海洋開発分科会(第62回) 議事録

1.日時

令和元年10月1日(火曜日)14時00分~15時51分

2.場所

文部科学省 東館3F2特別会議室

3.議題

  1. 令和2年度概算要求について
  2. 海洋研究開発機構における業務の実績に関する評価結果について
  3. 第6期科学技術基本計画に盛り込むべき海洋科学技術分野の施策等について(案)(提言案)
  4. その他

4.出席者

委員

藤井輝夫分科会長、石田委員、榎本委員、沖野委員、河村委員、窪川委員、阪口委員、田中委員、谷委員、中川委員、平田委員、廣川委員

文部科学省

福井海洋地球課長、渡辺深海地球探査企画官、河野極域科学企画官 ほか

5.議事録

【藤井分科会長】  それではこれより第62回科学技術・学術審議会海洋開発分科会を始めさせていただきます。
 御多用中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 では、初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  それでは、お手元の議事次第に沿って御説明をさせていただきます。
 まず、資料1といたしまして令和2年度概算要求に関する資料、そして資料2-1、2-2としまして海洋研究開発機構の評価に関する資料、そして資料3といたしまして第6期科学技術基本計画に盛り込むべき海洋科学技術分野の施策等に関する資料を準備してございます。その他、読み上げは割愛いたしますけれども、参考資料1から参考資料8まで配付をさせていただいております。万が一、過不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。 
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 本日は三つの議題を予定しております。早速、議題1の令和2年度概算要求について、事務局から説明をお願いします。
【事務局】  それでは、横長の資料1に基づきまして、令和2年度の概算要求について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、全体でございますが、文部科学省の海洋・極域分野の概算要求として、文部科学省の内局事業やJAMSTECの運営費交付金等を合わせまして、右肩にございますように、令和2年度要求・要望額として446億円を計上してございます。
 こちらは、下に括弧で書いてございます前年度予算額と比較しまして68億円の増ということで要求をしているものでございます。
 また、このほか復興特別会計におきまして、東北マリンサイエンス拠点形成事業について別途5.4億円計上してございます。
 要求の内容につきましては、資料に記載の主な4本の柱、地球環境、海域地震火山、北極域研究、南極地域観測事業に基づきまして簡単に御説明をさせていただければと思います。
 資料をおめくりいただきまして、2ページ目でございます。
 地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発について、いずれもJAMSTECにおける取組を記載してございます。
 背景としましては、統合的な海洋観測やそのデータを活用した気候変動予測などは、持続可能な開発目標(SDGs)のうち14、13、11など、多くの目標に貢献することが可能であります。また、第3期海洋基本計画におきましても、我が国の海洋環境の維持、保全や海洋状況把握(MDA)の能力強化についても盛り込まれてございまして、これらへの貢献のため、具体的には事業概要、下にございます3点について要求をしております。
 一つ目は、国際連携によるグローバルな海洋観測網の構築と海洋環境変動研究の推進を図るため、引き続き漂流フロート展開を進めることに加え、海洋地球研究船「みらい」による基盤的船舶観測を実施するとともに、インド洋や赤道域の重点海域における係留観測網を維持しつつ、表層グライダーなどの新たな省力・自動観測技術の実用化を推進するという取組を盛り込んでございます。
 また、2点目、JAMSTECはこれまで沖合の観測に強みを有してきたところでございますが、人間活動の影響も含めた観測を強化するため、EEZにおける観測・監視網の強化を図ることとしております。
 具体的には、ハイパースペクトル計測技術の実用化や短波レーダーの整備等を通じ、複合的にEEZの海洋観測を実施するという取組を拡充するものでございます。
 3点目につきましては、海洋汚染物質、特に海洋プラスチックごみの対策に貢献するため、分布の実態の把握や深海生物への影響評価を行う取組に係る経費を計上してございます。
 次のページをおめくりいただきまして、2本目の柱、海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発としてJAMSTECの要求内容をまとめてございます。具体的には、地震関係で3点、火山関係で1点記載してございます。
 地震関係でいえば、連続リアルタイム海底地殻変動観測技術の開発・展開として、南海トラフ巨大地震の発生に備え、地殻変動量を広域で把握するため、観測装置の開発、展開を行うこととしております。
 また、2点目は海底震源断層の高精度広域調査として、海底広域研究船「かいめい」による地下構造の実態の把握や海底堆積物の取得によって過去の巨大地震の履歴を調査することを計画しております。さらに、地球深部探査船「ちきゅう」により東北地方太平洋沖地震の震源断層域におけるプレート境界断層までの連続的なコアリングを実施していくことなどの複数の取組を通じまして海底震源断層の高精度広域調査を行うものでございます。
 また、3点目、これら二つの観測調査のデータを基にモデルを構築し、より高精度な地殻変動や津波のシミュレーションを実施し、プレート固着・すべり分布の現状把握とその推移予測手法を開発するという取組を並行して行っていくというものでございます。
 また、火山の関係、一番下にございますが、突如として発生する火山噴火や火山性津波被害の軽減に資するために、海域火山の活動の現状と履歴を明らかにするという研究開発についても所要額を要求してございます。
 続きまして4ページ目でございます。
 柱の三つ目、北極域研究の戦略的推進ということで、こちらは北極域研究の重要性を踏まえまして、内局及びJAMSTEC合計で24.6億円、昨年度と比較しますと約倍増の要求でございます。
 内訳としましては、下の3本の施策を要求してございます。
 一つ目が北極域研究船の推進ということで、北極域研究のプラットフォームとしての北極域研究船の基本設計を行うとともに、氷海航行・観測を安全かつ効率的に実施するためのシステム開発や海氷下観測ドローンの開発を実施していくというものでございます。
 二つ目は、前回の分科会で事前評価を実施いただきましたけれども、ArCS事業の後継としての北極域研究加速プロジェクトとしまして16.5億円を計上してございます。
