海洋開発分科会(第76回) 議事録

1.日時

令和8年2月9日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴は Web のみ

3.議題

  1. 令和7年度の海洋開発分科会における評価について
  2. 海洋・極域分野の関連予算案について
  3. その他

4.出席者

委員

日野亮太分科会長、川辺分科会長代理、原田委員、榎本委員、川合委員、河野健委員、河野真理子委員、兵藤委員、廣川委員、藤井委員、前川委員、松本委員、見延委員、山本委員

文部科学省

古田大臣官房審議官、三宅海洋地球課長、小野寺海洋地球課企画官、後藤海洋地球課課長補佐、 ほか

5.議事録

【日野分科会長】  定刻になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会第76回海洋開発分科会を開催いたします。本日は、御多用にもかかわらず、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、事務局より参加者定足数の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  本日は、委員14名中、対面8名、オンライン6名の合計14名の委員に御参加いただいておりますため、科学技術・学術審議会令の第8条に定める定足数の過半数を満たしておりますことを御報告いたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、資料1-1、1-2、1-3、資料2が資料の本体でございまして、参考資料として委員名簿を御用意しております。御不明な点、御不備等ございましたら事務局までお知らせください。
【日野分科会長】  いかがでしょうか。問題ありませんか。ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日は、お手元の議事次第のとおり、3つの議題を予定しております。議題(1)は審議案件、議題(2)(3)は報告案件となります。まず、議題(1)「令和7年度の海洋開発分科会における評価について」に入ります。最初に事務局より資料1-1、令和7年度海洋開発分科会における評価の実施についてを御説明いただき、審議を行います。
 それでは、事務局より説明をお願いします。
【事務局】  ありがとうございます。資料1-1を御覧ください。令和7年度海洋開発分科会における評価の実施についてということでございます。本分科会においては、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針等を踏まえ、令和7年度における研究開発課題の評価を以下のとおり実施することとしております。1.評価の区分と2.評価対象課題、併せて御説明させていただきます。
 海洋科学技術等に関する研究開発課題、これは国立研究開発法人の事業も含むとしております。これらのうち、以下のいずれかに概要するものを事前評価の対象とするということで、事前評価の対象1、2ということで設定をしております。1は総額が10億円以上を要することが見込まれる新規拡充課題、2は分科会において評価することが適当と判断されたものでございます。今年度は、この事前評価に該当する研究開発課題はございません。
 続きまして、(2)の中間評価でございます。事前評価を実施した課題のうち、中間評価実施時期に当たるものについて実施するとしておりまして、今年度該当する研究開発課題はございません。
 続いて(3)事後評価でございます。事前評価を実施した課題のうち、事後評価実施時期に当たるものについて実施するとしておりまして、今年度は北極域研究加速プロジェクト(ArCSII)が該当しております。
 続いて3.の評価方法でございます。こちら、(1)事前評価についてでございますが、こちらは従前どおり昨年度までと同じということで、今年度該当がない部分でございますので、御説明は省略をさせていただきます。
 ページをおめくりいただいて2ページ目でございます。(2)の中間評価・事後評価でございます。本分科会において、必要性、有効性、効率性その他の観点から、中間評価及び事後評価票を用いた評価を実施するとしております。なお、本分科会とは別の有識者による合議体により評価が行われている課題については、当該合議体の評価を基に分科会において評価を決定するとしております。その際、事前評価票で示した指標等を用いて、課題の進捗度や研究開発計画に定める中目標の達成状況を把握するとしております。
 4.留意事項でございます。(1)の利益相反ですが、以下のいずれかに該当する委員は、評価に加わらないものとするとしております。1、評価対象課題に参画しているもの。2、被評価者(実施課題の代表者)と親族関係にあるもの。3、利害関係を有すると自ら判断するもの。4、分科会において評価に加わらないことが適当であると判断されたもの。評価を実施するに当たっては、合理的な方法により可能な限り作業負担の軽減に努めるとしております。
 続いて(2)から(4)の御説明は省略をさせていただきます。
 また、(5)その他でございますが、評価の実施に当たって、その他必要となる事項については別途定めるものとしております。
 本文は以上でございまして、続きまして3ページから別添様式1から始まりまして、別添様式3まで続いております。別添様式1が事前評価の様式、別添様式2が中間評価の様式、そして別添様式3が今回の事後評価結果の様式となってございます。こちらの様式については、従前どおりということで、今回の研究開発課題に特有のものというものはございませんので、詳しい御説明は割愛させていただこうと思っております。
 御説明は以上になります。
【日野分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明について、委員の皆さんから御質問等ありましたら、お願いいたします。これは本日行う評価の、行うに当たってそのルールを定めるものということですね。その取り決めを定める。今、(案)になっていますけれども、これを決めていただいたら、これに沿って、この後、評価を行うというような段取りと理解しております。
【榎本委員】  すみません、私、この関係者なので、この評価に関する時間帯は会議場から出ておいたほうがいいのでしょうか。
【日野分科会長】  後ほど御説明しますけれども、利益相反に当たる方の扱いですけれども、基本的には審議、評価には加わらないということですが、事実関係についての御説明等はいただければと思っておりますので、退席していただく必要はないと考えております。
【榎本委員】  はい。
【日野分科会長】  ほか、いかがでしょうか。部会長から1つだけ確認なのですが、今回は具体的に評価対象のものがあるのですけれども、(2)中間評価・事後評価のところですけれども、「有識者による合議体により評価が行われている課題については」とありますけれども、今回は、それに該当するということでよかったですか。
【事務局】  はい。後ほど御説明させていただきます。
【日野分科会長】  はい。分かりました。
 いかがでしょうか。ルールは基本的には決まっていて、その他のところ、その他必要となる事項は別途定めるというのがありますので、もしお気づきのことがあれば、これは決めて先に進めたいと思いますが、オンラインの皆様も含めてよろしいでしょうか。特にないようでしたら、それでは、この評価の実施について、(案)の案を取って、これに基づいて、これから評価を進めていくということにさせていただきたいと思います。御審議、どうもありがとうございました。
 それでは、北極域研究加速プロジェクト(ArCSII)が今回の事後評価の対象となりますが、その事後評価についての審議を進めてまいります。なお、榎本委員については、先ほどの利益相反の1番、評価対象課題に参画しているものになります。それから、河野健委員は、前もって3、利害関係を有すると自ら判断するものということでお申し出をいただいております。このお二方については、評価には加わらないようにお願いいたします。その他、ほかにも利益相反事由に該当する委員の方はいらっしゃらないと事務局のほうで確認をいただいておりますが、よろしいでしょうか。
【川合委員】  すみません、川合ですが、よろしいでしょうか。
【日野分科会長】  はい。川合委員、どうぞ。
【川合委員】  研究課題の分担者として参加していたんですけれども、それは問題ないでしょうか。
【日野分科会長】  事務局、いかがでしょうか。
【事務局】  事務局でございます。分担者のほうも、評価には加わらず、事実関係の御説明のみに参加いただくということにしていただければと思っておりますが、いかがでしょうか。
【川合委員】  分かりました。ありがとうございます。
【事務局】  よろしくお願いします。
【日野分科会長】  お申し出、ありがとうございました。それでは、川合委員も先ほどの1の事由により利益相反があるということで、評価には加わらない。ただし、事実関係についての御説明は必要に応じてしていただくことになると思います。
 ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。特に追加がないようでしたら、それでは、河野健委員、榎本委員、川合委員のお三方については、本件の審議には参画しないようにお願いいたします。ただし、事実関係の確認などにおいて御発言をいただくことは問題ありません。あるいはこちらのほうから質問差し上げることもありますので、その際はよろしくお願いいたします。
 それでは、進めてまいりたいと思います。それで、先ほど申し上げましたけれども、有識者による合議体、それですけれども、北極域研究推進プロジェクト推進委員会のほうで評価を進めていただいております。その委員長の池島先生より御説明をいただきたいと思います。池島先生から御説明をいただきたいと思います。池島委員長、よろしくお願いいたします。
【池島委員長】  こんにちは。北極域研究推進プロジェクト推進委員会の委員長を務めております池島でございます。よろしくお願いします。
【日野分科会長】  お願いします。
【池島委員長】  本日は、委員会におきまして取りまとめました北極域研究加速プロジェクト(ArCSII)の事後評価につきまして御説明いたします。評価結果につきまして御説明する前に、まずは北極域研究の意義や事業概要につきまして事務局側から御説明をお願いいたします。
【小野寺海洋地球課企画官】  それでは、こちら事務局のほうから説明をさせていただきます。海洋地球課の小野寺です。よろしくお願いします。資料1-2を御覧ください。パワーポイントのものです。ざっと北極域研究の意義ですとか事業概要について御説明をさせていただきます。
 まず1ページ目、表紙をおめくりいただいて1ページ目です。北極における科学的活動の背景と意義についてです。委員の皆様には既に十分御理解いただいているかと存じますが、改めてまとめますと、北極域は地球上で温暖化が最も進行している場所でございます。具体的には、次のページの気温上昇のグラフを御覧いただければと思いますけれども、そのため、その下に行きまして、北極域は日本を含む中緯度域の異常気象にも影響を及ぼしているということで、一番下に記載のとおり北極海の海氷減少が日本の冬の豪雪ももたらす要因ということが分かってきてございます。一方、右側に行きまして、これは利用可能性の拡大とも捉えられます。北極海航路の活用、エネルギー資源の可能性もございますし、そのようなことから安全保障環境も変化してきております。このような状況でございますけれども、右下の赤囲みのとおり、北極海は観測データの空白域と言われており、基本となる科学データが少ない状況でございます。
