海洋鉱物委員会(第13回) 議事録

1.日時

平成23年7月1日(金曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

金融庁9階 共用会議室3

3.議題

  1. 探査技術実証の推進に必要なプラットフォームについて
  2. 報告書(骨子案)について
  3. その他

4.出席者

委員

阿部、磯﨑、浦、浦辺、小池、平 の各委員

文部科学省

堀内海洋地球課長、鈴木海洋地球課長補佐、川口企画調査係長、竹内技術参与

オブザーバー

【関係省庁等】
 内閣官房総合海洋政策本部事務局 竹田内閣参事官、谷内閣参事官
 資源エネルギー庁資源・燃料部 久保田鉱物資源課長補佐
 海上保安庁海洋情報部 冨山海洋調査課長補佐
 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 岡本深海底技術課長

【説明者】
 海洋研究開発機構
  経営企画室 菊池次長
  海洋工学センター海洋技術開発部海洋基盤技術グループ 大澤グループリーダー

5.議事録

 【浦辺主査】 それでは時間となりましたので第13回 科学技術・学術審議会 海洋開発分科会 海洋鉱物委員会を開催したいと思います。JAMSTECにもやはり海底資源に関する内部の委員会があり、実は今朝もそこに何人かこのメンバーが出ておりまして、ずっと話をしておりました。大変暑い中またご多用中にご出席いただきましてありがとうございます。

オブザーバ紹介

【浦辺主査】 今回も総合海洋政策本部から谷参事官、竹田参事官がご出席です。それから資源エネルギー庁 資源・燃料部 鉱物資源課から久保田課長補佐、海上保安庁 海洋情報部 海洋調査課から冨山課長補佐がご出席くださっております。それから今日は増田委員の代わりに独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構から岡本深海底技術課長にオブザーバとしてご出席いただいております。

資料確認

【浦辺主査】 それでは資料の確認、事務局からお願いします。

【川口企画調査係長】 事務局でございます。資料の確認をいたします。クリップ留めの資料でございまして、一番上に座席表がございましてめくると議事次第がございます。その下からでございます。
 資料1-1として新ROVの概要としたものの3枚のホチキス留めしたものがございます。
 その次が資料1-2としまして海底資源研究、探査技術実証の推進に必要な船舶について(案)というものをご用意してあります。
 更にその次にちょっと分厚いものになりますが、ホチキス留めで資料2として報告書の骨子案というものをお配りしています。
 更にその下に資料3として当面の予定(案)というものをお配りしていて、最後に参考資料として委員名簿をお配りしています。
 委員の皆様のお手元には毎回のものでございますが、緑色のファイルとして机上参考資料というものをご用意しています。こちらについてはいつものようにお持ち帰りにはならないようにお願いいたします。以上でございます。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。

議題1. 探査技術実証の推進に必要なプラットフォームについて

【浦辺主査】 それでは議事に入りたいと思います。議事の1番「探査技術実証の推進に必要なプラットフォームについて」ということでございます。

(1) 遠隔操作型無人探査機

【浦辺主査】 平成23年度から開始されます、海洋資源探査システムの実証というプロジェクトにおきましては、無人探査機や掘削技術を開発・実証するとともに、戦略的探査手法の研究開発を実施することになっております。それに必要なAUVとROV、それぞれ1機の開発にかかる経費が予算措置されているということです。AUVについは1月の第11回で議論して、概要の仕様を作りました。そこで、今回はROVについて議論したいということでございます。
 海洋研究開発機構でROVの仕様の案を作成されたということですので、これについてのご説明を聞き、その後皆さんのご意見を頂戴したいということでございます。それでは海洋技術開発部海洋基盤技術グループの大澤グループリーダーからご説明をお願いいたします。

【大澤グループリーダー】 大澤です。よろしくお願いいたします。今日は新ROVの概要ということで、平成23年度から建造するROVの内容についてご説明したいと思います。
 先ず、そこに書いてありますように、設計のコンセプト、開発のコンセプトと申しますか、これが5点ほどございます。
 第1点が、海底資源探査に資する無人探査機を早急に整備するということで、今何を考えているかと申しますと、「かいこう7000 2」が機構にございます。これは試作機を利用した無人探査機で、能力的に凄く低いということで、このビークル部を改造して、今までのシステムを柔軟に使って早期に実現する。更に機構の40年来の深海技術開発成果と運用技術がございます。その運用技術をミックスして早期に実現できる無人機を開発するというのが第1点でございます。
 第2点目といたしましては、無人機というものは母船、特にROVは従来、専用母船に1機という体制だったのですが、これを、運用効率の向上を目指すということで、機構所有のROVの母船のどれでも運用可能なシステムにする予定です。具体的には、「ハイパードルフィン」は今「なつしま」を用いていますので「なつしま」、あるいは「かいこう」「ABISMO」は「かいれい」という船を用いています。これをどの船でも運用可能なROVを製作しましょうというのが第2点です。
 3点目でございますが、主な特徴といたしまして、海底資源の多彩な探査、あるいは研究用途に対応するために、各機器が脱着可能な構造ということを考えています。これは具体的にどういうことかと申しますと、作業機器や推進機器、あるいは観測装置、そういうものが自由に組み合わせ出来る、そういった新しいコンセプトの無人機、オプティマイズが可能な無人機ということを考えています。
 4つ目でございますが、海底資源調査に特化した機能を考えています。例えば、海底地形の精密探査や連続柱状コアリングのサンプリングなどを現在考えています。
 5つ目といたしまして、資源調査という形だけに捉われず、JAMSTEC内に立ち上げた海底資源研究プロジェクトというリーディングプロジェクトに適応可能な、例えば海底熱水鉱床やコバルトリッチ・マンガン・クラスト等の成因解明の研究にも供する様な無人機を考えているということです。これらを新探査機の開発、設計コンセプトとします。
 ではどういった機能が必要かということは下に書いてあります。例えば、海底探査や目標に合わせて、マルチ音響測深器や合成開口ソナー等によって海底地形の精密調査をするというようなことも考えています。これは20~30センチメートルグリットで高度保持をしながら直上を探査するということも考えています。あとは、資源調査ですので機動性を伴った多点コアリングという、柱状の多点でコアリングするような機能を考えています。それを1潜航に10点位を連続でやることにより、作業効率の向上あるいは、サンプリング地点、すなわち、どこで採ったかを精密にマッピングするような機能も持たせようと考えています。
 もう一つ、運用効率の向上や調査の迅速化など、簡便化の対応ということで、稼働水深によりマルチに可変できるような機能も考えています。例えば3,000メートルまでならビークル単独で、現在あるハイパードルフィンのケーブルシステムやウィンチシステム、ドッキングヘッドを使用する様なシステムを考えます。水深が3,000メートル以深になりますと、今度はランチャー・ビークル方式を採用した現在のかいこうシステムに着用することにより、深いところまで迅速に潜っていける。こんな両方の可変マルチシステムを考えています。
 あとは目標・用途により必要な各機器です。先程言いましたオプティマイズができるというところで、交換ビークル方式というものを考えています。これはコアユニットシステムに対してスキッド機構を自由に組み合わせることにより、色々な用途に対応できるようなものを考えています。これは、開発段階から運用技術を入れることにより、どっちみち現場では機器にあわせて変えなければなりませんから、このような運用技術を始めから探査機に取り入れて、早期に運用モードまでもっていくということで、こういったシステムを考えています。
 全体計画ですが、平成23年から24年でROVベースシステム部を構築・整備いたしまして、24年度以降で次世代技術の適用、又はスキッドシステムの高度化というものを行っていきたいと考えています。
 次のページをご覧いただきまして、ではどのような具体的仕様かと申しますと、そこに書いてありますように先程申しました交換ビークル方式、ユニットシステム、スキッド機構と左側に書いてあります。
 上にございます様なROVベースシステム部があります。その中にカバーユニットシステムや浮力材ユニットシステム、又は本体・作業ユニットなどがバラバラになっています。これをいわゆるメインフレーム、フレームの容器ですが、そこにはコア部分の油圧システムや例えば光伝送システム、あとはコネクター等、こういった基盤の部分がありますが、これを自由に組み合わせることにより、作業ニーズに合わせた、作業水深に合わせた無人機を作っていく。このような現場で自由に構築、変更可能なシステムを現在考えています。
 更にその下に観測・サンプリング・スキッドやクローラ・スキッドと書いてあります。これをコアベースシステムに装着することにより、海底面調査やコアリング調査、その他急傾斜面でのそういった作業が出来るようになり、自由に変えられるというものを考えています。
 現在平成23年と24年で作る部分については、左側の部分を考えています。具体的な使用に関しましては右側の仕様(案)に記載してあります。イメージとして各項目に対して赤字で書いてあるのが今回このROVの特徴的なところを示しています。
 そこに書いてありますように、現在機構が持っている無人機のペイロードは100キログラム位なのですが、これを大幅に増やして、300キログラム以上を考えています。
 調査観測機器については広角の魚眼カメラを用いた広角システムを採用します。合成開口ソナーなど新たに開発したものや、電磁・電気探査システムに対応したスキッド機構を付けます。そのようなところが調査観測機構になろうかと思います。
 その他、試料採取能力としましては大出力のマニピュレーター2基を付けます。これは今回、相当高出力の油圧システムにすることにより、取扱荷重を250キログラム以上というものを考えています。更にそれに応じて地層コアリング、例えば岩石サンプリングができるようなシステムを考えています。
 推進方法につきましては、当然海底資源調査をするということなので、かなり重いものを持ってこなければならないということで、推進力は上下方向に対して640キログラム以上を考えています。これは従来無かった大出力を期待できるシステムです。
 その他の特徴としては、今回大容量の油圧システムを用いることにより、重作業や高出力の無人探査機が可能であるということです。先程申しましたようにビークル単体とランチャー両方の方式に対応することにより、作業効率の向上をもたらすシステムであると考えています。
 では、具体的な計画ですが、次のページになります。ROV建造スケジュール(予定)です。平成23年、24年でベース部分、これは早急に実現するということで、取り敢えず動くものを作る。更に拡張性がありますので24年度以降に拡張部分についても検討していこうと考えています。24年度中に全てを組み上げ、25年度に海域試験をして、26年度から実運用ということです。開発から試験まで3年というスキームで行おうと考えています。これは運用技術と開発技術をミックスした初期からのコンセプトです。従来は建造してから運用までに5年程度かかるのですが、無駄をなるべく排除し3年で運用まで持っていきたいという予定で考えています。
 簡単ですが以上で説明を終わりたいと思います。

