海洋科学技術委員会(第7回) 議事録

1.日時

令和4年8月10日(水曜日)9時00分~11時00分

2.場所

文部科学省研究開発局会議室1及びオンライン

3.議題

  1. 今後の海洋科学技術の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

河村主査、河野健委員、河野真理子委員、川辺委員、阪口委員、須賀委員、谷委員、廣川委員、藤井委員、前川委員、見延委員

文部科学省

大土井海洋地球課長、伊藤海洋地球課長補佐、川﨑海洋地球課長補佐 ほか

5.議事録

【河村主査】  それでは、ただいまから第11期科学技術・学術審議会 海洋開発分科会 海洋科学技術委員会、第7回の会議を開催したいと思います。
 皆様、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 会議に先立ちまして、8月1日付で海洋地球課長が大土井課長から山之内課長に代わりました。山之内課長、一言御挨拶をお願いいたします。
【山之内海洋地球課長】  海洋地球課長の山之内でございます。
 今、御紹介あずかりましたとおり8月1日付で、大土井さんの後任として着任いたしました。少し簡単に自己紹介させていただきますと、私は旧科技庁の出身でございまして、技術系となります。直前までの仕事といたしましては、科学技術・学術政策局というところで、地域科学技術の振興やJSTのファンドを扱っておりました。二十数年、文部科学省で働いていますが、海洋関係は初めてでございます。御指導よろしくお願いいたします。
 今回の委員会でございますが、報告書の最終議論ということになります。皆さん御存じのとおり、この報告書自体は今後の文部科学省の海洋技術政策を決めるものでありますし、また、来年から始まる海洋基本計画の提言となる非常に重要なものと認識しております。そういった意味で、今日は忌憚のない御意見を聞かせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【河村主査】  山之内課長どうもありがとうございました。これからどうぞよろしくお願いいたします。
【山之内海洋地球課長】  よろしくお願いいたします。
【河村主査】  それでは、会議を始めたいと思います。
 まずは事務局から参加者、定足数の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  それでは、確認させていただきます。
 まず、本日は全ての委員に御出席いただいておりまして、本委員会の運営規則第2条に定める定足数を満たしておりますことを御報告させていただきます。
 また、事務局としては、今、御挨拶させていただいた海洋地球課長の山之内のほか、海洋地球課の関係者が出席しておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただければと思います。
 画面を投影させていただきます。
 こちらが議事次第になります。
 
 議題は、本日、「今後の海洋科学技術の在り方について」となり、資料は、資料1-1、1-2、また、参考資料1、参考資料2を用意させていただいております。資料1-1、資料1-2は主に報告書の本体と概要であり、本日御審議いただくものになっております。
 参考資料1は、前回骨子を御議論いただきましたけれども、骨子から主な変更点を見やすく色をつけているものとなり、参考資料2は、前回の骨子そのものを参考資料として、御用意させていただいております。
 会場で御参加いただいている先生方には紙で印刷して資料をお配りさせていただいております。また、昨日既に先生方にはこちらの資料をメールで送らせていただいていると思いますが、実際に既に文科省のホームページにも掲載しておりますので、この案内の後にチャットの方にURLを記載させていただきますので、適宜そちらの方も御確認いただければと思います。
 何か不備、不明点等ありましたら事務局までお知らせください。
 事務局からは以上となります。
【河村主査】  ありがとうございました。
 それでは、議題に入っていきたいと思います。
 前回7月14日の委員会を踏まえまして、骨子から報告書に更新をしていただきました。
 議論は、前回同様に項目ごとに区切って議論していきたいと思います。
 具体的には、最初に、はじめにと1.の将来的な海洋調査観測システム及びデータ共有をまず議論しまして、次に、2.の気候変動問題解決それから3.の安全・安心な社会を議論して、最後に4.の海洋生態系理解と5.の総合知及び市民参加、の三つに区切って議論していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それではまず、はじめにと1.の将来的な海洋調査観測システム及びデータ共有の在り方について議論したいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。
【事務局】  では、改めまして事務局の方から資料の説明させていただきたいと思います。
 資料1-1が報告書本体になりますが、前回と異なる箇所が分かるように、主に画面投影は参考資料1を用意させていただきながら御説明をさせていただきたいと思います。
 「はじめに」の部分で、前回先生方からいろいろな御意見をいただきまして、幾つか修正を加えております。例えば、「古くから」というところで「水産・エネルギー」と書いていたのですけども、その古くからの粒度が違うので、海運にしたらという御意見を頂きましたので、黄色いところを修正しております。
 また、真ん中の「フロンティア」の中で、我が国の科学技術投資は増加傾向にあるという読み方をされるような記載をしていましたけれども、実際には海外の投資は増加しているものの、我が国の投資は減少傾向にあるため、そこがわかるように修正をさせていただいたり、洋上風力の記載をさせていただいたり、追記しています。
 また、財政的資源を確保しつつ、しっかり予算を取ってやっていくことを明記したり、あとは国連海洋科学の10年で、枕言葉をいろいろつけていたのですが、冗長になるため、切ったらどうかという意見がございましたので、削らせていただいている部分もあります。
 あとは下の方です。長期的視野に立った研究開発の評価という話を書いていましたけれども、評価だけではなくて、計画をしっかり立てることも書かないと駄目だという御指摘があったり、あとは海洋空間計画というのも我々の方もしっかり念頭に置いて書いていかなければいけないという御指摘がございましたので、そういったものも、記載しています。
 1個、1個読み上げると御議論の時間がなくなりますので、主な変更点を御説明させていただきました。
 続きまして、1.将来的な海洋調査観測システム及びデータ共有の在り方についてですが、ここも幾つか修正を入れていますけども、ここから前回の骨子と大きく様式が変わっていますので、まずそちらの方を説明させていただければと思います。
 もともと前回の骨子、今画面の方に参考資料2を投影しておりますが、前回の骨子の段階では箇条書で、エッセンスだけを示させていただきました。この中には「やるべきこと」や、「そもそも今の現状なのか」、「課題なのか」といったことがいろいろ混在しておりましたので、それをきれいにしました。文章として、まず、リード文として、現状や背景をつらつらと記載いたしまして、実際にその中でやるべきこと、まさにこれから我々がやっていかなければいけないことをTO DOとして、この丸のインデントをつけた形で、何々していくこと、何々を図ること、何々を進めること、として整理させていただきました。
 さらに、今すぐにやるべきことではないものや、あとは逆にTO DOをやっていくに当たっての留意点は、なお書きで、このTO DOのインデントの後に、補足的にいろいろ書くというような整理をしており、全体的に背景・課題・経緯をリード文で、実際にやるべきことをTO DOとして、インデント箇条書にして、なお書きで、補足説明という構成をしています。
 主に色がついてないところは、今まで骨子の段階で盛り込まれていたところの場所を入れ替えたりしているだけですので、内容としては大きく変わっていません。細かい「てにをは」については、文章化をするときに入れ込んだり、直したりはしておりますが、大きくはもともと骨子にあったものをそのまま入れ込んでいます。
 その上で、黄色ハイライトをつけているのが、前回の御指摘を踏まえて追記をしている部分になります。
 資料としては、ここから1. 2. 3. 4. 5.と全部入っていきますけれども、このような形で整理しているということをまず御説明させていただいた上で具体的な中身の御説明をさせていただきます。
 まず、1.の(1)海洋観測データ取得について、「海洋に関するデータは」から幾つか黄色で書いています。
 前回、阪口先生からそもそも海洋関係はデータが足りていないという現状をしっかり謳うべきだという御指摘をいただいていましたので、まずその部分を強く盛り込ませていただいています。
 あとは、「標準化が困難な生物データ」の困難は言い過ぎではないかといったところで、言い方を換えております。ここはちょっと色を変えてないですけど、海底地形・海底地質の情報について、もともと3.の安全・安心の中に入れ込んでいました。その安全・安心で、防災関係とそれ以外で分けていましたけども、海底地形や海底地質の情報は、どちらにもまたがるということと、その調査というよりはその情報をしっかり取っていくということをしっかり明記していくべきだと整理をし直しまして、この海底地形や海底地質も必要な情報である、データであるということで、1.の方に幾つか盛り込ませていただいています。
 また、その中で前回書かれてなかった海洋産業にも影響するなど、「多岐にわたる」の中でその例示を幾つか記載させていただいたところが大きな追記情報になります。
 あとは、海以外の分野の進展技術や、細かいところで、海洋の変化だけではなくて、状況把握が必要であるというところをいろいろ盛り込んでいます。
 あとは海洋観測技術の高度化です。前回御議論がありました低コスト化の話を入れさせていただいたり、他技術を取り組むの部分で、モジュール化・共通規格化など、ほかの技術を具体的に取り入れるために何をすべきかというのを入れています。あと細かいところは、「各分野」と書いてあったのを「各分野」だと分かりにくいといった御指摘なども踏まえて修正を入れています。
 次は国内・国際連携について、いろいろ修正を入れております。既に国際的枠組みが存在し、我々も一定の貢献を行ってきている中で、前回の骨子の中では、引き続き国際的枠組みに我々も貢献していくと事務局の方で整理させていただいていましたけれども、先生方からはそれだけではなくて、むしろ国際的枠組みに日本としてやりたいことをしっかり出していくのだというメッセージが必要ではないかという御意見をいただきました。1個目は、新たに黄色ハイライトのところを追記しております。これは結構重要で、本日はこれで合っているのかも含めていろいろ御議論いただきたいので、簡単に読ませていただきます。「我が国の海洋調査観測の目的・ニーズ等を戦略的に、新たな国際枠組み作りへの提案につなげることを目指し、国際委員会等への日本人の推薦や、国内関係者の共通理解を機敏に醸成する場の構築等を進めること」、こういったことは我々のメッセージとして出して、実際に進めていくべきではないかということで、案として記載しております。
 前回の先生方の御指示がこれで合っているのかも含めて、本日はいろいろ御意見いただければと思います。
 あとは国際連携の技術セキュリティーの話です。主語が政府の話と各機関の話で混在していたので、そこは一つにまとめました。あとは海底地形図の国際連携の話です。これも3.の安全・安心の中に書いたのですけれども、国際連携という枠組みの中でしっかり共通してデータを取って、共有していかなければいけないという文脈の中から1.の連携のところに入れ込ませていただきました。
 最後は、「なお、継続的な海洋観測体制の構築にあたっては」についてですけども、前回は「オペレーショナル」、「コミュニティー」と結構横文字が多過ぎて分かりづらいと言われた部分です。改めてここは第1回の議論や議事録も確認させていただきまして、趣旨を踏まえて文章を作り直しました。「海洋観測体制の構築にあたっては、研究観測と定常観測の連携、適切な役割分担及び研究観測から定常観測への切れ目のない移行等を関係機関間で調整しつつ、計画的に行うことが重要である」、観測は継続的に行っていくことが重要にはなりますけれども、研究目的でされている観測と、気象庁などをはじめ、他の省庁等で実施されている観測といろいろありますけれども、そういったところをしっかりして、連携は必要ですし、分担も必要ですし、あとは研究観測を続けていくのもなかなか現状では現実的ではないという観測もありますので、そういったところはしっかりつないでいくと意識していくことが重要だとこの中に盛り込ませていただきました。