 中身としましては、北極域の課題解決に向けた取組ということで、先進的な観測、予測の高度化、社会への影響評価、社会実装の試行、法政策的対応の四つの取組を実施するとともに、人材育成や戦略的情報発信、研究基盤の強化もあわせて取り組んでいくというものでございます。
 また、施策の三つ目でございますが、来年11月に我が国での開催を予定してございます北極科学大臣会合(ASM3)の開催に係る経費ということで約1億円を計上してございます。
 北極域研究に関しましては、これら三つの施策をパッケージで取り組みまして、研究の加速や北極をめぐる我が国の国際的プレゼンスの向上を図っていく予定でございます。
 最後、5ページ目でございます。
 南極地域観測事業でございます。こちらは、「しらせ」の定期検査が今年度で完了いたしますので、来年度の要求額は42億円を計上してございますが、引き続き地球環境の観測、監視を着実に行うための経費を計上してございます。
 以上が主な4本の柱ということで御紹介させていただきましたけれども、これ以外にも、JAMSTECで運航している学術研究船「白鳳丸」の改造に係る経費やその他JAMSTECの関係の経費、また海洋生物資源確保技術や海洋情報把握技術開発などといった内局事業に係る経費等も合わせまして、総額446億円の要求をしてございます。現在、厳しい予算折衝の途中でございますが、引き続き要求内容の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして御質問等はございますか。
【平田委員】  平田です。
 海域で発生する地震及び火山活動に関する研究のところで、四つの柱の最初の連続リアルタイム海底地殻変動観測技術の開発というのは大変重要なことだと思います。実は、その一つ前の海洋開発のところでは漂流フロートを使った研究というものがあって、確か海底地殻変動についてもブイを使った音響の海底地殻変動観測というものを従来やられていたと思うのですが、この資料には記載されていないようですけどもJAMSTECとしてはそういった研究は続けられるのでしょうか。
【事務局】  JAMSTECとしましては、様々な地震の観測を行い、地殻変動を捉えていくということで、こちらに記載のような長期孔内観測装置や海底地殻変動観測装置以外の地震計なども活用しながら取り組んでいくものかと思っておりますが、阪口理事から補足はございますか。
【阪口委員】  ここに記載のないことは一切やらないということは全くなく、先程の御説明の最後の2枚に出しているものは一応柱ではありますが、その他も行います。
 今平田委員がおっしゃったように、漂流ブイと音響と地震計を結ぶ観測におきましては、それほど多点ではございませんが、継続して行っております。
【平田委員】  平田です。
 どうもありがとうございました。おそらくそうだろうとは思いつつも、念のため確認させていただきました。
 海底の地殻変動は極めて重要ですので、同様な連続的な観測をする手法はもちろん色々ございますが、既存の手法でもまだデータが足りませんので、ぜひ続けていただけるとよろしいかなと思います。どうもありがとうございます。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。ほかにございますか。
【谷委員】  谷でございます。
 2点お伺いします。1点目ですが、今御質問のあった海域で発生する地震及び火山活動に関する研究開発の事業のところの4番目、海域火山活動ですが、「海域火山の活動の現状と履歴を明らかにする」というふうに書いてあります。これは前からやっておられることですけれども、海域火山の活動の現状と履歴というのは海上保安庁がずっと昔から継続してやっておられて、それに対して、ここで行われる研究開発というのはどういう役割分担になっているのかということをお教えいただきたい。これが第1点。
 2点目ですが、北極域ですけれども、前回、把握する観測所があるということで頂戴していましたけれども、この金額の増ですが、これはどこが特に増えてこの額になっているかということをお教えいただきたいと思います。
【事務局】  まず、1点目の海域火山の関係でございますが、内訳としましては、今回、約7,000万円計上してございますが、海域としてはターゲットが三つございます。1点目は、鬼界カルデラとその周辺において岩石資料の採取等を行うということで、噴火履歴をとっていくというものでございます。
 また、2点目は、伊豆大島海域の周辺をターゲットにしまして、こちらは陸域のほうは火山の観測が比較的行われているところでございますが、海のほうはまだ取組が少ないということで、波浪グライダーを使った観測に向けたシステム開発を行うというものでございます。
 3点目は、南鳥島の周辺におきまして、こちらは津波を引き起こす可能性のある山体崩壊というものが懸念されてございますが、こちらにつきましても火山の中の構造探査について行うことで山体構造を把握していくというものです。
 三つ合わせて7,000万円を計上してございますが、こちらはJAMSTECにおきまして研究開発がまだ進んでいないということもあって、基礎的なデータをとっていくために取組を進めていくということでございますが、将来的には、御指摘の海上保安庁とも連携をしながら取組を進めていくこともありうるかと我々としても考えてございます。
【藤井分科会長】  それから、北極ですね。
【事務局】  それでは、谷委員から御質問いただきました北極域研究加速プロジェクト、16億4,700万円でございます。
 北極域の課題解決に向けた取組、先進的な観測、予測の高度化、社会への影響評価、社会実装の試行等、四つの戦略ということで考えてございます。従来、7億5,000万円ほどの予算で行ってきたものでございますが、観測を更に高度化、精緻化するということで、先進的な観測では4億円程度、予測の高度化等を含めて約2億円、社会への影響評価で約3億円。社会実装のところは、今後、気象予報又は海氷の予測等である程度の予算を確保していきたいというところでございます。
 そして、人材育成、戦略的情報発信のところにつきましては、細かい数字はございませんが、人材育成で毎年10人程度の若手研究者、また、招聘客員制度というところでございます。
 また、研究基盤の強化のところでは、既存の観測拠点は4拠点程度と思っております。観測衛星についてもデータの収集をより強化する、それと研究船につきましては航海日数の増といったところで、それに係る経費等。そういったものを合わせまして約16億4,700万円ということで、倍増で考えております。
【谷委員】  どうもありがとうございました。北極のほうについてはよくわかりました。
 火山についてですけれども、南鳥島の山体崩壊が関わるというのは非常に学術的にはおもしろいことだと思います。
【阪口委員】  補足ですけれども、基本的に、死んでいる火山、それから生きている火山、それから目が覚めるであろうという火山、そういう視点で先ほどの3点を調べると。死んでいる火山につきましては、火山活動はないが、山体崩壊等の別のファクターが存在しているであろうということで、ドレッジないしはその他の方法による岩石採取等から解析を行って予測を行う、そういうシナリオになっております。