【浦辺主査】 大澤グループリーダー、どうもありがとうございました。それでは皆様からのご意見をお伺いしたいと思います。
 最初に、このビークル方式、ランチャー・ビークル方式と交換式ということですが、いくつかのベースシステム部とそれとの関係について、例えば観測・サンプリング・スキッドやクローラ・スキッドを付けた場合にはどちらになるのでしょうか。

【大澤グループリーダー】 ベースシステム部というのは大体変わらないような形で、例えば深度によってコアリングするサンプラーを付けるのか、最初にマニピュレータを付けるのか、そういったものが選べる。これはほぼ変わらないシステムだと思います。その他に、サンプリングするときには、例えば左側のコアリングマシンを持ってくるのか、例えば電磁探査のような物理探査をしてコアリングするのか。そういったところでスキッドを組み合わせるといった形になる。
 右側のクローラシステムは検討段階で、これは斜面の時などの作業のニーズがあるときには、スキッドにこのクローラシステムを付けて作業をすることも可能な、柔軟性にとんだ形ということで、こういったイメージ図を書かせていただきました。

【浦辺主査】 質問は、こういったスキッドのどれとどれを選べるというのと、それからランチャー方式でやる、ビークル方式でやるというのは、インディペンデントに選べるのかということなのですが。

【大澤グループリーダー】 ビークルかランチャーかというのは、深度により多分変わってくると思います。3,000メートル位では運用の時間などを考えればビークル単体でいっても構いません。その他に例えば「なつしま」を使えますし、「ハイパードルフィン」のケーブルシステムを使えるので、ビークル単独でいけます。3,000メートルより深い例えば5,000メートル辺りになってくると、ビークル単体でいくと非常に作業効率が悪くなるので、ランチャーシステムに抱かせることにより、ランチャーでスーッと降ろして、潮流の影響などを排除し早めに海底まで到達する。そこで作業できるシステムです。運用形態としてはそういった形です。
 その他にニーズにより電磁気探査で海底下の構造を見るのか、それとも海底下の構造は分かっていて、サンプリングするためにコアリングマシンを使うのかにより、スキッドを変えていただくというシステムだと考えています。

【浦辺主査】 まだよく分からないのですが、ビークル方式でもサンプリング・スキッド、クローラ・スキッドは用途があれば付けられるのか、あるいはランチャー・ビークル方式でも両方付けられるのか、それはどちらですか。

【大澤グループリーダー】 どちらでもできます。

【浦辺主査】 もう一つ技術的なことをお訊ねします。クローラ・スキッド方式というのは何か重量の重いもの、あるいはヘビーデューティーのことをやるときに使うのだということだと思うのですが、具体的にはクローラ・スキッドを付ける必要がある、あるいはそういうことをやるときのペイロード、作業内容はどのようなものをお考えでしょうか。

【大澤グループリーダー】 これは具体的に本当なのかと言われると私も困るのですが、今、ある熱水鉱床の斜面で作業するような、例えば傾斜角が20度や30度ある岩石の斜面、凹凸のあるところで作業するときに、今、クローラのフリッパー式を開発していますので、それで登って斜面を走行する。そこで止まって、その斜面の中でボーリング、サンプリングするようなことを想定しています。

【小池委員】 先程ランチャーとビークルとの関係で、3,000メートル以浅はそのまま降ろせば良い。3,000メートルよりも深ければランチャーを使って降ろすとおっしゃいました。すると先程言われた推進方式など、非常に沢山のものを持ち上げなければいけないという想定はどうなのですか。どちらでも対応できるようなということでこういった能力を持たせているということですか。

【大澤グループリーダー】 そのとおりです。どちらでも対応できるということで、こういった能力を持たせています。と申しますのは、先程言ったように、機構は今ROVの母船を3隻持っています。それぞれ方式が違うのです。ビークルだけで降ろすのか、ランチャーとビークルを持っていって降ろすのか。一般的に我々が大深度でやるときには、通常は深くなってくるとケーブルも長くなってくるので、潮流などがあると中々思う位置に上手く降りていきませんから、ランチャー・ビークル方式という形で、ケーブルを母船から出し、ビークルの自重で降ろし、海底に早めに行って早めに作業をするというシステム。深ければこういうシステムが欲しい。3,000メートル位と浅ければ、ビークルの推進力だけで行ってそこで作業をする。その2つのタイプがあります。今回の場合は母船を選ばないということです。両方のタイプに対応できるシステムになっています。

【浦委員】 先ずこのランチャーというのは、ここでは具体的な絵が無いので、今の「かいこう」のランチャーを使うということでいいのですか。

【大澤グループリーダー】 はい、そのとおりでございます。

【浦委員】 それで、「かいこう」には「かいこう」の一次ケーブルが付いているのですが、これをビークルだけで使おうとする時には、ここで新ケーブルをビークルに直接繋いで「かいこう」用のケーブルとは関係ないということでいいのでしょうか。

【大澤グループリーダー】 そうではなくて、「かいこう」に積んでいる今のランチャー・ビークル・システムのケーブルを使います。ケーブルは直接ランチャーに付いています。その下にビークルが入る構造になっています。

【浦委員】 するとビークルだけ使う時にはその一次ケーブルを付け替えるということですか。ランチャー・ビークルで二次ケーブルになるのですけれど、二次ケーブルでは吊れませんね。だから一次ケーブルを繋ぎ直すということですか。

【大澤グループリーダー】 3,000メートルよりも深いところに行く場合にはランチャー・ビークル方式を使うので今の「かいこう」システムを使います。3,000メートルまでは、「ハイパードルフィン」方式を使うので、ハイパードルフィンのケーブルを使うということです。

【浦委員】 付け替えるということですか。

【大澤グループリーダー】 もちろんそういうことです。

【浦委員】 それがここに書いてある新一次ケーブルの製作というのは、そのデザインのことですか。この断面図が描いてある。

【大澤グループリーダー】 そういうことです。「かいこう」システムに用いるための一次ケーブルを製作します。

【浦委員】 3隻どれでもで出来るというのですが、ランチャーを付ければ3隻とも出来ますか。背が高くなりすぎるということはないですか。

【大澤グループリーダー】 ランチャーは「かいこう」システム組み込み、「かいれい」に積んだ時にだけランチャーを使うということになります。他の船で使うときは3,000メートルより浅いところでやるので、ランチャーシステムは必要ないと考えています。

【浦委員】 ROV単体では3隻とも使えるけれど、ランチャーを付けられるのは「かいれい」だけだということですか。

【大澤グループリーダー】 そういうことです。

【浦委員】 合成開口ソナーというのは現在JAMSTECが開発して、この間プレス発表していたものですか。

【大澤グループリーダー】 そのとおりです。

【浦委員】 それを載せるのですか。

【大澤グループリーダー】 そう考えています。

【浦委員】 それで性能的には十分満足できるものが得られているのですか。

【大澤グループリーダー】 今のところプレス発表した通り、かなり鮮明な画像が撮れるということで、サイドスキャンソナーについては合成開口、直下についてはマルチビーム音響測深のように考えています。

【浦委員】 アクチュエータとセンサーが描いてあるのですが、私が「ハイパードルフィン」などを見ているときに非常に欠けているなと思うのは、自動操縦機能です。例えば一定の高度に保ってじっとしていなさいということが出来ないわけです。あるいは一定の速度で動く事ができない。今度は力を入れる、また推力と合わせてグッと押すなどすると、位置制御はとても重要ですし、一定の深度で走り回るということも重要だと思うのです。これは某社が買ってきたビークルでもそういうことになっていますが、その辺りのことが、つまりオペレーションのことについて何も書いていないので、そこはどうなっているのでしょうか。

【大澤グループリーダー】 ご指摘の通り、それは非常に重要だと考えています。今回の無人機にはその制御、いわゆる高度制御・前後の位置制御という制御システムは組み込む予定にしています。ここには書いてありませんが。

【阿部委員】 1枚目の真中、20センチメートルないし30センチメートルの柱状コアリングとなっていますが、これはどういう意味ですか。直径ですか、それとも深さですか。

