次世代海洋探査技術委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成20年8月8日(金曜日) 10時~12時

2.場所

中央合同庁舎 第7号館 西館(金融庁)
12階共用第2特別会議室

3.議題

  1. 次世代海洋探査技術委員会について
  2. 次世代海洋探査技術の各分野の取組について
  3. その他

4.出席者

委員

鈴木、深尾、兼原、松田、伊藤、宇都、柏木、加藤 各委員

文部科学省

生川海洋地球課長、山田海洋地球課長補佐

5.議事録

【鈴木主査】  おはようございます。時間になりましたので、第1回、次世代海洋探査技術委員会を開催いたします。

 本日はお暑い中、ご多忙のところをご参集いただきまして、大変ありがとうございます。本委員会の主査を務める鈴木でございます。この委員会は、2年前に第3次科学技術基本計画の中で次世代海洋探査技術というものが取り上げられまして、この委員会はスタートしたわけでございます。2年たって任期切れということでございまして、改めて立ち上げて、本日が第1回目の委員会でございます。

 それでは、事務局の生川課長は用務の都合で若干おくれられるそうでございますが、第1回目の会議でございますので、委員の紹介を事務局からお願いしたいと思います。

【山田課長補佐】  事務局を務めさせていただきます、文部科学省海洋地球課長補佐の山田と申します。よろしくお願いいたします。

 早速でありますが、委員のご紹介をさせていただきたいと思います。資料12に本日の次世代海洋探査技術委員会の委員の名簿がございますので、こちらに基づいて紹介させていただきます。

 まずは主査を務めていただきます鈴木委員、よろしくお願いいたします。

【鈴木主査】  鈴木でございます。よろしくお願いします。

【山田課長補佐】  それから、正委員でいらっしゃいます深尾委員でございます。

【深尾委員】  深尾でございます。よろしくお願いいたします。

【山田課長補佐】  それから臨時委員といたしまして、兼原委員。

【兼原委員】  兼原でございます。よろしくお願いいたします。

【山田課長補佐】  それから松田委員。

 松田委員、よろしくお願いいたします。

【松田委員】  松田でございます。よろしくお願いいたします。

【山田課長補佐】  それから専門委員ということで今回から新たにご参加をいただきました伊藤委員でございます。

【伊藤委員】  伊藤でございます。よろしくお願いいたします。

【山田課長補佐】  それから宇都委員でございます。

【宇都委員】  宇都でございます。よろしくお願いいたします。

【山田課長補佐】  柏木委員でございます。

【柏木委員】  柏木でございます。よろしくお願いします。実は前回は九州大学応用力学研究所だったのですが、この4月から大阪大学のほうに転任しましたので、よろしくお願いします。

【山田課長補佐】  最後に、加藤委員でございます。

【加藤委員】  加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【山田課長補佐】  以上でございます。

【鈴木主査】  それでは、議事に入る前に、資料の確認・説明をお願いしたいと思います。

【山田課長補佐】  それでは、続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 まず、一番上に議事次第がございます。その次は、資料11としまして、科学技術・学術審議会海洋開発分科会の委員会の設置について、ということで3つ委員会の設置が定められております。それから資料12としまして、次世代海洋探査技術委員会の委員名簿でございます。資料13としまして、海洋開発分科会運営規則でございます。資料21といたしまして、「次世代海洋探査技術」の中間評価に当たっての観点ということで経過をまとめさせていただきました。資料22としまして、事業主体であります海洋研究開発機構で作成していただきました次世代海洋探査技術の進捗状況等について説明いただいた資料です。資料31としまして、「次世代海洋探査技術」の中間評価票ということになっております。後ほど、先ほどの資料22を基に、事業主体側から説明がありますので、それをもとにして、各委員のご見解、進捗状況等についての印象とかをこちらに書いていただいて、最終的には、これをまとめたものをこの委員会の決定という形にしたいと思っております。

 資料は以上でございまして、参考資料を説明させていただきます。参考-1として、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」実施戦略。参考-2としまして、各プロジェクトの中間評価の実施についてです。これは先日、海洋地球観測探査システム推進本部を開催し、その際に配付された資料でございまして、この推進本部として了解したものでございます。参考-3としまして、次世代海洋探査技術に関する研究開発計画です。これは2年前に策定した研究開発のロードマップでございます。参考-4が「国家基幹技術海洋地球観測探査システム」に対する総合科学技術会議の評価における指摘事項への対応状況です。これは一昨年前の9月ですけれども、をまとめたものです。参考-5が、今回中間評価の対象となります国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」の全体の概念図でございます。参考-6しまして、国家基幹技術「海洋地球観測システム」推進体制ということで、先ほどのシステムをどうやって推進していくかということで記載をしている1枚紙でございます。今回のこの委員会は、左下にございます海洋開発分科会次世代海洋探査技術委員会でございまして、次世代海洋探査技術を開発しております海洋研究開発機構に対して評価・助言を行う組織ということでございます。

 資料につきましては、以上でございます。何かご不足の点がございましたら、事務局までお知らせください。

 

(1)次世代海洋探査技術委員会について

【鈴木主査】  それでは、議題1の次世代海洋探査技術委員会について、事務局からご説明いただきます。

【山田課長補佐】  それでは、説明させていただきます。先ほど資料13で運営規則を紹介させていただきましたが、その中に、第3条ですが、「分科会の会議、会議資料は、次に掲げる場合を除き、公開とする。」ということで、分科会長の決定その他人事に係る案件、行政処分に係る案件以外は公開ということですので、今回のこの会議も公開ということで進めさせていただきたいと思っております。

 それでは、まず、次世代海洋探査技術委員会について改めて説明をさせていただきたいと思います。参考資料5と参考資料6を改めてごらんください。参考資料5は、先ほどご説明しました「海洋地球観測探査システム」です。この中に、深海底ライザー掘削技術と次世代型深海探査技術が記載されており、これらが次世代海洋探査技術に該当いたします。総合科学技術会議で国家基幹技術として指定されたものが5つございますが、そのうちの1つです。このシステム推進体制は、先ほど参考資料6でお伝えしたとおりでございます。それぞれの構成要素に、それぞれに委員会が設けられており、チェック・レビューがされております。

 そして、真ん中に推進本部というものがございまして、これについては「地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会」において、全体のマネジメントの有効性・効率性の評価というようなことを行います。

次世代海洋探査技術委員会は、この国家基幹技術の一要素でございます次世代海洋探査技術について評価・助言をしていただくということでございます。

 それに際して、もう一度参考資料6をごらんいただきたいのですが、海洋地球観測探査システム推進本部のところにプロジェクト全体の実施計画がございます。これを実施戦略と申しますが、こちらの作成・修正というのがございます。さらにはプロジェクト管理というのがございますが、この実施戦略というものが参考資料1にございます。これの13ページをごらんいただければと思います。ここに今後の推進に当たっての留意事項が記載されておりますが、これの下から6行目、「さらに、『国の研究開発評価に関する大綱的指針』に基づき、プロジェクト開始後3年を目途に各委員会・審議会において各プロジェクトを対象とした中間評価を実施していただくとともに、事後評価を実施していただく」という記述がございます。

 今回の中間評価は、この実施戦略に基づいて行われる中間評価でございます。先ほど申しましたとおり、評価票を使って、それで中間評価ということにしていただければと思います。

 これも改めての説明となりますが、資料21が「次世代海洋探査技術」の中間評価に当たっての観点でございます。ここに書かれている観点が資料31に書かれている項目と一致しております。2.中間評価の観点で丸が4つあり、それが資料31の中間評価票になっております。ちょっと資料が大部にわたって恐縮でございますが、こういったものを参考にしていただきながら、資料22について、これから実施機関である海洋研究開発機構から説明していただきますので、それに基づいて事業の進捗状況、有効に機能しているかどうかというのを、各委員にご判断いただければと考えております。

 今回の次世代型海洋探査技術といいますのは、要素技術的な開発が、今の時点では多く、なかなか実利用にどうやってつなげていくかという観点では難しいところがあるとは思いますが、実施戦略に基づいて行っておりますので、その辺のところをご勘案の上、海洋研究開発機構からの説明を聞いていただければと思います。

【鈴木主査】  どうもありがとうございました。大変幅広い説明ということで、委員の皆様も資料を繰るのが大変だったと思います。これからプロジェクトの説明をお願いすることになるわけですが、その前に何かご質問がありましたら、委員の皆様のほう、いかがでございますか。

 

(2)次世代海洋探査技術の各分野の取組について

【鈴木主査】  次世代海洋探査技術の各分野の取り組みというところに進んでいきたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

【山田課長補佐】  それでは、説明させていただきます。次世代海洋探査技術は大きく2つの技術開発に分けられます。1つは地球深部探査船「ちきゅう」号という大きな船があるのですが、これによる世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発。もう1つは次世代型深海探査技術の開発でございます。この順番に説明をさせていただきます。

 説明の際は、今回初めてご参加される委員の方がいらっしゃいますので、実施主体の海洋研究開発機構におかれましては、この要素技術がどうして必要かという、その必要性とかをできるだけわかりやすく説明をしていただくようにお願いいたします。

 それでは、まず、地球による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発につきまして、海洋研究開発機構地球深部探査センター技術開発室の磯崎室長から説明をお願いいたします。

【磯崎室長】  ご紹介いただきました技術開発室長の磯崎でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元にお配りしています資料22と、パワーポイントも出させますので、それを参考にしながら、ご説明させていただきます。

 1ページでございますけれども、先ほど山田補佐からご説明がありましたように、海洋研究開発機構で取り組んでいます次世代海洋探査技術は2つありまして、1つは、「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発、もう1つが次世代型深海探査技術の開発ということで、私のほうから最初の「ちきゅう」によるライザー掘削技術の開発についてご説明させていただきます。その後、青木のほうから次の次世代深海探査技術のほうについてご説明させていただきます。