 最後は、北極域をはじめとした観測の空白域におけるデータ取得強化ということで、観測の空白域における北極の強化と、もともと案として作っておりましたが、空白域は北極だけではない。という御意見を踏まえまして、北極というよりはむしろ空白域の強化が重要だということで、北極と、あとは超深海における地形等の情報についての記載を追記させていただきました。
 この黄色ハイライトはもともと3.にあったところの文言を少し入れ替えながら、超深海の部分を入れさせていただきました。
 この「より精緻な」というところは、もともと3.の安全・安心のところにございましたが、場所を入れ替えさせていただいて、文脈にあるように超深海におけるというところに黄色ハイライトをつけています。
 ちょっと長くなります。続きまして、データ共有・収集・整理について、いろいろ記載しております。
 ちょこちょこ細かいところは入れておりますけれども、大きなところでは、DIASの話を結構入れておりましたが、海本部でされている「海しる」の話にしっかり我々もデータ提供をしていくというのをまず前提として考えた上でと冒頭に入れております。
 その上で、TO DOとしてDIASにデータ提供を進めまして、また、海洋関係者が連携してプロダクト生成を進めていくことも議論に出ていたかと思います。
 さらにそれで得られた知見を基に、最適化につなげていくこと、DXを加速していくことを丸として整理しています。
 DIASの関係で発表いただいた中でも、形式、使い勝手をもっとよくしてほしいという御意見もいろいろありましたので、当省の関係課とも調整させていただいて、DIASの方向性についても少し具体的に書いております。
 既に地球観測推進部会という文科省で置いている部会においてもいろいろ方向性を出しているので、それの現状を書かせていただきながら、我々の持っている計算資源ですね、地球シミュレータなどがありますので、そういった基盤との連携を強化しつつ、事例を重ねていくという留意点を持っておく必要性を記載しています。
 DIASの課題は、「ダウンロードしないで利用できるオープン解析環境の設定等について」というところで、今は方向性が示されているので、分かりやすい注釈を書いています。
 データ共有・収集に向けたというところでは、これは細かい点で、「通信」を「情報通信」にしたらという御意見がありましたので、そういうところ入れています。
 すいません、冗長になりましたけれども、はじめに及び1.について御説明させていただきました。いろいろ御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【河村主査】  川﨑さんどうもありがとうございました。
 それでは、今御説明いただいたはじめにと1.に関して、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。どなたからでも結構ですので、挙手をしていただければ……。
 河野真理子先生、お願いします。
【河野(真)委員】  先回欠席で申し訳ございませんでした。
 細かいところで少し恐縮ですけれども、まず幾つか申し上げさせていただきます。まず、1ページ目の一番最後の行です。「この趣旨を十分に理解するよう、期待したい」ということですが、単に理解を期待するだけではなくて、政策として推進してほしいという趣旨を入れなくてよいのだろうかと感じた次第です。この報告書は大事なことを指摘していると思いますので、内容の理解を期待するだけではなくて、きちんと予算つけていただいて、推進してほしいと思いますが、いかがでしょうか。必要なければ特にいいですけれども、まず、はじめには、この1点です。
【河村主査】  ありがとうございました。そこから議論をしていきたいと思います。
 ここで言っている関係者というのを説明いただけますか。
【事務局】  ここで書いている趣旨を改めて御説明させていただきます。
 まず、この報告書は誰向けなのかというところが一番のポイントになってくると思います。この報告書は国連海洋科学の10年及び科学技術・イノベーション基本計画ができたことを踏まえて、第4期海洋基本計画に向けたメッセージとして使うものと考えています。この報告書を様々な方に読んでほしいのは当然ですけど、まずは内閣府の総合海洋政策推進事務局に読んでいただきたいのが1点です。そのほかにも、この海洋関係者に向けて、こういう方向で進めていくというメッセージ文章でもあります。なので、政策決定者に対してやるべきことを提示するというだけではなくて、海洋の関係者や研究者の方々にメッセージとして出している文章ですので、政策として推進するべきという記載は避けたいと考えます。ただし、例えば、関係者に理解して進めていただきたいなどのもう少し前向きな最後のまとめ方は、今、先生からの御指摘を踏まえてできるかなと思いました。
 まず、この資料自体はあくまでも海洋関係者にメッセージとして作っているということだけ補足させていただきます。その上で、理解するだけではなくて、実際に進めていただくといった、もう少し踏み込んだ記載ができるかを考えたいと思います。
【河野(真)委員】  ありがとうございます。
 なるほどよく分かりました。私としては、ここには政策推進を入れた方がいいかなと思います。すいませんありがとうございます。
【事務局】  ありがとうございます。
【河野(真)委員】  1.もよろしいでしょうか。
【河村主査】  はい、どうぞお願いします。
【河野(真)委員】  2ページ目の(1)の本文の上から4行目です。「また、海面から深海、海底下」と書いてありますけれども、国連海洋法条約の条文などの書き方から言えば、海底と海底下というのは違うと思います。そうすると、少し細かくて恐縮ですが、海底・海底の下かなと。この報告書では海底地形についてかなりの指摘がありますので、海底の表面のところが分かる記述があった方がいいのかなと思います。
 それから、次に、同じ(1)の最後の「なお」のパラですけれども、「海面上昇等」となっていて、等で全部をくくれるとは思いますが、できれば、海洋酸性化は例の一つとして入れてもいいかなという印象がありました。今明らかになっている現象としては、やはり海面上昇と酸性化があって、さらにそれ以外にもいろいろな要素があるかもしれないという意味だとすれば、酸性化という言葉は入れておいた方がいいのかなと思います。
 それから1)の白丸の一つ目です。すいません、これは専門の先生方がよく御存じなのかもしれないですけれども、最後の行は「調査観測を着実に進め」となっていますが、この表現ですと観測をこのままの状態で着実に進めるという印象になってしまうのではないでしょうか。むしろ、ある意味強化しないといけないところがあるような気がいたします。したがって、着実に進めるとともに強化するというような、何かそういう表現があってもいいかなと感じます。この点は単に書き加えてもいいかな程度ですけども、少しそのように思いました。
 2ページ目は以上です。
【河村主査】  ここは1回区切って議論したいと思います。
【河野(真)委員】  すいません。
【河村主査】  ありがとうございます。最初のところの4行目かな、海底下だけではなくて、海底面も入れた方がいいということですかね。
【河野(真)委員】  はい。
【河村主査】  よろしいですかね。
【事務局】  みなさんが、よろしければ全然入れても問題ないと考えます。
【河村主査】  よろしいと思いますので、深海・海底面……。ポツにするか、中黒にするか分かりませんが、入れるということでよろしいかと思います。
 二つ目、海面上昇等だけが例示だけど、ここに海洋酸性化を入れたらどうかという御意見です。これはいかがでしょうか。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  今の河野真理子先生の、このページの二つ目のポイントの海面上昇に酸性化を加えるという話です。世の中の人の理解は海面上昇がすごくメインで、酸性化はそれほどでもないですけども、どちらが先に本当に問題になるかというと、酸性化の方が恐らく先に問題になると思います。河野先生の御指摘は全くそのとおりで、これは海面上昇と酸性化を例として挙げるというのが正しいと思います。
 ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 皆さんもそれでよろしいでしょうか。
 見延先生は関連でしょうか。
【見延委員】  はい、関連です。よろしいでしょうか。
【河村主査】  お願いします。
【見延委員】  北海道大学の見延です。
 確かに海洋酸性化も非常に重要な問題ですけれど、それ以前に海洋酸性化は海洋生態系の方に重要な問題です。海面上昇は必ずしも海洋生態系だけではなくて、社会に直接関わると。その海洋生態系では海面上昇以前に、温度変化による生息域の変動が既に起こっています。例えば私のいる北海道の函館でもイカが捕れなくなって、ブリが捕れるようになって、今それで函館市はそれにアジャストしようとしているので、海面上昇と海洋酸性化だけを取り上げるのは少しバランスが悪いかなと思います。
 地球温暖化に伴う海面上昇、海洋熱波、海洋酸性化などぐらいがよろしいのではないでしょうか。
【河村主査】  ありがとうございます。
 そうですね、酸性化を入れるのであれば、温度上昇を入れる必要があると思いますので、その三つの例示を入れていただくということでよろしいでしょうか。
 では、文言はこちらに任せていただきたいと思いますが、この三つを例示として入れたいと思います。
 三つ目はどこでしたでしょうか。
【河野(真)委員】  1)の一つ目の白丸の最後の4行目です。「調査観測を着実に進め」という、ここです。
【河村主査】  ここは着実に進めるだけではなくて、強化が必要だという御意見だったと思います。
【事務局】  今、技術の高度化という意味では駄目なのですか。観測を着実に進めながら高度化を図っていこうという文脈で記載していますけれども、技術の高度化とはまた違った文脈で必要という趣旨でしょうか。
【河野(真)委員】  すいません、なのでさっき専門の技術の方の方が、より御意見がおありかと思ったのですが、技術の高度化だけではないと思います。数を増やすという意味でも強化という表現が必要かなと感じます。
【河村主査】  いかがでしょうか。調査をされている方からの御意見だと思いますけど、補足の御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 着実に進めるだけではなくて、もう少し調査をしっかりやりなさいというような、技術の高度化の以前に調査をしっかりやる部分を入れるという御意見です。いかがでしょうか、実際に調査に関係の深い先生に御意見いただければと思います。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。谷です。
 河野真理子先生がおっしゃるとおり、現在の調査観測を着実に進めるのは、この報告書全体で言っているデータの不足に対応できるものではなくて、確実に調査観測は強化しないといけないと思います。
 ただ、ここのパラグラフ全体が調査観測技術の高度化というフレームなので、逆にここの丸のところで、「調査観測を着実に進め」というのがなぜあるのかというのは、私には若干疑問です。あるからいいやと思って黙っていましたけど、書いておいて悪いことではないですが、本当は調査観測をはるかに強化すべきであるというのは、どこか別のところにあるべきだと思います。
 河野先生、いかがでしょうか。
【河野(真)委員】  ありがとうございます。それであれば、確かにそのとおりだと思います。前半の上2行はかなり技術のお話ですから、ここの書きぶりが私は少しどうかなと思った次第です。
 それとちょっと先回欠席させていただいたので、確かに現状の調査観測を着実に進め、かつより強化することは、現状の観測の方法でカバーできてないような技術をより発展させるということなのかもしれないです。素人の意見で申し訳ございません。
【河村主査】  ありがとうございます。
 須賀先生も関連ですか。
【須賀委員】  東北大の須賀です。
 今の河野先生と谷委員の議論は全くそのとおりだと思います。この項目というのは技術の話ですよね。だから、この項目に関しては、観測を強化するということを書くのは少し違う気がします。ただ、現在の冒頭、リード文で言っている、データが圧倒的に不足していると。現在進めている観測を着実に進めるだけではその不足しているところを埋めていくことはできないということが改めて読んでみると、どこにもそれは書いてないというか、今挙げられている項目の中では触れられていないというのは、ポイントだと思います。ですから、どこかでそれを述べるといいのかなと思います。
