令和7年6月13日(金曜日)15時00分~17時00分
文部科学省18階会議室およびweb会議(傍聴は Web のみ)
藤井輝夫分科会長、日野分科会長代理、榎本委員、川合委員、河野健委員、河野真理子委員、川辺委員、後藤委員、谷委員、中川委員、兵藤委員、廣川委員、藤井徹生委員、前川委員、松本委員、見延委員、山本委員
中川海洋地球課長、後藤海洋地球課課長補佐、助川海洋地球課課長補佐、 ほか
海洋研究開発機構(JAMSTEC)新船建造プロジェクト準備室長 難波 康弘、 海洋研究開発機構(JAMSTEC)技術開発部長 志村 拓也、海洋研究開発機構(JAMSTEC)研究プラットフォーム運用部門船舶工務部長 川間 格
【日野分科会長】 では、ただいまより科学技術・学術審議会第74回海洋開発分科会を開催いたします。本日は御多忙にもかかわらず、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
まず、事務局より、参加者、定足数の確認、及び配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】 本日は14名中14名の委員に御参加いただいておりますため、科学技術学術審議会令の第8条に定める定足数の過半数を満たしておりますことを御報告いたします。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料1、深海・海溝域の探査・採取プラットフォームについて。資料2、JAMSTECにおける深海探査システムの現状と今後の展望について。資料3、海洋地球科学分野における質量分析技術報告書。資料4-1、JpGU2025パブリックセッション「国連海洋科学の10年:SDG目標14の推進に向けた今後の展望について」。資料4-2、第13期海洋開発分科会の主なスケジュールについて。参考資料として、科学技術・学術審議会海洋開発分科会委員名簿でございます。
御不明な点、不備等ございましたら、事務局までお知らせください。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。
オンラインの皆さんも、皆さん、お手元にございますでしょうか。
それでは、本日の議題に早速入ってまいりたいと思います。本日はお手元の議事次第、投映されておりますとおり4つ予定しております。議題(1)(2)は審議案件、議題(3)(4)は報告案件となります。最初に議題(1)(2)についてですが、お互いに関連のある内容ですので、説明は2つ続けてやっていただくことを想定しております。
それでは、事務局及び海洋研究開発機構から御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
【中川海洋地球課長】 資料1のほうは私、海洋地球課長の中川のほうから御説明したいと思います。画面のほうは間もなく映ると思うので、お手元の資料で見ていただければと思います。
資料1のほうは深海・海溝域探査・採取プラットフォームについてということで、プラットフォームについて御説明したいと思います。
これは、昨年8月の深海探査の報告書から、その後もJAMSTECのほうでいろいろ開発を進め、この4月にはこの分科会でも、主に母船「よこすか」の老朽化についても議論をしていただきました。
そういったことを踏まえて、これからどういうふうに取り組もうかというときに、文科省のほうでは、まずこの深海・海溝域の探査・採取のプラットフォームとして打ち出してはどうかというふうに考えているところでございます。
内容は上の3行にまとめて書いてありますけれども、まず、深海大国である我が国のターゲットとして、海洋安全保障及び持続可能な海洋を目指して、各種探査機を効率的かつ効果的に運用すると。これをまさに深海・海溝域というのを新たなターゲットとして、探査と採取、両方を行っていく、これをプラットフォームとしてやっていくのだと。これは防災、環境、資源分野の科学的知見を創出し、社会課題の解決に貢献すると、それらを目指していくものとして考えております。
次の絵のところですが、プラットフォームというのは、母船とそれに搭載する探査機の組合せでプラットフォームというふうに捉えてはどうかと考えております。
探査機も、ここは実際にある探査機の写真を載せておりますけれども、写真とこれからのフルデプスなどもやっていますけれど、これを固定的というわけではなく、ここに書いていますように、いろいろな目的に応じていろいろな探査機が使えるという形で、固定するのではなくプラットフォームというふうに考えていきたいと思います。
最後の下のところですが、じゃあこのプラットフォームってどういう特徴があるのか、どういったところがポイントになるのかということで、2つ考えたものを書かせていただいております。
1つは高効率化であろうと。まさに今まで1つの船で1つを乗せてというところが、複数の機種を同時に乗せられると。これはこの後の説明でも紹介していただきますけれども、1つの試算が約3倍の効率化を図れるのではないかというふうに考えています。1つの研究の効率化、航海日数も探査時間も大幅に短縮ができれば、裏返すと、例えば同じ燃料でたくさん研究ができるということかなというふうに考えます。
ちょっと燃料を強調して恐縮なのですが、かなり価格高騰する中で非常に運営が厳しい中で、やはり効率化というのはこれから考えていかなければいけないですし、一つのこのプラットフォームの売りになるのではないかというふうに考えるところです。
併せて、着水揚収プロセスを見直すことで、システムですかね、ここの作業の効率化で大幅に人も減らせるというところ、これは人を減らすこと自身、あるいはダイバーの作業を減らすことで、やはり安全にもつながるのではないかと思います。こういったことも、単なる効率化だけではなくて大事な視点ではないかと思います。
もう1つは共用基盤ということで、これらの船をいろんな人に使ってもらうと。前回も原田委員から指摘がありましたけれども、例えばAUVの開発など、民間の方にも使ってもらうというのもあっていいんじゃないかなというふうに思います。
これは同時運用で複数の機種を置くので、それなりに広いスペースが確保できると思うんです。そういったものを活用して、民間の方、ほかの分野の研究の方、いろいろ使ってもらってはどうかということを考えております。
こういった特徴を持つプラットフォームとして、ぜひ進めていきたいと思いますので、分科会でも御議論いただきたいというふうに考えております。
では、続けてJAMSTECのほうからお願いします。
【難波室長】 では、私のパートからさせていただいてよろしいでしょうか。
それでは、母船を含めた新たな大深度探査システムの構築というところから御説明をさせていただきます。
【中川海洋地球課長】 ページで言うと24ページですかね。
【難波室長】 はい、そうです。ここから御説明申し上げますのは、多種多様な探査機を搭載して、複数・多機種の同時運用の実現などにより効率化した調査を行うことが可能な、母船システムを含めた新たな大深度無人探査システムの構築について御説明をいたします。
最初に、そもそものところとしまして、なぜそのような新たな大深度探査システムが必要であるのか、深海探査によって解決すべき研究課題について御説明をいたします。
続きまして、現有の支援母船「よこすか」の老朽化の現状について改めて述べさせていただいた後、我々が検討を進めております新たな超深海探査母船構想について御紹介をさせていただきまして、最後に、その母船を含めた探査システム、新たな探査システムを利用することで、既存のファシリティーを用いた場合と比べてどの程度の海洋調査の効率化が見込めるのか、地震・防災課題を例に御説明をいたします。
次ページ以降で、解決すべき研究課題を述べさせていただくのですが、その前に、まずこちらの図を御覧いただきたいと思います。
こちらの図は、日本近海の横断面の模式図になっております。なお、この図では海溝域はもちろん、太平洋側の比較的平らな部分も概略水深5,000メートル級の深海となっております。
皆様御承知のとおり、海洋プレートが沈み込む日本海溝、千島海溝、南海トラフなどは、巨大地震や海底地すべりを発生させます。また、日本周辺には海底火山も存在します。
一方、日本の東側の海底は古くて、マンガンクラスターなどの鉱物資源が存在しますし、また、海底熱水活動による鉱物の集積も見られます。さらに、このような特殊な環境には未知の生物が多く存在し、遺伝資源の宝庫でもあります。すなわち、我が国は深海大国であるがために、巨大地震や津波などの脅威にさらされる反面、海底資源や遺伝資源などを持つというわけです。
そのほか、マイクロプラスチックによる汚染の実態把握も、国民生活や国際的な社会課題解決に不可欠な調査テーマです。また、海洋環境保護という観点では、生物多様性の保全が課題として挙げられます。環境を保全しつつ、御説明したような恩恵を享受し、災いを防ぐという観点から、今後やるべきことはいろいろございます。
まずは例として、防災に資する研究を次のページで御紹介いたします。
例えばですけれども、地震・防災研究について、サンプルリターン研究で進めていく研究課題といたしましては、東北地方太平洋沖地震における三陸沖の津波波源が未解決問題として残っております。これには海底地すべりが寄与した可能性も指摘されておるところでございます。また、地震津波発生ポテンシャル評価に関わる高分解能地形調査、巨大地震津波履歴調査も不十分です。
そこで、高分解能の地形調査とそれに基づくサンプルリターンが重要な役割を果たします。例えば、ピストンコア資料の解析に基づく地震津波発生履歴の復元、海底観察や採泥、熱流量計測などに基づく大規模海底地すべり地形の実態把握などが必要であり、それらに基づいて地震津波発生履歴の復元、今後の地震津波発生ポテンシャル評価への貢献が期待できます。
こちらの地震・防災研究課題については、後ほど具体的な調査計画例を御紹介いたします。
続きまして、地震については、JAMSTECではこれまでも南海トラフ地震に備えるために、ゆっくりすべり観測監視システムを、紀伊半島沖、紀伊水道沖のこの辺りに展開しております。既に展開した装置からのデータは南海トラフ地震臨時情報にも利用されております。
一方、国内に34個ある海域火山、こちらの左側の図の赤い三角で示しておりますけれども、これらについては、まだ十分な知見がありません。海域にあるために観測や噴出物等の採取が困難であることが理由であり、したがいまして、有史以前の噴火様式、規模等の活動履歴は、ほとんどの海域火山で把握できていないというのが現在の状況でございます。
こちらの図で活動前と活動後について示しておりますとおり、大きく海底地形が変化していることが観測されています。平時の海底火山の形状を詳細に把握しておき、火山活動が活発化したときにその形状変化を素早く観測すること、そして、その噴出物を採取することが必要です。そのためには、効率的かつ精密な海底地形調査と、深海からのサンプルリターンが必須です。得られたデータは、最近設置されました火山調査研究推進本部にて活用され、海域火山噴火のリスク評価・軽減に貢献することが期待されます。
海洋プラスチック汚染の実態把握も、国民生活や国際的な社会課題解決に不可欠な調査テーマであります。近年の研究では、海洋に流出したプラスチックのうちの90%以上は、海洋の中心層や深海底に存在しているという報告もあります。