【大澤グループリーダー】 深さ方向に20~30センチメートルと考えています。直径は大体10~15センチメートルです。

【阿部委員】 深さですか。意外に浅くはないですか。

【大澤グループリーダー】 コアリングマシンとしては1メートルの長さのコアリング装置を開発する予定です。ただ本当に1メートル採れるかというと、そこはまだ評価が済んでいないということで、20~30センチメートルは、最低必要な部分は1メートルのコアリングマシンで保証するということで、仕様(案)としてそう書かせていただいています。

【阿部委員】 わかりました。

【浦辺主査】 これはプッシュコアではなく、ちゃんと回転させて掘るということを考えているわけですか。

【大澤グループリーダー】 はい、そうです。

【阿部委員】 これが例えばコバルトリッチクラストなどであったらいいのかなという気もするのですが、海底熱水鉱床ではどうなのでしょうか。現実的なのでしょうか。そこが気になるところです。

【浦辺主査】 何かご回答がありますか。

【大澤グループリーダー】 私の方は無人機の開発なので、これは海底資源研究プロジェクトチームとも相談して、今後検討させていただきたいと思っています。

【浦辺主査】 細かなことなのですが、2ページ目のイメージのところに、何かコアラーをマニピュレータで掴んで前に出している絵が、いちばん右の上に描いてあるのですが、これは今おっしゃったこととは違うイメージのことが描かれている。こういう形ではまっすぐ持ち上げられないので、掘削はできないということですね。ちょっと絵を変えられたほうがいいと思います。

【大澤グループリーダー】 検討します。

【浦辺主査】 プッシュコアであればこれでもなんとかなるかもしれないけれど。

【大澤グループリーダー】 実際マニピュレータの先にドリルのようなものを作って、そこで回しながら入れるというイメージをここで描かせていただいているということです。

【浦辺主査】 1メートル掘ろうとすると、関節の曲がりでまっすぐ掘ることは不可能なのですよ。斜めに、斜めに掘っていくという形になってしまうので、それはデザイン的には不可能だと思います。

【大澤グループリーダー】 これはマニピュレータの絵になっていますが、実際はコアリング専用のマシンでということで、これも脱着なので。その部分はイメージ的にはマニピュレータになってしまっていますが、専用のマシンを開発するということでございます。そこは訂正させていただきます。

【小池委員】 コアラーは、これを開発するにあたっての一つの目玉的なアタッチメントですよね。これも含めてそちらで開発されるわけですね。

【大澤グループリーダー】 そういうことです。

【小池委員】 ここで20~30センチメートルというのは。始めからこれ位しか採れないという仕様にしてしまうと、少し問題があるのではないかと思います。ですからやはり少なくとも50センチメートル~1メートルは頑張って採ってもらわなくては。せっかくこれだけのものを作って20センチメートルや30センチメートルであれば子どもの玩具みたいなものになってしまうような気がするのですが、如何でしょうか。

【大澤グループリーダー】 誠意、努力させていただきます。

【平委員】 ドリルについてですが、色々海底の複雑な、例えばチムニーやチューブなどの普通の掘削のユニットではほとんど採れないもの、あるいは全部引き剥がして持ってくるようなもの、コバルトリッチクラストであれば非常に急峻な崖にあるなど、普通の着座式や、普通の海底ボーリングでは採れないような場所から採ってくるというのが、これの最大のメリットだろうと思うのです。ただしその時どの位の深さまで要求するのかといったときに、例えば深さ1メートルと50センチメートル、あるいは20センチメートルであり、もちろん深い方が良いわけですが、材質も柔らかいものと硬いものを採ろうとすると、どうやって反力を持たせるかということが、これも最大の問題の一つです。そのときクローラ・スキッドのようなものを使って大地に少し重みを乗せて採るなど、色々なやりかたがあろうと思います。
 これらを総合すると、2メートルはちょっと無理かなという気がしますが1メートルは守備範囲かなと。 

【大澤グループリーダー】 検討いたします。

【磯﨑委員】 私もその開発の方に関与している人間でございます。先程おっしゃったように、今までROVというとカメラ主体で、中々海底での作業が出来なかったものです。こういった作業をさせるROVは、画期的なROVであろうと思うのです。しかし先程おっしゃったように何センチまで掘れたらいいかと言う点については、多分メタンハイドレート、コバルトリッチクラストであれば数十センチメートルでしょう。熱水鉱床であれば、掘削性がちょっと違ったボーリングマシンでなければ無理だろうと思います。我々が開発するにあたって、そういったニーズから実際にどのくらいが適切か、作ったけれども役に立たなかったでは困りますので、是非またそんな話はどこかで議論して頂きたいと思います。

【浦委員】 どれだけ深く掘るかというのはこれ自身では難しくて、簡単な地面据え置き型のものを作っておいて、そこに電力なりトルクを供給するということがマニピュレータで出来ればいいのですよね。そうすると色々な幅が広がるのですが、そうした電力あるいはトルク供給装置のようなものは付いているのですか。

【大澤グループリーダー】 それはスキッド機構に、全て、油圧のポートから全部配置する予定でございます。市販の2メートル掘るコアリングマシンや、ROVに脱着するコアリングマシンがアメリカにもありますので、付けることも考えました。しかし、ROVにすべて装備するとなると非常に重くなってしまうということです。今度は上げ下げができなくなってしまうということもございまして、取り敢えずこれを浅いコアリング機能でもよいということで考えてみました。やり方としては、そのようなコアリングマシンがあれば、それにROVでいって操作するということも可能であると考えています。

【浦委員】 操作だけではなく、電力供給が出来るかどうかです。

【大澤グループリーダー】 それはスキッド機構に全部、ペイロード用の電源なり油圧機構を用意しますので、そこに繋ぎこむことにより油圧なり電力をコアリングマシンに送ることが出来ると考えています。それは観測機器も全部同じです。それと同じ思想です。

【浦辺主査】 中々議論が尽きないところだと思うのですが、今頂いた資料だけでは中々その実態が見えない。これでまだ仕様には大分遠いものがあるのかなと、個人的には思います。ただ、時間のこともありますので、今まで頂いた資料、ご議論を頂いて、またその後も是非皆さんから色々なご意見を頂いたうえで、最終的に仕様を固めるということになると思います。これはいつごろまでに仕様を固めるということになりますか。

【大澤グループリーダー】 平成23、24年度で建造ということで、完成させなければいけないので、仕様はもうほぼ固めていまして、これから建造に出すという段階です。だから遅くとも7月中にはすべて固めて、8月に建造をスタートしたいと考えています。

【浦辺主査】 そういうことですが、これは中々、議論でこの資料を基に全部は出来ないと思うので、ご意見がありましたら事務局に寄せていただいて、最終的には、仕様については委員長預かりということで宜しいでしょうか。

【谷内閣参事官】 仕様で一つよく分からないところがあるので教えてください。最大潜航深度7,000メートルですが、目的を見ますと海洋資源探査に資するということです。すると資源があるところの深さから先7,000メートルまでというのは何を想定しているのかというのが分からないのです。逆に最大潜航深度を6,000メートルよりも浅くすると色々なものの耐圧設計が急に楽になるし、あるいはコバルトリッチクラストや熱水鉱床などが今あると思われているところの深さを考えると、あるいは現実的な開発の可能性などを考えると、最大潜航深度は3,000メートル位でいいのかもしれない。別に、資源研究プロジェクトに活用ということを掲げている。これは資源開発とは関係ないので、資源開発よりももう少し深いところでも探査をすると言うのでしょうか。それにしても7,000メートルである必要は何なのでしょうか。7,000メートルにすることによるドローバックというのは沢山あると思うのですが、何故7,000メートルなのかを教えていただきたい。

【大澤グループリーダー】 資源というのはコバルトリッチクラスト等5,000メートル位までで見つかっている。ただ熱水鉱床についても、カリブ海で5,500メートル以上の深いところでも発見されているという世界的な状況もございまして、その中で海底資源研究プロジェクトから、深いところに対する熱水鉱床の新たな成因なども研究対象として、今後やっていくということを聞いておりますので、深度としては7,000メートルまで考えています。更に今回の無人機に対しては「かいこう7000」を改造するということですので、深度としてはそれに合わせたような形になっています。

【浦辺主査】 ご納得いただけましたか。何か首を振っておられますが、中々難しいですね。

【谷内閣参事官】 時間もないようですし、あまり深入りをしてもしようがないかと思うのですが、どういったタイムフレームでこれを使っていくのか。その中で5,500メートル、要するに資源の話で今盛んな部分と、ロングレンジでもっと深いところでどうだという話は少し違うのかなと思うのです。だからどこにスコープを当てていて、どの位のタイムフレームでこれをやっていくのか。今後やっていくと聞いているから7,000メートルまで行けるようにしたとおっしゃったのですが、その話は、実は私ちゃんと承知していないのですが、それに対してどういう答えを返すのかというところがよく分からないのです。特に6,000メートルを超えると色々と面倒臭くなると思うのです。それを敢えて7,000メートルにされなければいけない。それにより色々なものが重くなる。お金もかかり大変です。敢えて6,000メートルから7,000メートルの間。5,500メートルと先程おっしゃったけれど、それ位から7,000メートルまでの間のところも視界に入れなければいけないという必然性や緊急性ですね。これは何年もつのか知りませんが、その間に7,000メートルまで潜らせなければならなくなるということなのですか。