 あとは、ここであえて「着実に進め」と書いているのは、現状、今の技術、今の観測もそれなりに技術はずっとこれまで向上してきて、その向上してきた技術を使ってやっていると。それ自体は着実に進めるけれども、でもそれでは不十分なので、さらなる技術的な高度化というのが、限られた予算で観測を強化していくためには、技術の高度化が必要である、低コスト化も含めて、あるいは、耐久性や、それを上げるということも含めて高度化が必要だという文脈で、これを読んでいましたけども、確かにここだけを読むと今のまま「着実に進めていく」だけでいいかのような印象になってしまうというのは、そのとおりだと思います。ですから、それをこの項目ではなく、どこかで触れるというのがいいのかなと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 谷先生どうぞ。
【谷委員】  
 今、須賀先生から非常に適切な御意見があったと思います。
 私が思いますに、新たな技術の開発というのは、次に書いてあって、一つ目の現在議論になっているところは、今までやっていることをもう少したくさんできるようにしようということであると思います。今やっていることは、最初の2行「従前の」から始まり「ROVなど」までが現在やっていることですので、これを「技術の高度化(低コスト化等を含む)」によって、もっとばっちり強化しようぜというのがあって、二つ目の丸のところで、それ以外に新たなものが出てくるでしょうねという感じで整理すればよろしいのではないでしょうか。
 それで、須賀先生がおっしゃるように、調査観測は現状では全然駄目で、何らかの方法で飛躍的に量を増やさないと、我々が目的とする海洋の理解や利用に役に立たないという話は、別途どこかに書いてあった方がいいのかなという気がします。
 ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 阪口先生どうぞ。
【阪口委員】  笹川平和財団の阪口です。
 シンプルに丸一つ目は、調査観測の機会の拡大と技術の高度化を図ることでいいのではないですか。
 要するに既存技術はあるけど、機会、要するに機会というのは、オケージョンが少ないので、もっともっとたくさんやりましょうというメッセージを込めて、調査観測の機会拡大と技術の高度化を図ることで、今、お三方が言われていたことがシンプルに網羅されると思います。
【河村主査】  それはどこに書き込むという御意見ですか。
【阪口委員】  一つ目の丸の……。
【河村主査】  一つ目の丸を短くして。
【阪口委員】  いえ、短くではなくて、「調査観測を着実に進め」というところが、今のままでは、ままならないよという気持ちが出てくるわけですから、「調査観測の機会を増やし」や「調査観測をさらに充実させ」とし、要するに今の技術もいけているよ、でも、もっと高度化も必要ですよ、もっとたくさんの観測が必要ですよということを我々が言いたいわけですから、シンプルにそれでいいのではないかなと思った次第です。
【河村主査】  河野健先生、何か御意見ありますか。
【河野(健)委員】  いえ、阪口所長のおっしゃるとおりで、少し読みますと、遠隔操作型無人潜水機(ROV)などを用いた調査観測を強化し、さらに技術の高度化を図ることみたいな感じですか。
【事務局】  事務局から少し補足させていただきます。
 先生方、すみません、多分この文章で本当に困惑させてしまったなと思います。
 谷先生、阪口先生が最後にまとめていただいたとおりで、ここで言いたいのは、技術の高度化の文脈に入れたくて、この調査観測を着実に進めというのは、こういう機会すらないと、そもそも今ある技術はどんどん携わる人もいなくなってきてしまうので、だからきちんとこの調査活動を進めることで、技術の高度化、低コスト化も含めて改良を図っていくというのを言いたかったところです。なので、今、河野先生がおっしゃられた強化や機会を着実に持つこと、また、増やすことを通じて技術の高度化を図っていくというのはきちんと書いていけるようにしたいと思います。
 今ないものも、新たに開発していくという2個目の〇に対して、一つ目の〇は今やっていることも着実に進めて、改良していきましょうと言いたかったので、この辺は誤解のない書きぶりに整理させていただきたいと考えております。
【河村主査】  ありがとうございます。
 皆さんの考えていることが大体まとまったと思いますので、もう少し事務局に文章をまとめていただいて、そのような趣旨の文章にしていきたいと思います。
 ありがとうございました。
 河野真理子先生、それ以降はもうよろしいですか。
【河野(真)委員】  すいません、あと3ページ目の2)です。
【河村主査】  はい、どうぞ。
【河野(真)委員】  再度の発言で申し訳ございません。二つ目の丸と、三つ目の丸の関係が少しよく分からないように感じます。私の理解から申し上げますと、確かに、丸の二つ目は海洋調査観測だし、三つ目の丸は海底地形図だと思いますけれども、ただ、共通項として、基準やルールの策定は両方にかぶってくると思います。ところが二つ目の丸の方にだけ「状況に応じて基準・ルール等の策定を進め」という文章が入っていて、三つ目の丸の方は、共有の範囲について、「性質や用途等を踏まえて、政府として統一的な整理」となっています。この海底地形や海面下の資源情報についても基準やルールが必要なのではないかと感じます。その意味で二つ目の丸の最後の部分は、三つ目の丸にも共通するので、ここを何とか修正できないかなと思いました。基準ルールの策定、それから情報セキュリティー対策の強化というのは両方にかけておくべきだと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 それは具体的にどういうふうにしたらいいというアイデアはありますか。
【河野(真)委員】  一つは、基準ルール、国内あるいは国際を問わず連携を進めていくときに、その情報の公開について基準ルールの策定、それからセキュリティー対策の強化がどんな文脈でも必要だという指摘を四つ目の丸として独立させてもいいのかもしれないというのが私の正直な印象です。ありがとうございます。
【河村主査】  これは要するに海洋調査観測にだけかかっていることがおかしいということですよね。
【河野(真)委員】  そうですね、二つ目の丸にだけ、この「基準・ルール等の策定」という議論が出てきています。三つ目の丸にもこの点は共通しているのではないかと思います。今の表現ぶりでは、情報について統一的な整理を行うことしか指摘されていません。この基準・ルール、それから政府としての統一的な整理というのは、海洋調査にも共通する議論なので、この点を二つの丸の内容に共通して指摘できるようにする、あるいは海洋に関する情報というのは、全て基準やルールの策定が必要で、その情報の在り方について統一的な整理が必要だという書き方で独立させるのもいいかもしれません。
【河村主査】  事務局、何かアイデアはありませんか。
【河野(真)委員】  すいません、要は……。
【河村主査】  分かりました。少し事務局が整理しますのでお待ちください。
【事務局】  二つ論点があって、まずこの二つを何で分けているかの趣旨の説明が必要だという点と、あとは河野先生がおっしゃるように表現を統一しましょうという話だと思っています。2個目は、片方が「政府においては、強化につなげる」と書いてあって、片方は「統一的な整理」で、この違いが多分すごく気持ち悪いんだなというのは、理解しました。
 この二つは何が違うかというと、1個目はまさに海洋技術です。AUVやROVなどいろいろなものがあります。その中には、前回、大土井課長の方から外為法でいろんな基準が決まっているという話があったんですけど、まさに、外為法や経済安保法案の中でいろいろなルールが決まっていきますけれど、海洋特有の技術流出対策は何かしら必要ではないかと理解の上で一つ目は書いています。なので、ここは技術流出です。
 2個目は確かにデータに近いところがあります。海底地形図という情報をどう出していくかという整理が必要なので、2個目と3個目は明確にその違いを分けた意識をしています。
 状況に応じてというのを2個目で入れたのは、まさにその外為法などのいろんな関連法案が動いているので、少しそれも見つつという意味で、1個目は「状況に応じて」と入れています。だけど、3個目はどちらかというと状況に応じてというよりは、既に海底地形図の情報共有の動きは進んできているので、状況に応じてではないだろうなということで、3個目は書かなかった次第でございます。そのようにいろいろな背景を端折って混ざって書いており、最後のまとめ方がぐちゃぐちゃになってしまったのは、自分の中でも反省しています。2個目と3個目にはそういう違いがあります。最終的なまとめ方や表現ぶりは、少しきれいに、お互いに言っていることが整うように整理させていただければと考えております。
 すいません、御説明ないと多分ここは少しわからない部分ですね。失礼いたしました。
【河村主査】  ありがとうございます。
 阪口先生、補足でしたね。
【阪口委員】  私はここの部分をかなりぐちゃぐちゃ言っていたので、責任がありますけども、私の中で抜かりがあったなというのが、両方とも国際連携、国際的というのがありますが、実は国内でも海保と海自と海洋科学とデータ連携が全然できないんです。そのデータ連携ができない理由は、政府が状況に応じた基準ルールの策定をしていないからです。これは海保も海自も同意してくれますので、全部が国際連携というくくりではなく、国内でもこのデータの連携をするために、オープンクローズ等を含めたルール策定を政府がきちんと進めなければならないということをどちらかに――三つ目の丸がデータであれば、三つ目の丸のところにそこの部分は明記していただきたいと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 では、皆さんからまず意見をいただこうと思います。見延先生、お願いします。
【見延委員】  北大の見延です。
 一つ目の丸の「国際委員会等への日本人の推薦」とありますけど、日本の研究者も日本人ではない方もいらっしゃって、実際に国際委員会で活躍していらっしゃる方もいるので、これは日本からの推薦に変えていただければと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 前川先生、お願いします。
【前川委員】  海洋政策研究所、前川です。
 2点、この分についてコメントさせていただきたいと思います。
 今御指摘のあった「国際委員会等」ですけれども、「国際委員会及び国際機関」と追記をしてはいかがでしょうか。委員会も大事ですけれども、国際機関での事務局等を含め、国際機関に日本人をしっかり、あるいは日本からの研究者、実務家を送り込むことも重要ではないかと思います。
 2点目は次の丸で、「適切な技術流出対策」とありますけれども、これは非常に重要な点だと思います。加えて知的財産権の保護も明記をしてはいかがかと思いますけれども、御検討いただければと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。谷です。
 先ほど阪口委員から御発言があった、三つ目の丸に関しては、私も思いを同じくしております。二つ目の丸は、既に事務局から御説明がありましたように外為法等といった枠組みの中での整理ということで、そこをどう書くかだと思います。
 一方で、三つ目の丸については、もちろん国際的なデータ共有をどの範囲までにするかについて、日本全体が今、研究者なり、各調査機関の判断に委ねられていますけども、それは一元化すべきであろうというのと同時に、国内の情報共有を進めるということも、つまり、国内連携も欠けています。片方は外国に出さないのを決めようという話だし、片方は国内では取りあえず共有しようという話で、違った話ですけれども、いずれにしてもそこについて今まで政府の具体的な指針というのは出てないということがあります。
 地形は、取り分け面倒くさくて、というのは、データを一旦シェアすると地形はいつまでも変わらないから、一度シェアしたら取り戻せないというところがあります。一方で水温データに関しては、データをシェアというか公開しても、その有効な期間はそんなに長くないです。例えばアメリカ軍は2週間か、3週間でしたか、それよりも前のデータはもう全部オープンと言っています。というのは、潜水艦を探すときに水温データが要るのですけれども、2週間もたてば今持っているデータは役に立たないということなので、2週間たてば蓋を開けますとなっています。
