戻る

資料9−2−1

第8回  海洋開発分科会議事録


  日時 平成15年1月17日(金)10:30〜12:00
 
場所 虎ノ門パストラル「アジュール」
 
出席者
(分科会)
平分科会長、
磯部、伊藤、兼原、木下、小池、小林、近藤、佐藤、高橋、田中(彰)、橋口、平澤、堀、松田、松永、吉田 各委員

(事務局)
文部科学省:白川研究開発局長、素川審議官、吉田海洋地球課長、渡邉課長補佐
総務省:稲田技術政策課長
外務省:川真田海洋室長
農林水産省:山根水産庁企画課長
経済産業省:野口鉱物資源課長
国土交通省:昆海洋室長、小池海洋開発官
環境省:木村調整専門官

 
議題
1 平成15年度海洋開発関係経費予算案について
2 今後の検討事項について
3 海洋科学技術センターの改革について
4 その他
 
会議経過

○   平成15年度海洋開発関係経費予算案について

【吉田課長】
   資料8−3をごらんいただきたいと思います。平成15年度海洋開発関連経費予算案でございますが、資料の1ページ目は主に研究開発関係の予算案でございます。海洋科学技術関連経費予算案という形になっております。関係する省庁ごとに総額をその表にまとめさせていただいております。備考のところにそれぞれの事業名で主なものを掲げておりますけれども、これらにつきましてはまた後ほど各省庁のほうからご説明があろうかと思います。
   全体の総額をごらんいただきたいと思いますが、1枚目の下のほう、合計欄でございますけれども、単位が百万円でございますので、平成15年度の政府予算案といたしましては886億円程度ということでございまして、前年対比3.1%の伸びという形でございます。
   1枚めくっていただきましてその裏側でございますが、これはどちらかといいますと開発事業関係でございます。平成15年度海洋開発事業関係経費予算案ということで、関係する省庁はそこにあるようなことでございますけれども、これも単位は百万円でございますが、合計欄をごらんいただきますと6,969億円余という形になっておりまして、この関係では若干の減という形になっているところでございます。
   続きまして、文部科学省のこの関係の予算案についてご説明を申し上げたいと思います。
     3ページをごらんいただきたいと思いますけれども、文部科学省の海洋科学技術関連予算案の関係では事項といたしますと、まず1といたしまして海洋科学技術センターに対する国庫支出金といったものがございます。これは海洋科学技術センターが行っております各種の研究開発事業の関連の予算ということでございます。海洋調査技術開発、これは自律の無人の潜水艇をつくっていくための技術開発を進めるですとか、そのほか深海調査あるいは海洋利用、生態系の関係の研究開発を進めますとか、さまざまな観測装置を用いました海洋観測の関係の研究開発を進めるということがございます。これらについては、近年の財政事情は大変厳しいものがございますので、若干の減少がございます。
   (5)と(6)はある意味では一体でございまして、これは後ほどまた話題にもなってまいりますけれども、深海地球ドリリング計画といったものが今国際的なコラボレーションのもとに進められようとされておりますけれども、その関連の予算でございます。(5)はどちらかというと運用関係の経費でございます。(6)はドリリング計画の推進のために今現在建造を進めております地球深部探査船、「ちきゅう」というふうに命名されておりますけれども、その建造にかかる経費でございまして、ここの部分が前年対比で約20億円の増という形になっておるところでございます。なお、あわせまして、ここに掲げてございますのは平成15年度の当初予算でございますけれども、平成14年度の補正予算案、この通常国会の冒頭に出てこようかと思いますけれども、その中でもこの地球深部探査船関係の建造については105億円の補正予算が組まれておるところでございまして、全体として建造関係は170億円程度の予算を確保したという状況でございます。
   (7)は地球フロンティアあるいは地球観測フロンティア、個体地球、極限生物のフロンティアなど、海洋科学技術センターに置かれておりますいわゆるフロンティア研究組織が行います研究に必要な経費ということでございまして、これはほぼ前年同額を確保したところでございます。
   (8)は、昨年の3月からいよいよ稼働を始めまして、世界最高の性能を出した地球シミュレータというコンピューターの運用にかかわる経費でございます。この関係は、保守点検料などのいわゆる恒常的にこれから必要になってくる経費がかかってまいりますので、その分をあわせまして前年度よりも約4億円ほど海洋センターの予算としては上がっているところでございます。
   そのほか情報関係の業務ですとか、(10)のその他のところには海洋センターが保有しております船舶の運航経費などがこの中に含まれておるところでございます。
   2.のその他の海洋科学技術関連経費がございます。これは60億円余という形になっておりまして、若干の増ということでございますが、この中には文部科学省のほうで進めております人・自然・地球共生プロジェクトの関係の経費が37億円。あるいは東南海・南海地震関係の調査経費が4億円。それからODPということで、IODPの前身でございますが、今現在進んでおります深海掘削計画の国際的な分担金が3億円入っているということでございますとか、そういったもろもろの経費がここに含まれております。総額として文部科学省関係は約407億円弱という形でございまして、前年度と比べますと微減という状況でございますが、ほぼ横ばいの状態で推移しているというふうにお考えいただければと思います。
   文部科学省関係は以上でございます。

【総務省(稲田課長)】
   引き続きまして、総務省関係の予算案の概要についてご説明申し上げます。4ページをあけていただければと思います。
   総務省の予算でございますけれども、15年度の予算案は6,800万円、あと通信総合研究所の運営費交付金の内数になっているものがございます。
   1点目の海上交通システムの実現のための研究開発でございますけれども、これは船舶の衝突防止、あるいは海上物流の効率化を行うための通信システムの高度化、そういったものの研究開発を主に行っているところでございます。
   2番目のリモートセンシング技術の研究開発でございますけれども、これは電波を使いまして昼、夜、あるいはどんな天候でも観測ができる、そういった特徴がある技術を開発しておりまして、亜熱帯地球環境計測技術といたしまして、例えば雨の状況ですとか風の状況、あるいは黒潮本流がどういうふうに流れているかといった研究をやったり、高分解能3次元マイクロ波映像レーダーの研究を行いまして、例えば油汚染の状況ですとかリーフラの状況、こういったものを観測する技術の研究開発を行っているところでございます。
   以上でございます。

【農林水産省(山根課長)】
   農林水産省の15年度海洋科学技術関連予算案の概要をご説明いたします。5ページをお開きください。
   一番下の総計を見ていただきますと、121億8,700万円の14年度予算額に対し、15年度予算額は参考のところの独立行政法人のセンター交付金除きでやりますと91億円ということで30億円の減、独立行政法人のセンター交付金を含めますと2億7,000万円の減ということで、若干の減にとどまっているという全体像であります。
   4つに分かれておりますが、つくり育てる漁業の推進のところですが、最初の1番目の項目につきましては、各地の実態に即した環境調和型栽培漁業の推進に必要な種苗生産、放流手法等の技術開発調査の経費であります。
   (2)の養殖水産物ブランド化推進技術開発事業につきましては、新しいブランド種の養殖技術の開発及び産業としての定着促進、養殖生産の省力化、合理化技術の開発を目的とするものであります。
   2番目、水産資源の調査・開発・管理の欄でございます。
   (1)我が国周辺水域資源調査等推進対策事業につきましては、資源診断、動向予測、最適管理手法の検討に必要な調査等を行っております。
   (2)国際資源調査、これはマグロやサケ・マスなどの国際漁業資源の適切な管理に必要な科学調査を行うものであります。
   (3)資源管理体制・機能強化総合対策事業ですが、これにつきましては資源回復計画の作成、普及、多元的な資源管理型漁業の推進ということを目的としております。
   (4)漁獲量管理情報ネットワーク・システム管理事業ですが、これは漁獲量管理を的確に実施するため迅速な集計解析整備等を図るものであります。
   3番の海洋環境保全対策の(1)海の森づくりは、藻場、干潟などの自然再生活動等の支援を行うものです。
   (2)自然との共生プロジェクト、これもリサイクル資源等を活用し、藻場や漁場の造成等の技術開発を行うものです。
   (3)川上から川下に至る豊かで多様性のある海づくり事業、これは海の健康診断を行い、森、川、海を通じた幅広い漁場環境保全を推進するものであります。
   4番はその他の海洋科学技術関連経費として、基盤整備事業の実施が適切かどうかの調査を行うもの等を計上しております。
   その次のページにいきまして、海洋開発事業関係経費につきましては、また合計の欄を見ていただきますと、2,255億円の前年度予算に対し2,155億円ということで、約100億円の減ということになっております。そのうち大宗を占めるものは1の水産関係公共事業経費であります。基盤整備、海岸、災害復旧、それぞれ所要の額を計上しております。総額は2,025億円ということで、大部分を占めております。
   2番目の栽培漁業の振興は、まず(1)ブランド水産物資源増大実証事業及び環境修復型の栽培漁業推進事業ということで、一昨年の6月に水産基本法という法律ができ、昨年の3月に水産基本計画というものが閣議決定されておりますが、それらを踏まえ、漁港・漁場・漁村の一体的かつ合理的な整備を進めるという中で、とりわけブランド水産物について、放流効果の実証や地域特有の食文化等に関するPR等により栽培漁業を振興していこうというものであります。
   3番目の養殖業の推進につきましては、同じくブランド化を推進するための基礎調査、漁場改善計画の普及対策、機器の整備等を推進するものであります。
   4番目の漁業構造の改善と漁村の活性化、ここでは特に(1)の高度衛生管理型水産物供給施設モデル整備事業として、漁業生産活動の各段階における衛生管理を進めるために必要な施設の整備を進めるということであります。
   その他のところにありますように、さけ・ます資源の管理と効率的放流事業、あるいは基幹的な流通加工施設の整備等を実施するということで、合計2,155億円計上しております。
   以上です。

