海洋開発分科会(第73回) 議事録

1.日時

令和7年4月17日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省18階会議室およびweb会議(傍聴は Web のみ)

3.議題

  1. 分科会長の選任及び分科会長代理の指名について(非公開)
  2. 海洋開発分科会の議事運営について
  3. 第13期海洋開発分科会の主なスケジュールについて
  4. 今後の海洋地球科学の進め方について
  5. Ocean Decade国内委員会について
  6. コアレポジトリに関する報告について
  7. その他

4.出席者

委員

日野分科会長、川辺分科会長代理、原田委員、榎本委員、川合委員、河野健委員、河野真理子委員、兵藤委員、廣川委員、藤井委員、前川委員、松本委員、見延委員、山本委員

文部科学省

古田大臣官房審議官、中川海洋地球課長、小西海洋地球課企画官、小野寺海洋地球課企画官、後藤海洋地球課課長補佐、ほか

5.議事録

【事務局】 それでは、定刻を少し過ぎましたが、ただいまより科学技術・学術審議会第73回海洋開発分科会を開催いたします。本日は御多忙にもかかわらず、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
今回は第13期として初めての海洋開発分科会でございますので、最初に分科会長を互選にてお決めいただきますが、それまでの間は事務局にて議事を進めさせていただきます。
本日は14名中、河野真理子先生は遅参されるとのことですが、計13名の委員の先生方に御参加いただいておりますため、科学技術・学術審議会令の第8条に定める定足数の過半数を満たしておりますことを御報告いたします。
また、4月に文科省に人事異動がございまして、研究開発局担当の大臣官房審議官が橋爪審議官から古田審議官へ交代しております。本日、堀内局長は別用務により欠席のため、今期の分科会の最初の会議の開催に当たり、事務局を代表いたしまして古田審議官より御挨拶させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【古田大臣官房審議官】 ただいま御紹介いただきました古田です。橋爪さんの後任ということで、研究開発局の担当の審議官になりました。2017年から4年間ほど実は内閣府とJAMSTECで海洋の勉強をさせていただきまして、私、個人的には一番思い入れの深い分野でございます。では、第3期の科学技術・学術審議会海洋開発分科会の開催に当たりまして、事務局を代表して一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
委員の皆様方におかれましては、日頃より海洋科学技術の研究開発に御支援、御理解を賜り、ありがとうございます。前期の第12期海洋開発分科会では、第4期の海洋基本計画や海洋開発等重点戦略の内容を踏まえ、今年度から始まった北極域研究強化プロジェクトに関する事前評価や深海探査システムの在り方に関する提言をまとめるなど、精力的に御議論をいただきました。
今期の第13期では、前期で議論いただいた内容をより具体的かつ焦点化した議論を進めていくとともに、次の第5期海洋基本計画を見据えて御議論をいただく時期になります。例えば深海探査システムの在り方に関する提言などを踏まえた新海探査機及び調査母船の在り方の検討など、様々な海洋科学技術の研究開発に向けて今期では御議論いただけると幸いです。
また、文部科学省としては、産業界や大学・研究機関等における各種の活動や共同歩調で研究開発を進めていくことが重要と考えております。産学官のリソースを効率的・効果的に活用して、海洋科学技術を育てるエコシステムの構築をはじめ、今後の海洋科学技術の推進に向けて御意見をいただければ幸いに存じます。本日も委員の皆様方の忌憚のない御議論をお願いしまして、冒頭の私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 古田審議官、ありがとうございました。
それでは、第13期の科学技術・学術審議会海洋開発分科会委員に御就任された方々を御紹介申し上げます。資料1-1に第13期海洋開発分科会の名簿がございます。今、投影させていただいております。当方で五十音順にお名前を読み上げさせていただきますので、本日御参加いただかれている委員におかれまして、一言ずつ御挨拶をいただけると誠に幸いでございます。御欠席の委員におかれまして、私から名前の読み上げのみとさせていただければと思います。
それでは、まず初めに、榎本浩之委員から、どうぞよろしくお願いいたします。
【榎本委員】 国立極地研究所の副所長をやっています榎本浩之と申します。よろしくお願いいたします。極地関係で南極、北極、あと高山地域とか、そういったところの活動をずっとやっていまして、特にこの15年間は北極のプロジェクトに関わってきました。よろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、川合美千代委員からよろしくお願いいたします。
【川合委員】 東京海洋大学海洋環境科学部門の川合と申します。私も専門は極域が主で、地球環境と海の関わりとか、あと海洋酸性化・地球温暖化に関する研究をしています。専門は化学です。あとは、日本沿岸の環境問題にも非常に興味があって研究を進めているところです。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、河野健委員からよろしくお願いいたします。
【河野(健)委員】 JAMSTEC理事の河野と申します。私は、昔は研究者で深層循環の研究をしておりましたが、今は船の運航、あるいは北極域研究船の建造、それから技術開発の担当の理事をしております。よろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、河野真理子委員は遅参されてオンライン出席とのことですので、御出席され次第、御挨拶いただく予定でございます。
続きまして、川辺みどり委員、よろしくお願いいたします。
【川辺委員】 東京海洋大学の川辺みどりと申します。海洋政策文化学科という文系の部署に所属しております。社会科学的な立場から何か意見が言えればいいかなというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、原田尚美委員、よろしくお願いいたします。
【原田委員】 東京大学の大気海洋研究所の原田と申します。よろしくお願いいたします。専門は生物地球科学と古海洋学であります。総合海洋政策本部の参与会議の参与も拝命しております。よろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、日野亮太委員、よろしくお願いします。
【日野委員】 東北大学理学研究科の日野でございます。専門は固体地球物理学、特に海域での地震・地殻変動観測をやっておりますので、その御縁でこちらの部会にもお呼びいただいたと認識しております。よろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、兵藤晋委員、よろしくお願いします。
【兵藤委員】 東京大学の大気海洋研究所で所長を務めております兵藤と申します。個人的には海洋生物学を専門としておりますが、大気海洋研究所は学術研究船の運航計画ですとか、そういったところにきちんと責任を持つという立場がありますので、そういった観点からも参加させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、廣川満哉委員、よろしくお願いします。
【廣川委員】 JOGMECの廣川でございます。出張先の青森から参加させていただいているために、途中で退席させていただきます。私は、長らく海洋鉱物資源の技術開発や調査を担当してきました。最近では洋上風力発電のセントラル調査を担当しております。それらの観点からいろいろと御意見さしあげたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、藤井徹生委員、よろしくお願いします。
【藤井委員】 ありがとうございます。水産研究・教育機構の藤井と申します。専門は、水産生物の生態あるいは生態系ということになります。昨年11月より北太平洋海洋科学機関、いわゆるPICESですね、これの議長を務めております。本分科会の委員としては3期目になります。この4年間ずっとウェブ開催でしたので、今回皆さんとお会いできるのを楽しみにしていたんですけれど、所用がありまして今回もウェブ参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、前川美湖委員、よろしくお願いいたします。
【前川委員】 笹川平和財団主任研究員の前川美湖と申します。どうぞよろしくお願いいたします。加えて、東北大学災害科学国際研究所でも特任教授を務めさせていただいております。当方、専門は国際関係で、特に気候変動と海洋の問題に着目をして、交渉プロセスに着目をした研究をしております。加えまして、沿岸域における気候変動による人の移動の問題に関心を持ってフィールドワークに依拠した研究を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、松本さゆり委員、よろしくお願いします。
【松本委員】 松本です。港湾空港技術研究所の松本さゆりと申します。どうぞよろしくお願いします。私の専門は水中音響というちょっとスペシフィックな狭い業界のところで働いてはいるんですけれども、特に最近は港湾(音声途切れ)工事に関わる測量ですとか、ビークル、AUVとかROVとかを動かしたときに、その測位をどうやって実現するかとかといったような話ですとか、水中の音波伝播、こういったことを使ってその状況がどうだったかというような、ビークルの音響通信がどうだったかというようなことを評価するなどの研究をしてございます。水中の機械ものに関わるところで自分のコメントをきちんとしていけたらと思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
続きまして、見延庄士郎委員、よろしくお願いします。
【見延委員】 北海道大学の見延です。専門は大気や海洋の物理を中心とした気候科学、クライメイトサイエンスです。藤井委員から御紹介のあったPICES、また世界気候研究計画(WCRP)、そして、そのプロジェクトであるCLIVARなどでも活動しております。よろしくお願いいたします。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
最後に、山本泰委員は本日御欠席とお伺いしておりますので、お名前のみ読み上げさせていただきます。以上、14名の委員に御就任いただいております。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第を御覧いただければと思いますが、資料1から8まで、あと参考資料1から5までございます。事前に資料の送付、ないしは机のほうにメイン資料については置かせていただいております。もしも過不足等ございましたら事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。議題1ですが、「分科会長の選出及び分科会長代理の指名」となります。資料1-2を御覧いただければと思いますが、分科会長の選任につきましては、科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定により、委員の互選により選任することとなっております。本分科会の会長について、どなたか御推薦はございますでしょうか。
 
議題(1) 分科会長の選任及び分科会長代理の指名について(非公開)
分科会長の選任及び分科会長代理の指名が海洋開発分科会運営規則第3条に従い非公開で行われた。科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定に基づき、委員の互選により日野亮太委員が分科会長に選任され、また同令第5条第5項の規定に基づき、川辺みどり委員が分科会長代理に指名された。