【谷委員】  大変よくわかりました。ありがとうございます。
【藤井分科会長】  よろしいですか。ほかに。
【沖野委員】  沖野です。
 2点お伺いしたいのですが、一つ目は、地震のところで「かいめい」による構造探査で大分お金が積まれていますけれども、「かいめい」は大分トラブルがあったようですが、来年度スタートからは100%オペレーションできると考えてよいのかというのが1点。
 もう一つは、北極船については、私は去年までの経緯を知らないので教えていただきたいのですが、基本設計を行うにあたって、観測の目玉はこれみたいなものがあるのですか。それとも、そこからスタートするのか、どちらかなと思ったわけです。
【事務局】  まず、1点目、「かいめい」の関係でございますが、来年度はほぼフル稼働に近い形で、この地震の取組をはじめとしましてさまざまなJAMSTECの研究の実施の中で活用していくという予定でございます。
 2点目の北極船の関係でございますが、これまでの経緯としては、平成29年度より予算を措置し、調査検討、氷海水槽試験による船体の性能評価、氷海航行を安全に行うためのシステム開発等を行ってきたところでございますが、令和2年度要求におきましては、船本体の基本設計等を行うための経費を要求しております。
 観測の項目としましては、現在、海洋地球研究船「みらい」におきましても、大気や海洋、さまざまな観測項目を実施してございますが、北極域研究船につきましては、これらに加え、砕氷船としての機能を生かし、北極海の海氷域における大気・海氷・海水の相互作用を含め、総合的な観測を実施できるような船として検討しているところでございます。
【藤井分科会長】  よろしいでしょうか。
【阪口委員】  「かいめい」について補足いたします。
 漏水いたしましたBMS、それから抜けなくなった第2ピストンに関しましては、とりあえず新しいものを換装いたしまして試験完了いたしました。それから、電気系統に関しましても修繕が完了いたしました。
 残るは3Dのストリーマーケーブルで、現在、合計1万2,000メートルのうち6,800メートルほどが補修完了で、今月もう一度テストする予定です。今年度中には全てのケーブルの補修ができると聞いてはおりますが、正確には分からないところです。
【藤井分科会長】  よろしいでしょうか。
 では次の議題に移らせていただきます。議題2ということで、海洋研究開発機構における業務の実績に関する評価結果について、これもまた事務局より御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料2-1と2-2に基づきまして、国立研究開発法人海洋研究開発機構の業務実績評価の結果について御説明いたします。
 こちらにつきましては、前回、8月9日に開催されました第61回の海洋開発分科会において決定していただきました「令和元年度海洋開発分科会における評価の実施について」におきまして、国立研究開発法人の事業として行われる課題については独立行政法人通則法に基づく主務大臣評価の結果を分科会に報告するということが定められておりますので、そちらに基づきまして、今回、御報告差し上げるというものでございます。
 資料は2種類ございます。資料2-1が平成30年度における業務実績の評価結果をまとめたものでございます。こちらは毎年度実施しているものでございます。
 もう一種類が資料2-2でございますが、こちらは、JAMSTEC第3期中期目標期間が平成26年度から平成30年度までの5年間となっておりますが、この期間の終了に伴い、当期間における中期目標の達成状況に係る総合的な評価、期間実績評価というものを取りまとめたものでございます。
 いずれも本体は全体で200ページに近い分厚いものですが、総論の総合評定のところだけ抜粋して、抄ということで配付させていただいております。
 これらの2種類の主務大臣評価結果が8月末にまとまりましたので、そのうち、主として資料2-2の第3期中期目標期間全体についての評価結果を報告させていただきたいと思います。
 なお、こちらの評価の仕組みですが、主務大臣が評価するに当たりましては、独立行政法人通則法に基づき国立研究開発法人審議会という有識者の集まりが設置されておりまして、その下に海洋研究開発機構に関する評価を議論いただく部会がございます。そちらで有識者の先生方に御意見、御助言をいただいて評価結果をまとめることとなっております。
 では、資料2-2を御覧ください。
 1ページめくっていただきまして、2ページ目が、総合評定について記したところでございます。総合評価はA評定ということになってございます。
 こちらの評定につきましては、Bが標準、すなわち目標や計画に定められた事項を着実にきちんと実施できましたという場合がBとされております。それと比較して非常に顕著な成果が出ているという場合がAあるいはSで、計画どおりにいかなかった部分があった場合はC、Dというような区分になってございます。
 こちら、総合評定Aの理由につきましては、同じページの2ポツのところに簡単にまとめてございます。
 まず、一つ目の丸のところでございますが、第3期中期目標期間におきまして、機構は、研究開発についての各領域、七つの領域がございますけれども、こちらで世界的にも注目される優れた成果が出ていること、そしてこれらの成果の中には、得られたデータや知見が政策決定プロセスにエビデンスとして提供され、利活用されているものや、あるいは産業界への技術移転を進展させているものなど、アウトカム創出へ向けて具体的な貢献がなされていることから、目標・計画を上回る顕著な成果が得られたというふうに考えてございます。
 具体例として四つほど記載してございますが、全てを紹介する時間がないので割愛させていただきます。
 これらの研究開発成果のほかにも、機構全体としてはそれ以外の取組でも顕著な成果を上げておりまして、2番目の丸のところに記載してございます。例えば、Team KUROSHIOを編成してXPRIZEというような国際コンペティションに挑戦し好成績を獲得したことや、あるいはゲーム業界との初協働のようなユニークで斬新な普及啓発活動を行ったことなど、研究開発以外の部分でも顕著な実績があったという点も評価できると判断してございます。
 三つ目の丸、「一方」のところでございますが、第3期中期目標期間におきまして、海洋機構では、例えば、論文なり特許なりといった成果指標に係る誤集計の問題であるとか、他機関から提供いただいたデータの公表・利用に当たっての手続漏れ事案、あるいは個人情報の誤送信といった問題など、組織マネジメント上の幾つかの問題がございました。
 また、一般管理費の削減目標というもの、第3期中期目標期間を通して5年間10%削減という目標を定めていたのですが、同目標を達成できなかったというような課題もございました。
 これらの点につきましてはC評定としておりまして、項目別評価の中には一部Cがございますけれども、総合して考えると、組織マネジメント上の様々な問題につきましては、JAMSTEC内部で平成30年度にしっかり検討して対応策、改善策を講じ、それを実際に進め始めているというようなこともございますし、研究開発成果そのものについては顕著な成果等が得られているということで、総合評価はAというふうに判断してございます。
 非常に簡単ではございますが、以上、今年度実施いたしました海洋機構の事業の結果について御報告させていただきました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明について御質問等はございますか。
【中川委員】  二つほど伺います。
 今の御説明の中で、成果を非常に出されているところは全部わかったのですが、組織運営のところで少々問題がありましたという御説明があって、具体的には、2の三つ目の丸で「組織の信頼性に関わる重大なインシデントが判明した」という記述がございますが、それについては、例えば後ろの方の表、様式2-2-3、項目別評定総括表、ここでいってもあまり説明がないようで、どれに相当する、あるいはどういう内容であるか、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
【事務局】  5ページ目に各項目別の評定の一覧がございます。こちらを御覧いただきますと、右側にⅡという業務運営の効率化に関する事項というところがございまして、そのうちの1ポツの柔軟かつ効率的な組織の運営という部分で、見込評価、期間実績評価がCとなっているところがこれに該当するところでございます。
 詳細な内容につきましては、実は、大臣評価書には7ページ以降に項目ごとの詳細な記述がございますけれども、今回配付の資料からは外させていただいております。具体的には研究開発法人として重要な成果を確認するような指標として、例えば、論文数を毎年カウントしたりだとか、あるいは特許等の知的財産にかかわる数値をカウントしたりというようなことをしてきたわけですが、それが5年以上の長期にわたって数え間違い、例えば、共同研究という形で所内の二つの部門にわたって研究がなされていた場合、本来、組織としては論文1本と数えなければいけないところを2本と重複して数えるなど、成果の数え方について誤りが続いておりました。
