令和7年8月1日(金曜日)13時00分~14時30分
ハイブリッド(対面・Web)開催 ※傍聴は Web のみ
日野亮太分科会長、川辺分科会長代理、原田委員、榎本委員、川合委員、河野健委員、河野真理子委員、兵藤委員、廣川委員、藤井委員、前川委員、松本委員、見延委員、山本委員
古田大臣官房審議官、三宅海洋地球課長、後藤海洋地球課課長補佐、久嶋海洋地球課課長補佐、 ほか
【日野分科会長】 定刻より多分、数十秒早いと思いますけれども、始めさせていただきたいと思います。分科会長の日野でございます。
ただいまより、科学技術・学術審議会第75回海洋開発分科会を開催いたします。本日は、御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、事務局より参加者定足数の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】 ありがとうございます。
本日は、松本委員が遅参されるとの御連絡をいただいておりますが、14名中14名の委員に御参加いただいておりますため、科学技術・学術審議会令の第8条に定める定足数の過半数を満たしておりますことを御報告いたします。
また、7月に文科省に人事異動がありまして、海洋地球課長が中川から三宅に交代しておりますため、一言御挨拶させていただきます。
三宅課長、よろしくお願いします。
【三宅海洋地球課長】 7月日付で海洋地球課長を拝命しました三宅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私自身は、8年ほど前になりますけども、海洋地球課の補佐をやっておりまして、2回目の登板となるところでございます。当時で言うと、当時はまだ北極域研究センターという言い方をしていましたけれども、それをまさにこれからやろうというところのタイミングで一度離任させていただいたのですが、戻ってきたら、ちょうどみらいⅡが就航するタイミングということで、時間を感じております。引き続き海洋研究開発の振興に向けて努力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 ありがとうございました。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料1、深海・海溝域の探査・採取プラットフォームについて(提言)、資料2-1、OneArgoの実現に向けて、資料2-2、Japan Argoの実施状況とOneArgoに向けた課題、資料3-1、第33回ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)総会の成果について、資料3-2、「海洋生物ビッグデータ活用技術高度化」に関するシンポジウムについて、最後に、参考資料として委員名簿を御用意しております。資料の1から参考資料まで御用意をしておりますので、御不明な点がございましたら事務局までお知らせください。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日は、お手元にございます議事次第のとおり、3つ議題がございます。議題(1)が審議案件、議題(2)と(3)が報告案件となってございます。
まず最初、議題(1)について事務局より説明をいただきます。よろしくお願いします。
【事務局】 今、画面共有させていただきましたが、事務局のほうから資料1に基づいて御説明させていただきます。本件は、今年の4月と6月に海洋開発分科会で議論いたしました深海・海溝域の探査・採取プラットフォームについて、分科会の提言として取りまとめるべく事務局でまとめた提言案となります。提言の形としては、ドキュメントではなくてパワーポイント形式で取りまとめる予定でおります。
それでは、内容について御説明させていただきます。2枚目でございます。まず、背景として、深海探査の意義を記載させていただいております。我が国の排他的経済水域(EEZ)の面積の約半分が水深4,000メートルであり、EEZ内の5,000メートル以深の体積がまた世界1位であることから、我が国は四方を海に囲まれるだけではなく深い海も多いという深海大国でございます。
加えて、深海は海底地質ですとか生態系の調査を通じた環境変動等の解明、多様な鉱物・生物資源特徴把握、海洋プラスチック汚染等の環境影響モニタリング、海溝型地震発生・海底火山活動のメカニズム等の解明に不可欠なフィールドでございます。そのような観点でも科学的・社会的に見ても深海探査の意義は非常に大きく、深海探査能力の維持・強化は不可欠であると考えてございます。
次のページ、3枚目でございます。そのような深海大国である我が国の深海探査の現状と課題といたしまして、まず、深海探査機について大別するとHOV、ROV、AUV、既に御存じかと思いますが、航行型AUVうらしまは、国内では、現在、後ほど説明しますが、一番深くまで潜水できる探査機の1つでございます。一方で、航行型AUVは機能的特徴から、HOVやROVが得意とする試料採取などの調査・作業を代替することは難しいといった特徴がございます。このため、水深6,000メートル以深での試料採取などの調査・作業可能な我が国探査機は、しんかい6500のみというのが現状としてございます。
一方で、下のところに図としてまとめさせていただいておりますが、海外では深海探査能力は向上している状況でございます。市販の無人探査機で水深6,000メートル級の探査を行うことも可能となっている状況であることからも、かつて世界1位だった我が国の深海探査能力が、実質は他国から現状遅れをとっていることは否めない状況でございます。そういった背景からも各種深海探査機の開発、ないしはそれらを搭載可能な母船を含めた新たな探査・採取プラットフォームの構築が急務であると考えてございます。
次、4枚目でございますが、さらに現状について御紹介いたしますと、こちらはしんかい6500とその母船であるよこすかでございますが、どちらも建造後35年近く経過している状況でございます。特によこすかについては老朽化が激しく、減肉や配管破孔、搭載機器の経年劣化、機器本体の製造終了や部品の入手不可という事態が発生してございます。そういった背景からも抜本的な対策が急務という状況です。また、しんかい6500についても、引き続き安全に運行するためにも必要な老朽化対策を取らなければならないというのが現状としてございます。
次のページ、5ページ目でございますが、そういった老朽化の実情もある一方で、先ほど話も出ましたが、JAMSTECで新たな深海探査機の開発に努めているところでございまして、2つ御紹介させていただきます。
1つは、左側にございますランダーと小型AUVを搭載したフルデプス無人探査システムでございます。こちらは、まだ研究開発中なところではございますが、既に、例えばランダーについては水深9,200メートルにおける作動試験の実施等も行っているところでございます。
もう一つは、右側にございますうらしま8000でございます。こちらは先日、既に報道などでも出ているところではございますが、これまで3,500メートルまで潜水可能だったうらしまをJAMSTECにおいて改造いたしまして、現状、水深8,000メートルまで潜水可能としているところでございます。先日、試験航海を行いまして、国産航行型AUVとしては、最高深度である水深8,015.8メートルへ到達の上、地形データ等の取得もしたところでございます。
このようにJAMSTECの強みを生かした技術開発を行いながら深海探査機の開発に努めているところでございます。
続きまして、6ページ目でございます。これまで御説明差し上げたとおり、探査機の技術開発などは順調に進めているところでございますが、うらしま8000、しんかい6500ですとかしんかい6500を搭載する母船であるよこすかについては老朽化が著しいところでございます。また、よこすかが搭載できる大型探査機は1つでございまして、例えばうらしま8000で詳細な地形調査を行った後に別の探査機でサンプリングを行う場合、一度港まで戻って大型探査機を入れ替えて再度、海域まで航海する必要がございます。
以上の現状や課題を踏まえまして、このたび御提案するものが、ページにございますとおり、深海・海溝域の探査・採取プラットフォームとなります。中ほどにございますとおり、こちらのプラットフォームは、新たな母船と各種深海探査機で構成されるものとなります。このプラットフォームを活用することで、第4期海洋基本計画の支柱である我が国の海洋の安全保障及び持続可能な海洋の実現を目指して、防災、環境資源分野等の新たな科学的知見を創出しまして、社会課題の解決に貢献することを想定しております。
また、こちらのプラットフォームは従来の研究航海に比べ、先ほど申し上げましたとおり探査機同時搭載が可能であることから、1研究当たりの航海日数・探査時間の短縮が可能であると考えてございまして、試算によると約3倍の効率化となる見込みでございます。
加えて、探査機の着水揚収システムを見直しまして、スイマーによる作業を大幅に減らすことで、作業の省人化やリスクの軽減を可能とする予定でございます。
そのほか深海探査において幅広い産学官の利活用を促進するためにも、研究コミュニティー及び産業界に広く研究機会を提供するとともに、新たな探査機の開発から実用までの共用基盤として提供することを考えてございます。
続きまして、それでは、このプラットフォームによってどのような科学的知見や研究が生まれるのかにつきまして、期待している研究例を第4期海洋基本計画の支柱に基づきながら御説明させていただきます。
まず、1つ目の総合的な海洋の安全保障への貢献についてでございますが、大きく3つございます。まず、1つ目が海域における地震・津波・火山噴火に対応した防災研究でございます。2つ目が海洋状況把握に貢献する研究、そして3つ目が海底鉱物資源に関する研究を想定しております。
1つ目の防災に関する研究でございますが、まず、現状としまして、非常に広い海域に地震発生源ですとか津波発生源ないしは海底火山が多くございますので、その地震・津波におけるポテンシャル評価に関する高分解能地形調査というのが現状不十分という課題や、海域火山の地殻変動観測や活動履歴につきまして未把握といった課題がございます。これらについて、プラットフォームを活用することによりまして、迅速に海底の高解像度地形ですとか地下構造の把握、地殻変動観測等が可能になり、地震・津波の影響評価ですとか火山噴火のリスク評価が可能になることを期待しております。
続きまして、MDAに貢献する研究でございます。背景でも御説明いたしましたとおり、我が国は深海大国でございます。一方で、深海状況を把握する手法は非常に限られておりまして、調査できた海域もごく僅かでございます。こちらにつきまして、プラットフォームを活用することにより、迅速に深海底の状況把握に資する各種調査観測データの取得が可能となることを期待しております。
3つ目が鉱物研究でございますが、JAMSTECはJOGMEC等とも協力しながら海底鉱物資源の成因理由の解明などを行っております。一方で、日本近海の海山に広く分布すると推定されております海底資源の成因理由・産状・分布などは、いまだ不明なところが多くございます。これについて、プラットフォームを活用することによりまして、JAMSTECの強みを生かした、例えば海山全体の高解像度地形調査ですとかクラスト被覆調査、一部コア資料採取などを踏まえた科学的情報の提供が可能となることを期待しております。
以上が、1つ目の総合的な海洋の安全保障に貢献するプラットフォームに期待する研究例となります。
8ページ目に、2つ目の持続可能な海洋の構築への貢献でございますが、大きく3つ、こちらもございまして、海洋プラスチック動態の把握ですとか、あとは生物多様性研究、ないしは深海バイオリソースの利活用研究などを想定しております。
