海洋資源の有効活用に向けた検討委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成20年12月18日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省16階 16F3特別会議室

3.議題

  1. 海底鉱物資源開発に資する技術開発の検討について
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会)
阿部、浦、浦辺、沖野、鈴木、平、寺島、増田、宮崎 各委員
(発表者)
浦辺徹郎 委員
塩川智  独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構金属資源技術部長
阿部一郎 委員
青木太郎 独立行政法人海洋研究開発機構海洋工学センター先端技術研究プログラムディレクター

文部科学省

生川海洋地球課長、嶋崎海洋地球課長補佐

5.議事録

【浦辺主査代理】  それでは、時間になりましたので、第2回科学技術・学術審議会、海洋開発分科会、海洋資源の有効活用に向けた検討委員会を開催したいと思います。

 本日は、ご多忙にもかかわらず、委員の皆様ご出席いただきまして、ありがとうございます。きょうは今脇主査が欠席のため、主査代理の私、浦辺が議事を進行させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 前回の委員会において、この委員会の今後の進め方ですけれども、専門家の方からヒアリングということを実施していくということで了解が得られましたので、今回やりたいと思います。

 ヒアリングで発表される方のご都合でヒアリングの順序が変更になりまして、本日、この委員会の委員である私と阿部委員、石油天然ガス金属鉱物資源機構の塩川さん、それから海洋開発研究機構の青木さんから発表いただくということにしております。

 最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。

【嶋崎海洋地球課長補佐】  お手元の資料をごらんください。議事次第ということで、そこに資料11から15までつけさせていただいております。11から14までは今回ご発表いただく各プレゼンテーションの資料ということになってございます。資料15が、来年になりますけれども、今後の本検討委員会のヒアリングの予定ということをつけさせていただいておりますので、不備等がございましたらお申しつけいただければと思います。

 以上でございます。

【浦辺主査代理】  よろしいでしょうか。

 

 

(1)海底鉱物資源開発に資する技術開発の検討について

【浦辺主査代理】  それでは、議論の時間をなるべくたくさんとりたいので、発表に移りたいと思います。まず隗から始めよで、私のほうから全般的な話をさせていただきます。パワーポイントのほうをよろしくお願いします。

 お手元の資料11にございます。最初に要旨ということでございますけれども、我が国周辺の海底熱水鉱床、すべて島弧、背弧リフトの火山活動に伴う。当たり前のようですけれども、非常に重要なことです。火山というのは海底の地形として今、あらわれておりますから、伊豆・小笠原弧では平均70km間隔で山があるわけですね。そのうち熱水活動があるとわかっているのが9カ所、120km沖である。沖縄トラフの場合には、140kmごとにここにありますような熱水鉱床が見つかっているということです。こういうものは熱水活動がありまして、そこからお湯が出ていて、海水中に異常水塊、プルームといいますけれども、そういうものが出ますので、海底に行かなくても、海中の兆候によって知ることができる。

 さらに火山帯の中で高温の熱水活動が見られる地形というのは、カルデラあるいは溶岩ドームということで、よくあります円錐型の火山というものには、低温のものは伴うんですが、高温のものは見られない。そういうことで海底地形の高まり、そういう地形的な形でターゲットを絞ることが可能で、これは重要なことなんですね。

 ただそのようにして見つかるものは生きている熱水系、前回の議論もありましたけれども、生きているか、死んでいるかということで、生きている熱水系はこのようにして見つかる。死んだものはそういう方法では見つからないということでございます。

 そこでこの委員会では、提案なんですけれども、死んだ熱水鉱床を見つける探査手法というものを開発することによって、数が飛躍的に増大する可能性がある。火山の間隔は熱水の間隔よりも小さいわけですし、そういう中にまた昔の熱水鉱床があれば、その数が増える可能性があるけれども、そういうことは今まで世界でどこでも行われていないということです。そういうことをやるためには、これまでにない手法の開発が必要で、その新たな手法の開発には陸化した海底熱水鉱床である「黒鉱鉱床」、日本がタイプローカリティーになっているわけですけれども、それの探査経験を生かすということが必要であろうということでございます。

ここにずっと赤と黄色の火山、これはニュージーランドですけれども、ございます。これをずっとスキャンをした海底からやりますと、火山の頂上に熱水から何かいろいろなものが出てくるので、濁土であるとか、温度異常とか、そういうものを点々と見ることができます。

 そういうように海の上からセンサーをおろしながら、上げたりおろしたり、ヨーヨーのように上げながら走っていきますと、そういうところにプルームというものがあるということがわかるわけです。ここでは13の海底火山のうち7つにプルームが見られ、その3つがカルデラを持って、そのうちの2つ、BrothersRumble2というのに高温の熱水活動があるということがわかっています。そういう形でこういう海底地形を見ていけばわかるということです。

 ちなみにこれは後から出てくるマリアナでとれた硫化物のコアです。

 これがBrothersの模式図、こういう地形の北西の角のこういうところに熱水活動、それからこのConeにも2カ所に熱水活動があって、Coneのほうは硫化物を伴わない、ただガスがたくさん出ていて、こういうプルームをたくさんつくっている。この脇のところに、後で話が出てくると思いますけれども、塩川さんの中にあると思いますけれども、日本の伊豆の北のほうのものでも、このカルデラの壁にこういう非常に急峻なところにスモーカーがあって硫化物が来る。600mぐらい長さがあります。

 実はここはネプチューンというのが2005年にカルデラを、めったやたらに何の情報もなく、適当なところを掘削しました。このような掘削をしたんですけれども、硫化物が見つからなかった。潜水艇で見えているんだけれども、適当なことをすると見つからない。これは3km×3kmぐらいありますので、600mぐらい、幅50mぐらいあっても、確率的にはめくらめっぽうやっても当たらないということでございます。

 基本的にはカルデラの構造。その端っこにあったりする。真ん中にあったり、それからそういうこういう溶岩ドームの脇にあったり。これは中央海嶺の例ですけれども、断層のトラフの中にあったりということがありますが、島弧ではこういう3つのカルデラ、それから溶岩ドームというものを伴います。これがPACKMANUSといっているノーチラスがやっているパプア・ニューギニアのものはこういうタイプ、日本にあるのが最初の2つのカルデラのタイプです。

 小笠原のもう少し南のほうですけれども、水曜海山というのがあります。ここに火曜、水曜、木曜、金曜、土曜という、この北に日曜、月曜があるわけですが、この海山で言いますと、このようなCone型、円錐型の火山が多い中で、水曜と木曜というのは頂上にカルデラを持っています。これが拡大図です。木曜もきれいなカルデラがあります。それから、ここにちょっと大分崩れたカルデラがここに見えると思いますけれども、このようにカルデラのあるもの、ないものというのがあります。

 このあるものには、ここには高温熱水活動、ここには低温の熱水活動が今、見られていますけれども、こういうところに死んだ鉱床があるのではないかというようにも考えられるわけです。この水曜のものを少し見ていきますと、ここは年代的には100年以内、こういう方法で調べますと、100年ぐらいのみ熱水活動があったと考えられます。

 中央に高温の、ここにブラックスモーカーが見えるんですが、ヒバリガイが住んでいる硫化物のマウンドの中にブラックスモーカーがある。それから、小さなブラックスモーカーの硫化物のマウンドが、こういう砂地のところにポツポツとある。それから、こっちのほうが強力かな。こっちのほうが強力ですね。それから低温のものもあるということで、ここを10本ぐらい掘削をしました。

 これは後で塩川さんの話でも出てくるBMS、海底設置型掘削装置で、母船の第2白嶺に乗っております。

 北西から南東にかけて10本ぐらい掘りますと、海底面上には地上100m200mにかけてたくさんの硫化物が見えるわけですが、海底下ではここに少し塊状の硫化物があっただけで、ほかのところは見つからないということで、このように穴を掘ってみるということが非常に重要です。

 もう1つのあれとしては、ピンク色のところというのは石膏帯で、これが不透水層で、この下に熱水系があるということでございます。さらにこの緑色のところは変質帯で、この変質帯の鉱物組成、同位体組成というものが黒鉱鉱床にそっくりである。

 これは黒鉱鉱床周辺の変質帯、酸素同位体の組成なんですが、外側に向かって酸素が重くなる。それから鉱物がこのようなゾーニングをしているということでございます。重要なことは、鉱床は小さいんですけれども、変質帯は2kmぐらいにわたって広がっている。

 まとめますと、マグマがあって熱水循環がある。それから鉱染帯が走って、その上に硫化物の鉱石があるわけですけれども、さまざまな火山の地形、それからマグマ溜まりがあるために、地震波の速度の低下、上面の反射、それから変質帯というのは大規模ですので、この間、沖野委員から話のありました岩石磁化の低下というものがこの周辺には起こりますし、こういう化学沈殿物が広範囲にありますので、放射性元素を含んでいたり、硫化物を含んでいたりする。それから酸化物のキャップとか、そういうさまざまな対象を選んでつくればいい、探査に使えるということです。

 ここに入るべきだったんですが、マリアナの掘削は、チムニーのある山に、チムニーもあれば、こういう硫化物が壊れた瓦礫もあるし、BMSで掘ってみますと、5.6mにわたってずっと硫化物があるような、海底下にあまり兆候がないにもかかわらず、下にこういう硫化物があったり、さまざまな産状をしていて、生きているものじゃなくて、死んだものも探さないと鉱量が増えないということになります。

 熱水が活動している。熱水が来ている。それが活動末期になると、何本かのチムニーが死んで、何本かだけ生きている。少し堆積物が出てきています。さらに進みますと、この全部が死んで、堆積物によって覆われて、海底の兆候がなくなってしまいます。さらにもう1回マグマが生き返ると、これを隠したまま新たにこういうものができる。

 このように今、多く研究がされている鉱床はこういうタイプ、それから開発対象になっているのはこういうタイプで、半分死にかかっている。見つかっていないのは海底兆候のない死んだものですね。それからまた生き返ったものという形で、実際には今見えるのはこういうものですけれども、この下であるとか、死んだもの、こういうものをやるということ、死んだ鉱床の探査をやることによって、可能性は非常に広がるのではないか。こういう技術を、先ほど言いました黒鉱なんかの例を参考にしてやるべきではないかというのが提案でございます。

 以上です。

【嶋崎海洋地球課長補佐】  それでは、ただいまの浦辺主査代理の発表に対して、適宜質問をお願いいたします。

【平委員】  この図と最後の図で、これは熱水活動が活発な時期にも、キャップの下に硫化物の溜まりがありそうだと。その一部はチムニーとしても出ていますねと。最後の図だと上のほうだけ、要するにこのキャップの下の鉱石の貯蔵のところと、上に出ているチムニー等との関係というのはどのように考えたらいいんですか。同時に存在しているんですか。それともチムニーをつくるところもあるし、下に鉱石を主につくっている、そういう熱水系も別個に存在していると?

