資料16−2−6

「21世紀初頭における日本の海洋施策」(平成14年8月 科学技術・学術審議会答申)のフォローアップについて

【機関名】 国土交通省総合政策局等

14.8答申における『項目』 これまでの取組み状況及び成果(平成14年8月答申より現在まで) 今後の取組み予定と課題
4.1 海洋保全の基本的考え方と推進方策 4.1.2 海洋保全の具体的な推進方策 (1)海洋環境の維持・回復に向けた総合的な取り組みの推進 1)海洋における物質循環システム(場)の修復 1中・長期的な閉鎖性海域等の海洋環境問題(水質,底質,生態系等)への取り組み ●閉鎖性海域の汚濁防止のための取り組みの推進
  • 1都市再生本部における都市再生プロジェクト(第三次決定)に基づき、平成14年に関係省庁及び関係地方公共団体からなる東京湾再生推進会議が設置され、平成15年に今後10年間に実施すべき施策等を「東京湾再生のための行動計画」として取りまとめ、平成19年に第1回中間評価を行った。
     また、大阪湾、伊勢湾及び広島湾についても、関係省庁及び関係地方公共団体からなる再生推進会議により各海域の再生のための行動計画が策定され、施策が進められている。
  • 2海浜の整備、侵食対策の実施や砂浜、緑、景観の総合的な保全及び動植物の生息生育空間に配慮した施設の整備を実施した。
  • 3大阪湾、伊勢湾及び広島湾についても、関係省庁及び関係地方公共団体からなる再生推進会議により各海域の再生のための行動計画が策定され、施策を推進
  • 13引き続き、所要の検討等を実施し、行動計画に基づいた各施策を推進するとともに、他の海域への海の再生の展開を検討する。
  • 2引き続き、海浜の整備、侵食対策の実施や砂浜、緑、景観の総合的な保全及び動植物の生息生育空間に配慮した施設の整備を実施する。
●赤潮,貧酸素水塊予測技術の高度化  東京湾再生の行動計画に基づき、人工衛星で得られたデータ及び千葉灯標に設置したモニタリングポストから得られた水質データ等にから、赤潮等の挙動を把握し、結果をインターネットを通じ提供している。
 また、瀬戸内海において貧酸素水の実態を把握をするための調査を実施している。
 引き続き各海域において海洋環境の把握ための観測を行なう。
2沿岸域開発による干潟・藻場・サンゴ礁等の消失と生態系への影響の解明 ●周辺海域の長期的な水質・生態系の監視の推進  東京湾、大阪湾、伊勢湾、有明海・八代海、瀬戸内海、東北沿岸域の環境情報の共有化等を目的としてインターネット上にデータベースを設置  環境情報の充実化を図る。
●人工の干潟・藻場等の造成に係る技術開発の推進  シルト系の浚渫土砂を干潟造成に活用するため、リサイクル材等による浚渫土砂の品質調整手法の確立を目指し、三河湾等において現地実証試験を実施  現地実証試験施設のモニタリングを継続する。
2)人間活動に伴う陸域・海域・大気等からの負荷の削減 1残留性有機汚染物質(POPs)等が人体及び生態系に与える影響の解明 ●代替船底防汚塗料の開発及び海洋環境への影響評価手法の確立
  • 1トリブチルスズ化合物等(有機スズ系)塗料の船舶へ使用を禁止する、”船舶の有害な防汚方法の規制に関する条約”に平成15年7月に加盟しており、我が国国内では既に代替え塗料が普及しており有機スズ系塗料は使用されていない。
  • 2海洋気象観測船によって西太平洋及び日本周辺海域の海洋バックグランド汚染観測として、油分及び重金属の観測を継続して行った。
  • 2海洋気象観測船によって西太平洋及び日本周辺海域の海洋バックグランド汚染観測として、油分及び重金属の観測を継続して行う。
2事故等による油流出汚染の対策 ●流出油防除体制等の強化
  • 1ポートステートコントロールにおいては、平成14年度は全国37官署に92名の外国船舶監督官が配置されていたが、逐次その強化を図り、平成19年度においては43官署、127名体制とした。
  • 2国際海事機関(IMO)・第50回海洋環境保護委員会(MEPC50)において、ダブルハル化の更なる促進のため、ダブルハル化の期限の前倒し及び重質油を運搬するシングルハル油タンカーの排除を内容とする決議が採択され、国内法への取り込みも実施した。
  • 3大規模油流出事故への対応として、平成14年に「白山(新潟港)」、平成17年に「清龍(名古屋港)」を建造し、国内に3隻の大型浚渫兼油回収船を配備。おおむね48時間以内に我が国の周辺海域の現場まで到着できる体制を構築している。
  • 4「2000年の危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備、対応及び協力に関する議定書(OPRC-HNS議定書)」を批准するとともに、同議定書を担保するため、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」を改正した。また、議定書の実施や改正海防法の施行に向けて、国家緊急時計画の改訂や政省令等の改正などを実施
  • 5平成18年5月には、NOWPAPの第1回油防除訓練(第2回日露油防除総合訓練)を実施し、油防除に関する連携強化を図るとともに、同年7月から、NOWPAP地域油流出緊急時計画の対象海域がサハリン島東岸まで拡大し、油防除に関する対応体制を強化を推進
  • 1さらに外国船舶監督官の拡充を図ることにより、サブスタンダード船の排除に努める。
  • 2MEPCにおいて、燃料油タンクの防護措置を義務づける決議が採択され、平成19年8月より発効する予定
  • 3大型浚渫兼油回収船の3隻体制の維持
  • 4引き続き、改正海防法により平成20年4月1日に施行されるHNS資機材義務付け等に向け、対応体制の充実強化を図る。
  • 5NOWPAP地域油流出緊急時計画(以下「プラン」という。)は、油汚染事件を対象としているが、HNSについてもプランの対象に含めるため、プラン及びプランの実施に係る了解覚書の改正のための手続きが進められている。また、平成20年には中国において第2回NOWPAP油防除訓練が行われる予定であり、引き続き油等防除への対応能力の向上及び訓練への参加等、国際協力の推進を図る。