【平委員】 基本的には3,000メートルまでのビークル方式で資源探査のかなりの、あるいは資源研究のかなりの部分がいけるのだろうと思っています。ただし熱水システムの全容を解明していくというミッションもあります。もちろんこれは資源にも関係あります。場合によっては生命の起源など、我々の研究対象は、資源を中心にその周辺の地球科学あるいは海洋科学全体にもあるわけです。それを考えると、先程言ったように6,000メートルクラス、場合によっては7,000メートルの深いところからも熱水が発見されていますので、そういった部分も視野に入れて作業が出来るようにしたということです。ある意味では両輪を目指している欲張ったものではございます。3,000メートルクラスはハイパードルフィンがありますので、それに高機能を付加して、更に7,000メートルという深いところもやれるようにしたということで、資源研究の幅広い分野に役立つということです。

【浦辺主査】 時間がないので申し訳ありませんが、また最後に少し時間が取れればと思います。どうも大澤さんありがとうございました。

(2) 海洋鉱物資源の調査に必要な船舶

【浦辺主査】 引き続き、報告書の骨子案をご覧いただいたと思いますが、そこに大変刺激的なことが書いてあります。これまで議論してきた探査機を運用する等して、探査の技術実証のための調査をするということです。これに新しい船舶が必要であるのか。もし必要であればどのような船舶であるべきかについて議論をしたいと思います。
 先ず、海洋機構で海洋鉱物資源の調査に必要な船舶について検討しておられるということで、海洋機構経営企画室の菊池次長からご説明をお願いします。

【菊池経営企画室次長】 はい。海洋機構 菊池です。よろしくお願いします。
 主査がおっしゃったように、機構の中では何年間か新しい船について検討しているところです。現在予算のついているROVやAUVのようにしっかりしたものを進めなければいけないというところまでは、まだいっておりませんが、いずれにしても船舶というのは必要になってくるであろうということは、内部では何度も議論されているところです。
 JAMSTECは現在7隻、「ちきゅう」を含めると8隻の船を運航していますが、それぞれ効率的な運航を心がけながら、厳しいタイムスケジュールを作りながらやっているところです。今お話に出ているROV、AUVは他の船でも使える形ではあるものの、このような探査技術の実証、基盤ツールの確認等には、明らかにプラットフォームとしては資源が不足しています。海底鉱物資源の有望な海域において、資源量の把握に資する海洋調査を加速化させるために、それなりの船が必要ではないかと考えています。
 具体的な機能です。下の図に描いてありますが、マルチビームの音響測深器や反射法地震探査システム。先端技術を搭載した無人探査機を運用し、海底を精密に調査するという項目の中で、複数の巡航AUVが運用でき、作業型のAUV、高機能のROVなどを運航していく。取得したデータやサンプルを船上で迅速に分析する船上ラボなども必要であろうと考えています。これらに加え色々議論をしていただき、新しい探査技術実証のための船を、なんとか我が国として整備していきたいと思っています。ご意見等いただければと思い、今回は1枚ものの資料を作ってきました。
 以上です。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。資料1-2に、非常に簡単な記載がしてありますが、これはJAMSTECの中の何隻かの船は耐用年数がきています。JAMSTECとしても船舶の更新は非常に大きなことだと思います。その船の更新と、この新しい必要な船舶との関係はどういったことになりますか。

【菊池経営企画室次長】 確かにおっしゃるとおり、船齢30年程度の船が「淡青丸」を含めて3隻あります。考え方としては、今実際に使っている船の業務を整理して、今の世の中では、ただ単に船を増やしていくということは難しい状況であると思いますので、ある部分は整理整頓していかなければいけないと思っています。

【浦辺主査】 これについてご意見がありましたら。

【小池委員】 この前にご紹介のあったROVの考え方は、なるべく色々な船でも使えるという考え方ですね。方やこちらは専用船という考え方が非常に強いのですが、両方がマッチングしていない印象なのです。非常に大きな方針として、色々な船でも使えるようなものをこれから開発していこうということなのか、やはり従来のようになるべく専用船でそれぞれに合った形を指向されているのか、どうなのでしょうか。

【菊池経営企画室次長】 ROV、AUVはある意味予算上、色々な船で使えた方が良いという形で、今現在やっているところです。しかし実際には、今使っている船はかなりのところでそれぞれの従来の目的で研究航海のスケジュールが出来ているというのが現状です。可能であれば、こういったことにある程度特化した船を建造してやっていきたいということが、本音としてあるわけでございます。

【磯﨑委員】 今の補足になりますが、先程おっしゃった、今作っているAUV、ROVは「単体であれば」出来るだけ色々な船で使いたいと思っています。これの一つの大きな目玉は、複数のAUVを1隻の船で動かしたいということです。今後AUVの数も増えてきますが、それぞれ1隻ずつ、どの船でも動かせるとは言い条、1隻ごとに動かしているととてもそれだけの船では動かすだけの時間が取れません。一つの船である程度の複数のAUVを動かすための音響装置、AUV側のシステムも当然必要です。そういったことをこれの大きな目玉にしたいと思っています。

【浦辺主査】 確かにAUV、ROVを一つひとつのシングルミッションでやるというのは、中々効率が上がらないということもありますので、複数のものが使えるのは非常に大きなメリットだと思います。そうするためにはどんな仕組みが考えられて、そのためにはこういうことだというのがもう少しわかると有り難いと思います。他にご意見ございますか。

【小池委員】 結局複数というのは、船としてはいくつかそういったものを載せていくことは出来るけれど、それを同時にオペレーション出来るかどうかがかなり大きな話です。それが一回に一つずつということであれば、確かに1航海で色々なものを取り換えながらやることは可能なので、今までよりは広がるわけですが、これで目指しているのは、例えばROVとAUVを同時にオペレーションできるようなシステムにしたいということなのでしょうか。

【菊池経営企画室次長】 そういうことです。ROVを活動させて、最初にAUVをどこかで作業させながら、ROVを別の場所で作業させる。複数のAUV同士の連絡はまだ技術的に難しいという話が伝わっていますが、AUVを同時に複数扱いたいと考えています。

【浦辺主査】 他に。宜しいでしょうか。
 JAMSTECは調査船を沢山持っておられて、それと今度の船は何が違うのかが非常に重要な点だと思います。ここにイラストが描かれていて、海底に色々な機械があり上に船があるというというイラストは、これまでもJAMSTECでいくつか描かれていると思うのです。それと何が違うのか、普通に見てもほとんど変わりがない。それは説得力が弱いと思います。船の絵を一つ描くにしても、それを見れば「なるほど、これは違うのだ」ということが分かる。あるいはもう少し、今までは出来なかったシーステートでも出来るとか。そのような新たな仕組みがきちんとできていれば、非常に高い効率で、しかも広い海域で色々なことが画期的に増えるというイメージがなければ、中々財務当局を説得するのは難しい感じがいたします。

【平委員】 船の形等々で判断されると、あまり格好良い話ではないのではないかと思います。例えばムーンプールが必要なのかどうかも含めて、どんなクレーンシステムで、どんなランチャーで降ろすだけなのか、色々なやり方があると思うのです。しかし船の形は別として、仕事内容から見ると複数のAUVやROVを同時に制御しながら、海底で精密な作業を行う、あるいは海底のステーションをメンテナンスする等々、そういった作業が急速に増えてきていることだけは確かです。基盤ツールの開発等々に向けても、その航海日数が非常に増えていることは確かです。それを今までのJAMSTECの船の入れ替わり、立ち代わりの運用でやっていくのはそろそろ限界にきています。尚且つ新しい技術の蓄積をそこに1本化してやらなければいけない。
 我々としてはこんな海底の作業に特化した、もちろん資源に一番役立ちますけれど、資源だけではなく海底のケーブルネットワークのメンテナンス等々、更に海底の孔内の様々な観測ステーションなど、海底の作業は非常に増えてきています。是非最新鋭のこんな船があれば、我が国のために役立つと思っています。
 船の形はこの絵でこだわらないでください。

【浦辺主査】 まだ色々と議論したいことは山のようにあるのですが、もう一つ重要な議題がございます。先ずそれに移っていき、時間が残ればまた戻りたいと思います。

議題2. 報告書(骨子案)について

【浦辺主査】 二つ目の議題はお手元の議事にあります、「報告書(骨子案)について」ということで、この骨子案について先ず簡単に事務局からご説明を受けて、それに基づいて議論をしたいと思います。この骨子案は事前にお送りいただいているので、目を通していただけたかと思います。では川口さん宜しくお願いします。

【川口企画調査係長】 事務局、川口でございます。この報告書(骨子案)は、これまで1月以来、今回まで4回の議論の中味を抽出して作ったつもりのものでございます。
 先ず、構成からご説明申し上げます。最初に「はじめに」としまして、この報告書を書く経緯というようなものを記述しています。第1章総論は、技術開発や海洋調査について、どういう考え方でやるのかというところの基本的な考え方をかいているところでございます。それ以下、2章から4章にかけてが各論でございまして、どのような海洋調査をやるのか、どのような技術開発をやるのか、学術的な研究課題として、今までどのようなことが分かっていてどんなことをやる必要があるのか、というものを書いています。最後、5章に、これらを実施していくにあたって、関係機関とどのように連携を進めたらよいか、というところについて述べている、という流れになってございます。
 それでは、中味について、詳しくご説明を申し上げます。

