火山部会(第11回) 議事要旨

1.日時

平成15年1月23日(木曜日) 10時~12時

2.場所

経済産業省別館 944号会議室

3.議題

  1. 第7次火山噴火予知計画の推進について(草案)
  2. 第6次火山噴火予知計画との対比表
  3. 火山噴火予知連絡会による活火山の選定及び火山活動度による分類(ランク分け)について
  4. 次期計画策定の今後の審議日程
  5. 新たな国立大学法人制度における附置研究所及び研究施設の在り方について(中間報告)
  6. 「新たな国立大学法人制度における附置研究所及び研究施設の在り方について(中間報告)」の概要

4.出席者

委員

 石原部会長、平、平澤
臨時委員
 岡田、浜口、平林、藤井(敏)、浦塚、堀内、加藤、海津、藤谷、佐々木
専門委員
 田中、中田、渡辺、清水

文部科学省

 磯谷地震調査研究課長、太田主任学術調査官  他関係官

5.議事要旨

(1)第7次火山噴火予知計画について

 石原部会長は、1月21日の第94回火山噴火予知連絡会において、活火山の選定及び火山活動度による分類が行われた旨を述べ、藤谷臨時委員に報告を求めた。藤谷臨時委員は、連絡会における検討結果の要点について報告した。
 また、石原部会長は、前回の部会における議論、現計画のレビュー及び外部評価を踏まえ、関係機関へのアンケート調査の結果を整理し、第7次火山噴火予知計画起草委員会において草案がまとめられた旨を述べ、第7次火山噴火予知計画起草委員会主査である藤井(敏)臨時委員に説明を求めた。藤井(敏)臨時委員は、草案の構成及び概要について説明した。
 続いて、意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。(○:委員等、□:起草委員、△:事務局)

計画策定の方針について

○ 国立大学の独立行政法人化に伴う問題が意識されているが、既に独立行政法人化した国立試験研究機関における問題は意識しているのか。

□ 個々の機関について検討は行っていないが、大学等との連携の促進について議論をし、体制の整備に関する部分にこれらの機関を支援するための文章も盛り込んである。大学に関しては、全国共同利用研究所を中心に連携し、現在の体制を確保・増強すべきであるという記述にしている。基礎研究の推進及び研究者育成は大学、予知技術の体系化及び実用化を目指した研究は国立試験研究機関、監視観測、総合的評価及び情報発信は気象庁を主に念頭に置いている。

○ 「探査深度の向上」という表現は不自然である。「探査深度の拡大」又は「探査能力の向上」ではないか。

○ 探査深度については、具体的数値目標を掲げないのか。

□ 個々の火山によってマグマ溜りの深度が異なること、5年間の機器開発の達成度が未知数であることを考慮して数値目標は掲げていない。

火山観測研究の強化について

○ 海域火山について、「南方諸島」、「南西諸島」、「南方諸島等」という地域名の書き分けをしているが、重点的な観測地域を考えているのか。

○ 特別に意識はしてしていない。広く観測を行う計画である。

○ 海底に測定器を設置してモニタリングを行う計画はないのか。

○ 海底基準点などは該当する。ハイドロフォン・アレイについても検討したい。

○ 海上保安庁の監視観測の部分に、地形及び地殻構造を加えて欲しい。

□ 地形については、データの蓄積と活用の部分に、地殻構造については、マグマ供給系の部分に記述に移した。

○ 地形は、数年間隔で繰り返し観測を行うので、監視観測の部分にも残して欲しい。

○ 実験観測の部分に技術開発に関する記述が混在している理由は何か。

□ 構造探査等に技術開発が不可欠であるためである。

○ 噴火時の対応という視点の記述が見当たらないが、体制の整備の部分に何らかの記述を加えてはどうか。

□ 具体的な提案がなかったが、噴火が起こった際、火山噴火予知連絡会の下に総合観測班を立ち上げて対応しているので、連絡会の部分に書き込むことも可能ではないか。

○ 噴火時に安定してデータを取得することは、火山学を推進する上で重要である。臨機応変に対応できる体制について検討すべきである。

火山噴火予知高度化のための基礎研究の推進について

○ 産業技術総合研究所においても空中磁気や重力探査の図面を作成しているので、「基礎データの蓄積と活用」又は「マグマ供給系」の部分に記述を加えて欲しい。

○ マグマ供給系の時間的変化において、重力や地磁気の変化は重要である。今後、磁気異常の図を作成するのみでは不十分であり、立体的な磁気図を完成させるべきである。静穏期にある活動的火山の図を完備させてれば、次の段階に進めると思う。これをどの機関が中心となって行うのか示すべきではないか。

○ 第6次計画と比べ、マグマ供給系の構造の部分と噴火の発生機構の部分の順序が逆転している。また、「長期的な推移の解明」が「長期予測」という表現に変っており、「噴火ポテンシャル」という言葉が項目名に表れているが、どのような意図に基づくものか。

□ 順序の逆転は、構成として自然であるからである。「長期予測」には、「長期的な推移の解明」も包含される。「噴火ポテンシャル」は、第6次計画の文章中に用いられている。

△ 「ポテンシャル」等外来語の表記については、可能であれば日本語を用いるようにして欲しい。そうでなければ、少なくとも定義を明確にすべきである。

○ 「ポテンシャル」という言葉は、「潜在能力」や「可能性」より深長な意味合いを有していると考えている。マグマ溜りの規模も、ある種のポテンシャルである。要は、定義を明確にしておくことが重要である。

○ 技術開発の海上保安庁の部分に音響センサーによる海底火山の常時観測網の研究開発を加えて欲しい。

○ 国際共同研究・国際協力の推進は網羅的な記述となっており、どの機関が中心となって行うのか記述しないのか。

□ やや曖昧に全国共同利用研究所を中心として検討することとしている。

火山噴火予知体制の整備について

○ 「火山噴火予知経費」という表現は一般的ではないので、表現を工夫した方がよい。

□ インターネットを通じて個人の研究者が発信する情報をどう評価するかについて外部評価において指摘されたが、国際的にも議論が落ち着いておらず、明確な方針を立てにくいので、記述は見送った。気象庁が正確な情報を迅速に配信し、社会がこれを信頼して受け取るという状況が成り立てば、自ずと問題が解決の方向に向かうであろうという議論もあった。

○ 民間の航空機や船舶等からの火山情報も重要であるので、触れてはどうか。

○ 通信総合研究所においてリモートセンシングによる火山のデータベースを供する計画があるので、記述に加えて欲しい。

○ まだ打ち上げられていないが、第7次計画の期間にALOS(陸域観測技術衛星)が運用されるので、計画に加えてはどうか。

○ 衛星利用においては、各観測項目に優先順位があるので、計画は具体的に書いた方がよい。

○ ALOSを用いた観測を技術開発の部分に入れることも考えられる。

○ ALOSを用いた観測がルーチンワーク化した場合に、技術開発の部分では不適当になるのではないか。

○ 地震予知観測研究等との連携強化の部分において、「基盤的調査観測網」や「テクトニクス」という語が唐突に表れる印象があるので、表現を再考してはどうか。

(2)その他

 事務局から、学術分科会が1月15日にまとめた「新たな国立大学法人制度における附置研究所及び研究施設の在り方について(中間報告)」の要点について説明があった。

お問合せ先

研究開発局地震調査研究課