海洋科学掘削委員会(第5回) 議事録

1.日時

令和4年7月26日(火曜日)9時30分~12時30分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 今後の海洋科学掘削の在り方について
  2. 2024年以降を見据えた国際動向について(非公開)

4.出席者

委員

川幡主査、石井委員、小原委員、窪川委員、阪口委員、鈴木委員、巽委員、野田委員

文部科学省

大土井海洋地球課長、戸谷深海地球探査企画官、伊藤海洋地球課長補佐 ほか

5.議事録

【川幡主査】  おはようございます。ただいまより第11期科学技術・学術審議会海洋開発分科会海洋科学掘削委員会の第5回会合を開催いたします。
 なお、本日も御多用中にもかかわらず、委員の皆様には御出席いただき、誠にありがとうございます。コロナが蔓延しておりますので、私は文科省に通常は参って参加していましたが、今日はzoomとなっております。
 本日は、議題が二つあります。一つ目が今後の海洋科学掘削の在り方、2個目は2024年以降を見据えた国際動向となっております。まず議題1を議論します。それで、議題2はこれまで同様に相手国との関係に支障を来さぬよう、今回も非公開にしたいと思いますが、いかがでしょうか。何か特別コメントありましたらお願いします。
(委員より特段の異議なし)
【川幡主査】  じゃあ、従来どおりですね、異議はありません、ないようなので議題2は非公開で開催したいと思います。
 それでは、事務局より定足数の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。本日は、8名全ての委員の皆様に御出席いただいておりまして、本委員会の運営規則第2条に定める定足数の過半数を満たしておりますことを御報告いたします。
 また、事務局としまして、文部科学省研究開発局海洋地球課より、課長の大土井、深海地球探査企画官の戸谷、課長補佐の伊藤のほか海洋地球課の関係者が出席しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第にありますとおり、資料1と資料2を御用意させていただいております。皆様には、事前に議事次第を含め資料を一つにしたものを送付させていただいております。本日の委員会では、議事に合わせて資料を画面共有させていただきます。御不明な点、不備等ございましたら事務局までお知らせください。
 また、資料1としまして、第4回海洋科学掘削委員会の議事録(案)を用意しております。委員の皆様に事前に確認いただき、御意見を反映したものとなっております。万が一追加で修正等ございましたら、明日27日をめどに事務局まで御一報いただきますと幸いでございます。
 事務局からは以上でございます。
【川幡主査】  どうもありがとうございました。
 議題に入る前に、第4回までの振り返りを数分程度でしたいと思います。
 この4回の委員会の議論の重要点を総括し、これをベースに今日議論したいと思います。これから述べること、五つに分かれています。一つ目がフィージブルプランのための要点、2番目が実績、3番目が将来への期待、4番目が改革、5番目が総括ということになります。
 まず、①議論のターゲットは数年から10年として、フィージブルプラン――実現可能な計画を検討するのがこの委員会の目的です。通常の観測船の運用年数30年を適用すると、「ちきゅう」の場合2035年までが対象期間となりますが、前回コメントがありましたように、これにはただし書があります。既得権益としない、長期ビジョンを考慮するという言わば公的な投資という観点を前提とするということになります。
 2番目、実績といたしましては、掘削技術の開発についてはベストを尽くしてきました。お金の相当部分は、科学というよりは技術開発や運用に出費されてきたと考えます。科学に関しまして、三陸沖のJ-FASTや、下北及び沖縄トラフの海底下生命圏掘削では十分な業績が出たと考えています。コストとして、1論文当たり1億円から2億円かかっていますが、海洋のビッグサイエンスの分野ではこのぐらいのコストは立派だと、そのように言えます。
 南海トラフの規模は、今述べたプロジェクトよりも10倍以上、1桁多いというコストがかかって期待が大き過ぎたのか、活動内容が十分と言えず改定を求める様々な指摘があったことは皆さんも御存じのとおりです。なお、「かいめい」、高知コアセンターについては、継続的活用が重要という認識で前回終わりました。
 ③期待についてですけれども、本委員会で「ちきゅう」への今後のニーズの期待が大きいことではコンセンサスが得られたと考えています。
 三つに分かれます科学的視点、社会的視点、技術的視点。科学的視点に関しましては、地震・津波、海底火山、気候変動、海底下生命・技術開発。また、社会的視点では、防災・減災、資源の中でもレアアース泥、メタンハイドレート、CO2の貯留なども将来パイロットスタディで重要かもしれないという指摘がありました。
 技術的視点では、「ちきゅう」は我が国において掘削技術の開発に大きな貢献しましたと。また、それを扱う人材の育成、それでも大きな進歩がありましたということについても皆さん同意していると思います。
 次に、改革という重要なところでありますが、期待に沿うのは抜本的な改革が必要との指摘もほぼ全員のコンセンサスと考えます。
 マントルについては、イメージ先行で過剰な期待を抑える努力が不十分であったとの指摘がありました。この中には、技術とともにサイエンスの詰めが不十分であったとの事項も含まれます。繰り返しになりますが、J-FAST、下北などについては目的が十分達成され、成果も社会と共有されたと考えています。しかし、南海トラフの掘削になると、ほぼ全員の皆様から様々な問題点が指摘されました。今後2035年まで船を使用するのであれば、マネジメントをきちんと改定し、それを実行することが求められるというのが前回までの結論だったと思います。
 何が重要かと申しますと2点あります。一つは情報。十分に情報を開示してくださいと。2番目、責任。所在が明らかでなかった部分がありますねということで、事前の評価、途中評価も含めてプロジェクトを継続するのか、中止するのか、一旦止まるのかということを今後きちっとできるようにというのが皆様の指摘でありました。
 これからの「ちきゅう」を用いた研究の特徴としては、掘削そのもので終了するというよりマルチプルで他分野との融合的な総合研究が期待されているので、従来とは違ったそのような責任ある実施体制の構築が必要と、ほぼ全ての委員より発言がありました。
 現在まで議論してまいりましたが、実はこれ、二つのレイヤー、構造に整理されるかと考えています。ベースとなるのは、文科省の予算以外の部分、例えばレアアース泥とかそういうのも含めて運用も期待が大きい、また技術の期待も大きいということ。全体として「ちきゅう」を活用しましょうという話と、2番目、プロジェクトごとには、石井委員から指摘がありましたように、特に現場との密なコミュニケーション、これがなくしてやっぱり成功はないんだという指摘も皆さんの考えるとおりだと思います。この2点、この2レイヤーに留意する必要があると考えます。
 5番目、総括いたしまして、全体としてアンブレラとしての海洋立国、また技術立国という概念を掘削科学で実現するという観点が根本にありました。掘削とほかの分野の実質的な協力体制、さらに税金を使用するというパブリックを重視した運用、そういうのが求められるというのが全体のベースにあったと考えます。
 以上、議事録より文言を抜粋して整理したもの述べました。もし問題などがありましたら御指摘願います。どうでしょうか。
 今日の議論、今後の海洋科学掘削の在り方をまとめるのに対して、ちょっと前回とは違った感じで総括したというのが今の文章ということになります。コメントありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
(委員より、コメントなし)
【川幡主査】  じゃあ、これをベースに皆さんに今日またお知恵を拝借というか出してもらって、よい報告書をつくり上げることができればと、そのように考えます。
 それでは議題1「今後の海洋科学掘削の在り方について」に入っていきます。本議題では、国際動向を除いた報告書骨子の議論に入りますが、議題は項目ごとに区切って議論したいと考えます。
 具体的には、まずは目次と序文及び「ちきゅう」を用いた海洋科学施策の現状。次に、「かいめい」、「既存コア」を用いた研究開発及び海洋科学掘削に関わる周辺動向。次に、科学的意義と社会的要請を踏まえた今後の海洋科学則の在り方の前半。また最後に、科学的意義と社会的要請を踏まえた今後の科学掘削の在り方の後半についてやっていきたいと思います。
 まずは、目次と序文及び「ちきゅう」を用いた海洋科学掘削の現状について、事務局から御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
【戸谷企画官】  海洋地球課深海地球探査企画官の戸谷でございます。
 今後の海洋科学施策の在り方について、骨子(案)について御説明いたします。
 資料2の1ページ目、通し番号で61となっております。こちらを御覧ください。報告書の目次案でございます。
 もともと海洋開発分科会より「海洋科学掘削委員会での議論における主な調査・検討項目」として示されていたものを基本としておりますが、若干の移動がございます。「調査・検討項目」では、「ちきゅう」を用いた海洋科学掘削の現状と課題として、これまでの検証当時の目標及び実績・経費と科学的・社会的・技術的視点による評価と技術面での課題に項目がなっておりましたが、現状部分をこれまでの活動実績と運用上の課題に分け、活動実績を科学的視点、社会的視点、技術的視点から記載する考えです。
 また、「かいめい」等を用いた研究開発の現状及び課題となっていた部分につきまして、「等」で表現されておりました「既存コア」を用いた研究開発で明示することとしております。
 その次、我が国の海洋科学掘削を取り巻く動向を海洋科学掘削に関わる動向とし、内容としては地球惑星科学研究開発の動向、IODPの動向を記載することとしており、これは海洋開発分科会から示されました「調査・検討項目」と同じでございます。
 その次、調査検討項目案にございました今後の海洋科学掘削を利用した地球惑星科学の研究開発の考え方及び国内外の研究資源を用いた今後の海洋科学掘削の方策につきましては、科学的意義と社会的要請を踏まえた今後の海洋科学掘削の在り方として大きくまとめる構成とする考えでございます。
 次のページ、通しで62を御覧ください。
 1の序文は、「調査・検討項目」にあったIODPが2024年に終了すること、「ちきゅう」のマントル掘削技術に係る検証委員会の取りまとめがあることに加え、「ちきゅう」が船齢を重ね就航から17年が経過していること、また海底広域研究船「かいめい」がIODP掘削航海に従事したことを記載した上で、これまでの実績や各国検討中の国際事情、地球惑星科学における現在の研究動向を調査した上で、科学的意義と社会的要請を踏まえた今後の海洋科学掘削の在り方について検討するといたしました。
 次の2ポツ、我が国における海洋科学掘削の現状として、(1)が「ちきゅう」、(2)が「かいめい」、(3)が「既存コア」についてでございますが、まずは(1)「ちきゅう」を用いた海洋科学掘削の現状について。
 ①のこれまでの活動実績については、柱書きとして、現行IODPの四つの科学目標を明示し、「ちきゅう」が特にそのうち2テーマ、「変動する地球」と「生命圏フロンティア」を中心に成果を上げてきたこと。
 「ちきゅう」及び他国掘削船の乗船機会を活用し、我が国の研究者が科学提案の提出から乗船研究、科学成果創出まで多彩な活躍をし、研究者育成の面からも貢献したこと。
 戦略イノベーション創造プログラム(SIP)を通じ、海底熱水鉱床の開発やレアアース泥回収に必要な技術開発等に貢献したこと。
 「ちきゅう」には、建造、技術開発、運用など、現在に至るまで多額の政府予算が投じられ、建造技術をはじめ操船技術などの関連技術が確立したこと。また、国内での操船者や掘削技術者の人材育成に貢献したこと。
 近年では、海洋分野における研究者の関心が多様化しており、その関心に合わせて掘削以外の手法へのニーズが高まっており、近年は十分な「ちきゅう」の運用が行えていないことを記載いたしました。
 その次に、ア、イ、ウで科学的視点、社会的視点、技術的視点からの現状を記載しました。
 アの科学的視点として、「ちきゅう」がIODPの四つの科学テーマのうち、特に「変動する地球」と「生命圏フロンティア」を中心に成果を上げてきたこと。
 「変動する地球」の具体例として、南海トラフ地震発生帯掘削で掘削孔に長期孔内観測装置を設置し、スロースリップ(ゆっくりすべり)のリアルタイム観測を実現し、掘削とモニタリング、理論とモデリングを融合した研究として科学的期待が高いこと。
 また、東北沖地震調査掘削を地震発生から1年後に実施し、それまで「ちきゅう」が掘ったことのなかった水深7,000メートルという海底からプレート境界断層を掘削し、摩擦熱の計測を世界で初めて成功させたこと。
 「生命圏フロンティア」に関しては、下北八戸沖石炭層生命圏掘削で海底下に大量のアーキアが生息していることを世界で初めて明らかにしたこと。その他優れた科学的成果を上げたこと。
 一方で、我が国が世界をリードする期待を集めて、IODPの枠組みで承認を受けたものの運用側の事情により実現に至っていないものも存在し、運用側は「ちきゅう」運用計画について科学コミュニティも交えた議論を行い、かつ計画決定のプロセスの透明性を確保しながら科学掘削の実現可能性を十分に検証しつつ計画遂行を図る必要があったとしました。