【経済産業省(野口課長)】
   経済産業省でございます。7ページ目、8ページ目に予算がございます。私どもの予算は大きく3つに分かれておりまして、海洋のメタル関係の鉱物資源に関するもの、それから7ページ目の真ん中ぐらいにあります海洋石油天然ガス、こうしたものに関する部分、次のページの8ページ目はその他の個別の海洋関連の技術開発ですとか淡水化、環境関連、こういったものでございます。
   もとに戻りまして全体像でございますが、総額でいいますと、14年度が142億円から15年度199億円に、57億円の増額というふうになっております。
   先ほど3つ申しました最初の2つについて若干触れさせていただきます。
   1つはメタル関係の鉱物資源でございますが、これは海底にコバルトリッチクラフトですとか、海底熱水鉱床といった新しいタイプの鉱床の存在が見つかっているわけでございますが、そうしたものに対する調査でございます。
   2番目の石油天然ガスでございますが、この総額を見ていただきますと、110億円から173億円と62億円の増額、全体で57億円でございますので、その増額はこの石油天然ガスの増額であるということでございます。
   その中でも特に今回増額いたしましたのは、メタンハイドレート関連の予算でございます。これが55億円から100億円に45億円増加しております。メタンハイドレートと申しますのは、海底に低温、高圧の環境下で、氷の中にメタンがトラップされているような、それがシャーベット状になってあるわけでございますが、そういったものの資源の関連予算でございます。1つは存在がどのぐらいあるかという意味での基礎調査の部分と、もう1つはそれを取り出すための技術開発の予算でございます。100億円のうち45億円がそういった賦存の関係でございます。それから、次のページの一番上にありますように、メタンハイドレート開発促進事業55億円ということで、あわせて100億円ということでございます。
   以上でございます。

【国土交通省(昆室長)】
   続きまして国土交通省でございます。資料の10ページと11ページでございますが、10ページのほうは海洋科学技術関連予算でございまして、総額につきましては一番下の欄にございますように179億3,100万円ということで、対前年で3,500万円、0.2%の増でございます。なお、これに加えまして、今年度の補正におきまして4億8,600万円がございます。
   11ページの海洋開発事業関連経費につきましては、総額で4,814億5,400万円でございまして、対前年比66億8,000万円、1.4%の増でございます。
   内訳でございますが、10ページにお戻りいただきまして、1の国土関連につきましては、地方公共団体が中心となって作成いたします沿岸域圏総合管理計画の策定の支援等の経費でございまして、3,700万円でございます。
   2は後ほどご説明いたしますので、先に3の交通政策関連でございます。これにつきましては、また資料が前後して恐縮でございますが、一番初めの1ページ目の国土交通省の欄の備考のところに項目が列記されてございますが、主なものを申し上げますと、中ほどにございます次世代内航船(スーパーエコシップ)の研究開発、これは環境負荷の低減ですとか、エネルギーの消費効率の向上を実現させるような次世代の内航船の開発を行うものでございまして、金額といたしましては3億2,600万円でございます。
   同じところでITを活用した次世代海上交通システム、これはITを活用いたしまして海上交通の安全性の向上、あるいは物流の効率化を図っていこうとするものでございまして、金額といたしましては1億4,500万円でございます。
   同じく水路業務運営経費というのがございますが、この中で国連海洋法条約に基づきます大陸棚の確定のための調査を行っておりまして、そのための経費もこの中に含まれてございます。

【国土交通省(小池海洋開発官)】
   10ページに戻っていただきまして、2番の社会資本整備関連のご説明をさせていただきたいと思います。11ページ目のほうが社会資本関連の科学技術関連予算でございます。
   1番として沿岸海域の基礎調査ということでございまして、測地関係の予算でございます。
   2番、3番の海岸事業調査費、行政部費でございますが、この中では地球温暖化の問題に対しまして、海面上昇とか気候変動の影響を踏まえまして、国土保全施策の調査・検討を行う経費が含まれてございます。また、海砂の採取の現況調査をしまして、その採取にかかる技術基準を検討するような経費につきましてもこの中に含まれているということでございまして、2番につきましては前年比微減という状況でございます。
   11ページの2番でございますが、これは海洋開発関係の社会資本関連予算でございます。全体で対前年約4%の減という状況になってございます。海岸保全施設整備事業や海岸整備事業の中におきましては、地域の文化資源の保全や景観に配慮しました海岸保全施設の整備を目的とした事業内容とか、それからハード、ソフトの両面で津波、高潮対策を行うという評価事業、また海辺の動植物と自然環境の保全・再生を図りながら自然再生型の事業の推進等も含めて事業を進めていくということになってございます。
   以上でございます。

【環境省(木村専門官)】
   環境省でございます。資料の12ページをごらんいただきたいと思います。平成15年度の環境省の海洋科学技術関連予算案でございますけれども、総額で9億2,100万円ということになってございます。ここの数字につきましては競争的資金、独立行政法人の運営費交付金は除外してございます。
   内訳についてでございますけれども、初めに1番目、水質汚濁防止対策に必要な経費ということでございますけれども、これにつきましては有明海の水質保全対策ということで、有明海の環境変化の原因究明や対応策を検討するための水質、底質、底生生物等の調査を行うもの。それから、水質環境基準検討調査費ということで、水質汚濁にかかる環境基準が設定されている項目について必要な調査・検討を行うというものが入ってございます。
   地球環境保全対策に必要な経費でございますけれども、これにつきまして主なものといたしましては海洋環境のモニタリング推進調査ということで、陸上、海上起因の汚染物質の影響、海洋汚染の状況等を確認するために総合的かつ系統的なモニタリングを実施しまして、地球規模の環境問題による海洋環境への影響を把握するというもの。北西太平洋地域海計画活動推進費ということで、北西太平洋地域海行動計画を推進するため衛星データの受信解析システムを整備する。それから、河川等からの日本海への環境負荷を把握するためのモニタリング方法の確立を行う。そういった調査をやっているものでございます。
   3番目の自然環境保全対策に必要な経費関連でございますけれども、主なものといたしましては浅海域生態系調査ということで、浅海域のうち干潟、藻場等の生態系につきまして生物層や主要な種の現存量の把握等を行いまして、重要な浅海域生態系特定のための基礎的資料とするものでございます。
   4番目、公害防止等調査研究費関連ということでございますけれども、主なものといたしましては自然を活用した水環境改善実証事業の評価、検討調査ということで、人工的に再生した藻場、干潟の周辺部も含めた水質、底質等のモニタリング調査を実施し、水質改善効果についての定量評価を行う。このようなものがございます。
   5番目、地球環境保全等試験研究費でございますけれども、こちらは関係各省の公害防止関連の試験研究費を環境省に一括して計上するものでありまして、これを各省の独立行政法人になりました研究機関等に配分しているものでございます。主なものといたしましては微生物による流出油漂着海岸の環境修復技術に関する研究でございますとか、海の砂利資源採取による広域的環境影響評価と管理に関する研究、こういうものがございます。
   6番目でございますけれども、地球環境研究総合推進費ということで、地球環境関連の競争的資金でございます。主な研究課題といたしましては、太平洋域の人為起源二酸化炭素の海洋吸収量解明に関する研究でございますとか、陸域由来の環境負荷変動に対する東シナ海の物質循環応答に関する研究、このようなものがございます。
   7番目、環境技術開発等推進費でございますけれども、これも競争的資金でございます。主なものといたしましては、閉鎖性海域における最適環境修復技術のパッケージ化というような研究テーマがございます。
   8番目、独立行政法人国立環境研究所運営費交付金でございます。このうちの一部が海洋関係の研究も行っているところでございます。
   以上でございます。