 次のページ、さらに3ページ目に行っていただきまして、このような状況を踏まえまして、文科省、内閣府をはじめとする政府におきまして、この3ページのような政策を推進してまいりました。スタートは、もう10年以上前になります。一番下から順に記載しておりますけれども、遡って記載しておりますけれども、2015年に我が国初の包括的な北極政策として、我が国の北極政策が取りまとめられました。その後、国際的な枠組みである北極科学大臣会合(ASM)が開催されましたり、国際連携で北極観測が促進されましたり、G7の仙台科学技術大臣会合の共同声明においても、北極、極域研究の重要性が明記されたり、そして第4期海洋基本計画に北極政策が主要政策に位置づけられたりしてまいりました。最近のものとしましては、一番上にあります昨年度策定されました海洋開発等重点戦略におきまして、北極政策における国際連携の推進等が重要ミッションに位置づけられまして、「みらいII」の国際研究プラットフォーム化に取り組むなどにより、取組の成果を活用し、北極海航路や北極域における鉱物資源・生物資源の開発等、我が国経済への貢献につなげることを目標に取り組んでいるところでございます。
 次のページに行っていただきまして、4ページ目です。このような政策を踏まえまして、文科省では最初の我が国の北極政策に先立つ2011年、通称GRENEという北極域研究プロジェクトを開始しまして、以降5年ごとにArCS、ArCSII、ArCSIIIと新たに取り組み、観点を取り入れることでプロジェクトを進化させてきております。それとともに我が国の北極研究コミュニティも拡大し、層が厚くなってきているという認識でございます。今回御評価いただくのは、下から2番目のArCSIIのところでございまして、既に今年度からArCSIIIが始まっているというものでございます。なお、これまでのプロジェクトの評価結果概要につきましては、この資料の最後、9ページ目以降につけさせていただいておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 次に5ページ目でございます。ArCSIIの概要でございます。本日、御評価いただくArCSIIの概要です。事業期間は、コロナ第一波がちょうど始まりました令和2年度、2020年度から昨年度、令和6年度までの5年間でございました。運営体制は、3機関による共同運営体制ということで、具体的には代表機関である国立極地研究所を中心に副代表機関であるJAMSTECと北大と連携して運営していただきました。研究代表者は、PDはこの分科会の委員で、本日御出席もいただいております榎本先生でいらっしゃいます。中ほどに記載のありますとおり、国際助言委員会というのを中に置きまして、海外機関の有識者から定期的に進捗等踏まえたアドバイスをいただく体制も整えて進めていただきました。総勢として、全体、川合先生もお入りいただきましたけれども、450名ぐらいの研究者が関わったと承知しております。具体的な取組内容につきましては、左下に記載のありますとおり、4つの戦略目標、11の研究課題、2つの重点課題、4つの研究基盤という形で進めていただきました。
 それらの具体が次のページ、6ページ目でございます。まず目的は、北極の急激な環境変化が我が国も含む人間社会に与える影響を評価して、社会実装を目指すことと、もう一つが北極における国際的なルール形成のための法政策的な対応の基盤となる科学的知見を国内外のステークホルダーに提供するという大きな2点でございます。そのために北極域の環境変化の実態把握とプロセス解明、気象や気候予測の高度化、精緻化などの先進的な研究を推進するということで、4つの戦略目標を中ほどに記載しておりますけれども、戦略目標1が先進的な観測をする。戦略目標2、予測の高度化をする。戦略目標3、社会への影響評価を評価するということ。戦略目標4、社会実装の試行と法政策対応ということで設定しまして、前身のプロジェクトでありますArCSで整備された観測拠点、それは観測拠点、観測船、そして観測衛星やデータアーカイブシステムであるADSといった研究基盤を駆使して、オールジャパンで研究課題に資する研究開発に取り組んでいただいたものでございます。
 重点課題というのは、そこの左の下のほうにございますけれども、各観測に取り組みつつ、横断的に人材育成と情報発信、アウトリーチを行ったというものでございます。こういった形が、ざっと概要でございますけれども、ArCSIIの概要でございます。
 次の7ページ目に行っていただきまして、こちらは、まさに池島委員長がいらっしゃいます北極域研究に関するプロジェクトを推進するために文科省に設置している委員会でございまして、毎回、この北極域関係のプロジェクトの審査ですとか、中間・事後評価を行っていただいております。今回も夏ぐらいから事後評価を行っていただきまして、年末に取りまとめられましたので、池島委員長に評価結果をここで御説明いただくというものでございます。
 あと、8ページ目に行きまして、以下、御参考ですけれども、この後の評価結果の中でも何度か触れていただいておりますけれども、ArCSIIの主な成果をまとめたものでございます。ピックアップさせていただきますと、上段の左の例えばブラックカーボン測定装置を開発しまして、それが国際標準機となったものなど機器開発系での成果ですとか、同じく上段の左のものは、寒冷渦の指標開発、そのためのシステム開発で、既に気象庁のほうで実用されているというような成果も出てきております。
 あと、下の段に行きまして、左側、また、真ん中のような国際的な公文書、報告書の中の記述や科学的知見を提供したものもございますし、一番下の右のものですけれども、中央北極海無規制公海漁業防止協定の会合に参加をしまして、科学的成果をこれも提供したり、調査に貢献するなどしまして、重要海域の設定に貢献したというようなものもございます。このようにプロジェクトの目的であります成果の社会実装、北極域における国際的なルール形成のための法政策的な対応の基礎となる科学的知見を国内外のステークホルダーに提供するにかなう成果を複数出していることを御紹介させていただきまして、事務局からの説明は以上とさせていただきます。池島先生、お願いします。
【池島委員長】  ありがとうございました。
 それでは、事後評価結果につきまして御説明させていただきます。資料1-3を御覧ください。1ポツから2ポツ目、よろしいでしょうか。1ポツから2ポツ目には、先ほど御説明しました事業実施期間や事業概要を記載してございます。3ポツ、研究開発の必要性等というところには、令和4年度に実施しました中間評価の結果の概要を記載しております。4ポツですが、予算(執行額)の変遷に関しましては、5年間の予算額と執行額を記載しております。なお、令和6年度の執行額につきましては、確定次第、金額を明記いたします。それから、5ポツに記載のとおり、本事業の研究代表者は、国立極地研究所の榎本副所長でございます。
 続きまして、事後評価票の本文でございます。我々の委員会では、実施機関から提出されました自己点検評価書を基にしまして、アウトカム指標、アウトプット指標の状況確認を含めまして、事業全体の進捗を確認し、必要性、有効性、そして効率性につきまして評価を実施いたしました。こちらには、事前評価の際に設定されましたアウトカム指標、そしてアウトプット指標並びに、それに対する令和6年度末時点の実績について記載しておりますので、御覧いただければと思います。
 評価結果の詳細につきまして御説明させていただきます。評価結果については、必要性、有効性、そして効率性についてそれぞれ評価を実施しまして、まず、必要性の部分でございます。科学的、技術的な観点から、特に上げるべき成果としましては、例えば日本で開発されたブラックカーボン(BCR)測定器のCOSMOSというものが北極評議会、ACで出てくると思いますが、ACと省略されますが、作業部会報告書に活用の期待が記載されまして、また、国際比較観測を通じて高い評価を受けるなどグローバルなBC、ブラックカーボン観測の標準化に貢献したと考えられます。
 次に、社会的、経済的意義が大きい成果の例の部分でございます。全てをここで申し上げるわけにいきませんので、以下、特に挙げるべきものということで述べさせていただきます。例えばArCSIIで開発した寒冷渦指標が気象庁気候情報化解析ツールに実装されまして、2024年10月から気象庁異常気象分析ウェブにて運用されております。また、グリーンランドの現地住民と廃棄物処理に関する課題の協働立案を行うなど、国内外の連携も大きく進みました。さらに、北極域政策担当者等のステークホルダーに向けて、文理横断的な専門知見に基づきまして、法政策的視点から、また、国際法政策的視点から研究成果を解説する、いわゆるブリーフィングペーパーシリーズというものを12件刊行するなど発信力は今までは最も高かったと考えられます。
 以上のように本プロジェクトは急速な地球温暖化の影響を最も顕著における北極におきまして、環境変化の把握から社会実装まで総合的にプロジェクトを推進し、国際的にも認められる先進的な研究成果を上げるなど日本のプレゼンスを高める大きな成果を実現したことから、必要性という観点で計画以上の実績、そして成果を上げたと委員会において評価しました。
 次に、有効性の部分でございます。人材養成の観点から特に挙げるべき成果としましては、例えば若者対象の人材育成を本プロジェクトの戦略目標の重点に置きまして、北極域研究コミュニティ内で国際的な若手研究者を公募しただけでなく、「おしょろ丸」の北極海航海におきまして、全国の大学から学部生10名が乗船しまして、その乗船後の進路は多様性に富んだものとなっております。例えば4名は極域研究で活躍し、その他6名は極域研究以外の様々な分野で活躍しているということなどから、重層的な施策により国内外の若手人材の育成にもつながったとしております。
 次に、見込まれる成果・効果やその他の波及効果というところですが、その観点から、特に挙げるべきものとしては、例えば海洋プラスチックや北極海航路利用など国際関係や国際法規制に絡む北極域の諸問題につき、自然科学の知見の集積、課題解決方法の提示や法政策的提言を行うなど成果・効果の社会への波及効果が見られたと評価しております。
 以上のように本プロジェクトが、北極域での環境が社会に及ぼす影響についての新しい知を創出し、その成果により北極海周辺諸国の環境変化に対して中立的な立場の日本として科学的な貢献を行うなど、社会への波及効果が認められました。また、自然科学分野の研究者育成だけでなく、全国の幅広い分野での人材育成に努め、そして北極域への関心の広がりと北極域コミュニティの裾野の拡大に貢献したことから、有効性の観点で計画以上の実績・成果を上げたと委員会において評価しました。
 次に、(ウ)の効率性のところですが、まず、計画実施体制の妥当性の観点から、特に挙げるべき成果としましては、例えば新型コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻という不測の事態に見舞われながらも、迅速な計画変更や取り得る最大限の代替措置を講じることによって、学術的に価値のある知見が得られ、かつ、「みらい」による航海や北極域の観測点における各種新規的データの取得と活用も進めました。
 次に、研究開発の手段やアプローチの妥当性という観点ですが、特に挙げるべき成果としましては、例えばJAXAの地球観測衛星による観測データが、ADSやJAXAのデータ提供サービスを通じて研究者が使いやすい形式で研究者に提供されるなど、研究開発の効率化に資する取組を実施したと評価しております。
