海洋開発分科会(第8回) 議事要旨
1.日時
平成15年1月17日(金曜日) 10時30分~12時
2.場所
虎ノ門パストラル 「アジュール」
3.議題
- 平成15年度海洋開発関係経費予算案について
- 今後の検討事項について
- 海洋科学技術センターの改革について
- その他
4.出席者
委員
平分科会長、磯部、伊藤、兼原、木下、小池、小林、近藤、佐藤、高橋、田中(彰)、橋口、平澤、堀、松田、松永、吉田 各委員
文部科学省
白川研究開発局長、素川審議官、吉田海洋地球課長、渡邉課長補佐
オブザーバー
総務省
稲田技術政策課長
外務省
川真田海洋室長
農林水産省
山根水産庁企画課長
経済産業省
野口鉱物資源課長
国土交通省
昆海洋室長、小池海洋開発官
環境省
木村調整専門官
他
5.議事要旨
平成15年度海洋開発関係経費予算案について
海洋開発関係経費予算案について文部科学省より全体の概要を説明するとともに、各省ごとの予算案の概要について関係各省より説明を行った。主な質疑は以下のとおり。
- 水産の施策のところで栽培漁業のブランド化があるが、栽培漁業に関しては安全性に重点を置いた施策の実施に努めていただきたい。【小林委員】
今後の検討事項について
8月1日に科学技術・学術審議会において答申された「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」を踏まえ、今後の審議事項について検討し、今後、答申のフォローアップを適宜行うとともに海洋研究船の有効活用及びIODP(統合国際深海掘削計画)の推進についてそれぞれ委員会等を設置し、検討を進めることとなった。主な質疑は以下のとおり。
研究船の有効活用について
- 全国の大学で学生実習等に使用されている練習船も貴重なデータの取得等に貢献してきており、これらの船の研究・教育への活用方策についても併せて議論していくべき。また、研究船についても大学院教育の場として教育の面からも議論を進めるべき。【小池委員】
- 研究船の活動等について、現状を教えてほしい。地道な研究を行う足もとの研究者を育てるための船にも焦点を当てて、現状を把握し、現在ある船をどのように引き継いで行くのか議論すべき。【小林委員】
- 研究船は大学院生以上の学生と教官が研究のために利用する船であり、運航日数の増加を始めとした有効活用の方策を考えている。また練習船は学部学生の実習のための船であり、海洋研究にも大きな貢献をしている。【平分科会長】
- 東大の海洋研所有の研究船は、学術研究を支援する目的で研究機関及び大学院の学生については全国的な共同利用を行っている。今後、学部学生にも利用を広げることも今後議論できるのではないかと考えている。【小池委員】
IODPの推進について
- 運航の安全性、技術の継承等の面から考えて、船員は日本人船員で運航するべき。研究テーマの選考が適切に行われるようにするべき。研究成果を一般に公開し共有できる仕組みを作るべき。【小林委員】
- IODPでは船の運航、掘削、研究にかかわるグループがある。船の運航は、士官クラスを中心に主に日本人で構成される。また、掘削は人材の関係から一部外国人を入れた形で構成される。研究については、大学及び企業の研究者より構成される国際的な委員会を設置し、選定することになっており、国際的に完全にオープンである。また、得られた研究成果についてはその事業が終了してから1年ないし2年以降全て公開することとなっている。【木下委員】
- 海洋を利用する場合に、国から付与されている海洋を使用・活用する権利を十分に活用されていないように見える。与えられた使用権・許可権の活用実態やその活性化についても今後、機会を捉えて調査してもらいたい。【田中(彰)委員】
- 様々な施策がオーバーラップする事業に関して、その整理を行うことのできる筋道を作っていただきたい。【小林委員】
海洋科学技術センターの改革について
海洋科学技術センターを解散し、東京大学海洋研究所が保有する海洋研究船及びその運航組織との統合の上で、海洋に関する研究開発等を行う新たな独立行政法人を設立する方向で文部科学省が準備を進めていることについて、事務局から説明を行った。また、分科会長の意向により、この新法人の設立準備に関して、大学との円滑で効果的な連携協力を進めるといった観点から、以下の配慮すべき事項について審議を行った。