【平分科会長】
   ありがとうございました。これで関係の省庁のご説明が終わりました。ここでご質疑ございますか。厳しい予算の中で科学技術ということで、全体としてはすぐには出せないんですが、大体前年並みということでしょうか。あるいは費目によっては伸びたものもございます。それでは、よろしいでしょうか。個別の項目の質疑をする時間がございませんので、特にご発言がなければ次に移らせていただきます。
   それでは、次の議題でございますが、議題の2は今後の検討事項についてということでございます。これも事務局から最初にご説明をお願いいたします。

○   今後の検討事項について

【吉田課長】
   資料8−4をごらんいただきたいと存じます。昨年8月に答申が取りまとめられたわけでございますけれども、この分科会といたしましては、その答申の実施状況について適宜フォローアップを行っていくという形になっております。答申で掲げられましたさまざまな指摘の中で、事務局側といたしますと、次のような事項につきまして早期に委員会を設置し、具体的な検討を始めてはどうだろうかということでございまして、今回は2つにつきましてご提案申し上げたいと思っております。
   1つは、海洋研究船の有効活用についてということでございます。その中ほどに8月の答申の関連部分の抜粋がございます。そこに船舶の有効活用の推進という項目がございまして、真ん中あたり、「このため」というところからでございますが、「このため、今後、海洋の調査研究を行うための船舶の充実を図るとともに、各大学等の研究機関が所有する海洋調査・研究船の運用をより効率的に行う体制を整備する等、船舶の有効活用を図るためのシステムや体制整備について検討することが重要である」といったご指摘をいただいているわけでございます。
   この後、議題3のほうで、海洋科学技術センターの改革という観点で、東京大学海洋研究所が保有しております研究船を海洋センターを受け継ぎます新しい特別行政法人に移管し、そこで一元的に運航をしていくということについて報告させていただきますけれども、これもこの流れに関連するものだというふうに受けとめておりますが、ただこれだけではないだろうと思っておりまして、もう少し広い見地から今後我が国の海洋研究を進めるための基盤でございますので、この研究船についてどういった形で運用していくのか。あるいは船も当然のことながら、寿命がまいりますと新しい船をつくらなければいけないということも出てまいりますから、そういった新しい船の建造ということも含めまして、さまざまな観点から検討をしていく必要があるのではなかろうかと思っております。そのために、この事項を検討いたします委員会等の組織を設けていただいてはいかがだろうかというふうに考えておるところでございます。
   もう1つは統合国際深海掘削計画、IODPというふうに略称しております。これは今日お配りいたしました「OD21深海地球ドリリング計画」というタイトルのパンフレットがございますけれども、ここに説明をされておりますようなものでございますが、8−4の資料をごらんいただきますと、IODPは、これまでODPというものが走っております、今現在もまだ走っておりますけれども、これを受け継ぎまして、今年の10月に開始するということを今目標に準備を進めているものでございます。日本とアメリカが中心となりまして、日本とアメリカがそれぞれ保有する掘削船を使って地球の深部を掘削して、さまざまな科学的な知見を得ていこうというものでございます。
   先ほど概算要求の状況につきましてご説明させていただきましたけれども、その中でもこの関連の経費は相当多額のものが支出されてまいります。今、「ちきゅう」という船の建造を進めておりますけれども、これも総額といたしますと約600億円ぐらいかかる船でございますし、また「ちきゅう」もアメリカの船も両方あわせましてフルにこのプログラムが動き出しますと、これは国際的ないろんな資金も含めて年間約180億円程度の運用経費が必要になってくるといった、ある意味では非常に壮大な計画ということでもございます。その際に日本としてIODPに参加し、これを推進していく際に、さまざまな観点からいろいろとご審議、ご検討をいただきたいということを考えておりまして、そういった意味では先ほど申し上げましたこの10月にスタートしてまいりますので、その前あたりからこのIODPの推進方策につきまして審議をいただきます委員会などの組織を設置していただければありがたいと考えております。
   2枚目のところに、これも8月の答申に海底下の領域ということでIODPの計画について触れられております。
   以上でございます。

【平分科会長】
   ありがとうございました。これは8月の答申の内容等がもとになっております。今、2つのことが出ていますが、出ていることについてまず最初に議論していきたいと思います。海洋研究船の有効活用ということでございますが、これについてここにあるような事情がございまして、今のところ、昭和37年以降、東大海洋研が運航しておりました2隻の白鳳丸、淡青丸を新しいセンターに移管するということを伺っております。
   ご意見、ご質問等ございますか。

【小池委員】
   この船舶の有効利用の推進に関してなんですけれども、今まで海洋の研究のかなりの部分は大学が担ってきたわけですけれども、大学が持っている船というのはいわゆる行政的なあれからいくと2通りあって、1つは「練習船」という名前になっていて、もう一つは「研究船」という名前になっていて、ただ実際に東大の海洋研の船だけは研究船というカテゴリーになっていて、残りは全部練習船ということになっているわけです。
   全国に東京水産大学、北大、鹿児島大学、長崎大学、あと幾つかありますけれども、練習船という名前での船舶があって、それが実際に海洋の研究に非常に貢献してきたわけです。例えば北大の持っております「おしょろ丸」というのは毎年北太平洋、ベーリング海に航海を行っていて、もちろんそれは学生実習を兼ねているわけですけれども、ずうっと貴重なデータをとり続けてきている。そういう大学の持っている船をこの先どういうふうに研究、教育に使っていくかということもできたらこれとあわせて議論していただきたい。
   実は海洋研の船も今、例えば海洋研の船は白鳳丸という大きなほうは35人乗れますけれども、そのうちほとんどの航海は20人は大学院の学生です。ですから、学生を教育しながら研究をやっているというのが大学の船の実情です。ですから、その意味で研究と大学、特に大学院教育というのは切っても切り離せないので、その辺も含めてこの先どういうふうにそれを充実していくかということを議論していただければありがたいと思います。

【平分科会長】
   ありがとうございました。実は今の練習船も、私が今年最初に書いた文章が、鹿児島大学の練習船「敬天丸」が3月31日で廃船になるということで、1975年以来私どもの共同研究に使用させていただいた船のお別れの言葉だったので、もう一つほかにも今の中では広島大学とか、三重大学とか、それぞれ特徴のある研究を行っているところにも練習船というか、こちらのほうは実習船という性格だと思いますが、そういうのもございます。
   ほかにご意見ございますか。

【小林委員】
   意見というより教えていただきたいところもあるんですが、海洋研究船の有効活用についてというところと、次の議題の海洋科学技術センターをどういうふうにするかという、東京大学の持っている船をどう使うかということにもオーバーラップしてくるんじゃないかと思うんですが、その辺は8−5−1の3の(1)の研究船のことともかかわってくるように思うんです。その辺はどういうふうに意見の集約とか、資料とかをしたらよろしいのかというのがわかりません。それが1つ。
   それから、今、小池委員のほうからご発言がありましたけれども、私どもこれを検討するのに、例えば海洋研究船がどれほどあって、どういう活動をして、だれでも乗りたい人は乗れるのか、希望したら乗れるのか、そういったこともわからないと、具体的にどういうふうに有効に活用したらよろしいかということが私には見えてこないところがあります。ほかのご専門の方はその辺はよくわかっていらっしゃるのかもしれません。ただ、今の小池委員のご発言を伺いまして、研究定員35人のところに学生が20人乗ってしまうと、実際研究したい人は15人しか乗れない。しかもほかの学校の研究船といいますか、練習船が減船という状況もあって、多分、代船の計画がないからなくなってしまって、さようならというのをお書きになったのではないかと思うんですが、そういう現状ある研究船をどういうふうにフォローするか、年限が来たら新しい船はどうするのかという、こういう足元の研究者を育てるための船ということにもうちょっと光をきちっと当てて、わかりやすくみんなで検討できたらいいと思います。
   先ほど新しい計画について事務局のほうからご説明いただきました。船体600億円、年間行使に180億円という膨大な費用でございます。ただ、そういう地球規模の華々しいキャッチフレーズがある一方で、地道に研究者を育てる、キャッチフレーズにならないような非常に地味な研究にあまり光が当てられてないような印象を受けました。これは印象ですから、具体的にどうかはわかりません。教えていただきたいと思います。
   私は一番大事だと思うのは、足元の学生、研究者、一般の人々に自分たちの海をきちんと理解してもらう、興味を持ってもらう、ちゃんと解明してもらうということが一番大事なことではないかと思うんです。それがあればそれをもとにして、海は世界中につながっていますから、いろんな形でいろいろな分野で研究をして、私たちの現在の生活とこれからの未来のあり方というものをきちんと研究として見ていくことができるのではないかと思います。海洋に必要なのはそういう視点ではないかと思います。ですから、ぜひ学校の地道な研究についても、現状を知って、その上で有効活用をどうするかということをほんとうにきちんと論じることができればいいなと思っております。これは希望とお願いでございます。ありがとうございました。

