海洋鉱物委員会(第11回) 議事録

1.日時

平成23年3月11日(金曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省旧庁舎 第1会議室

3.議題

  1. 海洋資源に関する学術的課題について
  2. その他

4.出席者

委員

阿部、磯﨑、浦辺、沖野、平、瀧澤、増田 の 各委員

文部科学省

藤木研究開発局長、田中政策評価審議官、川端開発企画課長、堀内海洋地球課長、鈴木海洋地球課長補佐、川口企画調査係長

オブザーバー

【関係省庁】
 総合海洋政策本部事務局  竹田内閣参事官
 資源エネルギー庁 資源・燃料部  久保田鉱物資源課長補佐
 海上保安庁 海洋情報部 技術・国際課  金田技術・国際官
【発表者】
 東京大学大学院 新領域創成科学研究科  飯笹幸吉 教授
 高知大学 教育研究部 自然科学系 理学部門  臼井朗 教授
 海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域  高野淑識 研究員

5.議事録

【浦辺主査】 おはようございます。大分天気も春めいて参りましたけども、ただ今より、第11回科学技術・学術審議会海洋開発分科会の海洋鉱物委員会、以前の海洋資源の有効利用に向けた検討委員会を開催したいと思います。本日もどうもご多忙中大変たくさんお集まりいただきましてありがとうございます。

オブザーバ、発表者紹介

【浦辺主査】 オブザーバの方を紹介したいと思います。総合開発政策本部の竹田参事官です。

【竹田内閣参事官】 よろしくお願いします。

【浦辺主査】 それから資源エネルギー庁資源・燃料部鉱物資源課の久保田課長補佐。

【久保田鉱物資源課長補佐】 お願いします。

【浦辺主査】 それから海上保安庁海洋情報部技術・国際課の金田技術・国際官です。

【金田技術・国際官】 お願いします。

【浦辺主査】 の皆様にもご同席いただいております。今日は基本的には、3人の学識者の方からお話を伺うということでございます。海洋資源についての学術的な課題ということをお話しいただきたいということで、3名の方をお呼びしております。まず最初に、東京大学大学院新領域創成科学研究科の飯笹幸吉先生。

【飯笹教授】 よろしくお願いします。

【浦辺主査】 それから高知大学教育研究部自然科学系理学部門臼井朗先生。

【臼井教授】 よろしくお願いします。

【浦辺主査】 それから海洋研究開発機構の高野淑識先生です。

【高野研究員】 おはようございます。よろしくお願いします。

【浦辺主査】 よろしくお願いします。

資料確認

【浦辺主査】 それではまず事務局から資料の説明をお願いします。

【鈴木海洋地球課長補佐】 はい。事務局から資料の確認をさせていただきます。クリップ留めしている科学技術・学術審議会海洋開発分科会海洋鉱物委員会の第11回の議事次第の4ポツのところに、配布資料がリストになっていますので、それをご覧になりながらご確認いただければと思います。
 資料1と致しまして、1枚紙で、海洋資源に関する研究開発課題について、資料1-1と致しまして、飯笹先生よりいただいた資料をお配りしております。資料1-2と致しましては、臼井先生の資料ですけれども、それについては後でA3の1枚紙として配ったものでございます。資料1-3と致しまして、海洋資源にかかる学術的課題についてということで、高野先生よりいただいた資料。資料2が1枚紙で、当面の予定(案)でございます。参考資料と致しまして、本委員会の委員の名簿とその他机上配布資料を4種類お配りしております。その他、海洋開発分科会の机上資料として緑のファイルが机上にあります。過不足等ありましたら事務局までお知らせ下さい。

【浦辺主査】 はい、どうもありがとうございました。大丈夫でしょうか。

事務局より連絡事項

【浦辺主査】 それでは会を始める前に、事務局の方から連絡があるということでお願いします。

【鈴木海洋地球課長補佐】 はい。事務局から連絡事項をお伝えします。緑の机上資料の「科学技術・学術審議会海洋開発分科会の委員会の設置について」にありますように、平成23年2月23日に海洋開発分科会が開かれまして、その下に委員会が設置されることが決まりました。「海洋鉱物委員会」についても、引き続き「海洋鉱物資源の探査技術に関する研究開発のあり方について調査」を行う委員会として設置されております。
 「海洋開発分科会運営規則」第2条に、「分科会は、その定めるところより、特定の事項を機動的に調査するため委員会を置くことができる。第2項 委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、分科会長が指名する。第3項 委員会に主査を置き、当該委員会に属する委員等のうちから分科会長の指名する者が、これに当たる。」という定めがございます。海洋鉱物委員会については、これまでに引き続き、分科会長により浦辺先生が主査に指名されております。
 その他、新たな手続きをご紹介します。「科学技術・学術審議会海洋開発分科会の公開手続きについて」ですけれども、報道関係者等による撮影と録画、録音についての定めを新たに置かせていただいております。「2. 傍聴についての以下のとおりとする。」の下の「(3)会議の撮影、録画、録音について」に定められているように、「傍聴者は会長が禁止することが適当であると認める場合を除き、会議を撮影、録画、録音することができる」とされております。ただし、撮影、録画、録音を希望する場合には事前に登録をすることと規定ともされております。まとめますと、登録があった場合については、会議に撮影、録画、録音というものもありえるということです。以上です。

【浦辺主査】 はい、どうもありがとうございました。それでは運営規則、会議の公開については、この委員会においても分科会の定めを準用するということになってございますので、ご承知おきください。

議題1. 海洋資源に関する学術的課題について

【浦辺主査】 それでは議事に入りたいと思います。本日は海洋資源についての学術的課題、どういう学術的課題があるのかということについて検討したいということで、まず3名の学識経験者の方からお話をいただいて、それから15分くらいディスカッションをしたいと思います。

(1) 東京大学大学院 新領域創成科学研究科  飯笹幸吉 教授 からの発表

【浦辺主査】 それでは最初に東京大学新領域創成科学研究科の飯笹教授からご発表をお願いしたいと思います。海底熱水鉱床に関して。よろしくお願いします。飯笹先生のお話のあと、15分くらいお話をして、またその3人のお話をお伺いしたあと、まだ総合討論というのがありますので、よろしくお願いします。だいたい15分くらいで。

