地震部会(第14回) 議事要旨

1.日時

平成18年6月6日(火曜日) 13時30分~15時15分

2.場所

三田共用会議所 3階 第3特別会議室

3.出席者

委員

 平、長谷川(部会長)、深尾
臨時委員
 入倉、大竹、笠原、清水、濱野、松浦、山下、浦塚、堀、村上、濱田【小泉:富樫臨時委員代理 渡辺:加藤臨時委員代理】
専門委員
 伊藤、梅田、小川、金沢、金田、西澤、野津、平田、藤井

文部科学省

 西尾地震・防災研究課長、本藏科学官、加藤学術調査官、他関係官

4.議事要旨

○委員 △事務局 □オブザーバー

冒頭 事務局より委員の交代について報告があった。

(1)観測研究計画推進委員会の活動報告

 観測研究計画推進委員会の活動状況について、事務局より資料(1)、参考資料(1)、参考資料(2)を用いて報告があり、各委員より下記の通り質問等があった。

委員
 参考資料(1)の平成17年度年次報告【機関別】を見ると、図表等がモノクロで印刷されているが、HPに掲載する時には、カラーで掲載する予定なのか。図表等はカラーでなければ分かりにくい。

事務局
 もちろんHPには、カラーで掲載する予定である。印刷物についても、カラーで印刷できればよいのだが、コストの問題もあるので、モノクロで印刷している。

(2)地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)の実施状況等に関するレビューについて

 地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)の実施状況等に関するレビューについて、スケジュール、実施方針およびレビュー資料のフォーマット等について事務局案の説明があり、審議を行った。
 主な意見は下記の通り。

委員
 国際協力と人材育成について、前回レビュー時には項目があったと思うが、今回は項目として挙げられていない。国際協力と人材育成は、非常に重要な項目であると思うが、削った理由を教えて頂きたい。

事務局
 特段の意味はない。火山部会の話ではあるが、火山部会の下にレビュー調査検討委員会という委員会があり、そこでは地震部会に先行してレビューの実施方法等の議論が行われ、その議論を基に事務局で地震部会のレビューについての叩き台を作成した。本日、審議頂き必要であれば追加して頂きたい。

委員
 計画の主要な4つの項目のうち「4.計画推進のための体制の整備」に含まれていると考えられ、個別的なものについてはこの部分に記載することになると思うが、国際協力と人材育成は非常に重要なことであると思うので、全般的な項目としても記載したほうがよいのではないか。

委員
 確かに、フォーマット3と一部重複する部分もあるかもしれないが、国際協力と人材育成の重要性は前回レビュー時からも変わっていないと思うので全般的な項目に追加することにしたい。

委員
 資料(2)の全般的な項目は、基本的に地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)の項目に沿っているので特に問題ないと思う。しかし、この計画を策定する過程では、「地震予知研究とは何のために実施しているのか」、「社会の役に立つべきではないのか」ということが議論された。そのため、この叩き台の項目で照会した場合には、そういったことについての意見をほとんど求められない可能性がある。この5年間で一体、何が変わったのか、地震による被害を軽減してほしいという国民の要求にどれほど答えられるようになったのかという視点を入れ込む必要があると思う。基礎科学として、地震予知を実現するという視点からだけのレビューでは少し物足りないのではないか。

委員
 一応、「地震予知の観測研究成果の社会への還元」という項目は資料(2)の全般的な項目に記載されている。成果の社会への還元ということに対してどれほどのウェイトを置くのかという問題だと思う。

委員
 こういった基礎的な研究を通じて5年間で国の防災へどれだけ貢献し、どれだけ変化があったかということが分かればよい。レビューの最後の結論の部分に記載すればよい。

委員
 全般的な項目の最後でもよいと思うが、項目を明示して、この5年間でどれだけ変わったかということを記述したほうがよい。

委員
 これらはとても重要な視点だと思う。しかしながら、実際に社会に対してどれだけ貢献したか、つまり防災等へ直接結びつく成果が得られているかと問われれば、個人的には答えに窮するところがある。先程の委員からの意見は大変重要であると思うが、社会にどれだけ役立ったかという観点だけではなく、我々が定めた目標やそれに至るロードマップから、この5年間でどこまで進んだかということを把握することが重要であると思う。全般的な項目の中にはこれらの視点と一部重複するものもあるので、そういったものを抜き出し、計画の主要な4つの項目に一つ付け加えて5つの項目にしてはどうか。関係各機関からレビュー資料を提出してもらうことも大事ではあるが、レビューを実施する予定の観測研究計画推進委員会では、そのような視点を忘れずにしっかりとしたレビューをして頂きたい。