【平分科会長】
   ありがとうございました。ちょっと説明不足で申しわけございません。研究船というカテゴリーの船については、「学生」と言っているのは大学院生以上の学生が研究のためにということで、教官とともに研究をする。そして、それを支えているのが例えば日本海洋学会等がありまして、2,200人ぐらいの学会員がいて、その3分の1ぐらいは大学関係で、みんなそういう需要になっているわけです。
   ここでの有効活用というのは、船による研究の、要するに運航日数が少ないので、それをぜひ増やしていくような方向もその一つとして考えております。
   それから、「練習船」と言ったのは、これは学部学生の実習のための船が主でございますが、先ほど例えば鹿児島大学水産学部の船で水産実習のほかにあわせて共同研究も行うということで、海洋研究に非常に大きな貢献をしてまいりました。
   多分、今の小林委員のほうからの、例えば水産学部以外の学生の人が一般に乗るというのも非常に難しいし、研究船には大学院生以外の学部学生が乗りたいと言われても今までは難しかったという点は、そういう面では実現しておりません。それに関しましては、海洋科学技術センターが高校生あるいは小学生も含めて体験航海をしていただく等の活動を行っていました。私は海洋研にいたので申し上げますと、とめておいて、皆さんに見ていただくということは十分にやりましたけれども、実際に走っている船でのそういう経験はございません。
   何か小池先生、補足はございますか。

【小池委員】
   1点、その利用に関しての補足ですけれども、東大の海洋研究所は全国の共同利用ということで、その趣旨は非常に高価なハードを全国の研究者あるいは大学院学生に使ってもらうということで、今、平会長のほうから話が出ましたように、応募できる資格は研究機関に属していらっしゃる方あるいは大学院の学生で、いわゆる営利を目的とした会社等の方の乗船は今のところお断りしている。これは全国の共同利用というシステムが一応学術研究をサポートするという形で動いておりますので、その辺のところの大もとは多分この後も変えられないのではないか。ただ、私は、学部の学生も場合によっては今後乗せてもいいのではないかと思っておりますけれども、この辺のところは今後の議論です。

【平分科会長】
   ありがとうございました。もう一つの小林委員のご指摘の件は、資料8−5−1、8−5−2でもう一度これを取り上げますけれども、この海洋研究船について今ここでご発言ございますか。
   なければ時間の制約で次のIODPについてでありますが、せっかくのご専門の木下先生がおられますので、突然、指名して申しわけないんですが、ちょっとご意見と、それから「ちきゅう」の建造状況と見通し等についてお願いいたします。

【木下委員】
   わかりました。本委員会の委員の先生方の何名かの皆様には随分いろいろお世話になっておりまして、ただいま現在進行中の問題についていろいろご提言をいただいているところでございます。
   お手元にお配りいただきました冊子のうちの「OD21」という表紙のついたものをごらんいただきたいんですが、1ページ目の見開きの左側ですけれども、この掘削船は石油業界を除いては世界一の掘削能力を持つ船として設計されております。海水面から延べにして13キロメートルまでドリリング用のツールをおろすことができます。それから、2,500メートルの深さまでは暴噴、あるいはいろいろな事件が起こる可能性がありますが、それを押さえ込むだけの能力を持たせてございます。例えば石油が漏れてくるような、ガスが暴噴するような、あるいは高圧水が流出するような場合でございますが、そういうものを防ぐ、ライザーシステムと申しますが、そういうものを備えております。
   次の見開きページをごらんいただきたいんですが、本船は科学目的を中心とする研究活動に使われるものという国際的な約束でただいま建造が進められておりますが、この下の漫画にございますように、まず地球の中で起こっているいろいろなダイナミックスを調べたい、そのダイナミックスの結果起こる地震の発生のようなことも調べたいという大きな目的がございます。
   それから、左のほうにサブダクションファクトリーなどと書いてありますが、これは科学者にしか通用しない言葉でございまして、翻訳いたしますと、この辺には生物のもとになるいろいろなものが住んでおります。生命の発生の源、あるいはメタンハイドレートのようなものもこういうところからしばしば発生いたします。あるいは地震が起こるということは地殻が破壊することでございます。
   それから、その後ろに火山というような富士山あるいは三原山、日本にたくさんある火山の活動のもとでもございます。まん真ん中にあるハワイのようなものがどうしてできるのかとか、それからさらに右のほうにいきまして、その左の上の図にございますが、太平洋の真ん中に赤い点々で書いてある割れ目がありますが、こんなものがなぜできるのか。
   あるいはその右の上のほうに幾つか写真がインサートされておりますが、こういうところではどうも生命が生まれている現場があるらしいということで、極限環境の生物群の研究に使いましょうということです。それから、先ほど経産省のご説明にございましたように、メタンハイドレートの研究をしましょう。右側の図に燃える氷と書いてございますが、まさにこんな色をした物体が海底の下から上がってまいりまして、これは将来、膨大なエネルギー源になるであろうという推計が行われております。我々はこの性格を調べるところまでやるんですが、産業化を試みるのは経産省以下の皆様のお仕事だろうと推察いたします。
   この船は国際的な仕組みの中で動きますが、一番最後のページ、裏側になりますが、アメリカが提供する左側の船、それから日本が提供する右側の船、性能が左側の船は単なる裸掘りで、右側の船は先ほど言った危険防止のためのライザーシステムを持った船で、この間の空白にヨーロッパから出てくるであろうというほかのタイプの船も想定されておりますが、現在のところ明確に意思を表示しておりますのは、この2隻の船と日本とアメリカという2つの国が中心で動いております。
   左の線表でございますが、この計画は1999年に当時の科学技術庁で建設が認められまして、その後、現在に至っておりますが、現在どこまで進んでおりますかと申しますと、右側の小さい図の中に日本の船がやぐらをかついで浮いておりますが、このやぐらを除く部分は今ほとんどでき上がりまして、三井造船の玉野事業所で今最後の部分の仕上げをやっておりますが、それが終わりますと上のやぐらを建設するために長崎の三菱重工のドックに回航されまして、そこで最後の仕上げをするという状況でございます。
   それから、国際的には、先ほど最初にも説明がございましたように、2003年10月1日をもって現在のODPからIODPという、インテグレイテッド、・オーシャン・ドリリング・プログラムという新しい衣を着た国際計画として発足し直すわけでございますが、この右側にある2隻の船が投入されるのは早くても2004年から2006年。ここの右の図に完成と書いてありますが、メカニカルには完成するんですが、あと慣熟訓練その他いろいろ前準備がございますから、この2隻の船の国際運航が開始されるのは経済状況がよくなれば2006年と期待しておりますが、今の状況ですと2007年が国際運航の開始ということになっております。
   1つつけ忘れましたが、ツールのお話ばかりしましたので。小林委員の質問の内容にお答えしますが、この運航はもちろん会社がノンプロフィットカンパニーとしてやるんですが、乗る科学者については、国際的なプロポーザルを受けまして能力のある方ならば、要するに何かそれによって経済効果を発揮しようなどというもうけ話は別にしまして、科学的な研究目的であれば大学院であろうと、企業の方であろうと、石油業界であろうと全部門戸を開いております。
   以上でございます。

【平分科会長】
   ありがとうございました。IODPというのは、その前のODPというのが1970年ごろからですから、非常に長い歴史のある深海掘削計画で、その発展の上に我が国のコントリビューションで非常に強力な計画になるということですが、ここでご意見ございますか。