 また、マントル掘削については、人類未踏領域への挑戦という目標が先行し、科学コミュニティにおいて科学意義が十分議論されず、いまだ具体的なサイエンス・プランの策定に至っていない状況とした一方、近年では、科学コミュニティにおいてマントル掘削の科学的意義についての議論及び認識がより深まりつつあるが、「ちきゅう」の就航当初から関連する個別研究の成果を着実に上げ、マントル掘削を目指す意義が社会にも共感されるよう、幅広い科学コミュニティで議論・検討することが必要であったとしました。
 イの社会的視点につきまして、近年、海洋掘削に対する様々の分野からの期待が大きくなっているとした上で、科学掘削は巨大地震の発生場を直接理解できる唯一の方法で、加えて防災・減災の観点からその掘削の意義は非常に大きいと記載しました。
 特に、南海トラフの地震発生帯掘削計画での掘削孔に長期孔内観測装置を設置し、スロースリップの発生の検知に成功したことは大きな成果。また、長期孔内観測装置を地震・津波観測監視システムDONETに接続し、海底下の動きをリアルタイムで観測・監視を行い、関係機関に情報提供を行うシステムが構築されました。これは現状評価や地震発生リスク評価の精度向上に大きく貢献。
 上記のとおり、海溝型地震に起因する被害軽減のため、長期孔内観測装置の設置等、「ちきゅう」に対する社会的期待は高いとしました。
 また、掘削コア試料解析や掘削同時検層・海底堆積物掘削により、断層の構造や組成の解明、地震・火山現象の解明・予想研究に寄与。
 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を通じ、経済安全保障的ニーズが高まっているレアアースの回収に向けた技術の早期確立に貢献。
 さらに、今後は大規模CO2貯留・固定化技術の基礎調査研究など、幅広い分野への貢献も期待されるとしております。
 ウの技術的観点につきまして、「ちきゅう」の建造・就航は、建造技術をはじめ掘削技術や操船技術など関連技術の確立に寄与し、産業界で育まれない苛酷な海象・気象環境下での定点保持技術を確立し、また、ライザーレス掘削に関する種々の機器の開発により掘削効率が向上。
 「ちきゅう」運用に際し、国際標準に対応した労働安全衛生及び環境保全の体系的、総合的管理体制を新たに整備し、安全な運営体制を実現。
 一方で、大水深掘削に必要なライザーパイプの軽量化は、産業界における大水深技術開発が停滞している背景もあり、協力企業が撤退。現時点では解決のハードルが高いと記載しました。
 開発・確立された技術はあり、これらについて、今後の活用・展開が期待としました。
 次に、②の運用上の課題について。
 まず、南海トラフ地震発生帯掘削計画を念頭に、大規模な掘削プロジェクトのマネジメント体制について、意思決定プロセスが不明瞭であるとともに、決定に対する責任の所在が曖昧であったことを外部評価・助言委員会から指摘されていたこと。具体的には、運用以外の部署・立場からのレビュー・審査体制が不整備であったため、内部での決定重点が置かれていたこと。
 大規模な掘削計画は、明確に定義されたプロジェクトと位置づけることが必要で、それにより計画立案、スケジュール管理、進捗管理等を的確に実施することが可能としました。
 また、プロジェクト実施に当たり、Go/No-Goの判断を含めた意思決定、判断に用いた情報、情報共有の方法・時期などを明確にして、後日検証できるようにすることが必要である。
 加えて、科学目標、技術リスク、マネジメントリスク、コスト評価、スケジュール管理、複数シナリオの準備など、全体的な検討を事前に行う体制の構築が必要としました。
 さらに、外部からの意見の取り込み方、現場部門以外の客観的評価体制、プロジェクト実施中の審査体制等の構築が必要と記載しました。
 次に、水深4,000メートルまで対応可能なライザーシステムの開発と大深度掘削に対応するための1万2,000メートル級のドリルパイプの開発が大きな課題であること。
 特に、4,000メートルまで対応可能なライザーシステムに必要なライザー軽量化については、メーカーの撤退もあり、課題克服のハードルは高く、近い将来に解決することは難しい。
 課題解決には「ちきゅう」の船齢、世界的な情勢、予算状況などを総合的に勘案し、現実的に運用可能な検討をすることが必要としました。
 もう一点、「ちきゅう」はライザー掘削機能を備えた世界唯一の科学掘削船で、マントルまで掘り抜くというイメージを前面にPRしたが、本来は運用していく中で段階的に技術開発を進めることを計画して建造された船であり、この実情を周知する取組が必要としました。
 大変長くなりましたが、以上が目次、序文及び「ちきゅう」を用いた海洋科学掘削の現状について、これまでの委員会でのヒアリングや委員会の意見交換を基に報告書骨子として作成したものでございます。
【川幡主査】  どうもありがとうございました。じゃあ、委員の先生方からコメントいただきたいと思います。どなたかありますか。
 では、まず石井先生、お願いします。
【石井委員】  石井です。おはようございます。
通し番号で64ページ、在り方文章の4ページですが、下から3番目のポツ「特に、水深4,000メートルまでのライザー」というくだりですが、ハードルが高いというのはそのとおりです。ただし、その後に続く「近い将来解決することは難しい」という文言は実際に報告書に書かれるときには、技術的な検討の事実をしっかり書き込んでほしいと思っています。
 ライザーパイプ本管全体の軽量化、つまり素材を変更して軽量化しようというアプローチで検討を実施しましたが、これについてはここの文言である「近い将来解決することは難しい」、まさにそのとおりだと考えます。ただし、一方で、委員会の中で何回か述べていますけれども、ライザーパイプには附属している補助管があり、これは小径の4インチぐらいのパイプで、たしか3本ついているはずと記憶していますが、これを軽量化することでかなり軽量できるのではないかという意見がJASMTEC主催の掘削技術に係る検証委員会で出ています。もう一つは、ライザーパイプのサイズのサイズダウン、ライザーパイプ本管の小径化という考えです。このアプローチもあります。
 掘削技術に係る検証委員会の議論より、4,000メートル級のライザーについては、まだ技術的には検討の余地はあると自分は考えておりますので、報告書の中ではそのような記載にしていただければと考えております。
 石井から以上です。
【川幡主査】  どうもありがとうございます。できましたら文言をいただけますかね。今じゃなくてもいいですけど。多分ニュアンスとか技術者サイドとほかの分野の方だと、なかなか何というんですかね、文書をつくるといっても難しい部分ありますので。
【石井委員】  はい、承知しました。
【川幡主査】  これが多分一番いいかなと思います。
【石井委員】  では、文科省の担当の方に文案をお送りすることにいたします。
【川幡主査】  後で伺おうと思ったのは、先生がこの前の委員会のときに現場とのリンク、これが非常に重要だというのをお話しされましたね。それをこの中でもちょっと抜けていたと思いますので、それも入れられたらなと思っていますので。
【石井委員】  はい、承知しました。
【川幡主査】  その分も何かありましたら、適当な文言をちょっと考えていただければいいかなと思いました。
【石井委員】  はい、2点ほど承知いたしました。ありがとうございます。
【川幡主査】  先生のこの前の御発言のときに、皆さん納得されていたと思いますので、コンセンサスだと思います。
 ほかにありますでしょうか。阪口先生、どうでしょうか。
【阪口委員】  膨大な作業をうまくまとめていただいて、まず関係者の皆様に深く感謝いたします。大体この委員会で話し合ったことは網羅されていると思います。
 1点だけ。何度ももう話し合ったことなんですけど、SIP絡みのところ、ここで「ちきゅう」が活躍したことは確かなんですが、プロダクションランのときに「ちきゅう」を使うつもりは全くないと、揚泥管を備えた別のもっと軽微な船を使うことを計画しているということを、この委員会でもSIPの石井さんから発表いただいたと私は理解しています。このレアアースの回収に向けた技術云々ということは、今「ちきゅう」でフィージビリティスタディをやっているということをちょっと付記したほうが誤解を招かないんじゃないかなと。今後もレアアースの回収には「ちきゅう」が使われていくということはないと理解していますので、ちょっと何かそれらしい記載があったほうが私は報告書としてはよいのではないかと思います。細かいことですけども。
【川幡主査】  私もそう思います。先ほど概要を述べたときにも、SIP、CO2の貯留も含めてパイロットスタディ的な小規模なのは「ちきゅう」でやるけど、それ以降はやっぱり税金を効率的に、無駄にしないという意味から別途考えるというのがどこかに確かにきちんと書かれていたほうが誤解を生まないでいいですね、かえって。
【阪口委員】  はい。骨子とあと本体の部分、2か所ぐらいたしか全体の中でありますので、そこはあくまでもパイロットスタディで活躍したと。今後は別のものでやるんだということを明記するべきだと思います。そのような趣旨の説明をされたと理解していますので。
【川幡主査】  そうですね、非常に合理的ないい内容だと思いますので、ぜひ積極的にここに入れられたらと、そのように思います。
【阪口委員】  よろしくお願いします。
【川幡主査】  どうもありがとうございました。野田先生、お願いします。
【野田委員】  「ちきゅう」の①のこれまでの活動実績の最後のポツのところで「近年、海洋分野における研究者の関心が多様化。関心に合わせて掘削以外の研究手法へのニーズが高まっており、近年は十分な運用を行えていない」と書いてあるんですけれども、ちょっとここの意味がよく分からなくって、海洋分野における研究者の関心が多様化したという話は、この委員会でそういう話ありましたでしょうか。すみません、ちょっと記憶が曖昧かもしれないんですけれども。
 例えば、最初のほうの会議で、ここ数年というか、「ちきゅう」のスケジュールとかを表で見せていただいて、すごくメンテナンスとかがいっぱい入っていて、十分な運用が行えていないというのはそうだったんですけれども、そのときに研究者の関心が多様化してしまったからとかそういう議論はあんまりなかったような気がしたんですけれども、どうでしょうか。
【川幡主査】  多分何か背景があるかと、具体的背景でこういう表現になったと思うので、事務局から説明していただけますかね。戸谷企画官。
【戸谷企画官】  これですが、今「ちきゅう」があんまり動いていないという議論があった中で、予算がある一定のものがあって、いろいろニーズが多様化していく中でよそのところに配分していく必要があり、十分「ちきゅう」のほうに予算が割り振れなかったという趣旨で記載させていただいたところでございます。
【野田委員】  なるほど。意味がやっと分かりました。ありがとうございます。
【川幡主査】  どっちかというと、今言われたように書いたほうが分かりやすいんじゃないですかね。関心が多様化したのとはまたちょっと違うような感じでしたよね、今のニュアンス。
【野田委員】  あと「関心が多様化した」と書いてしまうと、研究者の側が、何というかな、ちょっと言葉が適切じゃないかもしれませんけれども、興味を失ってしまったじゃないですけども、そういうふうなニュアンスになってしまいかねないなという気がして、掘削を強力に推進したいと思っている方、ずっとしたいと思い続けておられる方がたくさんおられると思いますので、その辺ちょっと気になったという次第です。
【川幡主査】  戸谷企画官、今のところもう一回言ってもらえますか、さっきの文言。文言というか普通に口語でも構いませんので。
【戸谷企画官】  海洋科学技術関係の予算が全体そんなに大きく変動してない中で、他の分野でのニーズなども高まっており、「ちきゅう」に割り当てられる予算が相対的に、そういうような趣旨です。
【川幡主査】  ああ、そういうね。それを書いたほうが多分いいかなと。実際そうだったわけだし。と思いますので。
【戸谷企画官】  ちょっと舌をかむような言い方ではなく、よりきちっと伝わる適切な言葉を考えてまた御提示いたします。
【川幡主査】  資金とかそういうのが限られていて、ほかの割かなければいけないニーズがあったのでできなかったとかいうほうが、かえって実態を表しているかと思います。
 2019年あたりから「ちきゅう」も清水港におるらしいですけど、それも研究者の関心が多様化したためにあそこにいるんじゃないと思うので。だから、そんな感じがきちっと分かるような感じのほうがいいかなと思います。
【戸谷企画官】  承りました。
【川幡主査】  じゃあ、窪川先生、お願いします。
【窪川委員】  ありがとうございます。一つは今の野田先生と同じ質問だったんですけども、もう一つは、63ページの科学的視点の一番最後のところです。2行目の「科学的意義が十分議論されず、いまだ具体的なサイエンス・プランの策定に至っていない状況」とあるんですが、「いまだ」ということなので、どういうサイエンス・プランの策定を想定していたのだろうかと思いつつ、次は「近年」とありまして「議論及び認識がより深まりつつある」ということで、また最後のところで「科学コミュニティで議論・検討することが必要であった」という文書になっていて、この辺のところが過去現在未来が混在していて分かりにくいところです。
 特に、そのサイエンス・プランの策定は何を想定して書かれているのか。概要のたたき台なのでこれから書き加えられると思うんですけど、注意が必要なのかなと思いました。
 以上です。
【川幡主査】  どうもありがとうございます。このサイエンス・プラン何々とかいうのは、もしかしたら文言をきちっと書いたほうがかえって分かりやすいかなという感じもしますが。例えば、いまだ具体的なプロポーザルが出ていないというのは事実なんですよ。実際に掘削するためにはプロポーザルをきちっとフルプロポーザルというのを出して、それに対してサイトサーベイ、実際に掘れますねというのをもう一回サイトチェックして、コミュニティというIODPのフレームワークの中で、じゃあやりましょうと、いつやってもいいですよというのを決めるということになりますけど、最終的な正式なプロポーザルが出ていないというのも事実なので、それを書いたんですかね、もしかしてね。
