平成13年6月18日(月曜日) 13時~15時
永田町合同庁舎3階 第3会議室
石原部会長、平澤の各委員 臨時委員 井田、岡田、千葉、浜口、平林、藤井(敏)、吉野(代理:浦塚)、堀内、加藤(代理:富樫)、八島(代理:山根)、内池、海津の各臨時委員 専門委員 鵜川、清水、田中、藤井(直)、渡辺の各専門委員
須田地震調査研究課長、吉田学術調査官 他関係官
(1)鵜川委員から、前回部会において暫定的に作成した長期の静穏期間の後に噴火した火山の例、深部低周波地震と噴火の関連性についての参考資料について、議論を踏まえ再度検討を行い、資料(1)のとおりまとめた旨報告があり、引き続き意見交換が行われた。
主な発言は以下のとおり。
【委員】
岩手山において低周波地震が活発化したのは、1998年2月から3月である。
【委員】
ラミングトン火山は、ラミントン火山とするのが一般的である。
【委員】
ピナツボ火山の箇所の低周波地震は、深部低周波地震に訂正したい。
以上の意見を踏まえ、これを火山部会の資料として公表することとした。
(2)富士山研究の中期的取組みについて
石原部会長から、前回検討の行われた「当面の富士山の観測研究の強化について」の素案について、各委員の発言及びその後に事務局に提出された意見を踏まえ、資料(2)、資料(3)として用意した旨説明があり、これに基づいて意見交換が行われた。主な発言は以下のとおり。
【委員】
衛星のCバンド干渉データを国土地理院などで解析するつもりはないか。
【委員】
通信総合研究所ではやっていない。2003年に打ち上げ予定のALOS衛星であれば、技術的な可能性はあるが、今後3年という今回の強化の期間では時間的に難しい。
【委員】
鳥取県西部地震でもCバンドによる干渉に成功した例があるが、基本的に条件がよくないと難しいので、国土地理院としては、業務として行うというよりも解析に適当なデータが得られれば解析することとしたい。
【委員】
この報告書は、異例に緊急的にまとめたというのが趣旨。各機関の実施計画において、例えば、大学の集中観測の実施、気象庁の山頂域の観測継続など、従来やっていることを言っているだけでは緊急性をアピールできない。
【委員】
3ページにおいて中腹から山頂域の観測点が不足していて、火山性地震の震源と発生メカニズム等の解明を困難にしていると今後の課題について指摘しているが、関係機関の計画には十分反映されていない。
【委員】
継続することも必要であるが、前向きに取り組むということであれば、地質調査総合センターは、テレメータ化を図ることを検討したい。なお、研究所名について、6ページについては省略せずに、産業技術総合研究所地質調査総合センターとして欲しい。
【委員】
集中総合観測や機動観測の内容がわからない。わかるような表現にならないか。
【委員】
社会がこの報告を受け取ったとき、重要なのは、火山活動の的確な評価と迅速な火山情報の発信など、噴火活動監視能力の強化を図るという主旨が分かること。
【委員】
集まったデータや解釈が、研究者にすぐにフィードバックするところまでいかないと監視にならない。気象庁にデータを集めることだけでは強化にならないのではないか。
【委員】
情報の共有については、火山噴火予知連絡会でも検討していく予定である。
【委員】
大学は、気象庁-大学間で必要に応じてデータ交換をしている。大学関係の協議会でガイドラインを検討しようとしている。
【委員】
参考資料において、データ交換している観測点はその旨明記すべきである。
【委員】
地震予知でも同じ状況。建議に述べられているものの、データ交換には費用の問題があり実施しにくい状況がある。そのため、大学が公開していないのではないかと非難されて残念である。
【委員】
観測研究体制という言葉が使われているが、体制とは何を意味するのか。体制というと組織のイメージがある。
【事務局】
研究体制と言えば研究所の整備や人員の強化を意味するが、火山に限れば観測研究体制は、観測点の増設を意味する。
【委員】
それならば観測研究の強化でいいのではないか。
【事務局】
本文で人員の増加を意図しているのではないことが明らかなので、観測点の増設ということがわかる。観測研究の強化では基礎研究の強化と区別できない。
【委員】