【小林委員】
   今のご説明と関連するのですが、運航はNPOが行うというふうに、これは運航の団体ができているんでしょうかということが1つです。できていますか。

【木下委員】
   はい。

【小林委員】
   その場合、運航する船員について気になっていることがあるんですが、最近の日本の外航船約2,000隻のうち、ほとんどが外国人船員によって運航されている船なんです。この場合は乗組員は日本人船員ということに当然なるわけですよね。それをとても心配しています。いわゆる経費の面から、人件費が3分の1になるからといってFOCのような形になってしまうのではないかと懸念を持っております。それが1つです。
   それから、これは研究テーマについては、オープンでアプライしてきた人たちを選定して、お乗せになるというふうにおっしゃっていましたが、1つはだれがどういう形でそれを選考するかというのがちょっと気になります。
   それともう一つ、企業の方もお乗せになるということでしたが、これは税金を投入してつくった船ですので、そこで研究した研究成果、情報はどういう形で私たちが共有できるんでしょうか。そういうシステムはきちんとできているんでしょうか。企業が乗った場合、当然、自分の利益のために企業というのは動くものですから、それはそこだけのものになってしまってということもちょっと気になります。もちろん研究というのは、研究された方がきちんと成果を発表なさるまでは研究グループがいろいろなさることだと思いますが、その結果は社会に還元されて、みんなが共有できる知識に、情報として共有できるものではないかと思うんです。ですから、そのあたりのシステムはきちんと構築されているのかどうか、各分野の人が決定段階に入れるのかどうかということがちょっと気になりました。あまり細かいところに入り込んでしまっているようでしたら、これはまた別の機会と思いますが、今のご説明でちょっと気になったのでお聞きいたしました。その辺、整理してくださって結構です。

【平分科会長】
   じゃ、手短にお願いします。時間がありませんので。

【木下委員】
   まず、運航形態でございますが、船員は基本的には日本人でございますが、船に乗るグループに船を運航するグループ、掘削に携わるグループ、研究に携わるグループと3種類ございます。簡単なほうから申しますと、研究に携わるグループはインターナショナルカラーで、全く識別なしということです。掘削にかかわるグループとなりますと、日本じゅう人をかき集めようとしてもそれほど手がないものですから、これはある部分は外国の方にお願いせざるを得ないのかなというふうに今考えております。それから、運航につきましては、これは要するにパイロットグループですが、主として日本の船員を使うというふうに運航会社さんでは考えておるようです。

【小林委員】
   会社?

【木下委員】
   ええ。ノンプロフィットカンパニーですけれども、一応会社という形をとります。

【小林委員】
   私は日本人なのかどうかということが聞きたいんです。主としてと言った場合、とてもあいまいになってしまうんです。

【木下委員】
   主としてオフィサークラスは日本人でなくては船が動きませんから。それから、これから外国に出て、この船は何年も帰ってこない可能性がありますから、場合によってはその場に応じていろいろな組み合わせが考えられるわけですが、まだ最終決定はしておりません。
   それから、研究成果のオープンネスについてですが、あるプログラムの掘削の事業が終わってから1年ないし2年以降においては、すべてオープンにするという約束で動いております。
   それから、そこに乗る先生方あるいは研究者のセレクションですが、これは国際的な委員会をつくりまして、その委員会をもって選定を行うということになっておりまして、この委員会は主として大学の研究者及び企業から送られてくる研究者集団の委員会ということに定義されております。その委員会はすべてボランタリーベースで活動するということにもなっております。

【小林委員】
   私が懸念していますのは、運航は主として日本人というところは、これは元運輸省の方も大変興味をお持ちかもしれませんが、主としてというよりも、私は日本人乗組員がこの船を運航するというふうにきちんと定義していただきたいと思うんです。なぜかといいますと、昨年来FOCがとっても事故を起こしていまして、タジマという船、日本郵船の持っているFOCですが、混乗船で殺人事件も起きたりしています。これはまだ未解決です。というのは、パナマで現在、裁判が進行中ですから。日本の姫路の港に入ったのに1カ月間も何にもできないで、そのまま犯人が市民のいわゆる官憲の手ではなくて、船の上にいたという異常事態もあったわけです。
   ですから、これは税金でつくった日本の船ということですから、運航経費も莫大な経費が計上されております。これはぜひ死にかけている日本人船員というのをきちんと、技術の伝承をする意味からも日本人船員が運航するというふうに明確に運航規定の中に入れていただきたいと思います。そういう海洋技術の伝承がなければあらゆる意味での海洋科学技術というのは根づかないし、今後、育っていかないと思います。これはとても大事なことですので、その辺はぜひご配慮いただきたいというふうに強く要望しておきます。ありがとうございます。

【平分科会長】
   ありがとうございました。じゃ、これはこの委員会等ができたときにも当然出てくる問題だと思いますが、特になければ。
   ここに挙げました2つのことは今後の検討事項で、早期に委員会を設置して審議を開始するというアクションのことでございますが、お手元に「21世紀初頭における日本の海洋政策」というのがございまして、この裏表紙の最後のところに、海洋政策にかかわる各省庁間の連携をさらに深めるため、省庁連絡会議を活用するとともに、海洋政策の企画・立案システムについてこの分科会で議論を重ねていきますということが書いてございますが、これのフォローアップについて吉田課長からちょっとだけお願いいたします。

【吉田課長】
   今、ごらんいただきました点は、答申をまとめる際にも相当の時間を割いて議論していただきました。その答申におきましては、今、会長のほうからご紹介がありましたように、現在の海洋開発関係省庁連絡会議の役割を拡大するシステムのほか、行政府の中に新しい組織を設置するという提案も踏まえまして、今後、この分科会において議論を重ねることが重要であると。こういったご指摘になっておりました。
   答申の後に、私どものほうでまず海洋開発関係省庁連絡会議の活性化ということについて関係の省庁と相談の上、昨年8月20日に連絡会議の申し合わせということで、まずは連絡会議の開催頻度の増加並びにそこで行います審議事項の整理といったものを行っております。7月には概算要求ということをにらんで各省庁の施策の調整を図る。それから、1月には各省庁の予算案の結果を踏まえまして、今度は次年度において連携方策などがどうだろうかという段階の議論をしていこうという形で、この全体の連絡会議の議論を活発にしようということに加えましてもう一つは、それぞれ個別テーマの関係で省庁が連絡できる事項については個別の部会を設けまして、そこで検討していこうということを定めました。まだ具体にその設置にまで至っておりませんけれども、例えば海洋に関する理解増進のことですとか、そういった各省庁が横断的な事柄について力を合わせて、できる事柄についてはこの部会などを通じて政策をつくっていこうではないかという形で今準備を進めているところでございます。
   そのようなことで、省庁連絡会議については今のようなことを行いましたけれども、もう一つの行政府の中に新しい組織を設置する提案といったものもございまして、それについてどうするかということでございますが、まだ具体に先ほど来ご検討いただいております委員会というところまで成熟していないのでございますけれども、まずその前に先行する諸外国の行政組織の実態をきちんと調べて、それをもとにしてこの分科会の中でまたご議論いただくのが適切ではなかろうかと考えておりまして、今、その調査のための準備を進めているという状況でございます。

【平分科会長】
   ありがとうございました。それでは、この項目全体について最後に一言だけコメントございますか。

【田中(彰)委員】
   海洋を利用するという場合に、使用するとか、それを活用する権利を国から付与されていると思うんですけれども、その付与された権利が十分に活用されて、活発に活動しているかというのが一つあるのかなと思っています。要するに海洋における利用、活動が活発化しなければ海に対する親しみもわきませんので、与えられた使用権、許可権ですか、そういったものの活用の実態、その活性化も何か折があれば見ていただきたいと思います。これはお願いだけでございます。

【小林委員】
   予算の関連のことなんですが、漁業と国交省と両方とも関連するところで、環境省が今回入ってきていまして、例えば水産関係の公共事業であるとか、元運輸省のものであるとか、元建設省の海岸保全のものであるとか、いろんな予算がオーバーラップしているんですが、その中でお互いに相矛盾するような使われ方、あるいは実際の運用のされ方というのが現場の海では起きているわけです。したがいまして、それをどういうふうに交通整理するかということで、環境省が交通整理をきちんとして、リーダーシップをとってやっていただけるような海洋保全、それから今後使っていくためのもの、そういう道筋をつくってほしいなと思います。
   それと、漁業のところで栽培漁業のブランド化というのが盛んに書かれておりますけれども、これはいわゆる狂牛病問題のときに肉のブランドの問題というのが出てきまして、偽装工作がかなり大規模に行われているということも発覚いたしましたので、魚のブランド化というよりは、むしろ栽培漁業に関しては安全性のチェック、それからできるだけ自然えさを使って自然のものであるという、いわゆる安全性に重点を置いた栽培漁業をしていただきたいと思うんです。ブランド名ばかりが先行してしまいますと、売るためのものということで、同じようなことが起きてしまうのかなと思ってちょっと気にしております。   その点をとりあえず申し上げます。ありがとうございました。