 以上のように本プロジェクトは、48の機関、そして約460名が参加する巨大なプロジェクトであるにもかかわらず、想定外の事態にも対応して柔軟に計画を見直し、目標達成につなげております。したがって、効率性の観点で計画以上の実績・成果を上げたと委員会において評価いたしました。以上のことから、各観点について一定の評価に値し、総合評価においても当初の目標を達成したと評価して特筆すべき成果の例も記載しております。特に戦略目標1、2で得られた成果、それらを3、4に反映する仕組みにつきましては、中間評価時のコメントに対応し、本プロジェクト期間の中で取り得る最善の取組がなされたと認められております。
 最後に、今後の展望ですけれども、温暖化の影響を強く受ける北極域の科学的データの重要性はますます高まっております。自然科学と社会科学の融合研究が発展するには時間を要しますが、長期的な視点に立ってこのような研究を支援すべきであると締めくくっております。また、委員会におきましては、後継事業である「ArCSIII」や「みらいII」及び「おしょろ丸」におきまして、本プロジェクトのような人材開発が行われることを期待する声もありました。さらに、データ提供プラットフォームとしてのADSが実際にどの程度活用されているかにつきましては、実例の提示だけではなく、利用頻度などにつきましても継続的に評価されることが必要であり、今後もフォローをしていきたいと考えております。
 以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【日野分科会長】  どうもありがとうございました。非常に包括的に丁寧に評価をいただいたと思っております。どうもありがとうございます。
 それでは、ただいまいただきました説明について、こちらの委員会から、分科会から御質問等ありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。オンラインの方がいたら、私、よく見えないので。原田委員、お願いします。
【原田委員】  御説明、ありがとうございました。東京大学大気海洋研究所の原田と申します。多様な成果が上がってきており、非常にすばらしい結果に結びついたと思います。評価の書き方について、必要性と有効性のところ、計画以上の実績・成果が上がったと描かれていますけれども、どの部分までが計画の範囲内で、どの内容が計画以上の実績・成果になるのか、そこについて御紹介をお願いできますでしょうか。
【日野分科会長】  ありがとうございます。それでは、池島委員長、お願いします。
【池島委員長】  計画性、この点につきましては、詳細の部分、後ほど事務局のほう、または関係者の委員の先生方から具体的な点は御指摘いただきます。我々委員の総合的な考え方としまして、その辺をまず前提として述べさせていただきます。必要性、有効性、全て計画した点について、到達しているかどうかということを当然、計画されたものとでき上がってきた成果を比べ合わせまして、それで、それを超えているか、超えていないかということを勘案した結果でございます。その点で、各分野、それぞれ自然科学系、そして人文科学系、人文科学系の中でも文化人類学や法律、政治、それぞれいろいろな考え方が違う点が幾つかあるようでございます。そういう点を踏まえて、それらを考えて、総合的には計画したところを超えていたというふうに評価したというのが私のほうからの答えです。細かい点、理系分野、それぞれどうだったか等含めまして、まずは事務局、それからまた、そちらの委員のほうの席にお座りの先生方からも、もしありましたらよろしくお願いします。
【日野分科会長】  ありがとうございました。では、事務局のほうから補足。
【小野寺海洋地球課企画官】  事務局でございます。もともと定量的に何をするということにつきましては、事後評価票で言いますと、7ページ以降のアウトプット指標のところに書いてくださっていまして、こちらのものが指標で、それぞれが何件かというのは今手元にないのですけれども、基本的には達成または超えたものというふうに御理解いただければと思います。こちらを委員会のほうで、それぞれ、これは必要性のことだ、これは有効性のことだというふうに御評価いただいたというふうに承知しております。7ページ目から8ページ目、もちろんその前のアウトカム指標のところは、定性的になりますけれども、こういったことに取り組むということで、これらの事項が取り組まれたという理解でございます。
【原田委員】  ありがとうございます。そうしましたら、量的にも質的にも当初計画していた内容以上に成果が出ているということが、この委員会で確認することができたので、この文言になったということと理解してよろしいですね。
【池島委員長】  池島です。そうです。そのとおり、全て委員のほうで、これら出てきたアウトプットをそれぞれ点検しました。その結果の評価だと考えていただければと思います。
【原田委員】  ありがとうございました。
【日野分科会長】  ありがとうございました。
【池島委員長】  この点につきまして、榎本委員、いらっしゃいましたら、補足等、よろしくお願いします。
【榎本委員】  プロジェクトの開始自体が2020年でコロナが蔓延していて、既に現地の活動、22年にはロシア、ウクライナが始まってしまいまして国際状況も変わったといったところです。そういった中で、この中で中間評価でもありましたけれども、自然科学と人文・社会科学の融合、協力をどう進めるかというところは課題になっていたのですが、北極のそういった、どう変わるか分からないというところに、この大きなチームですけれども、チームがすぐ会合を開きまして、自然科学から分かること、あと社会科学で判断できること、あと国際法的に、法律的に決められることというところが、連携プレーというのが何例かありました。
 途中でも資料の中に入っていましたけれども、マイクロプラスチックですとか、あと北極海の環境関係のところは、実際に北極海で観測をしている自然科学の海洋研究者の情報が国際法の研究者の協定を決めるところに直接つながるというふうなやりとりもありましたし、あと、12本のポリシーブリーフというのもありましたけれども、2015年に作成された日本の、我が国の北極政策から、去年が10年目だったのですけれども、そういった時期に対応して、日本が政策的に何をやってきたかといったところを振り返るというのが、これも人文社会が中心だったのですけれども、自然科学のほうからも意見を聞きながらといったふうなことも行われました。
 論文の数も十分出ましたけれども、特に自然科学は査読付論文というのをカウントできるのですけれども、社会科学のほうを評価しようとしたときに、出版数、書籍になっているもの、そういったものが実はうまく盛り込めない。実はその中に大切な提言とかが入っています。自然科学のデータをリファレンスで使いながら、社会科学研究者が読み物として出しているものが、つまり書籍がたくさんあります。40本ぐらいあるんですけれども、そういったものもこの全体のプロジェクトを支えている。科学は科学のためにだけで終わらないで、社会にどうつながるか。あと、気象情報もありましたけれども、社会の安全性にどうつながるかというところで、評価は大変よく書いていただいているんですけれども、さらに下で支えていた、研究者間の相互交流というのが実はあって、それが想定以上というふうに言っていただいていた活動につながったという背景があります。そういった要素も追加させていただきます。
【日野分科会長】  どうもありがとうございました。
【原田委員】  ありがとうございます。よく分かりました。ありがとうございます。
【日野分科会長】  どうもありがとうございました。ほかに。では、兵藤委員、お願いします。
【兵藤委員】  ありがとうございます。兵藤です。幾つか質問させていただきたいのですけれども、1つは、今、原田さんが言われた、私もちょっと計画以上というのがよく分からなくて、ただ、今御説明いただいたんですけれども、この予算規模的にどうなのか、どのぐらいなのかというのが、私はあまり想像できないところもあって、観測自体に非常にお金のかかる地域、極域ということなので、十分な成果が上がっていると思うのですけれども、一応、そういった観点も必要なのかなというのが少し感じたところです。
 あと、重点課題の1として人材育成ということがうたわれていて、実際、先ほど御説明いただいたところでは、「おしょろ丸」の北極海航海で全国の大学から学部生10名ということで御紹介いただいたのですけれども、これがその重点課題の人材育成として、ほかにも多分あるのかなと想像しているのですけれども、これが特に書かれているというのが、どのぐらいの人材育成にこれがつながっているのかというところがちょっと分からないと感じました。
 あとはもう一つ、波及効果という点では、このArCSIIでどういった成果が上がったのかということも、もちろんあると思うのですけれども、その後、今、ArCSIIIにつながっているわけで、ArCSIIでの成果がどういうふうな効果があって、それがArCSIIIにどういうふうに受け継がれて、今どういうふうに進んでいるのかというのも少し、その辺りも説明いただくと波及効果辺りが分かりやすくなるかなと思いました。
 以上、3点、よろしくお願いいたします。
【日野分科会長】  ありがとうございます。3点質問をいただきました。いかがでしょうか。
【池島委員長】  ありがとうございました。では、私、池島のほうから総合的な話としてお答えしまして、補足や詳細につきましては、別途、事務局及び委員、先ほどと同じようにお答えさせていただきます。
 まず、兵藤委員のほうからありました1点目、予算的にどうかという点なのですが、この予算、相当な金額であるということは我々も重々承知しております。それに対応するだけの、その研究対象、場所であり、地域であり、そして期間、5年間、その他分野横断的に、理系、文系を極力包摂した形で分野横断的なものを大がかりにやるということだったものですから、これ、相当の金額が入っている。それに対応した大型のプロジェクトだった。しかも、国家的なプロジェクトであるということを前提にしております。これについては、いろいろな御意見、見方によってはあるのかもしれません。ただ、相当な分野横断、そして科学での知見とか、その貢献度、そういうことを考えたときには、やはりそれなりの国力に見合った何らかの貢献というものも期待されているということを考え、我々としては予算に見合ったものが出ているというふうな考え方をしております。
 2点目の重点課題、人材育成というのがどうなのかということです。この点は、実は我々、評価する委員会のほうでも、最初のときからずっと何年間も、これ、GRENEのときから続いているものですが、どうやってこの日本の北極域研究全体にわたって人材を育て、そしてさらに科学界、広い意味での科学界ですけれども、人材をつくり出していけるかということを考えてやってくださいということを重々言ってきました。それに対して幾つかの例がそこに書いてありますように、それなりの成果として人が出てくる。それについてのサポートやいろいろな育成のための努力というものがされてきたということを我々は認識したものであります。
 最後の3、波及効果です。ArCSIIIにどうつながっているか。この連携の部分、これもずっと最初のときのGRENE、ArCS、ArCSII、そしてIIIになりましたので、延べ約5年×4の20年以上にわたってやってきていることを考えると、何らかの連携、そしてつながりというものを重視するものであります。その点も引き続き継承して、連続して取らなければならないデータ、そして続けていかなければいけない部分とプラス新たな取組、新しい分野の取組とか、新しい視点の取組ということはないかということを当然評価して、そういうことも入れてくださいということ中間評価のときも、そして前回のArCSIのときも申し上げて、それが続いてきているなということを評価していると考えております。
