年度何をやったかというのを、この機関別の取りまとめ部分には入れてください。
 そして、なぜこの締め切りが2月下旬かというと、2月下旬までにその入力されたデータを見て、シンポジウムのある意味プログラムを作る材料にするためです。今年の成果は何だったかということを確認する作業がありますので、それで2月の下旬までに設定しております。電子化することで、なるべく負担が少なくなるようにしておりますので、大論文をここに書いて入力するのではなく、事実関係や、あるいは学会で発表したものは何かということのデータを入れていただきたいと思います。これを、協議会の各計画推進部会が取りまとめますので、その人たちが必要であれば、その報告書を書いた機関に対して調査をするなり、情報の提供を頂くというようなこともありますので、是非期限を守ってやっていただきたいと思います。
 その後、公開のシンポジウムをやった後に地震火山部会が開かれて、機関別の取りまとめをして、夏までにはこの概要全体を一般の方が読んでも分かるような形にまとめます。今日御報告があったように、今回は5年分をまとめましたけれども、令和元年の分をまとめていただくということになると思います。
 蛇足を少し言いましたが、こういう方針で進めたいと思います。何かシステムについて、大湊さん何か補足することありますか。
【大湊臨時委員】  特に補足はなくて、例年どおりにものが動く予定です。
【平田部会長】  皆さんのところにメールが届き、どこにアクセスするか、パスワードが何かといった情報提供があるのですよね。
【大湊臨時委員】  はい、いずれパスワード等届きますので、よろしくお願いします。
【平田部会長】  それでは、特に御質問が無いようですので、基本的には例年どおり、よろしくお願いします。ただ、内容は大分議論されたように、災害誘因の予測とか、防災リテラシーとかというところが新しく加わっていますので、その観点からの研究は注目されていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それではこれで、用意した議題は終わりました。

[議事4.その他]

【平田部会長】  議題の4、その他に移ります。
 特に事務局が用意しているわけではないのですが、委員の皆様から今日議題にする事項をお持ちの委員の方は御発言ください。今までの話と全然違うことで結構だと思います。
 特段なければ、これで全ての議事が終了となります。最後に事務局から連絡お願いいたします。
【上山地震火山専門官】  ありがとうございました。事務局より1点、毎年実施している「地震火山観測研究における年次基礎データ調査」についてですけれども、今年度、既に建議実施機関の皆様に照会させていただき、順次御回答を頂いているところです。まずは御協力に感謝申し上げます。
 次回の会議の日程でございますけれど、こちら現在まだ未定となっております。日程が決まりましたら改めて御連絡させていただきます。
 なお、本日紙の資料を受け取られた方がもしいらっしゃいましたら、郵送を御希望される方はお手元の封筒にお名前を御記入の上、机上に残していただければ、事務局から後ほど郵送させていただきます。
 また、諸手当の請求に関して確認いただく紙を机上に置かせていただいております。御確認の上、机上に残しておいていただきますようお願いいたします。
 こちらからは以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。
 それでは、これで本日の議題が全て終わりましたので、閉会いたします。本日はお忙しい中御出席いただきましてありがとうございました。
―― 了 ――

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)