平成17年9月13日(火曜日) 13時30分~15時45分
三菱ビル 地下1階 M8会議室
石原 臨時委員 櫻井、清水、平林、藤井 専門委員 中田
西尾地震・防災研究課長、篠原学術調査官、他関係官
○委員 □事務局 ◇オブザーバー
まず、事務局より海外調査の資料収集に関して、これまでの作業経緯及び作業状況について資料(1)、資料(2)及び机上資料をもとに説明があった。その中で、火山噴火予知の海外調査を行うにあたっては、我が国の状況を提示しないと相手国の協力が得られにくいと主査から意見があり、我が国についても関係各機関に調査を依頼し、火山噴火予知の状況について、とりあえず机上配布資料として取りまとめたことが報告された。その後、事務局の説明について検討を行った。引き続いて、各担当委員から担当国の現況について報告があった。
主な意見は下記の通り。
委員
火山噴火予知のための関係各機関の予算について、国土地理院の予算額が非常に大きいように思える。これは、火山噴火予知だけの予算額ではなく、全体の予算額ではないか。
事務局
おそらく全体の予算額だと思う。
委員
電子基準点の分が入っているのではないか。この金額は現実ととてもかけ離れていると思う。海外調査時にこの資料を外部に出すに際して、この数値をどう扱ったらよいだろうか。
事務局
電子基準点は、地震も含めて9億5000万円くらいとなっている。
オブザーバー
電子基準点は、地震・火山のためだけではなく測量のためという側面もあるので火山の部分のみを区別することが出来ない。
委員
予算の部分の取り扱いについては、再度、検討が必要と思う。
事務局
この資料についてはまだ各機関に照会していないので、各機関に確認していただき、その際に予算の項目についても内容を各機関に確認した上で整理したいと思う。
委員
予知計画実施機関現員数調において海洋研究開発機構の人数が多すぎるのではないか。独立行政法人は必ずしも火山関係の現員に限っていないのか。
事務局
火山関係の現員ということで照会をしている。分けるのが難しいということのようである。再度、海洋研究開発機構と相談してみたいと思う。
委員
火山噴火予知に関する我が国の状況については、再度、各機関に照会をかけて整理するということにしたいと思う。
委員
私の所属する機関では、この調査に科研費を全く計上しなかった。その理由としては、どこまでを予知計画の範囲に含めればよいのか分からなかったからである。火山学的研究ということであれば全部計上すべきであったのかもしれないが、予知計画のみとすると果たして雲仙等の基礎研究の部分を含めるべきか難しい。
委員
建議の枠組みの中で考えた事項については、事業費であろうが科学研究費補助金であろうが載せるべきであろう。
委員
予算の項目については、独立行政法人は運営費交付金の内数ということで金額を出せないと言うことだが、決算ベースで火山噴火予知に使っている金額を出せないものか。
事務局
各法人の方針の管理方法にもよるだろうが、なかなか難しいと思う。各法人の決算報告書では、地震とか火山といった分野別に区分するようにはなっていない。
委員
各法人の研究者ベースで報告してもらい実際に火山に使った金額を出せないのだろうか。
事務局
この件に関しては各機関と相談してみたいと思う。
委員 再度確認したいが、この資料を作った目的は、日本の火山噴火予知の現状を一般に公表するためではなく、海外調査の際に相手国に対しこの資料を示し回答してもらうためという理解でよいか。
委員
この資料は、海外調査の際に相手国に対し提示し回答してもらうための作業用の資料である。
事務局
まだ修正の余地があるので、完成し次第、公表ということにしたい。
委員
「火山及び火山噴火予知に関して指導している学生数」という項目では純粋に予知計画に関わっている研究者が指導している学生数を計上すればよかったのか。予知計画だけではなく、基礎研究を実施している研究者を含めればもっと多くなると思うが。基準を決めて再調査した方がよい。
委員
予知計画に参加している機関に所属し、現員数調に載っている研究者の予算(競争的資金を含む)、学生数で再度調査をお願いしたい。
委員
海外からの留学生及び研修生の数も調査した方がよいのではないか。
(2)富士山の調査項目について
事務局より資料(3)をもとに富士山の調査項目についての説明があり、検討を行った。主な意見は下記の通り。
委員
調査書類はいつまでに提出すればよいのか。
事務局
具体的にはまだ決めていない。各機関に対し何度も作業を依頼することにならないよう、特定火山と一緒に調査依頼をしようと考えている。
(3)その他の資料収集について
事務局より資料(1)をもとにその他の資料収集すべき項目(火山噴火予知を果たすための現行の予知計画の枠組みやその意義について、国立大学法人における研究費の在り方、特定火山、等)について説明があり意見交換を行った。
委員
特定火山については、浅間山、三宅島を中心に行う。阿蘇山も調査の対象とするが、今後の活動状況が収束すれば対象から外す。また伊豆鳥島については、現時点では調査の対象としないが、今後の活動状況が活発になれば対象とする。前回のレビュー調査検討委員会では、このように話し合ったと思うが、これでいいのではないか。