 私のほうから以上ですが、事務局、そして委員の先生のほうから何かあればよろしくお願いします。
【日野分科会長】  では、榎本委員、お願いします。
【榎本委員】  最初の予算のほうですけれども、たくさんの予算をいただきまして、観測現場に出かけるというところが大変重要なのですけれども、例えばコロナで出かけられなくなって、夏の「みらい」による北極海航海もできなくなるかもしれない。そうすると使わない予算が出てしまいます。国際プロジェクトである、Synoptic Arctic Surveyというのが動いていまして、観測期間が空白にならないように、きちんと北極海に入って観測をしないといけないということで、「みらい」が、コロナ中も大変注意を払って、あと必ず政府、日本の文科省、大変サポートいただいて航行を実施するということで、いただいた予算、確実に使うというか、有効活用しました。あと、国際プロジェクトの中で欠測期間とか、欠測場所を日本が作らないようにということをやらせていただきました。しっかり使わせていただきました。あと、ロシアの状況が始まってからは、物価がすごく上がってしまいまして、いろいろなところを節約しながらやった。実は、そういった次第です。
 あと、次の人材育成のところでは、「おしょろ丸」の10名の乗船者というのは1つの例として出していますけれども、それまでのプロジェクトでも若手に、行きたい人に海外に行かせるというのはやっていたのですが、単発で終わらないように研究所、室単位で交流させる。プロジェクト終了後も交流が続くようにという、そういう仕組みも作りましたし、海外から人を招くというものもやりました。あと、これらの活動は研究者、大学院生から、もう研究職に就いている人たちの世界のものですけれども、それ以外にもっと若い人たちの関心を取りたいということで、アンケートなども実施して、どこの世代に空白があるのかということもやりました。大学生を取り込むというか、関心を持ってもらうことが重要というふうになりまして、「おしょろ丸」の航海、10名が乗船したというふうにありましたが、もともとの応募者の数が60名います。
 全国から60人の学生がこれを見つけて、それぞれのプロポーザルを書いてきて申し込んできました。大変意外なところからも北極に関心が出てきたので、こちらも驚いていたところなのですが、その中で優秀な10人に参加してもらいまして、終わった後は、なぜ私が北極に興味を持ったか、全然違う分野なのに、こういう関連を私は見つけましたということをシンポジウムで皆さんに発表していただきました。それを聞いている民間の人たち、一般の参加者の人たちは、それだったら自分もとか、あと、次、機会があればぜひ申し込みたいという大学生、そういったところにつながった大変ユニークなものでした。
 あと、波及効果のほうですが、研究成果の中にある北極評議会、ACへの貢献とありますが、日本が北極評議会のオブザーバー国に参加したのが2013年です。科学者に求められることがありまして、環境に関する観測結果のレポートを出すというのがあるのですけれども、13年から12年間、継続して出してきました。ACにおける日本の役割というものが大変認識されています。これが1回だけ出て、すぐもうレポートを出さなくなったり、途中でいなくなったり、出したり出さなかったりしていたら信頼が逆に悪くなってしまうのですけれども、ずっと継続して出している。私、先週も北極評議会の事務局に行ったのですけれども、日本からの貢献をずっと期待しているというふうな言葉をいただいていまして、そういった国際的な北極の環境保護の中の、AC、これは行政ですけれども、もともとは環境保護ストラテジーというところでスタートしたものなので、その中での日本の立ち位置というのがしっかり得られています。それが次のArCSIIIでも、その継続をということが期待されているので、AC側は、プロジェクト、切り替わったのが分からないかもしれないですけれども、日本からは継続して環境関係のデータが出てくることが肝要です。
 あと先住民、北極圏に行くと先住民との関わりというところは、北極圏に領土を持つ国も非常に苦労しながら、悩みながらいい方法を探しているところなのですが、日本がそういったところでいい成功の事例を出しています。それもグリーンランドに行き始めてから15年かかって、やっと現地の信頼を得た。日本人が来て調べていることは、何を調べているのか分かった。自分たちの関心も、もっと聞いてもらいたいというふうなことになりまして、そういった先住民、これはグリーンランドの活動なのですけれども、グリーンランドで成功したことは、日本がやっていることの評価は、ほかの地域の先住民にも伝わります。そういった波及効果、これから、グリーンランドはArCSIIIでも続けていくところです。現地の先住民の漁師さんたちにも、科学調査を手伝ってもらいながら一緒に作っていくということをArCSIIIでは始めるとなっていますので、ここは波及効果とか、継承と拡大というところにうまくつなげればと期待しているところです。
 以上、追加でした。
【日野分科会長】  ありがとうございます。では、前川委員、お願いします。
【前川委員】  笹川平和財団、前川でございます。御報告、ありがとうございました。大変長期間にわたるすばらしい研究成果、非常に興味深く拝聴いたしました。私からは主に3点、質問させていただきたいと思います。
 まず1点目なのですけれども、通常、事業の評価を行う際にロジックモデルというものを組み立てて、インプットに対してどのようなアウトプットがあって、それがどういうアウトカムにつながるかという道筋を描くかと思うのですけれども、評価の際もそれを用いて、それぞれのコンポーネントに対して評価をしていくということで、恐らく研究計画とか、そういったものがあって、そこに向かって皆さんで研究を進めていたかと思うのですけれども、その実態も評価シートに照らし合わせて記述いただくと、より分かりやすいのかなと思いました。評価を行う際に、当初、実はロジックモデルはなかったけれども、評価の段階になって慌てて作るというようなこともあって、仮に後付けであったとしても、それがあるとないとでは、やはりあったほうがよりいい評価ができるという考え方もあると思いますので、1つ感想として申し上げたいと思います。
 2点目として、この460名超の研究者の方が関わり、戦略目標ごとの研究間のいろいろなインプットもあったということで、大変すばらしいと思います。この大型プロジェクトを遂行するに当たって、定期的な分科会ごとの意見交換や、知見の共有であるとか、このような大型プロジェクトを実施、運営する際のやり方として、非常にこういうことがうまくいったという、研究の進め方という観点からも一つの優良事例として発信をされるといいかと思いました。
 3点目ですけれども、非常に高い成果が書いてあって、あえてレッスンといいますか、改善点について教えていただければというのと、加えて、ArCSIIIにそのような教訓を生かしておられるということでしたので、発展的に教訓を生かしているということも評価に書いていただけるとよろしいのではないかと思いました。
 最後にコミュニケーションについて、様々な媒体を使って発信をされたということで、すばらしいと思います。どうしても学術論文というのは有料の査読論文で発表するケースが多いと思いますけれども、時として政策的な議論がどんどん進んでいる場合、オープンなソースで、かつ短いコメンタリーとか、そういったもののほうが浸透するという側面もありますので、タイムリーにいかに学術的な成果を発信していくかというところも非常に工夫をされているようですので、ひとつ重要な点としてコメントさせていただきました。
 以上です。ありがとうございます。
【日野分科会長】  ありがとうございます。
 1つは評価の仕方についての御提案、感想。2つ目は運用面について、今後も継続していくべきところがあるのではというような感想。4つ目が発信に対する努力についての評価をいただいたと思いますが、3つ目は、これ、御質問だったと思います。どういう教訓を得て、それに対してどのように対処し、あるいは次のArCSIIIにそれが引き継がれるのかというような論点での御質問をいただいたと思いますので、その質問についての御回答をいただければと思いますが。
【池島委員長】  池島ですけれども、これはArCSIIIをよりよく知っておられる榎本先生からお答えいただいてもよろしいですかね。
【日野分科会長】  はい。では、榎本委員、お願いします。
【池島委員長】  教訓と、それから、レッスンと、それから、それの引き継ぎ。
【榎本委員】  2番目のところの460名を超えるグループがどうつながるかといったところで、月に1回、統括役との会議を行いました。運営体制はヒエラルキーというか、ピラミッド構造になっていまして、PD、SPD、あとその下に4人の統括役、一番下に事務局があります。研究には、PIが11人いまして、40のその下のサブ研究課題があります。そのピラミッド構造の情報、交流、共有すべく毎月会合を開いていまして、それぞれの統括役の下に何が行われているかという交流をさせる、情報交換するというのがあったんです。といっても、自然科学はどうしても自然科学に向いていきます。
 社会科学も、自然科学の人の関心からは違うほうに向かうかもしれないということで、それをどうつなぐかというところで、会合の中でもいつも定期的に調べていたのは、計画、構成のところから、途中も含めて、あなたの研究課題は、戦略目標は別の戦略目標のどこにつながりますかをPIに言ってもらう。それはうまくできていますかということを繰り返し、繰り返しやっていました。うまくできる事例が出てきますので、なかなかうまくいかないものもありますけれども、事例が出てきますので、そういったものを全員に共有していく。全員、460名、なるべく全員が集まるような会合の中でも、そういった事例を見せていきました。
 あと、ArCSIIIにつながるところのレッスンと、あと残された課題なのですけれども、このプロジェクト中に運悪くコロナが発生しました。一方で、リモート会議というシステムが活用できるようになりました。それで、直接出かけなくても、なかなかふだんだったら聞けない他の分野の、他の場所でやっている会議を聞くということができるようになりました。それで、特に人文社会関係のほうからは、積極的にウェビナーが開催されまして、会場にわざわざ行って聞いてもらうのは難しくても、なかなか皆さん本当は出かけてまで参加しないのですけれども、ウェビナーになったら聞ける。そういったところのチャンスが、コロナになったおかげでリモート、Zoom会議、そういったところで生まれました。
 実は、GRENEのときにも他分野の話を聞いてください、ArCSのときも人文社会を一緒にしましょうということで、無理やり同じ部屋に入れても、自分の発表が終わったら帰ってしまうんですね。社会科学の人は、理系の難しい数値や用語が分からない。分かるように言ってくれない。で、帰ります。逆のことも起きてしまいます。それをなるべくなくすために、もっと簡単なところから、時間をたくさん使えるウェビナーといったところで、やりとりというのが膨らんできまして、それが共有するというところで効果が出ていたと思います。