 一方で、例えば日本でも三陸でサンマが捕れるとか何とかという時に水温の等温線の分布が大事で、この情報というのはリアルタイムにはすごく秘密です。あの辺はほかの国の漁船が来ていますから、そういった人たちに知ってほしくないし、国内の漁船には知ってほしいというので、そこら辺の水温情報のプロテクトの仕方はなかなか難しいと伺っています。国内の産業界でも、一瞬は共有できないけど時間がたてばいいということもあります。水温はそういうようなことで、ある程度時間がたてば全部シェアねということが言えるところはあります。地形については、さっき申し上げましたように、一旦オープンしたらもうそれきりというところがありますので、これについて、画一的ではなくて、データの項目ごとに、どこがよくてどこが悪いかということをきちんと整理しないといけないと思います。それはそれぞれの機関のノウハウだけでは判断ができないです。これが本当に、例えばこの観点から見て大丈夫なのか、産業界を見て大丈夫なのか、あるいは国家のセキュリティーから見て大丈夫なのか、多面的な議論が必要なので、これはまさに政府で統一的な整理を行って、個別に基準を明示することが必要だと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 この2)の国内・国際連携に関していろいろ御意見が出ましたので、これは事務局で整理をしていただいて、後からまた皆さんに御確認いただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。大体どこがいけないかというのは事務局で把握していますので。
 はい、どうぞ。
【事務局】  前川先生からいただいた中で、国際機関の追記の件ですけれども、国際機関への派遣という言葉を追記するという理解でよろしいでしょうか。国際委員会の推薦及び国際機関への派遣。
【河村主査】  委員会だけではなくて、機関へも派遣という意味で同じことではないですか。
【事務局】  派遣という表現を使ってよいかという意味です。
【前川委員】  それで結構かと思います。
【河村主査】  推薦・派遣でいいのではないですかね。
【事務局】  大丈夫そうですか。
【前川委員】  大体応募されるわけですけれども、政府のバックアップがあると有利というところがございますので、結果としての派遣ということでよろしいかと思います。
【事務局】  分かりました。すごく重要なことだと思っていますし、派遣した方はすごく提案につなげる動きをしてくれるとは思いますけど、表現として、派遣するという記載が問題ないかなというのが少し心配になったという意味での御質問でした。国際機関への派遣という形で少し文言を整理します。
【河村主査】  ここも修文したものをまた見ていただくことでよろしいかと思います。
 ありがとうございました。大分ここで時間を使ってしまいましたので、次へ。
 これ以降、大丈夫ですか。まだよろしいでしょうか、(2)についてはどうでしょう。
 谷先生、ありますか。
【谷委員】  すいません、この先に行く前に申し上げておかないといけないことがございますので、発言させてください。
【河村主査】  どうぞ。
【谷委員】  一番頭、はじめにで、黄色は塗ってないですけど、三つ目のパラの2行目「海底資源開発など」で始まる行ですけれども、あれ、違うところを見ているかな。
【河村主査】  はじめにでよろしいですか。はじめにのどこでしょうか。
【谷委員】  はじめにですね。はじめにの「四方」かな。
【河村主査】  二つ目のパラの真ん中ですね。
【谷委員】  あれ、私が持っているのは何か違うな。「四方」から私が持っているのは改行されていますけど。いいや、そこのところです。
 その次の行に「開発など、海洋科学や海洋技術が果たす役割は大きく」と書いてあります。ありがとうございます。これは「海洋科学技術」と書いてあったと思いますけれども、これは海洋科学と海洋技術を分けて表現していただいたおかげで、大変読みやすく、頭に入りやすくなりました。ありがとうございます。
 それから、そのページの一番おしまいに、河野真理子先生から御指摘がありました「関係者には、この趣旨を十分に理解するように、期待したい」という文章は、要るのでしょうか。当然だと思っていますけど。もっと細かいこと言うと、この趣旨を意地悪に読んだら、最後のパラ、「本委員会では、政策議論を行った」だけをこの趣旨だと読んで、言うこと聞かないという読み方もできるので、この報告書の趣旨と書き直せばいいかもしれませんけど、そもそもこれを書くならこの報告書をいろんなところに出すときののし紙に書く話ではないかなと思って、ここに書くものではないという気がしています。
 それから、もちろん河野真理子先生がおっしゃるように、趣旨を十分理解するように期待するのではなくて、一生懸命考えたんだけど、この通りやってくれというのが委員会としては、言いたいことではないかと思います。
 それから、次のページです。何行目と言ったらいいかな、「比較的」というパラグラフがありますね。比較的というパラグラフの下から2行目に、「多岐にわたる」に5というフットノートがあります。ここにいろいろ書いてあって、これは非常に分かりやすくてよろしいんですけど、ちょっと気になったことを申し上げます。
 5と書いてある手前に「国民の安全・安心」、それから「海洋産業」という大くくりな表現があります。黄色で塗ってある「海洋産業」、その上の行に「国民の安全・安心」と書いていますけれども、そういった切り口で言うと、フットノートにある「領海・延伸大陸棚等の範囲確定」というのは、国家主権の話ですが、国家主権という単語はない。フットノートの鉱物資源の把握は産業かもしれません。領海・延伸大陸棚等の範囲確定はまさに国家主権だけど、国家主権という単語が出てきてほしいなと、単語としてできてほしいなという願望です。
 それから、次のページ、2)のところです。先ほど来、議論がありました国際委員会等への日本人の推薦というところです。これは議論が必要だというお話が最初にありましたけど、委員の先生方に正直な感想をお伺いしたいところです。これぐらいで、ここに書いてありますね、この丸の2行目、3行目に書いている委員の推薦等、国内関係者の共通理解の醸成ということで、新たな国際的枠組みづくりへの提案というか、世界のリーダーシップを取るということは、ここの例示二つで実現できると思われますでしょうか。私は思ってないですけど、これは皆さんの御意見をお伺いしたいと思います。
 それから、2)の最後のところですけれども、「重要となる」と書いています。この重要となるというのは、今までそうではなかったけど、これからは大事だよということですが、そうなのでしょうか。そういった何かこれから重要となるという事情変更があったように思わないので、これは「重要である」ではないかと思いますけど、いかがでしょうか。
 それから、3)の「また、超深海」で始まるところです。「世界トップレベルの超深海におけるEEZ体積を有しており」と書いていますけど、これはどうですか、私が持っている原著論文では超深海における体積の話ではなくて、EEZ全体の体積やEEZの水の量が一番多いというようなことを言って――一番でなかったかもしれませんが、というような文章で、超深海におけるという、超深海があるからということはそうなんですけど、超深海の部分のEEZ体積が世界一ということではないのではないかと。
 コメントの最後です。その次の丸、その次の丸と言ったら最初の丸かな。北極の船の話の3行目に「機器開発等」とありますけれども、この「等」が何だかよく分かりません。明示していただきたいと思っていますのは、機器開発とそれから船員の方ですけども、船員というか、乗員というのか、従事者というのか、この船を運航する人たちの再度の人材確保というか、キャパシティービルディング、新しい船ができて、北極に行く、しかもそこで安全に操船するには、それなりのノウハウが必要で、今までそういった砕氷型の船は民間になかったので、人材が全然いないと私は理解しています。その人材確保は、船が動くまでに必ずやらないといけないことで、これは明示的に書いておかないといけないのではないかと思っています。それは「等」の中にあるのかもしれませんけども、明示的に書く必要があるのではないかと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 見延先生は関連でしょうか。一緒にやったらいいですけど……。
【見延委員】  はい、関連です。北大の見延です。
 谷先生がおっしゃったポツについてです。国際委員会等への日本からの推薦のところで、これでリーダーシップが取れるのかという御質問ですけれど、リーダーシップは取れなくても書かないわけにはいかない、ないよりはましというぐらいに思います。リーダーシップを取ろうとすると、やはり何ぼ小さいと言っても1割、2割ぐらいのシェアがないとリーダーシップはなかなか取れないと思います。でも日本はGDPで6%、昨日の文部科学省の調査報告が出て、科学技術2022というのが出まして、それのトップ10%論文のシェアがさらに下がって2%ぐらいと。2%ぐらいの世界でリーダーシップは取れない。だけど、やはり日本の経済規模が縮んで、人口も減っていく中で、国際的な枠組みをこれまで以上に活用していかなければ、さらに地盤沈下してしまうというところで、こういうことをぜひ入れてほしいと考えております。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 須賀先生も関連でしょうか。
【須賀委員】  東北大の須賀です。はい、関連です。
 私は今までこの一つ目の今、話題になっている丸のところの、最後の「国内関係者の共通の理解を機敏に醸成する場」というところに込めてくれたなとは読んでいたのですが、確かに谷先生のおっしゃるように、これだけで国際的な枠組みづくりの提案につなげるとか、リードしていくというのは難しいかなというのを正直には思います。
 今、見延委員がおっしゃった点とも関係しますけども、確かに日本の国力というか、GDPにしろ、論文数にしろ、かなり今は小さくなってきていますが、例えば、それらの大きさにはよらずに大きな貢献をしている例というのがあって、私がよく例として挙げるのはオーストラリアです。オーストラリアの国力というか、GDPやそういうのは、現在でも日本の3分の1程度、Argo計画開始した2000年頃は10分の1だと思います。だけど、海洋分野における存在感は多分世界で2位、3位ぐらいです。それは非常に戦略的にオーストラリアとしてこうやるというのを打ち出して、それを国際的な枠組みに持っていくということをやっているからです。だから、日本がこの海洋立国というか、海洋というのは重要だと考えるのであれば、トータルの金額の問題ではないんですよね。それをどう使って、どういうふうに国内の動き等を国際的なところにつなげていくかという、そのやり方をいかに戦略的にやっていくかというところで、やれる可能性はあります。私は「国内関係者の共通理解を機敏に醸成する」というところで、今までこういうことは多分言われてなかったと思いますが、こういう場の構築を進めるというところで、これは進歩だなと思いました。そういう意味ではここをもう少し強く言っていただければいいかなと思いますというのが正直な感想で、谷委員からの御質問というか、どうでしょうかということに対する正直な感想というか、お答えになります。
【河村主査】  そうすると須賀先生の御意見として、ここは「構築等を進めること」の後に、さらにリーダーシップを取るというような文言を入れると。
【須賀委員】  何かもう一歩進んで、「ニーズ等を戦略的に」とここをつなげると、そういうふうに私は読めるなと、今私が言ったようなことが、ここにはにじんでいるなとは思ったのですが、谷先生がおっしゃったように今の文言だけでは、それは十分なのかと言われると、確かに十分とは思えないなというのが正直な気持ちであるという意見です。
 ですから、ここはもう少し強めに何か言えればいいのかなという点です。
 それは見延委員がおっしゃったこととも関係していて、普通にやっていたのでは多分駄目で、以前の日本はそれなりに量的にも観測量が非常に多かったので、普通にやっていればそれなりにプレゼンスがあったんですけど、これからはどんどんいろんなものの順位が落ちてきますから、今までどおりにやっていたのでは今までのプレゼンスも維持できなくなるのはもう明らかです。そこをもっと国として戦略的に進めないといけないという感想です。
 私としては、ここの書き方でそう書いてあると非常に好意的に読んでそう思っていたのですが、谷先生の御指摘で、ここをもう少し強くした方がいいという意味です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 藤井先生も関連でしょうか。ミュートを外してください。
【藤井委員】  ありがとうございます。私も同じ意見です。
 この戦略的にというところがやはりここでは大事になってくると思います。リード文にも、一つ目の丸にも書いてもらっていて、特に一つ目の丸の「戦略的に」がどこまでかかるかが少しはっきりしないのかなと思います。
 あと、一つ目の丸の3行目の「機敏に醸成する」は、なかなか醸成するというのは割と印象的に時間をかけてじわじわとやるような印象があって、その前に「機敏に」がついて、少し何を言いたいのかはっきりしなくなっているのかなという感じもあるので、この辺りの表現を強めることと、全てにおいて戦略的にやるというメッセージが伝わるような表現を考えていただければと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 少し事務局から。
