海洋資源の有効活用に向けた検討委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成21年1月29日(木曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省16階 16F2会議室

3.議題

  1. 海底鉱物資源開発に資する技術開発の検討について
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会)
浦辺、阿部、浦、沖野、鈴木、平、瀧澤、寺島、増田、宮崎 各委員
(発表者)
独立行政法人産業技術総合研究所 飯笹幸吉グループリーダー
株式会社フグロジャパン 山野澄雄代表取締役社長
社団法人日本メタル経済研究所 西川有司主任研究員

文部科学省

生川海洋地球課長、久保池企画調査係長

5.議事録

【浦辺主査代理】  それでは皆さん、おそろいのようですので、ただいまより第4回科学技術・学術審議会 海洋開発分科会 海洋資源の有効活用に向けた検討委員会を開催したいと思います。本日はご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうは今脇主査がご欠席ということで、第2回に引き続いて主査代理の浦辺が議事を進行させていただきます。

 本日は前回もアナウンスがありましたように、産業技術総合研究所の飯笹幸吉グループリーダー、株式会社フグロジャパンの山野澄雄代表取締役社長、それから社団法人メタル経済研究所の西川有司さんにおいでいただいておりますので、そのヒアリングを実施した後、前回事務局から目次案を示していただいておりました報告書について、前回の議論を踏まえまして骨子案について議論を進めたいと思います。

 では、最初に資料の確認ができますでしょうか。事務局、よろしくお願いします。

【久保池企画調査係長】  資料の確認をさせていただきます。お手元の資料、1枚、きょうの議事次第をつけ加えさせていただいた後、参考資料として委員の名簿、その後、産業技術研究所の飯笹様、フグロジャパンの山野様、それから日本メタル経済研究所の西川様の資料の後、資料14として中間取りまとめの骨子案を示させていただいております。資料に過不足等ございましたら事務局のほうまでお申しつけください。以上です。

【浦辺主査代理】  よろしいでしょうか。

 

 

(1)海底鉱物資源開発に資する技術開発の検討について

【浦辺主査代理】  それでは、飯笹さん、よろしくお願いします。

【飯笹グループリーダー】  産総研の飯笹と申します。よろしくお願いいたします。

 きょうは、このスライドに出ていますように、海底熱水鉱床の探査・評価手法についてということで紹介をお願いしますというように題をいただきましたので、それについて。いろいろな手法についてはありますけれども、特に今後新しくセンサーの開発とかそういう方面、自分なりにも興味を持っているところ、こういうのがあるんじゃないかということで紹介したいと思います。

 大きく分けて探査手法ということで3つほどあるかと思います。このほかにもいろいろ細かく挙げればあると思いますけれども、大まかに見て3つ。1つは地質学的手法ということでいろいろありますけれども、重鉱物、あるいは地質・構造の特徴とかそういうものです。それから、地球化学的手法――海水とか堆積物の化学とか、地球物理学的手法――音波、重力、磁力とかあります。既に基盤ツールというところではセンサー開発が始まっていまして、その中で特に地球化学的手法のほうでは既に主要なテーマでやられていることだと思います。地球物理学的手法の中でも重力とかそういうところはやっているように聞いておりますので、きょうは特に実例といいますか、我々が調査した結果を交えながら、特に地球物理学的手法の中の音波探査についてセンサーの開発の余地とか、このような方向でやったらいいのではないとか、そういうようなところで説明をしたいと思います。あと、重力についても、私なりにセンサー開発のテーマとしては十分開発の余地があるのではないかということで若干お話をしたいと思います。

 これは、ここ何年かよく使う絵なんですけれども、海域の探査、どのような機械を使っているか、今まで使った機械、あるいは今後このようなセンサーがあれば熱水域の調査、あるいは評価に役に立つのではないかということでいろいろ挙げてあります。日本のEEZの中には海底熱水鉱床がいろいろ分布しているわけですが、ここに挙げたのは、これはカルデラの一部として挙げたわけですが、特にカルデラの傾斜地、あるいはこれはリフトなんですけれども、そういうところに分布しているもので、表面的には見えるもの――現在、活動的なものは大体表面、海底面上に見えているわけですが、こういうもの、あるいはそういうリフトの中で見えるもの、こういうものが少なくともあると。

 あと、現在、活動的な熱水域というのは主要なものはほぼ見つかっているような状態だと思います。これから調査を進めればさらに出てくるとは思いますけれども、今後、熱水鉱床を商業的な観点から見た場合、現在見つかっているアクティブなものだけでは鉱物資源量という観点から見た場合、非常に心もとない状況ではないか。それには、ここに示している海底下、リフトに限らずこういうカルデラの中でもフロアとか、海底、現在は表面には見えないけれども海底面直下にある潜在――潜頭鉱床と一般に言うんですが、隠れているものがあるのではないか。そういうものを探さないと、今後長い目で見た場合、経済性云々の話は厳しいものになるのではないか。そういうことできょうは音波探査と重力についてこういう潜在鉱床を見つける方法、あるいは活動的なものの中で特に評価――潜在鉱物資源量がどのくらいあるのかとか、そういうものを評価するデータをどういうように集めるのかということで話します。

 ここに赤い字で、これはエアガンといって音を使った調査法ですが、海上の船の上からエアガンというものを引っ張って調査して、圧搾空気を爆発させて海底に音波を出して海底下の状況を把握する。ここにブーマーというのがありますけれども、これもやはり音を出して海底下の状況を把握する。あと、ここには重力計と。これは海底設置型であって重力の変動から海底下、あるいはアクティブなところでもいいですけれども、こういう下のところのマスを、どのぐらいのものがあるかというのをはかるためにあります。きょうはこの3つについて紹介します。

 最初は、まずどういうような仕様かというようなことを紹介いたします。我々が昨年調査してエアガンというものを使いました。船の後ろから海面近くを引っ張って音を発して海底下、特に潜頭鉱床はどういうようになっているのか、どういうところにあるのか、あるいは活動的な熱水域の下がどうなっているのか、まずエアガンを使ってどの程度わかるのかということを調べてみました。ここに圧搾空気と書いてある、圧縮空気でエアガン、GIガンとかいろいろなガンがあります。ここに高電圧ブーマー。先ほどからブーマーと言っているものです。こちらは電気を使うものです。こちらは圧縮空気を使っています。それぞれ使うエアガンの大きさによって出てくる音の周波数が違いまして、それによって海底下のどこら辺まで見えるか、あるいは何を知りたいかということでガンの種類を変えたりします。

 これは概念図なんですが、エアガンはどういうようにやるかというと、船の後ろからこの音源、これがエアガンです。音源と書かれている、これがエアガンと先ほどから言っているものです。この後ろに、ここから音が出たのが海底、いろいろな地層、あるいは構造がありますので、そういうところに音が反射して返ってきたのを後ろのハイドロフォンというのがあるんですが、音をキャッチします。それを解析するわけです。このようなイメージです。これはハイドロフォンが入っているケーブルの状態です。いろいろとチャンネル数という受信する素数を増やしますと、かなり中身がよくわかってくる。

 今回我々が使ったのはこういうクラスターガンと言われて、これはエアガンですが、容量が39立方インチのものを2つ使ってやったわけです。2つあるからクラスターということなんですが、3つもあるそうですけれども、今回は2つということで。これによって音波の波形を、あるいは強度を強めてきれいな音を出すことができる。そうするとかなり下の様子がわかる。ただ、これは容量が小さいので、普通は地質調査で使うエアガンに比べたら音が高いのであまり透過度はよくない。確かに泥質、砂質の堆積物ですとかなりいい結果が得られるというような今までの報告があったわけですが、特にそういう海底熱水鉱床とか硬軟織りまぜて、あるいはかたいもの、あるいは火砕物――火山岩がくだけたものが堆積したそういうところにありますので、こういう高い周波数のものではあまりとれないのではないかということでやったわけですが、その結果はかなり良好なものがとれたわけです。それはこの後お見せいたします。

 これはそのエアガンの波形ですけれども、先ほどのガンを1つ使った場合です。こういうノイズが出るわけですが、2つ以上使いますとこういうノイズが出なくてきれいな波形になる。強さも増すということです。今回使った周波数は200Hzくらいのものです。これは先ほどの調査の概念です。音を出して反射してこれをストリーマーというハイドロフォンでキャッチしてデータを解釈する。

 これは伊是名海穴というところですが、ジェイド熱水域と言われているところがありますけれども、ジェイド熱水域は北東側の壁、斜面上にあるわけですが、これはフロアです。ほぼ平らなところに、以前海底の曳航するテレビカメラで調査した結果、オレンジで書いたこのようなところに熱水活動域があるということがわかってきた。ここで先ほどのエアガンを使ってどういうような結果が得られるかということをやりました。黒い線は、南北方向は測線です。船が走ってエアガンが通った後です。測線のそれぞれ何本かをお見せいたします。最初はAと書かれたもの。これは以前、テレビカメラで海底に熱水活動域があるということで、中にチムニーがあったりとか、そういうようなのがわかっていたわけですが、多少こんもりしたものがあったりして、ただ、その下がどういうようにどこまで続いているかというのがよくわからなかった。そこで調べたのがこのちょっとこんもりした形に見えているかと思いますが、それで1つのこういう特徴的なマウンド状の反射が得られた。ただ、これは先ほどのクラスターガンというエアガンは分解能が20m前後ほどしかありませんので、これ以上の厚さ、あるいは内部構造とか、下のほうがどうなっているかということまではよくわからない。あと、この側方の反射もいろいろあるんですが、周りに音が反射してこないような広いところでやる分にはエアガン調査で意外とデータがとれた。これは先ほど南北方向の測線で何本か示しましたが、東から西に向かって断面を書いたわけですが、東のほうをちょうど通ったところがマウンドの厚さが厚くて徐々に低くなっている。そういうような側方の変化が見てとれるということです。

 これは伊豆・小笠原というところで海底カルデラがあるわけですが、ここでも、ここはカルデラのフロアです。周りはカルデラのふちです。水深が700から800ぐらいのところなんですけれども、ここに熱水活動域があるのが事前調査でわかっております。この赤い線は東西方向にたくさんありますけれども、これが先ほどのエアガンを使って走った後、側線です。あと、別の方法で堆積物をとって熱水活動があるかないかというのも調べたデータがあります。ちょうど今回その確認の意味もあったんですが、ここでとった堆積物中に熱水活動に伴うような硫化物の粒子、あるいはその結果できたような熱水性の粘土とか、そういうのがあるのはわかっていたわけですけれども、表面的には平坦な地形で何もない。その下がどうなっているかというのを調べる意味でもやったわけです。当然、ここの既にわかっている熱水域の厚さがわかればということでやったわけですが、先ほども申したように壁のそば――音は海面から来るわけですが、音はかなりいろんなところへ広がっていってしまいます。そうすると、壁が近いと壁からの反射というのはかなり強く出てくるわけです。側方反射と書いてあるのは、もうちょっと北側にある中央火口丘という小高い山があるんですが、そこに当たったものが返ってきたりしている。本来、測線の真下のデータというのはデータだけがわかればいいわけですけれども、なかなかそううまくはいかない。それは海底の条件によって違ってくる。先ほどの既にわかっていた熱水域というのはちょうどこのあたりにあるわけです。そうすると、反射が複雑になっていろんな反射が混じり合ってどれだかよくわからない。そういう意味では、エアガンを海面上で、海面近くで引くというのはこういう場合は難しい。

