平成13年5月14日(月曜日) 13時~15時05分
永田町合同庁舎3階 第3会議室
石原部会長、小平、田中(正)、平澤の各委員 臨時委員 井田、岡田、千葉、浜口、平林、藤井(敏)、吉野(代理:浦塚)、堀内、加藤、八島(代理:山根)、内池、海津の各臨時委員 専門委員 鵜川、清水、田中(良)、中田、藤井(直)、渡辺の各専門委員
須田地震調査研究課長、吉田学術調査官他関係官
部会長から、第1回部会において意見のあった審議内容の公開について、資料(1)のとおり修正した旨報告があった。
第1回の部会に引き続き富士山研究の中期的取組みについて検討が行われ、現状の観測体制及び研究成果の概要並びに今後の整備や調査・研究計画について、大学については資料(2)に基づき渡辺委員及び中田委員から、通信総合研究所については資料(3)に基づき浦塚委員代理から、防災科学技術研究所については資料(4)に基づき鵜川委員から、産業技術総合研究所については資料(5)に基づき加藤委員から、海上保安庁水路部については資料(6)に基づき山根委員代理から、気象庁については資料(7)に基づき内池委員から、国土地理院については資料(8)に基づき海津委員から、報告があった。続いて、意見交換が行われた。主な発言は次のとおり。(○:委員、△:事務局)
【委員】
長期間休止している火山で、観測するようになってから噴火した世界の火山は例があるのか。
【委員】
計器観測するようになってからは、諸外国の例としては、ピナツボ火山やセントヘレンズ、日本では雲仙などもこれにあたる。
【委員】
富士山の特殊性は、万一噴火した場合社会的影響は極めて大きい。学術的にも貴重だと思うが、研究体制が不十分な理由は何か。
【委員】
山体が大きいことと社会的混乱という問題があり、これまで、踏み込んだ議論ができなかった。ハザードマップの作成など調査を受け入れる気運が出てきたので、1つのフィールドとして研究できる状況になってきた。
【委員】
万一噴火した場合、マグマの供給量が大きい恐れがあるので、観測体制を強化しておく必要がある。
【委員】
世界の類似の例を調べ、どのような経過を経たのか十分考えて、日本が世界に貢献できる分野としてコミットする必要がある。
【委員】
富士山の位置づけは、火山噴火予知計画でも気象庁の分類でも低い。数百年に1回という噴火に対して、噴火予知計画でどのように対応していくかという問題は大きい。
【委員】
国土地理院では、富士山について5千分の1、1万分の1の基本図の作成は予定しているのか。
【委員】
観測強化について重点的に説明した。手元に資料がなので、後日回答する。
【委員】
地震研と気象庁の低周波地震あるいは長周期地震の頻度のグラフを比べると、ピークの位置など異なっているが、その理由は何か。
【委員】
95年5月からデジタル記録になったので、観測レベルは一様ではない。データの連結方法については検討している。
【委員】
地震研の頻度は、低周波地震を1つ1つを分けて個数を決めるのが難しいので、継続時間のトータルになっている。
【委員】
防災科研では、横軸に振幅、縦軸が継続時間でグラフを作成し、視覚的にわかるように工夫している。
【委員】
数え方の問題は、今後、活動評価をする上で大切である。
続いて、富士山の観測研究について、中期的観点から議論が必要であるという前回の意見を踏まえ、部会長から、資料(9)のとおり、たたき台を用意した旨説明があり、これに基づいて意見交換が行われた。主な発言は以下のとおり。
【委員】
少なくとも最近1万年程度の活動の履歴を精査する必要がある。このため、ボーリング調査、トレンチ調査などを組み合わせて行っていくべきである。
【委員】
低周波地震とマグマ活動との関連を明らかにすることが重要であり、そのため観測を強化すべきである。
【委員】
構造探査については、人工地震による爆破の探査を実施するとともに、一定期間自然地震の観測を多点で行っていく必要がある。
【委員】
富士山の研究は、休止期の長い火山の研究の代表例の一つになりうるものである。
【委員】
地磁気の問題を大きく扱っているが、磁力計をたくさん置いても、それを補正するための地磁気観測が重要である。
【委員】
通信総合研究所の航空機搭載映像レーダーについて、噴火等が起こっている火山では有効であるが、現在の富士山で変動が検出できるとは思われない。しかし、こういう技術が必要だと文章で位置づけておく必要がある。