1つ目でございますが、いわゆる海ごみやそれによる汚染の研究についてです。昨今、海ごみが非常に社会的問題となっておりますが、こちら、海面に浮かぶごみだけではなくて、深海底に漂う、もしくは蓄積するような海ごみもございます。特にマイクロプラスチックなどの海ごみは、海洋生物への影響も与えていると言われているところでございますが、それらの分布に関する知見は、今のところまだほとんどない状況でございます。こちらにつきまして、プラットフォームを活用することに、集積が見込まれる大陸斜面-海溝の精密地形調査ですとか輸送経路解明のための海ごみ採取、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響の把握などが可能となることを期待しております。
続いて、2つ目の生物多様性研究についてでございますが、沖合海底自然環境保全区域の生物多様性把握とモニタリングが必要な一方で、定量的把握ですとか保全に必要なデータは不足している状況でございます。こちらにつきまして、プラットフォームを活用することによりまして、例えば伊豆小笠原海溝ですとかマリアナ海溝といった海溝域における生物採取や、そこからハビタットマッピング、ないしは食物網構造などの生態系状況把握などが可能となることを期待しております。
最後に、右下にございます深海バイオリソースの探索及び利活用研究と記載しているところでございますが、こちらは右の写真にもございますように、例えばですけれども、鉄のうろこを持つ生物ですとか有用酵素を持つ生物など、学術界だけではなくて産業的にも有用な機能を秘めている深海生物がもう既にいることが分かっております。しかし、深海ですとか海底下の微生物の99%以上はまだ未知であり、データが不足しているという状況がございます。こちらにつきまして、プラットフォームの活用により、微生物や深海生物などの採取が可能となりますので、我が国独自の学術分野や文化の発展ですとか国際的バイオリソースシェアの拡大など、そのようなことが広がるということを期待しております。
以上、深海域はやはり未知・未把握が非常に大きなフロンティア領域であると我々考えてございます。ですので、そのような深海・海溝域をフィールドとして、様々な分野からアプローチすることにより、新しい科学的知見、社会的課題の解決に貢献することを期待してございます。
続きまして、9ページ目でございます。先ほど少し触れましたが、プラットフォームを構築する母船ですが、目指すべき機能として幾つか記載させてございます。まず、これまで何度か申し上げましたとおり、調査対象や目的などに基づきまして、深海探査機を適切に組み合わせることによりまして、最高効率のサンプルリターン機能を実現することを大きな目標としてございます。こちらについては、次のページでも述べさせていただきます。
そのほか、省人化、自動化技術を取り入れることによって、スイマーレスでの着揚収機能でございますとか、探査機等の安全かつ効率的運用機能の整備、もしくは、3つ目にございますとおり、陸電の活用等による環境へのインパクトの最小化、ユニバーサルデザインの採用等による研究者を含む乗船員の居住性への配慮ですとか、あとは通信環境の整備といったところをしっかりと構築していくことを目指したいと考えてございます。
次のページでございます。先ほど少し触れさせていただきましたが、同時搭載によってどういった効率化ができるのですかという御説明でございますが、1つの例といたしまして、東北沖の海底地滑り地形の把握を例としまして御説明差し上げます。こちら、中ほどに拡大図と断面図載せておりますが、イメージといたしましては、まず、航行型AUVであるうらしま8000を用いまして広域の地形調査を行い、ターゲット地点ですとかサンプルを特定いたします。従来であれば、この後一度、港まで戻って、しんかい6500などに搭載し直す必要があったのですが、今回新しく考えておりますプラットフォームといたしましては、その航海へ出た流れで、例えばしんかい6500による地滑り地形の正断層ですとか滑落崖の観察ですとか、ピストンコアラーによる堆積物採取ですとか、フルデプス無人探査システムが開発されたときには、例えば深海底、超深海まで行ってしまったタービダイトなどが蓄積したとしても、そこまで行って観察ですとかサンプル採取などが可能となることを想定してございます。このように、これまで往復していた研究航海が1つの航海で行えるような研究も増えてくるということを考えてございまして、試算では約3倍の効率化ということを目指してございます。
続きまして、11ページ目でございますが、最後に、これまで研究のお話を差し上げたのですが、こちら、プラットフォームに関して研究以外の貢献についても御説明差し上げます。
まず、社会的貢献でございますが、これまでもJAMSTECは深海探査能力を生かして、深海に落下物が沈んでしまった場合の調査に協力してきてございます。例えば、最近ですと海上自衛隊のヘリ捜索でございますとか、あと戦闘機捜索に係る海域調査への協力でございますとか、20年以上になりますが、過去にはロケット機体の捜索ですとか、対馬丸の調査への協力も実施した経歴がございます。これら探査は、やはり深海探査が行われる関係機関や関係者の協力がなければなし得なかったことであると考えておりますが、JAMSTECもその1つの重役を担ってきたと自認してございます。今回提案してございます深海・海溝域の探査・採取プラットフォーム、また、緊急時における社会的貢献の一助になると認識してございますので、深海・海溝域にアクセスできる能力を途切れることなく維持するためのプラットフォームの構築が必要だと考えてございます。
12ページ目でございますが、また、経済的・社会的効果といたしまして、例えば経済的効果といたしましては、このプラットフォームは新技術創出の場ですとか洋上ラボとしての活用も想定してございます。既にJAMSTECは大学等と連携しながら新技術の創出等に努めているところでございまして、例を少し、こちらにも書かせていただいておりますが、最近では東京大学さんや東京理科大学さんとJAMSTECが連携しながら、微生物により生分解される透明な紙コップの研究開発なども行ってございます。こちらは実際に深海などに沈んでしまった場合に、本当に生分解されるのですかというのをやはり実施をしなければならないというのも当然ございまして、そういったときにJAMSTECが有しております深海探査能力というところが非常に活用されてくるといったことがございます。そのほか、先ほどバイオリソースの話でも少し述べましたが、深海生物が有する特別な酵素の産業利用など新しいビジネスの創出機会の提供なども行っているところでございます。一方、まだまだ未知な部分、未把握な部分が深海には多くございますので、こちらは新技術や新ビジネスの創出につながる可能性を秘めていると考えておりますが、こちらはプラットフォームをそのような機会の提供の場に活用されると考えてございます。
加えて、右側にございますとおり、最先端の観測技術や調査技術を大学、研究機関、企業、国民など様々な方に提供することによりまして、次世代の海洋人材の育成ないしは国民が海洋の魅力に触れる機会の創出にも貢献できると考えてございます。
以上、科学的知見の創出のほかにも、例えば緊急時における深海捜索ですとか新技術、新ビジネス創出の機会提供、海洋人材育成にも寄与していくことができると考えてございます。
13ページ目が、以上の御説明をまとめたものになってございます。こちらは割愛させていただいて、最後、14ページ目に、1文でまとめさせていただいた記載がこちらでございまして、深海大国である我が国として、海洋の安全保障及び持続可能な海洋の実現に資する深海・海溝域の探査・採取プラットフォームを構築し、海洋における防災、海洋状況把握、鉱物、環境、生物等の分野において世界をリードする研究開発を実施すべきである。
以上が、深海・海溝域の探査・採取プラットフォームに関する提言案となります。
私からの説明は以上となります。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。
今期に入って2度部会をやっています。4月と6月です。この内容について今まで皆さんの御意見をいただいてきたところですけれども、それに基づいて、今、事務局から提案があったような形で提言を本分科会から出すということで、皆さんの御意見をいただいて、あるいは承認をいただければ、ここで確定ということで出していきたいと思います。
ちょうど1年前の前期の部会ですけれども、そこでは今後の深海探査システムの在り方ということで、分科会からやはり提言を出させていただいているわけですが、一段と具体的な中身が詰まったものにして提案をいただいております。
それでは、早速、委員の皆さんから御意見等、賜りたいと思います。オンラインの皆様は挙手ボタンをお使いになって御発言ください。よろしくお願いします。私はちょっとよく見えないで、もしあったら、事務局のほうで確認いただいて、お声がけください。
原田先生、よろしくお願いします。
【原田委員】 詳細な御説明ありがとうございました。
今回まとめていただいた提言は、どちら向けにどのように今後提出をされて、どう使われていこうとしているんでしょうか。その辺も少し御紹介をお願いいたします。
【事務局】 ありがとうございます。
まず、こちらは分科会、公表差し上げているものでございますので、この提言も公表して、関係各所、例えばですけども、当然ながら、今、我々としても来年度の予算に向けまして概算要求などを取りまとめていっているところでございます。まず、そのような予算要求などにも使用させていただくことはもちろんながら考えてございますし、あと、そのほかにも世の中、例えば国民の皆様方ですとか、あと研究コミュニティーの方々、もしくは、もちろんながらそこの中には国会議員の方々も含まれていると認識しておりますが、そういった世の中に対しても発信していくことを考えてございます。
【原田委員】 ありがとうございました。
今現在動いている海洋基本計画の重点施策があります。その中で、今回、この深海に絡んで提案されている内容としてAUVは含まれていますが、重点政策ではカバーし切れていない部分の御提案もあると思いますので、積極的に内閣府海洋本部等への働きかけを、引き続きお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
事務局、よろしくお願いいたします。
それでは、今オンラインで手が挙がっていらっしゃるのが榎本委員ですね。お願いします。
【榎本委員】 榎本です。
タイトルで深海・海溝域の探査・採取プラットフォームについてというところでたくさんの資料をまとめていただきまして、深海・海溝域の探査がいかに重要であるか、あるいは、これから進めていくことが喫緊の課題、急いで作業すべきというところ、よく分かりました。
それで、一番最後の提言のところに、最初のタイトルのところもそうですけれども、プラットフォームという言葉が使われています。プラットフォームって何なのかなというのが、ずっとなかなか見えなくて、途中で、深海探査プラットフォームというのが6ページになって初めて出てきまして、船とこの探査機がセットで表現しているんだというふうなことが、ここで分かりました。ここで、こういう情報が提供されている。
これでプラットフォームというのは、真ん中でプラスでつながれていますけれども、母船と各種探査機、これ全体をプラットフォーム。提言もプラットフォームの提言ですし、最後の取りまとめの言葉のところもプラットフォームという言葉が使われているんで、船の重要性も途中で説明されているし、あと作業の効率化といったところも言われているんですけども、これ、タイトルとか最後だけ見ると、しんかい6500とか探査機だけにフォーカスして読まれそうで、船の関わりがちょっと見えないような気がしました。