深海海ごみ集積モデルは、海洋表層の海流による輸送を反映した予想にとどまっています。海溝斜面における谷地形や海溝等には大量の海洋プラスチックの集積が見込まれますが、中層から深海底マイクロプラスチック分布の知見はほとんどなく、生態系への影響も懸念されております。
JAMSTECにおける研究では、海底地形によるマイクロプラスチック集積量、プラスチック組成の変化、そして海溝軸に生息する深海生物への有害汚染物質の取り込みも報告されておりますが、海底地形の同定と、サンプルリターンによるプラスチックごみ集積状況の把握、それに基づく輸送経路の推定、生物多様性影響評価、そして海洋表層を含めた時系列モニタリングによる海洋プラスチック汚染の実態把握と、汚染対策の実効性把握などが求められております。
海洋環境保全・保護という観点では、そのほかに生物多様性保全も課題として挙げられます。2020年に指定された沖合海底自然環境保全地域には、伊豆・小笠原海溝、マリアナ海溝も含まれており、こうした環境の生物多様性を映像観察や採取資料から把握し、モニタリングすることが必要であるとともに、多様性の保全に必要な生物相、生態情報、遺伝集団解析や分散モデルなどに基づく接続性データなどの科学情報を集めることも不可欠です。
食物網構造などの生態情報や遺伝集団解析などを遂行する上では、映像解析や環境DNA解析などに加えて、「しんかい6500」やフルデプス探査システムなどを用いた生物試料のサンプルリターン研究が必須となります。これらによりまして、生物多様性の把握とその保全に向けた科学的知見を提供することが可能となります。
防災ではなく、人類に恵みをもたらす研究の例も挙げます。超深海域や熱水噴出域のような特異な環境には、我々の知らない生物がたくさん存在しております。そして、それらの中には、これまで知られていなかった機能を擁するものがあります。
例えば、これまでに我々は、真核生物の起源と見られる古細菌の発見、光合成、化学合成に次ぐ第3の生態系、電気合成生物の発見など、学術的に価値のある発見をしました。それにとどまらず、二酸化炭素をメタンに換える古細菌を発見したり、熱水鉱床に生息するスケーリーフットと呼ばれる貝が、周囲に存在する鉄分を使ってよろいのようなうろこを形成するなど、ユニークな生物機能も発見しています。さらに、深海生物から様々な有益な酵素などが発見されており、その中には製品化につながるものもございました。
深海の、特に熱水噴出域などのような特異な環境を効率的に見つけ出し、そこからサンプルを持ち帰ることには、学術的な研究だけでなく遺伝資源活用という価値もございます。
海底資源探査も、高精度で効率的な深海底調査と、深海からのサンプルリターンによって研究の進展が期待される領域です。例えば、コバルトリッチクラストは日本近海の古い海山に広く分布すると推定されておりまして、資源としては有望視されていますが、調査済みの範囲は極めて限定的で、日本近海の多数の古い海山に広く分布すると推定されているものの、その産状・分布は不明です。
そこで、海山全体の高解像度地形調査、反射強度によるクラスト被覆調査、海山複数箇所からのコア試料採取などを行うことで、各海底資源の分布範囲や遷移などを明らかにすることができ、海底資源利活用に向けた科学的情報の提供が可能となります。
以上が、深海探査によって解決すべき研究課題であり、それらに対応するために必要となる探査機の調査能力をまとめると、この表のようになります。
この表は、先ほど御説明した各研究課題、この上の行に赤色の枠で囲っておりますけれども、これが探査機のどのような能力を必要としているのかを表す表となります。
下の段には、いわゆる航行型のAUVについて記載をしております。こちらは広範囲を動き回って、地形や海底下の構造を調べます。サンプルリターンシステムの「探して採る」の「探して」の部分を担当いたします。
上段のほうには、試料採取を行う探査機としてROV、HOV、フルデプスの無人探査について記載されています。ROV、「しんかい6500」とフルデプスでございます。これらの探査機は、サンプルリターンシステムの「採る」の部分を担当いたします。
多種複数台の探査機による同時運用で、これらの調査の効率は飛躍的に高まります。一方、現在の母船では、1航海で1機種の探査機の運用しかできないのが主流です。
ここで、母船「よこすか」の老朽化状況について振り返ってみますと、前回の海洋開発分科会でも御報告されましたとおり、その母船が危機に瀕している状態でございます。
「しんかい6500」と「うらしま」を運用するための母船「よこすか」が、建造後35年が経過いたしまして老朽化が進んでおります。これまで約30年と言われている研究船の寿命を超えて運用してまいりました。しかし、配管の腐食ですとかAフレームクレーン底部の劣化等が進みまして、さらには燃料タンクの上部に穴が開いていることが発見されました。通常のメンテナンスでは維持が困難でございまして、部品などは製造終了、入手困難という状況でございます。
そこで、先ほど来御説明申し上げております、深海探査によって解決すべき研究課題に切れ目なく対応し、深海大国である日本の周辺海域を十分に調べるためには、新たな超深海探査母船が必要となっております。
すなわち、「よこすか」から「しんかい6500」の母船機能を引き継ぐとともに、新たな超深海無人探査機、及び超深海AUV「うらしま8000」の技術開発により、我が国として深海域での調査能力を獲得し、これらを搭載することを考えております。それと同時に、ROVですとか複数の汎用航行型AUV、複数の水上ドローンを搭載することも検討しております。
このような特徴の異なる各種探査機を同時搭載し、調査対象・目的等により適切な組合せで各種探査機を連続または同時運用することで、広範囲を効率よく探査し、特異点を見つけ、ピンポイントでサンプルを回収する最高効率のサンプルリターンシステムを目指します。
そのためには、右側の四角で囲っておりますように、着水揚収システムのスイマーレス化や省人化、探査機等の陸上からの操作といったようなことも視野に入れまして、検討を進めてまいります。
また、陸電の活用ですとか、二酸化炭素回収装置等の設置による環境へのインパクトの最小化、それから女性区画の増強、通信環境常時最新化等も検討しております。
次のページ以降では、この超深海探査母船を用いて行う調査研究のうち、先ほどの研究テーマの一つで紹介しました地震・防災研究に沿って、同時搭載・同時運用による効率化の例を御紹介させていただきます。
こちらは、東北沖の地震発生履歴、及び巨大海底地すべり試験について、「うらしま8000」、「しんかい6500」、フルデプス探査システム、そしてピストンコアラーを組み合わせた調査の例でございます。
東北沖では巨大地震と津波が繰り返し起きておりまして、それらの発生履歴やメカニズムの解明が必要ですが、東北沖の北緯39度から38度30分付近の深い場所で大きく円弧のすべりが疑われる地形がございまして、これは2011年のような巨大地震に関連してすべったことで、津波の一因となった可能性も指摘されております。
まず、「うらしま8000」によりまして、調査方法1といたしまして、地すべり地形について、左側が浅いほうですが、浅部の主滑落崖付近、それからリッジ状になっているとされます地すべり帯中央部、それから地すべりの先端部で押し潰されていると考えられる下端部、それぞれ2サイトずつAUVで地形調査、及び海底下の浅部の構造探査、サブボトムプロファイラーを用いて探査を実施します。
これを基に、調査方法2としまして、地すべりの活動を示すクラック、新鮮な崖、変形が示唆される箇所を中心に、「しんかい6500」で観察、表層採泥を行います。
また、調査方法3として、地震活動履歴や地すべりの履歴を知るために、ピストンコアでより長い時間軸の採泥をいたしまして、調査4として、「しんかい6500」では潜航できない場所での潜航や、地すべり先端部において熱流量の計測などを行います。
「うらしま8000」で詳細地形を調べた後の、各探査機・観測機器によるサンプリング例について、先ほど申し上げましたことのイメージを示しながら再度御説明いたしますと、まず、AUVで特定した連続の堆積場の中から特異なところを見つけまして、まずピストン採泥、左側ですね、ピストンコアラーの採泥を行いまして、地震履歴や地すべり履歴の復元をコア試料に基づいて行います。
そして、AUVで推定される断層、滑落崖、崩壊地形などで、「しんかい6500」による直接観察と、その分布の空間把握を行うとともに、表層採泥試料からそれらの影響の範囲も推定をいたします。
さらに、フルデプスの無人探査システムは、「しんかい6500」のようにトランゼクトを切っての観察、各種サンプリングなどはできませんが、「しんかい6500」が潜航・観察できない水深6,500メートル以深での一定範囲での観察が可能なほか、長時間設置可能という利点を生かしまして熱流量計測などを行うことで、地すべり帯末端では地層が圧縮された影響が見られるのかなど、すべりの活動度を検討することができます。
これらの調査は、現状では、現在のファシリティーを用いて同様のことを行おうとしますと、「よこすか」では「うらしま」「しんかい6500」とともに個別で搭載、個別運用しか行えません。
また、ピストンコアラー採泥は「よこすか」では不可能で、「かいめい」や「新青丸」を用いる必要があります。そのため、「うらしま」、「しんかい6500」、ピストンコアラー採泥を行う航海の3航海が必要となり、必要観測時間と現状の人員配置に基づく運用体制から延べ航海日数を計算いたしますと、合計51日間の航海が必要になります。
一方、新しい探査母船が完成いたしまして、「うらしま8000」「しんかい6500」そしてフルデプス無人探査システムとピストンコアラーなど一般的な海洋観測機器が同時搭載できる体制になると、それらを交互運用することで、同じ調査内容が1航海、24日間で行える計算になります。
さらに、オペレーションの省人化ですとか、AUVやフルデプス無人探査システムの管制をASVを通じて陸上支援などをすることによりまして、探査機の同時運用、つまり「うらしま8000」が海底で調査をしながら、「しんかい6500」が少し離れた海域を先行調査することなどが可能となり、同じ調査内容が1航海、15日間で実施可能となるなど、調査日数のさらなる短縮が可能になります。
また、異なる探査機、観測機器の同時運用に加え、居住環境の改善による研究者定員の増加により、複数の研究課題を同一航海で行うことが容易になります。日本海溝で地震津波の研究を行いながら、海洋プラスチック分布調査を行う、バイオリソース探査用の試料を採取するなど複数の研究テーマを、海溝域など同一研究エリアで同時に進めることができます。
こちらが最終ページですけれども、我々の目指す深海探査サンプリングシステム、サンプルリターンシステムの全容をまとめたものとなります。
こちらでは、あらかじめ「うらしま8000」などで探査をし、発見した特異点において、「しんかい6500」やフルデプス無人探査機で海底面の観察やサンプル採取等を行っております。「しんかい6500」もフルデプス無人探査機も、母船の管制下で調査を行います。