 ただし、実際、プロジェクトをやるとすると、聞いて面白いねだけではなくて、実際、何をやるかまで決めないといけないということで、ArCSIIIでは最初の段階で、どの分野と分野を超えた人と、どういう交流を作りますかというのをしっかり組み立ててからプロジェクトを進めるようにされました。ArCSIIのときには、結構、自発的に、できたらやってください。できていますかというふうな問いかけだったのですけれども、ArCSIIIでは、設計段階のところから、ここはつながって一緒にやるというところが作られています。それがIIからIIIへ向けて改善されたところです。
【日野分科会長】  どうもありがとうございます。では、川辺委員。
【川辺分科会長代理】  東京海洋大学の川辺でございます。御説明ありがとうございました。ArCSIIについて、本当に大きなプロジェクトを、皆さまで進めてこられたことがよく分かりました。先ほど原田委員から、何を実施することとして設定し、何が達成されたのかというご質問がありました。また、前川委員がおっしゃられたロジックモデルが提示されれば、解決することかもしれませんが、事後評価票の書式(資料1-1の13ページ)を拝見すると、3ポツの評価結果として「課題の達成状況」があり、そのなかに必要性、有効性が並んでいます。評価項目は何で、評価基準は何で、具体的に何が達成されたのかを明示的に記載していただけると、より分かりやすくなるのではないかと思いました。
 一方で、事後評価結果(案)の資料1-3は、大変読みやすく、興味深く拝見しました。例えば10ページの「有効性」では、新しい知の創出への貢献として、さまざまなな取り組みが紹介されており、その内容がよく理解できます。ただ、そもそも当初何を期待していたのか、出発点がどのような状況で、そこからどれくらい進歩したのかが分かる形で示されると、成果の意義がより明確になるのではないかと思いました。榎本委員のお話を伺い、本当に皆さまの多大な努力があって素晴らしい成果を出されたことはよく分かりますので、もっと踏み込んで記載いただけると、そのすばらしさが、より明確に伝わるのではないかと思いました。
 以上でございます。
【日野分科会長】  ありがとうございます。これは事業そのものというより、評価のやり方についての話で、評価票のフォーマットとしてどうなのかということも多分御指摘があったと思います。そういう意味では、評価を実際におやりになった池島先生のほうでやりにくかったとか、もしそういうお考えがあったらぜひこの場でお伺いして、事務局にちょっと検討していただくのがいいかと思いますが、いかがでしょう。
【池島委員長】  ありがとうございます。先ほど原田委員及び今回、川辺委員の御質問にありました評価の仕方、いろいろな前と照らしてどうだったんだという、そのインプットとアウトプットの対象とか、どういうふうに照らし合わせて判断するのだ。その点はおっしゃるとおり、今後改善の余地があると思います。これ、今回は最初に評価の仕方というのが決まっておりましたので、その軸をいじることなく、それでやってきました。でも、仰せのとおり、我々もやっぱりもう少し工夫のしがいがあるのに、分かりやすいインプットとアウトプットの照らし合わせというのが、より分かりやすくなる仕方の評価票があるのではないかということは議論に出ておりました。ですので、次のArCSIIIが始まっております、その評価のところでは、それを反映させることができるような評価軸というものを新規に導入するように事務局のほうには伝えておりますし、その議論がぼちぼち始まっております。
 ですので、今の点、改めてここで感謝申し上げますとともに、我々もその点を工夫して考えていく必要があるのかと思います。ただ、同時に難しいのは、量で言う場合、論文を何本やります、3本書きますといったときに、じゃあ、4本出ました。じゃあ、これは1本、超えていたから計画を超えましたね、そういう単純な話でもなかったり、いろいろな理由から、違う形での成果の波及の仕方、アウトプットの仕方というものに変わったというデータベースが逆にできましたということもありましたという形もあるわけですよね。論文としての数は、実は行かなかったけれども、違う形に、そういうものはいろいろな形で、研究者の研究もいろいろな評価の仕方というのは、常にそういうことがあると思いますので、それの評価軸、評価指標というものを我々も考えていくことを事務局のほうにも伝えてあります。
 私のほうからは以上ですが、事務局のほうで補足があればよろしくお願いします。評価の点です。
【小野寺海洋地球課企画官】  ArCSのこの評価を行っていただきました事務局としましては、御意見を今回事後評価を実施したときに承っておりますので、次回の中間評価、また、事後評価のときに改善をしていきたいと思っています。
【日野分科会長】  ありがとうございます。非常にすばらしい成果が上がっている。その成果を正しく評価したということが、また外部の人に伝わる。どちらもすごく大事なところだと思いますので、必要に応じて改善をして進めていただければと思います。オンラインで2人、手が挙がっています。申し訳ない、字が読めないので。
【事務局】  藤井先生と原田先生。
【日野分科会長】  はい。それでは、藤井委員からお願いします。
【藤井委員】  御指名、ありがとうございます。水産研究・教育機構の藤井でございます。丁寧な説明、ありがとうございました。どういうことをやられていたか、よく分かりましたし、研究成果、いわゆる研究成果だけではなくて、国際連携、それから、人材育成にも大きな貢献がなされていたということで、高い評価というのには全く同感いたします。特にやっぱり北極航海に学生が60人も、定員をはるかに超えて応募があったというのは、そういう若い学生さんの目から見ても非常に魅力的なプロジェクトに映っていたということで、これはやっぱり偽りのない、このプロジェクトに対する評価の1つになるのではないかなと思ってございます。
 もうほかの委員の方から御指摘があって、お答えもいただいているんですけれども、私もやっぱり、でも、そもそもこのプロジェクトは何をどうしようとしていて、それに対して何がどこまでできたかという、そういう形での評価の見せ方をしていただければ、もっと分かりやすかったし、ほかのこのプロジェクトのことを最近になって知った人に対してもアピールできるのではないかと思いましたので、次のプロジェクトにおいては、この点、工夫いただければと思います。ここは既にお答えいただいているので結構です。
 それで、私、少し小さいことが気になったのですけれども、戦略目標か、これの4に社会実装の試行というのがあって、社会実装って、今どんなプロジェクトでも強く求められるところではあるのですけれども、特にこの手のプロジェクトで試行とはいえ、これを求められるのは、きついなと思いながら私は見ておりました。その中で、資料1-2の9ページ、主要な成果のところにドローンを使った観測の例がありますよね。9ページで、上の段の一番目立つところに挙げてもらっていたかと思うのですけれども。
 これが1-3の事後評価(案)に出てこないわけではないのですけれども、2ページ目の下のほうに「ドローン観測法の開発の社会実装における好事例も見られ」と出てくるだけで、この後の主要な成果であったりとか、特筆成果というところが全く出てこないんですよね。これは残念というか、どういう判断でこうなったかというのも1つお聞きしたいのと、これがうまくいっていれば、現在のArCSIIIに当然活用されていると思うのですけれども、先ほどこのArCSIIの成果がIIIにどうつながっていますかという御質問もあったかと思うのですけれども、そういうところをIIの成果として、これがどうIIIにつながっているかという御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。
【日野分科会長】  ありがとうございます。それでは、池島先生、いかがでしょうか。
【池島委員長】  ありがとうございます。ドローンについての書き方が少なかったということなのかもしれません。この点につきまして、我々として書いた点が不十分だったのかどうか全然分からないですけれども、事務局のほうとしては、これ、何かありましたですかね。
【小野寺海洋地球課企画官】  特段のことは承知していません。評価はきちんといただいたというふうに理解をしております。相対的に少なかっただけかなということで、決して評価が低いわけでは。
【池島委員長】  そういう感じなんですね。評価が低いわけではなく、もう少し大々的にというのであれば、これももう少し書けばよかったという言葉かもしれません。ありがとうございます。今後、気をつけたいと思います。
【藤井委員】  実用性があって、それから次への展開も期待できるというのであれば、そこはアピールいただかなかったのは、もったいなかったかなと感じた次第です。以上です。ありがとうございました。
【日野分科会長】  どうもありがとうございます。
非常に多く成果が上がっているので、なかなかバランスよく書くのは難しかったのかもしれないですね。でも、どうしても加筆すべしという強い御意見でないのであれば、抜けている、欠落しているわけではないと思うので。
【藤井委員】  いやいやいや、どうしてもと申しますか、主要な成果の6つの中に入ってきているものなんですよね。それがいわゆる事後評価書になるのか、これの本文のほうでの扱いが余りに軽いのではないかと。まあ、バランスの問題ですけれども、思った次第ですね。
【日野分科会長】  はい。分かりました。どうしますか。1行ぐらい書き足しますか。
【藤井委員】  何か最後のところに、これでもってArCSIIIの調査が効率化されているとか、より多くの高精度のデータが取れるようになったというところが入ってくれば、とてもいいのではないかなと。まあ、それだけのものができていればですけどね。思ったところです。
【日野分科会長】  ありがとうございます。御提案いただきましたが、まず、これの評価票の取扱いについてなのですけれども、これはもうでき上がっているのか、それともここで多少の添削をお願いして、だから、池島先生が責任を持って書き直していただいて、もう1回、これを開くということではないけれども、分科会長があずかって、それを確認するというような流れでもいいのであれば、事務局と少し作文のところ、改善をお願いするということもあり得ると思いますが、いかがでしょうか。まず、池島先生と事務局のほう。
【池島委員長】  ありがとうございます。もしそれが必要であるというのであれば、その旨、我々、すること、今後、事務局と検討の上、書き足すことは可能です。事務局のほうは、これは特に、この点はさらに付加すればいいというふうな形で、事務局はどうでしょうか。
【小野寺海洋地球課企画官】  はい。これ、もちろん事務局が勝手に作文するわけにいきませんで、これまでの北極域研究プロジェクトの委員の先生方のコメントとか御意見をもとにまとめているので、そういう中でなかなか多くのコメントが得られなかったという、実態としては、そういうことですが、ご評価いただきましたので、もう一度、委員の先生方の評価コメントを見直して、調整してみたいと思います。池島先生、また御相談させていただきます。
【池島委員長】  はい。若干つけ加えますと、この6件、ここに一応、主な成果という形で6つ挙がっているんですけれども、この6つがどれも等しく同じだけの貢献が、6分の1ずつかというわけでもないんですね。それは、じゃあ、どっちがどれだけ大きくて、どうだったかということをする場でもないので、これは1つの例として挙がっているという形だと思います。ですので、6分の1という大きさでドローンが、じゃあ、いや、もっと半分ぐらい取っていいよとか、そういう話でもないかもしれませんので、ちょっと検討させてください。ありがとうございます。