【浦辺主査代理】  それはマリアナの例で見てもわかるように、チムニーとして見える部分が、想像も含めて言うと、若い鉱床というのは、できたばかりのときはチムニーだけなんだけれども、もう少し時間がたってくるとこういう下のほうのものもできたり、このマリアナのものは1,600年たっているんですが、そういうように時代がたってくると埋まったり、下のほうにできたり、さまざまな産状が出てくるんですね。こういうもののほうが大きいといいますか、資源的には重要な形になってくる。

【平委員】  そうすると、最後の図だと、活動のAB、活動の初めから活動の末期ぐらいの間に、上だけじゃなくて、キャップの中に適量な鉱床もできますねと、そう考えていいということですか。

【浦辺主査代理】  そうですね。多分そうなんじゃないかなと思いますね。

【浦委員】  この4枚目のBrothers Seamountのところで先ほどおっしゃっていた、左側のモクモクしているところには鉱物資源がなくて、右側はあるんですが、左側はないとおっしゃっていましたね。左側はなぜないんですか。どういうことで。

【浦辺主査代理】  これは一言で言うと、熱水がオーバーヒートされてフェース・セパレーションを起こして、片一方は蒸気、片一方はお水に分かれるんですね。蒸気のほうは硫化水素だとか、そういうガスはたくさん含むんだけれども、金属を運ぶ能力はないので、温度は高いんだけれども、金属は運ばれないのでチムニーはできない。ブラインのほうは塩素が入っているので、金属を運ぶ能力があるのでチムニーができる。

【浦委員】  なるほど、そういうことですか。わかりました。

【生川海洋地球課長】  私のほうからもちょっと質問させていただいてよろしいでしょうか。基本的なことで恐縮なんですが、11枚目のところで、今、平委員からもご質問があったことに関連するんだと思うんですが、酸化物キャップというのがあるんですが、これはどういうもので、どういう経緯でできるのかというのを教えていただけるとありがたいんですが。

【浦辺主査代理】  さまざまな原因があるんですが、硫化物の表面は海水中の酸素によって酸化されます。そうすると、そこに入っていった溶けにくいものだけが残る。溶けにくいものは何かというと硫酸塩、バリウムの硫酸塩であるとか、それから金属で言うと金、銀が残って、そういうものに富んだ表面に赤茶色の鉄の酸化物なんかが残ることがあって、それが鉱石の面積の広いんですね。ですので、何かボーリングでそういう赤いものが見つかったりすれば、近くにあるという可能性が非常に高くなりますので、要するに海底で硫化物が酸化して、全部酸化しちゃうとなくなっちゃうわけですけれども、残っているケースがあるということだと思います。

 いろいろな兆候をつかまえて、あとで電磁探査だとか、阿部委員のほうから話があると思いますけれども、鉱床が小さいので、それよりももっと大きな特徴、それからリモートセンシング可能な特徴というのが全部まとめてあるので、こういうものを組み合わせて使うということが重要かなと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、また私のほうで議事を進行させていただきます。

 次の発表ですけれども、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の金属資源技術部長の塩川さんから、海底熱水鉱床の資源エネルギー庁サイドの探査にかかわる現状というのをご紹介いただきたいと思います。塩川さん、よろしくお願いします。

【塩川氏(JOGMEC)】  ただいまご紹介いただきましたJOGMECの塩川でございます。この検討委員会におきまして、私どもJOGMECの海底熱水鉱床の探査に係る現状と課題についてご報告する機会をいただき、誠にありがとうございます。

 早速でございますが、お手元の配付資料、字が細かい部分がございますので、室内を明るくしていただいて、資料に基づいてご説明させていただきます。

 資料121ページ目をご覧ください。目次に沿いまして、私どもが取り組んでおります海底熱水鉱床探査のフロー、鉱量評価と探査技術の課題等についてご報告させていただきます。

 隣のページでございますが、現在知られている海洋鉱物資源は、多金属の硫化物であります海底熱水鉱床、それからマンガン酸化物であるマンガン団塊とコバルト・リッチ・クラスト鉱床という3つの鉱床がございます。これらは海底面での分布状況、産状、含まれる金属、分布する海域、水深など、いろいろ異なった状況にあります。

 3ページをご覧ください。探査の観点から特に重要となりますのは、鉱床の賦存状況またはその分布の規模です。上の写真は分布状況、これは上から海底面を見た写真です。それとそれぞれ鉱床の断面図の写真でございます。分布の規模を下に示していますが、マンガン団塊の場合にはハワイの南東方の沖で750万平方キロメートルという非常に広大に分布しております。一方、クラストは南鳥島の周辺海域、最大でも1つの海山部の平頂部で1,000平方キロメートルぐらいの広がりです。それに対して垂直方向の、すなわち厚さはわずか赤字で書いた2cmから15cmというオーダーであって、賦存量を把握する方法というのは、次にご説明いたします熱水鉱床に比べますと、比較的平易であろうかと思います。

 隣のページ、熱水鉱床は先ほど浦辺委員からご紹介があった断面をかなり模式化したものですが、海底熱水鉱床の水平規模というのは、せいぜい1平方キロメートルよりも小さいものが多く、マンガン酸化物の規模に比べて非常に小さな広がりと言えます。一方、垂直方向の分布は、海底面に林立しておりますチムニーと称するもので、数mから十数mオーダー、さらに下部に連続していると推察、期待されていまして、水平的には非常に広がりが小さいのですが、下方への連続があるという観点において、探査上の難しさがあるのではないかと思います。先ほど、浦辺委員は死んだ鉱床とご説明があった上に堆積物が乗っているような鉱床をどうやって探すかというのが重要な課題になろうかと思います。サンプリングの機器を2つ並べてございますが、マンガン酸化物と違って、少し大型の調査機器がどうしても必要です。

 5ページをご覧ください。私どもJOGMECの海洋鉱物資源に対する探査の取り組みの状況でございます。特にマル2の海底熱水鉱床につきましては、昭和60年、東太平洋中央海嶺での調査を始めて、その後、沖縄トラフ、伊豆・小笠原海域で平成15年まで実施し、一時中断後、今年度からまた沖縄トラフと伊豆・小笠原海域での調査を再開いたしました。マル3のクラスト鉱床については、昭和62年度から中・西部太平洋の公海域で調査を開始して、現在も調査を継続中です。下には海洋鉱物資源の分布、赤丸で示しているのがこれまで熱水鉱床の存在が報告されているところです。隣の図は私どもがこれまで実施してきました調査の海域の概略図です。

 隣のページですが、以下、海底熱水鉱床について詳細にご説明したいと存じます。背景としては、熱水鉱床は1978年、ガラパゴスで最初に発見されて以降、日本の周辺海域においても1988年沖縄トラフで、その後伊豆・小笠原でも発見されています。最近の動向としては、海外の民間企業がこの熱水鉱床の開発を準備中であるというところが特に重要なところで、ここ数年来高まっております海底熱水鉱床開発の機運のきっかけとなったものと言えようかと思います。

3番目の課題としては、海底熱水鉱床の海底面下への連続性が現在十分確認できていないということもあって、資源量が不明確であるということから、開発を検討するに際して最も重要となります資源量の把握が探査に求められているところです。

 7ページをご覧ください。民間企業は今、どんな動きなのかということですが、近年、カナダのノーチラス社がパプア・ニューギニアの海域、また英国のネプチューン社は、先ほど浦辺先生からご紹介がありましたKermadecの海域において、掘削船を用いて大規模な海底熱水鉱床探査を実施し、2010年もしくは2011年、商業生産ないしは操業試験を現在予定しております。

 隣のページにはノーチラス社のSolwara1のプロジェクトにおける鉱床の分布状況や、ボーリング調査を主体とする調査の状況を、右の上には鉱床の断面図を示しております。ノーチラス社はこれまで多数の国々の調査グループや民間企業の調査結果を引き継いで、2006年、ここでの探査権益を取得し、2007年、100本に及ぶボーリングを実施し、鉱床の評価を行い、概略的な資源量として200t強を推計しています。断面図では19mぐらいのボーリングを実施し、鉱化体の下限を確認しているわけではありませんが、鉱床の厚さとして3040m程度を推定しています。

 9ページをご覧ください。陸上における資源開発、探査フローを示しました。これは阿部委員が細かくご紹介なされると思いますので説明は略しますが、ここで申し上げたいのは、海洋資源の探査というのは、陸上の探査との比較において、探査活動をすべて調査船に頼らなければならないということ、海中では基本的にこれまで電磁波が使える調査というのが行われていないというのが1つの制約要因であって、陸上と同じように絞り込むための効率的な探査手法であるとか、探査のフローというのがそのまま使えるわけではないということです。

 それでは、どのように海底熱水鉱床を見つけているのかという観点で次以降、ご説明します。この写真は私どもが保有しております第2白嶺丸でございます。昭和55年に就航した深海底鉱物資源探査専用船で、特徴は左の下に記していますようにボーリングマシンなどを用いたサンプル採集に秀でた調査船です。右の図は現在搭載しているサンプリングの機器等を図化したものです。