【事務局】  ごめんなさい、この表現の「戦略的に」というのは提案にかけています。要は戦略を持って提案するために、これは最初に言ったようにTO DOなので、まず国内委員会に日本人の推薦をやりましょう。その上で共通理解を醸成する場を作りましょう。だけど、場を作りましょうと言うとすごく重たくなるので、少し柔軟にできるという意味で機敏にを入れましたが、「柔軟に」の方がよかったかもしれないです。
 もし、足りないというのであれば、今言った推薦と場の構築と、あとはちょっと何があるかな、要はTO DOとして何をすべきかというのがもしあると少しありがたいなと思っています。提案に向けて、そのために何をやるかというのが欲しいなと思っていたところではございました。
 今の表現が少し分かりづらかったので、混乱になってしまったと思いますけど、そのためにやることは今2個しか書いていません。
【河村主査】  もう一歩踏み込んで、そのリーダーシップを取るということを書くという皆さんの御意見だと思います。
【事務局】  リーダーシップを取ること。TO DOとして、まず推薦します、次に場の構築をします、後は、リーダーシップをとるために何をしますかということが具体的にあるとありがたいと考えています。
【河村主査】  参加するだけではリーダーシップは取れないよねという御意見だと思いますので、それを書き込むという御意見だったと私は理解しております。
【事務局】  分かりました。表現ですね。
【河村主査】  皆さんの手が挙がっています。藤井先生は追加ですかね。
【藤井委員】  そうですね、今、河村先生もおっしゃったのですが、枠組みづくりの提案をするだけではリーダーシップは取れないのでというところです。表現の問題だと思います。気持ちはみんな一緒だと思います。
 以上です。
【河村主査】  谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。
 どれも間違っていないので、それから、本来やらないといけないことに対して必要な要素であることも間違いないと思います。実際、国際委員会の委員や委員長であった私が思うに、そこの国際委員会にいるだけでは本当にどうしようもない、いてどうなるものでもないですけど、例えば委員長になるともちろん相当意向の反映や、その都度いろいろな判断に直接関与できるということがあります。国際委員会全体の意思決定を進める流れというか、国際的な流れというよりは、これは西洋文化だと思いますけれども、彼らのものの決め方みたいなところをきっちり知ってないとリーダーシップは取れないと思っています。なので、日本人の推薦あるいは日本からの推薦だけではなくて、推薦された人が中ですごく発言力を持てるようなバックグラウンドの情報の注入や、それからそういった環境を作るための支援というものがないと、日本人を放り込んでも何も起きないということが起きています。周りを見ていますと単に日本人がいるだけで、全体の意思決定に何も関与してないということを見かけてきています。例えばですけど、ここで日本人が推薦されて日本から誰か行ったとしたときに、その人が画期的な働きができるようなキャパシティービルディングも必要ですし、それから、裏からのサポートも必要で、そんなことをどう書くかというのはありますけども、そういうことをやらないとこれは書いてもお題目だけに終わってしまうと思っています。
 ありがとうございます。
【河村主査】  阪口先生お願いします。
【阪口委員】  そこで何をしなければいけないのかということをお願いしますという話でしたが、まさに海洋調査観測を戦略的に行うことが一番重要です。というのは、先ほどオーストラリアの例が須賀先生の方から出ましたけども、実は我が国の海洋科学技術にかけているお金はそれなりに大きいです。全体のGDPはオーストラリアの方はずっと小さい中で、なぜあのようなイニシアチブが取れるようなことをオーストラリアができているかというと、海洋調査観測の目的、ニーズ等を戦略的に決めて進めているからです。例えば「ちきゅう」だ、何だかんだってもう全部にがさーっとトライしていくことが、トータルの予算は多いのに、一つ一つが太くならないという大きな原因です。だからこそここに海洋調査観測の目的、ニーズ等を戦略的に進めるべきだということが書いてあります。そういうことを忘れたまま国際的イニシアチブを取ることや推薦などいろんなことを言っても、やはり裏づけが取れてないことが最大の原因だと思いますので、そこをしっかりして、文頭にこれを書くのではなく、これこれを進めるためには、我が国の海洋調査観測の目的、ニーズを明確化し、遂行していくことを最後の述語にするべきだと私は思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 見延先生、お願いします。
【見延委員】  ありがとうございます。北大の見延です。
 先ほど谷先生の方から、そういう委員の方にサポートということで、それができれば確かにすばらしいなと思います。分野にもよるのかもしれませんけど、科学の場合は、一番実力と知見のある人が委員になることが多くて、その人を誰がサポートできるかというとなかなか難しいと思います。谷先生がおっしゃるとおり、まさに委員が参加して、何も起きないということが多いですけど、委員会で暴れるような人が必要なんですね。でもその暴れるような人かどうかというのは、推薦する側でもなかなか分からなくて、やはり若い頃からそういう委員会に入って、経験を積んでリーダーシップを取っていくというぐらいしか科学の専門性が高いところでは期待できないと思います。私も国際ワーキンググループ委員長2件、国際パネル1件、国際パネルは新しく作って、今も続いているようなもののリーダーシップを取らせていただきましたけど、私の場合はたまたまで、もっと戦略的にそういう人を送り込んで、将来のリーダー候補として委員を送り込むことが必要かなと。それ以上のことができればいいですけど、なかなか実際には難しいのではないかというのが私の印象です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 大体皆さん御意見出ましたかね。
 なかなか、どういうふうにここに書いていくのかというのは、少し難しいところもありますけれども、今の御意見を踏まえて、事務局の方で考えていただいて、また、皆さんに見ていただいて、御意見をいただきたいと思います。
 完全に皆さんの意見を、皆さんが満足いくようなものになるかどうかは今聞いていて若干不安ですけれども、ちょっと作ってみて、皆さん方にまた御意見いただければと思います。皆さんが考えておられることは、大体理解できたと思います。
 ありがとうございました。
 今議論があった部分、それから、さっき谷先生からあった調査船のところで、船員の人材育成の部分についても……。
【事務局】  考えます。その他の谷先生の御意見を踏まえて、事実誤認もあったので、そういうのも全部直して、改めて提示いたします。
【河村主査】  それも事務局からまた提案をさせていただきたいと思います。
 それ以外のものについて、今の議論でまだ話してないところがありましたらお願いします。
 よろしいでしょうか。
(「なし」の声あり)
【河村主査】  よろしければ、ちょっと大分長くなりましたが、はじめにと1.は、一旦これで終わらせていただきます。
 2.気候変動問題解決、それからと3.安全・安心な社会について、御意見いただきたいと思います。
 その前にまず説明ですかね。
【事務局】  すみません、時間がないので端的に。
 まず、気候変動部分です。前回大きな指摘で出たのが気候変動のときに極域の話がいきなり出てくるので、そうではなくて、我が国周辺でもきちんと影響ある部分を観測していくことをしっかり書きましょうという話がありましたので、そこは追記させていただきました。
 あとは、そのほかは特にございません。ネガティブエミッションの具体的な技術例なども書かせていただいたところが気候変動の大きなポイントになります。
 安全・安心社会の構築についてというところで、ちょっと前回の海底地形調査の部分を1.に移行させたことで、大きく四つの項目に分けました。リード文は安全・安心に必要なということをいろいろ書かせていただいて、また、あと第3期で盛り込まれた経済安全保障についても今いろいろ加速している中で、資源確保というのもしっかり進めていくというリードにさせていただいた上で、防災については、まず、予防ですね、災害予防、災害応急対策、災害復旧・復興とありますけれども、予防に向けた予測、地震津波の予測や気候予測がまず項目として、1)、2)で触れさせていただきました。
 3)は、応急対応で、要は災害が起こった後の即時の対応や、災害復旧・復興でも、海洋分野は海洋科学、海洋技術が使えるので、そういったところを追記したり、4)はリード文にあったように経済安全保障上の鉱物資源確保に向けた探査などもしっかりやっていかないといけないということで、1)、2)、3)、4)という大きな項目分けをさせていただいて、幾つか追記修正をしました。
 簡単に端折った説明になってしまいましたが、審議時間の確保のために説明は以上とさせていただければと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 それでは皆さんから御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。
【河村主査】  
 どうでしょうか。まだ皆さん読んでおられるかもしれませんけれども、2.の気候変動問題解決、3.の安全・安心の方を合わせてもいいと思いますが。
 河野先生、意見は3.でしょうか。
【河野(真)委員】  3.よろしいでしょうか。
【河村主査】  3.でも結構です。
【河野(真)委員】  申し訳ありません。3.も細かくて申し訳ないですが、まず、6ページ目の最初の柱書きの第2段落、「また」の2行目です。先ほどと同じ趣旨で技術流出対策は、技術だけではなくて、情報流出対策も必要ではないかと思います。
【河村主査】  技術の後ろに情報を入れた方がいいという御意見ですね。
【河野(真)委員】  はい。あるいは情報または技術という両方ですね。これは両方カバーすべきではないかと思います。
【河村主査】  よろしいですかね。それでは情報も入れるということにしたいと思います。
 それ以外にありますでしょうか。
【河野(真)委員】  あともう1か所です。4)ですが、ここは特に資源開発のときに、資源の開発技術についてはかなり議論があると思います。この委員会の目的から言うと、確かにそこまで広げる必要はないのかもしれないですが、例えば資源開発の例えば産業化、商業化や、それからその産業化、商業化を考えるときには、揚鉱するだけではなくて、今度はその後の製錬などもきちんとやらないと、本当の意味の産業化、商業化は実現しないです。そういったことを踏まえると探査、調査に言及するだけでいいのかと感じます。商業化、産業化をにらんで必要だみたいな言葉が少しだけでもどこかに入らないかなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 今の点はいかがでしょうか。逆にそこは海洋開発分科会から離れてしまうかなという気もしますけれども。
【事務局】  今のお話は、リード文などで、そういうのもにらんだ取組を行うことを書くのは可能であります。だから、それをどこまでここで書くかというところは、先生方が合意であれば、少し文案を考えさせていただくくらい……。
【河村主査】  今の点はどうでしょうか。そこまでここで書く必要があるのかどうかというところですけど、御意見がある方がいらっしゃればお願いしたいと思います。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。谷です。
 今の河野真理子先生の最後の御指摘のところはそのとおりで、最初から最後までないと、産業化、商業化が進まないと思うのですが、海洋の科学と海洋の技術という観点で、出口戦略を考えてというところがリード文にあるのはよいと思いますけれども、個別具体的にやると、つまらない話ですが「それは我が省の所掌である」みたいなことを言う人が出てくるかなという気がしないでもないので、あまり個別具体的にそこもやるよというのは、例えば製錬のやり方を考えましょうとか、製錬のことを考えた鉱物の資源の探し方を考えましょうはありだと思いますけども、製錬の仕方を考えましょうというところはないだろうと思います。そういう意味ではリード文ぐらいかなという気がいたしました。
【河村主査】  入れてもリード文に入れるぐらいかなという感じですかね。
【谷委員】  はい。
【河村主査】  関連でしょうか、廣川先生、お願いします。
【廣川委員】  今、谷先生が言われたとおりであります。頭のところで、将来の産業に向けたという何か枕言葉を少し入れるといいのかなと思います。選鉱や製錬の分野はどちらも陸上でやることなので、ここに入れるのはその範囲外かなという感じがいたします。
【河村主査】  川辺先生も関連でしょうか。
【川辺委員】  すみません、ありがとうございます。