一方、「しんかい6500」やフルデプス無人探査機が海底面の探査や試料採取をやっている間にも、同時並行で航走観測を続けます。これらの航行型AUVについて、上のほうに載っておりますけれども水上ドローン等を経由して、母船から、あるいは陸上から探査機の管制を可能とすることを検討します。水上ドローンを経由した管制は、AUVだけではなくフルデプス無人探査機に対しても行うことも想定をしております。
このように、深海探査を効率よく行える、世界をリードする深海探査システムの構築を目指して、検討を進めているところでございます。
以上で私のパートは終わりでございます。
続きまして、順番が前後いたしますが、志村のほうにバトンタッチをいたします。
【中川海洋地球課長】 では、続けてお願いします。
【志村部長】 技術開発部長、志村です。それでは、私のほうからは、冒頭に、この分科会で昨年度策定いただきました「今後の深海探査システムの在り方について」という提言について、振り返りを簡単にさせていただいた後、「しんかい6500」の老朽化対策の状況と、新たな大深度無人探査機の開発について御報告したいと思います。
それでは、まず冒頭、深海探査の現状と課題について、簡単に振り返りをさせていただこうと思います。
日本は、陸の国土は狭いもののEEZは広く、その面積は世界第6位の海洋国家であるとよく言われますが、体積で見ると世界第4位となります。つまり、広いばかりではなく深いという特徴があります。右の図のとおり、日本海溝に沿って深い水深の海域が広がっていて、5,000メートル以深の体積は世界1位となり、日本は深海大国であるというふうに言えるかと思います。
そうした深海を探査するための探査機としては、ここにありますとおり、大きくはHOV、ROV、AUVという3つのカテゴリーがあります。HOVは有人潜水船で、人が直接乗り込んで操作する探査機です。ROVは母船とケーブルでつながっているタイプの無人探査機で、ケーブルによって母船から電力が供給されることと、通信ができること、母船上のオペレーターがリアルタイムで操作ができることが長所となりますが、つながっているがゆえに自由に動き回ることができないという短所もあります。
一方、AUVはケーブルのない無索の無人探査機のことで、今の長所短所がちょうど裏表になりまして、自由に動きまわることはできるけれども、電力は自分の持っているバッテリーに限られるということになります。また通信については、後ほどお話しする音波による通信、音響通信が可能ではありますが、伝播の遅延が大きいために、直接細かい操作をリアルタイムで行うことはできません。そのため、生物や岩石を採取するためには、マニピュレーターをリアルタイムで操作するHOVかROVが使われることになります。
こうした探査機に関して、日本の現状と海外の状況を比較した図がこちらになります。
潜航可能深度がそのまま単純に技術力の差ということではありませんが、中国は、水深1万1,000メートル級の有人潜水船やAUVを開発しています。また、民間のものですが、アメリカのトライトン社が1万1,000メートルまで潜航可能な潜水船を開発し、日本海溝で調査を行った事例もあります。
一方、我が国では、主にJAMSTECが深海探査機を保有・運用していますが、現在最も深く潜航できる探査機は「しんかい6500」であり、その深度は6,500メートルまでとなっています。
こうした現状と課題を踏まえ、昨年度、海洋開発分科会で御議論いただきまして、「今後の深海探査システムの在り方について」という提言を策定していただきました。
この提言では、試料採取、重作業、海底面付近での観察・計測、広範囲の観察・計測の4つの能力を持つ大深度の探査機と、HOV、ROV、AUVの各種探査機を組み合わせて、同時かつ効果的に運用できるシステムの構築の必要性が示されました。
それに対して、「しんかい6500」の老朽化対策、新たな大深度無人探査機の開発、母船を含めた新たな大深度無人探査システムの構築という、3つの取り組むべき方針が示されました。本日は、この3つの方針に沿って、現状のJAMSTECの取組や検討状況を御説明したいと思います。
まず、方針の1つ目、「しんかい6500」老朽化対策の状況について、御説明します。
有人潜水船の「しんかい6500」は1989年に完成し、この5月末までに1,853回の潜航を行ってきました。建造から36年がたち、毎年ドック整備を行っているものの、建造されたときの機器をそのまま使い続けていて、新規製造が難しいものもあります。また近年は、部品の製造中止やメーカーの撤退により整備の対応が終了するという事態も起きています。
そうした状況の中、対策を進めておりまして、例えばインバーター主回路部に使われている電解コンデンサー、この回路は油漬けの均圧容器になっているので、高圧下でも動作する特殊品だったのですが、生産中止になっていたところをメーカーと交渉して、新規製作をしてもらうことになりました。
また、緊急離脱ボルト、これはマニピュレーターやサンプルバスケットなどを緊急時に切り離すための装置で、これに使用するガス発生剤が製造中止となっています。このため、今年度から3年間で代替となる発生剤を開発する予定です。
ほかにも、スラスターの電力制御をするドライバーや、主蓄電池の管理盤などは部品が製造中止などとなる一方、経年劣化は進行していることから、これらの装置も更新・換装を計画しております。
さらに、今後対策が必要となると予想されるものとして、主配電盤インバーター制御部、重量トリムシステムといった装置類の対策が必要になると考えています。
以上、「しんかい6500」の状況についてまとめますと、建造から36年がたち、換装していない機器もあるため、安全な運用を継続するためには、そうした機器を整備、換装していく必要があります。
それらのうち製造中止となった部品や装置については、再製作となったものもあれば、代替品を開発しなければならないものもあります。製造メーカーも、技術者の定年、設備の縮小、人手不足など状況も変化しておりまして、一品物で時間がかかる、製造メーカーが少なく同一業者に発注が集中しやすい特殊な機器が多いために、代替メーカーの確保も非常に困難といった状況から、仮に予算があったとしても、短期間でまとめて対応することが難しく、長期的、計画的に一つ一つ開発を進めていく必要があると考えています。
次に、方針の2つ目、新たな大深度無人探査機の開発について御説明します。
提言では、AUV「うらしま」の改造と、先ほど述べました4つの能力を持った探査機の開発がうたわれています。
まず、「うらしま」の改造については、もともとは潜航深度が3,500メートルまでだった機体を、8,000メートルまで潜航できるように改造を進めてきました。この「うらしま」は、AUVとしては航行型と呼ばれるタイプのもので、海底近くを広範囲にわたって航行し、例えばソナーによって解像度の高い海底地形図を得ることが強みということになります。
この「うらしま」の8,000メートル級への改造によって、海溝域を含んだ日本のEEZの98%までを調査することが可能になります。また、大型のペイロードスペースを前部と後部に設けておりまして、乗船研究者が目的に応じて比較的大型の調査機器を搭載することができるのも、このAUVの特徴です。
改造の進捗としては、機体は昨年度のうちに組み上がっておりまして、2回の試験航海で合計12回の潜航を行いました。最も深い潜航は水深6,606メートルで、これは国産のAUVとしては最高の到達深度となっています。
そのほかの潜航においても、指定した測線に沿ってシナリオ航行を行いまして、ソナーによる海底地形のマッピングをするなどの動作確認を行うことができています。
今年度は開発期間の最終年度となりますが、7月と11月、2回の海域試験を行います。1回目の試験で、まず水深8,000メートルでの動作確認試験を行いまして、2回目の試験では研究者も乗船して、日本海溝の水深7,500から8,000メートルのエリアで海底地形マッピングを行って、実践的な調査観測を行います。その後、来年度以降、順次研究航海にも利用される環境を整えていく予定です。
一方、新たな大深度無人探査機の開発のもう一つの項目である、新しいコンセプトのフルデプス級無人探査機の開発について、現在の状況を御報告したいと思います。
このシステムは、ROVのように母船と機体をつなぐ長大なアンビリカルケーブルを必要としない、ケーブルレスで6,500メートルよりも深い超深海にアクセスするシステムの開発を進めています。
具体的には、図にありますとおりランダーという着底型の装置から小型のAUVを発進させて、言わばランダーが基地局のような役割を果たすことで深海探査を実現しようとするものです。
このシステムを実現するには、提言書にも挙げられている音響通信技術、AIなどを導入した航行や画像認識などの自律機能強化などの要素技術開発が必要になります。
また、将来的には複数のAUVで作業を分担するようなマルチビークルの技術や、この図には描かれていませんが、海中での充電やサンプルバスケットによるサンプルの揚収といった技術も導入していきたいと考えています。
こうしたシステムを実現する要素技術のうち、音響通信、深海の探査機との鉛直方向の通信に関しては、既に開発が進んでいます。このグラフは、主に海外のメーカーが販売している通信装置のカタログ値をプロットしたもので、通信の距離に対して通信速度、データの転送速度、通信容量をプロットしてあります。
近距離であれば通信速度を上げることができるのですが、長距離の通信をしようとすると通信速度は下げざるを得ないために、おおよそ距離と通信速度は反比例することになります。その距離掛ける速度の指標で、これらの通信装置では40kbps掛けるキロメートルという性能でとどまっておりました。
それに対して、JAMSTECでは、ランダーシステムや「しんかい6500」に搭載するための音響通信装置をインハウスで開発しまして、6,500メートルで80kbps、9,200メートルで約70kbpsという通信速度を達成しています。距離掛ける速度の指標では、500から600kbps掛けるキロメートル以上を達成しておりまして、従来の通信装置を大幅に上回る性能を実現しています。
この通信装置は、「しんかい6500」などに搭載されて、観測データやカメラの画像を母船に転送するための装置として使われています。
左の映像は、以前使われていた旧型機による受信映像、右が開発した通信装置による受信映像です。旧型機の場合には、画像を細切れにして、10秒かけて1枚の絵を送っていたのに対して、開発した通信装置では、細切れではなく1枚の画像を2秒に1枚ぐらいのレートで転送することができています。こうした映像を母船側が受信できることで、直接の調査観測だけではなく、オペレーション自体に対してもその効率化に大きく貢献できているというふうに考えます。
こうした通信装置については、さらに高機能化を進めていまして、音響の測位装置と統合化した装置も開発しています。
従来、音響測位装置と音響通信装置というものは別々の装置として用いられていました。そのために、干渉しないように、例えば10秒というような長いインターバルを空けて送受信をして使わなければなりませんでした。これですと頻度が低くなってしまいますし、確実性も下がります。