【藤井委員】  いや、そういう極端なことを申しているわけではなくて、本文のほうに全然出てこないというのは、どういうことかなと思う。特に特筆すべき例、成果の例では、6つどころか、もっといっぱい書かれているんですけれども、ドローンのことが出てこないというのは少し不自然に感じ――不自然というのかな、何でかなと感じた次第です。
 以上です。御判断はお任せします。
【日野分科会長】  ありがとうございました。改善の御提案をいただきましたので、もちろん全体のバランスというのもありますけれども、ぜひ委員長と事務局で、この大事な成果だと思いますので、ビジビリティが上がる工夫を考えていただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、オンラインでもう1人、これも字が小さくて、原田委員、お願いします。
【原田委員】  ありがとうございます。もう一つ、計画以上の実績、成果と書くと、何となく、その計画そのものが甘かったのではとも示唆されますので、例えば、当初の研究計画において予見していなかった成果について書きなさいというような評価の観点を示すのはいかがでしょうか。予見できなかった成果を示せることは、研究者にとってアピールするいい項目になると思います。
 評価する側も、ただ論文の数がこれ以上出たというような目標の数字と実績の数字が示されることを期待しているわけではなく、研究成果の内容として全く予見できていなかったこんなすばらしい、新しい成果が出てきて、これが全然想定していなかったこんな分野に、あるいはこういったところに波及効果があるとか、インパクトがあるとか、そういう成果を期待している審査員も多いと思います。
 以上です。多分、評価の観点の示し方の工夫次第ですごくいい内容を引き出せると思います。
【日野分科会長】  ありがとうございます。
 これも事後評価票の、多分、フォーマットに関することと思います。ただ、もう一つ、私の個人的な感想でいくと、今回のプログラムに関しては、サイエンスとして予期できなかったことではなくて、置かれた環境として予期できなかった、コロナであったりとか、ウクライナの問題であったりとか、それをいかにうまくマネージして、それで研究成果につなげてきたかという部分を多分、評価委員会の皆さんは評価されたのではないかと理解していますので、なかなか、何だろう、科学的にここまでできるはずが、ここまでできたというふうに整理するのは、今回のこの研究に関してはちょっと難しいのかもしれないなと思いましたが、そういう感想でよかったでしょうか、池島先生。
【池島委員長】  ありがとうございます。はい。委員長がおっしゃるとおりで、その部分、我々も考えました。計画は達成されても、達成されなくても、実は駄目だということがあります。計画が達成されたのは、当初の目標が低過ぎたからだ。そういう意見もあるわけで、それを考えると、アピール合戦の場、それだけ予見しなかったことというのが、どれだけ出てくるかというのは各分野によってもいろいろ違いますし、非常に難しいところだったということは、評価委員の先生方もそれぞれおっしゃっていました。我々もそういうところを全て勘案しました。それを考えた結果、やっぱり評価軸、評価の仕方ということを今後は工夫するという点が1つ、一番あります。今までの書き方では駄目で、それを考えなければいけない。
 ただ、今回のArCSIIについて、委員長がおっしゃったとおり、コロナ、これは誰も想定、ほとんどできなかった点であり、また、ウクライナの問題、これは北極研究の、特に北極域、これはロシアがほとんど大半というところを占めて、いろいろな意味で占めている以上、研究の遂行に当たって相当ArCSIIに関わった先生方は苦労されたということがあったと思います。この点を踏まえても、やはりいろいろな計画、よく達成したな、計画以上ができたなという評価があったのだと思います。その点についての評価の仕方を今後、委員会のほうでも議論して、より正確な、そして適切なものができるような形にしていきたいと思います。いろいろと御意見、ありがとうございました。
【日野分科会長】  ありがとうございます。では、河野委員。
【河野(真)委員】  早稲田大学の河野でございます。すばらしいといいますか、本当に多岐にわたる成果を挙げておられて、すごいなと感動しきりです。その上であえて申し上げさせていただきたいと思います。ArCSIIがArCSIIIにつながると考えますと、ArCSIIの成果をどのように次の段階に発展的に活かすのかという観点の評価は必要ないのでしょうか。
 すなわち、国家プロジェクトとして、これだけの大きな金額の予算を使い、かつ今後もさらに発展が見込まれる研究のプロジェクトであろうと考えられるだけに、やはりArCSIIの達成点とその先をさらに期待されることを評価書に書くべきなのでしょうか、それともArCSIIIの申請書の方に書くものなのか、私には分かりかねます。とはいえ、あまりに成果の記述ばかりが続くと、次の課題が見えないように感じます。このプロジェクトの場合には、当然、そうしたものがあるのだと思います。
 私は問題点や達成できなかったことを記載すべきということを申し上げているのではなくて、これらの成果が次にどうつながるのかということを何らかの形で示していただけると、次のプロジェクトにより説得性や、発展性が出るのかなという感想でございます。ありがとうございます。
【日野分科会長】  ありがとうございます。
 この辺は多分、事務局側に対する問題提起だと考えます。今、これは事後評価なので、もう既に動いたプログラムがちゃんとできて、成果。今も、今後の展望って、すごく短いところで、次に未来志向の発信があるわけですけれども、ただ、一方で、今、現実問題としては、もうArCSIIIが動き始めていますから、どういうふうにバトンを渡し、それを受け取ったのかというところが見えにくい状況になっているというのはおっしゃるとおりだと思います。それは評価をくださった池島委員長にということではなく、あるいは実際にプログラムをマネジメントされてこられた榎本委員に申し上げることでもなく、これはやっぱりプログラム全体をマネージしている文科省の皆さんが、このプロジェクトの流れで、それをこういう委員会もそうだし、あるいはほかの外に向かっても、どういうふうに見せていくかというところを考えていただければという問題提起だったと理解します。ありがとうございました。
【池島委員長】  すみません、私のほうから一言、今の河野委員の御質問というか、コメント、これは、実は私も同じく共有するところであります。実は、どういうことかというと、このArCS、その前のGRENE、ArCS、ArCSII、そしてArCSIII、これ、当たり前であるかのように5か年を4回ぐらいずっと続けてきているんですね。これは、実は別物であり、1つの研究は5年だけで、時限的なものであって、継続することが当たり前でやってきているわけじゃないんですね、本来的には。これは事実上、ほぼやる人たちが、当初からですよ、ある機構や、ある研究遂行の、そういう事業体というか、そういうものがある人たちがたまって応募している。しかし、毎年、ArCSが始まったときからですけれども、応募は1件であり、その人たちが研究を5年間で、次、これをやります。それについて認めて国家予算をくださいと。それに対して、これこれやるからという計画を出させ、それについて評価をして、認めるか認めないか、中間評価、そして最終的に事後評価をする、こういう形になったわけです。
 それが事実上、ずっと継続してきた。これをどう考えるかということなんですね。逆に言うと、複数の、本当に競争資金だけでも競争できる、実は機関、大学機関を含めて、研究機関が競争して事業を取り合う、そこに継続性は必ずしもないというものならば別なんですけれども、でも、これだけのものをオープンでやって、競争的資金であるにもかかわらず、事実上、GRENEのときから継続して名前を変えながらも変えてきた。そういうところに実はこの事業の根幹というものを見直す必要はないのかという大きな問題に、実は今のコメントであり、先生方の意見は集約するのではないかなと私はずっと評価をしてきて考えています。ですから、実は継続が当たり前ということではないので、事実上、ArCS、ArCSIIまでは継続しました。今、IIIが始まっています。でも、そのIIとIIIの間は当然であるかのように継続されることを前提とは必ずしもしていないんですよね。
 継続できたらいいし、北極研究というものは継続、継承、そして伝えられるべきという何らかの理解、共有すべき考え方があるからなんですけれども、この点については果たしてどうなのかという点は、実はすごく根本的な問題としてあるのではないかなと思っています。ですから、じゃあ、それを評価に書くということになると、IIとIIIをやる人が別だった場合に、継続されないことだってあり得るんですよね。今後、2つのとか、3つ、4つ、複数の人たちが応募してきて、そういう違う人がなったとか、関係ない人がなった。それがないから今は継続することになっている。じゃあ、これ、事実上、ほとんど同じところにずっと国家予算が5年おきに渡るのではないかという点、これはどうなのかということを本来的には考えなければいけないかもしれないんですね。この点だけはコメントとして、私としても委員長として評価してきて、私のほうからのお答えとさせていただきます。ありがとうございました。
【日野分科会長】  どうもありがとうございます。では、山本委員。
【山本委員】  河野委員の内容に一部関わることがあるんですけれども、私、見たのは、国際的な連携についてというのは、ちょっと注目しまして、このプロジェクトを通して国際的にも貢献できたという、アピールできる成果も数多くあるというのは確認できたので、これ、結構、すばらしいことだなと思っております。これもまた継続の話とかに入っちゃうかもしれないんですけれども、今回の成果の結果、さらに次のプロジェクト、関連は、継続するかどうかは、関連性があるかどうかというのは、今お話があったんですけれども、社会課題解決というのが次の主要なテーマにArCSIIIではなっていますので、そういった点で、今回の成果、結果がさらに国際的な観点で、国際的連携という観点で、ある研究テーマにつながるとか、社会課題解決のための国際連携の拡大とか、あるいは深まりとか、そういったのに具体的につながるというか、次に具体に何かこういったテーマが出てきましたよというのがあれば、すごく、それもまた成果となり得るかなと思ったんですけれども、そういった具体的案があったかどうかというのがまず質問としてあります。
【日野分科会長】  どなたに質問すればいいんだろう。どうしようかな。
【池島委員長】  事務局のほうがいいですかね。
【日野分科会長】  では、榎本委員。
【榎本委員】  先ほどの参考の資料1-2の6つの主な成果といったところにも入っていたのですけれども、右下の角のところに中央北極海無規制公海漁業防止協定への貢献というのがあります。下に研究者の名前を書いていますけれども、1人は自然科学の海上観測をする先生、もう1人は国際法の先生です。2人がどうやって仕事をしたのかといったところで、そして、この仕事のやり方がプロジェクトで大事だったんですけれども、さらにどこにつながるかというところでは、北極海の中央部、これは北極海の話は大体、北極圏に領土を持つ8か国の了解なのですけれども、中央部分は公海でして、どこの国の領海にも入らない。そこをどう扱うというところで、一気に漁業活動なんかやられると生態系が変わってしまうということで、何かが起きる前にあらかじめルールを作るということが、このときには行われました。