 そうすると、サイエンス・プランというよりは具体的な提案書が提出されていないと書いたほうが現実に起こっていることで、次に「議論することが必要であった」というのは、これは過去だから実際そうで、現在マントルも含めた炭素循環なども重要だねという認識が高まりつつあるということになりますので、ちょっと文言を変えるのと、あと過去現在未来に文の配置を変えていくというのをやれればと思います。
 戸谷企画官、何かコメントありますでしょうか。
【戸谷企画官】  承りました。ここの文は、巽先生とも意見交換させていただいた部分ですので、巽先生からもしも何か御意見いただければ。
【川幡主査】  そうですね。巽先生、コメントをお願いします。
【巽委員】  今川幡さんがおっしゃったことでよいかと思います。ただ、私がこれを申し上げた意図は、単なるプロポーザルだけではなくて、これだけのビッグプロジェクトを行うための十分なサイエンス・プラン、多くの方に魅力を感じていただけるようなサイエンス・プランがなかったということも含まれています。
 ですから、今川幡さんがおっしゃったプロポーザルになっていないということも事実ですので、そのことと併せて記載していただいて、過去と現在のことをきちっと整理していただければいいかと思います。
 以上です。
【川幡主査】  分かりました。先ほど、私が冒頭でJ-FAST、三陸沖とか下北の掘削のプロジェクトの話、お話ししましたが、それより1桁多いくらいのお金を南海トラフにつぎ込んだということになりますが、マントルをやる場合には、またそれの何倍かをつぎ込まないと多分マントル行かないというのが現実に実際のお金のかかり方ということになります。そうすると、それに見合うやっぱり内容というのが求められますねというのが今巽先生のおっしゃった真意だと思いますので、それは実際そうであったというのもこの委員会の中で表明されて、皆さんもそれに対して反応なかったと思うので、コンセンサスと思いますので、この文章のところを変えたいと思います。
 また、ちょっと文言を考えましたら巽先生にも見てもらおうと思いますので、よろしくお願いいたします。
【巽委員】  はい。
【川幡主査】  阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  すごく小さいことなんですけど、今の部分でIODP用語の「プロポーザル」、「サイエンス・プラン」というものがここに書かれていると思うんですけども、一般用語とほぼ同一だとは思うんですけども、ここだけ片仮名になっているというのも、要するにIODP用語の中でのサイエンス・プランというものだと思いますので、ちょっと報告書としてIODPテクニカルタームなのか、一般タームなのかということは、ちょっと分かりやすくしとかないと混乱を来しますし、恐らく窪川先生の御指摘もそういうところも少し入っているんじゃないかと思いますので、ちょっと検討しましょう。
【川幡主査】  はい、了解しました。小原先生、お願いします。
【小原委員】  すみません、ちょっと細かいことで申し訳ないんですが、序文の検討の背景の3ポツ目で検証委員会というのがあるんですけど、これはJAMSTECに設けられた検証委員会だと思うんですけど、それが本文のほうにはあまり明確に検証委員会という表現がなかったので、それが何に対応するのかなと思って見ていると、4ページの、②のIODP358の外部評価・助言委員会がそれに相当するんでしょうかね。であれば、もうちょっと表現をそろえたほうがいいかなということ。
 あと、そもそもこの358次の研究航海の外部評価・助言委員会というのが、JAMSTECに設けられたんじゃないかなと思うので、そこはきちっと委員会をどこが設置して、誰に対してそういった助言を行っているかというのは明確にしといたほうがいいかなと思いました。
【川幡主査】  どうもありがとうございます。そのとおりと思います。
【小原委員】  プレート境界に達しなかったということでこの委員会がテンポラリーに設置されたんじゃないかなと思います。今の書き方だと、全ての研究航海に対して何か外部評価・助言委員会が設置されているようにも見えるので、もしかしたらそれは今後そういうことを考えたほうがいいのかもしれないけれども、でももしそうじゃないんであれば、その辺りを明確に書いておいたほうがいいかなと思いました。
 以上です。
【川幡主査】  確かに、前回倉本理事が発表されたときに私質問しましたけど、委員会のコメントとかいって、この委員会のコメントかと思ったら、2013、今小原先生の言われた委員会のコメントだったんだけど、そこのパワーポイントにもどの委員会がというのも書いてなかったし。
【小原委員】  そうですね、どの委員会が誰に対して言っているかというのは結構重要だと思います。
【川幡主査】  今の点、一つはどこが何の目的で設置した委員会かと、それで名称もきちっと書いてくださいと。そこの委員会が述べたことですよというのをしたほうがいいですね。そうしないと、先ほど申し上げたように、J-FASTとか、あっちは褒めたたえて誰も何も言ってないのに、それも駄目だよと言っているのかとか何か誤解をかえって招くかもしれないので。南海トラフの委員会なので、うまくそこはきちっと事実を書いてもらうような感じで改訂しましょう。
【戸谷企画官】  よろしいでしょうか。
【川幡主査】  お願いします。
【戸谷企画官】  深海地球探査企画官の戸谷でございます。
 小原委員、御意見ありがとうございました。私どもの書き方が至らないところがあって大変読みにくくなっているというところがあって、どこの委員がどういうことを言ったのかというところを明らかにしたいと思います。
 こちら、序文のところに書いてありますこの「ちきゅう」によるマントル掘削技術にかかる検証委員会というのは、これは南海トラフ掘削とは別のものでして、昨年立ち上げられましたマントル掘削の技術の現状が今どのようになっているかということで技術検証委員会が立てられて、石井委員が座長を務められたものでございまして、今書いている本文で対応する部分というのは、この資料2の4ページ目にあります水深4,000メートル対応可能なライザーシステムの開発というのが今なかなか難しいという、そういうような結論を出したところでございます。
 この358次航海、南海トラフ掘削のほうの検証委員会につきましては、マネジメント体制がいま一つであったというようなことを勧告・報告したものでございますので、その辺が混乱しないように、きちっと報告書ではお伝えするようにいたしたいと思います。
【小原委員】  ありがとうございます。序文と本文と整合するようにしていただければいいと思います。ありがとうございます。
【戸谷企画官】  承知いたしました。
【川幡主査】  前回聞けばよかったんですけど、358の座長はどなただったんですか。御存じですかね。
【戸谷企画官】  すみません、すぐ出てきませんが。
【川幡主査】  そうですね、だって戸谷企画官の着任する前ですからね。
【戸谷企画官】  申し訳ございません。それでも知ってなくてはいけないところでございました。
【川幡主査】  いえいえ、どなただったんでしょうね、あのとき聞けばよかったですね。
 ではほかに。巽先生、お願いします。
【巽委員】  科学的視点のところで、掘削に至らなかったプロジェクトのことが記載されています。このことは結構IODPのコミュニティの中、もしくはIODPの推進という意味では大きな出来事だったというふうに思います。書かれていることでよろしいんですが、ただ一つ、もう一つ加えていただきたいのは、IODPの中心的な科学計画に関するプロジェクトでもこういうことが起きたということがIODP全体に対して与えたこのインパクトが大きかったというふうに思いますので、そのことを書いていただければというふうに思います。
【戸谷企画官】  承知いたしました。
【川幡主査】  IODPが始まってから、日本以外のところにも「ちきゅう」を持っていくんだというのを最初に言っていたのに結局出なかったんですよ、たしか。というのは世界のコミュニティとしては落胆が結構大きかったと。日本の国際委員会のパネルの委員は、1回ぐらい持っていったほうがいいというのは何度も言ったけど、結局いろんなお金の事情とかいろいろあったのかもしれませんけど持って行けなかった。その理由というのは、コミュニティとしては納得してない。なぜかというのは、じゃあ代わりに説明してくださいと言われたら、コミュニティとしたら言えないというようなこともありまして、やっぱり将来的に「ちきゅう」がさっき申し上げたように2035年ぐらいまで、ぎりぎりまで使うとしたら、やっぱりみんながサポートしたいなというようなマネジメントのシステム、そういうのをきちっとつくるのが重要かなというのを、今お話が出ましたのでここでも述べておきたいと思います。
 じゃあ、まず1巡目で鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】  もうマントル掘削については、科学的意義が十分議論されず、プロポーザルは出ていないという話で、実際マントルを掘る……。
【川幡主査】  正式なプロポーザルね。
【鈴木委員】  掘るという正式なプロポーザルはまだ出ていないかもしれないんですが、それに至るようなプロポーザルというのは出ているという認識だったんですけれども、それはいかがでしょう。試掘というか、そういう次にマントル掘削につながるようなプロポーザルというのは段階的に出ているという認識なんですけれども。
【川幡主査】  今のにちょっと質問ですけど、どこに出ているんですか。
【鈴木委員】  IODPのほうだと思っているんですけど。
【川幡主査】  どこにも書類は出てないと思います。
【鈴木委員】  そういうプロポーザルは一切出てないということですかね。
【川幡主査】  要するに、2050年のサイエンス・プランとか、ロングタームのところではやりましょうねというところには書いてありますけど、それはプロポーザルとは読まないんです。プランですから。という意味です、僕の言っているのは。どこか間違っていますかね。タームの使い方、僕が。もし間違っているなら言ってもらってもいい。
【鈴木委員】  いや、プランとプロポーザルが違うというのは分かっていましたけど、以前私も何度か会議に出たことがあるハワイ沖のプランとかそういうのはあるかなと思ったので、それが将来的にマントル掘削につながるような計画ではないのかなという理解、そういうふうな理解の中で……。
【川幡主査】  でも、あれ提案するためのプランの検討会だという位置づけだと思うので。
【鈴木委員】  まだ提案書としては成立していないということですかね。
【川幡主査】  提案書、これちょっときちっとしておいたほうがいいと思うので、フルプロポーザルで提案されたものだけが本当の提案書で、それは提案に至るまでのプランの検討会みたいな、そんな感じですね。
【鈴木委員】  まだ至ってないということですね。
【川幡主査】  はい。もちろんその背景となるいろんな書類とか何かはいろんなところに書かれているというのは私も存じ上げていますけど、もしそういうのも含めたらすごくたくさんあるので。
【鈴木委員】  なるほど。
【川幡主査】  ほら、プロポーザルを書く前の段階とか、あとそのフルプロポーザルになる前の準備的なプロポーザルも出しましたよとかいったら、現在あるプロポーザルのもう10倍以上、いろんなのが入っているので、そこまでは本委員会でもフォローしてないしという意味で「ないですね」と言っているんです。
【鈴木委員】  了解しました。
【川幡主査】  いや、もちろんおっしゃること分かりますよ。あの検討会やって、ほらハワイ沖でどこ掘ったらいいかなとかいう検討して、みんな将来出そうかなと思って検討してきたというのは分かるけど、それはいわゆる具体的な提案書とはちょっと別の次元のプランですよというふうにしておいたほうが話がクリアかなと思いますので、ちょっと今説明した、そんな感じですかね。
【鈴木委員】  分かりました。
【川幡主査】  ほかいいですか、大体全体的。阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  今の鈴木委員と川幡委員長の議論は、まさに僕がさっきターミノロジーが明確でないから、そういういろんな、ここの委員会の中でもそういう齟齬が出るということは、報告書を読む人にはもっと分からないということなので、まずサイエンス・プラン、プロポーザルというものを明確にすることと、あとさっき巽委員が言ったフルプロポーザルでかつ提出されて、かつIODPで承認されて、さてそれはやるはずのものが運用側の一言で却下されたという大事件があったことがちょっとやっぱり薄いと思うんですよね。それはやっぱりターミノロジーを明確にするということと、どの段階で何をやって、どの段階で何をやって、もうこれ以上上がないというところまで行って承認されたものでさえ一番下でひっくり返るという、そういう仕組みがあったので、コミュニティ全体、それから国際コミュニティ全体からの信用を大きく失ったということは、ちょっとやっぱり僕は書いたほうがいいと思うんですよね。
 逆に、信用があればもっといろんなことが動いたはずなので、そこはあんまりオブラートに入れずに、今後こういう巨大プロジェクトをやるプロセスが大事、承認が大事、承認されたものを国挙げて、また国際的な枠組みの中でしっかりとサポート、ファイナンシャルの面でもサポートするというこの仕組みが大事なので、ちょっとさっき巽さんが言われた、ちょうど今この画面に出ている2番目のポチと3番目のポチのところは、もうちょっとクリアにしたほうがいいか、このタームはどういうことかというのを注釈をつけるか、何かしたほうが誤解を生まないと思うし、ポジティブにもっと次はこうあるべきだということが伝わると私は思います。いかがでしょうか。