大学、防災科学技術研究所、気象庁、国土地理院の並べ方が、これまでの建議と違うのではないか。大学等は実験的な観測をする立場であり、火山観測の強化であれば、気象庁が最初にくるのではないか。
【委員】
強化の実施内容を見て、研究的意味合いが強いということでこのように並べた。監視にウエートがあれば気象庁が最初にくるだろう。
【委員】
単純に順番の問題ではなく、この報告書の本質を示すものであり、観測研究か観測を伴う研究かという問題である。
【委員】
必ず建議のとおり並べる必要はなく、研究的色彩を出すならば大学からでいい。
【委員】
監視観測、活動評価が前面に出てくるようなら従来どおり、監視観測、実験観測の順に並べる必要がある。
【委員】
この報告は、3年で何を研究すべきかを書いたもの。すぐに噴火しないと書いている以上、気象庁が最初にくる必要はない。
【委員】
富士山を取りあげているのは、社会の要請があったからである。社会への貢献が大事であるなら、気象庁の役割が大事である。
【委員】
観測と研究は対立するものではない。気象庁に監視活動の強化をするのであれば、何か起きたとき、それが意味するものを言えないといけない。そのために研究するのであって、両方やらないと国民の期待に応えられない。
【委員】
ことが起こってもすぐに把握できる体制ということで、気象庁、国土地理院、わからない部分を理解するということで大学等、というふうに並べたい。
【委員】
火山噴火予知計画に基づいた強化であれば、火山噴火予知連絡会が富士山の状況の変化を常に把握・評価できるような体制を気象庁は作っていく必要がある。
【委員】
ハザードマップとの関連で火山防災関係者と成果の共有を図るとは書けないか。
【委員】
予知計画の性格上、そこまでは書けない。ハザードマップについては、現在この部会では直接的には関与していない。
【事務局】
ハザードマップの活用について、我々の成果を反映して欲しいという願いを込めて書いてある。
【委員】
建議でもこれまであまりコミットしてこなかったところであるが、前回レビュー以降、最近だんだんコミットするようになってきた。一歩踏み出すかどうかは、次の問題である。当面3年とすることを考えると、この程度の表現でいいのではないか。
【事務局】
火山機動観測のイメージがわからない。臨時点を置くイメージでいいのか。
【委員】
臨時観測点である。ある程度強化して維持しようとしている。
【事務局】
山頂にある臨時点は機動観測という位置づけか。それを中腹でも臨時点を置いて実施する、中腹以上でGPSを強化する、臨時点といってもできるだけ長期間置く、こういうイメージでいいのか。
【委員】
そのとおり。
【委員】
常時監視以外の火山で噴火が起こると地元自治体は常時火山の指定を気象庁に陳情する。現地の行政は、火山情報がでるかでないかを気にしており、実際は火山情報を出していても、地元ではこの事情が理解できない。
【委員】
常時観測火山でなくても情報の出し方がはっきりわかっていれば受け取る地元も安心である。
【委員】
この報告書は、第6次の建議に基づき作成することとなる。気象庁のところに記述されている火山噴火予知連絡会の扱いなどはこれでいいのか、建議との整合性を事務局で確認して欲しい。
【委員】
参考資料に過去の噴火のアウトライン、噴火史も添付した方がいい。
以上の意見交換を踏まえ、石原部会長から、次回には、最終案を確認し、報告書としてまとめたい旨発言があり、各機関において、特に修正すべき事項があれば、6月19日(火曜日)までに事務局へ提出することとされた。
また、石原部会長から、報告書には、参考資料として前回整理した「観測体制と観測研究の成果」及び本日の資料(1)を添付することとしたい旨発言があり、了承された。
続いて、事務局から、今回の報告書の発表用の資料として、資料(4)のとおり概要を作成した旨説明があり、これに対して意見があれば6月19日(火曜日)までに事務局へ連絡することとされた。また、今後の予定について、次回は最終案を確認し、これを公表すること、測地学分科会へは石原部会長から、科学技術・学術審議会総会には、田中分科会長から、ぞれぞれ報告することとなる旨説明があった。
(3)その他
事務局から、次回を6月28日10時30分~に、永田町第3会議室において開催する旨説明した。
研究開発局地震調査研究課