 それでは、次の2ページをごらんください。「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術というのは4つの項目に分かれております。大深度掘削技術の開発、大水深ライザー掘削技術の開発、深部掘削孔計測技術の開発及び極限環境保持生物採取技術の開発ということになっています。これらはどういうことで何をやろうとしているのかということについて簡単にご紹介させていただきます。

 まず、「ちきゅう」は昨年9月から紀伊半島沖の南海トラフというところで、実際に掘削を始めております。水深約4,000メートルのところで、2月までですから5カ月間弱にわたって掘削を実施しました。ライザーレスという掘り方をしましたけれども、海底からコアを採取し、その研究が今進められているところです。速報によりますと、非常に有益な研究成果があったと聞いております。

 「ちきゅう」は、まだ今のところ水深2,500メートルから海底下7,000メートル、水面からですと1万メートルまで掘削する能力を持っています。我々が取り組んでいます新たな技術開発は、より高い科学成果を上げるために、より深い海で、より厳しい海域で掘りたい。さらにより深い海底からより質の高いコアを採取したい。そういうための技術開発をやっています。もちろん掘削に当たっては、今以上に安全で効率的な掘削ができるようなシステムを開発したい。これらの4つの要素技術は、すべてそれに関連しております。

 今申し上げましたように、大深度掘削技術というのは、現在は1万メートルと言われている掘削深度を、将来には水面から12,000メートル、最終的には人類が到達したことのないマントルからの資料採取を目標に開発をねらうものであります。大水深ライザー掘削技術というのは、現在、水深2,500メートルですが、将来は4,000メートルの深い海を目標にしております。なぜ深い海かといいますと、深い海であればあるほど海に積もっているものが薄くなります。薄くなるというと、よりマントルに到達するにも容易になり、掘る量が少なくなります。ですから、より深い海から掘れば、より地球内部に容易に達することができるということなので、より深い海から掘りたいということで大水深ライザー掘削技術の開発を行っています。

 その次の深部掘削孔内計測技術の開発といいますのは、これは孔を掘ります。「ちきゅう」でコアを回収するために孔を掘るわけですか、その掘った孔を有効活用したいと。掘った孔は、逆に言えば、地球内部に対する窓ですから、その窓にセンサーを入れて観測をしたい。そのセンサーを入れることによって、地球の内部の動きを早く知ってやりたいというように思っています。地球内部を観測することによって、地殻の動きを知ることができます。最終的には3,500メートルと6,000メートルの2本考えておりますが、その中にセンサーを入れて地殻がひずむ、あるいは地震の前段階の情報がそこでわかったら、それを陸上に伝送させてやるということを考えております。そうすることによって、30秒でも1分でも、あるいは2分でも早くそういった地震の情報が陸上に伝わることによって、減災、防災、そういった観点で大いに役立てたいと考えております。

 最後の極限環境保持生物というのは、海底の中には陸上にいる以上の生命体が存在すると言われています。今回、南海トラフで掘っても、その中に生物がいるということがわかっています。人類の起源たる生物、さらにはその中にもっと有用に活用できる生物が存在するのではと思っています。ただ、残念ながら、高温・高圧の中に過ごしている生物を、陸上の大気圧、室温の中に持ってまいりますと、そこで死に絶えてしまうということは十分考えられますので、海底下の高温・高圧の中からそれを回収して、それを船の上で培養し、それを科学研究に使いたいと思っています。そういったシステムを開発したい。この4本立てから今進めているところであります。

 資料の線表を見ていただきます通り、それぞれ上に要素技術開発、その下に設計・製作・試験・改良というのは、実際ある程度物の形になるもの、設計図でありますとか、試験であるとか、そういったものを使ってやってやろうということであります。

 大深度、大水深というのは、先ほど申し上げましたように、「ちきゅう」は既に動いておりますので、できるだけそれに反映させていきたい。早く反映させてやるためにも、大深度、大水深の技術開発については、その線表にありますように、設計・製作についても少し前段階、早め早めに手がけてやろうと今進めているところであります。

 それでは、次のページ3ページでございますけれども、ちょっと前段のほうで時間をとりましたので、あとはちょっと簡単にさせていただきます。左のほうが今申し上げました大深度、海底下いかに深く掘るかということでさまざまな技術があります。この進捗については、後ほど説明させていただきます。右のほうが海底に届くまでの水深の深いところで「ちきゅう」が安定して掘れるための技術開発というような絵をかいております。

 それでは、次のページ4ページでございますが、これが全体の取り組みでありまして、先ほど申しましたように、大深度掘削技術は何をねらっているかという必要性でございますけれども、より深い、深度の深い地層から高質の試料を回収して、それを科学研究に役立てるということであります。効率については、現在、「ちきゅう」は動いておりますので、既にできたものはできるだけ「ちきゅう」に反映させて、そのオペレーションを通じて改良しながら、単なる技術開発ではなく製品開発に近いもの、「ちきゅう」にどのように使えるかということを念頭に置いて進めております。また、これは多方面の産学、大学関係の研究所といったところと協力しながら、鋭意進めているところであります。

 有効性につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ成果をいつまでも置いておくのではなくて、早く進めるために、できるだけ今の「ちきゅう」に使えるように大深度向けのコアバーレルの開発と、12,000メートル級ドリルパイプの開発を中心に進めております。12,000メートル級のドリルパイプが早く開発できれば、今、例えば5,000メートルだろうと、6,000メートルだろうと、それに使うことによって、より安全で精度の高い掘削が可能になりますので、そういった意味で早め早めにこういったことは手がけていきたいというように思っております。

 次の5ページをお願いします。平成19年度、「ちきゅう」は下北沖で試験掘削を始めました。その後、9月からIODPの国際航海で実際に熊野灘の科学掘削を始めております。それに合わせるように、我々としては12,000メートル級のドリルパイプ及び大深度コアバーレルの開発を今進めているところであります。平成20年度も引き続き南海トラフの科学掘削を行いますので、モデルをつくって実際に目に見える形でいろいろな要素試験をして開発につなげていきたいと、今取り組んでいるところであります。

 言葉だけではわかりにくいと思いますので、次の6ページの絵を見ていただければと思います。右上に大深度ドリルパイプとあります。この「ちきゅう」のやぐらからずっと海底、先端まで、最初に先端にビットという海底を削る機械がありますけれども、その先端までずっとパイプがつながっております。右上に大深度ドリルパイプ、現状では1万メートル級のパイプですが、これを12,000メートル級に持っていきたいということで、平成19年度は、パイプの強度、疲労強度の推定等を実施しました。また、パイプの下のほうにジョイント部と書いてございますけれども、パイプとパイプはねじでつなぎます。1万メートルだろうと、12,000メートルだろうと、基本的には9.5メートルの長さのパイプをねじでつないでまいります。ですから、1万メートルといいますと、ざっと1,000本のパイプ、今「ちきゅう」には1,000本置いています。ねじでつないでまいりますので、そのねじの部分がどうしても応力集中し弱くなります。そういったことがありますので、ツールジョイント部の形をどうしたらいいかというようなこともことし検討してまいりました。

 今年度、平成20年度は、実際にパイプの一部をつくってテストをやってやろうと思っています。このねらいは、今S150と非常に強度の強いパイプを使っておりますけれども、さらにこれをもうちょっと強いパイプ、軽いパイプにできないかとか、もう少し肉厚を上げることによってパイプがつくれないか、そういうようなことを考えています。パイプの強度を上げる材料が作れるなら、これはもちろんほかの分野にも使える。例えば自動車でありますとか、そういう分野にも使っていけるんじゃないかというように期待しております。

 その下に高温用コアバーレルの開発と書いてございますが、より深いところでコアを採取しますと、圧力、温度が上がってまいります。150℃、最終的には300℃をねらっているわけですが、どんどん圧力が上がってまいります。温度も上がってまいりますので、それに耐えるものをつくろうとしております。それと、もう一つは、現状、「ちきゅう」で使っておりますコアバーレルは外国品です。残念ながら日本にはございませんので、国産化をねらっており、これは国家基幹技術の一つの精神だろうと思っております。今、既に150℃対応は国産化を果たすことができました。この国産化をもとに、次の300℃へ向けて、今挑戦しているところであります。

 左のほうの、今度は掘削方向制御技術(ダウンホールモーター)と書いてございますけれども、現状はこの1万メートルのパイプを「ちきゅう」の船の上で回します。「ちきゅう」のパイプの端っこを回すことによって1万メートル先のパイプを回します。そうしますと、全部のパイプが回っていきますので、パイプが回りながらですから、なかなか真っすぐ掘ることができない。海底の地層によっては真っすぐ掘ることができない。我々としてはできるだけ真っすぐ掘っていきたいので、それに耐えるように、パイプ全体を回すのではなく、先端だけを回すことによって、真っすぐ制御することができる。そこにタービンモーターと書いてございますけれども、これを上からの泥水を送って回すことによって先端を回してやろうと。高速、低負荷で回す。今の回し方は、ゆっくり回して海底を削り取るというイメージが強いんですが、今回のダウンホールモーターはもう少し高速回転にして、やわらかくしながら、かつ速いスピードで掘ってやろうということで、より質の高いコアがとれるだろうと期待しております。その下の新型コアバーレルの開発、泥水駆動型コアバーレルと呼んでいますのは、この上で開発したダウンホールモーターを使って、さらに先端だけ新しいコアバーレルを使って、より質の高いものをとってやろうと今進めているところであります。これを平成19年度、平成20年度とほかに先駆けてやっていますのは、「ちきゅう」の精度の高い良質なコアを回収することに役に立つということで今進めているところであります。