ご説明をお聞きした印象です。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。
ちょっと表現の仕方ですかね。あるいはタイトルなので、この定義がもうちょっと頭のほうにあったほうがいいのかもしれないということかもしれませんが、事務局、いかがでしょうか。
【事務局】 分かりました。榎本先生、ありがとうございます。
一度度検討させていただければとは思うのですが、今おっしゃっていただいたとおり、我々としてはプラットフォームというのは母船と探査機の加算したものだと考えてございますので、もう少し母船が分かるように、もっと押し出せているような形にちょっと修正したいと思いますが、それでよろしいですか。
【三宅海洋地球課長】 前半のほうにプラットフォームが何かということがあまり言われていないことが、多分、要は最初見たとき、ずっとAUVであったりとかいう話が中心になっていてということで、ちょっと分かりにくいということだと思いますので、ここで議論として扱っているものはプラットフォーム全体の話ですよ、というところが何かしら、前半がどうしても現状と課題をまとめたものなので、どうしてもそれが出しづらいところがあるんですが、ちょっと何かしら工夫を、すみません、今アイデアがないのですが、もしあれば御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
榎本委員の御懸念は全くごもっともだと思いますので、工夫していただければ。趣旨はもう皆さんで共有できていると思います。よろしくお願いします。
続いて、藤井委員、お願いします。
【藤井委員】 御指名ありがとうございます。水産研究・教育機構の藤井でございます。
先ほど、御発言なさった原田委員、それから榎本委員とも重複するんですけれども、私も最初に気になったのは、この提言はどなたに向けてどういう形で発信するのかというところでした。と申しますのも、榎本委員から御指摘のあったプラットフォームという言葉、それから深海大国という言葉も、我々委員は分かるんですけれども、国民にとってはまだまだ耳新しい言葉、省庁の方でもぴんとこない方もおられるかと思うんです。なので、多分、このスライド全部を通して読めばよく分かるんですけれども、最初のスライドと最後のところに出てくる言葉が分かりやすいような構成というのを考えていただければと思いました。深海大国というのは最初のほうに出てくるのでまだ分かりやすいんですけれども、プラットフォームは真ん中辺まで行かないと分からないというところもありますので、ほぼ重複した意見ですが、御検討よろしくお願いします。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
これも事務局のほうで併せて御検討いただいてということだと思います。
続けて、今度、前川委員、お願いします。
【前川委員】 ありがとうございます。笹川平和財団の前川でございます。御説明ありがとうございました。度々のご検討もありがとうございます。
先ほどの御質問とも関連するのですけれども、これが誰に向けての提言なのかという部分で、予算要求も踏まえてというお話でしたが、それぞれのコンポーネントの予算の規模感というのはどのようなものでしょうか。もし、現時点で積算等があれば概要を教えていただきたいのと、それから深海探査の国際比較の図がありましたが、そういったものも、例えば各国でどのような予算規模で投資がなされているのか、累積と、あと単年度で、そういったことも分かると参考になるのではないかと思いました。
以上です。よろしくお願いいたします。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
では、課長。
【三宅海洋地球課長】 規模感の話になりますけども、今回御提案いただいたプラットフォームの在り方、現状、しんかい6500の母船として運用している状態から、新しくこのような複数台というふうな話をいただいた中で、今後これを前提に具体化をしていくことになるかと思っております。その中で具体的な設計の話であったり、あと今の市場の状況、船の状況も含めて、ちょっと内容詰めていく段階で、また、我々としては予算要求の形で数字というのは示させていただく形になりますので、現時点でこれこれという数値というのは、なかなかお示しは難しいのかなと思っております。
あと海外の状況についても、どういう積算をしていくかというのは結構難しいところでございまして、あとは、なかなか予算上の話もオープンなっていないこともありますので、対外的に見せる資料として数字を示すのは難しいかなと。これは政府内での議論の中でも当然問われてくることでございますので、そういうところの情報というのは今後も収集していく必要があると思うのですが、ちょっとこの定義の中では、なかなかその数字も含めてお示しするという形は現状難しいかなと考えていまして、御容赦いただけると幸いでございます。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。よろしいですか。
では、川合委員、お願いします。
【川合委員】 7ページ目をお願いします。この次です、すみません、こちらです。
研究例を具体的に挙げるのは非常に大事で、必要性をアピールするページだと思うんですけれども、この左の1つ目の目的、課題に、防災なんですけれども、火山とか地震、あと海底地形調査と書いてあって、右側のMDAのほうもほぼ同じような印象があるんです。図を見ると、うらしまによる海底地形ですし、以下の実現を期待というところにも、地震とか火山活動とかいうことが書いてあって、ちょっと左の1つ目と2つ目の違いが分かりにくい紹介になっているんじゃないかなと思います。MDAって地形だけとか、火山、地震以外にもいろいろなパラメータが関連すると思いますので、もうちょっと別のものを入れたほうが、違いが分かるのではないかなと思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
【事務局】 承知しました。検討させていただきます。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
それでは、オンラインの方はこれで、今、見えている限りでは。こちらにいらっしゃる皆さんのほうから御意見をいただきたいんです。
では、川辺委員、お願いします。
【川辺分科会長代理】 東京海洋大学の川辺でございます。
資料についてお伺いして、非常に完成度の高いものだなと思いましたので、今さら申し上げるのはどうかと思うのですけれども、最後に「プラットフォームを構築し、いろいろ研究開発を実施すべきである」ということが提言なので、これが前にあって、そのあとに、プラットフォームというのはこういうものです、という説明があって、先ほど御質問があったように、そこではこういう研究開発ができるんですよ、だからこういうのをつくりましょう、というふうにまとめられたらばどうかなと思いました。
【事務局】 承知しました。おっしゃるとおりのところが、これまでの委員の皆様方の意見も踏まえまして、そうですね、プラットフォームの内容を最初に持ってくるとともに構築すべきというところも初めのほうに持ってきて、まず、プラットフォームの説明もできるような形の案にしたいと思いますので、事務局のほうで修正いたしたいと思います。
【日野分科会長】 そうですね、今プラットフォームの構築を提言するので、ちょっと御提案があって、ちょっと順番を入れ替えたほうが分かりやすくなるのですね。
【事務局】 はい。
【日野分科会長】 ほかに。では、兵藤委員、お願いします。
【兵藤委員】 東京大学の兵藤です。
1つは今のと関連することで、私も、最初に何か用語集的なところを1枚入れて、非常に大事なキーワードを幾つか説明をするというページを1つ入れておくと、多分その後、そのキーワードがずっと頭に残るので、読みやすくなるのかなというふうに。今、川辺委員のおっしゃったことと多分同じようなことになるかと思います。
それからあともう一つ、今回、この技術によっていろいろなことができる、いろいろなことをするということは、ものすごくたくさん書かれていて、最後、例えば12ページのところで、新技術創出という言葉があったときに、探査技術自身についても、今後やはり日本がかなり、今までは非常にいいレベルにあったのに、今、なかなか取り残されているというのをずっと書かれていて、探査技術自体、あるいはそういったことについても、やはりこれから頑張るんだというところ、一言何か入っているといいかなと思いました。何をするというところも非常に大事だと思うんですけれども、そういった技術を、やはり我が国がずっと、ほかの世界と戦える状態にしておくということが、どこかに入っていると非常にいいかなと思いました。よろしくお願いいたします。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
これも御提案をいただいたということで、事務局、よろしくお願いします。
では、河野真理子委員。
【河野(真)委員】 早稲田大学の河野と申します。よろしくお願いいたします。
2点、コメントをさせていただきます。まず、恐らくもうほとんどの委員の方の御発言と内容的には同じなんですけれども、プラットフォームをつくることと、それから先ほど調査研究の効率化ということをおっしゃったんですが、この点についてあまり国際比較がないといいますか、すなわち3ページで、機器に関しての国際比較のページはあるんですけれども、ほかの国は、それをどういうふうに使っているのか、あるいは、ここでおっしゃっている効率化というのが、外国と比べたときに、どの程度優れているのか、あるいは、まだ、それでも開発の余地、変化をさせる余地があるのかという、その辺りの比較が分からないなという印象でした。やはり、この点は、いかにうまく機器を組み合わせて深海底の調査をするかということが、実はこのプラットフォームが大事だということに直接つながってくると思いますので、その点、何か示す余地はないのだろうかというのが、まず、第1点目です。
それから第2点目なのですけれども、2ページ目の深海探査の意義という、ここなんですが、この深海探査の意義に関しては、後に、7ページ以降に、期待する研究例という形で例として出てくるんですけれども、実は深海探査をして研究をすることが、ここで言う総合的な海洋の安全保障とか、持続可能な海洋の構築にどれだけ意味がある研究なのかというか、どういう探査なのかということが、実は、この箱が、2ページの箱が2つに分かれていて、この2つが、どれがどういうふうに関わるのかというのが、うまく必ずしも伝わらない。後々まで研究例を見て、初めてこういうふうにつながるんだというのは分かるんですけれども、その辺りはもっと端的に、安全保障にはこういうふうに関わるんだとか、それから持続可能な海洋の構築にこういうふうに関わるんだということを端的に示されてもいいのかなと。そうすると、深海探査というのが社会的にどれだけ重要であるかが、もっと分かりやすくなるような気がいたしました。
以上、2点でございます。
【日野分科会長】 2点、質問かな、いかがでしょうか。
【事務局】 まず、効率化に関する国際比較につきましては、すみません、今、手元に情報がないので、ちょっとお答えが難しいのですが、確認をさせていただきつつ、もしも示せる内容がございましたら、今回の案にも、どこかしらに記載できればと思っておりますが、記載できる案があるのかどうかも分かりませんので、そこは確認させていただきます。
2点目につきましては、一度、やはりこちらについても書き方や見せ方の問題かと思いますので、一度事務局内で検討させていただきます。