【川幡主査】  関連する巽先生、コメントありましたらお願いします。言いにくいところあるかもしれない。
【巽委員】  私、先ほどそこまでは言いませんでしたが、当然この辺までは皆さん御理解いただいているだろうなというセンスで申し上げていました。やはり国際的信頼を失ったというふうには思いますので、その辺りはきちっと書いたほうがいいと思います。阪口さん、フォローありがとうございます。
 それから、もう一つちょっとさっきから気になっていたんですが、川幡さんがおっしゃっていたマントル掘削に関するプロポーザルが全く出ていないというのは確かですかね。私、ちょっとああいうエバリュエーションシステムの中から離れて時間がたつのでよく理解していないんですが、もちろんフルプロポーザルとして通ってないのは存じ上げていますけど、一つぐらい出てたんじゃないの。全く出てないんですかね。
【川幡主査】  じゃあ、これ確かめます。私もちょっとJ-DESCの会議のときに、フルが出てないから、実際に例えば掘削のほうで検討するとかしないとかいうことはできないというふうに伺ったので入ってないと思った。
【巽委員】  ですから、これは事実関係なので、出ているとすればその状況はともかくとしても、出ているものを出てないということは間違っていると思うんです。
【川幡主査】  そうですね。
【巽委員】  そこは確認いただきたいと思います。
【川幡主査】  確認します。
【巽委員】  ただし、出ていたからいいということにはならないということは注意しないと。
【川幡主査】  これもね、でも、出てなかったはずですよ。
【巽委員】  はい、分かりました。
【川幡主査】  最初のほら、小出しの頭出しのところあるじゃないですか。これも含めてというのが今の巽先生の指摘と思うので、そこは事実関係確認します。
【巽委員】  よろしく。
【戸谷企画官】  すみません、1点よろしいでしょうか。
【川幡主査】  はい、お願いします。
【戸谷企画官】  深海地球探査企画官の戸谷でございます。
 その国際的にも大変期待の高かったフルプロポーザル通って、もうReady to goになったものが実施されておらず国際的信用を著しく損ねたということ、大変重要なところでそこを書けという御指摘、承りました。このプロポーザルについては、ちょっと私が認識してないかもしれませんが、CIBのReady to goリストにまだあるのであって、実施されてないというステータスでやらないことが決まったというふうに、実際にできるかどうかといえばできないだろうなという気はいたしますが、ここのところの書き方を誤ると、もうやらないことに決まったというふうになってしまうかと思うんですが、その辺いかがでしょう。CIBの前座長として巽先生、教えていただけるでしょうか。
【巽委員】  CIBでこれが議論されたときには、スケジューリングからは外すということになっていました。その後、ただしそういうものは塩漬け状態で置いておくのはよくないので、きちっと明瞭にしましょうねという議論までしたのは覚えていますが、現状今、だからもうプロポーザルとしては存在していないのか、それとも塩漬け状態なのかというのは、ちょっと私今現状では把握していません。これは事務局に聞いていただければすぐ明瞭に分かることだと思いますのでお願いします。
【戸谷企画官】  そこを確認した上で適切な記述を心がけるようにいたします。ありがとうございました。
【巽委員】  よろしくお願いします。
【川幡主査】  ほかにも別に「ちきゅう」だけじゃなしにJRのほうもReady to goまで行ったけれども、いろんな海域の都合とか時間の都合とかでできてないのもあったかと思いますので、さっき阪口先生も言われたように、IODPの中のこのターム、塩漬け状態というのは実質ほとんどもうできないだろうとかいうのが含まれているので、この報告書を分野外の人が読んで分かるような、真意が伝わるようなそんな文章に推敲したいなと、そのように思います。
 ほかにありますか。小原先生、お願いします。
【小原委員】  すみません、ちょっと細かいことに気がついてしまって。私の研究に関係したスロースリップ、ゆっくりすべりに関する記述が2ページの科学的視点とそれから社会的視点に書き分かれているんですけれども、そのうち社会的な視点のほうの1行目ですね、「発生の検知に成功した」というところ、発見したということ自体は科学的成果というか科学的視点のほうに入れていただくといいかと思います。社会的視点は、その発見を受けて、DONETに接続してリアルタイムで監視を行うというところで構わないと思いますので、発見自体は科学的視点のほうに入れたほうがいいかなと。
 すみません、私も事前に気がつけばよかったんですけど、今頃ですみませんが。
【川幡主査】  まだあれですから、推敲の時間とかプロセスたくさんありますので。
【小原委員】  修文はいたします。
【川幡主査】  どうもありがとうございました。さっき申し上げたように、また全体の議論の時間も取ってございますので、もし特別ないようでしたら次にいきたいと思います。よろしいでしょうか。
(委員より特段の異議なし)
【川幡主査】  では、続いて「かいめい」と「既存コア」それぞれを用いた研究開発、地球惑星科学研究開発の動向及びIODPの動向について、事務局から御説明をお願いいたします。
【戸谷企画官】  深海地球探査企画官の戸谷でございます。
 検討資料の5ページ目、お開きください。
 2の(2)「かいめい」を用いた研究開発について、記載してございます。
 「かいめい」は、大水深で40メートルから60メートルまでのコア採取が可能な装置を装備しています。これまで改造を重ねながら様々な航海で用いられていること。特に2021年のIODP航海「日本海溝地震履歴研究」では、最大水深8,023メートルから日本海溝のコアを連続的に採取し、所要の成果を上げました。
 これらを使って採取したコアを用いて、地球物理学、古環境、極限生命圏等の研究を進めることを今後も期待されています。
 その一方で、「かいめい」は掘削専用船ではなく、多くの装置を装備して多様な研究航海に従事することが期待されており、運用スケジュール策定に当たり、事前の十分な計画策定と調整が必要としました。
 次に、2の(3)「既存コア」を活用した研究開発について。
 高知コアセンターには、過去50年間にわたる国際プロジェクトで採取された掘削コア約146キロメートル分が保管されていること。
 年間150件程度のサンプルリクエストがあり、国内外の多分野の研究者によるコアを活用した研究が進展。多数の論文に寄与。
 また、複数の異なる研究航海で採取されたコアを横断的に分析することにより進む研究や、高知コアセンターの分析解析による研究など、コアを活用した研究も存在するとしました。
 続きまして、3ポツ海洋科学掘削に関わる周辺動向のうち、(1)地球惑星科学研究開発の動向について。
 研究対象は多岐にわたり、それらを理解するための研究手法も多岐にわたること。
 本委員会では、地球惑星科学のうち、古環境・古気候研究、極限環境生命圏研究、火山・火成活動研究、海底観測研究、地震研究、マントルダイナミクス研究の6分野について動向を聴取いたしました。
 深海科学掘削によるサンプリングのほか、陸上掘削や氷床掘削など、掘削によるサンプリングが重要な研究分野が存在。
 掘削に加え、採泥や堆積物のコアによる研究、観測データによる研究、サンプル・データを基にシミュレーション・室内実験・理論を活用して進む研究も存在することが示されまして、研究の目標に応じて単一手法ではなく複数の手法が適切に組み合わせて用いられ、総合的に研究が進むこと。
 そして、掘削の場合は、必ずしも大深度掘削に限らずとも進む研究が存在すると記述いたしました。
 次に、3の(2)IODPの動向につきましては、これまで第1回のJ-DESC益田IODP部会長からヒアリングのほか非公開議事で御報告させていただいておりましたが、その中から公開が適切と考えられた部分について、こちらにまとめてございます。
 米国につきましては、ジョイデス・レゾリューション号が就航から40年を経過し、運用終了を見据えて後継船建造の構想を検討している段階にあります。
 そして、米国の動向が不透明であることを踏まえ、欧州海洋研究掘削コンソーシアム――ECORDから日本側関係者に対し、共同プログラムを構築することが提案され、両者は日本ECORD共同プログラムを軸に、他国との緩やかな連携構想を併せて検討中であること。
 中国は、新たに掘削船を建造予定で、国際的な科学掘削にも提供する予定であること。
 このように各国の状況や志向に様々な変化があり、2024年以降、IODPは継続されず、現時点では後継枠組みも不透明であること。
 一方で、これまでのIODPの枠組みの中で、国際委員会メンバーとして日本人研究者を派遣することにより、国際的に活躍する研究者が育成され、互恵的な研究者交流が進展してきたことを記載いたしました。
 以上、2(2)の「かいめい」を用いた研究開発、2(3)の「既存コア」を用いた研究開発、3(1)の地球惑星科学研究開発の動向、3の(2)IODPの動向について、駆け足で御説明いたしました。
 以上です。
【川幡主査】  どうもありがとうございました。本項目について、御意見あったらお願いしたいと思います。
 ちょっとテクニカルなところですけど、この「かいめい」を用いた研究開発のところですけど、この研究はたしかECORDと共同で「かいめい」はたしかMission Specific Platformとして用いられ、航海を実施し、ヨーロッパとの具体的な共同研究というんですかね。そういうフレームワークの下に行われました。非常に成功裏にサンプルが採れていますというのが書かれるといいなと思いました。
 ちょっと具体的に、文言に入れないけど情報をお伝えしますと、水深8,023メートルで普通に泥を採るというのは、実はすごく大変なんです。やっぱり採るほうの最高のテクニックというんですかね、池原先生が自ら乗って採ってくださいましたけど、なかなか採れるワイヤーの長さではないというのはここで言っておきたいと思います。
 実際にコアが採れて、たしかまだ開けてなくて、この秋か何か開けるんだと思いますけど、きちっと入っていると思いますけど、そうすると日本海溝の地震、津波、そういうのが何年置きに今まで起こったかとかいうのが非常にクリアに出てくるんじゃないかと。そのように期待される堆積物採取ということが言えるかと思います。
 では、皆様にコメントいただきたいと思います。阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  細かいことなんですけども、「かいめい」のジャイアントピストンコアラーのスペックというか、表に出ているのは40メートルまでなんですけども、実際はどうなんですか。JAMSTECからよく出てくる、だからマントルまで掘れるというのと同じセンスなんですよね。60メートルまで一応コアピストンがあるけども、公開されているスペックは40メートルまでなんですよ。
なので、ここに60メートルって書いているのはどうなんでしょう。JAMSTECの2021年の資料でもちゃんと40メートルって書いてあるので。たしか60メートルまで掘れるというか採れそうな装置はあるんですけれども、採れるかも分からないけど採れると書いちゃうと。。だから、これ本当にJAMSTECのマインドなんですよ。マントルまで掘れるって言うんですよ。そこはちゃんと正しいことを書けという意味です。JAMSTEC自らがオープンにしている資料では、小さいほうのピストンコアラ―が20メートルでジャイアントピストンコアラ―が40メートルって書いてあるので、ここでもやっぱりちゃんと40メートルと書くべきだと私は思います。
【川幡主査】  はい。じゃあ確認して、40メートル程度までというのを……。
【戸谷企画官】  すみません、補足してよろしいでしょうか。
【川幡主査】  どうぞ。
【戸谷企画官】  阪口先生、御意見ありがとうございます。前回のJAMSTECの発表でもございました「かいめい」にはGPC――ジャイアントピストンコアラーと一緒にBMSを積んでおりまして、60メートルというのはBMSが掘れる深さということで、「かいめい」が積んでいる装置ということで書かせていただきました。ちょっとそこら辺が完全に、ジャイアントピストンコアラーだけを言っていることが多かったので、伝わりにくく申し訳ございませんでした。
【川幡主査】  なるほど。でも、この文章の続きからいくと、ピストンコアだから40メートル程度のほうが正しいような気がするけど。
【戸谷企画官】  ちょっとそこの書き方を誤解ないように。
【阪口委員】  ちゃんと分けるかですよね。
【川幡主査】  そうですね、分けたほうがいいんじゃないですかね。その下のもうちょっと、掘削するときにはといって。ピストンと掘削とはちょっと違うんでね。
【阪口委員】  違います。
【川幡主査】  だから、分けて書いたほうがかえってアピールできるかもしれないですね。
【戸谷企画官】  では、GPCで40メートル、BMSで60メートルというような書き方で書くようにいたします。
【川幡主査】  そうですね。
【戸谷企画官】  失礼いたしました。
【川幡主査】  多分この8,023メートルの日本海溝のコアはマキシマムで40メートルだったんじゃないですかね。
【戸谷企画官】  そのとおりです。
【川幡主査】  じゃあ40メートル程度にしておいて、一方で掘削装置だと60メートルまで能力ありますよって別に書いたほうがきっとみんな正しく認識できるかなと思いますね。ありがとうございます。
 ほかにコメントありますでしょうか。小原先生、お願いします。