 次の7ページでございますけれども、これは大水深ライザー掘削技術の開発です。必要性につきましては、より深い海底であれば、海底深く達することができるということでありますし、効率性としては、「ちきゅう」が現在動いていますので、フィードバックさせながらやっております。有効性でございますけれども、先ほど申しました南海トラフで既に掘っておりますが、南海トラフいうのは、ご承知のとおり、黒潮が流れます。非常に速い流れであります。昨年度掘りましたときに5.6ノット、時速にしたら10キロちょっとですけれども、これは非常に速い流れで、世界で今までそんなところで掘ったことがないということであります。これをさらにより大きなライザーパイプということで掘ってまいりますので、その中でいかに耐えていくかということがありますので、強潮流の中でいかに掘るかと。今年度の最後にはライザーで掘ってまいります。5.6ノットという海域を少し北に掘ったところで掘りますけれども、非常に速い流れがありますので、それに対応する技術開発をやってまいりました。

 次のページ、8ページに書いています平成19年度の取り組み。「ちきゅう」が動いていることとあわせて、ライザーの強潮流対策を2番目に書いてございます。フェアリングを開発し、性能試験もやってまいりました。ハングオフということで、ライザーを切り離したときに非常に過酷な条件になりますので、そういったことについて外部の研究機関と共同で研究をやってまいりました。

 平成20年度は、年度の後半に実際にライザー掘削をやりますので、強潮流の中でやれるようにフェアリングを今つくっております。今年度には実機に適用して、それを使う予定であります。また、ライザーは流れが速いときにパイプが振動します。これはどうしても防ぐことができません。流れの中で丸い円柱を置くと、これは物理学的に振動を起こします。流れに対して直角方向に振動を起こすんですが、そういった振動対策を今回南海トラフのオペレーションのときに測ってやろうと思っています。掘削船は何台も動いていますけれども、そういった実海域でライザー掘削の実績はなく、これを今回初めてやってやろうと思っています。

 加えて、外部に公開することを前提にやろうとしております。日本、あるいは海外の研究機関を含めて、ライザーの寿命をいかに延ばせるかということの研究につなげていきたい。それが「ちきゅう」のためにもなるということで、こういった貴重なデータは外部の研究機関と共同歩調しながらやっていきたいと今年度は考えるところであります。

 次の9ページでございますが、これは左にありますように、ライザー強潮流対策ということでフェアリングとあります。海面の近くですね、潮流の速いところにつけてまいります。絵をかいていますが、こういったものを1本のパイプに大体5個つけてまいります。水面下500メートルぐらいまで今つけることを考えておりますが、こういったものをつけて、パイプの今の振動を少し防いでやろうというように思っております。

 また、高精度DPS、自動船位保持システムですが、「ちきゅう」にはパイプがつながっていますので、船が流されると大変なことになります。信頼性のあるDPSの開発が、非常に重要なことでありますので、既にこれは手がけて、今年度船に搭載して、既に使えるようにしようということで今準備を進めているところです。

 次に、深部掘削孔内計測技術ですが、あとの2つは、ちょっと時間も過ぎてしまったようなので簡単にご説明させていただきます。先ほど申しましたように、水面下、将来的には海底下3,500メートル、6,000メートルの孔に計測計を設置し、それを海底から伝送する。海底面まで伝送して、それを今度は海底ケーブルで陸上に伝えると、そういったシステムを今組もうとしております。できるだけ長い間、人間がタッチすることができませんので、信頼性の高いセンサーでありますとか、信頼性の高い伝送システム、そういったものを今進めているところであります。これは今、まだ検討を中心にやっております。これは「ちきゅう」を使って掘った後に進めていきますので、後の段階になりますので、先ほど申しました手前に必要な技術、これに今注力しておりまして、これはこれから設計・試作、今年度からそれを始めていこうということを今考えているところであります。

 それと13ページ目に、極限環境保持生物採取技術の開発と書いてございます。これは右上に絵がありますけれども、生物のバイオ装置は、既にJAMSTECの中に置いてございます。これは陸上に置いていますので、その保持技術は少し大きなものになります。最終的には、これを船上ですぐに操作ができるように船上のシステムにしたいと思います。コアは掘っていくときに船上から泥水を循環させます。船上から泥水を循環させるということは、船の上、あるいは大気の中や水の中にある不純物がまざる可能性があります。せっかく周りから隔離された世界にいる生物に悪影響を及ぼす可能性があるということで、掘っていくコアをゲルで囲ってやろうと。囲って外の泥水とは非接触にしてやろう。そういうことがまず重要だろうということがありますので、今調査を進めております。過去にそういう研究の事例もありますので、そういった事例を今これで進めているところであります。もう少し実際に物、あるいは試験・製作していくのはもう少し後かなというように思っています。

以上でございます。

【鈴木主査】  どうも、ありがとうございました。

 ただいまのご説明について、皆さんほうから何かご質問があればお受けしたいと思いますが、その前に、事務局の生川課長がお着きになったようで、挨拶をお願いします。

【生川海洋地球課長】  すみません、おくれまして恐縮でございます。71日付で海洋地球課長に着任いたしました生川でございます。まだまだ新米でございますが、ご指導いただきながら一生懸命やっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 一言だけ申し上げさせていただきますと、実は新聞、あるいはテレビでも報道されているところでございますが、今週の初めに自民党の無駄撲滅PTで政策の棚卸というのをやっていただいたんです。文部科学省からは全部で28件のプロジェクトについてヒアリングをしていただきまして、この深海掘削の関係のプロジェクトについても私どものほうから説明させていただいて、ヒアリングをしていただきました。我々のこのプロジェクトについては、国家基幹技術に位置づけられているということもあって、継続すべきだということで結論をいただいたということでございますので、我々としても国家基幹技術に位置づけていただいているというものは非常に重いと考えております。今回の委員会においては、国家基幹技術としての次世代海洋探査技術ということで中間評価をいただくのですが、そういうことも踏まえて、我々としては非常に重要に思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

【鈴木主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、何かご質問、ご意見があればお願いいたします。

 深尾先生、どうぞ。

【深尾委員】  大水深の掘削技術をこういう形で開発されて、その技術では世界のトップランナーでいらっしゃるということは大変結構だと思います。2つ質問させていただきたい。1つは、現状では1万メートルぐらいまでは掘れるという話ですが、それを12,000メートルにされた理由は何かということなのですが、13,000メートルでもいいじゃないかと。12,000メートルにされた根拠は何かということが1つ。もう1つは、非常に深く掘るというところで新しい技術を開発されておられるのですけれども、一方では、そんな深く掘らなくても、もっとたくさんのサンプルをとりたいという、そういうものもございますよね。そういうのは多分、国際協力とか、そういう形でうまくやっていかれると思うのですが、そういう方面の研究の現状どうなっているかという、その2点をお伺いしたいのですが。

【鈴木主査】  それでは、今、深尾委員のほうから質問があった深度12,000にした根拠はどうなのか。もっと深くてもいいんじゃないか。もう1点は、もっと浅いところを数多く、国際協調や何かでやったほうがいいのではないか。そういう検討はいかがか。こういうことでございます。

【磯崎室長】  では、ご質問に対してお答えいたします。1つは、先ほどの4,000メートルというのは、おっしゃるように、どこに線を引いたらいいのか。これは非常に難しいところなんですが、ある4,000メートルと非常にカバーするエリア、例えば日本の周りですと、4,000メートル、今、南海トラフを掘っています4,000メートルだと、ほぼ大体我々が南海トラフへ沈んでくるところ、というところが大体カバーできるだろうということがあって、先ほど申しましたライザーではなくて、ライザーレスですと、大体この前も4,000メートルのところで掘っておりますので、そういう4,000メートルである程度カバーできるだろうと。

 ただ、ライザーレスに掘りますと、4,000メートルだと、今度は海底から深く掘れません。ライザーレスという掘削の方法もあるんですが、これはあまり海底下、今まで大体2,000メートルぐらいしか掘れませんので、それではマントルまで到達できないということがありまして、海底下4,000メートルから南海トラフの周りを想定したときに、7,000メートルあれば地震帯を超えて、さらにマントルまで到達できるだろうということで7,000メートル。4,000足す7,00011,000ですが、さらに、さっきおっしゃったように、全然フレキシブルでないというのも困りますので、それにプラスアルファということで、今12,000メートル用を開発しています。もちろん、じゃ、15,000メートル用が開発できたらもっと良いということは当然あるんですが、今1万やっていますが、15,000ですと、将来はどうなるかわかりませんけれども、需要に対してあまりにも技術的なバリアが高過ぎるというように思っています。12,000もかなりしんどい挑戦だと思いますけれども、これはそういう目的を持ってやっていきたいというように思っています。

 それと、先ほどお話しました6,000メートルを掘るには数カ月掛かります。1本の孔を掘るのにそれだけかかってしまいます。「ちきゅう」も、現在掘っていますときには、浅い孔を何本か掘ります。今回も31孔掘っていますので、1本だけを深くというよりも、周りを掘ってまいります。また、国際協調という意味では、「ちきゅう」はライザー掘削となっていますけれども、アメリカに「ジェイデスレゾリューション」という船がありまして、これはライザーレスですから、そんなに海底下深く掘れません。2,000メートルぐらいは掘ってまいります。最終的に、これも我々が考えていかなくちゃならないことですが、もっと簡単に、ある程度パンチ式にバンと掘って、海底の10メートルか20メートルぐらい海底標本をあちこちでとってまいると。そういったシステムを将来は考えていきたいと思っています。ですから、それであれば、「ちきゅう」といった大規模な掘削船ではなくて、例えばROVでありますとか、そういうものの中にちょっと乗せていって、あちこち動き回れば、ぽんぽんと掘ってこれると。それはそれで貴重な重要。また、「ちきゅう」のように深く掘っていくと。そういったいろいろなバラエティーをこれから考えていくべきことであろうと思います。ご指摘のとおりだと思っています。

