海洋開発分科会(第69回) 議事録

1.日時

令和5年3月28日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 分科会長の選任及び分科会長代理の指名について(非公開)
  2. 海洋開発分科会の議事運営について
  3. 令和4年度の海洋開発分科会における評価について
  4. 第12期海洋開発分科会における検討の主な論点について
  5. その他

4.出席者

委員

藤井輝夫分科会長、日野分科会長代理、榎本委員、川合委員、河野健委員、河野真理子委員、川辺委員、阪口委員、中川委員、兵藤委員、廣川委員、藤井徹生委員、前川委員、松本委員、吉田委員

文部科学省

千原研究開発局長、原大臣官房審議官、山之内海洋地球課長、吉野極域科学企画官、伊藤海洋地球課課長補佐、川﨑海洋地球課課長補佐、細野海洋地球課課長補佐 ほか

5.議事録

【事務局】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会第69回海洋開発分科会を開催いたします。本日は年度末の御多忙のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 今回は第12期初めての海洋開発分科会でございますので、最初の議題で分科会長を互選にてお決めいただきますが、それまでの間は事務局にて議事を進めさせていただきたいと思います。
 まず、今期の分科会の最初の会議の開催に当たり、事務局を代表いたしまして、担当局長の千原より御挨拶をさせていただきたいと思います。千原局長、よろしくお願いいたします。
【千原研究開発局長】  おはようございます。研究開発局長の千原でございます。本日は大変お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。第12期科学技術・学術審議会海洋開発分科会の開催に当たりまして、事務局を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 委員の先生方におかれましては、日頃より海洋科学技術の研究開発に御支援、御指導賜り、誠にありがとうございます。第11期の分科会では、政府が本年5月頃の策定を目指しております第4期海洋基本計画に向けた提言をまとめるなど、精力的に御議論をいただきました。提言はパブリックコメントに付した現行の海洋基本計画の案にも広く反映されていると考えております。
 また、本年は日本がG7の議長国の年でございまして、5月にはG7科学技術大臣会合が仙台で開催される予定となっております。いただきました分科会の提言も踏まえ、極域や深海等のデータ空白域を含む全球観測の維持、強化を図ること。全球観測とモデリングを組み合わせて、海洋のデジタルツインの構築を図ることなどにつきまして、G7科学技術大臣会合の成果文書にもしっかりとつなげ、フォローアップしてまいりたいと考えております。
 このように、第11期につきましては、海洋基本計画の策定に向けて、幅広い視野に立ち、海洋科学技術の施策全体に必要な事項の御議論をいただきましたけれども、第12期はより具体的かつ焦点化した議論ができる時期となっております。
 前回の議論におきましても、産学官のリソースを効率的・効果的に活用して、海洋科学技術を育てるエコシステムの構築や我が国の海洋科学技術の強みの明確化をはじめ、今後の海洋科学技術の推進に向けて、非常に多くの御意見、御指摘をいただいたところでございます。文部科学省といたしましても、産業界や大学、研究機関等における各種の活動と共同歩調で研究開発を進めていくことが重要と考えております。
 本日は第12期初回の議論になりますので、集中して議論ができる機会に長期的な視野に立って、取り組むべき具体的な事項について御示唆、御議論をいただければと思っております。本日も委員の先生方の忌憚のない御議論をお願い申し上げまして、冒頭、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  千原局長、ありがとうございました。
 それでは、第12期の海洋開発分科会委員に御就任された方々の御紹介を申し上げます。資料1-1に第12期海洋開発分科会の名簿がございます。本日はオンラインですので、投影をさせていただきます。こちらが海洋開発分科会委員の名簿になっております。当方でお名前を読み上げさせていただければと思います。
 まず、委員として、日野亮太委員、こちらの新任の委員でございます。藤井輝夫委員。
 続きまして、臨時委員として、榎本浩之委員。川合美千代委員。河野健委員、新任でございます。河野真理子委員。川辺みどり委員。後藤浩一委員。阪口秀委員。中川八穂子委員。兵藤晋委員。兵藤委員も新任でございます。廣川満哉委員。藤井徹生委員。前川美湖委員。松本さゆり委員、新任でございます。見延庄士郎委員。吉田泰三委員。新任です。以上、17名の委員の先生方に御就任いただいております。
 本日は、阪口先生が少し遅れて参加されますけども、17名中15名の委員にご参加いただくこととなっております。よろしくお願いいたします。
 それでは、今期から新たに5名の方に委員として御就任いただいておりますので、ここで御所属と一言御挨拶をお願いできればと思います。私のほうで振らせていただきますので、御挨拶のほうよろしくお願いいたします。
 では、まず日野委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【日野委員】  東北大学の日野と申します。皆さん、おはようございます。初任ということで、皆さん、初めまして。よろしくお願いいたします。私は固体地球物理学を専攻としております。中でも海底での地震地殻変動観測の研究をずっと進めてまいりました。この部会からもたくさん勉強させていただくことがあると思います。よろしくお願いいたします。
【事務局】  日野委員、ありがとうございました。
 続きまして、河野健委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【河野(健)委員】  海洋研究開発機構の河野と申します。海洋研究開発機構に所属している期間が長かったものですから、この委員会には実は何度か参加したことがございます。私、専門は海洋学で、長く実際に船に乗って海に出て観測をするという活動を続けてきて、いわゆる深層循環の研究をしておりました。そういう意味では、主に観測のことについては多少貢献ができるのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございました。
 続きまして、兵藤委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【兵藤委員】  おはようございます。兵藤と申します。東京大学の大気海洋研究所、現在は副所長ですけれども、今週末から所長になるということで、この会に臨時委員として参加させていただくことになりました。専門は海洋生物の生理学、体の中のメカニズムを中心に、分子から集団までということでやっております。あと、最近は環境DNA研究も所を挙げてやっているということで、そういったことで貢献できればというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
 続きまして、松本委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【松本委員】  おはようございます。港湾空港技術研究所の松本と申します。港湾空港技術研究所は国土交通省のお膝元で、主に港湾・空港の関係の設計、建設、それに関わる技術のことをやっているんですけれど、私は主に水中音響のほうをやっておりまして、その昔は水中の音波伝搬等々もやっていたんですが、最近は港湾工事に使える道具を音響的にサポートするということで、水中の可視化とか測量とか測位とか、そういったことを主に研究しております。この会、本当初めてで分からないことをたくさんあります。皆さんに御迷惑をおかけしないように頑張って参加していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございます。
 それでは、新任の先生の最後になります。吉田委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【吉田委員】  吉田泰三と申します。MTIという日本郵船の船会社の研究機関に所属しております。よろしくお願いします。今、主にやっている研究というのは、例えば、船を無人で動かすというような研究であるとか、あとは、CO2を排出しない新しい燃料を使った船の開発なんかも行っております。また、そのような技術を開発するために、実機を用いないで、要するにシミュレーションでそれを模擬しようというような研究も行っていまして、我々非常に海洋にお世話になっていますので、ぜひこの場を借りていろいろ知見も深めていければなというふうにも思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、事務局の出席者の紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほど御挨拶をさせていただきました研究開発局長の千原、及び大臣官房審議官の原、そして、海洋地球課から海洋地球課長の山之内、極域科学企画官の吉野のほか、海洋地球課の関係者が出席しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、阪口委員が入られて、全員で本日15名の委員が出席しておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。配付資料、昨日、既に先生方にはお送りさせていただきましたが、オンラインですので、画面のほうにも投影させていただきたいと思います。
 まず、本日の議題ですけれども、大きく分けて(1)から(5)まで五つほど議題を用意しております。資料は、先ほど投影した名簿の資料の1-1から資料4-3まで用意させていただいております。また、参考資料として1から8まで議題に沿って用意させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。もし不明点等ございましたら、事務局のほうまでお知らせいただければと思います。
 それでは早速、本日の議事に入りたいと思います。こちら議題1になりますが、分科会長の選出及び分科会長代理の指名をお願いしたいと思います。
 
議題(1) 分科会長の選任及び分科会長代理の指名について(非公開)
分科会長の選任及び分科会長代理の指名が海洋開発分科会運営規則第3条に従い非公開で行われた。科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定に基づき、委員の互選により藤井輝夫委員が分科会長に選任され、また同令第5条第5項の規定に基づき、日野亮太委員が分科会長代理に指名された。
 