 「はじめに」については、今、申し上げましたとおり、これまで、この報告書を書くに至った経緯というものを書いてございます。ここでは詳しくは説明を致しません。

 「第1章 総論」から詳しくお話を致します。先ずこのプロジェクトでやるべきことは、海洋探査の技術の確立のための研究開発を進めながら、その技術を進めるために海洋調査をやる、というところが主な目的でございます。その過程で得られるデータにつきましては、JOGMECにお渡しすれば、実際の開発に役に立つようなものを得られるように進めていく事が必要であると、いう事が基本的な考え方でございます。ただ、得られたデータというものは海洋環境や海底下の生命圏、資源の成因に関する知見を得る、ということにも有効なものであると予想されますので、戦略的な探査手法というものを確立することを目的として研究を行うということも一緒にやりましょう、ということでございます。更に、これ、進めていくにあたりましては、各種連携機関と、連携をする必要かあるということを書いているところでございます。

 次に第2章に移ります。実際の海洋調査にはどのような意味合いがあって、どのような事をやるのだという事を述べているところでございます。冒頭部分は、どのような技術開発が必要かというところを述べたところでございまして、化学探査であるとか、三次元構造を見るための物理探査というものが必要でありますので、そのための技術開発、というのをやる必要があると。具体的にどのようにやるのかというのは、平成21年度の「中間とりまとめ」の中でもある程度書いてございますが、理論的にどのようなところにありそうかというのを絞り込んでいく、そこを、船とか探査機を使って地形をみる、化学センサーの反応を見る、海底下の様子を見るという形で絞り込んでいって、データを取っていくというところをやる。最後に実際にサンプルを採ってみてそれがどんなものかを確認をする。その後に、これは経済産業省の所掌になろうかと思いますが、資源量評価を実施する、というような流れになっていきます。
 これに合わせた形でどのようにやるかですが、先ず熱水鉱床に関しましては、最初は確立した技術、答えとデータを付き合わせながらやっていく必要性があるだろうということで、既にデータのあるような、沖縄トラフや伊豆小笠原海域で、既に調査のなされている所でやることが良かろうと考えています。その後は、実際に答えの分からないような状態で使ってみても使える技術になっているか確認をする、というところで、今まで十分なデータのないような所も対象にやるべきではないか、ということでございます。
 更に、実際には熱水活動の終わってしまった所にも、有用な資源が存在する可能性が指摘されておりますので、現在海底熱水活動が見られないような海域についても、古い熱水活動の跡を見つけるというようなこともターゲットにやっていくべきではなかろうかと考えているところでございます。
 次にコバルトリッチクラストについてですが、これに関しましては南鳥島の周辺の海域におきまして、過去に調査がなされている所、ある程度データのある所に関して、技術を確立するために、モデルケースを設定してそこで行うべきではないかと考えています。その後は、実際に今までデータの無い様な所に関しても使えるものだろうかということをやっていく必要があるだろう、というふうに考えています。

 引き続きまして、「第3章 探査技術の進捗状況と課題」でございます。冒頭の部分には、一連の探査システムとして技術を確立するために、開発者が独立して開発するのではなく、一気通貫に一つの探査システムとして確立させるように、成果を還元しながら進めていくべきではなかろうかというようなところでございます。更に、生値は随分得られるようになってきておりますが、それを適切に解釈してということが大事ですから、測定結果を適切に評価していくための方法を確立していく必要があると考えているところでございます。
 探査技術に関しましては、一応、2つに分けて考えております。センサーのような部分と探査機、プラットフォームのような部分に2つに考えてございまして、センサーの部分の進捗状況の現状としましては、今までに報告書に取りまとめておりますような技術が必要であるというレビューをしたところで、現在進めている基盤ツールでどのような進捗状況になっているかというところを述べております。代表的なところとしましては、化学センサーで新たな熱水活動を見つけることが出来た、コバルトリッチクラストの厚みを非接触ではかるということが出来たというような成果があがっているところでございます。ただ、最後のポイントのところに書いてございますが、実際の海域での試験が充分に行えていない、得られたデータを適切に解釈するような方法が確立されていない、或いは大きさや重さという条件のために探査機に載せるのが難しい、開発者が自ら使用しないとなかなか動かない等の問題点があるというところを指摘しているところでございます。
 今後どうのように進めていくべきかですが、これは、実際に海に入れて充分に試験を行わねばならないのが、最も重要なところでございます。それを行うことによって、新たに課題を抽出して更に高度化をしていくということが必要でございます。更にデータを適切に解釈する、評価をするための方法を確立しなければいけませんので、これに関しましては、例えばでございますが、利用者としての立場の、地球科学をやるような方とセンサーを作るような工学の方とが一緒になって、実際に深海を調べて解釈をして、ものを高度化していく、或いは新たなものを作っていくといったプロジェクトを行うということが考えられないだろうかと考えているところでございます。
 次に探査プラットフォームに関してですが、これに関しましては今まで海洋機構が進めてきた研究開発を、これを更に資源に関連した取組に使えるようにすべきであるということです。
 この8ページのところですが、今後取組むべき課題は、以前の「中間とりまとめ」や「当面の進め方」で述べられているのを着実に実施していくべき、という事であります。具体的に申し上げますと、必要な自律性をもつ、各種センサーを載せることができるけれども機動力・操作性とのバランスがちゃんと取れていること、複数のAUVを使うというものが出来るようにしておく必要があるだろうという事でございます。
 RUVと船舶の部分に関しましては先ほど議論がなされておりまして、それを反映させますというところでございます。現在書いているのは「仮置き」でございますので、先程の議論を踏まえて書き直すという形になろうかと思います。

 続きまして第4章に参ります。研究課題につきましてです。このプロジェクトのメインは、とにかく調査をする、技術を確立していくという事になりますが、やはり取れるデータというものは非常に有効なものですし、学術的な課題というものを解決していく事によって、資源をより上手く見つける、より有望な部分を限定していくことに貢献できる成果というものが恐らく得られるであろうとかんがえられますので、そのような点で重要な意義があるだろうと考えてございます。更に、学術的にも海底下の生命圏であるとかそういう知見を得る事が出来るであろうということと、海洋鉱物資源に関し、調査研究に関わることによって経験を積む、知見を蓄えるということを通しまして、若手の人材というものを育てていければと期待をしているところでございます。
 研究課題につきましては、熱水とコバルトリッチクラスト、更にその他の3つに分けてございます。それぞれについて、熱水とは、コバルトリッチクラストとは、その他の中では泥火山をクローズアップしてございますので、泥火山とは、としてそれぞれの特徴を述べた上で、何が分かっているのか、何をやるべきかという流れに統一的に作っておるつもりでございます。 熱水とは何か、コバルトリッチクラストとは何かにつきましては、皆様、既に良くご存知と思いますので、特段触れずに、分かっている事と、これからの課題という事について、ご説明を致します。
 これまで分かっている事としましては、熱水につきましてはサイトによって出てくる元素が違う、生き物がいっぱいいる、熱水には寿命があって、古いものに関しては埋まっている可能性がある。或いは、昨年9月の「ちきゅう」での掘削の結果からも、熱水循環系と資源として期待されるようなものの成因というのに深い関係があるだろうという事が分かってきている、今は熱水活動が存在しないような場所、例えばフィリピン海のようなところでも、熱水起源のものが見つかっているというところがこれまでに分かっているところです。
 研究すべきところに関ししましては、海底下の熱水系の規模、普遍的にどんな特徴があるのか、成因は何なのか、どういった元素がどういった所から来ているのか。こういったものが分かりますと、より効率的に探す、どれを商業的に開発するのが適当であるのかを判定するというところに貢献できる知見を得る事が出来る可能性があるだろうと考えています。さらに、生態系に関して調べておくことが、鉱床を開発するときにどれだけ負荷がかかってしまうのか、或いは遺伝子を含めた生物資源の保全というものに貢献する事が出来るだろうと考えております。更に古い活動の終わってしまった、熱水活動の痕跡は若干壊しても、そこにはもう生物はいないと考えられておりますので、これを見つける事が出来れば、開発に貢献出来るだろうと考えています。更には、古い海洋底の地誌というのを明らかにするというところにも、意味があると考えているところでございます。
 次にコバルトリッチクラストについてですが、これは熱源を要しない、海水からだけで出来てくる、若い時代の酸化物で、100万年あたり数ミリという非常にゆっくりした速度で出来ていくものであります。微細な内部構造を持っていて、組成にも上の方と下の方で随分変化がありそうだということです。更に古地磁気の情報を復元する事に成功したという事例もありますように、過去数千万年程度の海の環境というものを記録している可能性があるということがこれまで明らかになっております。
 何をやるべきかに関しましては、例えばどのように金属元素が濃縮されていくのか、沈殿していくのかの条件やプロセスというものが明らかになれば、よりうまく見つけるというところに貢献出来るだろうと考えられます。或いは詳細な成長速度や組成、内部構造をどのような条件が決めているのかも見ていく必要があるだろうと考えています。更に、微生物がどのようにこの生成に関わっているのかも、大きな意味があるのではないだろうかと考えています。先ほども申しましたとおり、環境が記録されている可能性がありますので、調べた場所においてどのような海洋環境の変化を経験してきたのか。海洋底は移動しておりますので場所による変化もありますでしょうし、全球的な海洋環境の変動の解明というものに関しても、重要な価値があるのではなかろうかと考えているところです。
 次にその他でございます。その他については、海底下における炭化水素循環メカニズム、といったところと泥火山という2つを上げております。
 最初に、炭化水素生成メカニズムと炭素循環システムにつきましては、日本の海底下には、後期白亜紀から古第三紀の有機物層がありまして、それが石炭や天然ガスという炭化水素資源の元として重要な資源を果たしているということが分かってございます。その天然ガスの一つでありますメタンを作るには、微生物が分解するパターンと、熱が分解するパターンの二通りがどうもあるらしいということがわかっています。そのうち微生物に関しては二酸化炭素や酢酸の反応で出来てくることが分かっています。更に、有機物が下のほうに大量に溜まるということが、何を意味しているのかという事に関しまして、例えば海洋の酸素が無くなってしまって、大量絶滅が起こるとか、そのような地球規模での気候や地質といった環境変動が大きく寄与している可能性があるだろうということが明らかになっております。
 これに基づきまして、どういったものをやれば良いかということです。堆積物の中でどのようなプロセスで有機物が分解されていくのか、生き物がどのように関わっているのかを明らかにする事によりまして、炭化水素の生成メカニズムを把握する。それによってどんな場所を探せば良いかに寄与していくのではないかと考えております。更に、生成場の解明に資する新たな手法というものを作るというところで、メタンがどのような深さにある、どのようなところで作られているということを明らかにする事で、どのような生成過程なのかという解明にも貢献できますので、うまく探す、有望な所を判定するところに貢献出来るのではないかと考えております。深いところでの炭化水素の生成の場の条件、熟成していくプロセスというものを明らかにすることで、資源がどのように分布をしているのかが分かる、地球の歴史の中での物質循環、気候変動との関わり、或いはもっと地下の深いところを含めた物質循環の解明について、何か分かるのではないか、重要な価値があるのではないかと指摘しております。
 次に泥火山について、地下の深いところにある粘性や密度の低い流体がガスを共に上がって来まして、数十メートルから数百メートルのマウンドのようなものをなしているものでございまして、沈み込み帯の周辺や油田・ガス田の辺りによくあるものでございます。温度と圧力条件によっては、中に大量のメタンハイドレードが存在しておるということが分かっておりまして、メタンハイドレードの資源としてどれ位有望なのか、分かりませんけれども明らかにしていく必要があるだろうというところです。深いところからメタンハイドレートを集めて持ってくるという性質があると理解してございまして、ナチュラルパイプラインとして機能しています。どのような形で、深いところで流体が作られるのか、濃縮されるのか。深い所から上がってきているものですから、深い所に由来するような生命の存在というものの検証などにも有効だろうと考えています。
 これまでに分かっているのは、南海トラフであるとか、種子島の沖にたくさんありまして、どうやら断層活動であるとか、地質活動の変動に大きく関係がありそうであるというところです。更に、熊野の泥火山では、先ほども申し上げましたが、大量のメタンハイドレードがどうやら入っているらしいということが分かっています。その中から出てくる水を調べてみますと、最大で、リチウムが海水の1000倍程度濃縮されているところもありそうだ、というところでございます。
 研究すべき課題と致しましては、泥火山の中にどんな形でメタハイが入っているのか、どのように生成されているのかといったプロセス、なぜ高濃度のリチウムを含む水が出てくるのかという濃集移動のプロセスや、泥質流体、天然ガスの起源等を明らかにしていくことで、泥火山の実態を明らかにしていく、或いは資源として開発できるのか、開発するとすればどのようなものを開発すれば良いのだろうかを判定することにも、貢献できる可能性があります。また、我が国はプレートが多数ひしめきあう、いろんなところに断層があるという複雑な地質環境でございますので、断層運動や流体の変動とも関係がありそうだというところから、我が国周辺で流体がどのように動くのか、どのように天然ガスは濃縮されてくるのかを解明をしていくことができると考えています。或いは生命の存在、代謝特性、どんなものがどれだけ生きているのか等を明らかにすることによって、海底下の生命圏の実態を明らかにする、生態系の機能を使った何か、例えばメタンを作ってくれる細菌を使って何か出来ないか等の基盤的な研究も期待する事が出来る、というところでございます。