【飯笹教授】 海底熱水鉱床形成場の時空とテクトニクスについて、地質時代のものと現世のものということを踏まえてお話をしていきたいと思います。そういう中から課題と称するもの、具体的には指摘はいたしませんが、こういうような現状であるということを把握していただければと思います。
 これはもう皆さんすでにご存知の例だと思います。これはパンゲアと称する今から2億5000万年ほど前、大陸が1つになっていた。これ以前にもこのように大陸は一箇所で巨大大陸ができたりして、それが離合集散して様々な歴史を作ってきた。そういう中で海底熱水鉱床というのは、色々なところに形成されてきたということをご紹介していきます。
 これは大分昔に、佐藤さんが書かれた論文から抜粋したものですが、いわゆる海底熱水鉱床と言われるのは、火山性塊状硫化物鉱床ということなのですが、陸上の鉱床の分類を説明すると、ここに書かれているような特徴があります。こういう火山性塊状硫化物鉱床というのは、海底火山岩あるいはその近傍に存在し、形態としては層状、レンズ状の要するに硫化物という鉱物を主体としています。
 鉱床の出来る場所というか出来方は、ある層に特定される層準規制、あるいはその形からして層状とか、あとは成因的な要素として、いわゆるVolcanogenicというような英語になりますけれども、火山活動と鉱床が何らかの関係があるのではないかと。現世の海底熱水鉱床は明らかに火山との関係、その一連の関係の中で出来てきたことが一目瞭然なのですけども、いかんせん、陸域の、商業的に稼行した鉱床というのは化石であって、それが作られたときどのような状況だったかというのは全くわからないのですね。あとは成因的な、単に記載的な形を主張するという意味でvolcanic-associatedという呼び方をします。従来こういう塊状の硫化物鉱床の分類というのは、今は鉱床を作っている母岩とか、あるいは含まれている金属元素とかどういうものが特徴的に多いのかとか、あるいはどのような場所にできている、そういうものを基準にして分類していったものです。
 まず陸域にあって、どういうようないわゆる海底熱水鉱床というものがあったのかということを示した図です。これは世界中に散らばっているわけですけれども、最も良く引き合いに出されるのは、たぶんカナダ、北アメリカ、点、色がつけてある、あるいは白抜きのところ、これは全部火山性の塊状硫化物鉱床が今まで見つかって、それが商業生産されたものです。もう世界中に散らばっています。日本にもあります。こういう中で特に地質時代、特に27億年あるいは30億年とか、そういう大昔の時代に形成されたそういう海底熱水鉱床と思われるものがこのカナダ、モントリオールとかケベック、こういうところに集中しています。あるいは、それよりもうちょっと時代が新しくなって、古生代ぐらいになりますと、太平洋沿岸のこういうところに見つかっています。
 大陸を作るいわゆるテクトニクス、構造的特徴のあるところに鉱床は形成されています。特にここは古い地殻、20億年以上前の地殻があるのですね。その周辺部に塊状硫化物鉱床。さらに時代が新しくなって、日本でもこれに相当するようなもっと新しいものがあります。いわゆる黒鉱型鉱床という秋田県の北麓地域、時代はもっと新しくなって1500万年頃、あるいは似たようなものに別子鉱山等があります。
 これは先ほどお見せした地図の断面図です。これは現在、陸域に分布している火山性の鉱床を、どういうところで形成されたのかということを模式的に示したわけです。これはいわゆる地球創世時代といいますか、大陸が形成されてから次第に分離していく、そういうときに出来た鉱床が、このVMSと書かれているものが、火山性の塊状硫化物鉱床、赤丸です。この中にたくさんある層準に沿って見えるかと思います。これは要するに、もともとこの黄色いのが1つの大陸であったけれども、下から熱いもの、マグマが上がってきて、加えてそういうところに塊状硫化物が出来たというようになります。これがいわゆる先ほど紹介した、カナダの一番古い時代、モントリオールやケベック周辺にあるのが、塊状硫化物鉱床、そのようなイメージです。
 もう少し時代が新しくなりますと、いわゆるプレートというものが発達して、あとこれは、海ですね。海底がある場所、いわゆる中央海嶺というところで、そのプレートができて両脇に発生した。これが延々と旅をして、海溝でもぐる。火山性硫化物、塊状硫化物がどこにできるかというと、中央海嶺の中軸谷、あるいは海洋プレートが沈み込む場所にある島弧、さらに島弧の近く、また新しく海洋地殻が出来る場所、背弧海盆ですけれども、こういう場所にできる。このように分布を把握していく。さらにこういうプレートが成長し、時間がたつと、もっとしっかりとしたプレートの形を形成して島、島弧ですね、そういうような場所でもやはり、塊状硫化物が出来ているということをあらわしています。時代とともに、いつの時代でも節目節目といいますか、こういうプレートが出来る場所、あるいは沈み込む場所というところに塊状硫化物ができている。これはそういう陸域のデータをもとにして、組み立てたものですね。これは、現世のものも含む。今、島弧とか中央海嶺と申し上げました。
 整理しますと、火山性の塊状硫化物鉱床というのは、島弧、海洋プレートが沈み込む場所で、いわゆる黒鉱型鉱床、これは我々が現世の海底熱水鉱床として盛んに探し回っているのですけども、これが今あるのです。これが、先ほど申し上げました通り、1500万年程前の日本のそういう古い地質帯にできた鉱床なのです。現世の熱水鉱床はこれと非常に類似しているということで、黒鉱型というような名前がついています。
 あと中央海嶺、ご存知のように1977年にガラパゴス沖で見つかった有名な熱水鉱床がある。海洋プレートが生産されるような拡大域、そういうところに塊状硫化物鉱床が分布している。これが最初に見つかった、これは陸域で見つかったのですが、キプロス島なのですけれども、そういうところで見つかった鉱床のタイプということでキプロス型というように呼んでいます。現世の中央海嶺の鉱床はこれに類似する。
 あともう1つは、先ほど日本に別子型というようなものがあると申し上げました。これは直接関係するような苦鉄質の火山岩あるいは堆積岩そういうところに出来る塊状の硫化物。これも世界の他の場所でも見つかっています。
 いわゆる塊状硫化物鉱床といっても、先ほどの分類からいくと、こういう少なくとも3つのタイプがしかも出来た場所が違ってくるということです。これが現世です。現世の海底、プレートの分布を示してそこに塊状硫化物鉱床のメジャーなものを落としています。この白抜きは中央海嶺の塊状硫化物鉱床あるいは熱水活動域ですね。これは太平洋中央海嶺、こちらは大西洋中央海嶺、こちらインド洋。それぞれこういう白抜きで表したような場所に、もっと色々な場所にも見つかっていますけれども、メジャーなものを示しました。かたや太平洋の方にいきますと、西太平洋と言われる箇所、これ島弧、プレートが沈み込む場所に発達する島々の周辺の海底にたくさん熱水鉱床がある。日本はそういうところにあります。赤丸で示したのがそう。これもやはり黒鉱型と言われる。例えば日本をこういうところで東西方向に断面を切って、そうすると、どちらかというとこれは最初の方に示しました、プレート発達場の硫化物ですが、これは要するにプレートが生産される場所、中央海嶺、こういう場所で現在見つかってます。これが延々と旅をしてきて潜り込む場所、海溝の周辺等、こういうところにはやはり活動的な火山、あるいはその周辺部で硫化物、いわゆる鉱床が見つかっています。
 日本周辺に目を転じますと、現在見つかっているのはこのようなオレンジでポイントを落としています。これはもう皆さんご存知でしょう。こういうオレンジのポイントの地形というものの特徴として、これは1つの例ですが、海底カルデラ。こういうきれいな形をしている。こういう場所では海底下に裂か(裂け目)が発達しています。しかも火山ですので下には熱源があります。熱源があって裂かが発達してれば、海底下において物質の循環が起こる。熱水循環がおきます。そしてそれが海底面に噴き出すと塊状硫化物鉱床というものになります。これは日本列島、これがプレートバウンダリですね、いわゆるフィリピン海プレートといいます。こちらは太平洋プレート。これは太平洋側、北西方向に沈み込んでいます。フィリピン海プレートに沈み込みます。このフィリピン海プレートの北東縁に、島弧があります。この赤っぽいところが伊豆・小笠原、かたやこちらが沖縄トラフ、これはフィリピン海プレートが西の方に沈む。ここに海底が新しく作られつつある。こういう赤く示した帯のところ、いずれもアクティブなとこです。
 現在一生懸命探しているのはアクティブなところです。化石化したものは全く見つかってないと言ってもいいぐらいです。中央海嶺では見つかっていますけども、日本周辺では。ということでアクティブなエリアには色々な問題がでてきています。
 これは日本周辺と世界の硫化物の化学組成の平均的な、大分前の値ですけれども、1例です。このオレンジは伊豆・小笠原の明神礁。この黄色が沖縄の伊是名海穴、グリーンは伊豆・小笠原のベヨネーズ海丘、水色は日本では始めてといいますかかなり早く見つかったサンライズ鉱床です。あとこの下側にあまり色が見えにくいですがこれは中央海嶺、あるいは背弧海盆、そういうところの値です。この軸が金、右側が銀そして銅、鉄、亜鉛、鉛。ご覧のようにこういうふうに日本周辺のものには金銀とか鉛とか亜鉛が多い。かたや中央海嶺の方は鉄とか、銅も少しはあります。ただ、これはここに挙げたものがこういう値を、特徴を示していますけれども、まだまだ色々と中央海嶺にとってもいわゆるレアメタルと称するものが多いところもあれば、銅が多いところもあります。日本のアクティブなもので、例えばここに示したもの、かなり色々な元素も含まれているが、要するに種類としては同じようなものが入ってきているわけですけども、量が違う。メジャーな元素が何になるかというと、熱水域はたくさんあってもみんな同じじゃないわけです。
 ここで1つの例をあげてあります。ちょっと見にくいですが、亜鉛、銅、鉛とかバリウムが多い、金も多いと見られるそういう鉱床は、伊豆・小笠原弧のサンライズ鉱床、白嶺鉱床や水曜海山。沖縄トラフでは、こちらの伊是名海穴のように、亜鉛とか鉛が多いという特徴がある。伊平屋海嶺周辺にはカルシウムが多い場所とか、金、銀が少ない場所とか、そういうような色々な特徴を持っている。つまり元素の種類はそれほど大きな違いはないですが、含まれる量がそれぞれ違うという地域差がかなり歴然としている。熱水鉱床といっても、我々が欲しい銅とか金、銀あるいはレアメタル、みんな同じように入っているわけではないということです。
 これは日本周辺の熱水鉱床というものは、どういうところに分布しているのかを簡単に書いたものです。全部を反映しているとは思いませんけれども、例えば海底カルデラで、どういう場所に今まで見つかっているかと言えば、1つはカルデラ形成断層、あるいは中央火口丘、あるいはカルデラフロア、そしてカルデラの中腹、壁ですね。あるいは海丘、主に沖縄トラフ中軸部周辺では、海丘斜面とかあるいはその間とか、要は海底下に断層の発達、割れ目があるようなところで、またそれの海底面の表現としてこういう特徴的な場所にあるというようなことです。
 これは私が今までやってきたことですが、赤は先ほどご説明しましたアクティブなエリアです。このグリーンのエリアが日本海です。これはいわゆるもうすでに熱水活動とかマグマ活動、そういうものがもう海底下に見られない場所です。先ほど海底熱水鉱床の地史といいますか歴史を申し上げました。この赤い帯は現世ですね、ゼロ。ここは日本の北鹿の黒鉱型鉱床、1500万年前、現世とその間をつなぐものが日本海及びフィリピン海にあります。例えばこの特徴的な地形でいえば、九州・パラオ海嶺、これは4000万年あるいはその火山岩の測定年代としては2500万年とかそういう値。海嶺西方の例えばこのエリア、沖大東・大東海嶺、奄美海台、これを見ますと、今まで他の研究者たちが盛んに研究した成果として、奄美海台の方が時代的には古いことがわかっている。年代としては1億年前、こちらは若干若い4000万年ですね。大東海嶺は島弧、これ地形的に見れば一目瞭然ですが、マグマ活動から出来た山の列、海嶺です。これを良く見ますと、九州・パラオ海嶺の中に、リフティングといいますか、地殻が割れたような地形的特徴があります。
 このような時間軸を持った海底が日本の周辺にはあります。資源量とか、あるいは生物保全の問題とか考えた場合、今後色々な海域に探査を展開していかなきゃいけない。ただそのバックグラウンドとしては、どうしてもサイエンスの調査、サイエンスを基本にした考え方で、先ほどのああいう地質時代に活動的であったエリアを調査していく。この絵は先ほど活動してないエリアの堆積物中で見つかった熱水起源の硫化物です。こういうものが先ほど示した地図に示したフィリピン海に多く見つかっています。以上です。