【藤井(輝)分科会長】  では、改めまして、第12期科学技術・学術審議会海洋開発分科会の分科会長を務めさせていただきます。
 当期の冒頭ということで、一言御挨拶申し上げたいと思います。前期の海洋開発分科会では今後のことを見据えて様々な議論をしていただきました。海洋基本計画は現在、第4期のパブコメの段階に入っていますが、海洋の分野は、私たちが直面している様々な世界的課題、具体的には気候変動の問題から生物多様性、最近で言いますとフードシステム、食糧危機、エネルギー危機、ウクライナ情勢の影響によるものと思われる資源の関係、海ごみといったことまで含めて、海洋の領域での様々な技術、あるいはアクティビティそのものがハイライトされるようになってきていると理解をしています。
 それから、海洋分野でデジタルツインのお話が局長からもありましたが、デジタルテクノロジーの積極的な活用や、海洋基本計画でもハイライトされているAUVに関して言えばAIの技術、いわゆるロボティクス技術一般、ハイライトされていない分野では材料技術やバッテリーの技術、コミュニケーションの技術についても、海洋開発を支える技術として極めて重要です。海洋の分野に閉じて何かを考えたり議論したりということをせずに、むしろ広がりを持って、あるいは従来海洋の分野と言われてこなかったテクノロジーも積極的に取り入れていかなければ、本当に求められているレベルの海洋の分野での技術開発が進めていけないのではないかという問題意識をずっと持ち続けて、ここで議論させていただいてきております。今回も非常に多彩なバックグラウンドの皆さんにお集まりいただいていますので、ぜひ、そのあたりも念頭に今後の議論を進めさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ここから会議を公開にするというステップに移ります。一般傍聴者の入室をここから許可したいと思いますが、よろしいでしょうか。では、そのようにお願いします。
(傍聴入室)
【藤井(輝)分科会長】  それでは、議題の2に参りたいと思います。海洋開発分科会の議事運営についてということで、事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料2-1、2-2につきまして説明させていただきたいと思います。
 資料2-1、科学技術・学術審議会海洋開発分科会運用規則(案)につきまして、御覧ください。今回、一部改正をしたいと考えております。
 具体的には、こちら資料の第7条について、前回の第11期の際、ウェブ開催に関する規定を整備したところでございますが、会議この2年間運用して、今回改めて見直してみますと、非公開審議を行った際に委員だけしかウェブ会議システムを使えないという規定になっております。例えば、情報提供者などのウェブ参加が認められなくなってしまうため、新たにその部分を分科会長、また委員会においては主査が認めた者というのを追加して、その部分を改定したいと考えております。その部分以外の修正はございません。
 また、資料2-2につきましては、科学技術・学術審議会海洋開発分科会の公開の手続についてというものになっておりますが、こちら内容については従前どおりで変更ございませんが、運営規則が変わりますので、改めて審議対象になります。こちらも審議をしていただければと思います。
 事務局からの説明は以上となります。
【藤井(輝)分科会長】  御説明ありがとうございます。ただいまの御説明について、委員の皆さんから御質問等ございますでしょうか。
 それでは、この案をもって当分科会としての決定とさせていただければと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に入ります。議題3は、令和4年度の海洋開発分科会における評価についてです。こちらは北極域研究加速プロジェクト、ArCSⅡですが、これについて、別途設けられている推進委員会の座長をしていらっしゃる池島先生から中間評価の御説明いただいた後、先生方に御審議をいただきたいと思います。
 中間評価(案)は第67回の海洋開発分科会で決定したいわゆる「評価の実施について」に沿って作成いただいているところです。参考資料3につけておりますので、これを御覧いただければと思います。
 それからもう1点、追加です。榎本委員と河野健委員については、参考資料3の4.の利益相反事由に該当しますので、評価には直接関わらないということでお願いしたいと思います。
 そのほか、この利益相反事由に該当する委員はいらっしゃらないと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、榎本委員、河野委員においては、評価の審議には参画しないということですが、池島先生からの御依頼に応じて、質疑応答の際に事実関係などについて御発言いただくことについては問題ありませんので、そのような形で御対応いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、池島先生から御説明をいただければと思います。では、よろしくお願いいたします。
【池島委員長】  おはようございます。北極域研究推進プロジェクト推進委員会委員長の池島でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、委員会において取りまとめました北極域研究加速プロジェクト、ArCSⅡの中間評価結果(案)につきまして、御説明を申し上げます。資料の3-1を御覧ください。
 まず、1ページ目のところになります。ArCSⅡの概要について簡潔に御説明申し上げたいと思います。本事業では、赤枠で囲った真ん中のところ、見えますところの真ん中の四つありますが、四つの戦略目標というのがあります。先進的な観測、予測の高度化、社会への影響評価、そして、社会実装の試行・法政策的対応、これら四つを設定しておりまして、研究基盤である国際観測拠点、研究船、観測衛星及びデータアーカイブシステムを駆使して、課題解決に向けた取組が実施されているところであります。
 また、これに加えまして、そのページの下のほうになります。二つ赤い枠で囲ってありますが、二つの重点課題というのがございます。一つが人材育成と研究力強化、そしてもう一つが戦略的情報発信でありまして、前者は若手研究者の派遣や招聘に係るものでありまして、後者は研究成果や北極環境に関する情報の統合的発信などを目的として行われるものでございます。これらが実施されているところです。
 2ページ目をお願いします、続きまして、ArCSⅡの運営体制となります。ここに書いてありますとおり、代表機関として国立極地研究所が中心にあります。その次に、副代表機関として海洋研究開発機構、いわゆるJAMSTEC、そして北海道大学、これらが3者として、三つの機関が共同運営体制を取っております。
 あと、細かいところは省かせていただきますが、後ほど説明の中で縷々触れるところがあると思います。このような形で行われている、運営体制が取られているということであります。
 では、3ページ目になります。お願いします。我々の委員会では、実施機関から提出されました自己点検評価書を基にしまして、アウトカム指標、アウトプット指標の状況確認を含めまして、事業全体の進捗状況を確認しました。そして、必要性・有効性及び効率性につきまして、評価を実施したところであります。
 評価結果の説明の前に、まず、ArCSⅡにおける研究成果、そして活動実績につきまして、幾つか御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、御覧のスライドにありますところに、それの左側、丸1 としまして、20世紀前半の北極温暖化と中頃の寒冷化の要因解明、これがあります。この中では、北極の温暖化は、太陽活動、火山活動などの自然由来の外部因子と、数十年規模の内部変動が同程度の大きさで寄与していることとか、北極の寒冷化は、同時期の人間活動によるエアロゾルの増大と数十年規模の内部変動が複合的に影響していたことを気候モデル解析から定量的に解明しております。これによりまして、北極域での気候変動のメカニズムの解明につながることや、北極温暖化の将来予測の信頼性向上に貢献することが期待されるところであります。
 次に、右側のページになりますが、丸2 、北極寒気の動態を定量的に評価する寒冷渦指標の開発であります。これは北極寒気を指標として、寒冷渦の中心位置や強度、影響半径に関して客観的に指標化した寒冷渦指標の開発に成功しております。この指標に基づきまして、極端現象発現時の分布特性や強度の特性などの評価・検証作業を進め、極端現象発現指標の導入準備を推進しているところであります。
 これによりまして、日本に災害をもたらす豪雨、豪雪、突風といった極端現象発現予測のリードタイムの向上を期待するものとなります。
 次に4ページ目をお願いします。三つ目の御紹介です。ページの左側にございます丸3 、安価なドローンで高精度気象観測を実現という点であります。この事例は科学的成果であるとともに、社会実装に向けた試行、ここに産業界への貢献の1例として考えられます。安価で取扱いが容易な汎用ドローンに気象センサーを取り付けまして、ラジオゾンデ観測と同等の精度で大気境界層の気象データが取得可能であることを実証しております。
 ドローンを用いた気象観測事業を行っている企業にこうしたデータその他を提供することで、極端な気象現象の高精度予測への貢献を期待することができると思われます。
 また、特に社会実装につきまして少々述べさせていいただきますが、プロジェクト内でもこの点はよく議論されました。その方向性につきましては、行政や企業などによって社会に継続的に展開利用される状況とか、また、国内外の政策決定などの根拠として活用される状況、こういったものが考えられております。
 ドローンの例に加えまして、特に国際的な議論へ貢献した事例も紹介させていただきたいと思います。ちょっと飛びますが、7ページのスライドをお願いいたします。7ページの左側下にアウトカム指標というところで三つポツがございます。その一番下となりますが、そこのところのアウトカム指標全般になりますが、特に気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの報告書の作成に当たりまして、本プロジェクトの成果が引用されるとともに、著者や査読者として貢献がされております。
 また、北極評議会、アークティック・カウンシル、ACの作業部会において本プロジェクトの研究者が参加し、報告書の作成にも貢献しております。社会実装の試行としましてはこのような取組が行われていますが、さらなる取組が期待されているところであります。
 すいません、先ほどのまた4ページ目に戻ります。残りの4のところを簡単に、時間の都合で、さっと走りますが、丸4 、四つ目の例です。国際法制度に関する課題横断研究ということで、分野横断的な研究とブリーフィングペーパーシリーズを発行しているという例をそこに挙げて、これらが社会還元の一環だというふうに考えられております。
