海洋開発分科会(第10回) 議事要旨
1.日時
平成16年3月26日(金曜日) 14時~15時45分
2.場所
浜松町東京會舘 オリオンルーム(世界貿易センタービル39階)
3.議題
- 平成16年度海洋開発関係経費予算案の概要について
- 平成16年度海洋開発推進計画について
- 最近の海洋を取り巻く動き(海洋機構設立、大陸棚調査、地球観測サミット)
- 委員会の審議状況について
- その他
4.出席者
委員
平(啓)分科会長、鈴木分科会長代理、大塚、奥脇、兼原、小池、近藤、佐藤、平(朝)、田所、平井、堀、松田、松永 各委員
文部科学省
須田海洋地球課長、渡邉海洋地球課課長補佐、秋山地球・環境科学技術推進室室長補佐
オブザーバー
外務省
田島海洋室事務官
農林水産省
本田水産庁漁政部企画課首席企画官
国土交通省
吉田海岸室課長補佐
他
5.議事要旨
1.平成16年度海洋開発関係経費予算案の概要について
平成16年度海洋開発関係経費予算案について事務局より全体の概要の説明を行った。主な質疑は以下のとおり。
- 総務省の情報通信研究機構はどういう組織か。(平分科会長)
- 認可法人放送・通信機構が、昨年、通信総合研究所と統合し、16年度から新たに情報通信研究機構というものになった。(事務局)
- 農林水産省と経済産業省の平成16年度予算案が減っているが、それは運営費交付金等に流れたと解釈してよろしいか。(堀委員)
- 水産総合研究センター自体が組織統合し、他の業務を取り込んだ影響による。トータルではプラスである。(事務局)
- 旧石油公団、金属鉱業事業団へ交付していた予算が、独立行政法人化に伴い、運営費交付金に移行した影響による。見かけ上は減額だが、ほぼ前年と同額の金額が運営費交付金に移行している。(事務局)
- 各省庁で、環境に対する予算があちこちの項目でついているが、どういう整理で配分がなされているのか。(兼原委員)
- 農林水産省では水産という方面からやっているが、環境省では一般的な環境の保全をやっている。(事務局)
2.平成16年度海洋開発推進計画について
平成16年度海洋開発推進計画について、事務局より概要の説明を行った。主な質疑は以下のとおり。
- 答申の「知る」ということの中で、海を教育することもかなり強調されていたが、何らかの形でそういうアイデアを構築して予算要求したのか。(奥脇委員)
- 今度、独立行政法人化する海洋研究開発機構の1つの重要な使命として、特に子どもへの海洋に関する教育啓発が1つの重要な仕事と思っている。(事務局)
- 省庁横断的に、データの情報流通に関しての方針について議論された経緯があるのか。あるいは将来、日本のナショナルデータセンターのようなものを幾つかつくって、それをネットワークで結ぶような構想があるのか。(平委員)
- データの情報流通は非常に重要だが、うまくいっていない。(事務局)
- それぞれの専門でデータセンターの機能を拡張し結び合えば全部のデータが1カ所にある必要はないので、そろそろ全体像の設計が必要だと思う。(平分科会長)
- 運営費交付金になると、ブラックボックスになるのも問題かとは思う。(平分科会長)
- 文部科学省は、海洋開発推進計画を推進する迫力を出して欲しい。(堀委員)
3.最近の海洋を取り巻く動き(海洋機構設立)
平成16年4月1日に設立する海洋研究開発機構について、事務局より概要の説明を行った。主な質疑は以下のとおり。
- 海洋研究開発機構法の目的の中に平和というのを入れるのは非常に物騒では。(兼原委員)
- 海洋科学技術センター法にも、平和と福祉は入れられていた。これはむしろ逆の意味で、軍事的なことはしないという意味での平和という意味で使っている。(事務局)
- 将来的に船の代船をつくる場合の基本的な考え方について、従来の海洋科学技術センターの5隻の船と、東京大学海洋研究所から移管する2船について、別々の組織で考えていくのか、一本化して考えていくのか。(平井委員)
- 海洋研究船委員会ではできるだけ全体的に考えていこうと議論している。(事務局)
- 船を集中管理することによって稼働率が増すことが多いはず。大学で使っているもう少し小さな船についての方針があれば聞かせて欲しい。(松永委員)
- 水産の実習船などについては、一元化をするというよりも日々の実習のために必要だという要望が水産系の大学からあり、今は各学部においている。(事務局)
- 海洋研究開発機構で、企業の潜水調査を受けるなどといったことはあるのか。(佐藤委員)