 もともと論文の成果の数え間違いということが平成28年度に発覚したわけですけれども、その後、さまざまな業務について同様な間違いや問題が生じていないかをJAMSTEC内で横展開して検討した結果、例えば、特許をはじめとする知的財産に関わる研究成果のカウントの仕方も間違っていたことや、あるいはそれ以外にも、例えば、個人情報を所内のメーリングリストで転送してしまったであるとか、あるいは、他機関から御提供いただいたデータにつきましては、秘密保持契約を結んでデータを提供していただいているわけですが、そのようなデータを研究に使って、それを公表するに当たっては事前に了解をとるというような取決めになっていたものを、事前の了解をとるのを一部ですが忘れていたものがあったとか、そういったような課題がいろいろ出てまいりました。
 それら個々の問題につきましては個々の担当者の小さなミスであったかと思うのですが、それが続いていたということを考えると、機構全体としてそういった組織風土になっているのではないか、またそのことについてどのように改善していくべきかということについて、内部統制委員会やリスクマネジメント委員会等を開催してJAMSTEC内でもしっかり検討した上で改善策を講じたというのが現在のところでございます。
 ただ、あまりにも問題が多々発覚いたしましたので、そういったことの重大性に鑑みて、この評価項目についてはCというふうに主務大臣評価で判断したところでございます。
【藤井分科会長】  よろしいですか。
【中川委員】  御説明ありがとうございました。それにしても、ここにあるように、機構みずからが改善していくということが約束されているならば、今回、全体の評価としてAということですね。
【事務局】  はい、そうでございます。
【藤井分科会長】  ほかによろしいでしょうか。
【榎本委員】  極地研究所の榎本です。
 今、成果に関する御説明の中で、アンダーラインも引かれていないですし、あまり触れられはしなかったのですが、「普及・広報活動についても、ゲーム業界との協働などユニークで斬新な手法」とありますね。最近、この実物を見せていただいたのですけれども、北極に関する、ゲームというと遊びみたいですけど、教育のツールでして、大変ユニークで、JAMSTECの中にこういう広報の専門家がいるのか、研究者が自分の裁量でやったのかわからないですけれども……。大変ユニークで、中高生の教育に使えるようなところで、世界でもこういうものをつくったのは見当たらないので、多言語に翻訳して広げてもいいのではないかなと思いました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。そういった斬新な取組があったという、よい取組があったということです。そのほかよろしいでしょうか。
 よろしければ、次の議題3ですけれども、第6期科学技術基本計画に盛り込むべき海洋科学技術分野の施策等についてということで、事務局から御説明をお願いいたします。
【事務局】  では、資料3を用いて説明させていただきます。
 第6期科学技術基本計画に盛り込むべき海洋科学技術分野の施策等についてということで、本日はこれについて御議論いただき、今後、科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会に提出したいと考えているものでございます。
 前回、前々回の分科会でいただいた御意見やこれまで分科会で御議論いただいたことも加えながら、この提言におまとめしてございます。
 まず、全体としましては、導入部分の1ポツ「はじめに」があり、2ポツとして「海洋科学技術を取り巻く国内外の状況」、3ポツとして「海洋科学技術の現状と課題」、最後の4ポツとして「次期科学技術基本計画に盛り込むべき事項」という構成にしております。これまで御議論いただきました、(1)持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、(2)膨大な海洋情報からの新たな価値創造に向けて(Society5.0社会の実現に向けて)、5ページ目の(3)研究開発を支える研究基盤・研究システム及びプラットフォーム等の改革という3本の柱でおまとめしております。
 前回、前々回と御議論いただいたのは4ポツ目でございますが、その4ポツ目に導くために1ポツ、2ポツ、3ポツというものをつくり、藤井分科会長とも御相談の上、本日の案になってございます。
 まず、1ポツ「はじめに」につきましては、現在の世の中の状況、あるいは第6期科学技術基本計画期間中に議論していくために考えるべき内容ということで、AIやIoT、ビッグデータ、5G等のデジタル革命の話、そして、2段落目では気候変動、エネルギー問題などの問題を取り上げ、それに対しまして、先の基本計画の中でSociety5.0の実現ということも掲げられたこと、さらにSDGsについて記載してございます。 
 1ポツの後半には、海洋分野における問題や取り組むべきことについて記載しており、最後のところに「海洋の持続可能な開発・利用・管理の実現が強く求められている」ということで、「海洋分野においても、Society5.0の実現に向けた取組を強力に推進し」「持続可能な海洋の開発・利用と安全・安心の確保に貢献していく」という形でまとめてございます。
 2ポツ「海洋科学技術を取り巻く国内外の状況」には、これまでどのような議論や政策文書があったかということを記載してございます。
 まずは第5期科学技術基本計画における海洋科学技術の位置づけについて、そして2ページ目には、海洋基本法の制定から昨年5月の第3期海洋基本計画の閣議決定、またこれに関連して海洋状況把握(MDA)の強化や北極政策の推進が図られてきたことについて記載してございます。
 さらに、国際的な状況として、2015年9月に国連総会で採択されたSDGsの取組、そのうちSDG14が海洋に関するものであるということと、それを達成するための国連海洋科学の10年に関すること、そして、2016年のG7科学技術大臣会合における議論や伊勢志摩サミットの首脳宣言において海洋プラスチックごみの対処等が盛り込まれた旨記載してございます。
 また、最後の部分には北極域に関する議論としまして、第1回北極科学大臣会合から、来年11月に開催予定の第3回北極科学大臣会合までの流れについて記載してございます。
 3ポツの海洋科学技術の現状と課題につきましては、海洋科学技術が災害も含めて地球の問題の解決に資してきたということで、デジタル革命に関する話題を1ポツで取り上げましたけれども、特に3ページ目の2段落目のところで、「調査・観測により得られた膨大な海洋情報(海洋観測ビッグデータ)を高度な数理解析手法を用いて統合・解析することにより、海洋・地球・生命間の複雑なメカニズムや相互関連性等を発見・解明し、経済的・社会的課題の解決につなげていく」というふうに書いてございます。
 このような状況を踏まえまして、我が海洋開発分科会といたしましては、①として持続可能な開発目標の達成、②膨大な海洋情報からの新たな価値創造、③といたしまして研究開発を支える研究基盤・研究システム及びプラットフォーム等の改革というこの3項目について、議論事項として提案したということでございます。
 そこで、4ポツの盛り込むべき事項ということでございますが、まず、(1)持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、考えていかなければならない事項を記載してございます。
 一つ目の丸のところでは、地球温暖化、生態系変動、海洋酸性化や海洋貧酸素化のような問題に対して解析、評価する手法を確立するべきではないかと。
 二つ目は、北極域研究に関して、「北極域の急激な環境変化の実態把握と我が国を含む人間社会に与える影響の評価、気象気候予測の高度化・精緻化」に取り組むため、北極域における研究開発が重要であるということでございます。
 三つ目は、生態系に関して、生態系の復元力、回復可能性に関する研究開発が重要ではないかということでございます。
 4ページ目に行っていただきまして、最初の丸は、海洋プラスチックごみへの対応の重要性。
 二つ目の丸は、生物、鉱物、エネルギー資源を含む海洋資源の解明。海洋資源の持続的利活用のための解明が重要であるということでございます。
 その次の丸は、防災・減災対策の更なる強化に資するために、南海トラフ地震や海底カルデラ等、地震火山活動に対する研究が重要ということで、「観測体制の構築と、データの取得・解析を通じたメカニズムの理解等の科学的知見の充実が必要である」としてございます。
 これらの点を受けまして、SDG14が海洋の保全ということですけれども、この14のみならず、13の気候変動や11の都市開発など、多くの目標達成に貢献していくため、国際的にも協調しつつ進めていくべきというふうにまとめてございます。
