海洋科学技術委員会(第5回) 議事録

1.日時

令和4年6月3日(金曜日)13時00分~16時00分

2.場所

オンライン

3.議題

  1. 今後の海洋科学技術の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

河村主査、河野健委員、河野真理子委員、川辺委員、阪口委員、須賀委員、谷委員、廣川委員、藤井委員、前川委員、見延委員

文部科学省

大土井海洋地球課長、伊藤海洋地球課長補佐、川﨑海洋地球課長補佐 ほか

オブザーバー

榎本浩之 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所副所長、喜連川優 国立情報学研究所所長/東京大学特別教授、 岩本匡平 ソニーコンピュータサイエンス研究所SOLプロジェクトプロジェクトリーダー、稲田雄樹 株式会社島津製作所航空機器事業部航空機器営業部主任

5.議事録

【河村主査】  それでは、皆様、これから第11期科学技術・学術審議会海洋開発分科会海洋科学技術委員会、第5回の会合を開催したいと思います。
 皆様、本日はお忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 まず最初に、事務局から、参加者、定足数の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。
【事務局(川﨑)】  承知いたしました。まず、本日御欠席の委員はいらっしゃいません。
 なお、谷委員より14時から45分程度、川辺委員より14時から15時ぐらいまでそれぞれ退席されるという御連絡をいただいております。現在、全ての委員に御出席いただいておりますので、本委員会の運営規則第2章に定める定足数の過半数を満たしていることを御報告いたします。
 また、事務局としまして、文部科学省研究開発局海洋地球課長の大土井のほか、海洋地球課の関係者が出席しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日、情報・話題提供者として、東京大学の喜連川優様、株式会社島津製作所の稲田雄樹様、ソニーコンピュータサイエンス研究所の岩本匡平様、及び国立極地研究所の榎本浩之様に御参加いただいておりますので、御紹介させていただきます。
 続きまして、本日使用する配付資料、投影資料を御紹介させていただきます。画面共有させていただきます。
 本日は、資料は主に1から4まで、御用意させていただいております。資料1、喜連川様提供資料、資料2、稲田様提供資料、資料3、岩本様提供資料、及び資料4、榎本様提供資料となっております。また、その他参考資料として、前回3月までに議論したまとめの骨子を参考資料1として用意させていただいております。参考資料2として、本日、論点になる部分を抜粋した資料、また参考資料3としまして、これまでの検討の状況についての資料を御用意させていただいております。
 資料については、既に文部科学省のホームページにも掲載しておりますので、この後、チャットのほうにもURLを掲載させていただきたいと思います。御不明な点ございましたら事務局までお知らせください。
 以上になります。
【河村主査】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 前回、3月の委員会では、安全・安心な社会の構築に資する海洋科学技術の在り方ということをテーマにしまして、海底資源探査の促進のために必要な取組についてヒアリングを行いました。それから、議論のまとめとなる骨子案についても意見交換を行いました。
 本日は、将来的な海洋調査観測システム及びデータ共有の在り方をテーマとしまして、海洋に関するデータ共有、収集、整理と他のデータとの連携についてヒアリングを行いたいと思います。
 まずは、「地球環境統合データプラットフォームを作り続けて40年」という演題で、東京大学の喜連川優先生から話題提供いただきたいと思います。喜連川先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【喜連川特別教授】  喜連川です。それでは、発表させていただきます。情報研と東大の喜連川でございます。本日はこういう機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 DIASというのは大きなプロジェクトで、ここに書いてありますように、多くのメンバーから長年つくられてきたと御理解いただければありがたいと思います。
 私から大体のお話をしまして、Q&A、とりわけ海洋に関しましては、JAMSTECの石川先生も今日御同席をいただいている。それから、生駒先生にも出ていただいています。私はこの発表が終わった30分から、NIIのオープンハウスでのスピーチがありまして、そこは少し御容赦いただければありがたいと思います。
 まず最初に、DIASというのはそもそもどういう経緯でつくられてきたのかということに関してのお話が聞きたいという御希望があったと理解しております。この図を見ていただきますと分かりますように、DIASは第4期に入っておりまして、1期、2期、3期というのも併せまして、全部のDIASの時代からしますと半分にも満たないということを御理解いただければと思います。
 DIAS1期というのは国家基幹技術ということで、小池先生が主導されまして、1期、2期とやってまいりました。私はどちらかと言いますと、最終価値を提示するということが重要ということで、IT屋は黒子で結構ですということから、1期、2期とは出ておりませんでしたが、表にはあまり出ないようにしておりました。3期は、国費にはよらないDIASの運営ということが強く意識されまして、3期は私どものほうで中心的に取りまとめをさせていただきました。これは40年と申し上げましたが、Karikóさん(Karikó Katalin博士)がアメリカに渡ったのが1989年ですので、mRNAのワクチンは30年かかっています。そういう意味では、40年というのは長いようですけど、この程度のシステムをつくるのはそれほど短い時間では到底できないと感じられるということです。
 ここにお示ししたのがDIASの全体像でございまして、サイバーの地球というものと、リアルの地球というものの2つを並べるというのが最近、はやっておりますデジタルツインと呼ばれている言葉でございますけれども、デジタルツイン。こちらは本当の地球。本当の地球に関しましては、いろいろなセンサで観測をかけるということに対して、多様なシミュレーションによって挙動を解析するというサイバー空間でのツインというもの。これらの情報を全部DIASというシステムに投入いたしまして、それによって、ここの解析から実際のアクションオーダー、Disasterのprevention、mitigationも含め、いろんなことをするシステムと御理解いただければありがたいと存じます。
 こういう複雑な系、例えば人間の体一つとか地球丸ごとという系は、そもそも方程式に乗りませんので、支配方程式がない世界というところで、いわゆる第4の科学、データドリブンサイエンスというものが出てきた。これが訴えられたのが2009年でございますので、そうしますと、実はDIASは1983年ぐらいから、私は高木幹雄先生に拾っていただきまして、生研(東京大学生産技術研究所)に来たわけですけれども、高木先生がされましたのは、NOAAというサテライトからのデータを受信するアンテナを、これは中古のアンテナですけれども、生研は東大の六本木にあったんですけれども、そこで構築されました。当時、電気工学科ですので、アナログで受信機あるいはストレージの装置、ワンシーンを取りますと100メガバイト必要だったわけですけれども、当時、メインフレームでこういうシステムをつくりますと、主記憶が2メガバイトぐらいしかないという、ウルトラ大昔からこういうことを始めていたと御理解いただければと思います。
 1983年に入りまして、84年というのは非常に大きな転換期で、これはいわゆるTCP/IPという、今、言われるインターネットがUNIXにバンドリングされまして、これによって、いろいろな情報をやり取りできるようになったといいますか、その前は、高木先生はファクスで画像を送っていたような状況でした。そこで我々、まず記憶装置をしっかりさせようということで、この1箱でたった1テラバイトぐらいしかなかったんですけれども、だんだん記憶装置を拡充いたしまして、現在、100ペタバイトに至っているということです。100ペタというのは、テラバイトのさらに1,000倍ということと御理解いただければと存じますが、現在、東京大学の柏キャンパスというところがございまして、そこに国立情報学研究所のハブも同居させていただいておりまして、基盤センターと合築した建物になります。そこにこれぐらいの大規模なシステムが導入されておりまして、一部、駒場に機器が置かれております。
 これは長い年月を見て、どういうふうにデータが成長したかということを示しておりますが、最初はいわゆるリモセンで、下のほうが大体リモセンですけれども、MODIS、AMSRみたいなところですが、上のほうでだんだんとシミュレーションのデータ、つまり、デジタルツインのサイバー版の部分が増えてきたというのが最近の兆候でございます。40年と言いましたが、30年というのはムーア則で100万倍でございますので、情勢変化が100万倍変化する中で、あれこれ、いろんな工夫しながら、ここに至っていると御理解いただければと存じます。
 また、多様なベネフィットエリアとそれぞれの観測網というのは、普通、バーティカルになってしまうわけですけど、それではいけないということで、統合的なシステムを地球全体として見ようということから、こういう巨大なシステムが要るのではないかということを80年代頃、考えまして、それを実現するのに随分長くかかったということです。
 これはユーザー推移の増加量をパー・イヤーで取ったものですが、全体の傾向を見ますと、当初は本当に使えるシステムという感じではなかったわけで、大勢の方々をアクセプトすることは非常に困難だったわけですけれども、先ほど言いましたように、DIASも3期になりまして、急激に増えました。ここはRESTECの方々にいろんなシンポジウムみたいなものをやっていただいたことも功を奏したのかなと思いますけれども、現在、大体1万人ぐらいでございまして、ここが面白いのは、半分がドメスティック、半分がグローバルということで、システムとしてこれだけ海外が平等に取り扱われているものも日本でそれほど多くないのではないかと思います。
 利用ですけれども、ダウンロードが50%、アプリ利用者が20%、それ以外の方はいろいろ閲覧される。アプリが20というところの解釈が難しいんですけど、ダウンロードも実はアプリですが、どちらかというとデータを取っていく作業が主体と御理解いただければありがたいと思います。
 2番目の御質問は、海洋のデータの特異性というのがあって、それがDIASではハンドリングするのが苦手であるとかそういうことがあるんですかということの御質問であります。これは逆に言いますと、私ども海洋のデータの特色というのは必ずしも十分分かっておりませんので、DIASで扱っているデータがどういうものがあるかということを御紹介したいと思いますが、これはひまわり画像でありまして、左の7から右の8にかけまして、御覧になられるかと思いますが、非常にレゾリューションが上がってきております。
 そうしますと、チャンネル数がありますので、ある種3次元でありますが、こういうものも非常に高度なAPIを私どものほうで御用意することでどんどんダウンロードされておりますし、d4PDFという、長期の過去からのシミュレーションと未来の予測というデータに関しましても、このようなユーザーインターフェースの中でどんどん切り出し、APIで御利用なされているのが現状でございます。
 CMIP6も含めますと、現在、この2つのファイルでおおむね10ペタバイトを超えるような大規模データになっております。しかしながら、どちらかというと、シミュレーションのデータが多くなるわけですが、点群のデータもございまして、河川のテレメトリのような、ほとんど日本中の河川テレメトリが張りつくぐらいいっぱい張りついておりまして、こういうデータもリアルタイムで利用できるようになりますし、また、ここにカメラを最近たくさんつけておりますので、私ども、1万点ぐらいのカメラの画像解析をするということをやっております。これはいわゆるニューラルネットワークを使いながら、学習曲線でだんだん最近は賢くなってきている。そんなふうにお考えいただければと思います。
 だんだん川の水が増えていきますと、緑色は平常ですけれども、少したってきますと、ちょっと危ないなという、こんなようなことも、それから、データ構造だけではなくて、それがリアルタイム性を持っているかどうかという点でも一つの大きな特徴を表すことができますが、ゆっくり来るのではなくて、できるだけリアルタイムにデータが我がほうに入ってくるようにということを工夫しておりまして、ここにありますようなアメダスやGPVや先ほどのテレメトリやCバンド、Xバンド、あるいは海上保安庁からの潮汐のデータ、このようなものがほぼ準リアルタイムで入ってきている。ピュアにリアルタイムで入ってくるのもございますけれども、そういう努力をかなりして行ってきたということです。
 これはXバンドのデータでございますけれども、昔と違いまして、むしろオブザべーションのテクノロジーが上がっているということでございます。XRAINのオリジナルのデータアラウンド含めますと、1日におおむね1テラバイトぐらいのデータを吸収しているとお考えいただければありがたいと思いますけど、もっとほのぼのとした、こういうクラウドセンシングのようなものもありまして、どこでどんな蝶を採ったみたいなものもあったり、そうすると、今まで見つかっていなかった蝶が見つかったとか、あるいはドローンは北見でやっておりまして、現在計画中ですけれども、発災時と回復時でどこをどんなふうに見ればいいかというような、そういうデータの取得もございまして、ほぼ考えられる全ての種類のデータ構造は入れているのではないかなと思っております。
 したがいまして、私どもが十分理解しておりませんけれども、海洋で何らかの形でどんなデータでも導入できるのではないかというのがポイントで、もう一つは、3つ目の御質問、これが最後の質問でございますけれども、DIASでいろいろやってきたけれども、海洋で何か面白い、すごいアプリは考えられるんですかというような御質問をいただきました。
 海洋の部分は、実は我々やってきまして、第1期の終わりぐらいに、淡路先生、当時、京都大学においでになられましたけれども、イカに関していろいろ、こういうことをやってくださいというような御依頼を受けまして、粒子追跡で、どういうふうに。イカは非常に温度センシティブなのでということから解析させていただいたことを記憶しております。
 このとき淡路先生がおっしゃられましたのが、これは外交に非常に重要だと。今年からあんまり採れないのは韓国が採っていたからだというような、そういう近隣の国とのエビデンスをつくるということに使う必要があるということで、非常に高い御示唆でいろいろ私どもに御指導を賜ったということです。
 全体感から申し上げますと、アプリはどういう面白いものがつくれるかというのは、決して、IT屋が考えることというよりは、ドメインの先生方と一緒に考える。私どもの役割というのは、ドメインの先生方が来たくなるような場所をどうやってつくっていくのか。そこでいろいろなアイデアが創発される。そういう流れではないかと思います。地球環境者とデジタル研究者が融合する。そして、1を2にしたり、3にするのではなくて、0を1にするということを常に考えているということ。そのために何をやっているんですかというと、とにかく多くのデータ、多様なデータがリアルタイムで入ってくるということと、それを使いやすいようなAPIを全て用意していくということ。それから、3つ目が結構重要ですが、ITをフルサポートしていますということです。
 我々の経験ですと、ユーザーさん、つまり、ドメインのサイエンティストがつくっておられたコードを1としますと、我々のところに来ますと、それに新たにシステムコード、多分同量ぐらい続けられるという、そんな場というのは多分世界中でほとんどないのではないかと思いますが、研究者にとられましては、自分の底力を示す。リアルタイムでデータが来たら、それが本当に動くかどうかというのはもうそこで分かってしまうわけですね。そういう場をつくっているというのが私どものほう。
 これは早稲田大学との演習を見せていただいたもの。
(映像)
【喜連川特別教授】  これは全部見ていると時間かかりますのであれですが、今、テレビで出ましたように、左がネット外力なんですね。これはX-bandで取れる。それを入力にして、右側の下水管の満管率を物理的に計算する。ところが、このプログラムをつくりながらやった先生は、非常に実直におつくりになられましたので、その30分先がなんと10時間ぐらいかかる。これだとリアルタイムの予測にならないわけですけれども、これを10分ぐらいに落とすというコードをお見せいただけますかということから始まりまして、私どもが手取り足取り御支援申し上げますと、こういうことは比較的簡単にできるということであります。
 これも面白いんですけれども。
(映像)
【喜連川特別教授】  こういうものもございまして、今、メタバースという言葉がよく出ておりますけれども、それより大分前に、これはバンダイの出先と一緒にやったんですけれども、普通こういう技術というのはなかなか、ファミリーではないところで、我々がこういうものを使ったら面白いことができるのではないかというようなことを御示唆申し上げて、競争していく、一緒につくっていくということです。
 ちなみにこれは蜃気楼で、この辺が蜃気楼ですけれども、今、北見でやっておりますのは、LPWAという通常のLTEの電話の回線では飛ばないような、自然の末端のところから届かせまして、その後、モバイルSINET、それから、通常のSINETというところで、そして、蜃気楼が起こるということを予測するというのアプリケーションをつくったりしております。
 ポイントは、DIASと海洋というものは地球環境全体から見たときに、とても親和性が高いのではないかなと個人的な印象は持ちます。私どもが申し上げますのは、今、幾つか御紹介しましたように、何か課題があったときには、ITサポートという意味では必ず世界に大きく引けを取るという、そんなものは絶対につくりません。ここにしかないというものをつくるということは今までの例を御覧いただきましたように、明らかにお感じいただけるのではないか。