【浦辺主査】 はい、どうもありがとうございました。それでは質問、コメント等お受けしたいと思います。

【平委員】 すみません、2つほどですけども、飯笹さん、沖縄トラフのようなアクティブな熱水鉱床、熱水活動がここにある。化石鉱床というようなものがないと言われましたけれども、ないと言われるのはちょっと言いすぎなのではないでしょうか。
 沖縄でも200万年以上にわたって、恐らく熱水活動は続いているわけですし、その熱水の場所も転々としている可能性がある。そうすると以前に活動が終わっているようなものも沖縄トラフにあるのではないかというのが、まず最初の質問。もう1つ目は大東海嶺等が属するフィリピン海プレートでは、古第三紀から活動しているような部分があります。そのような場所での熱水鉱床の可能性に関しては、最初に見つける手段としては、堆積物やセジメントを分析していくというのが1つの方法であろうと思いますが、 大規模な鉱床を見つけるとしたらやっぱり電磁気探査なのかなと思うのですが、何か今までの調査の状況で飯笹さんの見解からフィリピン海プレート域に電磁気調査での大規模鉱床の兆候をおつかみになっているか教えていただきたい。

【飯笹教授】 はい、最初のご質問ですが、アクティブなものの周辺のすでに活動の停止したものを化石と言うこともできます。ただ、私がその対比の関係で先ほどの2番目の質問に関係しますけれども、一応現在我々がやっている場所はアクティブエリアであって、それに対して、もうすでに死んだエリアにも昔活動したものがあるだろうと言う意味で、かなり時間的な差をもって、こちらを化石というような言い方をしている。そういう観点でみると、沖縄とか、特に今活動的な伊豆・小笠原とかそういうところには、いわゆる奄美海台とか、あのようなものに相当するようなものはたぶんないと。ただ、今現在活動的なものの周辺に活動停止したものはあるということは非常に考えられるわけです。

【平委員】 逆に言えば、奄美海台は特に、そういう化石鉱床のようなものは残っているという証拠もまた見つかってはいないわけですよね。飯笹さんのわりと希望的観測ではと。

【飯笹教授】 希望というかある程度根拠があるにはあるのですが、アナロジー的に地質時代にやはり二十数億年前、あるいは節目節目に塊状硫化物が出来ていますので、古い場合、1億年以上の地史をもつフィリピン海にもやはりあってもおかしくはないと考えて、ただそれだけではちょっと説得力ないので、最後にあのような写真をお見せしたのですけど。あれは、ここぞというような場所で取ったわけではないのですが、それなりの海山の周辺で採った試料の中にはああいう熱水起源の硫化物があるという、それが単なる希望以上の何かだと思います。
 あと電磁気ではもしそういう可能性があれば、当然オマケですので、そういう電磁気探査とかそういうのは非常に有効にはなるなと思っています。ただ、いきなり事前情報なく、電磁気探査にかけるっていうのは非常に時間のロスが大きいかなと。まずはその探査のステージ、色々な段階で使う手法があると思うのですね、そういう意味では。電磁気探査は後についてくるかと思います。

【浦辺主査】 はい、ありがとうございました。他によろしいですか。

【磯﨑委員】 はい、今飯笹先生がおっしゃった段階を踏んで探査をすることが効率的だろうと思います。電磁気探査は後について来るというお話ですが、そうすると上流にある方法というのは、どんな方法で、段階を踏むとしたらどのようなことが考えられますか。

【飯笹教授】 普通にやっていますのは、地形調査。地形的な特徴から地質構造を出来るだけよむ。地質、地形と同時に重力とか磁気とかを船上から行っています、そういう重力・磁気ではかなり厳しいところもあるのですが。そういう地形調査そしてあとは地質調査、ある程度大まかなエリアに絞った後に今さかんにセンサー開発をされているようなものを投入してくと、効率的ではないかなと思います。

【沖野委員】 サイトによってどの鉱物がたくさん入っているかかなり違うと。この図を見てもわりと近いエリアでも違う。それは何が一番決め手になっているのか、もしくは予測はできる可能性はあるのですか。

【飯笹教授】 予測は難しいと思うのですね。ただ、熱水ですから、当然構成している地質の特徴というのがある程度判断の材料にはなると思うのですね。どういう場所を熱水が通ってくるのかっていうことと、あとは熱水の温度とかが非常に大きな問題になると思うのですね。
 あとは水深があまり浅ければそういうものは我々が今目指しているような硫化物は、あまり期待はできない。現状では、一番浅くて300mとか、あまりたいした硫化物がない。600mとか800mとかそういう深いところにならないと。

【増田委員】 常々疑問といいますか、思っていることなので、この際確認したいと思いますけれども。海底熱水鉱床と言う場合と熱水活動という使い方にするときとあって、経済性が今すぐではないけど、将来的に可能性があるかなというのを鉱床と言うのですけれども。その辺の使い分けといいますか、でも、この地図に熱水鉱床ってありますけれど、熱水活動はあるが鉱床といえないようなものも相当含まれているような気がするのですけれど、その辺の使い分けはどうされているのか、またどうするべきなのか、ちょっとお伺いしたい。

【飯笹教授】 ご指摘の通りだと思います。当初私は使い分けていたのです。鉱床は当然商業生産になるものについて使用する用語だと思うのですね。ところが現状はそういうものかどうかさえわからないものに対して熱水鉱床という名前をつけてしまった。私は最初、そのような用語を使わずに、単に熱水硫化物と称していた時期があります。例えばこういうところへ来て熱水硫化物といっても、例えばサイエンスを話す場所と、もうちょっとわかりやすくこれはこういうようなものに位置付けられるというような観点で話す場所とで使い分けるというとおかしいですけど、現状では熱水鉱床という名前が一人歩きしています。それは今あまり問題になっているとは思っていません。昔は問題だと思っていましたけど。

【浦辺主査】 今議論になっていることは、飯笹さんがこれでいうと、この図に緑のエリアを使ってこれがターゲットエリアであると書いておられるわけですけども、それに対して、現在は赤で書いてあるようなところの方がプライオリティが高いのではないかと考える必要があると思うのです。そこが飯笹さんとそうでない方の違いかなと。
 飯笹さんの手法は申し訳ないですけど、時間がかかる地球化学探査というものです。ストリーム・セジメントといい、谷の出口のようなところから、堆積物を取ってきて分析をしてみると、金が多いとか銅が多いとかわかりますので、それよりも上流側に色々鉱床があるのではないかという地球化学探査というものでございます。そういうことをエリアにしてみると白抜きのマルのところで、硫化物の小さな数十ミクロンくらいのものが見つかる。だからこれを手がかりにして上流といいますか、上流といってもほとんど火山ですので、その硫化物がとれた火山のどこかを探した方がいいのではないかというご主張だと思います。
 それに対して平さんは、おそらく、今まだ赤のところは緑のところに比べて鉱床が比較的海底に近いところにある可能性が高いので、地球物理学的な手法で探査をしたら、そちらの方が効率が高いのではないかという主張だと思います。どちらの手がかりを使うかということで、色々な意見があるのかなという感じがします。
 またこれは総合討論のときに、非常に重要な問題なので話を伺うとして、次の話に移りたいと思います。