 商用化という話で、「ブルーエコノミー」について一言出してもいいのかなと思いました。今の河野真理子先生の「商用化」という話は、ブルーエコノミー、すなわち海洋利用をしながらサステナブル社会を構築していくということをどこかに入れられると、まとまるのかなという気がいたしました。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 リード文のところで、少しそこの枕言葉を入れたいと思います。事務局で文を考えていただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 それ以外のところでコメントある方はいらっしゃいましたらお願いいたします。2.、3.どちらでも結構です。
 よろしいでしょうか。特段、2.、3.ではこれ以上意見がないということであれば次に行きたいと思いますけども、よろしいですか。
(「なし」の声あり)
【河村主査】  では一旦先に行きたいと思います。
 続いて、4.海洋生態系の理解、それから、5.総合知及び市民参加型の取組についてです。事務局からまず御説明をお願いします。
【事務局】  では、4.は海洋生態系の理解です。持続可能な海洋利用に向けたということで、社会課題に対して生態系を理解するというお話で、幾つか更新しております。前回の御意見を踏まえて大きなところはいろいろ追記していますけれども、前回御意見いただいた環境DNAで柔軟に取り入れていくところに関しては、藤井先生からもそれが取り入れることが前提と捉えられるのは問題なので、しっかり検証しながら、適切に取り入れていくという表現に換えている箇所がございます。
 あとはデジタルツインのところは分かりづらかったので少し言葉の使い方を変更しています。
 あとは幾つか追記させていただいて、有用機能の活用とありますけど、まずはきちんとした有用機能には何があるかというのを探索して、探索した上できちんと活用を進めていくと記載させていただいたり、復興のところにも触れさせていただいていたのですけど、海洋生態系というのはまさに我々の人間活動の影響を多分に受けるので、健全性の指標になるところを意識して継続的に観測していく。災害が起きてからすぐに観測する。ではなくて、ずっと、継続的に海洋生態系の理解は進めていかないといけないというところを藤井先生と相談させていただきながら追記しています。
 総合知の部分も幾つか分かりづらかったところを修正しました。国連海洋科学の10年や、あとは科学技術・イノベーション基本計画を踏まえて、こういう方向を出すということだったので、きちんとそれが分かるように10年ではこういうことを言われています。科技イノベ計画ではこういうことが求められています。さらに我々の委員会では総合知というものを人文・社会科学プラス自然科学だけではなくて、幅広いステークホルダーの知を統合されたものとして捉えます。それに向けて以下の取組をする必要があるという形で整理しました。
 これは前回、川辺先生と個別に少し御相談させていただきましたけど、言葉の使い方ですね、市民参加型の取組という項目で作っていたのですけど、この市民とステークホルダーをどう整理しようかなというのを川辺先生とも悩みながら、少し幾つか意見交換をさせていただいたので、ここは本日、先生からも少し補足していただけるとありがたいなと思っています。
 一応、この目次に合わせて市民参加型としてやっていますので、基本的に本文の中ではステークホルダーという言葉はあまり使わずに、研究者に対して、それ以外の者を市民という言葉で定義させていただいておりますけれども、ちょっとそこも含めて先生方の御知見等々で、いろいろ直していければなと思っております。
 簡単ですけど、事務局からの説明は以上とさせていただきます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に対しての質問、御意見等をお願いいたします。
 4.と5.のどちらでも結構です。
 川辺先生、お願いします。
【川辺委員】  ありがとうございます。
 5.に入ってしまってよろしいでしょうか。
【河村主査】  結構です。
【川辺委員】  ありがとうございます。
 先ほど御説明ありましたように、この市民とステークホルダーをどう使い分けるのかというところは、私もまだはっきり分かってないです。ただ、「国連海洋科学の10年」の趣旨は、多様なステークホルダーの参画が変革的海洋科学には大事という話だったと思います。このステークホルダーの中には、市民という――市民が誰かという話もありますけども―一般の人々、つまり、政治や研究などを生業にしていない、でも意識が高い人々ということではないかと思いますが―も含まれるのですが、ほかに例えば民間企業や地方自治体、中央政府の人たちはもちろん入ります。それから、総合知ということでしたら、海で生業を立てている漁業者の方たちや、あるいは漁村の共同体とか、そういうところも入るかなと思います。そうしますと、タイトルにある、海洋分野における総合知の創出は、多様なステークホルダーが前提なわけですが、そこを省略して、そのあとは市民参加型に特化して話が進んでいるのではないかというのがちょっと気になったところでございます。
 先生方の御意見もいただけるとありがたいと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 今の川辺先生の御意見は、この今の文調の中でもまだそれは足りないということですよね。
 どういうふうにしたらいいという御意見はありますか。
【川辺委員】  私の方から提案申し上げたのは、あまり「市民」と言わない方がいいのではないかと。むしろ多様なステークホルダーという言い方をもっと出してもいいのではないかなと思いました。例えば、2番目のパラグラフの「研究者と市民の間での対話や協働が不可欠であり」は、市民という言葉に恐らく多様なステークホルダーを代表させているのではないかと思います。必要な対話というのは、研究者の方と漁業者や漁村の共同体の方たち、あるいはその自治体の方たち、あるいはそこに進出してこようとする企業の方たち、あるいは何かそこでCSR活動をやろうという企業の方たちなどいろいろあると思います。そうすると変革的海洋科学の実現には、多様なステークホルダーの間での対話や協働が不可欠となると言った方が文脈としてはすんなりいくのかなと。その後に黄色の部分ですけれども、「人文・社会科学の知と自然科学の知との融合による「総合知」の創出・活用」というところに、本委員会では、さらにその下ですが、経験知が統合されると。経験知を持っているのは、一般の市民よりも深く関わっている人たちですね。ステークホルダーがどの範囲か、どこで線引きするのかというのは、非常に大きな問題としてありますけれども、やはりそこで生業を立てている方たちと、都会にいてたまに遊びに来る方たちとでは関わりの深さというのが違ってくる。誰の意見に重みを置いて、こういうことを考えていくかというと、やはり深い関わりを持つステークホルダーの方たちではないかと思います。なので、市民という言葉で、それを代表させるのは少し難しいなと個人的には思っております。
【河村主査】  ありがとうございます。
 今の先生の御意見だと最初の市民は、「市民も含め」でいいと思いますが、以下の市民のところを海洋のステークホルダーと書き換える方がいいという御意見と私は伺いましたけど。
【川辺委員】  そうですね、実は最初の「市民も含め」についても、「市民も含め」は要らないのではないですかと言ったのですけれども。
【河村主査】  多様なステークホルダーに市民は入ってくると。では、市民をやめて、多様なステークホルダーにしますか。
【川辺委員】  ただいろいろ御意見もあるでしょうから、そこはお伺いしたいと思った次第です。
【河村主査】  分かりました。今の部分に関して、ほかに御意見がある方は伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 河野先生、どうぞ。
【河野(真)委員】  谷先生も手を挙げておられるようで、先に発言させていただき、申し訳ございません。
 私も少しここの5.のところについては、産業界など実際に、海を使っている人も巻き込むべきではないかと考えたので、おっしゃるとおりだと思いつつ、伺いました。したがって、「市民も含め」とここで入れるのをやめて、なぜいろいろな人たちの参画が必要なのかを説明するとともに、人や立場によって参画の度合いが違うことを踏まえて、様々な形の海洋分野への総合知の創出に関しての様々な貢献を図っていくべきであるみたいな1パラグラフを入れてもいいのかなと思いました。
 すいません。
【河村主査】  ありがとうございます。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。
 市民という単語を書いたおかげで、例えば研究者と市民が対話するといった瞬間に、市民でもなく、研究者でない人は全部除外されている、例えば漁業者は除外されているみたいな。市民というのは取り方によりますけれども、すごく狭い可能性があって、ここの脚注11番で、The UN Decade of Ocean Scienceで、こんな人がというのは、そこの脚注の下2行に書いていますけども、市民をパブリックだと訳すとすれば、as well as the publicだけなので、それ以外にいっぱい書いてあるところはみんな落ちますよね。この市民という単語を使うのは大変危険で、むしろ、本当の関係者が除外されるおそれがあるのかなと思いますので、市民はよした方がいいと思います。
 一方で、ステークホルダーという片仮名は正しいですけど、ステークホルダーは本当にきちんと日本語になっているかと言われるとあまり理解できてないので、これも何かちょっと議論が必要かなという気がいたします。
 すいません、答えを持ってないです。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
【川辺委員】  今のことについてちょっと発言してもいいですか。
【河村主査】  川辺先生、どうぞ。
【川辺委員】  今の「ステークホルダー」に関して、私もできるなら「利害関係者」などの日本語を使えるといいなと個人的に思っております。
以上です。
【河村主査】  あまり横文字を使わない方がいいということはおっしゃるとおりだと思いますので、ちょっとこれは考えていただいて……。
【事務局】  時間がないですが、ちょっと1点だけ補足をさせてください。
 まず、このタイトルとして市民参加型というときに、そこから入ってしまっているというのも1個あります。結局やりたかったのは、研究者と研究者以外の方々の関係者の参加、連携というのをある意味少し具体的にしました。国連海洋科学の10年は多様なステークホルダーと言っています。それを今回、科技イノベ基本計画などを踏まえて、研究者とそれ以外の関係者の方々と分けたかったこと。、及び市民という言葉を使いたかったことがあり、多方で、国連海洋科学の10年の文脈でいくと、市民は、要は、逆にそうすると、自治体などは除かれてしまうので、すごく悩ましいなと思っていました。そういう意図で、まずは、本分科会の定義を作りました。
 ちょっと利害関係者というのも結構表現がきついなというのがあるので、例えばこの報告書では市民を研究者以外の海洋の民間や自治体といった関係者を市民と定義するとか、海洋テロワールという動きもあって、市民という言葉も多分に使われたりするので、そこの定義をきちんとしつつ、何か少し言葉をそろえていけたらと考えております。
【河村主査】  ありがとうございます。
 私からも少しコメントすると、多分ここで市民と使っている理由の一つは、多分利害関係者、いわゆる漁業者や役所の方などではなくて、もっと一般的な市民の人たちも巻き込んで、きちんと海洋分野のことを考えていきましょうという趣旨が含まれていると思います。なので、完全に関係がない人は除外というのではなくて、みんなで考えましょうというようなニュアンスが。ただしそこに例えば漁業者はいないのかとか、政策担当者はいないのかとなるのはまずいので、そこが分かるような表現を考えたいと思います。少し事務局に考えていただきたいと思います。
 谷先生よろしいでしょうか。
【谷委員】  ありがとうございます。
 市民という単語を定義されるにしても、市民と書いた途端に狭い感じがするのが思いとしてあります。
 それとタイトルです。一番頭の5.のタイトルの市民参加型は、ここだけは全員参加型みたいなのでいいのではないですか。ここは研究者と研究者以外という書き方ではないので、全員参加型の取組ということで、研究者と研究者以外のいろんな関係者と本文の方で書いていかれるのはいかがでしょうか。
【河村主査】  市民ではなくて全員にするということですね。
【谷委員】  いえ、本文の方はそう書くとめちゃくちゃになります。例えば研究者と全員の間での対話といったら、研究者は全員ではないのかみたいになるので、そこは考えないといけないです。一番上のタイトルは、研究者だけではないよ、みんなだよという。全員参加型ということではないかと思います。
