次世代深海探査システム委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成28年6月20日15時~17時

2.場所

合同庁舎4号館123会議室

3.議題

  1. 今後の深海探査のあり方についてヒアリング
  2. 次世代深海探査システムの方向性に関する意見交換
  3. その他

4.出席者

委員

道田主査、浦委員、織田委員、小原委員、瀧澤委員、竹内(章)委員、竹内(真)委員、竹山委員、辻本委員、中野委員、西山委員、藤井委員、山崎委員

文部科学省

林海洋地球課長、三宅海洋地球課課長補佐

オブザーバー

海洋研究開発機構 東理事、田中海洋工学センター長

5.議事録

【道田主査】  定刻となりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会海洋開発分科会の次世代深海探査システム委員会、第4回を開催いたします。

本日は委員の先生方、御多用にもかかわらず、また暑い中御出席いただきまして、大変ありがとうございます。

今日は第4回でございまして、今日を含めてあと2回、一応予定されております。徐々に議論のまとめに入っていく段階でございますけれども、これまでの過去の委員会において、関係の方々からヒアリングあるいは御意見を頂くという場を設けさせていただいたことによって、徐々に共通認識になりつつあるかなという気はいたしておりますが、今後、あと2回、今日と次回、まとめの議論という非常に大事な議論の場でございますので、よろしくお願いいたします。

特にこの委員会、私、同様の委員会にたくさん出ていますけれども、これだけ出席率の高い委員会もなかなかないので。今日は委員全員が御出席いただいているということで、委員の先生方、この課題の重要性ということの認識を頂いていることの成果というふうに思います。

今日は幾つか議論のポイントがありますけれども、後ほど、事務局の方で用意していただいた、まとめの方向性に関するペーパーの御説明も頂くようになっておりますので、是非まとめの方向性について、高い観点から御議論いただければいいかなというふうに思います。

それでは、まず事務局より委員の出席、その他について確認をお願いできますでしょうか。

【事務局】  委員に関しましては、道田主査に頂いたとおり、全員出席ということです。

あと、本日、オブザーバーといたしまして、国立研究開発法人海洋研究開発機構から東様と田中様にお越しいただいております。

【道田主査】  どうぞよろしくお願いいたします。

では、続きまして、お手元の配付資料について、これも事務局から確認をお願いします。

【事務局】  確認させていただきます。1枚目、第4回の議事次第になります。2つ目といたしまして、資料1、次世代深海探査システム委員会(第3回)の議事録になっております。資料2といたしまして、西山委員から頂いております次世代深海探査システムに関する考察、資料3といたしまして、JAMSTECの発表資料である次世代深海探査システムについて。4枚目、資料4に関しまして、今後の深海探査システムの在り方について(検討用資料)、文科省の資料になっております。資料5が今後のスケジュールです。

参考資料として1、2、3はいつもつけさせております委員の名簿と、参考資料2が運営規則、参考資料3が論点整理案の資料になっております。

足りないもの等ありましたら、御連絡いただきますでしょうか。

また、資料1につきましては、委員の皆様方に先日頂いた御意見は反映させていただいておりますが、万が一、修正等ありましたら、今週をめどに御連絡いただけますでしょうか。よろしくお願いします。

【道田主査】  ありがとうございました。

ということですが、過不足は大丈夫でしょうか。

資料1につきましては前回の議事録案でございますけれども、先ほど、事務局からお話がありましたように、今週中をめどに御連絡をいただければ有り難く存じます。よろしくお願いいたします。

それでは、よろしければ、議題について事務局から、これも御説明をお願いいたします。

【事務局】  議題に関しましては、1枚目の議事次第を御確認ください。3.議題といたしまして(1)今後の深海探査の在り方についてヒアリング、こちらは西山委員とJAMSTECから予定しております。2つ目が「次世代深海探査システムの方向性に関する意見交換」を予定しています。3として「その他」を予定しております。

以上です。

【道田主査】  という御説明を頂いたところですけれども、何かここまでで進め方、その他について御質問等ありますか。

よろしいですか。ありがとうございました。

それでは、早速ですけれども、お忙しい中、資料を用意していただきましたので、西山委員に御説明をお願いしたい。できれば10分ちょっとぐらいでお願いできればと思いますが、よろしくどうぞ、お願いいたします。

【西山委員】  それでは、用意した資料で御説明したいと思います。もともとデュアルユース技術についてのお話をしようと思っていたんですが、前回の議事録によると、深海を含む極限環境における技術が産業にどのように活用されているのか。次世代深海探査システムとして、産業界がどのような技術を期待しているのか、こういう話だったわけです。考えてみると、どういうふうに答えたらいいか、お話ししたらいいか、方向性が見えなかったものですから、勝手に内容を変えさせていただき、「次世代深海探査システムに関する考察」とさせていただきました。

まず深海との環境条件を比較してみました。国際海洋情報センターさんのホームページによると、深海は高圧、低温、暗黒という過酷な環境である、と書いてありました。これはどういうことかということを比較してみました。

私は航空宇宙をやってきたものですから、深海と航空、宇宙、そして右端にはミルスタンダード(MIL-STD)、米国における軍用規格の耐環境性試験の規格を書き、これで比較してみました。

表は全部は埋まっていません。これはきちっと調べなきゃいけないとは思いますけれども、温度は深海では2度(摂氏)から4度、場所によっては1度ぐらいと書いてありました。航空の範囲を考えるときはマイナス60度からプラス50度ぐらい、宇宙になると、これもJAXAさんのホームページを見るとマイナス150度からプラス120度、太陽に当たるところと反対側とでは温度差がこれだけありますと書いてあります。それからミルスタンダード810(MIL-STD-810)によると、これは大体、地上で使う装置を試験するための条件なんですが、マイナス20度からプラス60度。これは動作環境です。非動作のときはマイナス30度からプラス70度です。

これに比べると、深海は温度が安定しています。

それから加速度は、1Gから、どう書けば良いのかよくわからないんですが、地球の重力が1Gで、浮いていますがゼロGということはないと思いますので、1G。航空機だと、人体、つまり戦闘機パイロットは9Gまでです。戦闘機そのものは12Gぐらいまで耐えられるようにつくっています。飛昇体と書いてあるんですが、これはロケットというより、ミサイルなんですが、30Gぐらいまでの耐加速度性能を持っています。それから宇宙ロケットは最近、10Gぐらいだろうと思いますけれども、もうちょっとあるかもしれません。

加速度は過酷ではないですね。速度もそんなに速いことはない。振動・衝撃はちょっとわかりません。結局、圧力が問題です。20から1,200と書いたのは、水深200メートルから1万2,000メートルなので、最大1,200気圧であろうとしました。航空は1気圧からゼロ気圧。宇宙がゼロ気圧。ミルスタンダードの試験では高度4万フィートから7万フィートぐらいですから、これはかなりゼロに近いところまでいきます。

環境要件を比較すると、圧力のところだけが際立って違っていて、ほかの分野と大分違うなというのがわかります。その他として深海は暗黒、宇宙は放射線ということを書きました。

この指標で見ていくとなかなか考えにくいので、次世代探査システムについてどう考えるべきかということを検討してみました。

システムを考えるときに、海洋探査に関する総合的な観点から考えていく必要があります。目標の年ですが、1回目にいつまでにと言われていなかったような気がするので、仮に2030年としました。今、2016年ですから、2020年を目標とするのはちょっと難しいだろうと思いまして、2030年にしました。2025年でもいいですけれども。その段階で世界最先端の統合的な深海探査システムを構築するのだ、こういうようなことを目標として掲げるのではないかと思います。

そのときのミッションは何だろうか、これを整理する必要があります。それを構築していくのにシステム工学的アプローチと書きました。現状を認識して、分析して、課題を抽出して、システム案をつくる。これは我々が航空宇宙でやっているアプローチなのですが、やはりこういうふうにやるのだと思います。

開発スケジュール、コスト、それから期待成果、こういうような整理が必要だと思います。これは皆さんはわかっている話で、釈迦に説法的なところですが、一応、整理してみました。

では現状認識ですが、私は深海システムはよく知りませんので、JAMSTECさんのホームページを見ますと、有人が「しんかい6500」、無人はこの図に示すものがありました。深海探査に関係する研究船だけピックアップしたつもりですが、このページにマリン・ロボットの北極海域と浅海用のMROVも入っていたので、これは該当しないと思いましたが、一応、ホームページに出ているものは全部リストアップしました。

ここで現状のところは、この委員会が始まるときに「しんかい6500」は建造から26年経ち老朽化している。では次はどういうものが必要になるか、これを検討していくのだと思いました。では、ほかのものは一体どうなっているんでしょうかというのが1つの疑問、質問です。

それを絵で描いてみるのが一般にはわかりやすいと思います。横軸には有人システムと無人システム、無人の中身は遠隔操作型と自律型です。支援母船の「よこすか」がシーレベル(Sealevel)のところにいまして、3,000メートルくらいに「ハイパードルフィン」と「うらしま」がいると思います。「かいこう」は更に下まで行けるようですから、この位置で描いているので正しいでしょうか。「かいこう」、「ディープトウ」はこんなふうになっているのかと思います。あと「うらしま」と「しんかい6500」があります。

こういうような絵を見せていただくと、日本の深海探査システムはこんなふうになっているというイメージがわかりやすいと思います。こういう整理が要るんじゃないでしょうか。

では、このシステムで何をやるんですかということですが、観測と採取ということになるんでしょうか。あるいは、まだ何かあるかもしれません。とりあえずブランクにしてあります。観測のところは光学的、可視光のもの、赤外線とか紫外線を使っているのかわかりませんけれども、可視光じゃない領域もあると思います。見るものが海底の地形だとか生物、それから音響で、海底地形を見るのでしょうか。

採取については、地質は当然採取してくるでしょう。「ちきゅう」のようにボーリングするのもありますが、探査機で行って何かとってくる。熱水鉱床とか、地質とか、そういうものを採ってくるのでしょう。そして生物を捕まえてくるんじゃないかなということを勝手に思っています。有人と無人の割りつけなんですが、よくわからないので、全部、丸を書きました。ここのところを有人ではこれをやる、無人ではこれをやる。ここのところが違うんですよと、こういうところが必要なのだということで、ミッションの違いを明らかにする必要があると思っています。

次に技術の話ですが、深海探査システムは有人と無人があり、無人には自律型、遠隔型があって、更に支援母船が必要です。ここに示した技術もJAMSTECさんのホームページに書いてありましたので、有人のものには耐圧殻、浮力剤、マニピュレーター、のぞき窓……。それから無人のところには音響通信装置、ソナー、マルチビーム音響測深器とか燃料電池とかというものが書いてあったので、これを書きました。

このうち、これからの課題はどうなのかということを整理する必要があると思います。それをこんなような表ではどうかなということで、技術分野を示しています。高強度の構造材、それは耐圧殻になります。浮力システム、高強度の浮力材、画像システム、ハイブリッドの推進システム、前のページの技術を整理してみると、こんなことになるのかなというように示す必要があります。これはJAMSTECさんが後で整理していただければ結構かと思います。深海6500メートルまでいきますと、その先については技術的なジャンプが必要だという話がありましたから、今の技術レベルはどうなんでしょうか。

どの技術が有人に適用されるのか、無人に適用されるのか、両方に共通なものなのか。こういうような整理が必要なのではないかと思います。これから研究開発すべき分野を明確にしていくということだろうと思います。

こう考えてくると、次世代深海探査システムをどういうふうに持っていくか。つまり、我が国は深海探査システムで何を狙うんでしょうか。それは海洋、つまり海上、海象、浅海、深海、海底探査における深海探査システムの位置づけというのを整理していただく必要があると思います。それを統合的に考えていく必要があるのではないでしょうか。

それからもう1つ、ここで書くよりも前で書いた方がよかったかもしれませんけれども、国際的海洋探査のリーダーシップを堅持する。私は今、日本は一番ではないかと思っているので、堅持と書きましたけれども、目指すと書くのか、堅持と書くのか、そういうことで目標を明確にする必要があります。

それから国民のコンセンサスがないと、やはりこの種の科学技術研究開発を進めるのは難しいので、コンセンサスを得るためにメリットを明確にする必要があります。それから技術的課題、前のページで御説明したようなことを整理する。それから予算の配分。年度展開が必要ですから、なるべく平準化されるような予算の配分が要るんじゃないかなと思います。

これは前のページで御説明したのと同じ絵に追加してあるんですが、ここで「よこすか」は新しい船が要るんでしょうか。無人システムは新システムが要るんでしょうか、もっと深くするんでしょうか。「うらしま」の新システムはどうするんでしょうか。それから「しんかい6500」の新システムはどうか、こういうようなマッピングの中でどっちの方向に持っていくのかを示す必要があります。一応、深く行くということで下の方向に書いたんですけれども、支援船は横のままだと思います。

ということで、これを統合的にどういうふうに考えるのかということを整理する必要があります。そしてやはり年度展開、これは年度展開の絵にはなっていませんけれども、今、2016年ですから、できたのが1990何年だとか2000年のときにはこれだけかなりそろっていたんじゃないかと思うんですが、いつごろにできてきて、いつまで寿命があるんでしょうか。寿命があるというのは構造的な寿命ではなくて、技術的な寿命です。能力的にいつまで寿命があるんでしょうか。いつまで使うべきものなのか。あるいは改良してもっとアップグレードすれば、ライフが延びるんではないかというのもありますけれども、それをどうするんでしょうか。

それで2020年ぐらいからどのシステムができてきて、これはわざと位置を勝手にずらしてあるんですが、新システムの、「しんかい6500」の次が「しんかい12K」か、1万2,000かということで、書いてみましたけれども、2020年にできるか、25年にできるのかわかりませんけれども、こういう時期。それから「うらしま」の後継機はどうするんですか?うらしまⅡは?ハイパードルフィンⅡ、ディープトウⅡ、あるいは「かいこう」はMk-Ⅳと言っているのでMk-Ⅴはどうするんでしょうか。「よこすか」はよこすかⅡにするんでしょうか?これはただ延命するだけでしょうか?