 (2) 高知大学 教育研究部 自然科学系 理学部門  臼井朗 教授 からの発表

【浦辺主査】 次はガラっと変わってコバルトリッチマンガンクラストの話で、高知大学教育研究部自然科学系理学部門臼井朗教授からお話をお願いします。

【臼井教授】 ご紹介に預かりました高知大学の臼井と申します。コバルトリッチクラスト、我々は一般的にマンガンクラストと呼んでいますけれども、これに関する学術的な課題をいくつかリストアップしろと宿題をいただいて考えてきました。
 たぶん、私は適切ではないと自分で思っているのですが、その1つの大きな理由は、ここ2、3年、科研費のテーマにここ10年くらいこれぞというテーマをずっと出し続けているのですが、それすべて不採用だったというものがありまして、不適切かなというのが1つです。また今日の課題にぴったりの私の書き物があって、お配りした資料の中にも入っているのですけれども、地質ニュース、それから資源地質学会が出した環境地質学、ここで机上資料ということで、配布物の後ろの方に1、2、3、4と書いてあります。これを見ると今やるべきことということで、リストアップして私が今見ても、まあまあ適切ではないかと。あとで項目ごとにお話しますけれども、というものがありました。それに沿ってお話させていただきます。ところがそれが出版されたのが1995年という15年も前ということで、今見ても決して古さを感じないようなテーマでありまして、これが何を意味しているかというと、この15年くらい必ずしも調査がされてこなかった、あるいは研究の中で後継者の育成を怠っていたとく反省を含めて中堅が育っていない、それから探査というのは目に見えないところでやっているのですけども、科学的には実態があまり良くわかってないのではないかというのが現状ではないかと個人的には思います。ただ、この2、3年は、5年くらいの間に海底のクラストに入っているレアメタルのことが多少話題になっていまして、色んなところで講演などをさせていただくことにもなりまして、もう少し研究を続けていく必要があるなと思うのが現状です。今日はここに何人かの研究仲間もおりますけれども、このようなことでお話をさせていただきます。
 30年程前に初めてマンガン・クラストというものを見たのですけど、これ出来たてのハイビジョン・デジタルのハイパードルフィンについている映像で人間の目でみるよりもたぶん細かい、色んなものが見えます。私自身、紹介遅れましたけれども、JOGMEC、JAMSTEC、それから産総研というところで、色んな方にお世話になって、そのあたりのデータが中心となっております。私自身も高知大学で8年おりますけれども、内容は実は元産総研の通産技官だった頃のデータが半分くらいになります。
 マンガンクラストと呼んでいます。これは、コバルト、ニッケル、プラチナというものが入っていると。1平方メートルあたり50キロ。コバルトに換算すると1平方メートルに1グラム弱コバルトが入っているというような計算になります。最大値です。これ陸上で言えば、かなりの鉱床だというふうに考えられる方もいらっしゃるかと思います。今日はそもそもコバルトリッチクラストはということは皆さんこんなところでご存知ということで、話すつもりはなかったですけど、一応一任ということで、どんな特徴があるのか、それからそれが資源として一般的にはどのように現状認識がされているか、あるいはしたらいいのかということをちょっと触れて、最後に研究課題として、私が考えていることにさわりたいと思います。
 研究課題として大事なものは、1つは資源探査、将来の商業化、レアメタルとしての対象、2つ目は非常にゆっくりと成長するものですから、年代が圧縮された海洋コアとして使えるのではないかと、2つの話があるのかなということをお話したいと思います。スライドが多すぎるので、飛ばしますけど、これは何を示しているかというと、日本も80年代、実は青いのはマンガンクラストですけども、達成度みたいなものです。底をずっと這っていて、最近ちょっと上がってきたというふうにみていただきたいと思います。熱水硫化物それからマンガン・クラストというのは少し時代を追って注目されたけれども、その後90年代冷戦の崩壊によって、凍結されたような状態になっています。ということは研究界に対する投資というのも80年代後半突然終わるわけです。この辺でマンガン団塊の鉱区が取れた段階でアメリカも一挙に手を引くと。それから途上国も多少やっているのですけども、研究への予算というものがほとんどなくなります。そこで非常に面白いことが進んでいたのですけれども、研究が中断するということで、先ほども申し上げましたようにこの10年間は冬の時代というか、我々を絶滅危惧種なんて呼んでいますけれども、この間耐えてきたという感じです。その間、若い人が育ってないということもあるのですけれども、最近になって論文の数も急激に増えてきて、見直されたということです。言っておきたいことは、日本はその間、非常に長い間JOGMECを中心として太平洋域で色んな調査をしてきたということは積み上げになっていて、研究の上でもある程度の貢献はしていて、日本はそういうリードできる立場にあるということです。
 どんなものかというところです。先ほど飯笹先生の方から、硫化物の話がありましたけれども、非常に色んな意味でマンガン酸化物は違うと。一番違うのは酸化物だということだと思います。酸化物というのは我々の生活圏、表層に近いところ、その延長の環境にあるということで、我々が住んでいる環境とあまり違わないところに出来る物です。生物的にいっても、酸化還元温度といった意味でも我々がしっかり住めると思いませんけれども、普通の生物は住めるような我々の生活圏の延長にあるところで生成し、存在しているのだということで、熱水鉱床と非常に大きく違うことだと思います。それから量的に見ると、熱水鉱床が非常に高濃度のものが点在していると。マンガンクラストは一方で陸上で言えば低品位鉱にたるものが広く薄くという違いもあります。その中で今言ったように非常にゆっくりと成長しているものであって、陸上にはそれに対比できる岩石はないわけです。地球史でみると非常に新しい時代にできているというところが熱水鉱床と違うところではないかと思います。その中に海水起源のコバルトが1%くらいのレベルで入っているということで注目をされています。ところが実態はあまりよくわかっていないという話をこれからいくつかスライドでお見せして示したいと思います。
 これは海底の露頭といいますか崖です。露岩です。地球の岩石を取ろうというときには本当に邪魔なものらしいですけれども、逆に言えば古い露岩、それから露頭、崖でマンガンクラストがついてない場所はほとんどないのではないかと、ちょっと大げさですけれどそういうほうが正しいのではないかと思います。厚さは色々です。私最近そう思うようになってきました。1000mくらいの海山のてっぺんであろうが、琉球海溝の6000mちょっと深い海底にいっても、だいたい数センチのクラストがくっついていて、むき出しの露岩というのはほとんどないというか非常に少ないというのが現状ではないかと思い続けておりますけれども、最近、別の後で紹介しますが、それが証明されつつあると思います。
 ちょっと金属の方に戻りましたけれども、これは岩石に対して普通の近くのそこらにころがっている岩石に対して、それぞれの元素が何倍濃縮しているかというのを大げさに書いたものです。このくらいの丸は10倍程度、大きいと100倍くらい濃縮しているということです。マンガンクラストについては、白金だとかマンガンももちろんですけど、コバルト、ニッケル、ニオブ、モリブデンとこのあたりが岩石に比べて非常に濃縮していると。これはマンガン団塊もそんなに大きくは違わないということです。ところが、熱水と比べてみるとちょうど補うようにレアメタルを含んでいるというような特徴があります。ですから、どちらかを取ればいいということではなくて、両方あわせると非常に多種の金属の資源になりうるということです。よく出てくるのですけれども、平均のそれぞれの海底の鉱床らしきものの最大値が陸上鉱石の最低の品位のものと変わらなくなってきたというような例もでていると思います。
 現状認識です。色んな分野で非常にベクトルが違います。すぐに5年後に開発するという人と、南極のものと同じであってほとんど絵空事であるという人と、非常に意見が違うと。その理由はつまりよくわかってないということだというのが私の認識です。命をかけて陸上のものを掘る事と比べて、例として環境問題は採算性のバランス等色んな意味でやめた方がいいという意見と、どんどんやれという意見とが大きく分かれているというのが現状で、そのまだ認識が必ずしも近寄ってきてないなと、マンガンクラストについては。
 それで研究の話にいきます。これは最近作ったやつですけれども、簡単に言えば古い海山に沿ってマンガンクラストが分布している。それからアクティブなプレート境界にアクティブな熱水鉱床、それから深海底の古い堆積現象の非常に少ない深海っていうのはマンガン団塊、という現在の表層地質と良く一致していると。つまり地質の産地であるということは広域的に証明されてはいます。日本の周辺を見てみても、これはさっき言った15年前の図ですけれども、日本のプレートのセッティングとそれから大地形とマンガンクラスト、それからマンガン団塊の分布がよく一致していますということです。それは何故かといえば、この周辺には世界的には異常に露岩、それから崖の多い地域になります。日本の北西太平洋側。それはなぜかというと、ある時期にこの周辺に大量のマグマが供給されて、大量の火山が生成したと。そのときの山体の形がそのまま残っているという場所がたくさんありますので、主に露出した時間が長いものついて、マンガンクラストが成長しているのだと考えれば理解しやすいと思います。
 いくつかのレビューということで、簡単にまとめてどこまでわかっているかということ、今わかっていること、マンガン団塊も含めて言いますと、これは熱、火山を全く必要としない、海水を介してできる、水から生成するあるいは水がないと出来ない、若い時代の酸化物だということがわかっているということです。逆に言えば、そういう理由から、こんな場所にありそうだと、なさそうだということもある程度検討がつくということです。ところが、有用元素がかなり不均質であったり、偏在していると。その実態がわかっているのかというと疑問であるということです。
 次です。これは化学的に出来るものではなく、生物の影響がないではないですけれども、基本的には化学の反応に反しているわけではないと。化学沈殿物と考えてよい。ただし色んな縞々は何と対応しているのかとりあえずよくわからないので、それも大きな研究の要素だと思っています。
 鉱床としてみた場合、これ陸上にはほとんどないような平面鉱床です。特異な性状として数センチの厚さが100キロ続いているような特異は形状をしていて,その変動の要因は何かということもよくわかってないということです。その中であとは細かいというか詳しく見ると、それぞれの分野でこんな課題があると目されていることがあります。1つは実験室でやれること、とにかく記載をする、どういう形で白金が入ってくるのだろうかとか、コバルトが入ってくるのだろうかというミクロスケール、ナノスケールで見るということです。顕微鏡下では1個1個の鉱物粒子は見えません。ナノ物質といっていいような小さい粒の記載をする等、どんな形で入っているかということをはっきりさせることが必要です。次に、それがどういう条件で濃縮するかということがわかってない。陸上での沈殿であるとか実験室での吸着、色んなことを含めて、濃縮のプロセスを解明すると。3番目には、先ほど申し上げましたように、コアとして使うと。ゆっくりと成長してたぶん1億年の半分くらいの歴史をもっているので、そこに何らかの復元ができる可能性がありますので、古文書的に、あるいは海洋掘削のコアに匹敵は難しいかもしれませんが、例えてそのようなことが出来ないかという出口があると思います。
 あとは現場の話です。現場の実態、これが一番よくわかってないところです。サンプルを取るときはドリルかドレッジですけれども、周辺とのマッチングはほとんど出来てないということです。最近はここ2年くらい、ROVを使ったクラストの調査ということで、色んな分野の方とご一緒に調査することが出来ました。今までにない方法でありまして、今までの方法を一挙に書き換えるような画期的な方法であると私は思っています。
 あとどのようなものかということ、それからそれほど単純なものではない、色んなことをわかった上でないとなかなか探査であるとか回収というのはしにくいということの材料がいくつか提供したいと思います。これは顕微鏡でのぞいたものです。3センチの厚さのマンガンクラストを磨いてみる。そうすると肉眼で認められる縞々だけではなくて、顕微鏡でみえないようなミクロン以下の縞がたくさん存在します。一見縞々に見えますけれども、上から見てみると、数ミリの凹凸を常に維持しながら成長していて、1個の房が10万年くらい伸びたままであるという非常に不思議な格好をしています。その中に色んなものが入っています。砂も入っている、粘土も入っている、化石も入っていますし、流れ星のかけらである宇宙塵も入っている。それから鉱物の変化もある。色んなものがあるのですけども、これが何に対応するのか、色んな解釈はありますけど、証明はされてないというわけです。
 次に、内部で中でどう変動しているかということです。この試料ではコバルトの品位、濃度が表面0.3%から10センチまで3倍くらい変わっています。この変わり方も割合共通はしているのですけれども、何がコントロールしているかはよくわかっていません。それでは現在の状況と比較してみようということで、海水についての色んな物理化学的な特性、それから生物の活性などと対応する努力はしてあるのですけれども、それも必ずしもデータが十分ではないということです。
 もし理想的なことを言えば、たった1つのクラストがあれば、長いレンジでの地球環境の変化、それから何か大きな出来事、地軸の逆転であるとか超新星の爆発であるとか隕石の衝突とか、色んなことがひょっとして隠されているかもしれないという期待もあって研究が進んでいるところです。これは、我々の1つの成果であって、80万年前の地磁気の逆転が非常にシャープに見えたということがありました。産総研が先週の月曜日にプレスに投げたのですけど、誰も取り上げてくれなかったりするのですが、我々非常に感動しています。
 それから最後にハイパードルフィンを使った調査ということで、これは非常に力が強い、それから非常に器用である、それから非常に丁寧にものを扱えるという特徴があります。また同時に色んなセンサーを積んでいるということなので、現在の環境と海洋との比較をするという意味で非常にいいものであると思っています。だんだんと潜行の回数は減ってきてはいますけれども、続けていっていますので、また何かの機会にご報告できたらなと思います。これは1つの浦辺先生らとのあるいはその皆さん方と一緒にトレースした中腹からの拓洋第五の様子で、これがきっかけとなってひょっとして、ROVブームが起こるかもしれないと思っています。ここは非常に色んなデータも出て、面白い結果が出ているのがではないかと思っています。
 最後にちょっとまとめを言わせていただきます。どこが面白いかどこが重要かというところです。マンガンクラストやマンガン団塊は熱水鉱床と違って、陸上に同じようなタイプのものがないだろうと思っています。それからそんなに古い時代にはなかったものであって、地質年代的には割合新しいものであるかもしれないと思っていますが、よくわかっていないということです。あとは本当のレアメタル資源になるだろうかということは、地質だけで考えれば済むようなことではなく、重大な問題であると思います。それからコアとして使える。それから非常に小さい物質ですから、ナノ物質、バイオミネラルといったアプローチもあるかもしれない。それから吸着剤として吸着能力を素材に活かすというような研究をすること等、様々な出口があるのかなと思っています。以上です。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。それでは何か質問、ございますでしょうか。