【鈴木主査】  どうもありがとうございます。よろしゅうございますか。

【深尾委員】  はい。

【鈴木主査】  ほかに何か。どうぞ、兼原委員。

【兼原委員】  立教大学の兼原でございますけれども、私は国際法の法律が専門でございますので、難しい技術的なことはお教えいただくばかりなのでございますけれども、昨年度でしょうか、既に活動を開始されまして、もちろん熊野灘のような日本の管轄水域で掘削される場合には、国際的な法的にも問題はほとんどないかと思うんですけれども、アフリカのほうで、ケニアだったかどこかが、国の名前は忘れてしまいましたけれども、アフリカの国のEEZで掘削をされた折に、正式には、沿岸国の科学調査の合意を得なければならないんだけれども、非常にご苦労されて、もともとそこのEEZで開発をしている私企業との協力関係があったために、その私企業がすべて当該沿岸国政府との合意等の手続はやってくれたために、非常に円滑になされたというようにお教えいただいたことがございます。

 きょうの資料の中で、ちょっとわからなかったんですけれども、今後どのような、例えば日本の太平洋側ということも幾度かお話の中に出てきたんですけれども、日本の太平洋側と言っても、完全に日本の領海の海底であるのか。あるいは200海里までの大陸棚で話が済むのかどうか。仮にそれ以上延びていくとすると、今度日本の場合には、太平洋側だけで大陸棚の200を超える延伸の申請を来年度の5月までにする予定になっておりますから、そうした観点から、資源に関する探査ということは、おそらくもう既に十分に進められているかと思いますが、そういう点との関係もございますし、もしいわゆる法的な意味での深海底の掘削となりますと、これは日本という国が一国で自由にできることでは必ずしもございません。法的に手続が必要になってくることでございますし、そうした観点からしまして、今後どのような海域で掘削技術開発をなされていかれるのかということを、いつかの時点で何か図面で、世界地図みたいなものでこういうところでなさる予定であるということを教えていただくと、私のような国際法を専門にしている人間にとっては問題の所在が非常に明らかになるということ。

 それからもう一つは、バイオテクノロジーということで、もう既に世界的には深海底からのバイオテクノロジーによって、場合によっては薬品開発にもかなりの程度に商業的な利益を見越して競争が始まっている時代だというように伺っておりますので、そういう観点からしましても、日本の海域以外のところで、バイオテクノロジー、それから薬品開発につながるようなものを、海洋生物を取り出すようなことになってくるとしますと、これもまた生物多様性条約といった規制が既にかかっておりますので、いずれかの段階で、これから「ちきゅう」による深海掘削が世界の地球上のどの海域でなさるご予定であるのかということをお教えいただくと、私のような者には問題の所在が明確になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

【鈴木主査】 室長のほうからお願いします。

【磯崎室長】  まず、先ほど申されました、どこを掘っていくかというのは、IODPIntegrated Ocean Drilling Program)、統合国際深海掘削計画ということで、科学者のほうからプロポーザルが出ます。プロポーザルを全体で集めて、それでどこを重点的にやっていくかということで、今やっています南海トラフは、当然IODPの枠組みの中で出たプロポーザルの中で非常に優先度が高いということで、それを進めておりますので、皆さん合意のもとでやっている。幾つかプロポーザルが出ており、その中から、次にどこかを掘っていくことがということになります。あくまでも、私たちがやっていく「ちきゅう」が、今のIODPの中でやっていくのは、あるいは今IODPに参加している各国、アメリカ、ヨーロッパ、まさに中国、韓国もあるわけですけれども、そういった中でやっていくので、そういったことで言えば、日本が一つだけ出て好きにやっていくということではないと思いますので、そういうようなサポートは得られるだろうと思っています。

 また、先ほどバイオの問題についても、今、「ちきゅう」から上がってきたコアは一応財産権は海洋研究開発機構にあると、その上がってきた「ちきゅう」を使ってということなのでなっていますけれども、おっしゃるように、これから海外で掘ったときどうするかという意味では非常に難しい問題、いろいろ解決しなければならない問題があることは事実だと思います。ぜひその辺でお力添えをいただければ。

 先ほどちょっとおっしゃいましたケニアのほうは、ご案内のとおり、まさにあそこに鉱区を設定しています、ケニア政府から鉱区を買った石油会社の下で掘っていますので、私たちはそこで既にクリアになっていると。今回とIODPがやることは多少今度は違ったことになるのかなというように思っています。今後とも、ひとつよろしくお願いいたします。

【鈴木主査】  よろしいですか。

 ほかにございますか。どうぞ、宇都委員。

【宇都委員】  先ほどご説明の中で国産技術を開発するというところをおっしゃって、私はこれは非常に重要な視点だと、国家基幹技術の開発の中でと思ってございます。それで、先ほど高温用コアバーレルの開発のところでそういうお話をされましたが、ほかに目玉になるような国産技術の開発ということをお考えでしたら教えていただきたいと思います。

【磯崎室長】  先ほど6ページにありましたコアバーレルのところでお話し申し上げました。左上にダウンホールモーターとあります。このダウンホールモーターも既にアメリカでは有名な石油開発関連機器の会社がやっておりますけれども、今、これを国産化しようとしています。なかなか取り組んでいるところがなかったのですが、大分県の小さな会社ですけれども、そこが既に取り組んでおりまして、発電所の水力装置を中心にやった実績がありますので、そういった中小企業と一緒に開発して、ぜひこれを取り組んでいきたい。そういったことも我々国家基幹技術として必要だと思っていますし、このダウンホールモーターは非常に使えるんじゃないかと考えています。

 先ほど申しました、アメリカから買ってきてもいいんですが、我々はコアをとりますので、石油掘削に資する開発のものとは多少違いますので、そのプラスアルファをしなきゃならないということで新たなものをやっています。そんなことも念頭に置きながら、これが一つの目玉になるかなというように思っています。

【鈴木主査】  どうもありがとう。よろしゅうございますか。

 はい、どうぞ。

【加藤委員】 ライザー強潮流対策技術の中でお話しされましたデータについて、利用できるような形をとりたいというような話がありましたけれども、サイエンティストから見ますと、こういうライザー強潮流対策のデータを共用される、一般的な形で利用するということは研究者にとっては大事なことなんですが、具体的にはどういう形でデータをオープンにするというように考えておられますか。

【磯崎室長】  まだ具体的にはアイデアはありません。3月から予定していますので、来年の夏にデータが回収されると思います。どういうように組んでいくか、これからの話なんですが、念頭にありますのは、各研究所でありますとか、大学の関係者の方たちに集まっていただいて、どこかで委員会みたいなものをつくるか、そのようにしてやっていきたいと思います。海洋というのは、言葉だけ先行してなかなかものがないものですから、実際日本で今、海洋で動いているのは「ちきゅう」、非常に重要だと思いますので、ぜひ海洋の活性化ということも含めて、このような皆さんのお知恵を拝借して、何とか日本の海洋が活性化するような方法を探っていきたいと思いますので、またこれからひとつご協力よろしくお願いします。

【鈴木主査】  どうもありがとう。まだご質問があるかと思いますけれども、ちょっと時間が押してまいりましたので、とりあえずこのテーマについてはここで打ち切らせていただいて、次に進めたいと思いますが、事務局お願いします。

【山田課長補佐】  次は、次世代型深海探査技術の開発についてということでございますが、今まで説明を聞いていても、非常に大部にわたる説明でございまして、あと取り扱っている内容もたくさんということでございます。先ほど中間評価票を配らせていただきましたけれども、この1枚ではさすがに足りないという方もいらっしゃるかもしれませんので、これからこれの予備をお配りいたします。それで追加の部分があれば記載いただくということにしていただければと思います。そのときは、どの技術の部分かというのがわかるような形で書いていただけるとありがたいなと思っております。

 それでは、次世代型深海探査技術の開発についてでございます。この次世代型深海探査技術は2つございまして、この海洋機構がつくった資料の1ページ目がわかりやすいんですけれども、次世代型巡航探査技術の開発、それから大深度高機能無人探査機技術の開発と2つございます。これらにつきまして、海洋研究開発機構海洋工学センターの先端技術プログラム、プログラムディレクターの青木さんに説明をお願いします。よろしくお願いします。

【青木ディレクター】  海洋研究開発機構の青木でございます。よろしくお願いいたします。

 2つの探査機についてご説明申し上げます。まず、次世代巡航探査機についてご説明させていただきます。16ページです。そこに年表が書いてございますように、建造は我々2011年、平成23年に期待していますが、その前に、それに必要な要素技術を、多岐にはエンジニアリングがあるのですが、その中でもどうしても先にしてやっておこうというものを取り出して、この4年間の間にあるめどをつけたいというのが我々の目標でございます。これは巡航探査機もそうですし、この後にまたご説明申し上げますが、大深度高機能無人探査機についても同じでございます。

 進め方といたしましては、プロトタイプ、海洋研究開発機構には巡航探査機、「うらしま」というものが今ありますので、開発されてまいりました要素技術をこのような実運用されているものに搭載してチェックしていくということを念頭に置いてやります。ただ、大深度の無人探査機のほうもそうでございますけれども、そういう幾つかのROVRemotely Operated Vehicle)、遠隔装置の無人探査機、それが海洋研究開発機構に数機ですが、存在いたしますので、それをチェックしていくことになります。

 それでは、17ページをごらんいただきたいと思います。右上に日本の周辺の海域の、これは経済水域ですが、ご存じのように、日本はとても広い経済水域を持っていますが、この海底にとても重要な資源が眠っていると言われています。この経済水域全体として、あるレベルの海底地形図はあるが、実際に資源をとろうといったときにはかなり問題になると思われます。そういうための海底調査というものをぜひ進めていく必要がありますし、地震が多い、地球上でも特異な場所の国ですから、こういうところでも生命の起源、あるいは地震の予知、そういうことに関して、技術を高められるというチャンスを持っています。そのためにこういう巡航探査機が役に立っていくだろうと思っております。

 長距離を長時間潜っていくということになりますと、幾つかの重要な技術課題が出てまいります。その一つがエネルギー密度の優秀なエンジンをつくらなきゃいけない。それに我々は燃料電池というものを選んで、その技術開発は進めてまいります。