 次に、「第5章 関係機関との連携」のところでございます。各機関の取組状況につきましては、皆さんご存知のところもあるでしょうから、若干割愛したいと思います。各機関の間での連携につきまして詳しくご説明致しますと、センサーの実証のためにシップタイムを確保する等して、確実に海の中で実証する必要がある、というところがまず1点。更に、得られたデータの妥当性や有効性を検討するためには、「答え合わせ」をしなければいけないということでJOGMECが既にお持ちの調査結果等と比較する事が大事です。或いは、得られたデータを資源利用評価において活用していただきたいと考えてございますので、海洋機構とJOGMECが密接に連携を進めてやっていくということが大事です。
 更に、海域や内容の重複があっては無駄になりますので、効率的に進めるためには、プラットフォームをもつ海洋機構、或いはJOGMEC、海上保安庁との間で充分に調整するということが必要であるというところでございます。
 また、海洋機構開発中の無人探査機につきましてはJOGMECの「第2白嶺丸」、或いは現在建造中の「白嶺」において運用することも通して、その機能の実証を行っていく必要があるだろうと考えております。
 また、保安庁の測量の結果も今回の調査に活用していきたいですし、このプロジェクトで集めたデータも、水路業務等々で活用していただければというところでございます。
 3番、調査結果や知見につきましては、実際に有効にやるためには知見を共有していく必要があるというところと、学術的成果というのは広く発信する必要がありますが、資源エネルギー安保上の問題もありますので、発表するときには中身についてはちょっと気をつけなければいけません。

 最後、別紙のところにつきましては、AUV、ROVの仕様、或いは求められる船の性能等について、また先程の議論も踏まえまして、差し替えたものにはなろうかと思いますけども、つけたいと考えています。最後には、海洋機構がどのような形で進めていくかというところも考えておりますので、それについても、これは未だイメージですけれども、適切に直しまして、付けたいと考えておるところでございます。

 若干分かり難かったかも知れませんが事務局からご説明、以上でございます。

 【浦辺主査】 どうもありがとうございました。ご意見等ありますでしょうか。今日は増田委員の代わりにオブザーバで岡本課長がご出席いただいていますが、JOGMECの名前が随分出てきたので、何か一言。

【岡本深海底技術課長】 今日は、増田委員の代理で参加させていただきました。JOGMECでは、海底熱水鉱床およびコバルトリッチクラストの調査を担当しております。
 それで、今日の報告書の全体を見せていただいた印象ですが、結構海洋調査に重点をおいた書き振りになっていると感じました。一つだけ気になったのは例えば4ページ目のところですが、探査技術実証のための調査は必要だとは感じておりますが、具体的な海洋調査の手順として書かれているところは、実は中味を読んでいくと、私どもがやっている探鉱そのものに非常に近いことが書いてあると思われます。
 私も過去に陸上の探査機器の開発・実用化プロジェクトに携わったことがありますが、技術開発で一番重要なのは、一番情報のあるところで試験をやって、そこでケース・スタディーを作って、それが商業化に結びついたものです。実際、例えばSQUID磁力計を用いた探査技術開発などでも、まずかなり地下構造が分かっている、地下の鉱床の分布がある程度分かっているようなところをモデルケースにして実証実験を行いました。この技術の実証でも、まずは情報のあるところで実施することが有効ですし、私たちJOGMECでもかなり情報を持っているところがありますし、この研究開発のために情報を提供できると考えています。十分に探査が出来てないところに無闇に行くのは、技術開発の手順としてはどうかなという印象がありました。
 それと、JOGMECの取組みのところ、14ページから15ページにかけて、少し、事実誤認のところがありますので、それは後ほど確認させていただければと思います。
 また、是非JOGMECとしても様々な連携をしていかなければいけないと思いますが、ただ、先ほども川口さんが言ったように、資源エネルギー安全保障上の問題もございまして、情報の共有という感じになってくると、そこはかなりご相談させていただく形になろうかと思いますので宜しくお願いします。
 以上です。

【浦辺主査】 そうですね、若干、書き振りでは微妙なところがあると思います。それとやはり、どうしても探査と技術実証が、時々混乱がおきているというのはあるので、是非、JAMSTECのやること、JOGMECのやることが、ある程度きちんと分かれているのが望ましいと思います。

【久保田鉱物資源課長補佐】 資源エネルギー庁の久保田でございます。全体で3件ほどコメントをさせていただきます。
 今、JOGMECの岡本課長に言及していただいたものに、ほぼエッセンスは尽きるのですが、先ず1点目は、今、浦辺先生からもご指摘のあった実証試験と、調査・海洋探査というのは、どちらが目的でどっちが手段になっているのか、よく判りにくい。例えばこの報告書が外に出る事によって、一般的な人に「もしかしたらJOGMECがやっている事業とJAMSTECさんがこれからやる事業というのは重複しているのではないか」という誤解を与えないような表現にしていただきたい。それは、JAMSTECとJOGMECの連携という結論になるようにしていただきたくて、JAMSTECとJOGMECの重複事業となると、国家予算の効率的な執行の観点からも余り良くないので、誤解の無いような書き振りにしていただきたいのが一点です。
 2つ目は14ページ、15ページありますけれど、JOGMECの活動内容について、誤認と言いますか、中途半端な書き方になっているところもありまして、是非このロードマップと言いますか大きな方向性、JAMSTECとJOGMECの連携の方向性を書くので、大切な基本となるものなので、報告書を作る段階でJAMSTECとJOGMECで連携をしていただきたい。少なくとも、JOGMECにこの書き振りの確認をしていただきたいとお願いしたいと思います。
 3点目が、情報共有という言葉が幾つか出てくるのですが、少なくともボーリングデータ、検証の段階で必要となる資源・エネルギーに関する情報については、情報共有とは思っていません。実際の作業は、JAMSTECとJOGMECの間の情報共有という意味ではなく、一方的にJOGMECから情報を提供します。そしてこのデータの検証にはJOGMEC関係者も当然入ります。更にJAMSTECの内部でもこの対外秘の情報の取扱は、扱える人、関係者は限定していただくということを想定しております。
 この3点についてお願いでございます。