●流出油の拡散漂流予測技術の高度化・環境影響評価技術の開発
  • 1捜索救助業務及び流出油防除作業の迅速・効率化に資する漂流予測システムに、面的に流況把握が出来る海洋短波レーダーにより得られたデータを利用する検討を行った。
  • 2流出油対策のため、長期漂流予測システムの運用を行っている。
  • 1より多くの気象・海象データを扱うデータベースと、迅速且つリスクを最小限にする漂流予測システムの開発を行い、予測精度の向上を図る。
  • 2流出油対策のため、長期漂流予測システムの運用を継続して行う。
3外来生物種の侵入による在来種の絶滅や生態系の攪乱(かくらん)防止 ●バラスト水等による外来生物種侵入の防止
  • 1ガイドラインの提案など積極的に議論に参画してきた結果、平成16年2月に、IMOにおいてバラスト水の管理規制条約が採択された。
  • 2バラスト水問題を抜本的に解決するため、バラスト水を積まなくとも安全に航行できるノンバラスト船の研究開発が平成15年度〜平成17年度に行われた結果、船底傾斜船型が開発され、ノンバラスト船は在来船と比較しても推進性能、強度等に問題がないことを確認
  • 1バラスト水の管理規制条約の早期発効を目指す。
  • 2今後はノンバラスト船の実用化・普及に向けた取組みを行う。
4発生負荷削減への取り組み ●船舶等からの発生負荷の削減
  • 1ポートステートコントロールにおいては、平成14年度は全国37官署に92名の外国船舶監督官が配置されていたが、逐次その強化を図り、平成19年度においては43官署、127名体制とした。
  • 2環境保全型シップリサイクルの実現のための「IMOシップリサイクルガイドライン」(非強制)が平成15年12月に採択された。さらに、平成18年3月からは、強制力のある新条約案に関するIMOにおける議論に積極的に参加している。
  • 3油や有害危険物質の流出等による海洋、沿岸域の汚染に適切に対処するため、積極的な防除の取組みを更に推進するための体制等の強化
  • 4我が国国内法令の規定に基づき、監視、取締りを実施
  • 1外国船舶監督官の拡充を図ることにより、外国船舶の監督の強化に努める。
  • 22008〜2009年に、強制力のあるシップリサイクルに関する新条約の採択を目指す。
  • 3引き続き施策を推進する。
  • 4引き続き、我が国国内法令の規定に基づき、監視、取締りを実施する。
5沿岸域における海洋保全の取り組み ●沿岸域の総合的な管理の推進  沿岸域総合管理研究会で検討を行い、今後とりくむべき具体的な施策等をとりまとめ、提言を行った。  引き続き、関連する施策を総合的に実施する。
●沿岸域の清掃活動の推進
  • 1毎年7月の「海の月間」に合わせて、集中的な清掃活動や環境保全の重要性についての啓発活動として、関係機関と連携し、「東京湾クリーンアップ大作戦」を実施
  • 2NPO、市民、民間事業者等多様な主体と連携、協働することにより、沿岸海域の環境保全を更に推進
  • 3大規模な漂着ゴミは、海岸堤防・砂浜等の消波機能の低下、水門の防潮機能への障害等、海岸保全施設の機能阻害の原因となることから、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業の対象を拡充し、大規模な漂着ゴミを緊急的に処理することとした。
  • 12関係機関の連携の下、継続していく。
  • 3引き続き、海岸におけるゴミ対策や清掃等海岸の美化については、地域住民やボランティア等の協力を得ながら進めるとともに、参加しやすい仕組みづくりに努める。
(2)海洋利用,沿岸防災等における海洋環境に配慮した取り組みの推進 1)海洋利用等における環境配慮の取り組み 1土砂収支の不均衡に伴う海岸侵食・砂浜等の消失防止への取り組み ●余剰土砂等の海岸侵食対策への有効活用の推進  土砂収支の不均衡を是正するために有効な手法として、漁港、港湾やその周辺等に堆積した砂を海岸侵食箇所へ効果的、効率的に輸送・排砂するサンドバイパス等の海岸侵食対策を実施した。  引き続き、土砂収支の不均衡を是正するために有効な手法として、漁港、港湾やその周辺等に堆積した砂を海岸侵食箇所へ効果的、効率的に輸送・排砂するサンドバイパス等の海岸侵食対策を実施する。
●地形変化,土砂移動量等の予測技術の開発  土砂収支の不均衡を是正するために有効な手法として、漁港、港湾やその周辺等に堆積した砂を海岸侵食箇所へ効果的、効率的に輸送・排砂するサンドバイパス等の海岸侵食対策を実施した。  引き続き、土砂収支の不均衡を是正するために有効な手法として、漁港、港湾やその周辺等に堆積した砂を海岸侵食箇所へ効果的、効率的に輸送・排砂するサンドバイパス等の海岸侵食対策を実施する。
●海岸侵食の対策技術の開発  防災上の機能と併せ、環境や利用の観点から良好な空間としての機能を有する砂浜の消失を効果的に防止するため、沿岸漂砂の特性の長期的な観測を行うとともに、土砂収支の不均衡を是正するために有効な手法として、漁港、港湾やその周辺等に堆積した砂を有効活用した海岸侵食対策を実施した。  防災上の機能と併せ、環境や利用の観点から良好な空間としての機能を有する砂浜の消失を効果的に防止するため、沿岸漂砂の特性の長期的な観測を行うとともに、土砂収支の不均衡を是正するために有効な手法として、漁港、港湾やその周辺等に堆積した砂を有効活用した海岸侵食対策を引き続き実施する。
3環境に配慮した海岸保全の取り組み ●自然と共生する海岸整備の推進  海浜の整備、侵食対策の実施や砂浜、緑、景観の総合的な保全及び動植物の生息生育空間に配慮した施設の整備を実施した。  引き続き、海浜の整備、侵食対策の実施や砂浜、緑、景観の総合的な保全及び動植物の生息生育空間に配慮した施設の整備を実施する。
●改正海岸法にのっとった海岸保全の推進  海岸法第2条の2の規定により「美しく、安全で、いきいきした海岸」を次世代へ継承していくことを基本的な理念として国が定めた「海岸保全基本方針」(平成12年5月)に基づき、平成18年3月までに全国の71沿岸全てにおいて都道府県知事が定める「海岸保全基本計画」が策定された。  引き続き「海岸保全基本方針」に基づく海岸保全に取り組んでいく。