【小原委員】  また細かいことですみませんけど、「かいめい」の3ポツ目で「これらを使って採取した」というその「これら」が一体何かというのがちょっとよく分からなくて、つながりからすると2021年の航海のことなのか、でもそれよりはこれまでの様々な航海のほうが流れとしてあるのかなと思いますので、その辺り明確にするといいと思いました。
【川幡主査】  そうですね。「様々な航海で採取した」のほうが適当じゃないかなというのが今の御意見ですけど、多分そうだと思いますね。ということで、「これらを使って」は「様々な航海「かいめい」を使って様々な航海で採取したコア」についてというので改訂したらいかがかと思います。
【戸谷企画官】  分かりました。ありがとうございます。
【川幡主査】  ほかにありますでしょうか。
 前回もここの部分は、あんまり困ったことというか、今の状況を発展してやってくださいねというのはほぼコンセンサスだったと思いますので、それがそのように今書かれていると思うので、あまりコメントないかなという感じもしていますが、もしありましたらお願いします。
窪川先生、お願いします。
【窪川委員】  ありがとうございます。今、川幡先生からいろいろ議論されていたことなのでというお話があったので言いづらくなっちゃったんですけど……。
【川幡主査】  いいですいいです、どうぞどうぞ。
【窪川委員】  地球惑星科学研究開発の動向のところ、これから補足をいろいろ追加していくところだと思うんですけれども、構成をどうするかというところがやっぱり難しいなと思って、特に最後の「掘削の場合は、大深度掘削に限らずとも」ところは、丁寧に説明しないといけないと思うので、要するに大深度掘削が不可欠とする研究及びそれに限らずとも進む研究というような、広い研究の在り方、あるいは具体的に今日本で進めている研究に関しても丁寧に書いていただけるといいなと思いました。
 以上です。
【川幡主査】  例えば、今画面に出ている「研究の目標に応じて単一手法ではなく」とかその辺りですか。
【窪川委員】  そうですね。それと一番最後の「掘削の場合は」というこの辺、いろいろ議論があって、それをまとめるとこういう言葉になるのかもしれないんですけども、丁寧に書いていただきたいということ。特に「大深度掘削に限らずとも進む研究」というのは、当然それは存在するというのは分かるので、どういうふうに書くかというところ。
【川幡主査】  いやいや、窪川先生言われたことよく分かるんですけど、みんなもきっと同じように思っていると思うので。どうやって書いたらいいですかね。もし可能なら文案を2行ぐらいでもらえますかね。
【窪川委員】  そうですね。
【川幡主査】  それがいいかなと思います。実際に、皆さん発表されましたけど、なるべく掘削以外の広いところから掘削を見ましょうという感じで情報提供していただきましたので、様々な方面の広がりがあるなというのを感じましたので、うまくそこを書ければいいかなと、そのように思いますね。
 阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  高知のコアサンプル保管の部分がさらっとし過ぎている感じがするんですね。というのは、これ私も誤解していた部分もあのときあって川幡先生に修正していただきましたが、世界を代表して、何か所かしかないですよね。
【川幡主査】  3か所。
【阪口委員】  ですよね。それをちゃんと明記して、そのうちの一つを担っていて地球の過去の……。
【川幡主査】  オープンサイエンスも含めてね。
【阪口委員】  アーカイブになっていて、今後地球環境についての研究に絶対的に必要であるということと、それからなぜ私がここを強調しているかというと、これのお金がなくなったらいいかげんになるというようなことが我が国ではあってはならないということをやっぱりここの部分で主張しておくべきだと思うんですよ。もっとここはぴかぴかに輝かせて、唯一無二のものであって我が国を代表する、もう本当に正倉院とかそれに匹敵するようなものであるというような、何かインパクトのある表現が私は必要かなと思いますので。ここはすごくよい部分なので、ぜひ強調する修飾語を並べていただきたいと思います。
【川幡主査】  はい。前回、阪口先生からも嫌々やることではなくて、世界から褒められる、そういう国際貢献をすべきだというのは1点、大きな御指摘ありましたので、それが分かるような感じで書きましょう。
 それから、あともう一つはオープンサイエンス、それを一番古くからやってきた国際プロジェクトの、もしかしたら一番古いかもしれないというのがこのIODPのシステムなので、それを世界の3極で担っているというのが高知コアセンターですよというのが分かるように。大幅に加筆しますので、どうもありがとうございます。
 ほかにありますか。小原先生、お願いします。
【小原委員】  すみません、今の阪口委員の御指摘は大変よいと思いますので、そういう意味では、高知コアセンターは高知大学のセンターとしては国内の共同利用・共同研究拠点になっていますし、JAMSTECの高知コアセンターという意味ではもう国際的な共同利用・共同研究拠点になっていますので、そういう国内外の共同利用・共同研究の拠点であるということをもっと明記していただくといいと思いました。
【川幡主査】  あとプラスするなら、施設は高知大学が、大学側が整えて、運営、冷凍機の電気代とかそういうのはJAMSTECが負担するとか、国研と大学が共同して盛り上げているというのもきちっと書くといいですねと思いました、今。御指摘ありがとうございます。
 ほかに何かありますでしょうか。
(委員より、特段意見なし)
【川幡主査】  では、また時間を最後に取ってありますので、ありがとうございました。
 次に、進みましょう。今後の科学掘削の在り方について、事務局から御説明お願いいたします。
【戸谷企画官】  深海地球探査企画官の戸谷でございます。
 4番、科学的意義と社会的要請を踏まえた今後の海洋科学掘削の在り方については、六つの問に整理いたしまして、あらかじめ委員から頂戴した御意見を整理いたしました。まず、Q1からQ3を御説明いたします。
 Q1、「ちきゅう」の掘削性能を用いることで成果が見込まれる分野・課題は何か(社会的ニーズも踏まえつつ、国家として「ちきゅう」で行うべき、「ちきゅう」でしか行えない掘削は何か。)
 科学的視点におきましては、科学的視点としては、J-DESC要望書に上がっている地震・津波、海底火山、気候変動、海底下生命・物質科学、技術開発の5分野で、掘削による高い成果が見込まれる。
 海洋由来災害の理解と減災に関するトピックスが有望。アクティブマージン――これは活動型大陸縁辺部、地震や火山が多いところ――にあり、かつ台風などの気象災害も多い日本でこそ世界をリードできる分野と言える。
 サイエンスで研究者個人の好奇心は重要であるか、科学コミュニティにおいて、多様な好奇心をもとにしたより大きな目標・目指すべき方向性を議論し、それに向けて海洋科学掘削コミュニティを含めた多方面から賛同されることが今後求められる。
 社会的視点につきましては、南海トラフなど海溝型地震発生帯への長期孔内観測装置の複数設置によるリアルタイムモニタリングは、応力状態の即時的把握を可能とし、現状評価や予測に大きく貢献。科学的・社会的どちらの視点からも重要。紀伊半島南東沖では、3点設置された結果、スロースリップ(ゆっくり滑り)の発生状況をかなり正確に捉えられている。今後、南海トラフの各エリアに設置する計画もあるが、三つのエリアに1か所ずつではまだ少なく、さらなる展開が期待される。
 理論やシミュレーションの土台となる地震発生場の環境条件を把握するためには、南海トラフの震源断層までの深部掘削も重要な課題。ただし、フィージビリティやマネジメント面の検討は必須。
 巨大地震発生直後の緊急掘削は、巨大地震の発生メカニズム解明において、科学的・社会的視点からも重要。このような緊急掘削は、巨大地震の震源断層付近の地質試料の採取や温度計測等が必要であるため、プレート境界まで掘削することが重要。一方、技術的に困難な場合であっても、その途中までの試料採取や検層を用いて巨大地震の影響を明らかにすることが可能。
 国内外における海域火山噴火に伴う災害・被害の発生によって、超巨大噴火を含む海域火山噴火に対する関心が高まっており、掘削により発生メカニズムや噴火の推移を解明することで噴火予測に貢献する可能性。
 「ちきゅう」に限らず、海底下40メートルから100メートルの掘削で、巨大地震・大規模噴火の履歴が解明されることにより、大規模低頻度現象の理解が一層深まり、今後の予測への貢献が期待される。
 経済安全保障の観点から、海底資源開発に向けた活用への社会的ニーズが高まっている。
 気候変動に関しては、長期間の変動とともに、イベントなどにも対応する100年から数百年をターゲットとした環境復元は人新世を考える上でも重要である。
 そして、技術的視点におきまして、操船技術や掘削技術など「ちきゅう」で培われた掘削関連技術は維持される必要。
 我が国保有の技術として、「ちきゅう」以外の展開・活用にも期待。
 操船・掘削技術者の国内人材の育成は今後も必要であるという意見をいただいております。
 Q2、うち、今後5年から10年のタイムスパンで特に実現可能性の高い掘削、研究開発は何か。
 技術的現状及び現時点での運用見通しを考慮すると、今後5から10年でマントル掘削の到達は極めて困難である。
 南海トラフの地震発生帯深部掘削は、これまでの経緯を鑑みて、その技術的難易度、資金規模、プロジェクトマネジメント体制などを含めた精緻なフィージビリティの検討が必須。
 防災・減災に資する長期孔内観測装置の設置は、これまで実績もあり実現性も高い。
 海底資源開発に向けた活用など、社会的要請を踏まえた実現性の高い掘削も重要。
 海底への二酸化炭素の地層貯留など、ゼロエミッションやネガティブエミッションへの手法の一つとしても期待。
 海域火山活動や地震活動が活発な海域におけるリアルタイム観測網の構築も期待される。
 我が国の社会ニーズを踏まえた掘削を可能とする技術開発を進めることが妥当。
 科学的モチベーションに不可欠な技術の開発は、「ちきゅう」の運用の大前提であり、国内外の知見を集め、確実に確立する必要。確立後の技術は、我が国保有の技術として、科学掘削以外の分野にも応用することも可能。
 次に、Q3、掘削・研究開発の実施に当たり、特にマネジメントの視点で留意すべき事項は何か。
 大規模な掘削計画をマネジメントする場合、プロジェクトとして位置づけ、意思決定プロセスや決定者の明確化、Go/No-Goの事前検討など、これまでの運用上の課題を踏まえて改善が必要。
 掘削を行う科学的意義について、特定の科学コミュニティだけでなく、幅広い科学コミュニティで議論し、認識を深めていくことが重要。その上で、科学に携わっていない人に理解してもらう努力が必要。
 科学コミュニティが最終的な目標を明確にすることで、5年から10年で何をすべきか、必要な技術検証は何かを判断することが可能。
 技術の現状を明確に認識し周知することで、それを踏まえて現実的な検討をすることが可能。
 運用主体であるJAMSTECでは、運用計画の策定及び決定プロセスの透明性の確保が不可欠。運用側と科学コミュニティとのコミュニケーションを深める必要がある。
 以上、Q1からQ3まで読み上げさせていただきました。
【川幡主査】  どうもありがとうございました。まずはQ1からQ3、その後、済みましたらQ4からQ6に進みたいと思いますので、まずこの部分についてコメントをお願いします。
 じゃあ、私のほうからちょっと補足も含めてですけど、気候変動のときにちょっと時間が足りなかったのでそのまま通過しちゃったんですけど、気候に関しましては、掘削でやる意味は二つ、付加的なもので二つあるかなと思いますので、それをちょっと言っておきます。
 一つは、長期間、超長期、何千万年とか何億年とかいうのだと、何か私たちの生活している時間レンジと違うなと思われる方も多いかもしれませんけど、この2億年の中で一番温かかったのは大体1億年ぐらい前だと言われているんです。ですけれども、地球が日本ぐらいの緯度のところで、当時38℃あった。今一番温かい海洋水というのは、インドネシアの北にありまして、大体温度29℃なんです。それ以上上がらないんです。なぜならば、入道雲ができて、積乱雲ができまして、サーモスタットみたいになってそれ以上温度が上がらないという機能が地球にありまして、29℃。でも1億年前は38℃ぐらい、東京辺りでもあったかなと、そんな感じのことが定量的に解析されていまして、何が言いたいかというと、この地球という星が温暖化したときに、究極で何度まで上がるかという研究はやっぱり重要で、この星の一番の根本のシステムを明らかにするということなのでこれが一つ。
 2個目は、地震などでも、何年前にもありましたねとかいうように長い何万年スケール、何千万年スケールの話から、一、二秒の話までいろいろ御紹介いただきましたけど、気候変動でもイベントというのは、例えば分かりやすい例でいくと、5,500万年前のPaleocene/Eocene境界というのがありますけど、今後今世紀後半から二酸化炭素、大気中にあると地球温暖化、海に溶けると海洋酸性化を招きます。それで、2050年以降どんどんと炭酸カルシウムが溶けていくという時代になります。皆さんが老人ホームに行く頃には貝が溶けちゃっているよとかいうのをテレビで見ることになると思いますが、5,500万年前、1万年ぐらいかけてメタンハイドレートが崩壊して、メタンハイドレートは酸化されて二酸化炭素になりますという時代はイベントと言われる普通の時代とは違う感じなんですけれども、実は現在、その5,500万年前の30倍で二酸化炭素を放出していまして、実は1万年前というのは現在で言うと300年、すなわち2400年にはほとんど全ての海域で炭酸塩は全て溶けてしまうというふうに5,500万年前はなったんです。今度なりますかというと、多分二酸化炭素が出たらなります。なぜなら、簡単な単なる反応だけだから。