【平分科会長】
   ありがとうございました。ほんとうに申しわけございませんが、時間の都合で、次の議題、海洋科学技術センターに関する組織形態に関する改革案ということで資料8−5−1がありますが、事務局から手短にお願いいたします。

○   海洋科学技術センターの改革について

【吉田課長】
   先ほどの海洋研究船の有効活用ともかかわる話でございますけれども、海洋科学技術センターは特殊法人等整理合理化計画の中で、その箱にありますような形で閣議決定がなされております。国立大学の改革の動向を踏まえて、関連する大学共同利用機関等との統合の方向で見直すという形になっております。この閣議決定では具体的な方向性は示されておりませんでしたので、私どもとしてはこの趣旨に沿いながら適切な改革方策を検討してまいりました。先ほどのような答申の有効活用といったご指摘も踏まえながら、私どもとしてたどり着いた結論がその改革案として出ているものでございます。
   海洋科学技術センターは一度解散いたしますけれども、その組織と、そして先ほどご紹介いたしましたけれども、東京大学海洋研究所の組織の一部、これは研究船2隻とその運航組織でございますから、いわゆる海事職の職員の方がこれにくっついておりますけれども、船と船員を含めまして新しい独立行政法人に統合していくというものでございます。この新法人は、大学を含めた我が国全体の海洋研究の推進のために、既存の海洋研究船等とともに一元的な管理・運航を行うというものでございます。
   趣旨のところの東大海洋研の研究船、運航組織の現状については、先ほど小池委員のほうからご紹介もあったわけでございまして、共同利用に供されております。船の規模はそこにありますような2隻で、4,000トン、600トン級というものがございます。それから3で、研究船の運航のために、これは定員ベースでございますけれども、64名の乗組員が配置されております。ただ、予算上の制約などもございまして、運航日数は年間180日程度に今とどまっている状況でございます。
   今回のこの改革によりまして私どもがねらいとしておりますものは、1つは大学と研究開発法人との垣根を越えて海洋研究に関する共同推進体制をつくってまいりたいということがございます。
   それから2は、これは答申ともかかわってまいりますけれども、海洋研究船の安定的な基盤をつくっていきたいということでございます。
   それから、一元的あるいは効率的な運航体制を構築することによりまして運航日数の増加、これは目標といたしますと、現在180日程度のものを300日程度に増加させてまいりたいと考えておりまして、そのことに伴いまして観測海域も拡大することができようかと思いますし、また重点的に観測を行うという、そういった研究方法にも新しい地平が開けてくるのではなかろうかと思います。
   なお、これは従来、大学、研究者の共同利用ということで、海洋研を中心に研究者の自主的・自発性にのっとった運航計画が策定されて、それに基づいて運航が行われてきたという実績がございますので、その点については最大限これを尊重した形で運航を行う必要があるだろうと思っているところでございます。
   この改革につきましての時期でございますが、この研究船の移管によって新しい法人をつくるということについては平成16年4月1日を予定しておりまして、この20日から始まることが予定されております通常国会に関係の法案を提出したいと考えております。
   2枚目は今申し上げましたようなことを少し図で示したわけでございます。大学と研究開発法人を共通の基盤として、新しい法人が一体としてこの研究船等を運航していくというものでございます。
   3枚目は今現在の海洋科学技術センターの概要でございます。これは省略させていただきます。
   以上でございます。

【小池委員】
   今、ご説明のあった2ページ目のイメージ図ですけれども、この後のほうは新法人、東大海洋研となっていて、下のほうに研究船、潜水船の運航と書いてあります。それで、新法人はいわゆる政策の目的に沿った研究開発にも船を使う、あとボトムアップの研究にも使うというふうに私どもは聞いておりますけれども、白鳳丸、淡青丸に関しては100%いわゆる大学のボトムアップの研究に使うというふうに了解しておりますので、この一元的な書き方は私としてはどうも理解できない。

【吉田課長】
   一元的というのは、海洋センターが従来持っている船とあわせて管理しますよということなんですけれども、それぞれの船はそれぞれ特色がありますので、白鳳丸、淡青丸につきましてはこれまでの実績を最大限尊重した運航を行いますというふうに先ほど申し上げておりますので、大学の研究者に専ら使っていただくということになると思います。海洋センターのほかの船は、例えば「みらい」という船の場合には、公募で相当大学の研究者にも使われておるということがございまして、船によってその用途が少しずつ異なっているという状態がございます。今、小池委員のおっしゃったような点については十分配慮していくつもりでございます。

【小林委員】
   基本的なことですが、1ページ目、2番の改革案の「海洋科学技術センターを解散し」というのは決定なんでしょうか。

【平分科会長】
   決定です。閣議決定でそういうふうになっています。

【小林委員】
   方向でというので、解散しなければいけないんでしょうか。
   私、これを見てすごく不思議に思いましたのは、海洋科学技術センターという名前はとっても長い間親しまれてきまして、定着しているんです。それをわざわざ名前をなくしてしまって、別の名前にするというのもちょっと不便を感じます。それから、船を数隻吸収するだけですから、海洋科学技術センターに吸収するというのはテクニカルにできなかったのかどうか、どうして解散して新法人、名前そのものも変えてしまわなければいけないのかなというのをとても不思議に思っています。名前を残して何隻かを吸収して、一緒に活動できるような方向で運用の方法を考えるということは、形態として独立行政法人になったとしても可能なのではないかと思います。費用の点からも、解散するとまた退職金を出して新しいところに何とかという、人件費の面からも節約になるのではないかと思うんですが、その辺はちょっと疑問が残ります。

【吉田委員】
   今の小林委員のご質問と部分的に合致しているところもあります。別にここにご提案になっていることに賛成、反対ということを申し上げるつもりは今のところございませんが、まず情報として、JAMSTECが解散して新しい法人になっていくということに関して全体像が見えないというか、知らないというか、わからないままに船舶の運航の部分のことだけのテーマとして、ここで今ご議論が始まろうとしているかと思うんですが、それでもいいわけですが、そのためにもJAMSTECの新しいありようが何を目的にどうしようとしているのか。例えばきょうの最初の予算のところでも、大変大きな予算が地球フロンティアとか、地球シミュレータというような部分に注がれているわけですけれども、そういう部分と非常にピュアな海洋研究とどう結びつくかという、その辺等を含めてそういう全体像がある程度簡単にでもご説明が欲しいということです。
   もう一つは、先ほど小池委員もおっしゃっている東大海洋研の船だけの問題なのか、日本の海洋研究船の問題ととらえるのか、それによって大分形態も違うのではないかなという感じもしまして、このご提案ですと、東大海洋研の2隻の船だけのような書き方になっているんですけれども、そこもどうしてそうなのか、あるいはその理屈は何なのか、そこをお尋ねしたいなと思います。

【平分科会長】
   それでは、吉田委員の今のご質問に関しまして、JAMSTECのほうにいくものは東大の2隻の研究船だけです。それから、私自身も日本学術振興会というところに勤めていますが、ここも廃止して9月1日から独立行政法人になりますが、同じ名前の法人です。ということで、いろいろ今のところそういうふうな動きがあります。
   それでは、今の問題でいろいろ議論があると思うんですが、時間の都合で、資料の8−5−2、海洋科学に関する新たな研究開発法人の設立についてという(案)がございます。本日付でございまして、この分科会の会長である私の名前になっておりますが、これを今、提案して、2つ同時に議論させていただきたいと思います。
   それでは、短いですので読ませていただきます。