 11ページをご覧ください。こうした探査機器をどのように使っていくか、どのように導入してきたかを示しました。第2白嶺丸の探査機器、技術の導入については、下の特に黄色で示したように基本的にはマンガン、熱水、クラストの賦存状況に対応した探査機器、探査手法を、可能な限りこれまで導入してきているところです。具体的には昭和55年に地形図や海底の地質状況を探るための音響機器、海底観察の機器、それから簡便なサンプリングの機器等を登載して、マンガン団塊の調査を開始、その後、昭和60年に熱水鉱床に、昭和62年にクラスト鉱床に対応するため、精密地形図を作製するためのサイドスキャン、磁力探査を行うための磁力計、海底観察をモノクロからカラーへということで光動力複合ケーブル、さらには大型のサンプリング機器でございますカメラつきのパワーグラフを登載して調査を実施してきました。特に平成3年度にマルチナロービームの音響測深機を導入して、それまではシングルビームの地形図作成で、これはいわば点の調査だと思いますが、それから51本のビームを同時に発射するというような面の調査に変えることができ、さらにこの音響機器によって、反射音圧の解析を行うことによって、クラストの賦存率を推定するといった調査も可能としています。さらに平成11年度には、先ほどからご説明していますボーリングマシンを搭載して、地下深部、現地性のサンプル採取を行っています。20年度から熱水鉱床を再開したと申し上げましたが、今年度、特に東大生産研が所有する、浦先生のところのAUVを活用させていただき、精密な海底地形調査を行い、熱水活動域の全体像を把握することができました。これは今後のボーリング調査を実施するに際して、非常に有効な情報となっています。下段には新探査技術と、これまで私どもが取り組んだものの実績を示していますが、省略します。

 12ページは、こういう機器をどう組み合わせて熱水鉱床を探すのかという探査フローを記しています。これは平成15年当時、第2白嶺丸に搭載していた探査機器を用いて構築したものですが、基本的には音響調査、磁気調査、底出物(堆積)物のサンプリング、それから海底観察を行って、最終的に熱水鉱床をターゲットとしたボーリングを行うという流れを考えています。それぞれの調査段階で得られた結果を踏まえて調査区域を絞り込んで、鉱床の発見、評価を行うというものです。さらにより効率的、効果的に海底観察やボーリングを行う区域を絞り込んでいくための探査手法、赤の破線、矢印で示したエリアで使うための調査手法、例えば精密海底地形や地下深部の地質構造の把握ができる技術の導入が不可欠であろうかと存じます。

 13ページをご覧ください。この探査フローによる発見の成功例ということで1例掲げさせていただきました。これは伊豆・小笠原海域ベヨネーズ海丘において、私どもが平成13年度、14年度に実施した広域的な調査、音響調査や磁気の調査、堆積物のサンプリングです。こういった調査結果に基づいて、平成15年度に海底観察16測線、それからパワーグラブ等によるサンプリングで新たに白嶺鉱床の存在を確認することができました。右の分布図で、点と薄い直線的な線がありますが、それが海底観察のラインで、当初実施した2測線では見出すことができず、3番目に実施した測線でチムニー等を発見することができましたが、先ほどご紹介しました精密海底地形図が事前に得られていれば、もっと効率的に見出すことができたのではないかと考えています。ちなみにこのエリアではボーリング調査は未実施でございます。

 最後に鉱量の評価と探査技術の課題をまとめさせていただいていますが、鉱量評価というのは、記していますように、経済的、技術的に採掘可能な鉱量を計算して、その価値を見積もることであり、鉱量は鉱石の体積、比重、金属の品位の積です。体積は精密地形調査や物理探査によって、また比重と品位というのはボーリング等によって得られたサンプルから決められる数値ですが、前回の委員会で平委員、阿部委員からも出ましたが、やはり物がないと、この品位なり比重というのは決められないわけで、物を取らなければいけない理由というのはここにあろうと思います。この鉱量に金属価格を掛けたものが鉱床の価値になるわけですが、商業化を検討するに際して最も重要な情報です。

 こうした情報を得るための探査技術の課題、2つ目のポツでございますが、概査の段階、すなわち新鉱床を発見するための広域的な調査段階においては、物理探査技術、磁気調査技術等が必要であり、精査の段階、すなわち既知の熱水活動域ですとか鉱徴地での鉱量を把握するための調査段階としては、海底面上に出ている鉱体の体積を把握できるような精密海底地形の調査技術です。

マル2としては、海底面下の鉱体の連続性や地質構造を把握するための物理探査技術、さらにはサンプリング関係ではボーリングマシンの機能向上等が今後の課題かと存じます。

 また私どもの調査機器は、基本的には船から曳航するタイプで、移動に際して非常に制約がございますので、自走式のAUVですとか、遠隔操作のROVといったものの利活用も検討すべきものと考えています。

 これら技術開発課題に対しては、資源エネルギー庁に予算措置を講じていただき、実用化されている探査技術等については順次搭載したり、ボーリングマシンの機能向上も行う予定であり、一層システマティックな探査を推進して、鉱床の評価を着実に実施していきたいと存じます。

 一方、新たな技術の開発というのも不可欠であろうかと存じます。文部科学省で実施されております技術開発の成果に大いに期待しているところであり、今後活用させていただければと存じます。

 最後に有識者の皆様、関係機関のご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げて、報告を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

【浦辺主査代理】  塩川さん、どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの発表に対してご質問、ご討論がありましたらお願いします。

【浦委員】  14ページに書かれている探査技術の課題ということで、精査段階と概査段階に分けられているんですが、前回も議論があった磁気探査とか地震で探査するとかというものの可能性が期待されているんですけれども、今までJOGMECさんでそういうことを具体的にやったことはあるんでしょうか。

【塩川氏(JOGMEC)】  磁気調査を実施しています。

【浦委員】  それは船の上からですか。

【塩川氏(JOGMEC)】  曳航するタイプです。EPRで開始するときに搭載したかなり古いタイプのサイドスキャンや磁気調査です。それから、地震探査は私どもでは装置を持っていませんが、今年産総研に実施していただきました。

【浦委員】  わかりました。

【浦辺主査代理】  今、磁気探査の話が出ましたけれども、中央海嶺型の熱水と今後対象になる島弧型の熱水だと、磁気探査の意味が全然違ってくるので、いわゆる高磁性体をねらうのか、低磁性体といいますか、そういうのをねらうのかというのは、逆転でもないですけれども、変わってくるので、今までこういうことはやったことがあるということはありますけれども、もう1回見直さないとちょっとあれかもしれませんね。

【平委員】  ボーリングマシンで熱水鉱床を実際に掘った経験というのは、JOGMECはどのくらいの例があるんでしたっけ。

【塩川氏(JOGMEC)】  沖縄は平成7年から11年まで調査を実施しましたが、当時はマシンを積んでいなかったことから、ボーリングは実施していません。伊豆・小笠原は、先ほど浦辺先生からご紹介ありました水曜海山やベヨネーズで123年に数本実施しています。

 前回、委員の方からご指摘いただいた回収率の問題ですが、現在、沖縄で12カ所ほどでボーリングを実施したところ、懸念されていた回収率は低いところは25%ぐらい、いいところで75%ぐらいという状況です。どんなところを掘るのかが問題で何らかの工夫が必要と考えています。

【浦委員】  前々から聞いているお話だと、ベオネーズだと斜面の傾斜が15度とか20度あって、なかなかボーリングマシンが立たないからうまく掘れないというんですが、例えばパワーグラブや何かがあるので、パワーグラブでならして立てるということはできないんですか。パワーグラブの能力はそういうのはないんですか。

【塩川氏(JOGMEC)】  パワーグラブは1.5tぐらい重量があって、4ページの上の真ん中の写真の数mあるチムニーを、たまたまこのパワーグラブでつかみ取ってきたものですが、この程度の規模であれば、おそらく横から曳航することによって倒すことは可能ではないかと思われます。これまで私どもは1点、森の中にいきなりおりていって木を見ていましたが、今回、精密な海底地形を把握できたことによって、森の全体像を把握することができ、チムニーなりマウンドなりの相対関係を非常に克明に把握することができました。今後はどこでボーリングをやるべきかという計画が立てられるようになったと考えております。

【浦辺主査代理】  今回の資料には含まれていないですけれども、非常にAUVですばらしい結果が出ているし、ボーリングでも幾つかの結果が出ていると聞いておりますので、当初のここの14ページにあるようなサンプリング等に関して進みつつあるということだと思います。

【平委員】  実感として地形図の精度、チムニーもいろいろあって、熱水フィールドがごつごつしたり何だりしているわけですけれども、平らなところもあるでしょう。どのくらいの精度があればそういう情報が基本的に、m精度なのか、50cm精度なのか、さらに上がって数十cm30cm精度のコンターが必要なのか、そこら辺のフィーリングだと思いますけれども、どんな感じがしていますか。

【塩川氏(JOGMEC)】  今、浦先生にお願いしているのは、少なくとも最終的にはボリュームの試算まで行なっていただくようイメージしていますが、510mぐらいのコンターになるのでしょうか。

【平委員】  今かいているのは、1mのコンターをかいているんですけどね。

【塩川氏(JOGMEC)】  そういうイメージで、少なくともメーターオーダーでとらえておりまして、私どものこれまでのコンターでは100mとか、そういうオーダーですから、精度としてはメーターオーダーとなります。

【浦委員】  パッチビームだと、フリントが数十mぐらいですからね。メーター以下?