【日野分科会長】 それでは、議題2に移りたいと思います。これより会議を公開にいたしたいと思いますので、事務局のほうでオンライン傍聴者の入室を許可してください。
(傍聴者入室)
【日野分科会長】 改めまして、第13期の科学技術・学術審議会海洋開発分科会の分科会長を務めることになりました日野でございます。では、傍聴の皆さんが入られたようですので、議題2「海洋開発分科会の議事運営について」、事務局より説明をお願いします。
【事務局】 事務局でございます。それでは、資料2-1及び2-2につきまして御説明させていただきます。本分科会の運営規則を定めた資料2-1と分科会の公開の手続の詳細を定めた資料2-2となりますが、今期最初の分科会となるため、改めてお諮りするものとなります。これら運営規則及び公開の手続に関して、事務局としては従前どおり変更なしで考えております。
以上でございます。
【日野分科会長】 ありがとうございました。詳細は資料2-1と2-2ですね。具体はそちらのほうにございます。ただいまの説明及び資料について、何か御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今、御提案いただいたもので当分科会の決定ということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
それでは、次の議題に入りたいと思います。議題3「第13期海洋開発分科会の主なスケジュールについて」、事務局より説明をお願いいたします。
【事務局】 事務局でございます。資料3を御覧いただければと思います。こちらは第13期海洋開発分科会の主なスケジュールについて記載させていただいております。令和7年度につきましては、本日の第73回においては、今後の海洋地球科学の進め方について、Ocean Decade国内委員会について、コアレポジトリに関する報告についてを主な議題としてこの後、御報告させていただく予定で考えております。
続いて、第74回・6月13日、第75回・8月1日につきましては、引き続き今後の海洋地球科学の進め方について、海洋・地球科学分野における質量分析技術報告書、こちらについては予定となっておりますが作業部会等の設置を考えております。夏に向けてこのような議題について委員に御議論いただく形を我々としては想定しております。
続いて、今年度秋以降でございますが、昨年度の第12期の分科会の委員の方々には、ArCSIIIの事前評価を御議論いただいたかと思いますが、昨年度いっぱいでArCSIIが事業を終了しましたので、今年度の秋以降には、ArCSIIの事後評価について委員の先生方に御議論いただくことを想定しております。
令和8年度につきましては、前期から前々期にかけて今期の第4期海洋基本計画に関する御議論をいただいたかと思いますが、次の第5期海洋基本計画に向けてどのようなことを打ち出していくべきかということを委員に御議論いただくのがよいのではないかと我々として今のところ考えております。今後につきましては、予定も多く含まれているところではございますが、今期最初の会でございますので、我々としてはこのように考えているという状況でございます。
以上でございます。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。第13期、今年度とそれから来年度にかかりますけれども、その中での主なスケジュールについて御説明をいただきました。御質問等ございましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。オンラインのほう、事務局の方に目配りをいただけると幸いです。対面で御参加の方、オンラインの方、いかがでしょうか。結構広範な議論になって、会議の頻度も高くなりそうですけれども。よろしいですかね。
じゃあ、ただいま御説明いただいたような方針、予定もたくさんありますので、またこの後追加等があるのかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に入りたいと思います。今度は議題の4「今後の海洋地球科学の進め方について」、海洋地球課及びJAMSTECのほうから説明をいただくことになってございます。それでは、早速よろしくお願いいたします。
【中川海洋地球課長】 海洋地球課長の中川です。よろしくお願いします。先ほどの資料3-1と関係するんですけれども、あの中で今後の海洋地球科学の進め方についてと書いていた部分の詳細を紹介しようと思います、資料4-1で。先ほどの話とも重なるんですけれども、この夏までの間、4月、6月、8月と、もう既に分科会の予定のほう決めさせていただいておりますけれども、この3回で今後の海洋地球科学の進め方ということですけれども、具体的には、政策の毎年の形ですけれども、特に概算要求に向けて、来年度の予算に向けての議論をしっかりしていきたいなというふうに考えております。今、我々のほうでこういった論点になるだろうというところで大きく挙げさせてもらっておりますのが、次世代深海探査システム(母船を含む)というところでアルゴ計画、人材育成ですね、こういったところは議論の必要があるのではないかなというところで挙げさせてもらっております。
論点はこれだけとは限らないと思いますので、また6月、8月に向けて、必要な論点があれば追加をしていきたいと思っておりますし、議論の順番もできるだけ優先度の高いものからかなとは思いますけれども、そこは場合によっては資料の議論の準備状況に応じてまた6月、8月とやっていきたいと思いますし、場合によっては、今後の議論も見据えて、今日こういったところでこういった議論も必要なんじゃないかということや、ここで出ているようないろんな、特に我々としては先生方、いろんな研究分野に御精通ですので、そういったところでの声なども今日も少し議論ができればいいんじゃないかなというふうに考えております。
もう少しだけ補足したいのは、1番目に書いてある次世代深海探査システムですけれども、この中で4月は特に母船である「よこすか」の状況について、この後、4-2で説明していただこうと思います。この議論は別に急に始めるわけではなく、昨年の8月、分科会としても、更新もあったので去年の8月以降の再開になりますけれども、その8月のときに報告書としてまとめていただいた今後の深海探査システムの在り方についてのあの報告書を踏まえて議論するものだと考えております。8月以降の動きがなかなか報告できなくて、簡単に私のほうから紹介させていただこうと思うんですけれども、あの報告書で、やはり1つは、「しんかい6500」を2040年代まで使うんだというのをはっきり打ち出していただきまして、あわせて、母船である「よこすか」をしっかり老朽化対策しないと使えなくなるというところで、これは一つの大きなメッセージだったと思います。我々もそこをしっかり予算の中も財務省に説明できたのは、あの報告書をまとめていただいたからだと思っております。おかげさまで補正予算のときにもそういった形で緊急性が認められたんだと受け止めておりますけれども、そういった形でつながりましたので、ぜひ、こういった分科会での議論を我々しっかり、そういった政策に結びつけていきたいと考えております。
あの報告書にもう一つは、次の大深度の探査をシステムとして考えていこうという、ここはまだ引き続き議論があろうかと思うんですけれども、特にあの報告書を踏まえて今どういった状況にあるのかということも少しまた分科会で議論していきたいと思いますし、特に母船については、その議論の一部を取り出す形で今回、特に「よこすか」のところを議論していただくという立てつけになるのかなというふうに考えております。
あわせて、繰り返しですけれども、先生方の情報をこういった分科会で声を寄せていただいて、どういった研究をやっていくのか。前回の報告書の中でもいろいろ御議論いただきましたけれども、やはり次のサイエンスのターゲットというのはこういったところなんだと。ぜひ、従来の研究の延長線上じゃない大きな切り口などを議論できたらありがたいのかなというふうに考えております。
私のほうからは以上になります。
【日野分科会長】 ありがとうございます。資料4-2も続けてでよろしいですか。
【中川海洋地球課長】 はい。
【川間部長】 それでは、海洋研究開発機構の川間でございます。「よこすか」の老朽化の現状ということで御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、簡単に「よこすか」の御説明をさせていただきます。「よこすか」ですけれども、「しんかい6500」、それからAUV「うらしま」の支援母船の機能を持ちまして、深海、それから海溝域の総合的な調査観測研究を行う海洋調査船でございます。竣工は1990年ということで、2025年現在で35年が経過しているところでございます。諸元は記載のとおりでございますが、乗組員や研究者を含めまして最大60名が本船に乗り組みまして、世界の海で調査研究を行ってきております。
右側に主な経歴を抜粋してございますが、代表的なところですと、98年にはMODE98という名前の航海で大西洋中央海嶺、それからインド洋での調査潜航行動を行っております。それから2011年、東北地方太平洋沖地震の後に緊急調査ということで震源域付近の潜航調査を行いまして、大きな亀裂ですとか、地震の後の海底の状況というのを調査しております。その下、2013年には、これはQUELLE(クベレ)13と読むんですけれども、今度は西回りでインド洋、ブラジル沖、大西洋、カリブ海、トンガ、ケルマディックと、世界一周の調査航海を行っております。また、この航海の途中、カリブ海で潜航しているときに衛星中継、生中継を行いまして、日本の皆様、多くの方々に潜航の風景を御覧いただいたというイベントも行いました。
本船「よこすか」が果たしている役割、ファンクションというところで、上にマル1からマル5まで書いてございますけれども、大きなところとしましては、マル4の、まず「うらしま」などAUVによる詳細な海底地形調査、それから海底地層探査ということで、母船からでも海底地形の調査はできますけれども、やはりAUVで海底直上まで実際に潜らせてデータを取ることでより高精細な、高品質なデータを取ることができます。
そしてマル5の「しんかい6500」による、実際に研究者が海底まで行きまして、下の写真にありますように、例えば岩石を採取したり、海底の堆積物を採取したり、あるいは生物、写真にありますのは、吸引式のサンプラーなんですけれども、生物を採取したりという作業を行うことができますし、場合によっては、研究者が持っていきます、いろんな研究装置とかバイオ装置などを持っていって現場で実験して帰ってくるというような活動も行っております。このように、深海からまずサンプルを持って帰ってくる。そして、その持って帰ってきたサンプルを陸上へ持ち帰って、右側に記載しておりますけれども、海底資源とか、深海生物とか、各分野の研究者の方々に引き続き研究・分析していただくという流れになっておりまして、その一連の流れの中で本船「よこすか」は、真ん中の中核的な役割を担っている船でございます。一般的な研究船と違いまして、「しんかい6500」ですとか「うらしま」といったような探査機を運用いたしますので、乗組員が乗る居住区ですとか、ラボとか、そういった設備以外に、マル3からマル5、赤で囲っておりますけれども、「しんかい6500」などを安全に海に下ろして、また潜航が終わったら安全に船上に揚収して格納するという着水揚収システムが必要になります。
それから、実際に潜水船やAUVを潜らせるためには事前に調査を行いますので、そういった事前の調査を行う機能、それから潜航中には位置を測ったり、追尾したり、誘導したりするという機能がございますので、そういった潜航支援の機能も必要となっております。また、潜航前後、当然潜航するわけですから、整備したり補給したりといったような整備する作業ができるような設備も必要となっておりまして、これらマル3からマル5という装備が本船の大きな特徴であり、また重要な設備となっております。下に幾つか写真を記載しておりますけれども、一番左が、着揚収する潜水艇を下ろしたり上げたりするための船尾にあるクレーンになっております。それから、左から3番目、格納庫の写真になっておりますけど、この中で各種整備作業を行ったりしております。
こういった「よこすか」でございますが、法令等に基づきまして、毎年きちっとドックで整備を行っておりまして、安全性、それから健全性の維持に努めてきておりますが、やはり就航から35年ということもございまして、経年劣化により通常のメンテナンスではなかなか整備が追いつかないと。例えば、鉄板が腐食でどうしても薄くなってきているところとか、配管が腐食して穴が空いてしまったりといったような老朽化による劣化事象も確認されておりますし、また、搭載機器、特に建造からずっと使っているような機器に関しましては、当然30年以上前ですので、もう製造が終わっていたり、あるいは部品がもう既に入手できない、整備ができないといったような事態が生じているところでございます。下にいろいろと写真を記載させていただいておりますけれども、左の上の2番目、着水揚収システム制御盤という写真がございますけれども、これがまさに製造終了で、部品が入手できなくなって整備ができなくなっているという事例になります。そのほか腐食ですとか、減肉ですとか、老朽化に伴う症状を記載させていただいております。