 ポイントは、いつも申しているんですけど、一緒に夢を描きましょうという言い方をしております。ちなみに今週の月曜日にSINET6というものを行い、開通式を行いました。時間はありませんけれども、現在、SINET6というのは400ギガで動いております。この400ギガのハブに実はDIASのノードが置かれています。この超高速のネットワークによって膨大なデータを多く収集することができる。これは物すごく大きなメリットになっているということも最後に付け加えたいと思います。
 ちょっと長くなり恐縮です。以上でございます。
【河村主査】  先生、どうもありがとうございました。
 それでは、これから質疑応答に入りたいと思うんですけれども、喜連川先生、13時半から別件があるというお話ですので、途中で退席されるのではないかと思います。本日、喜連川先生に代わって質疑にお答えいただく方として、東京大学の生駒栄司先生と、JAMSTECの石川洋一先生に御参加いただいています。お二人からも御回答いただけるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、質問等、よろしくお願いいたします。
 見延先生、お願いします。
【見延委員】  北海道大学の見延です。喜連川先生、どうも御説明ありがとうございました。先生の御発表の中にありましたように、今、モデルのデータが非常に大きくなって、幾つかのデータは10ペタになるという、そういうように大きくなってくると、だんだんダウンロードして解析するという旧来のビジネスモデルが成り立たなくなって、ダウンロードせずに解析をするという方向にしないと、こちら側の大学の研究室はとてもじゃないけど、対応できないという気がするんですよね。その辺、喜連川先生はどのようにお考えでしょうか。
【喜連川特別教授】  先生がおっしゃっていただきましたように、本来、クラウド化というものがそういう方向で進んできたということです。1984年の頃を思い出していただくと分かるんですけれども、クラウドという概念もない中で、私どもがDIASのプロジェクトを進めるというのは、政府とのやり取りは小池先生がされたんですけれども、一つ、僕から提案させてくださいと。ITのデバイスをそれぞれの研究者に渡すことはそれだけはやめてください。つまり、全体の予算のうちの半分に切りましょう。相手は全部DIASに集約しましょう。そうするとデータはそこに来れば全部分かる。そこに来れば一定程度の解析も全部できる。そこでつくったものはその中にしまえばいいということで、閉じたクラウド空間をつくりましょう。これをあの時代に考えた人というのはそんなにいないです。エリック・シュミットがクラウドといいましたのは2006年ですから、そういう意味で、私どもはイベンチュアルには、たまたま一緒になったのかもしれないんですけれども、そういう姿、まさに先生がおっしゃられている姿を目指してここまでやってきています。ただ、スーパーコンピューターのようなでかいシミュレーションはさすがにDIASではできませんので、ここは、「富岳」と、先ほど申し上げましたように、DIASが400ギガの超広帯域で結ばれておりまして、一旦出たものをマニピュレートする部分に関してはもうオールDIASの上でやるというところをぜひ構築していきたいと海地課さんには申し上げている次第です。
 これでお答えなりましたでしょうか。
【見延委員】  ありがとうございました。
【河村主査】  阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  笹川平和財団の阪口です。喜連川先生、ありがとうございました。今の質問のお答えに関係することにつきまして、観測データ、それから先ほどお示しされたシミュレーションデータ等がいろいろ蓄えられているところで、計算エンジンに関してはそんなにごっついものをやる環境にないとおっしゃいましたが、一緒にあるほうがよいですか。それとも、今の日本の状況のように、大規模計算機がしかるべきところにポツポツとあって、DIASがある場所にあって、そこに巨大データがあるという、その状況というのは、喜連川先生にとってみたらアイデアルですか。それとも、隣にあって、もう全部1局でやって、その計算、解析、その他サービスというものを付帯的にそこでやるほうがよいと考えられるか。それはそれであなたたちでやってくださいよというほうがよいか。御意見いただけたらと思います。よろしくお願いします。
【喜連川特別教授】  ありがとうございます。非常に的確な御質問だと思います。それで、計算機屋からしますと、「計算する」という一つの言葉で表すのはやや乱暴なところがあるというところがありまして、非常にコンピュテーションヘビーな仕事というものと、それから、中程度、小程度というもの。データインテンシブという言葉を最近よくお聞きになられると思うんですけれども、昔は何と言っていたかというと、コンピュテーションインテンシブと言っていたんですね。そのインテンシブの度合いが重要だと思うんです。
 ウルトラコンピュテーションインテンシブのようなものはやはりその専用機が必要ですので、「京」や「富岳」というところでやるというのは必然的な帰結になると思います。従いまして、そこからデータを引っこ抜くというところでDIASに持っていく。実は、「富岳」でも共有ストレージというのがありまして、スパコンから吐き出したものはストレージ空間の中に一旦入るんですね。それを持っていくという構造をしていますので、逆に言うと、出口が今回の場合、DIASに直結で突っ込むということをやっている。そんなふうにお考えいただければよくて、全くここを隣同士にする必要があるかどうかという意味で言いますと、そこまでは考える必要は根源的にはないというのが現実ではないかと思います。これはほとんど全ての研究機関がこのようなアーキテクチャを取っていると思います。こういう形でストレートにお答えになっているのかどうか分からないんですけれども。
【阪口委員】  今のお答えは、データ転送の能力が十分についていっているということを前提にしているからと考えてよろしいですか。
【喜連川特別教授】  はい。これは不思議なことですけれども、先生、不思議な現象としては、コンピュテーションは、計算式では3つしかないんです。コンピュートするものと蓄えるものと運ぶものと3種類しかないんです。これを何となくバランスを取りながらシステムがエボルブしていっているんです。これはどうしてかというと、速いコンピューターを作ったら、早く運ばざるを得ないから、ここの技術をやろうという計算メカニズムが働くんです。そのバランス感覚を我々はじっと見詰めながら、今、何を導入しようというのをずっとこの40年間考えてきたと。だから、東京大学の基盤センターよりもはるかに大きいストレージ空間を持っている。それを一つの研究室が運用している。ただ、プロでないとできないような世界がずっと動いてきた。そんな感じでお捉えいただければと思います。
【阪口委員】  ありがとうございます。
【喜連川特別教授】  すみません。私はここで退室させていただいてよろしいでしょうか。
【河村主査】  先生、ありがとうございました。お忙しいところ、本当にありがとうございました。
【喜連川特別教授】  河野先生、ちょっと失礼ですけれども、生駒先生と石川先生にお答えしていただけると。どうぞよろしくお願いします。
【河村主査】  はい。ありがとうございました。
 それでは、引き続き生駒先生、石川先生にお答えいただけるということですので、河野さん、お願いいたします。
【河野(健)委員】  JAMSTECの河野健です。先ほど来の質問にちょっとだけ私なりの考えというか、恐らく見延先生とも同じ考えなんだろうと思いますけれども、ユーザーがどれくらいの量のデータをどのくらいのレベルの解析ツールを必要として、何かをやるかというところに依存するんですけれども、一般のユーザーの人にとっては、特にシミュレーションデータの容量というのは大きいんですね。だから、それを一旦、自分たちでダウンロードして、自分たちが持っているシステムの中にストレージしてから解析を始めるということだと、ちょっとした通信障害でも嫌になっちゃうとか、何種類もの大容量データを転送する場合は、もうそれだけで大変ということがあるので、例えば気候変動の研究者が比較的、一般にやるような解析であれば、データがある場所で、データと汎用的な解析ツールと、それから、計算資源ですね。マシンタイムをセットで提供するようなことを考えるとちょっと乱暴ですけど、今のDIASで言う50%のダウンロード利用者というところがシステムの完全な利用者ということで、どんどん増えていって、ユーザーの獲得数も増えていくのではないかなという感想を持っております。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 今の点、生駒さん、石川さん、何かコメントあったらお願いします。
【生駒特任准教授】  生駒からよろしいでしょうか。
【河村主査】  お願いします。
【生駒特任准教授】  ありがとうございます。先ほど喜連川先生からのお話にもありましたけれども、おっしゃるとおりで、データを転送するというところにある程度ネックがあるのは重々理解しておりまして、DIASの中でも解析環境というか、いわゆるVMですね。環境を各ユーザー、各利用者ごとに一定程度お渡しして、おっしゃったような計算、CPUの数であったり、ストレージであったり、そういうものプラス、ソフトウエアのインストールですね。そういう環境を構築して使っていただくというのを特にこの第4期から、石川先生にリードしていただきながら、そういう立てつけというのを今つくりつつあります。
 ですので、今後、実際にダウンロードされる方よりも、もうデータの量的にはそこは不可能になってきますので、ログインしていただいて、御自身のツールをインストール、あるいは汎用的なものはこちらで用意して、使っていただいて、結果そのものもDIASに置いていくというスタイルの使われ方になってくると思います。
 石川先生、もしフォローあればお願いします。
【石川センター長】  おっしゃるとおりで、現在、我々がそういうユーザーを獲得すべく仕組みをつくったり、また、ユーザーの方々との対話をつなげながらどういう環境をつくっていくのがいいのかということを考えておりますので、引き続きここにおられる方々、関係者の方々にもぜひとも御利用いただけるように進めていきたいので、引き続きよろしくお願いいたします。
【河村主査】  見延さん、お願いします。
【見延委員】  今の方向、大変すばらしいと思います。私、今、イギリスの解析システムの上にアカウントをもらって、それでヨーロッパのデータを解析しているんですね。イギリスの解析システムというのは、ヨーロッパのデータが解析できるけど、日本のデータは解析できないので、やはり日本もそういう解析システムを強化していかないとどんどん研究者が実質的に流出してしまう。いる場所は北大だけど、解析しているのはヨーロッパのデータであるということが起こってくるので、ぜひそういう方向でお考えいただきたいと思います。
 補足です。以上です。
【河村主査】  ありがとうございました。
 ほかに何か御質問等ありましたらお願いします。では、大土井課長、お願いします。
【大土井海洋地球課長】  すみません。事務局で申し訳ないです。大土井でございます。これは多分、生駒先生にお伺いしたほうがいいかなと思うんですが、先ほど来の話でいくと、シミュレーションで言うと、やっぱり物というか、容量が大きくなると思うんですね。一方で、今ある研究の方向性というのは、シミュレーションは物すごく、どの分野でも重要性が高まっていて、その方向性はあると思うんです。
 その中で、例えば海洋の分野、特に想像するに、気候変動の分野はいろいろな要素、ファクターが深く入ってきますので、海洋だけ、特に気候変動は、ほかの分野に比べてもデータが多いということで理解していいのか。あるいは海洋だけ特別扱いする必要があるのかどうか。ぶっちゃけると、そういうことを聞きたいんですが、もしも可能でしたらお答えいただければと思います。
【生駒特任准教授】  海洋だけ物すごく大きいかという答えは、海洋に限らないかなという感触としてはあります。ただ、最も大きい分野の一つであるのは間違いないです。DIAS、いろんな分野、データが入ってきておりますけども、印象ですけども、トップ3に入るぐらい。しかも、シミュレーションといいますか、アンサンブルというか、やっぱりパターンがすごく多いんですね。そういう特徴的な構造を持っているので、普通に、いわゆるデータベースをポンと放り込むよりは扱い方をうまくやらないと難しいかなと。その辺りもDIASの経験的には役に立たせていただけるかなとは思っています。
【河村主査】  須賀先生、関連していますか。お願いします。
【須賀委員】  東北大学の須賀です。海洋の特徴、海洋の特性として、最近、特に分野融合といいますか、異分野融合の研究ということで、かなり質の違ったデータを同時に扱いたいということがあると思うんですね。モデルのシミュレーションのデータも使うし、観測ネットワークによる大量のデータも使うし、あと、スポット的に測っているようなものとか、ある観測点で長期間測っているようなデータであるとか、生物分野では、これからだと例えば環境DNAのデータとかそういういろいろな違った種類のデータを統合して使いたいというニーズが出てくると思うんですけども、先ほどのDIASの御説明を伺っていて、そちらのほうにも対応していただけるのかなという印象を持ったんですが、そういうことも考えていると思ってよろしいでしょうか。
【生駒特任准教授】  ありがとうございます。おっしゃるとおりでして、先ほどちょっとだけ紹介がありましたけども、実際にドローンを使っている映像であったり、蜃気楼の予測をやっているプロジェクトであったり、あの辺りは本当にリアルタイムの点のデータ、面のデータ、もちろん過去のデータ、その場でモデルをシミュレーションして計算した結果のデータなど、次元もリアルタイムか、そうじゃないかとか、いろんなデータが融合して、最終的に一つのサービスが出来上がっています。
 それぞれのデータで、やはりそれぞれの扱い方、特徴というのがありまして、我々の中でも共通API的なものをつくっているんですね。リアルタイム、点のデータはこういうツールだと。そういう汎用的につくり込んできているのがございますので、そこを組み合わせていけば、おっしゃるようなスタイルの使い方というのはすごく効率的にできると考えております。
【須賀委員】  ありがとうございます。大変期待しております。
【河村主査】  ほかにいかがでしょうか。よろしいですかね。
 生駒先生、石川先生、どうもありがとうございました。
【石川センター長】  ありがとうございました。
【生駒特任准教授】  ありがとうございました。
【河村主査】  それでは、続いて、次の演題に移りたいと思います。続きまして、「水中光無線通信~海中IoT 海中観測通信網の将来構想~」についてということで、株式会社島津製作所航空機器事業部の稲田雄樹様から話題提供いただきたいと思います。稲田様、どうぞよろしくお願いします。
【稲田氏】  よろしくお願いいたします。私は島津製作所で水中光無線通信装置の営業をしております稲田と申します。こういった、きちんとした委員会での発表は初めてなので、温かい目で見ていただければと思います。質疑応答の段階においては弊社の技術も交えて対応させていただきます。
 それでは、発表を始めさせていただきます。まず簡単に弊社の御紹介させていただきまして、その後、水中光無線通信技術の御紹介をさせていただきます。その後に水中光無線を通じてどのような社会展開ができるかというところを弊社の構想として共有させていただきまして、質疑応答に移りたいと思います。
 会社の概要ですけど、島津製作所で創業が明治8年と、割と歴史がある会社になります。右の円グラフが売上高を示しておりますが、分析計測機器が強い会社となります。企業の研究所や大学様で使っていただいているような液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、また、引張試験機など、そういった分析・計測装置が強い会社になります。社是が「科学技術で社会に貢献する」、経営理念が「人と地球の健康』への願いを実現する」というところで、昨今、カーボンニュートラルの機運が世界的にも高まっており、弊社としても取組を強くしているところで、まさしく「地球の健康」というところに貢献する取組を今後も続けていきたいと考えております。今から紹介させていただく、水中光無線もここに深く関わる製品というところで認識しております。
こちらの1枚のスライドが会社として関わっているカーボンニュートラルに資する分野になりますが、このビックリマークがついているところが、弊社が関わる分野になりまして、主に分析装置が強いので、例えば水素、アンモニアの品質管理や新技術開発、そういったところで弊社の装置を使っていただいております。
 今回紹介する光無線ですけども、赤枠で囲ったところを守備範囲としておりまして、カーボンニュートラルの中にも洋上風力発電に代表されるような大規模な海洋開発が必要となる分野が幾つかございます。そういった海洋開発を効率よく進めていくために、水中IoT化、見える化が必要だと捉えておりまして、そのために水中では大規模な通信手段、が今後必要になる。その一つとして水中光無線が使えるのではないかというところで、これから御紹介させていただきます。
 左下のグラフですけれども、これは水中における電磁波の減衰率を表しております。この山が高ければ高いほど、なかなか水中では減衰が多くて使いづらいというところを表しているんですけれども、これまで我々が通常使っている気中の通信帯というところはオレンジ色の矢印で示したところになりまして、このぐらいの山の高さになりますと水中ではちょっと使えないというところを表しています。
 これまで水中では音響通信が主流として使われてきたんですけれども、音響ですと大きなデータのやり取りをするほどの通信速度を確保できないという課題がございました。この山を見ていただくと、1か所だけ明らかに山の減衰が少ないところがあると思うんですけども、ここが青緑の可視光となっております。我々の水中光無線は、まさしく青緑の可視光を使った通信となっておりまして、この通信が可能となった背景には、青色光源のLEDが出現したというところがきっかけとなります。我々は高出力のLDというところを強みにしているんですけれども、LEDと比較した場合に、応答性が高くて、波長帯域が狭く、指向性があるという特徴があります。