【塩川氏(JOGMEC)】  はい。

【浦辺主査代理】  ほかにございませんか。

【生川海洋地球課長】  12ページ目のスライドのところの探査フローのところなんですが、熱水のアノマリーを探すというプロセスが必ずしも明示的に出てきていないような感じがするんですが、そういうプロセスというのはあまりこの探査のフローの中には出てこないということでしょうか。

【塩川氏(JOGMEC)】  例えば温度異常はFDC海底観察という形で、海底を観察する時に同時に水温データを取得しています。ですから、現在活動しているエリアでは非常に有益な情報となることから、海底観察、曳航タイプの機器にはそういった装置を付随させデータを取るようにしています。

【生川海洋地球課長】  そうすると、この右から2つ目ぐらいの海底観察のときに一緒にやるみたいな感じですか。

【塩川氏(JOGMEC)】  はい、そうですね。

【生川海洋地球課長】  それからもう1つ、この磁気調査、さっき浦辺先生からもちょっとお話があったんですが、具体的に何を探しているのかというのを、もうちょっとわかりやすく教えていただけるとありがたいんですが。

【塩川氏(JOGMEC)】  私ども、磁性の強いところが、前回もお話があったかと思いますけれども、金属の胚胎が期待され、周辺部に比べて磁性がちょっと強くなっているというところを探しています。

【生川海洋地球課長】  磁性が高いところの。

【塩川氏(JOGMEC)】  高磁性帯域やリニアメントの会合部などを抽出しています。

【生川海洋地球課長】  そういったところに鉱物があることが期待される?

【塩川氏(JOGMEC)】  期待されるということです。

【生川海洋地球課長】  わかりました。

【宮崎委員】  今の高磁性帯じゃなくて、私はむしろ死んだものを探すとなると、逆に低磁性の部分をどうやって調べるかというのが今後重要になってきて、それがまさに資源量を推定するのに重要なファクターになるんじゃないかと思うんですけれども、教えていただければと思いますけれども。

【浦辺主査代理】  場所によって少し状況が違うかもしれません。中央海嶺なんかの場合には、非常に専門的な話になりますが、FeSという組成の磁硫鉄鉱という磁性を持った鉱物が出ることがあります。それは必ずしも出るわけではないんですが、ごく一部にいわゆるパイライトという黄鉄鉱のかわりにその磁硫鉄鉱というのが出ることがあるので、それは中央海嶺なんかの場合には、探査の方針になり得るかもしれません。

 ただ量的にものすごく少ないもので、それを使うのは難しいので、もっと大きな意味では、先ほど私の発表に中にありましたように、変質帯という、下の鉱石じゃなくて、周囲の岩石が熱性変性を受けて、その中の磁鉄鉱ですね。別の酸化物の磁鉄鉱が分解して、低磁性体になるというものは、広域調査なんかではつかまえやすい。直径が2kmから4kmぐらいありますので、それを島弧の場合には使うのかなというのが、多分宮崎さんへのお答かなと思いますけれども。

【宮崎委員】  そうしますと、ちょっと理解を確認させていただきたいんですが、高磁性体を探すというのは、場所の特質によるということでしょうか。その場所はそういうものが出るので、出る場所があってということでしょうか。一般論として、熱水鉱床を探すときに高磁性体を探せば見つかると、そういうものでは必ずしもないということですか。

【阿部委員】  逆ですね、普通は。

【浦辺主査代理】  はい。

 それでは、また最後に議論ができる時間があるかもしれませんので、次の話に移りたいと思います。

 それでは、阿部委員より民間企業における鉱物資源探査にかかる技術ということでご発表いただきたいと思います。

【阿部委員】  私、必ずしも海洋に関しては専門ではありません。ずっと山師をやっていまして、地上の探査を長いことやっています。それとの比較というか、そういう観点からちょっと話をさせていただきます。

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 今のに書いてありましたけれども、前提として、海底面に露出あるいは極めて浅いところにある海底熱水鉱床を探すのだということを頭に置いています。陸上の場合には表面になるものというのはもうほとんどありません。左側が陸上、右側が海底で探すのを、大体アイディアライズして書いたものですけれども、海底の場合、特に露出しているということで、陸上に比べたら何段かスキップして、いきなり鉱床発見のほうにいく。それから資源量計算、経済性評価といって開発に流れていくということです。

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 これは陸上でグダグダ書いていますけれども、1番から8番までどのような流れで、これは広域のターゲットから現実にボーリングを打つところのピンポイントまで、ターゲットを絞っていく手法を並べてみました。このような方法が海底に使えるんでしょうかということが我々は気になるところで、先ほどから皆さんお話しされていますけれども。

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 これは順番がぎくしゃくしていますけれども、まず先ほどから上がっていました水温も、ここでは1番の地形測量というところに書いてあるカルデラや陥没構造やあるいは海底拡大系を抽出、これが一番最初に来て、その辺を今度は水温あるいは水質、プルームというのが先ほどからありましたけれども、そういうものが広域的にどの辺にあるのかなというのを考えるには非常に有効だろうと。

 次に地質調査といっても歩くわけにはいきませんので、結局映像的な手法になるだろうと。ビデオや写真によりマウンドやチムニーを直接発見する。

 その前にちょっと触れておきたいのは、先ほどから精密微地形測量ですね。これも非常にいろいろな意味で有効になるだろうと思います。資源量の概算の推定なんかにはよく使えると思います。

 それからサンプリング。ボーリング、あるいはトレンチでもいいわけですね。水を切って、ブルドーザーみたいなのが海底につくれるのであれば、そういうものを使ってサンプリングしていくということです。

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 これは皆さんご存じのとおりのもので、よその写真をお借りしてきました。地形の測量ですけれども、一番右側に海底鉱床探査における有効性ということで、広域調査あるいは精密調査とも有効であると。サブボトムプロファイラーは海底下の断面探査手法として期待したいということです。要するに資源量評価に使える部分が出てくるのではないかなということです。

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 次は重力です。これは鉱床を直接検出する手法ではありませんので、あまり意味が……。ただ大きな陥没構造とか何とかを推定するにはいいのかもしれませんけれども、それは地形のほうに譲ってもいいのかなという気がします。大規模鉱床、非常に厚くて重い、あるいはそれが潜頭性、表面がかぶっているというようなものの炭鉱にはあるいは有効かなということで、これは非常に大きなものにしか使えないだろうなというイメージを持っています。

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 磁気探査。これは先ほどもお話にありましたけれども、これも鉱床を直接検出する手法ではありません。広域的には必要かなという私の判断です。確かに熱水鉱床の周辺はみんな表示していますので、磁力が消えていますので、使えないということはありませんけれども、私はあまり有効じゃないんじゃないかなという気がしています。

(スライド)

 これは地質調査といったり、あるいは映像、直接チムニーなりあるいはマウンドを見てきて、それを観察、サンプリングするという方法です。これは絶対必要な方法ですね。これが発見そのものであると思っています。

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 地化学探査、これをどのように考えたらいいのか頭をひねったんですけれども、陸上ではよく使います。例えばソイルジオケミストリーをやってみたり、あるいはバイオジオケミストリーをやってみたりといろいろあるんですけれども、例えば海底の底の土、ソイルというのか何というのか知りませんけれども、それをグリッド上にとって、粗くとるなり細かくとるなりはさておき、とって、考えられるスモーカーの方向、どっちの方向にあるのかなとか、そういうことを推定できる手助けになるのかなと。ただどうも面倒くさそうで、ほんとうに実用的かしらという気持ちはありますけれども、陸上での経験から言うと、これは使えるんじゃないかなという気持ちはあります。

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 次は電磁探査です。これが非常に難しい。課題が多過ぎる。海底鉱床探査では物性のコントラストが非常に小さい、差が少ないということで、物性に着目しての探査をやっても、なかなかわかりにくいのではないかということで、高感度の観測が必要になってきますよということです。

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 電気探査あるいはIPですけれども、これも先ほどと似たようなことで、非常に課題が多い。ほんとうに使えるのかしらと。先ほども申し上げましたように、物性のコントラストが小さいことから、極めて高精度の観測が必要。多分レスポンスは地上で考えているものの1,000分の1程度になるであろうということで、ほんとうにできるのかしらという気持ちがあります。

(スライド)

 試錐、サンプリングは、皆さん先ほどからずっとお話しされていますからいいんですけれども、経済性評価の段階になりますと、大体地上では50mグリッドでボーリングして、それで分析して、鉱量を計算し、経済性評価を実施します。海底の場合にはほんとうに50mが必要なのか、あるいはもっと必要なのか、もっと粗くていいのか、この辺はちょっと私はわかりにくいんですけれども、そのほかにコア回収率の改善が必要でもありますし、少なくとも50m以上は掘れるものでないと、なかなか評価は難しいんじゃないかなと思っています。

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 次、お願いします。先ほどの熱水のソースに注目した水温・水質で使えるのかなということです。

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 まとめ、さっぱりよくまとまっていないんですけれども、基本的な探鉱の考え方は陸上も海底も同じなんですけれども、海底鉱床探査の手法の多くは、ほぼ確立されてはいますが、有効性にはいろいろ違いがありますねと。

 地質調査は岩相マッピングではなく、チムニー等の直接観察あるいは採取が主です。

 地化学探査は直接サンプリングが主です。地上と類似の手法も可能であるが、有効か否か不明。既知鉱床でテストしてみることもおもしろいのではないか。例えば知っているところにずっと放して、海流を頭に入れて、どっちにあるのかというようなことをテストするのは、私は1つの方法かなと思います。これはグラブサンプリングでも何でも、ソイルを取ってくるような感じでやるという意味です。

 陸上の探査に用いられる重力探査、磁気探査は必要性が低い。広域的には意味があると感じております。

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 黒鉱探査に有効であるIP法や電気探査・電磁探査は海底探査で現状では適用は非常に困難であります。先ほど申し上げましたように、1,000分の1程度のレスポンスをとるため、高精度の測定機、電極等のポジショニング、あるいはシステムの開発が必要になる。困難であるがゆえに、研究開発の余地ありとも言えますが、じゃあ何をターゲットとするのと。もう見えているものにやってもしようがないじゃないかということですと、潜頭性鉱床探査には不可欠な技術になっていくのかなという気持ちを持っております。

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 地上の探鉱に比べると、ターゲット地形の中から迅速に鉱床を発見する手法が、ありますけれども、少ないですねと。必要とされる技術はやはり広域の温度異常、水質異常からそのソースを特定する技術、大抵の泥土をシステマティックに採取して、これが先ほどから言っている地化学探査です。繰り返しになっています。

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 資源量の推定のために断面形状を推定する方法が必要。ボーリングを仮に50m間隔なりで打てましたと。その間を補間するような情報としてはこの断面形状というのが非常に大事になってきます。ということで、産総研さんのDAIPACKに期待しております。