 (2)でございますが、膨大な海洋情報からの新たな価値創造に向けてということでございます。1ポツ「はじめに」のところでも取り上げましたが、持続可能な開発目標(SDGs)を実現していくためには、膨大なデータを解析し、気候変動や生態系に与える影響等を解明することが重要ではないかということで、高度化するAIやデータ解析技術を生かしてデータを解析していくことが必要であり、また、期待されているのではないかということを最初に書いてございます。
 その後、第3期海洋基本計画でもMDAの話がございますが、ビッグデータを解析することによって有用な価値を創造し、Society5.0社会の実現に貢献していくべきではないかということで、海洋、地球、生命に関する情報やデータを整理統合し、5ページ目の通り「ユーザーのニーズに対応した新たな付加価値情報として創生していくことが必要である」と記載してございます。
 これまで委員の先生方にいただいた御意見につきましては、データの取得、その後の保管や管理、そして利活用という3つの段階に分けて、こちらに記載してございます。
 データの取得につきましては、最初の丸のところにありますように、効率的なデータ取得と蓄積のために計測機能の向上が必要であること、そして2番目の丸に、従来破棄されており、データとして十分に使われてきていなかったものを掘り起こして活用する必要があるのではないかというお話でございます。
 データの保管、管理につきましては、情報を適切に管理、監視する方法の検討が必要ではないかということ、丸の2番目につきましては、データを格納するプラットフォームにおいてはデータの連結、統合、解析を効果的に行うことが必要なのではないか、丸の3番目は、データシェアリングに当たっては、オープン・クローズ戦略を踏まえ、誰にどこまでデータを公開すべきかというルールづくりが重要ではないかということでございます。
 データ利活用のところにつきましては、データを解析していく力も非常に重要であり、AIを活用しつつ進めていく必要があるということ、そして、利活用から少々先の話かもしれませんが、二つ目の丸のとおり、Society5.0社会の実現に向けて、これまで海洋調査を行ってきた我が国が今後どのような海洋産業を発展させていくかについて整理しておくべきというようなデータに関する御意見が非常に多くございましたので、このようにおまとめしてございます。
 (3)の研究開発を支える研究基盤・研究システム及びプラットフォーム等の改革につきましては、(1)(2)でお話ししてきた内容の実行にあたって、基盤的かつプラットフォーム的なものについてしっかり取り組んでいかなければいけないということで記載してございます。
 6ページの最初ですけれども、海洋観測網や船舶等のプラットフォームの強化が重要であるものの、昨今のリソース、財政事情が厳しい中で、調査研究手段の共用化や無人化、省力化した観測技術の高度化等の検討が必要なのではないかということ。
 二つ目の丸です。現在、洋上の海洋観測におきましては、データを取得しても、そのデータをリアルタイムかつ大容量で通信できていないことを踏まえ、今後通信技術の開発が必要ではないかということ。
 三つ目の丸です。人材育成ということで「大学や国立研究開発法人、民間企業が連携してオールジャパンで取り組む必要がある」ということで、女性の海洋分野への進出についてもお話がございましたのでここに取り上げてございます。
 その下の丸でございますが、国民の皆様の「海洋リテラシーの普及促進に取り組んでいくことが必要である」ということ。
 最後です。「技術発展のためには民間への技術移転が重要」ということで、ただ、その技術が使われていくためには標準化戦略も重要であり、開発の途中段階から民間企業にも入っていただくことがあるのではないかというお話でございました。
 以上のようにまとめてございます。
 下の四角の各項は、議論のポイント例ということでここに記載しているもので、最終的に当分科会総政特に対して提出するものから省くこととしております。本日の議論の論点の例として捉えていただければと思います。
 また、別紙1と別紙2に前回、前々回の先生方の議論をまとめてございますので、こちらも御参考にしていただければと思います。
 最後に、参考資料4として科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会のスケジュールをお付けしてございます。一番下側の囲みに、10月中に個別分野に関する関係部会等における検討結果とございますが、ここでこの海洋開発分科会における検討結果がインプットされ、他の分科会や審議会等の提言と同じ形で総政特に報告されるということでございます。以上でございます。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、ひとまずこの案を御覧いただいて、時間を区切って御議論いただければと思いますが、今回、大分分量が増えているところは1ポツから3ポツのところまで、背景部分ですね。4ポツのところは、前回の委員の先生方の御意見を取りまとめた形でつくっているということです。まず、1から3までのところで御意見を頂ければと思います。
 どなたからでも結構ですので、御意見がございましたらお願いします。
【窪川委員】  2ページ目2ポツの55行目の「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」というものは非常に重要で、文部科学省からもWESTPACのワークショップに多大なるご支援をいただいて、日本のプレゼンスを示してきました。  それで、「SDG14の目標を達成するために」とあるのですが、より広く、SDG14は海に関係しますが、海を基点としてSDGsのさまざまな目標に対して関係をするということなので、この10年、まだ準備期間中ですけれども、この10年のための準備にどこまで貢献し、その後のこの10年のアウトカム、6項目ありますけれども、それに対してどのような取組をしていくことができるかというのも大変重要になってきます。今、ちょうど新しい情報が入ってくるところで進行形ではありますが、ここをもう少々膨らますことができないだろうかというふうに思いました。
 特に、「3年間で活動準備や実施内容の検討が行われる予定である」ということで、国際的にもそうですが、日本もこの10年に対して前向きであるということが示されるとよりよいのではないかと思いました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。日本としてもこれに貢献する等で少し膨らませるという御意見でしょうか。あと、SDG14だけのためではないと。14を超える言えば言い過ぎかもしれませんが、SDGs全体ということでそのあたり少し追加をお願いします。
【事務局】  はい。
【藤井分科会長】  ほかにございますか。とりあえず3ポツのところまででお願いします。
【中川委員】  3ページ目の行番号でいうと88のところに、「デジタル革命が深化していく中」、ビッグデータ、数理解析手法を用いて「経済的・社会的課題の解決につなげていく」という記述がございます。
 ただ、今まで、ここの前のくだりを読んでいると、経済、社会というよりは、もう少し広く、例えば、地球的や地球環境全体みたいな。経済、社会は、どちらかというと人間が関与するようなことで、もう少し地球的というか、グローバルな環境だとか、その課題も解決するための施策であるということを謳った方がいいのではないかというふうに思いました。実際に書いてあることはそういうところを目指していると思うわけで、社会、経済というレベルではなくて、人間活動を超える地球環境的なグローバルな環境保全というか、地球という惑星をしっかり保全していくという、少々高い目標を掲げた記述の方がしっくりくるのではないかと思いました。以上です。
【藤井分科会長】  では、そこのところ、表現をそういう形に直していただければと思います。
【事務局】  はい。
【藤井分科会長】  そのほかございますか。
 では、3ポツまでは大体こんなところでよろしいでしょうか。
 では、4ポツのところに行かせていただきます。まず、4ポツ(1)のところにつきまして御意見がありましたらお願いします。
【河村委員】  河村です。
 4ポツの(1)の三つ目の丸です。112行目、「海洋生態系のレジリエンス」というのが唐突に出てくると少々不自然さを感じますので、海洋生態系の構造と変動機構、特に海洋生態系のレジリエンスの理解も重要である等にしていただいた方がいいかなと思いました。また、その次の文章の最後に「環境の保全や修復に資する技術開発が必要である」とありますが、この「技術開発」にもやや唐突感があるので、環境の保全や修復に資する知見の集積及び技術開発等にしていただいた方がよろしいかと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。海洋生態系の構造と変動気候、特にレジリエンスも重要であるという文章でよろしいですかね。