 ただ、引き方というか、展開の仕方によっても3次元の探査法とかいろいろありまして、そういうのを使えばもっとよく見えるというようなお話ですけれども、原油の危機でどこまでやれるかということでやった結果がここに載っています。ここで先ほど、以前の地質資料の中に硫化物粒子があったというようなところの真下を、測線の断面をこれは示しているんですが、これはカルデラのフロアです。ちょうど海底から20メートル前後ぐらいのところに紡錘形、断面ではレンズ状の形をしたものが出てきた。この下もよくわからないんですが、この内部構造はよくわかっていないんですが、一応何かあるんだということで、断面としてはこのような紡錘形をしたのが出てきたと。これは通常の熱水域の探査手法ではなかなかわからないものが出てきた。ただ、これが何かというのは今後の課題ですが、今までのデータから言えば、かなり可能性が高い熱水性の何か塊であろうと。

 これは平面です。これは既にわかっている熱水域です。こういう囲まれたところ。黄色く書いたのが先ほどのレンズ状の断面――海底下20mほどのところにあると思われるそれの平面的な分布を書いたものです。星印は、前回採取した堆積物の位置です。こういうものがあると。これは何であるかというのは今後のおもしろい課題なんですが、このように我々の調査ではエアガンを使った結果、ああいうことがわかっている。ただ、いろいろ問題もある。

 今回、これはブーマーといって電気を使ったもので、音源は電気です。それでやはり周波数をいろんなものを使ってやるんですが、先ほどのエアガンよりはもっと高い周波数を使うと。使っている中のソースによって周波数は若干変わってきますけれども、先ほどのエアガンよりは高い周波数ですので、あまり深くは入りませんけれども、表層近くの細かい構造がわかる。そうすると、先ほどお見せしたエアガンで海底下20mのところにあるようなレンズ状のものがもう少しきれいな絵がかけるんじゃないかと。先ほどお見せしたブーマー、あれは浅海用ですが、これは深海用のブーマー。これはBGSといってイギリスの地質調査所が開発して、実際にこれをレンタルしたり、あるいは自分たちが請け負って仕事をしたり、いろいろそういう使い方をしているそうですが、2,000mの水深まで使用できるというようなものもあります。これの細かいスペックは、問い合わせたんですけどなかなか教えてくれないのでちょっとわからないんですが、こういう深海用のがある。実際にこういうものを、これを開発したのは大分時間がたっているようですので、我々が必要とするような海底熱水域で果たして使用可能かというのはいま一つよくわかりません。ブーマーのこういう特徴が書かれています。要は電気を使ってコンデンサーか蓄えた電気を一気に放出してピストンを動かして音を出すということです。非常にいい、きれいな波形を得る装置である。特にこのような考え方のもとでつくった装置というのは熱水域にかなり有効ではないかなと。これがそのブーマーの波形です。こちらは周波数です。かなりこういうところにピークが来ています。

 これのブーマーを使った外国のほうでやられたデータがありますので、実際どのくらい見えるかといいますと、これは砂泥質の堆積盆なんですけれども、表層50mほどですかね、長さ。それほど深くは入りません。使うブーマーの音圧といいますか、大きさによっても若干違ってきますけれども、周波数が高い分それほどは入らない。エアガンはさらにこれよりもっと深く入ります。ただ、浅層の分解能は、エアガンはブーマーに比べてかなり落ちる。

 これの解釈です。ちょっと図が小さいんですが、例えばこちらのBasinIというところは、ここでエアガンとブーマーの結果を併記してある。上にオーバーレイしてあります。エアガンはこのような細かいといいますか、深いところまでの地質情報、あるいは地質構造の情報を提供してくれますけれども、細かい分解能ではない。ブーマーのほうはそれほど深くは入らないけれども、これより浅い、70mですかね、ちょっと数字は見えませんけれども、それよりも浅い部分で細かい、エアガンでは一層に区分されてしまうのをかなり細かいフレアごと、つまり、あるいろんな時代での変化を読み取れる、そういうデータを提供してくれる。

 これはまた別のところのデータですが、コルシカ島と書いてありますけれども、コルシカ島の河川から海岸に流されてきた堆積物がいろんな形でたまるわけですけれども、それをブーマーで調べた結果、例えばこういうのはおそらくエアガンであれば一層になってしまうところが、ブーマーですとこのようにかなり細かく何層にも分けて、それぞれのいろんな活動の時期を読むことができる。このようないろんなデータを読むことができる。そうすると、熱水域ですと、先ほど、これをレンズ状のものと見た場合、通常は現世の熱水活動に伴うようなのは黒鉱型というような言い方をしていますけれども、黒鉱というのは堆積して熱水が噴出したのが丘陵にさらされて微粒子が堆積したりして。きれいなといいますか、あるスケールではそういう層構造を示すということですので、ブーマーによってこのような浅層の細かい層構造がわかればかなりいろいろな評価に役立つのではないか。

 次は重力計についてですが、通常、重力というのは海の場合は船の上、船上に設置した重力計ではかっているわけですが、ここでご紹介しますのは海底設置型の重力計ということです。きょうここにおられる浦さんのほうでは、AUVr2D4」に乗せて移動型の重力計を使っておられたと思いますが、その結果は今はよくわかりませんけれども、それとは違いまして、これは海底にROVとかで設置して測定するという。これはROVですね。センサーの入った記録部とかがあります。これはベンチマークといってある台の上に置いて、その台の上にセンサーを置いてはかる。そういった調査の概念図ですけれども、この仕事はどこでやったかといいますと、北海にガス田がありまして、ガス田では当然、生産すればガスがなくなって、その分海底面が沈降したり、あるいはクラックを通ったりして海水が流入というか、浸入してガスの生産にいろんな影響を与えるということで、どのくらい海水の浸入があるのか、それを判断するのに、通常、緯度で検証したりいろいろやるらしいんですが、それですと時間とお金といろいろかかるということで、こういうROVを使って海底設置型の重力計を開発したということです。

 ここで使っている重力計のセンサーの感度というのは0.01mgalというような精度で、先ほどのr2D4AUVに搭載したセンサーと同じセンサー、シントレックス社のセンサーを使っているということです。これはセンサーの概念図ですが、ここがセンサー部です。高さは50cmほどですが、これが耐圧容器に入ってこのセンサーがいろいろ、傾斜があればジンバルといって水平をとるようなものでこういう水平をとって――重力計は水平が確保できないとデータ測定しても意味があまりないということなので、いかに水平をとることができるかというのが海底に設置する場合の大きな問題と、それから、同じ場所ではからないと、例えば先ほどのガス田での海水の流入の度合いがどのくらいかというのはわからない。そういう意味では、位置精度も要求される。これは、これでははかりませんけれども、ほかの別の方法で位置精度を上げる。

 ここで私が興味あるというか、今後1つのセンサーの開発の課題に挙がるのではないかと思うのがこの設置型の重力計です。先ほどの絵の中で示しましたセンサー部というのはここに入っています。このセンサーを水平に保ったりとか、温度制御したりとか、いろいろと周辺部にさまざまな基盤がついています。これを耐圧殻、計が50cmほどですけれども、ここに入れて、この場合ですと、この絵は東北大の地震・噴火予知研究観測センターの藤本先生からお借りしたものですけれども、耐圧容器、水深6,000mですかね、に耐えられるようなところへ入れて測定するという。ただ、まだまだ問題がありまして、特に海底の熱水域で使う場合は、傾斜地、あるいは滑りやすい場所で測定する場合の手法とか、こういう中の制御系とか、そういうのをいろいろつくっていかなければ熱水域ではかることは難しい。そういう意味では開発の予算はかなりあると思うんですけれども、こういうものがある。

 これも使っている精度は0.01mgalほどで、例えばその数値がどのくらいの鉱床の評価に使えるかといいますと、これは私がやっているのではない、私は専門は重力ではないのでよくわからないのですが、我々チームを組んで、東北大の藤本さん、あるいは地震研の金沢さんとか、そういうチームを組んで、これを今後何とか使えるようにしようかと今動き出したところなんですけれども、そういう専門家の計算で熱水鉱床、例えば1mの厚さの平板を考えて、それが周辺と密度差が1ぐらいあった場合、重力としてどのくらいの変動が記録されるかというと、0.04mgalくらいの変動が記録できるというようなことなので、これで十分海底地形がよくわかっていて、位置もよくわかっていて、水平がとれるようなそういうものができれば、測定値もそれだけ精度を上げることができていれば海底下のあるマスをかなりの精度で評価できる。

 あと、例えば先ほどお見せしたガス田でベンチマークを置いたとかっていうような絵をお見せしましたけれども、同じ定点観測をすれば……。その定点観測はまたにしますけれども、これは船上の重力計ではかったもので、せいぜい、精度1mgalでコンタを切って書いていますけれども、要するに全体の傾向を見る程度でしかないわけです。これは、例えば重力の値を船上の重力計ではかったものを先ほど絵にしたんですが、熱水域、これが海底下に何かあるというものなんですが、ちょうどここら辺になるんです。このポインターの左側の位置が、先ほど既にわかっている熱水域がここら辺。海底下20mほどにあるのがここら辺の位置になるんですが、船上重力計ではかった場合はよくわからない。全体の傾向を見る程度しかない。重力計でやる場合はやはり設置型を使わないとわからない。

 先ほど、ベンチマークを置いてはかるという話を途中でやめてしまいましたけれども、例えばベンチマークを何カ所かに置けば、熱水活動に伴って当然質量も負荷があって増えたり、場所によっては移動して減ったりすることもあることが予想されますので、そういう意味では質量の増加、あるいは欠損、そういうのが海底設置型の重力計を使うことによって推定できるのではないか。そういう意味では、かなり評価のほうに大きな貢献をするのではないかということで、大分長くなりましたけれども、きょうの紹介は、いろいろな探査、あるいは評価手法がある中で音を使った方法で、1つはブーマーの利用価値、あるいは重力計の利用価値というものが今後こういう潜頭鉱床、あるいはアクティブな鉱床の下の状態を探るのに非常に有効な情報を提供してくれるのではないかということで紹介させていただきました。