こういうステップを明確にしていくのがよいのではないか、ここのところの議論をしていただくのがよいと思い、こういう考察を整理してみました。

【道田主査】  ありがとうございました。

開発の力関係の話とか、それから技術、考え方の整理として、1つの考え方について御提案いただき、お話を頂いたと思うんですけれども、今のお話で何か委員の皆様方から御質問等ございますでしょうか。

【中野委員】  全くの門外漢で的外れの質問かもしれませんが、今、拝見したミッション(研究目的)というところに、単純に僕らみたいなのは資源探査というのはどこに入るのかなと思うんですけれども、これはJAMSTECの所掌じゃないからということですか。

【西山委員】  それは私がわかっていないから書いていないだけです。つまり、観測と採取で、資源探査と次のところに書けばいいのかもしれませんし、ここの分類自体が私も人ごとでよくわかっていないので、それこそJAMSTECさんにここは埋めてもらいたいなと思います。

【中野委員】  ありがとうございます。

【道田主査】  今の点は、ここの今、示していた研究目的の表は研究をするために何をするのかという整理の仕方をされている。観測するのか、あるいはとるのかということですから、この先には資源探査があり、あるいは遺伝資源か知りませんけれども、そういった探査があり、開発研究がある、こういうことだと思うんですね。

そのほか、何かありますか。

【山崎委員】  御説明、ありがとうございます。資料の中の14ページ目で、まさに統合的に次世代の深海探査システムを考えることが大切だと私も思っております。その観点で、これはむしろほかの方への御質問かもしれませんけれども「しんかい6500」はかなり老朽化が問題になっているということはお聞きしているのですけれども、そのほかの無人探査機システムに関しては状況や技術的な位置づけがどうなのかという、先ほど、西山先生がおっしゃってくださった疑問に対して今、何かお答えのようなものがあれば、伺えるでしょうか。

【道田主査】  どなたか、JAMSTECの方で、現状について簡単に御説明いただける方はいらっしゃいますか。

【JAMSTEC】私の方からお答えさせていただきます。

他の無人機ですが、「うらしま」も10年以上前にできているものでございまして、特に観測機器関係が古くなってきているというのと、あとは電気系の系統がやはり今、光通信とかその辺がかなり進んできているという、デバイス関係、その辺がかなり従来品に比べて、おくれているというところがあります。「うらしま」なんかはそうなんですけれども、特に「ハイパードルフィン」とか「かいこう」なんかもそういうような電子機器のところ、光のところですとか、例えば光で海底の底からデータを上げるわけなんですけれども、今、カメラなんかも4Kとか8Kとか、そういうようなデータになってきて、データ量が今のハイビジョンの4倍とか、下手すると8倍、16倍と、そのデータをどうやってあげるのかというところなんですけれども、それは光で上げるんですけれども、光の電装システムは陸上の方は結構、多重波長とか光の中でいろんな波長を使っていっぱい上げられるような技術があるんですけれども、そういうのを「しんかい」で適用するにもそういうような変換器とかデバイスとか、そういうような技術がまだ大分おくれているというところで、そういうのを今後、整備していかなきゃいけないのかなというふうに思っています。

【JAMSTEC東理事】  今、先生から御指摘を受けたのは、我々の認識ではファシリティマネジメントという概念で整理しようと思っています。つまり、今後、何か知らないですが、オートマティックに装置がずっと延命するように書かれていますけれども、そういうことは考えていません。

その都度、その都度、多分、先生が言われるように、今から2030年度に何が起こるか、どういうニーズがあるかというのは把握できません、正直申し上げて。よくできて10年だというふうに思っています。その時点、その時点で我々が最もプロプリエター、適切なファシリティはどうあるべきかということを考えていかなきゃいけない。

最近、これは欧米の中でもこういうような考え方、調査船に対しての考え方は広まっているんですけれども、昔は船をつくると30年間、同じようなミッションで走らせました。そういう時代ではなくなっていて、途中で改造だとか下手をすれば廃船も含めて、統合をしていかなきゃいけない。それで最もいい考え、最もいいものをつくっていくということをやらなければいけない。これは決してJAMSTECだけの問題ではなくて、国内全体で考えて、我が国が必要とするものは一体何なのかということをしっかり考えた上でそういうことがなされるべきだというふうに思います。

そういう意味では、これは国のいろんなところが関連してファイシリティマネジメントをしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っています。決してJAMSTECだけの問題ではないと理解しています。

【道田主査】  ありがとうございます。よろしいですか。

そのほかに何かご質問ありますか。

【竹内(真)委員】  今のに関連して、単純な数字をお聞きしたいんですけれども、ファシリティマネジメント的に言うと、例えばこういう探査船は新技術のバリューアップというものが当然、探査だからあると思いますが、それはちょっと除いて、単純に潜り続けるということの機能を維持するという修繕更新費がイニシャルを100とした場合に、例えば30年間でどのぐらいなんでしょうか。それが有人と無人で、それぞれイメージとしてはどんな感じなのか。ちなみに建築で言うと、しゅん工後30年ぐらいで、建築費の0.5~1.0倍ぐらいかかりますけれども、そういうような目安で言うと、大体どんな感じなんですか。

【道田主査】  確固たる数字は多分難しいかと思うんですけれども、大体の感覚でよろしいですね。

【JAMSTEC東理事】  感覚としては、建造費の大体10%が毎年かかるお金だというふうに考えていただければいいと思います。ですから、トータルでこれに対して大体、建造費がこのぐらいかかりましたよねというようなことを考えて、今、数字が出てきませんけれども、10%ぐらいは多分、動かすために。これはフルにちゃんと動かすためにはそのぐらいのお金が必要だというふうに考えていただければいいかと。

これは経年で考えていくと、もちろんこのシステムというのは当然ながら、入れ子になっていますので、新しい古いというのが入れ子になっていますので、グロスで考えたときは大体そのぐらいだというふうにお考えいただければ、それほど間違っていないかと思います。

【竹内(真)委員】  有人と無人で差は全くないと思っていいんでしょうか。

【JAMSTEC東理事】  有人と無人で全く違うということはありません。有人の方が当然、コスト的には高くなります。どのぐらい高くなるかというのとは正確にはちょっと、今、数字としては出せませんけれども、少なくとも2倍、3倍ではなくて、もう少し高いお金が有人にはかかるということです。

というのは、なぜかと言うと、そこには安全という概念が入ってきますので、相当、安全に関して、人間が入ることになりますので、その安全に対するコストというのは結構かかってくるということになるかと思います。

【道田主査】  そのほか、ありますか。

【織田委員】  今頂いた御説明を一般論のレベルで確認させてください。年間のO&Mコスト(Operation and MAIntenance Cost)は、ざっくり言ってCAPEXの10%程度と理解してよろしい

でしょうか。

【JAMSTEC東理事】  大体そのぐらいだなという、1つのあれとしては考えていただければよろしいと思います。

【織田委員】  ありがとうございます。

【道田主査】  幾つか論点が出ていますし、それから西山委員に御提示いただいた整理の考え方の例、これも頂いておりますが、私の理解した範囲だと、次に東さんに御用意していただいている資料が一部、それに対応した議論になっていますので、先にそちらをお伺いして、合わせて議論していった方がいいのかなと思いますので、東さん、準備をしていただいて。

今日、東さんにお願いしているのはこれまで長年、深海系の探査システムを運用されてきたJAMSTECの経験を踏まえて、先ほど来、議論になっているような点も含めてですけれども、今後、どういった方向性みたいなものがJAMSTECのこれまでの経験を踏まえると考えられるのかということを用意していただいておりますので、JAMSTECがどうということではなくて、次世代深海探査システムを考えるに当たって、これまでの経験を生かして、例えばこういうことが考えられるという観点から資料を用意していただいておりますので、それについて御説明をお願いします。

【JAMSTEC東理事】  立ってやらせていただきたいと思います。

では、僕に課された課題というのは、次世代深海システムについてということで、JAMSTEC全体は何を考えているんだということを簡単に述べたいというふうに思います。

まず初めに次世代の深海調査システムの在り方という形でお話をさせていただきたいと思います。目的はここに書いてあるように、海洋フロンティアを開拓し、防災、減災の安全保障と国民生活、社会経済に還元する制度を創出するということ、それから産業界への深海運営への技術波及、平たく言うと新産業の育成だとか振興というものに資するということを目的として、それから国民に対しての理解、リテラシーというものを向上させるんだということです。

考えてみると、我が国というのは先進国の中で最も深い海に接している国だということです。アメリカでもないですし、カナダでもないし、ヨーロッパよりも全然深い。つまり、我々の目の前にはすぐさま9,000メーターの深海があるという。そういう意味では特徴がございます。当然ながら、我々の経済的排他水域の中にはたくさんの深い海が存在するということがあります。

それを踏まえて、我々の海洋の科学ですけれども、どういうふうになっているかと言うと、どちらかと言うと浅海の海洋を理解するというよりも、深い海の海洋を理解するということに特化しております。その意味では先ほど来、お話がありましたようにJAMSTECのサイエンスにおいても、この分野では世界のトップを走っているということです。

未知のフロンティアという考え方であります。深海で何が起こっているのか、どういうものがいるのか、それが地球環境変動だとか、いろんなものにどういうふうに寄与しているのかということを理解したいというふうに思っております。

それからこの2番目にありますですけれども、排他的経済水域の有効性ということで、実は我々の海というのは、日本の海というのは非常に面白いところで、他の先進国に比べても非常に複雑です。あるところではプレートがわき上がり、あるところでは沈み込みというようなところがある。日本というのは最も変動地域だというふうに思っていらっしゃる方はたくさんいると思うんですけれども、実は世界の中で最も安定している、南鳥島なんかがそうですけれども、最も安定している地域を持っているのは我が国です。そういう意味では非常に複雑ないろいろな多様性を持っているのが我が国でありまして、それの中でどういうふうにして、これを有効利用していくのかというのは大きな問題であります。

ここに書いてあるように単にエネルギー、昨今で言えば、ガスハイドレートだとか熱水資源などということを言われますけれども、それ以外にも我が国には伝統的に黒潮、親潮、いろいろなもの、水塊があって、水産においては最も好ましい場所であるということもよく知られた現実であります。

それから昨今では、問題であるCO2を海底に貯留するという新しいタイプのCCSについて海底を使ってやるという。そういう意味では、今までにない海底だとか海底下の空間利用ということにも熱心な国であるということが我が国であります。

だからそういう意味ではいろいろなものがあって、最後にありますけれども、特に海洋の資源だとか海洋生物の多様性、生態系の多様性、地質、地球科学での多様性というのを我々は持っておりますので、そういう意味ではその中でこういうような深海の位置というのは非常に重要なものがあるというふうに理解しております。