【河村委員】  はい、レジリエンスの理解も重要である。それと、下の、3行目のところで、技術開発という部分に知見の集積というのを入れていただければと思います。
【藤井分科会長】  ですから、環境の保全や修復に資する知見の集積と技術開発が必要であるということでよろしいでしょうか。ほかにいかがですか。
【窪川委員】  4ページの115行目ですけれども、海洋プラスチックごみ問題も大変重要ですが、ダイオキシンやPCBなどのことを考えると海洋汚染の問題も非常に大きいので、海洋汚染問題、特に海洋プラスチックごみなどとか、そういった全体の記載も入れていただければと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。ほかにございませんか。
【廣川委員】  廣川です。持続可能な開発目標の達成に関して丸の並びの件ですが、丸の三つ目や四つ目は、どちらかといえば環境を中心に書いてあるわけですが、一方で、海洋の色々な利用開発について二つの後に書かれているので、その辺、どちらかというと、持続可能な開発目標というのは、開発をどのように行うかというところがあって、その上で環境に優しく持続可能にしていくかという並びの方が私はいいような気がします。
【藤井分科会長】  いかがでしょうか。これは、丸の並びを少し工夫した方がいいと、そういう御指摘でよろしいでしょうか。具体的には、後ろから二つ目の文章を前に持ってくる…。
【廣川委員】  そうですね、例えば、後ろから二つ目を上から三つ目の丸ぐらいに持ってきて、その後、環境保全という話の方が落ちつけるように私は思います。
【藤井分科会長】  なるほど。温暖化、酸性化、貧酸素化があって、北極があって、海洋資源。この資源のところが、そういう意味では、唯一、利活用というふうになっているということですかね。
【廣川委員】  私たちの視点からいうと、利活用がまずあって、その後に活用しながらいかに保全していくかというところが謳いたいものだという感じがします。
【藤井分科会長】  では、そうですね、3番目に持ってくるということですかね。その後に生態系、それから海洋プラスチック、地震、火山という流れでしょうか。あるいは、利活用から順番に、利活用を一番前に持ってくるというのもあるかもしれないですけどね。ただ、今の廣川委員の御提案としては3番目あたりに持ってくると。
 そういう意味では、それぞれの項目について、開発の方の、開発サイドというのでしょうかね、サイドの内容を見て並びを考えるということでしょうか。
【廣川委員】  はい。
【谷委員】  谷でございます。
 今のところに関して申し上げますと、最初の丸、103行目のところで、温暖化、生態系変動、酸性化、貧酸素化という地球規模の変動に関する困った事が起きているという提示をしていて、一つの具体例で北極ではこんなになっているとか、二つ目の例として生態系がみたいなことがあるのかなと思うので、この三つはセットではないかなと。
 ですから、ただいまおっしゃったように、最初に持ってくるとかして、この丸1、丸2、丸3はセットがいいのではないかと思いました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。そうですね。そうしますと、先ほどの利活用のところを四つ目に持ってくると。三つセットと利活用があって、海洋汚染の話があって、地震、火山、そういう流れですが、いかがでしょうか。
【廣川委員】  了解しました。
【藤井分科会長】  はい。では、一応、そういう流れでよろしいですか。
【事務局】  はい。
【谷委員】  谷でございます。
 4ページの119行目からの資源関係のところについてですが、これは、おっしゃろうとすることはわからないでもないですが、よく読むと、よくわからないですね。1行目から2行目半まで、資源があるかもしれないと書いていて、「その一部しか有効利用できていない」、そこが問題だという指摘だと思いますが、事実関係からいうと、本当に有効利用しているのかということがありますね。まず、「存在すると考えられる」ということですけれども、一部しか存在が把握できていないというのが正しくて、有効利用なんかまだやっていないと私は思っております。そこは認識の問題があるかもしれませんけれども。この文章からいうと、存在すると考えられているが、よくわかりませんというのが多分起承転結だと思うんですけれども。一部しか使っていないと書いてありますが、一部しかわかっていないというのが正解ではないかというのが1点目。
 それから、「なかには人類社会に有用な機能を持つものも存在し得る」と、この「なかには」というのは資源のことだと思うのですが、資源の中に有用な機能を持っているものがあると。これは例えば何かなと思いましたら、例えば、レアアースみたいに有用な機能を持っている資源がございます。普通にぱっと見たら泥にしか見えないけれども、有用な機能がある。そういう意味で機能だと思うと、最後の部分、「未知の有用機能の特定・解明を」となっていますけれども、これは何に関する「未知の有用機能」と言っているのかよくわからない。
 少々振り返りますと、今から20年前に、例えばメタンハイドレートや海底熱水鉱床というものが日本にあることがわかった。そもそもそういったものがあるとも思っていなかったものがあった。レアアースもそうですけれども、思ってもいなかったものが見つかったのは過去20年の話です。
 そうしますと、「未知の有用機能」ではなくて、未知の資源ではないかと思うのです。例えば、熱水鉱床のあたりの何か酵素とかそういったものに、未知の機能かもしれませんが、そういうものがあるかもしれない。そういうことをおっしゃりたいのかなと思うのですが、出だしのところで「一部しか有効利用できていない」と書かれてしまうと、有効利用は一体何を言っているのかもわからなくなるのですね。廣川委員はどうお読みになられますか。
【廣川委員】  生物について私は詳しくないので、ここの機能というのは、むしろ生物の機能という意味に私は読みかえて読んだのですが。生物には未知の機能があって、それは例えば医薬品だとかそういうものに利用されるかもしれないというところを解明されるのかなというふうに読みました。
 確かに、鉱物資源にしてもエネルギー資源にしても、まだ利用はEEZの中では全くゼロです。ですから、この一部利用というのは、ひょっとしたら生物で何か利用されるものがあるかどうか、私も認識がないので、ここかなというふうに読んだのですが。私も鉱物それからエネルギーに関してはわかりますけれども、それ以外はちょっと分かりかねます。
【沖野委員】  関連してよろしいですか。
【藤井分科会長】  はい、どうぞ。
【沖野委員】  沖野です。
 私も、谷委員と同じことを言おうと思ったのですが、そもそも人類社会に有用なものを資源というのであって、そのために文章が変なのかなと思ったのですけれども。「海洋資源が存在すると考えられるものの」でスタートするならば、「全貌を知らない」という結びになって、それを解明するという方向に行くのかなと思いました。だから、2行目の最初が何か非常に変な感じがまず一つして、そこを読み飛ばしたとしても、今度は資源の持続的活用のために未知のものを進めるというのも日本語としては結構変な感じがします。持続的活用というのは、何かが今あって、その総量を把握してどう使うかということをそう言うのであって、この文章が、何となく言いたいことはわかるけれども、日本語として変という印象が非常にありました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。少しこの文章を直すとして、最初の文章は、「海洋資源が存在すると考えられるものの、その一部しか」把握できていないということですね。その存在と機能が一部しか把握できていないと言った方が正しいかもしれないという意味かというふうに理解しました。
 それから、その後ろですね。「有用な機能」、有用な機能なのか、有用な物でいいのか、必ずしも機能が有用ではなくて、物として有用なのかもしれないですけれども。「持続的利活用のためにも」というのもまた後ろの文章と合わないということでしょうかね。
 ということで、ここは文章を工夫して、いずれにしても、生物、鉱物、エネルギー資源等が存在すると思われるけれども、今は一部しか我々はわかっていないということで、その解明をする必要があるというところでよろしいですか。それが持続的利活用にどうつながるかというところは、文章としてはもう一つ論理が必要な気がしますけどね。いずれにしても、この丸のところは、また文章を直していただくということでよろしいでしょうか。
【事務局】  はい。
【藤井分科会長】  そのほか(1)はよろしいですか。
