地震部会(第6回) 議事要旨

1.日時

平成15年1月28日(火曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 別館 大会議室

3.出席者

委員

 平澤部会長、石原、平
臨時委員
 入倉、大竹、長谷川、長谷見、本藏、松浦、山下、浦塚(代理:佐竹)、堀内、加藤(代理:佃)、海津、藤谷、佐々木
専門委員
 伊藤、梅田、大久保、金沢、野津、濱野、平田、清水、藤井

文部科学省

 磯谷地震調査研究課長、太田主任学術調査官、吉田学術調査官 他関係官

4.議事要旨

(1)次期観測研究計画について

 平澤部会長は、前回の部会における議論、現計画のレビュー及び外部評価を踏まえ、関係機関へのアンケート調査の結果を整理し、次期観測研究計画起草委員会において草案がまとめられた旨を述べ、同委員会主査である平田専門委員に説明を求めた。平田専門委員は、草案の構成及び概要について説明した。
 続いて、意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。(○:委員等、□:起草委員、△:事務局)

(2.本計画の基本方針について)

委員等
 海底地殻変動の連続観測の重要性が技術開発の項目に言及されているが、技術開発は機器の運用に伴って進歩する面もあるので、他の部分でも触れるべきではないか。計画は5年の期間があり、実際の運用まで提言すべきである。

委員等
 地震調査研究推進本部が整備を進めた基盤的調査観測システムを更に高度化する旨記述されているが、地震調査研究推進本部と測地学分科会との関係が不明瞭ではないか。

委員等
 海底地殻変動の観測機器は、まだ開発段階であるが、計画内容のモニタリングの項目で試験的運用にまで踏み込んで記述した。地震調査研究推進本部と測地学分科会の関係については相互補完的関係として整理しているが、表現は調整が必要である。

委員等
 海底地殻変動観測については、現計画と比べて書き方の基調に余り変化がなく、進歩していないように見えるので、表現を工夫する必要がある。

委員等
 「地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進」の項に、「周辺国との国際協力の下にGPS観測網を展開する」とあるが、どのような実績があるのか。実績があるならば必要に応じて、国際協力の項にも記述してはどうか。

起草委員
 GPS観測網の展開に関しては、南太平洋の島嶼部などで行っており、今後はロシアとの協力も検討している。

委員等
 比抵抗は電気伝導度と同じであれば、用語の統一を行った方がよいのではないか。

委員等
 地殻活動の「広域常時モニタリングシステム」はできあがっているのか。

起草委員
 基盤観測網のGEONET、Hi-net、K-net、Kik-net等を想定している。

委員等
 計画の内容についての章では、「モデル」、「システム」、「シミュレーション」等の語が多数用いられており理解しにくいので、固有名詞の整理をする必要がある。

委員等
 「地震破壊過程と強震動」の項は、地震破壊過程を中心に記述されているが、強震動予測が目標であることが明瞭に分かる書き振りにすべきである。地震破壊過程・地下構造の理解はその手段である。

委員等
 「総合予測システム」の構築は、次期計画における目標か、長期的目標か。

起草委員
 長期的目標としての位置づけである。

(3.計画の内容について)

委員等
 どこの機関が何をするか、具体的に記述されている部分と抽象的に記述されている部分があり、文体を統一した方がよい。

委員等
 現行の計画は、旧来の地震予知計画に比較して随分変ってきたが、変っていない部分もある。概算要求の事情かも知れないが、どの研究項目をどの機関が行うかが記述されている点である。「お手盛り」との批判を浴びる根拠となったこともあるが、踏襲するのか。現計画の精神は、もっと開かれたものではなかったか。

起草委員
 本計画はボトムアップ方式に検討されており、アンケート調査の結果を反映しているからである。また、役割分担を明示しなければならないという要請もある。

起草委員
 5年間で着実な成果を挙げないと、外部評価に耐えられない。看板を高く掲げても、5年で結局どこもやらなかったではすまない。勿論、だれでも参加できる体制を考慮してゆくことは大事である。

委員等
 5年間で着実にできるか、どこが責任をもって実績を挙げるのかという点は重要であり、また、予算の根拠として、建議に各機関の役割が明記されていることは必要である。

委員等
 潮位観測について、離島の標高の推定はどの程度進んでいるのか。

委員等
 近傍の島嶼であれば、5mm程度の誤差となっている。

委員等
 水位の観測は、高度化のみではなく、安定した精度も必要である。

委員等
 「連続観測化のための海底ケーブル利用システムの開発に着手」とあるが、現在あるものを充実するのか、あるいは新規のものか。

委員等
 新規に取り組むことを検討している。

事務局
 地震予知研究協議会の改組について述べられているが、関係省庁が等しく参加する形態を大学の附置研究所が採用することは困難ではないか。例えば、地震部会が関係省庁や地震予知研究協議会の意見を聴取する、あるいは下部に推進委員会を作り、関係省庁や地震予知研究協議会の構成員が入って事業の進捗状況についてフォローするということも考えられないか。

委員等
 計画の実施状況等について5年に1度レビューを行うだけでなく、常設の機関を設けて進捗を管理しようという意見が前回の建議の際にはあったので、次期計画では何らかの前進が欲しい。

起草委員
 地震予知研究協議会の根拠は大学の規則であるが、他省庁の職員も加わり、実質的に地震予知研究の推進を中核として行ってきた実績がある。可能であれば、という希望的な見方で協議会の改組について触れた。地震部会の下に常設の機関を設けるならば、年に1~2回の開催では機能しないと思う。

委員等
 地震予知研究協議会にそのような役割を持たせようとするのは奇妙な感じがする。国立大学が担うべき役割は教育及び研究の推進が第一である。「地震予知のための新たな観測研究計画」は、関係各機関が連携・協力しながら社会への還元を行うべく実施するものであり、その一翼を担う位置づけにある大学に進捗管理の責任を押し付けるのは重荷である。測地学分科会で決定したことは測地学分科会が責任をもつのが当然である。

委員等
 国が観測研究の実施主体として、計画の進捗を管理する組織を作るのならば、地震予知連絡会の活用を考えてはどうか。研究は官僚的なハードな組織よりも、ソフトな部分が必要である。地震予知連絡会は長い歴史、経験及び実績を有しており、この任に適当ではないか。ただし、構成員の選定や事務局の設置等を抜本的に考え直す必要があろう。結論は、次期計画の期間の早めに出すことが望ましい。

委員等
 本計画の主体は大学であり続けるであろう。工程管理的な業務の部分は、地震調査研究推進本部で、研究の部分については、緩く連合しながら行った方がよいと思う。予知連は30年間、大きな組織でなく、情報交換をする緩いコーディネート機能を有する連絡会として存続してきた。故に国の機関が参加しやすい面もあったと考える。事務局機能が強化された場合は、行政機関がうまく乗れるのかという問題が生じてくるので議論が必要である。

委員等
 予知連とのからみでいうと、特定観測地域等と地震調査研究推進本部が進めている重点的な調査観測体制との関係の整理が必要である。基本的には、一本化の方向で検討する必要がある。

委員等
 計画の名称が仮称のままであるが、どのような場で決定するのか。

委員等
 第1期の科学技術・学術審議会委員等は1月31日をもって任期が終了するので、名称については、第2期の地震部会において検討し、測地学分科会において決定することとなる。

(2)その他

 事務局から、学術分科会が1月15日にまとめた「新たな国立大学法人制度における附置研究所及び研究施設の在り方について(中間報告)」の要点について説明があった。

お問合せ先

研究開発局地震調査研究課