それから3番目ですけれども、先ほど来申し上げているように、我が国は排他的経済水域の中に非常に深い空間を持っております。ここに対しては海洋空間の把握及びそこにアクセスするという。これはやはり我々が広い経済水域、世界で6位だというふうにいって、我々は今、これをどんどん広げようとしておるわけですけれども、その一方で、広げるだけじゃなくて、それに対してちゃんと責任を持って、そこに対じをするということを考えると、そこにどうアクセスするかということは我々に必然だというふうに理解をしております。

それから前回の、もう5年前になりますけれども、3.11のときに大きな地震があって大変なことになったわけですけれども、その際に一番津波を起こした一番の原因の場所というのは、実は海底下の7,000メーターにありました。そこに「ちきゅう」が行って掘ったということもあるんですけれども、我々は7,000メーターでの、「ちきゅう」が掘るときに海底地形図のさ細はよくわかっていません。なぜだと言うと、7,000メーターの上から音波を出すと、当然ながら長波長でいきますので、細かい地形はほとんど、ネグレクトされて反射する。一部のところだけを持ってきて、それが平べったいような感じで出ているという状況で、我々、深海の深いところの地形が本当にどうなっているのか。

ここに書きましたけれども、例えば海底の地すべりというのが非常に大きなターゲットになったというふうに思うんですけれども、話題にもなったと思うんですけれども、本当に起こっているのかというのは誰もわからないというのが現状です。今の我々のファシリティで、これを詳しく知ろうというのはなかなか難しいというのが現状であって、そういう意味では国土安全という観点から、我々はこういうファシリティをちゃんと持って維持して、それで調べるということは我々にとっての責務ではないかというふうに理解しています。

そういうような幾つかの、3つぐらい、大きなニーズを持ってきたけれども、そのためにあり方としては、ここに書いてあるように、7,000メーター以深というのが1つのキーワードでありますし、それから効率的な科学調査を可能とするシステムというのが2つ目のキーワードになるかというふうに思っています。

それを具体的にやると、課題としては3つあって、1つはそれを可能にするプラットフォームの構築というのが1つあります。それから、そのプラットフォームにどういうようなセンサー、有効な、そのセンサーというのは当然ながらいろんな課題によって変わっていくものだと思いますけれども、いかに有効なセンサーをそこにちゃんとつけて、そして回収して、又はサンプリングするかというような技術、それからオペレーションもそうですし、先端技術もそうだと思いますけれども、そういうところが2番目にある。

3番目ですけれども、これは少し我々の中で今後必要だろうというふうに思っているのは、AI化の技術であります。これには2つの意味があります。1つはこういうような機械をちゃんと、例えば車で言えばグーグルの車というふうにオートマティックにやることによって、オペレーターの負担を小さくして、もっと有効にこれを使うという考え方と、それから得られた画像です。例えばお魚が見えた。これは今は単なる見えたというデータにしかなっていませんけれども、これをいかに有用な情報に持っていくかという。つまり、これにはリファレンスがあって、それを上手に動かしていくアルゴリズムがあって、それを使っていくという技術が必要になってくると思うんですけれども、そういう意味ではAI化というのをどんどん進めなければいけないというふうに思っております。

それからその進め方に当たってですけれども、JAMSTECの中ではこれに対して3つの原則を今、考えて、議論を始めた。その土俵としてこういうことを考えました。

これは右の箱の中にあるわけですけれども、今までJAMSTECも含めて、我が国というのは先ほど、西山先生から御説明がありましたけれども、世界の中で最も深海に対しての技術、開発も含めて、オペレーションも含めて、そういうノウハウを持っている。そういうものをちゃんとうまく使っていって、それを継承し、進化させる。同時に今いる人材をちゃんと確保して、それをつなげていくというようなことをまず考えなければいけない。

なぜこんなことを言うかと言うと、例えば今、中国がそうですけれども、2030年にフルデプス、有人のをつくりますと言っているんですけれども、我々にすると、とてもじゃないけど、ちょっと怖くて、そういうことはできない。日本的に言うと、ちゃんと積み上げて、しっかりしたものをつくっていくということが我々の今まで持ってきた伝統でもありますので、それに踏まえると、この1番目の問題というのは大変大きな問題だろうというふうに考えます。

2番目ですけれども、この30年間、深海で我が国はたくさんの調査をしてまいりました。一番の誇りは何かと言うと、もちろんその成果もそうなんですけれども、今まで我々は一人の犠牲者も出しておりません。この安全に対する観点というのは非常に日本にとっては1つの財産だというふうに思っていますので、そういう財産をちゃんと引き継ぐということが非常に重要である。

それから3番目ですけれども、もちろんオペレーションに対しての効率的、効果的運用という制度の成果の最大化ということを図りますが、同時にこれは単にサイエンスのためのプラットフォームであってはならないというふうに思っています。それはいかに我が国の海洋産業の振興だとか創出につなげていくかということを常に考えて、こういう問題に対処しなければいけない。

この3つの原則に基づいて我々が考えているのは、ここに書いてあるフェーズという考え方をとろうというふうにしています。今、突然、フルデプスの有人で1万2,000メーター潜れるものをつくってこいと言われても、これは先ほどの我々の言う、きちんとステップ・バイ・ステップで物事を考えて、実践していくというその方針からすると異端なものになります。

したがって、フェーズ1、フェーズ2という形でこれをファシリーズしたいというふうに考えています。フェーズ1の中に、考え方としてはここに書いてありますけれども、従来にはない高度の運動の自在性だとか高速の追跡性だとか、いろんなものがここに書いてあります。それからAIを使ったITC技術を積極的に活用するんだということも書いてございます。

それから我々の今までの培ってきた有人というもののオペレーション、運用、技術開発、それから無人での経験だとか技術開発、そういうものを捨てるんではなくて、同時に上手にうまく運用し、開発を進めていきたいんだというふうに考えてございます。それに基づいて、2つのシステム、プラットフォームを今、考えているわけです。

1つ目は無人機を使ったシステム。これはJAMSTECは非常にこの部分では先進的、世界の中でもトップを走っているというふうに思っているんですけれども、更に機動性の高い無人システムの開発ということと、それから無人の中には先ほど、産業化ということをキーワードにさせていただきますけれども、産業化するときには、例としては車ばかりでは駄目なんですね。やっぱりトラックが必要だったり、ブルドーザーが必要だったり、いろんな多様なものがある。こういうような技術を,無人を使ってまず考えていきたいというふうに思っております。

2番目ですけれども、2番目は有人を使いたい。プラットフォームというよりは、これは先ほど申し上げたとおり、いろんな画像だとか将来必要になるAI化に基づいたいろんなもののデータをとることになる。それをそこにいる研究者が判断をして、この画像の有意性に新たな情報をアドオンして使っていくという。そのためにやっぱり人間がいないと駄目だというふうに思っています。人間がそれを認識して、これは重要だよということを認識する。人間がその場にいて、これはこういうふうにしなきゃいけないよということを指摘して、やっていくということが必要なので、そのために必要なのはやっぱり多様な先進システムというのが重要ですし、それから新たな要素をどんどんどんどんプラットフォームに加え込んで、テストベットとしてこういうものを使って、その場にいる人たちが使い方がどうだというようなことも含めて判断をして、いろいろなものを考えていかなければ進まないだろう。

こういうような2つのプラットフォームと考え方、それから経験を踏まえて、最終的にはここに書いてあるようにケーブルレス、有人の深海調査システムによる全海洋のフルデプス。ここに書いてありますから、パットということを目指していきたいというふうに思っております。

この先というのは、まだ我々、先ほど言ったように20年先はどうなるかわかりませんけれども、この枠の中で捉えたときに、これが10年ぐらいの枠でこういうことを達成していくんだろうなというふうに思っている次第です。

僕はこの委員会の議事録を読ませていただいていますけれども、特に必要性だとか科学系ニーズだと、いろんなことが書いてあるんですけれども、実は技術のところが余りにも議論がされていないというふうに思っています。我々の中では、実は今、必要な開発のものと、それから先ほど、フェーズ2の準備のために必要なものだとかということを考えて、こういうような提案をさせていただいております。

考え方としては、新しい製造だとかつくり方も含めて、それからITC、AIを上手に使うということ。それからイノベーションを使って、なるべく国内のいろんな産業に属する人たちも合わせて、ここのとおり、巻き込んでやっていきたいという、そういう意味では新しい考え方に立って、こういうものを推進していきたいというふうに思っています。

それで、なぜ有人が必要になるかというのが少しあったと思うんですけれども、僕は個人的には、ここに書いてありますけれども、深海に人が行き、探査をするというのはそれほどたくさん時間があるわけではございません。深海というのは我々がまだよくわからないところがたくさんあって、場面場面で非常に、調査をしてみると変化が起きます。こういうような新しい状況に対して対応する際に、やっぱり専門的な知識だとかオペレーションの技術だとかを持っている、そういうような経験に基づいて瞬時に次の行動を適切に判断できるのは、残念ながら、これは無人ではできないです。

無人は今までよくやったところ、よくわかっているところをもう一度、何度もなめるように細かく見るということに対しては適していますが、新しいところに。よく月面のアポロ計画のときに、最初のアストロノートでジョウブジストを入れた方がいいんじゃないかという議論がありました。あれはまさに同じような発想だと思うんですけれども、全く新しい未知なところに入る場合に、人間の能力というのはすばらしいものがあって、何とも言えない、言いにくいんですが、勘だとか今まで持った経験に踏まえた判断能力だとかというのは、やはり人間しかないというふうに思いますので、やっぱりこれは大事にしていかなきゃいけないだろうと思います。

それからもう1つ考えると、深いところ、深いところというのは今回、1つ大きなタスクとしてあるんですけれども、無人のプラットフォームではなかなか通り過ぎてしまい、後になって、「ああ、あそこ、大事だったんだな」というのが何度も経験があるんですけれども、そういうようなところはやはり人が入って、ここは重要、ポイントだなというところを判断するという、そういう能力にはまだ無人の我々の持っている技術ではなかなかそこのところについていけない。

逆に言えば、無人に最終的になるにしても、AIの技術を踏まえて、その経験をしっかりそこのところに落とし込むという意味で、やはり有人の機体というか、そういう機能というか、そういうのがまだまだ十分必要になっているせいではないかなというふうに考えております。

これ、例えばこういう割れ目だとかそういうものに関しても、これはやっぱり陸上でさんざんこういう割れ目、地震で地殻変動が起こったとき、どういう状況になっているかという経験を踏まえた人がこういうものを調査しないと、なかなかわからない。これがあることによって、ここに書いてありますけれども、東北地震の後、海底が非常に引っ張られてテンションの状態になったということはだんだんわかってくるわけですけれども、こういうのもやはり、まだまだ人の手を借りないと正確な、又は効率的な成果の最大化を上げるための調査というのはなかなか難しいのかなというふうに考えています。

【道田主査】  ありがとうございました。

御説明いただきまして、皆さんから御質問を頂く前に、最初に西山先生に話を振りたくて、というのは先ほど、先生に示していただいた整理の考え方、幾つかありますけれども、そのうちの幾つかのポイントについては今の東さんの中に幾つか出てきたかと思うんです。今の東さんの話をお伺いになった上で、全体的な方向性等に関して、まず御意見あるいは御質問でも結構ですけれども、ありましたら、まず御発言をお願いして、その後、皆さんに質問を頂きたいと思います。

いかがでしょうか、西山さん。

どうもありがとうございました。

基本的には整理の仕方、考え方は同じ方向だと私も思いますが、フェーズ1、フェーズ2、こういうような考え方で段階的にいく。このときにフェーズ1のこのシステムは何年ぐらいにできるんですというタイムラインがあるとわかりやすいと思います。それで10年後、大体、スパン10年で考えていただいていいということですけれど、私も2030年と書きましたけれども、2025年にしようかなと思ったんですが、2025年だと9年しかないので、10年より短いです。20年まではいかないまでもと思い、一応、2030年としました。今、2016年ですから、それとこの委員会が終わって予算要求して、実際にプログラムがスタートする場合、あと一、二年かかってしまうので、なかなか10年は厳しいのかなと思いました。

【JAMSTEC東理事】  おっしゃるとおりですね。考えているのはフェーズ1で大体、短くて8年、長くてやっぱり10年ちょっと。それから、その後のフェーズ。ただし、フェーズ2もフェーズ1の後半には予想なんていうのは互い違いで入っていかなきゃいけないので、そういうふうにお考えいただいて。