 次に5ページ目をお願いいたします、ここでは海洋地球船「みらい」による北極航海というものにつきまして、2020年度の航海、2021年度の航海が例としてそこに図示されております。この中で国際的にも大きく貢献したということが考えられます。
 以上のように、多くの研究成果が創出されているというところであります。
 6ページ目をお願いいたします。中間評価結果(案)の概要につきまして、次に説明を申し上げます。まず、ArCSⅡの開始前に行われた事前評価におきまして、今、スライドの真ん中の青い囲みが三つございます。青い囲みの記載がございますように、必要性、有効性そして効率性、この三つの観点につきまして、全て高く評価されているというふうに考えております。これらを踏まえて、本事業が開始されたというところを前提として押さえておきたいと思います。
 それで、中間評価結果に係る記載につきましては、資料3-2の評価結果(案)から抜き出して、以下概要として整理させていただきたいと思います。そこに下半分の黄色いところ、全体枠組みかかっている、そこにまとめられております。
 まず、進捗状況として四つポイントありますが、目標達成に向けて、おおむね計画どおりの実績成果を上げているという点が第1点。二つ目に、十分に考慮された組織と計画を構築し、進捗に結びつけている。第3に、新型コロナウイルス感染症や国際情勢の影響による計画の変更は避けがたい中で、適切な代替措置を講じて行われているということは評価に値すると思います。そして四つ目、コロナ禍におきましても、「みらい」観測船よりSASを継続し、SASというのはシノプティック・アークティック・サーベイ、北極点付近を含む北極海国際観測プロジェクトですけども、これを継続し、観測データを提供したということは、国際的にも貢献したと高く評価されるところであります。
 以上が進捗状況、四つのポイントです。
 次に、必要性という点につきまして、真ん中の左端になりますが、ここで2点申し上げます。北極域における温暖化の状況変化の把握、将来予測は必要不可欠でありまして、世界の特に環境問題解決に重要な意味を持つことは明らかだと認められます。また、もろもろの成果も得られておりまして、国費により実施する必要性というものが認められると考えられます。以上、必要性、2点のポイントです。
 有効性についても2点、そこにありますように、長期間の観測研究によってメカニズムが解明されてきておりまして、さらなる継続によって、より新しい知の創出、そして先住民社会が受け入れ可能な対策に資するといった点が有効性のポイントとして挙げられると思います。
 二つ目、社会実装といたしましては、産業界との連携・対話を通じた課題把握ということと、解決に向けた学問分野間の連携を具体的なものにすることが重要であるというふうに考えられておりまして、その意味で有効であるというふうに考えられます。
 最後、右端の効率性のところですが、国際助言委員会の助言等を踏まえて改善する取組ということがなされてきておりまして、この点は重要な取組だなと我々も評価しております。
 効率性の二つ目。柔軟に計画を見直しながら予算を配分するなどして、効率的・効果的に運営されているということが認められます。
 以上のところから、スライドの一番下になりますが、評価結果といたしまして、以上から、各観点について一定の評価に値し、事業を継続する方向性は妥当であるというふうに我々は評価した次第であります。
 続きまして、7ページ目お願いします。それで、今後の事業を推進する上での留意事項というのがありますので、ちょっとこの場をお借りして、3点ポイントをそこに挙げさせていただきました。事業の継続ということにつきましては妥当であると我々も判断しましたが、留意事項としまして三つ付されております。
 中でも、とりわけ人材育成という点で、その効果を把握するためには育成した人材のフォローアップが必要であるということが特に留意されております。先ほど紹介した社会実装の例、ドローンの例とか、会議に参加して貢献している、こういった社会実装についてさらなる取組が今後期待されているということが、この研究プロジェクトのテーマの大きな柱となっております。そういうところで考えますと、事業実施者につきましては残りの2年間、これらの点を特に踏まえて事業に取り組んでいただき、さらに進展させていっていただきたいというふうに我々は考えているところであります。
 評価結果については以上ですが、事前評価の際に設定されましたアウトカム指標、アウトプット指標についても、ページの下の部分、そこに二つ、細かい字で恐縮なんですが、記載しておりますので、後で御覧いただければと存じます。
 最後に8ページ目ですが、これは北極域研究推進プロジェクト推進委員会の委員名簿及び評価プロセスについて載せてあります。参考まで記載させていただきましたので、御確認いただければと思います。
 説明は以上となります。どうもありがとうございました。
【藤井(輝)分科会長】  池島先生、ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の先生方から御質問等ございますでしょうか。
 私から1点お伺いしたいのですが、極端現象発現予測について、資料3でリードタイム向上と記載されている点について、リードタイムが延びるのか、縮むのか、どういうことを意味するのか、具体的に御説明いただけますでしょうか。
【池島委員長】  分かりました。この点につきましてはちょっと専門的な話になりますし、事実の誤解があるといけませんので、すいませんが、そちらの委員であります榎本先生、河野先生、お二人に事実関係のことをお伝えいただければと思います。恐縮です。
【藤井(輝)分科会長】  では、榎本委員か、河野委員。
【榎本委員】  榎本のほうで御説明させていただきます。活動実績ということで3枚ほどまとめさせていただきましたけれども、今見えています左側のほうは、戦略目標の2番の予測可能性の向上といったところにかかっていまして、シミュレーションの精度ですとか早期予測といったところに注目をしているものです。あと、社会につなぐために、それをどういった情報に翻訳して渡すかというところも出てきたところです。
 北極圏における情報が、その流れの下流域でありますユーラシア大陸、あとアジアにどうやってつながってくるかというところで、なるべく早めに予測できたほうがいいといったところで、早期予報、あと、何日後にその予報が精度が崩れてしまうかということも実はこのプロジェクトの中で見ていまして、そういったリードタイムというのは早めに正確にどれだけ早く予測が……。
【藤井(輝)分科会長】  早めにということですね。
【榎本委員】  そうです。
【藤井(輝)分科会長】  単に言葉遣いの問題かもしれませんが、表現がもうちょっと分かりやすくなるのであればご検討いただきたいと思います。
【榎本委員】  なるほど。リードタイムの何ですかね。
【池島委員長】  もしそういう解読、解析の時間が短縮化して効率化したという意味であれば、そちらの方向での書き換えというのを御指摘いただいた点で考えられればと思います。事実関係ありがとうございました。
【藤井(輝)分科会長】  それでは、河野真理子委員、お願いします。
【河野(真)委員】  ありがとうございます。池島委員長、御説明ありがとうございました。
 私は理科系ではないので、こういう質問していいのかどうか分かりかねるのですが、発言させていただきます。技術や科学系の先生に伺いたいと思います。3.の1枚目の資料で、活動実績のほとんどは気候観測・気象観測のほうに重点が置かれているという印象を受けました。同じように、その次の3.ポツの丸2 のドローンの観測というのも、どちらかというと気象・気候の観測に関する記述であると理解できます。ところがところが、最後の4.の概要の丸2 のアウトプット指標の右側の一番下の国際的な枠組みへの日本人研究者の参画状況というところの一番下には生態系の分野が記載されています。このプロジェクトは、気象・気候の観測だけでなく、生態系の分析等までも視野に入れておられるのか、どうなのかを伺いたいです。また、このアウトプットの最後の部分の生態系に関する研究分野と気象・気候の観測がどのように関わるのかを教えていただければと思います。
【池島委員長】  河野先生、ありがとうございます。まず、総論的な話として、委員長として私のほうから御説明申し上げまして、事実関係の専門的な見地は後ほど先ほどの榎本先生か河野先生からサポートをお願いすることになると思います。私も、先生御存じのように、社会科学系の国際法ですので、この点については必ずしも全部の専門ではございません。本件観測等を我々が評価するに当たりまして、検討してきた点の大きな四つの点を実績として上げさせていただきました。
 特に今回、コロナと、それから国際情勢、ロシアを含む国際情勢によって影響を受けた部分と受けなかった部分を加味して挙げさせていただいたものが、確かに温暖化の地球観測、気象観測、そういったものになったこともあるかと思います。
 先生おっしゃった最後の生態系の分野のワーキンググループ等というところは、むしろ評価、我々が見た点は社会実装に近い部分です。そういう国際的な会議、またはそういう議論する分野の会議に参加して、そこで参画して貢献すると発言して、また、いろんなルールづくり、また、その土台、情報交換、そういうところに参画している、情報をシェアし、知識その他を交換するというような点において、今まで以上に貢献しているという点が社会実装の一例なんです。
 これは4のところに、特に国際法制度に関する課題横断研究、これ横断研究だけじゃなくて、そういう国際的な会議にルールづくりに参加するという点があったものですから、それの部分としてそこに書かせていただいたという形になります。
 以上、私のほうから総論的な話として申し上げさせていただきました。
 事実関係として、榎本先生、また河野先生のほうから、今の御質問の件について補足等ありましたら、榎本先生、または河野先生、よろしくお願いします。
【榎本委員】  私、榎本のほうからまず全体の概要を説明しまして、もし足りないところがありましたら、特に海関係のところは河野さんにお願いできたらと思います。
 このプロジェクトは多様な活動を行っていまして、1枚目のところに戦略目標丸1 、丸2 、丸3 、丸4 というふうにあるんですけれども、この一番元になるのが観測でして、この中に全部で11の研究課題があるんですけれども、その中の四つがここに入っていまして、大気、海洋、雪氷、あと陸域、陸域の中には生物圏も入っています。あと海洋の中にも海の生物が入っております。そういったものを全部背景として影響してくるものとして、気象・気候というものがあります。
 2番目のところで、これ右側につながっていく、あるいはそれぞれでも活動できているものなんですけども、予測ということで、将来どうなるのか、あるいは観測のない地域はどうなるのか、そういったものが丸2 のところでやっています。
 社会への影響評価というところで、これで実際の人が住んでいる地域にどんな影響が及んでくるかということが出てきまして、生物を通り越して、さらに人間社会への影響、災害ですとか、あと漁業活動、そういったところもここの中に出てきます。