 ということで、現代の人新世というのに直で役立つのはイベントだと思いますので、そういう研究したらということで1個目、地球の持つ究極のバウンダリー条件を求める。2個目は、同じタイムレンジ、100年とかそのスケールで急激に変化する時代の解析をする。これがトピックスとして重要かなと、そのように気候変動では思います。
 では、ここの部分ちょっと欠けていたので、今私申し上げましたけど、ほかの先生からこのQ1からQ3の部分について、コメントいただければと思います。お願いします。
 巽先生、どうでしょうか。
【巽委員】  巽です。Q2のところで「海域火山活動や地震活動が活発な海域におけるリアルタイム観測網の構築も期待される」と書かれていますが、もちろんそれも大事なんですけども、それと掘削を組み合わせた包括的かつ総合的な予測、地震火山の予測研究が期待されるんだというふうに書き換えたほうがいいと思います。
【川幡主査】  おっしゃるとおりと思います。この委員会でいろいろ議論していた内容は、掘削そのものから得られる情報も重要だけども、それをもっと価値あるものにするのは、ほかの情報と組み合わせることでということが何回も議論されてきましたので、今巽先生の御発言、その延長上にあると思いますので、きちっと書いていければと思います。
 ほかにありますでしょうか。小原先生、お願いします。
【小原委員】  今の巽先生の御意見、大変ごもっともだと思いますので、それをもうちょっと、何というかリアルタイム観測網もこの委員会の中では長期孔内観測装置との接続がやっぱり重要であるということだったと思いますので、その三つ上のポツと並べれば少し文脈というか意図が分かるんじゃないかなと思いました。
【川幡主査】  はい。ほかに。鈴木先生なんか、生物のことをここに書いてないんですけど。書いたほうがいいですよね。
【鈴木委員】  はい。生物のこと書いてなくてやっぱり……、そういう、そうですね、でも生物のこと、例えば極限生物となると、やはりある程度の深度掘削が必要になってくるかなというふうには思ったりはしています。もちろん表層でも物質循環なんかと生物の関係性というのは分かっていくところはあるし、今後人新世に海底微生物がどう重要であるかというか、関連しているか、かなり大きく関連していると思うので、その辺りは重要かなと思う一方で、やっぱり大深度掘削、ある程度深度のあるところまで、どこまで微生物がいて、どの程度機能しているのかというのを理解するというのも、新しさというか、フロンティアとしては重要な側面であるというふうに私自身は考えています。
【川幡主査】  J-DESCのほうで議論したときも、具体的に何に役立ちますよという期待よりも、微生物の分野はやっぱり子供とかそういうのに夢を与える、科学とか技術、そんな側面が大きいかなという意見が多かったんですけど、何かそういうのも科学がというか、学術が進歩していくときには大事なので。
【鈴木委員】  そうですね。
【川幡主査】  できたら1行ぐらいか2行ぐらいでいいから、文をもらえますかね。
【鈴木委員】  分かりました。そういった生物のことを知っていくことは子供に夢を与えること、あと生命進化とかそういったことにも重要、あと微生物における物質循環を理解する上で重要だというようなことなんかも書き加えられたらと。
【川幡主査】  昔は何か薬品とか何かいろんな機能に役立つんだなとかいうのが結構言われたときもあったけど、最近何かあまりそういうふうに聞かないんですけど、具体的に何か深海の生物が薬に役立ったとかいう事例はあるんですか。
【鈴木委員】  薬っていうのはなかなかないかなと思うんですけど、逆に今後、例えばCO2の固定なんかを地下でしていくなんていうときには、微生物による物質変換による、要は天然ガスなんかをつくっていく方向の地下微生物の利用というような方向というのは考え方としてはあるかなというふうに思います。
【川幡主査】  夢のほうでいいんで。そっちのほうがいいから。そういうのも大事なので、学術には。
【鈴木委員】  そうですね、学術においてはそういうことも大事なのかなというふうに思います。
【川幡主査】  勉強する少年と少女をつくるというのも大事。すみませんけど、1行か2行で文をいただければと思います。
【鈴木委員】  はい。
【川幡主査】  阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  Q2なんですけども、今後5年10年の短期スパンで特に実現可能性の高い掘削、研究開発は何かという問いに対して、一つ目のポチはできないことを書いて、二つ目のポチはできたらいいな、でもあんまり難しいよと。だんだん下に行くほど実現性が高くなっている、そういうグラデーションになっているのでしょうかという確認がまず一つ。
 それから、Q3の部分で三つ目のポチの科学コミュニティが最終的な目標を明確にすることで、5年10年で何をすべきか、必要な技術検証は何かを判断することが「必要」だと思うんですよね。「可能」じゃなくて。
【川幡主査】  はい。
【阪口委員】  それから、同じくQ3の一番下のポツの透明性確保、それから、コミュニケーションを深める必要があるというところ、連中は「いや、十分やっていました」と必ず言うんですよね。なので、何というか、これまでのレベルをはるかに越えてこの透明性と科学コミュニティと運用側のコミュニケーションを深める必要があるということを、少し今までのレベルでは不十分だったということを読んだ瞬間に感じるような副詞句というか何かが必要で、それをつけてないと「いや、こんなこと言われてもやってきました」って必ず言って全然進歩しないので、もうそれは見えているので、ちょっとそこを明確にするべきだなと感じます。
 以上です。
【川幡主査】  後半の部分については、文案を作成した後、阪口先生にも推敲してもらって意図がきちっと出るかどうかというのをお願いできればと思います。
【阪口委員】  やります。
【川幡主査】  Q2の部分ですけど、戸谷企画官から何かコメントありますか。
 これ、ちょっとまず感想ですけど、すごく正直ベースで委員会で使った時間の長さに応じて書いてある。だから誤解はないのが……。一番伝えたいのは、阪口先生が言われたように、誤解している部分をまず解きなさいというのがあったじゃないですか。それが一番最初になっちゃった。まあ、いいです。
 じゃあ、戸谷企画官、まず御説明お願いできますでしょうか。
【戸谷企画官】  いや、御説明申し上げるほどの深い考えは実はございませんで、特に意図的にグラデーションをつけたとか、そういうこともございませんが、川幡先生がおっしゃったとおり、ちょっといろいろ御議論された中で、ここは書かなくてはというところを書いていった結果このような形になっております。その構成などについても、また御意見いただいて改善できたらと思います。
【川幡主査】  一つのやり方は、できそうなものから書いておく。ポジティブなものからというのも一つで。もう一つは、時間かけたので誤解を解きたいって言ったら最初にこう書いておくのもいい……。
【川幡主査】  どうしたほうがいいですか、阪口先生、コメントをお願いします。
【阪口委員】  このQ2のタイトルが「実現可能性の高い掘削、研究開発は何か」という問いなので、そこに実現性のないものが頭から並んでいるというのが。いや、この議論したことがすごく大事なので、この上の二つ、ポチ一つ目とポチ二つ目は書かない手は絶対ないんですけども、ここに入れるべきなのかということが、初めて読む人はこれから5年10年で何やればいいのかと見たときに、何か混乱するんじゃないかという、そういう心配です。
【川幡主査】  多分Q2の設定はポジティブに書きたいなという、知りたいなというのから高い実現性のあるものは何かという問いになったけど、内容とちょっとギャップがあったというのが阪口先生の指摘ですね。
【阪口委員】  なので、実現性の低いものは何かって、この問いに二つ並べてきちんと分かるように書けば、非常に読む人はクリアで、5年10年だとマントル掘削は駄目なのねと、難しいんですねと。それから南海トラフ掘削も相当体制等、資金等を整えないことには難しいんだなというのが理解してもらえると思うので。
【川幡主査】  どっちかといったら、じゃあQ2の問いのところをまず変えて、それで順番とか何かもちょっと変えて書くのがいいような感じがしましたね。
【阪口委員】  はい。
【川幡主査】  ほかにありますでしょうか。鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】  先ほど、何かプロポーザルが出ているか出ていないかみたいな議論があって、一応IODPのアクティブプロポーザルというのを見てみたところ、一応というか一つ出ていて、ハワイ沖で「Mohole to the Mantle」プロジェクト関連でフルプロポーザルが一つ出ているので、出ていないというのはちょっと間違いです。
【川幡主査】  ああ、じゃあそうですね、すみません、間違えました。
【鈴木委員】  いえいえ。5年から10年でマントル掘削は困難だということは私も賛同するんですけれども、一方でこういうプロポーザルとして今後5年10年では難しくても次につながる可能性があるというのは、一刀両断してしまう必要もないのかなというふうには思います。
【川幡主査】  そこはちょっと文言をみんなで検討しないと、また誤解を招いて、さらなる何かモラトリアムな期間が継続するのもよくないので。
【鈴木委員】  おっしゃる通りですね。
【川幡主査】  すみません、間違えまして。
【鈴木委員】  いえいえ。違う情報が議事録に残るのはよくないなと思い、確認しました。
【川幡主査】  ありがとうございます。石井先生、お願いします。
【石井委員】  石井です。何かを書き加えてくださいという事ではないのですけども、技術ということではなく、「ちきゅう」の稼働という側面で考えますと、委員会の最初にあったように現在、「ちきゅう」はあまり稼動してないという事実は、「ちきゅう」という船にとって一番の問題と考えます。というのは、物は使わないと、さびついてしまいます。「ちきゅう」も同じであって、メンテナンスでは機器毎の点検はしておりますが、機器全体に負荷をかけた運転をしていませんので、実際に稼働させたときに不具合が起きることもよくあることです。長期の稼働しない期間は、機器全体での運転確認が難しいことから、掘削機器、操船機器には非常良くない条件であり、やはり稼働させつつメンテナンスすることがすごく大切であると考えます。この先、「ちきゅう」による科学掘削に対する色々な要求がでてくることを考えると、とにかく「ちきゅう」を動かすこと、稼働させることを考えるべきではないのかというのが一つ。
 あともう一つは、長期の稼働しない期間は人材育成もできませんし、人材も離れる可能性もあり、稼働していないことにより技術の伝承も停滞します。さらに、人件費削減となれば、掘削技術者や操船技術者がいなくなる可能性もあり、また、これら技術者を育てるにはそれなりの時間を要しますので、実際に稼働する際に技術者不足に陥る可能性もあります。掘削船というハードの面でも、技術というソフトの面でも、はやり稼働されることは非常に重要と考えます。よって、このQ2の「実現可能性の高い掘削」というのをどんどん進めることによって、ハード面、ソフト面での維持管理ができ、さらに次への発展が広がるのでは思いますし、退役と考えられる2035年まで「ちきゅう」を活躍させるためにも稼働率をあげる方策を考えてゆくべきと思います。
 以上です。
【川幡主査】  どうもありがとうございます。後でちょっと発言しようと思っていたのに非常に重要な指摘していただいたので、私もじゃあそこに付け加えておきたいと思います。
 Q3のところですけど、稼働していくということについてですけれども、先ほど一番最初に冒頭で述べたように、議論した内容はレイヤーが2個ありまして、一つは科学掘削以外の部分の「ちきゅう」の活躍、そういうのも期待が非常に多い、大きい。それをみんな盛り立てるというような体制、こういうのも重要かなと思います。
 その過程で、要するに稼働していれば設備もきちっと動くようになるし、人材育成もできるよということなので、ここのQ3のところに、科学掘削を越えた、先ほども申し上げた言葉で言うと、文科省以外の予算での運用も含めて、ともかく「ちきゅう」をみんなで盛り立てましょうという体制づくり、こういうのが重要とかですねとかいうもの何らかの形で入れられればなと思います。
 2個目で、実際に運用しますよとなったときには、現場、これなしにはやっぱり掘削のいい試料とかデータというのが取れませんので、そういうマネジメントをきちっとやる体制が必要で、さらに将来は掘削そのものというよりは、掘削のデータとか試料を生かすためにも周辺の周りにある様々な科学とか技術、具体的にはさっき言った地震とかそういうののリアルタイムのモニタリングとか、理論とかシミュレーション、そういうのと一体となったプロジェクトとして責任持って運用すると。そのことがQ3のところで書ければと、そのように思います。
 今の石井先生の御指摘のやっぱり稼働して何ぼだというのは、本当に真実だと思いますので、Q3がいいですかね、ぜひともその辺りに書き込めればと思いますがいかがでしょうか。文言については、いろいろ調整しなければいけないことあるかと思いますけれども、書くという方向で決裁取りたいと思います。どうもありがとうございました、石井先生。
 ほかにご意見ありますか。野田先生、お願いします。
【野田委員】  ありがとうございます。野田です。今おっしゃられたことと多少かぶる部分があるんですけれども、ちょっと僕が気になったのは、Q2とQ3の関係のような部分でして、というのはQ3ではだから何をすべきか、どういう技術検証が必要かをちゃんと考えるシステムづくりが必要ですと言っていて、なのでできるかどうかをちゃんと判断してくださいというところがあって、一方でQ2とかQ1でもですかね、何ができるかということを書いているわけですよね。何ができそうかと、何ができなさそうかというのを含むかもしれませんが。なので、この報告書というか、の立場としては、プロポーザルを書くわけではないので、可能性として、だからできるかもねと書くぐらいしか恐らくできなくって、詳細な実際にやるかどうか、できるかどうかの検討をちゃんとしてくださいという話だと思います。