【西山委員】  フェーズ1、フェーズ2というタイムラインを書いていただいて、この時点ではこれが出ます、次はこれになりますと、何か二、三段階出てきますというのがわかるといいかなと思います。

【JAMSTEC東理事】  西山委員から先ほど、プレゼンがありましたけれども、ああいう図を今からつくらなきゃいけないなというふうに思います。フェーズ1の中である要素はここまで、それからフェーズ2に移行するんだ。それは今後検討させていただいて。

今、申し上げたいのは、フェーズ1、フェーズ2というのはフェーズの考え方をこの委員会で承認をしていただくというのがまず一番の大きなポイントかなというふうに思っています。

【西山委員】  それからもう1つは、これで有人システムの有用性の説明。例えば無人に比べて2倍の行動範囲だとか、直接、サンプリングの柔軟性とかいろいろあると思うんですが、例えばその項目を無人の有索のとリモートのと、それから有人と比較して、観測範囲が何メートルが何メートルとか何倍とか、そういう数値的な比較をしていただけると、ああそうだな、やっぱり有人にしないといかんなと、こういう……

【JAMSTEC東理事】  それは先ほど、西山委員から出していただいた、ああいうテーブルにもう1回落とし込んで、進められれば。ちょっと言葉だけでしたので、そこは不透明。

どうもありがとうございます。

【西山委員】  私は表があるのが一番わかりやすいと思っているものですから、一応、そういうことで。

【道田主査】  ありがとうございました。

大変いいインタラクションの議論ができたかなと思いますので、ありがとうございます。

それでは、委員の先生方から今の東さんのお話に対して、何かご質問あるいは御意見等がございますか。

【藤井委員】  ありがとうございます。

今のフェーズ1、フェーズ2の絵でいいんですけれども、ちょっと私がよくわからなかったのは、2つの意味でわからなかったです。AIの話が出てきたんですが、2つの意味で、今の、今のというのは20年前と違って現代のAIの議論は、膨大なコンピュテーションのリソースとデータを前提にして成立しているわけですね。

そうすると、有人のシステムでそれをやろうとすると、非常に速い通信が必要になると思いますけれども、これは現在の有人システムの技術でいくと、それは到底無理だと思うんですね。それが1点です。

それと人の認識が必要なんだけれども、今のAIの前提は人の認識にかかわらず、ともかく集められるだけデータを集めて、その中で意味があるものを出してくるのが今のAIのある種の特徴になっているわけですよね。なので、やるなら、ネットの空間にある海洋のデータを全部集めて、意味のあるようなデータと合致するような映像を捕まえてくるという話はわかるけれども、それは人が介在しないですよね。

そういう意味で2つの考え方の意味で、私が思ったのは、有人潜水船のシステムをやるときにAIが必要だというのは論理的に無理があるかな。逆に言うと、AIを活用するというお話であれば、むしろ無人のシステムで、要するにケーブルもつながっているわけですから、あとは船との間でどれくらい速い回線が用意できるかということだと思いますけれども、そういう意味で、あるいは船にどれだけの容量のデータを持っていけるかという話だと思いますけれども、そういうところで勝負した方がいいのかなという気がいたしましたので、その辺、どういう整理に変えていくのか教えていただけないでしょうか

【JAMSTEC東理事】  ありがとうございます。

御指摘の無人を使ったAI化、これは非常に魅力あるところで、実際に最初のときに皆さん、考えていたのは、多分、そこを一生懸命考えていました。我々もそれを考えていました。

一方で、サイエンスという観点からすると、それはある意味じゃ、僕の言葉で先ほど、ちょっと説明が足りなかったかもしれませんが、グーグルの自動運転をする車という発想に近いかと思います。当然、画像データがあって、これまでの運転のいろいろなノウハウがあって、それが合致して、効率的にそれを動かしていくという考え方。これをやれば、オペレーションに対する負担が非常に小さくなりますので、もしかしたら一人の人間が1台だけではなくて、複数台の無人機を運用するということができるようになるのではないかという期待があります。

それは先生がおっしゃったとおりだと思います。

もう一方で、我々、実は海底でたくさんのお魚を見て、海底のいろいろな地質を見て、地形を見ているわけです。これは今までは、例えばうちで言えば、日本というのはこの画像を一番所持している、持っている国なんです。例えば沖縄にゴーダックというセンターがあるんですけれども、あそこにはありとあらゆる深海で撮った、つまり今まで「しんかい6500」だとかいろいろなROVを使って得たデータというのは、あそこはいっぱい持っているんですね。そういうものを、グーグルもネコではないですけれども、転用した。

つまり、我々は360度フルビジョンでものを見ているんですけれども、人間はその中でも120度ぐらいしかものを見ることはできません。例えば、後ろからある種の生物が近寄ってきたということに対して見ることはできませんが、360度の高画質のカメラを撮ることによって、記録をとることによって、それをまた、その場では確かに通信の問題があってなかなか難しいんですけれども、船上に上がった後だとか、いろいろなところで実はそれを認識することはできるか。それで、更にいいのは何匹いたのとか、種の同定ですね。そういうようなこともできるようになるかもしれません。種の同定をするときに何が問題かと言うと、これは生物学者が出てこないとわからないですけれども、ポイントがあるんですね。どこを見れば、その種の。それはそれぞれのものによって違うので、それはやっぱり人間がいて、どこに。逆に言えば、洋上に上がって陸上に上がって、生物学者は何を見ているのかというようなことをまた。要するにディープラニングという発想を入れ込むことによってポイントは何かということを計算、アナログリズムだからとることができるかという。そういうものを使うことによって、より豊富な。今まで点であったデータが、例えばこの地域でこの時期にこれだけの種のものがこれだけいるぞというようなものを含めてデータになれば、情報になってくる。

【藤井委員】  そのとおりだと思うんですけれども、だからまさにそれはオフラインであればやるし、無人機でともかく画像をどんどん撮ってきて、それはそれをどこかにため込めるだけため込んで、それでやればいいということなので、必ずしも有人のシステムがそれにどうしても必要だという話にならないんじゃないかという。あるいはロジックとして、なかなか有人が主張する強いロジックにはちょっとならないんじゃないかなという、何と言うか懸念というか、ということなんですよ。

【JAMSTEC東理事】  できればですけれども、船内にいる生物学者にどこを見ているのかというようなものを付加させることによって、そういうデータも非常に重要だというふうに思っていますので。

【藤井委員】  それはもちろんそうですね。

【JAMSTEC東理事】  それはもちろんそうだと思うんですが、データのとれる、データの量からすれば、無人システムの方が圧倒的に多いので、むしろ有人でどこをどう見ているかというデータそのものを使うということであればわかると思うんですけれども、観察者がどういうところを見ているかというものを、そのデータを使って、逆に言うと画像の解析にそれを生かすという話であれば面白いと思うんですよね。

【藤井委員】  得てしてそうなんですけれども、行っちゃうんですよね。通り過ぎてしまう。本当は面白いんだけれども。それは中に入っている生物学者だとか、そういう人たちがちゃんとしっかり見るというようなことがあって、逆に言えば、いろんなセンサーをそのときに使えるというようなことも。

そういうようなものも含めて、情報としてどんどんどんどん付加させていければ、更にいいものになるんじゃないか。これは夢ですけれども、そういうようなことも考えている。

【道田主査】  ありがとうございます。

そのほか。

【浦委員】  今、東さんの有人が大切だということで、有人じゃなきゃできないということを聞いて、これはよくわかる。それで1つ重要なのは機動性なんですよね。これはここにも書いてあるんですけれども、有人潜水機というのはケーブルがついていないから機動力がある。ROVも深くなっていくと、ケーブルがあるから機動力がなくなってしまう。同じものは見ていても、すぐに見にいけるかどうかわからない。

この間、高井さんが、この議事録の20ページに書いてありますが、これは確実に言えることですが、ないんです。何がないと、有人潜水でしかなし遂げられない、わかりやすい研究例なんかないんです、こう言っている。

しかし、それは違うんです。何が違うかと言うと、機動力がないかで、彼がこの間言っていたインド洋での1回だけの潜航というのは、そこに有人潜水船の機動力がある。そうすると、そのときにもうその次はコストパフォーマンスの話になっていて、浅いところならば十分、コストパフォーマンスが機動性にあるんだけれども、深いところだとどうだろう。機動性が必ずしもコストパフォーマンスが成り立たないということでは、そこのところのトレードオフをよく考えて、お金を考えて、使える資金、投入できる資金を考えなければ、決して意味がない。一般的な情緒論でいいんですという形で話をしていたんですね。

それから先ほど、ROVが見過ごすことがあるんです。見過ごしている人が悪いんです。それは緊張感なく、ただ漫然と画面を見ているんじゃない。有人潜水船に乗っていると緊張感が生まれて、先ほど言われたように緊張感が薄い。それを何か勘違いしているんじゃないかと思うんですね。

それからもう1つは、機動性の問題は申しましたが、ROV、深いROVは機動性がありません。例えば「かいこう」でも1万メートル下ろしたときには、下ろしたときの周り250メートルしか観察できないんです。一旦、また上に上げて位置を変えなければならない。そういうオペレーションをやっています。ですから、ROVが何かできるかという、そこもまた問題になってくる。深くなるとROVがなくなって問題になる。

そういったことを総合的によく理解して、いいんだ、いいんだと言うんじゃなくて、きちんと今、表を見せていただいたんですけれども、この表に対して、その表示と理解。おまけに今、JAMSTECから資料が出てきたと言っているけれども、インターナショナルはどうなっているのか。インターナショナルAUVとインターナショナルROVはどうなっているのということをきちんとサーベイしないで、2030年の議論をすることはナンセンスだと思うんですね。

そこのサーベイは非常に重要で、それでお金がどれだけあって、どうやっていくかということが、こういうことを考える1つの務めではないかというふうに思うんです。

それで前々回、私が質問した今の機動性の問題なんですけれども、UROVについてお聞きしたんですが、そのことに関してお答えがありません。UROVというのは1990年ごろからJAMSTECがつくっている。そのことは、要するにケーブルは太いケーブルというものは深海では使いにくい、機動性がないので、細径ケーブルにしようというのがJAMSTECのアイデアです。

これは前回も申し上げたんですが、アメリカのウッズホールがネレウスというのをつくって、それで1万1,000メートルに行く、今から5年前です。5月28日か何かで「かいこう」が潰れた前の日の日付か何かで、そういうシステムが開発された。

しかし、これはJAMSTECが先行してやっていたことで、どうしてそれがウインテクノロジーのライン上に乗っていないんでしょうか。議論もされていない。これは非常に不思議なことだと思うんです。

ネレウスシステムはいろいろ確かに問題もあります。実際、ケルマディックで1年前に沈没しています。それの理由は、ドルフィン3K、ここで技術的な細かい話をしてもしようがないんですが、JAMSTECがドルフィン3Kをつくろうとしたときに、今から30年ぐらい前ですけれども、大型のセラミックボールをシンタクチックフォームに埋め込んで高い浮力を得ることを考えて複合浮力体を開発しよ うとしました。しかし、それは失敗しました。これはJAMSTECの部分ですけれど も、それはやめました。

その後、ウッズホールは似たようなものをネレウスに入れて、セラミックス ボールで何とかやれば、軽い浮力体ができるんだということで、僕は何度もそれ は本当に大丈夫と言ったんだけれども、担当者は大丈夫と言ったけれども、やっ ぱりそこが潰れて、多分ですが、ネレウスは沈んだんです。

そういった技術というのは浮力体の技術なので、浮力体の技術は今、非常によくなっている。中国でも1万メートル級の0.6の浮力体がつくられている。大学でつくる。そういうふうな技術的なものがあるのに、そういった歴史をきちんと踏まえないで、技術の議論をしないで、ただ単にこれがいいんですとか、こうすれば発展ですとか、そういう議論をしているのは極めてナンセンスじゃないでしょうか。

【道田主査】  御指摘いただきましたけれども、先ほどの機動性の話について、一部は先ほどの東さんの話が出てきたような気がしますが、今、特に御指摘のあったUROVのことについて何かお答えありますでしょうか。