2)気候変動に対応するための取り組み 1地球温暖化に伴う海面上昇等による沿岸域への影響評価・対策 ●地球温暖化による海面上昇等が沿岸域に及ぼす影響の評価
  • 1・潮位、波浪等の変動についての監視機能を充実するとともに、技術的な検討を含めた対策に関する調査・研究を行った。
  • 2温暖化予測技術を高度化するために、大気・海洋結合モデルの開発・高度化を行い、温暖化情報を国内外に発信した。
    また、海洋に関する様々な観測データを収集・整理し、その変化傾向等を評価した「海洋の健康診断表」の提供を平成17年度に開始した。
  • 1引き続き、潮位、波浪等の変動についての監視機能を一層充実するとともに、技術的な検討を含めた対策に関する調査・研究を推進する。
  • 2温暖化予測技術を高度化するために、大気・海洋結合モデルの開発・高度化を行うとともに、日本近海の水位上昇等の情報作成に資する手法の開発を推進する。
    また、「海洋の健康診断表」を引き続き提供することにより、海洋の環境状況の常時把握とともに、地球温暖化予測に基づく適切な対策、海洋汚染の防止等海洋環境保全のための対策策定・実施に寄与する。
●沿岸防災の観点からの監視及び対策方針の策定
  • 1海象計、GPS波浪計、海洋短波レーダ等の多様な観測機器を全国に配置し、潮位・波浪等の海象観測体制を強化した。
  • 2潮位、波浪等の変動についての監視機能を充実するとともに、技術的な検討を含めた対策に関する調査・研究を行った。
  • 3海上気象・海況の観測・予報等の業務の強化に関して、気象資料総合処理システムの運用を行ってきた。沿岸の海上交通安全のために、高潮・高波関連施設等による観測や沿岸・外洋の波浪予報等を行ってきた。
  • 1観測機器の整備推進と、観測情報の分析、提供体制の充実を図る。
  • 2引き続き、潮位、波浪等の変動についての監視機能を一層充実するとともに、技術的な検討を含めた対策に関する調査・研究を推進するとともに、海面水位の上昇に係る状況の変化に応じた対応が可能となるよう、調査・研究結果を踏まえた対応策のオルタナティブの検討、長期的スパンでの段階的な対応策のプログラムの検討等を内容とする海岸保全施策の検討を進める。
  • 3気象資料総合処理システムの運用を引き続き行う。高潮・高波関連施設等による観測や沿岸・外洋の波浪予報等を引き続き行う。
2異常気象・海象による沿岸災害の多発への対応 ●異常気象・海象等の予測技術の開発  エルニーニョ、10年変動等の気候変動や日本近海の海況変動のための大気・海洋結合モデルや海洋モデル、及び海洋データ同化システムを開発し、エルニーニョに関する熱帯海面水温予測や日本近海の海況予報の精度が向上した。また、海洋に関する様々な観測データを収集・整理し、その変化傾向等を評価した「海洋の健康診断表」の提供を平成17年度に開始した。さらに、高潮・津波対策及び地球温暖化に伴う海面上昇等の観測・解析を行ってきた。また、台風等による高潮予測のための数値モデルの高度化を図った。  引き続き、エルニーニョ、10年変動等の気候変動の理解と予測や日本近海の海況変動予測のための大気・海洋結合モデルや海洋モデル、及び海洋データ同化システムの研究開発を推進する。また、「海洋の健康診断表」を引き続き提供することにより、海洋の環境状況の常時把握とともに、地球温暖化予測に基づく適切な対策、海洋汚染の防止等海洋環境保全のための対策策定・実施に寄与する。さらに、高潮・津波対策及び地球温暖化に伴う海面上昇等の観測・解析を引き続き行う。高潮予測のための数値モデルの運用を継続する。
●ハード・ソフト両面による防災対策の推進
  • 1国土交通省では、ハリケーン・カトリーナ災害を踏まえ、平成17年10月に「ゼロメートル地帯の高潮対策検討会」を発足させ、平成18年1月に提言を公表した。提言では、浸水を防止するための万全の対策、大規模浸水を想定した被害最小化対策、高潮防災知識の蓄積・普及の具体化を図るよう推進すべきとしている。
     この提言の施策を具体化するものとして、農林水産省及び国土交通省ではハード整備に併せてハザードマップ作成支援等のソフト対策をゼロメートル地帯の高潮対策へも拡充した「津波・高潮危機管理対策緊急事業」を創設し、高潮対策を推進した。
  • 2海上気象・海況の観測・予報等の業務の強化に関して、気象資料総合処理システムの運用を行ってきた。
    また、沿岸の海上交通安全のために、高潮・高波関連施設等による観測や沿岸・外洋の波浪予報等を行ってきた。
    さらに、高潮・津波対策及び地球温暖化に伴う海面上昇等の観測・解析を行ってきた。
    また、台風等による高潮予測のための数値モデルの高度化を図った。
  • 3地震の発生時に津波の発生が予想される時、津波予報(警報・注意報)を発表し、津波災害の防止・軽減に努めている。平成18年10月より、緊急地震速報の技術を活用した津波警報・注意報の迅速化を行うとともに、平成19年7月より東海・東南海・南海の海域について、地震発生後10〜20分程度で地震発生メカニズム解析結果にもとづき津波予報の解除や切り替えをより速やかに実施することとした。
  • 4大規模地震に伴う津波の発生による船舶の避難誘導・救助活動に資するため、詳細な海底地形データを基にシュミレーションを行い、港湾や沿岸域での津波の到達時刻や波高、流速を記載した「津波防災情報図」を整備している。
     また、沿岸災害の発生による避難誘導・救助活動に資するため、地形・水深等の自然情報、防災機関、医療機関、ヘリポートとして使用できる場所等の位置や地域の人口等の社会情報などを記載した「沿岸防災情報図」を整備している。
  • 1引き続き、海岸保全施設の新設・改良、暫定施設の早期完成、老朽化施設の更新、水門等の機能の高度化の実施や津波・高潮ハザードマップ作成の技術的支援及び安全情報伝達施設等の整備を行う。
  • 2気象資料総合処理システムの運用を引き続き行う。また、高潮・高波関連施設等による観測や沿岸・外洋の波浪予報等を引き続き行う。さらに、高潮・津波対策及び地球温暖化に伴う海面上昇等の観測・解析を引き続き行う。また、高潮予測のための数値モデルの運用を継続する。