【浦辺主査代理】  どうもありがとうございました。ただいまの発表に対して質問はございますでしょうか。

【浦委員】  今、ブーマーでとったデータでサブボトムが見えている絵を見せていただいたんですけれども、ブーマー、私はあまりよく知らないんですが、聞いているのは、同じところで聞いているんですか、音の反射を。

【飯笹グループリーダー】  細かい装置の概要を申し上げなかったので申しわけないんですが、ブーマーの利点はもう一つ、おっしゃるとおり、非常に調査しやすい機器で、音源とハイドロフォンが一緒の曳航体に乗っているので、そういう意味では先ほどのこの曳航体、これ1つだけで済むと。あとは、ケーブルといいますか、電源供給のものがあれば引っ張れる。

【浦委員】  そうすると、出している音は電気的にというか、アレイで方向を絞っているんですか。

【飯笹グループリーダー】  方向ですか。出す方向はそうじゃない。

【浦委員】  絞ってない。

【飯笹グループリーダー】  やはり広がりますから、できるだけ対象物に接近させた状態で。でも、それがこれのよさなんです。これは深海曳航用のブーマーですので、対象物に対してある一定の、100mとか200mとか、そういうようなところで引けるので、先ほどのああいうカルデラの壁に近いような熱水域のところから側方の反射ですね、余計な波が来ないということで、そういう意味では船上の音源を使うよりはこういう。

【浦委員】  もう一つ、産総研さんでは、DAIPACKでしたかね、というサブボトムプロファイラーを使っていろいろやられていたかと思うんですけれども、そことの性能的なというか、メカ的な違いというのは、音響的な違いはどこにあるんですか。つまり、この1回前か2回前ぐらいにここでもいろいろ議論があってサブボトムプロファイラーはとても使いものにならないというようなご意見があったりして、今のブーマーでいけばそれでいけるんだというのはサブボトムプロファイラーをそれなりに工夫すれば、50m100mぐらいの範囲だったらいけるのではないかと思われるところなんですね。

【飯笹グループリーダー】  それぞれの機械の利点というのはあると思うんです。ブーマーを紹介する前にお見せしたクラスターガン、エアガンの、あれはあれでまた非常に有効な道具なんです。ただ、ああいうもので潜頭鉱床というのが見つかった場合、さらに精度よくサイズとかをはかるためにはこういうブーマーのような音源のものを海底直上を引いたものがいいのではないかという。

 あと、DAIPACKですね。周波数がこれとは違って、どうしても音圧、強さがかなり落ちます。これはオンラインで電源をとりますけれども、DAIPACKはスタンドアローンですのでどうしても限界がある。DAIPACKを何に乗せてはかるか、データを収集するかというのは1つ問題になってきて、以前、AUVでやって、どうしても音をデータとして拾いますので、AUVとかROVとかですと、どうしてもそれ自体が音を出しますのでノイズを、本来の地質情報の音とは違うものを拾ってしまうとか、そういう意味でも、DAIPACK、それは運用の仕方ですけれども、かなり縛りがあるなと。ブーマーは音源だけですから。

【浦委員】  音源が強いという意味ですね。

【飯笹グループリーダー】  強いし、音を出すものはないですから。音というか、これ自体しかないですから、モーターがあるわけでもないし。そういう意味では、ブーマーというのは日本仕様と言ったらおかしいですけれども、そういうような、合ったものにつくるというのは非常に魅力があるのではないかなと。

【浦委員】  ありがとうございました。

【平委員】  今の点ですけれども、トランスデューサーの仕様がクリティカルというか、比較的低周波で数百Hzとか、そのぐらいでセラミックトランスデューサーか何か使って出す音、結構でかいものになるんですよね、わりと。

【飯笹グループリーダー】  これですか。

【平委員】  というか、これはもうちょっと周波数が高いのではないかと思うんですけれども、どのぐらいなんですか、これは。

【飯笹グループリーダー】  周波数は……。これじゃなくて先ほどお見せしたあれはどれでしたっけ。

【平委員】  問題はそういうようないい音源を開発するかどうかということにすべてかかっていると。

【飯笹グループリーダー】  そうですね。

【平委員】  日本にはそのテクノロジーがないので、またトランスデューサーとか何とかという会社とよく打ち合わせていい音源を何回か実験しながらどういうのがいいかということを決めていかなければならないというその作業が、ブーマーのように曳航でできるだけ海底近くを引っ張って音波探査するというのは非常に有効な方法だとは――ある側面ではね。すべてに有効だとは思いませんけれども、特に今言ったような堆積物の中での鉱床の探査に有効だと思うんですけれども、相当な実験をしないといけないと思うんですよね。だから、そこをどこかが主体を持って、またJAMSTECがやれとかっていう話に、一緒にやっていかなきゃいけないのかなと思っていますけれども。ポテンシャルは非常にあるんだと感じました。

【飯笹グループリーダー】  得られる情報、先ほどおっしゃった周波数という意味では、エアガンはかなり低いですよね。容量によって違いますけれども、100とか200とかですね。これになると数百以上になって、1k2kとか。サブボトムプロファイラーになると3kとかで、そうなると今度、逆に透過性能が落ちてしまうということで、その間を埋めるのがブーマーの周波数なんですよね。そういう意味では、我々がちょうど知りたい地下情報、浅層――浅いところの情報で、しかもきめ細かいものが得られるというのがちょうどこのブーマーのソースになるかなと考えています。

【浦辺主査代理】  何かありますか。

【沖野委員】  重力のほうなんですけれども、海底設置型のタイプを使って熱水鉱床のところの場合、何をねらっているかがちょっとよくわからない。北海の場合は定点観測をして時間変化をずっと見ていって、わりと大規模にガスが抜けたり出たり、海水が入ったりという変化を見るわけですよね、時系列を。熱水鉱床のところで、例えばそういうことをして何か変化が、モニターとして見える変化があるのかというのがちょっとよくわからないし、先ほど船上重力の結果と比較しましたけれども、それをすると、今度多点観測をしないわけですよね。なので、何をねらっているのかがいま一つちょっと。

【飯笹グループリーダー】  要は今あるマスがどのくらいの規模であるのかなというのを知ることができればいいんじゃないかなと。

【沖野委員】  それは1点で置いたらわからないですよね。

【飯笹グループリーダー】  いや、1点じゃなくて、ROVで何カ所にも展開していくという。

【沖野委員】  それはすごくたくさん機械を置くという意味なのか、順にこう。

【飯笹グループリーダー】  順にですね。ベンチマークをこうやって何カ所も置いて、そこは定点観測、次の年とか、あるいは一定時間ごとにそこで定点観測をすれば、先ほどの下の質量の、本来あったときのものとは違うデータが得られる可能性が高いんじゃないかということと、それとは別に、既にあるマスをどのくらいのものかなというのをはかるためにROVで何カ所も、何十点も熱水域の中ではかる。だから、2つのことができればおもしろいかなと。もっとほかにもいろいろなものがあるのかもしれないけれども、まず知りたいのは潜在的な鉱物の資源量ですので、そういう意味では、1台でもいいから多点観測をしてやっていく。その場合問題になるのは傾斜地ですので、水平がなかなかとりにくいだろうと。そういう意味ではどうやってやったら水平がとれるか、そこ自体も機械をつくらないといけない。センサーそのものを開発というのはとてもじゃないが、おそらく……。

【沖野委員】  できない。

【飯笹グループリーダー】  日本の場合は厳しいのではないかなと思います。時間がかかるんじゃないかなと思います。ここで紹介したガス田のセンサーも、彼らはやっぱりセンサーそのものはシントレックス、買ってきているんです。あと、それをどういうようにして周りを囲んでどういう測定をするかということでつくり上げたというそういう紹介です。

【浦委員】  今ご紹介のあった藤本先生のやつは、実は我々のグループで藤本さんと一緒にやっていて、500φぐらいの圧力容器に入れていたわけなんですよね。それでAUVでそれを展開しようともくろんでいたんですけれども、ちょっとでかくて、前にあったr1だと5tぐらいのものだったのでそれに入れてやっていたんですけれども、今のr2だともう入らないんです。もっと規模が小さくなれば、AUVだったら、自分の機体自身を水平にすればいいのでいけるのではないかなと思っているんですけれども、いかんせん、なかなかいいデータが、これでやれば大丈夫だというデータがとれていないので非常に残念なんです。だから、例えば「うらしま」や何かに乗っけてやれば、乗っけられる大きさだからいけるのではないかと思うところはあるのですけど、どうでしょうかね、それは。置くよりは走らしたほうがずっと楽ですからね。

【飯笹グループリーダー】  おっしゃるとおりそうですね。ただ、やっぱり移動体に乗せた場合、ほんとうに水平というんですかね、1回走り出したら水平ならそれでもいいんですが、細かく見たら、しかも、今はかろうとしている精度が0.01mgalとか、そういう精度ですので、極端な話、手でさわっただけでも変化が出てしまう。そういうところで移動体に乗せて測定するのはかなりいろんな課題がある。それはご存じのとおりだと思います。ですので、このように海底に設置をする。そういう手法で、あとは点を稼ぐということが一番、今いける線かなと。

 あと、大きさですけれども、大きさは、先ほど言ったセンサーの周りとかをもっとコンパクトにすれば、センサー自体の大きさは変わらないですけれども、周辺部をもっとコンパクトにしてやると全体的な大きさも、前回使われたものより小さくできるのではないかなと考えています。

【生川海洋地球課長】  一番最初にエアガンを使った調査についてご紹介があったんですが、エアガンを使った調査というのはいろんなところでやられていると思うんですけれども、先生がやられたのは特段、通常やられているものと違って何らかの工夫があるのか、あるいは普通やっているやり方で、先ほどお示しいただいたデータの中では隠れている熱水鉱床らしきものが見えていますというご紹介があったと理解するんですが、通常のやり方でもそういったものが見えるということなのか、その辺をちょっと教えていただければと思うんですが。

【飯笹グループリーダー】  まず、海底熱水鉱床があるような場所でそれ自体のものがどういうような大きさをしているかというので音波探査をやったというのはあまり聞かないですね。周辺部の大きな地質構造というのを知るためにはその音波探査をやって偶然熱水域にかかったりとか、そうしたケースはあると思うんですが、そういう意味では、もともと使っている音源の周波数が違います。みんな海外でやっているのはかなり音源の、要するに容量の大きいもので、それだけ低い音が出るもの。透過度が海底下に、かなり下まで行くものが多い。つまり、知りたいものが違うわけです。今回我々が使ったのはクラスターガンで容量が小さくて周波数が高いので、熱水域でそれがどのくらい効果があるかということを知るためにやったわけですけれども、場所によってですけれども、かなりいい成果は得られた。

【増田委員】  探査ということで考えると、今の音波探査のも重力のもそうなんですけれども、ある程度もう絞り込まれて、この下にありそうだな、あるいは大体あるぞといったときに、それを詳細に調べるのがこの手法なのかなと感じたんですけれども、それでよろしいんでしょうか。