 それから海面上は、今、人工衛星、GPSという測位システムがありますから、我々はどこにいても今1メートル以内の精度で地球上のどこにいてもわかると思いますが、海の中に潜ってしまいますと何の目標も、地図もございませんから、潜っているロボットが、どこにいるかという情報をもらえない。我々それに苦慮しまして、その幾つかがなし遂げられるだろうということの要素技術開発を進めています。

 それから水中を探査するというときに、空中ですと、人工衛星、あるいは航空機から地上の地図をつくるということは、今たやすい時代になっていますが、水が存在するために海底の地形図を見られない。電波が水中を通らない。光が水中をよく通らないということで音波に頼るわけです。音波ですと、とても伝達スピードが遅いということで、また、エコーがこだまのようになりますから、なかなか精密な絵がとれない。これも何とか解決したいというように努力しています。

 18ページに参ります。水中の動力システムでございますが、我々は「うらしま」という数年前、平成10年から建造させていただきました人工探査機です。燃料電池を使いました。ほかの陸上等のようにリチウムイオン電池、あるいはディーゼルエンジンというような選択もあるんですが、水中で使う場合、水素と酸素というものをつくって水しか発生しないということで、大深度の大水圧下でも使いやすいと。それで長距離を走るということで、エネルギー効率が高いということで我々は燃料電池を選びました。ただ、燃料に水素、それから酸化剤に酸素ですから、長距離を走ると、こういうものをどうやって機体の中に入れていくかということが問題になりますから、燃料電池と言っても、酸化剤から燃料ですね、これをどういう形態で多量に持つかということが問題になります。そういうことを含めて、水中動力源のシステムということを開発しております。

 19ページをお願いします。去年度でございますが、その燃料電池の中でも核になりますセルです。電極と電解質と電極というような、+電極、電解質、-電極、普通の電池と同じ構造をしております。電極でサンドイッチするんですが、そのときに電極を通して水素、酸素が入るんですが、ガスではなくてイオン化しなきゃいけない。イオン化することでH2Oになるんですね。そのときに同時にイオンを放して、電気が発生しますので、水素ガス、酸素ガスがイオン化するということがとても、言い方おかしいですけど、いかに効率よくイオン化させるかということが課題の一つです。触媒に白金を使うんですが、電極と電解質との間にさらに薄いサンドイッチする膜をもう一つつくる。それが去年度、平成19年度試みたものとして、そこにカーボンナノホーンと言われる新素材がございます。それに白金の粉粒、細かい粒をまぜ、一様な膜をつくることができます。このことで、従来、「うらしま」も燃料電池を使って、負荷が小さいところでぐっと電流が上がるという、FH19という、少し使いやすい燃料電池のセルを開発することができました。さらにこれを、カーボンナノホーンでうまくいったので、他の素材を使っていこうということを今年度始めています。

 それから、もう一つ、今年度から始めましたのは電解質ですね、これを今までディポン社のものを多く使っていたのですが、原子力研究所さんと共同研究で、中性子ビームを当てて変えて、性能のいいものにしていこうという試みを始めています。来年度以降は、部品としてはセパレート材、それから水素、酸素を効率よく貯蔵するための研究というものを今年度後半から来年度にかけて進める予定でございます。

 次に、20ページをお願いいたします。水中で自分の位置をいつでも保持しながら走るというために慣性航法装置を使います。慣性航法装置は、自分の移動量を常に計測しながらスピードをはかって、それに時間積分して距離を出すということをいたします。その計測のときに誤差がありますと、その誤差も積分していくということで、ある時間が来ると、誤差を積分して、自分がどこにいるかわからなくなる。そのために、検出センサの精度を上げるということと同時に、大きな海洋の中で、別の音響灯台のような灯台をつくって、自分の位置をその音から、音響灯台から受ける音をいつでも計測しながら自分の位置を把握していこうと。ジャイロと音響灯台、2つの方法で自分の位置を広い海洋の中で知ろうという試みを進めています。

 21ページをお願いします。1つは、ジャイロ、慣性航法装置自身の精度を上げようということでやってまいりました。当然、ジャイロそのものの中の性能向上をやってまいりましたし、この写真にございますように、一番上に乗っかっているのは慣性航法ジャイロです。それが円盤の上に乗っていまして、その一番下の四角い箱は円盤を回すためのモーターが入っています。円盤に乗った慣性航法装置を回して誤差を軽減させるという方法をとってまいりました。中のジャイロセンサーの改良、それから個性を持った慣性航法装置の誤差も軽減していこうということを進めているのが19年度でございます。このことによりまして、世の中に存在する航空機、旅客機などに使われているジャイロの大体10倍ぐらいいいものができております。今年度以降、さらにこのことを進めるとともに、音響灯台を使って広い海で自分の位置を計測する。そのためにどうやっていくかということの試験を始めてまいります。来年度はそれを合致させたようなシステムをまた研究開発するということになると思います。

 22ページをお願いいたします。水中で広い海底を調べようというときに、音響、音に頼るということになりますが、このために幾つかの音響の試験をしています。そのための、まず、23ページをお開きください。水中で撮りましたテレビカメラやビデオテレビの信号を水面に送ると。支援母船、あるいは支援母船のブイなどを投じました人工衛星で日本列島に送ってくるというようなときに、水中の無人機から水面まで送るという技術が必要になります。我々は通常テレビを見ている場合、1秒間に静止画を60枚見ているんですが、水中ですと1枚撮った静止画を「しんかい6500」の場合、1枚送るのに大体10秒かかりました。今回我々が、ごらんいただいているエビの絵ですが、これを送るのに大体1秒になった。「しんかい6500」をつくったのは今から十数年になりますので、十数年掛ける10倍って遅く感じられるかもしれませんけれども、ようやく10倍ぐらい速くなった。これは全世界でこのスピードでカラー画像を送れるのは海洋研究開発機構の装置だけです。これは現在500メートル届きましたが、これをさらに長距離化していこうという試みをしています。来年度以後は、無人探査機や有人潜水船に乗せて、動くものから送っていこうという試みをしようとしています。そういう通信のために位相共役という新しい理論で水中通信をしようとしております。来年度以降、そういう新しい方式の考え方による通信を実際の海で試みていこうとしております。

 24ページをお願いいたします。我々は、今現在も音を使って調べているんですが、合成開口、空中では人工衛星や旅客機、航空機、地上の地図をつくる場合に合成開口というのは当たり前な技術になっていますが、水中ではまだなし遂げられた例がありません。音が水中で伝搬するスピードが遅いというのが一番なんですが、そのためになかなか難しいケースになっていますが、それを乗り越えようとしております。

 25ページをお願いいたします。去年度やったサイドスキャンソナーという海底を調べるソナーがあるんですが、それを合成開口の処理技術で大体3倍ぐらいよくなったという絵が、ちょっと見にくいかと思いますが、3倍ぐらいよくなりました。これは実はソフトウェアだけでございます。今年度以降、その理論に基づいたハードウェアをつくると。ハードウェアについて、今年度、来年度とテストをしていこうという試みをしています。そのことで、今までになかったようなセンチメートル単位の水中の精度高い地形図をとろうという目標を持っています。そのためには、まだ時間がかかると思いますが、そのことを見通したいというのがこの4年間になると思います。

 また、巡航探査機ってある意味で無人のロボットですが、これを動かすということに複数のコンピュータを使う。今、車や旅客機でもそうですが、分散処理しようと。それを高性能の小型マルチプロセッサーを使っていこうという試みがされていますが、我々もそういう小型のCPUチップを多数使って処理を分散化しようという試みをしております。そういうことを含めまして、確度の高い自動制御を行うということをなし遂げたいと思っているのが21年度以降でございます。

【鈴木主査】  どうもありがとうございました。数多くの重要な要素技術があるわけでございまして、詳細なご説明をいただきましたが、何かご質問がありましたらどうぞ。

【松田委員】  私は情報科学をやっているものですから、その観点からご質問したいんですが、この絵を見ますと、何か魚が絶えず泳いでいて、その魚がいろいろな情報を収集してくれるというイメージがあるんですけれど、ちょうど地上の場合は人工衛星が常時ぐるぐる回って、そこから届けられた画像、あるいは通信ですね、そういうものを使って、今世の中にいろいろ貢献していると思いますけれど、水の中は見えないから、こういうものを使って人工衛星のかわりになるような働きをさせようとした場合に、どういうイメージにするかによって搭載するものが何であるかというのが決まってくると思うんです。

 その場合に、巡航するというのは、人工衛星のようにいつも水中を泳いでいて、その泳ぐものが何かウェアラブルコンピュータのようなものを搭載していて、しかも、今ユビキタスがだんだん普及してきていますけれども、あのイメージからいくと、いつもぐるぐる回っていて異常検知する。その異常というのは、海底火山であったり、地震であったりもあるんですが、それ以外にも、例えば生物とか、海水の温度とか、いろいろなものがあると思うんです。ですから、そういったさまざまな要素を異常検知できる能力、それで異常検知したら、さっき言ったユビキタスのスマートダストといいますか、これは軍事技術から来たわけですけれども、泡を吹いて粒子の一つ一つが全部コンピュータになって、それが地上に落ちると、ネットワークをたちどころに張るわけです。小さいコンピュータですからね。そういったようなものを次々考えていくというのは非常におもしろいと思うんですね。ですから、いきなりこういう技術のところへドーンと来てしまうと何か難しくて、我々の人類にどういうように影響するんだろうというところに結びつけるのが難しいですから、まず、私は、異常感知すると。感知したら、どういう処置をするかというところを重点に、いつも動いていくようなものがあったら教育にもいいんじゃないかななんて考えておりますけれど、いかがなものでしょうか。

【鈴木主査】  今、松田先生のほうから大もとの目的という観点からのご質問がありましたけれども、いかがでございますか。

【青木ディレクター】  松田委員がご説明いただいたように、私、個人的にはそういうロボットが海の中で活躍すると言われたように、いろいろなセンサーを持って、新しい情報をどんどん提供してくるようなものを目指していますし、そうありたいと願っています。