 2018年に協定が成立しまして、2021年、ちょうどプロジェクトの真ん中から発効するということになりました。何をやるかというと、中央北極海の調査をやって、2年ごとにレポートを出して、16年後にそれがどれだけ利用可能かという評価をするといったところで、もうプロジェクトのスケールを超えた長い期間のモニターが始まりました。そこに研究者が入っていきました。これからも続けてもらいたいところなのですけれども。そこに参加している国が10か国ありまして、北極圏の国、5か国、それ以外の国が5か国、日中韓、あとイギリスなど――イギリスは入っていないですね。北極圏以外が5か国なんですけれども、北極圏の国では実はロシアも入っています。ロシアもこの条約に残っています。
 海洋研究もやるというときに、ロシアという状況が、このプロジェクトの中で予測不能で始まってしまったんですけれども、まだ生きている幾つかのロシアの関わりがこの場所は、北極海中央部は残っているということで、科学がそういった国際協力の中でできる役割につながります。もともとの情報は自然科学者がだす。今度、みらいIIというこの中央北極海、氷で覆われているところにやっと入れる船が航行し始めます。そういったところでも日本の役割というのが求められていまして、その氷で覆われているところで、日本は情報を取り出してきて、こういった国際状況の中の自然科学活動につながる。あと、国際法の研究者との関わり、あと5か国の中で日本の役割というものを見せていくチャンスがやってくるというのが、国際連携、あと分野間連携、あと地政学的な緊張な状況でも生き残るという1つの例です。これが、これからどうなるのかなというのは、私も見ているところです。追加情報でした。
【山本委員】  ありがとうございます。そういったところは、この単体の成果の中には入らなくて、継続したことも出てきたというところも何かしら強調というか、もう少し強くといいますか、強調してもいいのかなと感じました。ありがとうございます。
【日野分科会長】  ありがとうございます。廣川委員。
【廣川委員】  JOGMECの廣川でございます。これまでの御説明と、あと委員の方のコメント、大体網羅されているので、私は1点だけ、気になっているところだけ申し上げたいと思います。
 もともとのこのプロジェクトの目標の中に、科学的知見を国内外のステークホルダーに提供するというものが目的としてあります。その中で例えばグリーンランドの現地住民の方に提供したり、そういうことはすごくやられていると思いますし、それから、国際連携で、研究者の方々にそれを引き継がれて、さらに研究が発展するということは、まさにされている。大きな成果を上げられるというところは、すごく評価しております。特に、現地での観測が伴う中で、このコロナ禍、あるいはロシアが絡むというところで、かなり研究者の方は苦労された。その中でたくさんの成果をあげられている、そこも評価したいと思います。
 その上でですけれども、国内外のステークホルダーに提供するというところでございますけれども、この地球環境問題全般そうなのですけれども、日本の国内の一般国民の方にちゃんとその成果を提供するというか、知らしめる――知らしめるという言い方はちょっとあれですけれども、ちゃんと事実をお伝えする。このように多額の税金を使ってすばらしい研究をされた、それを一般国民の方に還元するのは大事だと思っています。その点はあまり評価書のところで書かれていないのですが、実際、いろいろ活動されていると思っているのですけれど、例えば評価書の中につけ加えるとかし、より外の人が見たときに評価されるのではないかと思いました。その点、もし何かコメントがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
【日野分科会長】  これはまた、多分、プレイヤーの御意見を伺ったほうがいいと思う。榎本委員。
【榎本委員】  そのプロジェクトとしては、たくさんのことをやっていましたので、特にこのArCSIIからはサイエンスコミュニケーターという、元科学館で働いていて、理科系のドクターも持っている方が参加しまして、専門の知識も、あと科学館に来るような一般の人の関心も、さらに最初に1,000人の無作為の人たちのアンケートを取って、どの層がどれだけの知識や関心を持っているかというのを調べて、関わりが弱い層なんかも見ていきました。連続的に毎年一般向けの講演会をやって、北極のことを知ってもらおうといったところ、あと重点課題の2というのが、戦略的情報発信でした。情報をホームページに置いておいているので皆さん見てくださいよでは誰も見に来ないので、こちらから、この人にはこれを見てもらいたいというところに届けるというやり方をやりました。
 それは会社だったり、一般の人だったり、あとリピーターにはどんどん届くようになりますし、あと行政のところにも、そういったところは、戦略的情報発信のなかの政策対話というところでやっていて、そこはかなり成果が出て手応えもあったところなので、研究成果ではないですけれども、関心を持ち続けてもらうというところがありました。今すぐには、評価のどこにどう書かれているか分からないですが、結構、成果がでていて、次のArCSIIIでも、そこの経験はありますので、さらにつながれていくはずです。
【日野分科会長】  ありがとうございます。川辺委員。
【川辺分科会長代理】  ただいまのご説明に関連してお伺いします。例えば資料1-2の8ページでは、主な成果としてブラックカーボンの測定装置の開発や、寒冷渦の指標の開発が挙げられていて、すばらしい成果だなと思いますが、それをGoogleで検索すると、新潟大学の研究グループや東京大学の研究グループが開発したという記事は見つかるのですが、ArCSIIの取り組みについては全く出てこなくて、各大学が個別に実施しているかのような印象を受けてしまいます。これは大変もったいないことではないかと思いました。これは、文科省へお願いすることかもしれませんが、毎年約10億円の予算を投じられている事業ですので、どういう成果があり、社会課題の解決にどれだけ貢献しているかをもう少しアピールされてもよろしいのではないでしょうか。そうした発信が、次期予算の確保につながっていくかとも思うのですけれども、いかがでしょうか。
【日野分科会長】  事務局に対する提案だと思いますが、関連して評価をしてくださっていた池島先生のほうから感想、事実関係を求めるというのではなく、感想がもしあれば。
【池島委員長】  おっしゃるとおりで、ありがとうございます。タックスペイヤーというか、そういうのもステークホルダーとして大事だということであれば、それ向けの大きな還元の仕方として、そちらを強調して書くこともさらに可能ではあります。どこまでホームページや情報発信、その他やっているのか、いろいろなレクチャーをやったかとか、それから、また、書き方として必ずArCS関係者がやった成果は「ArCS」という言葉を入れなさいとか、そういうような形を徹底していくという形での協力を研究者にそれぞれ求めるということも今後は可能かもしれませんし、考えていくべきだと思っています。
 事務局のほうで何かありましたら、よろしくお願いします。
【小野寺海洋地球課企画官】  今の一般への情報発信も、もちろん積極的に取り組んでいますので、そこの点、評価書にもし加えるのであれば、もう一度振り返ってみて、また池島先生と相談して見直したいと思います。
【日野分科会長】  ありがとうございます。廣川委員、ありがとうございました。
【廣川委員】  できましたら、少しだけでもそういうところを評価書の中に盛り込んでいただければありがたいと思います。
【日野分科会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
【榎本委員】  今のところ……。
【日野分科会長】  では、榎本委員。
【榎本委員】  すみません。御指摘、ありがとうございます。新潟の先生、これ、プロジェクトの中でやっていただいているんですけれども、それを世間が伝わるときに、どこの成果なのかをきちんとというところは、こちらも確認したいと思います。
 あと、プレスリリースという方法も使っていまして、成果報告書の中には何件出しましたということは書いているんですけれども、やっぱり数字でして、何件のプレスリリース、その中まで追いかけることはできないのですが、この寒冷渦の話とか、あとJPCZ、昨日とか話題になりましたけれども、そういったところも実はプレスリリースの中に入っていますので、ですが、研究者の中にとどまってしまうと、民間、社会までは届かないので、何かもっといい方法は、次のArCSIIIのほうに伝えます。
【日野分科会長】  ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。では、兵藤委員。
【兵藤委員】  すみません、あんまりしつこく言うつもりはないですけれども、報告書の中を少し検討していただける可能性があるということだったので、人材育成のところは、重点課題の割には、これで本当にいいのかなというのがやっぱりどうしても私は引っ掛かってしまいまして、別にこれを増やしてくれと言っているわけではなくて、ちょっと書き方をもう少し、本当にやっぱりこれ、成果が上がったんだなと。これではあまり、それがピンと来ない気がするので、もう少し事務局、あるいは榎本委員のほうで御検討いただけたらなと思った次第です。ただ、最終的にこれでいいということであれば、私はこれ以上言うつもりはないのですけれども、もう少し何とかなりそうな気がします。よろしくお願いします。
【日野分科会長】  ありがとうございます。14ページの上から2つ目の項目ですかね。
【兵藤委員】  いや、10ページの最後から。
【日野分科会長】  10ページ、すみません。
【兵藤委員】  11ページの前半ですね。この3つ、項目が入っている人材育成の例というところ。
【日野分科会長】  はい。
【兵藤委員】  この3つの部分は、もう少し何とかなりそうな気が、私自身はしているんです。
【日野分科会長】  人材育成の例というところですね。
【兵藤委員】  はい。
【日野分科会長】  はい。分かりました。少し御検討いただいてと思います。ほかにいかがでしょうか。見延委員、お願いします。
【見延委員】  先ほどの情報発信の件です。プレスリリースとか、どうしてもプレスリリースをやると所属機関でプレスリリースをするんですよね。まず。そこにこれこれで助成を受けましたということが書いてあるんですけれども、それがたとえArCSIIと書いてあっても、プレスが実際に取り上げていただくとき、つまり、新聞に載るときとか、そこまで書いてくれないんですよ。そういうことで、どうしても新聞等では「新潟大学の」とか、「東京大学の」、そこまでしか出ないので、今、ArCSIIのホームページを確認しましたら、いっぱい成果の解説が書かれております。それは非常に立派な解説が書かれております。
 したがって、普通にGoogleとかで検索すると、そのプレスリリースのさらにメディアの受取り方とか、そういうのがどうしても所属機関になってしまう。これはしようがないのかなと思いました。私もプレスリリースを、いろいろな助成を受けてすることがありますけれども、なかなかどういう研究費を受けてというところまでは、実際には取り上げてもらえないというのが現状でございます。事情を分からない方もいらっしゃるかもしれないので、補足させていただきます。以上です。
【日野分科会長】  どうもありがとうございます。