【飯笹グループリーダー】  おっしゃるとおり。今、きょうの紹介は探査と評価をごちゃまぜにお話をしているのできれいに分けないといけないんですが、探査で使う手法と評価で使う手法というのは必ずしも同じものではないと思うんです。重力にしても音波探査でも。音波探査の先ほどのエアガンというのはかなり広域を短時間でできますので、そういう意味では、既に熱水域がわかっているところ、あるいはある程度地質構造的な特徴があってありそうだというようなところをああいうような広域を調べるエアガンでやればかなり効率はいいんじゃないか。そうすると、潜頭鉱床を見つけられる可能性は大きいだろうと。上に出ているのはああいう化学センサーとか別の手法でまた調査すればいいので、今回の音波探査について言えば、そういうやり方が。

 ブーマーというのは、おっしゃるとおり、既に見つかっているもの、ありそうなものに対して、それがどういうような地質構造をしているのか、中のレアリングがなっているのかとか、そういうもので鉱床の加減を知る意味でも使える。それは既にわかっているところで使う。そういう意味では、境域の調査です。重力探査も、おっしゃるとおり、既にわかっているところのものがどれだけのマスがあるか。

 これ以外に地質検証法としては、直接掘削というのがありますね。でも、掘削は場所によってほとんどできない。現在、日本周辺にある熱水域で掘削をしようとしても、ほぼ平らなところにあるものしかできないです。自分たちが知りたい一番欲しいところのデータというのはなかなかとりにくいというのが現状なんです。ですので、このようなほかの方法でやることとして重力とかブーマーがあるのではないかということで紹介したわけです。

【浦辺主査代理】  まだ質問があるかもしれませんが、相当時間が延長してしまっているのでこれぐらいにして、また最後に機会を設けたいと思います。

 次に、フグロジャパンの山野さんからお願いしたいと思います。

【山野代表取締役社長】  フグロジャパンの山野です。よろしくお願いいたします。

 きょうは10分間ぐらいでお話をしてほしいということなので、スライドを早く回す関係もありますので座らせていただきます。詳しいお話は、どうぞお配りいただいている資料をごらんになってください。こんな話というのはあまりほかの人はしないと思いますので、まず何を言いたいか簡単に言いますと、何で普通の人と多少違うことを言う人間なのかという自己紹介とエクスキューズ、それから、今私がいるフグロという会社がどんなものかという簡単な説明。それで、熱水鉱床の開発の歴史とか探査の技術というのがどういうような歴史だったのかというのを私なりに考えて、探査というのは一体どうしたらいいのかなとか、それから、こういうプロジェクトをどうやって進めたらいいんだろうかとか、技術的課題というのは実際にはどういうことが残っているのか、そういうお話をさせていただきたいと思います。

 まず、自己紹介とエクスキューズですが、私はいわゆる実社会に入って一貫して商社マンという形で海洋開発ということを担当してまいりました。国際ジョイントベンチャーで深海底のマンガン団塊開発の事務局とか、海洋開発の関連会社で2年前まで仕事をしてきて、現在、フグロジャパンのほうに勤めております。そういうことで、個人的には深海底のマンガン団塊を1978年に1,000t、大西洋から採取したときのメンバーの1人だったという経験なんかがあるといえばあるんです。

 きょうのお話ですけれども、いろいろな技術的なお話などは既にお話があったということで、きょうは民間の立場でジョイントベンチャーから出向してきた人間として、現在調査やコンサルタントを業とする会社の人間として、それから1人の日本人として現在のテーマというのをどう考えているか、そんなことを考えてみたいと思っております。

 フグロというのはオランダにある会社で、調査・コンサルタントの会社です。40年ぐらいの歴史があります。陸・海・空の調査をやっている会社で、資機材を簡単に言うと、左上、調査船50隻、真ん中の真ん中、13,000人、右側はROV141機、これが現在の機材で、世界中に50カ国、275カ所に事務所を構えております。4分の3の売上が石油・天然ガス関連です。半分が売上としてはヨーロッパやアフリカ。そのほかの国からも中東アジア、オーストラリアで4分の1、南北アメリカで4分の1。日本の売上というのはほとんどないです。従業員は、今13,000人。売上は3,000億円。日本の海洋調査会社の現在の総売上が120億円です。ですから、この売上の半分が海洋とすれば、日本の海洋調査会社が全部集まって10倍になればフグロと同じになるということです。

 海底熱水鉱床の歴史ということですけれども、紅海で古い時代から発見されたという記録というのはございますし、1970年に私が会社に入ったときに紅海の赤泥、紅の海の赤泥ということは実際に何回もビジネスで使われたんです。ただ、太平洋のほうでは7778年ぐらいに初めて発見されるということが歴史だと思います。その後いろいろな開発の歴史があって、昨年からいよいよ海洋基本計画なんかも本格的に始動していくという状況になって大変うれしいお話です。一方、昨年の12月にノーチラスやネプチューンは2010年の商業化を断念しました。もともと私はできるはずはないとみんなに言っていたんですけれども、これが正式に発表されたわけです。早速従業員も3割カット。今、契約もほとんどキャンセルしています。そういう状況です。

 とりあえずのここのまとめとしては、熱水鉱床の開発の歴史というのはマンガン団塊の探査の歴史と非常に似ている感じがします。日本の場合、探査は結構早くから始めていると言ってもいいし、予算的にも結構使っていると言ってもいいんじゃないでしょうか。海外と違うのは、これは私の率直な意見ですけれども、探査を実行しても、精度上や予算上の制約もあって商業化への具体的なビジョン、あるいは戦略というのが明確な形でないままずっとやってきたようにも思います。これはいささかシニカルな表現ですが、外国が活動をやめると日本は活動を活発化していくというのが相関関係としては熱水鉱床にも当てはまるような変な感じがしていて仕方がないんですが。

 さて、探査の技術の話ですけれども、JOGMECの塩川部長や住友金属鉱山の阿部専務ほか、有識者の皆さん方がご発表になっておられるお話等もありますし、ここでノーチラスの文献を参考にどういう探査だったかということを簡単にレビューします。これはノーチラスの株主への説明の資料ですけれども、左上がデスクトップスタディー等をやって、バシメトリーをとって、それから重点的に探査をやって、ボーリング等もやって鉱量を評価する。これが資機材ですよと、そういうお話をしている次第です。

 熱水鉱床の探査というのはどういうものだろうということでフグロの関係者を中心にいろいろな方のお話を聞きました。ここで私が長年おつき合いさせていただいている――ここにいらっしゃる先生方もよくご存じの先生も多いんですが、ドクター・ハッソンのほうから提供いただいた資料を紹介いたしますが、これは時間の関係で全部割愛します。とにかく、ここにも書いていますように、最終的にはROVDeeptowAUVなんかも1つの重要な手法だということを言っておりますが、また別の見方もありますから、それはそれで後からもう少し詳しくお話しいたします。詳しくは、恐縮ですけれども、配付している資料を見ていただいたらありがたいと思います。ちなみに、フグロはAUVを既に4機、商業的に使っております。

 話は44番目まで飛ばせていただきますが、そういうようなお話をイメージ的に持っている人間として、探査等のプロジェクトの開発というのはどうあるべきかということを考えますと、やはり目的の認識、事業化はどうしたらいいかということを明確に概念として確立して持って、それからデスクトップスタディー等をやっていく。そして、全体の事業計画をここでつくって、まずはいずれにしても鉱量等の確認をちゃんとやるということになると思います。その過程において理学系、あるいは工学系等の手法の違い、あるいは考え方の違いの議論も出てくると思いますが、一番大事なことは、探査目的の実現に最適システムとしてどういうものを考えなければいけないかということの明確な概念規定であると思います。そのためには、経済性ということを考慮しながら民間のプロジェクトの手法ということを積極的にお取り入れになるということが大事ではないかと思います。そのためにはもちろん国の積極的な支援というのは必要ですが、民間の経営手法とか能力の活用、先進の国内外の企業との連携、それから防衛庁との技術交流というのも今まで以上に重要になってくるのではないかと思います。

 そこで、いよいよ最後のほうに近づくんですけれども、今後の熱水鉱床探査の技術的課題ということで、ここの委員会ではそういうこともご検討になっておられるということですので、フグロは熱水鉱床の開発の技術的課題というのを現在どういうようなところでとらえているかということ。それから、日本の専門会社が幾つかございますが、そのうちの1つで地科研さんのご研究として今どういうことをやっておられるかということをご紹介させていただきたいと思います。既に飯笹さんのお話なんかにもございましたし、一般的に言われていることですけれども、2番のほうですが、探査の手法そのものは一般的な手法ということで当然いいと思うんです。1番目に書いているのは、フグロの多くの人は海洋石油開発の技術というものをもっと積極的に活用するということが正しいアプローチではないか。それから、3番目ですが、DTAGS、これはアメリカの海軍の研究所が開発して、既に今から10年近く前に南海トラフのスタディーにも利用したことがあるんですが、そのDTAGSとかAUVの活用、そういうことも具体的に必要になるのではないか。それから、EMの探査技術、これは実際にはノーチラスなんかのレポートにも繰り返し出てくるんですけれども、フグロとしてもまだまだ技術的には開発すべき要因があるのではないかと考えています。全く別の考え方ですけれども、FSSIのドクター・ブラキントンの考え方としては、熱水鉱床の調査で大事なものとしてセンサーを物理的に調査域に近づけること、それからhigh accuracy positioning。そのためには、船舶、海底トランスポンダー、AUV等、それからDTAGSも後からお話ししますが、その活用。それから、RSCS、これは後からお話しします。そういうような組み合わせによる海底の調査というのが必要ではないか。そういうようなことを考えております。そんなことで各種のGradient instrument、要は幾つかの変化したデータというのをどうやってとっていくかということのセンサー、それをAUVへ搭載していくことが大事ではないかと考えています。

 これはEMのプロファイリングのお話ですが、時間の関係で割愛します。ただ、これはごらんになっていただいて非常におもしろいと思うんですけれども、初めにバシメトリーだけしかわからないデータがEMの結果、上から3番目に示していますように、はっきりと熱水鉱床の賦存域がどうなっているかということがわかる。大変それは意義がある方向ではないかということです。

 そこで、最後に地科研さんが中心になって現在取り進めておられるRSCSというシステムの考え方をご紹介します。ここにも書いていますように広域調査、詳細調査――詳しいことはごらんになっていただくとしまして、そういうことで図を見ていただきます。DTAGSの震源をこのような形で引くというのがDTAGSなんですけれども、それは地震探査のデータを見ればはっきりといいということがわかるわけですけれども、これが58ページです。RSCSの概念図で、光海底ケーブルを海底にはわせて、エアガンによってリアルタイムのデータを取得するというようなシステムですけれども、こういうものをより効率的なものとして開発するということで熱水鉱床の調査にももっと貢献できるのではないか、そういうような研究を進めておられるところです。