 どのような通信に貢献するかと申しますと、高速な通信が可能で、波長帯域が狭いことを利用して、太陽光はやはり外乱、ノイズの要素になってくるんですけど、そのノイズを排除しやすいといった特徴もあります。指向性があることで、あと、任意の通信エリアを確保したいところに確保できるといった特徴もあります。この右の写真が参考に、水中で通信光を出しているレーザーになります。
 簡単に、どんなストーリーで開発してきたかというところを説明させていただきます。まず最初は、平成27年から29年度、JAMSTEC様のプロジェクトの下で、光通信モデムの製作を担当したところがきっかけとなります。この際に、左の写真にありますように、海中で上下に分かれる水中のビークルを使用しまして、その両方に光無線をつけて、何メートル離してどのぐらいの通信ができるかというところを実験しました。このときの成果としては、120メートルの距離で20メガの通信、190メートルで32キロの通信が可能となりました。上下に離れたビークル間で、リモートデスクトップ接続とハイビジョン動画の伝送にも成功しております。
 左の写真にはないんですけれども、気中と海中をまたぐ通信というところも実験しまして、実際の海域、波があるところでも気中と海面をまたいだ通信というところも途切れなくできるというところを確認しております。
 今のJAMSTEC様とのものが表の一番左の2017年、ここに該当するんですけれども、その後にオイル&ガス関係の技術開発プラットフォームのDeepStarの下で開発も進めておりまして、2020年には短距離通信モジュールを発売しております。現在は、もう少し通信距離を延ばした中距離通信モジュールの発売を控えているところと、光のドームを水中に構築して、通信エリアを確保する水中通信基地局の開発を今後進めていくという段階になっております。
 3種類のラインナップを一枚にまとめておりまして、左上が短距離の通信モジュールです。短距離10メートルまでの通信で、95メガまでの通信が可能になります。用途としては、無線の水中ロボットが仕事を終えて海底の充電ステーション等に戻る際に、そこに光無線をつけておいて、充電中にデータを回収する。そういった使い方を想定し、開発しております。
 右上のものが中距離通信モジュールで、こちらは80メートルまで通信距離が伸びて、通信速度は20メガまでといったところになります。用途としては、水中ロボット間の通信に使用したりですとか、この後御紹介する水中の光のドームを構築する製品と組み合わせて、光のドームの中をこの中距離通信モジュールを持った水中ロボットが無線で運行すると、そういった使い方も考えられます。
 下の通信基地局ですけども、この写真、絵にありますように、光のドームを構築するほか、ここから光ファイバーを伸ばして、任意に通信エリアを確保することも可能となります。例えばですけど、パイプライン沿いにこの光ファイバーを伸ばして、パイプライン沿いを通信エリアにする。そのパイプラインに沿って水中ロボットが仕事をするということも考えられます。
 こちらのスライドは、光通信の課題というところを紹介しているんですけども、やはり光を使うので、海中に障害物等がありますと、影が生じて、そこが通信できないエリアとなってしまいます。灰色でそこを示しているんですけれども、やはり海中で通信できないエリアが生じるということは、無線のロボットを使う前提で考えると、ロストリスクに直結するところもあるので非常に重要なところになってくるんですけども、弊社の特徴としては、光ファイバーを使って、影のところをカバーする。光ファイバーを使って影をカバーする通信エリアを設定できます。
 光ファイバーの簡単な御紹介ですけど、弊社の特徴としては、高出力のレーザーというところで、もともと社内にレーザーを得意としている事業体がございました。そこでは複数の発光素子から出る光を、レンズを使って1つのファイバーに集約するというところで、高出力の光ファイバーレーザーを実現しております。こういったところをまず通信エリアで比較したものがこちらの図になります。左の短距離通信モジュール、中距離通信モジュールがある程度直線的な通信エリアに対して、右側の基地局がこういったドームを構成して、通信エリアを確保します。このドームの中で水中ロボットが無線で仕事をする。そういった使い方を考えています。
 これらの製品を使ってどのような社会展開ができるかというところについて紹介させていただきます。いろいろなパターンが考えられますが、1例を紹介させていただきますと、左下の絵です。これは何かと申しますと、日本の海底には海中観測装置というもの、地震計などが設置されておりまして、これまではそこからデータを回収する際は、装置の上まで船で行って、装置自体を引き上げて、データだけ取ってまた再設置ということをしておりました。そういったところですと、お金もかかる上に、なかなか計画どおりに作業が進まないと。また、全く同じところに再設置も難しいというところで、観測データの品質というところでも課題がございました。
 左の下の絵は、観測装置に光無線をつけて、水中ロボットでデータだけを非接触で回収しに行くというところで、先ほどの課題を解決するものとして、これもJAMSTEC様と一緒にやらせていただいたものです。
 あとは右の絵にあるように、光のドームのところでロボットを無線操縦で使用する。やはり有線の課題としては、洋上風力発電の設備とかそういった設備にケーブルが絡まってしまってなかなか作業が効率的に進まなかったりですとか、潮流に流されて、狙ったところにロボットをうまく行かせられない、そういった課題を解決する方法として考えております。
 あともう一つは、基地局を海底に設置した絵があるんですけれども、例えば船から吊り下げるという使い方をして、その船の周りを通信エリアにして、ロボットを運行させるという使い方も可能となります。メリットとしては、総じて作業船が不要、または小型化して、低コスト化、ひいてはCO2排出削減にも貢献します。ダイバー側の負担が減って、海中作業全体の安全性の向上にも貢献すると考えております。
 これらを踏まえて、全体像、水中光無線の活用例の全体像をこちらの絵で示しております。先ほど紹介していないところとしましては、この真ん中から左の沖合養殖設備です。今後、養殖も天然物の魚からどんどん養殖にニーズが置き換わっていくという話もございまして、どんどん活性化されていくという話を聞いております。そういったところで、養殖のいけすの中の魚の状態をリアルタイムに取ったりですとか、いけすが設置されている海域の栄養素などのデータをリアルタイムに取ったり、そういったところに光無線が使えるのではないかなというアイデアもあります。
 あと全体的には水中ロボット光無線をつけて、この下の絵でいきますと、パイプラインや埋設された海底ケーブルの建築、そういったところにも使えるかなというところと、水力発電設備の劣化診断というところも一つ用途例として考えております。
 我々分析装置の会社なので、ゆくゆくは水中ロボットに分析装置をつけて、これまで試料を持ち帰って、分析していたところを海洋の現場でその場分析といった使い方も将来的には目指していきたいと考えております。
 最後に動画を紹介して終わりたいと思います。今、左の動画を動かしております。これはプールの実験でして、無線のROVを動かしております。プールに設置された基地局は緑色の光で、ROVからは、青色の光が出ております。Wi-Fiで潜行して、水中で光無線に切り替えて、回転させているところになります。これは光無線で今、通信している状態です。こういったところを今後、実際の海域に持ち込んで実験していきたいと考えているところです。
 あと、こちら、ちょっと小さくて恐縮ですけども、先ほど紹介した基地局を実際に海域に持ち出して実験している映像になります。これは手前に見えているのがROVのアームです。ROVのカメラで撮影した映像になります。濁った海域で光らせてみて、性能の確認等を行いました。映像にはないんですけど、無線ROVの操縦というところも実験を行っております。魚の姿が見えると思うんですけど、好奇心から近寄ってきているところが少し観察できます。
 今後としましても、こういった基地局を実際の海域に持ち込んで、複数の基地局を使用して通信エリアと通信性能の評価をしたりですとか、耐久性の評価というところも今後行っていきたいと思っております。
 発表としては以上になります。ありがとうございました。
【河村主査】  稲田様、どうもありがとうございました。
 それでは、今御説明いただいた内容について御質問等ありましたらお願いいたします。谷先生、お願いします。
【谷委員】  御報告ありがとうございました。大変興味深い中身で、特にAUVの将来に非常に貢献するのかなと思って、お伺いしていました。2点質問があります。
 1点目、水中と空中の間の通信に成功したということですけど、これは双方向でしょうか。それから、速度的には水中が律速になると思うんですが、水面の部分というのはさらに障害になって、速度が落ちるということがあるんでしょうかというのが1点目。
 2点目、レーザーのアイセーフティーというのは空中では問題になるんですけど、魚のアイセーフティーというのはどんなふうに考えればいいんでしょうか。
 以上、2点です。
【稲田氏】  御質問ありがとうございます。通信速度の件に関しては、弊社技術からの回答をさせていただいてもよろしいでしょうか。西村さん、聞こえますか。
【事務局(川﨑)】  先に2点目の質問から稲田様のほうでお答えいただけますか。
【稲田氏】  そうですね。私から答える範囲は技術的ではないところになるんですけども、確かにアイセーフティーというところはありまして、空中においてはレベルがしっかり定められていると思うんですけども、水中においてまだそういったものがないという認識です。空中ですとレーザー保護に関するサングラスみたいなもの。弊社が取り扱っているところもありまして、そういった対策も必要ですが、水中に関してはこれから実装していく上で決めていくのかなというところが私から説明できる範囲ですけど。
 西村のほうか、またはもう1人。
 江原さんは聞こえますか。もう1人、技術の者をお呼びさせていただきました。
【河村主査】  お願いします。
【大土井海洋地球課長】  今、西村先生からチャットが入りました。西村先生から、チャットで、水中から変わらないというのが来ました。
 議事録にさっきのものは残るかなと思いますから、先に次の質問に行ってから、西村さん辺りの通信環境を整えていただくということでいかがでしょうか。
【河村主査】  はい。では、やってみていただけると助かります。
 では、次の質問を受けたいと思います。次は河野さんでいいですか。河野先生、お願いします。
【河野(健)委員】  JAMSTECの河野健です。今のところ実現できそうな通信の距離と速度は100メートル、1メガbpsぐらいというところに何か限界があるんですか。
【西村氏】  聞こえますか。申し訳ないです。スピードについてはほぼ、電子回路のほうの変調と、あと、受光素子の感度、そこだけの関係になりますので、延長については世の中の電子回路でいうと1ギガとか、それ以上というのがあるので、そこまではレーザー変調できると思います。あとは受光感度をどう稼いでいくかというところが肝になるので、我々は光電子増倍管を使っていますけども、今のところ、1つの素子だけでやっています。これをアレイ状に並べるとか、光学系で集光力を上げるとかすれば、さらに上がっていくだろうと。あと、水中機器なので、あまり複雑な構造を取りたくない。あと、あまり長距離の通信ですごい速度が要るのかというのがまだニーズとして見えてきていないので、今は現状の速度で留まっているというのが実際のところです。
【河野(健)委員】  分かりました。海の平均深度、四千何百メートルぐらいあって、最高のところは1万メートルありますので、例えば1万メートルまで、10メガ、100メガといったような速度があると、もう多分、海洋、海中観測の世界は今までとは全く違うものになると思います。
 現状の100メートル、1Mbps程度ですと、先ほど、うちが一緒にやらせていただいているAUVで地震観測のデータを採取するという方式が出ておりましたけれども、これを十分に生かすためには、実は地震計のほうの、あるいはAUVの飛躍的な進歩が必要で、なぜかというと、地震計は放っておいても2年ぐらいで電池が切れるので、どちらにしろ回収しなければいけないんですね。AUVのほうも、現状だと丸1日運行ですので、船で一気に上げずにAUVでそういうことをし続ける、1年後には多分、全部一遍に上げるのに即時にAUVで1日数個ずつ持って帰ってくるということについてのメリットというのはまだまだ、率直に言って、あんまり大きくはないですね。やっぱり今の技術をそのまま十分に生かすためには、海中技術のほう、特に電池の問題とかそういうものが飛躍的に増大したときに初めて真価を出すような気がします。
 もし1万メートル級で10メガbpsとかになったら、恐らく海中観測は、もう陸上からリモートでできるという日が来ます。これは革命的なことになるんだと思います。
 今の現実、すばらしい可能性を秘めているので、ぜひ速度と距離を伸ばす研究をしていただくとともに、私どもは今ある技術を十分に生かすために、海中の技術のレベルアップを足並みをそろえてやっていくべきかなと思います。ありがとうございました。
【西村氏】  ありがとうございます。まだまだ速度に関してはよちよち歩きのところがあるんですけど、やすやすとできますとは言えないという状況でありますが、共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【河野(健)委員】  ありがとうございました。
【河村主査】  それでは、阪口さん、お願いします。
【阪口委員】  どうもありがとうございます。笹川平和財団の阪口です。質問が2つあります。
 1つ目は、私も昔、水中レーザーをちょっとかじっていたもので、当時はアメリカのDARPAが水中レーザー通信を積極的に開発していたのですが、あるところまでできた瞬間に全部隠されてしまった。数年たったら民生品が登場して、Linpackの共同訓練で、潜水艦-潜水艦通信と、それから、潜水艦-飛行機通信にレーザーを使っていたのですが、そのときのスペックと、さきほど1Mbpsと言っていましたが、当時はもうちょっと、かなり低かったと思うんですけども、スペックにおいて島津さんで作られているものに、どの辺にDARPAがつくっていたものよりも優位性があるのかという点が一つ。
 それから、もう一つの質問は、さきほどの海底ケーブル、海底パイプラインの監視にセンサをつけて、それで調べるということについて、先週、川重(川崎重工)さんにも同じような説明がありました。ケーブルとかパイプラインとか、長尺の構造物というか、物体に対してAUVでたぐりながら探すというのはすごく非効率で、ケーブルやパイプラインだったら、そこにセンシングケーブルというものをつけて、ケーブル自体がセンサになるようにするというのは、これは今、陸上でトンネルや井戸など、そういう長尺の構造物の点検に対してはそちらの方向に走っていて、1点、1点、人が目で見て、カンカンと叩きながら探すというのはもう時代遅れで、センシングケーブルというのが安くて速くて確実だという時代だと私は思うので、そのときも川重さんが同じ質問をしたんですけども、やっぱり海底ケーブルとか海底パイプラインの点検に、AUVプラス光通信というのがエフェクティブだというのは、どこがどうメリットがあるのか。そのとき、川重さんは撃沈していましたけども、もし島津さんから、これという優位性を示していただければと思いますが、いかがでしょうか。
【西村氏】  まず1つ目の質問、DARPAと弊社の光無線通信で、優位性ということですね。私は歴史的なところというのはあまり存じ上げていないんですけど、恐らく当時のレーザーというのは半導体が使われているかどうか。半導体レーザーですね。分からないんですけど、今やはり青色LEDから始まった流れで、可視光レーザーというのがいろいろラインナップがそろってきたというところがございまして、まず波長多重通信ができるんですよね。双方向で色を変えて通信ができる。ということは、それだけでもまず混信を防ぐというか、優位性があるのではないかなと。あと、電力的にも、かなりバッテリー駆動のAUVを使う以上は抑えていかなければいけないというところで考えると、当時に比べればその辺りは格段に進歩しているのではないかなと私は考えております。
 もう1つは、撃沈するのかもしれないですけど、要は、センシングケーブルというのは光ファイバーで見る形のもののことを言われているんですかね。であれば、ケーブル、光ファイバーで観測するケーブルの挙動がどこまで確かか。長尺なので、光の反射を見ながら、光ファイバーにある波長を入れて、その反射を見ながら見るような仕組みになっていると思うんですけど、やはり水中で長いケーブルになってくると、遠くのほうに行くと、かなり誤差が出てくるのではないかなと。
 あまりそこは存じ上げないですけど、そういうことを考えると、磁気とか、そういう古い技術では、枯れた技術ではあるんですけど、まだまだそういったファイバーセンシングプラス磁気センサでしっかり見つけていくというところが、より確かなセンシングをするという意味では必要なのではないかなと思います。
 あと、例えば断線しているとか、要は、ケーブルの外装線の断線とか不連続性というのを見る上でも、磁気センサは有利なのかなと思いますが、いかがでしょうか。
【阪口委員】  前者は全くそのとおりで、さきほどJAMSTECの河野理事が、長距離に到達してほしいと言われていましたけど、そうすると、絶対的にパワーが必要となります。途中に散乱物質のような濁りがあったりすると、どんどん不利になってくるときに、どんどんパワーが必要になると、より電源が少ない今のレーザーの出し方は、当時と比べると非常に有利ではないかと思いました。どうもありがとうございました。
【河村主査】  それでは、前川さん、お願いします。
【前川委員】  貴重な御発表ありがとうございました。関連する質問、2点ございます。
 1点目は、海底ケーブルであるとか通信基地等を設置する際にどういったことを条件に決めていらっしゃるのか。地形、距離、光、いろいろあるかと思うんですけれども、どういうことを根拠に決めていらっしゃるのかというのが1点目と、それと関連して、こういった貴重なケーブルとかそういったインフラを設置する際に、安全保障の観点から特に沖合等で様々な攻撃の可能性というか、テロも含めて、そういうところに支障を加えると非常に被害が大きいと思いますので、現状、そういった安全保障の観点から、そういったケーブルとか基地をどう守るかというような配慮とか検討というものがなされているのか。あるいは将来的にそんなこともまた検討の対象に入ってくるのか。もし施策をお持ちでしたらよろしくお願いいたします。