   海洋科学技術センターを解散し、東京大学海洋研究所(以下、「海洋研」という。)が保有する海洋研究船(淡青丸・白鳳丸)及びその運航組織との統合の上で、海洋に関する研究開発等を行う新たな独立行政法人(以下、「新法人」という。)を設立するに際しては、改革の趣旨を活かし、大学との円滑で効果的な連携協力を進める観点から、文部科学省において下記の事項について十分に意を用いられるよう期待する。
   1    移管された海洋船の運航のあり方
   海洋研から移管される海洋研究船については、これまで大学の共同利用に供されて   きたことに鑑み、大学における海洋研究のあり方を理解し、全国の海洋研究者の自主性・自発性に基づいた研究船運航計画に則り運航を行う必要がある。具体的な研究船の運航計画の策定においては、大学等の海洋研究者の意見を反映させるため、全国共同利用の研究所として長年の実績を有する海洋研が中核的役割を担い、その研究船運航計画に基づいて新法人が海洋研と連携して研究船の運航を実施することが重要である。
   また、新法人において海洋研究船を一元的に管理・運航する体制を構築することによって、効率的・効果的な運航の実現を図り、運航日数の増加やそれによる観測海域の拡大、重点的な観測の実施等に向けて研究環境の向上に努める必要がある。
   学術研究との連携協力の強化
   新法人と大学が各々の役割と研究方法の特性を尊重しつつ、我が国の海洋科学の発展のために積極的に連携を図っていくことが重要である。このため、新法人においては、海洋科学技術センターがこれまで開発してきた高度な観測装置等の研究資源や研究開発のノウハウ等の開放、大学との間の共同研究や研究交流の拡大等が進められるように努める必要がある。
   新法人における研究開発のあり方
   新法人においては、海洋を地球システムの一環として総合的に捉え、大学等における基礎的な研究とは別の観点から、政策的ニーズに沿った明確な目標を設定した体系的・総合的な研究開発や、海洋開発・海洋保全等に生かされる共通的・基盤的な研究開発を推進すべきである。また、今後の海洋科学の動向を見据えた効率的・効果的な研究組織のあり方と研究資金の適用方策につき十分に検討すべきである。

   というふうな文章でございます。
   それでは、今の(案)と先ほどの改革案、その2つを含めて、ここで時間の許す限り議論していきたいと思います。

【平澤委員】
   既に何人かの先生方からご意見が出ているのと同じなんですけれども、海洋科学技術センターを解散して新しい法人をつくるのであれば、設置目的はどうなるのかということが最初に来ないとなかなか議論が進まないだろうと思うんです。具体的には、従来の設置目的を見ると「研究開発」という言葉はないんです、避けてあるんです。ところが、今回の平先生の案も研究開発法人という言い方をしておりますし、文章の中にもやたらと「研究開発」が出てくる。じゃ、「研究開発」はどういう意味かというのが私にはよくわからない。常識的にはリサーチ・アンド・デベロップメント、つまり研究と開発だろうと思うんですが、ほんとうに研究と開発でいいのかどうかという問題もあるわけです。ですから、設置目的はどういうふうにしていくのか。それは先ほどの先生のお話の海洋科学技術センターの今後のありようはどうなのかという議論だろうと思います。
   それからもう一つは、こういうふうに設立についての要望書を提出するのであれば、大きな漏れがあってはいけないと思うんです。私は何が漏れているかというのは必ずしもよくわからないんですが、大学の仕事というのは教育なわけですけれども、先ほどの小池委員のお話から、従来の研究船には大学院学生の教育にも十分利用していたということがあるわけですから、大学の教育に関する支援も要望しておかないといけないのではないかという感じがします。
   もう一つは、船のことでいえば先ほど研究船と練習船の話があったんですが、いわゆる観測船みたいなのはまだまだたくさんあるわけです。そういうものを含めてどういうふうにしていくのかというのは大きな問題だと思うんですが、私としては海洋科学技術センターのこの現実的な案というのはできるところから効率化していこう、追々いろんなものを見ていこうということで理解しているんですが、それでよろしいでしょうか。

【平分科会長】
   私の理解はそのようなものでございまして、さらに今、研究開発というのが新しいということですが、資料の8−5−1の、これは目的のところには書いてないんですが、一番下のほうにも例えば海洋観測研究開発を業務とするということで、必ずしも今回新しく出てきてはいない。ただ、一番最後の目的が海洋の開発にかかわる試験的研究というものが出ているわけですけれども、今後は。
   でも、私自身も実は海洋科学技術センターを独法にするときの目的というのはあれなんですが、これは木下委員のほうがいいんでしょうか。お願いいたします。

【木下委員】
   鶏と卵の議論に近い問題になりそうなので、分けてお答えしたいんですが、海洋科学技術センターが解散するということは政府が決めたことで、我々はそれに従うというのが一番原則です。
   それから、海洋研究所から申し込まれたことについては、今のところ100%のみ込むというのが基本姿勢でございます。
   それから、私どもは今まで研究開発、つまり技術開発に力点を置いてまいりました。しかし、最近は学術研究にも力点を置きつつあります。また、大学は学術研究を主としてやってまいりました。したがいまして、技術開発と学術研究が並立できるように、ボトムアップ型の研究とトップダウン型のプロジェクトが並走できるようにセンターとしては努力してまいりたいと思っております。
   次に、精神論と細則、細目の決定に関する問題でございますが、これは吉田委員から非常に大事な問題として指摘されたところでございますが、まず政府の決定と本分科会のお許しをいただいた上で、海洋科学技術センターが今内部で進めております方針の策定を一般的に明らかにしていきたいと思いますし、それに従いましてまず精神論があって、その下の細目、細かい問題につきまして、今、平澤委員が質問されました問題のような部分につきましては、これから鋭意短時間にまとめていきたいと思っております。
   今まで何をしていたのかというご質問が当然出てきますが、政府の決定と本分科会がゴーサインを出していただかない限り、すべてのことがうっかりするとむだになるという危惧がございまして、今まで紙にはなっておりませんが、内部で検討は進めております。

【小池委員】
   今、木下委員のほうから、海洋研から申し込まれたというふうにおっしゃいましたけれども、私たちは申し込んだのではなくて、政府の決定に従うという立場です。

【平分科会長】
   木下委員がおっしゃったのは、特に研究船としての実績の尊重という面に関する申し入れをという意味でありまして、海洋研から船をどうぞという、もう手に負えないという。吉田課長、お願いします。

【吉田課長】
   ちょっと整理をさせていただきまして、これまでのご質問などについて全体としてご説明させていただきたいと思います。
   海洋科学技術センターの場合には、厳密に言いますと認可法人でございますけれども、特殊法人に準ずるような組織でございます。最初ごらんいただきました平成13年12月の閣議決定では、政府が持っておりますさまざまな特殊法人全般について見直しをされまして、基本的には廃止をする。ただし、国としてさまざまな事業の関係で、必要なものについてはそれを独立行政法人なり、そういった別の形態でまた新しく設立をするという、そういった基本で特殊法人改革が行われている最中でございます。先ほど平会長がご説明されましたように、そういった意味では日本学術振興会ですとか、科学技術振興事業団ですとか、あるいは理化学研ですとか、そういったところも従来の特殊法人から独立行政法人という形で一度解散をして、新しく設立するという形になっておるわけでございます。
   ただ、その際、基本的には、従来の事業を引き続き独立行政法人で行うという形をとっております。また、職員などについても、これは継続をするということでございますので、一度退職していただいて、その退職金を払ってということはないわけでありまして、そのまま新法人に身分などは移行しているという形になっております。
   その一環として今回の海洋科学技術センターも行われるわけでございますので、形式上は解散いたしますけれども、今現在の海洋科学技術センターの事業をこのまま継承していくというのが基本でございます。そういう意味では法人の目的も基本的にはそこを継承していくというものでございますし、今、いろんなビッグプロジェクトも行っておりますけれども、それも継承していくという形でございます。
   ただ、1点だけ加わってまいりますのが、先ほど来ご説明させていただいております研究船の運航体制の整備という観点から、東大海洋研の船をこちらのほうに移管していただくということでございますので、それに伴いますものは業務としての追加もございますし、目的についてもその部分は追加をしていくということになってこようかと思います。
   東大海洋研の船だけなのかということなんですが、当面はそうでございます。これは先ほどのように、大学の保有する船の中には実習船があったりいたしますけれども、実習船はまた別の目的といったものもございますので、そこのところは整理をいたしまして、今回は東大海洋研の2隻の船という形にしております。
   それから、教育への支援ということはどうかということですが、これは先ほど小池所長のほうから実態のご説明がありましたように、現実には研究者の養成といった人材育成の側面でも活用されておりますから、それは当然のことながら新法人に移りました後も、そういった形での支援業務を行っていくということになろうかと思います。
   そして、この2隻の船だけじゃなくて、もっと観測船とか何とかもあるではないかということもございましたけれども、それは先ほど第2番目の議題で、今後の海洋研究船の有効方策について委員会をつくって検討していただきますけれども、その中では水産系の実習船の問題とか、あるいはそれ以外のいろんな船ですとか、そういったものも視野に入れて議論をする必要がございますけれども、当面、現実的な可能なものということでは、まずここから着手をしたということでご理解いただければと思います。