 とすると、書き方として、いろんなプロジェクト、こういうのが重要であると、それは書くのは必要なんですけれども、できるとまで書いてしまうのはちょっと、その判断の主体は我々ではないので、そこら辺の書き方をちょっと。一番には、この判断する仕組みをちゃんとつくることが重要だということが上に来るべきかなというふうに思いました。
 それで、関連してですけれども、Q2の南海トラフの部分で、南海トラフに関してのところだけ、プロジェクトマネジメント体制などを含めたフィージビリティの検討が必須と書いてあって、これは報告書の、今これは何ていうかな、下書きでもない何でもないので文言はどんどん変わると思うんですけれども、このまま書かれると、何か南海トラフやるにはこれ必要やけど、ほかのやるにはそれは必要ないんかみたいなふうにも読めてしまう可能性があるかなと危惧がありましたので、ちょっとそのことだけ意見として述べたいと思います。
【川幡主査】  構成としては、最初から「ちきゅう」運用ということで委員会を開催したということにはなっておりませんので、まず地球惑星科学全体も含めて、科学、社会、それから技術から「ちきゅう」はどんな船なんですかとかいうのが最初に来て、具体的にはこんなものがありそうですねといって、期待がありますよっていって、そのためには今までと同じじゃ駄目だよっていって、Q3が来ているという、そんな感じでこの配列にしていると思うので、それ自体はそんなに悪くはないかなと思うんですけど、じゃあ問いの形式をちょこっと文言を変えたり、阪口先生から言われた、指摘された点も含めて、少しQのこの文言辺りを検討しますか。
 実際議論してきたのは大体、まだ例えば火山の掘削とかなんかもできてないので、さっきも言ったけど、Q2のところの最初と次はこの委員会で一番時間を使った、発言があった部分を書いたんですよ。ほかのところはそれ以外書いてないじゃないかと言われるかもしれないけど、実際に火山噴火のところも掘削できてないので、やってないので、だからないという意味だけど、誤解されないように注意しなさいというのが今の野田先生の御意見と思うんですけど。
 課長、何かありますか。
【大土井課長】  ありがとうございます。あくまでも今現在まだスケルトンですので、肉づけとあと項目づけの順番とかは今から作業ですから、すみません、まずは先生方に残しておくべきキーワードをいただいたという段階です。今から肉づけして、ストーリーづけてやりますので、ありがとうございます。踏まえてやります。
【川幡主査】  ということなので。窪川先生、お願いします。
【窪川委員】  すみません、手短に。Q1の科学的視線のところなんですけれども、Q1は社会的なニーズも踏まえつつということで、社会的視点のところでの見方が文言が詳しく書いてあるんですけども、それとあとQ2のところで、Q1を踏まえてそのうち今後5から10年ということでつくられているんですが、科学的視点のところが少し手薄なところが気になっていて、J-DESCの要望書、大変重要なものですけれども「海底下生命・物質科学」と一緒になっているので、先ほど委員長のほうからお願いがありましたけれども、やはり生命圏フロンティアというところがIODPの目標ではあり、一つの重要な大深度の掘削に関しても高い目標です。それが医薬品として実用化される、あるいは何らかの病気の治癒につながるということは、とてもじゃないけど5年10年でというのは、それに対する知見を深めるとか、人体の理解につながるとか、何かそういったことも非常に重要になってきますので、この科学的視点のところを分野を広げてもし書けるところがあれば書き加えるといいと思いました。
 以上です。
【川幡主査】  分かりました。Q2のところでね。もうちょっと項目を……。
【窪川委員】  すみません、Q2だと5年から10年で難しい場合があるので、Q1に書いて、Q2のところにそのタイムスパンをどう考えるかというのを書いてもいいと思います。
 以上です。
【川幡主査】  何か文案ありますかね。何か言うと文案と言われて嫌だなと思うかもしれないけど。というか、これ書くときに、コメントいただくのも大事なんだけど、案みたいな案文があると、よりその趣旨を生かしてという作業が楽になるんですよ。なので、できたら今のところも2行ぐらい。
【窪川委員】  はい、もちろん。
【川幡主査】  何か宿題がどんどん増えちゃって申し訳ないんだけど、そっちのほうが多分反映できると思いますので、趣旨は今理解したと思いますので、皆さんも。
【窪川委員】  ありがとうございます。
【川幡主査】  巽先生、お願いします。
【巽委員】  先ほど石井先生からお話あった動かすことが大事ということは、もう全くそのとおりで、是が非でも必要だと思うんですけれども、あまりそれをストレートに書いてしまうと、もう何か既に既得権益を延長しているように思われるというきらいもあると思います。そこで、やはりここでは5年10年の運用に当たって、5年10年で科学的に何をやろうとするかということをきちっと書いた上で、それをきちっと目的達成するために「ちきゅう」を効率的に運用するという流れにしたほうがよいと思います。
 ですから、このQ2のところは、きっと5年から10年の「ちきゅう」のさらなる効率的な運用に向けてというようなタイトルにして、その次のところで、Q3のところで「ちきゅう」を今述べたような科学的な成果に結びつけるために効率的に運用していくことが肝要であるというような書き方がよろしいんじゃないかというふうに感じました。
【川幡主査】  ありがとうございます。今の巽先生のQ2のタイトルだと全部含められるので、いいです、とっても。小原先生。
【小原委員】  すみません、Q1の設定というか、課題設定が何というか、初めから「ちきゅう」ありきで成果が今後見込まれる分野、課題を挙げろという感じなんですけれども、そうすると、その後に出てくるQ4になりますけど、「かいめい」ではどういう活用の仕方があるのかというところの流れがちょっと読みにくいかなと。何となくQ1については、例えば4ポツの課題設定は、何というか今後の海洋科学掘削の在り方ということなので、必ずしも「ちきゅう」に限ったわけではない、幅広に今後の海洋科学掘削で成果が見込まれる分野、課題は何かという形での課題設定のほうがその後進めやすいのではないかなと思いました。
【川幡主査】  工夫したいと思います。
【小原委員】  お願いします。
【川幡主査】  ありがとうございます。じゃあ、まだQ4からQ6までが残っていますので、そちらのほうに移りたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
【戸谷企画官】  それでは、4ポツ科学的意義と社会的要請を踏まえた今後の海洋科学掘削の在り方のQ4からQ6の説明をいたします。
 Q4、「かいめい」や「高知コアセンターで保管される既存のコア試料」は海洋科学掘削において今後どのような活用が考えられるか。そのために必要な取組、検討事項は何かという問い立てでございます。
 「かいめい」は、運用スケジュールを踏まえつつ、海洋科学掘削に活用していくことに期待。
 「高知コアセンターで保管される既存コア試料」は、今後も研究対象として価値がある重要な財産であり、維持しつつ研究で活用していくことが重要。
 ちょっとあっさりでございますが、Q4のところは以上でございます。
 Q5、IODP終了後、我が国の国際協力を通じた研究開発の在り方としてどのような形があり得るか。また、今後それを具体的に検討する上で考慮すべきことは何か。
 関係各国の状況が不透明なため、今後も各国の状況の把握に努めるとともに、継続的に多くの可能性を検討していくことが必要。
 DSDPからIODPまでの長年の国際協力によりつくり上げられた国際的な掘削コミュニティは価値あるものであり、新しくつくろうとしてできるものではない。「ちきゅう」とコア保管庫を提供し、IODPを主導してきた我が国として、このコミュニティに参画していくことは重要。
 IODPにおけるコア試料及びデータの保管・管理・提供体制は、現在の科学界の世界的な潮流であるオープンサイエンス化、FAIR原則を他分野に先駆けて実現したものであり貴重。何らかの形で維持することが必要。
 国際協力には、他国からの要請に応じて実施するものと、自ら提案・実施することで他国からの尊敬を集めるものの2通りが存在。我が国は、特に後者への対応が課題。高知コアセンターは後者になり得る活動である。
 これまで培ってきた国際協力を土台としつつ、我が国が主導していけるような国際枠組構築について、今後も戦略的に検討することが必要。また、検討に当たってはさらに幅広いコミュニティとの連携が望まれる。
 今後も提供できるもの(研究プラットフォーム等)・得られるもの(乗船枠、国際コミュニティによる研究人材育成、国際委員会で検討された質の高いプロポーザル等)の両方を精査した上で方針の検討が必要である。
 Q6としまして、将来的な米国掘削船の運用休止や「ちきゅう」の退役後は、これまで主に海洋掘削により進んできた科学をどのように進めることが考えられるか。
 外部資金活用も含めた乗船枠購入などによる他国掘削船への乗船。
 これまでIODP等で採取された既存コアのさらなる活用促進。
 「かいめい」など他船舶を用いた海底堆積物のコア採取及び活用。
 海底のリアルタイム観測網によるアクティブマージン変動研究。このような意見をいただいております。
 以上です。
【川幡主査】  どうもありがとうございました。先ほどQ4の高知のところは、その下のQ5と重なるところもありますけど、長い文章じゃなくて単語だけでいいので、世界の3極の中の1極であるとか、国際貢献、オープンサイエンスとかいう単語が入るようにしたらなと、そのように思いました。先ほどの阪口先生のコメントを生かして、ここのところは短くまとめるんだったら単語を入れておく、キーワード入れておくというのがいいかなと。そんな感じですかね。
 じゃあ、4番から6番までについてコメントをお願いいたします。巽先生、お願いします。
【巽委員】  やっぱり4番に関して、「かいめい」のことに関してなんですけれども、もう少し「かいめい」を使って包括的な海洋科学を進めるべきというような意味合いを入れたほうがいいと思います。例えば、「かいめい」のスペックをフル活用した掘削を含む包括的海洋科学も推進というようなことにしたほうが「かいめい」をちらちらと掘削科学に利用するということではなくて、それを使って包括的に研究を進めるという意味を込めて、そういうふうな文章がいいかなというふうに思いました。
 以上です。
【川幡主査】  ありがとうございます。実際に、そうするとQの6のところでももう少し使い方を広いのを書いといたほうがいいですかね。今は「かいめい」など他船舶を用いた海底堆積物の採取だけになっているので、もうちょっとここも2行ぐらいにして加筆したほうがいいかなと。呼応関係になりますけど。
【巽委員】  巽、続けてよろしいでしょうか。
【川幡主査】  どうぞ。
【巽委員】  それで、特にQ5に関してなんですけれども、我々の意識としては、やはり海洋立国、技術立国、災害大国日本という意識をきちっと持つことが重要かと思います。ですから、そういうふうな日本として海域研究において世界をリードするという意識を共有することが重要であって、それを具体的に言うと幾つかの例を挙げるというようなことが必要じゃないかというふうに思いました。
 以上です。
【川幡主査】  どうもありがとうございます。基本的には、先ほどの海洋立国、あと技術立国、あと災害大国というのを悪いことは回避して、いいことはプロモーションするというのを掘削科学で実現するという、そういうのがきちっと書かれているということですね。
 ほかに皆様何かありますでしょうか。石井先生、お願いします。
【石井委員】  石井です。Q6ですが、将来的なアメリカの掘削船の運用休止と「ちきゅう」の退役後ということとなっていますが、スケジュール感が違うと思います。アメリカのジョイデス・レゾリューション号が休止するのは近々だということですが、「ちきゅう」の退役は、委員会の中では2035年ということでまだまだ先なので、そこを一緒に並べた質問に、違和感を持ったのですが、いかがでしょうか。
【川幡主査】  そうですね。米国掘削船の運用休止は、取りあえずハイエータスも含めてもうすぐの話なので、それに対応した文章が来るのと「ちきゅう」の退役後というのは随分、ちゃんといけばですけど後の話になりますけど一応プランがあるんだよというのを示しておくのも重要かなというのでQ6になっているのだと思いますが、クエスチョンの仕方を変えましょうね。
 あと、ここのところに技術的なものが書いてないんですけど、例えばこれちょっと私の質問になっちゃうんですけど、石井先生が言われていたように、「ちきゅう」が日本で唯一の大型掘削船ということで、技術開発も人材育成もできてきたということだったので重要だったというお話は何度も伺いましたが、もしも「ちきゅう」がなくなっちゃった後はこういう技術は継承されなくなっちゃうんですかね。それとも何らかの形で継承、コミュニティというか会社だからちょっと何とも言えないんだけど、どうしようかなと今その業界は考えているのでしょうかというのがちょっと質問なんですけど、いかがでしょうか。