【西村氏】  私たちは、まず1点目から言いますと、ケーブルの敷設、施工者ではないので、どういった観点でケーブルを、例えば地形を選んで敷設しているかというのはあまり存じ上げていないんですけど、基本、水中ケーブルは、浅い海では、漁船のアンカーに引っかからないようにできるだけ埋設されていると聞いています。ある程度深くなると、漁船もアンカーを下ろさないので、そこからは埋設なしで、できるだけフラットな場所にケーブルを敷設すると。
 なぜフラットなところにケーブルを敷設するかというと、岩と岩に乗り上げたりして、ケーブルが宙ぶらりんになると、ブランコのような状態になると、ケーブルは当然傷みますので、フラットなところに移設するという認識でいます。1点目はそんな感じでよかったですかね。
 もう1つは、安全保障の面からとなると、これまた、我々の専門からちょっと外れるんですけど、我々は磁気センサ等をつくっていますので、特に何か不法な侵入者等があれば、よくやられるのは音響のソナーで見るということをやられているんだけど、我々のソリューションとしては、磁気センサを侵入者が入りそうな場所に敷設して、そこで侵入者から、もし磁気的なものが発すれば、それを検知するというような仕組みをつくることは可能でございます。
 以上となりますが、よろしかったでしょうか。
【前川委員】  ありがとうございます。
【河村主査】  よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。よろしいですかね。
 それでは、稲田様、西村様、どうもありがとうございました。
【西村氏】  すみません。粗相しまして申し訳ございませんでした。
【河村主査】  いえいえ。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、「ソニーコンピュータサイエンス研究所における衛星光通信への取り組み」ということで、ソニーコンピュータサイエンス研究所の岩本匡平様から話題提供いただきたいと思います。岩本さん、どうぞよろしくお願いします。
【岩本氏】  よろしくお願いします。それでは、画面を共有いたします。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私は、ソニーコンピュータサイエンス研究所において、衛星光通信の研究グループのリーダーをしております岩本と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 本日は、私たち、CSL、ソニーコンピュータサイエンス研究所における光通信の概要を御紹介しながら、私たちが行っております実証実験に用いている技術を含めて、現在の状況をお伝えしたいと考えております。
 私たちは今、宇宙光通信、先ほど島津製作所様の御発表では、海中の光通信という形でお話を伺っておりましたが、私たちは、それよりも上の宇宙を対象とした光無線通信の研究開発を行っております。
 こちらには幾つかのモチベーションがございます。1つ目は、宇宙には様々な人工衛星が飛び交っているんですけども、これはもちろんのことながら、地球と通信しながら役割を果たしていくと、このようなものになっております。
 それが、最近でありますと、例えばよくニュースで出てくるイーロン・マスクさんのスペースXが数多くの衛星を上げているという状況であったり、そのほかにもたくさん小型の衛星を上げるという状況が今現在、地球近傍では進んでいるという状況があります。
 このような状況がありますと、電波の周波数は限りがございますので、この周波数が大変逼迫しているという状況。もう一つは、通信ターミナル自体を衛星の小型化とともに、小型にするということと、あと、もちろん衛星を打ち上げるときに最もコストがかかるものとしてあるのが重量を軽くしていくということでもありまして、この軽量化が必要になってくるという状況があります。
 このような背景を基に、私たちは電波で通信するのではなくて、レーザーで通信すると。そのために、ソニーが1970年代から開発しておりまして、実はまだ、プレステ等には入っているんですけども、我々の身の回りからは消えていってはいるものの、光ディスクの技術を応用したものとして、幾つかのプロダクトが今現在も研究開発を行って、商品として市中に出ているという状況があるんですけども、この光ディスクの技術を用いて、小型・軽量の光通信のシステムをつくろうというところ。加えて、宇宙ではこれまで一品物を作って、それで宇宙に持っていくということが多かったんですけども、私たちの光ディスクの技術、これは既存の量産技術というものになっております。この量産技術を採用することによって、宇宙でも量産して、それで低価格にしていく。普通の宇宙の利用というところから、もう少し利用が可能な宇宙というところに進んでいくためにも、このような通信システムが必要であると、このように考えております。
 こちらの絵に示していますのが、私たちが想定しております宇宙での光通信の利用されるエリアを示したものです。一番地上側からいきますと、光地上局と呼ばれている、イメージとしては天文台にあります望遠鏡のようなものをイメージしていただければ結構かと思います。このようなところから一番近いところでいきますと、成層圏、それと地球、低軌道と言われているLow-Earth Orbit、私たちはLEOとよく呼んでおります。このようなところから、ひまわり等があります静止衛星、さらには月を超えるような深宇宙というところまでもやはり様々な観測機器が高度化しているということがありまして、データの通信料もどんどん増えていくと。そのような状況の中でレーザーが使われていくと私たちは想定しているという状況です。このような光通信が、これも少し釈迦に説法かもしれないですけども、なぜ必要なのかというところを少し簡単に御説明差し上げたいと思います。
 光通信がやろうとしていることは、まさに、一言で言うと、回折限界の話に直結することになります。私たちの身の回りで起こっていることとしては、携帯電話を利用するときに電波通信をしているわけですけども、基地局を意識することなく、通信が完了するという状況であることに対して、例えばレーザーポインターであるならば所定のところをしっかりと向けないと、レーザーは指向性が非常に高いですので、狙ったところには行かないという状況になります。
 このように電波通信を衛星で通信させようとしたときには、ビームが広がっていって、相手の衛星が、もしくはそのアンテナに入るエネルギーが少なくなるという形になります。データ容量を多くしようと考えると、この広がりをできるだけ小さくするという形でもって、相手側のアンテナに入るエネルギーをできるだけ高くしていくということが必要になってくるわけです。このようにレーザーを使うということは、アンテナに対して必要なエネルギーをロスすることなく、当てることができる状況をつくることができるんですけども、その反面、高い精度でレーザーを指向制御していくということが必要になってきて、それこそ、低軌道と地上であるならば約1,000キロ、衛星間であるならば、4,000キロから、長いと、ディープスペースだと何億キロという形になるんですけども、地球近傍でありますと大体4万キロぐらい必要になってきたりします。このような技術をどのようにして実現させるかというところに、私たちはこの光ディスクの技術を用いているということになります。
 先ほど申し上げましたように、今現在も、幾つかの身の回りのデバイスも含めて、光ディスクの技術が応用されていたりします。もちろんプレステにも入っているという状況ではあるんですけども、例えばスマホのカメラの手振れのセンサですね。こちらにも入っていたり、あとは細胞分析器であったり、業務用のストレージにもまだ利用されているという状況があったり、まだまだ光ディスクの技術が開発されている状況が続いています。
 こちらの右に示していますのが実際のCDの中に入っております、小型の光学系を示したものになります。このような、非常にインテグレートされた光学系の中で実際にディスクの信号を読み取る光学系がこの中にレーザーとともに入っているという状況になっております。
 私たちが何を光ディスクの技術として、宇宙のレーザー通信に利用しているかということをもう少し御説明いたします。こちらにあるのが光ディスクの模式図になっております。光ディスクは、こちらに示しているグレーの長い棒になっているんですけども、これが円盤という形で、実際は、このモーターを中心に回転して、それで光でもって、その反射を呼んで、信号のゼロイチを判別するという形を取っております。実際、ブルーレイディスクでありますと、一つのトラックがこのような、右側、水平の方向に並んでいる状況があるんですけども、このトラックの間、トラックピッチと呼んでおりますが、これがおよそ320ナノメートルの距離になっています。これを回転させながら読み出すという形になるんですけども、必ずしもディスクの中心と回転中心が一致しているという状況ではないので、回転していると、このピックアップと呼んでいる光学系から見ますと、このトラックが揺れている状況が想定される状況となります。このように、ガタガタ震えている状況のトラックを確実に追いかけて、光信号を読んでいかないと、ディスクの信号を十分回復させることができないという状況が出てきます。そのために、光ピックアップと呼ばれている部分に様々なしかけがございまして、右側に示している、この小さな中にもそれが入っている状況で、320ナノメートル程度のトラックピッチを確実に追いかけていくことができるシステムがこの機構の中に入っている。これが私たちの着目した技術ということになっております。
 実際に、こちら、アニメーションをつくったので見ていただきたいと思うんですけども、先ほど申し上げましたように、ディスクの信号を読むときには、光ピックアップが追従して読んでいくという形を取っております。これをどんどん距離を伸ばしていく。それを最終的には宇宙に持っていって、それで通信させると。このようなイメージでいていただければと思います。
 このようにして、長距離の光通信を、先ほど申し上げました光ディスクの技術でもって実現することができるかどうか。これを私たちはまず宇宙に持っていって確認するということを実際に、これはJAXAとNICTさんと一緒に共同研究させていただきました。こちらは私たちがやりました実験について少し触れたものになります。
 こちらが先ほどお話しさせていただきました光ディスクのピックアップの部分になります。光ディスクが数ミリ先のディスクを約数百ナノメートルの精度で狙うということに対して、宇宙光通信は数千キロ先のアンテナを大体100メートルぐらいの精度で狙っていくと。したがいまして、オーダー的にそんなにばかなことは言っていない状況になるということになります。
 私たちが今回、ISS、国際宇宙ステーションに積む、それでもって光地上局と呼んでいます地上のターミナルと双方向通信をするために開発したものが、この右側の箱のようなものですね。ちょうど3つの目玉を持っているんですけども、このような通信機器を作って、双方向の通信をしていったという形になります。
 実際、地上の試験モデルから、私たち、これをSOLISSと呼んでいるんですけども、このSOLISSのフライトモデル。これは実際に打ち上げたシステムの写真になるんですけども、こちらを開発して、それで2019年の9月に種子島から宇宙ステーションに向かって打ち上げて、2020年の3月に、エクストラサクセスと呼んでいる、私たちが想定していた最も条件の厳しい目的を達成したという形にまで行くことができました。
 参考までになのですけども、こちらは右側にあります1つの目玉のほうですね。こちらはSOLISSが動作していることを画像で確認したいということで、こちらに360度のカメラを設置しました。ここで撮りました画像を実際にこの光通信で地上と通信させることで、私たちが画像を得ることができるような状況をつくりました。これらの通信は全て汎用のネットワークの通信規格でありますイーサネットを使って通信させるという形を取って、まるで地上からはコンピューターがネットワーク上につながっているような形で、このレーザー通信のターミナルにアクセスすることができるという状況をつくってあります。こちらが実際に実験した光地上局になります。最初は100メガのイーサネットで、双方向通信を、東京の小金井にあるNICTさんの光地上機と国際宇宙ステーションに搭載しました、私たちのSOLISSを結んで実験して、成功することができました。距離は約1,000キロ離れることができています。
 あともう一つは、これは商用では、一番初めにつくられたノルウェーのKSATというところがありまして、ギリシャに光地上局を設置しているんですけども、そちらとCCSDSと呼んでいます宇宙通信の規格の組織があるんですけども、その規格に基づいた160Mbpsの通信を宇宙ステーションとすることができるというところも成功しております。
 このような実験の中で、私たちが実験で得た画像がこのような画像になっております。これは360度の画像ですので、周囲に行くと、ひずみが大きくなっている状況があると思います。こちらはちょうど地球から日が上ってくるぐらいの時間ですね。そこで撮像したものになっておりまして、右側にあります3つの目玉を持っているものが私たちの光通信器になっております。こちらは2軸のジンバルに接続されて、指向方向を自由に変えることができる状況になっておりまして、これは宇宙ステーションの船外と「きぼう」棟の外に実験モジュールが船外に出せるような設備がございまして、これはJAXAが持っているものですけども、アイシーブと呼んでいる実験ベンチがございまして、そこに接続して、実験させていただきました。
 ちょうど左下辺りにISSの大きな太陽電池のパドルが見えていると思います。このように双方向通信のイーサネットで100メガで結んで、このような小型の光通信機で地上との交信に成功したというのは、私たちが世界で初めてであるという状況で、成功させることができております。
 私たちはこの実験によって、光ディスクの技術、これは先ほどのSOLISSは、全て民生用のデバイスで構成しているものになっております。このような技術でも宇宙と地球を交信させることが十分できるということが分かりました。今、幾つかのプロジェクトに取り組んでいるところでありますけども、その一部を御紹介したいと思います。
 私たちが一番最初にやりましたのがこのSOLISS100メガで、宇宙ステーションと通信させるというところ。もう一つ、総務省さんの案件で、委託研究として、NICTさん、東京大学さん、スカパーJSATさんと一緒に、衛星通信における量子暗号技術の研究開発も行っておりまして、同じくISSに搭載して実験を行っていくという予定をしておりまして、こちらの開発も進めております。
 もう1つは、こちらは通信のエラー訂正の技術開発も行っておりまして、これは主に成層圏で利用することを想定して、JAXAと共同研究を行って、これまでに、DTNと呼ばれている通信規格を用いたエラー訂正を含めた通信試験の実証を行っております。
 加えて、本日、少しプレスリリースをさせていただいているんですけども、ソニーグループの子会社に、この衛星光通信を製造、提供する会社をつくりまして、まずは本丸であると考えております衛星間の光通信の実験、実証を現在準備しているという状況になっております。
 このように、これからどんどん宇宙を中心に、空間、光通信が展開されていくと考えておりまして、私たちだけではなくて、アメリカ、ヨーロッパを含めて、衛星光通信の研究開発、商品化というものがどんどん進んでいっている、このような状況がある中で、私たちは光ディスクの技術を利用して、先ほど申し上げましたように、より小型で軽量なシステムとし、量産技術を採用することによって、低価格化、量産化につなげていくことができるような光通信機をこれから開発していこうと考えております。
 以上になります。どうもありがとうございました。
【河村主査】  岩本さん、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問お願いいたします。河野さん、お願いします。
【河野(健)委員】  JAMSTECの河野健です。発表ありがとうございました。これはひょっとして、受信機というんですか。やり取りする装置を船に積んだら、洋上空間でも似たような速度で通信ができるようになるんでしょうか。
【岩本氏】  そうですね。こちらは回線計算によると思うんですけども、可能だと考えております。
【河野(健)委員】  ある程度の速度で移動しますけど、大丈夫なんでしょうか。
【岩本氏】  そうですね。揺れがどのぐらいかということによってくるかと思うんですけども、小型のボートのような船でいくと、かなりの周波数で揺れることになるかと思いますが、多少、大型の船であるならば、そこまで揺れないかなと想像はいたします。
【河野(健)委員】  なるほど。実は、海洋研究の場において洋上の通信速度が1kbpsないというところが大変な障害になっておりまして、船を出さなければいけない理由のうちの主要なものの一つが、大容量のデータは、媒体に記録して、プラットフォームごと、陸上へ持ってこなければいけないという制約があるんですね。海底地形のデータとか、音響プロファイル、速度プロファイルのデータとか、海中音響のデータとか、そういったものは通信で陸上に送れないので、船で測ったものを持って帰ってくる、あるいは係留して測ったものをわざわざ持って帰ってくる。先ほどの水中でもありましたが、地震計のデータもわざわざ持って帰ってくるんですね。これが改善されると、ちょっとまた違う観測計画が立てられるようになって、大きく期待しているんですけれども。
【岩本氏】  海洋で光通信を利用する場合、一つ、課題があると考えておりまして、船の動揺に関しては、ある程度技術的に解決することができる話と思います。ただ、難しいのは天候の問題で、私たちは1,550ナノメートル帯を使っているんですけども、そこでも曇って遮蔽されることがあります。そこが一つ問題かなと思うんですけども、ただ、晴れ間があれば問題なく通信はできるので、常にリアルタイムで通信しないといけないものと、そうではないものに分けたときに、やり方が幾つか出てくるかと思うんですけども、天候による遮蔽というものが一つ。
【河野(健)委員】  そうですか。でも、それだけでももし実用化できれば、かなりの部分が変わってくると思いますね。係留などは必ずしも即時に送ってこなくても大丈夫な場合もあるので、ジンバルか何かである程度向きだけ制御できるようにすれば、多少動揺をしなくても。そうしたら動力源さえ自然エネルギーに頼れば、わざわざ係留を船で回収に行くということはしなくてもよいという話になって、大分安く観測ができるようになりますね。