また、直近のドック整備で確認されたことなんですけれども、本船、幾つか燃料タンクを装備しているんですけれども、そのうち、No.2という機関室の床に位置する燃料タンクの天井、すなわち機関室の床なんですけれども、そこに腐食のための破孔、穴が空いているのを確認できまして、また、その周囲の鉄板の厚さなどを確認したところ、非常に薄くなっているというところが確認されました。こちらの穴につきましては補修いたしまして、健全性を確認した上で現在も航海を続けておりますけれども、今年度の年次検査工事において、周辺の腐食箇所全体の補修をただいま計画しているところでございます。写真一つ一つは説明いたしませんけれども、事例といたしまして数字がいっぱい書いてある写真がございますけれども、ここの部分、鉄板、もともとの厚さは12ミリでございますが、薄くなっているところでは5ミリとか、4ミリとかいったところまで減肉しているというところが確認されました。
あと、昨年度、航海中の機器の不具合というところで御紹介させていただきますが、左の上、No.2受波器というのは、潜航中の「しんかい」や「うらしま」、あるいは海底に設置してある観測機器の位置を測るための装置の一つなんですけれども、下から音波信号を受け取る側の装置になるんですけれども、こちらが基盤の故障による不具合ということで、これがないと潜航作業ができませんので、急遽、入渠工事を行ったということがございました。
その下、汚水タンクセンサー故障というのは、汚水タンクというのがございまして、そこに液面のレベルを測るセンサーがあるんですが、それがちょっと故障してしまいまして、トイレから汚水が逆流いたしまして、今、写真で見せておりますけれども、通路やラボのほうまで水が回ってしまったという事象がございました。
そのほか右側にもありますけれども、着水揚収システムの吊揚索、潜水艇をつり上げるための索が損傷してしまったり、主機のガバナというのは、エンジンを一定で安定して回すための装置なんですけれども、そちらが故障したということで、洋上でその装置を交換したということもございました。
あと、着水揚収システムペンダントブレーキというのは、潜水船を下ろしたり上げたりするときに、揺らさないように安定して下ろすための装置の部品なんですけれども、こちらもちょっと油漏れというのが確認されたりしておりまして、こういった事象がありまして、このような不具合の対応ということで研究航海にも影響を及ぼしてしまったということがございました。
こういった老朽化という状況にありまして、深海探査機の運用、それから調査支援、さらに船舶としての安全性・健全性を確保するという観点で、2030年頃までを見据えた整備計画を策定しておりまして、それに基づいて、通常の修繕工事に加えまして、船体構造の補修ですとか、懸念がある機器の換装とか老朽化対策などを行いつつ、当面の間、引き続き、「よこすか」、それから「しんかい6500」などを含めた深海探査システムの安全運用を継続していくということで進めております。
今年度、2025年度分の予定といたしまして、記載のとおりですけれども、まず、船としての機関機能というところでは、エンジン周り、機関関係の部品の交換ですとか、古くなった機器の換装、船体周りでは航海計機や救命設備などの換装、それから、先ほど御説明いたしましたけれども、燃料タンクなど腐食箇所の整備・補修などを進めていくということで考えております。また、深海調査支援機能というところでは、Aフレームクレーン、潜水艇や無人機を上げ下ろしするクレーンの構造部材の腐食箇所の補修や各油圧機器、制御盤などの換装などを進めていくということで考えております。
こういった状況にありまして、約10年ほど前と比較いたしますと、このドックでの整備期間というのがどうしても長くかかるようになってきておりまして、10年ほど前ですと、ドックが35日とか四十数日という状況であったんですけれども、ここ近年はドックの整備期間が60日、70日、80日というふうに増加傾向にございまして、その分、船を動かしている日数が減り、年間の稼働率が低くなってきているという状況にあります。
あと、老朽化以外の面でちょっと御紹介、御説明させていただきますが、その他の問題点として、これは老朽化というよりは、35年前の設計というところに起因するかと思いますが、まず、研究者の乗船枠が本船は少なくなっております。先ほど60名というふうに御説明いたしましたけど、その中には乗組員や「しんかい」のスタッフなども入っておりますので、「しんかい6500」の調査航海のときには研究者の枠は15名となっております。この15名のうち10名が相部屋という状況になっております。2人部屋になります。個室は5室で残りが2人部屋という環境になっておりまして、上の写真がその2人部屋の一例になりますけれども、二段ベッドがあって、ソファーと洗面台があるような狭い部屋で、なかなかプライベート空間というのが確保できないような環境で航海をするという状況になっております。
また、その下に記載しておりますけれども、近年、研究者、それから乗組員、また「しんかい」チームのスタッフなどにも女性がいらっしゃるところでございますが、この女性用の設備、特に衛生設備が本船は少なくなっておりまして、特に女性用の衛生区画、トイレですとかお風呂とかいうのが研究者の居住区画にしかありませんので、乗組員の区画などにはないというような状況になっております。
あと、もう一つの問題点としまして、操船性能というのを記載しておりますが、左側、これはJAMSTECで一番新しい「かいめい」という船の写真になりますけれども、本船は、例えば後ろのプロペラが360度自由自在に回るものがついておりまして、また、船首側の下にも下に突き出て360度自由に回る非常に小まめな操船ができる装備がされておりまして、その上、GPSの位置や各外乱の気象状況、風の状況などを、データを取り入れて計算して自動でプロペラの整備を行い、船体、船の位置をぴたっと止めたり、あるいは既定の場所に移動するなどといったような操船ができる自動船位保持システムというのが近年の船には普通に存在しておりますが、残念ながら、「よこすか」にはこれらが整備されておりません。この装置がありますと、風とか塩とかいろいろと変わる外乱の中で、調査作業に応じたきめ細かな操船を非常に効率的に行うことができるんですが、「よこすか」のほうにはそれがついておりませんので、右下の写真が「よこすか」の操縦室の写真になりますが、同じことをやろうとすると、船長や航海士が舵を動かしてその後エンジンを動かしてと、個別に操作をして操船をするという必要がございます。
また、本船、スタンスラスターという後ろの横向きのプロペラがついておりませんので、「よこすか」の入出庫、離着岸には必ずタグボートの支援が必要となるということで、DPSがないとか、そういったいろいろな機能的な部分でもこういった懸念点、問題点があるということでございます。
戻りまして、改めまして、本船「よこすか」が果たしている役割というところで、先ほどもちょっと御紹介いたしましたけれども、深海からいろいろなものを、サンプルを持って帰ってくるサンプルリターン「うらしま」、それから、ほかのAUVや「しんかい6500」といった探査機を使って海底からサンプルを持ってくる。そして、それを陸上へ運んで各分野の研究者の方に分析や研究をしていただくという役割を果たしている本船ですけれども、最後まとめさせていただきますと、35年間、世界各地の海域で調査航海を行いながら、「しんかい6500」、それから「うらしま」の母船として世界の深海調査研究で貢献してまいりましたが、毎年、関連法規に基づくドック工事を行って安全性や健全性は維持してきておりますが、やはり経年劣化ということがありまして、通常のメンテナンスではなかなか整備が追いつかない腐食とか配管の破孔ですとか、そういったことが今生じております。また、搭載機器の経年化で機器そのものが製造中止であったり、整備ができないというような状況が生じておるところでございます。
造船所さんと協議の上、2030年頃までの運用を見据えた整備計画を策定して、それに基づき老朽化対策を行っておりますが、それ以降の老朽化対策、機能維持というところの計画策定の見通しは現状、不透明でございます。
それから、先ほどちょっと御紹介させていただきましたけれども、研究者の居住区、居住設備、それから、特に女性衛生設備などが不足しているというところで、老朽化以外に居住設備も不十分なところがございます。また、DPSなどの自動化システムもありませんので、船員の労働環境の向上という観点からも課題があるという状況でございます。しかしながら、深海探査システム委員会で触れられたように、海洋資源調査、防災・減災に資するリスク評価への活用のみならず、加えて、深海生物や海洋ごみの調査など、深海・海溝域での探査、それからサンプル採取といった研究ニーズ、それから、ユーザーコミュニティーの期待は現在も非常に大きいというところでございます。
2024年度に取りまとめられました提言「今後の深海探査システムの在り方について」におきましても、「しんかい6500」の最大限の活用ということが求められておりますが、そのためには、本船の母船機能も当然不可欠ではございますが、老朽化、設備の陳腐化というのが今非常に著しい状況となっております。ですので、深海・海溝域の探査、それからサンプル採取、そういったことが可能な世界最先端の研究船、調査母船を目指して、足りない機能、効率的な運用方法など、早急に検討する必要があると考えている次第でございます。
以上で説明を終わらせていただきます。
【日野分科会長】 中川課長、川間部長、どうもありがとうございました。
それでは、議題4の審議に入りたいんですけど、ちょっと整理させていただきたいんですが、資料4-1にございますように、進め方といっても、今日、大きく3つポイントを挙げていただいていて、場合によっては、この進め方のポイントとして、また新たに委員の皆さんから提案いただくこともあるかもしれません。ですが、今日は具体に探査システムのところ、いろいろ論点を挙げていただきましたので、まずここのポイントに絞って皆さんから御意見をいただいて、一旦そこで締めた後で残りの議題という格好で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ということで、まず、次世代深海探査システムについて、特に4-2のポイント、「よこすか」の老朽化のことについて詳しく御紹介をいただいております。委員の皆さんのほうからコメントとか質問とかいただければと思いますが、これが今日のメインの議題だと思いますので、できるだけ多くの委員の皆さんから御発言を頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【川辺分科会長代理】 質問してもよろしいですか。
【日野分科会長】 川辺委員、よろしくお願いします。
【川辺分科会長代理】 川辺でございます。御説明ありがとうございます。大変御苦労されながら調査されていることが、よく分かりました。お伺いしたいのですけれども、最後のまとめのところに、造船所との協議の上、2030年頃までの運用を見据えた整備計画を、とあります。そうすると2030年以降は新しい船をお考えと思うのですけれども、そのためにはいつ頃から建造計画に着手しなくてはいけないものでしょうか。
【川間部長】 その辺につきましては、予算等、なかなか難しいところもあろうかと思いますので、文部科学省さんと協議しながら進めていきたいと思っておりますけれども、本船、先ほど来御説明していますように、35年という年が経過しておりますので、なるべく早く進めていきたいというふうに考えているところでございます。
【川辺分科会長代理】 一般論として、これだけの船を造るのにどれくらいの時間がかかるでしょうか。
【河野(健)委員】 これまでのJAMSTECの経験だと、建造そのものには最短で3年、長いとというか4年ぐらいかけると、最短3年。その前の検討の時間というのはもろもろありますけど、最短で2年ぐらいは最低必要。最初に要素の検討みたいなフィージビリティスタディーをやって、次に何らかの設計をやって、次にやった設計次第で建造のための入札の方法に種類があるんですが、そういうような違いがあるというので、最短だと4年、5年ぐらいですかね。
【川辺分科会長代理】 最短で、計画等も入れて4年、5年。
【河野(健)委員】 はい。
【川辺分科会長代理】 ありがとうございます。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。次を考える上で非常に重要なポイントだと思います。ありがとうございます。
ほかに質問、コメントございますでしょうか。いかがでしょうか。
【榎本委員】 よろしいでしょうか。
【日野分科会長】 榎本委員。