そこで、手法の詳細についてはここでは説明を割愛しますが、通信と測位を統合化することで、高い頻度で確実に通信と測位が行える装置を開発しました。これを使って4機のAUVを同時に制御する実証試験にも成功しておりまして、先ほどお見せしたフルデプス探査機のランダーと小型AUV間の通信測位にも活用することを進めています。
以上のように、音響通信については高速化・高機能化を進めていますが、音響通信では音波の伝播速度が遅いために、例えば9,000メートルですと片道7秒の伝播遅延が発生してしまいますので、リアルタイムで深海の探査機を制限することはできません。そうしたタイムラグをカバーするためにも、AUVの自律機能の強化、知能の向上というものが重要になります。
従来、AUVの知能は、いわゆる事前定義型と呼ばれるものでした。このような場合にはこのように応答しろというプログラム、あるいはシナリオを事前に与えておいて、それに従うというものでした。
例えば障害物回避の行動について説明すると、ソナーやカメラで前方を監視しながらAUVが航行する場合に、その監視の範囲内に何か予定外の物体が検知された場合には、それが何であるかということにかかわらず、障害物はとにかく避ける、回避するといった行動でした。
それに対して、今、我々が取り組んでいるのは、AIを導入して、物体を検知するだけではなく、それが何であるのかということを識別して、その識別の結果に基づいて行動を決定する。先ほどの障害物回避の例で言いますと、予定外の物体を検知したときに、その物体は避けるべきものなのか、あるいは逆に近づいていって調査・観測すべき対象物なのかといったものを判断する、言わば自己判断型の知能に高めるということを進めたいというふうに考えています。
そのための要素技術開発として、カメラの画像から生物や障害物を検知して識別する研究や、ソナーの信号を機械学習させて障害物を検知・識別するという技術についても、水槽試験等を行って基礎研究を進めています。
こうした自律機能を用いた試料採取の機能については、一部、実海域での実証試験を既に進めています。この試験では、ランダーにナマコの模型を取り付けて潜航させて試験を行いました。この図にありますとおり、カメラで撮影している画像からターゲットを識別して、ナンバリングをして、この画像を音響通信で母船に転送します。
母船側では、例えばこのナンバー4のターゲットを採取しろという指示を音響通信で送ります。ランダー側はその指示を受けて、ステレオ視差に基づいてロボットアームを制御し、そのターゲットをつかむという動作を9,200メートルの海底で実際に行って、こうした半自律のサンプリング動作の実証試験に成功しています。
ほかにも、深海探査システムを実現するための要素技術として、ここに挙げたような研究開発も進めております。
一つは、セラミックス材料による耐圧容器の開発です。従来、電子回路を納める耐圧容器はアルミ合金やチタン合金などが用いられていたのですが、水深1万1,000メートル、フルデプスの水圧に耐えるとなると、チタン合金でも肉厚が増して重くなってしまいます。それに対してセラミックスは、圧縮に対する強度が非常に高いので、肉厚を薄くして軽くすることが可能です。
このランダー用に開発した容器では浮力が正になるため、その容器自体が浮くために、機体全体の設計、あるいはペイロード重量の増加に対して非常に大きなインパクトがあります。
また、小型のAUVでサンプリングをするためには小型のロボットアームが必要となりますが、その駆動部となる大深度のアクチュエーター、サーボモーターの独自開発なども行っています。
従来、こうした大深度用のモーターは油漬けタイプのものが使われていたのですが、その方式ですと大深度の高圧化では大幅に効率が低下してしまいます。そうした問題を解決するために、モーターのステーターとローターの間がフリーフラッドとなる新しいタイプのアクチュエーターを、モーターを考案して独自に開発しました。これを用いればロボットアームを非常に小型にすることができます。先ほどお見せした9,200メートルの水深でのサンプリング動作試験においても、大水深で良好に動作することが実証されています。
以上、核となる技術、あるいは必要な周辺技術の研究開発を行いつつ、この図にあるようなスケジュールでフルデプス無人探査機の開発を進めたいというふうに考えています。
まず第1段階として、ランダーからホバリングタイプの小型AUVが発進して、カメラによる光学マッピングをしながら、半径200メートルの範囲内を動き回ってターゲットを検知して採取する。ここではスラープガンを使ってターゲットを吸い込むということを想定していますが、そうしたサンプリング行動ができるというところまでは確立していきたいというふうに考えています。
この時には、AUVとしての機能は備えているのですが、命綱としてのケーブルはつないだ状態で試験を行う予定です。
さらにその後の目標として、これを無索として、ケーブルなしで、現状想定しているバッテリーの容量などからは片道最大2キロメートルを計画しているのですが、最大でその範囲の探査を無索で行って、サンプルを採取して、ランダーにドッキングして母船に帰ってくる、こうした探査行動が可能となるようにしたいと考えています。
以上のように、新たな大深度無人探査機の開発に該当する技術開発については、「うらしま」の改造による超深海での高解像度地形調査を間もなく実現し、また、サンプルリターンの機能につきましても、段階的に採取方法の多様化をし、あるいは探査範囲を広げるための開発をさらに加速させる予定です。
探査機についての報告は以上となります。順番が前後して大変失礼いたしました。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。
これで予定していた説明を一通りいただきました。ちょっと振り返りますけれど、まず(1)ということで、文部科学省さんのほうから、探査・採取のプラットフォームの構想ということで全体コンセプトの御紹介をいただいて、その後、そのコンセプトの裏づけになる、あるいはその前提となっている現状と課題というようなところについて、海洋研究開発機構のお二人の方から報告をいただいております。
かなり幅広く、いろんな話題がありましたけれども、皆様から質問、コメント等いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【川辺分科会長代理】 御説明いただきありがとうございました。
初めに御説明いただいた難波様の資料の37ページですけれども、最後に、サンプルリターンの効率化ということで、3航海で計51日間かかっていたものが、1航海で24日間でできる、3つのものを一遍に動かすことができる、というのはたしかに効率的だと思いました。
ただ同時に、大丈夫かなという不安もおぼえました。深海という極めて危険な環境の中で、こういう運用を行うのは時間効率的、燃料効率的ではあるけれども、それを確実におこなうことができるほどの人的な資源とか、あるいはオペレーションの安全性はどれぐらい確保できるのかというところが、心配な気がいたしました。もしよろしければ、その見通しを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【難波室長】 難波でございます。御質問ありがとうございます。
今まさに委員のほうで御心配いただいているように、安全をないがしろにするということはもちろんできませんので、その辺は非常に慎重に検討していく必要があるというふうに思っております。
現在のシステムの必要人数を、今、安全にやっておりますけれども、それをそのまま、この24時間運用、同時搭載、交互運用に持っていきますと、やはり必要人数は1航海当たり増えてまいります。
やはり今、乗船者、乗組員の皆さんを含めて、なかなか人の確保も難しいというところもございますし、その辺は省人化の検討、それから技術開発等で自動化の推進等をやって、安全かつ必要人数が少ないような状況に持っていく必要があると思います。
例えば着揚収システム等で、現在ですと海の上で動揺している中で着揚収する際に、「しんかい6500」ですとか「うらしま」が揺れるのを防ぐために振れ止めを取っている人が何人かいるんですけれども、そういったところもハードウェアで対応するとか、そういったような検討ができるのではないかというふうに思っております。御指摘ありがとうございました。
【川辺分科会長代理】 御説明ありがとうございました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
それでは、オンラインで3名の方が今見た感じ、手が挙がっております。河野真理子委員、原田委員、見延委員の順番で、それぞれお願いしていきたいと思います。
一番最初、河野真理子委員からお願いします。
【河野(真)委員】 ありがとうございます。大変興味深い御説明をありがとうございました。
まず、5ページについて、2つ質問をさせていただきたいと思います。各国の深海探査の現状の部分についてですが、この図がどういう意味を持つかということを考えながらお話を伺いました。特にHOVとAUVに、HOVの場合は日本の海洋の約97%、それからAUVの場合には日本の海洋の約94%が探査できるという記載になっています。ROVは55%とされていますが、これ以上の技術を必要とするのかどうかということを教えていただきたいと思います。
この図によれば、海外あるいは中国はもっと深いところを探査ができる、世界最深部まで探査できるという技術を既に獲得していて、日本も今後、そういう最先端の技術を備えることを目指す必要があるのか、それとも、少なくとも日本の海洋の探査に十分な能力を備えればよいというふうに受け取ってよいのかを教えていただきたいと思います。この点、今後どういうふうに機器を開発していくかを考えるときに、考慮しなければならないと思いました。
もう1点は13ページについてです。「うらしま」の能力について、日本の海域の98%探査可能とのご説明がありましたが、実際問題として、例えばこれだけ広大な日本のEEZをきちんと全部探査をするにはどのくらいの時間を見込んでおられるのかを教えていただきたいと思います。技術開発が進めばより速度が上がるのかもしれないんですけれども、少なくとも私が知っている限りでは、日本のEEZの探査はまだまだ、なかなか全ての海域には及んでいないと伺っていたと思いますので、技術の発展を見込んだ上で、どれぐらいの時間を見込めば良いのでしょうか。以上の2点を教えていただければと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。まず、機構のほうから。
【志村部長】 技術開発部の志村です。まず1点目の御質問、コメントについてなんですが、どういった探査が必要かというのはサイエンスニーズに基づくところだと思うので、私から全てを説明することは難しいところもあるんですけれども、1万1,000メートルまでというのは、この後の提言にもありましたように、目指すところだというふうに考えています。
その時に、例えばROVのような大型の船上設備が必要となる、長大なケーブルが必要となるようなものではなくて、先ほどお話ししたような、機能を分担したような探査機をつくることで、よりコストがかからずに1万1,000メートルまでを探査することを目指すというのが、後半にお話しした探査システムの目指すところです。