【日野分科会長】 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。では、川辺委員。
【川辺分科会長代理】 1点ちょっと気になった言葉があります。「持続可能な海洋の構築」という言葉があるのですけれども、「持続可能な海洋」とは何かがよく分からなくております。持続可能な利用なら分かるのですが、どうなんでしょうか。
【事務局】 海洋基本計画の文言ではあるんですけれども、恐らく利用も当然含まれると思いますし、そもそもサステーナブルな海を目指すという、例えば30by30のような、そもそも環境を保護するためにどうしていったらいいかみたいな話も含まれていると認識しております。そういったのを広く包含したワードとして、確かにおっしゃるとおり持続可能なと来ると、動詞のようなワードが本来来るんじゃないかという感じもしますけれども、持続可能な海洋をという名称が、この基本計画の中では使われていると認識しております。
【川辺分科会長代理】 御説明ありがとうございます。
【日野分科会長】 もう、これは海洋基本計画に、この言葉でキーワードが入っているんですね。
【事務局】 入っています。
【日野分科会長】 であれば利用しないわけにはいかないな。
【川辺分科会長代理】 そうですね。おっしゃるとおりです。
【日野分科会長】 ほかにいかがでしょうか。
では、廣川委員、お願いします。
【廣川委員】 JOGMECの廣川です。
深海探査システムの構築の提言、これに沿った形でまとめられたことは非常に評価したいと思います。
その上で、予算要求も含めていろいろな関係部署にこれを説明されるということなので、もうちょっとこうしたほうがいいかなというところがあって、特に効率化のところです。3倍という御説明がありましたが、単に回航費だけじゃなくて、例えば同時に、AUVが行っている間にサンプリングするとか、そういうことでも効率化は多分図られる。調査に、試算はそういうふうにされているんでしょうけれども、そういうところがこの10ページの絵では全く分かりにくいというか。これまではこうだったのが、このシステムでは3倍こうなるんですというのを、何というかスケジュール感も含めて何か示すようなものがあれば、より説得性は増すのかなと思います。3倍って具体的な数字を出されているんで、何かそれを示すような裏づけを示されたほうが、より説得性が増すかなと感じました。
それから11ページ目で、これまで深海での落下物の調査についてを書かれていますけれども、水深がどれぐらいで、JAMSTECじゃないとできなかったというところをもうちょっと強調して、いろいろなところで貢献されていますが、ほかの船じゃできなかったというところが強調されるように示されたらどうかなと思います。
それから7ページ目の海底鉱物資源のところでの記載ですけれども、課題がまだ不明、産状・分布は不明だということなんですが、不明ではなく、まだ解明途中とか、何かそっちのほうがいいかなと思います。これまでもJAMSTECを中心に成因論はいっぱい出されていますし、JOGMECでも調査しているんで、ある程度のところ分かっているんですけれども、まだまだ解明度が足らないというような言い方のほうがいいかなと思いました。
それから実現の期待のところで、コア試料採取と出ていますけれども、今回搭載するAUV、HOV、それからROVではコア採取はできないので、ここはコアというよりもサンプル採取ぐらいにしておいたほうがいいかなと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
【事務局】 承知しました。
まず、1点目の3倍につきましては、6月のときにJAMSTECさんのほうから、具体的な、五十数日が10、すみません、ぱっと思い出せないんですけれども、18かぐらいになるという御説明をさせていただいてございまして、それを踏まえて3倍という形で、その当時御説明させていただいてございます。今回の提言のところには、非常に細かい内容まで入れなかった関係から、その資料まで入れなかったんですけれども、ちょっと……。
【廣川委員】 何か簡単な形にして示したほうがいいかなと思いました。
【事務局】 ポンっていきなり今3倍と出ているので、どういう意味での3倍かというところをもうちょっと文言を追加するなりして修正を検討したいと思います。
先に、今7ページを示しております。7ページにつきまして、おっしゃるとおりといいますか、御指摘ありがとうございます。コアというのは確かにおかしいと思いますし、不明というのを解明途中とさせていただきたいと思います。
あと11ページ、こちらの水深につきましては確認させていただきつつ、どこまで公表資料として書けるのかどうかも含めて検討を上げたいと思いますので、ちょっと確認して、修正できるかどうかも含めて検討したいと思います。
【日野分科会長】 ほかに。
では、山本委員、お願いします。
【山本委員】 私のほうは12ページで感想に近いものになるんですけれども、こういったオープンイノベーションの一環として、本来の研究ももちろんやるんですが、こういったところにオープンにしていくというところは、新しい技術の創出の場ですとか、あと学生ですとか研究機関に向けて広くオープンにしていくというのは非常に重要ですし、多分、広く、このプラットフォームが理解されて、プラットフォーム自体が持続的になるのにすごく貢献するんじゃないかと思いますので、これはぜひ広くオープンしていただければなと思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
もしよろしければ、ちょっと日野のほうから2つあります。
まず、効率化のところなんですけれども、効率化を量的に示すとか何とかということよりも効率化がなぜ大事なのかというところがあまりちゃんと見えてないのではないか。例えば効率化をしないと、この調査そのものはもう成り立たないんですよと。例えば実際の海の環境を考えると1日かけなきゃできないような調査では、実は分からない。それを半日でやらなきゃいけないんだとか、いろいろな、今までいろいろ御提案いただいた中で、その効率化が何を実現するかという話があったので、そちらの本質的なところをちょっと拾っていただいたほうが本当は大事なんじゃないかなと思います。
それからもう1点は、このプラットフォームって何ぞやというところなんですが、絵がない。船の絵はある。探査機の絵はある。でも1枚の絵に、ポンチ絵の中に、両方が入っていて、これがプラットフォームでございますというのが欲しいかなと思います。今までのこの分科会の資料の中で、そういうのを、例えば河野委員が出してくれたような図があったりしましたので、そういうのをうまく使って、プラットフォームって何ぞやというのをちょっと整理していただくのが大事かなと思いますので、よろしくお願いします。
【事務局】 承知しました。
【日野分科会長】 藤井委員、お願いします。
【藤井委員】 水産研究・教育機構の藤井でございます。
先ほど話題になりました、サンプルリターンの効率の3倍の効率化というところ、6月の会議のときに、すごくきれいな資料をお示しいただいたんですけれども、私の目から見て、とても野心的な内容で、実際こういうことが可能なんですかとか、このためには何人人が乗らなきゃならないのとか、そのための居住スペースは確保できるんですかみたいなところを突っ込んでしまったんで、事務局の方が遠慮されて、これを外しちゃったのかなと思って見ていました。
ただ、航海の効率化というのは大事なのは間違いないですし、新しいプラットフォームによって、例えば、一旦港に帰って積み替える手間が省けるとか、そういうところは十分ありますので、そこのところをうまく説明いただければと思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。原田委員、お願いします。
【原田委員】 先ほど、3倍のところで私もふと思った意見がもう一つありました。効率化という観点でシップタイムを例えば3分の1に短縮できるということになれば、恐らく1つの研究航海当たりに排出するCO2を削減できるということも書けるのかなと思いました。持続可能な海洋の構築は海洋基本計画の2本目の支柱として、いかに環境に配慮した海洋の利活用を今後していくかという点で重要な柱です。ですので、今回の資料の中でも環境についてもう少し記載を増やしていただけると良いと思いました。現在は、1か所、9ページ目に、環境へのインパクト最小化という言葉が出てきますけれども、ここ以外は特に二酸化炭素ガスの排出削減とか環境への配慮といった言葉が出てきません。今後の船舶は、環境にも大きく配慮した技術開発が望まれていますので、効率化に併せて、書ける範囲で強調して書いていただきたいなと思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
効率化は何の役に立つか、こういうところにも役に立つという、よい提案をいただいたと思います。
ほかにいかがでしょうか。
大体予定していた時間ぐらい、お話をいただいたと思いますが、特になければ……。
松本委員、お願いします。
【松本委員】 港湾空港技術研究所の松本です。
非常によくまとめられていると思います。1つ私も、6ページのプラットフォームについてのところの効率の話、先ほどもお話が出ていますけれども、ここのところはやっぱり具体的に、何日が何日に減ったから、だから3倍効率化なんですと、そういう具体的な数字を示して効率化の話はもう少し出していく、前面に出していくべきだと思いました。
あと、資料の並びなんですけれども、このプラットフォームってベースになる話があって、研究事例があって、ここで目指すべき機能といって、また、ベースマシンの話が出てくるんです。なので、これが6ページの次にあって、この船とビークルの話があって、船とビークルがもっとこうなったらいいんだよねって、ここが目指すべき形であって、それができるとこういう研究事例だとか、この効率化だったり社会貢献につながるんですよというほうがストーリーとしてまとまりがいいんじゃないかなと感じました。
ちょっとコメントです。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
【事務局】 承知しました。
【日野分科会長】 河野健委員、いかがですか。
【河野(健)委員】 御指導を得て、協力していいものをつくりたいと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
他にないようでしたら。かなり多くの御指摘、御意見をいただきましたけれども、基本的にはこういう提言を出していくというところで、部会としては合意いただけました。ですから表現ですね、ちょっとマイナーチェンジというよりはややモデレートに、構造を見直すとかというところもありますけれども、事務局において修正を進めていただきたいと思います。進行メモには部会長一任と書いてあるんですけれども、ちょっと荷が重いので、できれば、その訂正案ができたところで、皆さんにも意見をメールで伺いたいと思いますので御協力をよろしくお願いいたします。では、事務局、その方向でよろしくお願いいたします。
【事務局】 はい、承知しました。ということで、皆さん、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。
それでは、審議事項の(1)はこれでおしまいということにさせていただいて、ここから報告事項になります。議題(2)OneArgoの実現に向けた現状の報告について、東北大学の須賀先生とJAMSTECの細田グループリーダーに御説明いただくようお願いをしてございます。
なお、須賀先生におかれましては、先日の海の日に行われた、海洋立国推進功労者内閣総理大臣表彰において内閣総理大臣賞を受賞されております。委員を代表して、心よりお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