 さらに、それに対してルール形成が必要な場合、あるいは国連ですとかBBNJですとか、あと北極評議会は生物活動にかなり取り組んでいますので、そこでの発言、情報提供が必要なところは丸4 のところでつながってくるということで、これ連携プレーになっております。
 今回の報告の中では気象・気候が目立っているかもしれないんですけれども、先ほどのドローンなどもこの社会への影響評価の中の活動でやっていまして、しっかり情報を実用的なものにしないと、災害対策あるいは防災、あと、氷河から流れ出してくる水の状況が、融解水の状況が沿岸の海洋生態系、漁業活動、あと、さらにそこに住む住人の生活や健康に影響してくるといったところにかかってくるので、一番最初のデータ情報のところの取得としてドローンを挙げさせていただきましたけども、そこで得られたデータは生物、あと生活につながってくるものです。
 そういった取組の中で非常に多様なので、ここに掲げてあります情報としては一部しか出ていないんですけども、そういったつながりがありまして、生物への活動もきちんと含んだ活動になっております。
 北極評議会は現在活動が止まってしまっていますけれども、汚染物質、海洋監視、あと植物動物相、あと、海洋環境保護といったところの活動に、このプロジェクトでの成果をもって専門家を送り込んで、そこでの発言、あとルール形成、あと国連での対話にも専門家を送り込んでいるということができておりますので、そういったことを御理解いただければと思います。
【河野(健)委員】  つけ加えることは特にないんですけど、海洋生態系についてもきちんとサブ課題というのが設定されていて、観測と数値シミュレーションの両面から、研究を実施していますが、時間の関係で今回は説明を割愛させていただきました。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。
【河野(真)委員】  ありがとうございました。
【藤井(輝)分科会長】  それでは、兵藤委員、お願いします。時間も迫っているので、短めにお願いします。
【兵藤委員】  分かりました。よろしくお願いします。
 二つあるんですけれども、一つは、多分私が理解不足だと思いますが、7ページの有効性の一つ目のところに先住民社会が受入れ可能な対策というのがあるんですけれども、具体的にこれはどういうことを示しているのかなというのがよく分からなかったという点が一つと、あと、人材育成ということを今後の留意事項として強調されていたということで、例えば、アウトプット指標なんかは、研究参画者数というのは約220名ということで挙げられていますけども、こういったところに新たに若手の研究支援ですとか、人材育成の支援に関する指標を加えられたら、もう少し分かりやすく見えるんじゃないかなというふうに思った点、二つ目はコメントです。
 以上二つ、よろしくお願いします。
【藤井(輝)分科会長】  では、こちらも池島先生からまずはお願いします。
【池島委員長】  ありがとうございます。私が総論的な話をして、補足はまた別途ということでして、先住民族の関係ですが、実はこれ、社会科学的な面での理系分野の横断ということで、極域地域周辺、また北極圏周辺に住んでいる先住民族、少数民族というのがあります。それが一つのコミュニティーを形成して活動している。それを研究されている専門家もいらっしゃるんです。それは人類学とか社会学、そういう分野からの話だということです。
 そこのコミュニティーが、温暖化だとか、それから地域の開発、北極圏の開発によってどのような影響を受けるのか。それが、我々の住んでいるような普通のこういうところと違って、北極のような極寒の地域において、そういうところにおいてどんな影響を受けるおそれがあるか、それがないようにするには、じゃ、どうしたらいいかということを現地と話をしたり、いろいろして取り組んでいて、そこに何らかのアドバイスをしたり、ともに意見交換して、よりよい持続可能な開発につながるような対策をしていくという取組をされているということです。それが我々の評価につながっているという点でもあります。
 以上、榎本先生、何かあれば、また河野先生でも結構ですけれども、今の点で事実関係。
【榎本委員】  しっかり正確にお伝えいただきまして、ありがとうございます。結構です。
【藤井(輝)分科会長】  若手、人材育成のほうはいかがでしょうか。
【池島委員長】  そうですね。若手は、それは留意事項のところへ書きました。特にその点で不足ないように、今後、特に何らかの対策をより多く打っていかないと、理系人材、特に北極圏や北極に関する、いろんな雪氷学だとか、そういう環境をはじめとした専門家を継続的に養成していく上で、日本に今後とも頑張ってもらわなきゃいけないということで留意して、指摘していたところであります。
【藤井(輝)分科会長】  榎本委員からはご説明ありますでしょうか。
【榎本委員】  人材育成、大変重要でして、北極の科学大臣会合でも今の二つのポイント、先住民というお話と人材育成というところは指摘され、指摘というか、国際的にも重要であるということで日本から発信されたところなんですけれども、人材育成、このプロジェクトが始まって今3年たったところなので、そこで育った人というのはまだまだ将来の様子を見ていかないといけないということで、気にしているところです。
 前のプロジェクト、ArCSですとか、その前のGRENEプロジェクトから育ってきた人たちの様子は、現在活躍している人たちを少し見たりできていますので、そういったところをもう少ししっかり見ておきたいと思います。ありがとうございました。
【藤井(輝)分科会長】  では、阪口委員、お願いします。
【阪口委員】  笹川平和財団の阪口です。三つあったんですが、時間ないんで一つだけ聞きます。
 評価(案)に国際的に貢献、国際社会への貢献、という単語が幾つかありますが、自分たちが何か国際的な会議に参加したとか国際的なプロジェクトでデータを出したというだけでは、貢献したかどうかということは実は分からなくて、相手側からのエビデンスや指標があってこそ、本当に我が国が行っている国のプロジェクトは非常に国際的に貢献していると言えるのだと考えます。これはArCSⅡに限らず、我が国の科学技術が国際的なプレゼンスを失いつつあると、一般論として言われていますが、それに反して、仲間うちではなく、特に国際社会への貢献ということが非常に大事な目標というか、目的だと思いますが、それをどういう方法で測っているのかということ、もしかしたら中間評価の本体のほうに書かれているのかもしれませんが、このArCSⅡではその評価を行うに当たりどのような指標で貢献がなされたかということ判断されているのか、短く教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【池島委員長】  ありがとうございます。そこの点、我々も同じように懸念というか、危惧しております。そこで具体的に貢献という場合、全て申し上げたところはかなり要約した形で貢献と書いてありますが、評価としまして考えたのは、人材を派遣して、そこで、例えば先ほど挙げたIPCCの報告書に何らかの記述に関わった、具体的にその指標が載った、または、その会議に特に限定してワーキンググループに参加し、そこで発言して、日本側の提案の方向性に沿った形での何らかのアウトカム、ルールやガイドラインや勧告その他、それに近いものができつつある。または、そういう土台を作ったという点を評価していると考えます。
 したがって、単に会議に参加したとか、または会議で発表したといったものは、別にそれを高くというふうには捉えていません。したがって、貢献といったところでは、何らかの結果に結びついているという意味でいうと、そのような報告書への記述、そういうものがもちろん増えればいいし、日本の思うとおりに、まさに国益につながる形での記述や記載、そして日本に行く行くは裨益するような形になればいいんですけども、全てがそうならないので、そういうところについてさらに我々もハッパをかけて、努力していただきたいというふうに書いたところが中間評価(案)の中になっております。よろしくお願いします。
【阪口委員】  ありがとうございます。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。大体これで御意見、御質問が出揃ったかと思います。大変幅広く活発なインプットをいただきました。中間評価の案そのものについての修正意見というよりは、様々な御質問、御意見だったと思います。今日の議論や御指摘いただいた点は、私のほうで預からせていただき、必要な修正等があれば、座長の池島先生とも御相談の上、修正を加えさせていただきたいと思います。現状案はほぼこのままでよろしいと思いますが、以後の修正は分科会長一任とし、必要な修正あれば少し整えることにさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。それでは、池島先生とも御相談させていただき、最終案にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【池島委員長】  すいません。お世話になりました。ありがとうございました。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題の4に移りたいと思います。第12期海洋開発分科会における検討の主な論点についてということで、今日は第12期の初回ですので、第11期での主な審議内容の振り返りをした上で、今後のこの分科会における検討の方向性について御議論いただきたいと思います。まず、事務局から御説明をお願いいたします。
【山之内海洋地球課長】  海洋地球課長の山之内でございます。私のほうから、資料4-1、今、投影されているものについて御説明させていただければと思います。
 まず冒頭、上のほうに海洋基本計画とありますけど、今年5月に策定される予定でございます。そのため、昨年8月に、新しい海洋基本計画に文科省としての施策を盛り込むために、分科会でも議論させていただき、提言をまとめたところでございます。今回は海洋基本計画への提言ではなくて、もう少し長期的な視点で海洋の科学技術をどうしていくべきかだとか、そういったことを議論していただければと思い、事務局にて議論の材料になる論点をまとめてございます。
 タイトルに更新とありますけど、前回、委員の皆様からいただいた意見を基に、下線部分を追記しております。
 では、まず、論点例、1.でございます。前回、藤井分科会長と阪口委員の意見を基にして、海洋科学技術エコシステムの構築についてというのを加えております。丸1 では、人材・知識・資金のリソースが効果的に循環する海洋科学技術エコシステムを構築するにはどのような戦略が必要かだとか、丸2 、丸3 では、日本が進んでいるところ、あるいは遅れているところ、国際的にやるべきところなどに対して効果的に投資するためには何が必要かということを書いてございます。丸4 では、エコシステムの構築には将来のイノベーションとなる基礎研究も重要ということで、その推進にはどのような環境・投資が必要かということを書かせていただいております。