【JAMSTEC田中センター長】UROV、細径ケーブルを利用したものということ、ここを特記してはいないんですけれども、我々、非常に重要なものだと思っていますし、例えば、これは無人機ではないんですけれども、つい3年ほど前に「しんかい6500」がカリブ海で潜ったときには、細径で船から「しんかい」につなげながら、実況中継をしたというふうなこともあって、細径が非常に最近、強化されているということで、信頼されているし、これは例えば「かいこう」のケーブルのその先に様々な軽いAUV、小さなAUVをつなげれば、非常にそれは機動的になるということについては浦先生、御指摘のとおりだろうと思っております。

ただ、どれほど大きなパワーがある力が出せるのかということはございますけれども、非常に重要な技術だろうと思っております。浦先生がネレウスに対して、非常に注目されていることは我々も理解しておりますし、我々も細径ケーブル、この進展に対しては非常に興味がございます。

【浦委員】  しかしながら申し上げたいのは、プラットフォームのそういった技術のある意味では先端的な技術のディテール、あるいは方向性ということを示さないで議論していてもしようがないんでということを言っているんです。

【JAMSTEC東理事】  技術に関しては、やはりしっかりと議論を踏まえないといけないだろうというふうに思います。

この委員会でそれが最も適当なのかというのは少し考えなければいけないというふうに思っております。

この委員会と今、この時期というのをいろいろ考えて、最も適切な対応をしていただければよろしいかと思います。我々も技術に関しては話をきちんと詰めて、進めたいなというふうに思っています。

【道田主査】  浦先生御指摘の諸外国の動向も踏まえてということがありましたけれども、それについてはちょっと前に何か1回、議論を仕掛けたんですね。仕掛けたんですけれども、そのままになっています。ですので、それについては可能な範囲で必要な情報をとって議論のベースにするべきかなというふうに私も思います。

それから今、浦先生御指摘の中で、浅いところについてはある程度、有意性もあるけれどもというふうな、どういうところの関係があるんだということがございましたが、その点については先ほどの東さんの考え方については入っていないかと思うんですよね。そういうことですよね。ですので、もちろん技術的に詰めるべきことはたくさんあるような気がいたしますけれども、その点については基本的な方向はそんなに違っていないかなというふうな気持ちがいたします。

そのほか、何かありますか。

中野委員がそろそろ退席されるということなので、退席される前に何かおっしゃりたいことがあったら、是非。

【中野委員】  西山先生の12ページのところに、国際的海洋探査のリーダーシップの堅持というのがありまして、これは大賛成です。ただ、この実態が何かと言うと、やっぱり技術の維持というのが入っているんじゃないかなと思います。技術の堅持というか、そういうところが含まれていることが極めて重要なことじゃないかなと思うんですね。

それと、やはり西山先生のお話に関連してなんですが、参考資料にDARPAがついてきたら、これが気になってしようがないんですけれども、DARPAの参考資料のところ、この朝日新聞科学の扉というのが最後のページについていますが、ここの一番左の日本も手法導入というところに、DARPAは日本と異なりうんぬんというのがありますが、これは先ほど、ちらっとおっしゃったデュアルユースの考えだろうと思います。デュアルユースの考えというのは日本は本当に定着していないし、まるでデュアルユースが悪いことのように捉えられています。そこだけちらっと申し上げたいんですが、最後の今後の深海システムの在り方について(検討用資料)文科省というのがありますが、この7ページに留意事項、国民の理解増進というところに、まずはデュアルというのは何ぞやということについて触れておいた方がいいのではないでしょうか。

このページは、僕も宇宙の方に関わっていて、だんだんここでの話の議論の内容が宇宙に似てきたなというか、そっくりとは言いませんけれども、似てきたなという感じがします。非常に近いなと感じるようになりました。そして、技術的なことに関しては宇宙における有人と同じパターンになってきていると思います。

僕は、これは安全保障の問題は必ず出てきて、宇宙というのは技術を進めていく。船内でリーダーシップを握れるような技術を持つこと自体が静かな抑止力なんだ。これはやっていること自体が十分な抑止力であり、安全保障なんです。

その意味では先ほどのDARPAの説明とはやはり違い、日本型パターンがちゃんとあるんではないかと思います。

以上です。

【道田主査】  ありがとうございました。

今、御指摘の点については後ほど、資料4の御説明を議論するときにもう一度、先生はいらっしゃらないところで議論して申し訳ないですけれども、踏まえて議論したい。

もとの議題、先ほどの御発表の話に戻りますけれども、浦委員御指摘のとおり、確かに基本的な要素技術、もちろん東さんがおっしゃっている細かいところまで、ここの場で議論できるような状況でもないし、なかなかそういう意味での、私も含めてですけれども、詳細な技術をこの場で検討するということにはなかなかならないかもしれないですけれども、方向性の検討に必要な基本的な要素技術の現状とか、それから向かっている方向とか国際的動向も含めて、そういったことについては若干、情報を今までよりも付加する必要があるのかなという気は確かにいたしますので、その点、今日はそういう資料が出ないんですけれども、今、まとめに向けた議論の中で、可能な範囲で肉づけをしていければいいかなというふうに思いますので、関係の方々、浦先生も含めてですけれども、その点につき、御協力をいただければなと思います。よろしくお願いいたします。

議論がかなり進んでいますが、そのほか、何かほかの観点で結構ですので、委員の皆様方から何か。

竹内先生、どうぞ。

【竹内(章)委員】  先ほどのページ、開発の進め方というページの真ん中やや下ぐらいで、考え方の中で、無人機、有人潜水船の同時運用技術の開発というのがありましたけれども、前回のJAMSTECさんの説明で、深海探査というのは個人プレーじゃなくてチームプレーで、相撲みたいなものじゃなくてサッカーとか野球みたいなものだというような説明があって、妙に定性的には納得をしたんですけれども、無人、有人が同時に群として行くというと、何が単独で行くよりもわかるのかということを1つか2つぐらい、わかりやすく言っていただくと。別な機会に別に行くとか、無人だけで行くとかじゃなくて、チームプレーで行くと、何がわかるのか。感覚的には何となくすごくわかるんですけれども、専門家的に、例えばチームプレーだとこんなことができるということを教えていただければと思います。

【道田主査】  どなたか端的な事例、簡単なもので結構で。

【JAMSTEC】  私の方から。昨年度ですけれども、同時運用というのを今、AUVの「うらしま」をインド洋に派遣しまして、同時搭載していっております。そのときに何をやったかといいますと「うらしま」はやはりAUVですので、広域に海底を直上的に観測して、いろんなデータをとってきます。そのときに、例えば熱水のプルームがこういうところで見えているんだというようなところは、ぼやっとしかわからないんです、やっぱり画像でこう。

そこで、わかった、広域に調べた「うらしま」のデータを使って、そのポイントに有人潜水船を潜らせて、実際に本当に熱水があるのか、新たな熱水が発見できるのか、そういうような、いわゆる同時運用で複合的な効果としては、1回の航海で同時に確証まで得られる。広域でそういうような探査ができるというところが今回、実際にやってございます。

【道田主査】  今のポイントは、何回か藤井先生から御指摘いただいているバディシステムにも通じるんじゃないかという気もしますが、東さんとかはこの委員会にずっと出ておられるわけじゃないので議論を御承知でないかもしれませんけれども、運用している状況を別の視点から見るという、そういう能力も必要なんだという御指摘を藤井委員から何回か頂いておりますので、そういった観点も少し加味していただくといいかなというふうに。

藤井先生、この点、ありますか。

【藤井委員】  今日もお話で出てきましたけれども、やっぱり広く国民から理解を得るとかいうふうなことまで考えると、どういうオペレーションをどういう状況でやっているのかという映像を伝えるというのは非常に重要で、これは繰り返しになりますけれども、この委員会で。

そういう映像というのはなかなか実はないんですよね。なので、やっぱり2つのシステムを同時に展開できるというのは非常に重要で、例えばROV系が作業している状況を「うらしま」ではなかなかしんどいとは思いますけれども、違うビークルで外から何をしているかが見えるというふうな状況をつくるということは、非常にその後のまさにその映像をどう使うかという観点からも重要なことだということで、そういうふうなバディシステムでいくのがいいのではないかということを繰り返し申し上げているということです。

【道田主査】  そのほか何か。

【織田委員】  織田でございます。いろいろ御説明を頂きありがとうございます。前回、この委員会で広い議論をすることは望ましいという御確認を頂きました。前回も申し上げましたが、残念ながらまだ聞けていない部分があるというのが正直な感想でございまして、文科省さんの説明の前ではありますけれども、意見を述べさせていただきます。

今日の東さんのお話は大変重要でした。ただし、先ほど御説明いただいたファシリティマネジメントは、必要な道具に関する重要なお話で、最新のハードやソフトを含むお話でした。例えばこれを縦軸だとしますと、何のために何を目指すのかという目的とテーマが横軸にあるはずです。個別テーマによって目標が異なる訳ですが、何をするのかという横軸があって、それを縦軸と合わせて達成するには、どうすれば良いか、何が必要なのかという話になると思うのですが、残念ながら、そのような話がまだ聞けていないような気がします。

例えば、自動運転では、横軸に「多くの車を同時に無人で安全に走らせる」というテーマがあり、縦軸にはそれを実現するための技術や開発体制という課題があるので、ニーズドリブンで必要な技術を洗い出すというマッピングを行って、それらを開発して実現を目指すのだと思います。

海洋分野でも同じようなアプローチが必要なのではないかという気がしています。先ほど、東さんの話に、サイエンスのみならず、産業化という視点がありました。産業化を目指すという視点で海底熱水鉱床を捉えれば、例えば、世界一品質の優れた海底熱水鉱床を発見するということを目的にした場合、それを効率的に発見するための道具や体制をどうしたら構築できるのかという議論に多分なるのだろうと思います。

それと、私個人としては、有人か無人かという議論には違和感があります。それはテーマや目的によっては、有人と無人を統合的に組み合わせた方が、成果の最大化や効率化を狙えるはずなので、有人か無人かとか、深海専用の道具か否かという二者択一的な議論は、あり得ないような気がしていまして、運用は目的に合わせて柔軟に行うべきだろうと思います。

例えば、世界一価値の高い海底熱水鉱床を発見したいと思ったら、小型AUVを安価に多数作って、世界の複数海域にばらまくみたいなことを開発課題にしないと、世界一を実現することは難しいかもしれません。それである程度、良さそうな鉱床が発見できれば、有人の潜水艇が潜って確認し、そのあとの本格的資源探査はJOGMECにつなぐというような協調体制が必要だと思います。

それと、有人深海艇が年間で潜れる回数には限度がありますから、この先10年、20年と運用していく中では、例えば、AUVが発見した複数のTarget候補がでてくれば、HOVはその中の有望なものを調査してしっかりと押さえるというような運用のやり方も出てくるのでないかと思います。したがって、有人と無人をいかに組み合わせて、世界最先端の効率的なチームを作るのかという議論や、何を目指してテーマに取り組むのかというビジョンに関して、細かい話ではなく、全体として議論できると良いなと思っております。

それからあと、宇宙と海洋は似ている面があるという話も出てきていますが、私は、宇宙開発と海洋開発には違う面もあると思っています。現在までの日本の宇宙開発は、一つの目的で一回飛ばす方式で、スぺースシャトルのような繰り返し利用はまだ日本ではしていませんが、海洋開発は一つの道具を20年間以上、繰り返し使うという話なので、宇宙の様に一つの道具で何をしますかという議論だけでは駄目で、長期間の全体像が見えてこないと、この道具でいかに多くの異なる用途に使えるかという議論にならないし、有人と無人を組み合わせていかに良いチームが編成できるかという議論にも発展しないような気がします。もしそのような話が聞けるのであれば大変有り難いと思います。少し長くなりました。

【道田主査】  ありがとうございます。

今、御指摘の点は御指摘のとおりなんです。それで先ほどの東さんの中にも、目的と1対1で整理されているわけではないですが、目的で示されていて、それに対してどのようなシステムやコースを考えるのかという観点のお話を頂いているところなんです。

それで無人か有人かという議論に固執しているつもりはなくて、分けられているのは私の理解ですと、無人機、有人機でそれぞれ技術的要素、オペレーションも含めてですけれども、若干、性格が異なるということが1点と、それから先ほど来示されているように、それぞれ得意分野、不得意の分野がそれぞれあるので、結果はやっぱり組み合わせにならざるを得ないんですよね。おっしゃるとおりなんです。