 今回、限られた4年間の中で、ここの絵にありますようなものをこの後に、建造させていただけると期待しているんですが、そのためにどうしても必要な技術をやっていきたい。それが常時水中を走るエンジンですし、自分がどこにいるか、どういうデータをどこでとったかというのが科学的には大事になると思いますので、そのための自分の機体の振る舞いをロボットが知っているということは大事になると。そういうことをまず固めていこうと。先生のご説明がありましたように、そこで出たデータをJAXAさんのデータもあわせまして、データベース化していくということになりますから、そこで国民の皆様、あるいは教育に携わる方々にデータを提供していくということが大きな目標になっています。きょうここではもう少し現実的なお話をさせていただいていますが、心としては、松田委員の言われたような先のある、夢のあるものを目指しています。ちょっとお答えになったかどうか、よろしいでしょうか。

【鈴木主査】  よろしいですか。──どうもありがとうございました。

 詳細な要素技術の問題でございますので、いろいろなご質問があろうかと思いますが、ちょっと時間が押しておりますので、どなたかもう1点だけ何かご質問があれば、どうぞ。

【柏木委員】  たくさんの要素技術があるというのはよくわかった。我々みたいに海洋流体工学みたいなことをやっていると、どうしても形状の最適化とか、推進性能とか、運動性能とかというのに興味があるんですけれども、実際問題は、位置検出とか、電池とか、音響とか、そういういろいろな広範囲な技術が要る。そういうように考えると、失礼ながら、今の海洋研究開発機構の海洋工学センターのスタッフというのはそんなに豊富じゃないというように私は思うんですね。そういう意味では、どうしても共同研究というのが欠かせないと思うんですけれども、どういうようなところと今共同研究をされて、今後どういうようにアライアンスというか、全国的な共同研究のネットワークをつくっていこうというように思っておられるのか、その辺を聞かせていただきたいと思いますけど。

【青木ディレクター】  国家基幹技術そのものが産官学で協力し合ってやっていきなさいという精神に基づいていますから、当然ながら我々も産官学の各機関と協力して進めております。大学は、柏木先生からご指摘がありましたが、柏木先生が以前おられた九州大学とも連携しております。その中でも、燃料電池、あるいは流体のようなことについても一緒に研究させていただいています。それから理化学研究所、産総研さん、海上技術安全研究所さんとも一部やっていますし、そういう公的な機関、それから電気通信大、千葉大学、あとは神奈川大学というような大学ともやっております。あと、一緒に国家基幹技術を進めていますJAXAさん、あるいは原子力研究所さんともご協力させて進めさせていただいています。

【鈴木主査】  どうもありがとうございました。次の題目もございますので、ここで打ち切りたいと思います。

 次に、大深度高機能無人探査機の技術開発という観点で、青木PDからご説明をいただく。大変申しわけないんですが、詳細なご説明はありがたいんですけれども、ちょっと時間が押しますので、要点をご説明いただきたいと思います。

【青木ディレクター】  すみません、簡単に説明させていただきます。

 この無人探査機ですが、大深度高機能無人探査機と呼んでいますが、この無人探査機は、水面にある支援母船と水中を動き回るロボットとケーブルでつながっています。ロボットに電源を供給して、ロボットの持っているテレビカメラはじめデータをとり集めるセンサー類はケーブルを介して支援母船に上がると。先ほどの巡航探査機の一番の欠点は、音響通信しかできないために、テレビカメラの映像をリアルタイムで見られないということであります。音波で送りますが、静止画を1秒に1枚しか送れない。そういうことですので、どうしても現状の技術ですと、ケーブルをつないで光ファイバーを通してテレビカメラの映像をパノラマチックに見るというようなことになりますと、どうしても光ファイバーが必要になる。ケーブルをつなぎますから、そのために細くて強いという相反するようなケーブルをつくらなきゃいけない。それから水中大深度で海底近くを動くんですが、中性の浮量にする。浮いたような沈んだような状態にするというぐあいに、ほとんど金属でつくられます。その金属を水中で浮かすために浮力材というものが必要になる。そういうもの、それから海底を動くために、クローラーという海底をはいずり回るため、ここではキャタピラの方法が写真に出ていますが、そういうものをつくると。それからマニピュレータ、水中で動くものを採取するなど作業するための腕ですが、これも現状、我々幾つか開発してまいりましたが、満足しているわけではなくて、もっといいものをつくろうとしています。

 それから、テレビカメラを複数台並べてパノラマチックに見よう、視野を広げようという研究。それからこれらをやるような高精度の制御というものを目指しております。このことで大深度で今までにできなかったような重作業をしようということを目標にしております。

 推進システムですが、今まで普通はプロペラだけで海底近くを動くという方法にしましたが、こういうキャタピラをつけて、どっしりと座って重作業をしようということでした。ただ、これを使いますと泥をはね上げますし、月面と同じように、でこぼこをどうやって動くかという問題が出てきます。そのことを解決しようとしております。28ページにその試作の図がありあます。下のほうにクローラーがついているんですが、キャタピラのですね。これをまず試作しまして、実験を行いました。去年度試作いたしまして、この春に動くようになりましたけれども、さらにこれを改良しまして、来年度以降につなげていきたいと思っています。

 29ページでございますが、マニピュレータですが、腕ですね。この腕も、従来のものは限られた操作しかできない。もっと難しい作業をできるようにしたいということを進めています。

 30ページを見ていただきたいんですが、地上で、これはある別の考え方、アルゴリズムを使って動かそうということを今やっています。特にソフトウェアから、各腕の軸、関節ですね、それを検知する方法、そういうものを今開発中でございます。

 それから31ページでございますが、水中でパノラマチックに広い範囲を同時に知ろうという試みをしようとしておりますが、そのために複数のカメラを使う。その複数のカメラを使って、合わせ目を違和感なく見せようという技術を今進めています。これは3つのカメラを、ここにある絵は3台のカメラを、つなぎ目がわからなくなるようにしたんですが、よく見るとわかりますが、もっと違和感のないものにしていきたいというのがこれからの課題でございます。

 それから32ページですが、これは多カメラ、カメラを使ってマニピュレータ、あるいは自分自身の動きを三次元的に自分のことを知っていこう。マニピュレータだけでなくて、自分の姿勢を海底からの相対的な位置を自分で確認しながら、自分の姿勢制御の精度を高くしようという試みをしているものです。

 それから33ページです。ケーブルを改良するということをしております。ケーブルに通す光通信システムを改良する、あるいは新しい考え方で高速で通信しようという試みをしております。

 34ページです。浮力材でございますが、これは50ミクロンほどの中空ガラスをエポキシ樹脂で固めるんですが、とても難しい技術でして、かまの中で焼くんですが、瀬戸物やお茶わんと同じようになかなか一様にできない。その技術を確立するということで、ここに失敗作と幾つか成功の例が書いてありますが、ようやく60センチ、30センチ、30センチの角の比較的大きい、世の中では大きいと言われていますが、それで1万メートルもつというものを開発できるようになりました。これを実際に海で使って、これから評価していく段階にあります。

 以上でございます。

【鈴木主査】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明について、どなたかご質問、その他ございましたらどうぞ。

【兼原委員】  瑣末なことで恐縮でございますけれども、きょうご説明いただいた資料の中に、幾度かまとめのように、必要性、効率性、有効性という形でまとめていただいたページ数があって、それは評価のための中間評価票の3の項目を書かせていただくときのためにもこのようなご説明をいただいていると思うんですけれども。それで、今ご説明いただいた27ページと、それから先ほどになって申しわけないんですけれども、24ページで、私が気になりましたのは、先ほど24ページの最後の有効性、ですから一番下から2行目の「国家セキュリティ」という言葉があるんですね。今のご説明の27ページのほうの最後のエネルギー問題や地震防災からの国民の安全・安心というのは、おそらく非常に乱暴な言い方をすれば、軍事的な意味の安全保障という意味とは関係のない自然災害とか、エネルギーの枯渇であり、エネルギーの輸送がうまくいかないときの安全という意味なんでしょうけれども、しかし、24ページの国家セキュリティというものが入ってくるということは、これは相当、私のような法律をやっている人間からしますと、大きな問題であって、しかも、それを産官学で共同で実施していくということが有効性であるというように、これを含むか含まないかというのは、私のような法律系で社会科学をやっている人間からすると、ものすごく慎重にならざるを得ない表現なんですけれども、その点について、もしよろしければお教えいただけますでしょうか。

【青木ディレクター】  ちょっとここでは大きくとられていたとは思いますが、例えば地震ですと、先ほどちょっとご説明いたしましたように、日本列島の周りというのは、地球でもまれに見るような特異な海底というか、地形をしております。もし海溝型地震が起きた場合、日本がかなり大きなダメージを受けるという可能性が高く、例えば、今、熊野灘で、先ほど掘削船が掘っていると。あそこではかなり高い確率で海溝型の地震が起きる。それはまさに国家セキュリティというか、ここの表現がすべてそのことを網羅したかどうか、正しかったかどうか。もし行き過ぎでしたら、ご訂正させていただきますが、そのための道具なんだというようにも考えています。単に海底の様子を調べるのではなくて、調べた後の海底がどのくらいひずみが進んでいるかということがわかるというところまで将来持っていきたいと思っていますけど。

【鈴木主査】  多分、兼原先生のおっしゃることとちょっとずれていることだと思うんですけれど、いわゆる文言の問題というようにご理解いただければよろしいんじゃないでしょうか。国家安全保障というような観点がこの言葉の中に入ってくると、いろいろ問題ではないかということを兼原先生はご指摘ですから。