 2.将来的な海洋調査観測システムの在り方についてでございますが、これは前回に引き続きでございますが、丸1 では、日本が国際情勢を踏まえつつ保持しておくべき深海探査能力は何か。JAMSTECを含む我が国の深海探査システムについて、今後どのように構成・整備していくべきかと書いてございます。
 次のページ、丸2 でございます。丸2 では、海洋観測システムの重要な手段の一つでございますAUVの産業利用の促進だとか製造、国内関連産業の発展に向けて、基盤技術、特に工業用ロボットなど他分野と共通する技術があると思いますが、その共通化だとか高度化、標準化をどのように進めていくべきかということを書いてございます。
 丸3 では、廣川委員からの御意見もございましたとおり、海洋空間計画の策定において重要となります海洋観測データの共有化だとか統合・解析・モニタリング、こういったものをどのように進めるべきかということを書いてございます。
 丸4 では、谷委員のほうからですが、MDAの強化に向けて、こういったデータ分析力を有する人材をどのように育成していくか。
 丸5 では、榎本委員からコロナ、ウクライナ情勢といった、情勢を踏まえて、長期的・継続的なデータ取得が重要となる海洋調査観測では、社会における突発的事象に対してどのような対応や備えが考えられるかということを書いてございます。
 最後、3.でございます。近年の動向や我が国への期待等を踏まえ、特に議論すべき研究開発課題では、丸1 では、見延委員からの御意見から、気候変動問題に関わる様々な海洋環境の変化、海面上昇など、こういったものに関して将来予測と適応策の検討を産学官でどのように進めていくべきか。
 丸2 につきましては、社会経済活動による海洋生態系への影響について、産学官で得た知見というのをどのように統合して、より包括的な理解へと進展させるか。
 丸3 では、カーボンニュートラル達成に向けて、海洋開発、洋上風力発電だとかCCSなどございますが、これに係る研究をどのように進めていくべきか。また、海洋研究や生態系へ重大な影響を及ぼさないよう、産業界等も導入しやすい影響評価手法等をどのように確立するか。下線が引いてあるところは、特に水産資源への影響ということで、水産研の藤井委員からの御意見で追記しているところでございます。
 こういった議論の元となるか参考となるデータなどについては、川﨑補佐のほうから説明させていただきます。
【事務局】  それでは、本議題の議論に向けまして、参考資料を2点ほど紹介させていただきたいと思います。
 1点目は、エコシステムの構築を議論するに当たり、現状の各セクターの研究開発投資のデータを総務省の統計調査から整理させていただきましたので、その内容を、参考資料4について説明いたします。
 もう1点は、分科会長及び、今、課長からも御説明させていただきました海洋基本計画の現状の概要についてです。今、資料4-1にありましたとおり、2050年のカーボンニュートラル達成など、少し長期的なスパンで何をしていくべきかという議論をしていただければとは思いますけれども、第4期海洋基本計画の期間となる2027年まで国が何をしていくかというところを少し紹介させていただきまして、長期的な検討する前段として議論のきっかけとしていただければと思います。
 では、紹介させていただきます。時間ないので、ちょっと駆け足で紹介をさせていただこうと思います。
 まず、科学技術研究調査の経年変化ということでデータをまとめています。総務省の統計法に基づく調査としまして、我が国の企業、非営利団体、公的機関、大学等について、研究活動の実態を把握するために行っている調査でございます。対象は企業、非営利団体、公的機関、大学とそれぞれ分けて、研究投資であったり、研究関係従事者であったり、調査をしているデータになっております。
 全体の研究投資データを見てみると、ほぼ増減があるのは企業部門です。大学であったり、公的機関であったりは、ほぼ横ばいという現状になっております。これは全分野の研究費になっております。
 また、次のスライドですが、総務省は、特定重点分野として8分野に分けて、研究費推移を出しています。大きく分けて三つのグループに分けて、研究費というのが増減していることが見えます。ライフとか情報のような2兆から3億円規模の予算、環境、エネルギー、物質・材料等の1兆円規模のデータ、数千億円規模でいえば宇宙開発、ナノテク、海洋開発というような形で、全体投資のバランスができていることが読めます。
 2-1から2-2、2-3というのは、企業、大学、研究機関とそれぞれ分けたグラフですが、資料にはポイント書いていますので、ここでは割愛させていただこうと思います。
 それぞれの分野ごとの研究費の割合を資料2-4としてこの15年間の研究費を平均した割合を整理していますが、海洋分野が他と比較して分かるのは企業からの投資がほかの分野に比べて少ないという事実が見えてくるかと思います。
 最後は海洋分野について、少し詳細に見てみますと、公的機関の投資が海洋分野は多いですが、企業部門の詳細を見てみると、企業の中でも製造業が研究開発投資が多くなっているという実態が読めるかと思います。以上が総務省の統計データからまとめたデータになります。
 なお、あくまで公表されているデータを今回集計してグラフ化しているだけなので、例えば公的機関の中でJAMSTECさんがどれぐらい、JOGMECさんがどれくらいとか、そういった細かい詳細データは今持ち合わせておりませんので、あくまで議論の御参考として捉えていただければと思います。
 続いて、参考資料5のほうを説明させていただこうと思います。こちらは現在パブリックコメントが実施されている海洋基本計画になります。海洋基本計画そもそもについては先生方御承知のところだと思いますので割愛します。第4期計画について、まず、ポイントになりますけれども、資料の真ん中にある海洋政策上の喫緊の課題として四つポイントが挙げられておりますが、それを四つに対応する基本的な大きな柱として、二つ柱が立てられております。
 1個は総合的な海洋の安全保障、もう1個は持続可能な海洋の構築となります。総合的な海洋の安全保障は第3期、前回の海洋基本計画から立てられた柱でございますけれども、今回、国連海洋科学の10年、我々も分科会でも強く言ってきた国連海洋科学の10年等を踏まえて、新たに持続可能な海洋の構築が大きな柱として位置づけられております。
 また、主な主要施策としては、これまでのものに加え、海洋におけるDXの推進であったりとか、先ほど分科会長が言われたデジタルにも関与する、DXの推進、あと感染症対策など、この5年間の経験を踏まえた施策がそれぞれ立っているところでございます。
 具体的な中身のほうに入っていきますけれども、第1部として2枚目、3枚目にございます。それぞれ総合的な海洋の安全保障の基本的な方針と持続可能な海洋の構築の基本的な方針として、内閣府でまとめている資料を簡単に説明させていただきますけれども、文科省に特に関係する部分に絞って説明させていただきますと、まず、総合的な海洋の安全保障について、左側、海域で発生する自然災害の防災・減災が新たに項目として盛り込まれております。これまでも防災・減災の内容はあったのですが、その重要性、近年の激甚化する災害等を踏まえて、新たな項目として、項目特出しで重要性が謳われております。この中には、ゆっくり滑り、スロースリップの観測に向けた観測網の強化などが盛り込まれてございます。
 また、右側の(2)ですけれども、今回、経済安全保障に資する取組の推進が第3期に比べて非常に大きく盛り込まれておりまして、その中でも海洋科学技術の振興として、AUVの話が盛り込まれております。経済安全保障は第3期計画の時から文言自体はあったんですけども、その重要技術をしっかり育てるという視点で、第4期では海洋科学技術の振興が新たに強く明記されているというところでございます。
 さらに、持続可能な海洋の構築について、洋上風力発電含めてカーボンニュートラル達成に向けた様々な施策がありますが、文科省の主に関連するところとして、取組の根拠となる知見の充実・活用が該当します。北極・南極を含めた全球観測の実施であったりとか、あと、海洋生態系の理解に関する研究開発など、第3期のときにも、個々に記載はございましたが、第4期では大きく柱としてこれをやっていくんだというところが強く盛り込まれているというところでございます。南極も初めて1部の基本的方針に盛り込まれているところでございます。
 さらに、分科会でも、2050年、カーボンニュートラル達成に向けたネガティブエミッション技術の研究開発の重要性を提言してきましたが、革新的技術の研究開発という形でしっかりと内容が盛り込まれているところでございます。
 加えて、先ほどお話した主要施策の中にもいろいろ項目が盛り込まれておりまして、例えば、(1)の海洋産業利用の促進の中ではAUVの技術開発から社会実装に至るまでの戦略的なビジョンの策定、内閣府を中心にビジョンを策定しながら研究開発を進めるであったりとか、(2)の科学的知見の充実は、文科省の施策いろいろ盛り込まれておりますけども、分科会で常に言ってきた市民参加型研究の推進というのも強く盛り込んでいただいているところでございます。
 また、海洋におけるDXの推進については、冒頭、千原局長のほうから、また分科会長のほうからもお話しいただいた海洋のデジタルツインの話とかもこの辺りに盛り込んでいただいたりですとか、あとは、北極域研究船の着実な建造であったりとか、海洋におけるイノベーションを担う人材の育成であるとか、主要施策として、新たにいろいろ記載いただいているところでございます。
 最後のスライドは第2部の目次です、海洋本部参与会議の基本的方針を踏まえて各省が施策をいろいろまとめるものになりますけど、これは細かいので、ここでの詳細は割愛させていただきます。
 具体的な内容は参考資料6のほうに本文を付けています。パブリックコメント現在かかっている案になりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 最後に、本議題とは直接関係ないのですが、先ほど課長の山之内から御紹介させていただいた海洋開発分科会の提言、前回8月にまとめていただいた内容ですけれども、前回の海洋開発分科会において、内閣府の海洋本部参与会議でも御紹介させていただいたというお話させていただきましたが、しっかりと現行の海洋基本計画の中に盛り込まれています、この場を借りて、お礼を言わせていただきます。ありがとうございました。
 駆け足になりましたが、事務局からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。それでは、ここから30分強、御議論をいただければと思います。今日は15名ご出席と聞いています。皆さんに御発言いただきたいと思いますので、およそ2分程度とお考えいただいて、論点とすべき項目について、今挙がっているようなものでよいか、あるいは追加で加えるべきものは何か、重要なものは何かといったことについて、自由に御議論をいただければと思います。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。