【阿部委員】 今まではコバルトリッチクラストと言っていたのが、マンガンクラストと言われるので、あれっと思ったのですけども、まずそれを。
 一番主成分がマンガンであるということが理由で、そのように言われているのだろうと思いますけど、それはそれとしまして、海水からマンガンなり、あるいは色々なミネラルが沈積するというのは、これは海底流が一番関係しているのでしょうか。 仮に水が動かなかったらどうなのですかということがちょっと気になっているのですけど。この辺いかがでしょうか。

【臼井教授】 なかなか難しい質問で、1つ目は私が厳密に定義する上で、マンガンクラストと言わせてもらっているだけで、今後全部書き換えろという意味ではございません。この議論を当てはめると、マンガン団塊は、銅ノジュールと呼ばないといけないということになります。正しくは、コバルトリッチ鉄マンガンクラストという言い方があるのですけれども、研究発表などの場合ではマンガンクラストと言っていますが、一般的にはコバルトリッチクラストでいいのではないかと思います。
 2番目の点、どこで酸化されて、どこで濃縮されるかということは非常に大事だと思います。海水中の濃度というのも、分析できないくらい薄いのですけども、その起源がどこかということですね。 海水中では、たぶん一旦溶かされたものが、溶けて沈殿すると、何千年くらいの間で、通過してしまうだけです。ということは、さらに上流の主成分の鉄やマンガンを供給するのはどこかという問題があると思いますが、それは今のところ現在地質との直接的な対応があまりないということと、それから水深方向では非常に大きく分けると水平方向に割合連続性がよいことから、たぶん大陸から供給される物質のフラックスがきいているのかなと思っています。そこは簡単にはお答えできません。

【平委員】 科学的にもそれから資源的にも極めて面白い物質だと思うのですけれども、先ほどの古地磁気学の論文、感動しました。ヒット中のヒットじゃないのかと思うのですが、記者さんが来られなかったのは残念ですけれど。
 これを見ても非常に数字が不思議というか、その堆積速度が非常に遅いと云うことです。5mm/100万年、5センチで1000万年というオーダーでしょうか。海山が形成後に沈降していった過程において、あまり浅いところではもちろんできないわけですから、水深があるところから溜まり始める。海山の周りの堆積物というのはもっと早く溜まっているはずですよね。ですから海山の上というのは、阿部さんからもご指摘があったように、一種の流れがあって、深海底の堆積の場とは非常に違うということだろうと思います。
 色んなことがわからないので、結論がないのですけれども、本当に面白い研究テーマであり、本格的な探査や調査を復活すべきと思います。是非今度はマンガン団塊も含めて、JOGMECさんとも協力して先ほどのちょっと「死の谷」がありましたけど、機運が上昇する、復活するような方向で是非皆で協力してやっていきたいな考えています。コメントです。

【臼井教授】 付け加えさせていただければ、マンガンクラストや団塊は色んな起源物質の集まりということで、成分が火山そのものから来たものと海水や大陸から来たものを分ける努力が必要で、そういうことができたらさらに発展が期待されます。

【増田委員】 今のお話、マンガンノジュールとマンガンクラストというのは、何となく成因については余り大きな違いはないように素人目には見えてしまう気がするのですけど。そこは何か違いとか、逆に言えばマンガンノジュールでもコバルトリッチクラストのような白金を含むようなものがあるのかどうかとかですね、資源的に言えば、両方とも膨大な量があるので、面白い資源だと思うのですけれど、その辺をちょっと教えていただきたい。

【臼井教授】 大雑把なところは、1980年代くらいに話ができていて、鉱物が違う。それから主成分が違うということが言われています。マンガンノジュールの方は、鉄はほとんど入っていないです。マンガンだけで成り立つ、粘土鉱物のような特殊な鉱物を生成して、その鉱物は非常に強い吸着能力がある。実験的にニッケルと銅だけ取り込むという特殊な鉱物なわけですね。それが強く働く深海底で堆積物と接していると、銅リッチかつニッケルリッチな団塊ができあがる。一方で、海山で生成するものは、そのマンガンだけが溶けて再沈殿するという鉱物ではなくて、本当に海水中で出来たばかりのものが、そのまま溜まっているという大きなできかたの違いと鉱物の違いがあって、鉱物の違いが、基本的に副成分を決めているということです。
 コバルトリッチノジュールがあるかということですけれども、たぶんないだろうと。そのコバルトの銅とニッケルがマンガンノジュールに濃集するのは、溶けた状態、つまり2価の状態で取り込まれるということですが、コバルトは海水中の条件では酸化した3価の状態です。コバルトリッチノジュールというのは、今の理屈から言えば、たぶんないだろうと思いますけど。

【浦辺主査】 ちょっと難しかったかもしれませんね。臼井さん、コバルトリッチクラスト、マンガンノジュールからコバルトクラストまでもう何十年やっておられますか。

【臼井教授】 あるいはそれ以上進んでないというのが、本当は一番言いたいことです。ROVでのサンプリングは、浦辺先生の発案もあって、右手に100kgの握力のマニピュレータ、左手に岩石カッター。それで海底の露頭にメスを入れた形で、サンプルが取れるという画期的なものです。私先月、ROVで調査したのですけど、それでも2ダイブで30地点からあわせて180キロのマンガンクラストが取れるという画期的な成果で、ちょっと言い過ぎかもしれませんがマンガンクラストはどこにでもあるということになります。

【浦辺主査】 正面にそのときの映像がありますけれども。ご質問他にございますでしょうか。

【瀧澤委員】 ありがとうございます。大変面白くうかがいました。マンガンノジュールは比較的新しい時代に出来たものだと思いますが、成因についてどこまで科学的に分かっているのでしょうか。

【臼井教授】 私よりは、もっと大分適当な方おられると思いますけれども。前の方については、永遠の謎です。普通の堆積物というのは、1000年に1mとか2m堆積するのですが、マンガンクラストは100万年で、1mという堆積速度、しかも石の方が重いのにずっと上がっているという、おかしな事が起こっている。これがよくわからない、これは嘘だろうと言われて来ましたが、事実はやはりそうなのです。ということは、基本は泥に埋もれずにずっと表面でとどまり続けていて、ある程度は海底面にとどまっているが、たまに落ちこぼれとして上に載せられずに埋まってしまう。時に火山灰とかドサっとものが溜まると埋まるのですけれども、基本はずっと上に保持されている。大きい底棲生物の影響と言う人もいますけれども、そういう人に聞くと生物はそんなに力を出すはずがないといいますし、今のところまだ「事実である」としかいえません。
 2番目の微生物については、色んな方がやっていて、1970年代から影響はあると言われていましたけれども、特定のこの微生物がこんなに特殊な働きをしているという熱水での特殊な微生物というよりも、わりと地上にも表層にいるようなものが海底にもいて、類似したようなことをしている可能性も高いので、たった1つの特殊なマンガン酸化細菌がいて、それがいるから沈殿するというような単純なものではどうもなさそうです。非常に複雑な物理学的なものと微生物が絡み合って沈積しているらしいということだと思います。