 精度の高い資源量計算のために試錐技術の改善が必要。これも繰り返しになります。試錐コア回収率が今は非常に低いです。というのは、これは物性にも私は関係しているだろうと思っています。これを少なくとも8割以上は回収できるようにしなければ、その鉱床の評価というのは非常に難しくなってくる。掘削能力は少なくとも50m程度は掘ってもらわないと、途中で終わってしまうということでは、なかなか評価が完璧にならないというということです。

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 課題ですけれども、探鉱方針。活動中のスモーカーを発見し、その周辺は類似地質条件と考えて、この辺で一生懸命やりましょうと。見つかったところの周辺を一生懸命やりましょうと。あちらこちらに行くよりも、そのほうが新しい追加の鉱床を見つける確率が高いですよと。これは陸上でも全く同じです。

 2番。鉱床の物性。私は以前から非常に疑問に思っているんですけれども、チムニーは確かにソリッドです。ガジガジです。ただマウンド状になっている粉体のところはどうなんだろうと。粉体じゃないんだろうかと。そうすると、試錐コア回収率とか、あるいは採掘法を考えるときにも非常に大事にことなってくる。

 次に採掘法の確立。容易ではない。鉱床ごとに異なる可能性があります。例えば非常にかたい鉱体ですと、50m下まで掘っていけますかと。どういうもので掘るのかわかりませんけれども、発破をかけるのか、何かよくわかりませんけれども、採掘法というのは違ってくる可能性がありますねということです。

 経済性。これも問題が大きいです。特に事業規模。1日何t掘るんでしょうか。あるいは品位は、精錬精製法、これもなかなか容易なことではないと思います。採算性、事業コスト、これは単純に鉱石を拾ってくるということにはならないと思っています。

 次に環境問題。この辺は考え方がいろいろありますから難しいところなんですけれども、例えばライザーで砕いたものを上げてくる。その水はどうするんですかと。私は掘ったところに戻すのが一番いいんだろうねと。あるいは沈殿物もそこへ戻しなさいと。ただ生物資源の保護が一番難しそうですねということです。これはアクティブの場合には特にそうです。

 次、開発に向けて何が大事かということは、数多くの鉱床を発見、評価してからの開発になりましょうと。一つ一つは必ずしも大きいというイメージは私は持っておりません。数万tから100t、大きいもので1,000tぐらいかなというイメージを持っています。そうしますと、例えばこの鉱石が独自の精錬方法を開発してやらなければならないということであれば、銅であれば年間10t以上は必要ですよと。今ある精錬所で処理できるのであれば、これは問題ありません。

 すべての鉱化チムニーが、あるいは鉱化体が経済的に引き合うとは考えないほうがいいと思っています。容れ物はあるが中身がない。これは地上ではいっぱいあります。こっちのほうがはるかに多いです。

 ノーチラス社ではえいやっでやっていますけれども、銅が5%、5,000t/日で年間180t程度ですね。これを考えているみたいです。これはカットオフがたしか4%だと思いますけれども、このような高品位の鉱床は地上ではあまり見られませんねと。これだと年間500億円程度の事業規模になります。そんな大きいものではないということです。このようなことで技術的な困難性を考えると投資する企業は少ないでしょう。やはり国家プロジェクトで進めなければならない。我々一企業に期待するのはかなりつらいですよということです。

 ちょうどきょう追加のあれなんですけれども、ノーチラスが脚光を浴びていますけれども、ノーチラスとテックというところがジョイントを組んでやって、テックが金を出すこと、たしか1,800万ドルか1,600万ドルか忘れましたけれども、トンガでやるということになっていましたけれども、今の経済情勢からいったら、このプロジェクトは駄目になると私は思っています。民間企業でサポートするところは非常に少なくなっていくでしょう。

 一応予算をつくったのは見せてもらったんですけれども、テック自体がよろよろしていますから、大きな会社が今、よろよろしています。ということで難しいんだろうなと。ということで彼らのプロジェクトはしばらく休みになる可能性がありますよということです。これはわかりません。私の希望でもありませんから。

 以上です。余計なことも言いましたけれども。

【浦辺主査代理】  なかなかペシミスティックなお話であれですけれども、ご質問がありましたらお願いします。

【沖野委員】  サブボトムプロファイラーは、熱水マウンドとか、もう広く熱水鉱床系を探査すると、どう見えるんですか。何か実績がある例をご存じないですかね。私が個人的に知りたいんですけれども。

【阿部委員】  私は実績はわからないですね。

【浦辺主査代理】  先ほど産総研のDAIPACKというのが出てきました。あれは我々のプロジェクトで使ったものです。ただあそこではあまりうまくいかなかった。結論的にはうまくいかなかったというのがあります。

 2つ理由があって、ここでは期待になっていますけれども、なかなかそれをどういうように海底からある一定の距離において曳航するかというのが、地形が複雑で難しかったというのが、それは言っておかなければいけませんが、それとあそこの場合には砂の中にかたい硫化物があるということで、コントラストが非常に高くて、きちっと見えない。もちろんこれは非常にハンディーで、どこでもパッと持っていってパッと使えるというのが特徴なので、パワーが少し足らないとか、いろいろな問題があって、クリアなイメージが出てこないんですね。

【沖野委員】  それはやわらかい砂があってかたい硫化物があると、その境界だけが見えて、その下が見えないということですね。

【浦辺主査代理】  それしか見えない。そういうことですね。サブボトムにならない。1枚しか見えない。

 それと、阿部委員には海のことまで調べていただいて大変ありがたいと思っておりますけれども、聞いていて若干違和感があるところも幾つかあったんですけれども、ちょっとわからなかったところは、最後のページですね。7番の丸があるところで、「容れ物はあるが中身がない=地上では多数」というのはどういう意味でしょうか。

【阿部委員】  先ほどどこかのカルデラでガスが多くて、そちらは熱がありますけれども、そちらにはサルファイドがなくて、カルデラ壁から出ているのにはありますというのが1つの例になりましょうか。あるいは陸上でも必ずしも変質はたっぷりありますけれども、中身がない。要するに銅が入っていない、あるいは亜鉛で入っていないという意味です。パイライトばかりだったと。変質は全部そろっていますと。そういうのが結構多いです。

【浦辺主査代理】  そういう意味? チムニーの話ではない。チムニーの容れ物がという意味ではないんですか。

【阿部委員】  いやいや、そういう意味ではないです。

【浦辺主査代理】  はい、わかりました。

【増田委員】  最後のところで、生産量でしょうか。開発するには10t以上必要だと。年産ですから、これが何年ぐらい必要か。トータルとしてどのくらいの資源があれば、民間企業として商業化できるのかというイメージを教えていただければと。

【阿部委員】  まず我々が地上の鉱山をやる場合、最低10年で考えます。現実には大体20年いく。大手のメジャークラスの会社は大体30年は頭に置いています。ですから、2030年という感覚で考えられたらよろしいんじゃないでしょうか。そういう意味合いがありますから、数多く、小さいものも結構多いだろうと思うんですね。そういうものを多く見つけておいて、次から次へ移っていってというイメージを私は持っています。ノーチラスは250tから300tぐらいの鉱床でこのようなことを考えています。ほかにも見つけているということは言っていますけれども。

【浦委員】  今の鉱山開発は30年、20年というオーダーというのはよくわかるんですが、今、ここで我々が議論しているのは、その開発技術開発みたいなところがありますね。探鉱技術開発とか。そのタイムスパンというのはもっと短いものでないと、その30年を乗り切れないで、いつまでたっても30年の次に60年になってしまうのかなという印象があるなと私は思いました。

 沖野さんが質問したDAIPACKと同じなんですけれども、その表について聞きたいと思ったんですが、ことしの3月にうちのR2に乗せてベヨネーズに行ったんですけれども、ちょっと海峡が悪くて、乗せてちょっとは走らせたんですけれども、観測には至っていないんですね。それは専用につくられているというか、熱水鉱床開発用に専用につくられているわけではないわけですね。ですから、そういった技術的なストラテジー、どういう音響装置がサブボトムプロファイリングに適当なのだろうかと。

 前、海洋研の徳山先生にも聞いたことがあるんですけれども、なかなかザクザクして難しいとか、かたいものがまざっているという話も聞いたんですが、音響的に、例えばAVに乗せて強い音源を出すとなかなか苦しいんですけれども、母船等の作戦で母船からおろしてUVを走らせるとか、音源をつるすとか、いろいろ作戦があって、そういう開発をしていかないといつまでたってもできないとか、わからないとかいうことになるんじゃないか。そういうストーリーづけを、どういうようにロードマップをつくっていくかというのがとても大切じゃないかと思うんですね。

 音響的な観測、40mぐらいですか、期待されるのは。40m50mかな。そういったレゾリューションのもののサブボトムプロファイリングが一体どういうものが現在あるかというのは、レビューはあるんでしょうかね。我々はペイロードなのであまり考えていない。あるものを乗せるという感じなんですけどね。どういうものをやっていけばいけるのかという考え方ですか。

【平委員】  要するに音響的な手法でカルデラの中とか、早く言えば今までまともに見えたことがないんですよ。火山帯の中とかは、あまりにガサガサしていて。ですので、このようなサブボトムプロファイルとか、1種類の周波数ですべてが解決するとは思えないので、数種類組み合わせてやらなければならないと思うんですけれども、やっぱりそれは堆積物の中に廃頽している鉱床を探す。

 だから沖縄トラフなんかで周辺からも泥や砂がやってきて、ファンデフーカも似たようなものですけれども、セジメンティルなハイドロサーモシステムというか、そういう中でもし何種類かの鉱床が堆積物の中に入っていれば、それは有効だろうと思うんですけれども、ガサガサしたカルデラの中を音響的に見るというのは、ほとんど不可能。

【浦委員】  難しいの?