【榎本委員】 榎本ですけれども、老朽化しているということで、あと2030年もすぐなので、多分、急いでその先を考えないといけないということで、今、30年までもたせるというところも多分、御苦労されるのかと思います。質問のほうは、もたせるところではなくて、もしこれ新しいものを造ったときに、途中で「かいめい」に備えられている新しい機能というのがありDPSが書かれていますけれども、この有効性はお話を聞いて分かったんですが、さらにそのほかにも新船になったらこんなこともさらに期待できるというふうなものもたくさんあるんでしょうか。
【川間部長】 ありがとうございます。どういった機能を次の船に持たせるべきかというのは、今まさに中でいろいろと勉強会等を踏まえて検討しているところでございまして、具体的にこういった機能というのはなかなか今、言いづらいところではあるんですけれども、「しんかい6500」、「うらしま」といったもの、それから、ほかの探査機とかも含めて効率的に運用して、効率的な研究航海ができるようなものにしていければというふうに考えている次第でございます。すみません、ちょっとふわっとした解答で。
【榎本委員】 いえ。多分、前回の世代交代の40年前から比べるとかなり新しいものというか、夢のあるものというか、最新のものが出てくるのではないかなとちょっと知りたいと思いましてお聞きしました。
【川間部長】 そうなるべく頑張りたいと思っております。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
【事務局】 河野真理子先生が今、オンラインで御入室いただいたので、よろしければ一言御挨拶を。
【日野分科会長】 そうですね、ぜひお願いします。じゃあ、事務局のほうから振ってください。
【河野(真)委員】 早稲田大学法学学術院の河野と申します。本日は授業初日でございまして、少し遅れましての参加で大変失礼いたしました。専門は国際公法、それから海洋政策、海事政策、港湾政策でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
【日野分科会長】 よろしくお願いします。どうもありがとうございます。
【河野(健)委員】 もしほかにないようでしたら。
【日野分科会長】 じゃあ、河野委員。
【河野(健)委員】 河野です。御質問、その他、ありがとうございます。まず、実は昨年度の深海探査システム委員会は、委員でいらっしゃいます松本先生の多大な御尽力によりまして、非常に明確に方向性を定める報告書が出来上がりました。その委員の中には、今ここに出席されていらっしゃる先生方もいて、大体の方針として、「しんかい」からサンプルを持って帰ってくるというようなことを考えたときには、今のこのシステムというのは1世代も2世代も前で、今の諸外国でやられている特に効率のよい船というのは、複数のしかも異機種の水中機器や、それから、サンプルエレベーターと言われているサンプルだけを水中から持って帰ってこられるような単純なシステムなんですけど、そういったものを同時に装備していって、例えば、ROVは電源の制限がありませんので、ROVを一旦水の中につけたらもうしばらく上げてこない。ずっと24時間、48時間、96時間というような時間水中で作業させて、サンプルだけをバスケットみたいなものに入れてエレベーターで持ち上げてくる。そういったような効率化をしているようなシステムになっていると。
日本は、今ある「しんかい6500」という有人のシステムを生かしつつ、AUV、ROV、サンプルエレベーター、そういったようなものを全て組み合わせて同時に運用できるような斬新なシステムで臨むべきだというような姿は示されております。8月以降、答申を受けまして、JAMSTEC内でそれを実現するためにはどのようなものが考えられるのかというようなことは検討してまいりました。もし、今の肯定的な御意見と勝手に受け取っておりますけれども、新船を造るということになれば、そこにどのような機能を持たせるかということについては、こういった考えを軸にニーズに応じて新たに付け加えるもの、どういうものが必要かという細かいことは御指導いただければよろしいかなと思います。
以上でございます。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。見延先生、お願いします。
【見延委員】 北海道大学の見延です。「よこすか」の改修なんですけれど、スライド9枚目には乗船可能人数が少ないということが書かれております。乗船可能人数が少ないというのを、部屋を増やすということになると結構大幅な変更かなと思うんですけど、それは可能なんでしょうか。
【川間部長】 川間でございます。ありがとうございます。残念ながら、今のままで部屋の定員を増やすというのは非常に難しいですので、今後考えていきたいというふうに考えております。
【見延委員】 ありがとうございました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。じゃ、前川委員、どうぞ。
【前川委員】 前川でございます。質問させていただきます。このまとめのところ、あとスライドのほうでも、女性衛生設備が不足しているということを伺って、非常に厳しいものがあるなと思ったんですけれども、先般、スウェーデンの世界海事大学を訪問させていただいて、研究者のみならず女性の乗組員が船上でいろんな御苦労をされているということも伺いました。女性に限らずですけれども、船に乗っている方たちが快適に過ごすためのガイドラインであるとか、こういったデザインを模倣するべきみたいな最低限の部分と、こうするとよりいいというような何か参照するべき船舶であるとかというのはあるんでしょうか。
【川間部長】 ありがとうございます。私ども、「よこすか」が古い船ですので、その後に「新青丸」とか「かいめい」とか、新しい船を造る際にはそういった観点でいろいろと船を造って設計しておりますので、まずそういった経験。それから、もし可能であれば、ほかの研究機関ですとか、そういったところの最新の船なども参考にしつつ考えていければというふうに考えております。
【日野分科会長】 それでは、ほかにございますでしょうか。オンラインはいかがですか。
先ほど河野委員に口火を切っていただきましたけど、在り方の提言の検討をいただいた委員の皆さんから、少し補足とか応援メッセージをいただければと思うんですが、まず、主査をお務めになった松本委員、いかがでしょうか。
【松本委員】 松本です。河野委員のほうからアウトラインというか、大きな流れは説明いただいたと思っておりますので、今後の船、JAMSTECのお持ちになる船の在り方としては、この形を踏襲するのではなくて、もっと効率的なものを目指していきたいんだという、そこのところは今後の方針として非常に大きく打ち出されているというところでございます。研究者の区画が少ない、こういう具体的な話は我々の分科会の中ではあまり、技術的な話をどうするかというところだったので、乗組員の個別の事象をどうやって改善していくかみたいなところまでは話が及ばなかったんですけれど、そういったところも継続してよい研究をしていくための非常に重要なところだと思いますので、ここについても今後の在り方として検討していくべき大事な視点だというふうに受け止めつつ今お話をお伺いしていました。コメントになりますけれども、以上でございます。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。では、続いて廣川委員、いかがですか。
それじゃ、おられないみたいなので、ほかの委員の皆さんからオンライン、対面、まだ御発言いただいていない先生方からいかがでしょうか。川合委員、いかがですか。
【川合委員】 今回、みらい2を造るときとかに、研究者側からどんな観測機器が必要だとか、そういうのをインプットする場は何度かあったと思うんですけど、居住空間とか生活に関してはインプットする期間があまりなかったように思うんです。なので、次、建造が決まった際には、その辺も今まで乗った方々の経験をぜひ吸い上げてコメントを使っていただければなと思います。
【日野分科会長】 重要な視点だと思います。ありがとうございます。
藤井委員、お願いします。
【藤井委員】 ありがとうございます。水産研究・教育機構の藤井です。我々も調査船を持っていますけど、建造35年たつとどういうことになるのかというのは本当に目の前で見ていますので、今、大変御苦労されながら調査研究を続けていらっしゃることかと思います。将来の研究を見据えて、どういう船が必要かという議論をこれから行われるんだと思うんですけれども、一つお聞きしたいのは、研究者の乗船の可能人数を次世代の船ができるとしたら、さらに増やしたいという考え方なんでしょうか。と申しますのは、我々も同じところで悩んでいるんですけど、今、以前に比べますと、一人当たりの確保してあげなきゃならない居住空間、一人当たりの面積ですね、かなり大きくなっていますし、女性も安心して快適に過ごせるような空間をとなると、さらにスペースが必要になります。一方で、観測機器なんかは、恐らくこの先どんどん今よりも自動化が進んでいくんでしょうから、今までよりも少ない研究員であっても、十分に観測機器を扱って必要なデータを得ることができるんじゃないかということも想定されると思うんですけど、その辺りのコンセプトというのはどのようにお考えかお聞かせいただければと思います。
【日野分科会長】 じゃ、河野健委員から。
【河野(健)委員】 JAMSTECの河野です。コンセプトと言えるほどきちっとしたものを今現在持っているわけではありませんけれども、御指摘のとおり、人数そのものは研究者15人ということではちょっとやっていけないと思うので、それは増やすことになるんだろうと思っています。一方で、操船に関わる人数、あるいは機器を扱う者に対する人数、そういったものは大幅に自動化を取り入れて減らしていく方向にしたいと思います。だから研究者が増えた分だけ、研究者を増やす分だけ船室を増やさなければいけないというふうにならないように考えていきたいと思っていて、そのために今、省力化、それから省人化、自動化というところにかなり力を入れた我々自身の研究開発もしておりますし、検討も進めているところでございます。
【藤井委員】 ありがとうございます。我々にとっても大変参考になる御意見でした。ありがとうございました。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。それでは、ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。
【中川海洋地球課長】 もしよければ、せっかくこういう議論の場ですので、先ほど河野委員から少し、前回の報告書のところの議論の御紹介の中でもあったんですけれど、新しい探査の方法、ある種、世界最先端の方法なのかもしれないですけど、例示としてサンプルエレベーターというのを紹介いただきましたけど、同時運用とかそういったのが実現できるとなると、じゃあ、今までできなかった新しい研究ができるのか、新しい探査ができるのか、何かそういうサイエンスの面でのアイデアなり、こんな話聞いたことがあるよとかあれば非常に参考になるので、もしございましたら御紹介いただければなと思いまして発言いたしました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。課長さんのほうから直接問いかけがございましたが、いかがでしょうか。海洋調査、直接、学術の面で携わっていらっしゃるという点では、大海研の兵藤先生とか、いかがでしょうか。
【兵藤委員】 我々のほうも、実際に「よこすか」も使わせていただいていますし、あともう一つは、「よこすか」は今、学術研究船のいわゆる共同利用としても使わせていただいているということもあって、具体的にという、あまりこちらで今……。すみません、私自身、そちらの深海調査ということで携わっていないので、具体的にどういう設備をということですぐに、すみません、申し上げることができないんですけれども、いろんな研究者が乗ってこられて、先ほどの女性の問題もそうですし、なるべく多様性のある乗船ができるようにということは非常に今重視しているところかなというふうに思います。
あと、原田さんのほうから追加でお願いします。いいですか、原田さんに振ってしまって。
【日野分科会長】 ありがとうございました。無茶振りしてしまって、すみませんでした。原田委員、どうぞ。
【原田委員】 新しい調査母船の建造に非常に期待しています。例えば、総合海洋政策本部の参与会議がこれから出していく意見書等にも自立型の無人探査機のさらなる開発利用の推進が施策としても非常に今後重要になってくると挙げられています。自立型の無人探査機の開発利用の推進は、産業界からの要望も大変強く、ぜひこういった無人探査機を複数機、同時運航・同時運用ができるような調査母船など、自由度の高い調査母船の建造をしていただけると大変良いと思います。その際に、どういう調査母船が良いか、情報収集がなされると思います。ぜひ、例えばAUVに関しては官民プラットフォームというようなものを内閣府中心としてつくっておりますので、その意見などもぜひ取り入れていただいて、官民挙げていい船を、いろんな分野の人たちから期待される船を造っていただけると良いと思っております。【日野分科会長】 ありがとうございます。途中から入られましたけれども、河野真理子委員、何かもし御発言があれば。