  • 3地震発生メカニズムを反映した津波予測のデータベースの海域を拡張するとともに、気象庁および他機関の沖合いを含む潮位データを活用することによって津波予報・情報の充実をはかる。
  • 4今後は管区本部により地域情報を収集し、既存のデータを基に情報図を作成する予定である。
(3)社会経済的側面からの海洋環境の保全に向けた取り組みの推進 ●総合的な環境配慮を行うための環境影響評価  事業の構想段階における住民参加の手続きについて、平成15年6月に『国土交通省所管の公共事業の構想段階における住民参加手続きガイドライン』を策定(港湾の公共事業の構想段階における住民参加手続きガイドラインは平成15年8月策定)
 事業の計画案を策定するに当たっては、社会面、経済面、環境面等の観点から総合的に評価し、計画案を選定している。
 計画策定のプロセスに、より透明性を確保し、また、より一層公正かつ効率的に実施していくことが求められており、土木、経済、環境、行政法分野の学識経験者からなる『公共事業の構想段階における計画策定プロセス研究会』を立ち上げ、各事業横断的な計画プロセスの透明性の確保と公正かつ効率的なあり方を検討している(港湾についても研究会の結果を受けガイドラインを策定する予定)。
4.2 海洋利用の基本的考え方と推進方策 4.2.2 海洋利用の具体的な推進方策 (2)循環型社会を目指した海洋エネルギー・資源利用 1)海洋エネルギーの利用促進 ●洋上における風力発電の推進
  • 2研究会等を通じて、臨海部における風力発電の導入について検討をした。
  • 1水深の深い海域にも対応できる浮体構造で、洋上において風車等を稼働させることができるプラットフォーム技術を実現するため、2010年度までに浮体構造の安定性・信頼性向上技術、係留技術等の要素技術を開発する。
  • 2引き続き、風力発電の導入に関する検討を行っていく。
2)再生型資源の利用の推進 ●FRP廃船の高度リサイクルシステムの構築  平成12年度から平成15年度にかけて「FRP廃船高度リサイクルシステム構築プロジェクト」での研究開発及び実証試験によりFRP船リサイクル技術を確立した。この成果を踏まえ、FRP船リサイクルシステムを構築し、平成17年度から一部地域でFRP船のリサイクルが開始された。また、リユース技術についても損傷箇所等の取り替えが可能なFRP船を研究開発及び実証試験により確立した。  平成19年度中には、FRP船リサイクルシステムが全国に展開される予定。今後とも、FRP船リサイクルシステムの安定運用及びリサイクル率の向上に努めることとする。
(3)市民生活の基盤を支える海洋鉱物・エネルギー資源利用 1)海洋鉱物・エネルギー資源の利用に向けた研究開発 ●海洋石油技術の先端的研究開発  天然ガスの安定供給の確保に資するため、中小ガス田の開発を可能とする天然ガスハイドレート(NGH)輸送船の研究開発を実施しているところ。これまで、NGHペレット(貨物)の挙動解析、船倉システムの試設計等を行った。  今後は、船倉システムや荷役システムの設計・開発を行うとともにNGH輸送船実用化に向けた安全基準等の検討を行う。
(4)多機能で調和のとれた沿岸空間利用 1)環境配慮型の空間利用のための施策 ●循環型社会を目指した港湾を核とした総合静脈物流システムの構築  リサイクルポートにおいて循環資源を専門的かつ円滑に取扱うための港湾施設の整備を、平成16年度に北九州港、神戸港等において実施するとともに、リサイクルポートにおける施設整備支援メニューを拡大すべく平成17年度より循環資源取扱支援施設への補助制度を創設したところ。  平成17年度より循環資源取扱支援施設への補助制度を創設。これまでに酒田港、北九州市で施設供用開始しているが、引き続き本制度を推奨し、静脈物流の拠点形成を更に推進する。
●環境配慮型の港湾・漁港施設整備の推進  例えば、千葉港の岸壁改良にあたり、岸壁に生物付着基盤となるミニ干潟等を試験的に設置する等、自然環境へ配慮した港湾整備を推進していく。  モニタリングを行い、効果を確認する。
●より高い信頼性を有する廃棄物海面埋立処分場の技術開発
  • 1港湾の将来の開発計画との調整を図りつつ、計画的な海面処分場の確保をこれまでと同様に行っていく。
  • 2廃棄物埋立護岸の遮水構造や,その信頼性,遮水システムに関する研究・開発を実施し、又、検査・モニタリング・修復が容易な次世代鉛直遮水工のあり方を検討
  • 1海面処分場の計画的な確保を推進
  • 2海面処分場の跡地利用に関連し、次世代型処分場の遮水構造について検討する。また、処分場の浄化・安定化促進技術の検討を進める予定
2)効率的な空間利用のための施策 ●効率的な交通体系の構築
  • 1「我が国産業の国際競争力強化のための今後の港湾政策のあり方」について、平成19年7月5日に交通政策審議会港湾分科会において中間報告がとりまとめられたところ。中間報告において「広域幹線道路との連携強化」、「鉄道輸送との連携強化」等を図るとしている。
  • 2関西国際空港については、平成19年8月2日に2本目の滑走路を限定供用。中部国際空港については、平成17年2月17日に開港
  • 1これまでの取組に加え、下記中間報告による取組を推進する。
  • 2平成16年12月の財務・国土交通大臣間合意において、今後の施設整備は限定供用後の需要動向、会社の経営状況等を見つつ行うこととされている(関空)。
●海洋空間の高度利用を図るための超大型浮体式海洋構造物(メガフロート)の活用  総務省や経産省と連携して実施した「メガフロート情報基地機能実証実験」において、低廉かつ高信頼の情報基地として利用可能であることが実証された。なお、羽田空港再拡張事業工法評価選定会議では、他の工法とともに審査され、同事業に採用可能と判断された。  コンテナターミナル等の港湾施設、エネルギー基地等、様々な用途が考えられるメガフロートの実用化・普及を推進する。
(5)安全で効率的な海上輸送の実現 ●海上輸送の定時性・迅速性・安全性等の確保
  • 1サブスタンダード船排除のため、船舶の安全性に係る情報透明化を図るための国際的データベース(EQUASIS)の監督委員会への参画、拠出金の拠出を実施している。