【浦辺主査代理】  難しいですね。

【平委員】  非常に難しい。ただ何種類か堆積物がレイヤリングしているということがあれば、それは見えるかもしれないですけれども、生々しい生きているカルデラの中を音響的に見るのは非常に困難だと思います。

【浦委員】  地震波はどうなんですか。地震計を置いてやるというのは。

【平委員】  ちょっとそのレゾリューションまでいかないと思うな。

【浦委員】  レゾリューションがね。40mということが必要なので。

【寺島委員】  この課題のマル1のところにある5番の環境問題についてちょっと触れておられますが、この熱水鉱床の場合は、特に幾つかの熱水鉱床の場合には、生物資源の保護というか、そういうこととの関係も1つの問題点かなと思っておりますが、何かこの辺についてはかなり国際的にといいますか、あるいは国内的にもあれなんですか。研究というのか、アプローチの方法というのはある程度議論されているんでしょうかというのが1つと、もう1つは、環境問題で採掘した場所に戻すのがベストかという意味が必ずしもよくわからなかったものですから、その辺をもうちょっとお聞かせいただければと思います。

【阿部委員】  まずどのようなことをやっているかというのは、むしろ増田さんのほうがよろしいんじゃないですか。

 どういう意味かということですね。そこへ戻すのが一番いいのかというのは。我々は鉱山業をやっていますと、鉱石を掘って、有用成分を取った後、一番いいのは採掘跡に戻すことだという概念があります。この場合、排水なり、あるいは沈殿物の処理は、むしろそこへそっと置いてきたらと、パイプなり何なりで。もともとあったものですから、そのほうが一番影響が少ないんじゃないでしょうかと。

 ただ生物資源の保護は、これはアクティブなものに関してですよね。死んでしまったものというか、活動的でないものに関してはあまり問題にならないんだろうなと思います。ただ我々が見ているのはほとんどアクティブなものですから、生物がいっぱいいるわけですよね。それとのかかわり合いはどうするのかというのが一番大事だろうなと思っております。よろしいでしょうか。

【寺島委員】  それでそのときに、現場でもとへ戻すというのはわりと簡単だと思うんですが、もとに戻すというイメージは、例えば一たん船上まで上げていろいろ処理したものをまたもとへ戻すと、そういうことも含めてのお話なんでしょうか。

【阿部委員】  そうです。

【寺島委員】  その場合、また戻し方という意味でのいろいろな問題が少しありそうな気がするんですが。

【阿部委員】  ただ大量の水ですよね。鉱石を水の中にまぜてポンプアップするわけですから。その水はどうするんですかというのがまず引っかかってくると思います。漁業権の問題から何からいっぱい出てくるんじゃないかなと思っていますけど。

【増田委員】  環境問題についてですけれども、我々JOGMEC、経産省も含めて、10年後に商業化できるかどうか、するためにはどういう調査なり探査なりをしていったらいいかという計画を詰めているところでありますけれども、環境問題というのはまず一番大きな問題かなというところで、こういう生物資源の問題とか、もちろん採掘したときにどういう影響が及ぶかとか、そういった調査をことしからもう既に始めたのかな。調査を始めているところです。まずは現状がどうなっているか、幾つか発見されている鉱床と言われるところがありますけれども、そういうところでどのような現状の環境がどういうものかという調査を始めたところです。

【寺島委員】  それは何か予定みたいなものがあるんでしょうか。何年ぐらいかけてやるとか。

【増田委員】  そうですね。実際の商業化に向けてたくさんのことをやらなければいけないと思っていますし、そういった調査を進める間でまた新しいこともわかってくるということもありますので、まずは5年ぐらいをめどに調査をする。その間にも中間の評価とか、そういったことを考えていますけれども。

【寺島委員】  ありがとうございます。

【平委員】  今、増田委員のあれに補足的な話ですけれども、考え方の基本としては、カルデラに鉱床があったとして、そのカルデラは相当環境を破壊されることは間違いない、1つのカルデラは。全部生物がいなくなるかどうかは別として、相当環境破壊が起こるでしょうと。

 問題はそのカルデラが世界唯一無二の生物群集を持っているというものなのか、そこにあるさまざまな生物群集というのは、隣のカルデラ、その先、5軒先のカルデラ、先ほど言ったように、カルデラのあるような場所というのはカルデラが列をなしているようなところで、そこでの多様性というのはどういうものなのだと。

 ですから、1つカルデラを環境的に変えてしまったと。それが生物多様性等々にとってどのようなインパクトがあるのかということは、ほかのカルデラのユニーク性というのがわからないといけないということで、今、JOGMECさんのほうで環境調査を開始しているので、まずカルデラごとの多様性を見つけましょう、調べましょう、比較しましょうという、そういう生物調査から始まっているということです。

【鈴木委員】  最後のほうの課題のマル2のところで、既存の製錬所があって、そこで精錬することができるならばコストはかなり下がるだろうということをおっしゃいましたけれども、海底から鉱石を採取して、当然それは陸上にある製錬所を使うということになりますよね。

【阿部委員】  精錬所は陸上になりますね。

【鈴木委員】  そうすると、どのぐらいの純度で回収できるのかわかりませんけれども、かなりの物流量を運送しないと、船で運び、陸上で運ぶ、これはすごいコストになるんじゃないかと思うんですけれども。

【阿部委員】  そうなんですよ。ですから、例えばスライドの8番にノーチラスで考えているのは、15,000tです。5,000t運ぶバージなり船といったら結構なものですよね。これを毎日ですからね。これをどこまで持っていくかにもよるんですよ。その距離、時間ですね。何隻そのバージを用意しなければいけないんだ。彼らが考えているのはわりあい近いところで考えている。40km50kmぐらいだったかな。ラバウルからですね。そのくらいのアイデアで考えていますから、3艘か4艘くらいしか考えていませんけれども、日本でやる場合にはこんなものじゃ済まないですね。

 それから精錬所をどこに持っていくのか、どのようなものが来るのか。私のやや乱暴な勘なんですけれども、私はこれはきっと湿式精錬でやらざるを得ないだろうというイメージを持っています。そうすると、今、日本にそういう銅の湿式精錬所なんてないですから、さてどこへつくるのということも、ちょっと容易じゃないだろうなと。このままどこかへ売れれば一番いいんですけどね。選鉱して濃縮したものを。選鉱も難しいだろうというイメージを持っています。

 だからこういうことをよく詰めていくためには、サンプルがいっぱい必要なんですよ。そうするとボーリングをいっぱいやらなければいけないんですよ。その方法を今考えているというけれども、開発のほうになると、そっちのほうがどうなっているのよと。物がなければ何もテストできないという、そういうジレンマもあります。

【鈴木委員】  ありがとうございました。

【宮崎委員】  今のご議論を聞いていまして、やはりテクノロジーとしてまだまだやることがたくさんあって、まさにフローティングのファクトリーとか、そういうことも考えられるので、これからいろいろあれば、そういうことも考えられていくので、私としては夢があって、やってみたいと思うのは非常に強くございます。

【鈴木委員】  洋上製錬所なんかをつくるんじゃないですか。

【浦辺主査代理】  幾つかそういう生物の問題、それから海洋投棄の問題に関して、1つ我々のところで今、勉強会をして、もうあと1週間ぐらいしたら、今、ご質問のあったような問題に関しては問題点を整理した報告書が出ますので、もしよろしければ、それを皆さんに配付して、もう少し問題点を整理しないと、今のままこういう状態で議論をしても、なかなか思い違いもありますし、難しいかなと思います。

 それでは、時間もあれですので、最後になりますが、海洋研究開発機構の海洋工学センターの青木先端技術研究プログラムディレクターから、JAMSTECにおける探査技術を中心とした海中・海底探査技術開発について発表いただきたいと思います。青木さん、よろしくお願いします。

【青木氏(JAMSTEC)】  青木です。よろしくお願いいたします。

 当機構におきましては、次世代の探査機としまして、2つの種類の無人探査機の建造をすべく、要素技術の研究開発をしています。

 1つは、広域調査をするための自律型無人探査機、もう1つは、従来、遠隔操縦型と呼ばれていますROV、母線とケーブルでつながっておりますが、この遠隔操縦型の無人探査機をより重作業ができるもの、あるいは精密な取り扱いができるようなものということを目指して、その要素技術の研究開発を進めております。

 自律型無人探査機に関しましては、長距離を走る、そして精密に走るということを目指しておりまして、その要素技術についてこれからご紹介させていただきたいと思います。またROVのほうにつきましては、重作業を行えるマニピュレーターをはじめ、あるいは視野を精密に見る、海底を見るという技術、あるいは重量物を取り運ぶということに関しまして、要素技術の研究を行っています。また古くて新しい浮力材、あるいはテザーケーブルの問題というものの解決にも取り組んでおります。

 ここにございますように、4つの要素技術について順次ご説明させていただきます。

 「うらしま」におきまして長距離を走る。我々は水中で使える燃料電池というのをつくりました。この燃料電池をさらに改良、あるいは研究開発しまして、さらにエネルギー効率の高く、そしてコンパクトにしようという計画を立てております。今現在、実験室に燃料電池のシミュレーターをつくりまして、燃料電池で難しい水の取り扱い、湿度の取り扱いというものをここで行っています。

 また循環ポンプと、難しい補機類があるんですが、それもここでテストしていまして、このシミュレーターの段階ですが、エネルギー効率が57%というとてもよい結果が得られてきています。

 燃料電池を使う場合、燃料である水素をどうやって持っていくかということで、「うらしま」の場合、合金に吸わせて持っていくという方法をとりました。これは我々も初めての試みでありましたので、かなり念の入ったケースをつくりました。このこともありまして、当然今後、吸蔵合金の性能をアップするということもありますが、貯蔵方式のことについても改良していきたいという研究開発をしているところでございます。

 それから「しんかい6500」や昔の「かいこう」をつくったときには、優秀な浮力材メーカーがあったんですが、数年前に生産をやめてしまいました。かなり一大事なことでして、大深度でこういう研究開発をしていくにはとても大事な材料ですから、これを回復すべく研究開発をしておりまして、ようやく14,000m相当の水圧でもつという浮力材を、容量はまだ18ℓですが、復活するようになってきました。