【浦辺主査】 はい、今久保田さんのおっしゃった事は、ずっと資源エネルギー庁でもおっしゃっている事で、特にこれが文科省でやろうとしてらっしゃる事と、何かコンフリクトがあるということでは決してないので、表現上は少し直したらいいと思います。具体的には、内容的には違う事をやっておられるので、一般の方にその違いが分かるような書き振りのほうがいいと思います。
 それと、他に、この骨子案が、どのようなスケジュールで報告書にはなっていくのか、ちょっと説明いただけますか。

【川口企画調査係長】 若干「その他」の議題にも入ってしまう中味でございますが、これを、頂きましたご意見を踏まえまして、骨子から文章の形を練り直しまして、7月から8月にかけて、何処かで1回、実際の報告書として皆様にお諮りを出来ればと考えています。それを今度、8月の恐らく後半になると思いますけれど、海洋開発分科会に報告を上げると言う形を今のところ考えてございます。

【浦辺主査】 はい、ということで、今日何か時間のある限りいろいろ議論もしたいのですが、もし、言いたい事が残ったような場合には、川口さんのほうにいつごろまでに言えばいいのかという、大体の予定を教えていただきたいのですが。

【川口企画調査係長】 まだ、次回の委員会の日程を決めてはございませんので。

【浦辺主査】 はい、分かりました。ではそれも頭に入れて、今日言うべきことは、是非。

【浦委員】 この、4ページですが、先程の船の建造等もありまして、この基盤ツールか何かでやっている開発ものをいろいろ実海域でテストする事に関して、シップタイムを確保することは重要ですということはこの場で言われていて、文科省もそのようにしますと前々からおっしゃっているのですけれど、隣の小池先生がどれを採択するかと言う採択の委員長をされていて、私はその委員なのでそこでも議論があるのですけど、簡単に言うと特段の配慮はされていないような気がするというのが、正直なところで、確かに非常にきついですね。
 とにかく、新しい機器の実験と言うのは非常に時間が取られる上に、一日やって何とかと言う問題じゃないところがあります。そこで、今の新しい船の建造も含めて、是非このシップタイムの確保も機器開発に充分に取れるようにしていただきたい。もしもJAMSTECだけで出来ないなら、違う文科省傘下の船なり、使えるものがあれば使えるような、他との連携というものを積極的に進めていただいて、シップタイムを是非確保して、現場での実機の試験が出来るように、手はずを整えていただきたいと思います。宜しくおねがいします。

【磯﨑委員】 今、浦先生がおっしゃったように、骨子案の中にも、センサーと実際の船を動かすほうとの連携が必要と書いてありますし、私どもも、ROVにしてもAUVにしても箱物だけ作っていたら意味がないと考えています。やはり実証と言う意味ではセンサーとの連携は是非必要で、ここでは15ページにも「センサー等の研究開発機関とJAMSTECが協力して行うことが重要」と書いてありますが、では実際にどのようにして連携していくか、誰が全体を見るかと言うことがないので、今までのシステムでやるしかないかなと思っています。
 浦先生からありましたように、比較的センサーの公募の採用率はそう悪くないのです。ただ、それをファストトラックでどうやってやるかというとちょっと議論が別になります。現状ではセンサーを船舶運用の公募に出されたときに、判定がセンサーだけが別になされるわけではなくて、みんな一緒です。先ほど申しました様に、このように実証システムとして見たときに、AUV、ROVとセンサー等のタイアップは、必要であれば別のシステムで、その採択を考えていかなくてはならないのではないかと考えます。そそういったシステムが核になって、実際の実証をどう動かしていくかというところまでみるようなことも考えていかなくてはいけないかなと思っています。

【小池委員】 今、浦さんがおっしゃったように、JAMSTECの共同利用の面倒を見ているのですけれど、一番の問題は、技術開発については、今の公募の評価方式ですと、なかなか難しいということですね。というのは、やはり、サイエンティフィックな成果や意義の方が、評価のときにかなりプライオリティーは高くなりますので、技術開発については、どうしてもそれよりはランクが落ちてしまう。ですから、基盤ツールが始まったときに、ではそれは別枠にするかという議論もあったと思います。
 ただ、別枠にすると、元々シップタイムが限られている中で、どこかにしわ寄せが来るのですね。そのしわ寄せを、JAMSTEC機構内の研究がかぶるのか、それとも公募研究のほうから削るのかというのは、これどこが判断するのかというのは、私もよく分からないところがあります。ですから、やはり機構と文科省できちんと話をしていただいて、一体これをどのように扱うか、しっかりした議論の結果をこちらの方に言っていただければ、委員会に諮って議論できると思うのですけど、今は、そこがはっきりしないので、従来どおりの扱いになってしまっているということです。

【浦辺主査】 はい、ありがとうございます。今年は、私もセンサー会議も関わってきて、実際に去年、堀内課長のほうからも、来年はシップタイムをなるべくとおっしゃって下さって、実際にふたを開けてみると、私の印象では思ったより多い航海ができているのかなと思いました。
 1年間やってみると、様々なセンサーが調査されているということになると思います。ただ、具体的にすごく進んでいるものもあれば、そうでもないものもあって、1年経ってみたら一度検証してみる必要があるのかなと思いました。やはりこのようなものは何年も時間が掛かるので、今年シップタイム1回あげたから来年から使えるようにしろというのは不可能な話で、竹内技術参与はよくご存知だとおもいますけれど、少し長い目で見てあげないと、なかなか難しいという感じがします。
 そのような意味では、骨子案に出てくる探査技術の技術実証という事は、今年初めてスタートした非常に記念すべき年だと思います。それが、上手く今後も、ある程度長い目で続くということは非常に必要なことだと思いますし、いまそれを実際に脇でみていますと、骨子案には、まだその事情が余り反映されていないかなと思います。それが、JAMSTECも含めたこの委員会での非常に大きな特徴で、世界的にみても、全くこのような努力をしている国はないものですから、そのような意味では、十分とは言わないかも知れないけど、大変面白い試みがされているという気はします。
 ただ、不十分な点はたくさんあるので、いろいろ委員のご意見をお聞きしたいのですが、特に陸上の探査にかかって、いつも辛口のコメントをしてくださる阿部委員から、何か一つお聞きしないと。

【阿部委員】 はい、これ、4ページ目、第2章の表題ですが、「実証のための調査」と、これがエッセンスになっていますよね。この海洋鉱物資源開発は、海底熱水鉱床についても、コバルトリッチクラストについても、最終的に判断するのはボーリングによってサンプルを採ってくる、これを分析することによって始めて資源量評価が出来るわけです。
 ここで「実証のための調査」とはその前の段階ですよね。どこにサンプリングをするか、その場所を選んでいくと言うプロセス。ここまでなのだという意味に私はとっていますけれど、それで宜しいでしょうかという事です。その後に実際に、ボーリングをしてサンプルを取って、資源量を評価し、さらには開発に結び付けていくというのは、これはJOGMECの役割だと理解しているのですけど、この辺の書き方が、何か今ひとつクリアカットじゃないなという印象が私にはします。ちょっと、面倒なことですけれども。
 以上でございます。

【浦辺主査】 はい、非常に分かり易く、私も同意できる内容だと思いますが、他に是非、骨子案ということで、一言必ずみなさんからご意見をいただいておいて、それで足りないものは後にお伺いするとして、是非、一言。

【岡本深海底技術課長】 海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストとは関係ないですけども、特に10ページから11ページのところで、私も特に常々思っていることがございます。海に携わる若い人材がいないという中で、海底熱水鉱床とコバルトリッチクラスト、メタンハイドレートは必ずどんな資料にも出てきます。ただ、海底鉱物資源というのは3つありまして、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラストの他にマンガン団塊というものもあります。
 実はマンガン団塊の中には、銅が1%、ニッケルも1%、入っていて、たとえば銅について言いますと、昨今、陸上資源では品位が低下してきて、0.5とか0.3%しか入っていないのが現状ですが、マンガン団塊には1%の銅が入っています。最近では、ドイツが2006年にハワイ沖にマンガン団塊の国際鉱区をとっていますし、最近では色々な国々で鉱区の申請の兆しもあって、マンガン団塊が少し見直されてきている雰囲気もあるのかなと感じています。その辺がどこまで事実かどうか分かりませんけど、その中でもう少し、マンガン団塊の研究課題はないのかなと、ちょっと最近素朴な疑問を持っています。特に、マンガン団塊の調査では、近年、JAMSTECも入ったKaplanプロジェクトというものがありました。そこで環境のデータも取って来たこともあって、まだまだ研究テーマとしてあの海域にはあるのではないかと私は思っています。
 以上です。