 この辺はデータの比較ですが、ごらんになっていただけたらと思います。

 10分過ぎましたので最後のまとめに移ります。探査のビジョンということを明確に持つということが何にもまして大事なことだと思います。それと日本の場合、1回国のプロジェクトとして始めた場合に、見直しの時期というのは入れているんですけれども、必ずイエス・オア・ノーでイエスのほうに走っていくんです。フェーズ123まで行くというようにどうしてもなりがちなように私は感じております。そこで、ダイナミックに変化に応じてプロジェクトを見直すという仕組みをビルドインしていくということは大事なことではないかと思います。そのために、先ほどもお話ししましたけれども、民間のプロジェクト管理能力の活用ということも重要なテーマになってくるのではないでしょうか。

 それから、何でも日本で開発すればいいとか、何でも今から開発すればいいとかということではなくて、国内外の企業の開発能力というのを積極的に利用すればもっといいものが効率的にできるのではないかとも思います。やっぱり日本にはすぐれた人たちがたくさんおられると思います。ですから、熱水鉱床の分野でもしっかりとした開発体制をつくっていけば世界をリードする技術というのも開発可能だと思います。したがって、私としては、どのような制度設計をするかということが非常に重要なテーマではないかと個人的には思っています。はしょりましたけれども、思ったことを勝手に言ってみました。以上でございます。失礼しました。

【浦辺主査代理】  どうもありがとうございます。今のに対して何か質問はありますでしょうか。

 EMなんですけれども、配付されている資料の49番にはモーリス・タイベイたちがエンデバーでやったAUVにつけてやったデータが書いてありまして、その次のページを見ると、ノーチラスがやったデータが、先ほどもお見せになったやつがありますが、これはやったシステムは違いますよね。このノーチラスのやつはどういうシステムでやったかというのはそちらで把握しておられますか。

【山野代表取締役社長】  存じません。フグロの一部の人は知っているようです。実際にフグロはそれをやっていません。コアリングはやっています。

【浦辺主査代理】  それから、その次の54番と書いてあるやつで、DTAGSのプロファイルが、これはMarine Vivroseisと書いてありますけれども、幾つか、これはフグロの機械ということでやっておられると思うんですが、これを使うというのは、例えば熱水鉱床の検討の中でもこういうものを検討しておられるということでしょうか。

【山野代表取締役社長】  まず、DTAGSというのはフグロのシステムではなくて、Naval Research Laboratory(米海軍研究所)が開発し所有しているものです。それをFSSI、フグロの会社と一緒に今から10年ほど前、南海トラフの調査のときに最初に使ったと。これをその震源として活用することでRSCSというシステムの震源部に使えるのではないかというのを地科研さんたちは現在お考えになっておられると、そういうことです。

【浦辺主査代理】  なるほど。

【平委員】  DTAGSなんですけれども、54ページの、先ほど飯笹さんの話のときにも質問したというか、熱水の探査に非常に有効な周波数帯域というのはどこなんだというのがまだよくわかっていないというのがまず1つ。多分、数百Hzから1kHz2kHzぐらいではないかと。3kHzぐらいだと、先ほど言ったように吸収されちゃって中へ届かない。エアガンの数十Hzとか、ウォーターガンの200Hzぐらいだと、入っているけれどもレゾリューションもないと。ここで新型で200Hzから2kHzと書いてあるんですけれども、これは新しい何かDTAGSで開発された音源なんでしょうか。それを今、地科研さんは実際に使ったということなんですか。

【山野代表取締役社長】  まだ使ってはいません。ただ、現在、NRLが実際に開発しておりますので、それをうまく利用できないかということを検討していると、そういうことです。

【平委員】  なるほど。

【浦委員】  このDTAGSの発信機はピエゾでつくっているわけですね。山野さんの非常に重要なのは、日本でできないもので買えるものは買ってくればいいと。要するに全方向ですべて技術はカバーできるものではないから。でも、ピエゾに関する研究というのはわりと日本では、水中以外にもいろいろ、例えば免震構造をつくるために建築物をそういうようにやるとか、同型のものが用意されている。そういう技術、つまり陸上の技術を導入して、日本でもできるようなものではないかなと私は思うんですけれども、そのあたりはどうなんでしょうかね。

【山野代表取締役社長】  それははっきり言うとわかりません。実際に、海でどういうものが現に使われているかということからこちらとしてはどうしても物を考えているので、陸上の技術を応用するというようなところまでの研究というのは少なくともフグロとしてはやっていないのは事実です。

【浦委員】  わかりました。もう一つ質問ですが、54ページの絵、これをずっと引いているときに、後ろに引いているものが真っすぐになっているのかどういうようになっているかによってレゾリューションが変わってくるんですが、あまり気にしないんですかね。

【山野代表取締役社長】  気にします。

【浦委員】  気にするでしょうね。コントロールできないから。

【山野代表取締役社長】  だから、まさにグラディアント・インストゥルメントということで、AUVなんかも含めて、このRSCSは海底にはわせるという話ですから、今、話をすりかえているように聞こえるんですが、数年前のときにも、これだけのデータでは一体どこのデータをとったのかということに対する疑問というのがあって、ここにもいらっしゃっておられますけれども、地科研の淺川さんたちが一生懸命苦労されて、ほかのデータとの整合性ということを繰り返しチェックされてちゃんとしたデータをつくったという実務的な背景もあります。おっしゃるとおりです、浦先生の。

【浦委員】  これだけ長いものを海底100mぐらいのところで真っすぐに引くのも大変なことだなと思うし、ほんとうにやれるのかなと。高度が高ければやりようがあるけれども、高度が低いと苦しいかなと思っているところです。ありがとうございます。

【宮崎委員】  教えていただいていいですか。50ページのコイルのやつですね。これはROVにコイルをつけるとか、あるいはROVから離してコイルとか、この絵も見たことあるんですが、実際のことがよくわからないんですが、どのぐらい。ちょっと教えていただければと思うんですが。

【山野代表取締役社長】  データはたくさんありますけれども、今ここではわかりません。後からお送りします。

【宮崎委員】  ありがとうございます。

【平委員】  もう一つよろしいですか。フグロ、FSSI、これのAUV4機とかあると。これは主にどういうサーベイに使われている。地形探査ですか。

【山野代表取締役社長】  基本的には海底地形調査ですが、ケーブルルート調査なんかにも積極的に今後は使いたいという考え方は強いです。

【浦委員】  補足して説明すれば、AUVの業界の中ではHUGINAUVはとても成果を上げていて、地球を何周もするぐらいのサーベイをしているんです。それは我々の中では自明なことなんですが、日本ではあまりそういうことが知られていない。AUV技術の現在のステータス、世界的な状況ということがよく理解されないでいろんなことが議論されているんじゃないかというのが日本における現状だと思います。それはとても心配なことでよくないんじゃないかというのを一言申し上げたいと思います。

【生川海洋地球課長】  すみません、1点。52ページ目のスライドなんですが、上から3つ目の図のところで熱水鉱床の分布がきれいに出ているということだと思うんですが、ここでおっしゃっているエレクトロマグネティックのセンサーを使うことによってこのようにきれいに見えると。

【山野代表取締役社長】  と書いてあると。

【生川海洋地球課長】  ということですか。ある意味、その技術はもう既にあると考えてよろしいんでしょうか。

【山野代表取締役社長】  これ自体はそのデータなんですけれども、実際にはフグロとしてはまだ完全に完成しているとは……。ここにも引用している論文なんですけれども、実際に商業的に完成しているかどうかというのはフグロとしてはまだ疑問だと思っています。

【浦辺主査代理】  この52ページの図は若干問題があるかもしれないなと思っています。ケーブルを引いてやったということらしいんですけれども、ここで書いておられたRSCS的な手法だということですけれども、あまり詳細がよくわかっていないと思います。ほんとうにこれだけ出たのかどうかはちょっとよくわからないんじゃないでしょうか。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、どうもありがとうございました。大変急いでいただいて申しわけありませんでした。

【山野代表取締役社長】  どうも勝手なことを言いまして、すみませんでした。

【浦辺主査代理】  それでは、最後の発表になりますけれども、メタル経済研究所の西川さん、よろしくお願いいたします。

【西川主任研究員】  ただいま紹介にあずかりましたメタル経済研究所の西川と申します。

 まず、お断りしなきゃならないんですけれども、私は海底資源の専門家ではありませんし、また、日本メタル経済研究所が海洋、あるいは海底資源を研究対象にしているわけではありません。メタル経済研究所は主としてメタルの需給関係などの調査・解析を行っています。したがって、この海底鉱物資源に関しては、私のこれまでの、三井金属で資源探査を含めた仕事を30年以上やってきた中で、海底鉱物資源の調査の創成期段階での白嶺丸で調査をおこなったり、あるいはDORDの前身というか、違う母体ですけれども、DOMAといっていた海底資源を探査する機関があって、そこの調査をしたりした経験と、一番大きな経験は陸上の探査です。陸上資源と海底資源とを比較しながら海底資源に関する多少なりとも経験を積んだということでご説明していきます。

 当たり前のことですが、海底熱水鉱床も、陸上で見ると珍しいものはありません。海底資源のなかで珍しいと言えば、コバルトクラストです。コバルト鉱床自体は、陸上ではたくさん存在しているわけではありません。陸上にはマンガン資源は豊富にありますが、マンガン団塊から形成されたマンガン鉱床というわけではありません。海底熱水鉱床は亜鉛と銅が、主たる構成金属ですが、亜鉛は、世界的に50%がメッキの需要です。海底熱水鉱床に関してはその産状や構成鉱物など基本的には海底も陸上も変わりません。

 今の日本の調査の現状について位置づけてみると、マンガン団塊は定性から定量的調査ぐらいの段階だろうと思います。コバルトクラストは定性的な段階です。海底熱水鉱床はスポット調査段階だと思います。欧米企業のノーチラス社とかネプチューン社は探査を積極的にやっていますが、必ずしも海底資源を何が何でも見つけて開発しなければという高い目的を持ってやっているわけではないと思います。欧米の会社の、特にジュニア(探査専門企業)は、バックに投資銀行なり投資家なり、あるいは金属メジャーがいます。ノーチラス社の場合はテックとか幾つかの鉱山会社が資金を拠出しています。探査自体がビジネスになっていることも十分考えられます。したがってあまりあおられないほうがいいんじゃないかと思います。

 これからどうしたらいいかという話がありましたように、探査方法の開発が必要だと思います。それから、モデル地域を決める必要があると考えられます。物理探査の対象地域自体が絞られなければなりません。それから、探査段階といえども、どんな環境影響があるのか、探査とあわせて今後実施していかなければなりません。