  • 2港湾手続について、平成15年7月に港湾EDIシステム、通関情報処理システム等関係6府省7システムを連携・接続し、複数の手続を1回の入力・送信で可能とするシングル・ウィンドウ化を実現。平成17年11月には、FAL条約の批准に伴う各官庁統一申請様式の採用等により、ソフト面の施策を推進
  • 3アジア主要港を凌ぐコスト・サービス水準の実現を目標に、次世代高規格コンテナターミナルの形成等、関係者一丸となって先導的な施策を展開し、総合的に効率化を推進しているスーパー中枢港湾の充実・深化を図る。
  • 4ふくそう海域にAIS(船舶自動識別装置)を活用した次世代型航行支援システムを整備した。
  • 1引き続き監督委員会への参画、拠出金の拠出を行う。
  • 2平成20年10月には、関係6府省システムに係る府省共通ポータルを構築し、申請窓口を統一することにより、次世代シングルウィンドウシステムを実現。平成20年10月以降も、港湾手続の追加等の改善を図る予定
  • 3引き続き推進する。
  • 4AISを全国に整備する。
●安全な海上輸送の実現のための海賊対策
  • 1「日・ASEAN(アセアン)海事セキュリティ・海賊セミナー(平成15年12月、平成17年3月 東京)」を開催し、海賊対策の現状及び今後の対策について検討するなど、海事関係機関の連携強化を推進。
  • 2「海賊対策に関する船上における訓練手引き」を策定し、アジアの関係機関及び船社等に配付し、民間海事関係者等による自主警備対策の強化を推進。
  • 3巡視船・航空機のアジア各国への派遣による公海上のしょう戒、寄港国における各国海上保安機関との連携訓練及びしょう戒中における日本関係船舶との海賊対策訓練を実施。
  • 4東南アジア各国との連携強化を図るため、「海賊対策専門家会合」、「アジア海上保安機関長官級会合」を開催。
  • 5東南アジア各国における海上保安機関の設立、強化、人材育成等のため、海上保安大学校への留学生の受け入れ、海上犯罪取締研修(JICA(ジャイカ))、巡視船を派遣して行う乗船研修及びフィリピン海上法令励行国際セミナー(JICA(ジャイカ))、長期・短期専門家の派遣(JICA(ジャイカ))等を実施。
  • 6アジア海賊対策地域協力協定に基づき設置された海賊情報共有センター(シンガポール)に対し、職員の派遣を含めた積極的な支援・協力を実施。
  • 7海上保安庁警備救難部国際刑事課内に海賊対策室を設置し、海賊対策業務の更なる強化を推進。
  • 12関係機関の連携及び自主警備対策の強化等を図る。
  • 34567引き続き、巡視船・航空機の東南アジア海域への派遣や国際協力機構(JICA(ジャイカ))等と連携した研修等により、東南アジア関係国の法執行能力の向上等に協力する。
  • 34567情報共有センター(ISC)等を通じ、アジア諸国の海上保安機関との連携を強化する。
●海上交通の安全性,効率性を支える開発保全航路の整備  浅瀬等が存在するため航行に支障のある主要国際幹線航路の整備及び保全により海上ハイウェイネットワークを構築し、大型船舶の航行を可能とすることによる物流コストの低減と、安全かつ安定的な海上輸送ネットワークの確保を図る。  引き続き推進する。
●地球温暖化対策としてのモーダルシフトの推進  スーパーエコシップの研究開発と船舶共有建造船制度を活用した普及促進、内航海運業法の改正、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの整備および国際貨物の陸上輸送距離の削減に資する国際海上コンテナターミナルや多目的国際ターミナルの整備を行った。また、グリーン物流パートナーシップ会議を活用し、物流事業者等のモーダルシフトへの取り組みに対し支援を行った。  スーパーエコシップの研究開発については、平成19年に実海域実証実験を行い、研究開発プロジェクトが終了予定。
 その他の施策については、引き続き左記の施策を推進する。
(6)市民の親しめる海洋に向けて ●海洋性レクリエーション空間の整備・普及促進
  • 1港湾では、プレジャーボートの活動拠点となるボートパークの整備を行うとともに、船舶等の放置等禁止区域の指定を促進し、公共水域の適正な利用促進を図ることにより、海洋を観光資源として活用するレクリエーションの振興を支援している。
  • 2海岸部のレクリエーション施設整備等と連携した施策として、道路、公園、下水道、海岸整備を一体として行い、地域づくりに資する「C.C.Z.(コースタル・コミュニティ・ゾーン)」や海辺における自然体験活動、環境教育、マリンスポーツに利用しやすい海岸づくりを行う「いきいき・海の子・浜づくり」、消波工等の異形ブロックを沖合施設に転用してなぎさを回復させる「なぎさリフレッシュ事業」、海辺における健康増進活動を支援するための施設整備として、高齢者や障害者が容易に利用できる海岸の整備を行う「海と緑の健康地域づくり(健康海岸)」を実施した。
  • 1引き続き施策を推進する。
  • 2引き続き、海岸部のレクリエーション施設整備等と連携した施策として、道路、公園、下水道、海岸整備を一体として行い、地域づくりに資する「C.C.Z.(コースタル・コミュニティ・ゾーン)」や海辺における自然体験活動、環境教育、マリンスポーツに利用しやすい海岸づくりを行う「いきいき・海の子・浜づくり」、消波工等の異形ブロックを沖合施設に転用してなぎさを回復させる「なぎさリフレッシュ事業」、海辺における健康増進活動を支援するための施設整備として、高齢者や障害者が容易に利用できる海岸の整備を行う「海と緑の健康地域づくり(健康海岸)」を推進する。
●プレジャーボート等の適正な係留・保管の推進  ボートパークの整備等の係留・保管能力の向上と併せて,港湾法に基づく船舶の放置等を禁止する区域の指定など公共水域の性格や地域の実情などに応じた適切な規制措置の実施。また、臨港地区、港湾隣接地域等の陸域においても船舶の放置等を禁止する区域の指定が可能となる港湾法の一部改正が平成18年10月に施行された。  引き続き施策を推進する。
●海洋性レクリエーションに対応した安全確保