【浦辺主査】 そうですね、難しいですけれど、今までサンプルのいいものが取れなかったので、基本的にはぽっと取ってきて、その中に何がいるかって調べてもだめで、その菌は周りにもいるのかどうか、そのようなことも調べなくちゃいけない。先ほどのビデオでもありましたところで、クラストも取ってくる、堆積物も取ってくる、海水も取ってくる、それ同じ場所で取ってきて、その中で違うかどうかっていうのを調べて、初めてわかるようになったわけです。最近やはりそういう技術がものすごく進んでいますので、それでやってみると特定のマンガンを酸化している、鉄を酸化して生きているというのはなかなか見つからない。むしろアンモニアを酸化して、亜硝酸にして生きているものが非常に特徴的に入っている。だけどアンモニアをそこで酸化して一体何になるのか。それから、マンガンの2価のイオンを入れておくと、4価に酸化するという微生物も取れていますが、クラスト表面ではなくて中の方から取れたのですね。確かにものすごくゆっくりのスピードで酸化をしている訳ですから、生物の活性としてはめちゃくちゃに遅い。そういうものは数が少ない。そうすると今の手法で見つかるかというと見つからない。今の微生物の研究は基本的には味噌、醤油、アルコールみたいな醸造研究に由来してきていることなので、大量にいてものすごく活性が高いものは見つかるのだけれども、ちょっとしかいなくて活性が低くて、というものはなかなか今の手法では見つからない難しい問題です。ないとは言えないけれども、あるとも言えない。これからの非常に面白い課題だと思います。

(3) 海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域  高野淑識 研究員 からの発表

【浦辺主査】 それでは、最後になりますけれども、海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域の高野淑識さん、若手のホープ、お願いします。

【高野研究員】 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の高野と申します。先ほど臼井先生の方から是非若い人(若手研究者)に海底環境で何が起きているのか、という新しいサイエンスを是非是非やって欲しいというお話がありました。私がその1人であります。先ほどの飯笹先生、臼井先生の方では鉱物の話がメインでしたが、私はそれに加えて、海底下で微生物が何をやっているのかというところにも焦点を当ててお話したいと思います。
 ご存知の通り、日本は世界第6位の領海・排他的経済水域を持つ国家です。これは、海上保安庁の資料ですが、ここで示した範囲が日本周辺の海域です。ここに鉱物資源の他、私がこれからお話をする、微生物が作るメタンハイドレート資源が眠っています。
 先ほどの飯笹先生、臼井先生のお話を簡単におさらいしながら、日本列島周辺の海底資源とJAMSTECの成果をご説明いたします。
 まず、研究対象としている海底資源は、熱水鉱床、コバルトリッチ・マンガンクラストです。海底の熱水活動に伴う金、銀、銅、鉛やレアメタルを含む鉱物を産出するのが、この熱水鉱床です。世界でもっとも浅い水深での鉱床が沖縄トラフ、それから伊豆・小笠原海域に存在しているということがわかっています。JAMSTECでは、平成22年度に地球深部探査船「ちきゅう」を用いた沖縄トラフの掘削を行いました。この掘削の主目的は熱水性の地下生物圏の調査でしたが、別の意味で大きな発見がありました。それは巨大な「熱水溜まり」が海底下に存在しているということです。そこで採取された試料は、黒鉱に良く似た、すなわち初生的な黒鉱鉱床の性質を持った特徴であることが分かりました。
 2番目に、コバルトリッチ・マンガンクラスト。海底平原に突如現れる、のっぺらとした卓状の海山(拓洋第5海山)にマンガン・コバルトに富んだ鉱床があることが分かっています。臼井先生のお話でもありましたが、JAMSTECが独自で開発したハイビジョンカメラシステムは、潜水艇(ハイパードルフィン)による調査で威力を発揮しています。
 3番目に、メタンハイドレート、およびメタンハイドレートをぎゅっと押し縮めたような天然のナチュラルパイプになっている泥火山をご紹介します。メタンハイドレートは、氷状のメタンです。その大部分は海底下の微生物のうち、メタン生成菌と呼ばれるアーキア(古細菌)が作ったものです。日本近海には南海トラフ、北海道・東北沖、日本海沿岸域、それから沖縄列島周辺等に大量に存在していることが分かっています。JAMSTECでは、このメタンハイドレート層に関連する海底下の微生物研究を行っています。メタンハイドレートが押し出された泥火山(火山といっても火を噴くわけではなく)には、メタンの他、高濃度のリチウムが含まれることが、最近の調査でわかってきました。ここでも探査船「ちきゅう」を用いた掘削試料によって、泥火山の資源的な意義を明らかにしようと調べている最中です。
 4番目。近年、JAMSTECの大きな発見の一つは、海底下の環境では、微生物(バクテリアと呼ばれるものとアーキアと呼ばれるもの)のうち、アーキアが優勢に生きているということを示したことです。この概念図は、来週から始まるIODP 337次航海の紹介です。ここで海底下2200mまでの石炭層までの掘削を行って、そこから新規の新しいメタン菌の単離を行います。次に、その掘った掘削孔に対して二酸化炭素を注入して、メタン生成菌にメタンを作らせてそのメタンを回収しようというプロジェクトの初期ステージです。
 これらの概要をもう少し深く切り込んで、学術的な研究調査の具体例をご紹介します。
 これは昨年行われたIODP331次航海(PI:高井研プログラムディレクター)の沖縄トラフ掘削の概要です。ここで見つかった大きな発見は、世界最大の海底下の熱水湖(つまり、海底下の巨大な熱水リザーバー)の存在です。熱水リザーバーから海底面に向かって(下方から上方への)熱水の流れがあって、それが噴き出している場所(熱水噴出孔=チムニー)に変わった生物群集がいるという構図が明らかになりました。この掘削調査では、黒鉱の化学組成によく近似したサンプルが取れています。つまり、現在発達しつつある黒鉱鉱床を捉えたことになります。
 先ほど非常に鮮明な映像で映し出されたコバルトリッチクラストでびっしり被覆されているレアメタルの宝庫、拓洋第5海山の全体像(水深1000m、水平距離100km)です。これは、浦辺先生が代表をされている研究プロジェクトの1つでもあります。この調査に際し、JAMSTECでは腕利きの運行チーム(エンジニア)が、無人探査機「ハイパードルフィン」に新しく搭載したハイビジョンカメラシステムを用いて、貢献を果たしているところです。
 さて、「泥火山」。聞きなれない言葉かもしれませんが、ここでは熊野灘泥火山をご紹介します。ここが海底面、そして海底下の断面で、深部からの地殻内流体によって、盛り上がっている様子がわかります。無人探査機「うらしま」による高精度サイドスキャンソナーにより、頂上部、円錐側面の地形調査が行われています。その後、JAMSTECが「ちきゅう」で掘削したところ、これはメタンハイドレートの「柱」だということが分かりました。メタンハイドレートというのは、船上にあげたとたん圧力解放され、気化します。気化をするときに熱を奪うので、サーモグラフィーで見るとコアライナーが冷えて見えます(写真)。熊野灘泥火山は、天然のナチュラルパイプラインと表現することができます。
 一番軽い金属であるリチウム、これも産業的には非常に重要な元素です。非常に密度が軽くて、もちろん水にも浮くような元素で、動きやすい金属の1つです。例えば今商業ベースになっているのは、塩湖の蒸発岩、要は海水が干上がって濃縮されたエバポライトですが、この泥火山のリチウム濃度は、そのような商業ベースのリチウム濃度に比べて、1桁から2桁濃度が高いということがわかっています。
 これは、3月15日から始まる、稲垣史生グループリーダーをPIとするプロジェクトです。青森県下北半島・八戸沖に掘削地点があります。この深部に白亜紀の石炭層があることが分かっています。では、石炭層はどのような意味を持つのでしょうか。海底には、海水中で生産された光合成生物等の遺骸や有機物がゆらゆらと降り積もります。海底まで到着する有機物(微生物の餌になる)は、せいぜい1%程度です。ところが、この石炭層には、約20%~60%の有機物が眠っています。この莫大な有機物量に支えられたと考えられる肥沃な海底下生態系が発達しており、その主役はアーキアであることが分かっています。この知見は、Nature誌に論文を発表し、プレスリリースを行っております。また、JAMSTECでは、培養が難しいとされる、二酸化炭素をメタンに変えるメタン生成アーキアの室内培養実験にも成功しています。そして、この掘削孔に二酸化炭素を注入してメタンをこの微生物に作らせて、それをエネルギーとして回収できないかというフィジビリティスタディを行っているところです。
 これは、メタンハイドレートの成因分類の概要です。日本近海には、大きく分けると2つの成因があります。構造的な集積プロセス、それから層位的な集積プロセス。断層型:これは相模湾等でよく見られますが、断層が発達するとこのメタンが冷湧水として海底面から発散されます。泥火山型:熊野灘のような泥火山型では、その中央部にメタンが柱状に存在しています。これらの海底面には、メタンを炭素源とした化学合成生物群集がいることがわかっています。層位型、複合型:南海トラフ等では、こちらの層位的な集積プロセス、あるいは複合型の集積プロセス、が主要であることが分かっています。
 さて、メタンができるということと、メタンが集積している、という両者は別のプロセスです。したがって、メタンがどこで生成しているのかを評価するには、両者を識別する必要があります。現在我々は、メタン生成がどこで、どのくらい起きているのかというのを定量化できるような技術開発を進めています。
 次のスライドで、海洋で起きている炭素循環をまとめます。大気あるいは海水中には、もっとも酸化的な形の炭素、つまりCO2が存在します。そして、海水中で光合成が起きて、有機物態の炭素に変換されます。そして、海底下の嫌気的な層で、炭素の最も還元的な形であるメタンCH4に変換されます。このようなサイクルを炭素循環と呼びます。メタン生成の定量化に向けた技術開発を進めることで、メタンの放出カーブは、積分的に示され、メタンの生成カーブは、微分的に示すことができます。
 海底下の微生物は、どのような代謝をもっているか未知な性状が多い微生物群集です。現在、様々な課題を丹念に精査している段階です。その成果の一つとして、今年度に我々の研究グループでは、海底下に棲息するアーキアの新しい代謝経路を発見し、Nature Geoscience誌に論文を発表しました。また、コマーシャルベースの高性能同位体質量分析計に、さらに独自の技術改良を行い、2桁以上の超微量化に成功しています(特許出願済み:大河内プログラムディレクター)。以上に述べた高精度な分析技術を用いれば、近い将来、海底下に注入した二酸化炭素からメタンがどの程度生成されたのか、どの程度メタン生成菌が生育しているのか等々の定量的な評価を行うことができます。
 最後に、JAMSTECの海底資源探査システムをご説明いたします。海洋工学センターが中心となり、衛星システム、種々の調査船、定点ブイ、そして観測施設、これらをネットワークで結んで広域かつ高分解能な精密調査を行える段階に来ました。特定域の海底調査は、巡航型のAUVである「うらしま」が担い、さらに自走式のAUVを現在開発中です。海底調査中に採取したいサンプルがあった場合は、それをサンプリングできるような作業型AUVも現在開発しているところです。
 以上のように、JAMSTECでは、広域な海底資源探査、鉱床形成に関わる最先端の掘削調査、ミクロな海底下の生物地球化学的調査に至るまで、海洋そして海底下の環境では何が起きているのか、という学術的な研究開発を世界に先んじて進めていきたいと考えております。ご静聴、ありがとうございました。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。まず最初に今の発表に対してご質問を受けて、その後総合的な討論をしたいと思いますが。いかがでしょうか。