 皆さんお考えの間に私から一言だけ申しますと、先ほどの科学技術の予算のデータについて、これは8分野あるのですが、宇宙を除くと、情報通信、ライフ、材料、環境、全て海洋に関わっています。そのため、これらの分野における研究開発投資がどの程度海洋の分野に寄与しているかを見ていくという観点もいいと思います。逆に、海洋の分野がもっとほかの分野からの参入を促していくことをやる必要があるのではないかとも思います。
 また、これは前期の海洋開発分科会からずっと議論している点ですが、気候変動や、いわゆる今のネイチャーポジティブの議論、ゼロエミッションとの関係等を考えても、海だけを変えればいいということではなくて、むしろ社会全体を変えるということが海の状態をよくしていくことにつながるという発想もあり、そのためには市民皆さんとの問題意識の共有というのは非常に重要であるので、市民参加型のアクティビティというのは大事だろうという観点で議論をしてきました。ネイチャーポジティブの議論というのは今、国際的にも非常に重要になってきているので、海の分野でも考えていけるといいと思いました。
 皆さんがお考えの間に少しお話をさせていただきましたが、どなたからでも結構ですので、いかがでしょうか。では、榎本委員からお願いします。
【榎本委員】  多分、詳細に入って専門的なことが議論されるかと思いますので、ごく概要のところで、今お話がありました新しい海洋科学技術といったところで、私、前回の期のときにもコロナとかロシアでといったところが、突発的な状態のときにどう臨機応変に対応できるかというところと関わるんですけれども、自動測器網、あと、そのデータの流れと、あと衛星観測というのがすごく役に立ったんです。現場に行かなくても網羅できるといったところで、これが常に整備されているか、そういったことが起きてから、足りないとかいうふうにならないように適切に維持されているかということは見張っておくべきかと思いました。あって当たり前みたいに考えていますけども、実は抜けがあったりしているといったところがあります。
 もう1点だけ。市民参加型というふうなところがありまして、これがこれから日本の社会の中でもさらに浸透していく、啓蒙活動とか浸透が必要だと思うんですけれども、北極の話題になってしまいますけれども、やはり現地に行けない、あるいは広域を研究者がカバーできなくなったときに現地からのサポートが入ってきます。日本人が来れないんだったら、現地の人たちが取っているデータを提供する。それは、実はコロナが始まる前に、北海道の漁民、沿岸の人たちとグリーンランドの沿岸の人たちが、氷に面した海での問題提起あるいは観測の実際をワークショップやっていて、コミュニケーションあったんですね。
 そういったところが契機になりまして、現地の市民活動がこちらに情報をくれるということもありました。いろんな場面で実は市民の協力といったところ、市民が観測網を持っている、あるいはふだんから関心を持っている、データも提供してくれることがある。通報ですけれども、そういったところが実は今回、この最近の2年間で学んだところでした。そういったものもぜひ、書かれていることなんですけど、背景にあるということを御理解いただければと思います。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。データ観測網を常に整備をしておくということ、整備を怠らないということ。
【榎本委員】  そうです。いろんなロバストなチャネルを全部オープンにして。
【藤井(輝)分科会長】  それから、現地とのコミュニティレベルでのつながりということでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、続きまして中川委員、お願いします。
【中川委員】  ありがとうございます。中川です。今、最後の藤井先生のほうから、社会の全体をよくするということが、海洋の環境ですとか、あるいは生態系含めてよくしていくというところにつながるというところのメッセージ、これをアピールすべきではないかなというふうに思います。
 そういう観点で、課題として入っているのかな、どっか書いてあるのかもしれないんですけれども、思ったのが循環型社会ですね。もちろんCO2というのを循環させるわけですけれども、海洋ですとプラスチックですとか、そういった材料系含めて、いろんな汚染物質も含めて、海洋というのはキャパが大きいので、なかなか社会に影響を及ぼすまでに時間がかかる。サイクルが長いんですけれども、基礎研究のところでそれを見える化し、それを抑止、悪い方向に行くのを抑止するためには、プラネタリーバウンダリーという意味で、どういう活動をしていくのかというようなところを、海洋の専門家の観点、あるいは、こういった衛星も含めたということになると思うんですけれども、観測データからモデルを構築して提言していくといったようなところの動きはもうちょっとあってもいいのかなと。CO2に割にフォーカスされているかなと思ったので、どこか書いてあるんですかね。ということで、循環型社会への貢献みたいなところをもうちょっとアピールしてもいいのかなというふうに思いました。
 以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。今のご意見は資料4-1の3.の丸2 の辺りに関係しますでしょうか。気候変動に限らず、もう少し社会全体の経済活動なども含めた形で、いわゆる循環型社会というものをどう実現していくかということについて、海洋の立場からの視点というのを入れたらどうかというサゼスチョンと理解しました。
【中川委員】  沿岸だけではなくてですね。
【藤井(輝)分科会長】  沿岸だけではないです。
【中川委員】  そういうことです。ありがとうございます。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。それでは、阪口委員、お願いいたします。
【阪口委員】  笹川平和財団海洋政策研究所は、第4期海洋基本計画に向けたアンケート調査を行いました。6,000名ほどのアンケート回答結果のうち、驚くべきことに、海洋基本計画の中身について知っているかどうかという答えは、たかだか数%でした。
 海洋基本計画そのものが全く浸透していないという結論に至り、これは別の場面で文書にて提出する予定ですが、市民参加型以前に、海洋に関係している各セクターのおよそ6,000名の方々でさえ、海洋基本計画の中身についてはほとんど認識も理解もなく、認識が数%、理解となると1%以下だったと思います。
 危機的状況であるということが判明しましたので、今後、市民参加型で市民側から海洋への認知度を上げるということも非常に重要ですが、主要産業その他を含めて、海洋に対する認識向上に対する抜本的な対策をまずやらなければいけないと思います。
 もう1点が、海洋科学技術エコシステム、これすごく大事です。昨今、JAMSTECはどんどん船を減らしていって、以前と比べて非常に数少なく、その他機関も2隻を1隻にして、マルチパーパスにしたりとかということをやられていますけども、まずは各機関でという考え方を捨てて、日本全体でフリートのアロケーション、シップタイムのシェアリング、それから日本という枠も超えて、アジアでシップタイムシェアリング、フリートのアロケーションというものをやっていかないとと思います。当然、衛星での観測等々、ドローン等々の利用もありますが、船舶の数を自ら減らしていって、自分の骨と肉を食いながら、自分の体力がなくなってきましたと嘆いている、この状況を打破するための工夫というものも必要です。やはりリソースの循環というものを重要視し、そろそろヨーロッパでもやっているようなこと、ユーロフリート(Eurofleets+)等の仕組みを、アジアフリートをやるとかということを実現していかないと、痩せ細っていく一方でありますので、ぜひそこの部分の仕組みづくりというのをしっかりやっていくべきだと思います。以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。そもそも基本計画の認知度を高める必要があるということだと思います。フリートの件も非常に重要な御指摘だと思います。
 それでは、続きまして、河野真理子委員、お願いします。
【河野(真)委員】  ありがとうございます。先ほど藤井分科会長がおっしゃった点についてです。、海洋開発は参考資料に記載されている様々な分野と関わるということをおっしゃったと思いますが、今後の海洋開発という言葉が何を意味するかということも検討する必要があるかもしれません。例えば、私が関わっております船舶の関係ですと、ゼロエミッションとの関係で、水素燃料やアンモニア燃料といった新たな燃料が検討されています。これはエネルギー資源と関わりますし、かつ、物質や材料の研究とも関わります。また、船舶に関して技術開発が進んでいる、無人船の技術を基本的に支えるのは、情報通信の技術だと思います。これらのことから考えますと、船舶に関する研究は、かつてのような重厚長大産業に関わるだけではなく、情報通信やエネルギー物質材料が関わる多様な分野の人材が必要な分野になりつつあるということです。さらに環境への影響という視点からの研究も、不可欠です。
 あともう一点ですが、船員さんの働き方改革の議論をしていますと、情報通信にかんして、例えばSNSが使えないといった問題も出てきます。このことも、海洋の利用が様々な分野と関わり、様々な分野との連携での研究が必要だということを示しています。こうした現在の状況が社会に理解してもらえるような、そういう発信の仕方ができるといいなというふうに考えます。ありがとうございました。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。広い分野の連携が必要だということと、社会への対外的な発信も非常に重要な観点だと思います。
 では、河野健委員、お願いします。
【河野(健)委員】  海洋研究開発機構の河野健です。名前が出ているので、この「将来的な海洋調査観測システムの在り方について」について、ちょっとコメントをさせていただきます。
 今、現実の問題として、特に4,000メートルよりも深いような、2,000かもしれません、2,000メートルより深いような海域で調査をするような能力は、少なくともJAMSTECにおいては低下しつつあります。
 一方で、AUVその他を企業、産業に活用しなければいけないという考えがここにも強く表われていると思うんですが、実は産業に必要なAUV、ROVというような探査は比較的浅いほうで、むしろ学術研究あるいは先端的なとがったものを何かしようと思うと、深いところに行くんですね。そうすると、そういうものの開発というのは概して1回きりの開発、多額の費用を投じて1回きり、2回目はほぼないというような状況になります。