 ArCSII、この後、ArCSIIIですけれども、やっぱり何だろう、結局、何だかんだ言って、長期的に継続していかなきゃいけないというのは、ある程度皆さん合意、一応、建前としては5年ですけれども、そういう意味では、このプロジェクトの長期的な継続性、より発展していくことを考えると、やっぱり情報発信、プログラムとしての情報発信であるとか、あるいはその中で出てきたグッドプラクティスは、もうそのプロジェクトに任せる。次のプロジェクトに任せますよというと、つながるかどうか分からないので、そういう事業化できるものはどんどん文科省のほうで引き取っていただくとか、そういう何だろう、長くやるのだったら、長くやるなりの仕組みの作り方で、それを次にどういうプログラムをトップダウンで検討するかというのに、この評価をうまく使っていただくというようなサイクルができればいいのかなと今日皆さんの御意見を聞きながら思っておりました。その辺も含めて、我々、どっちかというと海洋開発分科会ですので、そちらのほうをお願いする係かなと思うので、ぜひよろしくお願いします。
 ほかに委員の皆さん、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ということで、質疑応答が長くなりましたけれども、それでは、審議に入りたいと思います。資料1-2、1-3、「北極域研究加速プロジェクト(ArCSII)事後評価について」、「北極域研究加速プロジェクト(ArCSII)事後評価結果(案)」について、海洋開発分科会として案のとおり、結果として進めてよいかをお諮りします。もう既に少し御提案させていただきましたけれども、大枠これで御承認いただける。ただし、一部修正ということで、これは基本的には評価委員の池島委員、委員会の委員の先生方並びに事務局のほうにまずはお返しして、修正内容については分科会長の私のほうに、この委員会としては御一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
(「異議なし」の声あり)
【日野分科会長】  大変な宿題をいただいてしまいましたけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。それでは、議題(1)は、これで閉じさせていただきたいと思います。
 続けて議題(2)に入りたいと思います。議題(2)「海洋・極域分野の関連予算案について」、事務局より資料2について説明をいただきます。
【三宅海洋地球課長】  事務局の三宅でございます。私からは資料2に基づきまして、既に公開されている資料ではございますけれども、海洋・極域分野の研究開発における令和8年度の政府予算案と令和7年度補正予算案、こちらにつきましてごく簡単でありますが、御紹介をさせていただきたいと思います。資料、5ページございますが、全体の概要になっている1ページ目、こちらを中心にポイントを御紹介させていただきます。それでは、資料を御確認ください。
 全体ですが、右上のところでございますけれども、海洋・極域の研究開発への取組に関する令和8年度予算案は、前年度のほぼ同額の約400億円、また、令和7年度補正予算額は62億円となっております。予算、こちら、大きく4つの項目に分けて計上させていただいております。まず、左上ですが、地球環境の情報把握と観測データによる付加価値情報の創生、こちらにつきましては、令和8年度予算案額が208億円及び補正予算額約9億円となっております。こちら、JAMSTECを中心に研究船や探査機、計算機などの大型のプラットフォームの維持、運用経費を中心に関連項目の研究費も含まれてございますけれども、今回、この中には海洋開発分科会、こちらの海洋開発分科会で御議論いただき、御提言いただきました深海・海溝域の探査・採取プラットフォーム機能を有する新たな母船、こちらに関しての設計費を2.5億円計上させていただいているものでございます。
 続きまして、右上、海洋科学技術の発展による国民の安全・安心の貢献の項目でございます。こちら、令和8年度予算案額が35億円及び補正予算額が約20億円となっております。こちらでは海域で発生する地震及び火山活動の調査の観測やそのシステム開発、展開、また、フルデプス対応探査システム開発経費等のほか、補正予算ではJAMSTEC各拠点施設の老朽化対策等の予算を計上させていただいております。
 続きまして左下です。北極域研究の戦略的推進です。こちら、令和8年度予算案額が57億円及び補正予算額が35億円となっております。こちらは令和8年度に就航予定の「みらいII」の最終年度の建造と運用の関連経費は計上させていただいているほか、本日、御議論いただきましたArCSIIの後継プロジェクトであります北極域研究強化プロジェクト(ArCSIII)の経費を計上させていただいているところでございます。
 最後に右下、南極観測事業でございまして、令和8年度予算案額は59億円となっております。南極観測に係る「しらせ」の輸送にかかる経費を計上するとともに、観測に必要な経費を計上しているところでございます。
 説明については以上でございます。関連としまして、予算に関連しまして1点補足させていただきますと、今回、先ほど御紹介させていただいたとおり、深海・海溝域の探査・採取プラットフォームに係る、母船の設計に係る設計費を政府がさらに計上させていただいておりまして、こちら、国会の審議後、原案で成立しましたら具体の建造に向けた検討とともに加速をさせていただきたいと思っております。建造に当たっては、先ほど評価以降、議論させていただきましたけれども、文部科学省の研究及び開発に関する評価指針に基づきまして、こちら、海洋開発分科会での評価を実施するとともに、こちらにつきましては、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)における国家的に重要な研究開発の評価、いわゆる大規模研究評価の対象になるものと考えております。そちらのCSTI側の評価とも併せ、分科会のこちらの評価も含めて事務局と整理の上、御相談をさせていただければと思います。まずは事前の御案内ということでございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
【日野分科会長】  どうもありがとうございました。
 ただいまの説明について、御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。我々の分科会でこれまで議論してきた内容、いろいろ予算、施策に打ち込んでいただいて喜ばしい限りでございます。
 河野健委員。
【河野(健)委員】  JAMSTECの河野です。まず最初に超深海探査母船については、この分科会の先生方にも大変お世話になりまして、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
 ほぼJAMSTECの事業ですので、私が何かを言うのは、いささか違うかなとも思いますけれども、一般論を申し上げます。今、成長戦略、17分野というのを非常に重要視されておりますけれども、これの多くは成長戦略ということで、民間の会社の設備投資とか、民間の会社に何かお金を投資して、そちらの制度なり設備を整えるという方向に物事が進んでいますけれども、今後、世界を相手にして、そういった産業力、技術力を高めていくためには、設備がよいだけではもちろん駄目で、常にそこに世界最先端の技術を有していく必要があるわけです。
 したがって、成長戦略というから、必ずしも学術的なもの、ここで扱っているような、海洋開発分科会が扱っているような点は関係ないのだと決めてかからずに、例えば「みらいII」はちょっと遅いですけれども、砕氷船を造る技術は世界でも数か国しか持っていない。この技術を維持しようと思ったら、国がやはりそこに船を造るという形で投資をしていかないと続きません。「しんかい6500」については、この前も全く同じです。国以外に求めるところはないので、その技術を維持しようと思ったら、国がここに投資しないと、いずれ失われていくということです。
 したがって、今、ここの文章の中には成長戦略のことを一切書いていないですけれども、今後、こういった成長戦略の17分野、造船とか、海洋とか、エネルギーとかに海洋開発分科会での意見をうまく打ち込んでいくようなこと、こういうふうに基礎科学、あるいは技術開発が経済成長につながっていくのだというようなことをアピールしていくことが必要になるのではないかなと考えています。以上です。
【日野分科会長】  どうもありがとうございました。非常に大事な御意見、御提言をいただいたと思います。事務局側から何かありますか。
【三宅海洋地球課長】  ありがとうございます。御指摘のとおり、今、成長戦略の中で、17の分野の中で特に海洋の関係、造船の関係、議論が進められているところでございます。この海洋開発分科会でいただいた御提言や、当然、様々な諸状況、先ほど河野委員からも御指摘いただいたような諸状況も含めて、我々として事務局や関係の委員に対しまして、我々の考えていること、必要性についてしっかりと説明した上で、こちら、海洋の極域に関する研究開発の取組をしっかりと進めていきたいと思いますので、ぜひ委員の皆様にも御協力いただければと思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【日野分科会長】  ありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いします。また、委員の皆様にもぜひよろしくお願いいたしたいと思います。では、本件についてよろしいでしょうか。
【河野(真)委員】  1つよろしいでしょうか。
【日野分科会長】  はい。河野委員。今度、河野真理子委員。
【河野(真)委員】  今回、母船の設計に予算が付いたとのことですが、建造が終わり、就航できるのは何年度ぐらいを見込んでおられるのでしょうか。
【三宅海洋地球課長】  ありがとうございます。いろいろ設計も含めてJAMSTECともいろいろ相談しておりますけれども、まだ予算事でもございますので、現状、このタイミングでというところの見通し、正確なところは立っておりません。ただ、当然、背景には、もともと横須賀の母船自体の老朽化というものがございますので、それに対して対応できるように我々文科省としても対応していきたいと思っております。という状況でございます。
【河野(真)委員】  なるべく早く建造できるといいなと思って質問させていただきました。
【日野分科会長】  ありがとうございます。なるはやでお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。特になければ、これで議題(2)のほうも終わりにしたいと思います。
 それでは、その他がある。その他、事務局のほうで何か用意されているものはありますか。ないですか。
【事務局】  本日は、その他はございません。
【日野分科会長】  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして本日の議事は終了としたいと思います。最後に事務局から連絡事項等ありましたら、お願いします。
【事務局】  本日は、長時間にわたり、ありがとうございました。議事録につきましては、事務局にて案を作成し、後日、委員の皆様にメールにて確認させていただきます。次回以降の開催時期については、次年度に入ってからの予定で改めて御連絡をさせていただきます。以上でございます。
【日野分科会長】  ありがとうございます。それでは、これをもちまして、第76回海洋開発分科会を終了いたします。本日は、お忙しい中、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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