【石井委員】  「ちきゅう」退役後の技術開発と人材育成の継承についてですが、あくまでも個人的な見解を述べさせていただきます。技術開発に関してですが、商業掘削と科学掘削の両者の面で考えますと、商業掘削では「ちきゅう」のある一部の技術については既に転用されているのは事実で、石井がこの委員会で紹介しております。ただ、その技術が発展的に継承されるかどうかについては、今後の過酷環境下での大水深掘削開発の商業化次第で現時点ではわかりません。よって、「ちきゅう」が退役した後にその技術開発が止まるかという点では、商業掘削は必要性つまり経済性に合わせて進めて行くはずです。また、現時点では商業掘削における大水深技術や過酷環境下での技術は停滞しておりますので、科学掘削におけるライザー掘削の技術開発が、将来商業掘削へ継承され貢献される可能性は大いに考えられるのではと考えます。
 あと、人材育成については、日本の技術者という点では非常に難しい質問です。勝手な商業掘削側の意見ですが、商業掘削を実施するにあたり、我々がオペレーター、つまり主体となってプロジェクトを進めるに立場の場合、それなりの数のエンジニアが必要となります、例えば、陸上の管理者や船上の代表者などです。これらの人材は当然すぐに育つわけではないので継続的に採用し育成しなければならない。そういう意味では、「ちきゅう」が稼働してそこで従事することは人材育成には非常に重要で、我々にとって「ちきゅう」は最高の育成の場所であり多くの技術者を育てていただいたことは、非常にありがたく思っております。「ちきゅう」が退役後はその場が無くなることになり、正直人材育成は難しくなり、かつ海洋掘削技術の伝承も難しくなります。非常に残念ではありますが、商業掘削側で考えてゆくことになるかと思います。これは、操船技術においても全く同様かと思います。ただ、現時点では「ちきゅう」が退役するであろう2035年以降も科学掘削自体は継続されるであろうことから、退役までの期間「ちきゅう」の運用を通して、技術開発と人材育成をしっかり実施することが大切であると考えます。
 もう一点ですが、ある時期が来たら、どのような船も退役する必要がありますが、「ちきゅう」をどうやったら延命できるのかの議論も今後あってもよいのではと考えます。特に「ちきゅう」の運営費が高額であることは委員会で議論になっていることから、スリム化ができないのかの検討は必要かと考えます。足元では円安や油価の上昇は、少なからず運営費が上がっていると考えますので、現在も厳しいのではと考えます。国内唯一の科学掘削船であることを考えると、スリム化して延命する価値があるのか、その方法はないのかを、「ちきゅう」の目的、意義のスリム化を含めて一度立ち返って考えてもいい時期なのかなという気がします。これはちょっと余談になりますけど。
 以上です。
【川幡主査】  何かここに1行か2行、技術開発か何かについてもちょっとうまく書けたらいいなとは思いますけどね。
【石井委員】  考えてみます。
【川幡主査】  お願いします。せっかく機械も作れて、それからそれを使う人材も継続的に発展しているというので、何か将来の動向が何もないというのは、ここの項目立てでよくないと思いますので、ちょっと考えていただければと思います。
 皆さんともう一回、Q1からQ6の質問の仕方については、多少文言を変えて書くのがいいかなというのは御意見があったとおりなので。阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  今、石井さんが言われたこととちょっとかぶるかも分からないんですけども、「ちきゅう」の大問題は予算がべらぼうにかかることというのは、JAMSTECにとっては総予算の3分の1がかかるということで、いつもずっと問題だったんですね。この委員会でも、たしか倉本さんだっけな、誰かが自分たちCDEXで必死で外部予算取ってこようとしていたときがあってというぐちゃぐちゃと言って、自分たちがって言っていて、それはJAMSTECが、主語はJAMSTECがでしょうっていったときがあったんですけども、今石井さんがいみじくも言われたように、最初「ちきゅう」造って運用するときって予算は無限にかけてもよいぐらいの勢いで、もう取り入れられるものは全部外国から取り入れて、それから技術者も極力外国から取り入れてということで、あの船に乗った方は皆さん御存じでありますよ。外国の人の人件費はめちゃくちゃかかっているわけですよね。
 そういうことも含めて、今後5年から10年というテーマを定めるときに、予算的裏づけをきちんと確保する方策は何かということと、それからあと今円安の話もありましたけども、トータルでスリム化するためには何ができるのかということを検討しなさいよというか、検討をしなきゃ駄目ですよということはやっぱり入れておかないと。さっき野田先生が言われていましたけど、プロポーザルをいろいろ出したり提案しても、必ずしもできるわけじゃないでしょうという指摘もあったのは、そういう部分が相変わらず不透明だからということだと私は思うんですけども、何かそのくだりは一つ二つポチを増やすか、Q4、5、6の中に入れるかということも必要かなと思います。
 あと、もう一点は巽先生が言われた包括的というのはどこに係る包括的なんでしょうか。「かいめい」にかかるのか、サイエンスにかかるのか、コミュニティにかかるのか。どこに包括的ってかかるんでしょうか。というのは、別に巽さんをけなしているわけじゃなくて、包括的という単語を使い出すと、よく物事を曖昧にするんですよね。どこに主体があるのか分からなくなって結局誰もやらないということがよく起こるんですよね。なので、ちょっと巽先生の言われている包括的というのがどこにかかるのかというのは、ちょっとこれは個人的というか議論の中での質問です。
 以上です。
【川幡主査】  では、巽先生のこの件とあとスリム化はいいんですけど、予算を手当てするというのを明確に書くか、こんなにニーズがあるのでお願いしますよという形で、この書類の中ではそれほど触れないというのと二つ方式があると思うんですけど、その件に関して、巽先生いかがでしょうか。
【巽委員】  まずは包括的云々ですけど、かかっているのはサイエンスにかかっています。一番かかっているのはサイエンスです。もう一つは、「かいめい」のいろんな多様なスペックというのを、これは使いたい、これは使いたい、次はこれを使うというようなことではなくて、恐らくあのスペックを全部ほとんどうまく活用した上でサイエンスを進めるというようなことを考えるべきだというふうに言ったつもりです。だから、そういう意味で少し「かいめい」にもかかっているかもしれませんね。でも、基本的には包括的サイエンスの推進ということです。
【阪口委員】  分かりました。
【川幡主査】  2個目の質問、これは僕の質問。
【巽委員】  2個目、何でしたっけ。ちょっと川幡さんの意図がよく分からなかった。
【川幡主査】  お金に関してスリム化するというのを努力してくださいねというのをどっかに書くのはいいけど、JAMSTECの予算の3分の1ぐらい使ってもいい時代もあったし、予算云々というのを具体的にこのレポートに書くか、それともこんなニーズがあるからよろしくお願いします、といった結構微妙な話なんですけど。zoomでやっているけど微妙な話をしています。
【巽委員】  じゃあ、いろんなお答えをできる、立場を変えればいろいろ言えますけど、今じゃあ私は恐らく一つの立場として言えることは、「ちきゅう」を効率的かつきちんと運用していくためには、今我々が5年10年で何を科学で明らかにすべきかということをきちんと考えた上で「ちきゅう」をできる範囲で運用するということだと思います。ですから、お金を云々ということはあまり私は表に出すのはよくないかなと思う立場で今はしゃべりました。
【川幡主査】  どうもありがとうございます。
 先ほど来申し上げましたけど、全体として「ちきゅう」という船がこの委員会は科学掘削でどういう使い方があるかとかいうのを調べなさいとか、将来性について語りなさいとかいうので検討してきたということになりますけど、一方で議論の中で出てきたのは、直接は皆さん述べられていなかったけれども、「ちきゅう」の科学掘削以外の貢献というのも非常に実際には大きいんだよというのについてはコンセンサスを得られたと思うので、そのニーズというのをうまく運用できる、そんな感じの体制をつくってくださいとかいうのは書けるかなと思いますし、それ自体船が動けばいろんなことが実現していく、道が開けるということになりますのでと思います。
 先ほどのスリム化というのは、もちろん重要なので書き込みたいと思いますけど、その辺でどうかなと思いますが、いかがですかね。阪口先生、どうですか。話している内容は結構微妙なんですけど。
【阪口委員】  いやいや、そこを、そこというのは科学的目標と何をしていくべきなのかということを中心にするということで、予算づけ等はまたそれを見た人が今後考えていくという、そういう手はずなら今の方向でよいと思います。
【川幡主査】  そうですか。そのためにはほかのニーズというのをきちっと委員会としても把握しているので、単に例えばレアアース泥で資源だよというんじゃなしに、サンプル上がってくればその資源の研究をする人もいるし、科学的知見も増えるというのも含めての要するに「ちきゅう」の運用という形で皆さん価値を認めているんだと思いますので。じゃあ、よろしいですね。続いて野田先生、お願いします。
【野田委員】  野田です。ちょっと話は変わってしまうんですが、質問というか確認なんですけれども、Q6の「ちきゅう」退役後の話なんですけれども、海底のリアルタイム観測網、これ非常に個人的には重要だと思っているんですが、この観測網の保守ですね、修理とかひょっとしたらもう引っこ抜いてまた差したりとか必要があるかもしれませんが、そういうのは「ちきゅう」退役後でも可能なんでしょうか。
【川幡主査】  可能かどうか。誰が答えられますかね。石井先生、もしかしたら分かったらお願いします。今日JAMSTECには出席をお願いしていないため、石井先生、お分かりですか。
【石井委員】  すみません、どうやって海底のリアルタイム観測網を設置、張ったのかよく分かりませんが、当然ながら定点保守をしながら何らかの設置のための機器を降下して、そこに観測網をつくったわけですから、それを維持管理するためには、「ちきゅう」クラスの規模の能力つまり、定点保持能力と観測機器を降下できる能力を持った作業船でないとできないような気がいたします。
【川幡主査】  分かりました。この点は事実確認を後日JAMSTECさんのほうに文書で答えてもらうようにしましょう。野田先生、それでいいですか。
【野田委員】  はい、ありがとうございます。
【川幡主査】  巽先生、お願いします。
【巽委員】  今のこのアクティブマージンの変動研究ですけども、これ私が少し言ったことだと思うんですけど、今「ちきゅう」で孔を掘って、そこへ計測器を入れて行っているリアルタイムの観測網のみならず、もしくは「ちきゅう」が使えなくなったときでも運用できるようなリアルタイム観測網もあると思います。例えば光ファイバーを使ったものであるとか。そういうふうな次世代のものも含めたことですので、決して今あるもののみを頭の中に置いているわけではありません。
【川幡主査】  一応確認のために巽先生に聞きますけど、これはあれですよね、地震だけじゃなしに火山とかそういうのにも応用できると、そんな感じのイメージなんですよね。
【巽委員】  はい、もちろん火山活動のモニタリングにも使えますし、地震活動の把握にも使えます。
【川幡主査】  どうもありがとうございます。窪川先生、お願いします。
【窪川委員】  ありがとうございます。Q6なんですけれども、「ちきゅう」の退役後ということを考えたときに、「ちきゅう」で得られた進められた科学って書いてあるんですけど、この科学というのはどの程度の範囲まで広げていいのかというところで、何かそういう実際のサンプルというようなことなんですが、もうちょっと広げて、今後「ちきゅう」の成果をどういう科学の分野に使用し、発展できるかというところまで広げていくのであれば、もうちょっと増やすことができるかなと思いました。
 またちょっと私のほうから文章を提出するほうがよいでしょうか。
【川幡主査】  いえいえ、みんな何か宿題が多すぎると発言しづらくなるから、これはいいです。分かりました。どうもありがとうございます。もっとも何か書きたいことがありましたら受け取ることは妨げませんので。ただデューティーが多くなると申し訳ないかなと思ったので、今言っただけです。ありがとうございました。
 では、Qの4番から6番までの議論は大体収束したと思いますので、どうもありがとうございます。
 ここで、次の国際動向の議題に移る前に10分間の休憩を取りたいと思います。冒頭確認したとおり、次の議題の国際動向については非公開とします。委員の皆様には御休憩いただき、事務局は非公開とする準備をお願いします。今50分なので12時から始めたいと思います。事務局それでよろしいでしょうか。
【事務局】  事務局でございます。それで問題ありません。次の議題より非公開となりますので、傍聴者の皆様はここで御退出いただきますようお願いいたします。少し時間を置いた後にまだ接続されている方がいらっしゃいました場合、こちらから強制的に退出させていただくこともありますので、あらかじめ御了承ください。
 以上でございます。
【川幡主査】  では、休憩に入ります。
( 休憩 )
 
<議題2(非公開)>
 
【川幡主査】  最後に事務局から事務連絡をお願いします。
【事務局】  事務局でございます。本日はお忙しいところ長時間にわたりありがとうございました。また、本日の議事録につきましては、また案を作成したらこれまでと同様にメールにて御確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次回の日程につきましては、10月4日の15時からを予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【川幡主査】  では、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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