新成長戦略(平成22年6月18日)の工程表に、「海洋資源・海洋再生可能エネルギーの開発・普及の推進」が掲げられ、平成22年度補正予算及び23年度当初予算において「海洋資源探査システムの実証」に係る経費が措置された。これを踏まえ、海洋開発分科会海洋鉱物委員会において、研究開発の具体的内容やスケジュール等について平成23年1月より検討を実施し、5箇年程度の中長期的な技術実証計画として作成した。
「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム(基盤ツール)」により開発中のセンサー等については、研究開発は概ね順調に進んでいるものの、実用化には課題が残っており、深海底における十分な実証実験が必要である。あわせて、基盤ツールの実証実験を、JAMSTECが中心となり、JOGMECが既に資源量評価を進めている海域において実施することが有効である。また、複数のセンサーの効果的・効率的な活用を実現するための実証研究も必要である。
探査プラットフォームについては、別紙資料として示している具体的な仕様(案)を満たすAUV、ROVの開発が必要である。さらに、海洋調査の加速のためには、船上のセンサー等による概略調査、AUVによる精密調査、ROVによるサンプリング等、海洋資源調査の一連の流れ全体を1隻で実施することのできる機能を備えた船舶が必要である。
海底熱水鉱床については、平成24~25年度については、沖縄トラフ及び伊豆・小笠原海域において、探査技術実証のための情報の揃った既知の海底熱水活動域の調査を実施し、平成26~27年度から、対象をその周辺に広げるべきである。コバルトリッチクラストについては、南鳥島周辺海域において、平成24~25年度については、過去に調査がなされた海山を対象に調査を実施し、平成26~27年度から新たな海山も対象に加えるべきである。
海洋鉱物資源を対象とした研究は、効率的な探査や環境負荷を抑えた開発等に大きく貢献できる。海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストの成因や各種元素の起源の研究が重要である。平成23年7月に発表されたレアアースを含む海底堆積物についても、産業化にあたって配慮すべき諸課題への対応や、分布を明らかにするための調査研究が必要である。また、石炭・天然ガス等の炭化水素資源の生成メカニズムの解明に基づくバイオCCSの可能性等、新展開も期待できる。
開発された探査技術及び調査結果については、JOGMEC、海上保安庁等と共有することが重要である。
研究開発局海洋地球課