 海底鉱物資源と陸上鉱物資源を単純に比較すると、層状・塊状マンガン鉱床は地上にありますけれども、これにマンガン団塊が相当するのかどうかわかりません。団塊自体がプレートの移動とともに海溝に近づくまでに溶解してしまい、コバルトクラストも同様です。したがって、地上にこれらに相応する資源がないわけです。プレートの移動とともに溶解するということであれば、溶解前に採掘する必要があります。それから、海底熱水鉱床、これは地上でいう層状・塊状多金属鉱床です。いろんな言い方があります。黒鉱タイプとか、キプロスタイプとかいいますけれども、層状・塊状多金属鉱床に対比され、比較が可能だと思います。

 これを、地上の鉱床と熱水鉱床を関連づけて考えると、プレートによって運ばれた海底熱水鉱床が地殻に沈み込み層状・塊状多金属鉱床が火成作用、熱の作用とか、力の作用を受けると層状・塊状多金属鉱床、スカルン鉱床というように呼ばれる鉱床が形成されます。かつて日本ではそれぞれ鉱床の専門家がいました。非常にダイナミックに考えると、陸上の層状・塊状多金属鉱床、スカルン鉱床の金属が海に溶けて、またそれが海底熱水鉱床になって陸上に上がる、こういう大循環の中でどこをとらえるか、によって鉱床の形がかわります。こういう大循環の中の地上にあるのは変形だと思います。火成作用のかかわり方などで鉱床の形態がかわってきます。今、海底熱水鉱床を調査し、将来開発しようと検討していますが、まさに生の多金属鉱床を開発しようという位置づけにあるます。

今、海底熱水鉱床の産状がわかってくると、こういう大循環の中の変形してない生の資源を相手にしているという位置づけが必要かと思います。

 陸上鉱床における探査の展開は、例えば広域調査が終わると、鉱化帯とか、変質帯とか、地質構造がわかってきます。海底熱水鉱床と比較すると、海底熱水鉱床は探査の入口にいることがわかると思います。今わかっているのは、産状なり鉱物なり組成です。これだけわかったんだというのか、この程度しかわからないというのか、なかなか言い方としては難しいんですけれども、陸上と比較するとまだまだ探査の遠い道のりのスタートのところかと思います。ノーチラス社が今慨査を行っていますが、具体的調査結果についついてはわかりません。全部のステップを踏みながら概査段階にいるとすれば、慨査が今の世界の最前線なんだと思います。海底の探査の場合と陸上の探査方法と基本的には同じです。今まで陸の資源も火成作用や熱の作用を受けたほうが金属鉱物の結晶粒が大きいから経済効果が大きいということで火成作用や熱の作用を受けていない生の鉱床を開発対象から避けてきたわけですけれども、陸上と海底では鉱床自体はその程度の差しかありません。またF/Sまでは、かなり遠い道のりです。

 いろいろ世界のいわゆる海底熱水鉱床起源だろうという鉱床を見てきた中で、これから開発されるあまり火成作用や熱の作用を受けていない生の、一番海底熱水鉱床に近似する鉱床でFilizchayは、カスピ海と黒海の間のコーカサス山脈に存在します。グルジアとアゼルバイジャンとの国境のアゼルバイジャン側にあります。1950年代から1985年ぐらいまで探査、それからF/Sまで実施しました。ボーリングは25m掘削しています。海底熱水鉱床の探査を陸上資源と同じような精度でやろうとするとかなりの覚悟が要るわけです。25m、すなわち250kmです。それから、坑道もつくっています。坑道は1mぐらい掘削しています。開発せずに中断した原因は、ソ連の崩壊です。資金がなくなって、その後、旧ソ連諸国が独立してアゼルバイジャンのものになりましたが、旧ソ連の中ではこれが3番目の規模になると思います。1番目の資源はもう開発されて、今カザフスタンにあり、生産戦力になっています。2番目もカザフスタンにあり開発中です。このアゼルバイジャンの鉱床はこれから西側の基準に沿った形でF/Sを実施する計画です。亜鉛メタル量で300tです。鉱石量でいうと1tです。世界の第一級の大きさです。成分は銅、亜鉛、それから金銀で、層状で大きさは1km掛ける1kmぐらいです。熱水鉱床の形がわからないという話がありましたけれども、イメージとしては、布団を考えればいいです。海底の表面か中にそのような形の鉱床が存在しているというイメージです。それが陸上に火成作用などの影響で上昇してくるときにくしゃくしゃにされて曲がっている、というような姿を考えればいいと思います。

 海底熱水鉱床の鉱石を接近して観察してみますと、堆積構造が非常によく見えます。また、礫状になって見えるところもあります。このような鉱床ができる環境というのは必ずしも静かではありません。底層流があったり地滑りがあったりしています。このような環境で形成されようとしているか、あるいは形成している鉱床をこれから探そうとしているわけです。探したものを定量化しようというのが現在の状況だと思います。Filizchayの鉱床の付近を見ても50km掛ける10km15kmぐらいのところ、最大1km掛ける1kmの鉱床が散点しているというイメージで、そのような鉱床を日本の黒鉱の分布でみてもかなりまばらに鉱床が分布していることがわかると思います。

 海底熱水鉱床で今までに見つけているものは陸上でいう、露頭だと思います。鉱床が埋没されて存在しているかどうかは、陸上の知識を踏まえれば当然存在し得ます。背弧海盆とか、背弧拡大軸とかにあるいはそれらの周辺に鉱床が分布していると考えられています。モデル地域を決めて探査したほうがいいと思います、まずするべきことは、データベースと解析です。あまりにも陸上の熱水鉱床の知識なりデータが海底熱水鉱床に利用されていないのではないかと思います。一度総合的なデータベースをつくって解析する必要があるとおもいます。

 陸上鉱床の特徴、塊状鉱床の特徴ですけれども、探査機器の基礎データになるべきだと思います。探査機器も電磁の話も出ていましたが、地上では電磁が効果的であり。それから、地化学調査が使われています。海底ではセンサー開発が必要です。また、自走式ボーリングですが、海底では結構凸凹しているらしく、底層流もあると考えられますので、そういうものに対応させた機器開発が必要だろうと思います。

 当面の課題は、データベースなり機器開発、それから人材です。とくに人材は大きな問題です。陸上の探査技術者の定年後の再雇用が可能であれば1つの解決になりますが、そういう人材も乏しくなってきています。かなり深刻だと思います、今後の海底資源探査の展開において人材を育成するにしても、陸上を含めて育成していかなければならないと思います。また、環境影響や国際交流も本気でやるなら日本が発信源になるべきだと思います。将来展望を考えると、2030年に開発していくというターゲットをもっても実現は難しいと思われます。銅は需要増加でまだあります。亜鉛も減っているけどまだあります。コバルトが希少です。海底資源の重要性は将来は増すでしょうが、たくさん課題があります。

【浦辺主査代理】  どうもありがとうございました。今の西川さんの発表に対して何かご質問ございますでしょうか。

【浦委員】  コーカサスのこの地図で500mとか1kmぐらいのところ、これが典型的なというんでしょうか、大きなものだとおっしゃっていましたね、1tぐらいの鉱量。

【西川主任研究員】  あの中で大きい鉱床です。

【浦委員】  これを見ていると、例えば伊是名海穴の熱水地帯の大きさを見ると、1km掛ける1kmぐらいだし、それは白嶺サイト。JADEサイトが5kmから10kmぐらい離れたところに500m掛ける500mのエリアがあると。それを見ると、同じような鉱帯の規模ではないかなと。海と陸とは違う……。

【西川主任研究員】  同じです。

【浦委員】  同じですねという印象を非常に強く受けた。

【西川主任研究員】  要するに海底にあったものが地上に上がってきたときに、条件がそろえばそっくり残るわけです。

【浦委員】  ですから、わりと心強いなと思って。海は小さいよというような、例えばよく見せられるようなニッケル鋼のオープンピットで何キロも掘っているような絵を見せられると、海はそれと違うんじゃないか。比較するものはこういうもので比較しないといけないなとつくづく思いました。ありがとうございました。

【西川主任研究員】  そうですね、一番いいと思います。実際に我々のそばにあるわけですから、それを飛び越えちゃって海の調査をしているわけでから、陸上との比較を行うべきだと思います。

【浦辺主査代理】  ほかに。よろしいでしょうか。

 それでは、次の議論の中でまた。どうも西川さん、ありがとうございました。

 それでは、残りの時間を使いまして、お手元の資料14の議論を進めていきたいと思います。資料14、この間の議論がありまして、大分こういうものを加えたらいいという話があって、新たに事務局のほうで取りまとめられた骨子案でございます。1章が概要、2章が検討の背景ということで、これについてはいろいろ話があったところでございます。

 3章が海洋鉱物資源の探査に係る現状と課題ということで、これについても幾つか話がございました。それから、この間は海底熱水鉱床の探査だけだったんですが、3の(2)のコバルトリッチクラストの探査に係る現状と課題というのも増えております。それから、次のページへ行っていただきますと、(3)探査機技術の現状と課題、国内外における探査技術の現状というようなことで、これもこの間の話があってこういうものもやったらどうかということでございます。

 4章、海洋鉱物資源の探査に必要となる技術。これは海底鉱床の賦存量を広域かつ効率的に把握するという観点から、探査の対象(鉱床の状態)に応じた開発されるべき手法について取りまとめるというように、そこに3つの点が書いてあります。これも海底熱水だけじゃなくてコバルトリッチクラストについても考えましょうということ。4章はそうですね。

 5章、効率的・広域的な探査に必要な探査機技術。先ほどのところでございます。

 6章、先ほど西川さんのお話にもありましたけれども、鉱物資源探査以外の分野への応用、人材育成等。

 それから、最後、第7章が研究体制等、今後の研究開発において留意すべき事項ということで、大きな項目だけ読み上げましたけれども、まず全体についてこの7章立てでよいのかということについてまずご意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【平委員】  よろしいですか。中核になるのが技術の部分だろうと思うんですが、45というのが、4が必要となる技術、それから5が広域的、あるいは効率的探査に必要な探査機技術と。これはわざと分けた理由というのは何か。

【生川海洋地球課長】  特段ありません。まとめようかという話もあったんです。そちらのほうがよろしければまとめさせていただきます。技術の中に、どちらかというと、4ポツのほうはセンサー技術で、5ポツがバス技術というか、プラットフォーム技術かなということだと思います。だから、まとめたほうがある意味いいかなという議論も中で実はあったんですが、結果としてこういう形で今回お示しはしましたけれども、特段分けなきゃいけない理由はありませんので、まとめたほうがよろしければ、それで構わないと思います。