【委員】
山体崩壊などの地形変化は検知できるが、GPSの精度には追いついていない。
【委員】
中期的取り組みは、3年という理解でいいのか。
【事務局】
現在の火山予知計画は、11~15年度の計画であるが、富士山については社会的影響が大きいということで、今後集中して観測強化し、必要な手当をするという考え方である。現在の噴火予知計画の強化ということで、15年度までと考える。
【委員】
万一噴火したときの影響、それは宝永の噴火をイメージしていると思われるが、問題となるのは、噴火したときの様式である。それは噴火予知で我々が手薄なところであり、長期的に取り組んでいく必要がある。
【委員】
社会に対する貢献の箇所において、成果を有効な火山噴火予知に活用するという表現を入れる必要がある。
【委員】
気象庁、噴火予知連において、不十分なところがあれば指摘して欲しい。
【事務局】
学術的に研究を進めると同時に、研究自体が社会に貢献できるものと考えている。ハザードマップ、噴火予知についても研究成果で貢献していくという姿勢を出すことが重要である。
【委員】
ハザードマップは、かなり早く作られると思うが、内容は段階的に改善されるので、その段階で成果が活きてくる。
【委員】
ハザードマップの作成というのが気にかかる。規模、シナリオなどが住民、行政に伝わるようにしなければならないのであり、作成よりもむしろ活用に研究が活かされるべきである。
【委員】
富士山周辺のテクトニクスは、地震関係者にも関心の高いところ。地震との関連では、地震予知関連機関との連携、データの活用が考えられるとあるが、地震側は受け身でよいと理解していいのか。
【委員】
ひとつのプロポーザルという表現にした。地震部会でも積極的に関与していただきたい。
【委員】
マスコミは、東海、東南海地震と結びつけるだろう。地震研究者も無関係とは思っていない。火山分野の研究者だけで一方的に進めてもいいのか。
【委員】
今回は時間がないので、レビューの時に考えたい。
【委員】
富士山の地殻変動は、マグマ活動とプレート運動の区別は難しい。
【委員】
2.観測研究と当面の問題では、かなり重要な長期的なことが書いてある。一方、付表では各機関が実施しようとしている短期的なことが書いてあり、整合が取れていない。
【事務局】
2.(1)(2)で書いてあることは目標としては長期的なものかもしれないが、当面3カ年で実施すべきことを念頭に書いている。
【委員】
難しい長期的課題が並んでいて、3年では達成できず、結局これが繰り返されるだけ。富士山について中期的な展望を出しておく必要があり、その上で、当面3カ年はこれをやるとわかるようにすべき。
【委員】
3ページ目のタイトルを「各機関の第6次予知計画における当面の研究実施計画」としてはどうか。
【事務局】
強化するということであり、課題すべてが達成されるわけではない。長期的展望をもって取り組んでいくことは7次計画でも必要なこと。
【委員】
この報告は誰に対する報告になるのか。
【事務局】
火山部会でまとめ、分科会、総会に報告する。審議会でまとめるということは、社会に対して、予知計画の強化するということを報告する意味である。
【委員】
結果として、第6次計画の資源配分を富士山に重点化することになるのか、新しい資源を獲得することになるのか。
【事務局】
6月までにまとめるということは、これに基づいて必要な手当てをすることを意味する。また、大学関係については、既存の資源を集中していくことも考えられる。
【委員】
新しい資源を確保するためには、センセーショナルにならない範囲で、富士山の問題を国民に説明していく必要がある。
【委員】
本日説明のあった各機関の観測点、過去の調査を全体的に一括して、観測状況がわかる資料を作成願いたい。
以上の意見交換を踏まえ、石原部会長は、たたき台をさらに修文したい旨発言があり、各機関において、特に盛り込むべき事項等があれば、17日(木曜日)までに事務局へ提出することとされた。
また、事務局から、ハザードマップの作成を予定している内閣府、富士山の火山活動の変化の現われ方や火山情報等に関する調査を行う予定の火山噴火予知連絡会の事務局である気象庁と連携していくこととしている旨報告があった。
事務局から、次回を5月25日(金曜日)10時30分~12時30分に開催する旨説明した。
研究開発局地震調査研究課