ただ、どう組み合わせるのかという議論をするのに、技術的な検討あるいは目的が何なのかということを議論した上でいきましょうということで、先日来の話になっている、こういうことを御理解いただいた上で、もうちょっと技術的に大事な要素技術のところが詰められていないんじゃないかという浦先生の御指摘もあるところではありますけれども、今日頂いたお話の次の文科省で一応、頭の整理をたたき台的につくっていただいた資料がございまして、これは目的別にどういう組合せでいくのかという資料に、完璧ではないかと思いますけれども、つくっていただいておりますので、差し支えなければ、これを先に説明をしていただいた上で、今の織田委員の御指摘も踏まえて、議論を進めていきたいと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

それでは、よろしければ、ハヤシ課長に御説明いただけるんでしょうか。

資料4に基づいて、検討用資料とあるテーマについて御説明をお願いいたします。

【文科省林課長】  それでは、資料4の「今後の深海探査システムの在り方について(検討用資料)」というものを説明いたします。

これはもともと最初にお示ししていた論点整理案というのがありますけれども、論点整理案でも重視しているのは今後、どういうニーズがあって、それに対して我々のシステムはどういうふうに構築していくべきか、それが主要な論点だと思いますので、そういうことについてどういうふうに我々、まとめていったらいいか。それをまず検討用のものということでつくらせていただきました。

1枚めくっていきますと、2ページ目に、まず有人と無人の特徴について。どういうシステムをつくるのかという前提としての、それぞれの装置がどういう特徴を持っているのかというようなことを簡単にまとめたものでございます。

有人につきましては、今、議論がありましたけれども、ケーブルとつながっていない。そういうことから機動性が高いということでございます。あとマニピュレーター等を持っていますので、海底面で無人のROVに比べますと、重たい作業はできませんけれども、軽作業やサンプリングというのが可能だということ。あるいは深海現場で人が直接観察をする、空間認識や瞬時の状況判断にすぐれているということです。

この辺はこれまでも議論があったところですけれども、やっぱりカメラを通して見るものと人の目で直接見るものとまだまだ違いがあるだろうというのが私の一般的な認識なのかなということで、こういうものを有人のメリットの方に入れております。

一方、デメリットというのもございます。特に最後に書いてありますように、有人であるが故に安全性を重視しなければいけない。それはすなわち製造コストあるいは運航コスト、そういうものにプラスアルファになってくる。これは浦先生の方からもコメントがございましたけれども、運航に当たっては「しんかい6500」、有人機の場合は1日600万円ぐらい、「かいこう」の場合は480万円ぐらい、この辺が目安になっているということで、2割くらいですか、「しんかい6500」の方が高い。あと6,500メートル以深への技術というのが未確率である、そんなようなことでございます。

技術的課題としては、メリットを生かすような技術あるいはデメリットを補っていくような技術、こういうのがあると思いますけれども、メリットである人の目を使ってというところで、もう少しフルビジョンかとか、そういうような技術要素があると思いますし、機動性が高いのをより機動性を高くしていく、そういう部分があると思います。あるいは6,500以深の技術が未確立という観点から、浮力剤や耐圧殻の大深度化等の技術開発という技術的な課題というのがあるんだろうということでございます。

真ん中が無人探査機でございますけれども、これはケーブルを通じて、電力供給等によって長時間の探査が実施できますし、また、大規模な作業が海底下でできる。あと、光ファイバー等を通じて映像やデータがリアルタイムで母船に転送できる。これはAUVと違うところなんですけれども、そういうことで船上のたくさんの研究者、技術者で情報共有できる。

デメリットは先ほどもちょっとありましたが、やっぱり探査範囲が狭いだろう。大深度化していくとケーブルの負担というのが当然してくるというふうなこと。あるいは有人との裏表の関係で、カメラを通じた観察ということでは、やっぱり瞬時の判断では有人に劣るところがあるんだろうということで、技術的な課題としてはカメラの性能を上げていくであるとか、やはりケーブルとか機体の軽量等と、そういったものを開発して、操縦性を更に機動化していく、こういった課題があるだろうと思っています。

一番下がAUVになります。自律的に動くということですけれども、自律的に自動走行で長時間、かつ広範囲にいろんなデータを取得できるということ。ただ、デメリットとしては下に書いてありますように、やはり映像データとか海底下の作業にはいろんな制限があるだろうということと、リアルタイムに情報取得はできない。またこれも大水深における技術というのはまだまだ不十分なところがございます。ただ、無人でありますから有人に比べるとハードルというか、コスト的なハードルかもしれませんけれども、若干低いのかな、そういうことは思っております。

技術的な課題は運動性性能の向上、バッテリーとかを上げて、長い時間いられるようにするであるとか、大深度化をするのであれば浮力剤とか耐圧容器、こういったような技術的な課題があるだろうということで、これが一応、有人、無人のそれぞれの特徴をまとめてみたということでございます。

3ページ目にいきますと、今後の深海探査においてどういうニーズがあるのかという例を掲げています。ニーズと言っても一般的な生物調査をしたり、地質、地形調査をしたり、そういうのはあるんですけれども、なるべくそうじゃないのをここにピックアップできたらなと思って、少し書いたものでございます。

水深によって3つほどに分けているのは、3,000メートル程度であると、ここは具体的に産業活動、特に資源関係であればいろんな装置を使って、いろんな作業がされているような段階で、したがって、そのニーズもちょっと違う部分があるだろうし、使える技術というのもかなり民間ベースの技術が使える部分なんだということで、一応、3,000メートルのところは分けています。

3,000から下になると、大体、ニーズ的には科学的なニーズなのかなと思っているのと、あと更に7,000メートルより下になると、今、日本では7,000メートルより下に行くアクセス能力を持っていませんので、そこで具体的にどういうニーズがあるのかというのを見るために7,000メートルで分けているところでございます。

これも浦先生から質問がありました2003年に「かいこう」が子機を流したときに、なぜ7,000メートルにとめたのかということでございますけれども、やはりそういった運転オペレーションをもう少し経験を積まなきゃいけない、こういったような反省もございまして、費用対効果の問題もあるので、まずは6500と同等の7,000メートルまでとどめて、いろんな運用技術をきちんと蓄積するということで、当時の判断として7,000メートルまで来た、こういった経緯がございます。

ただ、それから10年以上たっていますので、果たしてこれからも7,000メートル以下には行けなくいいのか、こういった議論というのはあると思っています。

そして具体的なニーズですけれども、3,000メートルまでについては少し具体的に書いてあるのは、最近、海洋のガバナンスの議論がどんどん出てきています。そういったガバナンスの対応のために生物の生態系、環境評価、こういった調査研究というのが特に出てくるだろうというふうに思っています。そういった生態系とか生物多様性の問題になると、やはり海底面付近を効率的に探し回って試料もとってこられる、こういった装置も必要になると思いますし、モニタリングなどの装置なんかも置いて長期的に展開する。あるいは物理、化学、生物データを効率的に取得する、こういったニーズというのはこれからどんどん出てくるのかなと思っています。

あるいは3,000メートルまでぐらいであると、海底資源の話も産業化という視点、視野も入れながら、どんどん活動があるだろう。海底資源の件で言いますと、今、SIPなんかでもいろいろと開発が進んでおりますけれども、とにかくAUVを使って網羅的に探査して、絞り込みをする、と、そういうニーズと、あとそういうもので絞り込めれば、本当に実際、どうなのか。重たいサンプル等を持ってくる必要があると思いますので、そういったことも含めて試料の採取なんかもできるだろう。

あとは海底地震観測システムの敷設と。これは3,000メートルだけではなくて、当然、深いところも含めて、このニーズというのがあると思いますし、この場の議論でも7,000メートル以下に行けなくて困っているというような議論もあったかと思っております。あと3,000メートルから7,000メートルの域については、ちょっと具体的なというよりも、一般的に生物生態系多様性、そういったものや地質、地形調査、こういったものというのが学術的なニーズとしてはあるんだろうな。

ただ、ちょっと違うのは深海域における地質、地形調査のところで最後に書いてありますけれども、海溝型地震発生時の状況調査、これは今も行っていますけれども、「6500」で行ったり「かいこう」で行ったりしていますけれども、何か地震があったときに、実際、何が起こっているのかと見に行くということは、今後もニーズとしてはあるんだろうなということでございます。

あと水深7,000メートル以深、そこについて何があるかと言うと、ここはこの場でも議論がありましたけれども、やはり大規模地震発生メカニズムと。今、南海トラフの件なんかもいろいろ言われていますけれども、そういった結構深いところで起こるような地震についてもう少し知見を得るためには、そういうところに行けるような能力を持っていなきゃ行けない。

あるいはまだ7,000メートル以深というのはそんなに行ったことがないですから、そこに行けばいろんな未知の深海生物、生態系あるいは地質、そういったものの学術的な研究ニーズというのはあるだろう。さらにはEEZ内、我が国のEEZは結構深い、1万メートル近くまでございますので、そこでもし何かあっていってみる、あるいは何か作業しなければいけないと、そういうことが起こったときに、きちんとアクセス手段を持っている、こういうニーズというのもあるんだろうということで、ちょっと具体的なニーズをベースに少しニーズ例というのを挙げてみました。

このニーズ例をベースに、どういう探査機が向いているのかというのはそれぞれの深さに応じて、二重丸、丸、三角というのをつけてみたところでございます。一般的に言って、海底面付近を調査して、ものを見てくる、あるいは試料を採取してくるというのを効率的、かつ適切にやろうというときには多分、有人探査機というのが一番向いているのかなというようなことで、そういう部分については有人探査機の方に二重丸を置いています。ただ、同じ話でも、行く場所はそんなに広くなくていい、あるいは大きな荷物を持っていって、モニタリング装置のようなものを設置してというようなところは多分、無人探査機で行けるんだろう。あるいはある部分の海域について物理、化学あるいは生化学データ、そういったものを効率的に取得する、そういうのは多分、AUVなんだろうなということで、それぞれ役割分担に応じて二重丸、丸等々をつけています。

ただ、多分、有人と無人でできることは、有人でできることは無人でも多分できるし、無人でできることは有人でもできる、それぞれそんなに差がないようなところもあるかと思うんですけれども、それはそういうふうに有人でもできるようなところは有人に丸、無人でもできるところは無人に丸と、そういうような感じで書いております。

4ページで言うと資源調査のところは見に行って、ものを持ってくるという、どちらかと言うと既に機能性というよりも、狭い範囲でいいので重たいサンプルを持ってくるとか、複雑な装置をやるだろうというようなニーズの方が明確化しているかと思われるので、それはROVの方に二重丸をつけたりしております。

5ページ目にいきますと、水深3,000から7,000のところになってきます。この辺はすみません、はっきりしたニーズというのはあんまりないんですけれども、一般的なニーズとして書いております。ただ、地震が起こったときの状況調査については、これは安全か安全じゃないかによって無人が出るのか有人が出るのか違うので、両方とも丸にしております。そういったようなことです。

最後は超深海のところで、7,000メートル以深のところでございます。ここは丸、三角、二重丸をつけていますけれども、技術として確立していないところは一応、括弧でつけております。無人探査機は1万メートルまで技術としては確立をしておりますので、基本的には今の無人探査機であれば、ちょっとの予算ですぐ行けるという状況をわかるように括弧をつけながら丸、二重丸をつけている、そういったような状況です。

それで、7ページにいきますと、こういったものの在り方を検討するときに、少し留意事項というのがあるんだろうということで、そういうものを書かせていただいています。1.は「既存技術の活用、技術の波及効果」。特に3,000メートル以内の部分であれば、いろんな技術が民間ベースで使われている部分というのがございます。したがって、もしここで深海探査システムを考えるときには、そういった技術をなるべく活用する、こういうことも重要だと思いますし、逆に言うと、今度、そこに市場もあるということなので、もし新しい技術や研究開発をそこに入れるんであれば、その先のマーケットまでにらんだような、そういった研究開発をする必要があるんだろうというようなことが1.で言っていることでございます。

2.で「維持、伝承すべき技術」。特に有人で維持、伝承すべき技術というのは、我々が考えるには、個別の要素技術というのは大体、有人、無人、共通の部分も多いと思うんですけれども、一番やらなきゃいけないと思うのは、30年間、有人潜水艇を無事故で運航した安全管理技術。これは当然、システムを安全に保つ、そういうのもございますし、ソナーか何かで見て、危ないところには行かない。また下に潜って危なそうなところには行かない、そういったソフト面の技術、そういったものを全部含めて安全管理技術と思いますけれども、そういうものというのは、積み上げてきたものというのはなかなか1回なくすと、積み上がりにくいのかなということで、そういうものを入れてございます。