 もし常時できるようになれば、今、船の上から有線で無人機を海底近くに降ろして、観察しながらサンプルを採るみたいな観測をやっていますが、それが陸上から参加できるようになるので、研究に参加する人数を飛躍的に増やせますし、本当にかなりのことができるようになりますね。期待していますので、ぜひうまくいくことを祈っております。
【岩本氏】  分かりました。ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 私も全く、光学系は本当に苦手ですけど、その部分がネックになっていることは本当に重要な問題なので、もしうまくいけば、河野さんがおっしゃるように、かなり飛躍的な進歩が望まれると思います。
【岩本氏】  ありがとうございます。
【河村主査】  大土井課長、お願いします。
【大土井海洋地球課長】  事務局の海洋地球課の大土井でございます。ありがとうございます。面白かったです。今後、商業展開になると思うんですけれども、例えばソニーさんが御自分で衛星を打ち上げる計画とか、あるいは、このサービスが実用化したときは、どういうふうなマネタイズのシステムになるのか。要は、研究開発というか、科学研究、海洋観測の分野で、通信環境を陸上だとそれなりにありますけれども、それに追加費用がかかってくるのかどうかというのは我々として問題意識を持っておりまして、そこら辺に何かつながるような情報をいただければちょっと助かるんですが。
【岩本氏】  大変面白い質問をいただいたと思います。私たち、幾つかのマネタイズのプランを考えておりまして、一つは機器を提供していくということ。何らかの形で衛星の会社と手を組んで、光通信ができる衛星を提供していくということ。でも、やはり一つ課題と考えているのが、衛星の数は年間、よくても数千基ぐらいしか飛んでいかないだろうと考えておりまして、そこには結構近いところに限界があるのかなと。そうすると、どのようにして通信サービスにまでつなげていくことができるかということを考えております。
 幾つかの地上局の開発をしている人たちとも話をしているんですけども、地上局を利用するという形を取ったときに、大切なことは、地上のネットワークが十分張り巡らされているところに地上局を置くということみたいです。それが実際は北半球に集中していて、北半球であれば、比較的、安価に大容量の通信を、通信網を使って、所定のところにデータを持っていくことができるということを聞いておりますが、やはり南半球のほうに行くと、通信網が多少貧弱なところがあって、なかなか大容量通信が難しくなってくるということを聞いております。
 ですので、北半球に置けば、比較的、低コストで対応することができるのではないかと思いますが、今の御質問のお答えになっているでしょうか。
【大土井海洋地球課長】  ありがとうございます。状況は分かりました。助かります。どうも失礼します。
【河村主査】  では、次、阪口さん、お願いします。
【阪口委員】  どうもありがとうございます。笹川平和財団の阪口です。素人の的外れの質問になるかと思いますが、高いところ、高いというのは宇宙空間から電磁波、電波使って通信するというのは、受け手がどこにいてもある程度カバーできるように、指向性のない電波を使うということで、ある程度の範囲の中に受信する側、送信する側が存在すればよいという、そういう一つのメリットがあると思うんですね。それで、さっきのJAMSTECの河野さんの質問で、船から陸に通信するとなると、別に、1回、宇宙に持っていく必要が全然ないような気が僕はして、どこに中継、光の直進性というものを考えたときに、どこか、要するに、1対1で相手同士が決まっているものを大容量、高速通信するだったら、宇宙に持っていく必要もないし、宇宙に持っていく必要がなければ、さっきの天候による影響というものを避けて、もう少し低い位置とか電波を数か所に中継させて、必要な場所に持っていけば、行けるのではないか。そのほうが光ディスクから信号を読み取るイメージに近いのではないか。要するに、光ディスクがどこにあるか分からないからサーチしながらということではなく、今、船はここにいる。こういう動揺をしている、陸上の場所はここですと固定しているのだったら、何かもっと実現可能な、今の光の通信の技術を使って、先ほどの障壁は避けて通ることができるのではないかと考えたのですが、いかがでしょうか。
【岩本氏】  ありがとうございます。幾つか考えないといけないところがあるかなと、御質問を伺っていて思いました。1点目は、地球は弧を描いておりますので、海上であると、あまり高いところまでターミナルを持っていくことができないかなと思います。そうしたときに、例えばですけども、1メートル、私たちの身長ぐらいのところでいきますと、4キロぐらい先しか見えないんですね。それ以上先は下に行っちゃうんですね。ですから、光がどうしても地球自体が遮蔽してしまって届かないということになってしまいますので、中継ポイントをそれなりに置く必要が出てくるかなと思います。
 次は、宇宙と通信する場合は、大気を通らないところが結構多くて、いいんですけども、地平面、もしくは海水面近くでありますと、最も大気の濃いところを通っていきまして、大気による減衰が結構大きくなる。これがもう1つあって、距離をあまり延ばすことが難しくなってくるというところがあります。
 この2点を技術的に解決する、もしくは設備でもって解決するという形を取ることができれば、今、御指摘いただきました方法が取れるかと思います。
【阪口委員】  分かりました。ありがとうございます。HAPSを使ったら、それを上に張るから、さきほどの問題はまた出てくるような気がしますが、HAPSを中継地点にしながら、船と陸を光通信でつなぐというのは、何か一つ、今の岩本さんの指摘された、ちょっと高いところに中継点を置きながらということになりそうな気はしますが、いかがですか。
【岩本氏】  そうですね。HAPSは人工衛星とは違って、同じところを停留することができるものですので、非常に効率よくターミナルを設置することができるものになります。ですので、海洋調査には打ってつけのターミナルになってくるかなと思います。
【阪口委員】  どうもありがとうございます。
【岩本氏】  ありがとうございました。
【河村主査】  河野健さん、お願いします。
【河野(健)委員】  JAMSTECの河野健です。期待が大きいもので、似たことをもう1回言ってしまうんですけども、小さいデバイスでこれができるようになると、実は海洋観測のほうでも物すごい進歩が期待できて、現在、自然エネルギーを主に使ったセールドローンとかウェーブグライダーとか、洋上をかなり長い期間、動きながら観測を続ける装置があるんですね。これは先ほど申し上げましたように、これに大容量のデータを取るセンサを積んでも、それを回収しないとデータが見られないので、そこが一つの制約になっているんです。
 例えば海底地形を取るセンサをそういうものにつけても、結局、回収しないとデータは取れないとなるんですけど、こういうことができるようになったら、即時にデータを陸上で吸い上げながらやっていけるということなので、ちょっと秘密にしなくてはいけないデータを即時回収して、ブツに残しておかないという意味でも安全ですし、走らせておけばどんどんデータが取れるという状態になるので、我々から見るとニーズはかなりあるなという感じがするし、これが達成されることで海洋の無人観測技術はかなり進歩するんだろうなという予感がします。
【岩本氏】  ありがとうございます。大変貴重な御意見をいただいて、私たちもいろいろどのようなことができるか考えていきたいと思っております。
【河村主査】  ありがとうございます。よろしくお願いします。
 河野真理子先生、お願いします。
【河野(真)委員】  早稲田大学の河野と申します。文科系ですので、とにかくすごい技術だなと思って、感心しながら伺ったんですが、その意味で、これは国際的には、開発が同じような技術がいろんな国で行われているのか、それとも、これはもう御社の独特の技術であって、極めて国際競争力が高いものなのか。あるいは、海外では、ほかのやり方がこういった通信の技術の提案があるのか。その辺りをお教えいただきたいと思います。
【岩本氏】  宇宙でのレーザー通信は、構想としては1970年ぐらいからありまして、それでレーザー自体がこなれてきてから宇宙に持っていくようになって、コンセプト自体は昔からあったものなんですね。今もいろんなレーザー通信に関わる地上の設備、光ファイバー通信等で培われた技術があって、それらを利用しながら、宇宙通信に光を持ち込もうとしているところが、アメリカ、ヨーロッパを含めて、私たちから見ると幾つか、競合他社があります。
 このような状況の中で、今後の私たちが強みとしているところは何かという点でお話をさせていただきますと、民生技術で、なおかつ、私たちがつくってきた技術である光ディスクの技術を採用しているというところで、小型軽量で低消費電力のものをつくるというところにおいては、ほかの競合とは一線を画するものをつくることができる状況になっております。
 加えて、技術の構成要素が全て、私たちが持っておりますものも含めて、量産化がもう既に可能な技術を利用しているというところが一つ、ポイントとしてあります。宇宙のために特殊なことをするというところ、ある程度はしているんですけども、それも最小限にしておりまして、こちらの写真で見えているものの中身も全て部品としては、そこら辺に売っているもので全て構成しておりまして、こちらは宇宙のために特殊な材料を使うとか、そのようなことはほとんどしていないというものが私たちの特徴になっております。
【河野(真)委員】  ありがとうございました。そうすると、海洋にも使えるという可能性も開かれるということですね。
【岩本氏】  そうですね。
【河野(真)委員】  本当にありがとうございました。
【河村主査】  どうもありがとうございました。
 ほかに何か、また質問されたい方、いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。非常に期待の大きい技術だと思いますので、本当によろしくお願いいたします。岩本さん、どうもありがとうございました。
【岩本氏】  どうもありがとうございました。
【河村主査】  それでは、引き続きですけれども、これまでの3つの講演とはちょっとテーマが違うんですけれども、海洋開発分科会に御参加いただいております榎本委員からプレゼンをいただきたいと思っております。
 本件について事務局から補足があると思いますので、よろしくお願いします。
【大土井海洋地球課長】  海洋地球課長、大土井でございます。先日、北極についての言及というか、プレゼンを行わせてもらったところですけど、南極についてまだやっていなかったので、すみません。ここで榎本先生にプレゼンいただきまして、特にIPCCの中でも北極、南極両方とも非常にフューチャーされておりますので、改めてここで南極について、海洋分野、海洋科学の分野での重要性を御説明いただこうと思った次第でございます。
 以上でございます。
【河村主査】  ありがとうございました。それでは、榎本先生、よろしくお願いします。
【榎本分科会委員】  国立極地研究所の榎本です。今、御紹介いただきました。ありがとうございました。また、こういった機会、大変ありがたく使わせていただきます。
 タイトルは、「極域研究における海洋観測の課題について」ということで、現在取り組まれている、極域と言いましたので、北極、南極両方とも共通の部分たくさんあるんですが、南極のところを紹介しながら、実は北極でも同時に使える科学のテーマですとか、技術とか、そういったところの現状と、これから始まる活動を御紹介させていただきます。
 気候変動の把握と極域海洋観測の課題ということで、極域は閉じた高緯度の世界だけではなくて、全体につながることが最近の認識になってきました。最近ありましたIPCC AR6でも関心度の高い一番最初の内容のところに、両極の海氷ですとか氷床といったところが出てきているところです。
 ただし、両極域の観測は難しくて、データが不足している。そこに最新の観測技術を用いて、あるいは現地にアプローチすること自体が大変なので、砕氷船というものを使ってアプローチしながら、いろんな観測機械を使ってデータを取っている。そのデータの利用、普及といったところが望まれているところです。
 右側に4つほど写真を出していますけれども、4つの写真の左下のところが北極の夏の海氷域の減少でして、半分になったということがよく報道されるところです。北極の冬、この上にありますけれども、そこも減ってきている。右側の南極はどうなっているのか。これも最近、大きな関心事になってきました。左側の文章の中に、北極海の海氷は2050年には実質的になくなってしまう、消失するという言葉がIPCCでも言われたりしていますが、では、南極のほうは非常にダイナミックな変動を起こしていまして、次のグラフで御紹介しますけれども、なかなか予測できない状況になっていて、データと、その解釈、予測、こういったところが求められているところです。
 上がよく知られています北極の海氷減少で、赤いタイルで200万平方キロメートルと出していますけれども、夏も冬もどんどん減ってきまして、特に夏のほうが顕著に減っているということが知られております。南極のほうですが、2014年まではじわじわと増えてきているということが常識というか、よく知られていました。2014年に、過去の観測期間上、最大の面積というものを記録しています。その後、それが2014年に記録された数年後に、過去最低という記録を出しました。非常に大きなダイナミックレンジで揺れています。2014年以降、すごく少なくなっているところですが、例えばこれはIPCCで扱っているような気候変動の一部なのかというところでは、まだデータがないので、予測も解釈もできないということで、ペンディングになっているところですが、早くデータを取って、予測に結びつけるということが望まれているところです。こういうような変化が南極で起きています。2014年を境に南極に対するレポートの内容が変わっています。減ってきたということになっています。
 IPCCでは、海氷に関しては北極だけ扱っていて、南極はまだ触れない状態でいます。ですが、各国の研究者、こぞって南極を解釈しようとデータを集め始めているところです。北極のほうは、ここにありますように、最近、レポートでも2050年には実質的に海氷が消失したといったものが言われているところです。気温の変化に従って、これは2100年までの予測ですけれども、こういったことが言われています。2050年程度のところがしばしば言及されています。
 今までのところが海の話ですが、海洋と海氷は直結していますから、大いに関係あるところですが、陸上にある氷床、これは海の話ではないのではないかとか、直接的にはどこまでつながるか、というところが話題になりますが、これも海と大変関わるといったところです。ここに陸上の氷の様子がグラフに幾つかありますが、緑のところは氷河氷床でして、完全に陸地の上の部分です。あと、グリーンランドと南極氷床は海に接する部分がありまして、そこが非常に不安定になってきているといったところで、課題となっているところです。そこをどう予測するか、何を決めているか、判明させるかといったところが現在の喫緊の科学の題材になっています。
 グリーンランドは2002年以降、急激に減少し始めました。南極も今どんどん減ってきているところです。東南極、西南極、様子は違いますが、西南極だけ減っていて、東南極はまだ増えているようになっていますが、西南極では何が起きているのかといったところが関心を持たれているところです。
 真ん中の下にありますのが、AR6で出ましたレポートですけれども、たくさん線がありまして、これは2100年までの予測ですけれども、いろいろな将来の温暖化の予測に従って海水準がどう上がっていくかということが、真ん中の下のほうのラインで、カラータイルの中に何本も描かれているところですが、1本だけ破線で飛び出したものがあります。これがこれまでのIPCCレポートではやらなかった、ちょっと大胆なラインでして、もし南極の氷床がもっと不安定になって、溶け出したとしたら、まだまだ大いにデータの予測の信頼性は低いけれども、こんなことになってしまうということを描きました。
 今までIPCCはかなりコンセンサスが得られるまでは、こういったラインは描かなかったんですが、これは分からないからといって置いておくと大変だといったところもあって、そういうラインが描かれました。では、不安定になると海面水位を非常に上げるかもしれない危惧を持たれている氷床の部分はどこなのかというのが左上です。南極氷床がありますが、赤く塗っているところが既に減ったところ、あと、これからも減るのが予想されている、減るのではないかと危惧されているところですが、全て海に直接接しているところでして、海洋と氷床が、実は接近して、大事な役割をしているといったところで、氷床と海をつないで理解することが必要だといったことになっています。
 氷床縁辺部での海洋観測、あるいは氷床上の観測、そういったものが求められているところです。右側にもバーがありますけれども、こちらは2300年まで時間スケールを延ばしたところで、最大7メートルというラインが出てきたり、3メートルというラインが出てきたりするところですが、まだまだ不確定性が高い。そういったところで、南極における、あるいはグリーンランドもそうですが、氷床と海洋が接しているところの情報の必要性が大変高まっています。
 左側は、これは南大洋ですけれども、偏西風、南極周極流、あるいは様々な深層水、中層水など、あと、右側は氷床の縁辺部の様子ですけども、こういったところをどう併せて理解していくかというところが課題になっているということで、具体的な取組を次にお見せします。これは今年から、今年の秋に出発する隊から始める南極の観測計画の模式図ですけれども、皆さん、この中に様々なサイクルが見られると思います。Warm CDWという中緯度から来る水。あと、表側に氷床がありますけど、氷床の下での循環、それから物質の輸送、あと、海の表面では、PolynyaですとかEddyですとか、あと、ice edgeでのBloomが変化をし、表面から海底のほうに持っていく生物ポンプ、あと、表面から大気中に変化を持っていく海洋起源エアロゾル・雲形成といったもの、そういった様々な鉛直、水平、あと、上空の循環、そういったものがここに集中している。あと、青い矢印で下向きのものがありますけれども、深層水への取組、深層への物質の輸送というものがあります。こういったところで、南極全域はまだまだ対象物が広過ぎるんですけれども、一つの挑戦的な取組というのがこれから始められようとしているといったところがあります。