それは基本的には超深海、6,500メートルよりも深いところを目指すいうのがその役割でして、6,000メートルまでであれば「しんかい6500」であったりROVというものが担うというか観測するということだと考えています。
あと、難波の説明のほうからあったと思うんですが、サイエンス目的でも海溝軸付近での重要ミッションが残っていて、この2%でのサイエンスの課題が多いというふうに説明があったかと思います。海洋プラスチック、地すべり、地震履歴などのミッションに対して課題が残っているというふうに考えられるかと思います。
それと、「うらしま8000」の探査範囲ですが、これは今、この探査機1機で日本のEEZ全てということではなくて、まずは8,000メートルよりも深いところ、海溝軸のような地震研究などに対して重要と考えられる海域についてアプローチするというのが目的です。大体、1回の潜航で100マイルぐらいは走ることができるというふうに想定していまして、それですと大体100キロ平米ぐらいの面積になります。
なので、「うらしま」だけで全てをカバーするということではなくて、別の考え方としては、もっと浅い海域も含まれますので、先ほど難波のプレゼンの最後のほうに構想図があったと思うんですけれども、例えば、もう少し浅いタイプの航行型のAUVと水上ドローンのペアを増やすような形で、より広範囲な探査を実現するという方向性になるのかなと考えています。
【日野分科会長】 よろしいですか。
【河野(真)委員】 ありがとうございました。よく分かりました。
【日野分科会長】 それでは次、原田委員、お願いいたします。
【原田委員】 丁寧な御説明ありがとうございました。私からの質問は2つなんですけれども、1つ目は有人調査船についてであります。
おととし2023年に、日本学術会議で、「有人調査船の未来を語る」というタイトルで公開シンポジウムを開催いたしました。地球科学、それから生命科学、いろんな分野のユーザーの皆さんから、有人調査船のこれまでの歴史とか今後に期待することなど、非常に活発な議論をいただいて、例えば母船でのリモート観測の限界ですとか、やっぱり現場に人を送り込むことにはこういう意義があるよねといったようなことなどが発表されたところで、多くのユーザーからやはりとても高いニーズがあるなということが、改めて確認されたシンポジウムだったんです。
今日の御説明で、「しんかい6500」、老朽化対策をしっかりやっていただいているところですけれども、老朽化対策だけでは間に合わない周辺状況があるんだなということを理解いたしました。間もなく退役もやってくるとも想像いたします。
退役後ということを考えると、現時点では、日本は6,500メートルの水深まで潜る技術を有していないとも聞き及びます。JAMSTECとして今後、有人調査船というか有人潜水艇の展望とか、あるいは、具体的にはリプレース計画など、もしお考えがありましたら教えていただきたいなというところが1つ目の質問です。
【日野分科会長】 切りますか。
じゃあ、2つ質問をいただいていますけれど、まず1つ目ということで、今質問をいただきました。いかがでしょうか。また機構に対する質問なんですけれども。
【中川海洋地球課長】 これは誰になるんでしょうか。志村部長ですか。
【河野(健)委員】 河野ですけれど、答えてもいいですか。
【日野分科会長】 じゃあ河野委員から、お願いします。
【河野(健)委員】 原田先生、ありがとうございました。科学の基礎は観察からなので、現場で自分の目で見ることとバーチャルで見ることには差があるんだということを、多くの科学者がおっしゃっていたんだと思います。
実際、まず「しんかい6500」を我が国が造る能力が本当にないのかどうかは、これから少し真剣に詰めていきたいと思います。その中には、ひょっとしたらお金の問題なのではないかという点、みんなが想定している額の10倍払ったらできるのかもしれない、そういう仮定だったらつくれるのかということ。
もう一つは輸入するということで、耐圧殻ですけれど、輸入するということで賄える可能性はないのかということも含めた、詳細な議論をしていくことになると思います。
ただ、可能かどうかと造るべきかどうかは、また別の議論になります。現時点では造れないという前提で話をした場合、最終的には、バーチャルリアリティー技術を使って、船上であたかも自分が深海にいるかのごとくの体感を得られるようなことで発展させていくのがいいのではないかというふうに考えているところです。
【日野分科会長】 河野委員、ありがとうございます。
機構のほうから、加えて何かありますか。
なければ、では原田委員、2つ目の質問をお願いします。
【原田委員】 ありがとうございました。2つ目ですが、先ほど難波さんが、世界をリードする深海調査システムを目指すとおっしゃられていたかと思います。
これは、母船と複数の探査機同時運航といったようなことがそういう状況を指しているのか、具体的にどういう状況になると世界をリードしている最先端の深海探査システムを構築したということになるのか、説明をもう少しお願いできたらと思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
【難波室長】 JAMSTEC、難波です。御質問ありがとうございます。
複数機運用で、高効率で探査を短い期間で行うというのが一つございますけれども、もう一つは、このコンセプトのいいところというかキャッチフレーズとしては、「探して採る」というところがあると思います。
今までですと「しんかい6500」で、大体あの辺に潜りましょうと言って行ってみて、あ、いいものがありましたねというので、ある意味偶然というとあれですけれども、発見できていたものが、このシステムが充実していきますと、まず広域をAUVで、今までは母船からしか見られなかったものが、より近いところから見て特異点を発見して、意図的にそこに行くということで、偶然ではなく必然的に発見が効率的にできるというようなところも、一つ推しのポイントではないかというふうに思っております。
これと、複数同時多機種の運用ということで時間短縮ということも含めて、それに伴って無人化とか自動化とか省人化というような技術開発も進めていかないといけませんけれども、そういった周辺技術も含めて、世界をリードするというふうに申し上げというふうに理解しております。御質問ありがとうございました。
【原田委員】 よく分かりました。すばらしいと思います。ぜひ実現を目指して、開発計画を具体的につくり上げていっていただけたらと思います。ありがとうございました。
【日野分科会長】 原田委員、ありがとうございました。
では続いて見延委員、お願いします。
【見延委員】 北海道大学の見延です。どうも御説明ありがとうございました。
この説明であった、異なる技術を組み合わせるタイミングがちょっと分からないんですけれど、例えば「しんかい6500」が継続が難しいというのと、一方では新しい母船を造る。今から新しい母船を造れば、それができるのは随分時間がかかるんじゃないかと思うんですけれど、そういったタイムスケジュールみたいなものはどのようにお考えなのでしょうか。
【日野分科会長】 いかがでしょうか。
【難波室長】 JAMSTEC、難波です。現在の「よこすか」のほうは、一応想定しておりますのは令和12年頃まで何とか使うような形でやっていきまして、その後のところをこの新しい母船で引き継いでいきたいというふうに考えております。
この時点では、まだ「しんかい6500」は使える状態ですので、新しい母船に引き継いで、切れ目なく有人潜水船での調査を続けていきたいというふうに考えております。
【見延委員】 分かりました。ありがとうございます。つまり、「よこすか」が終わるときに、その新しい母船が用意できているようにするということですね。
【難波室長】 そのようにしていきたいというふうに思っております。
【見延委員】 ありがとうございます。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
では山本委員、お願いします。
【山本委員】 山本です。日本郵船です。同じ母船の話なんですけど、そうすると、あと5年とか、ちょっと延びたとしても6年とか使われるというところで、今35歳ですよね。90年出来なので。
我々一般的な貨物船というのはそんなに、30歳以上って使うことはあんまりなかったりするんですけど、唯一長く使っているのは客船というのがありまして、ちょうどこの船と同級生といいますか、「飛鳥2」という船が実は1990年出来で、長く使って、まだ現役なのでしばらく使う予定なんですけど、結構、やはり修理というのはなかなか大変になってきて、我々の船でもやはり老朽化というのはありますし、お客さんを乗せているというところもありますので、結構ケアして、2桁を複数回修繕かけたりとかというのはありました。
あと、やっぱりスペアパーツですね。特にエンジン周りですとか、本当に運航に必ず必要となってくるスペアパーツというのが廃番になっているということが、ここに書いてありますようにかなり多くなってきております。その場合は交換したりとか、あるいは本当に足りなかったもの、ちっちゃいパーツでも実は結構運航に支障があるようなものは、メーカーで世界中に当たってもらったりとか、中古マーケットから探したりとか、結構苦労した覚えがありますので、この「よこすか」のほうも、あと5年6年というところでも、そういった観点で多分やられているかと思うんですけど、そういったことになりかねないパーツというのは確保しないといけないでしょうし、その部分の、今、手を打っている燃料タンクの箱とかの話も書いてありますけれど、それなりに、まだ5年6年といえども手は入れないといけないのがあるんだろうなというのは想像しております。
残りの寿命も読んで大規模なことはやらないと思うんですけれど、もし仮に工期がかかるようなことをやると、だんだん国内の修繕ヤードって、なかなかアベイラビリティが少なくなってきて、自衛隊とか米軍とかので結構いっぱいになってくるということもあると思いますので、そういったところも考えながら、修繕計画とか立てていったらいいんじゃないかなと思います。すみません、コメントみたいになりましたけれど。
【日野分科会長】 ありがとうございました。
今のコメントに対して何か。
【河野(健)委員】 ありがとうございます。よく分かります。計画的にやっていこうかと思っています。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
ほかに。では、榎本委員。