【谷内閣参事官】 2点ございまして、16ページですが、JOGMECとJAMSTECの調整や協調が必要という事が書いてある。16ページの7行目に「海上保安庁などとも十分に調整」ということがございますけど、あるいはその数行下に、「海上保安庁の測量船の地形データを活用する」とある一方で(3)の頭のところで、JAMSTEC、JOGMECで事前調整、情報共有が必要とありますが、海上保安庁はここではもう出てこないということでいいのかというのが質問の1点目。
 もう一つはコメントでございますけれども、当然、資源セキュリティーの問題はありますが、そうではない情報、データについて、GISのようなところで情報管理をすることについて。色々なスケールの違いがあったり、分解能の違いがあったり、あるいは捉えているデータの向きが違ったりするのですが、それは、GIS上で管理されていると使い易いのではないかと思います。その情報管理のところが全然無いですね。それはどうでしょうという質問のような、コメントのようなものですけど、以上2点です。

【浦辺主査】 はい、それはどうでしょうか、どなたか答えられる、冨山さんはいかがでしょうか。

【冨山海洋調査課長補佐】 海上保安庁としては、ベースマップの調査をやってきているという事で、そのような調査の成果を、資源の探査技術実証という形で活用していただくと言うのは非常に光栄なことだと思っております。谷参事官からご指摘があった部分については、資源量把握に活用するためとあって、対象となっているデータ、知見というものが、実証実験の成果という事だと思いますので、ここに海上保安庁を入れろという事ではないのかなと思います。

【浦辺主査】 その関連で言うと、私は元、工業技術院地質調査所というところにおりまして、ここにもOBの方が何人かおられますが、やはり国土の資源みたいなものは、陸上の場合ですと地質調査所が明治の始めに、そのほかの研究所に先駆けて作られてずっとやってきて、残念なことに最近あまり存在が見えないのですけれども、海底資源図のようなものを最初に作られたのは、地質調査所の方々です。
 骨子案の中にも、JAMSTEC、JOGMECは何度も顔を出すのに、一度も地質調査所は書いておられない、探しても出てこないと、大変にさびしい思いをしていました。幾つかそのような、この際、関わっているところがあれば、これは勿論久保田さんのほうで少しやられる必要があるのかなとも思いますし、それから内閣官房でも、是非そのようなことも考えていただければと思いますけれど、なるべく枠を2つの機関に限らないでやったほうが、色々なところに人がいるのかなという感じがありますし、色々な情報を持たれているのかなという気がします。
 また、先ほど岡本課長からも話がありましたけれど、10ページに「若手人材を育成することにも繋がる」と言う文章があるのですけれど、やはり人材の育成というのは、「繋がる」のではなくて、もう少し強く書いて欲しいなという感じがしました。これはやっぱりキーになると思うのです。

【平委員】 はい、ちょっと、元に戻るような話なのですが、3ページの総論、ございます。何のためにこれをやるのかということと、JOGMECや、いわゆる資源開発そのものの探査と、この探査技術にデマケーションがあるのかないのかということに関係する話です。僕は海洋機構中心に大学も含み、文部科学省が中心になってやる一種のプロジェクトというものは、経産省が資源開発を目指し、民間の開発に直接関連するような事をやっていくこととは、ちょっと違う意味合いがあるのだろうと思っています。
 研究あるいは理学的なアプローチとエンジニアリング、技術開発やその中には探査もあるでしょうし、様々な環境を計ることや様々な成因に関する研究、そのためのセンサーもあるでしょうし、そのようなものが一体化して、「戦略的」と書いてあるのは、成因も分かれば新しい探査技術も生まれてくる、あるいは新しい探査技術から、新しい成因論が出てきて、それによって次なるステップに踏み込めるというルールが始めからここに組み込まれているということが私は非常に大事な点だと思います。
 そのために研究という第4章が出てくるわけで、第4章の10ページで非常に高邁なことが書かれていて、なんとなくこれが付け足しみたいになっています。総論では、単にデータを活用して研究開発をやると言うことになっていますが、ここでは一緒のループに入っていて、同時並行的にお互いに知恵を出して、理工融合の新しい資源開発や新しい資源探査手法を、一番上流の部門で一緒に開発していくというはっきりした目的、はっきりしたスタンスを、もうちょっと書き込んでいただきたいし、必要だったらご支援申し上げますので、宜しくお願いします。

【堀内海洋地球課長】 その点についてはですね、平委員がおっしゃるとおり、研究開発の知見が資源の探査の色々な技術にも反映されるということはとても分かり易いし、重要なことではありますけれど、今回の報告書「総論」のところにこのような書き方をしたのは、研究を実施するときも、ここに書いてある、海底下地下生命圏の研究を単に実施するということになると、必ずしも資源という事ではなくても、いろいろな研究をされる。もっと言うと、海洋環境の研究というと、これも必ずしも資源に関係することではない研究も含まれるということです。
 今回は、この報告書でテーマとしているのは、やはり資源探査の技術の実証です。それによって将来見つけられる資源がどれくらいあるのか、どうやって取ったらいいのかというところを考えるといったところがポイントでありますので、この考え方としましては、やはり資源探査の技術実証というものが先ずあって、それに関わる、若干広がりを持つというのは悪いことではありませんから、泥火山等も悪いことではありませんから当然入れていきたいと思いますが、核になる部分は外して一般的な研究開発を色々やるという形には今回は出来ないだろうという事です。そこには少しある一定の考え方をいれたということでございます。
 平委員のおっしゃることもよく分かるので、文言についてはもう少し、積極的にということであれば、それは調整いたしますし、4章に書いてあることは、出来るという事であれば実際にはいいのかなと思ったりしておりますので、後ほどご意見など賜ればと思っております。

【平委員】 堀内課長のいう事も分かります。が、しかしというところでまたいろいろディスカッションしたいと思います。主査にもコメントを送りますので宜しくお願い致します。

【浦辺主査】 オブザーバーで来ていただいている岡本課長からも話がありましたように、やはり日本は探査技術の開発をやるのに、非常に良いフィールドですね。モノがあることが分かっている、JOGMECが80本のボーリングを1つのターゲットに対して行って、非常にきちんとした、実証的な資源量評価をやっておられる。そのようなフィールドもあって、それを、提供しましょうと言ってくださっているところもあって、このような事をやる時期、場所、予算というものが、三拍子揃っている段階です。しかもJAMSTECは船を出してくださっている。オールジャパンで協力をして、色々な事が少し前向きに動き出したのかなというところがございます。それを海洋地球課で引っ張ってこられるというのは、敬意を表するところでございますけれど、そのような強みのようなものが少し出てきて、その中で役割分担が綺麗にされて、この分野で人材育成もきちんと出来ていくというのが美しい姿かなと思います。
 個々のことはともかくとして、このようなものが将来的に、日本型の海洋技術というものをスタートさせるきっかけになれば、それがすごく、エヴリバディ・ハッピーという感じの形になるのではないかと思います。
 それで、時間も大分迫って参りましたので、是非この際、これだけは言っておきたいと、細かいコメントは事務局にお送りいただくとして、ここで是非言っておきたいという事がございましたら、お願いしたいのですが。

【浦委員】 先程の岡本さんからご意見があった事は、非常に重要だと思っています。
 要するに、センサーを開発しているときに、それがちゃんと動いているかどうかというのは、ちゃんと在る所で調べなければ意味が無いわけで、主査がおっしゃった、ボーリングを80本打っている伊是名のようなところのデータを、何処まで見せていただけるかよく分からないですけども、それはやはりもう少し教えてほしいと思うところです。
 一般に公開するという事ではないのかも知れないですけれども、少なくともここの委員の中では共有できるようなことがあると、センサーを開発する技術者にとっても、どのような事を考えて新しいものを考えていかなきゃいけない、あるいはプラットフォームをどう作っていかなくてはならないという考え方のネタになるわけです。ですので、ぜひオープンに出来るところを、ここででも教えていただきたいと思います。

【浦辺主査】 はい、ありがとうございました。それでは、まだご議論有るかも知れませんけどそろそろ時間が迫って参りましたので、一応ここで議論をしめたいと思います。先ほど川口さんの方からお話がありましたけど、本体が次回出てくるということで、楽しみにしたいと思います。

議題3. その他

【浦辺主査】 最後、もう一つ議事「その他」が残っておりますので宜しくお願いします。

【川口企画調査係長】 事務局よりご説明申し上げます。先ほどの議論の中で主査からの御質問にお答えしてあらかた喋ってしまったところですが、資料3をご覧ください。
 今後、7月から8月にかけて、次回の海洋鉱物委員会を開きまして、本体の報告書を取りまとめると言う事を予定してございます。その後、8月の恐らく後半になると思いますが、この委員会の親分科会である海洋開発分科会にこの出来上がった報告書を報告すると言う形になろうかと思います。第14回の委員会、第30回の分科会につきましては、現在日程を調整中でありますので決まり次第お知らせいたします。
 またこの骨子案に対するご意見につきましても、後ほど締切期日を指定してお送りしたいと考えています。以上でございます。

【鈴木海洋地球課長補佐】 ROVの仕様についても、大きなご意見がある場合、来週の火曜日までにいただければと思います。それを踏まえまして、こちらで詳細なROVの仕様を作成しまして、委員の先生の皆様方にお送りします。何か追加でお気づきがあれば火曜までに送っていただきますようお願いします。

散会

【浦辺主査】 どうも長時間にわたり、暑いところありがとうございました。それでは散会と致します。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課