  • 1親水性施設や海辺へのアクセスを可能とする施設の整備や砂浜を有する海岸におけるバリアフリー対策(スロープ、安全施設等の整備)を実施した。
  • 2船舶の安全運航に必要な情報をインターネット等で発信するMICS(沿岸域情報提供システム)を全国の海上保安部等に整備した。
  • 3海洋における安全意識の周知啓発を図るため、ライフジャケットの着用・防水パック入り携帯電話の携行・緊急通報用電話番号118番の有効活用を掲げた「自己救命策3つの基本」について安全推進活動を実施。
  • 4沿岸海域で海難が多発する海域を管轄する航空基地に機動救難士を配置し、ヘリと連携した沿岸海域での人命救助体制の強化を推進。
  • 1引き続き、親水性施設や海辺へのアクセスを可能とする施設の整備や砂浜を有する海岸におけるバリアフリー対策(スロープ、安全施設等の整備)を実施する。
  • 234引き続き、海難情報等の早期入手、ライフジャケット着用率の向上、救助・救急体制の充実を推進していく。
●魅力ある空間創造のための干潟・藻場,緑地,海浜等の整備
  • 1水域を活用したプロムナードやビジター桟橋、水域にアクセスできる斜路や階段護岸等、施設の一部として水域を効果的に取り込んだ港湾緑地の整備を推進。また、生物にやさしい護岸や海水交換が可能な防波堤などの環境に配慮した港湾施設の整備を推進
  • 2海浜の整備、侵食対策の実施や砂浜、緑、景観の総合的な保全及び動植物の生息生育空間に配慮した施設の整備を実施するとともに、親水性施設や海辺へのアクセスを可能とする施設の整備や砂浜を有する海岸におけるバリアフリー対策(スロープ、安全施設等の整備)を実施した。
  • 1引き続き整備を推進する。
  • 2引き続き、海浜の整備、侵食対策の実施や砂浜、緑、景観の総合的な保全及び動植物の生息生育空間に配慮した施設の整備を実施するとともに、親水性施設や海辺へのアクセスを可能とする施設の整備や砂浜を有する海岸におけるバリアフリー対策(スロープ、安全施設等の整備)を実施する。
4.3 海洋研究の基本的考え方と推進方策 4.3.2 海洋研究の具体的な推進方策 (1)未知の領域への挑戦 ●海洋を中心とした地球科学の深化  海洋深層流等全球レベルでの海洋大循環に関する研究、海洋表層や中・深層の物質循環及びその変動機構を解明するための海洋・海氷結合モデルを開発し、このモデルを用いた海洋変動と大気・海氷・海洋相互作用の研究を行った。  引き続き海洋表層から深層までの全球レベルでの海洋大循環に関する研究、及び物質循環とその変動機構の解明に関する研究を実施する。
(2)地球環境問題の解決及び自然災害の予防に資する海洋研究 1)気候変動等の地球環境問題の解決に資する海洋研究 ●気候変動に関する観測研究  気候変動に与える影響の大きい海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを運用した。また、高度海洋監視システム(ARGO計画)の運用を行った。また、海洋気象観測船によって高精度な海洋観測や海洋上及び海洋中の温室効果ガスの観測を行ってきた。さらに、海洋調査船・中層フロート等の海洋観測データ解析及びそれらを補う海洋モデル・海洋データ同化システムを用いた研究を行い、気候変動に関連した海洋表層・中層の海洋変動を把握した。  海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを引き続き運用する。高度海洋監視システム(ARGO計画)の運用を継続する。また、海洋気象観測船による高精度な海洋観測、海洋上及び海洋中の温室効果ガスの観測を引き続き行う。さらに、海洋観測データ解析及びこれらを補う海洋モデル・海洋データ同化システムを用いて海洋表層から深層の海洋変動の解明を行う研究を引き続き実施する。
●海洋を含む地球変動予測に関する研究  地球温暖化の予測モデル(大気・海洋結合モデル、地球システムモデル)の開発・高度化を行い、予測精度の向上を図った。また、大気・海洋結合モデル・海洋データ同化システムによるエルニーニョ・日本近海海況等の気候・海洋変動予測技術の高度化や、現在の海洋観測データと古環境のデータを反映させた研究を行った。  引き続き地球温暖化の予測モデル(大気・海洋結合モデル、地球システムモデル)の高度化を行い、予測精度の向上を図る。また、大気・海洋結合モデル・海洋データ同化システムによるエルニーニョ・日本近海海況等の気候・海洋変動予測技術の高度化や、古環境の研究を行う。
(3)海洋保全,海洋利用等の礎となる海洋研究 ●持続的な海洋生物資源の利用のための調査研究  船舶や地球観測衛星を用いて海流や水温等を調査し、それらのデータと海洋モデルを総合化する技術開発(海洋データ同化システム)を行った。これにより、水産資源管理に資する基盤情報としての海流や水塊構造を立体的に把握した。  引き続き海洋観測データと海洋モデルを総合化する技術開発(海洋データ同化システム)および海洋モデルの開発・高精度化を実施する。
●海洋環境に配慮した沿岸空間利用・沿岸防災のための研究開発  海岸事業で侵食対策を実施する際の、生物の生息環境に配慮した砂浜保全の技術的手法について検討を行った。  引き続き、海岸事業で侵食対策を実施する際の、生物の生息環境に配慮した砂浜保全の技術的手法について検討を行う。
●海洋予報の推進  気候変動に与える影響の大きい海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを運用した。高潮・津波対策及び地球温暖化に伴う海面上昇等の観測・解析を行ってきた。また、台風等による高潮予測のための数値モデルの高度化を図った。オホーツク海および北海道太平洋沿岸における海氷情報の提供、海面水温予報、海流予報を実施してきた。さらに、海洋気象観測船、海洋気象ブイロボット、内外船舶等により海洋観測のリアルタイム通報を継続して行ってきた。また、海洋データ同化システム・海洋モデルを開発し、観測による検証を行い、予報精度を高めた。海洋変動予測の確度を高めるために海洋気候変動研究計画における海洋・気候の数十年変動に向けた研究を推進した。  海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを引き続き運用する。高潮・津波対策及び地球温暖化に伴う海面上昇等の観測・解析を引き続き行う。また、台風等による高潮予測のための数値モデルの運用を継続する。オホーツク海および北海道太平洋沿岸における海氷情報の提供、海面水温予報、海流予報を引き続き行う。さらに、海洋気象観測船、海洋気象ブイロボット、内外船舶等による海洋観測を引き続き行う。また、引き続き海洋データ同化システム・海洋モデルを高度化し、予報精度を高める。また、海洋モデルのアウトプットや同化再解析データセットの作成とそれらの解析により海洋気候変動研究計画における海洋・気候の数十年変動に向けた研究を推進する。