あとは「国民の理解増進」。これはいろいろこの場でも議論があったと思いますけれども、やはりフロンティアである深海というものに行くことによって、特に有人で行くことによって国民の海洋分野、さらには科学技術全般の理解増進につながる。そういった点というのは留意事項として押さえる必要があるのかなと思っております。

資料としては以上でございます。

【道田主査】  ありがとうございました。

ということで、先ほど、織田委員から御指摘のあったポイントのある部分については、このペーパーで何らかの、ある程度の整理はそれなりにつけられているのかなという気はいたしますが、今の御説明を踏まえて、何か委員の方々から全体的な方向性等について御意見がありましたら承って、今後の議論につなげていきたいと思います。

何かございますでしょうか。どの部分でも結構です。

【竹山委員】  最後の資料、多分、何となく苦肉の策なところもあるのかな。ただ、アウトプットのところの考え方がすごく難しくて、例えばこういう何かをするか、しないかとか、ミッションするときには、例えば10年先に、これだけお金をかけてこれをやるということは、10年先のマーケティングとか、かけたものの100倍になるとか、波及効果の影響をすごく非常に大きいということが試算ができる必要性がやっぱりあって、先ほども委員からそういう話が出たんですけれども、海洋においてもそういう試算ベースというのがやはりある。

何でもいいから数値にするというのが私たち、よくやらされていて、申請書を書くときには費用対効果で計算しろとかいうことをすごいやらされていて、アメリカとかで、例えば10年先の大きな目標を掲げるときには、その技術を10年間でつくったときに、その段階でどのぐらいの次の大きな分野が興って、どのぐらいの費用対効果、波及効果があるかというのを数値をちゃんと出すんですね。そのときに国プロが動いて、すごいお金が動く、そういう仕組みになっている。

だから多分、今すぐ数値を出せとは難しいと思いますが、そういう面をやるべきで、波及効果がある。なかなかサイエンティフィックなところを計算するというのは難しいかもしれないですけれども、こんな波及効果で工業的にどういうのができるとか、そういうのがないと。最後のお金を出す、税を出している人たちに対する国民の理解増進。ここは深海のことをよくわかるということではなくて、これに対して「うん」と言うのは私たちだけじゃなくて、説明責任があると思うんですよね。技術のこと、リアリティの問題だけじゃなくて、出口論のところでそれがないと、やはり通らないんじゃないですか。

【道田主査】  大変重要な御指摘ですね。我々も研究費を出すときには波及効果と必ず書かされまして、うそを書かない範囲で、こんなことが起こりそうということで書くわけですけれども、御指摘のとおり、今、このペーパーの段階だと、若干触れられていますけれども、少し風呂敷を広げるわけじゃないけれども、適切なタイムスパンがどのくらいなのかという議論も一方であるとしても、10年後、20年後にこんな波及効果がある、あるいは期待できる、あるいは期待してこういうことをするんだということについて肉づけが必要という御指摘については重要だと思いますので、委員の先生方も含めて、何かご議論いただければと思います。

何かそのほか、ございますか。

【西山委員】  今の文科省さんの説明、2ページのところで、有人、無人の説明が定性的で、機動性が高いとか軽作業とか、直接観察、データが高速、大容量、リアルタイムとかという表現ですが、やっぱり数字で比較できるようにしていただきたいと思います。そうしないとそっちの方がよいですと言っているだけで、どれだけよいのかがわからない。2倍良いのか、1.1倍なのか、その辺のところを、もう少し定量的な説明をしていただきたいと思います。

それから先ほど、ちょっと議論が出た有人か無人かではないという意味では、それで私が使った言葉が統合的次世代深海探査システム、統合という意味では両方要りますよということを暗に示しているつもりですので、そういう方向でまとめていただけるとよいと思っています。

【道田主査】  ありがとうございました。今の点、何かレスポンスありますか。大丈夫ですか。

【文科省林課長】  そうですね。わかる範囲については入れたいと思います。

【織田委員】  意見というよりは感想に近いんですけれども、いろいろ今までお話を聞かせていただき、議論させていただいて、今、御指摘のあった次世代統合探査システム、まさにそうだなと思っていますし、これは単なるコメントなんですけれども、今更これを変えてくれという意図は全くありませんけれども、次世代深海探査システムというこの名前というのは、割合といろいろ議論しようとすることに対してはカテゴリーを狭くとってしまいがちなリスクがあるなという気がしています。何がリスクかと言うと、この言葉だけを広く国民の方とかマスコミに出したときに、「次世代、深海ね」という。深海というのはいろいろ定義が違いますけれども、ここでいう深海というのは単なる深海なので、ですから、どちらかと言うと、心としては統合的な次世代海中探査システムについて、我々は次の時代のビジョンを語って、目標を定めるんだというような心掛けで私はいようかなというふうに思っているところです。

当然、有人のものをつくるとしても、これは深海にも潜れますけれども、浅いところも潜れますので、深海しか潜らないという意味では決してないはずなので、必要に応じて、例えば産業化に必要なときは人間の知恵を使って、浅いところにも行きますよということも多分あるでしょうし、そういう意味ではこれからそういった議論ができると期待をしていますけれども、一方で私の何となくコメントは、この言葉が外に出ると何となく狭くとられるリスクはあるな、そこはちょっと工夫したいなというふうに思いました。

【道田主査】  ありがとうございます。技術的なハードルがあるところに特に注目しているということだと思うんですよね。それで全体の海洋探査システムの中での位置づけということについては、一方でこれがどういう位置づけになるのかということについては、まとめるに当たっても意識する必要があるというのは御指摘のとおりだと思うんですね。そのような方向で考えていきたいなというふうに思います。

今更名前を変えるわけにいかないので、次世代の深海探査システムですが、もっと広い目で見たときにこれはどういう位置づけになるのかということについては少し意識をしたいなという。事務局に相談します。

そのほか。

【藤井委員】  大きく分けて2つあるんですけれども、1つは表の特徴のところにつけ加えた方がいいかなと思ったのは、AUVは基本的に本当にケーブルがないので、多数展開可能なんでしょうね。これは1つ、違う観点なので、それはあっていいかなと思います。

それからまさに西山委員がおっしゃっている統合システムというのは、私も大賛成でありまして、そうしますと、やはりここに今、整理されている技術課題というのは、それぞれ無人、有人、HOV、ROV、AUVという、それぞれについての技術課題という整理になっているので、やはりそういう意味では、複数のシステムを同時に展開するときにどういう技術課題があるのかということを考えておかないと、統合ということを実現しようとする場合には、そこが一番ポイントになってくる可能性がありますので、そういう観点も考えておいた方がいいかなというふうに思いました。

まさに自動運転みたいな議論がありましたけれども、AIの話もそうですけれども、やっぱりそれは複数展開したときには、なかなか本当にオペレーターの力だけでやり切るというのはだんだん難しくなってくるので、そういう意味では、例えば、いわゆる自動運転でいえば車車間の通信とか、あるいは路車間というのは母船との通信になるのかもしれないですけれども、そういったことが行われているわけなので、そういう要素を入れていくというのは1つの方向性かなというふうに思います。

【道田主査】  ありがとうございます。重要な御指摘だと思うんですね。

今、後段のところ、全体システム、複数システムを同時運用あるいは並行運用するときの技術的課題という御指摘がありましたけれども、その点について東さん、何かこのペーパーを書かれたときに考えておられたことはありましたでしょうか。

【JAMSTEC東理事】  多分、文科省さんは何かお考えはないですか。僕、今、別のことを考えていて、すみません。今、竹山さんに言われたことをずっと考えていたもんですから。

【道田主査】  簡単に言うと、有人、無人の探査機のそれぞれの特徴、あるいは技術課題についての整理は出ていますが、これは統合的に利用するとした場合に、複数システムを並行運用、同時運用する、例えばですけれども、そういうときにあり得る技術課題というのは何かありますかという。

【西山委員】  例えば有索であったらケーブルがこんがらがってしまわないかとか、オートの場合は多分、超音波か何かでコントロールすると思うのですが、超音波同士が干渉してうまく同時運用できないとか。電波の世界でもあるんですが、2機飛行機が飛んでいるとレーダがお互いに干渉して困るとか。そういうのもありますので、システムが、1台だけだと問題ないけれども、2台、3台になってくると出てくる問題があります。その辺のところの整理が必要じゃないかなと思います。

【道田主査】  東さんに急に振ったのは、東さんのペーパーに無人機、有人潜水機の同時運用技術の開発という考え方が書いてあるので、この背景にあるものは何かあるのかなと思って、お聞きしたんです。

【JAMSTEC東理事】  全く今、御指摘いただいたとおりです。多数機を将来使っていく。

僕、ちょっと申し上げていいですか。竹山さんの質問に対して少し考えていたので。やっぱり波及効果と言ったときに、当然、そういう技術開発、そういう要素技術に伴う波及効果というのがあるだろうし、それから、例えば産物ですね。熱水鉱床だとかガスハイドレートだとかいうのが今出ている。それに伴っての開発に伴って、それを支援するということで波及効果が出てくる。

それから将来的には多分、オイル&ガスや何かもそうですけれども、サブシーファクトリーというのを今、考えていて、やっぱり先ほど出てきましたけれども、無人機をたくさん使って、要するに工場をつくるということを今、だんだん産業界が考え始めていて、そのときにコンストラクションにおいてたくさんのロボットを使いますということもあります。

それから鉱山と同じですからたくさんのものを一緒に、ボビーを一緒に動かしていく。それから有人なのか無人なのかわかりませんが、それを管理する、見ているという。ここはちょっとやり過ぎだよとか、こういうのは現場でないとできない。だんだんディープランニングすればできるようになるかもしれませんが。

そういうようなトータルでいろんなことを考えていくという、そういう意味で出てくる波及効果もあるし、それから、これからの日本で今から考えなきゃいけない調査産業というサービスにおいて、こういうような海洋のいろいろな。ここは非常に日本は弱いんですけれども、いろいろなことをやることによって、日本が先端的なものを得ることによって、その業種が元気になって、波及効果という形で出してくるという。いろいろな意味で波及効果ってあるので、それも踏まえて波及効果については考えていかなきゃいけないなというふうに思って、今、考えていて、それでなかなかフォローできなくて、すみませんでした。

多分、サブシーファクトリーだとか、そういうところは1つのいい例で、将来、こうなるのは間違いないことで、それに対してどういうふうに対応していくかというのは、我々のフェーズ1、フェーズ2のフェーズ2のところや何かでしっかり考えていくという。要素技術の中にこれは含まれているものですし、今、SIPや何かでASVや何か、洋上をどういうふうにやるかというようなことは少し検討は入っていて、それは今後、この分野も伸ばしていくということで、本当に海底、海中、いろいろなものを、空間も含めてですけれども、開発をするということをやっていかないといけないだろうと思います。

先ほど、織田さんの質問にもありましたけれども、量と質という問題がありましたけれども、そうなってくると当然、今みたいなことは動いていくはずだというふうに思うんですけれども、今の段階で、この段階で全てそこまで飲み込んで考えているかと言うと、そこはこの委員会のマターではなくて、もう少し運営だとかも一緒に考えていかなきゃいけないところもいっぱいあると思うので、この委員会でそこまで全部フォローできるかと言うと、ちょっと違うかなという気はしていました。

【道田主査】  ありがとうございます。

それで、先ほどの複数システムの運用あるいはトータルシステムとしての技術課題ということに関しては、藤井委員、それから西山委員御指摘のとおりなので、これ、このペーパーに加えて、全体としてどういう課題があるのかということについては、JAMSTECの方々の力も借りつつ整理をしていただくといいなというふうに思います。

【浦委員】  今の点に関して、私どもも複数同時展開というのはいろいろやっているんですけれども、簡単には大学がやっているので、技術開発プロセスにあるんじゃないかなというふうに思っています。