- 企業等が使うことはあるかもしれないが、研究目的でないものには使わないというシステムでやっている。(事務局)
- 海洋研究開発機構で持っていた船の半分が共同利用研究という形になった方がすっきりするのではないかと思うので、将来的にご検討願いたい。(小池委員)
- 共同利用という面が薄れてくるのは非常に困る。船の寿命が来て代船ができないようだと、自発的な研究ということでは問題が出てくる。今後、考えていくべき。(平分科会長)
3.最近の海洋を取り巻く動き(大陸棚調査)
大陸棚画定調査の状況について、事務局より概要の説明を行った。主な質疑は以下のとおり。
- 大陸棚の問題には、資源の賦存状況、不確定な要素が大きい。日本の政策的観点からして望ましいという視点での説明に欠けている。(兼原委員)
- 資源の賦存状況については、コバルトクラスターや熱水鉱床は普遍的に存在している。資源安全保障の観点からして重要だと思う。また、海洋科学技術センターが大陸棚画定調査に協力することについては、地球の内部ダイナミクスを解く千載一遇の機会である。内閣官房に大陸棚調査対策室ができたが、それは調整機能であり、本当の実行機関ができあがっていない。また、民間委託で調査を行ったとしても使い物にならないデータしか集まらないということもあり得るので、データの品質保証は徹底的にやる必要がある。また、単にデータを提出すればよいという話ではなく、国際級の論文をたくさん出して報告書にまとめて提出する必要があるが、そこの部分が十分に考えられていない。(平(朝)委員)
- 地殻構造調査の現場のヘッドクォーターはどこにできるのか。(近藤委員)
- 具体的な細かい調整は海洋科学技術センターと海上保安庁で直接行う。(事務局)
3.最近の海洋を取り巻く動き(地球観測サミット)
4月25日に東京で開催される第2回地球観測サミットについて、事務局より概要の説明を行った。主な質疑は以下のとおり。
- 生態系が無く、物理とか化学に偏っているように思うが。(平井委員)
- 生態系も対象になっているが、生態系の観測が非常に難しいので今回の地球観測サミットの対象としてどの辺まで入れていくかということも1つの大きな議論の対象になっている。(事務局)
- 地球環境サミットと地球観測サミットは似ているが、関連はあるのか。そもそも持続可能な開発と保全から発した生態系も含めた地球すべてのシステムだと思うが。(堀委員)
- 地球環境サミットでも観測が重要だということがうたわれてきた。(事務局)
- こういう動きがでてきたのはいいこと。今は文部科学省が窓口だが、かなりこれは重くなるだろう。但し、個別の動きが出てきてしまうのは効果的な意味合いが無くなってしまうので、将来的な見通しを持って取り組んで欲しい。(松田委員)
- 日本の観測システムを構築することも重要だが、発展途上国における問題もある。そういうものを含めて一緒にやるということか。(平分科会長)
- 総合科学技術会議でも、日本だけではなく、日本の地理的な要因等も勘案して発展途上国における観測の空白域を埋めるという方向で議論を進めつつある。(事務局)
- 観測は学術的、平和目的のためにあるわけではなく、必ず軍事戦略的な側面も持っている。観測を積極的に行っている先進国の側も、観測されている発展途上国の側も、極めて本質的な問題で有り続けている。日本が自国の観測システムを発展させつつ、かつ、国際間の協力にどのように乗っかっていくかということは、非常に重い決定も含まれているのではないか。(兼原委員)
- 文部科学省が各省庁と連携を取りながらやっているものと、総合科学技術会議で検討しているのとがうまく連動して、1年後に日本のナショナルプランを出す方向はそのとおりにいっている。観測については、既にかなり国際プロジェクトが動いており、そことの連携と、日本の中での優先性、空白域などをキーワードに、それぞれの観測に対してのプランニングをしており、各省庁、大学等が全部挙げて対応する形になっている。(小池委員)
- 基本的には、この地球観測サミットを主催しているのが文部科学省なので、文部科学省を中心に今やっているが、最終的には国としてという観点が必要なので総合科学技術会議のほうで、幾つの項目ごとに真剣に議論いただき、それが日本としての最終的なスタンスになる。(事務局)
4.委員会の審議状況
前回(平成15年5月22日)以降に開催された海洋研究船委員会と深海掘削委員会について、事務局より概要の説明を行った。