 そのうちの一つの例が「しんかい6500」で、これを再度作ろうと思ったら、過去の蓄積があるから前よりも安くいいものができるだろうと思ったら、そんなことはなくて、失われた技術がたくさんあるということですので、今後、AUVの産業利用の促進、その他、我が国が国際情勢を踏まえつつ保持していくべき深海探査能力を議論するときには、両方が同じものであることは恐らくないので、役割分担的な考え方を導入しないと、先端的な基礎研究、あるいは先端的な何かをする機関はこちらなので、そこにはこういった枠の国費を投入する、あるいは産業利用のほうはシードマネー的なものを導入していく。そして、もう一つは国内のニーズをつくらないと産業が浮かびませんので、英国でうまく行っているからといって同じことを日本でやっても、日本には北海油田はありませんので、うまく行かない。
 こういうようなことを考えて、きちんと役割分担と少し大きなビジョン、どこに投資していくのか、どうやってニーズをつくっていくのかということまで踏まえたビジョンをつくっていくことが必要かなと思っております。以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。これも非常に重要な御指摘でありまして、ぜひ重要な論点として議論できればと思います。ありがとうございます。
 それでは、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】  ありがとうございます。人材育成に関して一つコメントさせていただきたいんですけれども、実際に人材育成のために海外の大学とか研究所にどれぐらい留学生なり研究者を派遣しているかという実態、私よく知らないでコメントしてしまうんですけど、そういう進んだ技術を持っている研究所なり大学なり、もっともっと若手の研究者を出して、国際連携を深めていければなというふうに思っていまして、そうすることによって、また海外の新しい技術、日本ももちろん観測技術は進んでいるんですけど、海外においては我々も知らないような技術がたくさん埋まっていると思うんで、その開拓、アンテナのために、ぜひもっともっと海外に留学するとか研究者を派遣するとかというのを推進してもらえればいいのかなというふうに感じている次第です。
 現在の実態を知らないでコメントして申し訳ないんですが、私からは以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。もし何らかのデータが取れるようであれば、そのデータを見た上で議論したいと思います。海外との連携は人材育成という観点からも重要だと思います。
 それでは、松本委員、お願いします。
【松本委員】  港湾空港技術研究所の松本です。先ほどのJAMSTECの河野委員のコメントに対してのちょっと補足というか、産業側からのコメントなんですけれども、先ほど科学技術にとがると、深海の一点物になりがちで、技術が失われてしまう。非常に身につまされる部分もあるんですが、我々港湾、浅いところなんですけれど、非常に浅い水深20メートルとかがターゲットになるんですけど、そういう浅いところでは、今、港湾の中ではICTとか、それからDXを推進しましょうということで、民間業者さんがどんどんそういうことを進めておられます。
 我々もそれに追いつき追い越せの新しい技術、ほかの分野でやられているような技術をジョイントさせて、よりもっと生産性向上につながるというような技術開発をどんどん進めていますので、産業としては非常に全体としてはマーケットの小さい部分ではあるんですけど、港湾工事って基本的にはなくならない分野ですので、浅いエリアでの産業利用というところの一つの回答として、なくならないものであり、今、発展しようとして、国交省も押せ押せでやっているところですので、一つの事例になるのではないかなというふうに思いました。コメントでございます。以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。港湾関係、比較的浅いところにはICTなどが入って、色々なことが行われているということでございました。
 それでは、前川委員、お願いします。
【前川委員】  笹川平和財団の前川でございます。一つの視点として、先ほど来、言及されています国際的なルールメイキングへの日本としての貢献も重要な課題かと思います。
 今月、BBNJ、国家管轄圏外区域の生物多様性保全の利用に関するUNCLOSの下の実施協定案が合意されたわけですけれども、今後日本として適切に対応するということが第四期海洋基本計画案にも入っております。その検討を経た上で、日本としてそのルールメイキングに積極的に貢献をしていくという姿勢も重要ではないかと私は思っております。
 BBNJの今後のプロセスは、60か国の批准を経て発効するということで、日本が批准するしないにかかわらず、こういったものが発効して、国際的なルールとして運用された場合に、例えば、公海域での海洋保護区(MPA)の設置や海洋科学調査に影響を及ぼすルールの詳細が今後決まっていくということには留意しておくべきかと思います。
 長年の議論を経て、公海自由の原則の一つとしての海洋科学の自由ということが、BBNJ実施協定案の本文にしっかり明記されておりますので、今後、海洋科学の進展というものを損なわないような仕組みづくりを具体的に詰めていく中で、日本を含む各国の役割は、重要ではないかと思います。今後の国内的なしっかりとした議論を期待したいと思います。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。国際的なルールメイキング関連で非常に重要な論点があるということでございました。
 続きまして、兵藤委員、お願いいたします。
【兵藤委員】  大気海洋研究所の兵藤です。今後の論点についてまとめていただいている3.の丸1 の部分ですね。温暖化等の影響、特に海洋環境の変化への影響、ここは非常に大事なところだというふうに私も感じます。
 そういう意味では、やはり全球レベル、一つは今回もArCSⅡありましたけれども、極域の研究は非常に大事だというふうに私は思いますし、それだけではなくて、特に基本計画のほうをまとめていただいたものの2ページ目に、北極・南極を含めた全球観測の実施ということで、やはり全球レベルでなるべくそういった観測モニタリングを常に行っていくということが、今後どのように変化していくのか、あるいは温暖化がどういう影響をもたらすのかということを理解するためには重要なのかなというふうに感じました。
 そういう意味で、先ほど阪口委員からアジアフリートというような話もありましたけれども、例えば、東南アジアの諸国との国際連携を強めていく中で、海洋のいろんなモニタリングですとか、今後、持続可能な海洋の構築というところを進めていくのが重要かなというふうに思います。基本的には書かれている内容だと思いますけど、そういったところをより強調していただくというのも必要なのかなというふうに感じました。以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございました。全球レベルでの観測という観点から、国際的な連携の重要性について、もう少しそのあたりの重点を置いて議論できればということかと思います。ありがとうございました。
 それでは、川合委員、お願いいたします。
【川合委員】  東京海洋大学の川合です。幾つかあるんですけど、まず、この3.のところなんですけど、例えば丸1 、産学官でというふうに書いてあって、先ほどから市民を巻き込んだというのが重要だということはすごく言われているんですけど、この文章には産学官になっているので、ここに民を入れていくというのがまず大事かなというふうに思います。
 それから、自動化、データの自動取得とか、大量のデータが取れるという時代になってきてはいるんですけれども、そのデータを取ったものを、例えばクオリティーのちゃんと管理をするとか、そのデータが正しいことを確認するために分析でちゃんとデータを出すとか、そういった泥臭い仕事をする人材の育成というのもすごい大事かなと思うんですけども、一方、最近、現場の分析をするような技官のような人材とかポジションというのが減っているなというふうなこともちょっと気にしていまして、そういったあたりの人材育成というのも大事なんじゃないかなというのが一つ思っているところです。
 もう一つは、今、日本の沿岸もモニタリングが必要というのは言われているんですけれども、開発途上国なんかでも今、人口が沿岸に集中して増えてきていて、沿岸環境が物すごく変化しつつあるという現状を考えますと、沿岸の海洋環境のモニタリングというのがこれまで以上に大事になってくると思うんですね。そのときに必要なのがやっぱり安いセンサーだと思うんですよ。そういったものを日本が開発して、まず日本で実施して、有用性を示して、開発途上国なんかに展開するのを助けるみたいな社会貢献ができたらいいんじゃないかなというふうに今思っています。以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。まず、民を入れるというのは大事だと思います。また、最後の安価なセンサーのご意見については、市民参加の議論にもつながっていくような観点と思いました。そして、データのクオリティコントロールを含めて、それらの人材、技術者の育成というのも非常に重要な論点だと思います。ありがとうございました。
 では、川辺委員、お願いします。
【川辺委員】  ありがとうございます。お取りまとめいただいた内容を拝見しまして、大体前回の議論はカバーされていると思いました。その上で、今回はより長期的な視点に立って考えていくということで提案させていただきます。
キャパシティ・ビルディングやキャパシティ・ディベロップメントが海洋管理、沿岸域管理に関して言われ続けています。これには「市民のリテラシー強化」といった印象がありますが、あらゆる関係する機関や人々にとって必要なことです。キャパシティには三つの要素があると言われます。一つはナレッジ(知識)、もう一つはスキル(技術)、それからリソース(資源)です。この3つを高めていくことがキャパシティ・ディベロップメントであり、例えば「国連海洋科学の10年」の中でも非常に注目されているところです。
その観点から見ますと、「海洋科学技術エコシステムの構築」とは、まさにリソースを強化しようという話かと思います。ただ、リソースには、制度も人材育成もあるでしょうし、全体をどうサポートしていくのかを考えていかなくてはいけないと思います。そのときに、先ほどから委員の意見でありましたように、個人や一つの組織とかセクターだけでなく、「連携」をどうやって強化していくのかが大切なので、そこをもう少し強く書いていただいてもよいのではないかと思いました。
 それから、ナレッジに関して言いますと、やはりデータであろうかと思います。2.に「将来的な調査観測システムの在り方」が、さらに3.には「近年の動向」がありますが、前期の議論の中では、データを絶やさないように取っていくことが大事だと言われていました。では、データを取り続けていくためにはどうすればよいのか。「持続可能なデータ取得」ということをもう少し深く考えてもよいのではと思っております。