【平委員】  それから、技術のところで詰められる部分と、機械があれば開発要素や技術研究要素そのものという部分が出てくると思うんですけれども、それはそれでいろいろまだらになるだろうと思うんですけれども、それはまだらだということを書けばいいということですよね。この部分はわかっているけれどもこの部分はわからないので、将来わかるようにしなきゃならないというようなことも含めた、統一的にある水準のレベルで書けというのは非常に難しいと直感的に思うんですけれども。

【生川海洋地球課長】  難しいと思いますので、書ける範囲で書いていくということだと思います。なるべく具体的にこういう構想があるんじゃないかというものがあれば、それは書き込んでいくということだと思いますし、なかなかそこは難しいということであれば、その手前の段階での整理になるということだと思います。

【寺島委員】  中心テーマがこの技術開発ということなので、どういうようにつながってくるのか私自身も整理ができていないんですが、海洋基本法研究会とか、そういう基本法をつくるときの議論の中で海洋問題に取り組むときに、今までのように国だけがやっているのではなくて、民間の参入を育成していかなければいけない。そのために技術開発とかそういうのも、今まで国の大型プロジェクトでいろいろ取り組んでいるけれども、それが民間のほうに技術移転できていないというようなことが議論になったと思うんです。そういう目でこのあれを見ますと、検討の背景のところで民間における検討状況で民間のほうでも取り組みが始まっているというようなところとか、最後のほうで人材育成とか、そういうようなところで時々そういう議論されたことに関係するようなものが若干見られるんですが、全般的に技術開発という中に民間をどういうよう位置づけていくのかというところについてはどのように、私もこうすべきだというところまでのあれはちょっとないんですけれども、どのように入れ込んでいくのか。それは最初と最後のまとめのところで技術開発を議論しているときに、それが中心だけれども関連してこういう場所で取り上げられるところは取り上げていくと、こういうことなんでしょうかね。特に人材育成というようなことになったときには、だれが担い手になるのかということと密接に関連してくるので、あまり今言ったようなことも、そういう問題意識から見たときに全然触れないというのもちょっとどうかなという感じがするんですが。

【生川海洋地球課長】  民間との役割分担とか、あるいは技術移転みたいなこととか、具体的にどう書いていくかというところまで事務局のほうとして明確なアイデアが今あるわけでは必ずしもないと思います。おっしゃるように、何らかの形で盛り込んでいったほうがいいだろうなというのは漠然として考えておりますが、それを6ポツ、7ポツあたりで書いていくだけでいいのか、あるいは4ポツ、5ポツのところにもうちょっと項目立てをして明確に書いていったほうがいいのかというのは、ドラフトをしながら、中身を見ながら、ご指摘もいただきながら考えていきたいと思っています。

【浦辺主査代理】  そうですね。ちょうど1から3までは結構詳しくいろいろと書かれているんですが、4から7までは、まだ下の枝番のほうができていないので、この辺のところを少し議論していただくとありがたいですね。

【浦委員】  先ほど、平委員のほうから45の関係でご質問があったんですが、これはなかなか複雑に絡まりあっていて難しい。つまり、先ほどのお話もあったんですが、探査活動のいろんな段階があって、広域といっても広いというのは10km四方なのか、それとも伊豆・小笠原のところを全部カバーするぐらいに広いのかとか、いろんな切り口が探査の面もあるのではないかなと。見つかっているところだけを詳しく調べるのか、もっと広げて、先ほど浦辺先生の発言だと、アクティブなのはみんな見つかっているというんだったですかね。違ったっけ。

【浦辺主査代理】  いや……。

【浦委員】  そういう話もあったのでほんとうかなということもあるし。これは文部科学省がやることだというように理解すると、広く可能な範囲を調べていって可能性を探る、絞り込んだところを探る、あるいは既に見つかったところを探る、そういうようなスペース的な、どのくらいの時間をかけてやるかというようなところで技術的な課題が決まってくるような気がするんです。ですから、そこのところはとても難しくて切り分けるか、切り分けなきゃならないんですよみたいな全体的なストラテジーを構築していく必要がある。どれか1個やって、例えば今目標としているベヨネーズでもいいですけれども、ベヨネーズを攻めるにはこうだと。こういう技術が必要だと。でも、それだけじゃ、どうもいけないんじゃないかと。そこがうまく章立てに加わってくるような、レポートのデザインに加わっているようにしていただきたいと思います。具体的にどうしていいかちょっとわからないですけれども。

【生川海洋地球課長】  浦辺先生、よろしいですか。

【浦辺主査代理】  はい。

【生川海洋地球課長】  今、浦先生がおっしゃったとおりだと思っています。我々もそれを意識してこれをつくっているつもりなんですが、基本的には4章のところだと思うんですが、例えば(1)の熱水鉱床のところであれば、まず(ア)のほうは広く探していくということだと思っています。その上で、ある程度特定されたところでその広がり、あるいは厚さ、方向を見るというのが(イ)、(ウ)なのかなと。そういう流れかなととりあえず想定をして章立てはつくっているということであります。

【浦辺主査代理】  そうですね、ちょうどさまざまなものがマトリクスになっていて、縦軸・横軸をどうとるのかというのがあると思います。4章でも(1)の(ア)のマル1、マル2、マル3で、今はまだ活動的なものと埋没したものという1つ軸があるわけですね。それから、もう一つは、さっき浦先生がおっしゃったような広域の探査から、きょうも幾つかお話があったほんとうにあることがわかっているところでの調査というエリアの問題。それが4ポツの(イ)、(ウ)の広がりとか差を推定する技術というのは、さっき、小さくなってきたときの技術で、マトリクスの両辺が一緒に入っているので少しわかりにくくなっているのかなということはありますね。そういうようなわからないものとわかっているもの、それから見えているもの、見えていないものみたいな形での整理はある程度できてきているのかなという感じがいたしますが、これをこうやればいいとかいうのはございますでしょうか。

【宮崎委員】  1つ、どこまでやるかというのを全体で、特に西川さんの講演でいただいたいろんなフローがありますね。陸上との比較とか、それから海底熱水鉱床の調査をどこまでどういうようにするかというので、どこまで線を引くかによってテクノロジーも違うし、調査法も変わってくる、あるいはサンプリングも変わってくるということで、広域調査から探査地域の選定をするのか、あるいは2つぐらい位置づけとかありましたけれども、そこで概査といいますか、そこまでを1つターゲットにして、そこでこれを変えていくとか、そういうようにしていただけるとテクノロジーの攻め方もやりやすいんですけれども、いかがでしょうか。縦横がいろいろ絡まっているものですから。

【浦辺主査代理】  3次元のマスがあるのでなかなかあれですね。

【平委員】  私の理解では、これは探査の回なので、開発とか何とかは基本的には触れないと。そこまではリスクを消耗できないし。ですから、探査で鉱床の賦存状況がわかるレベルまでだという、そういう理解だと思ってたんですけれども、正しいですか。

【生川海洋地球課長】  基本的にはそういうことだと理解しております。

【平委員】  ただ、この技術的なところをだれが書くんですか。我々委員が何かアサインメントされて書くのか、それとも久保池さんが全部書いてくれるのか。

【生川海洋地球課長】  実はこの議論の後、それをご相談しようと思っていたんですが、先に言ってしまうと、この骨子案の中で、今ご議論いただきましたように一番中心になるのは4ポツ、5ポツのところになると思うんです。したがって、そこのところをぜひしっかり書いていきたいと思います。事務局のほうで、ぜひドラフティングをさせていただきたいと思うんですが、今まで3回ヒアリングしたのを踏まえて、ぜひ委員の先生方から具体的なインプットをいただければありがたいとは思っております。したがって、まことに申しわけないんですが、1つのやり方として、メモ出しみたいなものをお願いできればありがたいなと思っております。今までのヒアリングをお聞きいただいて、こういうことが言えるんじゃないか、こういうことができるんじゃないかというようなこと、あるいはこういうことを盛り込むべきではないかというようなことを、ごくごく簡単なメモで結構でございますので、思いつくままにお書きいただいて事務局のほうにお出しいただき、それを我々のほうでまとめさせていただいて、次回会合にお示しさせていただきたいと考えています。

【浦委員】  もう一点、きょうの飯笹さんのお話を聞いていて、それから西川さんのお話を聞いていて、要するにデータが実はいろいろあるんだけれども、我々の知らないところが随分あるのかなというような気がしたんです。きょう、飯笹さんから見せていただいた音響の断面図というのを初めて見たというのは自分の不見識を言っているだけかもしれないですけれども、どのぐらいの人たちがああいう絵を知っているのか。これは鉱山開発もあってなかなかデータを公表できないところがあるんですけれども、今まで、これはJOGMECさんをはじめとする、あるいは過去の金属事業団さん、あるいは産総研さんがいろいろやってきたんだけれども、どこまで大体どのくらいのことがわかっていてできているのかというのがどうも私にとってクリアじゃないんですね、過去にやられたことも。そこがわからないと何となくその先どういうようにやっていっていいのかがわからないというのがあるので、わかっているデータはこれなんだということを報告書の中に入れていただければとても人を説得しやすい。想像で言っているんじゃなくてデータはここにあると。技術の中のティピカルなものでよろしいんだと思うんですけれども、というようにお願いしたいと思います。

【生川海洋地球課長】  すみません、今の点で。どこまでわかっているかというのもぜひ教えていただければ。委員の先生方にそういうところをぜひ教えていただきたいというのが我々の立場であるんですが、例えばこういうデータも盛り込むべきであるということがあれば、それも含めてご指摘をいただければありがたいと思っております。我々のほうでいろいろ調べさせていただいて、可能な範囲でデータも盛り込んでいくという形で検討させていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

【鈴木委員】  先ほど平さん、宮崎さんも言われたようなどこまで何をやるんだという、検討の背景とかずっとあるんですが、目的という項がないわけですよね。多分、それは、前回の論議の中で検討の背景の(3)の一番下、経済産業省と文部科学省との連携で文部科学省の役割はこういう知見技術を活用し海洋資源の探査に資する技術開発を実施というのがこの目的ということになるわけですけれども、項を明確に起こしたほうがいいのではないでしょうかね。

【生川海洋地球課長】  ここの骨子には出ていないんですが、多分、通常やるのは、「はじめに」なり一番最初の冒頭で、何でこういう検討を始めてどういうことを目指しているのかということは明確に書かせていただきたいと思います。そこのところできちんとこの検討委員会で何を目指してどういう報告書をつくったのかということをまずはご説明させていただいた上で本文に入っていくという形になるのかなと思います。