 さて、これは2022から28年と書きましたけれども、左のサブテーマというところで、1と2というところが、今お話ししましたテーマに関係しますので、少しクローズアップさせていただきます。
 これは古環境ということですが、左側は氷床上のアイスコアですが、ここだけ独立して話をつくるのではなくて、海洋底の調査も行おうとしています。それで、海洋底の調査と併せて古環境を解明したいといった活動が予定されています。
 これは氷床-海氷-海洋、それらが相互に関係し合って、どう変化が起きているかというところです。真ん中の下のところに温かい水が、氷床の下、浮いている氷の下に入ってきて、それで氷床を溶かす。薄くなった氷はちぎれやすくなって、不安定になって、海に流れ出すということで、海がこういうきっかけを持ってくるというところが考えられているところです。一方で、そうやって溶け出した氷床の氷、淡水を海に供給します。それがまた、海氷の生成にも関わってくるといったところで、つながりが考えられているところです。氷床の上で、陸上でやる観測も海と合わせて、理解を進めようと。この真ん中の下にあります氷床の下というのが大きなチャレンジの地域になっています。
 氷の下を潜るところ、あるいは浮いている氷の下でアプローチするような技術というのが大変求められまして、これはどうしても下までなかなか行けないんですけれども、生産技術研究所で開発されたMONACAを今年から持ち込んで、試そうといったところであります。去年のうちにテストが終わりまして、今年からこれを持ち込むということです。マルチビームソナーが上向きにも下向きにも向けられるということで、海底地形の調査と浮いている氷の下面の調査といったところで、底面から見たり、サイドの両方を調べようといったところが6年間のプロジェクトの中で進めようとしているところです。実はこれまでの6年間もベースの手法、ウッズホールで開発された機械を用いてやっていましたけれども、それではなくて、今回は日本の手法で6年間アプローチする。6年後にはもっといい方向ができていることをぜひ期待するところですが、こういったアプローチをしていきます。
 これは水面や浮いている氷の上に取り付けるセンサをここに描いていますけれども、こういったブイをいろいろ投入してこういう変化を見ることです。
 出てくるデータですが、データのアーカイブ化とオープンサイエンスといったところに向けて、今日も一番最初にDIASの御報告ありましたけれども、DIASへの接続、あるいはGEOのデータベースへの接続といったところを日本の極域観測から持っていこうとしているところで、Arctic Data archive System。Arcticという名前をつけてスタートしたものですが、今、両極に向けての設計、データの拡張を行っているところです。
 大変たくさんのデータ検索件数が来ていまして、特徴は、専門家でなくても使える、広報にも使えるデータということで、例えば北極の海氷分布を見に行きますと、EEZの範囲なども一緒に出すことができます。係留系の位置がEEZに対してどんなところに各国はなっているか。あるいは各国の観測船がそういったEEZを気にしながら、どの海域で調査しているかということも実は出てきます。そういった自然科学のデータと、そのほかの海域を囲む環境というものを出していると。
 次、最後ですけれども、南極観測は地球物理学的な観測に焦点を置いているところですが、南北両極域の海洋底には、海嶺や海台がつながり、地質・地球物理学的に重要な観測域であるということですが、熱水噴出孔の存在、あと、資源についてもポテンシャルを持つ地域であることは認識されております。こういった発表も極地研究者の中で行われており、展望を持っていることもあります。
 以上で私の発表を終わらせていただきます。
【河村主査】  榎本先生、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御講演に御質問ありましたらお願いいたします。谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。榎本先生、御講演ありがとうございました。この辺りの氷がたくさんなくなるというスライドがございましたね。左のほうが真っ赤になっている。
【榎本分科会委員】  はい。南極氷床のスライドで、後ろから真ん中の辺り、この次です。
【谷委員】 これの特に赤いところは、なぜこうなんですか。
【榎本分科会委員】  実は今日お見せしていないんですけれども、南極氷床のかなりの地域の基盤が海底下です。西南極はかなりの部分が、基盤が水面下でして、そういったところに、左側の様子を見てください。氷床の下が海面下になっていまして、こういったところが非常に不安定化しやすい。西南極はこうなっていまして、これが起きている。あと、トッテン氷河も赤くなっていましたけども、実はトッテン氷河もこういった基盤になっていまして、基盤を海面下に持つようなところの不安定性が、今までは科学のストーリーだったんですけども、実際に現象として現れ始めたのではないかというところです。
【谷委員】  この図でアイスシートと書いてある、薄くなっているところですけど、これは何メートルぐらいの厚さがあるんでしょうか。
【榎本分科会委員】  ice shelfと書いてあるところがある。棚氷でして、数百メートル、水上部分だけで100メートルぐらいあります。
【谷委員】  そうすると、潮汐で上がったり、下がったり、揺さぶられるというのは、そこまでは効かないわけですね。
【榎本分科会委員】  効きます。ice shelf自体は潮汐で上下しています。それで亀裂が入ってきたりします。
【谷委員】  やっぱりそれが効くんですか。すみません。そうすると、これに関連して最後の質問ですけど、南極というのは、実は大陸ではなくて、幾つかの島の足し合わせで、間は海だという地形ですよね。あそこは海水ですか。それともあれは下まで雪なんですか。
【榎本分科会委員】  これは今、この図に出ています左側のGrounding Lineというものが岩のところに書かれていますけれども、ここから左側は全部氷で、表面から底面まできっちり氷が詰まっているところです。
【谷委員】  それは南極大陸、大陸と言うのか分からないけど、中もそうなんですね。
【榎本分科会委員】  はい。
【谷委員】  分かりました。
【榎本分科会委員】  薄い水膜という程度のものはあります。
【谷委員】  それがあると。どうもありがとうございました。
【河村主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。須賀先生、お願いします。
【須賀委員】  東北大学の須賀です。榎本さん、どうもありがとうございました。ちょうどこの図ですけども、こういう融解プロセスの理解をしようと思ったときには、海水の観測も必要になる、つまり、その暖かい深層水が侵入してきている様子とか、そういう水温、塩分の観測が重要になると思うんですが、そういうものについては、今、AniBOSですか、Animal Borneのセンサの観測ネットワークというものがGOOSの観測ネットワークのエマージング・ネットワークということになって、持続的な観測網として、ほかのArgoとか何かと同列に位置づけられつつありまして、自由に利用できるような方向に向かっていると思うんですが、そういうデータの活用というのは考えられているんでしょうか。
【榎本分科会委員】  Animal Borneと、動物につけてという。
【須賀委員】  そうですね。
【榎本分科会委員】  今までの研究例としてはすごく特殊な地域のデータをそういった、動物が採ってきてくれたというので利用されたものがあるんですが、組織的に観測網に使おうというのは、ここにはまだ入っていないと思います。
【須賀委員】  それが今、かなり急速に進みつつあって、そのデータをリアルタイムで使えるように、Argoがやっているような形で公開する方向に進んでいこうとしていますので、ぜひそういうものの活用と、あと、それを、日本でもそれをやるといいますか、大島さん(北海道大学低温科学研究所の大島慶一郎教授)が一部やっていたような気がするんですけども、そういうものを考えていただいたらいいかなと思いました。
【榎本分科会委員】  いい情報、ありがとうございました。
【河村主査】  河野健先生、お願いします。
【河野(健)委員】  JAMSTECの河野健です。榎本さん、ありがとうございました。本当に南極周辺の包括的な海洋観測が求められているところで、実は全海洋の低層の水が暖かくなって軽くなっているということはもうIPCCの第4次評価報告書で分かっています。これが示唆するところは、海洋大循環が弱くなっているということで、これは南極で放出する熱を減らしているかもしれない。つまり、ちょっとクーリングの作用が出ているかもしれないというところまで分かっているんですけれども、南極周辺で精密な観測をしないと、循環がよくなっているのか、深層水の生成量がただ減っているだけなのかというのはよく分からないんですね。
 それで、確かに、須賀さんがおっしゃるような生物を使った観測やアルゴフロートでもいいんですけれども、もうここだけは本当に船で行って、ここの絵にあるCTDみたいなものを降ろして、水を汲んで、1,000分の1の桁の精度の観測をして、物質も全て船上で精度よく測って、包括的な像を1回描いて、近年言われている南極底層水の軽量化ですよね。塩分が薄くなってもその原因がどこから来ているのか。棚氷の下の氷が本当に溶けているのか。そういったようなことを本当にちゃんとやるべき時期だと思うので、強化することは、時期も適切ですし、非常に重要なことだと思います。極地研が主導しておられて、長くやっておられるんですけど、残念ながら、「しらせ」は海洋観測船とはちょっと言い難いところがあるので、ぜひ、今は「海鷹丸」が行っていますけれども、耐氷機能しかないので、いろいろな力を使って、ぜひ大規模な海洋観測を協力して組み立てるようなことを考えていただけるといいかなと思います。
【榎本分科会委員】  ありがとうございました。私の同僚にしっかり伝えます。実は一つ、図を戻していただけますか。先ほど南極を赤く塗ったりしていたところです。この図です。実は氷床と海が接しているところというと、世界的に話題になっているのは、左側の西南極で、日本の観測基地は東南極なので、昭和基地付近は逆に氷が増えているとか、氷床はあまり減っていないとか、棚氷が少ないというところだったんですけれども、今回、前期、6年前から観測を始めた地域は、右側のトッテン氷河というところに、「しらせ」を輸送船ではなくて、まだ限られていますけども、観測船としてそこに回して観測するということをやり始めました。そこでいいトレーニングというか、実績を積んで、観測船としての「しらせ」の活動というところもこれから増やしていけないかなというところは期待されているところです。ありがとうございます。
【河野(健)委員】  この図でいうと、トッテン氷河の上下のところが深層水の生成域ですので、本当に真面目に海洋観測をすると、様々な新知見が日本発で出てくると思います。ちょうどトッテン氷河の、この図で言うと下の辺りで、JAMSTECで昔、ディープアルゴを入れたときに、近年の深層水の厚みが著しく減少していることが分かっているので、少なくとも深層水の形成量が大きく変化していることは明らかなんですね。ディープアルゴは精度的に船には及ばないところがあるので、本当に期待されているところだと思います。
【榎本分科会委員】  ありがとうございました。
【河村主査】  ほかにいかがでしょうか。大土井課長、お願いします。
【大土井海洋地球課長】  事務局と言いながら毎度すみません。榎本先生ありがとうございました。さっきの河野理事からのお話にもありましたとおり、南大洋は地球システム全体の中で、熱の交換が非常に激しいところだと思っています。河野理事の話にもあったとおりで、ここの部分でしっかりデータを取っていくことが必要とは思うものの、一方で、日本だけではきっとできるわけがないので、例えばGO-SHIPであるとか、JAMSTECもたしか「白鳳丸」をそちらのほうに持っていったりもしていますけれども、南大洋の海のエリアでの観測の国際的な枠組みみたいなものは今現在あるものなんでしょうか。
【榎本分科会委員】  先ほど須賀先生からGOOSなどのお話をいただきましたけど、どれがまさにオペレーションというか、インプリメントになっているか、あるいは計画段階、あるいはアイデアが出ているだけなのかというところ、私はアップデートできていないので、コメントあったところを確認しますけれども、今すぐにお返事できないと思います。
【河村主査】  須賀さん、コメントがあると思いますが。お願いします。
【須賀委員】  関連して、SOOS、The Southern Ocean Observing Systemというものがありまして、これは位置づけがGOOSの外にあるんです。外にはあるんですが、NEAR-GOOSとか、いわゆるGOOSのリージョナル・アライアンスとはちょっと違うんですけど、それに類似するものとして、GOOSとしてもそこと連携を取っていきたいと思っているんですね。つまり、SOOSというSouthern Oceanの観測を組織的にやっているグループ、GOOSの外でやっているという、そういう大きな集まりはあります。
 河野さん、SOOSに日本から参加している方はいるんでしたか。
【河野(健)委員】  はい。JAMSTECの職員のSOOSの委員のメンバー、それから、先ほど大土井課長がおっしゃったGO-SHIPですね。私が申し上げた全球で、底層水が温かくなっているとか、南大洋での変化が激しいというのは、GO-SHIPの結果を解析したものです。ただ、南極周辺というのは、例えばその測線を描いたときに、今この地図の中に描けるかというぐらい南極より離れているところですので、そこは今、海洋観測船で、こういうところにあまりいろいろなことを気にせず行ける船というのはそうそうはないので、やっぱりちょっと、観測網はあっても、測線は引かれていても頻度的にはそんなにではないですよね。
 例えば、本当であれば、「しらせ」がこういうところに行くようなときにある程度時間を使って、CTD観測などをすればいいんでしょうけれども、やっぱりミッション的にはそちらの比重よりも、南極基地、昭和基地のほうが大きいですので、そこはいろいろこの後、各国内外を含めた協力が必要なところなのかなと思います。
 あと、「みらい」でいっぱい行きましたけど、そのときはもうこの辺は、長い目で見れば底層は温まる一方ですので、そういうところできちんとした観測はある程度の頻度で、物質に至るまで全部やるということに物すごく意義があると思います。
【河村主査】  ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
 それでは、榎本さん、どうもありがとうございました。
 時間が多分20分ぐらい押していると思うんですけども、ここで休憩を挟みたいと思います。事務局、何分取りましょうか。
【事務局(川﨑)】  事務局から。5分ぐらい取らせていただければと思います。今、17分ですので、中途半端ですが、22分までということでよろしくお願いします。
【河村主査】  それでは、22分までトイレ休憩にさせていただきます。5分でお戻りください。お願いします。
( 休憩 )
【河村主査】  時間になりましたので、5分という短い休憩で申し訳なかったんですけれども、再開したいと思います。
 これからの時間、本日のヒアリングを踏まえた意見交換を行いたいと思います。榎本先生もぜひ議論に御参加いただければと思います。
 本日は海中通信技術、それから、センサ技術、衛星通信技術、データ統合システムなど、いろんな話題提供をいただいたんですけれども、まずここで論点を確認させていただきたいと思います。事務局で参考資料2にまとめていただいていると思いますが、事務局から読み上げをお願いいたしたいと思います。
【事務局(川﨑)】  それでは、時間もないので駆け足で論点を読み上げさせていただきます。参考資料2を御覧ください。
 まず1つ目、海洋観測・データ取得の在り方について、①から③まであります。海洋観測・データ取得・研究基盤の現状を踏まえ、海洋分野において産学官を含めた国内機関の連携を促進するために、強化すべき取組にはどのようなものがあるか。海洋観測・データ取得・研究基盤の現状を踏まえ、海洋分野において国内の各機関が、他国の機関と効果的に連携を進めていくために、強化すべき取組にはどのようなものがあるか。海洋分野における効果的・効率的な観測体制の在り⽅とはどのようなものか。また、その実現のために強化すべき取組・技術開発は何か。
 次に2つ目、海洋に関するデータ共有・収集・整理と他のデータとの連携について。
①から④まであります。海洋におけるデータ共有・収集・整理とデータ連携の現状を踏まえ、今後のデータ駆動型研究の推進のために必要な研究基盤、強化すべき取組にはどのようなものがあるか。海洋分野において、デジタルプラットフォームを構築し、それらを活用して成果を創出していくために必要な研究基盤、強化すべき取組にはどのようなものがあるか。海洋におけるデータ通信技術の現状を踏まえ、今後必要な研究基盤や強化すべき取組にはどのようなものがあるか。国内外でデータ共有を進める際の課題は何か。
 以上となります。
【河村主査】  ありがとうございました。今、御説明いただいた論点も含めまして、意見交換を行いたいと思います。皆様から自由に御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 見延先生、お願いします。
【見延委員】  どうもありがとうございます。北大の見延です。このデータ取得ですけれど、喜連川先生のほうから御紹介ありましたように、今、数値計算のデータが物すごく爆発的に増えているわけですね。そして、日本が生み出している数値計算データ、グローバルモデルの数値計算データのシェアというのは決して大きいものではありません。今、日本では2グループありますけれど、世界では60グループですから、30分の1ぐらいのシェアしかないわけなのです。そうすると、世界で受け入れられるようなトップの研究をやっていこうとすると、そういう60データを解析しなくてはならないということになって、これが日本では非常に大変であるというのがあります。
 これまでは、日本国内のデータをジェネレートする、日本国内にデータをつくるということに主眼が置かれて、いろんな政策がなされてきたと思うんですけど、今後は世界のデータも使っていく、それをいかに効率的に行うかということも考えていかなくてはいけないのではないかと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。今の点も含めてで結構だと思いますけれども、いかがでしょうか。皆さんから御意見いただければと思います。お願いします。