【平田委員】  平田です。その次の地震、火山のところで、この文章をさっと読むと大体意味がわかるのですが、出だしのところの「南海トラフ地震や海底カルデラ等、大規模災害をもたらす地震・火山活動が活発であり」というところがちょっと何かひっかかりました。現状では、南海トラフ地震は活発でもないし、海底カルデラ噴火も活発でないので、言いたいことはわかるのですが…。要するに、活発であるというところが一番ひっかかるので。地震・火山活動という意味は、広く捉えれば南海トラフ地震の地震活動なのでしょうけれども。一番簡単なのは、活発をとってしまって、「大規模災害をもたらす地震・火山活動があり、とか、存在する」とか。代替案は今すぐには思いつかないですが…。
【藤井分科会長】  これはそうですね。南海トラフ地震や海底カルデラというのはあまり並べられないので表現を直し、後ろと合わせて意味が通るように直させていただくということにしたいと思います。そのほかよろしいでしょうか。それでは、(2)のについてお願いいたします。
【田中委員】  田中です。
 データ利活用について、アカデミアのデータと我々のような実際の企業のデータを全部入れて、広く利活用する体制が必要だと思うのですが、経済産業省の商務情報政策局がそういった産業データの利活用に関するガイドラインを書いています。我々の業界はそのガイドラインに沿ったデータシェアのルールを約60社集まってつくったりしているのですが、国の情報やアカデミアの情報だけではなくて企業の情報も入れていくプラットフォームをつくっていかれる場合は、ぜひその辺を参考にしていただくのがよろしいかと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。これは、おそらく総政特の中で言うところのDFFT、いわゆるデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストのことを指しているので、それを書いても良いかもしれないですね。安倍首相がダボス会議でそれを述べられたのですが、データの使い方を整理しましょうという話が政府全体で動いていると思いますので、DFFTを引いてもいいのかもしれないですね。ほかにございますか。
【阪口委員】  161行目から163行目ですが、「可能性について検討」するだけで、何も進まない。ここに関しましては、「データセットとして活用する」仕組みをつくるとかそういう方向でないと、何も進まないと。活用する可能性は幾らでもあるのですが、仕組みがないんですよね。例えば、民間の、たしか魚群のデータだとか測深のデータだとか入港時のデータを幾らでも取っていますけれども、それをどこに集積させて誰が利用できるようにするのかという仕組みがないために、どこにも集めることができないという状況だと思いますので。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。では活用する仕組みを用意するみたいな表現にすればよろしいでしょうか。
【阪口委員】  そうですね。
【河村委員】  河村です。
 同じような観点ですけど、その後の164行以下の丸も全部「重要である」で終わっているのですが、これは何々を行うべきであるというふうにした方がよろしいのではないかと思います。
【藤井分科会長】  では、このあたり、表現、結び方を検討させていただきます。
 ほかにいかがでしょうか。
【谷委員】  谷でございます。
 174行目からAwarenessについて書いていただいて、これは非常にいいことだと思います。そこで、同じようなことを申し上げるのですけれども、読み解く力を強化するというのは非常に重要なことですが、人材や仕掛け、組織がないと空振りになるかなという気がします。AIと書いてしまうと、AIに任せればいいんだ、誰でもできると思われがちですけど、実は、そのAIに出してきたことを読み取る仕掛けが必要で、それがすごくディメンションの広い体制じゃないとだめかなと思うのです。
 一つ例を申し上げます。XBTとかBTという水量の鉛直プロファイルを測る観測機器があって、そのデータが世界的に集められて、1900年ぐらいからずっとあるのですが、そのデータをよく見ていると、太平洋戦争のときの日本海軍の進出範囲とか、アメリカがどの時点で日本に攻め込んできたかとかがわかるわけですね。なぜかというと、ただのデータですけれども、誰がとったかというところが書いてあって、それだけ見ると、最初、日本が日付変更線あたりまで軍艦を出していたのが、次第に押されているということがそこで見えるのです。これもおそらくデータAwarenessの一部だと思うのですが、こういったことを海洋物理屋さんは全然気にしないですが、歴史家さんが見たらおっと思うはずなのですね。そういった多様な読み解きをするための仕掛けがないと、なかなかそうはならないかなと思います。ということで、ここに書いてある読み解く力の強化も結構ですが、具体的に仕掛けというところまで踏み込まないと、本当のAwarenessにならないのではないかということを思いました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。「多様な観点から」とか語句を入れますか。
【谷委員】  そうですね、それが無いのかと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。そのほかございますか。では、もしお気づきの点があれば、また後で戻るとして、(3)に参りたいと思います。
 (3)でまた御意見がございましたらお願いいたします。
【窪川委員】  些細なことで申し訳ないですけど、6ページの200行目ですが、「女性の海洋分野への進出」のところに、ここだけ「考えられる」とあるので、これはぜひ必要であるとしていただければと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。ほかにございますか。
 前回ちょっと動かした洋上のデータ通信については、こちらに動かしたのですね。
【事務局】  はい、2から3に。
【藤井分科会長】  一つ前の(2)にあったのですが(3)に動かしています。
 この総政特の文章を読むと、キーワードとしては、さっきのDFFTもそうですが、インターネットラボラトリー、情報通信網でラボをつなぐと。要するに、データ格差がないような形で共通にデータを使えるという話なので。これが海洋分野でもできると非常に大きいと思います。いかがでしょうか。
【谷委員】  谷でございます。
 205行目、これも非常に大事なポイントですが、使う立場からすれば成果の創出を急ぐあまり、外国製の機器に頼るというのは必然でして、早く答えを出せと言われたら、国産の機械など使っていられないということがあったりします。例えば、トランスポンダなどは国産のものと外国製のものを一緒に並べて試験したら、全然精度が違います。非常に大事なことですけれども、仕掛けを考える必要があると思います。使う方からすれば、とにかく失敗は許されないし、期限までに観測成果を出さないといけないとなると、外国製品の使用を禁止されたり、あるいは国産品の使用を強制されたりすると大変困ることになります。私も観測をしたりしていましたが、国産で全部やれと言われれば、なかなか難しく、ここは表現の仕方をよく考える必要があるかと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。ここの要点は、多分、我が国の製品も使われるよう、広くスタンダードなものとするために、早い段階から民間企業に入って一緒に開発を進めるというようなことが大事だと言いたいわけですね。外国製品云々というのが背景に入っていますけれども、それをあえて取り上げる必要はないのかもしれません。
【事務局】  最初の行が要らないかもしれないですね。
【河村委員】  私は専門外で意味がよくわからないのですが、民間への技術移転というのはどこからの技術移転と言っていて、最初の外国製品というのと国内でのという話がどこかで消えているので、文章の意味がいま一つよくわからないのですけれども。
【石田委員】  石田です。
 これは私が発言したことが生かされて大変うれしかったのですが、民間も入って考えるというところ、それから国産の機器を使っていかないと我が国の技術が発展しないということで言っていたのですが、それとこの「スタンダードに使われるようになる」とか「高価格であることなどの理由によって、なかなか使われない」という部分が繋がらない気がするので、もう少し考えて書いていただいた方がいいかなと思います。
 それから、谷委員がおっしゃったように、誤解を招くような形もあるのでぜひ考えていただきたいのですが、ぜひこのところは残していただきたいと思います。以上です。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。おそらく、新しい機器などが開発された場合に、その早い段階から民間企業にも入っていただいて、使い勝手のいいものにしていって、それが最終的にスタンダードになっていくとい