事務局
 ご意見はもっともだと思う。ただ、この5年間で予知計画の成果が無かったということはなくて、直接的な成果かどうかは別にして社会に貢献している成果というのはたくさんあると思う。例えば、地震調査研究推進本部の地震調査委員会で2005年8月に発生した宮城県沖の地震の評価をした際に、予知計画の成果というものは数多く活用されており、その結果、ある程度明瞭な形で評価がされ、情報が社会へ伝わっている。また、東海地震についても体制が明確になり、以前であれば分からなかったようなスロースリップに基づくようなものについても観測されるようになり、それらに基づく歪みの変化というものも明確に観測され、今までは漠然と東海地震前の異常な現象と思われてきたものについても徐々に分かってきた。これらも、予知計画の成果が寄与していると思う。狭い意味での防災ということだけではなく、地震現象の理解ということから見ればたくさんの成果が出ている。これらの成果については、区別することなく計画の成果としてしっかりと位置付けていったほうがよい。

委員
 全般的な項目を新たに追加し、この5年間で予知計画が段階的にどこまで進んだかということを記載するようにしたほうがよい。

事務局
 関係機関から個々の実施状況等を報告させ、それらを単につなぎ合わせるのではなく、全体像をレビューすることが重要ではないか。

委員
 先程、ある委員が言われていたが、必ずしも基礎研究ではないということが重要であると思う。単なる基礎研究であれば、競争的資金で実施すればよいのであって、この計画と通常の競争的資金による基礎研究との違いは、研究者が一体となって目標を定め、その目標にどのように近づいていったかと言うことであると思う。段階的にどのように目標に近づいていったかと言うことを社会に伝えていかないといけないと思う。

委員
 社会に対する理学的な貢献をどうするかということがむずかしいと思う。例えば、各機関において社会への貢献という項目を記載する場合、理学的な貢献と工学的な貢献というのは違うと考えるか、工学的な貢献にまで踏み込んで考えるのかということについては、大変な混乱が生じると思う。レビューする立場の人間は全体を俯瞰してレビューすべきであると思うが、関係各機関として提出を求められた場合には困るのではないか。

委員
 基本的には、多くの委員の考えていることは同じだと思う。計画の主要な4つの項目というのは、建議の主要な4つの項目に合わせて設けられているので変更しないほうがよいと思う。それよりは、全般的な項目の中で先程の意見を反映させるのがよいと思う。例えば、「地震予知の観測研究成果の社会への還元」の項目を一部変更して、意見を盛り込むという考えもある。

委員
 5年前との一番の違いといえば、第3期科学技術基本計画が走り出しているということである。その中において、この予知計画の位置づけをしっかりとしておかなければならない。予知計画は競争的資金による基礎研究ではなく、国としての重要な施策だと言うことを明確に示すべきであると思う。その意味で、もう少し成果を強調すべきであると思う。

委員
 各機関に実施状況等について照会する際には、今のような視点を踏まえて成果を記載して頂くことが大事であると思う。

委員
 「地震予知の観測研究成果の社会への還元」の項目を一部変更して、意見を盛り込むとして修文案はないか。

委員
 この部分については、部会長の一任ということで修正することでよいのではないか。

委員
 これから実施するレビューについては、建議に基づく計画の実施状況や成果を自己評価するものであるので、計画自体を評価するものではないということでよいか。

委員
 計画の評価でないのは明かである。ただ、計画の実施状況等を評価する中で出てきた計画の問題点等を記述するのは当然のことであると思う。

事務局
 そのとおりである。これまで計画を進めてきた中で、どのようなことを実施しどのような成果があがったのかということを自己点検するという趣旨である。しかし、外部評価を実施するということから考えると、そのためにどのようなレビューが必要なのかという視点も必要であると思う。その意味から考えると、計画の中では具体的に社会貢献ということはあまりふれられていないのだが、外部評価を見据えた場合にはそのような視点が求められてしまう。

委員
 建議の概要には、「到達度の評価が可能な具体的目標を設定し、その目標に向かって段階的に計画を推進することが必要」と記載されているので、どのような目標を設定し、どのくらいの成果が出たのかということを計画の4つの項目に基づき評価することは当然であるが、その他に全体としての計画の成果についても評価していく必要がある。