【河野(真)委員】 申し訳ございませんが、私は特にはございません。ただ、やはり船舶を新しくして最新の機器を入れるということは、現時点での最善かつ最先端の調査方法を備えていく上で非常に重要だと思います。また、日本の海域に関しての科学的知見は、まだ必ずしも全て十分に明らかになっていないところが多いと伺っておりますので、ぜひ整備を進めていただきたいと思います。すみません、このようなことしか申し上げられません。
【日野分科会長】 どうも、非常に貴重な御意見をいただいたと思います。ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それじゃ、ちょっと私のほうから。まず、深海に人が直接行く、あるいはその間近に人が行って調査をするというのは非常に重要なことなんですけれども、やっぱりどんなに頑張っても現場に行ける人間の人数は知れています。そういう意味では、今のITの技術を使うことによって、バーチャルでオンショアの人間がそこに深く関われる。多くのバックアップスタッフが入ることで、最前線のフロンティアの調査を成功させるというような仕組み。そのためには母船の機能って非常に重要だと思うんですね。今や諸外国では、実験室にいながらROVの操作をする、それも海外の人がというようなこともできているわけですけれども、だからそこはもうあるんですけど、そのさらに先ですね。大勢の本当に違う実験室の人たちがあたかも船の上に乗って、今取れているデータの分析結果を見て、じゃあ次のオペレーションはこれだということができる。そういうすごくライブ感がある研究ができるようになると、圧倒的に日本が深海研究のフロンティアに躍り出ることになると思うので、そういう点でのハードウェアの検討を強くお願いしたいと私からは思います。よろしくお願いいたします。
【中川海洋地球課長】 いろいろ御意見ありがとうございます。ぜひこういった議論を踏まえて、JAMSTECとともにいろんな検討を進めてまいりたいと思います。原田委員から海洋本部の議論の御紹介もいただきましたけれども、ぜひ、海洋本部の官民プラットフォームも我々も関わっておりますので、そういったところの連携も踏まえながら、恐らく、これはJAMSTECに限らずかもしれないですし、JAMSTECのいろんな船もそうかもしれないんですけれども、これからの船というのは本当にいろんな方と一緒に造っていく、使っていくという船になると思いますので、そういったAUVのいろんな関係者、研究者だけではなくて、企業の方とか実運用される方とか、いろんな方いると思うんですけれども、そういった方とも一緒に、我々は研究や探査や調査というのがメインだと思いますけれども、いろんな形で使っていけるような船というふうに多分、これからはいろんな世界がなっていくと思いますので、そういった視点も原田委員からの御指摘を聞きまして重要な点かなというふうに思いました。ありがとうございます。日野分科会長からいただいたのも多分、我々これから研究どうなっていくのかという少し大きなビジョンの下で考えていくものだと思いますので、ひょっとしたら深海探査に限らず、いろんな海洋の研究の面でのそういった研究のスタイルが変わっていくということもあれば、ぜひ分科会でもまた要所要所でそういった議論もさせていただけるとありがたいかなというふうに思いました。
【川合委員】 すみません、海洋大の川合ですが、母船が今回新しくなったときに、今運用している「しんかい」とかがもっと先で交代するとなると、今の「しんかい」を運用しつつ、でも次世代にも対応しなきゃいけないというところで非常に難しいなと思って、老朽化しているのは非常に緊急性はすごく分かるんですけど、両方同じタイミングのほうが効率として一番いい船ができるのはそのタイミングじゃないかという気もちょっとするんですよね。
【河野(健)委員】 河野ですけど、おっしゃることはよく理解できます。実は大きな問題は、「しんかい6500」を比較的許容できる時間、例えば数年、10年といった期間で同じものをリプレースするだけの準備が日本にはないんですね。だから、今、「しんかい6500」のリプレースのタイミングでという話になると、恐らくそれまで船がもちません。なので、この方式しかないというのが前回の深海探査システム委員会での結論だったわけです。確かに設計上、非常に大変です。ただ、今の新しい「しんかい6500」、有人潜水船がリニューアルするかというのはまた議論が必要なんですけど、もしそうだったとしても、先に造るほうが楽は楽です。今のよりは簡便な着揚収システムとかできると思うので、楽は楽です。
【中川海洋地球課長】 ちょっとだけ補足すると、先生がおっしゃるとおり、理想的には、ありとあらゆる制約を除いてやれれば本当にそうだとは思うんですけれども、河野委員から今言っていただいたように、多分、そこを見越して前回の報告書でいろいろ議論していただいたので、我々、それを書きながら今、具体の議論ができるんだと思うんですね。将来的な大深度の探査システムというのはまだまだ考えていかなきゃいけないけど、それに向けてのいろいろな方向性というのを出していただきましたので、それに合わせて先を見越した形の母船の議論というのもこういうふうにしてできているのかなとは思いますので、制約の中ではしっかりやっていきたいと思います。
【川合委員】 分かりました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。なかなか綱渡り的なことになっているのかなと思いますが、やっぱり母船は一丁目一番地なのかもしれません。
ほかにいかがでしょうか。先ほどちょっと御提案したように、深海探査システムのことをまず集中的に御意見を頂戴しましたけれども、もしほかになければ、いただいているスケジュールだと少しだけ時間がありますので、残りの時間で、今日、あと2つ具体例を挙げていただいたアルゴとか、それから次世代海洋人材育成の話、この辺でもし御意見、コメント、質問があれば頂戴したいと思います。あるいは、ほかにこういう議論、この分科会で取り上げるべきなのではないかという御提案でも結構です。
河野委員。
【河野(健)委員】 JAMSTECの河野です。コメントでございます。アルゴ計画の状況及びアルゴフロートの投入については、実はアルゴ計画というのは、2000年に日本とアメリカが強いリーダーシップの下に実現した計画で、その後、ずっと日本は、投入本数は確かに非常に多いと言えない状況ですけれども、常にリーダーシップを取ってまいりました。その結果、今度、ワンアルゴという、様々なアルゴフロート全て統合するような計画に発展して、これが今の海洋科学の10年でも一つの話題になっているところです。
そして、今度、WPI(ワールド・プレミア・インスティテュート)に東北大学とJAMSTECも協力してですけど、通りました。ここの中の一つのメインツールがワンアルゴのシステムです。ということなので、これの経緯や今後の在り方、日本としてどうしていくべきかということについては、東北大の須賀先生が長くリーダーシップを取っておられたので、国際アルゴ委員会の委員長であったこともありますので、御説明をいただくと非常に参考になるのではないかなと思います。
あと、次世代人材育成なんですけど、教育なのかアウトリーチなのかでちょっと様相が異なります。教育であれば最近、教育というのは先生がやらないと教育と言わないので、JAMSTECでも頑張っているので、ぜひ皆さんに聞いていただきたいことはあるんですけれども、東京大学では非常に熱心にSTEAM教育をやられておられますし、また、STEAM教育に対する高いというか、非常に大きな支援を笹川平和財団でもやっていらっしゃいますので、そういったところの皆さんの御意見を聞いて、どうあるべきかというのを考えていくといいのかなと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。いずれも重要なポイントです。須賀教授をお呼びしてはということですかね、この委員会に。
【河野(健)委員】 はい。
【日野分科会長】 事務局のほうでちょっと御検討いただければと思います。
【中川海洋地球課長】 はい。6月、8月の予定とかを相談しながら考えたいと思います。
【日野分科会長】 よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。兵藤委員、よろしくお願いします。
【兵藤委員】 よろしくお願いいたします。最後の次世代海洋人材育成の取組、今、河野委員からもいろいろいただきましたけれども、私どものほうも、とにかく共同利用ということをどれだけきちんとできるのかということが、あと、学術研究船を使ってそういった取組というのは非常に次世代の海洋人材育成、実際に、特に大学院生ができるだけ例えば乗船研究を行うとか、そういったできるだけ多くの大学院生をこういったところに取り込んでいくということが非常に大事だと思って我々も活動しているんですけれども、全国でそういった活動をどれだけ広げていけるか。そういったことも含めて、次世代の海洋人材育成、今から本当にさらに頑張っていかないと、この先の日本の海洋政策、あるいは海洋研究というものをどれだけ進めていけるかというのは非常に大事だと思いますので、ぜひこの点、皆さんで御議論いただきたいなというふうに私のほうからも強くお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。川辺委員。
【川辺分科会長代理】 海洋大の川辺でございます。今お話のあった次世代海洋人材育成の取組についてですが、これは前期でもちょこちょこっと話には出てきたけれども、あまり深くは話し合いができなかったところかと思います。今、河野委員とかがおっしゃられたように、海洋人材といったときに、海洋研究をする人材なのか、あるいは一般のリテラシーを広めることなのか、あるいは海洋調査を行える技術者を育てることなのか、海洋人材がどういうものなのかという定義を最初に考えていただけるとよいかなと思いました。プラス、次世代とありますので、現代とどう違うのかというところをある程度想定しなくてはいけないと思っております。そういったことを踏まえて議論できたらよいと思いました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。私からも、同じようなことを考えていたんですけれども、さっきの母船の話ともちょっと関わってくるなと思っていて、そういうところに大勢のフィールドに、本当に専門の科学者だけではなくて、関わる技術の開発をやっている人、あるいは、文系、理系という言い方は今はしないものだと思いますけれども、直接、理科のではない周辺フィールドの研究の方も入ってきて、その姿を次世代の若い学生に見せていくことが今、文科省で考えている総合知を高めていくというのにつながってくると思うんです。だからそういう意味では、やっぱり入り口、教室を提供できる。海って非常に魅力的な環境ですから、それを売り出していく。フィールドを持っているというのは、逆に言うと我々はメリットなのではないかと思うので、それを生かせるようなプラットフォームを順次つくって、それを教材にして売り出していくというようなのが一つ方法かなと思いました。見延委員、どうぞ。
【見延委員】 北海道大学の見延です。ありがとうございます。誰を対象にするかというのは、これ非常に重要なポイントだと思うんですけれど、研究者ということになってしまうと、アカデミックポジション、例えば、大学なんかも少子化で少なくなっていくというところで、やはり対象が少なくなり過ぎるんじゃないかと思います。今お話がありました技術者、そこら辺までは研究者だけではなくて広げる意味があるんじゃないか。ちょうど今日、うちのOBの海洋コンサルタントのいであの部長さんとお話をしたんですけれど、人がなかなか来なくて困っていると。海洋に志のある人を育てることで、そういう海洋関係の技術者の供給にも、そっちの方向に進んでいく学生さんも増えていくんじゃないかと思います。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。河野真理子委員、どうぞ。
【河野(真)委員】 ありがとうございます。この審議会の直接の問題ではないと思うのですけれども、次世代海洋人材というときに、船員の確保も考慮しなければならないと感じます。実は今、船員の不足も大きな問題になっておりまして、実際に研究を円滑に進めるために必要な操船技術を持つ人がいることはとても重要です。研究活動に貢献できる操船ができる船員さんというのは、かなり高度な技術が必要な方になってくると思います。研究活動の基盤としてそういった海技資格を持っている優秀な人たちがこういう研究活動に参画してもらえるような土壌といいますか、それから、そういった活動が魅力というのも若い世代に伝えられるといいなと思うんです。少なくとも海技関係の人材の育成を議論しているときには、いかに若い人たちに海に関わる仕事に魅力があるかを知ってもらうとか、海に魅力があることを知ってもらうかということにかなり注力をしていますので、必ずしも研究者ではない、技術者でもないのですけれども、やはり研究活動を支える人材としては重要だと思いますので発言させていただきました。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。いかがでしょうか。原田委員、お願いします。