それでは、須賀先生から御説明をいただいて、その後、細田グループリーダーから御説明をいただくということで準備をお願いしております。よろしくお願いいたします。
【須賀教授】 日野先生、どうもありがとうございます。皆さん、ありがとうございます。これまでいろいろな人に助けられてやってきたことで賞をいただきましたこと、大変ありがたく思っております。
それでは、こちらで資料を共有させていただきます。
それでは、OneArgoの実現に向けて、背景と現状について説明させていただきます。本日は、このような機会をいただきましてありがとうございました。東北大学の須賀です。
まず、OneArgoの基となる現行のといいますか、これまでのArgoの背景と実績等に触れた後、OneArgo構築の背景と現状、そして海洋科学の10年における位置づけ等について説明いたします。
まず、地球の気候というものから入りますが、これは入射してくる太陽放射と宇宙に放出される地球放射の釣合いの上に成り立っています。それで、人為起源の温室効果ガスによって、このバランスが崩れて、現在、放出が約1平方メートル当たり1ワットほど小さくなっていて、この不均衡分の熱が地球にたまっているということです。これを、この熱のうち90%以上が海にたまっていると考えられていて、科学的知見に基づく緩和策・適応策の実施のためには、海洋の変化の監視をして、それを理解していくことが不可欠であるということ、これがArgoを実施するに至った大きな背景となります。
Argoというのは、ここにお示しますプロファイリングフロートという測器ですね、これによる全球的な海洋観測システムです。この測器、プロファイリングフロートというものなんですけども、これをArgoに使っているもの、Argoを構成するプロファイリングフロートのことをArgoフロートと呼んでいるということです。
ここでちょっとフロートの投入風景を御覧ください。
(動画再生)
【須賀教授】 このように投入されたArgoフロートは、深度1,000メートルで待機して、10日に一度、深度2,000メートルまで沈んでから海面まで浮上する間に水温と塩分を計測します。これによって海水の密度が得られるということになります。
Argoの観測網というのは、当初、日米をはじめとする8か国の協力で立案されて、国際Argoプログラムとして1999年から構築が開始されました。延べ30か国以上が参加して、海面から2,000メートルまでの水温・塩分を自律的に観測するフロートを3,000台以上配置するという観測網が2007年に完成しました。それ以来、参加各国の代表で構成されるArgo運営チームでコンセンサスを得た方針の下、各国が予算を獲得して観測を実施するという形、言わば有志連合によって維持されてきました。データは、ほぼ12時間以内に公開されて、誰でも自由に利用できる完全なオープンデータです。気象予報のほか海況予報にも活用されています。
Argoは、全球の海を一斉に観測する単一の装置、たくさんのフロートがあるんですけれども、それがデータマネジメントシステムも含めて単一の装置として、あたかも海洋内部を測る1つの人工衛星のように機能するという画期的な観測システムです。
代表的な成果として、冒頭に述べた地球温暖化に関わる気候システムにおける貯熱等の物理過程の理解を刷新したことが挙げられます。一例として、ここに示したように、気候システムの各要素、海洋、雪氷、陸地、大気への熱の蓄積の見積りの精度を飛躍的に向上させました。これによって21世紀初頭の十数年間、いわゆる温暖化停滞期と呼ばれる気温上昇が停滞していた時期にも海洋に熱が蓄積され続けていたということを実証して、気候システムは温暖化し続けているということを示したということが挙げられます。このほか、気候・海況予報の精度向上にも貢献するなど、Argoデータに基づく研究論文数は、これまでで約6,500編に及んでいるということです。
日本は、このArgo計画、Argoに対して、2000年から2004年まで、ミレニアムプロジェクトとしてこれに貢献しまして、開始後数年間は全体の20%から25%を担ってきたということで、非常に大きな貢献をしました。これが現在でも、日本がこのArgoというプログラムの中で、ある程度リスペクトされているということの要因になっていると思います。
このようなArgoの成功によって、これを拡張したいという拡張への期待とニーズが高まってきました。世界の海洋観測、海洋研究のコミュニティーで高まってきました。地球温暖化の把握には、2,000メートルまでではなくて、海面から海底までの全層の観測が必要であることから、海底までの観測をするDeepミッションへの拡張が提案されました。これと並行して、海洋による二酸化炭素の吸収、海洋酸性化、貧酸素化などを含む生態系の変動を把握するため、生物地球化学、すなわちバイオジオケミカル、BGCミッションへの拡張も提案されました。そして、これらのミッションを可能にするような技術が実用化されて、パイロットが展開されてきたわけです。
このような背景の下、OneArgoの観測デザインが、70か国以上から約1,400名が参加した国際会議、OceanObs'19において、20か国80名以上の共著者によるコミュニティー・ホワイトペーパーとしてまとめられ、承認を得たということです。
その中身は、現在の深度2,000メートルまでの水温・塩分を測るCoreフロートを2,500台、海底まで図るDeepフロート1,200台、生物地球化学変数を測るBGCフロート1,000台で、計4,700台から成る観測網に変革していこうというものです。
国際Argo運営チームは、このOneArgoの計画を海洋科学の10年、UN Ocean Decadeにプロジェクトとして提案し、採択されました。UN Ocean Decadeが目標とする7つの海の実現に不可欠なデータを供給することを目指しています。そのために、後にも述べますように、幅広いステークホルダーと結びついていくことが必要だと考えています。
OneArgoの目標達成度を時系列でお示しします。達成目標というのは、期間によって変化しています。この線が引いたところで目標が変わっているんです。初期の目標は3,000台でした。これが達成された後、当初は季節海氷域であるとか縁辺海は、技術的な問題もあって範囲に入れていなかった、対象から除いていたんですが、そこも含めるということで、3,800台というふうに目標を変えました。これも、ある程度達成されてきたというところで、OneArgoという提案がなされたということです。OneArgoでは、総数4,700台、内訳、コアが2,500台、BGCが1,000台、Deepが1,200台ということで、それぞれの達成度がここに示されています。
OneArgoを実現するためには、フロートの総数を増やしながら、その一部をBGCフロートあるいはDeepフロートに入れ替えていくということをする必要があるんですが、これがなかなか、ある程度はできたんですが、停滞しているというところ、それからフロートの総数は減少している。これは、予算が増えずに、DeepルートとBGCフロートというのはCoreフロートよりも非常に高価ですので、予算が変わらないと台数が減ってしまうということがあります。ですから、そこをフロート・センサーの長寿命化である程度はカバーしようとするんですが、大幅な予算増も必要だということです。そこがうまくいってないというところです。
OneArgoの実現に向けた日本の動きとしては、学術研究の大型プロジェクト、ロードマップ2023への提案をして、それが掲載されたということがあります。この計画は、東北大学を実施主体として、JAMSTEC、気象庁を連携機関としているものです。日本海洋学会をはじめとする水産海洋科学研究連絡協議会傘下の17学会の支持を得て、今現在、実施が停滞しているOneArgoを、今のもともとのArgoの構築時のように、日本がリードして進めていこうというものです。同時に、このOneArgoのデータを活用した分野融合研究を推進するための国内の体制も構築していくということも目指しています。
最後に、このOneArgoの実現に向けた現状をちょっとまとめますと、OneArgoというのは、7つの海の実現に不可欠なデータ・情報を供給するはずなんですが、そのためのデータのプロダクトの作成を含むデータの活用がまだ不十分あるいは限定的であると言えます。この状況を改善するためには、幅広いプロジェクト、プログラムと連携して、課題解決に直接貢献するようなプロダクトを作成していく必要があります。これを国連海洋科学の10年のプラットフォームも活用して進めようとしているところです。OneArgoの実現のための資金を確保するためにも、幅広いステークホルダーとの共創が必要であるというふうに、国際Argoプログラムとしては認識しているところです。
最後に、OneArgoの実現に向けた最新のアクションについて触れさせていただきます。6月にフランスのニースで開催されたUN Ocean Conferenceへの科学コミュニティーからのインプットのために、その前の週に開催されましたOne Ocean Science Congressにおいて、OneArgoタウンホールミーティングを開催しました。一番大きな会場が割り当てられまして、数百名の参加がありました。このOne Ocean Science CongressとUN Ocean Conferenceに向けて公表したパースペクティブ・ペーパーの内容に基づく議論を行いました。議論の内容を一言でまとめますと、このOneArgo、科学と社会に貢献するOneArgoを2030年までに社会と共につくっていこうと。なぜならば、OneArgoは、単に科学的なアップグレードというだけではなくて、私たちの海洋と未来のためのグローバルな備えであるからだということになります。
説明は以上です。ありがとうございました。
【日野分科会長】 須賀先生、どうもありがとうございました。
それでは、質問は後でまとめていただこうと思うので、細田グループリーダーから続けて説明をいただきたいと思います。
【細田グループリーダー】 細田です。それでは、画面共有させていただきます。
改めまして、JAMSTECの細田と申します。Japan Argoの実施状況とOneArgoに向けた課題ということでお話しさせていただきます。今日は、JAMSTEC所属なんですけれども、日本のArgoコミュニティーの代表としてお話しさせていただきます。
日本のArgoは、本格的に開始された2000年以降、JAMSTECと気象庁が実施部隊として、フロート展開、データ品質管理を実施してきています。また、右側の図のように、日本のArgoは、関係省庁、大学有識者も含めたArgo計画推進委員会によって推進されています。
実施部隊の気象庁とJAMSTECについて、Argoを実施する目的と内容が異なっています。気象庁は、気象業務のために、日本近海にフロート展開を行って、Argoデータ関連の日本の窓口であるData Assembly Center、DACですね、それから運用に関する日本の国際的窓口であるArgo National Focal Pointを担当しています。
JAMSTECは、研究ニーズのための全球フロート展開を行っており、国際Argoの運営会議メンバー、また、Argoデータの遅延データ品質管理を行うDMQCオペレーション、フロート・センサーの技術開発などを行っています。
データ品質管理の部分について、気象庁は現業官庁として、データ取得後24時間以内に自動でリアルタイムデータ品質管理を行って、JAMSTECが研究機関として、1年以内に高精度な品質管理を実施して、全球Argoデータセンターに提出して全世界で共有しています。この分業体制によって、日本のArgoデータ品質管理というのが効率よく機能してきています。