委員
資料(1)の「1.火山噴火予知を果たすための現行の予知計画の枠組みやその意義について」と「3.国立大学における研究費の在り方」は、相互に関係してくると思うが、従来の建議を策定していたときの状況と、昨年度に国立大学が法人化されてからの状況は大きく変わってきている。このような状況の変化を関係各機関はどのように考えているのかを調査しなければいけないと思う。そのためには、現在の建議が関係各機関の観測及び研究の推進や予算獲得のためにどれほど役に立っているのか、またどのように使われているのか教えて欲しい。
委員
予算獲得のために建議は役に立っていると思う。ただし、あくまでも現実的な範囲での話であって、予算的に出来もしないようなことを建議の内容としてもそれは難しいと思う。特別研究のような、ある程度予算の決まっている中で出来るような内容は効果があると思うが、従来の予算の10倍であるとか20倍もかかるような内容では効果はないと思う。
委員
状況の変化にあわせて、建議の在り方なども見直していく必要があるということは分かっているが、具体的に何をどうすればよいかということは分からない。私が所属している機関では、事業費の金額も少額であるし、またセンターは理学部の下にある組織なので、そのような状況の中で特別教育研究経費を高順位で要求する上では建議の連携というキーワードは非常に重要である。
委員
特別教育研究経費を要求する際に、金額の小ささが問題になる。地震予知・火山噴火予知というのは国の施策であるために一応は認めてもらえるが、他のプロジェクトが何億、何十億という大規模なものを要求してくるのに、地震と火山だけはどうしてこんな小さなものを要求してくるのかということになる。
委員
事業費だけを特別教育研究経費として概算要求し続けるというのは発展性がない。機器を更新する予算も無く、次第に機器が老朽化し観測を縮小せざるを得ないような状況では、現在の建議というものは次の世代に引き継げるような代物ではないと思う。
委員
この状況を変えるために、文部科学省から内局に新たな予算枠をたてて頂くのか、それとも科学研究費補助金のような競争的資金でやっていくのか、ということは今後の状況に大きな影響を与えると思う。文部科学省としては何か考えは無いのか。
事務局
理論的には、運営費交付金の中に設備の維持や更新のお金も入っているということになっているので、もし内局の予算でやるとすると運営費交付金の一部を内局に持ってこなければならなくなる。内局の予算は、簡単に削られる可能性があるので、安定的に実施しなければならない火山噴火予知事業を内局の予算でやってもいいものかという議論も必要になる。
委員
現状の予算を維持する方策だけではなく、新たな予算を持ってくる方策はないか。例えば、総合科学技術会議の「安全・安心」という施策の中に火山を盛り込んでもらって、それを後ろ盾にして、例えば科学研究費補助金の特定領域研究のようなものをつけてもらうことは出来ないだろうか。
事務局
地震には大都市大震災軽減化特別プロジェクトというものがRRの枠の中で実施されているが、そのようなものを火山でも出来ないかということか。ただ、火山では大都市大震災軽減化特別プロジェクトのようなものが今まで全くなかったのに、突然そのような事業を立てるということは難しいのかもしれない。
委員
先程、別の委員からも意見があったが、機器を更新する予算がないのはもちろんだが、維持する予算すらなくなりつつあることは非常に危機的な状況であると思う。このままいくと次期建議の5年間のうちに、国立大学法人は科学研究費補助金等の競争的資金を採択されている期間は観測することができるが、採択されない場合は全く観測を行えないというような状況になるかもしれない。
委員
確かにその通りである。次期建議の5年間をそのような状況にしないためにも、今期レビューにおいて次期建議の在り方について関係各機関の意見を聞いてしっかりと議論しておかなければならない。
オブザーバー
科学技術・学術審議会学術分科会の研究環境基盤部会において、特別教育研究経費の在り方について議論が行われているところであるが、特別教育研究経費については、各大学から提出されてくる順位が優先され、基礎研究の部分がなかなか拾ってもらえないということが現状としてある。基礎研究の部分についても何とか拾って配慮すべきではないかということが、問題点として話し合われているところである。また設備の更新に関しても、基礎研究分野を中心になかなか更新できないという現状を認識しており、共同で活用できる設備として特別教育研究経費の中で別枠を設け、何とか更新できるような環境を整えるといった議論が行われている。今、出されたような厳しい状況は、この分野だけの問題ではないと思うが、学術分科会の方に働きかけていけばいいと思う。
委員
特別教育研究経費は大学の運営費交付金の削減率の中から出ているものなので、文部科学省に運営費交付金の総額を増やしてもらわない限り根本的な解決にはならない。その点については、この委員会の力だけではどうしようもないので、文部科学省の方々にぜひ頑張ってもらいたい。とりあえず、各機関への調査については、今の意見を踏まえて事務局の方でまとめていただきたい。
以上
研究開発局地震・防災研究課