【原田委員】 ありがとうございます。原田です。今の河野委員の御意見、まさにそのとおりだなと思います。海技人材の確保に関しては、国土交通省等でもやっていらっしゃると思います。文科省に限らず、人材の育成、確保をどうしていくかというのは府省を横断して議論していくべきことと思いますので、内閣府の海本部等を使って議論を発展させていくことも重要と思います。
また、海洋人材や海技人材が非常に大事で、この分野に人を呼び込む必要があるということについて、海洋に関する一般社会や国民の理解の醸成も非常に重要と思います。今日の議題ではないと思いますが、国連海洋科学の10年が今動いており、国内委員会もあります。こういった組織をうまく使いながら、海洋に関する国民への理解の醸成とセットで海洋人材の育成の取組、仕組みづくりというのをやっていくと良いと思います。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。特に人材育成となるとかなり幅が広いところがありますので、いろんな観点からこれからも議論を進めていただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
もしよろしければ、ここで議題の4については閉じさせていただいて、次に進めさせていただきたいと思います。ちょうど今、原田委員からお話がありましたけれども、議題の5は、Ocean Decadeに関することです。Ocean Decade国内委員会について海洋地球課より説明をいただきます。
【小西海洋地球課企画官】 海洋地球課の深海地球探査企画官の小西と申します。自分のほうからOcean Decadeの国内委員会の取組について、原田委員からも御説明ありましたけど、説明させていただきます。
まず、国連海洋科学の10年ですけど、取組期間は2021年から2030年までの持続可能な開発目標の達成を目的としています。
経緯ですけど、2017年の12月に国連総会で採択・宣言され、海洋科学の推進によりSDGの14「海の豊かさを守ろう」等を達成するために、この10年間に集中的に取組を行うということで始められました。日本のほうはすぐこの取組に参画しまして、2021年に日本の10年の国内委員会が立ち上げられて、関係省庁、関係機関とともに取組を進めております。笹川財団に事務局のほうを担当していただいております。
目的ですけど、海洋の持続的な開発に必要な科学的知見、基盤、パートナーシップを構築する。あとは海洋知見のデータとか情報を海洋政策に反映して、持続可能な開発目標に貢献するということで、そういった2大目標に向かって運動を進めているところです。
目指す社会の具体的な成果としてここに挙げられているんですけれども、分かりやすく表現している「きれいな海」であったりとか、「健全で回復力のある海」であったりとか、「持続可能に生産ができる海」であったり、「予想できる海」であったり、「安全な海」、「万人が利用できる海」、あと、感情的なところで、「心揺さぶる魅力的な海」であったり、そういったことを社会目標として目指していると。
次のスライド、お願いします。直近の、これまでとこれからのマイルストーン的な海洋に関する国内外の取組ということで、先月の3月7日に持続可能な開発のための国連海洋科学の10年の日本国内委員会を笹川平和財団のほうで開催させていただきました。国内の海洋科学の10年の連絡調整とか機能を担っていただいております。あと、文科省のほうで、IOC西太平洋地域小委員会――WESTPACと通称言われています――を文部科学省のこのビルの中でホストしまして、3月10日から3月13日でWESTPACエリアの海洋観測、データ管理、能力開発等の協力・推進を目的とした内容について議論しました。細かな内容はまた別途スライドがありますので、説明させていただきます。
あと、同じ時期にWorld Ocean Summitということで、どちらかというと、こちらは企業とか金融関係、政策関係者が参加するということで、3月12、12日に開催しています。今日の科学技術・学術審議会海洋開発分科会ということで、今日、マイルストーン的に開催して、6月、8月にも再度開催すると。
次ですけど、Japan Geoscience Union Meeting(JpGU)ということで、千葉の幕張メッセのほうで5月25から5月30日、日本海洋学会との春季大会と合同開催。これもまた別途、スライドで細かく説明させていただきます。
あと、6月に入りますけど、One Ocean Science Congressということで、ニースのほうで、UNOC3といって国連海洋会議とバック・ツー・バックで開催される、どちらかというと学術的な内容です。UNOCのほうはどちらかというと、政策とかポリシーに近い関係のミーティングですけど、それが開催されるということであります。同じ6月に文科省のほうからも出席予定で準備していますけど、IOCの総会、執行理事会がパリのほうで6月24から7月の初めまで議論するということで進めています。
あと、次ですけど、9月に入りますと、Foundations Dialogue meetingということで東京のほうで、どちらかというとフィランソロピーの団体が中心となったOcean Decadeをどう推進していくかという戦略について議論していくということです。
9月に入りますと、日本海洋学会が函館の北海道大学のほうで21から25日に開催予定です。
あと、文科省のほうで事業として進めています海洋生物ビッグデータ活用技術高度化事業のシンポジウムを東京の国連大学の会議室のほうで10月31日に開催します。この海洋データのスライドについてもまた説明します。
最後の今年の予定です。SynObsの国際ワークショップ2026、青森のむつ市のほうで、こちらも海洋予測のための相乗的な海洋観測のシンポジウムを開催するということで準備しております。
次のスライド、お願いします。これが国内委員会の開催概要になっています。繰り返しになりますけど、3月7日に笹川平和財団において実施されています。笹川平和財団海洋政策研究所と日本海洋政策学会が事務局として担当していただいています。議題はここに示したとおり、重要な議題に海洋の関係のIOC-UNESCO関係でありますとか、Ocean Decadeの取組でありますとか、WESTPACでありますとか、PICESとか、海洋政策学会とか、ここら辺の内容を議論しています。参加の委員は、学術界、政府関係者もありますし、民間のほうからも参加していただいて、日本の海洋戦略について、あと次世代の人材育成について、議題にも出ましたけど、そういったことについて、研究、社会・政策にとって非常に重要な場としてハイライトされて、ハイレベルでそういったことを3者が議論するいい場となっておりました。
次のスライド、お願いします。これがもう一個、文科省のほうでホストしました第15回ユネスコ政府間海洋学委員会、IOCのWESTPAC政府間会合について開催しています。IOCのそもそもの内容も述べていますけど、WESTPACの中の1個のコミッションでありまして、アジアと太洋州地域をカバーして、海洋観測、データ管理とか交換に関しての議論を行っています。2017年から2025年までJAMSTECの安藤さんが副議長・議長、今回議長を務められまして、日本としてのプレゼンスを発揮しているところです。前回のインドネシアの会合で日本がホストすることが決まりまして、文科省のほうで今回、ホストしたということになっています。
実際の会合ですけど、アジア太洋州地域から13か国の専門家、研究者の方、行政官も含めて約100名ほど参加しました。IOC、WESTPACの議論に加えて、日本が主催して政府、ハイレベルラウンドテーブルということで関係国と議論をしまして、東京宣言というのを採択しております。
あと、同じく中のイベントとして、各国の海洋科学の10年の委員会の人たちが参加していただいて、そこでも、どう海洋科学の10年を盛り上げていくかということで議論されました。ここでもやはり科学的知見を基盤とした政策、社会的課題の対応が重要であるということでいろんな関係者が集まりましたので、こちらもこういった議論は大変重要であるということがハイライトされました。
次のスライド、お願いします。少しこちらは毛色が変わりますけど、こちらはG7のプロセスでして、G7海洋の未来イニシアチブ(FSOI)、Future of the Seas and Ocean Initiativeということで、こちらの概要について説明します。もともとですけど、2016年のG7の科学技術大臣会合で発足しています。直近の会合ですけど、2024年のG7、去年、イタリアが議長国でしたので、イタリア科学技術大臣会合にてFSOIのワーキンググループと5つのアクションエリアを承認しました。具体的にアクションエリア、どういったことを議論しているかですけど、海洋観測強化、デジタルインフラ・予測システムの強化、意思決定への情報活用、能力構築の推進、最後に、政策的協力のさらなる推進という5つのトピックについて開催しております。共同議長制を取っていまして、基本は連続して新しい議長と前の議長が組んでいるということで開催していまして、今年度、2025年はカナダがG7の議長国ですので、カナダのほうが今チェアを取って、さらに次期G7の議長国であるフランスが副議長ということで進めております。
文科省の役割ですけど、日本のナショナルフォーカルポイントとして務めていまして、JAMSTECさんのほうから非常に大きな協力をいただいて、共同して対応しているということです。あと、連携している部分ですけど、全球海洋観測システム、いわゆるGOOSとの連携ですね。ガバナンスのメカニズムですが、G7全部でやっているというのはあるんですけど、EUも中のG7のプロセスに入ってくれていて、実際、事務局的機能とか、そういったことをEUのほうにやっていただいています。FSOIのほうでも、オーシャンコングレスのほうでサイドイベントを予定しておりまして、こちらのほうJAMSTECのほうからベヘラさんに出ていただいて、DTOのところですね、デジタルツインのところのタウンホールミーティングを開始させるということで開催しています。ちょっと構造、細かいですけど、何個かサイエンスのワーキンググループがあって、その中の1個が海洋の未来のワーキンググループというということで、科学技術大臣会合の下にぶら下がっているという、そういった構造を取っております。
次のスライド、お願いします。JpGUのセッションということで、ちょっと頭出しはしましたけど、5月25日に国連海洋科学の10年、タイトルですが、「SDG目標14の推進に向けた今後の展望」ということで、今、セッション、発表者の方が決まって準備を進めているところです。コンビーナは、JAMSTECの斎藤さんと原田さんと気象研の藤井さんと、文科省のほうから堀井のほうで対応させていただきます。プログラムはここに書いているとおり、今日もいろいろ話しているような内容が多く含まれて、文科省としてもこういったセッション、いろんな機会を通じてアウトリーチを積極的にお知らせしていこうということで考えております。中川課長がパネリスト候補者ということで今進めているところです。
最後のスライド、お願いします。これ、文科省のほうでサポートして進めている事業ですけど、これもUN Ocean Decadeのプログラムとして登録して進めている海洋生物ビッグデータ活用技術高度化のプログラムです。何個か事業、海洋ビッグデータに関係するデータが入っています。応用技術の開発であるとか、あとEVSを用いた海洋粒子ビッグデータ生成であるとか、あと、バイオロギングとか、3つの活動を含めて、いわゆる長期間にわたるんですけど、複合的なプロジェクトを組み合わせたプログラム的なアプローチでビッグデータの利用技術の高度化を図ろうということで、これもUN Decadeのプログラムとして進めていく。文科省としてもサポートして進めていくというところです。
Ocean Decade国内委員会の全体の我が国の取組ということで紹介させていただきました。以上です。ありがとうございました。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。ただいまの説明について御質問などございましたら。いかがでしょうか。
【河野(健)委員】 いいですか。
【日野分科会長】 河野委員。
【河野(健)委員】 JAMSTECの河野ですけど、JpGUの会合、実は文部科学省の方がこういった場に直接出てきてというのは非常にまれなケースで、ぜひ中川さんには海洋科学の10年を推進する立場である文部科学省から、どういう形で皆さんの背中を押すかというような視点でコメントをいただけると参加者は喜ぶのだろうなと思いますので、よろしくお願いします。
【榎本委員】 よろしいですか。
【日野分科会長】 どうぞ、榎本委員。
【榎本委員】 今のJpGU、大変すばらしいと思いまして、これ、初日は20日、日曜日なので一般の人が入れるところで、高校生のセッションとかもあって、たくさんの高校生がやってきます。いいタイミングでこれ、行われるんじゃないかなと期待します。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいですかね。