次のページに行きまして、Argoは国際プロジェクトであって、日本はその中核として、これまで様々な役割を担ってきました。国際Argo運営チームの提案に基づき、JAMSTECは太平洋域のArgoデータ品質管理を統括するPARCというものの運用を担っています。現況、6つのArgoの地域センターに分けて、データの監視・運用を行っていて、このPARCは世界最大の面積を有しています。このPARCでは、データ品質管理の高度化、多様なフロートへの対応、PIへの情報提供など、全球Argo観測網の安定的な運用に貢献しています。
PARCの仕事の一環として、JAMSTECでは、国内のArgoフロートデータの遅延データ品質管理、DMQCを実施しています。通常、取得データのうち、大体10%ぐらいが何らかの補正が必要であったり、専門技術者の判断が必要なデータであるため、目視によるデータの品質管理というのは実際には欠かせません。
また、全球Argoの稼働フロート分布を均一にするために、JAMSTECでは、フロート寿命を配慮して、稼働中フロートの状況分析に基づいて、投入計画というものを策定し、投入機会を調整すると。それをPARCの関連各国に情報提供を実施して、健全なArgo観測網構築に努めています。
そしてJAMSTECと気象庁では、補正済みのArgoデータを用いた様々なデータセットの作成・提供を行うことで、ユーザーの拡張や研究の発展にも貢献しています。
次のページに行きまして、日本のフロート・センサーの技術開発について紹介いたします。日本ではJAMSTECを中心に、フロートやセンサー開発を推進しています。現在、国際的に、先ほど須賀さんからもありましたように、DeepやBGC Argoミッションの拡張が進んでいますけれども、それらに先駆けて、深海用フロートやBGCセンサーの開発というものにも着手してきました。左側の図は、4,000メートル深まで計測できるフロート、Deep NINJAで、民間企業の鶴見精機と共同開発しました。これにより、国際的なDeep Argoミッションの発展に貢献しました。
また、もう一つの成果として、季節海氷域である南極アデリー海沖でのDeep NINJAによる初めての4,000メートル深での通年継続観測と海氷下観測を実施しました。これにより、季節海氷域での深海フロートによる観測の道筋を開きました。現在、このDeep NINJAは、長寿命化と海外展開というのは課題にはなっていますけれども、改善に向けてメーカーの努力が続けられているところです。
右上のほうに行きまして、JFE Advantec社が開発したフロート搭載型溶存酸素センサーになります。溶存酸素センサー、これはBGCセンサーの1つですけれども、国際的にはヨーロッパのメーカーによる独り勝ちの状態ですが、その一角を崩すべくBGC Argoの正式センサーの承認をJAMSTECとメーカーが連携し目指しているところです。詳細は端折りますけれども、外部資金等も活用しながら次世代フロートやセンサー開発も継続しています。
次に、累計300万プロファイルも最近超えましたArgoデータを使って得た成果について御紹介いたします。先ほど須賀さんのほうからありましたけれども、こちらの図は、1960年を基準とした2020年までの地球表層システム全体と各コンポーネントの熱増加量をグラフ化したもので、IPCCの報告書にも掲載されておりますが、この図は最新の情報になります。それぞれのグラフの中の色が、地球表層のどこの深度ゾーンの海水に関する熱量というかということを示していて、これらの8割を海面から水深2,000メートルまでが占めています。まさに、このゾーンというのは、Argoの観測網がカバーしていて、急速な熱量増加というものが計測されていると。同時に、この黒い点線で示す総熱量に対する不確実性というものは、Argoの展開開始の2000年以降に減少していまして、Argoの継続的な展開によって、この熱量増加推定の確度が向上していることも示しています。2,000メートル下、紺色の部分についての熱、こちらについても熱量の増加が見られるんですけれども、増加率がどんどん増していて、これは深海Deep Argoの展開によって、この確度の向上がなされることが期待されます。
次のページに行きまして、もう一つArgoの特徴である全球の塩分データの取得と、グローバルにカバーする観測のもたらす研究成果について御紹介します。基本的に、海洋表層の塩分というものは、中緯度亜熱帯域では高塩分、高緯度の亜寒帯域と熱帯域では低塩分傾向を気候学的に示しています。これは、右側の図に示すように、亜熱帯域では降水量が少なく蒸発過剰域であって、亜寒帯域や熱帯域は蒸発するより降水のほうが多いと、そういうことに起因しています。そして左の図というのは、1980年をベースにした、近年の海洋表層の塩分差を示しています。これによると、低塩分域では、より低塩分化が、高塩分域では、より高塩分化が進んでいることを示しています。つまり、降水過剰域での降水量の増加、蒸発過剰域での蒸発量の増加が起こっているということを意味しています。特にこれ、海上の降水・蒸発データというものは、衛星観測データが主体で、なかなか不確実性が大きいのですけれども、こうしたArgoがもたらす海洋の塩分データが、このような全球的な水循環強化という確度の高い状況証拠をもたらしました。これらの結果という少し古い研究なんですけれども、このArgoがもたらした水循環強化という成果が、現在では共通認識となって、これをベースに水循環強化の地域性とか、そのプロセスの詳細に関する研究が世界的に進展しています。今後、DeepとかBGCを含めたOneArgoの展開によって、多数の科学知見が再提出されることが期待されます。
次に、OneArgo関連の国際動向と米国政権の影響について御紹介します。OneArgoの推進については、Argoに関わる様々な国や機関で、その動向が活発化しています。例えば、G7では、海洋の未来イニシアチブ(FSOI)ワーキンググループにおいて、OneArgoが2023年から優先トピックとして採用されています。そして、2024年のイタリア科技大臣会合で承認された海洋の観測強化に関するアクションエリアに従って、OneArgo Science-Policy Briefを作成し、その重要性を強調しています。それ以外にも、ここに示すような地域で活発な動向が見られます。
一方で、米国政権交代により、自然環境観測・研究予算の削減が懸念されていて、NOAAの環境研究系の経費削減などの状況が危惧されています。この米国動向に対して、これは日本経済新聞電子版からの引用になりますけれども、オーストラリア政府は、温暖化対策に重点的に取り組む中で、Argoをはじめとした米国との研究協力継続が困難になることが懸念されていて、安全保障や防災の観点からも自国の様々な取組を強化して、日本など価値観の共有できる国との連携強化というのを検討しています。
次のページに行きまして、このようなOneArgoを取り巻く動向、環境の変化に対して課題も浮き彫りになってきました。幾つかの例ですけれども、研究ニーズ、社会一般の利活用が拡大しつつある中で、海洋観測が政策の中で必ずしも重視されていなくて、基盤として強く認識されていないこと。次、OneArgoの実現のための予算獲得は各国で必ずしも順調ではなくて、米国が過半数という歪んだOneArgo観測網構築の体制が継続していくこと。持続的で効率よい観測網構築のために、フロート自体の性能強化が必要なんですが、開発スピードが速くないと。それから、BGC Argoの普及によって品質管理やデータ手続のコストが大幅に増加しているにもかかわらず、リソースが追いついていない。それからフロート観測を実施する研究者が限定されていて、これを利用するハードルがまだまだ低いとは言えないということが挙げられます。
最後になりますが、これらの課題に対して日本が取るべき対応策として考えられるのが、研究者・社会一般に増加している受益者のために、OneArgoが不可欠なインフラであると認識して、その構築・維持を重要度の高い政策として位置づけるべきということ。それから日本のフロート展開を拡充し、米国一極集中に対するリバランスをするということ。それからフロート・センサーの国産化部分的にでも加速することで海外製品依存度を低減して、国内産業と連携させた技術開発を促進する。それからArgoの運用的な部分にはOneArgoセンターというのを現状の実施機関と独立に設置することが、OneArgoを発展的・効率的にして、国際的にリードするために不可欠ではないかということです。
こういうことをすることによって、現在加速しつつあるOneArgoの発展に対して、新たにリードしていくということができるんじゃないかと考えております。以上です。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。
それでは、須賀先生と細田グループリーダーにいただいた、OneArgoとは何かとか、現状であるとか、課題であるとか、説明をいただいておりますので、委員の皆さんから感想とか御意見、質問をいただきたいと思います。何かございますか。
【古田大臣官房審議官】 なければ。
【日野分科会長】 では、古田審議官。
【古田大臣官房審議官】 須賀先生にお伺いしたいんですが、資料の途中でArgoのデータを利用した学術論文約6,500編、2014年以降、1日に一、二編とさらっと書いてあるんですけれども、これ、物凄いことだと思うんです。ですが、国別ですとどうなるとか、分野別だとどうなるとか、あとサイテーションがどうなるのかとか、これらはもっと増える余地があると思うんですけれども、さらに増やしていただけるのかどうか。口頭で簡単にお答えいただける範囲で結構ですので教えていただけないでしょうか。
【須賀教授】 これはArgoのプログラムオフィス、アメリカUCSD、スクリプス海洋研究所にあるんですが、そこで調査しているといいますか、調べている数値が、日々ではないと思いますが、定期的にアップデートされております。グラフ化されて、今、国別とかに分けられるかどうかすぐ思い出せないんですが、ある程度いろいろな属性をウェブサイトで公開している情報です。特にBGCが始まってから、またちょっと論文の数が加速しているというような状況が今あります。まだまだ伸びているところだと思います。
【古田大臣官房審議官】 御存じとおり日本の研究力が低下しているというような話がありまして、我々文科省としても、やはりそこを何とか盛り返していきたいと思っています。それで、大学単位とか、そういう単位で、組織単位で論文数やサイテーションを考えることが多いんですけれども、こういうプログラムとか国際プロジェクト単位で、どれだけこういう論文が出ているのか、どれだけ使われているのかというのは、実はあまり、皆さん把握しておらず、ただ、実際はそういった国際的なプログラムの中で、多くの論文が出されているし、さらに出していくことができる。そんな問題意識を持ちましたので御質問させていただきました。
【須賀教授】 Argoではこれ、かなり最初から意識しておりまして、どんな人が書いているかということも調べているんです。それで、Argoのプログラムを実施している人たちが最初書いていたんです。それが今は、Argoを実際やってない人たちがユーザーとして使う割合がもう非常に多くなっているとか、そういうことも分かってきています。これを、何といいますか、日本として、せっかく日本はArgoに参加しているので、そのメリットを生かすためには、日本としてプロダクトを自分たちでつくったり、それを利用しやすいような環境を用意するということが、日本国内のArgoを使った研究の推進には必要かと。それが、ロードマップなんかでもそういうことを言って、お願いしたところではありました。