【榎本委員】 榎本です。大変詳細に、あと革新的ないろいろな技術に取り組まれている様子を聞かせていただきました。大変感銘を受けました。大変難しい技術を全部同時並行につくっていると。探査装置、あと採取用の機器も同時に準備されている様子、大変複雑で、これらのスケジュールなんかも全部にらみながらの活動をシミュレーションしながら、一番最適な方法で進められていると思ったんですけれども、3つの航海を併せてというところの効率とも関係するのですが、どの探査に、例えば航行型AUVが一番時間を使いたいとか、あるいは、全部3つ同時に必要なときには新しい船舶の効率は有効だと思うんですけども、どれかに重きを置きたいといったところはひょっとしてないのかなと思ったところと、あと、実際に運用が始まると、探査して、見つけて、それを採取して水上まで持ってくるという、サンプルリターンという最後のところまでの工程がもううまく描かれているのか、あるいはまだまだ検討するところがあるのか、最後、サンプルバスケットという言葉も出ましたけれども、見つけるところに時間を一番使うのか、あるいは、特定のところをしっかり見る、有人型のところで行くのか、あるいはほぼ自動化できるようなところで地上に持ってきたいところに時間をかけるのかというところ、多分シミュレーションされていると思うんですけども、何かありましたら教えていただければと思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
ではJAMSTECのほうで、技術的な裏づけとして何かいろいろ具体的に想定があると思いますので、その辺で何か答えられることがあったら。
【難波室長】 JAMSTEC、難波です。御質問いただきありがとうございます。
先ほどお示ししましたサンプルリターンの効率化というスライドがございましたけれども、こちらの資料は例として、前の何枚かのスライドでお示しをしました調査をするとすればこうです、というようなものをお示ししたものです。
おっしゃるとおり研究課題によって、航走で調べないといけないところに重きを置くべきなのか、あるいはサンプルリターン、あるいは海底のある一部を観測するところに時間を割くのか、それは千差万別といいますか、今回お示しした研究課題だけでもかなりの数がございますので、それぞれにサイエンティストのニーズがございます。
我々としては、これらの全てのニーズに対応できるように計画を考えてみて、必要な探査機の種類ですとか台数というようなものを割り出して、それの最大公約数的なものを見つけ出して、それを船舶に搭載していくためにどういう配置がいいかとか、船上での動線をどういうふうにしたらいいかとか、必要なスペースはどうだとか、そういったようなことを今検討を進めているところでございます。委員のおっしゃるとおり、いろんなケースがございますけれども、漏れがないように対応してまいりたいというふうに思っております。
【榎本委員】 ありがとうございました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。それでは、前川委員。
【前川委員】 笹川平和財団の前川でございます。詳細な御説明ありがとうございました。
資料の5ページに戻るんですけれども、先ほど来、各国の技術力をお示しいただいたんですけれども、アメリカと中国が深いところを観察する技術を持っているというところで、この両国がこういった技術力を維持できている科学技術政策、あるいは産業の在り方というあたりの分析というのは、むしろJAMSTECさんより政府の仕事かもしれないですけれども、どういった目的でもってこれができているのか。中国の場合はむしろ後発の利益で日本が追い越されてしまったのか、その辺り、もし情報をお持ちでしたら教えていただきたいのと、あと、ちょっと今日の趣旨からは外れてしまうかもしれないんですけれども、トランプ政権以降、アメリカの科学技術、学術機関、いろいろと影響を受けているわけですけれども、アルゴ等を含めて、海洋科学、観察分野でどういったことが起きていて、例えば日本がそういったギャップを埋めるという意味で担っていく役割があるのか等々、トランプ政権以降の海洋科学がどういう影響を受けているのかというのは、ちょっと整理というか、そういったこともあるといいのかなと思います。これはコメントです。
【河野(健)委員】 私、答えていいですか。
【日野分科会長】 お願いします、河野委員。
【河野(健)委員】 まず、北欧のほうは、あるいは米国もだと思いますけれど、北海油田とかそういった海底油田開発とかのマーケットがあるので投資しやすいという環境があって、例えばROVであるとか、それからAUVもある程度のものまでは市販するという形が主流になっています。米国のトライトンのほうはちょっとあれですけども、基本的にお金持ちの方々が乗ったりするような感じの、要するにサイエンスユースという感じではありません。
中国は、何というか、こういうことをやって自分たちの能力をデモンストレーションするんだと政府が決めれば、そこに資材を集中できるので、今こういうことになっているんだと思います。
現実的に、研究するときには外国の人たちを招聘したいとか、そういったようなことですごく熱心に知能のほうも取り入れることを考えているので、今現時点で成果という面で見たら、中国よりは先行のほうが勝っているかもしれませんが、放っておいたら早晩追いつかれますよね。そうすると、中国の関与なしに海洋研究はできないという時代が来ないとも限らないので、少しそういった面から考えても、こういった深海の能力って大事なんだろうなと思っています。
あと、トランプ以降は、前川先生がいらっしゃる機関で来週会議がございますので、そこで、トランプ政権の変更によって今どのような影響が出ているかというのは、少し議論されるのだと思います。
言及されていましたアルゴ計画については、先週パリで開催されていた会議の中でも、もうちょっと婉曲な形で、「メインプレーヤーの関与の仕方の変更によって」みたいな言い方でしたけれども、非常に危機感を持って対応していると思います。そこで日本がどういう役割を果たせるかというのは、一つの議論になり得るところだと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかに。では、廣川委員。
【廣川委員】 廣川でございます。2つ質問がありまして、新しい深海探査システムというか、このランダーシステムでございますけども、深海探査システムの在り方を考える議論の中で、試料採取とか、多分地震計とかそういう重作業も行えるような新しい探査システムが必要だという意見が多かったと思うのですが、現在考えられている、どちらかというと重作業がどこまでできるのかなというのと、あと試料採取もどれぐらいの重さまで持ってこられるのかというところが、何か裏づけといいますか、検討された上でこういうシステムを考えられているのか、その辺を教えていただければありがたいと思います。それが1点目の質問でございます。
【日野分科会長】 分かりました。ではまず1つ。2つ質問を承っていますが、重作業に関係するような質問をいただきました。いかがでしょうか。
【志村部長】 技術開発部の志村です。16ページに図があったと思うのですが、まず、おっしゃられたように小型のホバリング型のAUVを、まずは第1段階としては考えている。おっしゃるようにホバリング型ですので、重作業をするということはこのビークルでは想定はしていません。先ほどお話ししましたようにスラープガン、掃除機のように吸い込む装置で吸い込める生物だったり岩石だったりというものを対象にしています。なので、数グラムから数十グラムということになってしまうかとは思います。
一方、その先に考えているのが、左下のほうに見えていると思うのですが、これはまだ基礎研究の段階で、この方式にするというふうに決まっているわけではないんですけれども、例えばキャタピラ、クローラーがついたタイプのものを考えていまして、これはホバリング型ですと、例えばコアリングするようなときに反力に耐えることができないので、こういった、要は海底に接地したようなタイプのものを開発したいと考えております。
こういったものである程度の、例えばコアリング、場合によっては将来的には、最初は小規模だとは思うんですけれどもドリリングといったようなものをできるようにしていきたいと考えています。
【廣川委員】 分かりました。じゃあ、若干役割分担を持たせたものも別途開発されるという。ありがとうございます。
2つ目の質問ですが、新しい超深海母船、これはすばらしいと思うんですけど、技術的なものもあるんですけど、実際の運用のところで結構難しい面があるのかなというふうに思っています。
まず、物理的なものですけれど、「しんかい6000」だとかAUVだとか、こういうのを全部積んでしまうと結構大きな船になってしまうんじゃないかと思うのですが、大体どれぐらいの大きさの船を想定されているのかという質問と、あと実際に、今日議論されています37ページのこの同時運用のところで、ちょっと拝見しますと例えばピストンコアラーとかの投入揚収、これは夜間もやるようなイメージを持たれているようですけれど、従来、投入揚収というのは昼間しかやらないというのが、安全性の点からそう言われてきて、あまり夜間には投入揚収しないというのが普通の、これまではそういう調査船だったと思うのですが、その辺、今回の新しい母船で何かスペシャルな工夫というか、そういう安全性の工夫みたいのは考えられているのかなと思うのですが、その辺教えていただければと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
【難波室長】 JAMSTEC、難波です。御質問ありがとうございます。
まず、大きさですけれども、まだ検討段階ではございますけれども、6,000トンクラス、全長110メートルとか幅20メートルぐらいあたりの船で対応できないかというところを考えたいというふうに思っております。倉庫の配置ですとか甲板の広さですとか、その辺のことも十分考慮していかなきゃいけないというふうに考えております。まだ検討段階ではございます。
夜間揚収等の安全性に関してですが、おっしゃるように、現在のJAMSTECは基本的に昼間の着揚収というのが基本になっておりまして、夜間の着揚収は基本的にはやっていないということですけれども、照明等を使って十分な明るさを確保して実際に実施するということは、できないことではないというふうに考えておりまして、これも24時間観測等を目指す上で一つの検討事項かなというふうに思っております。
ここら辺はまだ検討の最中でございまして、完全にこうということではございませんけれども、一つそういう方向性で考えております。
【廣川委員】 投入も、あまり人力に頼らないというふうに、自動投入システム的なものを、やはりこういう新しい船には搭載すべきではないかと思います。
【難波室長】 はい、そのとおりだと思っています。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
では、兵藤委員。
【兵藤委員】 ありがとうございます。いろんなニーズに対して様々な角度から検討していただけているということはよく分かりましたし、議論の中でいろいろ聞きたいことも出てきました。
一つだけ教えていただこうと――ちょっとずれるかもしれないんですけれども、今いろんなことに対してそれぞれ対応されているということは分かったんですけれども、さっき河野委員のほうから、また追いつかれるとか、先にということがあると思うので、やはりこの対応と並行して、新たな何か次のものということをどこかで考えておくということが、やはり先端的な技術開発という意味では非常に大事なのかなというふうに思うので、何かそういったところももしありましたら――もしあればで結構ですけれども、教えていただけるといいかなというふうに思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。次の次の一手という感じですね。いかがでしょうか。