【中川海洋地球課長】 すみません、私、ここで失礼させていただきますので、いろいろ御意見ありがとうございました。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。課長が今退室されました。本件、よろしゅうございますでしょうか。よろしければ、次の議題に進ませていただきたいと思います。次は「コアレポジトリに関する報告」ということで、また海洋地球課より説明をいただきます。
【事務局】 様々なところで、特にJAMSTECだったり極地研究所を中心に、コアだったり隕石だったりというのはしっかり保管していただいているところなんですけれども、それについて軽く御紹介させていただきたいと思います。
まず、JAMSTECのほうでは、高知コア研究所という高知大学と協力しているところで、ちょうど今年度からIODP-cubedという新しいプロジェクトが始まるかと思うんですけれども、そういった歴代の国際プログラムの中で採取されたコア試料だとか、ほかにもあるとは思うんですけれども、そういったコアについて保管しているところでございます。国立極地研究所のほうでは、アイスコア研究センターと、そちらでマイナス50度だったりマイナス30度だったりというところで、非常によい環境でドームふじで取ったアイスコアを保管しているということでした。隕石のほうなんですけれども、極域科学資源センターというところで、資料にも記載しているんですけれども、常に温度20度、湿度50%以下というところで、隕石だったり、そういった試料の風化を防いでいるという状況です。
次の資料に行っていただきまして、こちらは今回、JAMSTECと極地研究所のほうに協力していただきましてまとめた資料でございます。標本数と利用数、あと論文数については米印がついていると思うんですけれども、こちらについてはまとめ方がそれぞれ統計の取り方があったので、後ろの参考の資料のほうにまとめております。こういったところで様々な国から活用されていまして、論文もしっかり成果が出ているということが今回の調査で確認されました。
次のページに行きまして、今ちょうどホットトピックかと思いますけれども、先日開会しました関西万博において日本館で火星の石を展示しております。こちらは国立極地研究所のほうから御提供いただいたものでして、大きさはラグビーボール程度のもので、日本館の中に火星の石に実際に触れることができるコーナーも用意しているとのことです。こういったところで、南極は非常に隕石を見つけやすいというところだったり、あとは、私も聞いた話で恐縮なんですけれども、決まったところに隕石が集まるといった構造があったりして、南極では非常に隕石を採取しやすいということで、南極観測隊が隕石を取ってきてくださるというのは非常に意義のあることだと考えております。こういったように、標本は研究のみならず、アウトリーチや次世代の育成だとか、そういったことにも幅広く活用されていると言えると考えております。
こういったところから、報告は以上なんですけれども、委員の皆様方におかれましては、コメント、質問等、あとは今後こういったレポジトリをどういうふうに活用していくべきかといったようなコメントがあれば、お聞きしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【日野分科会長】 どうもありがとうございます。それでは、今度はコアレポジトリに関する報告についての議論をしたいと思いますが、御意見を頂戴したいと思います。何かございますでしょうか。じゃあ、河野委員。
【河野(健)委員】 JAMSTECの話ばかりで恐縮なんですけれども、日本国中の博物館、それからこういったサンプルを保有・保存している機関、全て共通の悩みだと思うんですが、放っておくとサンプルは無限に増えていきます。それで、そのようなサンプルをどのように維持管理していくかについては、スポンサー側であります政府と、それから研究機関みんなが真剣に考えていただかないと、今、極地研が保有しています、JAMSTECが保有しています、何とかなるでしょうというのは必ずいつか破綻すると思います。
コアで言いますと、なるべく取られたコアを使うように、今新たに、いろいろ言い方はあるんですけど、バーチャルコアリングというような、実際に掘りに行くんじゃなくて、ここのサンプル、こういうところでこういう研究をしたいというと、そこに一番近い適切なサンプルが分かるようになっているので、掘りに行くんじゃなくて、保管してあるサンプルから試料を採取して研究するというようなことも進めています。なので、ぜひ維持していくべきかと思うんですけれども、そのためには結構大きな声で皆さんがこういうサンプルを確保していかなきゃいけないんだという声が必要だと思いますし、サンプルを保存している側では、使われるようなプロモーションをしていかなければいけないということだと思います。この委員会の出口がどこだかちょっとよく分かっていませんけれども、何らかの提言みたいなことをまとめるのであれば、そういったことにも言及するといいかなと思います。科博でドネーションを求めたらすごくありましたよね。国民の皆さんがこういうことを応援してくれると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
【日野分科会長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。じゃあ、川辺さん。
【川辺分科会長代理】 よろしいですか。ありがとうございます。資料を拝見して、例えば3ページに、各拠点に保管されている標本と活用状況が一覧にされているのですが、この標本数が多いのか、あるいは、この利用数は適切なのか、何をもって判断すればよいのかがよく分からないのです。何か指針となるものを教えていただけると助かります。今回でなくとも、今後そういう標本をどう管理・活用していくのかを考えていく上で、指針となることを教えていただけるとありがたいと思いました。
【河野(健)委員】 JAMSTECの河野です。コアサンプルについてお答えします。標本数25万8,000というのは、過去、国際共同研究として掘削研究が始まって以来のサンプルの3分の1です、大体。世界に3か所あるコア保管庫のうちの3分の1を確保しているという、大体そんな感じで思っていただければいいと思います。利用数の180件というのは、我々も比較の対象をどうすればいいか分からないんですけれども、自覚としては決して多くないと思っていて、そのためにバーチャルコアリング的なことを推進しようというのは、我々だけじゃなくて、IODPのコミュニティーでも今議論されているところです。ということなので、その申請に対してトップ10%論文、1年間でこれだけというのは悪くない数字だと思いますが、過去に遡って調べたらどうなるのかちょっとよく分かりません。人員は、自称ですが非常に苦労して頑張っています。
【川辺分科会長代理】 ありがとうございます。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょう。榎本委員。
【榎本委員】 極地研究所の榎本ですけれども、それぞれ独自のいろんな方向を向いたセンターで、持っている関心も、使い方とか、あと採取方法というのも皆さん、それぞれ特殊性があって、最初、南極の隕石、4ページ目かな、火星の石ということで紹介していただきまして、万博が開幕しましたけれども、「何を見に来ましたか」「火星の石を見に来ました」という人が、そういう声も出ていて、保存している側にとっては大変好ましいところです。南極隕石という名前がついていますけれども、南極の研究用の隕石ではなくて、宇宙空間を観測するため、その舞台として南極が使われているといったところで、宇宙に開かれた窓とえます。各活動は、時間を遡るとか、気候という大気の中で起きたこと、海の中で起きたことを遡る。あと、宇宙で起きていること、そういった空間を調べるとか、それぞれが特色あるといえます。南極の隕石も日本がこれずっと、数で言いますと1位を持っていたんですけれども、今アメリカに抜かれて2位なんですが、数としては大変大きな数字なんですけれども、微小な粒から、このサンプルにあるような、こんなのはめったにないんですけれども、火星の石みたいなものもありまして、そういったものを、まず保管は大切なところで維持してきているところです。幸い、温度条件とかあまり厳しくないので、アイスコアほど低温に保つとかそういうことはないんですけれども、資料にあるようにサンプルを出していると。保存数としては、世界でほぼ1位に近い2位なので、海外からも関心を持たれています。
アイスコアのほうは、標本数というふうに、これはカウントの仕方によるんですけれども、3,000メートルのアイスコアを何本掘っているかということと、それを切り分けてサンプルを作っていく中でこの数が変わってきてしまいます。あと、掘っている場所は1か所でして、ドームFというところで得られたコアの情報が中心になっています。現在、これからまさに次のアイスコアが取れてくる。今年も数百メートル分、掘るところまではしましたけれども、持って帰ってきて保存して利用するという、そこの流れ作業というところが課題になっているところです。
あと、これは日本のドームふじのアイスコアですが、ほかに南極大陸のほかの地域で取られているアイスコア、あとグリーンランドで取られているアイスコアとかも、それぞれプロジェクト、あるいは国ごとに少しずつ持っていまして、そういったところは特徴がちょっと違っているところがありますが、ぜひこれ、日本の持っている資産というか、科学的なデータの基になるコアなので、極地研としては多分、どんどん活用していきたいといったところで、今回も利用状況をサーベイということでいろいろと調べさせていただいたところです。
【日野分科会長】 ありがとうございます。JAMSTECと極地研の所属の委員からそれぞれ補足をいただきまして、ありがとうございます。
いかがでしょうか、ほかに。藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】 ありがとうございます。水産研究・教育機構の藤井です。私も標本のリストというか、どれくらいあるかという活用状況、非常に興味深く見せていただいたんですけれど、JAMSTECの標本というのは、国際共同研究で得られたサンプルというふうにお聞きしたと思ったんですけど、これは世界中から集まったサンプルがここで、全体の3分の1とおっしゃいましたかね、一定の分がここで保管されているという、そういうことでよろしかったでしょうか。
【河野(健)委員】 JAMSTECの河野です。お答えします。IODPというのが国際共同研究の枠組みですので、エリアを決めて、西太平洋域でしたかね、のコアは全部JAMSTECの高知コアセンターで保管するというような取決めになっています。なので、おっしゃるとおりです。そのほかに、我が国で取った別プロジェクトのサンプルも保管しております。
【藤井委員】 ありがとうございます。では、我が国のEEZに限らず、西太平洋という広い範囲のコアということですね。
【河野(健)委員】 はい。西太平洋、インド洋だったと記憶していますが、ちょっと定かではありません。すみません。
【日野分科会長】 西太平洋からインド洋。
【河野(健)委員】 ですよね。西太平洋からインド洋だそうです。
【藤井委員】 西太平洋からインド洋にかけて。分かりました。その説明をお聞きすると、海外からの申請であったり、利用数というのかな、が3分の2ぐらいを占めているという理由も何となく納得できた気がします。もっと国内の申請や利用があってもいいんじゃないかなとも思うんですけれど、その辺りどうでしょう、日本の研究者はあまり興味がないとか、あるいはこの値打ちがまだ十分周知されていないとか、理由を思いつかれるところがあれば教えていただきたいんですけど。
【河野(健)委員】 JAMSTECの河野です。理由がこれだという決め手があるわけではないのですが、まずはとにかくそういう研究スタイルがあるということを国内も国際的にもきちんと認知してもらおうということで、例えばIODP-cubedの中でも新たな枠組みをつくって、そういった既存試料を使うというのも国際掘削プロジェクトの中の一つのテーマとなり得るんだというようなキャンペーンをしています。日本では高知大学の先生が中心となってこういったバーチャルコアリングというのを提唱していて、学会等で宣伝しているので、まずは第一歩としてそういう動きをしているということでございます。
【藤井委員】 ありがとうございます。せっかく貴重なサンプルですので、たくさん有効に活用いただけることを期待したいと思います。ありがとうございました。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかにありますか。