【古田大臣官房審議官】 ありがとうございました。
【日野分科会長】 それでは、オンラインのほうで見延委員。
【見延委員】 北海道大学の見延です。どうも御指名ありがとうございます。須賀さん、細田グループリーダー、重要な御説明をありがとうございました。
私から、1つコメントと1つお願いがあります。1つコメントは、今回の御説明で、地球温暖化が加速しているという点がちょっと抜けていたんじゃないかと。須賀さんの一番最初のスライドで、地球に入ってくるのと出ていく放射エネルギーの差が1ワットパー平方メーターであるという話がありましたけれども、これ実は、どんどん増えております。2000年代は0.6、2010年代は0.9、2020年代は1.3というふうに増えているんです。この地球温暖化の加速というのは、最近気候科学者の中では合意が得られている点だと思います。これは非常に重要な問題で。また、熱を一番吸っているのかどこかというと、2010年代は、明らかに北太平洋、日本付近もすごく吸っているところになっているので、ぜひこういう研究を続けていただきたい。これはコメントです。どっちかというと委員の皆さんの御説明でもあります。
もう一つはお願いなんですけれども、この地球温暖化が加速して、その熱の90%が海洋に行っているということが、Argoのおかげで分かるようになってきたんですけれども、どう熱が動いているかということは分からないんです。大気、海洋間でどうやって熱が入っていったかもよく分からないし、海洋の中をどうやって熱が動いていっているかも分からない。これはArgoだけでは解決できない問題ではあるんですけれども、ぜひ関係機関と協力して、熱の移動、これまでの熱がどこにたまっているかではなくて、今度は熱がどこをどうやって動いていったかということを明らかにしていただければ、研究を発展させていただければ大変ありがたいと思っております。これはお願いでございます。
【日野分科会長】 ありがとうございます。須賀先生。
【須賀教授】 ありがとうございます。まさにそのとおりで、どういうふうに熱が海の中を動いているか、大気とのやり取りをして動いているかということが分からないと、今後どうなるかということが分からないということで、非常に重要な点だと思います。そういう研究を進めていけるような環境をつくっていきたいと思います。
【日野分科会長】 では続いて、藤井委員、お願いします。
【藤井委員】 水産研究・教育機構の藤井でございます。御説明ありがとうございました。
Argoの取組につきましては、私も運営に参加している北太平洋海洋科学機関(PICES)、この中でも非常に高く評価されていまして、数年前になりますけれども、Ocean Monitoring Service Awardという非常に権威のある賞も受賞しています。また、そのとき、受賞のスピーチをいただいたのが須賀先生ですよね、たしか。このスピーチが、また、すばらしくて、私はすごく誇らしく思ったことを覚えております。
この重要な取組、これからも我が国でリーダーシップを取って続けていただきたいと思うんですけれども、やっぱり先ほど1つ気になったのは、データの活用がまだ不十分、限定的というところです。先ほど別の方からの質問でお答えもいただきましたけれども、原因も既に心当たりあると思いますので、特に我が国の研究者が、このデータをもっと活用して議論をリードしていけるような、そういうところへの御指導もこれからよろしくお願いしたいと思います。
それから細田さんにも1つ質問があるんですけれど、OneArgoという取組、これはやはり非常に大事だと思うんですが、今、具体的にそれに向けての動き等、ありましたら教えていただきたいと思います。
【細田グループリーダー】 細田です。どうもありがとうございます。
そうですね、やっぱりそのOneArgo、先ほど説明もしましたけれども、形をどんどん変えていかなきゃ対応できないというところで、実施機関である気象庁とJAMSTECで、特にデータ管理とかそういったところをどういうふうにブラッシュアップしてBGC Argoを取り込みつつ、いろいろなユーザーとかPIを増やしていくかという議論を、Argo計画推進委員会の下にワーキンググループをつくって、今、議論をしているところです。なかなか、結局のところやっぱりリソースが、もちろん現状を改善しようといろいろアイデアは出しているんですけれども、やっぱりリソースが増えないと、人的リソースとかお金とか、そういうのがどうしても増えないと、なかなか決定打にならないなというのが実情ではあるんですが、一例としてそういう動きはしております。
【藤井委員】 ありがとうございます。
やっぱりデータを活用して論文書ける人が増えてくると、リソースの裾野も広がってくると思いますので、先ほどの話の重複になりますけれども、これからもよろしくお願いいたします。
【細田グループリーダー】 よろしくお願いいたします。
【藤井委員】 ありがとうございました。以上です。
【須賀教授】 藤井先生、コメントに。
今のこととも関係するんですが、実は、もともとのArgoのデータ、水温と塩分に関しては、ここにいる細田さんが中心となってJAMSTECでいろいろなプロダクトをつくって、利用者が利用しやすいような形をつくっていたんです。それが、今、BGCに関しては、特に日本はちょっとマンパワーが不足していて、これが日本の研究者にとって使いやすいような形のプロダクトを出すような体制がないというところがありまして、そこをこのOneArgo、ジャパンOneArgoセンターのようなものをつくることで何とかしていきたいというのが、説明したかったことの中に含まれております。
【藤井委員】 よく分かりました。ありがとうございました。
【日野分科会長】 それでは、続いて、榎本委員。
【榎本委員】 お二人の説明、どうもありがとうございました。大変Argoの実績とこれからの構成といったところがよく分かりました。
今回、前回のArgoの開始のときのお話とOneArgoへの移行といったところのデザインの中で、季節海氷域、氷が浮かぶ海は、南極のほうは大変改善されたように拝見したんですけれども、やはり北極海のほうは難しいんでしょうか。どこかのArgoコミュニティーのグループが、そこに取り組んでいるといったところはないのかなというところ。
【須賀教授】 榎本先生、ありがとうございます。
実は、Deep、BGCと並んでポーラーミッションチームというのをArgoの運営チームの中につくりまして、北極と南極、特に北極が不足しているので、北極に関しては陸棚域も含めてやるようなことを検討開始しているところです。そこは非常に重要なところだと思っています。
【榎本委員】 分かりました。ありがとうございました。
南極のほうはDeep NINJAとかも、あとプロットの数も大変たくさんあるので感心していたところなんですけれども、北極のほうの話、よく分かりました。
もう1点なんですが、日本における動きの中で、「国際的なコンセンサスを得た計画だが、実施が停滞しているOneArgoを、現行のArgo構築時のように日本がリードする」というふうに書かれていまして、そのリードの仕方なんですけれども、Argoのときには、開始後数年は全体の20から25%を日本が担った。米国と共にArgoの実現を牽引したとあります。今回の、コンセンサスを得た計画だが実施が停滞、これはどうして停滞しているのかと、あと、日本はどうリードするといったところなのかというところちょっと関心を持ちました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
これは細田さんに御説明いただいたほうがいいですね。
【細田グループリーダー】 細田です。どうもありがとうございます。
どうして停滞しているのかというのは、やっぱりBGC Argoというのは結構特別で、これまでの水温・塩分とは違って、いろいろなパラメータを求める複雑な式とかそういうものが出てきたりして、現状の体制でなかなかいかなくなってきたということと、あとやっぱり展開数です。やっぱりBGCとかDeepは、須賀さんもおっしゃっていましたけれども、価格が非常に高いので、数として展開するのがなかなか難しいというところで1つ停滞しているというところで、今のところはやっぱりアメリカが幾つか大きなプロジェクトを走らせてBGC Argoの展開をやっていますが、それに頼っている状態ではあります。それをどうにかして打開していかないと、先ほど私からも紹介しましたけれども、アメリカがもしうまくいかなくなった場合には、この観測網がちょっと崩れるかもしれないという危惧もありますので、そういうところで、できるだけやっぱり数で、フロート展開数を各国増やすような形で持っていくべきであると。日本もやはりそういうところで貢献すべきだと思っています。ただし、やっぱり価格が高いというのは、インフレもありますけれども、円高とか円安、為替レートの問題もありますので、そういうのに左右されてしまうというのも実情ではあります。それを打開するためには、1つの方策として、やっぱり国産というところが非常にキーワードになってくるんじゃないかなと思いますので、なかなか高圧下で機器を扱うという経験を持つメーカーは多くないんですけれども、そういった少ないメーカーとも連携しながら進めていけるといいかなと思っています。これについては、皆様からもぜひ御協力いただけるとありがたいと思っています。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
【須賀教授】 補足、追加、よろしいでしょうか。
【日野分科会長】 はい、どうぞ。
【須賀教授】 もともとのArgoが、何でうまくいって、OneArgoは停滞しているかということに関して言いますと、もともとのArgoも、アメリカは、大体、全体の半分をやる予算をNOAAがつけたんです。それだけだと3,000台は無理だと思っていて、これ、誰かどっかの国が大規模にやってくれないと勢いがつかないというところで、日本が本当に最初にミレニアムアルゴでバンとやったわけです。4分の1。だからアメリカが半分、日本が4分の1やったので、大体それで形が見えてくると。ほかの国が追随してきて定常に至ったという歴史があります。
ところが、このOneArgo関しては、アメリカはそれなりの予算をつけたんです。それで今半分ぐらいいっているんですけれども、それに続くグループというか国が出てこないというところなんです。ここで、2000年の頃と同じように、日本が20%、25%をやると、それで大体、OneArgoの全体の形ができる。そうすることで初めてほかの国もという。ヨーロッパも今、同じ考えで、ヨーロッパも25%やるというのを打ち出そうとしていますけれども、そういう次のグループ、アメリカに続くグループが出てこないというのが停滞している要因といいますか状況だと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。非常に深刻な問題かもしれません。原田委員、お願いします。
【原田委員】 須賀さん、細田さん、御説明ありがとうございました。
OneArgoに関しては、須賀さん、それから今日御説明いただいた細田さん、現場の皆さんの御尽力のおかげで、研究振興局が3年に1回出している学術研究の大型プロジェクトのロードマップ2023に初めて地球惑星科学系のサイエンスとしては掲載されたました。文科省のロードマップは、我が国が今後力を入れるべき重要サイエンスのリストです。その12件のうちの1件にOneArgoが選ばれているというのは非常に大きいことです。ロードマップ掲載の分野は、やはり圧倒的に物理学で、フロンティア事業に採択されている分野も多くが物理学です。ですので、フロンティア事業の審査委員も圧倒的に物理学分野の先生方が多い中で、その先生たちの意見をもってしても、地球環境問題への対応に資するOneArgo計画が非常に重要だという審査結果となり、リストに載ることになりました。非常に重要なサイエンスであるということが、ロードマップ掲載という形でも示されているということになりますので、担当局は違いますが、ぜひとも、研究振興局の方々とも一生懸命連携しながら、何とか予算化していくようなことを具体的に御検討いただきたいと思います。