(4)研究・観測を支える基盤技術開発 ●海洋観測技術の高度化  海象計、GPS波浪計、海洋短波レーダ等の多様な観測機器を全国に配置し、潮位・波浪等の海象観測体制を強化した。  観測機器の整備推進と、観測情報の分析、提供体制の充実を図る。
(5)研究開発体制・インフラストラクチャーの整備 1)研究・観測を組織的・戦略的に行うための方策 ●研究開発体制の整備  全球海洋データ同化実験(GODAE)計画の国際科学運営委員(IGST)および気候の変動性と予測可能性に関する研究(CLIVAR)における海洋モデル比較実験(OMIP)の海洋モデル開発ワーキンググループ委員(WGOMD)として、国際的な研究開発プロジェクトを積極的に推進し、国内外での連携・協力体制を構築した。  引き続き全球海洋データ同化実験(GODAE)計画の国際科学運営委員(IGST)および気候の変動性と予測可能性に関する研究(CLIVAR)における海洋モデル比較実験(OMIP)の海洋モデル開発ワーキンググループ委員(WGOMD)として、国際的な研究開発プロジェクトを積極的に推進し、国内外での連携・協力体制を構築する。
2)海洋研究を支えるインフラストラクチャーの整備 ●船舶の有効活用の推進  深層循環等に関連した観測データを活用した海洋モデルとの比較検証を行った。また、海洋調査・研究船の運用をより効率的に行うための海洋モデル・同化システムを用いた感度実験や海洋観測シミュレーション実験(OSE/OSSE)を開始した。  引き続き深層循環等に関連した観測データを活用した海洋モデルとの比較検証を行う。また、海洋調査・研究船の運用をより効率的に行うための基礎資料作成のために、海洋モデル・同化システムを用いた感度実験や海洋観測シミュレーション実験(OSE/OSSE)を行う。
●研究開発に必要なインフラストラクチャーの整備  海洋観測をより効率的に行うための海洋モデル・同化システムを用いた感度実験や海洋観測シミュレーション実験(OSE/OSSE)を開始した。  引き続き海洋観測をより効率的に行うための基礎資料作成のために、海洋モデル・同化システムを用いた感度実験や海洋観測シミュレーション実験(OSE/OSSE)を行う。
●研究活動に必要な情報流通の整備
  • 1気候変動に与える影響の大きい海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを運用した。
  • 2海上保安庁は、我が国唯一の総合的な海洋データバンクである日本海洋データセンター(JODC)を運営し、我が国の海洋データの一元的な管理・提供や世界各国とのデータ/交換を行っている。過去に観測された海洋データの救済・発掘を呼びかけるため西太平洋海域(WESTPAC)の各国を招聘し、ワークショップを隔年毎に3回実施した。また、各国の観測データの解析能力や情報交換の均一を図るため、西太平洋海域(WESTPAC)の各国を招聘し、NEAR-GOOS/WESTPACデータ管理研修を開催し隔年毎に2回実施した。一方、西太平洋域における各国の能力向上による観測データの精度向上やデータ管理に関する新たな施策として西太平洋域国際海洋データ・情報ネットワーク(ODINWESTPAC)を立ち上げるためのパイロットプロジェクトが運営されており、このパイロットプロジェクトのコーディネーターをJODC所長が務めている。
     海上保安庁では油流出事故等が発生した際、迅速かつ的確に油防除活動を行う上で必要な沿岸域における自然的・社会的情報等をデータベース化し、沿岸海域環境保全情報の整備を図っている。平成15年4月から、Web-GIS使ったCeis Netを運用し、国、地方公共団体を対象にこれらの情報をインターネットで利用できるようにした。平成16年2月には一般からの利用も可能とした。
  • 1海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを引き続き運用する。
  • 2引き続きIODEの活動を推進するとともに、平成19年3月に調査を終えた海岸線のESI(Environmental Sensitivity Index:環境脆弱性指標)情報を順次デジタル化し、Ceis Netへ掲載するとともに、油流出現場等でインターネットが使用できない状況を勘案し、PDF版のESIマップの整備を推進する。
     また、沿岸海域環境保全情報の拡充を図る。
4.4 海洋政策全体の基盤整備の基本的考え方と推進方策 4.4.2 海洋政策全体の基盤整備の具体的な推進方策 (1)人材の育成及び理解増進 1)人材育成の推進 ●海洋にかかわる人材の育成
  • 1造船産業における人材育成を実施するため、造船産業集積地域に造船技能センターを設立し、センターを中核として座学や実技の集合研修を実施
  • 2船員教育訓練機関において、船員の資質の向上を図るため、各種シミュレータ装置の導入による実務の教育・訓練の充実、上級海技資格が円滑に取得出来る一貫教育システムを導入
  • 1我が国にとって重要な外航海運に船舶を安定的に供給する造船産業の基盤の整備を行うため、今後、技術革新の各となる優秀な人材の確保・育成を推進していく。
  • 2優秀な日本人船員の確保・育成の推進(若者の海への関心の醸成、船員志望者の裾野拡大、船員の育成・キャリアアップ・陸上海技者への転身の支援及び海事地域の振興等)のために必要な制度改正等所要の措置を講ずる。