【河野(健)委員】  先ほど質問のときにも申し上げましたけれども、(2)の③ですけれども、すぐには実現しないにしろ、今後この方向に進むわけですから、我が国としては、いま一つ立ち遅れているところのある海洋の表面を自動で動いて観測するような装置を含めた無人観測技術を少し推進していくことが必要なのかなと考えています。今、Argoのときには日本がいいタイミングで資本投入したので、今日に至るまでプレゼンスはあまり、ひどく低下することなく、そこそこ活躍しておりますけど、その後の自動観測装置については、軒並み遅れを取っているんですね。ここで、せっかく通信技術で日本発のものが何らかの形でできるんだったら、その高速通信を十分に生かすような無人観測について一緒に技術開発を進めて、通信技術が実現したあかつきには、日本がその段階ですばらしいものを持っているというところまで持っていけばよいのかなと思います。
【河村主査】  ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょう。では、阪口先生、お願いします。
【阪口委員】  笹川平和財団の阪口です。幾つかのポイントのところにデータ連携というのがあり、国内、国外も含めて、セキュリティーというものが非常に重要なポイントになっています。私は、海上保安庁と海上自衛隊とこの問題について話し合う機会が非常に多いのですが、いわゆる科学技術の面からのデータというものの連携に対して、研究者は過度にオープンにしてしまうので、連携したくてもなかなかできないという、ちょっと偏見的なことをよく言われるんです。
 両方の連携が必要で、かぶっているところもたくさんあり、穴が空いているところもたくさんある。取りあえず埋めていく。埋めていくというのは、観測の範囲を埋めていくという観点からいくと、連携していくことが絶対的に必要だが、科学技術面は全部オープンにしてしまうので、なかなか連携が怖いというのは言われています。
 なので、このセキュリティーのルール化というものをしっかりつくって、日本の国としての予算、観測のための予算というのを最適化して、科学者がより利益を得られるような体制というものとデータの管理とセキュリティーですよね。このルールをつくっていくということが双方に利点があるということは分かっているんですけども、そのルールがないからできないという状況にあります。そのため、ぜひともそこはきちんと詰めていくべきではないかと私は思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございました。
 では、続いて、須賀先生、お願いします。
【須賀委員】  ありがとうございます。東北大の須賀です。(2)の①に関して、先ほど御講演の後の質問といいますか、ディスカッションでもお話ししたんですが、異種のデータ、異分野のデータ、異なる分野のデータを一緒に併せて解析していく。それも全部が膨大なデータみたいな、特に海洋科学については、これからそういうものを扱うことが求められていると思うんですけども、そうした場合に、DIASのようなああいう基盤がもうあるのであれば、それを何かうまく、私は不勉強なもので、きちんとその辺が分かっていなかったんですけども、これをもう少し海洋科学として積極的に活用するような方向で、ITのほうの専門の方たちと一緒になって、そういうことをやっていくという体制をつくるといいのではないかと思います。幾つかの具体的なテーマを掲げて、これについてやりましょうという感じで、デモンストレーションの意味も含めてやると、いろんな人がそれに加わってくるのではないかなという気がしました。
 どういうふうに組み合わせてやるといいかなというのは、ちょっとしたアイデアがあって自分でそれを具体的にやるということはなかなか難しいと思うんですね。先ほどの話だと、そういうところを情報科学の人たちと一緒になってやりましょうというふうに私は受け取りましたので、であるとすれば、海洋科学として積極的にそこを活用していくことがあってもいいかなと思いました。それが一つ。
 それから、もう一つは上の(1)の②に関してです。これは国内の各機関が「他国の機関と効果的に連携を進めていくために」ということですが、これは私も何回も同じようなことをいつも発言してしまっていると思うんですけども、国際的な枠組みは幾つか、いろいろなところにあって、それぞれ分野ごとに、例えばArgoみたいなああいう海洋観測だったり、動物を使った観測だったり、そういう分野ごとの国際的な枠組みがあって、そういうものに、個別にいろんな人たちがダイレクトにそういうとこにつながってやっているんですけど、国内として、日本としてこういうことを大きくやりたいという体制があって、それにそういう国際枠組みを活用するというアプローチの仕方はあまりしていないと思うんです。
 つまり、日本の中でそういう国際的なものに個人がぶら下がるケースが多くて、日本の固まりとしてそういう体制がないので、向こう側に、つまり、国際的な枠組みに合わせてやっていくというようなスタンスになりがちですが、むしろ日本がやりたいことがあってとか、日本がこういうことをやるので、そのために国際的な枠組みにはこういうスタンスでアプローチするとか、こういうスタンスで貢献するとか、そういうふうに行くほうがいいのではないかなと思います。
 ですから、国内の体制をきっちりつくって、国際的な枠組みを活していくことが、国内の各機関が他国の機関と効果的に連携するということにつながっていくのではないかなと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございました。
 一旦、今の件に、JAMSTECの河野先生、もしあれば。
【河野(健)委員】  川辺先生に申し訳ありませんが、御指名ですので、先にお答えさせていただきます。現在似たような試みとして、政府間海洋学委員会については、国内の意見を集約するような会合を幾つかの部会に分けて実施した上で、国の中でIOCの分科会というのを国の委員会でつくっていただいて、そこで日本の方針なりをちゃんと決めて対応している。それと似たことで、最近の国連海洋科学の10年については、笹川平和財団の阪口所長のところで国内委員会をつくって、関係者を糾合して、日本の活動を総括した上で、今後どうしていくかという議論をしていく。こういうものをいっぱいつくってもしようがないと思うんですけれども、効果的なものを何か一つ、効果的なのに欠けているものがあるのであれば、JAMSTECでも、笹川平和財団でも、政府が直接やっていただいても結構かと思いますけれども、何かそういう委員会的な集まり、議論する場、これをつくることを少し推進するというのが必要なのかもしれません。
 あと、国際会議の場に代表で出ていく人の評価、これは各機関に依存すると思いますけど、これをもう少し高くしないと、結局、研究者で専門知識で仕事をしていて、すごいプレゼンスを示して、国益にかなっているのに、論文の数が少ないからちょっと偉くはできませんねということのないように、そこをちょっとマインドを変えていかないといけないのかなというのをもう一つ気がついたところです。ありがとうございました。
【河村主査】  ありがとうございます。
 それでは、川辺先生、お願いします。
【川辺委員】  ありがとうございます。今の河野委員の御発言で半分ぐらいお答えいただいたかなと思うのですけれども、今の河野委員の御説明というのは、海洋のデータマネジメントに関して、何かポリシーとか、あるいはシステムが、国際的に、あるいは国内でプロトタイプ化されようとしている、ということでよろしいのでしょうか。
【河村主査】  これは河野先生、お答えいただけますか。
【河野(健)委員】  データの集め方が、プロトコルが存在するかということですか。
【川辺委員】  はい。
【河野(健)委員】  恐らく私じゃない人のほうが詳しいと思いますが、少なくとも公式には、海上保安庁のJODCというところが日本のデータを集めていて、ここには提出の様式というのがありますので、そういう意味では、プロトコルがあって、原則は、完全にオープンにするという原則ですけども、公的資金で取られた海洋のデータは全て整理した上で、JODCに提出するというのが原則ということになります。JODCでカバーできない生物の映像とかそういうものについては、割と最近、国のナショナルデータセンターの補助組織という存在が認められるようになって、生物については、今、JAMSTECはOBISのシステムの一部を運用しています。
 でも、実はそれ以外にたくさんデータはあって、いろいろな方法で集めようという努力を各方面でしていて、特に大学のデータは散逸しないようにどこかに集めるべきではないのかと、そういうことがあって、その部分についてはプロトコルがあるというところまでは行かないと思いますけど。
【川辺委員】  分かりました。ありがとうございます。(2)の④番の、課題は何かということで、今、大学のデータというお話を言われたので、私が感じていることですけども、大学の先生方のなかには、御自分で研究費を取って、船で観測して得たデータを公開することに関して抵抗を感じられている方もおられるように思います。その辺りはどういうふうにクリアされていかれるのかなというのが疑問の2つ目です。もしどなたかお答えいただければありがたいです。
【河野(健)委員】  少なくとも東京大学から預かっている「白鳳丸」、「新青丸」で取られたデータについては、適正な期間を置いた後、JAMSTECでお預かりして、公表していて、多くの先生方の心は公開の方向に大分傾いているんですけど、個々の研究室のパワーではそこを維持できないというのが本当のところなのではないでしょうか。教員ではないので、ちょっと押しつけがましいかもしれません。
【川辺委員】  いえ、おっしゃるとおりだと思いました。ありがとうございました。
【河村主査】  皆さん、多分、意義については十分認識あると思うんですけども、みんなのコンセンサスを持って、みんなで集めていこうみたいなところまではまだ至っていないというのが現状かと思います。ありがとうございました。
 では、前川先生、お願いします。
【前川委員】  ありがとうございます。もしかしたら視野の狭いコメントかもしれないんですけれども、海洋のデータ取得を行う際に、全球的にくまなく非常に詳しいデータを集めるというのは難しいと思うので、先ほどの御発表でもあった南極の特定の海域であるとか、あとは日本にとって、海洋科学の面からも2国間関係、地域の安定という観点からも大事な地域、アジア太平洋であるとか、南太平洋であるとか、あと、データが比較的薄いところ、地域をある程度絞って、そういった重要な海域、地域をしっかり重点的にデータを集めて活用するという視点も一つ重要かなということと、もしそういうことをするのであれば、そういった地域での国際連携、さらには途上国の能力開発支援ということも含めてやっていくほうが国際的なアピールというか、いろんな協力も得やすいかなと思います。
 以前、南太平洋地域でいろいろヒアリングしたんですけれども、自国のEEZでいろいろな海洋観測をする際に、届けがあって、やり取りをするんだけれども、観測後の結果のフィードバックがなかなかなくて、そういったところが残念だったというコメントもあったりしますので、国際連携というときに途上国との連携ということも、最先端の研究をすると同時に、一つ重要な側面かなと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございました。今の件、どなたか、もしコメントあればいただければと思います。国際連携の実情について。どうぞ。
【須賀委員】  東北大の須賀です。今のお話、まさにそのとおりで、実はGOOS、The Global Ocean Observing Systemは世界中でデータを取ろうとしているんですが、少数の国でそれをやることは不可能であるということで、できるだけ多くの国に参加してもらって、自分の国の近くは、その国で測るという体制になるのが最終的に一番いいと考えていまして、それで、そういう意味の能力開発と、実際にそういうデータを取って、そのデータを活用するところまで含めた能力開発を進めていこうとしていますので、GOOSもそういうふうに考えているんですね。
 ということで、日本は、特に日本の周囲とか、日本にとって重要だと思われるというか、特に近いところが多分いいんだと思うんですが、そういうところに貢献する、太平洋地域等に貢献するというのが一つあると思います。まさにそのとおり、おっしゃられたとおりだと思います。というのが一つ。
 それから、一つ前の話に戻るんですけども、データプロトコルというのとも違うのかもしれないんですが、データを取得するプロトコルという意味では、ベストプラクティスという形でそういうものがどんどん蓄積されてきて、データの流通に関するベストプラクティスみたいなものを含めて、そういうものがこれもGOOSが関与してというか、そういうことも進めています。
 あと、データポリシーです。これはIOCのデータポリシーということで、今それを改定しているところですね。IOCの会期間委員会、会期と会期の間の委員会、ワーキンググループで検討を進めて改定しようとしているところです。先ほど河野委員がおっしゃったように、基本的には共有財産ということで、みんな公開ということが原則としてはありますけども、実際にそれをどこまでどう認める、EEZの中のデータをどうするとかそういうことに関するところも含めて少し改定しようという動きはあります。
 関連して、WMO、世界気象機関が最近、ポリシーの改定をして、それで2種類に分けたんですよね。必ず測って、必ず公開する、何て言いましたっけ。私はすぐ正式名称を忘れてしまうんですが、コアデータ。あと、レコメンデッドデータという2種類のカテゴリーになって、レコメンドのほうは努力目標みたいなものですね。コアのほうになると必ず、測られていないんだったらちゃんと測る努力をするし、測ったものは公開するという仕分をしているんですね。
 そういう中に海洋観測のデータも、海面水温だとか、表層の水温、塩分のようなデータは、コアデータに入れていくということをGOOSとして提案するということを最近決めたりしていますね。ということで、そういう国際的なデータの共有のポリシーと、それをルール化していくということは前からやられている、以前からやられていたことだとは思うんですが、そういうものがまた今、改定されようとしている。現状に合わせて改定されようとしているという状況があります。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございました。
 では、続いて、榎本先生、お願いします。
【榎本分科会委員】  ありがとうございます。話題が遡ってしまうんですけれども、先ほど河野先生が大学の教員の事情をお話しされたので、私もそこら辺、国際的な枠組みを決めて、ルールを決めて呼びかけていくというところと、あと、個人の研究者ですごく優れたプレーをされている活動の人たち、そういった人たちをどうやってきちんと取り込むかというか、協力を得られるかといったところで、河野さんもおっしゃられていましたけども、国際学会、国際会議に出ていく個人の評価といったところもしないと、そういった協力を得られないというのがありました。科研費でやっているところではなかなかそういうデータのまとめといったところに来られなくて、ただ、すごくいい活動データを持っている。国際的にもチャンネルを持っている人を、こういった国の動きとどううまくつなげていくかというところでは、何らかの事務系統ですとか、データセンターとか、ナショナルデータセンターみたいなものが間をつなぐのが欠けているのではないか、これが必要なのではないかなというところで、国際的な動きと優れた個人の動き、両方を見比べながら思ったところでした。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 では、河野真理子先生、お願いします。
【河野(真)委員】  ありがとうございます。技術的な意味で教えていただければと思って御質問させていただきたいんですが、先ほど須賀先生も既におっしゃったことなのかもしれないんですけれども、ここでおっしゃっている海洋に関するデータというのは、国際的に比較可能な一定のスタンダードなものというのがあるものなんでしょうか。つまり、データを幾ら共有しても比較可能なものでないと、お互い本当の意味でそれが使えないという気がいたしまして、この点を教えていただければと思います。
 あともう1点も御質問なのですが、もし比較可能なデータがあるとして、でも、データはやはり解析して初めて意味があるわけで、その解析の仕方についても、それぞれの分野によるのかもしれないんですが、国際的に共有できるような解析の仕方があるのか、その辺りを。もしそういうのがある種のスタンダードがあって、国際的に比較可能であれば、より全世界的にデータを比較したりできると思うんですけれども、その辺り、いかがなのでしょうか。すみません、教えていただければと思います。
【河村主査】  これは須賀先生、お答えいただけますか。
【須賀委員】  それでは、まず私から。比較可能です。というのは、特に物理のデータに関しては、これは結局、絶対的な精度というかアキュラシーですね、正確さ。これをきちんとある基準に基づいて決めれば、もう比較が可能となりますね。物理の水温、塩分データというのはもうそういう形で、これは古くからこれができるようなものになっています。それ以外の、いわゆる化学的なものに関しては、標準といいますか、標準物質、計測の基準にする標準物質というものが整えば、そういうものが整備されたものに関しては比較可能になってきているんですね。ですから、物理と化学のデータはかなりの程度比較可能なものになっている。ただ、生物のデータがなかなか難しいというところがあって、でも、それも比較可能にしていこうという方向に今進んでいるところです。データの世界では、今、FAIR data principlesというのが言われていまして、FAIRで、ファインダブル、アクセシブル、インターオペラブル、リユーザブルということで、それをそういう方向に持っていきましょうということで動いているところであります。