【事務局】 よろしければ少しだけ。海洋地球課でございます。今回、御報告させていただいた理由といたしましては、まさに藤井委員や川辺委員からもございましたとおり、やはりコアについてまだ知られていないところがあると思いまして、このたびこのような形でまとめさせていただいているところでございます。一様にJAMSTECと極地研のものを単純比較できるものではないとは認識しつつ、特に海洋地球課として近しい組織であるJAMSTECと極地研において非常に貴重なコアを保管されているということですので、今回このような形で御報告させていただきました。河野委員から御発言のあった提言というところまでは今のところ我々としては考えておりません。研究は貴重な観測データや研究データや物質があってこそだと思いますので、このような機会を通じて、我々としても今回御報告させていただいた次第でございます。
以上でございます。
【日野分科会長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
ちょっと日野から発言させていただきたいんですけれども、博物館は非常に重要なミッションであるにもかかわらず地味なところがあって、先ほど河野委員からあったように、科博は大変困っていて、でも、募金を募ると結構集まってくる。そういう意味では、潜在的応援団がたくさんいるんですね。その点で考えたときに、このコアレポジトリで所蔵されているコアの魅力というのがどれぐらい一般の人たちに伝わっているんだろう。要するに、地球の歴史であったりとか、太陽系の成り立ちであったりとか、そういうことを知る上で非常に重要。サイエンスとしては間違いなく一級のサイエンスなんですけど、それが一般の人に分かる魅力として伝わってくればまた新たな、だから、生き物のサンプル、標本はみんな見てすごいと分かるわけです。それと同時に、氷のコアってこんなに意味があるって分かってくれるというのはすごく大事だと思うんです。そういうキャンペーンをしっかりやっていただくというのは、文部科学省の側で考えていただければいいのかなと思いました。
【小野寺海洋地球課企画官】 極地研を担当しております企画官の小野寺です。今のアドバイスありがとうございます。また、再来年、南極観測70周年ということもありますので、それに向けていろいろな紹介とか、機運の醸成ですとか、理解の増進も図っていきたいと思いますし、今アドバイスいただいたような試料のこういった魅力などについても発信していきたいと思っています。ありがとうございます。
【日野分科会長】 ほかによろしいでしょうか。
もう一つ議題がございまして、議題の7に進ませていただきたいと思います。議題7「その他」ですけれども、資料が2つございます。資料7、8、それぞれについて、また事務局のほうから御説明をいただきます。よろしくお願いします。
【小西海洋地球課企画官】 資料の7から説明させていただきます。今、国連公海等生物多様性条約、いわゆるBBNJ協定というのが条約締結に向けて、国内の締結に向けて今整備中ということで紹介させていただきます。
正式名称ですけど、海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定、ちょっと長いんですけど、略してBBNJ協定とか、国連公海等生物多様性条約と言われています。
背景ですけど、人間の活動及びその他の影響、例えば気候変動であるとか、海洋の酸性化とか、海洋汚染とか、あと持続可能でない利用とか広がっていくというところがあります。陸地圏とか領域に関しては生物多様性条約、1992年に締結された条約があるんですけど、公海上は主権が及ばない範囲で扱いとか議論も難しかったということで、今まで条約がありませんでした。それが2004年ぐらいから議論が活発になりまして、2023年6月に合意がなされたというところです。合意がなされてすぐ実施されるわけではないんですけど、今そういう状況です。
内容的なことをお伝えしますと、公海の生物多様性の持続可能な利用とか保全に関して大きく4つほど内容が決まっておりまして、日本の国内の省庁、いろいろ関係するんですけど、文科省で関係するのは、1番目の海洋遺伝資源の採取・利用の通報、利用の配分というところが文科省が主に、特に海洋の関係では関係しているところです。
もう一つ決まっているのが、海域を特定した措置の設定。いわゆる海洋保護区域ですね。海洋公園とかそういったところを公海上にも設定しようとする動きがあります。
3つ目は、公海・海洋底での環境影響評価、いわゆる環境アセスですね。それをしていこうというところであります。
4つ目は一般的に全部に関わってくるんですけど、主に途上国を対象とした能力開発・技術移転、こういった公海上での活動に関して途上国等を支援していこうというところで動いています。ここの右の図が具体的にもう少し分かりやすく示しているところです。繰り返しになりますけど、領域のところ、EEZも含めて生物多様性条約が見ていると。今回の条約は、公海と海洋底、そこの部分を新たにカバーするというふうになったということです。
意義として当然、生物多様性の利用・保全というのもありますけど、国、例えば外務省とかそういったところ、ほかの省庁が主になりますルールづくりに積極的に早めに妥結して、海洋の利権とかの維持・確保を図っていこうというところです。実際、国内のどうやって条約が締結するかということですけど、締結国が60か国に達して、そこから120日後に発効するということです。今現在、約21か国が締結の処理を終えたということです。日本はそれに向けて今動いていますし、特にJAMSTECさんとか御協力、いろいろ相談しながら、まだ実際はどう動けるかというのは決まっていないんですけど、条約、こういったことが締結されましたということですね。これからそれに対して準備していこうということで、相談しながら進めているところです。
以上です。もし何かありましたら、お願いします。
【日野分科会長】 分けて?
【事務局】 御報告なので続けていただく形良いかと。
【日野分科会長】 続けますか。じゃあ、資料8のほう。
【小野寺海洋地球課企画官】 そうしましたら、資料8の北極域研究強化プロジェクト、通称、ArCS3についてごく簡単に状況を御説明させていただきます。すみません、紹介が遅れましたけれども、私、この4月から極域科学担当になりました小野寺と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですけれども、資料8の1枚目にありますとおり、本予算7億円で、事業概要は中ほどに記載しておりますとおり、これまでのプロジェクトで整備された観測拠点、北極域研究船、観測衛星及びデータアーカイブシステム(ADS)等の研究基盤を駆使して、地球温暖化の影響が最も顕著かつこれまで観測されたことがない環境変動が現れている北極域について、先端的な技術も積極的に活用した観測研究をさらに戦略的かつ強力的に推進するものということで、この北極域の研究プロジェクトのこれが4代目になります。
本分科会におきまして、昨年8月に事前評価を行っていただいて以来、昨年度中に公募から審査を行いまして、その次のページにありますとおり、極地研を代表機関、JAMSTECと北大を副代表機関、東大の羽角先生をPDとする取組が採択され、この4月からスタートしております。全体のプロジェクトの推進体制は御覧いただいているとおりでありまして、PDを委員長、SPDを委員とする運営会議が全体を統括して、戦略目標等、活躍する課題、代表者と直接つながることで目標達成に関与するとともに、分野横断研究を活性化して推進していくものでございます。また、助言アドバイザリーな機関、評価機関を2つ置きまして、客観的にプロジェクトを見ていただくことになっております。この全体の立てつけは、ArCS2の経験を踏まえてこういうふうな立てつけになったものと理解しております。先ほど議題の資料3で御確認いただきましたとおり、今年度の秋以降に、昨年度までやっておりましたArCS2の事後評価を最終的にはこの分科会で御審議いただくこととしておりますので、また、その御指摘も踏まえてこの3を実施していく予定でおりますので、どうぞよろしくお願いします。
【日野分科会長】 どうもありがとうございました。2件、ちょっと違う話題ですけど、まとめてその他ということで御報告いただきましたが、御質問とかございますでしょうか。いかがでしょうか。前川委員。
【前川委員】 笹川平和財団、前川でございます。時間も限られていますので、ごく手短に。BBNJ協定について御説明ありがとうございました。今国会にこの法案が条約について上程されたというのは喜ばしいことだと思います。御説明にもありましたように、今後のルールづくりに日本として積極的、能動的、建設的に関わっていくということをぜひお願いしたいと思います。BBNJ条約、大きな枠のところは決まったんですけれども、詳細については交渉フェーズがまだ終わっていないというふうに受け取っております。今後の詳細を詰めていく中でぜひ能動的な関与というところをお願いしたいのと、あと、御指摘にもありましたように、政府の中での実施体制の辺りも、ぜひ丁寧に検討いただければと思います。
【小西海洋地球課企画官】 ありがとうございました。また御指導よろしくお願いします。
【河野(健)委員】 すごく短いコメントを。
【日野分科会長】 どうぞ。
【河野(健)委員】 JAMSTECの河野ですけど、BBNJは、実は関係者が国内に物すごく多いです。水研センターの方も、漁業は対象にならないと思いますけど、研究されている方が多いので、これまで議論してくる中でも、多くの人たちを含めた議論をしてきたという経緯がありますので、なるべく広い人たちの意見を聞いて、最も簡単かつ適切なシステムをつくるように、ぜひよろしくお願いします。
【日野分科会長】 ありがとうございます。その他ございますでしょうか。
私からやっぱりBBNJのところで、ちょっと外したことを申し上げますけれども、ルールづくりのところなんですけれども、それが発効するとそのルールがちゃんと守れているんですかという検証が必要になってくると思うんです。そのときには、ここにあるように深海底、それもオープンオーシャンの本当に誰も住んでいないようなところの環境モニタリングが必要になってくると思うんですけれども、そういうのってある種、技術開発であるとか、そういうものをちゃんと行う仕組みというものに今度は投資していかなきゃいけないということになるのかしらという気がするんですけど、その辺はどうなんでしょう。
【小西海洋地球課企画官】 自分もちょっとそこは詳しいわけではないんですけど、基本、通常の水域での環境アセスは国内でもやっていますので、基本、それを援用してアセスをやっていくのかなと思っています。ちなみに、その研究活動に関しては、すごく土地を改変とか水質を悪化させる活動ではないですので、ここの環境アセスからは基本は外れているという理解です。一方で、研究開発に使う技術がほかの活動の環境アセスに使える可能性がありますので、引き続き海洋研究を推進しながら、どのような活動が航海に活用可能なのかというのを見極めていく必要があるのかなとは思っています。引き続き見ていきたいと思っています。
【日野分科会長】 例えば、海底ケーブル敷設とかというのはすごい勢いで広がっていっています。そういうものって多分、いずれは環境に大きな影響を与えるだろうと。例えばプラスチックが出てくるとか。そういう意味では、本当に離れた、それこそケーブルしか走っていないような海でも、ちゃんとアセスメントができる、モニタリングができるというのはいずれ必要になってくるのではないかなと、ちょっと伺いながら想像したんですが。
【小西海洋地球課企画官】 ちょっと細かくなっちゃうんですけど、海洋底、いろんな条項が入っていて、漁業がさっき外れていたように、海洋ケーブルとかも実は外れた、軍事関係も外れています。一方で、影響は影響があると思いますので、ニュートラルに見ながら、条約の扱いとはまたちょっと別になるかもしれませんけど、見ていく必要があろうかなと思っています。
【日野分科会長】 やっぱり地球科学をやっている人間としては、ルールはルールだけど、ちゃんと地球を見ないとねというところがあるので、ちょっと気になりました。
【小西海洋地球課企画官】 ありがとうございます。
【日野分科会長】 ほかにいかがでしょうか。もしよろしければ、議題7「その他」まで終わりました。全体を通して、もし何か今ここでございましたら御意見頂戴したいと思いますが。よろしいでしょうか。
よろしければ、不手際で10分ほど押してしまいましたけれども、以上をもちまして今日の議事は終わりということで、事務局に進行をお返ししたいと思います。
【事務局】 本日は長時間にわたり、ありがとうございました。また、時間が超過してしまい、こちらの不手際で大変申し訳ございませんでした。議事録につきましては、事務局にて案を作成し、後日、委員の皆様にメールにて確認させていただきます。
次回以降の開催日程につきましては、6月13日金曜日、15時から17時、8月1日金曜日、13時から15時を予定しております。
以上でございます。
【日野分科会長】 これをもちまして、第73回海洋開発分科会を終了します。
本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

―― 了 ――


 

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