【難波室長】 JAMSTEC、難波です。先生のおっしゃるとおりだと思います。海外等を見ましても、新しい船、研究船を開発するというときに、かなり長期間、極端に言うと10年15年というようなスパンを使って、十分時間を費やして検討されているというような事例も結構見受けますので、我々もこの新しい船を検討していく中でも、さらにその次も見据えながらということも、当然考えていかないといけないのかなというふうには思っております。
【日野分科会長】 ありがとうございます。では、藤井委員。
【藤井委員】 水産研究教育機構の藤井です。御説明いただきありがとうございました。
皆さん、サンプルリターンの効率化にすごく興味がおありだと思います。私も37ページのスライドを見て感銘を受けたんですけれど、皆さん、安全性であったり観測機器の収納とかオペレーションのことについて御質問いただいたんですけれど、私もそれに加えてマンパワーのことが気になっていまして、資料2の37枚目のスライドに示された「同時搭載、交互運用」した場合、同時搭載、同時運用した場合に、それぞれどれくらいの研究員が必要というふうに想定されているか、お聞かせ願えますか。
【日野分科会長】 いかがでしょうか。
【難波室長】 JAMSTEC、難波です。今現在、例えば「よこすか」の「しんかい6500」の運用をする際には、乗組員が29人程度、それから、「しんかい6500」のチームが12、3名程度、乗船しなければいけないという状況です。
これを「うらしま」ですとか、そのほかのフルデプスの探査機ですとか、そのまま今のやり方で人数を足し合わせていくと、かなりな人数になるということは想像に難くなくて、新しい船を造るので船室を増やせばという強引な対応もあるかもしれませんけれども、もちろんそれは、乗組員さんがなかなか集まらないというような状況もございますし、現実的ではないというふうに考えておりますので、そこのところは、今現在の必要人数というのはもちろんベースとしてあるんですけれども、そこからさらに削り込んでいく、安全をキープしながら必要人数を減らしていくような方策を、今検討しているところでございます。
【藤井委員】 ありがとうございます。実は前回の分科会のときに、河野委員に私から同じ質問をさせていただいたんですけれど、やはり乗船する人のスペース、居住性をよくしていかなきゃならないというところと、ある程度以上の人数を安全性のために確保しなきゃならないというところ、大変ジレンマがあろうかと思うんですけれど、そこの検討はどうかよろしくお願いしたいと思います。
もう一つ、蛇足にもなってしまうんですけれど、私も仕事柄たくさんの調査船を見てまいりまして、一番古いので37年使った船まで見ましたけれど、やはり35年超えるといろんなことが起こってくるんですよね。どんなに丁寧に使っていても予想外のことが起こってまいりますので、この先数年、安全な運航になりますようにお祈りしたいと思います。ありがとうございました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。松本委員、お願いします。その次に川合委員。
【松本委員】 港湾空港技術研究所の松本です。御丁寧な説明ありがとうございました。新しい母船の話、それから、今お示しになっているサンプルリターンの効率化というところで、分科会の当時でもお話があった部分を、より具体的に話を進めていらっしゃるなというふうに見受けています。
直前の委員の方の御質問にもありましたけれど、やはりこれだけ密にサンプルリターン効率化というようなスケジューリングをしていくと、船員さんだったり研究者さんの、船に乗られる方の生活面、研究のしやすさとか住居空間をいかによい状態で確保していくかってすごく大事だと思うので、技術がもちろん一番で、技術的なことで、船とかこういった効率化の部分できちんとまとめ上げていくということは非常に大事なんですけれど、生活面の部分を、予算が足りないとだんだん割愛されがちな部分なので、ここはしっかりと進めていただきたいなというコメントでございます。
【日野分科会長】 重要なコメントをいただいたと思います。ありがとうございます。それでは、川合委員。
【川合委員】 御説明ありがとうございました。「うらしま」の老朽化対策とか新しい技術の開発とか、すごく具体的にいろいろ御紹介いただいて、非常に興味深かったです。
特に興味を持ったのが、音響通信の圧倒的な改善というところがとても気になったんですけれども、今までに比べて10倍以上の性能ということで、これは何か新しい革新的な技術を開発したということなのか、それとも、最近出てきた技術を応用して、ほかのところでも始めているけれども、今回初めて既製品に比べるとよくなったというようなことなのか、その辺の、ほかの世界的な動きというか、その辺も含めてもうちょっとお聞かせいただけないでしょうか。
【日野分科会長】 はい。私も聞きたい。いかがでしょう。
【志村部長】 技術開発部の志村です。なかなか手短に御説明するのが難しいところでもあるのですが、水中の音響通信、無線のデジタル通信の技術になるんですけれども、よく使われている空中の電波通信と異なる問題というのが幾つかありまして、そのうちの一つがドップラーシフトといいまして、プラットフォームが上昇下降したり動揺したりすることで移動する影響を受けてしまうという問題があります。これが空中の電波通信に比べて5桁から6桁ぐらい影響が大きいという、水中音響通信の大きな問題がありまして、これに対応できるような手法を使っているというのが一つ、要因としてあるかというふうに考えています。
【日野分科会長】 ありがとうございます。大きなブレイクスルーと思います。
【川合委員】 御紹介にもありました、AIを使った自己判断とかそういったものにも非常に大事な技術開発かなと思いますので、ぜひ世界に広めていただければと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。今、名簿を見ながら見ていますけれども、河野健委員、質問者側、委員の側で。
【河野(健)委員】 ちょっと、委員としてのコメントはしづらい状況なんですけど、河野真理子先生の御指摘にあったことにうまく答えられていないと思うんですけれど、経済水域を持つということは、そこに優先的な開発する権利がありますので、全ての経済水域を自力で探査できる能力を持つというのは基本中の基本です。
同時に、そこを適正に管理しなければいけない義務もあるということなので、「いや私たちはよく分かりません」という状況があっていいわけがないというのが、まず一番最初の動機になります。
あと、何度も申し上げましたけれど科学は競争ですので、未開の地に行けた者が一番最初にいいサイエンスができるので、この観点からも、例えば遺伝資源、生き物がいる、変わった生き物がいて、それが持っている能力はどういう遺伝子によって発現しているかという研究ですとか、あと、鉱物資源についても深いところにあるものもございますので、十分な深海探査能力を持つことが、経済的にも科学的にも、それから国際的な義務・権利といった観点からも重要だと思っていますので、本来であれば98%で満足してはいけないというのが立場です。
で、どのくらいのことを考えているか。サイエンスによってどれくらいのスパンだというのはあるんですけれど、夢も含めて我々は今、30年ぐらいの計画を考えていて、それぞれの大きな研究が30年間でどんなことができるのか、それに応じてこの船、あるいはほかの船、我が社が持っているフリート、こういうものをどういうふうにしていくべきかという議論を進めているところです。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
これで皆さんから御発言いただきました。ちょっと最後になりますが私から、もう時間ですので一言だけ。
サンプルリターンが非常にフォーカスされているのですが、地球物理屋としては、置いてくるほうもぜひお願いしたい。置いてきて、でもデータを取るんだということであれば、採取で全然差し支えございません。でも、やっぱり現場に行って精密に物を置いてくるということが、地球科学、特に固体地球科学を圧倒的に進めますので、それにもこれは絶対役に立つ技術なので、視野にぜひ入れていただきたいということを強調させていただいて、私のコメントとさせていただきます。
大変多くの質問、コメントを頂戴しました。非常に重要なファシリティー構想ですので、場合によっては、今日、十分意見を出し尽くせていないという場合であれば、事務局に相談ですけれど、メールのやり取りなんかもあってもよろしいかと思います。
そういうことを通しながら分科会として取りまとめて、それを我々のこの委員会のプロダクトとして出していくということにさせていただくのがよろしいのではないかと、私からは提案させていただきたいと思いますが、いかがですかね、事務局。
【中川海洋地球課長】 はい。また次回8月1日に向けて、時間もありますので、ぜひいろいろな御意見をいただきながら、我々もまとめる中で相談させていただこうと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。
本当に活発な御意見をいただきました。御議論いただきまして本当にありがとうございました。
それでは、ちょっと申し訳ないのですが、先に進ませていただきたいと思います。議題(3)海洋・地球科学分野における質量分析技術報告書についてでございます。
事務局から、資料3に基づいて説明をいただきます。よろしくお願いします。
【中川海洋地球課長】 ちょっと本当に時間がなくなったので、駆け足で行こうと思います。質量分析技術報告書ということでまとめてもらった報告書の紹介です。
下にクレジットがありますように、編集委員会というのを有志の研究者の方々に組んでいただいて作成したものになります。
本当に中身はほとんど説明できないので駆け足で行くのですが、目次のところまで飛んでもらって、これは何の報告者かというと、4のところに書いてある4つの機器を紹介する、この技術を紹介するような形になっています。
この装置群というのが、実は私が去年の8月に着任して一番最初に見た装置群でして、こういったものを現場を見させてもらいながら、何か1つのグループじゃないかなというのと、やはり私が一番に見せてもらいましたし、実は海洋地球課の着任者がいつも行くコースでもあるので、やはりそういった装置というのは一つの海洋科学、海洋・地球科学の象徴的な装置だろうということで、これをぜひいろんな人に知ってもらうという報告書をつくってはどうかということで始めてもらったものになります。
これをぜひ、執筆の中での議論でもあったんですけれども、いろんな若手の研究者、実はこういう装置を知らないんじゃないかとか、ほかの分野の人にもこういうのが見られるんだよ、分析できるんだよといろいろ知ってもらう、そういったきっかけになるといいよねということで、それぐらいの読者を想定してまとめたものになります。
我々行政官も、やはりこういった議論をするときに分かりやすいものというのは非常にありがたいですし、今、政府全体、あるいは研究の現場でも、これからこういった研究基盤をどうしていくという議論が非常に活発にされていますので、そういった意味でも、我々行政官も含めて、大学の職員の方々も含めて、ぜひ読んでいただきたいと思っております。