 あともう一つ、解析の手法ですね。解析の手法もスタンダードなもの、誰かが最初にやって、非常にいい解析方法だということになるとそれが広まっていきますね。共通の解析手法を多くの人が用いるという状況はたくさん起こっていると思います。そういうものが観測手法だとか解析手法も含めて、ベストプラクティス的な、ベストプラクティスというような形でアーカイブされているというか、集積されていって、それをいろんな人が参照できるような、そういうふうにいろんなところでなっていると理解しています。
【河野(真)委員】  ありがとうございます。そうすると、それを全世界的にやっていこうと思うと、例えば途上国に対しての人材育成とかそういう支援をやるといいという、そういう感じなのですね。
【須賀委員】  そうですね。まさにベストプラクティスという、GOOSを例に出すと、GOOSベストプラクティスというのをやっているんですけども、これはまさに途上国とか、これから始めようとしている人たちに、何を参照して、どういう方法を取ったらいいかというのを分かりやすく提供できるようにという、そういう意味も非常に大きいと思います。
【河野(真)委員】  ありがとうございました。すみません。お時間いただきました。
【河村主査】  すみません。私は今、ネットが落ちてしまって、途切れてしまったんですけど、河野先生の質問、それから、須賀先生のお答え、大丈夫ですかね。ありがとうございました。
 では、見延先生、お願いします。
【見延委員】  北大の見延です。この連携を深めるために、一つ、日本で今、弱いなと思うのが、データを公的なところで、生データではなくて、誰かがつくったデータセットを公的なところで保管して、そこにデジタル識別をつけるというところです。どういうことかといいますと、例えば私もデータセットをつくって、それを大学のホームページで公開したりしているんですけど、これはデジタル識別がないので、引用できないんですね。それから、私が定年になると、そのホームページは閉鎖されてしまいます。
 いろんな国が今はそういうデジタルデータをつくって、それをみんなで使っていこうという方向で動いているんですけれど、それが日本ではまだ弱くて、大学の自主性だけに任せておくと、特に海洋や地球は世界的にデータを流通し合う面が多いので、ちょっと後手に回るのではないかと思っております。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございました。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。谷です。(1)の③ですけれど、海洋分野における効果的・効率的な観測体制の在り方というのが問われていると思うんです。全部自動化して、宇宙にデータを送って、全てリアルタイムでばんばんデータを取ればいいではないか、一番効率的である、というのは、多分それはそうなのです。けれど、ちょっと考えていただきたいのですが、この質問で、海洋分野でと書いてありますけど、何のための観測かというのを書いていないですよね。例えばARGOでケリが付くものは確かにあるわけですね。ARGOで随分世の中がよくなった。一方で、さっき河野さんがおっしゃっていた深層大循環は、ARGOではどうしようもない。どうしようもなくはないけれど、深層大循環の量は、というのはARGOでは測れない。残念ながら、今だと、深層までセンサを下ろすとか採水とか、それしか手がないんですね。そういう調査は世界中で何人の人ができますか。それだけの能力、分解能、精度を持って、また、それだけの長いワイヤが下げられるウインチを持っている船が世界で何隻あるんですか。日本は何隻持っていて、では、世界全体の分業はどうすべきか、そういうところを考えないといけないのでないでしょうか。効率がいいとか、効果的な、とかいう前に、一体我々は何を測らないといけないのか、を整理しないといけないと思うんです。整理をした上で、効率的、効果的などとは言っていられなくて、日本は世界中のためにやるべきだということがあるんだと思うんですけども、この設問全体がもうちょっとたくさんデータを取りましょうやというところで終わっているように見えるんです。そうではない。一体何が測られないといけないのか。今、我々が、例えば10年先の天気予報のためか、あるいは100年先の海面上昇のためか、何のために何を測るべきかというところをもう一度考え直して、しかも、それで世界中で誰が何ができるのかというところをきちんと整理しないと、これは答が出ないと思うんです。
 以上です。
【河村主査】  谷さん、どうもありがとうございました。大変重要な点だと思います。
 藤井先生、お願いします。
【藤井委員】  水産研究・教育機構の藤井です。私は専門が生物のほうなので、今日はすごくスケールの大きい話、最先端の話を聞かせてもらって、感銘を受けるところが多かったんですけど、やはり今日の論点の取りまとめというところになると、今までも何回も同じ話、ほかの先生方からも御指摘ありまして、今も谷先生、すごく核心を突いた御意見を述べておられたと思うんですけど、結局、何をどこまでやるかとか、優先順位をどうするかとか、そのための予算獲得であったり、人員の獲得、その人たちのプロモーションをどうするかという話合いをする、あるいはコンセンサスを得る、あるいは戦略をつくる。そういう機能ですよね。司令塔機能と言うんですか。そういうところがやっぱりはっきりしていないというのが我が国の海洋研究の弱いところなのかなと。いろんなセクターで、皆さん、一生懸命頑張っていますし、それぞれの努力で連携もされていると思うんですけど、やっぱり国としてそれを取りまとめる機能をどうするかというところ。多分それはこの委員会の役割の範疇を超えると思うんですけど、やっぱりそこのところを考えていかないと、いつまでも同じ議論の繰り返しになるのではないのかなと感じました。
 以上です。ありがとうございます。
【河村主査】  ありがとうございました。
 では、廣川先生、お願いします。
【廣川委員】  ありがとうございます。JOGMECの廣川です。私は研究者でございませんので、ちょっと疎いところがあるかもしれません。私の経験からお話しさせていただきます。
 我々JOGMECは、国際海底機構のコントラクターという立場であります。現在、ISA、国際海底機構は、コントラクターが取得した環境データについては、データベースを全部取りまとめるということで、全てデータを提供する義務を負っています。ISAの事務局は、そのフォーマットも決めて、そのフォーマットに沿って出しなさいということになっています。そういったことにしないとなかなか、ここに書いてあることに、皆さん、総論的には賛成されるし、データを利活用あるいは効率的に調査するという意味では重要だと思いますが、目的を持った個別事業に適用するためには、容易でないと思います。
 あともう1点、JAMSTECさんとJOGMECで連携協定を結んで、沖縄海域のデータを共有しようという試みを昔やったことがあります。研究者の方々が所有するデータも含めて、沖縄海域だけのデータを同じフォーマットでそれを取りまとめる。では、それを誰がやるかというところがボトルネックになりました。データセットをつくるというのは相当パワーが必要ですので、どこが、誰がやるかというところが具体的になっていかないと、データベース化というのはなかなか難しいと認識した次第であります。
【河村主査】  ありがとうございました。今、議論されている点、まだ御発言されたい方いらっしゃいましたらぜひお願いしたいと思います。
 結局、データの種類、あるいは、何のためにやるかということによって扱い方が随分変わるということなんだと思うんですね。先ほどから、例えば、効果的、効率的な取り方をしなくてはいけないという部分は、例えばプロトコルが決まっていて、一定の質のデータが取れるものに関しては確かにそのとおりですけれども、そうでないものもかなりたくさんあるということもありますし、それから、データの質とか、それから、利害の絡むものとかそういうものについてもまた扱いが変わってくるということなので、一律になかなかきれいに整理できないというのが現状なのではないかと思いますけれども、何か御意見があればお願いいたします。お願いします。
【榎本分科会委員】  極地研究所の榎本ですけれども、今日の私の発表の一番最後から2番目のところで、先ほど、いろいろデータ、あるいは、その取りまとめ機関、あるいは見延さんからお話があったような、恒常的にデータを保管して、消えていかないようにしないといけない。DOIの付与とか、そういったところはありましたが、それの極地におけるプラクティスみたいなものもそこでやっています。
 極地研究所はなくならないということを前提で、最後から2番目のところでした。これは右側にデータ登録数、今あるのは、これは北極だけなのですけれども、実は海洋、陸域、全部併せて、実は、私は別のパソコンで登録状況を見ているところですけれども、海洋観測のドットもたくさん並んでいまして、陸上もあります。また、島もありまして、それが1,000個あります。そこへDOIも、今、どんどん付与しようとしているところで、まだ歴史は浅いんですけれども、69件まで並べています。誰でもアクセスできる、アクセシビリティというのも確保できるようになったところで、極域でやりながら、これは研究者個人の負担では結構大変なので、事務局あるいはデータアーカイブをつくるスタッフをそろえて、データを引き出していく、研究者から取立てに行くというか、そういったところもやろうとしている。いろいろ一筋縄ではなかなかいかないんですけれども、どこにデータがあるはずだ、あと、それをぜひ出してもらいたい。そういったところで、データの存在と観測計画の存在、あと、船の航行、航路結果といったところでは、北極海を航行しているいろんな船のルートもまずは見られるようにといったところでやり始めたところです。これは極域におけるプラクティスですけれども、これを一つの練習台としていろいろやっていける土台にはなるのではないかなと思って、やっているところです。
 グローバルにはもっと力を入れないといけないとは思いますけども、皆さん、ADSと一度御覧になっていただければと思います。
【河村主査】  ありがとうございます。
 河野健先生、お願いします。
【河野(健)委員】  JAMSTECの河野健です。恐らく賛同を得るのは難しいと思うんですが、公的資金を得るときに一般管理費を取られるように、それから、論文を書く人はレビューも同数やるのが義務でしょうという感覚と同じように、海洋観測をする人たちはその費用の中にデータ管理費を積んで、先ほどのADSでもいいですし、JODCでもいいですし、JAMSTECにもデータセンターがあるので、JAMSTECでも結構ですので、そういうところにきちんと資金提供するというフローをつくらないと、廣川先生がおっしゃったとおりで、誰がやるのかというところは結構な問題で、ADSは極地研がリソースを投入すると決めたからできているわけで、JAMSTECも決まったものについては、部署の者がいて、人的リソースを割いているからできるので、やはりそういうドラスチックなことをしないと、誰がやるのか問題、お金どうするの問題で、なかなか難しいですねという結果にまたなるかもしれないですね。
【河村主査】  おっしゃるとおりだと思います。
 谷先生、お願いします。
【谷委員】  ありがとうございます。谷です。先ほど私は観測について、一体、本当に何を観測しないといけないのかということを明らかにする。まずそこから始まるという話をしましたが、一方で、測ったデータが最終的にレポジトリに来ない。これも大きな問題で、特に大学の先生が退職のときに、一緒にデータが死んでしまうというのは、私はJODCにいた時代に随分これは闘いました。結局、何が助けになったかといったら、一升瓶ですね。一升瓶を持っていってみたいな、結局そんなことをやっていたんですが、IOCのIODEというのがありますけども、あれで言っているのは、CSR、クルーズサマリーレポートとか、昔、ROSCOPと言っていますけど、CSRなりROSCOPなり、これらはとにかく測った直後に何をやったかだけをリポートしましょう。後でデータを出す、出さないに関係なく、CSR情報は全部集めましょうということでやっていて、いまだにJODCでそれを集めていますけれども、それによってデータがここにあるはずだ、というのを確保されるので、より物がなくなりにくいかなということがあります。
 一方、よその国で何をやっているかということなのですけども、例えばGeoscience Australiaがホストしていますが、オーストラリアの場合は、測ったら、全てのデータをGeoscience Australiaにあるレポジトリに全部、その瞬間に入れる。全部を集めた上で、ほかの人には触らせないというような仕掛けをつくっています。
 それから、アメリカは、Rolling Deck to Repository、R2Rと略称されていますが、揺れているデッキから直接レポジトリにデータが行くような仕組みをつくっていて、NSFのお金で調査した成果は、全部強制的にアメリカ政府のデーターセンターであるNCEIに行く。後でそれは強制的に公開されてしまうんです。
 先ほどから何度かそういう御意見が出ていますけれども、取ったデータがなくならないようにする、貴重なお金を使って測っているデータだから、なくならないようにするという観点からは、あなたのデータのプロプライアトリーは確保してあげるから取りあえずデータは全部ここに預けなさい。ほかの人には関わらせませんという合意の下に、全部のデータを1か所に、船がランディングした瞬間に集めるということをやれば、取ったものがなくなるという、この悲しい出来事はないと思います。
 以上です。
【河村主査】  ありがとうございます。
 須賀先生、お願いします。
【須賀委員】  ありがとうございます。東北大の須賀です。何を測るかということに関して、これは実はOceanObs’09というものですね、2009年にやったOceanObsという会議で扱いました。海を全部測ること、海のあらゆるものを測ることはできないんだから、何を測るか考えなくてはいけないということで、Essential Ocean Variablesというものを定義してやりましょうと、OceanObs’09の後にできたタスクチームが最終的にはそういう提案をしたんですね。
 Essential Ocean Variablesというものを定義して、これはどういうものに活用できるデータで、そのためにはどういう精度で測らなくてはいけなくてとか、そういうことを全部スペックシートとして作って、それを定義して、これを皆さん共通のものとして測りましょうということを始めました。
 実際にそれが動き出したのは2012年頃からで、Essential Ocean Variablesのスペックシートをつくり始めて、現在、GOOSでは物理パラメータ、化学パラメータ、生物パラメータについて、全部で幾つぐらい、30ぐらいですかね。もうちょっとかな。そのEssential Ocean Variablesというものを定義してやっています。
 ですから、これを測りましょうと、一応合意され、どのくらい幅広く合意を取っているかというのが問題ですけども、国際的に合意を取って、そういうものを定義している。例えば海面水温とか、海洋の水温の鉛直プロファイル、Subsurface Temperatureとか、そういうもの。生物地球化学量もありますし、生物はなかなかそれが難しいんですけども、でも、生物についても、Essential Ocean Variablesが既に10ぐらいは定義されていて、あと、融合分野ということで、海洋プラスチックに関しても、Essential Ocean Variablesとして定義するという動きが今、進んでいます。
 ということで、何を測るかということに関しては、そういう国際的な枠組みがあるということですね。実はEssential Ocean Variablesというのは、Essential Climate Variables、必須気候変数というものがもとになっています。これはGOOSではなくて、GCOS、The Global Climate Observing SystemがEssential Climate Variablesというものを定義して、これを気候観測、大気と陸面と海洋に関して、それぞれECVというものを定義して、これを測りましょうということを進めてきて、実は衛星観測のコミュニティーがこれを非常に活用したんですね。
 このECVを測るためにこの衛星を上げるというようなこと、そういう使い方をしてきました。ですから海洋のバリアブルもECVには入っているんですけども、その海洋版といいますか、海洋観測は気候のためだけではないので、海洋の様々な部分、分野に関してカバーするようにということで、EOVというものの定義が始まって、それが実際に使われ始めているという状況にあります。
【河村主査】  ありがとうございました。
 ほかにどうでしょう。御発言されたい方、時間がちょっと過ぎているんですけれども。まだまだ議論は尽きないですし、そう簡単にまとめられない部分もあるんですけれども、大体問題点は出たかなという気がします。どうですかね。今、10分ほど超過していますので、今日は皆さんにいただいた御意見も踏まえて、今後どういうふうにこれをまとめていくかということ考えていきたいと思います。
 今日、どうしても言っておきたいということが何かあれば、ぜひいただきたいと思いますが、特段なければ、本日の意見を踏まえて、事務局のほうで骨子を更新していただいて、また、次回の委員会のときに共有して、また議論するとしたいと思います。いかがでしょうか。
 よろしければ、本日の議事、これで終了にしたいと思います。ありがとうございました。
 最後に事務局から連絡事項等、お願いいたしたいと思います。
【事務局(川﨑)】  事務局です。本日は皆様、お忙しい中、長時間にわたって御議論いただき、ありがとうございました。ただ今、主査からご指示いただいたとおり、骨子案を追記・修正させていただき、次回の委員会に提示させていただきたいと思います。また、本日の議事録案を作成し、委員の皆様にメールで確認させていただきますので、ご確認をよろしくお願いします。
 また、次回の日程ですが、予め御案内させていただいたように7月14日の午前中を予定しています。時間帯は、また調整させていただきますので、よろしくお願いします。
 以上、事務局からの御連絡になります。
【河村主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、本日の海洋科学技術委員会、終了にしたいと思います。皆さん、どうもお忙しいところありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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研究開発局海洋地球課