 またケーブルでございますが、昔「かいこう」が紛失したというトラブルがありましたけれども、そのときの要因の1つがケーブルでございました。それ以来、強度の高い優秀なテザーケーブルをつくろうという研究開発をしてまいりまして、「かいこう」の使用していたケーブルのおよそ4倍の強度を持つというケーブルを、去年度、製作することができました。今後、我々が今、現有しております無人探査機等にそれを使用して、さらに次世代の無人機にも使っていきたいと思っております。

 それから、これは「うらしま」の航法システムの改良でございますが、数年前300km走ったんですが、そのときには走るということだけで、シナリオのラインからかなりずれて、ジグザグ運転をしていました。大きいときには10m以上離れた幅でジグザグ運転をしていたんですが、これを改良いたしまして、試験をしながらデータをとっていくという地道な作業をいたしまして、今は大体1mの範囲内のずれにおさまって走れるというようになりました。この結果、精密に安定して走れるということで、海底調査にとてもいいデータがとれるようになりました。

 左にありますサイドスキャン・ソーナーですが、これは「うらしま」の、両舷についておりますが、これが沖縄トラフで走らせたときですが、ここにございますように、霧のような、雲のようなものがありますが、これは熱水だと言われております。またお腹についておりますマルチビームですね。これでも高度方向の誤差が0.5mとかなり精度の高いものがとれております。

 今年度、先ほどちょっと有効かどうかというご議論があったと思いますが、サブボトムプロファイラーを搭載しております。まだデータは出ていませんが、このようなデータがいずれとれるのではないかと期待しております。

 さらに音響探査の精度を上げようということで、航空機や人工衛星では当たり前になっておりますが、合成開口技術を使って精度を上げていこうという試みをしております。ここにございます絵は従来の、「うらしま」のとってきたサイドスキャン・ソーナーを、ソフトウエアで、コンピューターを使った手法だけで、3倍程度よくした。今年度、この合成開口技術に合わせたハードウエア、ソーナーアレイも含めまして、製作しております。来年度以降、さらにいい海底地形図のデータを提供できるようになるのではないかと期待しております。

 またこれは従来、pHセンサーというものが安定して接続できるものがございませんでした。FETを使いましたpHセンサーをつくりまして、これも実際に左下にございますように、熱水プルームの上で無人機に取りつけて走らせました。このことによって深度を変えながら熱水鉱床に近づいていくということが可能だということを確認しております。

 この海底電気探査法につきましては、先ほど阿部委員のほうからご紹介がありましたので、割愛いたします。

 これらのデータ、自律型無人探査機に走っているとき、1つの欠点は、回収するまでデータがとれない。いいサブボトム、あるいはサイドスキャンをとっても、回収しなければとれないということが1つの欠点ですが、それを少しでも解消しようということで、高速の音響通信で無人機から海面上の母船まで送る。さらに母船から横須賀本部に人工衛星を介して送るという試みをしております。

 これらの要素技術のテストベッドとしまして、我々が持っておりますこれらの無人機を活用しながら、研究開発を進めていくという段階になっております。

 以上でございます。

【浦辺主査代理】  どうもありがとうございました。

 いろいろ盛りだくさんの内容で、個々のことをなかなかキャッチアップするのは難しかったんですが、何かご質問はございますでしょうか。

【浦委員】  この伊平屋の熱水がマルチナローでとてもきれいなのがとれているんですが、これはマルチナローだとスワスがそんなにとれませんよね。高度によりますけれども、どのくらいの高度でこれをやっているんですか。

【青木氏(JAMSTEC)】  これは同時にとっておりまして、50mの、こちらのサイドスキャン・ソーナーが、真ん中の白い線は後で書き加えたものですが、ここから海底面までが大体50mぐらいです。マルチビームも同じ高さだと思います。

【浦委員】  そうすると、この左側のところの上のマスメトリマップだと、五、六往復しないと撮れないかな。

【青木氏(JAMSTEC)】  この幅がたしか300mぐらいで、ですから1回でいけます。これも同時に1回でいったと思います。途中欠落している部分もありますが、幅は300mです。

【浦委員】  頂角が150度ぐらいあるんですか。

【青木氏(JAMSTEC)】  そうですね。ちょっと見えにくいですが、かなり幅の大きな受波器を使っております。

【浦委員】  また次の質問をして申しわけないんですが、当然ポイントで撮れているから、反射強度などの解析はされているんですか。

【青木氏(JAMSTEC)】  そこはちょっと聞いておりませんが、ここの図は後処理をしておりますので、そういうデータも入れて地形図をつくって出力していると思います。

【浦辺主査代理】  ほかにございませんか。

 このサイドスキャン・ソーナーの真ん中のところ、これではちょっと見えない、この手元の資料で見えているのは、熱水というよりは、多分泡ですね。CO2の気泡が見えているんだと。非常に物性的に差がありますので。ただすごくおもしろい。

 ほかにございますでしょうか。

【浦委員】  もう1ついいですか。この曳航体で曳航ケーブルを引いているんですけれども、これは曳航体でやっているんですけれども、それは「うらしま」ではできないんですか。

【青木氏(JAMSTEC)】  そういうようにしたいと思っております。先ほど阿部委員のほうからあまり有効ではないと聞いて、ちょっと腰が引けてしまいましたけれども、我々はこれをいずれAUVにも積んで、幾つかの手法で総合的に探査したいという考えを持っています。熱水とか、資源を探すというだけではなくて、我々はほかにもミッションがありますので、そういうことに有効に使っていきたいと思っております。

【浦辺主査代理】  おそらく物理探査の場合に、陸上の場合は地面の上を歩けるわけですが、海の場合には海底の上を歩けないので、海面からやるとか、あるいは海中のどこかの高度を持ってやるということになると思うんですね。その点が違うんですが、基本的には対象が小さいものですので、大きなことをやるのは地球物理は非常に得意なんですが、小さなものを対象というのは、すべての面でなかなか難しいと思います。

 だからこの海底電気探査法に関しても、ノーチラスのほうでは非常にきれいな結果を得ていて、それは基本的には海底に接してやっている。ケーブルをはわせる、それから重力に関しても、海底に設置した形で、細かくとっていくという方法でやれば、物理探査は非常に有効なものがたくさんあるということだと思います。

 だからちょっと広域的な調査と、そういう非常に精査というのを物理探査で分けて考えることによって、非常に可能性も高くなってくるし、やっぱり近づいてみれば細かく見えるというのは当たり前の原理でございますので、そういうことをちょっと分けて考えないと、海面上でのいろいろな物理探査で下のものは見えないよねというのは、当たり前のことかなと思います。

【平委員】  電気探査は、多分熱水が動いているような場所では非常に有効なのではないかと思います。流体が局所的に存在していて、それが移動しているような場所、地下でどういうようにその流体がどのぐらいあるのかということも含めて、多分非常に有効なのではないかと思うので、やってみないとわからないですけれども、決して要らないということではなく、阿部さんの言われたのも、完全に流体はもうない場所ですから、海底とちょっと違うのかなと思います。

【沖野委員】  今の流体のは、多分流体があるとすごく敏感でいいと思うんですけれども、分解能を相当上げないといけないですよね。だからそれが結構難しい。

 質問は、最後に欧米諸国のAUVROVの表がついているんですけれども、ほかの国のこういう技術と比べて、現在の例えばJAMSTECのは、レベル的な面とコストの面がどうなのかを教えていただけると。

【青木氏(JAMSTEC)】  技術的にはトップレベルにあると思います。ただ外国の場合、数をつくっているという。

【沖野委員】  そうですよね。コストを下げて、何かたくさんワーッとやるというのをしていますよね。

【青木氏(JAMSTEC)】  そういうところで、総合力というとちょっと怪しいかなと。だから我々と浦先生のところとか、AUVって限られたところしかつくっていませんけれども、その辺がやはり、数多くつくる、繰り返してつくっていくということが大事なんだと思うんですね。技術を継承していく、あるいは高度なものにしていくということが大事なことだと思うんですけれども。

【浦辺主査代理】  ほかに質問ございますでしょうか。

 今の青木さんの発表に限らず、全体について何かご質問、ご討論すべきことがあればということなんですが、いかがでしょうか。

 ちょっと議論をあれするために申し上げますと、先ほど私の発表でも申し上げましたけれども、死にかけているものと死んでいるもの、生きているものというように、大きくいくと3つのタイプといいますか、ステージといいますか、ありますね。少しでも生きているものに関しては、さまざまな手法が考えられていて、実際に成功している。

 たとえ話になりますけれども、日本の周辺で初めて海底熱水活動というのが見つかったのは1989年ですね。発表されたのが89年ですが、それは平成元年なんです。ことし平成20年が終わって、20年というのが海底熱水鉱床がたくさん発見された20年でもあったということで、象徴的かなと。21年からはこういうことをやり出しましょうということですが、その間に日本周辺だけで十数個見つかっている。これは陸上の探査を考えれば非常に能率がいい。こんなに陸上では見つかることはないということで、今までの探査手法というのは非常に成功したのかなと、これは多分阿部さんもお認めになる。

 今後は、ただそれだけでは企業の立場からは非常に不満である。もう少しちゃんとしたものを見つけなさいと。そうしますと、探査余地というものがどれだけあるのかというように考えますと、やはり生きているものは、このままの方法で今後も幾つか見つかっていくことは間違いありませんので、やはりそれだけでは不足であって、いろいろなところを、ここでとって、次でとってという、鉱量を増やすということになりますと、やっぱり死んだものを探していく。

 これは生きたものよりは難しくて、平成20年の間に十数個、日本近海だけですね。それはなかなか難しいかなと。世界的に見るとその10倍のものが20年の間に見つかっていますので、生きているものはいい。死んでいるものは、それに対して数はものすごく多いというのが、世界的に見てもそう、死んでいるもののほうがもちろん数は多いので、それを何とか見つけることによって、阿部さんのあれにも少しはこたえられるんじゃないかと思うんですね。

 ですから長期的にはこの委員会でやるのは、むしろ死んだものをどうやって見つけるかという問題提起もあり得るのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