【阿部委員】 泥火山ですけれども、規模、大きさというのはだいたいどれくらい大きいものでしょうか

【平委員】 熊野海盆の新宮沖にいくつか泥火山がある。それは直径が数キロメーター。一方、種子島から宮崎沖にはさらに大きな5キロメーターくらいの規模のものがおそらく100個近く海底に。大群集、泥火山群として存在しております。それのマッピングはまだ出来ていないですけれども、20年くらい前に「イザナギサイドスキャンソナー」いうシステムで我々が調べて、その存在についてはわかっています。
 ちょっと高野さんの言い方でたぶん誤解があって、切り餅をぎゅっと押し出したような、それに形としてはそれに近いですが、リチウムのような元素は、明らかにメタンハイドレートBSRの下からずうっとあがってきている。そういうことを考えるとかなり高温の流体がかなり深いところからあがってきて、それでメタンハイドレートの存在するところに差し掛かって、メタンハイドレートを溶かして、泥とともに吹き上げた。その隙間をさらにメタンハイドレートが埋めたというのが泥火山の成因と思います。
 泥火山というものは別に海底だけではなくて、陸上にもあって、陸上の泥火山からもリチウムは見つかっています。ただし、海底の場合はメタンハイドレートがあって、その下からあがってきたものとインタラクションしたというのが特異であると言うことです。

【阿部委員】 高さは、海底面からの立ち上がりとかはどのくらいですか。

【平委員】 高さは数十メートルです。場合によっては、へこんでいる。メタンが溶けますので。

【阿部委員】 ありがとうございました。

【浦辺主査】 はい。確かにこのメタンハイドレートは、今経済産業省等でやっているわけですけども、私も非常にこれ賛成で、今までここの図で、6-1にあるような層位型、あるいは複合型、特に複合型と言われているような感じのものを経済産業省ではMH21計画でやっているわけですけども、必ずしも個人的な意見では適切ではないのではないかと。やはり泥火山型、断層型というふうなものをもう少し集中してやらないといけないかなと思っています。
 層位型、複合型というのは、こういう名前で呼んでいますけれども、図でみると小さく書いてありますけど、これものすごく巨大で、でぇ~っと広がっているものですから、どうしてもそれに目がいって、そういう巨大なものを薄く広くというものを探そうとしているわけで。泥火山、断層型というのは、濃く狭くということで、資源っていうのは広く薄くなった資源っていうのは今まで存在したことがないわけですから、集中型のものは、是非やるべきだという感じがします。それからもしかしたら資源的にも回収コストを考えればいいのかもしれない。ただチェックされてないからわからない。

【平委員】 質問ですけども。海底下のメタンの生成の定量化というのは、可能でしょうか。

【高野研究員】 はい。

【平委員】 高野さんの模式図で2つの生成ピークがありますが、あれはどれほど根拠がありますか。

【高野研究員】 追加の説明を行います。通常、教科書的には海底直下の酸化層で硫酸イオン濃度が深さ方向に対して、徐々に減ってきます。次に、還元層から深くなるにつれてメタン濃度が増えて来るというスキームです(硫酸イオン/メタン生成境界)。ところが、私達が調査したいくつかの海域では、この硫酸イオンがこの還元層のさらに深部を流れていることが分かっています。例えば、メキシコ湾、ペルー沖、房総沖など。すなわち、海底下に硫酸イオン/メタン生成境界が二重に存在し、二つのメタン生成層が存在するということです。その現象の何が興味深いかというと、海底下の深い部分に硫酸イオン由来の酸素のインプットがあり、還元層と酸化層が混ざった環境が出来るわけです。そうすると微生物の生育・代謝をアクティブにするような至適環境が形成されると考えられています。

【浦辺主査】 はい。ありがとうございます。

総合討論

【田中政策評価審議官】 なんか恐縮ですけれども、実際泥火山ですけれども、取るっていうところの技術は先ほどスキームで教えていただいたのですけど、ことその取ろうとするときに、技術的な課題だけじゃなくて、安全性とか生態影響とかいうことがたぶん全体考慮されないとプログラムが進まないのではないかと思うのですけど、そういう意味ではどんなことをやらないと、先ほどのROVのようなとかいうツールは別にして、何をうまくこなしていかないと、あそこからメタンハイドレートを取るということが実現されないのでしょうか。やっぱり海洋影響に随分とインパクト与えるようなものになってしまうのでしょうか。

【高野研究員】 それは、生態系へのリスクマネージメントをも包括してどれくらい考えているかということでしょうか。ここでは、掘削調査の結果、メタンが柱状に産出するということ、またリチウムの濃度が異常に高いということが分かっていることまでを言及しています。それ以降の発展課題として、資源としての回収、すなわち商業ベースに載せる目的のための開発調査および可能性については、平理事からコメントありますでしょうか。

【平委員】 砂層胚胎型のメタンハイドレートは減圧法といって、砂層に孔を掘ってそこで圧力を減らして採取することが考えられています。砂というのは比較的安定しているので、メタンハイドレートをガス化して吸い上げても、砂と砂が噛みあってそこの地層が壊れることはあまりないでしょう、というのが1つのポイントになっています。一方、泥火山は垂直な柱なので、それとは違う採鉱方法の同級も可能です。また、泥火山には特殊な生態系もいますので、文科省では、資源有効利用の上流部分といいますか、学術研究を中心に、メタンはどこで形成され、どのように移動し、集積するのか、という問題に挑戦すべきであると思います。最終的には、阿部さんのような民間の会社にお願いしていくようになりますが、その中間は、JOGMECさんが本格的には参加しなきゃならない。
 そのスキーム全体のフォーマットをこの我々もちろん常に考えているのですが、どのレベルまでディスカッションするのか、あるいはその報告書の中にまとめていくのかということについては、この委員会でどこまでやるかという課題の1つになるのかなと思います。

【田中政策評価審議官】 技術の方だけに着目してシナリオを書いても、その技術が資本的に適用できるかどうかっていうところまで目配せしたプログラムになっていないと、実際やり始められないというようなことがあるから、少なくとも課題認識くらいはしておかないと、やっちゃってから後で考えましょうという感じにはならないし、やり始める前にどれだけきちんと手を打っておくかと、あるいは何か用意しておくのかという感じなのかもしれません。今の世の中、なかなか技術が社会適用されないのではないかと思うから、始めの段階で少し議論をこの場であるのかどうかよくわかりませんけども、出来たら認識くらいはきちんと出しておいた方がいいのかなと思います。

【浦辺主査】 そもそも恐らくここはまだ実態がよくは、泥火山の存在はずっと昔からわかっていたわけですけども、あまりまだ商業開発の対象というような形での調査は全くできていないので、当面は学術的にずっと調べるのかなということだと思います。
 それから生態系の話だとすると、日本海の断層型のものはものすごいズワイガニがぐしゃぁっとこういて、極端にズワイガニの宝庫みたいになっていて、それを保護するのか獲っちゃうのか良くわかりませんけど、こういうところでもまだその生態系はよくわかっていないので、そういう意味での調査がされてない。だからやはりまず学術調査ではないかと思いますね。
 それでは全体の話ということで、何か全体としてこういう学術的課題の中で、もう少し考えるべきことは何かございますでしょうか。これは資料の1に研究の意義で3つ書いてあります。効率的な資源探査への貢献など海洋資源開発の推進、海洋環境や地下生命圏、海洋底移動等に関する新たな発見、知見の取得、それから若手人材の育成。こういうものの中に是非いれておくべきこと。いかがでしょうか。