委員
 おっしゃるとおりだが、次の計画を見据えた時にどこかで予知計画全体の評価を行うわけである。例えば、特別教育研究経費が一番良い例だが、国立大学が法人化される時に、地震予知計画は上手く特別教育研究経費に移行することができた。おそらく、次期計画に移行する時にはよほどの注意が必要で、「研究計画としては結構だが競争的資金でやるべきではないか」と言われないためにも、社会への還元を含めた成果も意識していく必要があるのではないか。

委員
 レビューの対象期間が、第1次と第2次の地震予知計画にまたがっているので、最も関連の深い建議の項目等を記載する時に分かりやすいようにしてほしい。

委員
 第1次と第2次で建議の項目の対照表を作成し、各機関に照会する際にそれも一緒に添付すればよいと言うことか。

委員
 そのとおり。

事務局
 確認だが、前回はレビュー起草委員会という委員会を設けレビューを行ったが、今回は新たな委員会を設けずに既存の観測研究計画推進委員会においてレビューを実施する。また、全般的な項目については関係各機関のみではなく、地震部会の委員にもご意見を頂くことをご承知頂きたい。

(3)その他

 その他として、下記のような意見があった。

委員
 地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)は、学術的に素晴らしい成果を次々と挙げており、また平成16年度より地震部会の下に観測研究計画推進委員会が設置され計画の推進体制についても非常にしっかりしていると思う。しかしながら、この測地学分科会および地震部会で審議しなければならないのはこの新しい地震予知計画だけなのだろうか。例えば、地震調査研究推進本部の活動全体を見渡すのは、測地学分科会のような気がする。別な言い方をすれば、測地学分科会および地震部会では、単に予知計画についての審議を行うだけではなく、地震調査研究本部の活動全般が所掌事項ではないのかと個人的に考えているがどうなのか。今までの部会においても、地震調査研究推進本部の活動については機会あるごとに報告、説明をして頂いているが、それらはただ報告、説明をしてもらっているだけで、内容について承認を求められたことはなかったと思う。もし、私の考えるとおり地震調査研究推進本部の活動全般が、測地学分科会の所掌事項であるならば、地震調査研究推進本部の長中期的な計画や重要な施策について意見を求められ、場合によってはその意見が反映されるべきであると考えるが、事務局はどのような考えか。

事務局
 基本的には、地震調査研究推進本部というのは、政府全体としての地震に関する調査研究を一元的に推進するための組織である。そういった活動が円滑に進むためには、基礎的・基盤的研究がしっかりと進まなければならないし、特に政府として積極的に推進する必要があると思うが、その前段階としてしっかりやっていかなければならない研究もある。そういった部分を科学技術・学術審議会測地学分科会地震部会は担っていると考えている。

委員
 端的に言うと測地学分科会地震部会の活動は、この予知計画の審議だけなのか。地震調査研究推進本部に意見を反映させるということはできないのか。

事務局
 どちらが上部組織、下部組織という話ではないと思うが、地震調査研究推進本部という組織は、様々な機関の地震調査研究自体を統合するというか、全体の推進を図るという観点からすると、どちらかといえば地震調査研究推進本部は全体を見渡し基本的な施策を出していくということになる。ただ、それが円滑に進むためには学術研究がしっかりと進まなければならないし、その観点から基本施策を示していく際には、方針をしっかりと示していかなければならない。地震調査研究推進本部の基本施策は平成11年に策定され、現在中間レビューを実施しているが、今後、次期計画を策定する時に、当然この測地学分科会の議論をどのように反映させていくのかということも議論しなければならないし、また測地学分科会としても意見を出していく必要があるかもしれない。

委員
 先程の委員の意見の趣旨としては、測地学分科会として地震調査研究推進本部の活動について意見を述べたり、審議したりする枠組みがあるのかどうかということであると思う。

事務局
 規程上は、意見を述べたり審議したりできるということはないと思う。ただ、そのような規程が無くとも事実上の話として、相互に役割分担をしてしっかりと連携していかなければならないと考えている。現在、基本施策の評価をしているが、その中で地震調査研究推進本部と測地学分科会の役割分担が外部からはわかりにくいという意見がある。そういったことを考えると、しっかりと役割分担をし、連携して活動しているということを説明していかなければならないと思う。

 上記の議論を踏まえ、実施方針等について部会長一任として修正することとなった。

以上

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)