すぐ5年後にできる。それがJAMSTECさんが、あるいはそれをオープンでやれるような状況になるかと言うと、開発課題がまだ多い。10年後は知りませんよ。もちろんやることはできるけれども、それが今の「しんかい6500」をオペレーションしているような、安心してみんながやれるような状況にそれが5年後にできるかと言うとなかなか難しい。アメリカの海はAUVを使ったマルチプルAUVの上陸作戦だとか何とかといろいろやっているんですけれども、これは非常に大変な研究を山のようにやっています。

もちろん、策が違うということなんですが、今思うのは、先ほど、JAMSTECさんがお答えになって「うらしま」や「しんかい6500」をやりましたというのは、これは同時展開で同時搭載ですね。これは違った種類のビークルを使って、システマチックにやっていくという作戦です。これは非常に重要です。それは違った種類のプラットフォームが幾つかできてきたので「しんかい6500」が1個あれば、何でもいいんだということではないということになったということで、これは進めなくちゃならないということ。

しかし、同時展開はもっと研究しなきゃならないので、今すぐこれをやって、5年後に某所にこれをつくれと言ってやるのにはまだ遠いんではないかと、自分でやっていてそう思います。

【道田主査】  貴重な情報を頂きましたので。

ということであれば、なおさら先ほどの無人、有人の特徴のところに加えて、統合的に運用する場合の技術課題、可能であれば、どのくらい先に可能性があるのかということも含めて、書くかどうかは別ですけれども、そういったことも含めて技術課題をちょっと整理する必要があるかなというふうに思っています。

そのほかに。

【織田委員】  今、東さんからお話のあった点は私もまさにそう思っていまして、例えば鉱物資源の話ですと、私、熱水鉱床だと世界一いいものを見つけるという言い方をしましたけれども、資源調査の非常に初期段階、アーリーステージでの当たりをつけるというやつですね。例えばJAMSTECが無人のAUV、複数機動展開できるようなものを持っていれば、これはいろんな用途に使えるわけで、そのうちの1つで、例えば熱水鉱床というのは比較的、あれは硫化物鉱床でありますので、電磁探査、非常にボーリング等の結果の一致性がいいというのは御存じのとおりなので、AUVに電磁探査のある程度の道具を乗っけておけば、ダーッと行けば、大体、それでここよさそうだなとわかれば、有人が行って確かめて、そこは非常に資源調査と言っているところであってね。これはやっぱりJAMSTECがそういう機動性を持っていれば、非常にいいんじゃないかなと思っていまして、その後、実際の、これを決算に持っていくまでの、ボーリングをやって、上ボディがどうだと、まさにFSのデータをとるためのディープな探査、これはJOGMECさんだと思うんですね。

したがって、そういうJAMSTECさんとうまい、あるステージではJAMSTECがいいところを見つけてきて、こういうところがよさそうだとなれば、もうちょっとそれを、金をかけてやってくださいと言うのは、JOGMECさんに渡すようなことでいけば、非常にさっきの産業化というところでもいい、二重投資にもならずに、お互いのJAMSTECさんが持っている機動力をうまく使ってというようなところでできるんじゃないかなと私は大変、そこのところを期待しているものですから、一言申し上げたいと思いました。

【道田主査】  ありがとうございます。

多分、今、指摘いただいたような役割分担と言いますか、それは恐らく多くの方、同じような認識でおられると思うんですね。

かつ、資源探査だと大きな話になるんですけれども、それ以外のところでもJAMSTECは国立研究開発法人として、例えば企業単独ではなかなかできないようなリスクをとって、先べんをつける調査をするとかというようなことが役割として期待されているんだと思うんです。

そのためにこの有人、無人の組合せも含めてですけれども、次世代の探査システムはどうあるべきかということが、例えばこの委員会のレポートとして書かれるべき内容ということになろうかと思いますね。

何かそのほか。

【辻本委員】JOGMECの辻本ですけれども、今日、結構浅いところの話もあるので、従来、次世代深海探査システムということで、多分、深いところの議論が中心かなということで、我々、資源探査を扱っている者、特に日本の近海では熱水鉱床なので、1,000メーター前後なので、余り関係ないなと思っていたんですけれども、今日のお話の中で浅いところが議論になっているので、確かに熱水鉱床は1,000メーター前後なので、そういうところについては今、我々も、ここにまさにあるように、AUVでかなり地形調査をやっていまして、一部は海上保安庁の協力も得て、それでもかなり今の段階では結構、有望地区が絞られてくるので、ROVで潜って確認するというのが一般的な流れなんですね。

ちょっと有人探査までは我々、余り必要性は今のところ、感じていなくて、ROVで更に高性能化すれば、これでかなりチェック機能は十分かなというふうに思っていますけれども、今、我々の「はくれい」に搭載しているROVも海外のものですし、ほとんどこのあたりのものは調査機器類は海外のものなので、できれば、今、SIPでもいろんな議論がされておりますけれども、世界にも伍していけるようなAUV、ROV探査のシステム、機器類は日本で先導的に生まれてくれば、海外にも打って出る可能性もあるしというのは感じています。

【道田主査】  ありがとうございます。

【竹内(章)委員】  とき間もないので短くいきますが、今、何度も今日出ていましたし、出ましたけれども、深海探査に関する日本の技術が最近、どういうものであるかという客観的な評価が是非必要だということはやはり同感でした。

それから今日、西山委員の表、9ページのミッションの表、これはかなりまだ「検討が十分でなく」で、ニーズということで、国民の理解を得て、新しいシステムをつくっていく上では、ここを充実させなければいけないと思います。

文科省の方で出したニーズ例等々で1つの観点かなと思うのは、用語として海底面付近というのがありますよね。これは何なんだろうと思いますが、先ほど、西山委員のミッションのところで観測、採取とあって、やっぱり裏のところで、着底した作業というのがどうしても必要だろうと思います。着底するかしないかでかなり技術的なこともいろいろな問題があると思うんですね。海底だと着底するだけで非常に視界が奪われるような現象もありますので、いろんな問題がある。

しかし、海底面付近と言いますか、着底していろいろ研究する、そういうことが必要である。特に深海あるいは超深海と呼ばれるところ、これは浅いと言うか、今、JOGMECのお話もありましたような非常に経験のある熱水関係のような作業が、超深海でやはり別の観点でいろんな研究目的でやることが必要だろうと思うんですね。それはある種、地震なんかでもそうですが、ある種、現場主義で、現場でいろいろやってみて、現場の計測もありますけれども、現場でやる実験みたいなこともあると思うんですよね。そういうようなことが研究目的に関するミッションとして掲げられる、そういう観点が1つ、重要なものだというふうに思いました。

【道田主査】  ありがとうございます。着底するかうんぬんというのはもうちょっと検討する必要がありますね、きっと。思いますので、ちょっと検討させてください。

【竹山委員】  私、ヘルス系なので、ここのところは必ずしも知識はないんですが、今回、この会議で思ったのは、基本的にはJAMSTECの機構のやっている活動が中心になって、ここに反映されてきて、本来、JAMSTECさんのところでミッションがあって、ビジョンがある。

あとちょっと驚いたのは、今回、こうやって委員の人たちが、いろんな分野の方がお話をししているときに、JAMSTECさんともとからいろんな話がされていなかったのかな。今までの経緯の中で、いろんな開発をしているときに、それぞれの皆さんの立場でお話をされているのか、JAMSTECさんと今までやってきた中に本来だったらいろんな話があって、即反映されてきたのではないかと。生物系から見ても、同じようなことがよくあるので、JAMSTECの中でいろんなカテゴリーがあって、それが物理化学、セキュリティー、多様性、それぞれ役割があって、その中での、少しやっぱりもうちょっと大きなラウンドで話をしているとそういうときパッと有人、無人、どうするという話にすぐなるんで、手前に話がどんどん戻っちゃうのはふだんからの話合いがまだ一機関に閉じていいて、閉鎖的かなということがある。

【道田主査】  ありがとうございます。ちょっとそれは宿題ですね。

そのほか何かありますか。よろしいですか。

時間は大体来ているんですけれども、今日、本質にかかわる議論をしたこともあって、幾つか、割と大きな方向性に関する議論も頂きましたので、私自身が全部そしゃくできているかどうか、甚だ心もとない気もしますけれども、幾つか重要なポイントを頂きましたので、例えば基本的に要素技術については、もうちょっと情報を、特に国際的な中での日本の位置づけも含めた情報を少し足して、それを踏まえてどうするのかということを肉づけしていく必要があるというようなこと。

それから統合システムとして考えたときの技術課題とかそういった方向性、ミッションについてももうちょっと肉づけをする必要があるかなというふうに私自身は思いました。

それで、今後の進め方ですけれども、今後は頂いた意見をとりあえず事務局と私の方で整理をさせていただくということになると思いますが、一遍、やっぱり委員の先生にフィードバックした方がいいですね。今日の議論を踏まえると。

あんまり時間はないんですけれども、1回、フィードバックをした上で、次の委員会のときには細かな文章までできるかどうかは別ですけれども、全体的な方向性について報告書の骨子みたいなレベルのものは議論できればいいかなというふうに思っています。

それで、共通の認識と言うか、皆さん、今日の御意見を伺っていて、統合的なシステムを考えていきましょう、有人、無人、どっちがどっちとなることにこだわらずに、統合的なシステムについて次世代の深海探査システムについて考えていきましょうということは共通認識かなと思いますので、その線に沿って、今日頂いた御指摘を踏まえて、また次回の委員会に望みたいと思いますが、事務局の方から何か今後の進め方、その他について御説明あるいは御意見ありますでしょうか。

【事務局】  予定では次回で最終回ということになっておりますので、どれぐらいのボリュームの報告書になるかあれなんですけれども、一応、報告書の案を議論していただいてと思っております。したがって、その前になるべく早く先生方に案を見ていただきながらやっていきたいなということと、今、道田主査がおっしゃったのは何か1回、議論をまとめてフィードバックした方がいいということ。

じゃ、今日の議論のまとめというのを1回つくって、フィードバックしながら、あと、報告書の多分、詳細な分厚いものをつくるとまとまらないと思いますので、なるべく簡単なものということになると思いますので、そういうもので少し次回、議論を頂いてやっていきたいというふうに思っています。

【道田主査】  今の話ですが、今日、議論になりましたように、どう整理するかというのはいろんな切り口があるかと思いますけれども、統合的なシステムを考えていくんだということに関しては、大体、皆さん、同じ認識だということを前提にまとめのペーパーをつくっていくということになると思います。

どのくらいのレベルのものにまとまるかは別ですけれども、まとめて皆様方の御意見を踏まえて、もう一回、ブラッシュアップしたものを私らが問われている1つ上の委員会に報告を上げるということになると思うんですけれども、その後、上の委員会でどういう議論になるかにもよりますけれども、いずれにしても、統合的な次世代の深海探査システムを進めるということですと、先ほど、東さんからも御指摘がありましたけれども、本当に細かい技術スペックとかそういうことについては、もう一回、ちゃんと全体的な方針を踏まえて議論を深める必要があるということはそのとおりだと思いますので、それをどうするかについては、上の委員会にも御検討いただくとともに、事務局とも相談して、どうするかについて検討をしていきたいなというふうに思います。

ということでよろしいでしょうか。

若干、時間を過ぎていますけれども、特に御発言はありますか。

よろしいですか。

【瀧澤委員】  もう時間もないので。結論としては統合的システムという方向に進みそうで、私としては大変いいんではないかなと思いました。最近、人工知能をどのくらい社会にいる人たちが受容するかという論文がありまして、ちょっと読みましたら、やはり理系の科学技術分野に携わっている大人が一番需要が高くて、例えば子供とか一般の国民の方々にとって、人工知能というのはやはり少し受け入れ難い、今、2016年の時点で。そういったことを考えると、次世代の子供たちが夢を描けるような統合的なシステム、特にJAMSTECさんの事業ですので、科学分野で今までできなかった深海の探検の夢が開いていくような。先ほど、情緒的なところは余り重視するべきでないと、もちろんそうなんですけれども、そういうところにも配慮しつつ、議論が進められるといいんではないかなというふうに思いました。

【道田主査】  ありがとうございます。重要な御指摘ですね。

よろしいでしょうか。

そのほか、特になければ、これで今日の委員会を終わりにしようと思いますけれども、事務局から何かありますか。

それでは、これで今日の委員会を終わりにします。

【事務局】  最後に次回、資料5にも入れていますけれども、7月1日金曜日、1時からを予定しております。

【道田主査】  ということで、よろしくどうぞ、お願いいたします。

ありがとうございました。

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研究開発局海洋地球課