【浦辺主査代理】  基本的には、先ほど言った鉱床そのもの、見えている活動的、それから見えないという1つの軸。それから、もう一つは、広域でどれぐらいの広域探査なのか、精密探査なのか、ほんとうに鉱床の賦存量調査の3つの大きなカテゴリーで分けると9つのマス目ができるわけですけれども、その9つのマス目の中で、例えばここではこういう技術がありそうだ、ここではこういう技術がありそうだということはある程度皆さんの頭の中にあるのかなと。ただ、これはレベルとして将来的には使えるかもしれないというもの、だけれども、ちょっと夢のような話みたいなもの、それから、実際にもう使った人がいるよというようなそこでのまた一つ一つのマスの中に深さ方向があって、特に今回の調査のような場合には、例えばほかのところでは使われている――鉱床の探査に使われたことはないんだけれども、こういうことを考えればここまでは使えるだろうというようなもの。そういうような深さ方向をある程度また少しあれすると、例えばこのマスの一番端っこのマスはほとんどやることがない、このマスはほとんどやられていないというマスのどこら辺に今現在いるのかというのがわかると俯瞰ができるのかなという気がします。

 それで、専門家の方がたくさんおられるしあれなので、例えば事務局のほうで何かそういうのを用意されて、ABCDEFGHIみたいな、これについてあなたは何の技術ができて、その技術はどこまでと思うか、あるいはポテンシャルがある・ないというようなことを少しまとめていただくと答えやすいというか、漏れがないかなという気はするんです。そうしないと、あんまり1つのことばかりわーっと書いてあって、そこばかりカバーしてしまうと抜けるものも出てくるかなという気もするんですが、いかがでしょうか。そういうことは可能でしょうか。

【宮崎委員】  いいと思うんですけど、まずはやってみてもいいですね。

【増田委員】  おおむねそういうことで書けるんじゃないかと思うんですけれども、いつもそうなんですが、どういう技術が必要かという検討をするときに、おっしゃったように、非常に荒唐無稽な技術から非常に身近なところまであると。そうすると、その精度の問題がまた出てくるんですね。同じ技術でも、もっと精度が欲しいよとか。そうすると、ある技術ではここまでできる、それは別の技術に譲るのか、その技術で実現するのかとか。そうすると、きれいに分かれない部分がどうしても出てくるんじゃないかなと。そこは適当にと言ったらおかしいですけど、ある程度割り切って書いていくしかないんじゃないかなとは思います。

【浦委員】  もう一つは、我々はプラットフォームもセンサーも両方やっているんですけれども、プラットフォーム技術を知っているJAMSTECさんも含めていろんな人に、将来このようなシステムでトータルプランですね、自分たちの道具を使うとプラスアルファ、あるいは10年後にはこれをこのようにしたいとかっていうような絵というかな、将来ポンチ絵みたいなのが出てきてみんなで集めると。これはいけそうか、これは到底夢みたいなのであり得ないとか、要はアイデアを出し合っていく必要、とても新しい分野なので、プラットフォーム技術にものすごく影響を受けるはずなわけです。なぜならロケットがなければ月には行けないので、ロケットがなくてジャンプだけで月へ行こうという計画を立てる人もいるかもしれないから。そういうところがないとなかなか文科省として、将来のいろいろな計画を立てていくのはできないんじゃないかなと。あまりにも現実ばっかり見過ぎてしまっておもしろいところがない。

【増田委員】  そういう夢というのは非常にいいと思うんですよね。将来こういう技術があったらいいな、こういう方向に向かっていこうと。ただ、こういうのに書く場合は、実現が、例えば5年とか、10年、どのくらいを目標にした技術として考えるのかという前提をやはりどこかに置いて書くべきじゃないかなという気はしますけれども。

【浦辺主査代理】  それはそう思いますね。あまり話が発散してしまっても仕方がないので。実際には、ここで実現可能なのは、個人的な意見ですけれども、4章でそういう検討と、それから今、浦先生がおっしゃった探査機器のほうのあれとはある程度分けて独立にやって、4章でこういうものが必要だといったら、それを運ぶものは何か、それを担うものは何かというのはまた5章で分けて、そこのところは、わかっている場合もわからない場合ももちろんあると思うんですけれども、例えば電源の供給が十分にできるかできないのかということまで言い出すと切りがないので、4455で分けて、最終的にそこで組み合わせて、4でいいものがあったら、それは、じゃあ、5ではどこかというような、あまりにも軸がたくさんあり過ぎるので、少し無理があっても軸の数を減らすということでやったらどうかと思います。ですので、マスの中であんまり将来的にあれなものは増田委員のおっしゃったようにそれは含めないで、ただ、今もうできてしまっているものってあまりないんですけれども、それについては開発の余地が十分できているものについてもできているということを含めて書いて、そこについてはあまり含めなくてもいいのではないか。ちょうどこれぐらいのところ、あと5年ぐらいでできそうなものを中心にマスの中で書いてくださいとか、ちょっとそういうことをしたらどうでしょうかね。そうすると、皆さん、答えやすいし、結局は答えもたくさん返ってくる可能性があると思うんですけれども。

【平委員】  そういう現実路線に沿ったものと、僕は浦さんが言ったことに半分賛成で、こういうデータがとれればわかるんだとか、非常に難しいというようなことはいくらでもあるわけですよね。先ほど言ったように、重力を100分の1mmから精度に曳航して一瞬にしてマップが1時間でできるような技術ができればものすごく役に立ちますねと。しかし、なかなか今は難しいと。そういうことは書き込んでおくような、文部科学省の報告書だからと言ったらあれですけれども。我々、開発主体とはならないと思うので、そういう部分はあっても僕はいいのではないか。ただ、それはそれで書き込まなきゃならないと思うので、そういうものも入れていただきたいというか、入れたいと思います。

【阿部委員】  1つよろしいですか。今回の目的というのは、何が必要ですよと。技術開発では何が必要ですよ、何を知るためには何が必要ですよということで終わるんでしょうか。それまでで、先ほど向こうの委員の方がおっしゃいましたけれども、どこまでやるんだということに戻ってお話ししているんですけれども、それをやるための体制云々は入らないんでしょうかということが。技術なり何なりが必要ですよの言いっぱなしになるんでしょうか、ちょっと言葉は悪いですけれども。

【生川海洋地球課長】  そういう意味では、今の骨子の中でも7番のところに「研究体制等」というのをつけさせていただいているところだと思うんですが、基本はどういう技術開発があるとこんないいことがあるというところのどういうものがあるといいのかということを整理いただきたいというのが一義的であるものの、その後どういう開発体制をとったらいいのかということもあわせて、ぜひ報告書の中には盛り込んでいきたいなと。どこまで書けるかというのはあるとは思いますけれども、そういうつもりで事務局としてはおります。

【阿部委員】  わかりました。

【浦辺主査代理】  そうですね。そうすると、一番最初の議論なんですけれども、4章でそういう技術のことをやり、5章でそれを運ぶ機械とか探査機、6章で人材育成、7章で、さっき阿部委員のほうからご質問のあったプログラムの問題。それから、以前、浦委員からご要望があったシップタイムの確保、このようなことを分けて、それぞれ――なかなかほんとうは、シップタイムがないと4ができないとか、体制がないと4ができないとか、多くの議論はこの中で十分されてきて、生川さんのほうも重々ご承知だと思うので、一応ここではそういうように項目に分けるという骨子になっているわけですけれども、これって何か、よろしいでしょうかね。阿部委員、どうでしょうか。何とかなりそうでしょうか。

【阿部委員】  振られてもちょっとつらいところがありますね。

【浦辺主査代理】  つらいところがありますね、それは。

【生川海洋地球課長】  浦辺先生、きょう、この骨子を、項目立てをきちんと決めなきゃいけないということでも必ずしもないと思うんです。ご意見があればそれに応じて書きかえていくということだと思いますし、今後、ドラフトを進めていくに当たって、やっぱりこういう項目をつくるべきだとか、ここのところは一緒にすべきだとか、そういうところはいろいろ出てこようかと思いますので、とりあえずこれでさらに検討を進めていくに当たって、今の段階でこんなものでよろしいでしょうかということでご議論いただければ、まず項目についてはいいのかなとは思っております。

【浦辺主査代理】  なかなか難しい問題がたくさんありますけれども、ちょっと不手際で時間が延長してしまいましたけれども。

【生川海洋地球課長】  したがって、今後の進め方についてご相談させていただきたいんですが、今浦辺先生からご提案があったように、幾つかマトリクスに分けて利用可能な技術としてどういうものが想定されるのかというのはなかなか難しい面もあろうかと思うんですが、我々のほうでトライしてみたいと思います。現状も含めてあらわせるようなやつも含めて検討してみたいと思います。それは次回お出しするということで、またご議論をぜひいただきたいと思いますし、それがきちんとできれば、ご提案のようにここの部分についてさらに詰めていくというような形でご議論いただければありがたいと思います。それに加えて、もしよろしければ、先ほどちょっとお話をしたところでございますが、特に4ポツ、5ポツのところについて、あるいは先ほど浦辺先生からもお話があった6ポツ、7ポツも含めてということでも構わないんですけれども、こういうことを書くべきだ、具体的にはこういうことも考えるべきじゃないかというようなメモ出しをしていただくことができれば、それを次回またまとめてお出ししながら議論を深めていただくという形で進めさせていただければありがたいなとは思うんですが。よろしゅうございましょうか。

【浦辺主査代理】  今、そういう話でよろしいでしょうか。

【生川海洋地球課長】  もしそれでよろしければ、こちらの都合で申しわけないんですが、具体的には1週間ぐらい、来週の金曜日、2月の6日ぐらいになろうかと思うんですが、できる範囲で全く構いませんので、書きなぐりでも何でも結構ですので、メールで事務局のほうまでお送りいただければ、それを取りまとめさせていただきたいと思いますので、恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げます。

【浦辺主査代理】  そういうことでご協力よろしくお願いしますということです。

 

 

(2)その他

【浦辺主査代理】  最後、事務局のほうから何か。

【久保池企画調査係長】  今後の予定等々についてご説明させていただきます。実は、本委員会が属しております科学技術学術審議会、その下に海洋開発分科会がありこの委員会があるわけですけれども、皆さんの任期が形式上1月末までとなっているんですが、まさに現在、検討の最中ということでございます。ただ、審議会を開いて分科会を開いてでないとこの委員会を開催できないという趣旨の事情等もございますので、次回は216日の週――23日の週に入りますと大学の先生方、入試等々でお忙しいとお伺いしておりますので、16日の週を中心に日付の検討をさせていただいて、改めて日程をお知らせさせていただきたいと思っております。

 次回は海洋機構のほうから国内外、外国等の探査機技術、探査技術の動向についてお調べいただいておりますので、それについてご発表いただくとともに、今議論があった報告書の取りまとめに向けた議論をしてまいりたいと思います。また、先ほど生川から申し上げさせていただきましたけれども、報告書の45、肝になる部分ですけれども、メモ出しをいただくとともに、浦辺委員からお話しいただいたマトリクスのほうで事務局のほうでまとめさせていただいて、報告書をまとめる際の議論のネタになるものとしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【浦辺主査代理】  それでは、どうもきょうは長時間にわたりご検討ありがとうございました。これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

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