2)市民の海洋に対する関心を高めるための施策 ●海洋に関する理解増進活動  みなとの良好な自然環境の市民による利活用を促進し、自然環境の大切さを学ぶ機会の充実を図るため、自治体やNPOなどが行う自然・社会教育活動等の場ともなる海浜等の整備を行った。  引き続き推進していく。
●市民と海洋とのふれあいの促進
  • 1青少年、社会一般に対し、海が果たす役割等に関する理解を得るための一環として、毎年、7月から12月にかけて、北海道から沖縄にいたる博物館や資料館等において、海事関係団体等を活用した「海と船の企画展」を開催している。
  • 2船員教育訓練機関において青少年等を対象とした、海洋教室、練習船の一般公開や体験航海、学校等の施設見学会、中学校・高校を訪問し、海に関する講義を行う等、海の普及啓発活動の充実を図った。
  • 3「みなとの博物館」の関係者や港湾管理者が中心となって全国の「みなとの博物館」をネットワーク化し、多彩なアイデアの結集と積極的な相互協力を図ることにより、利用者の利便性や博物館の魅力を向上させるため、「みなとの博物館ネットワーク・フォーラム」が設立(平成16年6月)。
  • 4親水性施設や海辺へのアクセスを可能とする施設の整備や砂浜を有する海岸におけるバリアフリー対策(スロープ、安全施設等の整備)を実施した。
  • 1今後も引き続き当該事業の継続を図るとともに、より一層効果的な利用の促進を検討する。
  • 2海事広報活動を戦略的かつ効率的に進めるため、海運、造船及びマリンレジャー等海事産業全体の人材確保や海事地域の発展等広い視野に立ちつつ、幅広い海事関係者と連携し、海事産業の人材確保・育成に関する基本戦略を確立し、総合的・一体的に海事思想普及・海事広報活動を実施する。
  • 3引き続き実施していく。
  • 4引き続き、親水性施設や海辺へのアクセスを可能とする施設の整備や砂浜を有する海岸におけるバリアフリー対策(スロープ、安全施設等の整備)を実施する。
(3)情報の流通 ●海洋データの収集・管理・提供の促進
  • 1気候変動に与える影響の大きい海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを運用した。また、内外船舶の海上気象観測資料を収集し、その統計を実施してきた。さらに、海洋モデル・海洋データ同化システムを開発・高精度化し、モデルアウトプットと再解析データセットの作成を行い、その精度に関して比較・検証を行うとともに、これらのデータセットの提供を開始した。
  • 2海上保安庁は、我が国唯一の総合的な海洋データバンクである日本海洋データセンター(JODC)を運営し、我が国の海洋データの一元的な管理・提供や世界各国とのデータ・情報交換を行っている。この期間に新たに収集した潮汐、波浪、定地水温、水深、海洋気象等の各種海洋データは品質管理後、ホームページで公開して研究者などのユーザーに公開した。また、過去のアナログの海洋データをデジタル化し、解析後データセットとして纏めて研究機関に配付した。
  • 1海洋情報をリアルタイムに収集し解析処理を行い、データベースに蓄積するとともに、国内外の関係機関へ提供するシステムを引き続き運用する。また、内外船舶の海上気象観測資料を収集し、その統計を引き続き実施する。さらに、海洋モデル・海洋データ同化システムを高精度化し、モデルアウトプットと再解析データセットの作成を行う。、この精度に関して比較・検証を行うとともに、これらのデータセットの提供を引き続き行う。
  • 2引き続き、日本海洋データセンターの運営を推進する。
●海洋保全に関する情報の集積・提供
  • 1海洋に関する様々な観測データを収集・整理し、その変化傾向等を評価した「海洋の健康診断表」の提供を平成17年度に開始した。
  • 2油流出事故等が発生した際、迅速かつ的確に油防除活動を行う上で必要な沿岸域における自然的・社会的情報等をデータベース化し、沿岸海域環境保全情報の整備を図っている。平成15年4月から、Web-GIS使ったCeis Netを運用し、国、地方公共団体を対象にこれらの情報をインターネットで利用できるようにした。平成16年2月には一般からの利用も可能とした。
  • 1「海洋の健康診断表」を引き続き提供することにより、海洋の環境状況を常時把握するとともに、地球温暖化予測に基づく適切な対策、海洋汚染の防止等海洋環境保全のための対策策定・実施に寄与する。
  • 2平成19年3月に調査を終えた海岸線のESI(Environmental Sensitivity Index:環境脆弱性指標)情報を順次デジタル化し、Ceis Netへ掲載するとともに、油流出現場等でインターネットが使用できない状況を勘案し、PDF版のESIマップの整備を推進する。
     また、沿岸海域環境保全情報の拡充を図る。
(4)国際的な問題への対応 ●国際共同事業への積極参加及び技術移転の推進  ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)等により、海洋のグローバルな観測網整備を目的として開始された長期的な国際共同プログラムである全球海洋観測システム(GOOS)に対してその構築に貢献してきた。また、GOOSの地域事業として北東アジア地域海洋観測システム(NEAR−GOOS)を中国、韓国およびロシアとの協力により実施してきた。さらに、全球海洋データ同化実験(GODAE)計画の国際科学運営委員(IGST)および気候の変動性と予測可能性に関する研究(CLIVAR)における海洋モデル比較実験(OMIP)の海洋モデル開発ワーキンググループ委員(WGOMD)として、国際的な研究開発プロジェクトを積極的に推進し、国内外での連携・協力体制を構築した。  GOOSの構築に対する貢献を引き続き行う。NEAR−GOOSを中国、韓国およびロシアとの協力により引き続き実施する。また、引き続き全球海洋データ同化実験(GODAE)計画の国際科学運営委員(IGST)および気候の変動性と予測可能性に関する研究(CLIVAR)における海洋モデル比較実験(OMIP)の海洋モデル開発ワーキンググループ委員(WGOMD)として、国際的な研究開発プロジェクトを積極的に推進し、国内外での連携・協力体制を構築する。