これは事務局の皆様へのお願いです。以上です。
【日野分科会長】 課長ほか皆さん、深くうなずいてくださっているので、伝わったと思います。ありがとうございました。
オンラインの方で手が挙がっている方はもう残ってないので、会場の皆さんで、もしございましたら。兵藤委員、お願いします。
【兵藤委員】 兵藤です。
先ほどからいろいろ、新しいOneArgoだと、いろいろなセンサーですとか、それからユーザーのほうでも、なかなかまだ対応できる方がということをおっしゃっていたと思います。今日、細田さんのほうから、いろいろ課題をまとめていただいて、最後に、観測機器として現場での活用ハードルというふうに書かれているんですけれども、これは具体的にどんな感じのことで、これを打開するにはどうしたらいいのかとかという、何かそういったお考え、あるいは、実際にどういうふうに進められているかというのがもしあったら教えていただければと思います。
【細田グループリーダー】 ありがとうございます。
Argoがずっと続けて、最近OneArgoになってきて、実はいろいろな研究者も関心を寄せてきて、自分もそのフロートを購入して、実際展開したいという声も非常に大きくなってきました。ところが機器を扱うとか、データをハンドリングするとか、そういうところがやっぱりどうしてもすごい複雑だし、Argoのきちっとしたデータフローというのを理解しなければいけない。その上でフロートを扱ってPIとしてデータを提供する、あるいはデータを取って研究するという、そういう段階を踏まなきゃいけないってなると、どうしてもやっぱりすごく自分1人でやるのは難しい。じゃあ、それを研究者が理解すればいいかというと、そういうものでもないと思うところで、先ほど私も少し御紹介しましたけれども、例えばOneArgoセンターというところで、そういうところの仲介の部分を担うことができると、よりPIとかユーザーが入りやすくなって、フロートを買ってデータを取るというところまでの一連の流れが非常にうまくいくのではないかと思っています。そういう方向で議論を進めて体制を構築できたらなというところでいるところです。
【兵藤委員】 ありがとうございます。
【日野分科会長】 ほかにいかがでしょうか、皆さん。よろしゅうございますでしょうか。ということで、非常に貴重な情報、しかも、とても……。川合委員。
【川合委員】 すみません、お話の途中で失礼しました。
OneArgoの今BGCとかがちょっと停滞ぎみというのにお金が高い、コストが高いというのがかなり障壁だというお話があったんですけれども、そうすると安価なBGCセンサーの製作というかをつくって、それを全国展開するというのが一番大事な点なのかなと思うんですが、資料の中には各国がいろいろ開発されていて、日本でも幾つかされているという話だったんですけれども、今、開発競争の中で、日本が力を入れるべきというんですか、入れたらもう世界で先駆けてできそうなものみたいなのがあるのかどうか、その辺の状況をもしあれば教えていただけないでしょうか。
【細田グループリーダー】 ありがとうございます。
世界的にいろいろなところが開発していて、実は私、CRESTの海洋カーボンのところでも少し開発のお手伝いをしているんですけれども、その中で分かったのは、日本の研究者・技術者の方で、センサーの開発をやっている方って意外と多いんです。それでお声がけしてみると、Argoには関心があるんだけれども、どうやって持っていったらいいのかよく分からないというところ、知識不足というところがまず1つと。じゃあ、それをやろうと思ったときに、具体的にはフロートに乗せて試験を始めるということになるんですけれども、ところが試験のために使うそのフロートというのは国産が今のところ、Deep NINJAはありますが、ちょっと大きいというのもあって、適当なのがなかなかなくて、外国製品に頼らざるを得ないと。そうすると、外国との間で試験のところから始め、かなり敷居が高いんです。そういうところで非常に二の足を踏んでいるところがあって、そういうところが改善しなきゃいけないかなとは思っています。まず、CRESTではそういうところも少し踏まえてやっているところです。
【川合委員】 ありがとうございます。
非常に重要な問題というか、ことだと思います。数を増やして貢献する、フロートの数を増やして日本がリードするよりも、センサーなどで大きなブレークスルーすることができたらいいなと、すばらしいと思うので、お金をどっちに使うかという問題も含めて、センサー開発は非常に重要だなと思いました。
【細田グループリーダー】 その辺はやっぱり日本の得意な部分じゃないかなと思うんで、ぜひそういうところで強力に推進できたらいいかなと思っています。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、大変貴重な報告をいただきました須賀先生、それから細田グループリーダー、本当にどうもありがとうございました。
それでは、この議事を終わりにさせていただきたいと思います。
それでは、議事進行が不手際で申し訳ありません。やや押しているので、議題(3)のほう、事務局から説明をいただきますけれども、ちょっと手短でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【事務局】 海洋地球課の久嶋と申します。画面を共有いたします。よろしくお願いいたします。
今年の6月から7月にかけて開催されました、2年に1回のIOC総会の成果の御報告をいたしたいと思います。
1枚目はユネスコのIOCの説明資料ですけれども、御存じの方が多いかと思いますので、取りあえず2023年6月に東京大学の大気海洋研究所の道田豊先生が議長に御就任されて、丸2年たったところです。2期4年最長務められることができまして、今年の総会で道田先生の再選が決まりましたので、丸4年、お務めいただくということになっております。
次のページに参ります。こちらが成果になるんですけれども、5つアイテムを挙げていますが、まず1ポツ目、戦略的事項としてですが、IOCが国連海洋科学の10年の主導機関になっておりますので、ちょうど中間年ということで中間評価の実施をしております。プラス今年の、2024年の4月に第1回目のOcean Decadeの国際会議が24年にバルセロナで開催されたんですけれども、それの2回目の会合がブラジルのリオデジャネイロで開催することが決定されています。あと加盟国なんですけれども、長らく150か国であったんですが、リベリアとアンティグア・バーブーダが最近加盟いたしまして152か国となっています。
2ポツ目ですけれども、海洋技術分野の進展ということでGOOS、あとは海洋データの管理と活用、あとは有害藻類ブルーム(HABs)の対策というところです。これは、そもそもIOCの主目的のものであるんですけれども、GOOSに関しては、新たな統治モデルを採択することが決定されましたし、海洋データの管理という意味では、今後なお一層強化していこうというふうな決議案が出されております。HABs対策についても同様に、これまで以上に強化するという決議案がまとめられております。
3ポツ目、こちらもIOCのミッションの1つですけれども、海洋教育及び能力開発というところですが、能力開発戦略については、2023年から30年の8年間計画なんですけれども、こちらの実施計画が新たに策定されまして、こちらが承認されております。教育のほう、海洋リテラシーの行動計画については、26年から30年の計画が策定されまして、例えばグローバル・ブルー・スクール対話などの教育プログラムが今後展開されていく予定になっております。
4ポツ目ですけども、地域協力の強化ということで、今回ちょっとトピック的というか、かなり目新しいものかもしれませんが、IOCアフリカ事務局の強化ということで、こちらはケニアが主導いたしまして9か国共同提案による決議が承認されまして、アフリカ地域やSIDS地域への支援対策を強化するというレゾリューション、決議案が本総会で承認されております。
最後の組織運営と選挙結果のところですけれども、先ほど申し上げましたように、道田豊先生が議長を再任されることになりました。あともう一つですけれども、今回、議長同様に副議長と執行理事国も改選期を迎えておりまして、最近、一部で、アメリカがユネスコを脱退するという報道があったかと思いますが、三度ということに多分なろうかと思いますけれども、IOCについては、アメリカは引き続き協力していくというふうに理解しておりまして、今回、副議長にアメリカから1人選出されております。
すみません、時間もないので簡単ですが、以上でございます。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。
それでは、続いて、資料3-2のほうの説明、これも事務局のほうからお願いします。
【事務局】 私のほうから御説明させていただきます。
こちら、結論から申し上げますと、10月31日にシンポジウムを行いますので、ぜひ御参加いただけると幸いですという御紹介でございまして、こちらは当課内局事業の1つでございます海洋生物ビッグデータ活用技術高度化という事業がございまして、一言で申し上げますと海洋生物ビッグデータをつくっていく、ないしは利活用する技術を開発していきましょうという事業でございまして、詳細は左側に今3つほど事業が立ってございます。海洋生物ビッグデータと、それらを活用した組合せ、例えば航路データだったり、様々なデータを組み合わせたマッピングですとか、あとEVSといわれます特殊なセンサーを活用したプランクトンや粒子などの観測ですとか、あとはバイオロギングと申し上げます、ウミガメですとかウミドリのような生き物にセンサーをつけて、彼らに観測者になってもらおうというような事業をそれぞれ行っております。
こちらに関しまして、10月31日金曜日に公開で、国連大学でシンポジウムを行う予定でございます。今申し上げた事業の研究代表者や、そのほか海外の研究者の方々も招いて、あとこの事業のプログラムディレクターは早稲田大学の赤松先生に行っていただいてございますので、講演やパネルディスカッション、あと会合、シンポジウム後にはレセプションも予定してございます。ですので、奮って御参加いただけると幸いでございます。
【日野分科会長】 ありがとうございました。
事務局から2件、説明をいただきました。
質問ないしは関連情報、委員の皆さんでお持ちの方がいらっしゃるかもしれないので、補足がありましたら御発言をお願いします。いかがでしょうか。よろしいですか。
そうすると、これで準備していた議題は全て終わりということになります。
もう1回振り返って全体を通して、改めて御発言ございますか。
ないようでしたら、以上をもちまして、本日の議事は終了とさせていただきます。
最後に、事務局から連絡事項等ありましたらお願いします。
【事務局】 本日は、長時間にわたりありがとうございました。
議事録につきましては事務局にて案を作成し、後日、委員の皆様にメールにて確認をさせていただきます。
次回以降の開催日程につきましては未定でございます。改めて御連絡をさせていただきます。
以上です。
【日野分科会長】 これをもちまして、第75回海洋開発分科会を終了します。委員の皆さん、今日はどうもありがとうございました。また、須賀先生、細田グループリーダー、本当にどうもありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局海洋地球課