【山田課長補佐】  国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」、参考5の資料をごらんいただければと思いますが、ここの一番上の部分に、「国家基幹技術として、宇宙から深海底下まで、我が国の総合的安全保障に不可欠な観測・探査活動の基盤となるシステムを確立する」ということになっています。総合的安全保障という表現ですけれども、安全保障という言葉をそのまま使うと、これは防衛とか、そういう意味になるんですけれども、この「総合的」という表現をつけると、もう少し広い意味になりますので、そこには、先ほど青木PDからお話があったように、災害に関することですとかいうようなことも含んだ国全体の安全ということで、それをコンセプトにしてこのシステムがつくられているということでございます。

【鈴木主査】  それでは、ほかにご質問があれば、1点だけお受けしたいと思いますが、よろしいですか。

 深尾先生、どうぞ。

【深尾委員】  大変すばらしい技術を開発されているということで、その技術の高さに感動したのですけれども、ただ、この書かれた資料だけを見ますと、どれが新規開発で、どれが今継続中の開発であるかということがよくわからないところがあるのですね。あまた、開発計画だというと、適当な数値目標とか、到達目標みたいなものが年度別に表示されていないといかんと思うのですが、もう少しこの技術はどこまでやるとか、あるいはこれとこれをあわせてどこまでやるかという、そういうことがわかるように書いていないとまずいような気がします。

【青木ディレクター】  きょうは説明させていただけませんでしたけれども、目標を持っていまして、当然のことながら、2011年度に建造の費用をいただけるというときに、自分たちが自信のないものはつくれませんし、それに合わせたものをここで要素技術として確立していくという大前提がありますから、そのためにはある目標を持っております。この中ではうまく説明できませんでしたが、実はこの中に入っています。持っております。

【鈴木主査】  それでは、今の2つの説明を通しまして、何かどうしてもという質問がございましたら、お受けしたいと思いますが、どうぞ。

【加藤委員】  今のお話の中で、予算については全く触れられていないんですが、我々見るときに、やはり開発というものに対して、予算がどの程度あるかというのは大事なところなんですが、これは、例えば2つの技術開発の中で、各年度、どの程度予算が考えられているか。もし差し支えない範囲で教えていただければありがたいかと思います。

【青木ディレクター】  16ページを、一番初めにあります。一応、平成19年度(2007年)、そこは3億円いただいて、今年度も同じ額をいただいています。要求したのはこれの2倍か3倍なんですが、なかなか今、財政事情が厳しいので縮小されています。その中でも絞って研究を進めています。来年度以降も、今、予算要求の段階に入っていますが、まだ確定しておりませんが、その辺はこれからになるかと思います。総額で2つのシステムを合わせて19年度は3億円、2008年は約4億円です。

【加藤委員】  「ちきゅう」のほうはいかがでしょうか。

【磯崎室長】  「ちきゅう」のほうは、先ほど申しましたオペレーションと一体としてやっていますので、それの中の技術開発というように思っております。ですから、「ちきゅう」の中のオペレーションも含めて、ですからもうちょっと大きな額になろうかと思います。今、具体的にオペレーションの数字ははっきり申し上げられませんが。

【加藤委員】  今のオペレーションの中で、この線表の中には、オペレーションを含めて線表としてこれが書かれていると、技術開発がやられているというようになるのでしょうか。

【磯崎室長】  線表は一応技術開発をやっていますけれども、先ほど申しました「ちきゅう」としては、ずっと19年度からオペレーションを始めていますので、そういう流れになっています。

【鈴木主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、お二人、大変お忙しい中、懇切なご説明をいただきまして、大変ありがとうございました。あと委員でどういうように今後進めていくかということを討議したいと思いますので、海洋研究開発機構のお二人にはご退席をいただいて、あと残りわずかな時間ですけれども、委員でお話し合いをしたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、今後、評価の方法その他、どういうように進めていくか。事務局のほうからちょっとお話をいただいて、わずかな時間ですが、討議をしたいと思います。

【山田課長補佐】  説明させていただきます。資料31は前からご説明さしあげているとおりでございますが、中間評価票というのがございまして、ここにあります総合評価、「実施戦略」及び各委員会・審議会で策定した計画・見解に対する進捗状況、科学技術の急速な進展や、社会経済の情勢変化のプロジェクトへの反映状況、その他ということで記載させてもらっています。今、事務局の考えとしましては、例えば「ちきゅう」による深海底ライザー掘削技術につきましては、大きく4つの要素に分かれているところでございますけれども、それらの開発というのは別個に進んでいるということもございます。今後の資料のつくり方ですが、可能でしたら、それぞれの技術について、1つずつ記入してもらって、それを最終的に文書のような形でまとめるという形にいたいと思うのですが。

【鈴木主査】  今のお話は、先ほどの説明の中で、線表で出てきている4つの技術開発がありますね。そのおのおのについて、これを1枚ずつと、そういう観点ですか。

【山田課長補佐】  そうです。もちろん記述量というのは、それを最終的には全体でまとめることになりますので、ここにびっしり記述していただくものではないのですが、今の実施戦略もその様式に沿って書かれているものでございますので、そのような形で進めていただけるとありがたいなと思っております。

【鈴木主査】  具体的にはきょうはここで書いていただくにはほとんど時間がありませんのでね。

【山田課長補佐】  実施者がいると話しづらいというのもあるでしょうから、今、退室してもらいました。ここでお互いの委員の先生方の意識合わせというか、確認ということも含めて意見交換していただくというのをやっていただくのと、あとは海洋研究開発機構側に聞き足りないことがあったということだとしましたら、それは事務局までメール等で連絡をいただければ、そこは海洋研究開発機構につないですぐにお答えしたいと思っております。その上で、ここでこの資料を一部書いていただいても結構ですし、後は、全部はもちろん書き切れないでしょうから、そこは、大変恐縮ですが、お持ち帰りをいただいて、後程、本様式をメールでお送りしますので、電子ファイルでも結構ですので、事務局のほうまでお送りいただくという形にしていただければと思っています。

【深尾委員】  そうすると、「ちきゅう」で4件、それから次世代型深海探査技術の開発で2件ということなんですか、評価するのは。

【山田課長補佐】  次世代型深海探査技術は、この中を見ると、幾つか分かれておりますけれども、それは細かいので、16ページにある表のカテゴリーの分け方でよろしいかと思いますので、そのような形で整理をしていただければと思います。ですので、合計4つと2つで6つということになります。

【加藤委員】  一つ確認させていただきたいんですが、「ちきゅう」は、既に話の中でもオペレーションをしながら開発が進んでいるという話で、もう一つの次世代型深海探査技術は要素技術の開発を今行っている。それから、その経過はどうなっているかわかりませんが、今後、平成23年度以降に実際のものが開発されて、それが実際に搭載されるという考え方でよろしいんでしょうか。

【山田課長補佐】  そうです。

【加藤委員】  わかりました。

【伊藤委員】  1点ご質問させていただきたいんですが、特に大深度掘削技術という点について言いますと、先ほどのご説明にあったんですが、既存型の技術がアメリカの石油産業を中心にかなりございますと。そういうものをあえて国産化ということで、かつ「ちきゅう」という場で検証し、ブラッシュアップしていこうという流れだと理解したんですが、技術開発ということだけでいうと、例えば、今石油産業でアメリカの会社が世界じゅうの現場で確認しながら開発していくという一つの流れがあるわけですね。片や、国産ということで「ちきゅう」に限定すると、ブラッシュアップの場といいますか、検証の場を一応「ちきゅう」に限定して考えるという頭の整理、そういうことなんでしょうか。ある程度囲い込んでおいて日本の中で開発し、涵養し、国産のものとして持っておくという、技術を単独で売り物にするとか、そういうこととは違う流れの議論と理解してよろしいんでしょうか。

【山田課長補佐】  あくまで今回は国家基幹技術としての深海底ライザー掘削技術の話ですので、石油掘削の関係でいろいろな技術開発とかされているかもしれないですけど、それとはまたちょっと違う技術なので、その観点から見ていただくということになると思います。

【鈴木主査】  科学掘削という言葉を使っていますよね。その観点ということだろうと思います。

【兼原委員】  私もこの「ちきゅう」ライザーとか、別の機会にずっと伺ってきたときに、アメリカはじめ、EU、韓国、アジア諸国ですね。そうした諸国の参加を得てしてきたという話の中で、その中で日本がどういうリーダーシップをとっていくかということ等々もお話を伺ってきて、そのことと、それから国家基幹技術という観点で評価をするということが私の頭の中でもうまく整理ができなくて、そもそも、先ほどもプロポーザルというのは日本からだけではなくて、むしろ世界じゅうから出てくるプロポーザルでやっているわけですから、その意味では、日本だけの単独の行動というのは、石油の件に限らず全般的にわたっているんだろうと思うんです。にもかかわらず、国家基幹技術として位置づけられて、その視点から評価していくということだとすると、例えば日本がどの程度リーダーシップをとれるのかと。それを知るためには、きょうの説明には全くなかったわけです。本来、これは国際的に共同プロジェクトでやっている。海洋アライアンスでやっているわけですから、その点の情報があって、その中で日本がこれだけリーダーシップをとっているからこそ、日本の国家基幹技術としてふさわしい、というようなことであれば、非常に総合評価の中の1項目としても書きやすいような気もするんですけれども、今日のご説明ではそれがすべて落ちていたので、ちょっと奇異な感じがしました。ですから、今ご指摘のあった点と私も全く同じ疑問を持っているんですけれども。

【山田課長補佐】  今、先生がおっしゃった国際組織、IODPのことなんですけれども、本日、海洋研究開発機構から説明がありましたプロポーザルとかいうのは、あくまで科学提案の流れの話でございまして、そういうことについては国際的に共同でやっていくと。一方で科学掘削船については、日本が提供したり、アメリカが提供したり、あるいはヨーロッパが提供したりといろいろありますけれども、科学掘削船につきましては、その運用費用というのは各国で負担をするということになっております。確かにご指摘のとおり、IODPのほうでこうこうこういう掘削をやりたいということだとしたら、それに応じてこうこうこういう技術開発が必要だねということを実施機関としての海洋研究開発機構が判断して、こういった技術開発を進めていくということだと思います。確かにおっしゃるとおり、国際組織とのつながりというのはあるにはあります。ただ、それはあくまで国際組織の科学提案の話とはまた別でして、最終的には、各国の各実施主体が判断する内容ということで理解をしております。