【沖野委員】 先ほど少しだけ質問も出ていましたが、今日はあまり話題にでなかった物理探査系のことを付け加えます。特に資源と考えた場合だと、その広がりとか空間的にどれくらい鉱床になりうるものがあるのかというのを調べるということは非常に大事だと思うのです。手法は色々ありますけれども、大きく考えるとたぶんサイスミックと電磁探査系ですね。ハードウェアは基盤ツールやなにかで音源の開発であるとか電磁気系やっていますけれども。
 もう1つの問題は、たぶんでてきたデータを解釈できないです、今の状況ですと。例えば電磁探査で既存のある程度わかっているところをテストフィールドとして当然やるわけですけれども、それが出てきたものを、本当は例えばこういうタイプの鉱床ならば、こういう物性でこうなるというようなものが今あまりほとんどないです。で、出てきたデータを見て、見えないと見えない理由は何かを考えると。何かでてくると、これたぶんそうでしょうというけれども、それを大きさを例えば試算しようとしたら、どこで線を引いたらいいかわからないというようなことに、特に電磁探査系はなりやすい。なので、そのあたりをもう少し学術的な意味でもやる必要はあるかなと。
 ただそれをどうするかが結構難しくて、海なので本当は物とあわせてグラウンドトゥルースをとってやっていきたいのですけれども、完全に何かサンプルと合わせるというのがすごく限界がありますよね、陸と違って。だからあとは陸のこれまでやられてきたことの蓄積がどれだけ海に適用できるかを考えるとか、どれくらいシミュレーション的なことが可能なのかとか、そのあたりがまだまだ未知数かなと。
 物理探査系はちょうどスケールとしては中間くらいですよね。大きく船で見て、地形とか水なりなんなり、それからジオロジカルセッティングからこういうところが怪しいと絞られた段階でもう一段狭くなってからやるタイプの比較的ニアボトムのものを考えているのですが、そういうものをやるにはまだまだ難しいなという気がします。

【平委員】 沖野さんの言うとおりだと思います。物理探査、例えば、サイスミックスにしてもリモートセンシングなわけで、グラウンドトゥルースというのはなかなか掴めない。一方、ボーリングをやるとしても、ボーリングで全てがわかるわけではないし。ボーリングをやって、ものが取れて、それからまた色々その物性を計り、それでモデリングを行い、これを繰り返すというのが、探査の本質です。しかし、なかなか学術研究の世界では、それまでのスケールの探査はできない。これをカバーするためには、相当に知恵をださないといけないということだと思います。陸上の色々な探査のデータや手法等々も大いに参考にしながら、海底探査の新しい手法について、知恵を出さないといけないということは確かだと思います。

【浦辺主査】 陸上の経験からなにか。

【増田委員】 物理探査について、海洋では電気・電磁の適用は難しいところがあり、陸上の資源探査とはかなり事情が違うなあと感じています。先ほどおっしゃったように、陸上でもやっぱり電気や電磁探査で量をはかって鉱床の形まで出すことは出来ないのですよね。情報をつかむ、何か異常をつかむ、端緒をつかむ。そういう意味で大変十四名技術となるのですが、鉱床の形を出す、線を引くという方をさらに精緻化するのは大変難しいことで、飯笹さんがおっしゃったような未知の領域みたいな可能性のあるところを広く調査していくということに役立てるような研究の方が現実的な気はします。

【平委員】 もしその大きな鉱床が海底から10mくらいにかなり広がっているという状態で電磁気を使うというのは、陸上の深いところにある鉱床で電磁気探査を行うこととは、相当意味が違うと思います。それは熱水のアクティブな鉱床のちょうど真下にあるような1枚2枚の鉱床というものがあるとしたら、当然、磁気的な探査で相当見える可能性があって、陸上で学ぶこともあるけれども、海の中でユニークに使えるという手法もあると思うのです。

【増田委員】 確かにそういう面もあると思う。私が言っているのは、電磁いわゆる電気的なもので見える鉱床そのものというよりその周辺を含めた異常を捉えているのですよね。なかなか鉱床そのものというのは難しい。

【浦辺主査】 そうですね。両方あるかもしれないので、鉱床周辺の方が大きいから見つけやすいというのがあると思いますね。こういう鉱床探査G&G探査という、Geology & Geophysicsという地質と地球物理ということで、今沖野さん平さんの方からのGeophysicsの話、それから今日飯笹さんの方からGeochemistryですけれどGeology探査の地球化学探査、そのようなものがいくつかものとして出てきた。だけれどもそれをどう結びつけていいのか、解釈していいのかっていうのはまだ非常に研究余地がたくさん残っている。
 高野さんのお話もすごく色々な面白いものがスポット状に見つかってきているということも示していただきましたし、臼井さんの方からは、マンガンクラストは見えているものだけど、見えているのに色々とわからないことがたくさんあると。だからこれも学術的な研究に非常に色々な面白い話がたくさんあったのではないかと思います。
 もう少し議論をしたいのですが、なかなか時間が迫ってまいりましたので、ちょっと議論の下敷きということで、事務局の方から少しお話いただけますか。

【鈴木海洋地球課長補佐】 資料の1を説明させていただきます。資料の1は、議論の下敷きとしてで出した資料ですけれども、まず海洋資源の研究課題についての研究の意義としましては、効率的な資源探査への貢献、海洋環境や地下生命圏、海洋底移動等に関する新たな学術的な発見や知見の取得や、若手人材の育成というようなものがあると思います。
 具体的な課題については、今先生方が色々お話されてはおりましたけれども、優先して実施すべき研究課題はあるか、中期的・長期的目標をどこにおくか、またはどれぐらいの規模で実施していくことが適切なのかというような点でもご意見等いただければと思います。

【堀内課長】 ちょっと補足だけしますと、研究の意義のところですけども、今回やっぱりこの実証計画をつめていくという中で、そういった活動の中で学術的な成果もあげていければということでございまして、もう少し補足しますと、例えば効率的に探査が出来るようにするために、対象物がどうなっているかということをよく理解するというようなことは重要なことかなあと。また熱水鉱床とかコバルトリッチクラスト以外にこういった探査をしっかり少し先、将来的に長期的にやるべきだというものがあれば、泥火山とかそういうものについて、よく理解を深めるということが重要かと。それが一番上のところに書いてありまして、それが一番その実証計画の中で学術的なとか、研究開発をすべきものとしてわかりやすいかなと。
 2番目に書いてありますのが、我々の方、色々道具を揃えて色んな活動ができるようになったということなので、若干対象の資源を探すためにということから少し離れていても大きな学術的な成果がある分、道具がある、色々調査の方法論があるということでそれを使って、大きな成果が上げられるようになれば、それも含めて、この学術的な研究課題の方に載せて成果を出していければというような考え方をとりまして、そこにうまくはまるようなものを色々あげていければいいなというのが事務局の気持ちであります。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。

議題2. その他

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。それでは議題の最後のその他、2番のその他ですけれども、それについて、それから今後の予定等お願いします。

【鈴木海洋地球課長補佐】 今後の予定ですが、次回は4月以降を予定しておりまして、それについてはまた別途日程調整等をさせていただければと思います。資料の1でご説明させていただいた点や課長が言った点等につきましては、また最終報告書の議論の際にご意見をいただければと思っております。

【平委員】 海洋資源探査の技術実証計画の報告書には、先ほど田中審議官の方から開発に至るロードマップに関する課題ですね、それをちゃんと抽出して整理しておく必要があるのではないかという話があったのですけど、そのようなことでよろしいでしょうか。あるいはそういう議論をこれからするのでしょうか、この次回くらいから。

【堀内課長】 やってみたいなと思います。事務局の方で検討させていただきたいと思います。やってみたいなと。

【久保田課長補佐】 すみません最後に、資源エネルギー庁でございます。今ご指摘あった点について、述べさせていただきます。この委員会について、私どもの理解というのは、例えば当課では海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、あと資源エネルギー庁全体ではメタンハイドレートの資源開発、まさに商業化に向けた開発プロセスを進めております。ここで科学的な成因であるとか、あるいは探査をするための手段である、我々がどのくらいの量があるのか、資源のポテンシャルをはかるためのサポートできるような貢献できるような、それに資するような探査システムの高度化、あるいは探査手法を検討されていると認識しています。
 従って今、先ほど田中審議官からご指摘ございました、商業化に向けてどんな問題点があるかというのは、この委員会で本当にやるべきかどうかというのは、もう一度皆様の中でご議論いただいて、果たしてここでどのくらいの量があるかとか、あるいは今後開発プロセスの中で、商業化に向けてどんなハードルがあって、どんな技術的な点で検討しなければいけないかというところは、実はステージがちょっと違うのではないかというのが、資源エネルギー庁の今の見解でございます。以上です。

【浦辺主査】 はい。どうもありがとうございました。デマケをしろと。はい。それでは他にコメントございますでしょうか。よろしいでしょうか。

散会

【浦辺主査】 以上を持ちまして、第11回海洋鉱物委員会の審議を終わらせていただきたいと思います。どうもご議論をありがとうございました。次回の日程はあとでということで。今日はどうもありがとうございました。

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