 取っていかなくてはいけないデータはおそらく増えていくばかりでなの、取り続けてきたデータをこれからも継続して取っていくためにも創意工夫が求められるのではないかと思います。そのためにはもちろん資金も必要ですし、さきほどから、官で行えなくなったところを民で補うとか、あるいは中央からやっていくことができなくなったときに、地域の方たちに支えていただく、といったお話も出てきています。けれども、そうした関係性は偶発的にできるものではないので、ネットワークを強化していく方向性も必要だろうと思います。ですので、データを絶やさないための観測システムの在り方をもう少し入れていただけるといいのかなと思っております。
あと一つだけ、3.の丸1 番で、先ほど何人かの委員の方からご指摘がありましたけれども、気候変動問題に関わる様々な海洋環境の変化に関して、どう対応していくかという問題があります。これを一番切実に捉えておられるのは、地域の沿岸・沖合の漁業者の方たちです。こういった方たちの悩みは非常に深いけれども、なかなか水産だけではカバーされない。例えば、ICTを活用したスマート水産業の推進が言われていますけれども、科学的なことで最先端を行かれるのは文科省なので、官官連携で考えていただけると、もっと実効的なものができるのではと思っております。
 長くなってしまいました。以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、日野委員、お願いします。
【日野分科会長代理】  日野です。今、観測の持続性みたいな話をいただいたところで、私も似たようなことをお話ししようと思っていたんですけれども、例えば陸上ですと、GNSS観測網、元をただすと測地観測網であったわけですけれども、今それって地理情報システムとして生活の中でなくてはならないものになってきて、そうなると必然的に観測網というのは維持されていくことになるんだろうと思います。
 そういう意味では、海洋においてもそういうネットワークを今つくりつつあるわけですけれども、GNSSがそうなったのは、データそのものの付加価値が上がってきた、単なる測地情報ではなくて、気象学にも使える、電磁気圏のモニタリングにも使えるということがあります。そこら辺はサイエンティストが頑張らなきゃいけないところなんですけど、海洋観測って何となく、ある専門家がある目的でやってきた部分があるんですが、そこを統合して利活用するというビジョンを持った仕組みをつくっていくこと。
 それからあと、観測技術に比べて情報通信技術は非常に進展が早いので、ケーブルネットワークをきちんと構築して維持することと、それにつなげる観測技術の高度化というのを、今どうしても観測システムをつくるときに二つのことを同時にやるんですが、その二つを分けてやっていくか、もう一つ、高機能で長生きする観測網をつくることかなと思っていて、それはこういうふうに広く総合的に検討できるところから発信していくことで、そういう動きがつくれるのではないかなと思っていました。
 私からは以上です。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。持続性と、どのように活用を広げるかという二つの観点があるだろうという御指摘かと思います。ありがとうございます。
 それでは、これで最後ですか。廣川委員、お願いします。
【廣川委員】  ありがとうございます。非常に網羅的にまとめていただいているし、今まで委員の方々からかなり補足のコメントもいただいて、そのとおりだと思います。その上で、3.のところで2点ほど簡単にコメントさせていただきたいと思います。
 一つは、先ほど来、阪口委員からも御紹介ありましたように、海洋基本計画にあまり関心が向いていないのが実情です。宇宙に比べて海洋というのは、海洋国家であるにもかかわらず、あまり関心が向いていないというのは感じるところであります。市民参加型、あるいは先ほど川辺委員からもありましたとおり、漁民の方々、あるいはローカルな住民の方々、こういった方にいかに海洋に関心を持ってもらうか、何か仕組みをつくっていくのが必要と思います。
 それからもう一つ、丸3 のところで、先ほど海洋基本計画の中でも安全保障という話がありましたけれども、カーボンニュートラル、これも非常に重要な柱ですけど、安全保障という観点では、エネルギー安全保障というのは現時点においても重要なテーマでありますので、食料安全保障と並んでエネルギー安全保障、その中には洋上風力発電、あるいはCCS、新たな海洋開発というか、産業の育成というのも一つ大きな論点で、これに研究、あるいは技術開発のほうでどういった貢献ができるか。
 いろんなところに散りばめられていますが、AUVなんかもその一つですし、最近ちょっと危機的に懸念しているのは、特に先ほど河野委員からもありましたとおり、深海での開発を民間企業がなかなか積極的にやってくれない。それは一つは、民間企業というと、やっぱりある程度利益が出てこないといけないし、技術者をどうやって維持していくか、そういう観点がないと民間企業は維持できませんので、その辺に関してはすごく危機感を持っているところであります。
 民間企業が産業につながるようなものができるような、そういった方向性を何らかの形で目指していかないと、技術自体も維持できないというようなことはひしひしと感じているところであります。以上コメントであります。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございました。以上で大体皆さんに御発言いただけたのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。まだ御発言いただいていない方はいらっしゃいませんよね。
 私から一言だけ。この間、海洋基本計画が、そもそも認知度が低いという御指摘もあり、また、人材育成との関係も含めて、認知度を広く高めていくという観点からも、教育への活用という点もあるのですが、海洋開発分科会あるいは日本の科学技術関連で海洋で取れてきている膨大な量のコンテンツやデータがあるわけです。今の国の全体の議論としては、これをもっと教育に使っていく、例えばSTEAM教育を含めて、指導要領の中間地点で総合的探求というのが高校で始まったわけですね。
 そういう中で、STEAM教育のためのコンテンツとして、この海洋で取れている様々な映像やデータを使っていくということを考えていくと、観測システムの在り方もそういうものへしっかり対応できるようなシステムをつくっていかなければいけないということを含めて、全体的な発信であるとか認知度向上ということも意識した形で様々な議論をしていかなくてはいけないのということも感じておりますので、今日出てこなかった論点なので加えさせていただきました。
 ありがとうございます。今日、様々いただきました御意見について、事務局でも整理をいたしまして、次回以降の議論に反映していくという形にさせていただければと思います。
 大分時間が押してまいりましたので、最後、5番目のその他議題になります。事務局から報告等々お願いできればと思います。
【事務局】  事務局でございます。参考資料8を用いまして、戦略的創造研究事業で海洋関係の戦略目標が立ったということで御紹介いたします。
 戦略的創造研究推進事業ですけれども、文部科学省が定めた戦略目標の下、JSTがネットワーク型の研究所を構築して研究を進めるというものになっています。左側に各種プログラムというものがあり、CREST、さきがけ、ACT-X、ERATOの4種類がございます。この各種プログラムを運用するための来年度の戦略目標が先日決まりましたので、御紹介させていただきます。
 次のページですが、今年度、六つの戦略目標が策定されております。将来のフロンティア開拓の中の二つ目、「海洋とCO2の関係性解明と機能利用」ということで、この戦略目標の下、4月以降、JSTが公募する予定となっております。
 次のページでございますけれども、「海洋とCO2の関係性解明と機能利用」ということで、オレンジ色の達成目標ございますけれども、まずは(1)海の三重脅威を正しく理解ということで、海洋温暖化、酸性化、貧酸素化がもたらす影響の把握をするとともに、(2)海洋生物や生態系サービスにどういった影響があるかということの評価と、その予測手法の開発。
 また、(3)これらを統合的に理解しつつ、海洋ネガティブエミッションの手法・技術開発ということを目標に掲げております。
 これを実施するに当たりまして、海洋研究者の皆様に御活躍いただくことをもちろんですが、今日いろいろなところで先生方からもコメントいただいた通り、異分野の研究者と連携して、取り組んでいただきたいという目標になっております。
 また、これらの全容解明にはミクロスケールからグローバルスケールまで様々なスケールがあると考えております。1課題ではミクロスケールだけなどというものはあるかもしれませんけれども、どこかのスケールにだけ着目するというだけではなくて、達成目標全体ではこれらを横断した課題が採択されるような達成目標を策定したところでございます。
 4月以降にはJSTから公募がされますので、これに引き続きJSTとも連携して取り組んでいきたいと考えております。
 事務局からは以上となります。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。先生方から御質問などございますでしょうか。
 こういう形で久々に、海洋関係の戦略目標ができたということ、これも広く呼びかけて、積極的に皆さんでプランを考えていただければというふうに思っております。よろしいでしょうか。
 それでは、以上で本日御用意した議事は以上でございます。
 事務局から何か連絡事項等ございますでしょうか。
【事務局】  それでは、最後、事務局から3点事務連絡させていただきます。
 本日は長時間ありがとうございました。議事録につきましては、この後、作成させていただきまして、来年度にはなりますけれども、皆様にメールで確認させていただきますので、内容の御確認をお願いできればと思います。
 また、本日冒頭、兵藤委員から役職変わるというお話もいただきましたので、4月以降、もし役職変わる先生方いらっしゃいましたら、適時、委員名簿は更新して文部科学省のホームページに掲載したいと思います。こちらはまた改めて先生方に御照会させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、次回の日程ですけども、恐らく夏頃に開催させていただきたいと思いますので、その日程調整も改めてさせていただきますので、御協力のほうをお願いいたします。
 以上3点、事務局から最後の報告とさせていただきます。
【藤井(輝)分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、これをもちまして、今日は第69回の海洋開発分科会終了とさせていただきます。お忙しいところありがとうございました。今後12期のこの分科会での議論を始めていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 

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