【生川海洋地球課長】  すみません、補足として、私の理解を申し上げたいと思います。分けて考える必要があると思うのです。現行の「ちきゅう」の能力をもって国際共同で実際の掘削をやっていると。これはIODPでやっています。このIODPのプログラムと、国家基幹技術として位置づけられている技術開発、今の「ちきゅう」の能力をさらに高めていこうという技術開発の部分ということは、分けて考えていて、前段のほうはプロジェクトとしてやっています。ここで評価をいただきたいのは、今の「ちきゅう」の能力をさらに高めていくところの技術開発のところを評価いただきたいということだと思います。ご指摘のとおり、この前段のプロジェクトの部分については国際協力でやっていますが、後段の技術開発の部分は、ある意味日本独自という形で国家基幹技術として位置づけて技術開発をしています。その進捗について中間評価をいただきたい、こういう位置づけと理解しております。

【鈴木主査】  大深度のライザー掘削で科学調査をするというプロジェクトは、世界でこれしかないわけです。そういう観点で、単なる掘削技術という、もともとのこの「ちきゅう」の技術もノルウェーの技術で大半をやっている。しかし、今これからやっていくライザー掘削で大深度というのは、まさにこれからの技術という、だからそこのところは国家基幹技術なんじゃないかと私は理解しています。

【山田課長補佐】  事務局も同じ理解です。もともとは外国由来の技術でありますので独自の部分というのもありますし、それこそがまさに海洋研究開発機構が開発している国家基幹技術の部分であると理解しております。

【松田委員】  この「ちきゅう」でもって掘る孔というのは、全地球上の1点ですよね。その1点が果たして最適な場所であるかどうかというのは、普通の人にはわかりませんよね。申請する人は、かくかくしかじかの理由でそこを掘りたいとおそらく言ってこられると思うんですが、それを評価する人が、これから始まる巡航型とか、大深度の探査機械を使って、いろいろなデータを集約した上で、ここなら確かにリーズナブルだとか、そういう評価ができるように持っていく必要があると思うんですね。ですから、データ収集の際にそういうことも加味して評価に結びつくようなデータ、これを目指していく必要があるんじゃないかと思います。

 非常に広い地球上の1点だけを掘るというときに、どうしてそこを掘るのかなとか、あるいはそこにまつわるデータがいろいろあると思うんですが、そういうものが説明されていないと、どうしてそこを掘るのかな、最初にそこが最適かなとか思って、説明を聞くと、何かプレートが入っていて、地震の動きがわかるとかいうようにして、それでそこを掘るのかなと思うんですが、十分な納得じゃないように思うんですね。という感想を持ちますけれど。

【鈴木主査】  何か事務局のほうで今の件についての。

【生川海洋地球課長】  今、先生、まさにおっしゃったように、プロポーザルを出すに当たって事前の調査をした上で、どうしてここを掘る必要があるか。ここを掘ると、どういう結果が出るかというのがまさにプロポーザルの中身で、それを国際的な審査委員会で評価をしていただいて、高い評価を受ければ、ここをやろうということになるということになります。ですから、データが足りない、あるいは必要性が不明瞭な場合は、それは採択されないことになるのと思います。

 したがって、先生がおっしゃったように、事前のデータをとるというのは必要になるということで、将来的にはいろいろな技術があれば、データをとるのに活用されていくということは十分あり得ると思います。今の大きな立て方は、資料5にありますように、全体としての大きな政策目標があって、それで具体的にこういうことをやらんといかんと。こういうデータが必要だというのがあって、それをやるためには、深海の関係ではこのような技術開発が必要ですということで、きょうは技術開発の進捗だけ説明があったので、その前後があまりつながった説明になっていないので、もしかしたらおわかりにくかったのかなという感じがするんですが、全体の立て方はそうなっています。それに加えて、先生がおっしゃったような、実際孔を掘るときに当たっていろいろなデータをとるのにも、こういうものが開発されれば活用されていくということになるのかなというように理解しております。

【加藤委員】  巡航型の無人探査機の件でいろいろ要素技術の説明があったんですが、私もロボット関係の研究をやっているんですが、この説明ですと、どういうところに今までの技術に対して優位性があるのかというのがよく見えてこないんですね。この技術開発を国家技術としてしないといけないという必然性をきちっと表現していただきたいんです。そうでないと、先ほどじゃないですが、海外から輸入してしまえば、それでいいんじゃないかという話になってしまいますので、これは今までないんだと。ここをやらないと先へ進まない。そういう現在の技術がどうで、これをやることによって、どこがブレークスルーできるかというような説明をいただきたいなと思います。

【生川海洋地球課長】  まさにそういうコメントをぜひいただきたいというように思っています。これは中間評価でございますので、今後、この研究開発、技術開発を進めていくに当たって、こういう点について明らかにし、あるいはこういう点に留意しながら進めていくべきだということを、ぜひ建設的なご意見をいただけるとありがたいと思っていますので、そういう観点からいろいろなコメントをいただければ我々としてはありがたいと思っております。

【鈴木主査】  どうでしょう。時間のほうはよろしいですか。まもなく12時ですけれど。深尾先生、何かありましたら。

【深尾委員】  具体的なところなのですけれども、ソナーの話をされたのですけれども、音響、音波の、もう少し具体的なところを知りたいのです。例えばどの程度のところを巡航していけば、何メートル下の海底の地形がよくわかるなど、海底ぎりぎりのところを巡航していて、何センチぐらいの小さな構造がわかるという技術はあまり必要でないような気がします。どのように日本の領海の地形を詳しく調べるという意味で役に立つかどうかを知りたい。

【山田課長補佐】  音響探査の精度のようなものと理解していいですか。

【深尾委員】  分解能といいますか。

【山田課長補佐】  わかりました。そこは海洋研究開発機構のほうに確認をして、早急にお送りするようにいたします。

【鈴木主査】  それでは、議論は打ち切りということで、あとは事務局のほうに今後の予定についてご説明いただきましょうか。

【山田課長補佐】  きょうはお忙しい中、それからたくさんの説明の中、いろいろご対応いただきまして、どうもありがとうございました。お手元の中間評価票は、先ほど申し上げましたとおり、「ちきゅう」による世界最高の深海底ライザー掘削技術の開発につきましては4つの要素、それから次世代型深海探査技術の開発につきましては2つの要素、それぞれについて中間評価票にご記入いただきたいと思っております。後ほど、メールでもこの様式をお送りしますので、メールで打ち込んでお送りいただいても結構でございます。

 今後のスケジュールでございますけれども、これは大部にわたるものですので、ほんとうはお時間かかると思うんですが、可能ならば、何とか8月中に国家基幹技術の検討作業部会、これとはまた別の作業部会になりますけれども、そこで全体としての議論をしまして、この8月中に中間評価をまとめられればと思っております。そういった点からも、大変恐縮でございますが、来週の水曜日、具体的に言いますと13日までにご記入をお願いします。

 そこで一たんコメントをいただいて、それを手前ども事務局のほうでまとめさせていただいて、その週を目途に、まとめたものを我々のほうで作成したいと思います。それを、まず各先生方々に見ていただいて、実際にこういった書きぶりでいいかということについて、さらにコメントをいただきます。最終的な細かいところまでいきましたら、最後は、鈴木主査にご一任をいただきまして、それでやりとりをさせていただきたいということを考えております。

【鈴木主査】  そうしますと、今のご説明だと、13日までにとりあえず各委員から評価を出していただくと。それを事務局のほうでまとめて、各委員にフィードバックをする。それについてまたコメントをいただく。それが月末ぐらいということですか。

【山田課長補佐】  それを何とか来週中ぐらいに。その後、この委員会でこういう議論がありましたよということを国家基幹技術検討作業部に報告をして、海洋地球観測探査システム全体の議論という形にさせていただきたいと思います。スケジュールがタイトなので大変恐縮でございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

【鈴木主査】  では、2回目、各委員からいただいた意見を入れ込んで最終的な評価をつくる。その段階については、事務局と主査である私にご一任をいただきたい、そういうことですね。

【山田課長補佐】  はい。

【生川海洋地球課長】  もうちょっと具体的にイメージを申し上げますと、コメントをいただきたいと思っていますのは来週水曜日でございます。例外を除いてですね。それを踏まえて、来週中には私どものほうで案をつくらせていただいて、皆様方にフィードバックしたいと思います。そのコメントを、申しわけないんですが、再来週早々、18日の週の月曜日くらいを目途にコメントがあればいただいて、それを踏まえて、最終的には主査とご相談させていただいて、18日の週の前半くらいには大体つくり上げていきたい。それを18日の週の後半以降、翌週になるかもしれないんですが、全体取りまとめの委員会がありますので、そこに報告をできるように考えておりますので、可能な範囲でご協力をいただければありがたいというように思っております。

【鈴木主査】  随分タイトなスケジュールということになって、きょうも皆さんとあまり論議する時間がないのでまことに残念なんですが、この資料ときょうの説明の中から、評価を13日までに事務局に出していただいて、それを事務局で早急に取りまとめて、案を各委員に送っていただくと。それについても18日ぐらいまでになるべく早く、逆に委員のほうから答えを出すと。それをまとめていただく。そういうことになるそうでございます。大変忙しいスケジュールで恐縮ですが、よろしくご協力のほどお願いいたします。

 私も皆さんのきょういただいたご意見を事務局とよくすり合わせをして最終案をまとめたいと思いますので、よろしくお願いいたします。きょうはほんとうにどうもありがとうございました。

【生川海洋地球課長】  ありがとうございました。

──了──

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

電話番号:03-5253-4111(代表)、03-6734-4142(直通)