【堀委員】
   政府決定ということで、今までの特殊法人からこのようなシステムをおつくりになったということですが、昨年30周年を迎えられたJAMSTECのさまざまなシンポジウム等を拝見しまして、最初は「しんかい」から始まりまして、全球的、そして宇宙までもという形の中では、地球システムの理解ですとか「しんかい」から奥行き、データベースのネットワーク化ですとか、非常にグローバル化というような多様な幅を広げて、それはすばらしい進化と向上をしていらしたと思います。
   そういった中で、今度の独立行政法人では研究機関と教育機関という形で、その思想あるいは理念を伸ばされていくことを大変期待しておりますが、いわゆる開かれた研究機関という印象が非常にJAMSTECにはありまして、それは経団連なんかの関係での産官学連携のもろもろの情報が非常に驚異的な発展になっていったのではないかなと感じます中では、ここに書かれていることでは産業界との関係はどうなるのかとか、そういうような非常に柔軟な対応で、開かれた独立行政法人の組織化を私どもは期待するわけでございまして、今まで継続なされていた産官学連携のそういう非常にいいネットワークというか、そういう発展ということをお願いしたいということで、これは意見というよりは期待とお願いを申させていただきました。

【小林委員】
   すみません。よくわからないんですが、資料8−5−1では閣議決定したのは1だけというご説明が一番初めにありまして、2番のほうは改革案で、あくまでも案であるというふうに聞いたんですが、その辺は私の理解が不十分なのか、だんだんよくわからなくなってしまいました。これが1つ。
   それから、次もう一つは、どうして東大の船2隻だけを統合する必要があるのかという必要性については何も説明されていないので、わからないんです。独立して大学がそれぞれ海洋研究をしていたのではなぜいけないのか。お金の面なのか、研究内容の面なのか、人材の面なのか、その辺のところが全くわからないで、2隻だけ入れますよというこの必然性といいますか、そこのところが全く見えてきません。
   それから、先ほどもほかでは、大学の研究船あるいは練習船はどうなるのかということについては考えていらっしゃらないというお考えの方向がございましたが、どうしてこの2隻だけ入れなければいけないか。費用の面でしたら大学にその分の予算を渡せばいいわけですし、むしろそれぞれの個々の自由な研究を育てるためには、それぞれ分散していたほうが独自性のあるいい研究ができるのではないかという気も大変いたしておりますので、そのあたりが私はちょっと理解できない。それと、このご説明の中にも、どうして2隻だけというのがないように理解しておりますので、不明です。質問です。

【平分科会長】
   これは長いいろんな経過がございまして、まず1番にありますような関連する大学共同利用機関等との統合というのが閣議の事項になっております。そして、その一つのあらわれとして、現在のところ研究船としてある船は東大の2隻だけですので、それを統合した上で新しい組織にしたいという案を、先ほどありましたように今度の国会に提出してということでありまして、その方向で独法を認めていただきたいという段階にあります。したがって、その辺は独法ができるということはまだ決定しているわけではございません。国会事項です。
   そして、今いろいろな質問の中で、もしそういう船の運航であればもっと多くのという議論もあったんでしょうが、とても現段階では難しいということと、それからもちろんその中には必ずしも1カ所に集める必要はないんじゃないかということ等もございましたが、現在の形はこうなっているとしかご説明はできないと思います。私の説明はまずいでしょうか。

【吉田課長】
   ちょっと補足をさせていただきますと、改革案というのは、これからこのような内容の法律案の作成の準備を私どもは進めておるということでございますので、そういった意味では1の閣議決定とはまた違ったレベルの段階にございます。
   今回のこの移管の必要性ということでございますが、まずなぜ2隻の東大海洋研の船なのかということは、今、会長がおっしゃられたように、海洋研究船ということで国が保有しているものということになりますと、この2隻でございます。私立大学まで広げますとまだあるかもしれませんが、国が持っているものということでいきますと、この2隻ということになります。
   必要性ということでございますが、研究やその人材の育成という点について、これは分散型でそれぞれの大学なり研究機関で行っていただくという方針を変えるものではございません。したがって、海洋研は東大海洋研という形で今後も存続をされるというふうに承知しておりますし、他の大学でも海洋研究の組織といったものはそれぞれ活発にこれから研究活動をされていくんだろうと思います。
   ただ、研究船というのは、そういった研究を支えるためのある意味では基盤、道具みたいなものでございますけれども、この道具も資金的には相当莫大なものがかかっていくわけでございます。特に、例えば20年ぐらいたってまいりますと、必ず代船を措置していかなければ継続性が保てないということもございますし、また特殊な技能をお持ちの船員の方の雇用の問題といったものもございます。
   今後、そういう研究基盤を安定的に支えていくための体制をどうしていったらいいんだろうかということを考えましたときに、これはそれぞれの大学で個別にそれぞれの大学の財政負担の中で進めていただくよりは、ある意味では文部科学省としてそれを一元的に進めていくほうがいいのではないか。そのときに具体に文部科学省が運航するわけにまいりませんから、それについてはこれまで運航実績のある海洋科学技術センターを改組する新法人にお願いするほうが適切なのではないか。そういったことを通じて、海洋研究船に対して重点的な投資などもこれから開けていく道ができるのではないだろうかということを考えたわけでございます。
   したがって、それぞれの研究や人材育成といったものについては、それぞれの大学の機能をはぎ取ってくるということではございませんで、むしろそういったことに対して支援を十分にしていこうということを趣旨としております。
   それから、先ほど産学官連携の点についてのご発言がございましたけれども、その点についても当然のことながら、従来培ってまいりました大変良好な関係については今後とも継続をして、むしろそれをもっとよりいいものにしようというふうに考えております。

【高橋委員】
   海洋科学技術センターは今まで政策目的に沿った研究開発をやられて、これはその時代時代に必要に迫られたものをやってきたので、投資も大きかったということで、成果は非常に上がった。だけど、その半面、日の当たらない部分もいっぱいあるわけです。そういうものを大学がやってきた。新しい改革案では、新法人は政策目的に沿った研究開発をやっていただくと同時に、大学の学術研究等への協力というのがあります。海洋研究所は研究船をもがれる形になるわけですが、そのときに運航日数を180日から300日ぐらいにしようというメリットも出てくるということで、この機会に大学の学術等への協力をどういうふうにやって、その弱いところをよくするかという具体的なところをぜひ新法人のあれには詰めていただきたいと思います。

【松田委員】
   新しい組織をつくる場合は、通常、例えば企業なんかですと、現状のメリットとデメリットを比較しまして、メリットがこれだけあるから発足しましょうというアセスメントをすると思うんです。私はこの研究開発法人の設立について見た場合に、もう少しメリットを強調したほうがよろしいのではないかという印象を持ちました。
   私が期待するメリットは1つは研究の活性化です。それから、もう一つは資金の有効活用ということです。
   最初の研究の活性化について申しますと、今、世界中でネットワークを使って協調、コラボレーションが盛んになっております。これをやりますと非常に研究員が張り切るんです。昨年スタンフォード大学でそういうのを見学してきたんですけれども、先生はアドバイスをするぐらいで、大学院の学生がみずからどんどん活性化されて研究をする。これは世界各国の大学とそういうやり方をするわけです。ですから、そういったような研究体制に持っていくことによって、もっと日本は海洋で非常にリーディングエッジを持っていけるような自信を持てるんじゃないか。最近、ノーベル賞の受賞者が続けて出たことによって、日本も科学技術立国として自信を持って、非常に元気になってきたという印象があるんです。ですから、海洋においてもぜひそういうポジションを目指して研究をしていくんだということを強調したほうがよろしいと思うんです。
   それから、お金のほうですが、これはおのずと重複を省いてむだをなくして、銀行が統合するなんていうときによくやるわけですけれども、コンピューターの投資額が多いですから、その辺を節約しようとか、そういう実務のほかにもう少し目に見えないメリット、研究の質を高めるとか、そういうところを強調したお金の使い方を私は提案したいと思います。

【平分科会長】
   ありがとうございました。実はもう随分時間を過ぎておりまして、本日幾つもご意見をいただきました。これをもとにして要望書についてもう少し修正した上で、文部科学省にも提出していきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。それと同時に、21日には科学技術・学術審議会の総会がございますので、そこでも報告させていただきたいと思います。
   今のようなことですので、要望の内容につきましては皆さんのご了解が得られれば、私、分科会長にご一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしくお願いします。
   それでは、事務局のほう、最後に何かございますか。

【吉田課長】
   きょう予定としましたものは以上でございます。

【平分科会長】
   それでは、ありがとうございました。

──  了  ──

ページの先頭へ