ここで公表するのが第1弾でありますけれども、ぜひ、いろいろな学会での紹介などもやっていきたいと思っています。秋の海洋学会も具体的に考えています。ぜひ、御感想や、いろんなところに紹介いただけるとありがたいと思います。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、質問等は。
【中川海洋地球課長】 一番最後の編集委員の名簿だけ、ちょっと紹介させていただいても。すみません。この方々に御協力いただきました。ありがとうございます。
【日野分科会長】 大変な力作で、すばらしい報告書で、しかも多くの読者に広めたいということも含めて、すばらしい取組だと思います。皆様のほうから何かございますでしょうか。兵藤委員。
【兵藤委員】 ありがとうございます。うちのメンバーが大分出ていますので、ちょっと宣伝になってしまうかもしれないんですけれども、加速器質量分析計に関しては、新しく昨年度末に2台目が入って、まだこれから技術開発をいろいろやらなければいけないんですけれども、2台体制になってさらにいろんなことができるようになると思いますので、ぜひ、たくさんの方に使っていただけるようにというふうに、我々も努力していきたいと思いますし、ぜひこれを広めていただいて、活用して、日本の科学技術がさらに発展するということを願っています。一言だけ。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。藤井委員。
【藤井委員】 これはどちらのほうに公表されるのですか。
【中川海洋地球課長】 まずは今日の委員会の資料としてウェブサイトに載せますし、これから例えば学会なんかで発表したようなものもどこか、我々は文部科学省のところを今考えていますけれど、アーカイブみたいな形でいろいろ資料を載せられるようにしたいなというふうに考えています。皆さんにそこを見てもらう感じです。
【藤井委員】 そうですね。ぜひ目立つところに置いていただきたいと思います。
【日野分科会長】 ぜひそうしていただけるとよろしいかと思います。ほか、いかがですか。では、川辺委員。
【川辺分科会長代理】 これはすばらしい報告書だと思いますので、こうした機器をどこにどういうコンタクトすれば使用できるのかという情報もご提供していただければさらによろしいかと思いました。
【中川海洋地球課長】 ありがとうございます。
【日野分科会長】 いかがでしょう、ほかに。
皆様から大変前向きなレスポンスをいただけたと思います。これは一つの技術ですけれど、ほかにも海洋開発調査に関する技術ってあって、こういうのも第2弾、第3弾が出てくるのがよろしいのではないかなと思います。その先鞭をつけるということで、ぜひ広く広めていただければと思います。
よろしければ、次の議題に移らせていただきたいと思いますが。よろしいですか。
それでは、(4)その他になります。事務局から資料4-1、4-2を準備いただいていますので、説明をお願いいたします。
【中川海洋地球課長】 資料4-1は、先日、JpGUでパブリックセッションをやりましたので報告です。
次のページが概要になるのですが、プログラムは前回紹介しましたので、これ、日曜日の朝だったにもかかわらずと言っていいと思うんですけれど、参加者が会場に50人ぐらいいらっしゃって、オンラインも20名いて、結構よかったんじゃないかなと思います。
この日は高校生のポスターセッションもある日なので、会場を私がちらっと見た感じだと制服の子もいたので、多分高校生も来てくれたんだなというのは個人的には非常によかったなと思いました。
もう、まとめのほうの次のスライドに行ってもらうんですけれども、総合討論のところで、現場でも紹介したんですけれども、その場でまとめたものを改めて読みやすくして載せております。
やはり今回のセッションの全体の結論としても、まとめの1としては、一つはプロジェクト間の連携をこれからしっかりやっていくべきだろうということがあったかと思います。
セッションの前半では、日本のいろいろな国連10年に関係するプロジェクトを紹介したんですけれども、やはりあれだけの多様なプロジェクトが集まったというのは、一つの日本の底力だろうというふうに改めて思ったところですが、関係者も含めて横のつながりが足りていないよねというのがあったので、ぜひそこを、今後の方向性のアクションアイテムですけれど、取り組みたいというふうに思います。
次のページですけれども、社会の接点というのが2つ目のまとめです。セッションの後半は、ECOPという若手の集まりであったりとか、科学コミュニケーションの話といった話がありまして、そういったところからのヒントももらいながら、アクションアイテムで書いているような、いろんなところで社会との接点をつくりながら、この国連10年を進めていくというふうに持っていけたらいいんじゃないかということでまとめてございます。
このまとめを、今回がまた第1弾でこの分科会で報告させていただきましたけれども、これもいろんな学会や、それぞれのプロジェクトのレターとか、いろんなところでぜひ広めていきたいなと。まだ国連科学の10年、後半戦が続きますので、そこに向けて取り組みたいというふうに思います。
もう一枚スライドを用意しているのは、前回の紹介を少し更新したものですけれども、まだまだいろんなイベントをしっかりやりながら、横の連携も大事かなと思います。
文科省のイベントでいうと、10月に海洋生物ビッグデータのシンポジウムをやりますので、ぜひ御参加いただければと思います。
また、ちょうど今日までですかね、ニースでまさに国連10年の一連のイベントが行われているところですが、これはまた8月に、この後続きますIOCの議論も含めて、8月の分科会で御紹介したいと思います。
以上になります。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。
【河野(健)委員】 ちょっと、一言だけいいですか。
【日野分科会長】 はい、河野委員。
【河野(健)委員】 海洋科学の10年の進歩ですけれど、大変いい試みだったと思います。それで、関係された方々に感謝申し上げたいんですけれど、原田委員にもモデレーターをやっていただきまして、本当にいろいろ、恐らくメールを見る限り、最初から随分御相談に乗っていただいたと思いますので、ありがとうございました。
【事務局】 続けてよろしければ、資料4-2に基づいて、今後の第13期海洋開発分科会の主なスケジュールについて御案内いたします。
本日までに、4月、それから本日と開催いたしまして、次回が第75回、8月に、今後の海洋地球科学の進め方について、それから作業部会等の設置を議題として予定しております。秋以降に、ArCSIIの事後評価を議題として開催を予定しております。
令和8年度は、次期海洋基本計画に向けた検討を議題として予定をしております。以上でございます。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。2件、その他で説明いただきましたが、コメント、質問等ございますでしょうか。
【榎本委員】 コメントで、先ほどのパブリックセッションについて。私、会場で参加させていただいていまして、日曜日の初日の朝9時ということで、一番人が集まりにくいんじゃないかなと心配していたのですが、そんなことはなくて、たくさんの方が熱心に。
原田さんがモデレーターをされた最後のセッションも、時間が足りないぐらい皆様の御意見が出ていまして、特に印象的だったのは、リテラシーという部分が中に入っていますし、あとECOPという若手のやり取りといったところがディスカッションを盛り上げている様子を聞きました。
多分、科学的にはまだまだ、若手の発言とかは足りないところも、シニアの方から見るとあるかもしれないんですけれども、盛り上がっていく様子を感心して拝見させていただきました。ありがとうございました。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。原田委員。
【原田委員】 ありがとうございます。私自身、東京大学で国連海洋科学の10年を進めるのが私のミッションになっておりますので、これは十分私の仕事の範疇です。
一つ私から宣伝ですが、今度の秋の海洋学会、9月21日から25日まで開催されるのですが、「健全かつ回復力の高い海」をタイトルとしたシンポジウム「国連海洋科学の10年をどう進展させるか」が21日に開催が決まりました。午後からになります。研究者からの発表を含めて、コンビーナは、今そちらに御参加されている笹川平和財団の前川さん、それから琉球大学の栗原さんと私です。研究者からの発表に加えて、前川さんからも御発表いただきます。函館市の自治体の取組、また、北海道のベンチャー企業の取組等も紹介していただけるようなシンポジウムになっていますので、ちょっと遠いですけれど、御興味ある方はぜひ海洋学会に御参加いただいて、このシンポジウムにも御参加いただけたらなと思います。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。
ちなみにですけれど、学会は無理かもしれないけれど、シンポジウムは実はオンラインで配信があったりするのでしょうか。
【原田委員】 検討いたします。ぜひとも。ありがとうございます。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。藤井委員。
【藤井委員】 私もPRさせてください。「海洋に関する国内外の取組について」にせっかく載せてもらっていますので、11月8日から14日、下から2番目、PICESの年次会合、これはアメリカ、カナダ、ロシア、日本、中国、韓国、6か国の加盟国で順番で持ち回りで開催するんですけれど、今年度は横浜で、日本の主催で開催します。
11月8日から11月14日まで、横浜の山下公園前のワークピアというところでやっていますので、これにつきましても、ぜひ御参加いただければと思います。今月いっぱい早期割引で申込みできますので、よろしくお願いいたします。
【日野分科会長】 ありがとうございます。盛りだくさん、今年は――今年も、なんでしょうけれど、秋、盛りだくさんということがよく分かりました。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。大体ちょうどいい時間になりましたが、どうしてもということがあれば、全体を通して。よろしゅうございますか。
では、どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして本日の議事は終了ということにさせていただきたいと思います。これで事務局にお返しします。連絡事項等ありましたらよろしくお願いいたします。
【事務局】 本日は長時間にわたりありがとうございました。議事録につきましては、事務局にて案を作成し、後日、委員の皆様にメールにて確認させていただきます。
次回以降の開催日につきまして、8月1日、金曜日の13時から15時を予定しております。以上になります。
【日野分科会長】 ありがとうございます。これをもちまして、第74回海洋開発分科会を終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局海洋地球課