- 移管された海洋研究船の運航のあり方
- 学術研究との連携協力の協力
- 新法人における研究開発のあり方
ここでの意見を踏まえ、分科会長一任のもと、分科会として「海洋科学に関する新たな研究開発法人の設立について」として配慮すべき事項を取りまとめることとなった。
主な質疑は以下のとおり。
- 現在東大海洋研が所有している白鳳丸、淡青丸に関しては、今後も100%大学の研究のために使用すると理解しているが、資料イメージ図の書きぶりはそうなっていない。【小池委員】
- 資料の一元的といった記述の部分は、海洋センターが従来持っている船と併せて管理することを示したものである。白鳳丸、淡青丸については、これまでの実績を尊重し、もっぱら大学研究者に利用することとなると考えるが、それぞれの船の特色に応じてそのようとも異なってくる。【事務局】
- 海洋科学技術センターの名称は、浸透しており、名前を残すことはできないか。解散することで、退職金等人件費の部分で無駄な出費が生じることは無いのか。【小林委員】
- 新しい法人が何を目的にして、何をしようとしているのか全体像を教えていただきたい。また、これは、東大海洋研だけではなく、日本全体の海洋研究船の問題として捉える必要があるのか教えていただきたい。【吉田委員】
- 現在問題になっているのは、東大2隻の研究船だけである。また、新しい独立法人の名称は、海洋科学技術センターで変更ない方向で検討していると聞いている。【平分科会長】
- 海洋科学技術センターを解散して新しい法人をつくるのであれば、設置目的はどうなるのか。また、分科会として要望を出す場合には漏れが合ってはいけない。大学教育に関する支援についても分科会の取りまとめの配慮事項の中に盛り込むべき。【平澤委員】
- 海洋科学技術センターの解散については政府が決定しており、海洋科学センターはそれに従うことが原則である。また海洋研究所の要望については、海洋センターとして全て受け入れることとしており、技術開発と学術研究が並立できるように努力していきたい。新法人設立に当たっての細目事項については、政府決定と、分科会取りまとめの配慮事項を踏まえ検討していくこととしたい。【木下委員】
- 政府では平成13年12月の閣議決定に基づき、特殊法人全般を見直しているところである。この内、必要なものについては、独立行政法人等の形態で新たに設立を行っており、海洋科学技術センターについても新たな法人として設立する予定にしているが、基本的には従来の事業を引き続き行う形をとっており、職員の身分についてもそのまま移行される。この新法人移行にあたっての唯一の変更点として、東大海洋研の船の移管がある。なお、その他の大学保有の実習船等は別の目的もあるため、今回は審議の対象となっていない。また、教育の支援については東大海洋研の行っている業務をそのまま引き継ぐこととなる。【事務局】
- これまで海洋センターは、開かれた研究機関として産学官連携の情報をもとにグローバル化、ネットワーク化等の向上を果たしてきており、新法人においても産業界の連携を十分に図っていっていただきたい。【堀委員】
- 統合で東大の2隻だけを統合する必要がある理由は何かあるのか。個々の自由な研究を促進するためには統合ではなく分散していたほうが良いのでは。【小林委員】
- 現在、国の所有している研究船は東大の2隻であり、これを統合したいということである。【平分科会長】
- 研究や人材育成については各大学、研究機関において、今後も分散型で行う方針である。ただし、研究船については、研究を支える基盤として、これを安定的に維持していくための体制を整えるため、新法人に移管していくこととしている。また、産学官連携に関してもこれまでどおり良好な関係を継続してまいりたい。【事務局】
- 新法人の設立の機会にあたって、大学の学術等への協力についての具体的な方針を議論していただきたい。【高橋委員】
- 研究の活性化や資金の有効活用といった、新法人設立に伴うメリットを強調したものとするべき。【松田委員】