【浦委員】  とても賛成するところなんですけれども、1つは、いろいろな技術があるんだけれども、それ検証して、死んだものをちゃんと探さなければいけないわけですよね。生きたものの周りにも死んだものがあるかもしれないし、まず生きたものも含めてその周りを調べていくというか、技術を提案して、それで調べるロードマップみたいなものをつくらなければいけないんじゃないか。

 それはJOGMECさんの仕事なのか、JAMSTECさんの仕事なのか、大学の仕事なのかよくわからないんですけれども、とにかくそれにはシップタイムも必要だし、前回申し上げましたように、専用のシップタイムがないと、1年半後に船が用意されていますとか、そういうのでは技術的には追いつかない。

 そういう総合的な、今、浦辺さんがおっしゃっているように、死んでいる熱水鉱床開発プログラムというものをつけて、ドドッと100億円用意するというぐらいのことをしないと、文科省としてはちまちまシミュレーションなんかをしているだけ、のそのそやっているんじゃないのということになるのではないかなという危惧があるので、浦辺さん、ぜひ声を大きくして、JAMSTECさんもそういうシップタイムを用意してくださるように期待するところですけれどもね。

 JOGMECさんはどうなんですか。JOGMECさんは生きているものを攻めるのにずっと忙しい。

【増田委員】  とりあえずは。

【浦委員】  死んだものまで手が回らないという感じがするんじゃないかと思うんですけどね。

【宮崎委員】  浦辺先生のプレゼンでいただいた13ページの絵が、大変私は感銘を受けるもので、特にABCDということを書いていただくと、まさに浦先生もおっしゃった活動末期のBか、あるいは活動停止のC、この辺をきちっと調べるのが資源量の探査には重要なことだと思います。確かにDの再活動をまずやれば、活動中のところの周りを調べるとか、あるいはそれに連なったところをターゲットとしてやる。

 技術的にはやっぱりそういうところをターゲットにすると、それのための技術開発がやりたいと思いますし、それのためのご指導をいただければ、さらに磁気センサーなり、何かを離したところじゃなくて、まさに海面になるべく近い、あるいは海底面につけてそういうセンサー類を開発とか、そういうところにいけるので、1つのターゲットとしてBあるいはC、あるいはDの解をやる。

 まずAについては当然やるとしても、そちらにやって資源量をきちっとしていくというのが重要な課題と思いますし、それはテクノロジーとしても私たちがチャレンジする用意がといいますか、心構えができるので、ぜひ主張していただけるとやりがいがあります。

【浦辺主査代理】  はい。

【生川海洋地球課長】  浦辺先生の感じを教えていただきたいんですが、今までのやり方というのは非常にうまくいっている。それはそうだと思うんですが、ただ一方で、それでもかなりの時間とお金はかかっているというお話もお聞きしておりますし、現在やっている手法をより効率的にやると、もっと効率的に、例えば未発見のアクティブのものも含めて発見をするという手法を開発していくというニーズは、浦辺先生の感じだとあまりないかなという感じでございますか。

【浦辺主査代理】  いや、そういうことではなくて、ことしの文科省の予算でセンサーの開発というのもやっておられて、基本的には発見以来30年、300カ所以上のものがそういうプルームの調査で見つかっているんですね。必ずそういうプルームがあって、それからその下を潜水艇その他で潜って調べるという形で、センサーのほうのそういうものは、今まであるものと新しいものを組み合わせることによって、ある程度先が予測できる段階になっていると思いますね。ですので、あとは浦さんの話ではないですけれども、シップタイムとか、どういうプログラムを組んで探していくかということで、ある程度短期的な面では対策できているのかな。

 ただこれはJOGMECさんのほうではあまりそういう形での探査はしておられないので、これまでどおり大学の方なんかがJOGMECの船を使ったりして、そういうことをやるというのは可能かなと思っています。それである程度の見通しがつくのかなと。そういう調査は沖縄では1度やられたことがありまして、マリアナのほうでは何度かやられているんですが、伊豆・小笠原ではまだ全部はできていないとか、そういう問題はありますね。だから少しやっていく必要があると思いますけれども、ある程度見通しができている。見通しがないのが、この場合で言うとBとかCとか、そういうものが見通しがまだたっていないということです。

【平委員】  大きく2つ方向があって、今、浦辺さんが言われたような、今、熱水とかチムニーがどこにありますねというのの基本的な場所がわかってきたというのが今の調査段階で、それを一段精度を上げて、さらにカルデラの中の地形、それから下も含めて、広域的なものを、しかし精度を上げて一挙に調べられる方法があれば、カルデラ一つ一つの基本的な賦存量に対するぐらいの大まかなエスティメートができるといのが、基本的な1つの方向ですね。それを今、1つは方向として目指しているんだろうと。ツールプログラムというのもそういう方向にある。

 もう一方は、阿部さんも言われたように、実際に鉱石をとってきて、それがどういう性質を持っていてどういう精錬をやってという実用化に向けて、それから環境調査も含めてですが、シオオリガイの群集がどれだけいてという、開発に向けたさまざまなステップをクリアしていくためのいろいろな手法、それからいろいろなデータを集めて、それは多分1つの海山、全体で5つ、6つあるようなカルデラの中で、1つに限定してやっていかかないと、それは1つのモデル鉱床と我々呼んだり何かしているんですけれども、そういう開発に向けての技術的なステップをちゃんとやっている。

 それには実際、物も取とらなければならないし、いろいろな環境の評価もやっていかなければならない。それは多分1つ、2ぐらいの海山に集中したほうがより効率的だと。ですから、広域にたくさんのカルデラを、賦存量のエスティメートができるぐらいの精度で一挙に調べてしまうという方法と、それから、開発に向けて物をとりながら、生物を調べながらということをやっていく、その両方向が必要だなと思いますので、それは各省庁とも、大学もうまく手分けしながら、ですから、ある意味ではトータルなプログラムマネジメントというのが非常に必要だなと思います。

【浦委員】  今の平さんの言っていることはよくわかるんですが、もう1つは、今回我々がやっていてサイドスキャンの能力が非常に高いということがわかってきているんです。それは40m50mぐらいの高度でずっとサイドスキャンすると、例えば今、伊是名の一番最初に見つかった浦辺さんたち、1989年ですかね。それのあたりのチムニー群が一個一個見えているんですね。今までの方法はプルームを探して、アノマリーを見つけて、そこへ寄っていっているんですが、可能性があるところをどんどんサイドスキャンしていけば、例えばベヨネーズにしても、たくさんカルデラがあって、そういう可能性があるところを、とにかくみんなもサイドスキャンでマップをつくっちゃおうと。そうすると、この辺にはチムニー群が見えているね。生きていようが、死んでいようがですね。埋まっていなければ見える。

 それをAUVでやれば3ノットか4ノットぐらいで、スワス幅が1kmぐらいありますから、おおよそ1日に30平方キロメートルぐらいやれるんですよ。ですから、可能性のあるところをどんどんそうやって調べて、データベースをつくっていくというのも1つの手じゃないかなと思っているんですね。3つ目のストラテジーが。

 それだけやっていればいいというわけじゃないんですが、今おっしゃったように、1つのところを攻める。それからそこの周りをまた調べる。それからまた全体的にどういうようにチムニーが立っているだろうかと進めるのは、既存の技術でかなりいけるはずなんですよ。ですから、そこを総合的に必要な技術は何なのか、どこをどういうように役割分担をしていくのか、文科省の仕事と経産省の仕事もあるし、その分担や何かもきちっとしたフローをつくっていくのが必要じゃないかなと思います。

【増田委員】  まさにそのとおりだと思うんですけれども、我々、開発、商業化というのを目指して何をやっていくのかというのがJOGMECの今のスタンスで、陸上の資源もそうですけれども、陸上に鉱徴地と言われるものは数多くあるわけですけれども、その下に実際に経済的に開発できるような鉱床というのは極めて少ないわけですね。この熱水鉱床も、チムニーがある、そういう活動がある、あったというところは数多くあるんだと思うんですけれども、その中で実際に経済的に開発可能なのかどうか、見込みがあるのかどうかというところまで見ていかないと、将来の産業なり資源確保みたいなものに結びついていかない。

 それで我々は今、ボーリングを数多くやって、そういったことを、実際に物を取って調べていくということが今、重点になっているわけですね。もちろん申し上げたいのは、そういう広いというか、鉱徴地をたくさんまず見つけていく。それから同時に資源として重要なのかどうか、可能性のあるものかどうかという部分も非常に重要であるなと、そういう一連のものをどう分担してやっていくのかということじゃないかと思います。

【浦辺主査代理】  どうもありがとうございました。大変いろいろな議論があって、楽しく拝聴している間に、だんだん時間もたってしまいましたけれども、何か最後に一言、ぜひこれだけは言っておきたいというのがございましたら。ありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 

 

(2)その他

【浦辺主査代理】  それでは、事務局のほうから今後の予定について。

 青木さん、どうもありがとうございました。

【嶋崎海洋地球課長補佐】  ありがとうございました。

 それでは、資料15を最後にごらんいただければと思います。次回の委員会、またその次の委員会の日程の日付を確定させていただいておりまして、次回は年明けまして、ちょっと早いんですけれども、18日の午前中ということで、現在、文科省でやっております基盤ツール開発プログラムの各課題の実施の代表の方、浦委員にも発表者として名を連ねていただいております。

 その次が同じく129日ということで、産総研あるいは民間の企業の方お二方に来ていただいて、民間からの技術開発ニーズですとか、関連の取り組みについて、本日と同じようにお話を伺っていきたいと思っております。

 またその次は第5回、第6回で、報告書の骨子なんかもたたきながら、それぞれJAMSTEC、あとは日本プロジェクト産業協議会なんかからお話を聞きたいと思っておりますので、また来年も引き続きご出席方、よろしくお願いできればと思います。

 以上でございます。

【浦辺主査代理】  どうもありがとうございました。

 それでは、本日の委員会をこれで終了したいと思います。どうもお忙しいところありがとうございました。では、また来年。

 

── 了 ──

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