い、そういう趣旨だと思います。少し文章を工夫させていただければと思います。そのほかいかがでしょうか。
【窪川委員】  窪川です。
 よくわからないところがあって、193行目のところですけれども、大変重要な大容量のデータ通信ということで、これはぜひ入れたいのですが、そうすると、「今後の更なる調査・観測技術の向上に加え」というのが余分な気がしてきて、大容量のデータ通信というところにこれを的確に入れられない。要するに、「今後の更なる調査・観測技術の向上」というのは全般的なことですよね。これも言いたいのであれば、これはこれとしてどこかにきちんと入れて、データ通信に関してはまた一つ強調した方がいいのではないかと思いました。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。これは、「今後の更なる調査・観測技術の向上に加え」をその次の文の頭に持ってくればいいのではないですか。
 それから、これ、私が発言してきたところですけど、通信技術の開発もそうですけど、通信インフラですかね。
【中川委員】  済みません、中川です。
 ここのくだりは、私が、これから5G、特に低遅延・大容量通信というものが前倒しで進んでいるので、海洋にもそれを使うべきであるというふうに申し上げたものを取り入れていただいたのかなというふうに考えております。
 そういう意味でいいますと、通信技術そのものだけではなくて、もちろん利活用、そういったインフラも含めた、ここはもともとプラットフォームと書いてございますので、そういう通信インフラ、通信技術の利活用というところが当然含まれると。
【藤井分科会長】  どうしましょうか。「廉価な大容量の通信インフラの利活用」ということでよろしいですか。
【中川委員】  「通信技術の開発」よりかはその方がいいかもしれないですね。通信インフラ。5Gと、あまり書いてはいけないのでしょうか。
【藤井分科会長】  直接的に言えば、通信インフラの導入ですけどね。あるいは、通信インフラの設置とか。
【中川委員】  通信インフラの構築及び利活用あたりが一番良いかなと思います。
【河村委員】  このところの最後に「海底の地殻変動のリアルタイム観測技術の高度化のため」と書いてあるんですけど、これだけ特定している理由がよくわからないです。
【平田委員】  平田です。
 海底の地殻変動のリアルタイム化には、5Gどころか、そもそも全然違った新しい技術が必要で、ここはインフラの整備というよりは通信技術の開発、まさにそのものが必要だと思いますけれども。でも、確かにこれだけ特定するのは変なので、海底地殻変動以外にもリアルタイムで海底で観測することはあると思いますから、「等」をどこかに入れるとか。
【藤井分科会長】  その前に、「今後の更なる調査・観測技術の向上に加え」となっている。
【平田委員】  そうですね、それを入れていただいていればよいです。
【阪口委員】  思い出しました。その1個上の190行目の「無人省力化観測技術の高度化」というところは、その193行目の大容量データ通信と実は連動しておりまして、大容量データ通信が行えないと、AISのみとかではだめで、完全に視覚と聴覚的な24時間365日通信が行われないとこれは実現しないわけで、この丸の1個目と丸の2個目は実は連動している。「今後の更なる調査・観測技術の向上」というのは無人省力化観測と連動した話でしたので、一つ目と二つ目の文章を少し工夫していただくとわかりやすくなりますし、その後のさっきのリクエストもうまく入ると思います。この二つをうまく書いていただくとよいと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。一つ目の丸と二つ目の丸の連動というか、関連性を明確にするということと、この最後の文章ですね。最後の文章を分けてもいいのかもしれないですけれども。では、これは検討をお願いしましょう。
【事務局】  はい。
【藤井分科会長】  おおむね(3)の、個別の分はここまでにさせていただきます。時間はまだ少しありますか。あと少しだけ、全体を通して何かございましたら。おおむねよろしいですか。
【谷委員】  意見を言うのはおこがましいのですが、今日、JAMSTECの中期計画の報告の中で、XPRIZEで成功をおさめた、栄誉をもらったというのが一つありました。あれは、多分、JAMSTECの予算的には大してお金を使ってなくて、あるいは全然使っていなくて、中期計画のどこに書いてあったのだろうかと。
 それはさておき、あのXPRIZEという事業は、世界中の関係者が熱狂して、海底地形調査の無人技術の向上に大きく役に立ちましたが、日本でなぜXPRIZEみたいなことができなかったのだろう、なぜアメリカのシェルができて、ああいった面白い企画があって世界中熱狂させられたのだろうと。分科会の場で申し上げることではないかもしれませんけれども、どうして日本だとそれが出てこないのでしょうか。日本でもやってみれば、色々なところからアイデアが出てくるような気がするのですが、そういったことは踏み込まないですかね。でも、大事だと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。これは、米国ですと、いわゆるグランドチャレンジと称して、コンペティション形式で、ある目標設定をして技術開発をみんなでやろうというようなもので、確か30年ぐらい前からやられるようになっていて、そういう意味では、そういった背景の延長上にXPRIZEがあったのではないかと推察されますけれども。我が国でそういうことがもしあれば。
【事務局】  イノベーションといいましょうか、プロジェクトの立て方、ファンディングのあり方など、我々も新しいことを議論していかないといけないと思っております。今の予算要求の制度との兼ね合いなど難しいところもありますが、あのようなファンディングができたらいいなというのは確かに私たち若手の間にはあるところであります。
 前回、XPRIZEのお話をしましたけども、先立って9月18日に1位をおとりになられたGEBCO-日本財団の優勝の方々とTeam KUROSHIOで安倍総理を表敬することができました。そういった意味でも、官邸からも高く評価していただいているということを最後に申し添えておきたいと思います。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。ぜひそういった新しいことにチャレンジする仕組みがあってもよいのかなと。ちなみに、あれは民間資金がかなり入っていたような。
【事務局】  そうですね、XPRIZE財団というものがあって、今回はシェルと組んだり、あと、宇宙のAVATAR(アバター)、ここから遠隔操作するようなプロジェクトをANAとの連携でやってみたりですね。XPRIZE財団がそういう技術を欲している企業とタイアップしていろんなコンテストをやっているということですので、ここにいらっしゃる企業の皆さんと一緒に考えながらやっていかないといけないのかなと。そういう意味では、国がやっている事業ではなく、そういった財団があって、志のある企業と組んで、お金を出してやっているということです。
【谷委員】  申しわけございません、若干補足させていただくと、アメリカのNOAAが100万ドル出しています。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、よろしいでしょうか。今日頂戴した御意見に基づいて追記あるいは修正を考えたいと思います。この後の修正につきましては、分科会長一任というふうにさせていただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【藤井分科会長】  以上で本日の議題は全て終了ということであります。
 先ほどお話がございましたが、今、予算の編成中で色々と御苦労が多いかと思いますけど、よろしくお願いしますということを一言申し上げて、あとは事務局から事務連絡がありましたらお願いいたします。
【事務局】  次回の分科会の開催につきましては、追って事務局から改めて御連絡をさせていただきたいと思います。以上です。
【藤井分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局海洋地球課