【河村主査】  心はそれでいいと思いますけど、表現の問題だと思います。
 川辺先生、何か意見はありますか。
【川辺委員】  今のところで、タイトルは「市民参加型」と書いていただいていますけれども、市民を除いて「参加型」という、「参加型の取組」というのも普通に使われている言葉だと思います。
 日本語でも英語でもパーティシパトリーとなりまして、そこでステークホルダーパーティシペーション、あるいはシチズンパーティシペーションやパブリックパーティシペーションなどいろいろあるわけですけども、パーティシパトリーな取組であるというところで、「参加型の取組」とさらっといけるかなと思います。
 それからもう一つの研究者とそのほかの人たちという話、そのほかのステークホルダーというお話でしたけれども、研究者と非研究者という言葉もまたあるかなと、これも考えたアイデアの一つでした。
 研究者というところを文科省として強調されたいのかなとも思いましたので、研究者とほかのステークホルダーや、ほかの関わりのある方たちなどという逃げ方ができるのかなとも思っております。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 谷先生、もう一回手が挙がっていますけど。谷先生、まだ御意見はありますか。
【谷委員】  すいません、ありがとうございます。
 研究者の定義も問題があります。例えばオペレーショナルオーシャングラフィーをやっている、例えば気象庁や海上保安庁、防衛省、水産系の人たちといったデータを取っている人たちは研究者ではないかもしれないですけど、市民でもないですよね。非研究者だと言われると彼らはめげるかもしれないので、そこは重要なデータ取得者である人たちも実はサイエンスに関わっているということで、排他的にならないような配慮をぜひお願いしたいと思います。
【河村主査】  範囲が狭くならないように、少し書きぶりを考えるということでしょうかね。なかなかこれも難しい、どう表現するかと、恐らく人によってこの市民やステークホルダーという言葉に対するイメージが違うところが多分問題だと思います。特に横文字になった場合にシチズンサイエンスと市民参加型サイエンスは本当に一緒なのかというところを含めて丁寧に書く必要があるかなと思いました。
 これも事務局から、研究者ではない方々に書いていただいた文章を研究者が見るということで、少し調整を図りたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 それ以外のところについて何かコメントありましたら。
 見延先生お願いします。
【見延委員】  ありがとうございます。北大の見延です。
 4.の(1)の最初の丸のところです。ここでは、最初に書いたようにもう少し具体的に書いていいと思うので、この海洋酸性化のみではなくて、海洋生態系に影響を及ぼす因子として、海洋水温とそれから海洋溶存酸素についても書いてはどうかと。この三つは2019年にあったサイエンス20、G20に先立って行われた20か国のサイエンティストの共同声明というのは安倍首相に手交されていますけど、そこでも、取り上げられていた三つです。
 また、この環境因子としては、海洋酸性化は現象であって、因子とは少し違うのかなと思います。また、水温と酸性化は少し違うのかなと思うので、例えば海洋水温、海洋酸性化と海洋溶存酸素濃度という書き方にしてはどうかと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 海洋環境因子をくくってありますけど、それを具体的な三つの因子に書き換えるということですか。事務局はそのようにお願いいたします。
 ありがとうございます。
 それ以外に何か御意見はございますでしょうか。
 阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  今出ているページの下から4行目「その際、アカデミアだけでなく地方自治体や産業界とも協働すること」について、自分が所属しているからということはどけておいて、海外ではこの気候変動を生態系の影響評価その他というのに対して、いわゆるNGOや巨大財団というのがすごいパワーを発揮しています。はっきり言って一番大きな影響力を持っているのではないかというぐらい影響力があります。我が国はあまりそういうことが見えないようにはなっていますが、地方自治体と産業界は、パワーが実はあるようでそんなにないわけで、その辺を何かNGO、諸団体、国際標準で考えた場合は何か入れてもいいのではないかと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。ではここも少し事務局に工夫していただいて、入れていただきたいと思います。
 廣川先生、お願いします。
【廣川委員】  すみません、廣川です。
 私はこの辺は素人ですけど、1)の最初のところで、「海洋生態系の総合的な理解に向けて」ということですが、具体的にそれぞれこれから生態系の調査の高度化に向けて取り組むべきことが書いてありますが、先ほどの市民参加型の話あるいはステークホルダーの話もありますけど、総合的な理解のための取組みたいなものを少し最後のまとめのところ、あるいは一つ項目を立ててもいいと思うのですが、必要ではないかと思います。いろんな産業利用をするにしても、生態系の理解というのは非常にこれからも重要ですし、それがないと海洋利用というのはあり得ないと思いますので、その辺を少し工夫していただければと思います。
 以上です。
【河村主査】  統合的理解についてもう少し詳しく書いた方がいいという御意見ですよね。
【廣川委員】  はい、そうです。理解のこれからやることは書いてありますけど、「総合的な理解に向けて」と書いてありますので、そういったところの取組を少し加えてはどうかという意見です。
【河村主査】  それはどうしたらいいかな。
【事務局】  提案ですけど、まさに海洋生態系の調査をするに当たって、総合的に理解するために周りの環境因子や、あと手法の適切な取り入れを入れさせていただいて、この丸が四つで足りるか分からないですけど、それをやることで総合的理解につなげようと思っていました。
 なので、総合的理解に向けて生態系の調査に当たり、その周辺因子も含めて、把握することが重要であり、そのために以下の取組を複合して実施することが重要であるみたいなリード文で、要は総合的理解のために海洋生態系、つまり海洋生物直接でないと言うのが正しいかは不明ですけど、周りの環境も含めて調査するということで、四つのTO DOを入れているので、リード文が確かにこれだと乱暴かなと思いましたので、そこを、もう少し丁寧に書き下させていただいて、1案作らせていただければと今先生から御指摘いただいて考えました。いかがですか。
【河村主査】  廣川先生、リード文のところをもう少し詳しくするということでよろしいでしょうか。
【廣川委員】  1)のタイトルも「理解の深化」と書いてありますので、つながるような文章がどこか末尾にでもあればいいかと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 川辺先生、お願いします。
【川辺委員】  今の廣川委員のお話と関係があると思いますけれども、海洋生態系の理解と言ったときに、今どういう問題があるのかをもう少し丁寧にお書きいただいたらどうかと思いました。今このリード文に書いてあるのは、海水温の上昇とCO2増加の海洋酸性化ですけれども、もともと貧酸素化の話というのはずっと悩ましい問題としてありますし、サンゴ礁や藻場、マングローブといったものが失われていくという話もある。そういった問題と水温上昇は関係もあるのかもしれないですけども、そのことを少し書いていただかないと、いきなり深いところへ入っていくような気がしてしまいました。少し御検討いただけるとありがたいなと思います。
 それからもう一つです。8ページの下から二つ目のパラグラフのところです。「気候変動や災害等による海洋生態系の影響評価・予測に加え」ということで、統合した研究を行うことでこれはもう海洋科学の10年の話とすごく関わっていくのかなと思います。先ほど阪口委員の方から、もう少しステークホルダーというか、登場人物を含めてというお話があったとおりですけれども、海洋科学の10年の多様なステークホルダーの中にNGOやビジネスなど、いろんな人たちが登場しているので、そういったところももう少しアピールしていただけないかなと思いました。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 最初のことについては、確かに生物多様性の減少や水産資源の減少などいろんな問題があるということが、どこも出てきてないので、そこを丁寧に書いて、なぜその生態系の理解を深める必要があるかというところが分かるような文章を4.の最初の部分か、あるいはその1の最初に入れると……。
【事務局】  あっさりし過ぎているので、それを1と2にそれぞれきちんと背景等を入れられるように。
【河村主査】  それも事務局でお考えいただいて入れるということにしたいと思います。
 それから、今のもう一つの川辺先生の御指摘の部分……。
【事務局】  やります。ここから5.につながっていくようなきれいな流れにしていく。5.でまさにこういう協働をして、海洋生態系の知見を広げていく動きもあるという表現をしているので、2.~4.から5.につながりっていくという作りを頑張りたいと思います。
【河村主査】  それは事務局に考えていただけるということですので、よろしいかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
(「なし」の声あり)
【河村主査】  大分時間が押してしまいましたので、それでは一旦これで個別の質問を打ち切らせていただきたいと思います。
 概要ですね、報告書概要をまとめていただいていますので、それについてちょっとポイントを聞かせていただきたいと思います。
【事務局】  ありがとうございます。今、先生方に御議論いただいたところ、大体1枚紙でいろいろなところに説明できるように概要をまとめさせていただきました。
 大きくはタイトルとその背景でこういうことを目的に取りまとめましたので、1.でデータ共有についてということで、観測データの共有、主に(1)は観測技術の強化や国内・国際機関の連携、あと空白域の強化についてそれぞれエッセンス、TO DOのところを特に追記して盛り込みました。
 さっき言いましたまだ少し生煮えだった観測機関の共通ニーズ・提案なども入れていたりしていますので、これは本文とも直しながら、必要に応じてこういったところは追記、修正をしていきたいと考えています。
 また、2.、3.、4.は、大きく枠をくくると社会課題への対応なのかなということで、矢印をかけていますけど、少しそういったところで、気候変動問題の解決への貢献であったり、安全・安心な社会への貢献であったり、これも中に書いてあることを箇条書で、概要を整理させていただいて、また5.、市民参加型について、本文の整理はまだ調整が必要ですけれども、以上を概要として、TO DOを中心にまとめさせていただいています。
 8月30日に海洋開発分科会を予定しておりますが、こちらの資料を中心に、まず全体報告をこの委員会としてやりつつ、報告書の細かい内容を御説明という流れにしていきたいと思います。現時点では、あまりにもひどいところがあったら御指摘いただきたいですけど、こういう資料も作っていますということを御報告させていただいて、あとは全体で何かあればということで、意見交換につなげていただければなと考えております。
【河村主査】  ありがとうございます。
 見延先生、お願いします。
【見延委員】  ありがとうございます。
 この1枚紙の2.気候変動問題の解決への貢献の最初の四角ですけど、これは「ESG活動等の産業界の取組も踏まえた」で、我が国周辺海域の稠密かつ持続的な観測体制というところにつながっていますよね。ですけど、本文の方では企業のESG活動は別に観測ではなくて、地球温暖化対応としていろいろやっているということになっていて、ちょっとこれはESG活動が観測につながるのはおかしいですね。
【事務局】  なるほど、分かりました。そうですね、ESG活動は産業界でいろいろこういったことを取り組む必要があるという冒頭のリードを入れていて、いきなりそれが観測体制になってしまうのがちょっと飛び過ぎでしょうという指摘ですよね。
 分かりました。ちょっと適切に修正するようにします。ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  少しくどいですけれども、1.の(2)に海洋に関するデータ共有等々について、一番大事なことは以前申しあげたとおり、国内の海洋に関するデータがセキュリティーの下で共有されてないということがすごく我が国が損をしている状況であるという議論が全然この四角二つにないので、この四角二つの二つ目は1個目にマージして、それをきちんとやるぞということを言わないと、文部科学省だからこれは言いにくいのかも分からないですけども、セキュリティーをまず政府がきちんとセッティングするということと、そのセキュリティー条件下で情報を共有するときちんと言わないと僕は将来的な海洋調査観測システム及びデータ共有について応えられていないと思いますけど、いかがですかね。
 せっかく本文には、あれほど強く書いたのに、それを1行でぜひ入れてほしいです。
【河村主査】  ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
【事務局】  技術流出対策ではなくて、データ共有の方ですね。
【阪口委員】  そうです。流出したら困るような技術は実はあまりないです。それよりは、我が国に関しましてはデータが一番重要です。
【河村主査】  では、その部分は1.に四角で入れていただくということで、少し調整していただきたいと思います。
【事務局】  分かりました。
【河村主査】  谷先生、お願いします。
【谷委員】  谷です。
 阪口委員の意見に全く同感ですので、その旨を申し上げます。
 この報告書の多分、本当に一番大事なところというか、これが実現すれば世の中が変わるというのは、今、阪口委員がおっしゃった部分であると思っております。
【河村主査】  では、そこを入れるという方向で、事務局に考えていただきたいと思います。
【事務局】  分かりました。
【河村主査】  川辺先生お願いします。
【川辺委員】  本当に細かいことですけども、下から2行目の最後です。「共創による総合知の創出」とありますけども、これは協働によるではないかなと。共創というのは協働創出ということなので、馬から落ちて落馬する的になっているかなという気がいたしました。
【河村主査】  協力して働くというのが協働ですね。ありがとうございます。
 ほかに今のこのまとめ、概要について、何か重要な御指摘があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 これは全体のまとめということなので、特に重要な観点が抜けていれば、それは入れる必要あると思います。さっきの阪口委員の意見が重要かと思います。
 これもその部分を加えた……。
 前川先生、お願いします。
【前川委員】  海洋施策研究所、前川です。
 先ほどの議論でもありましたように、下から2行目の「市民(ステークホルダー)」という扱いでいいのか、報告書本文と用語の使い方がきちんと整合するように……。
【河村主査】  それは本文で修正が入るところについては、それに併せてこの概要も修正していくことにしたいと思いますので、併せて皆さんにまた見ていただきたいと思います。
 河野真理子先生、お願いします。
【河野(真)委員】  申し訳ございません、1.ですけれども、先ほど出た(1)の海洋観測・データ取得に関して、このまとめですと研究開発の加速だけですけれども、やはり観測の強化は言葉としては入れてもいいかもしれません。少し御検討いただければと思います。
【河村主査】  それは必要だと思います。ありがとうございます。それもちょっと加えていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。本文の方にも大分修正が入りましたので、それを反映して、この概要も作り直していただくと。
 谷先生。
【谷委員】  今、河野真理子先生から御指摘があったところの次ですか、「国際連携による観測体制構築(技術流出対策強化)」とありますけども、これは本文のどこにリンクするのかなというか、これだけを読んで、ここのこの部分を読んで、この観測体制の構築と技術流出対策の強化というのがセットになるとはあまり思わないですが、技術流出対策強化をわざわざ書かれた意図は何でしょうか。
【河村主査】  どうぞ。
【事務局】  本文のまさにここです。観測体制強化の中にここの技術流出対策があったので、ここを併せて入れ込んだという趣旨でございます。二つ目の丸です。
【谷委員】  そうだろうと思いますけど、観測体制を構築するというのと技術流出対策の強化というのは少し違いますよね。それを留意しつつですけども、すごく目が細かいというか、ここまで書かなくてもいいのではないかという気がします。
 先ほど(2)で議論しましたけど、情報のシェアや、あるいは情報流出対策の政策の決定はすごく大事ですけども、観測体制を構築するときに技術流出の対策を強化するところは、ある意味で、別途、法制度で確保されている部分でもあり、また、先ほど阪口委員がおっしゃったように日本で流出して困るような技術はそんなにないので、これをわざわざ書くかなという気がします。何か別の下心があって書かれているのであれば、それはそれで承りますけど。
【事務局】  いや、そこは書いてあることをなるべく網羅しようとした限りでございます。
【河村主査】  まとめに書く必要はないということで……。
【谷委員】  まとめに書く大きさの話ではないと思います。
【河村主査】  分かりました。それは取っていただくということで。
 藤井先生、お願いします。
【藤井委員】  水産研究・教育機構の藤井です。ありがとうございます。
 これの1.の(1)の二つ目の四角です。先ほど来、本文の方でも議論のあったところですけど、最後のところです。「国際枠組み作りへ提案」になっていますけど、これは提案で十分でしょうかというところで、本文やこの文章の前の方との兼ね合いも出てきますけど、「国際的枠組みづくりを主導」という言い方をするとどうでしょう、盛り過ぎというか、吹き過ぎになるのでしょうか。専門の方の御意見をお伺いしたいですけど。
【河村主査】  先ほどの議論でいくと提案だけではなくて、リードしていくということだと思いますので、そこも併せてそういうような文言に修正していただくことでよろしいですかね。
 須賀先生、御意見お願いします。
【須賀委員】  今の御指摘の点について、そのとおりだと思います。
 主導するための体制がないんですよね。いきなり主導はぱっとできないかもしれないけど、主導するためには国内できちんとまとまる、戦略を持ってまとまることが必要だけども、それがないので、それをしないと主導はできないという感じです。だから、提案や主導といきなり書いても、それをいきなりはできないので、それをするための仕組みを作るというのが多分、具体的にやらなければいけないことだろうと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 見延先生、お願いします。
【見延委員】  今の点についてちょっと私は須賀さんとは違う意見があって、戦略的にやっていけるようなのもあるのだけど、結構、委員会などを立ち上げたり、その中に入って提案して、それで流れを作って、それがひいては国内も動かすという形で国際的には活動している人が結構いると思います。つまり、国際的なお墨つきをつけることで、国内にも影響して、例えば自分がファンドを取りやすくするということですね。だから両面があって、全部国内からの積み上げにすると、そういう委員会に出ていって、一匹狼でとにかく俺たちはこれをやりたいんだというような人がますます出にくくなるので、あまり偏らないようにした方がいいのではないかなと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 どうやってまとめるか難しいところですけども……。
【事務局】  何よりも、まずは本文をまとめさせていただいて、あとの調整になるかと思います。
【河村主査】  目指すところは同じだと思いますけど、やり方の問題だと思います。
 ちょっとここはまとめにそんなことを書く必要ないと思いますので、まとめは目標を書いて、本文のところにそれを入れ込んでいくということでお願いしたいと思います。
 河野真理子先生、お願いします。
【河野(真)委員】  再度で申し訳ありません。先ほど谷先生がおっしゃったところで、1.(1)の二つ目の四角です。ここで一番大事なことは、国際、国内を含めての情報共有の体制を作ること、その情報共有を通じて、国際的に貢献すること、あるいは主導することであって、そのために、技術流出や情報流出の対策を強化するという順番になると思うので、むしろ二つ目の四角というのは、情報共有体制の充実ではないかという印象を受けました。情報共有体制の充実が目的で、そのための手段とか、その効果や対策というふうに報告書の中で分かれていくのではないかという感じです。ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 そこも本文の作りに応じて、このまとめを作っていただくということにしたいと思います。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  2点あります。今、河野真理子先生がおっしゃったところの(1)の二つ目の四角でおっしゃったことは(2)の中身ではないのでしょうかという気がします。
 もう一つの点ですけども、これは細かい話ですが、(1)の三つ目の四角が2行になっていますが、これではなくて、四角が足りないのではないですか。例えば2行あるのは2.や4.にありますけど、これはつながった文章ですが、これは別の話だと思うので、超深海の手前に四角が要るのではないですか。もし私が間違っているならすみません。
【事務局】  意図としましたのは、データ収集強化という、こういった空白域のものを取るのに、改行の位置はたまたまそう見えているのですけど、この二つをやっていきましょうと本文になっているので、つながっているという趣旨で入れました。本文上も一応同じ項目の中には入っています。
【谷委員】  ああ、そういうことですか。分かりました。
事務局】  そうですね、分かりづらいですね、すみません。
【河村主査】  この概要については、あくまでも本文のまとめですので、本文をしっかりまとめた上でそれがきちんとまとまった形で概要を作っていただくということで、これは別のものではありませんので、そのようにしていただきたいと思います。
【事務局】  はい、分かりました。
【谷委員】  すみません、さっきのポイントであれば「北極域をはじめ」の行の最後の「運用」の後に点が要るのではないですか。
【事務局】  はい、おっしゃるとおりです。
【河村主査】  少しその辺ももう一回見直していただきたいと思います。
 ありがとうございました。大分時間が超過してしまって申し訳ありません。
 いろいろな意見をいただいて、かなりいろいろな修正が入りました。委員会としては今日が最後になりますので、今日いただいた御意見をしっかり修文していただいて、また特に、全員にはお送りしますけれども、今日御意見いただいた方にはよく見ていただいて、御意見をいただきたいと思います。特に1.の2)国内、国際連携の部分と海洋生態系のところで特に背景の記述が少ないということで、それを入れるということ。
 それから、市民参加型についての文言をどう使うかということについて、きちんと修文していただいたものをまた皆さんに見ていただきたいと思います。
 皆さんにいただいた意見を事務局でまたもんでいただいて、最終的には事務局と私の方で調整して皆さんの意見を盛り込んで、8月30日の海洋開発分科会の方に提案したいと考えます。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【河村主査】  それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 大分時間が超過してしまいましたが、以上をもちまして、本日の議事を終了したいと思います。
 先ほど申しましたようにこの委員会の検討は、ここで一度終了ということで、皆さん半年間、大変活発に議論していただきまして、ありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項などありましたらお願いいたします。
【事務局】  本日はお時間超過してしまい申し訳ございませんでした。本日の会議の議事録は改めて作成させていただいて、皆様方に確認させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 先ほど主査からメールで御確認という話もありましたが、ちょっとお盆期間に重なってしまう可能性もございますが、極力御協力をお願いできればと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
 事務局からの連絡は以上となります。
【河村主査】  ありがとうございました。
 では、これをもちまして、本日の海洋科学技術委員会を終了させていただきます。
 これまで皆さん、多大な御協力をいただきまして、ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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研究開発局海洋地球課